JP5058961B2 - Manufacturing method of magnetostrictive torque sensor - Google Patents
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Description
本発明は、自動車用の電動パワーステアリング装置の操舵トルクを検出するのに最適な磁歪式トルクセンサの製造方法に関するものである。 The present invention relates to a method of manufacturing a magnetostrictive torque sensor that is optimal for detecting the steering torque of an electric power steering apparatus for an automobile.
電動パワーステアリング装置は、自動車を運転中、運転者がステアリングホイール(操舵ハンドル)を操作するとき、モータを連動させて操舵力を補助する支援装置である。電動パワーステアリング装置では、運転者のハンドル操舵によりステアリング軸に生じる操舵トルクを検出する操舵トルク検出部からの操舵トルク信号、および車速を検出する車速検出部からの車速信号を利用し、モータ制御部(駆動制御回路)の制御動作に基づいて、補助操舵力を出力する支援用のモータをPWM駆動し、運転者の操舵力を軽減している。 The electric power steering device is a support device that assists a steering force by interlocking a motor when a driver operates a steering wheel (steering handle) while driving an automobile. In the electric power steering apparatus, a motor control unit uses a steering torque signal from a steering torque detection unit that detects a steering torque generated in a steering shaft by a steering wheel of a driver, and a vehicle speed signal from a vehicle speed detection unit that detects a vehicle speed. Based on the control operation of the (drive control circuit), the assisting motor that outputs the auxiliary steering force is PWM-driven to reduce the driver's steering force.
例えば、操舵トルクをTH、アシスト量AHの係数を一定のkAとすると、AH=kA×THであるから、負荷であるピニオントルクをTPとすると、TP=TH+AHからTH=TP/(1+kA)となる。したがって操舵トルクTHは、ピニオントルクTPの1/(1+kA)、(kA≧0)となり軽減される。このような電動パワーステアリング装置における操舵トルク検出部として、ピニオンの入出力軸間に設けたトーションバーの捻れを利用するトーションバー式の他、磁歪式トルクセンサが知られている。 For example, if the steering torque is TH and the coefficient of the assist amount AH is a constant kA, AH = kA × TH. Therefore, if the pinion torque as a load is TP, TP = TH + AH to TH = TP / (1 + kA) Become. Therefore, the steering torque TH is reduced to 1 / (1 + kA) and (kA ≧ 0) of the pinion torque TP. As a steering torque detection unit in such an electric power steering apparatus, a magnetostrictive torque sensor is known in addition to a torsion bar type that uses a twist of a torsion bar provided between input and output shafts of a pinion.
磁歪式トルクセンサの一例としては、例えば、ステアリングホイールに連結されたステアリング軸の表面に、Ni−Feメッキの磁歪膜を上下2箇所でそれぞれ逆方向の磁気異方性を与えて軸方向所定幅で設け、磁歪膜に操舵トルクが作用したとき、磁気異方性に基づいて発生する逆磁歪特性を、磁歪膜の周囲に配設されたコイルの交流抵抗等を利用して、ステアリング軸にかかるトルクを検出するものがある。 As an example of a magnetostrictive torque sensor, for example, a surface of a steering shaft connected to a steering wheel is provided with a Ni-Fe plated magnetostrictive film at two upper and lower positions, respectively, to give magnetic anisotropies in opposite directions, and to have a predetermined axial direction width. When the steering torque acts on the magnetostrictive film, the reverse magnetostrictive characteristics generated based on the magnetic anisotropy are applied to the steering shaft using the AC resistance of the coil disposed around the magnetostrictive film. Some detect torque.
図17は、磁歪式トルクセンサ300の模式図である。磁歪式トルクセンサ300はステアリング軸301の周囲に形成された磁歪膜302とその磁歪膜302の下方に間隔を設けて形成された磁歪膜303と、磁歪膜302,303の近傍に微小の空隙を介して配置された励磁コイル304と、磁歪膜302に対応して設けられる検出コイル306と、磁歪膜303に対応して設けられる検出コイル307とから構成される。励磁コイル304には、励磁電圧供給源305が接続される。
FIG. 17 is a schematic diagram of the
図17で示した磁歪式トルクセンサ300において、ステアリング軸301にトルクが作用したとき、磁歪膜302,303にもトルクが作用する。このトルクに応じて磁歪膜302,303に磁歪効果が生じる。そこで、励磁電圧供給源305から励磁コイル304に高周波の交流電圧(励磁電圧)を供給し、トルクに応じた磁歪膜302,303の磁歪効果による磁界の変化を検出コイル306,307によりインピーダンスの変化として検出する。このインピーダンスの変化に基づいてステアリング軸301に加えられたトルクを検出することができる。また、インピーダンスの変化として検出する以外にも、誘導電圧の変化として検出することもできる。以下では、インピーダンスの変化で検出する場合について説明する。
In the
図18は磁歪特性を示す図である。横軸はステアリング軸301に加えられた操舵トルク、縦軸は励磁コイル304に交流電圧を印加したときに検出コイル306,307によって検出されるインピーダンスを示している。曲線C110は、検出コイル306によって検出されるインピーダンスの変化を示し、曲線C111は、検出コイル307によって検出されるインピーダンスの変化を示している。
FIG. 18 is a diagram showing magnetostriction characteristics. The horizontal axis represents the steering torque applied to the
検出コイル306による検出値は、磁歪膜に異方性が与えられるため、操舵トルクが負から正になるにつれてインピーダンスが増加し、操舵トルクが正の値T1となったときにインピーダンスがピーク値となり、操舵トルクがT1以上では減少する。また、検出コイル307による検出値は、操舵トルクが負の値−T1のときにインピーダンスがピーク値をとり、操舵トルクの絶対値が増加すると減少する。
Since the anisotropy is given to the magnetostrictive film, the impedance detected by the
図18に示すように、検出コイル306で得られる操舵トルク−インピーダンス特性と検出コイル307で得られる操舵トルク−インピーダンス特性はほぼ凸形状を示す。また、検出コイル306で得られる操舵トルク−インピーダンス特性(曲線C110)と検出コイル307で得られる操舵トルク−インピーダンス特性(曲線C111)は、磁歪膜の上下2箇所でそれぞれ逆方向となる磁気異方性が付与されているため、それぞれの特性曲線が交わる点を通る縦軸に対してほぼ対称的になる。
As shown in FIG. 18, the steering torque-impedance characteristic obtained by the
直線L10は、検出コイル206により検出された特性曲線C110から検出コイル307により検出された特性曲線C111を引いた値を示すものであり、操舵トルクがゼロのときにその値はゼロとなる。磁歪式トルクセンサ300はトルク中立点付近のほぼ一定勾配とみなされる領域を使用することで、入力トルクの方向と大きさに対応した検出信号を出力する。また、直線L10の特性を利用することで、検出コイル306,307の値から操舵トルクを検出することができる。
A straight line L10 indicates a value obtained by subtracting the characteristic curve C111 detected by the
図19は、従来の磁歪式トルクセンサの製造方法のフロー図である。従来の磁歪式トルクセンサでは、ステアリング軸の下端にピニオンを加工する工程(ステップS101)と、ピニオンを焼入れする工程(ステップS102)と、ピニオンを焼戻す工程(ステップS103)と、磁歪膜を付与する工程(ステップS104)と、捩りトルクを付与する工程と(ステップS105)と、磁歪膜を加熱処理する工程(ステップS106)と、磁歪膜を冷却する工程(ステップS107)と、捩りトルクを除去する工程(ステップS108)と、再度加熱処理する工程(ステップS109)とから成っていた(例えば、特許文献1参照)。なお、図3のように磁歪膜が複数設けられている場合は、それぞれについてS105〜S108の工程により磁気異方性を付与する。
ステアリング軸に付与した磁歪膜に異方性を与える方法は、ステアリング軸にトルクを印加した状態で磁歪膜を高周波加熱によって加熱して磁歪膜をクリープさせ、次にトルクを付加したままでステアリング軸と磁歪膜を常温まで冷却した後に、トルクを除去することによって、磁歪膜に異方性を与える方法である。これにより得られるステアリング軸から入力されるトルクに対する出力であるインピーダンス値の特性は、図18で示されたように、検出コイル306に対しては曲線C110のように操舵トルクの正側に最大値P1を持つほぼ凸形状の曲線となっており、検出コイル307に対しては曲線C111のように操舵トルクの負側に最大値P2を持つほぼ凸形状の曲線となる。この特性曲線の最大値を取る操舵トルクの値は、異方性を与えるときに印加するトルクの大きさによって変化し、印加するトルクが大きいほど2つの曲線の最大値を取る操舵トルクの値の差は大きくなる。例えば、図18で示された特性曲線C110、C111を得るときよりも異方性を与えるときの印加トルクを大きくすると、特性曲線は、曲線C210と曲線C211のようになる。このときには、検出コイル306による検出値は、操舵トルクが負から正になるにつれてインピーダンスが増加し、操舵トルクが正の値T2となったときにインピーダンスが最大値P12値となり、操舵トルクがT2以上では減少する。また、検出コイル307による検出値は、操舵トルクが負の値−T2のときにインピーダンスが最大値P22をとり、操舵トルクの絶対値が増加すると減少する。また、検出コイル206により検出された特性曲線C210から検出コイル307により検出された特性曲線C211を引いた値を示すものは、直線L20のようになり、直線L10の傾きよりも小さくなる。この理由は、インピーダンスの特性の裾野の傾きおよび線形性が小さいことによる。図18のように中立位置においては、P12,P22はP1、P2と比べて傾きが小さく線形性が小さくなる。そのため、異方性を与えるときに印加するトルクを大きくすると、そのトルクが小さいときよりも、ステアリング軸に入力されるトルクに対して出力されるインピーダンスの勾配は小さくなる。それゆえ、図20で示されるように出力値と入力値の比で表されるゲインは、異方性を与えるときの印加するトルクが大きいほど小さくなる。また加熱温度が異なると、異方性の量や磁歪膜のクリープの状態が変化して、図21で示されるように、加熱温度に依存してゲインが変化する。しかしながら、製造工程のなかで、これらの異方性を与えるときのステアリング軸に印加するトルクや加熱温度すべてを管理することは困難であり、製造が複雑になっていた。これにより、剛性が高く、直線性が高くしかもセンサごとのバラツキが小さいトルクセンサを広く提供することが困難であった。したがって、ゲインのバラツキを抑制する方法が望まれていた。
The method for imparting anisotropy to the magnetostrictive film applied to the steering shaft is to heat the magnetostrictive film by high-frequency heating while applying torque to the steering shaft, to creep the magnetostrictive film, and then to apply the torque while applying the torque. And the magnetostrictive film is cooled to room temperature and then the torque is removed to give anisotropy to the magnetostrictive film. The characteristic of the impedance value that is the output with respect to the torque input from the steering shaft thus obtained is the maximum value on the positive side of the steering torque as shown by the curve C110 for the
本発明の目的は、上記課題に鑑み、ゲインのバラツキを抑制した磁歪式トルクセンサの製造方法を提供することにある。 In view of the above problems, an object of the present invention is to provide a method for manufacturing a magnetostrictive torque sensor in which variation in gain is suppressed.
本発明に係る磁歪式トルクセンサの製造方法は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。 The method of manufacturing a magnetostrictive torque sensor according to the present invention is configured as follows in order to achieve the above object.
第1の磁歪式トルクセンサの製造方法(請求項1に対応)は、回転軸に磁気異方性が付与された磁歪部を設ける工程と、磁歪部周囲に磁歪特性の変化を検出する2つの多重巻きコイルを配置する工程と、2つの多重巻きコイルの各々からの出力電圧を少なくとも2つを有し、少なくとも2つの出力電圧の各々に対応してトルクの絶対値の増加に応じて電圧幅が広がる設定範囲を少なくとも2つ有し、少なくとも2つの出力電圧の各々を少なくとも2つの設定範囲のうちの対応する設定範囲にトルクの絶対値の増加に応じて変化しても全て収めるように、少なくとも2つの出力電圧のCPU内のゲインを調整するゲイン調整工程と、を含むことで特徴づけられる。 The first magnetostrictive torque sensor manufacturing method (corresponding to claim 1) includes two steps: a step of providing a magnetostrictive portion with magnetic anisotropy provided on a rotating shaft, and a change in magnetostrictive characteristics around the magnetostrictive portion . A step of arranging a multi-turn coil ; and at least two output voltages from each of the two multi-turn coils , and a voltage width corresponding to an increase in the absolute value of the torque corresponding to each of the at least two output voltages. So that each of at least two output voltages can be accommodated in the corresponding setting range of at least two setting ranges even if the absolute value of the torque is changed . And a gain adjustment step of adjusting a gain in the CPU of at least two output voltages .
第2の磁歪式トルクセンサの製造方法(請求項2に対応)は、上記の方法において、好ましくは、2つの多重巻きコイルの各々は、コイルの接続部に直列に抵抗として用いるコイル素子を接続して構成され、ゲイン調整工程において、2つの多重巻きコイルの各々からの出力電圧は、2つの多重巻きコイルの接続部の各々からの出力電圧であり、少なくとも2つの出力電圧のCPU内のゲインがゲイン設定装置にて調整されることを特徴とする。
第3の磁歪式トルクセンサの製造方法(請求項3に対応)は、上記の方法において、好ましくは、前記2つの多重巻きコイルに対応する前記2つのコイル及び前記2つのコイル素子の各々は、同一のコイル特性を有することを特徴とする。
第4の磁歪式トルクセンサの製造方法(請求項4に対応)は、上記の方法において、好ましくは、ゲイン調整工程は、回転軸を電動パワーステアリング装置のギヤボックスに組み付けた後に行うことで特徴づけられる。
The second magnetostrictive torque sensor manufacturing method (corresponding to claim 2) is preferably the above-described method. Preferably, each of the two multi-turn coils is connected with a coil element used as a resistor in series with a connection portion of the coil. In the gain adjustment step, the output voltage from each of the two multi-turn coils is the output voltage from each of the connection portions of the two multi-turn coils, and the gain in the CPU of at least two output voltages Is adjusted by a gain setting device .
The third magnetostrictive torque sensor manufacturing method (corresponding to claim 3) is preferably the above-described method, wherein the two coils and the two coil elements corresponding to the two multi-turn coils are preferably It has the same coil characteristic .
The fourth magnetostrictive torque sensor manufacturing method (corresponding to claim 4) is characterized in that, in the above method, preferably, the gain adjusting step is performed after the rotating shaft is assembled to the gear box of the electric power steering apparatus. It is attached.
本発明によれば、多重巻きコイルからの出力ゲインをトルクの絶対値に応じて幅が広がる設定範囲に収めるようにし、また磁歪式トルクセンサをギヤボックスに組み付けた後にゲインを調整するようにゲインを調整したので、磁歪膜にトルクを印加した状態で加熱し、さらに冷却後トルクを除去することにより異方性を与え、磁歪膜の磁気特性変化を検出コイルにより検出する磁歪式トルクセンサにおいて、印加トルクや加熱温度が変化して、異方性の量や磁歪膜のクリープの状態が変化する場合においても、トルクセンサ出力のゲインのバラツキを小さくすることができる。 According to the present invention, the gain is set so that the output gain from the multi-turn coil falls within a setting range in which the width increases in accordance with the absolute value of the torque, and the gain is adjusted after the magnetostrictive torque sensor is assembled to the gear box. In the magnetostrictive torque sensor that heats the magnetostrictive film in a state where torque is applied, further gives the anisotropy by removing the torque after cooling, and detects the magnetic characteristic change of the magnetostrictive film by the detection coil, Even when the applied torque and the heating temperature are changed to change the amount of anisotropy and the state of creep of the magnetostrictive film, the variation in the torque sensor output can be reduced.
これにより、異方性付加時の工程での管理を軽減することができ、剛性が高く直線性が良くしかもセンサごとのバラツキが少ない、優れたトルクセンサを容易に製造することができ、広く提供することができる。 As a result, management during the process of adding anisotropy can be reduced, and an excellent torque sensor with high rigidity, high linearity and little variation from sensor to sensor can be easily manufactured and widely provided. can do.
また、ゲインの調整を、磁歪膜を有するステアリング軸とコイルと検出回路の組み合わせによって行うことにより、コイルや検出回路のゲインのバラツキも補正することができ、コイルや電子部品精度の簡略化が可能となる。これにより、剛性が高く直線性が良くしかもセンサごとのバラツキが少ない、優れたトルクセンサを安価に製造することができ、さらに広く提供することができる。 In addition, gain adjustment is performed by a combination of a steering shaft having a magnetostrictive film, a coil, and a detection circuit, so that variations in the gain of the coil and the detection circuit can be corrected, and the accuracy of the coil and electronic components can be simplified. It becomes. As a result, an excellent torque sensor having high rigidity, high linearity and little variation among sensors can be manufactured at low cost, and can be provided more widely.
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。 DESCRIPTION OF EMBODIMENTS Preferred embodiments (examples) of the present invention will be described below with reference to the accompanying drawings.
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。電動パワーステアリング装置10は、ステアリングホイール11に連結されるステアリング軸12aに対して補助用の操舵力(操舵トルク)を与えるように構成されている。ステアリング軸12aはステアリング軸12bと自在軸継手12cを介して連結されており、ステアリング軸12aの上端はステアリングホイール11に連結され、ステアリング軸12bの下端にはピニオン13が取り付けられている。ピニオン13に対して、これに噛み合うラックギヤ14aを設けたラック軸14が配置されている。ピニオン13とラックギヤ14aによってラック・ピニオン機構15が形成される。ラック軸14の両端にはタイロッド16が設けられ、各タイロッド16の外側端には前輪17が取り付けられる。
FIG. 1 is an overall configuration diagram of an electric power steering apparatus according to a first embodiment of the present invention. The electric
ステアリング軸12bに対し動力伝達機構18を介してモータ19が設けられている。動力伝達機構18は、ウォームギヤ18aとウォームホイール18bによって形成されている。モータ19は、操舵トルクを補助する回転力(トルク)を出力し、この回転力を、動力伝達機構18を経由して、ステアリング軸12b,12aに与える。
A
ステアリング軸12bには操舵トルク検出部(操舵トルクセンサ)20が設けられている。操舵トルク検出部20は、運転者がステアリングホイール11を操作することによって生じる操舵トルクをステアリング軸12a,12bに加えたとき、ステアリング軸12a,bに加わった当該操舵トルクを検出する。21は車両の車速を検出する車速検出部であり、22はコンピュータで構成される制御装置である。制御装置22は、操舵トルク検出部20から出力される操舵トルク信号Tと車速検出部21から出力される車速信号Vを取り入れ、操舵トルクに係る情報を車速に係る情報に基づいて、モータ19の回転動作を制御する駆動制御信号SG1を出力する。上記のラック・ピニオン機構15等は図1中で図示しないギヤボックス24(図2、図3参照)に収納されている。
A steering torque detector (steering torque sensor) 20 is provided on the
電動パワーステアリング装置10は、通常のステアリング系の装置構成に対し、操舵トルク検出部20、車速検出部21、制御装置22、モータ19、動力伝達機構18を付加することによって構成されている。
The electric
運転者がステアリングホイール11を操作して自動車の走行運転中に走行方向の操舵を行うとき、ステアリング軸12a,12bに加えられた操舵トルクに基づく回転力はラック・ピニオン機構15を介してラック軸14の軸方向の直線運動に変換され、さらにタイロッド16を介して前輪17の走行方向を変化させようとする。このときにおいて、同時に、ステアリング軸12bに付設された操舵トルク検出部20は、ステアリングホイール11での運転者による操舵に応じた操舵トルクを検出して電気的な操舵トルク信号Tに変換し、この操舵トルク信号Tを制御装置22へ出力する。また、車速検出部21は、車両の車速を検出して車速信号Vに変換し、この車速信号Vを制御装置22へ出力する。
When the driver operates the
制御装置22は、操舵トルク信号T、車速信号Vに基づいてモータ19を駆動するためのモータ電流を発生する。モータ電流によって駆動されるモータ19は、動力伝達機構18を介して補助操舵力をステアリング軸12b,12aに作用させる。以上のごとくモータ19を駆動することにより、ステアリングホイール11に加えられる運転者による操舵力が軽減される。
The
図2は、電動パワーステアリング装置10の機械的機構の要部と電気系の具体的構成を示す。ラック軸14の左端部および右端部の一部は断面で示されている。ラック軸14は、車幅方向(図2中左右方向)に配置される筒状ハウジング31の内部に軸方向へスライド可能に収容されている。ハウジング31から突出したラック軸14の両端にはボールジョイント32がネジ結合され、これらのボールジョイント32に左右のタイロッド16が連結されている。ハウジング31は、図示しない車体に取り付けるためのブラケット33を備えると共に、両端部にストッパ34を備えている。
FIG. 2 shows a specific configuration of the main part of the mechanical mechanism of the electric
35はイグニションスイッチ、36は車載バッテリ、37は車両エンジンに付設された交流発電機(ACG)である。交流発電機37は車両エンジンの動作で発電を開始する。制御装置22に対してバッテリ36または交流発電機37から必要な電力が供給される。制御装置22はモータ19に付設されている。また38はラック軸の移動時にストッパ34に当たるラックエンドであり、39はギヤボックスの内部を水、泥、埃等から保護するためのダストシール用ブーツである。
図3は図2中のA−A線断面図である。図3では、ステアリング軸12bの支持構造、操舵トルク検出部20、動力伝達機構18、ラック・ピニオン機構15の具体的構成が明示される。
FIG. 3 is a cross-sectional view taken along line AA in FIG. In FIG. 3, the specific structure of the support structure of the
ギヤボックス24を形成するハウジング24aにおいてステアリング軸12bは2つの軸受け部41,42によって回転自在に支持されている。ハウジング24aの内部にはラック・ピニオン機構15と動力伝達機構18が収納され、さらに上部には操舵トルク検出部20が付設されている。ステアリング軸12bには磁歪膜20u,20dが形成され、これらに対応してコイル20r,20s,20r’,20s’がヨーク部20yに囲まれて設けられている。
In the
ハウジング24aの上部開口はリッド43で塞がれ、リッド43はボルトで固定されている。ステアリング軸12bの下端部に設けられたピニオン13は軸受け部41,42の間に位置している。ラック軸14は、ラックガイド45で案内され、かつ圧縮されたスプリング46で付勢されピニオン13側へ押さえ付けられている。動力伝達機構18は、モータ19の出力軸に結合される伝動軸48に固定されたウォームギヤ18aとステアリング軸12bに固定されたウォームホイール18bとによって形成される。操舵トルク検出部20はリッド43に取り付けられている。
The upper opening of the
操舵トルク検出部20は、図3に示されるように鉄材等の強磁性材からなるステアリング軸(シャフト)12bの周囲2箇所に設けられた磁歪膜20u,20dと、磁歪膜20u,20dの磁化の変化を検出するコイル20r,20r’と、抵抗として用いるコイル20s,20s’とから構成されている。
As shown in FIG. 3, the
また、コイル20r,20r’およびコイル20s,20s’の外周にはヨーク部20yが設けられている。操舵トルク検出部20は、ステアリング・ギヤボックス24内に設けられており、ステアリング軸12bに作用する操舵トルクを検出し、その検出値は制御装置22へ入力されて、モータ19に適切な補助操舵トルクを発生させるための基準信号として供給される。また、符号20xは、検出回路を示す。
A
ここで用いられる操舵トルク検出部20は、磁歪式トルクセンサであり、図3に示すように、ステアリング軸12bの表面に例えばNi−Feメッキで磁気異方性を有する磁歪膜を、上下2箇所(20uおよび20d)にそれぞれ逆方向の異方性となるように軸方向所定幅で設け、磁歪膜20u,20dに操舵トルクが作用したときに発生する逆磁歪特性を、磁歪膜20u,20dの周囲に配設したコイル20s,20s’の交流抵抗等を利用して検知するものである。
The steering
電動パワーステアリング装置10の制御装置22は、操舵トルク検出部20からの操舵トルク信号T、および車速検出部21からの車速信号Vを利用し、補助操舵力を出力する支援用のモータ19をPWM駆動し、運転者の操舵力を軽減している。
The
図4を参照して、本発明に係る磁歪式トルクセンサの製造方法を説明する。図4は、磁歪式トルクセンサの製造方法を示すフロー図である。磁歪式トルクセンサでは、ステアリング軸の下端にピニオンを加工する工程(ステップS11)と、ピニオンを焼入れする工程(ステップS12)と、磁歪膜を付与する工程(ステップS13)と、捩りトルクを付与する工程(ステップS14)と、磁歪膜を加熱処理する工程(ステップS15)と、磁歪膜を冷却する工程(ステップS16)と、捩りトルクを除去する工程(ステップS17)と、再度加熱処理する工程(ステップS18)と、多重巻きコイルを配置し、検出回路を接続する工程(ステップS19)と、回転軸をギヤボックスに組み付ける工程(ステップS20)と、検出回路に設けられたゲイン調整部によりゲインを調整する工程(ステップS21)から成っている。 With reference to FIG. 4, the manufacturing method of the magnetostrictive torque sensor which concerns on this invention is demonstrated. FIG. 4 is a flowchart showing a method for manufacturing a magnetostrictive torque sensor. In the magnetostrictive torque sensor, a step of processing a pinion at the lower end of the steering shaft (step S11), a step of quenching the pinion (step S12), a step of applying a magnetostrictive film (step S13), and applying a torsion torque. A step (step S14), a step of heat-treating the magnetostrictive film (step S15), a step of cooling the magnetostrictive film (step S16), a step of removing torsion torque (step S17), and a step of heat-treating again (step S16). Step S18), a step of arranging multiple winding coils and connecting the detection circuit (Step S19), a step of assembling the rotating shaft to the gear box (Step S20), and a gain adjustment unit provided in the detection circuit It consists of the process (step S21) to adjust.
以下に各工程を説明する。
ステップS11:ステアリング軸12bの下端にピニオン13を加工する。
ステップS12:ピニオン13を焼き入れる。
ステップS13:ステアリング軸12bに磁歪膜20u,20dをメッキ処理する。メッキ処理は、磁歪材が所定の膜厚(例えば、30μm)で施される。
ステップS14:メッキ処理後に、捩りトルクTq(ステアリング軸12bの上部を反時計方向へ、下部を時計方向へ加える)を作用させてステアリング軸12bの円周表面に応力を付与する。ここで、捩りトルクTqは従来の製造時に作用させる捩りトルクTqよりも大きな捩りトルクTqを作用させる。例えば、従来の捩りトルクTqを70N・mとするのに対して捩りトルクTqとして75N・mを作用させる。
ステップS15:この捩りトルクTqを作用させたまま、磁歪膜20uの周囲をコイルで囲み、このコイルに対して高周波の電流を流し、磁歪膜20uを加熱処理する。
ステップS16:加熱処理後は自然に冷却させる。
ステップS17:冷却後、捩りトルクTqを取り除く。ここで、プリロードトルク(ステアリング軸12bに残っている捩りトルク)は−60N・m程度になっている。
ステップS18:捩りトルクTq除去後、再び加熱処理を行う。この再度加熱処理では、操舵トルク検出部20が使用される状況での使用温度以上の温度、例えば200℃で2時間加熱処理を行う。ここで、プリロードトルクは−55N・m程度になっている。
ステップS19:再加熱処理後、磁歪膜20u,20dに対応する位置に多重巻きコイルを配置し、検出回路を接続する。
なお、ここでは磁歪膜20uについてのみ記載したが、磁歪膜20dについてもS14〜S17の工程により磁気異方性を付与する。ただし、捩りトルクの方向は互いに異なる方向となる。
ステップS20:回転軸をギヤボックスに組み付ける。
ステップS21:検出回路に設けられたゲイン調整部によりゲインを調整する。
Each step will be described below.
Step S11: The
Step S12: The
Step S13: The
Step S14: After plating, a torsion torque Tq (applying the upper part of the
Step S15: The
Step S16: After the heat treatment, it is naturally cooled.
Step S17: After cooling, the torsion torque Tq is removed. Here, the preload torque (torsion torque remaining on the
Step S18: After removing the twisting torque Tq, the heat treatment is performed again. In the heat treatment again, the heat treatment is performed for 2 hours at a temperature equal to or higher than the use temperature in the situation where the
Step S19: After the reheating process, a multi-turn coil is arranged at a position corresponding to the
Although only the
Step S20: The rotating shaft is assembled to the gear box.
Step S21: The gain is adjusted by a gain adjustment unit provided in the detection circuit.
図5は捩りトルク付与工程から捩りトルク除去工程までの間での捩りトルクTqの印加と温度変化を示した図である。矩形の線はトルクを示し、破線は温度を示す。図6は加熱処理工程でのステアリング軸12bを示す図である。ステアリング軸12bに対して捩りトルクTqとして75N・mを付与し、コイルに高周波電流を流すことによって加熱する。加熱処理は図6に示すようにコイル50を加熱処理する部位である磁歪膜20uに対して配置し、例えばこのコイル50に対して500KHz〜2MHzの高周波の電流を、tu=1〜10[秒]の間流すことによって行う。これにより、tu秒後には温度300℃となる。この時点で加熱を停止、つまり電流の供給を停止し、冷却する。所定の温度まで下がったとき(例えば、te秒後)に、捩りトルクTqを解放する。
FIG. 5 is a diagram showing the application of the torsion torque Tq and the temperature change during the period from the torsion torque application process to the torsion torque removal process. A rectangular line indicates torque, and a broken line indicates temperature. FIG. 6 is a view showing the
図7は、再度加熱処理する工程でのステアリング軸12bを示す図である。ステアリング軸12bをコイルに高周波電流を流すことによって加熱する。加熱処理は図7に示すようにコイル50,51をそれぞれ加熱処理する部位である磁歪膜20u,20dとピニオン13に対して配置し、例えばこのコイル50,51に対して500KHz〜2MHzの高周波の電流を、数分間流すことによって行う。ここでは、温度が200℃になるように電流を調整する。
FIG. 7 is a diagram showing the
図8は、再加熱処理後、磁歪膜20u,20dに対応する位置に多重巻きコイルを配置し、検出回路を接続するステップS19と回転軸をギヤボックスに組み付けるステップS20を示す図である。ステアリング軸12bの磁歪膜20u,20dの周りにコイル20r,20s,20r’,20s’が配置されるようにリッド43を配置し、ギヤボックス24を形成するハウジングにステアリング軸12bを2つの軸受け部41,42に設置する。
FIG. 8 is a diagram showing step S19 in which multiple winding coils are arranged at positions corresponding to the
図9は、トルクセンサの検出回路20xの回路構成を示す図である。トルクセンサ20は、ステアリング軸(シャフト)12bの2ヶ所にそれぞれ逆の磁気異方性を持つように磁歪膜20u、20dが堆積されている。これら磁歪膜20u,20dは、ステアリング軸12bにトルクが印加されると、そのトルクに応じて磁気特性が変化する磁気特性変化部として作用する。この回路では、ステアリング軸(シャフト)12bにトルクが印加されたときの磁歪膜20u,20dの磁化の変化をインダクタンスの変化として検出するコイル20r’,20sが磁歪膜の周囲に設けられている。また、この回路では、コイル20r’,20sに直列にコイル素子20r,20s’が接続されている。コイルと素子で形成する2つの直列回路にそれぞれ所定の周期で電圧を印加するスイッチング素子(図示せず)とそれらに接続された定電圧源(図示せず)から構成される励磁回路52を有している。
FIG. 9 is a diagram illustrating a circuit configuration of the
また、この回路は、コイル20r’,20sそれぞれの両端の電圧変化を検出するためにコイル20r,20r’とコイル20s,20s’の接続部から検出端子53,54を設けている。さらに、2つの検出端子53,54から検出される電圧変化をそれぞれ反転して整流して直流電圧を出力する2つの反転整流部63,64と、反転整流部それぞれから出力された直流電圧を増幅する増幅部65,66を備えている。また、この回路は、増幅部65,66それぞれからの出力を設定されたゲインを乗じて出力するCPUからなるゲイン調整部67を備え、そのゲイン調整部67から出力される2つの直流電圧の差を演算する演算部68を備えている。
Further, in this circuit,
次に、このように構成されたトルクセンサの動作を説明する。励磁回路52の図示しないスイッチング素子を所定の周期でオンオフを繰り返して測定する。
Next, the operation of the torque sensor configured as described above will be described. The switching element (not shown) of the
図示しないスイッチング素子をオンオフしたとき、この抵抗20r’,20s’とコイル20r,20sを含む回路に電流が流れ、端子53,54は、電圧が変化する。このときのコイルのインダクタンスはL(μ)のものである。反転整流部63,64からは、直流電圧が出力される。その出力電圧はインダクタンスL(μ)の違いによって異なった値を示す。インダクタンスL(μ)は、磁歪膜の透磁率μに依存し、その透磁率μは磁歪膜にトルクが作用することによって変化するため、この電圧を測定することにより、操舵トルクを検出することができる。
When a switching element (not shown) is turned on / off, a current flows through a circuit including the
増幅部65,66では、それらの直流電圧を増幅し、CPUに入力する。CPUのゲイン調整部67では、予め設定されたゲインで入力された直流電圧を乗じてVT1、VT2として出力する。また、演算部68によりVT1とVT2の差をとったVT3を出力する。ステアリング軸12bをギヤボックス24に組み付けた後にゲイン調整部67を調整することにより、ゲインのバラツキを抑制してトルクを検出することができる。
The amplifying
図10は、ゲイン調整部67によりゲインの設定を行うときのゲイン設定装置を示す。図10は、図2で示した電動パワーステアリング装置のステアリング軸12bにステアリングホイール11を取りつけた状態にゲイン設定装置70をセットアップしたときの図である。ゲイン設定装置70は、操舵トルク計測アンプ71とトルク信号モニタ72とゲイン設定書き込み装置73から構成される。操舵トルク計測アンプ71は、電動パワーステアリング装置のステアリングホイール11から操舵トルク計測を行い、その計測値を増幅して、トルク信号モニタ72に出力する。トルク信号モニタ72は、操舵トルク計測アンプ71からの信号と、トルクセンサ20からの信号VT1,VT2,VT3をモニタする。ゲイン設定書き込み装置73は、トルク信号モニタ72でモニタする操舵トルク計測アンプ71からの信号とトルクセンサ20からの信号に基づいてゲイン調整部67を調整しゲインを設定する。
FIG. 10 shows a gain setting device when the
ゲインの設定は、次のようにして行う。図10で示されるゲイン設定装置70を用いて、トルクセンサ20の出力と操舵トルク計測アンプ71からの出力をトルク信号モニタ72にて収録する。次に、操舵トルク計測アンプ71の出力(基準)のゲインとトルクセンサ20の出力ゲインを比較し、ゲインの比を演算し、トルクセンサゲイン調整値とする。次に、トルクセンサゲイン調整値をゲイン設定書き込み装置73を用いて検出回路20XのCPU67に書き込む。CPU67は、ゲイン調整値信号を出力し、制御装置22は、ゲイン調整値信号とトルク信号VT3に基づいて制御する。
The gain is set as follows. The torque signal monitor 72 records the output of the
図11は、ゲイン設定装置70でゲイン調整部67を調整、設定する前後のトルクに対するトルク検出電圧の関係を示すグラフである。図11(a)は、ゲインを調整、設定する前のトルク−トルク検出電圧の関係を示し、図11(b)は、ゲインを調整、設定後のトルク−トルク検出電圧の関係を示す。操舵トルクとトルクセンサ信号VT1、VT2の関係(直線L80と直線L81)がそれぞれ図11(a)で示す設定範囲R80、R81になるように、ゲイン設定書き込み装置73により、CPUのゲイン調整部67にゲインを調整、設定する。図11(b)は、ゲイン調整、設定後のトルクとトルク検出電圧の関係を示すグラフである。図11(b)で示されるように、ゲイン調整、設定後は、左右対称なので、右トルクのみを見ればよいことになる。このようにゲインを調整、設定することにより、磁歪膜に異方性を与えるときの印加トルクのバラツキによってゲインが変化してしまっても、各トルク値に対してゲインを設定することになるので、図11(b)に示すようなトルクとトルク検出電圧との関係を得ることができる。
FIG. 11 is a graph showing the relationship of the torque detection voltage with respect to the torque before and after the
このように、本発明での製造方法では、トルクセンサ単体の調整時に比べてバラツキが少なくなる。また、トルクセンサ単体で完璧に調整したとしても、実際に車両に搭載した場合には、ギヤボックスによる誤差要素(例えば、ギヤの噛み合いによる左右差等)が発生する。それゆえ、このようにギヤボックスに搭載した形でゲインを調整することで、これらを含めて精度の高い調整が可能になる。この結果、良好な検出精度を有する磁歪式トルクセンサが得られる。 As described above, in the manufacturing method according to the present invention, the variation is less than when adjusting the torque sensor alone. Even if the torque sensor alone is perfectly adjusted, an error factor (for example, a left / right difference due to gear meshing) due to gear engagement occurs when it is actually mounted on a vehicle. Therefore, by adjusting the gain in such a manner that it is mounted on the gear box, it is possible to adjust with high accuracy including these. As a result, a magnetostrictive torque sensor having good detection accuracy can be obtained.
図12は本発明の第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。
電動パワーステアリング装置110は、車両のステアリングハンドル121から車両の操舵車輪(例えば前輪)131,131に至るステアリング系120と、このステアリング系120に補助トルクを加える補助トルク機構140とからなる。
FIG. 12 is a schematic view of an electric power steering apparatus according to the second embodiment of the present invention.
The electric
ステアリング系120は、ステアリングハンドル121(操舵部材)にステアリングシャフト122及び自在軸継手123,123を介してトルク伝達軸124を連結し、トルク伝達軸124にラックアンドピニオン125を介してラック軸126を連結し、ラック軸126の両端にボールジョイント127,127、タイロッド128,128及びナックル129,129を介して左右の操舵車輪131,131を連結した構成である。
ラックアンドピニオン125は、トルク伝達軸124に設けたピニオン132と、ラック軸126に形成したラック133とからなる。
In the
The rack and
運転者がステアリングハンドル121を操舵することにより、その操舵トルクによりラックアンドピニオン125、ラック軸126及び左右のタイロッド128,128を介して、左右の操舵車輪131,131を操舵することができる。
When the driver steers the
このように、電動パワーステアリング装置110は、ステアリングハンドル121の操舵に応じた操舵トルクを、ラックアンドピニオン125を介してラック軸126に伝達することにより、ラック軸126を介して操舵車輪131,131を操舵するようにしたものである。
As described above, the electric
補助トルク機構140は、ステアリングハンドル121に加えたステアリング系120の操舵トルクを磁歪式トルクセンサ141で検出し、このトルク検出信号に基づき制御部142で制御信号を発生し、この制御信号に基づき操舵トルクに応じた補助トルク(モータトルク)を電動モータ143で発生し、補助トルクをボールねじ144を介してラック軸126に伝達するようにした機構である。
The
電動モータ143のモータ軸143aは、ラック軸126を囲う中空軸である。ボールねじ144は、ラック軸126のうちラック133を除く部分に形成したねじ部145と、ねじ部145に組付けたナット146と、図示せぬ多数のボールとからなる、動力伝達機構である。ナット146は、モータ軸143aを連結したものである。
The
電動パワーステアリング装置110によれば、トルク伝達軸124に伝わった操舵トルクを磁歪式トルクセンサ141にて検出するとともに、ステアリングハンドル121を操舵する操舵トルクをトルク伝達軸124並びにラックアンドピニオン125を介してラック軸126に伝達することができる。そして、運転者の操舵トルクに電動モータ143の補助トルクを加えた複合トルクにより、ラック軸126で操舵車輪131,131を操舵することができる。
According to the electric
図13は本発明の第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図であり、左端部及び右端部を断面して表した。図14は図13の3−3線断面図である。
図13及び図14に示すように、電動パワーステアリング装置110は、トルク伝達軸124、ラックアンドピニオン125、電動モータ143、ボールねじ144及び磁歪式トルクセンサ141を、車幅方向(図13の左右方向)へ延びるハウジング151に収納したものである。
FIG. 13 is an overall configuration diagram of an electric power steering apparatus according to the second embodiment of the present invention, and shows a left end portion and a right end portion in cross section. 14 is a cross-sectional view taken along line 3-3 of FIG.
As shown in FIGS. 13 and 14, the electric
ハウジング151は、概ね管状の第1ハウジング152並びに第2ハウジング153の一端面同士をボルト結合することで、1つの細長いギヤボックスに組立てたものである。第2ハウジング153は、電動モータ143におけるモータケースの役割を兼ねる。
第1ハウジング152は、上部開口をリッド154で塞ぎ、トルク伝達軸124の上端部、長手中央部及び下端部を、上中下3個の軸受155〜157を介して回転可能に支承することで、縦置きにセットしたものであり、ラックガイド158を備える。
The
The
ラックガイド158によって、トルク伝達軸124の長手方向へのラック軸126の移動を規制するとともに、ピニオン132とラック133との噛み合いが離れる方向へのラック軸126の移動を規制しつつ、ラック軸26をその軸方向にスライド可能に支持することができる。
The
次に、トルク伝達軸124の詳細について、図14及び図15に基づき説明する。
図15(a)〜(d)は本発明に係るトルク伝達軸の構成図であり、(a)はトルク伝達軸124の分解構造を示し、(b)はトルク伝達軸124の組立状態の断面構造を示し、(c)は(b)のc−c線断面構造を示し、(d)はトルク伝達軸124の組立状態の外観を示す。
Next, details of the
15A to 15D are configuration diagrams of a torque transmission shaft according to the present invention, FIG. 15A shows an exploded structure of the
図15に示すように、トルク伝達軸124は、互いに同軸に配列したトルク側軸161及びピニオン軸162からなり、これらのトルク側軸161及びピニオン軸162を、互いに嵌合し合い且つ連結し合う別部材で構成したことを特徴とする。
As shown in FIG. 15, the
トルク側軸161及びピニオン軸162は、例えば鉄鋼(ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材を含む)等の強磁性の材料、すなわち磁性体からなる。
The
トルク側軸161は、一端に略六角形のフランジ部161aを有するとともに、嵌合孔165(つまり、中空部165)を有した筒状の軸、つまり中空軸からなり、軸に直交する方向で嵌合孔165を貫通した2個のピン孔166,166を有する。嵌合孔165は図15(c)に示すように、円形断面を呈するトルク側軸161の中心に形成された、正六角形等の多角形断面の貫通孔である。2個のピン孔166,166は、トルク側軸161の両端部の近傍にそれぞれ配置したものである。
The
ピニオン軸162(つまり、作用軸162)は、一端部から他端部へ向かって被支承部162c、ピニオン132、治具掛け部162b、フランジ部162a、被支承部169、嵌合軸部163を、この順に配列するとともに一体に形成した、中実軸である。これらの部材132,162a,162b,162c,163,169はピニオン軸162に対して同軸に配列されている。図14に示すように、下端の被支承部162cは最下部の軸受157にて支承される部分であり、被支承部169は中間部の軸受156にて支承される部分である。
The pinion shaft 162 (that is, the action shaft 162) includes a supported
より詳しく述べると、ピニオン軸162は、一端部に形成されたピニオン132と、他端面から嵌合孔165へ向かって延びる小径の細長い嵌合軸部163と、ピニオン132と嵌合軸部163の基端との間において外周面に形成された被支承部169と、ピニオン132と被支承部169との間に形成された略円形のフランジ部162a並びに治具掛け部162bとを有している。治具掛け部162bは後述する治具を掛ける部分である。
More specifically, the
嵌合軸部163は、トルク側軸161の全長よりも長い部分であって、嵌合孔165を貫通するとともに、嵌合孔165から突出した先端部には自在軸継手123(図1参照)に連結するための連結部168を有する。連結部168は、例えばセレーションからなる。
The
さらに嵌合軸部163は、長手方向の両端部の近傍にそれぞれ形成された2つの嵌合鍔部163a,163aと、嵌合鍔部163aと連結部168との間に形成された治具掛け部163bとを有している。治具掛け部163bは後述する治具を掛ける部分である。
Further, the
嵌合鍔部163a,163aは、図15(c)に示すように嵌合孔165と同じ断面形状を呈するリング状の部材であって、嵌合軸部163の外周を包囲するように突出するとともに、それぞれ軸に直交する方向に貫通したピン孔164,164を有する。嵌合鍔部163a,163aにおけるピン孔164,164の位置は、トルク側軸161におけるピン孔166,166に対して、それぞれ合致する位置に設定される。なお、嵌合孔165の径は、被支承部169の径よりも小さく設定される。
The
トルク伝達軸124の組立手順は次の通りである。
先ず、トルク側軸161において各ピン孔166,166の位置に、これらのピン孔166,166よりも若干小径の下孔を開けておく。なお、この時点において、ピニオン軸162にはピン孔164,164又はこれの下孔を開けていない。
The assembly procedure of the
First, a pilot hole having a slightly smaller diameter than those of the pin holes 166 and 166 is formed at the position of the pin holes 166 and 166 on the
次に、トルク伝達軸124の分解状態において、ピニオン軸162の被支承部169に軸受156(図14参照)を嵌合して、フランジ部162aの端面に軸受156のインナレースを当てる。これで、ピニオン軸162に軸受156を嵌合にて取付けることができる。
次に、嵌合孔165に嵌合軸部163を圧入して嵌合するとともに、2つのフランジ部161a,162aで軸受156を挟み込む。
Next, in a disassembled state of the
Next, the
次に、上記トルク側軸161の下孔の位置に、嵌合軸部163と共に貫通する上のピン孔164,166及び下のピン孔164,166を開ける。
次に、各ピン孔164,164,166,166にピン167,167を圧入する。この結果、図15(b),(c)に示すように、ピン167,167によってトルク側軸161とピニオン軸162とを、互いに一体的に連結させて、1個のトルク伝達軸124に組み立てることができる。これで、トルク伝達軸124の組立作業を完了する。
Next, upper pin holes 164 and 166 and lower pin holes 164 and 166 penetrating with the
Next, the
トルク側軸161とピニオン軸162とは、相対的な回転並びに軸方向移動を規制し合う。
以上の説明から明らかなように、トルク側軸161は中空軸からなり、ピニオン軸162は中空軸に嵌合する中実軸からなる。なお、ピニオン軸162は、軽量化のためには中実軸よりも中空軸にする方が好ましい。
The
As is clear from the above description, the
なお、嵌合孔165及び嵌合鍔部163a,163aの断面形状は、多角形断面に限定されるものではなく、円形断面であってもよい。円形断面の方が製造し易く、嵌合精度の管理が容易であり、嵌合もし易い。
In addition, the cross-sectional shape of the
ステアリングハンドル121(図12参照)から連結部168を介してピニオン軸162に伝わった操舵トルクは、ピニオン軸162からピン167,167を介してトルク側軸161にも伝達されることになる。
The steering torque transmitted from the steering handle 121 (see FIG. 12) to the
次に、磁歪式トルクセンサ141の詳細について、図14〜図16に基づき説明する。
図3に示すように、磁歪式トルクセンサ141は、外部からトルクが作用するトルク伝達軸124の表面に、トルクに応じて磁歪特性が変化するメッキ層からなる磁歪膜171,172を設け、この磁歪膜171,172の周囲に、磁歪膜171,172に生じた磁歪効果を電気的に検出する検出部173を設けたものである。
Next, details of the
As shown in FIG. 3, the
より詳しく述べると、トルク側軸161は、軸長手方向に概ね一定の距離di(つまり、所定の距離di)を有して、外周面の2箇所に全周にわたって形成された、概ね一定幅の磁歪膜171,172を有する。磁歪膜171,172における磁歪の方向は、互いに逆方向である。当然のことながら、トルク側軸161の表面には、第1磁歪膜171と第2磁歪膜172との間に、磁歪膜が全く存在しない非磁歪部179を有している。なお、2つの磁歪膜171,172は、連続した1つの磁歪膜であってもよい。
More specifically, the
磁歪膜171,172は、歪みの変化に対して磁束密度の変化の大きい材料からなる膜であり、例えば、トルク側軸161の外周面に気相メッキ法で形成したNi−Fe系の合金膜である。この合金膜の厚みは望ましくは5〜20μm程度である。なお、合金膜の厚みは、これ以下又はこれ以上であってもよい。第1磁歪膜171の磁歪方向に対して、第2磁歪膜172の磁歪方向は異なっている(磁歪異方性を有する。)。
The
Ni−Fe系の合金膜は、Niを概ね20重量%含んだ場合と概ね50重量%含んだ場合に、磁歪定数が大きくなるので磁歪効果が高まる傾向にあり、このようなNi含有率の材料を使用することが好ましい。例えば、Ni−Fe系の合金膜として、Niを50〜60重量%含み、残りがFeである材料を使用する。なお、磁歪膜71,72は強磁性体の膜であればよく、パーマロイ(Ni;約78重量%、Fe;残り)やスーパーマロイ(Ni;78重量%、Mo;5重量%、Fe;残り)の膜であってもよい。ここで、Niはニッケル、Feは鉄、Moはモリブデンである。 Ni-Fe-based alloy films tend to increase the magnetostriction effect when the Ni content is approximately 20% by weight and approximately 50% by weight, so that the magnetostriction effect tends to increase. Is preferably used. For example, as the Ni—Fe-based alloy film, a material containing 50 to 60% by weight of Ni and the rest being Fe is used. The magnetostrictive films 71 and 72 may be ferromagnetic films, such as permalloy (Ni; about 78% by weight, Fe; remaining) or supermalloy (Ni; 78% by weight, Mo; 5% by weight, Fe; remaining). ). Here, Ni is nickel, Fe is iron, and Mo is molybdenum.
図14に示すように、検出部173は、トルク側軸161を通した筒状のコイルボビン174,175と、コイルボビン174,175に巻いた第1多層ソレノイド巻きコイル176並びに第2多層ソレノイド巻きコイル177と、第1・第2多層ソレノイド巻きコイル176,177の周囲を囲う磁気シールド用バックヨーク178と、からなる。
第1・第2多層ソレノイド巻きコイル176,177は、検出コイルである。以下、第1多層ソレノイド巻きコイル176のことを第1検出コイル176と言い換え、第2多層ソレノイド巻きコイル177のことを第2検出コイル177と言い換えることにする。
As shown in FIG. 14, the
The first and second multilayer solenoid coils 176 and 177 are detection coils. Hereinafter, the first multilayer solenoid coil 176 will be referred to as the first detection coil 176, and the second
操舵トルクに応じてトルク側軸161に発生した捩れを、第1・第2検出コイル176,177にて磁気的に検出することができる。
Torsion generated in the
以上の説明をまとめると、次の通りである。なお、トルク側軸61のことを適宜「中空軸61」と言い、ピニオン軸62のことを適宜「中実軸62」又は「作用軸62」又は「回転軸62」と言うことにする。
The above description is summarized as follows. The
次に、磁歪式トルクセンサ41の製造方法、特に、上記構成のトルク伝達軸124並びに磁歪膜171,172の製造方法について説明する。
Next, a manufacturing method of the
トルク伝達軸124並びに磁歪膜171,172の製造方法は、図15及び次の図16に示す工程で製造するものである。図16(a)〜(e)は本発明に係るトルク伝達軸並びに磁歪膜の第1の製造方法を示す説明図である。但し、図16では軸受156(図14参照)を省略している。
The
先ず、図15(a)に示すように、トルク伝達軸124となる、磁歪膜171,172が外周面に施された中空軸161及びこの中空軸161に嵌合する中実軸162の、2つの部材を準備する(軸準備工程)。
次に、図15(b)〜(c)に示すように、中空軸161に中実軸162を圧入して、ピン167,167で互いに連結する(軸連結工程)。この結果、図15(d)に示すトルク伝達軸124を製造することができる。
First, as shown in FIG. 15A, a
Next, as shown in FIGS. 15B to 15C, the
次に、図16に示すように、中空軸161と中実軸162との少なくとも一方に、予め設定された一定のトルクを加えた状態で、磁歪膜171,172を予め設定された時間、例えば3秒間又はそれ以上の時間にわたって熱処理する(外力付与工程及び加熱工程)。
Next, as shown in FIG. 16, the
具体的には、先ず、図16(a)に示すように、第1の治具201を、中実軸162の一端部に有している治具掛け部162b(又は、治具掛け部162b及びフランジ部162aの両方)に掛ける。
また、第2の治具202を、中実軸162の他端部に有している治具掛け部163b(又は治具掛け部163b及び連結部168(セレーション68))の両方に掛ける。
Specifically, first, as shown in FIG. 16A, a
Further, the
次に、図16(b)に示すように、第1磁歪膜171に加熱装置をセット、例えば高周波焼入装置203をセットする。高周波焼入装置203は、第1磁歪膜171の周囲を囲う加熱用コイル204と、加熱用コイル204に高周波数の交流電力を供給する電源装置205とからなる。
Next, as shown in FIG. 16B, a heating device, for example, an
次に、第2の治具202を図時計回りR1に捩るとともに、第1の治具201を第2の治具202とは逆の図反時計回りR2に捩る。このようにして、中実軸162に、予め設定された正方向のトルクを加える。このトルクの大きさは、好ましくは30〜100Nm程度である。なお、これ以上の大きさのトルクであってもよい。
中空軸161は中実軸162に対して相対的な回転が規制された構成であるから、中空軸161にも予め設定された正方向のトルクを加えることができる(外力付与工程)。この結果、第1磁歪膜171にも正方向のトルクが付与される。
Next, the
Since the
次に、図16(b)に示すように、第1・第2の治具201,202によるトルクを付与しつつ、第1磁歪膜171(特に膜の表面及び表層部分)を予め設定された時間にわたって、高周波焼入装置203で加熱する(加熱工程)。この加熱する時間は、好ましくは3〜5sec程度である。なお、これ以上の時間であってもよい。加熱温度は好ましくは約400℃程度である。
次に、図16(c)に示すように、第1磁歪膜171を、加熱された温度よりも低温となるように冷却した後に、第1・第2の治具201,202の捩り作業を止めてトルクを除く(外力解放工程)。
加熱工程において、高周波焼入による第1磁歪膜171の加熱時間を3〜5sec程度に設定した場合には、第1磁歪膜171を外気温だけで十分に冷却することができる。第1磁歪膜171の加熱温度が約400℃であるから、それ以下の温度に第1磁歪膜171を冷却すればよい。
Next, as shown in FIG. 16 (b), the first magnetostrictive film 171 (particularly the surface and the surface layer portion) was preset while applying torque by the first and
Next, as shown in FIG. 16C, after the first
In the heating step, when the heating time of the first
次に、図16(d)に示すように、第2磁歪膜172に高周波焼入装置203をセットする。
次に、前回とは逆に、第2の治具202を図反時計回りR2に捩るとともに、第1の治具201を第2の治具202とは逆の図時計回りR1に捩る。このようにして、中実軸162に予め設定された負方向のトルクを加える。このトルクの大きさは、好ましくは30〜100Nm程度である。なお、これ以上の大きさのトルクであってもよい。
中空軸161は中実軸162に対して相対的な回転が規制された構成であるから、中空軸161にも予め設定された負方向のトルクを加えることができる(外力付与工程)。この結果、第2磁歪膜172にも負方向のトルクが付与される。
Next, as shown in FIG. 16D, the
Next, contrary to the previous time, the
Since the
次に、図16(d)に示すように、第1・第2の治具201,202によるトルクを付与しつつ、第2磁歪膜172(特に膜の表面及び表層部分)を予め設定された時間にわたって、高周波焼入装置203で加熱する(加熱工程)。この加熱する時間は、好ましくは3〜5sec程度である。なお、これ以上の時間であってもよい。加熱温度は好ましくは約400℃程度である。
次に、図16(e)に示すように、第2磁歪膜172を、加熱された温度よりも低温となるように冷却した後に、第1・第2の治具201,202の捩り作業を止めてトルクを除く(外力解放工程)。
加熱工程において、高周波焼入による第2磁歪膜172の加熱時間を3〜5sec程度に設定した場合には、第2磁歪膜172を外気温だけで十分に冷却することができる。第2磁歪膜172の加熱温度が約400℃であるから、それ以下の温度に第2磁歪膜172を冷却すればよい。
この結果、第1・第2磁歪膜171,172における磁歪の方向を、トルクを加えた方向に正確に且つ容易に傾けることができる。
Next, as shown in FIG. 16 (d), the second magnetostrictive film 172 (especially the surface and the surface layer portion) was preset while applying torque by the first and
Next, as shown in FIG. 16E, after the second
In the heating step, when the heating time of the second
As a result, the direction of magnetostriction in the first and second
このように、この製造方法によれば、先ず、磁歪膜171,172が外周面に施された中空軸161に対して、中実軸162(作用軸162)を圧入して互いに連結することで、トルク伝達軸124を製造する。圧入と連結による影響を受けた磁歪膜171,172には、歪みが生じて、この歪みがそのまま残留する。
Thus, according to this manufacturing method, first, the solid shaft 162 (action shaft 162) is press-fitted into the
これに対して、この製造方法では、次に、中実軸162と中空軸161との少なくとも一方に予め設定されたトルクを加えた状態で、磁歪膜171,172を、予め設定された時間にわたって加熱処理(熱処理)する。加熱処理が完了した後に、磁歪膜171,172を加熱された温度よりも低温となるように冷却して、中実軸162と中空軸161との少なくとも一方に加えられていたトルクを除く。
On the other hand, in this manufacturing method, the
このように、磁歪膜171,172にトルクを加えた状態で、所定時間にわたって熱処理することにより、磁歪膜171,172にクリープを発生させることができる。クリープ(creep)とは、材料を一定荷重(トルクを含む)の基で、一定の温度で加熱すると、時間の経過とともに材料の歪みが増す現象のことである。
Thus, creep can be generated in the
つまり、磁歪膜171,172に熱処理を施すことにより発生するクリープを巧みに利用して、磁歪膜171,172に残留している歪みを低減又は除去することができる。しかも、トルクを加えつつ磁歪膜171,172に熱処理を施すことにより、クリープを利用して、磁歪膜171,172に永久歪みを新たに付与することができる。この結果、磁歪膜171,172における磁歪の方向を、トルクを加えた方向に正確に且つ容易に傾けることができる。つまり、第1磁歪膜171と第2磁歪膜172との、磁歪異方性を設定することができる。
That is, it is possible to reduce or eliminate strain remaining in the
次に、再加熱処理後、磁歪膜171,172に対応する位置に多重巻きコイルを配置し、第1の実施形態の図9で示した検出回路と同様の検出回路を接続する。トルク伝達軸124をギヤボックスに組み付ける。検出回路に設けられたゲイン調整部によりゲインを調整する。このゲインの調整は、第1の実施形態で説明した図10で示されるゲイン設定装置を用いて、第1の実施形態と同様にして行う。
Next, after the reheating treatment, a multi-turn coil is disposed at a position corresponding to the
なお、本発明の実施の形態において、中空軸161と中実軸162との連結構造は、ピン67による連結に限定されるものではなく、圧入だけによる連結や、ねじによる連結であってもよい。
In the embodiment of the present invention, the connection structure between the
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。 The configurations, shapes, sizes, and arrangement relationships described in the above embodiments are merely shown to the extent that the present invention can be understood and implemented, and the numerical values and the compositions (materials) of the respective configurations are as follows. It is only an example. Therefore, the present invention is not limited to the described embodiments, and can be variously modified without departing from the scope of the technical idea shown in the claims.
本発明は、電動パワーステアリング装置の操舵トルクを検出するための磁歪式トルクセンサの製造方法として利用される。また、自動車等に用いる電動パワーステアリング装置として利用される。 The present invention is used as a method for manufacturing a magnetostrictive torque sensor for detecting a steering torque of an electric power steering apparatus. It is also used as an electric power steering device used for automobiles and the like.
10 電動パワーステアリング装置
11 ステアリングホイール
12a,12b ステアリング軸
19 モータ
20 操舵トルク検出部
20u 磁歪膜
20d 磁歪膜
20r コイル
20s コイル
20x 検出回路
22 制御装置
24 ギヤボックス
67 ゲイン調整部
70 ゲイン設定装置
DESCRIPTION OF
Claims (4)
前記磁歪部周囲に磁歪特性の変化を検出する2つの多重巻きコイルを配置する工程と、
前記2つの多重巻きコイルの各々からの出力電圧を少なくとも2つを有し、前記少なくとも2つの出力電圧の各々に対応してトルクの絶対値の増加に応じて電圧幅が広がる設定範囲を少なくとも2つ有し、
前記少なくとも2つの出力電圧の各々を前記少なくとも2つの設定範囲のうちの対応する設定範囲に前記トルクの絶対値の前記増加に応じて変化しても全て収めるように、前記少なくとも2つの出力電圧のCPU内のゲインを調整するゲイン調整工程と、
を含むことを特徴とする磁歪式トルクセンサの製造方法。 Providing a magnetostrictive portion provided with magnetic anisotropy on the rotation axis;
Arranging two multiple winding coils for detecting a change in magnetostriction characteristics around the magnetostrictive portion;
There are at least two output voltages from each of the two multi-turn coils , and at least two setting ranges in which the voltage width increases in accordance with an increase in the absolute value of the torque corresponding to each of the at least two output voltages. Have
Each of the at least two output voltages is stored in a corresponding setting range of the at least two setting ranges even if it changes in response to the increase in the absolute value of the torque . A gain adjustment step for adjusting the gain in the CPU ;
A method of manufacturing a magnetostrictive torque sensor, comprising:
前記ゲイン調整工程において、前記2つの多重巻きコイルの各々からの前記出力電圧は、前記2つの多重巻きコイルの前記接続部の各々からの出力電圧であり、前記少なくとも2つの出力電圧の前記CPU内の前記ゲインがゲイン設定装置にて調整されることを特徴とする請求項1記載の磁歪式トルクセンサの製造方法。 Each of the two multi- turn coils is configured by connecting a coil element used as a resistor in series to a connection portion of the coil,
In the gain adjustment step, the output voltage from each of the two multi-turn coils is an output voltage from each of the connecting portions of the two multi-turn coils, and the at least two output voltages in the CPU The method according to claim 1 , wherein the gain is adjusted by a gain setting device .
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