[実施例1]
(画像形成装置例の全体的な概略構成)
本実施例の画像形成装置は、カートリッジが着脱可能な電子写真画像形成装置である。この画像形成装置の全体的な概略構成について図1・2・7・8を用いて説明する。
図1は本実施例の画像形成装置100の外観斜視図、図2は断面図である。この画像形成装置は、電子写真プロセスを用いた、4色フルカラーのレーザープリンタである。即ち、パソコン・イメージリーダ・相手方ファクシミリ装置等の外部ホスト装置(不図示)から画像形成装置の制御回路部200に入力する電気的な画像信号に基づいて記録媒体(用紙)に対する画像形成を実行する。
以下の説明において、画像形成装置100に関して、前側(正面側)とは、開閉部材としてのドア31を配設した側である。後側とは、それとは反対側である。前後方向とは、画像形成装置100の後側から前側に向かう方向(前方向)と、その逆の方向(後方向)である。左右とは、画像形成装置100を前側から見て左または右である。左右方向とは、右から左に向かう方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。装置本体(本体フレーム)100Aとは、カートリッジ以外の画像形成装置部分である。
装置本体100A内には、後側から前側にかけて、第1から第4の4つのカートリッジPY・PM・PC・PKが水平方向に並べて配設(インライン構成、タンデム型)されている。各カートリッジは、収容させたトナーの色が異なるだけで、互いに同様の構成のものである。
本実施例の各カートリッジは、第1の像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1と、このドラムに作用するプロセス手段としての帯電器2・現像器3・クリーニング器4をカートリッジ枠体5内に一体的に組み付けたものである。帯電器2は接触帯電ローラである。現像器3は、ドラム1に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体としての現像ローラ3aを有し、現像剤容器内には現像剤(トナー)を収容する現像剤収納部を有する。クリーニング器4はブレード式のものである。
第1のカートリッジPYは、現像器3にイエロー(Y)のトナーを収容しており、ドラム1の表面にY色トナー像(現像剤像)を形成する。第2のカートリッジPMは、現像器3にマゼンタ(M)のトナーを収容しており、ドラム1の表面にM色トナー像を形成する。第3のカートリッジPCは、現像器3にシアン(C)のトナーを収容しており、ドラム1の表面にC色トナー像を形成する。第4のカートリッジPKは、現像器3にブラック(K)のトナーを収容しており、ドラム1の表面にK色トナー像を形成する。
カートリッジPY・PM・PC・PKの上方部には、レーザースキャナユニット11が配設されている。このスキャナユニット11は、外部ホスト装置から制御回路部200に入力する各色の画像情報に対応して変調したレーザー光Lを出力する。その出力レーザー光Lがカートリッジ枠体5の上面に設けた露光窓6を通って各カートリッジ内に進入する。これにより、ドラム1の表面にレーザー走査露光がなされる。
装置本体100Aは、中間転写ベルトユニット12を有する。このベルトユニット12は、カートリッジP(PY・PM・PC・PK)の下方に配置されている。このベルトユニット12はエンドレスベルト13を有する。このベルト13は、用紙Pに画像を形成するために、各カートリッジPのドラム1と接触する転写部材(第2の像担持体)である。このベルト13は、誘電体製で可撓性を有する。そして、ベルト13の内側には、ベルト13を張設して循環移動させる駆動ローラ14・ターンローラ15・テンションローラ16が設けられている。
駆動ローラ14とテンションローラ16は装置本体100A内の後側に配設されている。ターンローラ15は装置本体100A内の前側に配設されている。各カートリッジPのドラム1の下面はベルト13の上面に接している。ベルト13の内側には、4個の一次転写ローラ17が配設されている。この一次転写ローラ17は、ベルト13の上部を介して各カートリッジのドラム1に対向している。駆動ローラ14は、ベルト13を介して二次転写ローラ22と対向している。
ベルトユニット12の下方には、給紙ユニット18が配設されている。この給紙ユニット18は、給紙カセット19、給紙ローラ20、分離パッド21を有する。給紙カセット19は装置本体100Aの前側から出し入れ自由である(フロントローデング)。
装置本体100A内の後側の上部には、定着装置23と、排紙ローラ対24が配設されている。装置本体100Aの上面に排紙部25が設けられている。定着装置23は、定着フィルムアセンブリ23aと加圧ローラ23bを有する。排紙ローラ対24は排紙ローラ24aと排紙コロ24bを有する。
装置本体100A内の転写接触位置(潜像形成位置)に位置している各カートリッジPは、後述する押圧部材により押圧されて所定の位置決め部に固定されている。ここで、転写接触位置(潜像形成位置)とは、ドラム1とベルト13が接触している位置であり、ドラム1に潜像形成が可能な位置のことを指す。この転写接触位置では、そのカートリッジPの駆動入力部に対して装置本体100Aの駆動出力部が結合している。更に、そのカートリッジPの電気接点に対して装置本体100Aの給電系統が導通化している。
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。第1〜第4の各カートリッジPのドラム1が矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。ベルト13も矢印の時計方向(ドラム回転に順方向)にドラム1の速度に対応した速度で回転駆動される。スキャナユニット11も駆動される。この駆動に同期して、各カートリッジPにおいてそれぞれ所定のタイミングで帯電ローラ2がドラム1の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する。
スキャナユニット11は各ドラム1の表面を各色の画像信号に応じて変調されたレーザー光Lで走査露光する。これにより、各ドラム1の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像が現像器3により現像剤像(トナー像)として現像される。
上記のような電子写真画像形成プロセス動作により、第1のカートリッジPYのドラム1にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するY色トナー像が形成され、そのトナー像がベルト13上に一次転写される。
第2のカートリッジPMのドラム1にはフルカラー画像のマゼンタ成分に対応するM色トナー像が形成され、そのトナー像が、ベルト13上にすでに転写されているY色トナー像に重畳されて一次転写される。
第3のカートリッジPCのドラム1にはフルカラー画像のシアン成分に対応するC色トナー像が形成され、そのトナー像が、ベルト13上にすでに転写されているY色+M色トナー像に重畳されて一次転写される。
第4のカートリッジPCのドラム1にはフルカラー画像のブラック成分に対応するK色トナー像が形成され、そのトナー像が、ベルト13上にすでに転写されているY色+M色+C色トナー像に重畳されて一次転写される。
かくして、ベルト13上にY色+M色+C色+K色の4色フルカラーの未定着トナー像が形成される。
各カートリッジにおいて、一次転写後のドラム1の表面に残留した転写残トナーはクリーニング器4により除去される。
一方、所定のタイミングで給紙ローラ20が駆動される。そして、給紙ローラ20と分離パッド21との協働で、給紙カセット19上に積載されている用紙Pが1枚ずつ分離して給送される。これによって、用紙Pが二次転写ローラ22とベルト13とのニップ部(二次転写ニップ部)に導入される。これにより、用紙Pが該ニップ部を挟持搬送されていく過程でベルト13上の4色重畳のトナー像が用紙Pの面に順次に一括転写される。
用紙Pはベルト13の面から分離されて定着装置23へ導入され、定着ニップ部で加熱・加圧される。これにより、各色トナー像の混色及び用紙への定着がなされる。そして用紙Pは、定着装置23を出て、フルカラー画像形成物として排紙ローラ対24で排紙部25上に排出される。
用紙分離後のベルト13の表面に残留した二次転写残トナーはクリーニング手段(不図示)にて除去される。
(カートリッジ交換方式)
カートリッジ交換方式について図1〜10・17・19・22・23を用いて説明する。
第1〜第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、画像形成に使用されるにつれて、それぞれ、現像器3に収容されている現像剤(トナー)が消費される。そして、カートリッジを購入したユーザにとって満足できる品質の画像を形成することが出来なくなる程度まで現像剤が消費された際に、カートリッジとしての商品価値が喪失する。
そこで、例えば、個々のカートリッジの現像剤残量を検知する手段(不図示)を具備させて、制御回路部200において、検知残量値を、予め設定したカートリッジ寿命予告や寿命警告のための閾値と比較させる。そして、検知残量値が閾値よりも少ない残量値となったカートリッジについては、表示部(不図示)に、そのカートリッジについての寿命予告あるいは寿命警告を表示させる。これによりユーザに、交換用のカートリッジの準備を促す、あるいはカートリッジの交換を促して、出力画像の品質を維持するようにしている。
本実施例におけるカートリッジPの交換は、カートリッジPを引き出し式のトレイ35に乗せ、フロントアクセスにより交換する方式である。これにより、ユーザビリティが向上する。
ここで、装置本体100Aの前側には、装置本体100Aの内側へカートリッジを押し込む、又は、装置本体100Aからカートリッジを引き出す際に、トレイ35(カートリッジP)が通過する開口部30が設けられている。
そして、装置本体100Aの前側には、回動可能なドア31が配設されている。このドア31は、開口部30を閉鎖する位置と開放する位置とを取り得る開閉部材である。
本実施例においては、ドア31の下辺側の左右部に、ヒンジとしての横軸32(32L・32R)が設けられている。このドア31は、横軸32を中心として、装置本体100Aに対して回動可能である。すなわち、ドア31は、横軸32を中心に立て起こすように回動して、図1・図2のように、装置本体100Aの開口部30を閉じることができる。また、横軸32を中心に装置本体100Aの前側に倒すように回動して、図3・図4のように、開口部32を開くことができる。ドア31に設けられた31aは、ドア31を開閉するための把持部(指掛け部)である。
また、装置本体100Aの骨格となるメインフレームの左フレーム80Lの内側と右フレーム80Rの内側に左右一対のトレイ保持部材34(34L・34R)が配設されている。保持部材34はそれぞれが対向して設けられている。この保持部材34は、装置本体100Aの前後方向を長手方向としている。
そして、この保持部材34の間には、枠型部材であるカートリッジトレイ35が設けられている。このトレイ35は、前後方向に水平にスライド可能に保持部材34に保持されている。このトレイ35はカートリッジPを支持している。即ち、トレイ35は、複数のカートリッジP(PY・PM・PC・PK)がそれぞれ取り外し可能に装着される装着部を有する。
そして、ドア31が開くのに連動して、保持部材34が前方及び上方に所定量移動する。即ち、保持部材34が、第一の位置から第二の位置へ移動する。
ここで、第一の位置とは、トレイ35を後述する転写接触位置に位置させるための保持部材34の位置であり(図2参照)、第二の位置とは、トレイ35を押し込み位置と引き出し位置との間で移動させるための保持部材34の位置である(図4、図6参照)。この押し込み位置とは、トレイ35が装置本体100Aの内側に押し込まれた位置である(図4参照)。また、引き出し位置とは、トレイ35が装置本体100Aの外側に引き出された位置であり、カートリッジPを前記装着部に取り外し可能に装着出来る位置である(図6参照)。
ここで、トレイ35の移動方向は、カートリッジが有するドラム1の軸線方向(カートリッジの長手方向)に対して直交している。そして、保持部材34が第一の位置から第二の位置に移動することにより、保持部材34の前部が、開口部30から前方へ所定量突出する(図3・図4参照)。ドア31と保持部材34の連動機構は後述する。
また、保持部材34が第一の位置から第二の位置へ移動するのに連動して、各カートリッジPの駆動入力部に対する装置本体100A側の駆動出力部の結合が解除される(駆動解除)。更に、各カートリッジを位置決め固定している押圧部材の押圧が解除される(押圧解除)。更に、各カートリッジの電気接点に対する装置本体側の給電系統の導通が解除される(給電解除)。更に、トレイ35の位置決め固定が解除される。
上記のように、保持部材34が第一の位置から第二の位置に移動した際には、保持部材34と一緒にトレイ35及び各カートリッジPも上方へ移動して、ドラム1がベルト13から離隔する(図4)。即ち、トレイ35が、ドラム1とベルト13とを接触させる転写接触位置(図2)から、ドラム1とベルト13とを離隔させる転写離隔位置(=押し込み位置)(図4)へ移動する。
次に、トレイ35に保持されている4つのカートリッジPの全体が、開口部30を通過して装置本体100Aの外側に引き出される(図5、図6参照)。即ち、トレイ35が押し込み位置(図4)から引き出し位置(図6)へ移動する。そして、全カートリッジPの上面が開放される。トレイ35は、所定量引き出されると、ストッパ部(不図示)によりそれ以上の引き出し移動が阻止される。また、トレイ35は、引き出し位置まで水平に引き出されている状態が保持部材34により保たれる。
トレイ35は、個々のカートリッジPを真上に取り出し可能に支持している。そこで、図6の2点鎖線示のように、交換すべき使用済みのカートリッジPを、トレイ35から上方に持ち上げて外す。そして、新しいカートリッジPをトレイ35の装着部に載せる。そして、トレイ35を引き出し位置から押し込み位置に移動させる。その後に、ドア31を閉じる。
ドア31を閉じるのに連動して、保持部材34は第二の位置から第一の位置に移動して、トレイ35は押し込み位置から転写接触位置に移動する。そして、この保持部材34の移動に連動して、各カートリッジPは押圧部材により押圧されて所定の位置決め部に固定される。その結果、各カートリッジPのドラム1の下面がベルト13の所定の位置に接触する。更に、そのカートリッジPの駆動入力部に対して装置本体側の駆動出力部が結合する。更に、そのカートリッジPの電気接点に対して装置本体100A側の給電系統が導通化する。
ドラム1の下面を保護する開閉式のドラムカバー(不図示)を有するカートリッジの場合は、トレイ35から外したらドラムカバーを手動で閉じ、トレイ35に乗せる前にドラムカバーを手動で開く構成にしても良い。あるいは、カートリッジをトレイ35から上方に持ち上げる過程でドラムカバーが自動的に閉じ、トレイ35に上から載せる過程でドラムカバーが自動的に開く構成にしても良い。
まとめると、トレイ35は、カートリッジPを装置本体100Aの外側において着脱出来るように引き出された引き出し位置を取り得る。また、トレイ35は、カートリッジPを装置本体100Aの内側に押し込んだ押し込み位置を取り得る。また、トレイ35は、ドラム1をベルト13に接触させる転写接触位置を取り得る。
また、左右の保持部材34(34L・34R)は、トレイ35を支持する支持部材である。保持部材34は、トレイ35を転写接触位置に位置させるための第一の位置と、トレイ35を引き出し位置と押し込み位置との間で移動させるための第二の位置と、を取り得る。
(カートリッジ)
図7と図8は、カートリッジPの外観斜視図である。図7は駆動側から見た斜視図、図8は非駆動側から見た斜視図である。
カートリッジPは、ドラム1の軸線方向を左右方向とし、この左右方向を長手とする横長箱型のアセンブリである。ドラム1はカートリッジ枠体5の右側面部と左側面部に配設した軸受部51・52に回転可能に支持されている。右軸受部51にはドラム駆動入力部としてのカップリング嵌合部53が設けられている。また、枠体5の右側面部には、現像ローラ3aを駆動するための現像駆動入力部としてのカップリング嵌合部54が設けられている。枠体5の左側面部には、カートリッジ電気接点55が設けられている。
枠体5の左側面部と右側面部には、枠体5の天井板部分それぞれを左右方向に延長して張り出させた庇部56が設けられている。枠体5の上面には左右方向を長手とする露光窓6が設けられている。カートリッジPにおいて、カップリング嵌合部53・54が設けられた右側面部が駆動側であり、その反対側の左側面部が非駆動側である。
(トレイ)
図9はトレイ35の外観斜視図である。このトレイ35は、矩形の大枠部を有し、その大枠部内を3枚の仕切り板35fで前後方向に略等分に4つに仕切られている。後枠35c側から前枠35b側へ順に、第1〜第4の横長小枠部35(1)〜35(4)が形成されている。その各小枠部35(1)〜35(4)が、それぞれ第1〜第4の4つのカートリッジPを保持する部分である。また、各小枠部35(1)〜35(4)の右枠35eには、それぞれ、現像駆動カップリングが出入りする孔部35gが配設されている。
また、トレイ35は、カートリッジPの電気接点55(図8)に電気的に接続する中間電気接点72a〜72dを有している。この中間電気接点72は装置本体100Aの左フレーム80L側に設けられた本体側電気接点75a〜75d(図22・図23)と電気的に接続することが可能である。これについては後述する。
各カートリッジPは、トレイ35の対応する小枠部内に上から挿入され、左右側の庇部56の下面がトレイ35の左右枠35d・35eの上面に受け止められる。これにより、各カートリッジPは、トレイ35に支持される。すなわち、トレイ35は、各カートリッジPを真上に取り出し可能に支持している。トレイ35は各カートリッジPをそれぞれラフに保持している。この構成により、各カートリッジPの交換を容易にすることができる。
トレイ35の左右枠35d・35eがそれぞれ左右の保持部材34L・34Rの内側に設けた前後方向のガイド溝部34aに係合している。これにより、トレイ35は、左右の保持部材34に支持されるとともに、ガイド溝部34aを滑走して保持部材34に対して前後方向に(水平に)スライド可能である。
(ドア31とトレイ保持部材34の連動機構、及び、第一の規制部材)
ドア31と保持部材34の連動機構、及び、第一の規制部材について、図10〜15・17・18・21・23を用いて説明する。
図10は、ドア31と保持部材34の連動機構部分の斜視図である。ドア31の左右側のヒンジ部32(32L・32R)は、装置本体100Aに対して左右方向に水平に配列されている。そして、ヒンジ部32はそれぞれ、装置本体100Aの左右側に設けられた軸受け部材(不図示)に回転可能に軸受けされている。軸受け部材は左右フレーム80L・80R(図23)であってもよい。
また、ドア31の左右両端部には、それぞれ、連結アーム37(37L・37R)が配設されている(本実施例では、ドア31と連結アーム37は別部材である)。この連結アーム37が、ドア31と保持部材34とを連動させる。連結アーム37が有するヒンジ部120(120L・120R)は、装置本体100Aに対して左右方向に水平に配列されている。そして、ヒンジ部120は、それぞれ、装置本体100Aの左右に設けられた軸受け部材(不図示)に対して回動可能に支持されている。軸受け部材は左右フレーム80L・80Rであってもよい。
連結アーム37L・37Rは、それぞれ、横向き軸37a・37bを具備している。そして、左側の連結アーム37Lの横向き軸37aは、左側の保持部材34Lの前側下部に設けられた縦長孔34Aに係合している。また、連結アーム37Lの横向き軸37bはドア31の左側面部に設けられた溝31Bに係合している。また、右側の連結アーム37Rの横向き軸37aは、右側の保持部材34Rの前側下部に設けられた縦長孔34Aに係合している。また、連結アーム37Rの横向き軸37bはドア31の右側面部に設けられた溝31Bに係合している。
即ち、ドア31と保持部材34は、連結アーム37を介して連結している。これにより、ドア31の開閉と連動して、連結アーム37が回動する。これにより、左右の保持部材34に前後方向への移動力が作用することになる。
このとき連結アーム37のヒンジ部120は、ドア31のヒンジ部32と同軸上にあってもよい。さらに、連結アーム37を設けず、ドア31と保持部材34を直接連結してもよい。
図11・図12に示すように、左右の保持部材34は、それぞれ、前後に間隔を開けられた2本のピン軸34cを有している。これらのピン軸34cは、装置本体100Aの左右フレーム80(80L・80R)のそれぞれに設けられたカイド穴36に係合している。このピン軸34cとカイド穴36の係合により、保持部材34はそれぞれ左右フレーム80に支持される。
図11は、左側の保持部材34Lの2本のピン軸34cと、カイド穴36と、を示している。右側の保持部材34Rについては不図示であるけれども、左側の保持部材34Lと同様であり、そのピン軸34cとカイド穴36は左側の保持部材34Lと鏡面対称に構成されている。
従って、左右の保持部材34は、それぞれ、カイド穴36のガイド範囲において左右フレーム80に対して移動可能である。
図12は、カイド穴36部分の拡大図である。何れのガイド穴36も、第1ガイド領域36aと、第2ガイド領域36bと、第3ガイド領域36cと、を有している。ここで、第1ガイド領域36aは、装置本体100Aの前後方向に平行な水平領域である。また、第2ガイド領域36bは、第1ガイド領域36aの前部に連設されており、昇り傾斜の領域である。また、第3ガイド領域36cは、第2ガイド領域36bの頂上部(前部)に連設されており、装置本体100Aの前後方向に平行な水平領域である。従って、第3ガイド領域36cは、ピン軸34cを安定に保持することができる。
ピン軸34c(保持部材34)は、ドア31が開くのに連動して、第1ガイド領域36aに沿って水平方向に距離a1だけ移動した(第一移動)後、第2ガイド領域36bに沿って斜め上方(水平方向に距離a2、垂直方向に距離b)へ移動する(第二移動)。そして、最後に第3ガイド領域36cに沿って水平方向に距離a3だけ移動する(第三移動)。
ここで、垂直方向とは、ドラム1とベルト13が接離する方向である。
図11の(a)は、ドア31が装置本体100Aに対して十分に閉められている状態を示している。この状態においては、左右の保持部材34は、ヒンジ軸32、連結アーム37、横向き軸37a、縦長孔34Aを介して、装置本体100A内の後部に押し込まれている。この際、ピン軸34cはカイド穴36の第1ガイド領域36aの後端部に位置している。そのために、左右の保持部材34は、それぞれ、左右フレーム80に対して第一の位置に保持されている。ここで、保持部材34に保持されているトレイ35は転写接触位置に位置している。
トレイ35に保持されている各カートリッジPは、それぞれ左右側の上面部分が押圧部材により押圧されている。これにより、駆動側の軸受部51と非駆動側の軸受部52との下面部分(被位置決め部)が、装置本体100Aのステー部材(内側板)に設けられた位置決め部に固定される。これにより、各カートリッジPが装置本体100Aに対して位置決めされる。この状態において、各カートリッジPのドラム1の下面がベルト13の上面に対して安定して接している。
各カートリッジPのカップリング嵌合部53・54には、それぞれ、装置本体100A側のドラム駆動カップリングと現像駆動カップリングが嵌入している状態にある。
各カートリッジPの電気接点55に対しては、それぞれ、中間電気接点を介して装置本体100A側から給電を行うことが可能な状態にある。
また、トレイ35の右側には、下向きのU溝110が設けられている。このU溝110の下端部が、装置本体100Aの右フレーム80Rに固定されたピン111に嵌合している。これによって、トレイ35の右側が装置本体100Aに位置決めされている。トレイ35の左側には、下向きの突起部67が設けられている(図17・18・21参照)。この突起部67の下端部が、装置本体100Aに固定された中間転写ベルト保持部材68にている。トレイ35の位置決め手段は、前述の手段のうち左右どちらかのみでもよい。
図11の(b)は、ドア31を途中まで開いた状態を示している。図11の(a)のドア閉じ状態からドア31が開かれていくと、これに連動して、保持部材34は装置本体100Aの前方向に引かれる。これにより、ピン軸34cがカイド穴36の第1ガイド領域36aでガイドされて、保持部材34が前方向に距離a1だけ移動する。図11の(b)はこの状態を示している。
この保持部材34の距離a1の移動過程において、各カートリッジPに対するドラム駆動カップリングと、現像駆動カップリングが解除される。また各カートリッジPの押圧部材による押圧位置決めも解除される。このとき、ピン111、突起部67がそれぞれ、U溝110、突起部67に、嵌合しているため、トレイ35が保持部材34の水平方向の動きに追従しない。
続いて、ドア31が開くのに連動して、更に保持部材34が装置本体100Aの前方向に引かれる。これにより、ピン軸34cがカイド穴36の第2ガイド領域36bでガイドされ、保持部材34が斜め上方に移動する。この保持部材34の斜め上方への移動過程において、各カートリッジPの電気接点55と装置本体100A側との電気的接続が解除される。
ここで、図13のように、ピン111のU溝110に対する進入量をcとする。また、保持部材34の上記の斜め上方への移動にともなうU溝110の上昇量をbとする。保持部材34が斜め上方に移動する際、U溝110がピン111に係合している間(c>b)は、U溝110(トレイ35)は保持部材34の垂直方向の移動にのみ追従する。そして、保持部材34がある程度持ち上がった状態(c≦b)では、ピン111がU溝110から抜けて、トレイ35が水平方向に移動可能となる。
このような構成にすることで、トレイ35に保持されている各カートリッジPのドラム1の下面がベルト13に接している状態では、トレイ35が水平方向に移動することはない。したがって、ドラム1とベルト13のこすれによって生じるキズ、メモリを防止することができる。トレイ35の左側に設けられた突起部67とベルト保持部材68に設けられた穴69の進入量に関しても同様の構成をとることが可能である。
図11の(c)は、ドア31が十分に開かれた状態を示している。この際、保持部材34は第2ガイド領域36bによる斜め上方への移動を終えて、ピン軸34cが水平の第3ガイド領域36cに位置している。即ち、保持部材34は、それぞれ、左右フレーム80に対して所定の上げ位置(第二の位置)に保持される。
上記のように、ピン軸34cを水平な第3ガイド領域36cに位置させる理由は、保持部材34からトレイ35を引き出してカートリッジPを交換する際に、カートリッジPや保持部材34の高さ方向の位置を安定させるためである。また、保持部材34が元に戻る動きを防止するためである。
図11の(c)の状態においては、ピン111がU溝110から抜けており、また、突起部67が穴69から抜けていて、トレイ35の潜像形成位置(転写接触位置)に対する位置決め状態が解除されている。
ただし、保持部材34が第一の位置から第二の位置に移動した状態においては、保持部材34に保持されているトレイ35は、押し込み位置から引き出し位置に向かって移動しないように規制されている。これに関しては後述する。
上記の溝110とピン111及び突起部67と穴69が、トレイ35が転写接触位置に位置する際に、カートリッジが有するドラム1とベルト13が接触する方向と交差する方向に移動しないように規制する。そして、この規制部材110・111及び67・69によるトレイ35の移動規制は、保持部材34に保持されているドラム1とベルト13とが離間する離間方向(上方向)の移動にならって、トレイ35が追従した後、解除される。
即ち、保持部材34は、ドア31が開かれるのに連動して、前述した第一移動及び第二移動及び第三移動を行う。そして、保持部材34は、第1移動において駆動の切断を行い、鉛直方向の移動(第二移動)にならって、トレイ35が追従した後、第一の規制部材110・111及び67・69が解除される。
この状態において、トレイ35は、保持部材34に対して前後方向にスライド移動し、カートリッジPを交換可能な引き出し位置と、カートリッジPを装置本体100Aの内側に押し込んだ押し込み位置と、を取り得る。
図15は、カートリッジPの交換が可能な位置にトレイ35を引き出した状態を示す斜視図である。ここで、トレイ支持部材としての連結アーム37(37L・37R)は、トレイ支持部121(121L・121R)を有する。そして、このトレイ支持部121が、引き出し位置に位置しているトレイ35を支持している。
即ち、ドア31と保持部材34とを連動させる連結アーム37が、トレイ35が引き出し位置にある際に、トレイ35を支持する支持部材を兼ねる。これにより、トレイ35の手前側がトレイ35及びカートリッジPの自重によって下方に大きくたわんでドラム1の表面が傷付くことや、トレイ35の引き出しによって装置本体100Aの重量バランスが崩れて前方へ転倒することを防ぐことができる。
また、トレイ支持部121は、トレイ35が引き出し位置と押し込み位置との間で移動する際のガイド部を兼ねており、これにより、トレイ35を安定にスムーズに移動させることができる。
連結アーム37はドア31と連動して回動するため、トレイ支持部121は、ドア31の閉鎖時には装置本体100Aの内部に位置し、ドア31の開放時には装置本体100Aの外部に位置する。これにより、装置本体100Aのサイズをアップすることなく、トレイ35を引き出し位置において安定に保持し、カートリッジPを交換する時のユーザビリティを向上することができる。また、連結アーム37(トレイ支持部121)の最大回動半径は、ドア31の最大回動半径よりも小さいため、連結アーム37の剛性を上げ易い。
このとき、トレイ35を引き出し位置において支持するトレイ支持部121の形状及び支点の数は、図15に示した通りでなくてもよい。また、ドア31とトレイ支持部121が一体に設けられていてもよい。
上述の構成により、装置本体100Aのサイズ、及びコストをアップすることなく、ベルト13とカートリッジのドラム1とのこすれによるキズ、メモリの発生を防止した、引き出し方式の画像形成装置を提供することができる。
(インターフェイス部)
インターフェイス部について、図1・2・5〜7・14〜16・25を用いて説明する。図14から図16は、トレイ保持部材34(34L・34R)に連動して解除するカートリッジ周囲のインターフェイス部を説明する図である。
図14は、カートリッジPがない状態で、図1・図2のドア31が閉まっている状態を示す図である。図15は、図5・図6のドア31を開き、トレイ35を引き出した状態を示す図である。
装置本体100A内の右側には、各カートリッジPのドラム1や現像ローラ3aを駆動させるために、カートリッジ側の駆動入力部53・54(図7)と連結する駆動出力部としての、ドラム駆動カップリング39及び現像駆動カップリング40が設けられている。
また、装置本体100A内の左右両側には、ステー部材81L・81Rに設けられている(図25参照)。そして、各カートリッジPの軸受部51、52の下面部分を受け止める位置決め部41(Y・M・C・K)が、ぞれぞれ、ステー部材81L・81Rに設けられている(図25参照)。そして、装置本体100A内の左右両側には、軸受部51、52を位置決め部41に嵌合させて固定するために、カートリッジPの左右側上面をそれぞれ押圧する押圧部材42が設けられている。押圧部材42には、押圧力発生のために押圧バネ43が設けられている。
図16の(a)は、図14の押圧部材42と、ドラム駆動カップリング39と、現像駆動カップリング40部分の拡大図であり、(b)は、図15の押圧部材42と、ドラム駆動カップリング39と、現像駆動カップリング40部分の拡大図である。
押圧部材42は、支点44を中心に回動可能に装置本体100Aに設けられており、押圧バネ43のバネ力によりカートリッジPの左右端部の上面を押圧部材レバー部45で押圧している。図16の(b)の押圧解除状態では、保持部材34Rに設けられた押圧部材押し上げ部46により、押圧部材レバー部45が押し上げられ、カートリッジPへの押圧が、トレイ保持部材34Rの動きに連動して解除される。
また、解除レバーピン47が、ドラム駆動カップリング39を後退させるためにカップリング中心に設けられた解除レバー48(カートリッジの駆動を切断する駆動切断手段)に設けられている。そして、保持部材34Rの動きに連動して、ピン47が、図16の(a)の位置から(b)の位置に動く。これによる解除レバー48の動作で、(b)の位置にドラム駆動カップリング39と、現像駆動カップリング40が後退する。すなわち、各カートリッジPに対するドラム駆動カップリングと、現像駆動カップリングが解除される。
図15の状態(即ち、ドラム駆動カップリング39と現像駆動カップリング40と押圧部材42とが保持部材34の動きに連動して解除された状態)においては、トレイ35は、スライド可能になる。したがって、トレイ35はカートリッジPを乗せて装置本体100Aへ収納・引き出しが行える状態になる。
前記のように、左右の保持部材34はドア31の開閉動作に連動して動作する。この場合、ドア31の開閉力を緩和するために、上記の押圧と駆動のそれぞれの解除タイミングを少しずつ異なるタイミングにする構成にするとよい。
すなわち、ドラム駆動カップリング39と、現像駆動カップリング40と、押圧部材42の解除タイミングを少しずつ異なるタイミングにする。具体的には、ピン47、押し上げ部46の位置を移動して駆動、押圧の解除タイミングと、さらに、各カートリッジP間でのそれぞれの駆動、押圧の解除タイミングを少しずつ違える。これにより、ドア31に掛かる負荷を分散する。これにより、ピークで掛かる力を減らし、ユーザがドア31を操作する際の操作力を軽減することが可能となる。
上記のように、保持部材34の移動によって、駆動手段(カップリング39・40)の退避、トレイ35の上下動を行うことで、機構の集約ができ本体サイズをコンパクトにすることができる。
(トレイの第二の規制部材と付勢部材)
本実施例のトレイ35は、第二の規制部材としてのトレイ飛び出し防止爪101を有する。防止爪101は、トレイ35が押し込み位置から移動するのを規制する規制手段(ロック手段)である。また、付勢部材105は、保持部材34が第二の位置に有る場合に、トレイ35を押し込み位置から引き出し位置の方へ所定量押し出すように付勢する。この防止爪101と付勢部材105により、トレイ35を押し込み位置まで十分に収納させるように誘導する。この防止爪101と付勢部材105について、図11・13・17〜21を用いて説明する。
主として図19A〜図19Gを参照して説明する。この防止爪101は、トレイ35の前側(手前側)において、下向きに設けられている。そして、防止爪101は、上下方向に所定のストローク範囲においてスライド可能である。そして、防止爪101は、ばね101aにより下方へ付勢されている。ばね101aは、トレイ35に設けたばね受け座101bと防止爪101の上端部との間に縮設されている。
また、トレイ35の前側には、第一把持部としてのレバー26と、第二把持部としての固定部35aと、が設けられている。固定部35aの内側には、レバー26が軸部26aを中心に揺動可能に支持されている。ここで、レバー26は、解除部としての腕部26bを有する。
この腕部26bは、防止爪101に設けた縦長穴101bに係合している。このレバー26は、自由状態において、ばね101aにより下方に付勢されている防止爪101の縦長穴101bの上端部で腕部26bが下方への付勢力を受ける。これにより、レバー26は、軸部26aを中心に時計方向に回動して、固定部35aの内側において起立した状態になっている(図19A参照)。また、装置本体100Aに固定された固定部材102には、防止爪101の下端部が係合する被係合部としての凹部102aが設けられている。
また、装置本体100A内の奥側には、トレイ35を付勢する付勢ユニット106が配設されている。この付勢ユニット106が有する付勢部材105が、保持部材34が第二の位置に有る場合に、トレイ35を押し込み位置から引き出し位置に向かう方向(装着本体100Aの前方)に所定量押し戻すように付勢する。付勢部材105は、その上端部がトレイ35の後側部の被付勢部35hに当接してトレイ35を押し込み位置から引き出し位置に向かう方向に付勢するレバーである。
また、付勢ユニット106は、付勢部材105を下端部の軸部105aを中心に反時計方向に付勢する押子104と、付勢ばね103と、を有する。押子104は、装置本体100Aに固定された固定部材107に対して前後方向に所定のストローク範囲でスライド移動自由に配設してある。付勢ばね103は押子104と固定部材107との間に縮設されている。押子104は付勢ばね103により装置本体100Aの前方に付勢され、付勢部材105はこの押子104に押されて軸部105aを中心に反時計方向に付勢されている。
図19Aは、ドア31が閉じられて、保持部材34が第一の位置に、トレイ35が転写接触位置に位置している状態である。この状態において、防止爪101はばね101aの付勢力により所定の下降位置(規制位置)まで下降していて、その下端部が凹部102aに係合している。また、付勢部材105は、トレイ35に設けられた被付勢部35hにより後方に押されて、付勢ばね103の弾性に抗して押子104を後方に押し動かして軸部105aを中心に時計方向に付勢されている。被付勢部35hには、付勢ばね103の圧縮反力が押子104と付勢部材105を介して作用している。
図19Bは、図19Aの状態からドア31が開かれることによって、保持部材34が第二の位置に、トレイ35が押し込み位置に位置している状態である。この状態において、トレイ35は図19Aの状態から所定量上昇するけれども、防止爪101はその下端部が凹部102aになお係合している。即ち、トレイ35は、防止爪101と凹部102aとの係合により、付勢部材105の付勢力によって押し込み位置から引き出し位置の方へ移動するのを規制されている。
そして、開口部30から露出しているトレイの前側に設けた固定部35aと、その内側に配設したレバー26と、を共に把持する。ここで、レバー26及び固定部35aは、トレイ35の引き出し方向において、トレイ35の装着部よりも下流側に設けられている。更に、固定部35aは、レバー26よりも引き出し位置側に設けられている。また、レバー26及び固定部35aは、トレイ35の上部に露出しており、トレイ35の本体から上方及び手前に突出している。レバー26は、トレイ35の本体に対して移動可能な移動部であり、固定部35aはトレイ35の本体に対して固定されている。
図19Cに示すように、この把持により、レバー26が軸部26aを中心に反時計方向(ロック解除方向)に回動する。このレバー26の回動により、解除部としての腕部26bが、縦長穴101bと係合した状態で、上昇する。これにより、防止爪101がばね101aの押し下げ力に抗して上方へ移動する。その結果、防止爪101の下端部が凹部102aから抜け出て、トレイ35の移動規制が解除される。
即ち、防止爪101が、トレイ35が引き出し位置の方へ移動するのを規制する規制位置から退避する(規制位置から退避位置へ移動する)。そして、このトレイ35は、付勢部材105の付勢力により押し込み位置から所定位置まで移動する(図19D参照)。この所定位置とは、複数のカートリッジPのうち最も前側に位置するカートリッジPKだけが露出する位置である(図31参照)。
また、レバー26が把持されることによりレバー26が移動する方向は、トレイ35が押し込み位置から引き出し位置へ向かう方向と略同一である。これによって、ユーザがトレイ35を引き出し易くなっている。そして、図19Eに示すように押し出されたトレイ35を、保持部材34に対して滑走させて前方向にスライドさせる。これにより、トレイ35を、図5・図6のように、開口部30から装置本体100Aの外側の引き出し位置まで十分に引き出す。
図5・図6のように、トレイ35を引き出し位置に引き出して、交換すべきカートリッジについて交換したら、トレイ35を押し込み位置まで十分に押し込んで、図3・図4の状態に戻す。
この場合、図19Fに示すように、トレイ35が押し込み位置に戻る手前の所定位置に位置した場合、トレイ35の後側部に設けられた被付勢部35hが付勢部材105の上端部に接触する。更に、トレイ35を付勢部材105の付勢力に抗して押し込むと、防止爪101の下端部に設けられたカム斜面部101dが、固定部材102に設けられたカム斜面部102bに当接する。更に、トレイ35を、付勢部材105の付勢力に抗して押し込むと、カム斜面部101dと102bとのカム作用により、防止爪101がばね101aの力に抗して上方に移動する。
これにより、図19Gのように、防止爪101が固定部材102の上面に乗り上がる。こうして、防止爪101が規制位置から退避位置へ移動する。その後も引き続き、トレイ35を、付勢部材105の付勢力に抗して押し込む。そうすると、防止爪101が凹部102aの場所まで移動し、ばね101aによる下方への移動により、防止爪101の下端部が凹部102aに嵌り込む。即ち、防止爪101が退避位置から規制位置へ移動する。これによって、図19Bに示すようにトレイ35が装置本体100Aにロックされる。
即ち、トレイ35は押し込み位置に十分に押し込まれることで、防止爪101が凹部102aに係合する。これにより、トレイ35が、押し込み位置において、その移動を規制される。
引き続き、ドア31を閉じることで、保持部材34が第二の位置から第一の位置に移動する。これにより、図19Aに示すように、トレイ35が、転写接触位置(潜像形成位置)に移動して、画像形成装置100が画像形成動作可能な状態になる。
図17は、ドア31を開けることにより保持部材34が押し上げられた状態(第二の位置)において、トレイ35が押し込み位置まで押し込まれていない状態を示す図である。図18は、トレイ35が押し込み位置まで十分に押し込まれた状態を示す図である。
トレイ35が十分に押し込まれていない図17の状態では、防止爪101と凹部102aとが係合していない。この場合には、トレイ35は、付勢部材105によって引き出し位置の方へ所定量押し戻される(図19F、図20の(a))。即ち、トレイ35が、引き出し位置と押し込み位置の間であって押し込み位置から離れた所定位置に位置する場合は、トレイ35が引き出し位置の方へ戻る。
ここで、この所定位置とは、押し込み位置の近傍であってトレイ35が付勢部材105と接触可能な位置であり、複数のカートリッジPのうちカートリッジPKだけが露出する位置である。そして、付勢部材105に付勢されることによって、トレイ35が引き出し位置の方へ戻される。ここで、戻されたトレイ35の位置も、複数のカートリッジPのうちカートリッジPKだけが露出する位置である(図31参照)。この状態では、ドア31を閉じることができず、保持部材34が第二の位置から第一の位置へ移動できない。
即ち、図20の(a)のように、ドア31が閉じるのに連動して、干渉部材としての連結アーム37(37L・37R)が回動する際、連結アーム37に設けられた干渉部122(122L・122R)が、押し戻された状態のトレイ35の下面と干渉する。そのため、ドア31を閉めて保持部材34を装置本体100Aの後方下側へ押し下げる(第二の位置から第一の位置への移動)ことができない。言い換えると、トレイ35が押し込み位置以外の位置に位置する状態では、開口部30を閉じることが禁止される。
これに対し、トレイ35が押し込み位置に押し込まれた図18の状態においては、ドア31が閉じるのに連動して連結アーム37が回動する際に、干渉部122がトレイ35に干渉しない(図20の(b)参照)。そのため、ドア31を閉めて保持部材34及びトレイ35を押し下げる(保持部材が第二の位置から第一の位置への移動する)ことができる。
前述のように、トレイ35は、後方から付勢ユニット106(付勢部材105)によって付勢されている。そのため、ユーザがトレイ35を押し込み位置まで十分に押し込まなかった場合には、付勢ユニット106のばね103のストローク量に応じて、トレイ35が装置本体100Aから所定量突出する(図19F参照)。このとき、トレイ35の位置は、図17及び図20の(a)の状態となる。
したがって、ユーザがトレイ35を押し込み位置まで押し込まずに、誤ってドア31を閉じようとした場合には、確実に連結アーム37から突出している干渉部122がトレイ35に干渉して、間違いの修正を促すことが可能である。
これに対し、トレイ35を押し込み位置に押し込んだ図18及び図20の(b)の状態では、防止爪101が凹部102aに係合する。そのため、図19Bに示すように、トレイ35が装置本体100Aに対して位置決めされる。従って、この状態では、ドア31を閉めた際に、トレイ35のU溝110(図11)をピン111に嵌合させ、また、突起部67を確実に位置決め穴69に嵌合させることが可能である。
上記のように、トレイ35が押し込み位置に位置する場合には、保持部材34が第二の位置から第一の位置へ(トレイ35が押し込み位置から転写接触位置へ)移動できる。また、トレイ35が押し込み位置まで押し込まれない場合には、付勢部材によってトレイ35が引き出し位置に向かって所定量押し戻される。その結果、トレイ35がドア31に干渉し、ドア31を閉じることができず、保持手段34が第二の位置から第一の位置へ移動することもできない。
防止爪101及び凹部102aの個数及び形状は図19A〜図19Gに示した通りでなくてもよい。また、付勢ユニット106の個数及び形状・構造も図19A〜19Gに示した通りでなくてもよい。
また、トレイ35に設けられた解除のための機構を装置本体100Aに設けることもできる。
本実施例においては、フロントアクセスでカートリッジPを容易に交換することが可能になる。カートリッジPを引き出し式のトレイ35に乗せて交換できる。また、装置本体100Aに対する装着時に装置本体100A側の部材で、カートリッジPを位置決めできる。トレイ35はカートリッジPをラフに保持し、引き出し位置と、押し込み位置との間で移動する構成とした。これにより、ユーザは、トレイ35の引き出し位置で、位置決めを気にすることなく、カートリッジPを重力方向真下に向けてトレイ35にセットできる。
その後、トレイ35を押し込み位置に押し込み、ドア31を閉めることで、確実にカートリッジPを位置決めすることが出来る。これにより、ユーザの操作が簡単で、カートリッジPの位置精度を確保することが可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
また、ドア31が半開きの状態等で、トレイ35が第二の位置に十分に持ち上がっていない状態で、トレイ35を操作してしまうと、カートリッジPのドラム1がベルト13に擦れて画像問題を生じてしまうことがある。しかし、トレイ35に連動し、ドア31の動きを規制する部材や、ドア31の開閉でトレイ35の動きを規制する部材を設けることで、十分にドア31を開かないとトレイ35が動作しない様にすることができる。
また、トレイ35を十分に収納しないと、トレイ35が所定量飛び出してくる構成によって、トレイ35を十分に収納しないとドア31が閉まらないことをユーザに認識させることが出来る。そのため、ユーザの誤操作による破損を防止することが可能になる。
ここで、前述した突起67と穴69(図21)は、図19に示した防止爪101の代わりとして用いることができる。図17、図18、図21を用いてこれを詳しく説明する。
トレイ35が十分には押し込まれていない図17の状態においては、トレイ35に設けられた突起部67が、ベルト保持部材68に設けられた穴69の位置と合っていない(図21の(a))。この状態で、ドア31を閉めようとすると、連結アーム37を介して保持部材34と共にトレイ35も押し下げられた際に、突起部67がベルト保持部材68に突き当たる。このため、ドア31を閉めることができない。
これに対し、トレイ35を十分に押し込んだ図18の状態では、トレイ35が押し下げられた際に、図21の(b)と(c)のように、突起部67が穴69に入る。そのため、ドア31を閉めて保持部材34及びトレイ35を押し下げることができる。このため、ドア31を閉めることができる。
これにより、トレイ35が押し込み位置に位置する場合にのみトレイ35を押し下げることが可能となり、各カートリッジPは確実に位置決め部41に位置決めされる。
図17・図18・図21では、トレイ35の突起部67、ベルト保持部材68の穴69をそれぞれ同形状で2箇所設けている。しかし、突起部67及び穴68の個数及び形状は図17・図18・図21に示した通りでなくてもよい。複数の突起部及び穴を設けた際に、各々の形状が一致していなくてもよい。また、突起部67と穴69のはめあい関係も図17・図18・図21に示した通りでなくてもよい。また、穴69はベルト保持部材68上になくてもよい。
図11に示すように、右フレーム80Rに設けられたピン111とトレイ35に設けられたU溝110においても、同様の効果が得られる。この場合にも、嵌合箇所の個数、及び形状は図11に示した通りでなくてもよい。
(給電構成)
図22から図24を用いて、装置本体100Aから各カートリッジに給電を行う方法を説明する。
図22・図23は、ドア31を開け、トレイ35を引き出した状態を表した図である。トレイ35には、中間電気接点ばね72a〜72dが、装置本体100Aの水平方向に沿って、かつ、垂直方向に同じ位置に、複数個並んで設けられている。そして、その一端がカートリッジの電気接点55(図8)に電気的に接続される。すなわち、トレイ35には中間電気接点72a〜72dが設けられている。この中間電気接点72a〜72dと、カートリッジが有するカートリッジ電気接点55とが電気的に接続する。
装置本体100Aのメインフレームには、左フレーム80Lの外側に設けられた本体側給電部74と電気的に接続された本体電気接点ばね75a〜75dが装置本体100Aの水平方向に沿って、かつ、垂直方向に同じ位置に複数個並んで設けられている。本体電気接点ばね75a〜75dは、左フレーム80L及び左保持部材34Lに開けられた穴を通ってトレイ35側に飛び出している。
図24の(a)と(b)は、トレイ35に設けられた中間電気接点ばね72と本体電気接点ばね75の電気的接続と切断の様子を示したものである。すなわち、それぞれ、トレイ35、中間電気接点ばね72、左トレイ保持部材34L、左フレーム80L、本体電気接点ばね75、本体電気接点ばねホルダ76、本体側給電部74を、装置本体100Aの正面から見た断面図の一部である。
図24の(a)は、ドア31が閉められた状態で、左トレイ保持部材34L及びトレイ35が下降した転写接触位置にいる状態を示している。このとき、本体電気接点ばね75と中間電気接点ばね72は電気的に接続されている。
図24の(b)は、ドア31が開けられた状態で、左トレイ保持部材34L及びトレイ35が転写接触位置から上昇した位置にいる状態を示している。このとき、本体電気接点ばね75と中間電気接点ばね72は電気的に切断された状態になる。また、このとき、トレイ35は、本体電気接点ばね75の左トレイ保持部材34Lからトレイ35側に飛び出した部分と接触しないように、装置本体100Aの前後方向にわたる溝77を有している。これにより、本体電気接点ばね75と接触することなく、トレイ35を引き出すことが可能である。
すなわち、装置本体100Aは、トレイ35の中間電気接点72a〜72dの移動経路とは離れて配置されている本体電気接点75a〜75dを有している。そして、中間電気接点と本体電気接点は、保持部材34によりトレイ35を転写接触位置から押し込み位置へ上昇させることによって接続が解除され、押し込み位置から転写接触位置へ向かって下降させることによって電気的に接続するように構成されている。
図22から図24では、各カートリッジPの1箇所の被給電部に対して1つの本体電気接点ばねと1つの中間電気接点ばねを用いて給電を行う方法を示している。しかし、各カートリッジPに複数の被給電部がある場合も同様に構成可能である。また、複数の被給電部の鉛直方向の高さが異なる場合にも、本体電気接点ばねを高さ違いで複数配置し、トレイの本体電気接点ばねの高さに応じた位置に複数の溝を開けることで、同様に構成可能である。
さらに、複数のカートリッジに同一のバイアスをかける場合には、1つの本体電気接点ばねと電気的に接続・切断可能な、1つの中間電気接点となる導体をトレイ35内に設ける。そして、トレイ35内に複数の中間接点ばねを、その一端が前記導体と電気的に接続し、他端が複数のカートリッジの被給電部と電気的に接続・切断可能に設ける。このように構成することで、中間接点ばねと本体電気接点ばねの接続箇所を減らすことが可能である。
トレイ35内に電気的接続を分配する導体を有し、中間電気接点とカートリッジ電気接点の電気的接続箇所が、中間電気接点と本体電気接点の電気接続箇所よりも多く構成されている構成とする。これにより、各色で同一の電位を用いる場合において、部品数を減らすことができ、コストダウンすることができる。
以上説明したように、カートリッジPを載せるトレイ35に中間電気接点を設け、トレイ35の上下移動に伴い装置本体100Aと電気接続を離接できるようにした。これにより、コストアップと装置本体のサイズアップをすることなく、容易な引き出し方式によるカートリッジ交換構成を設けた画像形成装置を提供することができる。
また、開口部30を開閉するドア31に連動してトレイ35が上下することで、ユーザが容易に想定できる操作でカートリッジの交換ができる。
また、電気接点を水平方向に沿って及び垂直方向に同じ位置に複数個並んで配置することで、垂直方向のスペースを抑えることができ、本体サイズをコンパクトにできる。
(ステー部材)
図25、図26、図27は、画像形成装置本体の骨格を成す、本体フレーム構成を示した斜視図である。装置本体の第1と第2のメインフレームである左フレーム80L(不図示)と右フレーム80Rは、ステー部材130F、130R、131、132、によって締結され、構成される。
ステー部材131、132上には、カートリッジP(PY・PM・PC・PK)及びベルトユニット12を保持するステー部材81(81L・81R)が配置される。ステー部材81は、カートリッジP及びベルトユニット12を位置決めする。ステー部材81には、各々、4つの位置決め部41(Y・M・C・K)が設けられており、これにカートリッジPの軸受け部51・52が係合することで、カートリッジPの位置決めがなされる。位置決め部41は、上向きの浅いV字形状であり、前述のように、押圧部材42がカートリッジPを下方に押圧することによって、カートリッジPが位置決めされる。
また、逆に、カートリッジPをわずかに持ち上げることで、ステー部材81に干渉することなく、カートリッジPを水平方向に引き出すことが可能となる。
一方、ベルトユニット12は、2つのステー部材81の間に配置され、位置決めボス143、144をステー部材81の位置決め部83D・83Tと嵌合することで、位置決めされる。
ステー部材81(81L・81R)は、設計上同形状であり、共通の金型で加工が可能である。よって、ステー部材81の相対的な寸法差は小さく、カートリッジP、ベルトユニット12の高精度な位置決めに有利な構成となる。ステー部材81はL字形に曲げ加工されており、ステー部材131・132にビス締結される。
ステー部材130(130F・130R)はスキャナユニット11を位置決めする。スキャナユニット11の脚11a・11b・11c(図27)が各々、ステー部材130に接地し、スキャナユニット11の高さ方向の位置が決まる。また、スキャナユニット11の位置決めボス11d・11eがステー部材130Fの位置決め穴82c・82dと嵌合する。
これによって、スキャナユニット11の水平方向の位置が決まる。上述のように、カートリッジPの交換に際し、カートリッジPをわずかに持ち上げることで、引き出し可能である。よって、スキャナユニット11の下方に、カートリッジ交換のための大きな空間を設ける必要はない。
図30は、画像形成装置本体の骨格を成す、本体フレームの組み立てを示した図である。ステー部材は、カートリッジ位置決め部41Y、41K、スキャナユニット位置決め部82を組立工具400に突き当てた状態で、ビス締結することで、本体フレームの位置精度を保障することができる。
ステー部材81は、ステー部材131、132に保持される。ステー部材131の突き当て部147、148、149は、上方向に半抜き加工が施されており、他の部分は、ステー部材81との間に隙間が設けられている。ステー部材131は、突き当て部147、148、149の3点を組立工具400及び、ステー部材81に押圧した状態で、ビス締結される。また、ステー部材132はステー部材81に押圧した状態で、ビス締結される。
本体骨格構成に一般的に用いられる冷間圧延鋼板等の板金部品は、その大きさによって、平面の反りや捩れ等の部品精度が低下する。また、高剛性を有する板金部品は、その部品精度の矯正が困難である。ステー部材81は、ステー部材131のみに締結することも可能だが、ステー部材131の部品精度の影響により、ステー部材81の所望の位置精度が得られないことがある。
本実施例においては、ステー部材81は、2つのステー部材131、132とで保持され、かつ、その接触面積を減らすことで、ステー部材131、132の部品精度の影響を緩和できる。よって、本体フレームを高精度に組み立てることができる。
ステー部材131、132は、その両端を左フレーム80Lと右フレーム80Rとに締結された、両持ち梁の構造であり、プロセスカートリッジの自重や押圧力等の静荷重、物流等による衝撃荷重に対し、強度を確保できる。
図28〜図29に示すように、ステー部材81は、トレイ35の下方に配設される。ステー部材81を側板に直接締結した場合、側板内側に配設されたトレイ35及び保持部材34の移動の妨げとなり、装置本体100Aのサイズが大きくなってしまうことが懸念される。しかし、本実施例においては、側板間のスペースを有効に活用できる。即ち、ステー部材130Fは、トレイ35の上方に配設されており、装置本体100Aの前方に大きな開口を設けることができる。よって、本体をサイズアップすることなく、トレイ35の移動を可能としている。
以上説明したように、本実施例の画像形成装置は、トレイの移動動作によって、プロセスカートリッジの交換を容易に行うことができる。