JP5083842B2 - 発泡ネットの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発泡ネットに係り、詳しくは、複数の発泡ストランドを互いに交差させるとともに、それら交差部において前記発泡ストランドどうしを融着することによって構成された網目状の発泡ネットに関するものである。
この種の発泡ネットは、ポリエチレンやポリスチレン、ポリプロピレン等による発泡ストランドを網目状にして構成されており、良好な緩衝性、通気性を備えており、林檎、梨、トマトといった農産物の保護材、或いは、機器緩衝材、隙間充填材、壁養生、家具養生、破損容器の養生等に多用されている。より具体的には、果物や野菜等の軟質物を覆って保護する保護材として用いられたり、これら野菜等を箱詰めして運搬するときの仕切り部材として用いられることがある。そして、最近では、イチゴの栽培時において、イチゴを地面に接触しないように隔離するためのイチゴ栽培用シート(対地接触回避シート)として使用されることが多い。
つまり、イチゴは成長して大きくなると、自重によって大きく垂れて畝やこれに被せられたビニールシート上に接地するようになる。ところが、畝等に接地すると、接地部分は陰となって本来の赤い色が付かず、白っぽくなって商品価値が下がるとともに、湿気の影響で痛んだり腐ったりするので、接地しないように持ち上げた状態に保持する処理が必要である。そこで、イチゴの下に通気性に優れる樹脂製のイチゴ栽培用シートを敷くことにより、前述の不都合を回避させる手段が採られていた。
そのイチゴ栽培用シートとしては、ポリエチレン等の合成樹脂製のチューブの多数を、互いに間隔を空けた状態で並列させるとともに、各チューブの両端部を連結部材を用いて熱溶着することで連結一体化させた構造のものがあり、例えば、特許文献1において開示されたものが知られている。また、独立気泡型で柔軟な発泡プラスチック(発泡ストランド)を等間隔で互いに平行となるように配列されたものどうしを、上下に重ねて網目状に交差させた構成のものがあり、例えば、特許文献2において開示されたものが知られている。
実公昭58−37246号公報 実公昭58−94362号公報
イチゴ栽培用シートとして、前記前者の特許文献1において開示されたシートでは、保形性の良いポリエチレンチューブによるシートなので、翌年でも使えるという繰り返し使用が行えて経済的であるが、そのチューブは比較的硬くて緩衝性には劣ることから、大きくて重いイチゴでは、その底面が並列チューブに食込んで波打った形状となる等傷が着き易く、商品価値を損ねる原因となる不都合があった。
また、前記後者の特許文献2において開示されたシートでは、柔軟な発泡ストランドの方が変形することから、イチゴが変形するおそれが無く、良好に対地接触を回避できる点は良い。しかしながら、柔らかいが故に引っ掛けて切れ易いとか、破れやすいという不利があって耐久性には乏しいので、1年度限りの使用となってしまい、繰り返し使用ができないという不経済な面があった。このように、いずれの従来技術によるシートでも一長一短があり、さらに改善されたイチゴ栽培用シートが望まれていた。
本発明の目的は、イチゴを変形させることがなく、かつ、繰り返し使用も可能となるイチゴ栽培用シートとして好適に使用できるように、改善された発泡ネットを提供する点にある。
本発明に係る発泡ネットの構成は、複数の発泡ストランドを所定の間隔を空けて並列させてストランド群を形成し、このストランド群の複数を、互いの発泡ストランドが交差する状態に重ねるとともに、それら交差部において発泡ストランドどうしを融着一体化させて成る網目状の発泡ネットにおいて、
複数のストランド群のうちの重ね方向で一端に位置するストランド群を形成する一端発泡ストランドの発泡倍率よりも、重ね方向で他端に位置するストランド群を形成する他端発泡ストランドの発泡倍率を小としてあることを特徴とする。
また、本発明に係る発泡ネットの構成は、さらに一端発泡ストランドの発泡倍率が8〜40倍に、かつ、他端発泡ストランドの発泡倍率が2〜25倍に夫々設定されていることを特徴とするものである。
また、本発明に係る発泡ネットの構成は、上記構成において、一端発泡ストランドの発泡倍率が10〜30倍に、かつ、他端発泡ストランドの発泡倍率が5〜20倍に夫々設定されていることを特徴とするものである。
また、本発明に係る発泡ネットの構成は、上記構成において、他端発泡ストランドの断面形状を、発泡ストランドの並列方向の長さよりもストランド群の重ね方向の長さが短い扁平形状に設定してあることを特徴とするものである。
また、本発明に係る発泡ネットの構成は、上記構成において、一端発泡ストランドの断面形状を、発泡ストランドの並列方向の長さとストランド群の重ね方向の長さとがほぼ等しい略円形に設定してあることを特徴とするものである。
また、本発明に係る発泡ネットの構成は、上記構成において、他端発泡ストランドの断面部分における発泡ストランドの並列方向の長さを、一端発泡ストランドの断面部分における発泡ストランドの並列方向の長さの0.3倍〜1.5倍の範囲に設定してあることを特徴とするものである。
また、本発明に係る発泡ネットの構成は、上記構成において、他端発泡ストランドの断面部分における発泡ストランドの並列方向の長さを、一端発泡ストランドの断面部分における発泡ストランドの並列方向の長さに合致させてあることを特徴とするものである。
また、本発明に係る発泡ネットの構成は、上記構成において、他端発泡ストランドの断面部分における発泡ストランドの重ね方向の長さを、一端発泡ストランドの断面部分における発泡ストランドの重ね方向の長さの0.1倍〜1.0倍の範囲に設定してあることを特徴とするものである。
また、本発明に係る発泡ネットの構成は、上記構成において、他端発泡ストランドにおける発泡ストランドの重ね方向の長さを、一端発泡ストランドにおける発泡ストランドの重ね方向の長さの0.2倍〜0.6倍の範囲に設定してあることを特徴とするものである。
また、本発明に係る発泡ネットの構成は、上記構成において、隣合う一端発泡ストランドどうしの間隔、及び隣合う他端発泡ストランドどうしの間隔を、4〜10mmに設定してあることを特徴とするものである。
また、本発明に係る発泡ネットの製造方法は、1台のタンデム押出機の回転ダイスに、アウト口金と、アウト口金に比べて横幅が広く上下幅の狭い扁平な形状を有するイン口金とを取付け、前記アウト口金と前記イン口金を互いに異方向に回転させながら樹脂及び発泡剤を含有する原料を押し出すことを特徴とするものである。
また、本発明に係る発泡ネットの製造方法は、上記構成において、前記アウト口金の形状は正方形に近い矩形であり、前記イン口金の形状は横幅が広く上下幅の狭い扁平な矩形であることを特徴とするものである。
また、本発明に係る発泡ネットの製造方法は、前記一端ストランド群と前記他端ストランド群の交差部の融着面積を増やすために、前記アウト口金の回転方向で下手側の端部を、前記イン口金との接触側に広がる三角形部としたことを特徴とするものである。
本発明に係る発泡ネットでは、複数のストランド群のうちの重ね方向で一端に位置するストランド群を形成する一端発泡ストランドの発泡倍率よりも、重ね方向で他端に位置するストランド群を形成する他端発泡ストランドの発泡倍率を小としたので、重ね方向で一端の発泡ストランドは柔軟で緩衝性に優れ、かつ、重ね方向で他端の発泡ストランドは強度に優れるとともに、交差部における融着面積も広くなって強固に一体化されるようになり、必要な緩衝性を有しながら強度・剛性が向上し、破損し難く耐久性が向上するので、果物や部品等の保護ネット、或いは、保護シート、保護仕切り等に好適に使用できるようになる。
従って、発泡倍率の小さい発泡ストランドを下側にしてイチゴの下に敷くイチゴ栽培用シートとして使用すれば、柔軟な一端発泡ストランドにより、自重による変形や傷付きがないようにイチゴを有効に保護し、結露水や薬液等の水はけ(水切れ)が良く、病気や腐敗もし難くなり、また、イチゴの下部にも光が回って着色具合も良くなるとともに、他端発泡ストランドが十分な接触面積で破れ難く繰り返し使用が可能となって耐久性が向上しながら、極力軽量化も図れる等、実用上の利点大な発泡ネットを提供することができた。
そして、一端発泡ストランドの発泡倍率が8〜40倍で、他端発泡ストランドの発泡倍率が2〜25倍に設定すれば、上記効果が有効に得られるとともに、請求項3のように、一端発泡ストランドの発泡倍率が10〜30倍で、他端発泡ストランドの発泡倍率が5〜20倍に夫々設定すれば、上記効果をより確実に得られる好都合なものとなる。
また、他端発泡ストランドの断面形状を、発泡ストランドの並列方向の長さよりもストランド群の重ね方向の長さが短い扁平形状に設定したので、果物や部品等の保護対象物、或いは地面等の接触面積を十分としながら、一端発泡ストランドとの融着面積が広く、強度や保形性に優れるようにしながら、軽量化が促進できるものとして提供することができた。加えて、請求項5のように、一端発泡ストランドの断面形状を略円形に設定すれば、イチゴや果物などに対する緩衝性を向上させることができる。
この場合、他端発泡ストランドの横幅寸法を、一端発泡ストランドの横幅寸法の0.3〜1.5倍の範囲に設定したり、請求項7の発泡ネットのように、他端発泡ストランドの横幅寸法を、一端発泡ストランドの横幅寸法に合致させたり、請求項8のように、他端発泡ストランドの上下幅寸法を、一端発泡ストランドの上下幅寸法の0.1〜1.0倍の範囲に設定したり、請求項9のように、他端発泡ストランドの上下幅寸法を、一端発泡ストランドの上下幅寸法の0.2〜0.6倍の範囲に設定することが自在である。
また、一端発泡ストランドの幅寸法と、隣合う一端発泡ストランドどうしの間の間隙の幅寸法との比率を約1:2に、かつ、他端発泡ストランドの幅寸法と、隣合う前記他端発泡ストランドどうしの間の間隙の幅寸法との比率を約1:3に夫々設定してあるので、イチゴに対する良好な緩衝性、並びに保護機能と、畝やマルチフィルムに対する踏ん張りの利いた強度・剛性による耐久性向上が図れる等、イチゴ栽培用シートとして一層好適なものとなる利点を有している。
発泡ネットの平面図である。 図1に示す発泡ネットのX−X線断面図である。 イチゴ畑での使用状況を示す斜視図である。 イチゴ栽培用シートとして用いた場合を示す畝長手方向の断面図である。 (a)は発泡ストランド成形用口金の形状を、(b)はそれによって成形された発泡ストランドの断面形状を夫々示す図である。 (a)は改良された発泡ストランド成形用口金の形状を、(b)はそれによって成形された発泡ストランドの断面形状を夫々示す図である。 (a)は比較例における発泡ストランド成形用口金の形状を、(b)はそれによって成形された発泡ストランドの断面形状を夫々示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、イチゴ栽培用シートとして好適な発泡ネットNが示され、図2にはその発泡ネットNのX−X線断面図が示されている。また、図3にはイチゴ畑4における使用状況の斜視図が、そして、図4には、図3における畝長手方向の断面図が夫々示してある。
図1、図2に示すように、発泡ネットNは、複数の発泡ストランド1,2を所定の間隔を空けて並列させてストランド群S1,S2を形成し、このストランド群S1,S2の複数を、互いの発泡ストランド1,2が交差する状態に重ねるとともに、それら交差部3において発泡ストランド1,2どうしを融着一体化させて成る網目状のものに構成されている。
そして、上下2組(複数の一例)のストランド群S1,S2のうちの重ね方向で上端(一端の一例)に位置するストランド群S1を形成する一端発泡ストランド1の発泡倍率よりも、重ね方向で下端(他端の一例)に位置するストランド群S2を形成する他端発泡ストランド2の発泡倍率を小としてある。これにより、上側の一端発泡ストランド1の断面形状は略円形(図2の破線参照)に形成され、下側の他端発泡ストランド2の断面形状は、他端発泡ストランド2の並列方向P(図1参照)の長さA2よりも、ストランド群S2の重ね方向Q(図2参照)の長さB2が短い扁平形状に設定してある。
一端発泡ストランド1の発泡倍率は8〜40倍であり、好ましくは10〜15倍であり、他端発泡ストランド2の発泡倍率は2〜25倍であり、好ましくは5〜10倍に設定されている。この場合、例えば、一端発泡ストランド1の発泡倍率が10であるときには、他端発泡ストランド2の発泡倍率は10未満に設定されるのであり、他端発泡ストランド2の発泡倍率は必ず一端発泡ストランド1の発泡倍率よりも低い値に設定される。
図3、図4に示すように、イチゴ畑4において、イチゴ5の下に発泡ネットNを敷く場合には、他端発泡ストランド2(他端ストランド群S2)が下で、一端発泡ストランド1(一端ストランド群S1)が上となる状態で敷設する。すると、イチゴ5は柔軟な一端ストランド1によって緩衝性十分に受止められ、イチゴ5の傷付きを防止する。そして、畝6に敷かれたマルチフィルム(ビニールシート)7に接するのは、発泡倍率が低く強度・剛性に優れた他端発泡ストランド2が接するので、破れ難く耐久性に富むようになる。尚、12はイチゴの葉である。
イチゴの栽培は、イチゴを一畝当り2列で栽培するのが一般的であり、この場合、実であるイチゴが畝に対して内側に位置する「うちなり」(2列のイチゴの間に位置させる)とする方法と、実であるイチゴが畝に対して外側に位置する「そとなり」とする方法とがある。本発明による発泡ネットN(イチゴ栽培用シート)は、これら「うちなり」(図3、図4参照)と「そとなり」とのいずれでも使用することができる。
発泡ネットNをイチゴ5の下に敷設することにより、マルチフィルム7とイチゴ5との間に空間を作るので、光がイチゴ5の下部まで入り、赤色の着色が促進されるようになる。そして、一端発泡ストランド1は断面形状が略円形であって、イチゴ5に接するところが円弧状であることから、イチゴ5の病気、腐敗の原因となるハウス内の結露水や消毒液が一端発泡ストランド1から容易に流れ落ちるので、病気や腐敗が生じ難くなるという利点がある。尚、発泡ネットNの色は、黒と白が用意されているが、その他の色でも良い。
図2に示すように、各ストランドの寸法の関係は、一端発泡ストランド1の断面部分における横幅をA1(X−X線断面幅はC1)、上下幅をB1とし、他端発泡ストランド2の断面部分の横幅をA2(X−X線断面幅はC2)、上下幅をB2とすれば、
イ 0.3A1≦A2≦1.5A1(理想:A1=A2)
ロ 0.1B1≦B2≦1.0B1(理想:0.2B1≦B2≦0.6B1)
に設定されている。A2の値が式イの範囲より大きいと、隣合う他端発泡ストランド2どうしの間の間隙(目)D2(図1参照)が小さくなり、結露水等の水はけが悪くなる傾向にあり、A2の値が式イの範囲より小さいと、地面やマルチフィルム7との接触面積が狭くなり、破れ易くなったりして耐久性が悪化する。
また、図1に示すように、隣合う一端発泡ストランド1どうしの間隔D1、及び隣合う他端発泡ストランド2どうしの間隔D2を、共に4〜10mmに設定してある。これは、イチゴ5の緩衝機能、通気性、通光性、水はけ性を考慮して決めてあり、間隔D1,D2がこの10mmより広いと、受粉したイチゴがその間隔D1,D2の下方(即ち、発泡ネットNの下方)に入り込んでしまうとともに、4mmより狭いと、水はけが悪くなって通気性が落ち、病気や腐敗を招き易くなり、さらには着色低下も生じるからである。また、低発泡倍率による強度を有した他端発泡ストランド2によるストランド群S2を軽くして、発泡ネットNの軽量化も図ってある。
次に、発泡ネットNの作り方について説明する。各発泡ストランド1,2を構成する気泡は、独立気泡が望ましいが連続気泡でも良い。発泡ストランド1,2の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、EVA、熱可塑性エラストマー(TPE)等が挙げられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
これら樹脂は2種以上を混合して使用しても良い。又、廃棄時の処理性を向上させるには、ポリ乳酸、澱粉合成高分子ブレンド、脂肪族ポリエステル、ポリカプロラクトン、セルロース、PVA等の生分解性樹脂の発泡でもこれら樹脂の混合でも良い。
発泡ストランド1,2は、前記各成分に発泡剤を用いて発泡させて形成される。発泡ストランドの製造方法は、タンデム押出機を用いる等の通常一般の発泡ストランドの製造方法を用いることができ、発泡ストランドを構成する樹脂組成物に発泡剤を配合し、発泡形成させる方法が挙げられる。形成方法としては押し出し成形方法が好ましく用いられる。
発泡剤としては、例えば、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機発泡剤、ペンタン、イソペンタン、ブタンなどの炭化水素類、フロン、代替フロン、塩化メチレンや塩化メチル等の塩素化炭化水素などの有機発泡剤が挙げられる。また、化学反応型の発泡剤としては、例えば、重曹、重曹と酸などの無機物の混合物、アゾ化合物、ニトロソ化合物、トリアゾール化合物等が挙げられる。これらの発泡剤は1種または2種以上混合して使用できる。高発泡倍率の場合は、ペンタン、ブタンなどの炭化水素類、フロン、炭酸ガス、窒素ガス、水などを使用するのが好ましい。
発泡ストランド製造時の発泡剤の配合量は特に限定されず、使用する発泡剤の種類、所望の発泡倍率等に応じて適宜設定すれば良い。発泡ストランドの発泡倍率については前述の範囲に設定する。発泡倍率が小さくなると弾性力は低下するが強度は増し、大きくなると強度は低下するが弾性力は豊富になる。上記発泡体においては、他に気泡調整剤として、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ホウ酸等の無機物を、また化学反応型の気泡調整剤として例えば、重曹、重曹と酸などの無機物の混合物、アゾ化合物、ニトロソ化合物、トリアルゾール化合物等が挙げられる。これらの気泡調整剤は1種又は2種以上混合して使用できる。上記気泡調整剤の使用量は特に限定されない。
本発明による発泡ストランド1,2の成形においては、押出し等の成形条件は特に限定されないとともに、各成分の配合方法も限定されず、成形時に同時或いは順次各成分を配合し、加熱溶融混合等により混合される。混合方法は通常一般に使用される攪拌機構等を使用できる。各成分を混合後、ペレット状等の所望の形状に成形した後、発泡成形しても良い。
発泡ストランド1,2の製造方法としては、タンデム押出機(図示省略)を用い、図5(a)に示すように、正方形に近い矩形のアウト(OUT)口金8と、横幅が広く上下幅の狭い扁平な矩形のイン(IN)口金9を取付けることにより、図5(b)に示すように、円形に近い楕円形状の断面を有する一端発泡ストランド1と、極端に上下幅の薄い扁平な他端発泡ストランド2とが、交差部3において点融着された状態の発泡ネットNを製造することができる。
但し、口金の形状については特に限定されない。つまり、回転ダイス先端の口金のインとアウトとが互いに異方向に回転を行い、網の目状の発泡ネットNを作る。生成された発泡ネットNは、ネット引取り機で引き取ってから一定寸法に切断される。又、押出し時にスリットを入れ、引き取りベルトで引き取り、一定寸法に切断して成形することも可能である。
また、図6(a)に示すように、アウト口金8の回転方向で下手側の端部を、イン口金9との接触側に広がる三角形部8aとすることにより、図6(b)に示すように、製品としての横幅を広げることなく一端ストランド群S1と他端ストランド群S2との接着力、すなわち交差部3の融着面積を増やすことができる。これにより、イチゴ栽培に適した柔軟な一端ストランド群S1を有しながらも、保形性に優れる発泡ネットNを実現できている。
ここで、発泡ネットNの製造に関する補足説明を行う。図5に示す口金8,9を回転ダイス(図示省略)に取付け、円筒状のネットの一箇所又は二箇所を切断して、シート状の発泡ネットNを1本又は2本作ることができる。図5に示す口金8,9から樹脂を押出した場合、アウト口金8に対してイン口金9は扁平なため、口金内部を樹脂が通過する場合の壁面抵抗により、アウト口金8に比べて流れる樹脂量が制限され発泡倍率が低くなる。この場合、アウトもイン口金8,9が同形状であれば、壁面抵抗も同じになり、各発泡ストランド1,2は同じ発泡倍率のものとなる。
また、通常のポリエチレンに対してメタセロポリエチレンを0〜100%の範囲で添加することにより、接着力、製品強度をより向上させることができる。各発泡ストランドS1,S2は、破れ難くするためには、製品の両端又は一部分、に発泡ネットNとしての長手方向に熱ロール等によって連続するシートを付けても良い。
実施例1
発泡ネットNの製造例を実施例1として記す。即ち、図5(a)に示す口金8,9を有した50−50mmタンデム押出機に、表1に示す処方による原料を投入し、ブタンを約10重量部添加して作成した。その結果、図5(b)に示す製品(発泡ネットN)を得た。
比較例1
前記実施例1の場合と同じ押出機を用いて、図7(a)に示す口金10,11用い、表2に示す処方による原料を投入し、ブタンを約7重量部添加して作成した。その結果、図7(b)に示す形状の製品(発泡ネットN)を得た。
上記実施例1と比較例1とにおいて得たサンプル(発泡ネット)から、発泡倍率、引張り強さ、ストランド接着強さを測定した。サンプル形状、引張り強さ、ストランド接着強度の夫々の測定結果を、表3〜表5に示す。引張り強さ(N/cm)は、ストランドが裏表10本で構成される幅で長さ120mmにカットしたサンプルより、引張試験機にて最大荷重を求め、その値を10本のストランドの総断面積(A)より求めた。また、ストランドの接着強度(N/cm)は、接着部(交差部3)を構成する2本のストランド1,2を引張り、接着面積当りの強度を求めた。
試験結果としては、実施例1のものは、比較例1の目付けの約55%のアップに比べて、引張り強さが約3.1倍、接着強度が約2.4倍強くなっていることが得られた。
別実施形態
本発明による発泡ネットNは、果物箱の底敷き、仕切り等の中敷き、上敷き、或いは梱包物の隙間を埋める充填材として使用したり、果物を包んで保護するキャップとして使用することが可能であり、用途がイチゴ栽培用シートに限定されるものではない。また、発泡ネットNは、発泡ストランドが3つ以上重ねられた(ストランド群が3層以上)ものでも良い。
N 発泡ネット
1 一端発泡ストランド
2 他端発泡ストランド
3 交差部(融着部)
4 イチゴ畑
5 イチゴ
6 畝
7 マルチフィルム
8〜11 口金

Claims (2)

  1. 複数の発泡ストランドを所定の間隔を空けて並列させてストランド群を形成し、このストランド群の複数を、互いの発泡ストランドが交差する状態に重ねるとともに、それら交差部において前記発泡ストランドどうしを融着一体化させて成る網目状の発泡ネットで、複数のストランド群のうちの重ね方向で一端に位置するストランド群を形成する一端発泡ストランドの発泡倍率よりも、前記重ね方向で他端に位置するストランド群を形成する他端発泡ストランドの発泡倍率を小としてある発泡ネットの製造方法であって、
    1台のタンデム押出機の回転ダイスに、アウト口金と、アウト口金に比べて横幅が広く上下幅の狭い扁平な形状を有するイン口金とを取付け、前記アウト口金と前記イン口金を互いに異方向に回転させながら樹脂及び発泡剤を含有する原料を押し出し;
    前記一端ストランド群と前記他端ストランド群の交差部の融着面積を増やすために、前記アウト口金の回転方向で下手側の端部を、前記イン口金との接触側に広がる三角形部としたことを特徴とする発泡ネットの製造方法。
  2. 前記アウト口金の形状は正方形に近い矩形であり、前記イン口金の形状は横幅が広く上下幅の狭い扁平な矩形であることを特徴とする請求項1記載の発泡ネットの製造方法。
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