JP5076138B2 - 自己組織化マップを用いたパターン生成方法、そのプログラム及び装置 - Google Patents
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Description
SOMとは視覚系の情報処理にヒントを得た神経回路モデルの一種で、図12に示すような入力層と競合層から成る2層構造をしている。
各信号に対する勝者ニューロンがより強く反応するような競合学習と、その近傍ニューロンに対しても距離に応じて同様の操作を施す協調学習を繰り返すことで、類似した入力信号に対しては近隣のニューロンが応答するような位相保持マッピングを形成できる。
また、このような2次元情報への可視化機能に着目して、これまでに様々な分野への応用が試みられているが、その多くは情報の解析ツールとしての活用に限定されているようである。
T.Kohonen(1982) "Self-organized formation of topologically correct feature maps." Biological Cybernetics, 43: 59-69 T.Yamakawa and K.Horio(1999) "Self-organizing relationship(SOR) network." IEICE Trans. Fundamentals, E82-A: 1674-1677
そこで、本発明では、自己組織化マップを用いたパターン生成方法を提供することを目的とする。
まず、学習後のSOMにおいて、競合層上の任意の1つのニューロンj*の出力を1と定め、それ以外をすべて0とする。式で表すと次の通りである。
本発明に係る自己組織化マップを用いたパターン生成方法は、学習した自己組織化マップの競合層のニューロンと入力層のニューロンの間の結合係数と競合層のニューロンの信号から式(1)にて入力層のパターンとして生成するパターン生成ステップを含むものである。
なお、ハードウェアの構成要素の中からステップの主体を選択するとすれば、CPUが該当する。勿論、コンピュータが主体となってもよい。
本発明に係る自己組織化マップを用いたパターン生成方法は必要に応じて、さらに式(2)を満たすものである。
このように本発明においては、競合層のある一のニューロンと入力層のニューロンの結合係数と競合層のある一のニューロンの信号から入力層のニューロンのパターンとして出力しているので、競合層のある一のニューロンが学習時の勝者ニューロンであるとき勝者ニューロンに係る入力データと生成されるデータが略同一となる場合もあるが、競合層のある一のニューロンが学習時の勝者ニューロンでないとき勝者ニューロンとの距離に応じて相関性の異なるパターンを得ることができるという効果を有する。
本発明に係る自己組織化マップを用いたパターン生成方法は必要に応じて、パターン生成ステップでの一のニューロンと生成したパターンを関連付けて記録するステップと、競合層のニューロンと生成パターンの記録に基づき生成パターンをマップの競合層のニューロンの配置位置に対応させて出力するステップとを新たに含むものである。
このように本発明においては、マップでのニューロンの配置位置に合わせて生成したパターンを出力しているので、ニューロンの配列番号に従って出力した場合と比べ使用者が生成したパターンを把握し易いという効果を有する。
本発明に係る自己組織化マップを用いたパターン生成方法は必要に応じて、競合学習時の入力データに対応する競合層の勝者ニューロンを記録するステップと、記録した勝者ニューロン並びに記録した一のニューロン及び生成したパターンから、生成したパターンのうち勝者ニューロンに係る生成パターンを特定するステップと、特定した生成パターンを他の生成パターンと識別可能に表示するステップとを新たに含むものである。
ここでは、勝者ニューロンに係る生成パターンを顕示出力したが、勝者ニューロンに係る生成パターンの代わりに勝者ニューロンに係る入力データを顕示出力してもよいし、勝者ニューロンに係る生成パターンとともに勝者ニューロンに係る入力データを顕示出力してもよい。
本発明に係る自己組織化マップを用いたパターン生成方法は必要に応じて、競合学習時の入力データに対応する競合層の勝者ニューロンを入力データに関連付けて記録するステップと、入力データに関連付けて記録した勝者ニューロンに基づき競合学習時の入力データをマップの競合層のニューロンの配置位置に対応させてマップとともに出力するステップと、使用者からマップ上のニューロンの選択を受け付けるステップとを新たに含み、使用者から受け付けた選択されたニューロンを競合層上の任意の1つのニューロンとするものである。
これら前記の発明の概要は、本発明に必須となる特徴を列挙したものではなく、これら複数の特徴のサブコンビネーションも発明となり得る。
本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明は多くの異なる形態で実施可能である。したがって、本実施形態の記載内容のみで解釈すべきではない。また、本実施の形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
図1は本実施形態に係る自己組織化マップを用いたパターン生成装置のブロック構成図である。
パターン生成装置のモジュール構成は、入力部21、出力部22、競合学習部23、協調学習部24及びパターン生成部25からなる。
入力部21は処理すべきデータを取り込む機能を有する。例えば、入力データを取り込む。
出力部22は処理したデータを送り出す機能を有する。例えば、生成データを送り出す。
競合学習部23は、入力層から競合層の各ニューロンへの結合係数と入力データの距離を次式で計算し、入力ベクトルと重みベクトルの距離が最小となるニューロンを勝者ニューロンとして選択する機能を有する。
図2は本実施形態に係る自己組織化マップを用いたパターン生成装置を構築したコンピュータのハードウェア構成図である。
パターン生成装置が構築されるコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)20、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメインメモリ10、ROM31、外部記憶装置であるHD(hard disk)32、ネットワークに接続するための拡張カードであるLANカード33、入力装置であるマウス34及びキーボード35、画面表示機能を有するビデオカード36、音声の入出力機能を有するサウンドカード37、出力装置であるディスプレイ30とスピーカー38、CD−ROMからデータを読み出すCD−ROMドライブ39からなる。
CD−ROM等の外部記憶媒体に記録されているパターン生成プログラムをコンピュータのHDに複製し、パターン生成プログラムが読み出し可能となって実行できる状態とする所謂インストールを行うことでコンピュータ上にパターン生成装置が構築されることになる。
動作の主体は、[1.ブロック構成]での各構成要素を割り当てるが、ソフトウェアの分野において通常モジュール構成は一つに定まるものではなく、所謂当業者であれば適宜変更することが可能であるため、その一例を示すことになる。
動作の主体は、ハードウェア的な観点からすればコンピュータ又はプロセッサとなる。
図3は本実施形態に係るパターン生成装置の学習動作フローチャートである。
予め、入力層と競合層の間の結合係数の初期値を乱数を用いて設定する(S101)。
入力部21は入力データを取り込む(S111)。
競合学習部23は入力層のニューロンと競合層のあるニューロンとの結合係数と入力データとの距離を求める(S121)。
競合学習部23は次の競合層のニューロンがあるか否かを判断する(S131)。
S131で次の競合層のニューロンがある場合には、S111に戻る。
S131で次の競合層のニューロンがない場合には、競合学習部23は結合係数との距離が最小となるニューロンを選択する(S141)。なお、全ての入力データに対応する勝者ニューロンは勝者ニューロンを求めた時点で、入力データと関連付けて記録することが望ましい。図4は競合層上で選択された勝者ニューロンを例示している。また、図5(a)は後説する[4.具体的な適用例]でも使用する入力データ群であり、図5(b)は入力データと勝者ニューロンの関連付けを示している。ここで、入力データと勝者ニューロンではなく、入力データとマップ上の位置を代わりに関連付けて記録してもよいし、入力データ、勝者ニューロン及びマップ上の位置を関連付けて記録してもよい。
協調学習部24は求めた重みの差分を対応する結合係数に更新する(S161)。
協調学習部24は次の結合係数があるか否かを判断する(S171)。
S171で次の結合係数がある場合には、S151に戻る。
S171で次の結合係数がない場合には、所定の学習回数に到達したか否かを判断する(S181)。
S181で所定の学習回数に到達していない場合には、S111に戻る。
S181で所定の学習回数に到達している場合には終了する。
図6は本実施形態に係るパターン生成装置のパターン生成動作フローチャートである。
パターン生成部25は、競合層のあるニューロンと入力層のニューロンの結合係数を取り出す(S201)。ここで、取り出したデータに対して非線形変換を適用することもできる。非線形変換としては、ある値を超えると出力を出す閾値関数やS字型の形状をしたいわゆるシグモイド関数を適用することができる。このことによって、例えば、取り扱いデータが画像であれば、シャープな画像を得ることができる。
次式は非線形変換を適用した逆投影によるパターン生成を示す。
出力部22は、生成したパターンを出力する(S221)。
パターン生成部25は次の競合層のニューロンがあるか否かを判断する(S231)。本実施形態では、全ての競合層のニューロンをそれぞれ用いて入力層の信号を生成する。よって、使用者が指定した競合層のニューロンのみを用いて入力層の信号を生成する構成であってもよい。
S231で競合層のニューロンがある場合には、S201に戻る。
S231で競合層のニューロンがない場合には、終了する。
ここでは提案法の有効性を検討するため、非常に単純な画像データを用いた計算機シミュレーションを行う。勿論、写真、CG、設計図などの画像データであってもよいし、画像データでなくとも本実施形態に係るパターン生成装置を使用することができる。例えば、天候データ、交通データなどにも適用することができ、自己組織化マップに適用可能なデータであれば本実施形態に係るパターン生成装置も対応することができる。
具体的には、いわゆる“顔文字”をサンプルとして取り上げる。
今回は説明の便宜上、図5に示すようなものをビットマップの組み合せで表現したが、文字情報で表すこともできる。
1文字は128ドット(縦16[ドット]×横8[ドット])で構成され、これを11文字並べて1つの顔文字を作成したため、入力層には1408個(128[ドット]×11[文字])のニューロンを用意した(図7(a)参照)。
前説[3.1 学習]の学習終了後[3.2 パターン生成]を実行し、つまり、競合層のニューロンに1を割り当てて、他はすべて0としたとき、上述の式(5)(6)を用いて入力層に出現した画像を図8に示す。
残りの370個については、獲得された特徴マップを逆投影して生成した画像である。
したがって、任意の2つの画像の間には両者を内挿するようなものが生成されている。
例えば図8(b)において、上から10行目、左から3列目のニューロンは「(+.+)}」という新規の画像を生成している。
また、別の試行では「(FoF)」を生成していた。
[入力データの適合性]
競合層への入力データが複数種類になってくると、その入力データの適合性が問題となる。競合層へのどのような入力データであっても何らかしらのパターンは生成されるものの、どの学習時の入力層への入力データにもまったく類似しないパターンが生成されることがある。通常このようなパターンは利用されない。そして、競合層への入力データを複数種類入力しても使用者の所望のパターンが生成されない状況に陥る。そこで、このような状況を回避すべく、ある競合層への入力データに基づく生成されたパターンが学習時の入力パターンと所定以上の相関を有するか否かを判断する。
パターン生成部25が競合層の結合係数を取り出す(S301)。
競合層入力データ生成部が競合層への入力データを生成する(S311)。ここでは入力データを生成しているが、入力データは使用者に指定された入力データを取り込む構成であってもよい。また、生成した入力データは正規化して用いることもできる。正規化は例えば次の式により行う。
次式は複数の競合層のニューロンを用いて入力層の信号を生成するための式である。なお、単一の競合層のニューロンを用いて入力層の信号を生成するための式は、前記式(5)である。
S331で所定の相関を有しないと判断された場合には、S311に戻る。
S331で所定の相関を有すると判断された場合には、出力部22が生成データを出力する(S221)。
前記第1の実施形態においては、パターン生成時おいては、競合層のあるニューロンを1とし、他のニューロンを0とした競合層への入力データに対する出力データを生成パターンとして出力したと把握することもできる。
前記第1の実施形態においては、入力データ群について学習して自己組織化マップを形成し、形成した自己組織化マップを用いて新たなパターンを生成した。新たなパターンは学習時の入力層の入力データに比べると、使用者が望んだものであるが目標とするものと比べると劣るといった状況に陥ることは多々ある。
そこで、ここでは、生成した新たなパターンの中で使用者が望むパターンを含めて再度学習して自己組織化マップを形成した後にパターンを新たに生成させるものである。
前記第1の実施形態においては、顔文字をビットマップで表現しているが、実際にはコンピュータに登録されているフォント内の記号で顔文字を構成することが好ましい。しかしながら、登録されているフォント内の記号と相違する画像である場合には顔文字を表現することができない。そこで、コンピュータに登録されているフォント内の記号と生成された画像の相関から最も適合するフォント内の記号を選択して出力する構成にすることもできる。
20 CPU
21 入力部
22 出力部
23 競合学習部
24 協調学習部
25 パターン生成部
30 ディスプレイ
31 ROM
32 HD
33 LANカード
34 マウス
35 キーボード
36 ビデオカード
37 サウンドカード
38 スピーカー
39 CD−ROMドライブ
Claims (8)
- 自己組織化マップを用いてパターンを生成するパターン生成装置であって、
入力層のニューロンに任意の入力データを取り込む入力層入力手段と、
入力層のニューロンから競合層のニューロンへの結合係数と入力された前記入力データとの距離を計算し、当該距離が最小となる競合層のニューロンを勝者ニューロンとして選択する競合学習手段と、
選択された前記勝者ニューロン及び当該勝者ニューロンの近傍にあるニューロンについて、前記入力データ及び前記結合係数に応じて当該結合係数を更新する協調学習手段と、
前記競合層のニューロンに任意の入力パターンを取り込む競合層入力手段と、
前記競合層に入力された前記入力パターンと前記協調学習手段にて更新された前記結合係数とに基づいて、前記入力層におけるニューロンの信号パターンを演算するパターン生成手段と、
演算された前記入力層における前記信号パターンを出力するパターン出力手段とを備え、
前記パターン生成手段が、
前記入力層入力手段、前記競合学習手段及び前記協調学習手段による一連の学習処理が完了することで得られた前記結合係数と、前記競合層入力手段にて取り込まれた入力パターンとの積により前記信号パターンを演算することを特徴とするパターン生成装置。
- 請求項1に記載のパターン生成装置において、
前記競合層入力手段が取り込む前記入力パターンが、任意の一のニューロンの信号を1とし、他のニューロンの信号を0とすることを特徴とするパターン生成装置。
- 請求項2に記載のパターン生成装置において、
信号を1に設定した前記任意の一のニューロン及び前記パターン生成手段で演算された前記信号パターンを関連付けて記録する第1記憶手段と、
前記第1記憶手段に記録された情報に基づいて、前記信号パターンを前記競合層における前記任意の一のニューロンの配置位置に対応させて出力する出力手段とを備えることを特徴とするパターン生成装置。
- 請求項3に記載のパターン生成装置において、
前記入力データに対応する前記競合層の勝者ニューロンを記録する第2記憶手段と、
前記第1記憶手段及び前記第2記憶手段に記録された前記勝者ニューロン並びに前記任意の一のニューロン及び前記信号パターンから、生成した信号パターンのうち前記勝者ニューロンに係る前記信号パターンを特定する特定手段と、
特定された前記信号パターンを他の信号パターンと識別可能に表示する表示制御手段とを備えることを特徴とするパターン生成装置。
- 請求項2に記載のパターン生成装置において、
前記入力データに対応する前記競合層の勝者ニューロンを記録する第2記憶手段と、
信号を1に設定した前記任意の一のニューロン及び前記パターン生成手段で演算された前記信号パターンを関連付けて記録する第1記憶手段と、
前記第1記憶手段及び前記第2記憶手段に記録された前記勝者ニューロン並びに前記任意の一のニューロン及び前記信号パターンから、生成した信号パターンのうち前記勝者ニューロンに係る前記信号パターンを特定する特定手段と、
特定された前記信号パターンを他の信号パターンと識別可能に表示する表示制御手段とを備えることを特徴とするパターン生成装置。
- 請求項2に記載のパターン生成装置において、
前記入力データに対応する前記競合層の勝者ニューロンを記録する第2記憶手段と、
前記入力データに関連付けて記録した前記勝者ニューロンに基づき、前記入力データを前記競合層のニューロンの配置位置に対応させて前記自己組織化マップとともに出力する出力手段と、
使用者からマップ上のニューロンの選択を受け付ける選択ニューロン受付手段とを備え、
使用者から受け付けた選択されたニューロンを競合層上の前記任意の一のニューロンとすることを特徴とするパターン生成装置。
- 自己組織化マップを用いてパターンを生成するようにコンピュータを機能させるパターン生成プログラムであって、
入力層のニューロンに任意の入力データを取り込む入力層入力手段、
入力層のニューロンから競合層のニューロンへの結合係数と入力された前記入力データとの距離を計算し、当該距離が最小となる競合層のニューロンを勝者ニューロンとして選択する競合学習手段、
選択された前記勝者ニューロン及び当該勝者ニューロンの近傍にあるニューロンについて、前記入力データ及び前記結合係数に応じて当該結合係数を更新する協調学習手段、
前記競合層のニューロンに任意の入力パターンを取り込む競合層入力手段、
前記競合層に入力された前記入力パターンと前記協調学習手段にて更新された前記結合係数とに基づいて、前記入力層におけるニューロンの信号パターンを演算するパターン生成手段、
演算された前記入力層における前記信号パターンを出力するパターン出力手段としてコンピュータを機能させ、
前記パターン生成手段が、
前記入力層入力手段、前記競合学習手段及び前記協調学習手段による一連の学習処理が完了することで得られた前記結合係数と、前記競合層入力手段にて取り込まれた入力パターンとの積により前記信号パターンを演算することを特徴とするパターン生成プログラム。
- 学習した自己組織化マップの競合層のニューロンと入力層のニューロンの間の結合係数と競合層のニューロンの信号から
にて入力層のパターンとして生成し、さらに
を満たすパターン生成ステップと、
パターン生成ステップでの一のニューロンと生成したパターンを関連付けて記録するステップと、
競合層のニューロンと生成パターンの記録に基づき生成パターンをマップの競合層のニューロンの配置位置に対応させて出力するステップと、
競合学習時の入力データに対応する競合層の勝者ニューロンを記録するステップと、
記録した勝者ニューロン並びに記録した一のニューロン及び生成したパターンから、生成したパターンのうち勝者ニューロンに係る生成パターンを特定するステップと、
特定した生成パターンを他の生成パターンと識別可能に表示するステップとを含む自己組織化マップを用いたパターン生成方法。
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