JP5108781B2 - 悪性新形成の治療 - Google Patents

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Description

本発明は、悪性新形成の治療のための医薬組成物を製造するための、3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンを提供する。さらに、本発明は、悪性新形成を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンを投与する工程を含む方法、及び3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンを含む医薬組成物を提供する。
本明細書を通じて種々の文書が引用されている。製造業者のマニュアルを含む当該文書の開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
進行した悪性新形成は、局所的浸潤性疾患、及び1又は複数の微視局所的若しくは巨視局所的な又は遠隔の転移の形成により特徴付けられる。当該技術分野においては、そのような転移について、慣用的な化学療法投薬計画に対する抵抗性の発生が、付随性の現象であることが知られている。その例は、再発性悪性グリオーマ、進行性乳癌、進行性卵巣癌、進行性前立腺癌、進行性悪性メラノーマ、又は多発性骨髄腫である。これらの新形成は、典型的には、例えば外科医術又は局所的放射線治療のような治癒的局所治療に敏感でないが、代わりに、治療薬剤の全身投与、典型的には化学療法投薬計画を必要とする。単一の薬剤に対する化学療法抵抗性の発生を妨げるため、及び通常は高度に毒性である投薬計画の患者についての耐性を最適化するために異なる薬剤の組合せを含有する化学療法剤の使用でさえも、かなりの数のケースにおいて失敗する。
進行性新形成のための確立された第一選択化学療法投薬計画は、いくつかの腫瘍体中において10〜20%までの完全寛解率を引き起こす[1−2]。対して、誘発され得る化学療法抵抗性の発生又は化学療法抵抗性突然変異の選択のため、繰り返し再発する疾患の応答率はずっと低い。薬物動態学(例えば、血液能関門を貫通しない)又は内因性の化学療法抵抗性のため、悪性グリオーマのような他の腫瘍は、殆どの化学療法剤に対して主として抵抗性である。減少した化学的感受性は、PgP、MDR遺伝子産物及び他のもののような、誘発され得る細胞性解毒メカニズムにより媒介され得る。
進行した段階の癌を治療するために用いられる化学療法投薬計画には、メルファラン、白金含有化合物、トポイロメラーゼ阻害剤又は代謝拮抗剤のような第二選択アルキル化剤が含まれ、骨髄及び他の器官に対する極めて毒性の効果を伴い、治療的又は予防的投与を制限している[3−5]。
殆どの腫瘍は、正常な組織及び例えば炎症性疾患のような病状を有する非腫瘍性組織よりも効率的にアミノ酸を蓄積する能力を有することが知られている。従って、放射標識されたアミノ酸が、ポジトロン放出断層撮影法及び単一光子放出コンピュータ断層撮影法のような核医療技術を用いて腫瘍を臨床的に造影するために用いられている[6]。4−ヨード−L−フェニルアラニン(IPA)は、ヨード化された天然のアミノ酸であり、ヒト腫瘍に高い親和性を示す。腫瘍におけるその顕著な蓄積は、腫瘍細胞内へのアミノ酸輸送の増大に主に関連し、これは、多くの腫瘍に特異的であると示されている[7]。ヨウ素−123標識同属体4−[123I]ヨード−L−フェニルアラニン(IPA−123)を用いる初期の臨床評価は、IPA−123を用いた脳腫瘍造影のための単一光子放出断層撮影法(SPET)の有効性及び安全性を立証した[8、9]。[8、9]によると、IPA−123は、静脈内投与の後に血液能関門を横切り、そして腫瘍中への持続した保持時間をもって悪性グリオーマ中に特異的に蓄積する。
一連のアミノ酸誘導体が、抗腫瘍スクリーニング中でそれらの抗新形成活性について試験された[10−15]。それらには、いくつか例を挙げると、ハロベンゾイル−DL−フェニルアラニン、パラ置換フェニルアラニンのN−クロロアセチル誘導体、N−ベンゾイルフルオロフェニルアラニン、p−クロロ−DL−フェニルアラニン、α−メチル−フェニルアラニン、N−エチルカルバミノメチル−L−イソロイシン、及びN−プロピオニル−L−バリンが含まれる。しかしながら、前記の群からの全ての化合物の投与は、骨髄及び他の器官に対する極めて毒性の副作用を伴うことも知られており、治療的又は予防的な投与を制限している。例えば、1974年以来、p−クロロフェニルアラニンは発育中のラットの成長を妨げることが知られており[16]、このことにより、このクラスの化合物は、悪性疾患の治療のための許容可能な毒性プロファイルを有する可能性ある化合物としては不適格とされた。さらに、対応する文献中に記載された化合物の有効量は相対的に高かった。例えば、[15]においては、p−クロロフェニルアラニン(4−クロロ−フェニルアラニン)の2.5〜10mmol/lの用量が、ネズミ神経芽細胞に対する当該化合物の細胞毒性効果を示すのに必要であったことが記載されている。
従って、本発明の基礎をなす技術的課題は、悪性新形成の改良された治療のための手段及び方法を提供することである。この技術的課題に対する解決は、特許請求の範囲中に記載されている態様によって達成される。
従って、本発明は、悪性新形成の治療のための医薬組成物を製造するための3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンの使用に関する。
本発明にしたがって利用可能な形態のヨード−L−フェニルアラニンは、一般式I:
Figure 0005108781
(式中、
Xは、L−フェニルアラニンに、その芳香環内の3(メタ)位又は4(パラ)位において結合したヨウ素であり、
は、H、アルキル基、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、又は腫瘍ターゲッティングを促進又は向上することが知られている他の残基であり、
は、OH、アミノ酸、又は腫瘍ターゲッティングを促進又は向上することが知られている他の残基である)
によって表される。
当該3−ヨード−L−フェニルアラニンは、メタ−ヨード−L−フェニルアラニン(IMA)とも称され、当該4−ヨード−L−フェニルアラニンは、パラ−ヨード−L−フェニルアラニン(IPA)とも称される。
がHであり、RがOHであることが好ましい。さらに、L−フェニルアラニンに結合しているヨウ素は、安定な、非放射活性[127I]−ヨウ素同位体であることが好ましい。
本発明との関連における「悪性新形成」との用語は、進行性の、制御されていない、浸潤性の及び/又は転移性の増殖によって特徴付けられる、癌、カルチノーマ、サルコーマ、又は他の腫瘍である。悪性新形成は、治療されない場合には、必ず死をもたらす。
悪性新形成を有する対象への3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンを含む医薬組成物の投与についての適応症は、単一細胞の生存によって生じる腫瘍の局所的又は非局所的な再発によって特徴付けられる、最小残存疾患(minimal residual disease)、好ましくは早期充実性腫瘍、進行性充実性腫瘍又は転移性充実性腫瘍の診断でもある。
本発明によると、「医薬組成物」との用語は、対象、好ましくはヒト患者に投与するための組成物に関する。医薬組成物は、好ましくは経口、非経口、経皮、腔内、動脈内、クモ膜下又は静脈内投与される。やはり好ましいものは、悪性組織内への医薬組成物の直接注射である。特に、前記医薬組成物が、注入又は注射を介して、又は錠剤またはカプセル剤として患者に投与されることが考えられる。適する組成物の投与は、異なる手段、例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、局所的又は皮内投与によってもたらされてもよい。医薬組成物は、さらに薬学的に許容可能な担体を含んでもよい。適する薬学的な担体の例は、当該技術分野において周知であり、それには、リン酸緩衝化生理食塩水、水、油/水エマルションのようなエマルション、種々のタイプの湿潤剤、無菌液などが含まれる。そのような担体を含む組成物は、周知の慣用的な方法によって製剤化される。これらの医薬組成物は、適する投与量で対象に投与され得る。薬剤投薬計画は、主治医及び臨床的な要素によって決定される。医療の技術分野において周知であるように、いずれの患者についての投与量も、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与の時間及び経路、全般的な健康、及び同時に投与される他の薬物を含む多くの要素に依存する。当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンの好ましい投与量は、本明細書中で以下に記載する。当該組成物は、局所的に投与されても、全身的に投与されてもよい。投与は、一般に非経口的、例えば、静脈内であるか、又は経口的である。好ましい態様において、医薬組成物は皮下投与され、より好ましい態様においては静脈内投与される。別の好ましい態様においては、医薬組成物は経口投与される。非経口投与のための製剤には、滅菌水溶液又は滅菌非水性溶液、懸濁液、及びエマルションが含まれる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、オレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルである。水性担体には、水、アルコール性/水性溶液、エマルション、又は懸濁液が含まれ、生理食塩水及び緩衝化媒質が含まれる。非経口的ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸化リンゲル液、又は固定油が含まれる。静脈内ビヒクルには、流体及び栄養補充液、電解質補充液(リンゲルデキストロースをベースとするもののような)等が含まれる。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤及び不活性ガス等のような保存剤及び他の添加剤も存在し得る。さらに、医薬組成物は、例えば、好ましくはヒト由来である血清アルブミン又は免疫グロブリンの様なタンパク様の担体を含み得る。医薬組成物は、付随した治療のための追加の薬剤の投与を含む治療における医薬組成物の意図される使用に依存して、3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンに加えて、さらに生物学的に活性な薬剤を含み得ることが考えられる。そのような更なる生物学的に活性な薬剤の例は、付随した治療を含む使用及び方法との関連で、本明細書中で以下に記載される。
3−ヨード−L−フェニルアラニン(IMA)又は4−ヨード−L−フェニルアラニン(IPA)の、悪性細胞に対する細胞毒性作用又は放射線増感作用のような薬理作用は、当該技術分野において記載されていない。本発明の驚くべき新たな発見によると、全ての試験された悪性細胞株に対する同定されたフェニルアラニン誘導体の細胞毒性作用は、既に0.1〜0.3μmol/mlの範囲の濃度について検出可能であり、これは、おおよそヒトの投与量7〜21mmol/70kg体重と解釈されることができ、これは、体全体への一様な分布を仮定すると、2〜6g/kg体重の投与量に対応する。しかしながら、一定の腫瘍において4−[123I]ヨード−L−フェニルアラニンが20倍以上に濃縮されていることが示され、このことは、臨床的に有効な投与量である100〜300mg/70kg体重又は1〜5mg/kg体重(8)を潜在的に示している。さらに、驚くべきことに、そのようなフェニルアラニン誘導体は、悪性新形成の上記の定義に包摂され得る低グレード又は高グレードのグリオーマ並びに他の悪性細胞/組織中に特異的に蓄積することができることが見出された。これに対して、当該4−(パラ)ヨード−L−フェニルアラニン(IPA)のオルト異性体の例である2−ヨード−L−フェニルアラニン、及びハロゲン化D−フェニルアラニン同属体は、IPA及びIMAと比較して、新形成細胞中で低い取込みと中程度の細胞毒性しか示さなかった。このことは、悪性細胞及び組織に対する、3−ヨード−L−フェニルアラニン及び4−ヨード−L−フェニルアラニンの、他の化合物と比較して優れた効果を示している。
当該3−ヨード−L−フェニルアラニン及び4−ヨード−L−フェニルアラニンの特異的な蓄積は、悪性細胞又は組織による驚くべき程に顕著な保持をもたらす。したがって、当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンは、そのような悪性細胞又は組織に対する細胞毒性効果を有する。さらに、4−ヨード−L−フェニルアラニン(IPA)のような前記のハロゲン化−L−フェニルアラニンは、顕著な抗腫瘍活性を示し、ヒトグリア芽腫、前立腺癌、卵巣癌及び乳癌、多発骨髄腫及び悪性メラノーマを包含する原発性腫瘍細胞における放射線感受性を向上させる。
当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンの毒性に関して、4−ヨード−L−フェニルアラニン(IPA)については、ラットにおけるLD50が>100mg/kgであることが当該技術分野において知られている[9]。i.p.注射を介して投与されたIPAについてのLD10は、ラットにおける実験において>27mg/kgとして測定された。さらに、i.p.注射を介して投与されたL−フェニルアラニンについて記載されたLD50は、製造業者によるとラットにおいて5280mg/kgである。したがって、3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンの毒性は、効果的な投与量レベルにおいて許容できる有効性対毒性比率にある。さらに、腫瘍細胞におけるIPAについての輸送能力は、200μmol/Lまで飽和を示さなかった。このことは、腫瘍治療のための経路としての輸送系の相対的に高い能力を確認するものである。それらの細胞増殖抑制性活性に加えて、3−ヨード−L−フェニルアラニン及び4−ヨード−L−フェニルアラニンは大きな内因性放射線増感作用を奏し、同時に投与される治療的放射線の細胞破壊作用を強化することが見出された。
したがって、前記の3−ヨード−L−フェニルアラニン及び4−ヨード−L−フェニルアラニンは、効果的な細胞毒性投与量が破壊的な腫瘍細胞に選択的に濃縮されることができ、正常組織を助命する、腫瘍の治療のための治療薬のための魅力的な新しいクラスの化合物を表す。さらに、ヨウ素を3(メタ)位又は4(パラ)位に有するハロゲン化−L−フェニルアラニンは、細胞増殖抑制的に活性な化合物であり、好ましい耐性(tolerability)プロファイルを示す。ハロゲン化−L−フェニルアラニンである3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンを用いる治療は、それによって、細胞解毒戦略を克服することができる。抗腫瘍活性のため、当該化合物は、進行性癌における維持療法又は導入療法のための、そして既存の化学療法投薬計画の耐性及び効力を向上するための代替物である。
本発明の好ましい使用において、医薬組成物は対象に投与され、3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンは、一般に、0.001〜100mg/kg対象体重の投与量で投与される。より好ましくは、当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンは、0.1〜25mg/kg対象体重の投与量であり、より好ましくは、当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンは、1.0〜25mg/kg対象体重の投与量である。
本発明のさらに好ましい使用によると、当該ハロゲン化−L−フェニルアラニンは、4−ヨード−L−フェニルアラニンである。
悪性新形成は、悪性グリオーマ、多発性骨髄腫、悪性メラノーマ、前立腺癌及び乳癌からなる群から選択されることが好ましい。より好ましくは、当該グリオーマは、多形膠芽腫、未分化アストロザイトーマ(astrozytoma)、アストロオリゴデンドログリオーマ(astrooligodendroglioma)、オリゴアストロザイトーマ(oligoastrozytoma)及び上衣腫からなる群から選択される。
本発明の使用については、当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンが、新形成の悪性細胞又は組織に対して、放射線増感作用、細胞増殖抑制作用、及び/又は化学療法又は放射線治療に対する獲得された又は本質的な細胞耐性の状態を元に戻す作用を有することが、さらに好ましい。
「細胞増殖抑制作用」との用語は、本発明との関連では、悪性細胞の細胞増殖を遅めるか又は抑える、化合物の能力を表す。
「放射線増感作用」との用語は、本発明との関連では、同時に投与された、外部又は内部放射線治療を含む放射線治療に対する治療応答を向上させる、化合物の能力を表し、これは、放射線増感性化合物の非存在下における所定の放射線投与量により生じた応答と比較して増大した、放射線増感性化合物の存在下で投与された同じ放射線投与量に対する応答の導入に対応するか、或いは、当該化合物の非存在下では存在しない、放射線治療に対する新形成細胞の感受性の選択的な導入に対応する。
「化学療法又は放射線治療に対する獲得された又は本質的な細胞耐性の状態を、元に戻す作用」との用語は、本発明との関連では、化学療法又は放射線治療に対する細胞の感受性を変換するか又は戻す、化合物の能力を表す。
さらに、医薬組成物は、化学療法剤、免疫療法剤、遺伝子治療剤、ワクチン剤、アンチセンスヌクレオチド治療剤、siRNA治療剤及び/又は内部放射線治療剤をさらに含むことが好ましい。
化学療法剤、免疫療法剤、遺伝子治療剤、ワクチン剤、アンチセンスヌクレオチド治療剤、siRNA治療剤及び/又は内部放射線治療剤の投与は、付随した治療として理解される。そのような付随治療のための方法及び手段は、当該技術分野において周知である。
当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニン及び追加の治療剤は、効力のある化合物の同時投与のための単一の医薬組成物として製剤化されてもよいし、逐次的投与のための別々の医薬組成物中に製剤化されてもよい。したがって、化学療法剤、免疫療法剤、遺伝子治療剤、ワクチン剤、アンチセンスヌクレオチド治療剤、siRNA治療剤及び内部放射線治療剤からなる群から選択される1以上の治療剤を含む組成物の投与の前の、3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンを含む組成物の投与が、同時又はその後の投与と同様に、想定される。
化学療法剤の例には、悪性増殖を遅らせるか又は抑えるのに有効である、或いは悪性組織又は細胞を退行させるか又は除去するのに有効であることが知られている生理活性剤が含まれる。そのような薬剤は、例えば、細胞増殖抑制剤として作用する薬物であり得る。したがって、化学療法には、全身性又は局所性治療における医療標準に従って、細胞増殖抑制剤又は細胞毒性剤の投与が含まれる。腫瘍学において用いられる化学療法剤には、特に、ニトロソウレア化合物(ACNU[ニムスチン]、BCNU[カルムスチン]、CCNU[ロムスチン])、テモゾロミド、プロカルバシン(procarbacin)、メトトレキサート、シタラビン(cytarabin)、ゲムシタビン、フルオロウラシル、シクロホスファミド、ミトキサントロン(mitoxantron)、アントラサイクリン、エストラムスチン(estramustin)又はタキサンが含まれる。化学療法剤は、医療プラクティスに従って適切な投薬計画において投与されることが意図される。本発明に従って、ニトロソウレア化合物、テモゾロミド、プロカルバシン、及びメトトレキサートが好ましい化学療法剤である。
免疫療法剤の例には、悪性組織又は細胞を特異的に検出する抗体、抗体断片及び/又はその誘導体のような化合物、及び/又は悪性細胞又は組織を除去する能力を有する、養子導入された自系細胞、異形細胞(heterologous)、異種(xenogenous)細胞又は内生細胞からなるものを包含する細胞療法が含まれるが、これらに限定されない。「抗体フラグメント又はその誘導体」との用語は、一本鎖抗体又はその断片、合成抗体、抗体フラグメント、例えば、Fab、F(ab2)’,Fv又はscFvフラグメント、単一ドメイン抗体等、又はこれらのいずれかの化学的に修飾された誘導体に関する。本発明に従って用いられる抗体又はそれらに対応する(1以上の)免疫グロブリン鎖は、当該技術分野において知られている慣用的な技術、例えば、当該技術分野において知られている(1以上の)アミノ酸欠失、(1以上の)挿入、(1以上の)置換、(1以上の)付加及び/又は(1以上の)組替え及び/又はあらゆる他の(1以上の)修飾(例えば、グリコシル化及びリン酸化のような、翻訳後修飾及び化学修飾)を、単独又は組み合わせて用いて、モチーフの外側でさらに修飾されてもよい。免疫グロブリン鎖のアミノ酸配列の基礎をなすDNA配列中にそのような修飾を導入するための方法は、当業者によく知られている;例えば、Sambrook et al.; Molecular Cloning: A Laboratory Manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd edition 1989 及び 3rd edition 2001を参照されたい。悪性組織又は細胞の特異的な検出は、抗体、抗体断片及び/又はその誘導体による腫瘍特異的なマーカーの検出を介して果たされ得る。腫瘍特異的なマーカーは、もっぱら腫瘍細胞上に見出されるか又は非悪性細胞と比較して過剰に腫瘍細胞上に発現されている、腫瘍関連細胞表面抗原である。腫瘍関連細胞表面抗原は、腫瘍細胞上だけに発現し得るのみならず、生存に不可欠でない細胞/組織上か、又は腫瘍関連細胞表面抗原を発現していない幹細胞によって補充され得る細胞/組織上にも発現し得る。さらに、腫瘍関連細胞表面抗原は、悪性細胞及び非悪性細胞上にも発現され得るが、興味の対象となる治療剤は悪性細胞上により良好に接近しやすい。過剰発現腫瘍関連細胞表面抗原の例は、Her2/neu、EGF−Receptor、Her−3及びHer−4である。腫瘍特異的な腫瘍関連細胞表面抗原の例は、EGFRV−IIIである。生存に重要でない細胞上に提示される腫瘍関連細胞表面抗原の例は、PSMAである。補充される細胞上に提示される腫瘍関連細胞表面抗原の例は、CD19、CD20及びCD33である。非悪性状態よりも悪性状態において良好に接近しやすい腫瘍関連細胞表面抗原の例は、EpCAMである。さらに、「免疫療法剤」の定義には、T細胞コスティミュラトリー分子又はサイトカイン、B細胞、NK−細胞又は免疫系の他の細胞を活性化する薬剤、並びに免疫反応を阻害する薬物(例えば、コルチコステロイド)のような薬剤が含まれ得る。
「遺伝子治療剤」との用語は、本発明との関連において、例えば悪性細胞について特徴的である1以上の抗原を機能的にエンコードする1以上の核酸構造物を投与することを含む治療のための手段を規定する。そのような抗原は、腫瘍特異的マーカーを含む。そのような抗原をエンコードする配列は、調節配列である核酸配列に作動可能に連結される。従って、遺伝子治療は、当該技術分野において知られている適切なベクターシステムを用いる標準的医療プロトコールに従った、患者における異形遺伝子の機能的な発現を含む;例えば、Haberkorn et al., Curr Med Chem. 2005;12(7):779-94を参照のこと。「調節配列」との用語は、それらがライゲーションされているコード配列の発現をもたらすために必要なDNA配列のことをいう。記載された遺伝子治療との関連における制御配列には、一般に、プロモーター、ターミネーター、及び、いくつかの例においては、エンハンサー、トランスアクティベーター又は転写因子が含まれる。「制御配列」との用語には、最小限でも、その存在が発現に必要である全ての成分が含まれることが意図され、更なる有利な成分も含まれ得る。「作動可能に連結される」との用語は、上記の成分が、意図された様式で機能できるような関係にある配列/配置のことをいう。コード配列に「作動可能に連結された」制御配列は、コード配列の発現が制御配列に適合性である条件下で達成できるようにライゲーションされている。
ワクチンの投与は、本発明との関連において、患者の先天又は適応免疫系を活性化して、腫瘍組織又は悪性細胞に対して作用させることを目的とする。このような治療は、例えば、腫瘍組織又は悪性細胞に対して反応するように選択された腫瘍物質又は細胞を含有する1以上の抗原製剤を投与することを含む。
アンチセンス治療剤は、例えば、腫瘍特異的遺伝子配列と相補的であるヌクレオチド配列であり、腫瘍遺伝子発現を機能的に中和し、結果として腫瘍細胞死を誘発することを目的とするものである。
siRNA治療剤は、例えば、標的遺伝子のmRNA転写物中の特定のユニークな配列の開裂を引き起こし、標的mRNAの翻訳を中断させることによって種々の腫瘍特異的標的遺伝子の発現及び活性を配列特異的に沈黙させることができる低分子干渉(small interfering)RNAであり、結果的に腫瘍細胞死を誘発する。
悪性新形成の治療において有効な1以上の追加の生物活性剤の投与を必要とする付随治療には、当該技術分野において知られている、前記生物活性剤の潜在的な副作用を最小化する1以上の追加の化合物、例えば胃腸系に作用する薬物、尿酸過剰血症を防止する薬物及び/又は循環系に作用する薬物、例えば、血圧に作用する薬物の投与が伴ってもよい。そのような追加的な生物活性剤は、同じ又は異なる医薬組成物の形態で製剤化されうる。
「内部放射線治療剤」との用語は、本発明との関連において、少なくとも1つのタイプの放射性同位体を含む薬剤を規定する。そのような薬剤は、それを必要とする対象に投与され、内因性放射線照射により、即ち、内部放射線治療剤によって治療される対象の体内の放射性化合物を用いる放射線照射により、上記の悪性新形成の治療において有効である。
好ましい態様において、上記の医薬組成物は、ヨウ素が安定な非放射性[127I]ヨウ素同位体である3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンと、内部放射線治療剤との組合せを含み、当該内部放射線治療剤は、ハロゲン同位体が、α−、β−又はオージェ電子放出性同位体、臭素−76、臭素−77、臭素−82、ヨウ素−123、ヨウ素−124、ヨウ素−125、ヨウ素−131及びアスタチン−211からなる群から選択される、ハロゲン化L−フェニルアラニンである。当該ハロゲン同位体も、3(メタ)位又は4(パラ)位においてL−フェニルアラニンと結合していることが好ましい。
「α−、β−又はオージェ電子放出性同位体」との用語は、本発明のとの関連で、放射性崩壊又は核遷移過程の間に形成される異なる粒子の放出(放射線)により特徴付けられる放射性同位体を規定する。α放出性同位体は、α粒子を放出する放射性核種として定義され、2つのプロトンと2つの中性子からなるヘリウム核に対応する。β放出性同位体は、放射性崩壊の間に形成される速い核電子(陰電子)を放出する各種として定義される。オージェ電子放出性同位体は、核電子補足又は内部遷移プロセスによって形成される、低エネルギー核電子を放出する核種として定義される。これら粒子の最大路程は、10nm〜12mmの範囲である。
上記の放射性核種の物理的な半減期は、臭素−76について16.2時間であり、臭素−77について57.04時間であり、臭素−82について35.3時間であり、ヨウ素−123について13.27時間であり、ヨウ素−124について4.17日であり、ヨウ素−125について59.41日であり、ヨウ素−131について8.02日であり、アスタチン−211について7.21時間である。これら放射性核種で標識されたL−フェニルアラニン結合体の物理的半減期は、それぞれの放射性核種の半減期に対応する。
3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンと内部放射線治療剤との好ましい混合物は、内部放射線治療剤がハロゲン化L−フェニルアラニンである混合物である。好ましくは、上記において特定された群のハロゲン同位体から選択される好ましい混合物の、安定なヨウ素同位体の大部分といくつかのハロゲン同位体は、例えば、非同位体的ハロゲン交換(担体添加/c.a.)によって得られ得る。或いは、安定な非放射性[127I]ヨウ素同位体だけを含む3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨードL−フェニルアラニンが、不安定な放射性同位体だけを含むか又はそれを大部分含むハロゲン化L−フェニルアラニンの製剤と混合されてもよい。後者の製剤は、例えば、問題となっている元素の安定な同位体を実質的に含まない、担体無添加の製剤(n.c.a)によって得られ得る。さらに、安定な非放射性製剤と不安定な放射性製剤との代替的な混合物が、同様に好ましい。
一般に、α−、β−又はオージェ電子放出性同位体は、10−5〜10−18g/kg体重の投与量で投与される。より好ましくは、α−、β−又はオージェ電子放出性同位体は、10−7〜10−15g/kg体重の投与量で、より好ましくは、10−8〜10−10g/kg体重の投与量で投与される。そのような投与量が、1〜10、好ましくは2〜5mlの滅菌溶液、例えばリン酸緩衝化生理食塩水、注射用水などの中に製剤化又は含有されることが、特に好ましい。
α−、β−又はオージェ電子放出性同位体の照射量は、0.1〜1000MBq/kg体重の範囲であることが、さらに好ましい。より好ましくは、α−、β−又はオージェ電子放出性同位体の照射量は、10〜400MBq/kg体重の範囲であり、より好ましくは、α−、β−又はオージェ電子放出性同位体の照射量は、20〜120MBq/kg体重の範囲である。投与される投与量は、α−、β−又はγ放射線を定量的に測定するために較正された適切な投与量メーターを用いて測定される。
α−、β−又はオージェ電子放出性同位体の照射量が、単一の投与として一回投与されるか、或いは2〜60の分画投与の分画された投与として、又は疾患が再度進行するまで若しくは患者の死まで毎日与えられる連続的な投与として投与されることも、好ましい。本明細書において上記された通り、上記の医薬組成物の投与は、3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンの細胞毒性作用に因り、癌の進行の阻止又は減速をもたらす。しかしながら、疾患は、阻止又は減速の後にさらに進行し得、患者は死亡し得る。
より好ましくは、当該結合体は、一般に2〜10の分画投与に分画されて投与される。当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンが慢性維持療法として投与されることも好ましい。連続的な投与は、毎日与えられることが好ましい。投与量分画は、放射線治療において確立された方法である。総投与量を分画することによって、健康な非標的組織の向上された耐性、並びに腫瘍組織への高い細胞毒性作用が達成される。繰り返しの分画照射は、一回の単一の高用量照射と比較してより高い割合の、細胞周期の放射線に敏感なステージの細胞に、治療的に影響を与えることを可能とする。治療的な照射は、DNAの一本鎖又は二本鎖の切断を誘発し、これは、照射後に上方制御される核修復メカニズムによって中和される。DNA修復を受けている細胞は、放射線を受けていない細胞よりも、再開された照射に影響を受けやすいと考えられる。
さらに好ましい態様において、放射性ハロゲン同位体は、p−[131I]ヨード−L−フェニルアラニン(IPA−131)、4−[124I]ヨード−L−フェニルアラニン(IPA−124)及び/又はp−[211At]アスタチン−L−フェニルアラニン(AtPA−211)である。ヨウ素−131は、広く入手可能であり、好ましい半減期を有し、オープン放射性核種を適用するよう許可された殆どの施設が取り扱うことができる。ヨウ素−131は、治療的ベータ粒子放出(これ自体は体外的に検出可能でない)に対して固定された比率で放射されるガンマ線成分のおかげで、ガンマカメラを用いる、便利な体外治療モニタリングを可能とする。本発明の別の好ましい態様は、4−[124I]ヨード−L−フェニルアラニンを利用する。ヨウ素−124は、陽電子放出成分であり、治療的ベータ放出に加えて、PETイメージングを可能とする。定量的PETイメージングを用いて、単一の注射の後15日までの期間について、治療計画及び治療モニタリングのために、進行形ベースでの内部線量計測定が行われ得る。アスタチン−211も、組織中で短い旅程(65μm)で高エネルギー(6.8MeV)アルファ粒子を放出し、標的組織への高度に細胞毒性の放射線の投与を可能とし、非標的組織への好ましくない放射作用を最小化するので、好ましい。
本発明の使用のために、医薬組成物が患者に投与され、この患者がその後に経皮的に放射線照射される(経皮的放射線治療又は外部領域放射線治療)ことが好ましい。そのような外部領域放射線治療は、本発明との関連で、付随治療として理解される。
外部領域放射線治療は、典型的には、外部光線放射線、中でも、放射性コバルト−60源、線形加速器、プロトン、中性子又はハドロン光線源から生じる外部光線放射線として投与される。好ましくは、照射は、当該3−ヨウ素−L−フェニルアラニン又は4−ヨウ素−L−フェニルアラニンの投与の後0〜7日の期間中に開始される。より好ましくは、照射は、当該ヨウ素−L−フェニルアラニンの投与の後0.5〜24時間の期間中に開始される。
付随放射線治療は、1〜100Gyの投与量の患者に対する累積外部照射を含んでもよい。好ましい範囲の照射量は、1〜60Gyである。外部照射量が、1〜60の分画投与で、より好ましくは5〜30の分画投与で投与されることが好ましい。好ましくは、分画投与は、1〜26週間、より好ましくは6〜12週間に渡って投与される。本発明によると、「分画投与」との用語は、全体の分画投与の活動が、分画投与でなければ1回の単回投与によっても達成され得る、累積的な外部照射量につながるか又は実質的にそのような量につながることを意味するものと理解されるべきである。
別の態様において、本発明は、悪性新形成を治療するための方法を提供し、当該方法は、3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンを、それを必要とする対象に投与する工程を含む。
効力のある化合物である、3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンは、医薬組成物の形態に製剤化されることが好ましい。「医薬組成物」との用語は、本明細書中で上記において定義されている。その効力のある化合物の投与経路は、とりわけ、その製剤に依存する。異なって製剤化された組成物についての異なる経路は、本明細書中で上記において定義されている。本発明の方法には、当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンが静脈内投与又は経口投与されることが特に好ましい。
当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンが、対象に、0.001〜100mg/kg対象体重の投与量で投与されることが、さらに好ましい。より好ましくは、当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンは、0.1〜25mg/kg対象体重の投与量で投与され、より好ましくは、当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンは、1.0〜25mg/kg対象体重の投与量で投与される。
本発明の悪性新形成を治療するための方法についてやはり好ましいのは、3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンの、それを必要とする対象への投与であり、ここで、当該ハロゲン化L−フェニルアラニンは4−ヨード−L−フェニルアラニンである。
本明細書中で上記において定義されているように、悪性新形成は、悪性グリオーマ、多発性骨髄腫、悪性メラノーマ、前立腺癌及び乳癌からなる群から選択されることが好ましい。より好ましくは、当該グリオーマは、グリア芽腫、アストロザイトーマ、オリゴアストロザイトーマ及び上衣腫からなる群から選択される。
本発明の方法については、当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンが、悪性細胞又は新形成の組織に対して、放射線増感作用、細胞増殖抑制作用及び/又は化学療法又は放射線治療に対する獲得された又は本質的な細胞耐性の状態を元に戻す作用を有することも好ましい。
当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンの投与のための好ましい投与スキームは、一回の単回投与の投与か、又は3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンの、2〜60分画投与での分画投与としての逐次的投与か、又は疾患が再度進行するか若しくは患者/対象の死まで与えられる連続投与である。従って、当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンは、慢性維持療法として投与されることも好ましい。連続的な投与は、毎日与えられることが好ましい。
悪性新形成の治療のための本発明の方法の、やはり好ましい態様においては、当該方法が、更に、付随治療によって対象を治療する工程を含むことが想定される。前記の付随治療は、外科的治療、化学療法、内部又は外部放射線治療、免疫療法、遺伝子治療、ワクチン治療、アンチセンスヌクレオチド治療、siRNA治療、腔内照射療法、又はデバイスベース療法からなる群から選択されうる。
化学療法、内部放射線治療、又は外部領域放射線治療(以下において、外部放射線治療)、免疫療法、遺伝子治療、ワクチン治療、アンチセンスヌクレオチド治療及びsiRNA治療の定義は、本明細書中で上記において与えられている。
そのような付随治療のための方法及び手段は、当該技術分野において周知である。外科的治療の例は、充実性腫瘍又は悪性組織の切除を含み得る。
本発明に沿った更なる付随治療には、放射性シードのような放射性デバイスの外科的インプランテーションが含まれる。そのようなシードは、腫瘍部位に局所的にインプラントされてもよい。放射性デバイスをインプラントする技術は、当該技術分野において知られており、本明細書中の上記における技術の現状の記載に記載されている。当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンの投与のための投薬計画は、好ましくは、場合により用いられる付随治療(例えば、付随した外部領域放射線治療又は付随した内部放射線治療)に、時宜を得て従う。3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンが、疾患が再度進行するまで又は患者の死まで、他の薬剤と組み合わせた慢性維持療法として腫瘍患者に投与されることも好ましい。
本発明の使用との関連で上記されたように、付随治療が、当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンの投与の後に対象を経皮的に放射線照射することを含む、外部放射線治療である、本発明の方法が、好ましい。より好ましくは、放射線照射の工程は、当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンの投与の後0〜7日間行なわれる。さらにより好ましくは、放射線照射は、当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンの投与の後0.5〜24時間の期間中に開始される。
上記の付随的放射線治療は、1〜100Gyの量の患者の累積外部照射を含み得る。好ましい範囲の照射量は1〜60Gyである。当該外部照射投与は、1〜60分画投与で投与されることが好ましく、5〜30分画投与で投与されることがより好ましい。好ましくは、分画投与は、1〜26週間、より好ましくは6〜12週間に渡って投与される。本発明によると、「分画投与」との用語は、全体の分画投与の活動が、分画投与でなければ1回の単回投与によっても達成され得る、累積的な外部照射量につながるか又は実質的にそのような量につながることを意味するものと理解されるべきである。
上記の付随治療は、化学治療剤、免疫療法剤、遺伝子治療剤、アンチセンスヌクレオチド治療剤、siRNA治療剤、ワクチン剤及び/又は内部放射線治療剤の投与、或いは放射性デバイスのインプランテーションを含むことも好ましい。より好ましくは、化学治療剤、免疫療法剤、遺伝子治療剤、アンチセンスヌクレオチド治療剤、siRNA治療剤、ワクチン剤及び/又は内部放射線治療剤の投与は、当該3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンの投与の前に、同時に、又は後に行なわれる。
本発明の方法によって治療される対象は、ヒト対象であることが好ましい。
更なる別の態様において、本発明は、3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンを含み、当該ヨウ素が安定な非放射性[127I]ヨウ素同位体である、医薬組成物に関する。
本発明との関連における医薬組成物は、本明細書中の上記において詳細に説明されている。本発明の医薬組成物は、担体、安定化剤及び/又は賦形剤の適する製剤をさらに含むことが好ましい。対応する担体、安定化剤及び/又は賦形剤の例は、当業者に知られており、本明細書中の上記において特徴付けられている。
本発明を、以下の実施例を参照して説明する。以下の実施例は、例証のためだけのものであり、本発明の範囲の限定と解釈されるべきではない。
実施例1
実施例において用いられた3−ヨード−L−フェニルアラニン(3−IPA)、4−[123I]ヨード−L−フェニルアラニン及び4−ヨード−L−フェニルアラニン(IPA)は、商業的に購入されたものか、又は文献中に以前記載されたように前もって合成されたものであった。他の方法で記載しない限り、全ての他の化学物質及び溶媒は、分析グレードである。
実施例2
細胞株及び細胞培養物
5種類のヒトグリオーマ細胞株、1種類のラットグリオーマ細胞株、2種類のヒト前立腺癌細胞株、並びに1種類のヒト乳癌細胞株及びメラノーマ細胞株が、調査された。ヒトグリア芽腫細胞株Tx3868及びT5135(原発性多形ヒト芽腫からのもの)、及びラットC6グリオーマ細胞は、University of the Saarland(Homburg、ドイツ)のInstitute of Human Geneticsから提供された。A1207、M059K及びU373MGと称されるヒト高グレードグリオーマ細胞、ヒト前立腺癌細胞PC3及びDU425、膵臓カルシノーマ細胞株PanC1、ヒト乳癌細胞株MCF−07(American Type Culture Collection、Reclville、MD)及び膵臓カルシノーマ細胞株PaCa44(ドイツのマインツのDr.Bulow、Mainzによって確立された)、並びにメラノーマ細胞株SK−MEL25及びA101Dは、商業的に購入されたか、又はUniversity Medical Center of Saarland(Homburg、ドイツ)の癌研究所から提供されたものであった。細胞は、それぞれ、10%(v/v)加熱不活性化ウシ胎仔血清(FCS)、ペニシリン(50U/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)及びインスリン(50μg/ml;PromoCell、ハイデルベルグ、ドイツ)で補充された、RPMI−1640培地又はDulbeccoの修飾Eagle培地(ピルビン酸ナトリウム不含有、L−グルコース及びピリドキシン補充)中で培養された。全ての細胞株は、37℃で加湿されたインキュベーター(5%CO)中の適切なフラスコ中で維持された。実験の前に、サブコンフルエント(subconfluent)な細胞培養物が、研究に依存して、血球計算板上で生体染色によって計数された後に、0.02%EDTAを含有するがCa2+およびMg2+を含有しない0.05%トリプシンを用いてトリプシン処理され、新鮮な培地中に再懸濁されて種々の細胞濃度にされた。細胞は、マイコプラズマを含まなかった。細胞の生存度は>95%であった。
実施例3
内面化(internalisation)実験の例
取込み実験が、提案されたL−フェニルアラニン誘導体の、提案されたヒト腫瘍への親和性を評価するために、そしてそれらの in vitro での治療活性を評価するために行なわれた。
全ての実験は、250000、500000及び10個の新たに調製された、ヒト悪性グリオーマ細胞、膵臓前立腺及び乳癌細胞を含むヒト腫瘍細胞を用いて、同時に4重に行なわれた。実験の前に、サブコンフルエントな細胞が、上記したようにトリプシン処理された。懸濁物が全体的に混合され、50−ml遠心分離チューブ(Falcon(登録商標)、Becton Dickinson、米国)へ移された。細胞は、5分間、200×gで遠心分離され;生じた上澄みが除かれ、ペレットが血清を含まないDulbeccoのMod Eagle培地中に再懸濁され、次いでエッペンドルフチューブへ、10細胞/mlの濃度で、取込み検討のために移された。
対応する放射標識フェニルアラニンと共にインキュベーションする前に、腫瘍細胞が、5分間、1.5mLのエッペンドルフ遠心分離チューブ中で500μLの培地中で37℃でプレインキュベーションされた。新たに調製された放射線医薬の30〜50μL(10〜1.5×10cpm)のアリコートが加えられ、細胞が37℃/5%COで、1、2、5、15、30、60、90及び120分間、振盪しながらインキュベーションされた。500μLの氷冷PBS(pH7.4)と、氷浴中での追加的な3分間で取込みが停止され、細胞が2分間300×gで遠心分離され、上澄みが除かれ、ペレットが氷冷PBSで3回洗浄された。細胞ペレットは、3アリコートのスタンダードと共に、Berthold LB951カウンター上で、放射活性に関して計数された。放射性医薬品の結合率は、次の式により計算された:(cpm細胞ペレット/平均cpm放射活性スタンダード)×100。結果は、よりよい比較のために、10個の細胞あたりの適用された投与量の比率として、又はcpm/1000細胞として表された。
実施例4
3/4−ヨード−L−フェニルアラニンを用いた処置の後の細胞生存率の評価。細胞のコンフルエントなローン(lawn)を発生させた後、その培養物が、0.1〜5μmol/mlの対応する医薬に48時間まで、37℃/5%COで暴露された。並行した実験においては、細胞生存率の比較のため、細胞が、6−MeVの線形加速器を用いて、2〜15Gyの量で放射線照射されるか、又はIPA−131で処置された。グリオーマ細胞の形態を観測できるように、細胞は、標準ガラススライド上又は標準培養皿上で増殖された。次いで、培地が除かれ、細胞が、フローサイトメトリー分析のために、染色の後に氷上で70%エタノール中で少なくとも30分間固定されるか、又は免疫組織病理学的分析のため、4%中性緩衝化ホルマリン中で固定された。
実施例5
腫瘍モデル
グリオーマにおける4−ヨード−L−フェニルアラニン(IPA)の治療的効力を評価するため、in vivo 実験が、RNUラットの頭蓋内ヒトグリオーマモデルにおいて行なわれた。原発性ヒトA1207及びT3868グリア芽腫細胞(0.5×10細胞)が、抱水クロラール麻酔のもとで、RNUラットの右前頭領域に定位的にインプラントされた(矢状縫合とブレグマ縫合の交差点の2mm後部及び2mm横で、5mmの深さ)。頭蓋骨局部切除部が、骨ワックスで再封止され、頭皮が閉じられた。
IPA(1及び5mg/kg b.w.)が、ヒトグリア芽腫異種移植片を有するラット(各群においてn=9)にi.p.投与され、これは、定位インプランテーションの1日後に開始された。IPAは、インプランテーションの後の最初の週に毎日、そしてその後に週ごとに投与された。別の6匹のRNUラットが、生理食塩水で処置され、コントロールとしての役割を務めた。
次いで、次のパラメーターが比較された:メディアン生存時間、腫瘍サイズ及びバイオプシー後の組織学。
実施例6
形態学及び組織学試験
標準ガラススライド上で増殖されたヒト腫瘍細胞が、4%中性緩衝化ホルマリン中で固定され、Giemsa法を用いて染色された。細胞数が、10回の連続的な高出力領域(×40)で計算された。
ラットの剖検の際に、脳に加えて、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、皮膚及び結腸を含む他の器官が採取された。脳は、2〜3mmの厚さの冠上のスライスに切断された。動物からの全ての組織は、4%中性緩衝化ホルマリン中で固定され、パラフィンワックス中に包埋された。切片は、ヘマトキシリン−エオジン及びVerhoeff−van Giesonで染色され、組織病理学的に試験された。
実施例7
統計学的分析
実験群の間の相違の統計学的有為性は、スチューデントt検定により決定された。0.05未満のp値が、有意とされた。
実施例8
結果及び考察
In vitro 研究
図1〜3は、ヒト腫瘍細胞におけるIPAの取込み速度論の例を示す。ガンマカウンターを用い、定量を促進するために、放射標識誘導体4−[123I]ヨード−L−フェニルアラニンが用いられた。示されているように、IPAはヒト腫瘍細胞における高い取込みを示し、検討期間にわたって連続した増加を示す。この結果は、提案された放射性医薬品の、ヒト悪性グリオーマ、膵臓カルシノーマ、前立腺及び乳癌を含むヒト腫瘍に対する高い親和性の証拠を提供する。
グリオーマ細胞におけるIPAの細胞増殖抑制作用及び放射線増感作用は、図4〜6中に実証されている。示されているように、原発性ヒトグリア芽腫細胞に対するIPAの細胞増殖抑制作用は、濃度依存的であり、15Gyまでの外部放射線照射と比較してより顕著である(図4)。IPAを外部放射線照射と組み合わせることは、細胞生存率の劇的な減少につながった。染色された細胞のフローサイトメトリー分析は、原発性壊死及びアポトーシスの用量依存的な誘発を示しており、これは、外部放射線照射によって生じるものよりも(それが15Gyによるものである場合でさえも)、より顕著であり、IPA濃度が増加するにつれてより顕著であった。この結果は、グリア芽腫細胞に対するIPAの高度な放射線増感作用を証明している(図6)。生存細胞は、まばらな細胞質しか含有せず、核は萎縮しており、凝集したクロマチンを含有していた。細胞学的に、細胞死の様式はアポトーシスであった。なぜなら、残存する腫瘍細胞が、まばらにしか細胞質及びアポトーシス小胞を含有せず、他の細胞においては核が萎縮しており、凝集したクロマチンを含有していたからである。
In vivo研究
A1207グリア芽腫を有する6匹の無処置ラットの内の5匹は、インプランテーションの12〜22日後に死亡し、T3868を有する6匹のコントロールラットの内の4匹は、28日以内に死亡した。バイオプシー後の薄い脳切片の組織学的な試験は、典型的なグリア芽腫特性を有する腫瘍を確認した。対して、9匹の内の6匹及び9匹の内の7匹のラットは、それぞれ、IPAによる処置により(1及び5mg/kg)、第28日にまだ生存していた。
図8は、Kaplan−Meier法に従った、ヒトA1207グリア芽腫を有する未処置及びIPA処置ラットの生存率の例を示しており、グリオーマを治療する際のIPAの効力を証明している。
これらの結果は、4−ヨード−L−フェニルアラニンの、ヒト腫瘍、特に悪性グリオーマについての高い治療的潜在能力を示唆している。
それら結果は、3−ヨード−L−フェニルアラニン及び4−ヨード−L−フェニルアラニンが、いくつかの腫瘍体における腫瘍治療のための新たなクラスの治療剤を表していることを立証している。
Figure 0005108781
Figure 0005108781
図1は、in vitroでのヒトグリオーマ細胞株におけるIPA(IPA−123)の細胞取込み速度論を示す。 図2は、in vitroでのヒト悪性メラノーマ細胞株におけるIPA(IPA−123)の細胞取込み速度論を示す。 図3は、in vitroでのヒト前立腺癌細胞株におけるIPA(IPA−123)の細胞取込み速度論を示す。 原発性ヒトTx3868グリア芽腫細胞におけるIPA(ACD−101)のin vitro評価。4a(左上):ヒトTx3868グリア芽腫細胞に対するIPAの用量依存的細胞増殖抑制作用;4b(右上):ヒトTx3868グリア芽腫細胞単独に対する、異なる投与量の外部放射線の効果;4c(左下):ヒトTx3868グリア芽腫細胞に対する、5Gyの外部放射線に付随して投与されたIPAの用量依存的放射線増感作用;4d(右下):ヒトTx3868グリア芽腫細胞に対する、10Gyの外部放射線に付随して投与されたIPAの用量依存的放射線増感作用。 ヒトA1207グリア芽腫細胞におけるIPA(ACD−101)及び外部放射線の in vitro 評価。5a(左上):ヒトA1207グリア芽腫細胞単独に対する異なる投与量の外部放射線照射の効果;5b(右上):0〜15Gyの外部放射線に付随して投与された0.1mg/mlのIPAの、ヒトA1207グリア芽腫細胞に対する細胞増殖抑制作用及び放射線増感作用;5c(左下):0〜15Gyの外部放射線に付随して投与された0.2mg/mlのIPAの、ヒトA1207グリア芽腫細胞に対する細胞増殖抑制作用及び放射線増感作用;5d(右下):0〜15Gyの外部放射線に付随して投与された0.3mg/mlのIPAの、ヒトA1207グリア芽腫細胞に対する細胞増殖抑制作用及び放射線増感作用。 ヒトM059Kグリア芽腫細胞におけるIPA(ACD−101)の in vitro 評価。6a(左上):異なる投与量の外部放射線の、ヒトM059Kグリア芽腫細胞単独に対する効果;6b(右上):0〜15Gyの外部放射線に付随して投与された0.1mg/mlのIPAの、ヒトM059Kグリア芽腫細胞に対する細胞増殖抑制作用及び放射線増感作用;6c(左下):0〜15Gyの外部放射線に付随して投与された0.2mg/mlのIPAの、ヒトM059Kグリア芽腫細胞に対する細胞増殖抑制作用及び放射線増感作用;6d(右下):0〜15Gyの外部放射線に付随して投与された0.3mg/mlのIPAの、ヒトM059Kグリア芽腫細胞に対する細胞増殖抑制作用及び放射線増感作用。 ヒトT3868グリア芽腫細胞における、IPA+外部放射線照射(10Gy)による原発性壊死及びアポトーシスの用量依存的誘発。10Gyの外部放射線に付随して投与されたIPAの、ヒトT3868グリア芽腫細胞に対する用量依存的放射線増感作用:0.1μmol/mlによる壊死(ヨードベンズイミド染色)の誘発(図7a(左))、0.3μmol/mlによる壊死の増加した誘発及びアポトーシスの追加的な誘発(ヨウ化プロピジウム染色)(図7b(右))。 0.5*10個のヒトグリア芽腫細胞株であるA1207細胞の同所(大脳内)インプランテーションを受けたRNUラットにおける生存率のKaplan−Meyer評価。コントロール動物(緑)、及び毎日のIPA1mg/kgのi.p. 注射を受けているラットの生存。

Claims (19)

  1. 3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンであるハロゲン化−L−フェニルアラニンを含む、悪性新形成を治療するための医薬組成物。
  2. 前記医薬組成物中の3−ヨード−L−フェニルアラニン又は4−ヨード−L−フェニルアラニンが、治療される対象に0.001〜100mg/kg対象体重の投与量で投与される、請求項1に記載の組成物。
  3. 当該ハロゲン化−L−フェニルアラニンが4−ヨード−L−フェニルアラニンである、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 悪性新形成が、悪性グリオーマ、多発性骨髄腫、悪性メラノーマ、前立腺癌及び乳癌からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 当該グリオーマが、グリア芽腫、アストロザイトーマ(astrozytoma)、オリゴアストロザイトーマ(oligoastrozytoma)及び上衣腫からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
  6. 新形成の悪性細胞又は組織に対して、放射線増感作用、細胞増殖抑制作用、及び/又は化学療法又は放射線治療に対する獲得された又は本質的な細胞耐性の状態を元に戻す作用を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 化学療法剤、免疫療法剤、遺伝子治療剤、ワクチン剤、アンチセンスヌクレオチド治療剤、siRNA治療剤、及び/又は内部放射線治療剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. その後に経皮的に放射線照射される患者に投与されるものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 静脈内投与又は経口投与される、請求項1に記載の組成物。
  10. 単回投与として一回投与されるか、2〜60の分画投与の分画投与として投与されるか、又は疾患が再度進行するまで若しくは対象の死亡まで毎日与えられる連続投与として投与される、請求項1に記載の組成物。
  11. 対象が、前記組成物による治療に加えて、外科的治療、化学療法、内部又は外部放射線治療、免疫療法、遺伝子治療、ワクチン治療、アンチセンスヌクレオチド治療、siRNA治療、腔内照射療法又はデバイスベース治療からなる群から選択される付随治療によって処置される、請求項1に記載の組成物。
  12. 付随治療が、前記組成物の投与の後に対象を経皮的に放射線照射する工程を含む外部放射線治療である、請求項11に記載の組成物。
  13. 放射線照射の工程が、前記組成物の投与の後0〜7日間行なわれる、請求項12に記載の組成物。
  14. 放射線照射の工程が、1〜100Gyの量の患者の累積外部照射で行なわれる、請求項13に記載の組成物。
  15. 当該付随治療が、化学療法剤、免疫療法剤、遺伝子治療剤、アンチセンスヌクレオチド治療剤、siRNA治療剤、ワクチン剤、及び/又は内部放射線治療剤の投与、又は放射性デバイスのインプラントを含む、請求項11に記載の組成物。
  16. 化学療法剤、免疫療法剤、遺伝子治療剤、アンチセンスヌクレオチド治療剤、siRNA治療剤、ワクチン剤、及び/又は内部放射線治療剤の投与が、前記組成物の投与の前に、同時に、及び/又は後に行なわれる、請求項15に記載の組成物。
  17. 対象がヒト対象である、請求項1に記載の組成物。
  18. 当該ヨウ素が、安定な非放射性[127I]ヨウ素同位体である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  19. 担体、安定化剤及び/又は賦形剤の適切な製剤をさらに含む、請求項18に記載の医薬組成物。
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