JP5093161B2 - ヒートシンク - Google Patents
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Description
上記冷却構造体とは、発熱体から発生する熱を冷却流体により冷却する冷却構造を指し、発熱体と冷却流体が通流する通流路とを含む構成である。また上記ヒートシンクは、熱的に発熱体と結合すると共に、冷却流体と直接接触し、上記冷却流体と熱交換して発熱体の熱を冷却流体へ放熱する構造物を指す。
また、冷却流体送入口と冷却流体送出口を備え、それぞれに連通する流路が内部に形成された冷却流体通流容器に、内部流路と周囲とを連通する開口を設け、発熱体が設けられた絶縁基板(主に電気絶縁と、搭載される電子素子の保持・固定のために設けられる基板)により該開口を覆い、シールする構成の冷却構造体も提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような冷却構造体においては、流路を流れる冷却流体は絶縁基板を冷却し、絶縁基板を介して発熱体が冷却される構造になっている。
さらに、発熱体が電子部品である場合、電気絶縁構造にするために発熱体に設けられる絶縁基板の容積および重量が大きく、また絶縁基板取付けに伴う熱抵抗増大のために、放熱特性が悪くなるという問題があった。さらに、ヒートシンク自身の容積および重量が大きいという問題があった。
また、圧力損失が大きくなるため、通流路内の圧力が上昇し、周囲との圧力差が大きくなることから、ヒートシンクおよび付随する配管等の耐圧特性を向上させる必要があり、通流路を形成するヒートシンクおよび配管等の肉厚を厚くしなければならず、重量および容積が大きくなるといった問題があった。また、接続部のシール特性をより向上させなければならないという問題があった。
また、この発明によるヒートシンクは、通流路を流れる冷却流体と直接接触し、上記冷却流体と熱交換するヒートシンクにおいて、上記ヒートシンクの伝熱面にフィンを設けると共に、フィン表面に、上記冷却流体の流れ方向と交差する方向に延在する微細窪みを設け、上記微細窪みの上記冷却流体の流れの方向に沿った断面形状は非対称であるものである。
図1はこの発明の実施の形態1による冷却構造体を模式的に示す断面構成図である。
図1に示す冷却構造体は、低温の冷却流体(冷媒)9を送入する冷却流体送入口1と、内部に流路が形成された冷却流体通流容器3と、冷却流体送出口4とで形成される一連の通流路5内に、放熱構造体2を設置することにより構成されている。上記放熱構造体2は、発熱体8と、冷却流体9に面する発熱体8の表面に、絶縁接着層6を介して接着された、可とう性を有する金属箔からなるヒートシンク7とで構成されている。
また、上記各冷却システムにおいて、通流管または通流ループに複数の冷却構造体が直接または通流管を介して直列接続された構成としても良い。さらに、複数の冷却構造体が分配用ヘッダおよび合流用ヘッダを介して並列接続された構成としても良い。その際、分配用ヘッダおよび合流用ヘッダが冷却流体通流容器3内に内在しても良い。
図2に示す冷却構造体は、冷却流体通流容器3上面に開口10を設け、開口10より大きな放熱構造体2のヒートシンク7で該開口10を覆い、シールした構成である。
なお、図2中では、開口10を放熱構造体2の平面部により覆った例で示したが、開口10から一部突出した放熱構造体、または窪みを有する放熱構造体により開口10を覆っても良い。
また、ヒートシンク7が可とう性を有する金属箔からなっており、発熱体8の接着面が平面でない場合においてもヒートシンク7の取付けが容易である。
また、絶縁接着層6の厚さは300μm以下が望ましく、用いる接着剤の熱伝導率は0.5W/(m・K)以上である方が望ましい。これより厚い場合、およびこれより小さい熱伝導率では、絶縁接着層6の熱抵抗が大きくなり過ぎて放熱特性が悪化する。好ましくは絶縁接着層6の厚さは150μm以下、接着剤の熱伝導率は2W/(m・K)以上である方が望ましい。
一方、用いる接着剤の電気絶縁特性としては、体積抵抗が1012Ω/cm以上、絶縁破壊電圧が10kV/cm以上である必要がある。好ましくは体積抵抗が1013Ω/cm以上、絶縁破壊電圧が100kV/cm以上である方が望ましい。さらに、これらの値が高ければ高いほど電気絶縁耐圧特性が良く、望ましい。
また、ヒートシンク7の厚さは1.5mm以下である方が望ましい。これより厚いと、ヒートシンクの可とう性が低下し、発熱体8にヒートシンク7を接着することが困難になる。特に、接着の際、絶縁接着層6に空隙(ボイド)が残留してしまい、放熱特性が著しく劣化する。また、ヒートシンク7材料と発熱体8材料の線膨張係数が大きく異なる場合、ヒートサイクル時に生じる各部材の伸び量の差が大きく、この差に起因する熱応力のために絶縁接着層6が剥がれ、放熱特性が著しく低下する。ヒートシンク7の厚さが薄いほどこの熱応力は小さくなり(熱応力を緩和することができ)、上記条件であれば耐ヒートサイクル特性も向上する。好ましくは500μm以下である方が望ましい。
なお、図2のように開口10を設けた場合、開口10部の流路の通流横断面積が大きく、通流速度が低下し、放熱特性が悪くなるので、適切な通流路を確保しつつ開口10に対向する流路壁が突出した構成の方が望ましい。
また、冷却流体通流容器3に設けられた開口10に二つ以上の流路が形成されても良い。例えば、開口10内の流路が仕切り板により分割され、それぞれの流路における冷却流体9の流れ方向が対向する構成としても良い。
また、冷却流体通流容器3は複数の部品から構成されていても良い。
さらに、冷却流体通流容器3の一部が樹脂材料により成形された場合、その表面の少なくとも一部に金属板(例えば、ステンレス板など)を設けても良い。このようにすることにより、樹脂材料の経年変化による変形を抑制することができる。特に、発熱体8または発熱体8固定用冶具と上記金属板とにより冷却流体通流容器3を挟み込むように固定すると、よりその効果が大きい。その際、板ばねなどを用いたばね構造により固定する方がより望ましい。
なお、上記金属板が冷却流体9と接するように金属板の一部が流路に剥き出しになっても良く、このようにすることにより、発熱体8として電子機器等が設けられた場合に行われる絶縁(耐圧)試験が容易に行える。
上記金属板は冷却流体通流容器3に設けられていれば良く、特にその寸法および取付け方法は限定されず、ボルト等の固定冶具により固定されても良く、溶着、接着など固着させても良い。またその一部が流路に剥き出しになった場合は、該剥き出し部からの冷却流体9の漏れを防止する構造である必要があり、Oリングやガスケットなどを介して密着させても良い。
図3はこの発明の実施の形態2による冷却構造体を模式的に示す断面構成図である。
本実施の形態2は、上記実施の形態1の発熱体8をより具体化したもので、図3に示すように、半導体素子11と、この半導体素子11の片面に設置されたヒートスプレッダ12とで構成されている。このような発熱体に対しては、半導体素子11と反対側のヒートスプレッダ面に、絶縁接着層6を介して可とう性を有する金属箔からなるヒートシンク7を接着させて放熱構造体2を構成する。
なお、半導体素子11とヒートスプレッダ12との間に、一つまたは複数の介在物(例えば基板など)が設けられても良い。
また、ヒートスプレッダ12の少なくとも一部を剥き出しにし、かつ上記部材(半導体素子、ヒートスプレッダ、電極、半導体素子と異なる制御用素子、ゲート電極、センサー素子など)を一括して樹脂モールドし、その後ヒートシンク7を接着しても良く、また、ヒートスプレッダ12に予めヒートシンク7を接着し、その後、ヒートシンク7の少なくとも一部が剥き出しになるように、上記部材を樹脂モールドした構成でも良い。図3において、13は樹脂モールドを示す。
以下、少なくともヒートシンク7、絶縁接着層6、ヒートスプレッダ12、半導体素子11から構成される構造物を片面放熱構造体20と記す。
図4において、放熱構造体20は、半導体素子11と、この半導体素子11の両面にそれぞれ設置され、半導体素子11と反対側の面にそれぞれ、絶縁接着層6を介して可とう性を有する金属箔からなるヒートシンク7が接着された2つのヒートスプレッタ12a、12bとで構成されている。図4の放熱構造体20では、図3に示した放熱構造体20の電極(図示を省略)が、ヒートスプレッダ12bとして半導体素子11上面に設けられた構成であり、下側のヒートスプレッダを第1ヒートスプレッダ12a、上側の電極を第2ヒートスプレッダ12bと呼ぶことにする。なお、第1ヒートスプレッダ12aは図3のヒートスプレッダ12と同様のものである。
さらに、従来の冷却構造体を基に両面から放熱する構造にした場合、強固な絶縁基板により挟まれた構成になることから、半導体素子の両面が強く拘束されてしまい、熱応力などにより発生した力が半導体素子に直接働き、半導体素子や接合部などが破壊してしまう。しかし、本実施の形態の放熱構造によれば、各ヒートシンクやヒートスプレッダなどがより柔軟に配設されている(強い拘束力がない)ことから、半導体素子に大きな力が働き難く、上記した破壊を抑制することができる。したがって、図4に示すような構成とすることにより、二つのヒートシンク7から放熱することができ、放熱特性が著しく向上する。
図5はこの発明の実施の形態3による冷却構造体を模式的に示す構成図であり、図5(a)はヒートシンクの伝熱面を示す平面構成図、図5(b)は断面構成図である。また、図5(b)においては、放熱構造体2の丸印部分を拡大した図を合わせて示す。
本実施の形態3による冷却構造体は、上記実施の形態1および実施の形態2における放熱構造体のヒートシンク表面に、断面形状が矩形で、かつ流体の流れ方向に交差する方向に連なった一連の微細窪み15を設けたものである。
本実施の形態では、微細窪み15内へ主流(流路中央部の冷却流体の流れ)の低温流体が流入し、微細窪み15内の高温流体と撹拌混合され、再び微細窪み15下流側で主流へ押出されることにより、ヒートシンク7表面に形成される温度境界層の発達を抑制し、伝熱特性を向上させるようにしたものである。したがって、ヒートシンク7の放熱特性は、冷却流体9の物性値(種類および温度などに影響される値)や流速に大きく依存する。
本実施の形態の微細窪み15の深さをH1とすると、(1.5×δ)<H1<(ヒートシンク7の厚さ)でなければならない。H1≦(1.5×δ)である場合、微細窪み15内には主にヒートシンク7表層の高温流体のみが流入・流出する結果、ヒートシンク7の表面が高温流体で覆われてしまい、放熱特性の改善効果が得られ難くなる。好ましくは、(2.0×δ)<H1<(ヒートシンク7の厚さ−50μm)である方が望ましい。
一般に、微細窪みに形成される剥離部の流れ方向の長さは、微細窪み15の深さH1の5倍程度と言われている。それゆえ、微細窪み15の流れ方向の開口幅がこれ以上でなければならない。一般化するために、微細窪み15の水力相当直径(=4×微細窪み15の開口面積/微細窪み15の開口部周長)をDとすると(例えば、微細窪み15の形状が、図5に示す形状であり、流れ方向に沿った上記微細窪みの長さ(開口幅)がLの場合、D≒2×Lとなる)、D>(10×H1)でなければならない。D≦(10×H1)の場合、微細窪み15内のほとんどの部分が剥離部16または淀み部17となり、冷却流体9が流入し難く、放熱特性の改善効果が得られ難くい。
なお、その際の微細窪み15の深さH1および水力相当直径Dにおいても、前述の条件を満たす必要がある。
なお、微細窪み15は冷却流体9の流れ方向と直交する必要は無く、冷却流体9の流れ方向と任意の角度を有して交差する方向に辺を有しておれば、同様の効果がある。さらに直線状でなくても良く円弧状、蛇行状、ジグザグ状でも良い。
図示したように、微細窪み15の角部をA、B、C、Dとし、それぞれの角部におけるヒートシンク7平面と成す角度をθ1、θ2、θ3、θ4とする。また、微細窪み15の配設ピッチをPとし、A−B、B−C、C−D、D−A区間の、ヒートシンク7平面方向の距離をL1、L2、L3、L4とする。また、流路の高さをH2、微細窪み15の深さをH1とする。なお、微細窪み15の開口幅Lは、L=L1+L2+L3として表せる。
図6において、剥離が生じるには角部Aで剥離を引き起こす必要がある。剥離部16が生じると、剥離部16の下流側が低温流体の再付着点18となり、主流の低温流体の流入が生じる。したがって、この再付着点18より下流部の熱伝達が向上し、ヒートシンク7の放熱特性が向上する。
θ3は、角部Cに冷却流体9の淀み部17が形成されやすいことから、広角(θ3>90°)である方が望ましい。
θ4は、θ3の条件に呼応して鋭角(θ4<90°)である方が望ましい。
また、角部Aは剥離しやすいようにエッジを有した方が望まれるが、その他の角部B、C、Dは冷却流体9がスムーズに流れるように曲面からなる方が望ましい。
また、図6では微細窪み15を形成する各面を平面として示しているが、曲率の大きな曲面であっても良い。
上記の条件より、微細窪み15の断面形状としては、上記条件を満足する開口部が大きな略台形である方が望ましい。
ただし、例えば両端部など、微細窪み15の一部は、上記範囲のH1およびLでなくても良い。
上記条件より、微細窪み15の断面形状としては、上記条件を満足する略不等辺三角形である方がさらに望ましい。
さらに、L1は小さいほど良く、L1=0(微細窪み15の断面形状が直角三角形)でも良く、またL1<0(θ1>90°)でも良い。(但し、θ1が大きくなり過ぎると、放熱特性の改善効果が小さくなる。)
なお、断面形状が略不等辺三角形である場合のθ4は、上記条件より、θ4<19°(θ1>θ4)となる。
A−D−C−Bに沿って流れる高温流体がA−B面へ流入し、一方微細窪み15の開口部から主流の低温流体がA−B面へ流入し、それぞれの冷却流体がA−B面で衝突し、撹拌混合することにより、ヒートシンク7表面に形成される温度境界層の発達を抑制し、放熱特性を向上させる。このような要因により放熱を促進する場合、まず冷却流体9がD−C面に沿って通流した方が良く、角部Dで剥離が生じない方が良い。よって、前述した各文献に記載される剥離しない条件より、図6の構成において、θ4<(25×(L3/H2)-1/2)である必要がある。好ましくは、より安定して剥離しないように、θ4<(12.5×(L3/H2)-1/2))である方が望ましい。
θ3は、角部Cに冷却流体9の淀み部17が形成されやすいことから、広角(θ3>90°)である方が望ましい。
θ2に関しては、特に制約条件は無い。
A−B面に直交して低温流体が流入した方が冷却流体の混合および撹拌作用が高く、θ1≒(90°−θ4)が望ましいが、θ1<(90°−θ4)になると著しくその効果が小さくなるわけではない。
一方、A−B面は冷却流体が衝突する面であることから放熱特性が良いが、θ1>90°になると角部B周りに高温流体を停滞させる窪みを形成するため、放熱特性が低下し始める。
以上のことから、30°<θ1<100°である必要がある。好ましくは、θ1は(90°−θ4)±10°以内である方が望ましい。
なお、B−C辺とD−A辺は平行でなくても良く、また全ての角部は曲面からなっても良い。さらに、図6では微細窪み15を形成する各面を平面として示しているが、曲率の大きな曲面でも良い。
上記の条件より、微細窪み15の断面形状としては、上記条件を満足する開口部が大きな略不等脚台形である方が望ましい(θ1>θ4)。
ただし、例えば両端部など、微細窪み15の一部は、上記範囲のH1およびLでなくても良い。
上記の条件より、微細窪み15の断面形状としては、上記条件を満足する略不等辺三角形である方がさらに望ましい(θ1>θ4)。
図7(b)は熱伝達係数と流速の関係を示す。基準流路R0に比べ、ストレートフィン付流路Rfの熱伝達係数は約3倍程度増大するが、圧力損失の増大率より小さい。本実施の形態の流路R1、R2の場合、流速が0.5m/s以下では基準流路とほぼ同等の値を示すが、0.5m/s以上では熱伝達係数が大きく増大し、基準流路より1.7倍程度大きな値を示す。
より解かり易い比較をするために、図7(c)に熱伝達係数と圧力損失の関係を示す。同一圧力損失に関して比較すると(例えば、2000Pa)、基準流路R0に比べ、本実施の形態の流路R1、R2では熱伝達係数が約1.7倍程度に増大した。一方、ストレートフィン付流路Rfでは、冷却流体と接する伝熱面積が基準流路に比べ約1.7倍に増大するにもかかわらず、熱伝達係数は約1.4倍程度の上昇にとどまっている。また、同一熱伝達係数に関して比較すると(例えば、8000W/(m2K)、基準流路R0に比べ、本実施の形態の流路R1、R2では、圧力損失が約1/3に減少している。したがって、本実施の形態のヒートシンクを用いた場合、より小型のポンプにより目的の放熱を行うことができる。
また、ストレートフィン付ヒートシンクのように、伝熱面に突起物を設ける必要が無いことから、容易に製作することができ、低コストとなる。また、突起物が無いことから、搬送時の突起の保護が不要であり、さらに突起をぶつける等により熱流動特性が大きく変化して信頼性が低下することもない。さらに搬送容積も小さくなることから搬送時のコストが小さくなる。さらに、従来のように、フィン等の突起物を設け、表面積を増大させ、伝熱特性を向上させる効果は、流路高さが小さくなるにつれ減少するが、本実施の形態の流路は流路高さが小さくなってもその効果が変らないことから、本実施の形態の流路構成は流路高さが小さい場合に特にその効果が大きい。
また、低流速の場合(本実験では流速が0.5m/sより小さい場合)は層流域であり、上記のような本発明の効果は顕著には見られなかった。本実施の形態は特に乱流域(本実験では流速が0.5m/s以上の場合)においてその効果が得られる。なお、微細窪み15深さH1が大きくなるほど、層流領域から乱流領域に遷移する臨界流速は小さくなる(より小さな流速でも乱流域に達する)。
また、一つのヒートシンク7中に複数の異なる形状(パターン)の微細窪み15が形成されていても良い。
さらに、ヒートシンク7周辺のシール部と中央の放熱部、すなわち冷却流体9と接する部分は同一面にある必要は無く、シール部と放熱部間に任意の段差を設けても良い。
図10はこの発明の実施の形態4によるヒートシンクを模式的に示す断面構成図である。図10においては、ヒートシンクの丸印部分を拡大した図を合わせて示す。
本実施の形態4によるヒートシンク70は、図10に示すように、冷却流体送入口1と、内部に流路が形成された伝熱容器30と、冷却流体送出口4からなり、ヒートシンク70の、流路内壁面には、実施の形態3で説明した微細窪み15が設けられている。上記実施の形態3で説明した微細窪み15による放熱特性改善効果は、図7で示す実験結果からもわかるように、可とう性を有する金属箔からなるヒートシンクに微細窪み15を設けた構成特有のものではなく、任意の伝熱面に対して上記微細窪み15を設ける場合においても効果がある。
上記微細窪み15は、ヒートシンク70の内壁面表層の冷却流体のみを撹拌混合し、温度境界層の発達を抑制するものであり、主流の流れを乱さないことから圧力損失の増加が小さいので、ヒートシンクの重量および容積を大きくすることなく、ヒートシンクの放熱特性を向上させることができる。
また、このような微細窪み15は、伝熱面積を増やすために伝熱面にフィン等の突起を設けるものに比べ、より優れた伝熱特性を有すると共に、重量が重くならず、また、製造も容易である。
また、ヒートシンク70は複数の分割部品から構成されても良い。
なお、この場合、発熱体8とヒートシンク71との間にサーマルグリースなどの接触熱抵抗低減剤を塗布しても良いし、発熱体8とヒートシンク71とが半田等により固着されていても良い。
また、ヒートシンク71は、基板と、上記基板上に固着(接着、半田付など)された可とう性を有する金属箔からなるヒートシンクとで構成され、上記金属箔からなるヒートシンク表面に微細窪み15を設けても良い。
図12において、ヒートシンク72の伝熱面には複数のフィン73が設けられており、ヒートシンク72の伝熱容器30内には複数の流路51が形成されている。またフィン73表面には、上記実施の形態3で説明した微細窪み15が設けられている。
このような構成であっても、フィン73を設ける効果に加え、さらに微細窪み15による効果が加わり、放熱特性の優れたヒートシンクが得られる。
なお、図12において、フィン73が設けられた伝熱内壁面にも微細窪み15を設けても良い。
図13において、ヒートシンク74を構成する伝熱容器30内に円形の流路52を一つまたは複数設け、その流路内壁面に上記実施の形態3で説明した微細窪み15が設けられている。
このような構成の場合は、特にねじ切り加工などにより、流路内壁面に微細窪み15を容易に加工することができる。
また、圧力損失の増加が小さく、放熱特性を向上させたヒートシンクを提供することができる。
また、微細窪み15にバイパス溝19を設ける構成としても良い。
図14はこの発明の実施の形態5によるヒートシンクを模式的に示す断面構成図である。図14においては、ヒートシンクの丸印部分を拡大した図を合わせて示す。
本実施の形態5によるヒートシンク75は、図14に示すように、冷却流体9が送入される冷却流体送入口1が、ヒートシンクの伝熱面76の略中央部に対向するように配設されたものであり、上記ヒートシンクの伝熱面76には上記実施の形態3で説明した微細窪み15が設けられているものである。
そこで、本実施の形態では、伝熱面76に上記実施の形態3で述べた微細窪み15を設けることにより、温度境界層の発達を抑制し、放熱特性を向上させている。これにより、ヒートシンク全体の放熱特性がさらに向上する。
特に、上記微細窪み15を設ける際には、冷却流体送入口1位置に対し、線対称になるように、また多重円を形成するように、さらに渦巻き状に上記微細窪み15を設けることにより、冷却流体送入口周辺部における放熱特性が向上し、ヒートシンク全体の放熱特性が向上する。
さらに、伝熱面76と対向する面に冷却流体9の流れを案内する突起を設けても良い。この突起により、絞り、旋廻流または乱流を引き起こすと、さらに放熱特性が向上する。
Claims (11)
- 通流路を流れる冷却流体と直接接触し、上記冷却流体と熱交換するヒートシンクにおいて、上記ヒートシンクの伝熱面の、上記冷却流体との接触面に、上記冷却流体の流れ方向と交差する方向に延在する窪みを設け、上記窪みの上記冷却流体の流れの方向に沿った断面形状は非対称であり、
上記窪みは、上記通流路が上記冷却流体の流れ方向と交差する方向において非対称となるように設けられることを特徴とするヒートシンク。 - 上記窪みは、上記接触面の上記窪みが設けられていない部分と対向することを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク。
- 上記ヒートシンクの上記冷却流体の流れの方向に沿った断面において、複数の窪みを互いに対向させ、かつ、それら対向する窪みの先端位置が互いにずれるように配設することを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク。
- 窪みは、上流側内壁面と下流側内壁面とでヒートシンク表面に対する角度が異なっており、かつ上記角度が大きい方の内壁面の角度は30°より大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒートシンク。
- 冷却流体の流れ方向に沿った、窪みの深さ方向の断面形状が不等脚台形、または不等辺三角形であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒートシンク。
- 窪みは、冷却流体の流れ方向に沿った断面形状が、上記冷却流体の流れ方向と交差する方向に等しいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒートシンク。
- 複数の窪みが、冷却流体の流れ方向に連続して配設されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒートシンク。
- 窪みと連結し、冷却流体の流れ方向に沿ったバイパス溝を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のヒートシンク。
- 窪みが設けられたヒートシンク表面の中央部は、冷却流体が通流路内に流入する冷却流体送入口に対向していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のヒートシンク。
- 通流路を流れる冷却流体と直接接触し、上記冷却流体と熱交換するヒートシンクにおいて、上記ヒートシンクの伝熱面にフィンを設けると共に、フィン表面に、上記冷却流体の流れ方向と交差する方向に延在する窪みを設け、上記窪みの上記冷却流体の流れの方向に沿った断面形状は非対称であり、
上記窪みは、上記通流路が上記冷却流体の流れ方向と交差する方向において非対称となるように設けられることを特徴とするヒートシンク。 - 窪みは、上流側内壁面と下流側内壁面とでフィン表面に対する角度が異なっており、かつ上記角度が大きい方の内壁面の角度は30°より大きいことを特徴とする請求項10記載のヒートシンク。
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