JP5013475B2 - 光伝播制御方法及び光伝播制御装置 - Google Patents

光伝播制御方法及び光伝播制御装置 Download PDF

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本発明は、光の伝播経路を制御する光学素子等に用いることができる光伝播制御方法及び光伝播制御装置に関するものである。
光の波長と同じスケールの微小な構造体を利用して光の伝播特性を制御できれば、現代の情報化社会における莫大な量の情報伝達を担う光学素子の小型化に多大に貢献できる可能性がある。光の伝播特性を制御するための物理的機構としては、例えば、磁場によって誘起される光学活性である磁気光学効果が挙げられる。この磁気光学効果は、光の進行方向と磁化の方向の関係により分類すれば、光軸と磁化の方向が平行な場合のファラデー効果と、光軸と磁化の方向が垂直な場合のコットンムートン効果とに分けられる。
これらの磁気光学効果のうち、ファラデー効果は、現在、光磁気ディスクや光アイソレーター等の様々な光磁気デバイスに応用されている(例えば、非特許文献1参照。)。
ところが、コットンムートン効果については、構造体に光を照射したときに、この構造体による散乱光に非相反性が現れるものであるため、光アイソレーター等の応用も考えられるが、この非相反性が弱いものであるため、散乱光のさらにごく一部の光の光路が変更されるにすぎず、実用的な応用が行われるに至っていなかった。
佐藤勝昭著 「光と磁気(改訂版)」 朝倉書店 2001年
本発明は、磁化された構造体に共鳴波長の光を照射することにより、この構造体での散乱光の伝播特性を制御する光伝播制御方法及び光伝播制御装置を提供しようとするものである。
請求項1の光伝播制御方法は、光透過性を有し磁化された磁性体からなる構造体に共鳴波長の光を磁化方向に交差する方向から照射することにより、この構造体での散乱光の非相反性の有無を切り替え又は強弱を制御して光路を切り替えることを特徴とする。
請求項2の光伝播制御方法は、前記共鳴波長の光が、前記構造体の共鳴波長をスペクトル中に含む光であることを特徴とする。
請求項3の光伝播制御方法は、前記構造体の形状とサイズに基づく幾何学的共鳴波長であることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、光透過性を有する構造体に共鳴波長の光を照射するので、共鳴効果により光はこの構造体内に閉じ込められる。しかも、磁性体からなる構造体は、照射光と交差する方向に磁化されているので、閉じ込められた光はコットンムートン効果の相乗作用により強い非相反性を有する散乱光として出射される。従って、この光伝播制御方法を用いれば、光の強い非相反性を有する光学素子等を実現することができる。
請求項2の発明によれば、スペクトル中に共鳴波長を含む光を照射するので、この光のある程度以上の部分を確実に共鳴効果により構造体内に閉じ込めることができ、十分に強い非相反性を有する散乱光を出射することができる。
請求項3の発明によれば、構造体の形状とサイズに基づく幾何学的共鳴波長の光を照射するので、この光を幾何学的共鳴効果により確実に構造体内に閉じ込めることができ、十分に強い非相反性を有する散乱光を出射することができる。
以下、本発明の最良の実施形態について図1〜図3を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
この実施形態では、光アイソレーターや光サーキュレーターとして用いることができる光伝播制御方法について説明する。この光伝播制御方法は、図1に示すように、構造体1に照射光Rを照射することにより、この構造体1での散乱光Rの伝播特性を制御するものである。
構造体1は、光透過性を有する磁性体からなりz軸方向に磁化Mされている。即ち、この構造体1は、光をある程度以上透過すれば良いので、いわゆる透明である必要はない。従って、この構造体1に照射光Rを照射すると、この構造体1をそのまま透過する透過光Rと、この構造体1の内部で散乱された散乱光Rとが出射される。また、この構造体1は、磁性体であり磁化Mされている。即ち、この構造体1は、磁化されれば良いので、必ずしも強磁性体である必要はなく、常磁性体や反磁性体であってもよい。そして、この磁性体の磁化Mは、例えば外部から印加された磁場によるものでもよく、磁性体の残留磁化によるものであってもよい。このような光透過性を有する磁性体としては、例えばイットリウム・鉄・ガーネット(YIG)等がある。
上記構造体1は、なんらかの共鳴波長を有している。共鳴波長とは、構造体1の散乱スペクトル中におけるピーク位置に相当する波長である。このような共鳴波長としては、例えば、電子的励起準位に起因するピークに相当する電子的共鳴波長や、構造体1の幾何学的な形状やサイズに起因する幾何学的共鳴波長が挙げられる。そして、例えば幾何学的共鳴波長の場合であれば、構造体1の特定の幾何学的な形状とサイズに基づいて幾何学的共鳴効果により光散乱スペクトルに1つ以上のピーク構造が現れるので、各ピーク位置がそれぞれ幾何学的共鳴波長となる。また、この場合の幾何学的共鳴効果の強さを示すQ値の高いピークを有する構造体1の形状としては、例えば球形や円柱形、正多角柱形等があり、図1では正四角柱形の場合を示す。
上記構造体1に照射する照射光Rは、この構造体1の共鳴波長の光であり、例えば、電子的共鳴波長や幾何学的共鳴波長の光が挙げられる。共鳴波長の光とは、スペクトル中にこの共鳴波長を含む光であるが、実用的にはスペクトルが正規分布をとるレーザ光等のピーク位置が共鳴波長に一致するようなものが好ましい。また、この正規分布の半値全幅内に共鳴波長が含まれるような光であっても、この共鳴波長での強度はピーク値の半値以上となるので十分に実用可能である。しかも、このスペクトルは、必ずしも正規分布である必要もない。さらに、この照射光Rは、構造体1の共鳴波長の光を重ね合わせたものであってもよい。なお、この照射光Rは、必ずしも可干渉性(コヒーレンス)は不要であるため、レーザ光である必要性はない。
上記照射光Rは、構造体1の磁化Mの方向(z軸方向)に交差するx軸方向から照射される。この照射光Rは、図1に示すように、構造体1の磁化方向に直交する方向から照射することが最適であるが、この磁化方向に直交する成分を有する光であればコットンムートン効果が生じるので、少なくともこの磁化方向に交差する方向から照射されていれば足りる。
もし上記構造体1が磁化されていなかった場合には、コットンムートン効果が生じないので、図2に示すように、散乱光Rは、構造体1の周囲に照射光Rの入射方向(x軸)に対して対称的に散乱されて出射される。しかしながら、構造体1は上記のように磁化Mされているので、コットンムートン効果により、散乱光Rは、図3に示すように、構造体1から非相反性を有するように散乱されて出射される。しかも、照射光Rは、幾何学的共鳴波長等の共鳴波長の光であるため、この共鳴効果により構造体1内に閉じ込められて、コットンムートン効果の相乗作用を受けるので、強い非相反性を有する散乱光Rが出射される。図3では、x軸方向よりも少し左側(−y方向)に傾斜した方向の散乱光Rが強くなっている例を示す。
従って、上記光伝播制御方法を用いれば、光の強い非相反性を有する光学素子等を実現することができる。このような光学素子等は、例えば、構造体1での散乱光Rの大部分が照射光Rの入射方向よりも光路が曲がって出射されているように見え、しかも、屈折とは異なり、この光路の曲がりは非相反的であるため、図3に光路Cで示すように、反対側から光が入射しても元には戻らない(y軸方向寄りに曲がって戻る)ので、光アイソレーターとして用いることができる。また、1つの構造体1に対して複数の方向から光を照射できるようにしたり、複数の構造体1を適宜配置することにより、光サーキュレーターとして利用することもできる。
〔第2実施形態〕
この実施形態では、光路を切り替えたり、光アイソレーターとしての機能をON/OFFさせることができる光伝播制御装置について説明する。この光伝播制御装置は、光照射手段が図1に示した構造体1に照射光Rを照射することにより、この構造体1での散乱光Rの伝播特性を制御するものである。
この光伝播制御装置の構造体1も、第1実施形態の構造体1と同じものである。また、照射光Rは、第1実施形態と同様に可干渉性は不要であるためレーザ光である必要性はないが、光照射手段には、実用的には半導体レーザを含むレーザ装置を用いることが好ましい。しかしながら、この光照射手段から照射される照射光Rは、波長可変手段によって波長を変化させることができるようになっている。ただし、この波長の変化は、連続的である必要はなく、2種類以上の波長を切り換えることができればよい。例えば、光照射手段がレーザ光の波長を変化させることができるレーザ装置である場合の波長可変手段は、このレーザ装置の発振波長を調節する機構が該当する。また、基本的には波長が固定された半導体レーザを光照射手段として用いる場合には、複数個の半導体レーザを切り換えて使用すればよく、この切り換えを行う機構が波長可変手段となる。
上記波長可変手段は、光照射手段から照射される照射光Rの波長を変化させて、構造体1の形状とサイズに基づく幾何学的共鳴波長等の共鳴波長の光とすることができる。このときの共鳴波長の光は、第1実施形態で説明したものと同じである。また、上記光照射手段も、第1実施形態の場合と同様に、構造体1の磁化方向に交差する方向から照射光Rを照射する。
上記波長可変手段が照射光Rを共鳴波長以外の光(共鳴波長の光をほとんど含まない光も含む)とした場合には、磁化された構造体1から、コットンムートン効果により僅かに非相反性を有する散乱光Rが出射される。これに対して、波長可変手段が照射光Rの波長を共鳴波長に近づけた場合には、この照射光Rを共鳴効果により構造体1内に閉じ込めることができ、コットンムートン効果の相乗作用により強い非相反性を有する散乱光Rが出射される。
従って、上記光伝播制御装置を用いれば、光の非相反性の強弱を制御する光学素子等を実現することができる。このような光学素子等は、例えば、光路を切り替える素子や、光アイソレーターとしての機能をON/OFFさせる素子として利用することができる。
〔第3実施形態〕
この実施形態でも、光路を切り替えたり、光アイソレーターとしての機能をON/OFFさせることができる光伝播制御装置について説明する。この光伝播制御装置は、光照射手段が図1に示した構造体1に照射光Rを照射することにより、この構造体1での散乱光Rの伝播特性を制御するものである。
この光伝播制御装置の構造体1も、第1実施形態の構造体1と同じものである。ただし、この構造体1の磁化は、磁化制御手段によって制御される。構造体1の磁性体が残留磁化のほとんどないものである場合の磁化制御手段は、この構造体1に外部から磁場を印加したり、この磁場をなくすことができるものであり、印加する磁場の強さを調節できるようになっていてもよい。また、構造体1の磁性体が残留磁化の強いものである場合には、この磁化制御手段に消磁機能等を加えればよい。
光照射手段が照射する照射光Rは、上記構造体1の形状とサイズに基づく幾何学的共鳴波長等の共鳴波長の光であることが好ましい。このときの共鳴波長の光は、第1実施形態で説明したものと同じである。ただし、この照射光Rは、必ずしも共鳴波長の光には限定されない。また、この光照射手段も、第1実施形態の場合と同様に、構造体1の磁化方向に交差する方向から照射光Rを照射する。なお、照射光Rは、第1実施形態や第2実施形態と同様に可干渉性は不要であるためレーザ光である必要性はないが、光照射手段には、実用的には半導体レーザを含むレーザ装置を用いることが好ましい。
上記磁化制御手段が構造体1を磁化していない場合には、コットンムートン効果が生じないので、散乱光Rは、構造体1の周囲に照射光Rの入射方向に対して対称的に散乱されて出射される。これに対して、磁化制御手段が構造体1を磁化している場合には、コットンムートン効果により、散乱光Rは、構造体1から非相反性を有するように散乱されて出射される。しかも、照射光Rが共鳴波長の光であれば、共鳴効果により構造体1内に閉じ込められて、コットンムートン効果の相乗作用を受けるので、強い非相反性を有する散乱光Rが出射される。
従って、上記光伝播制御装置を用いれば、光の非相反性の有無を切り換えたり強弱を制御する光学素子等を実現することができる。このような光学素子等は、例えば、光路を切り替える素子や、光アイソレーターとしての機能をON/OFFさせる素子として利用することができる。また、構造体1の磁化の有無により情報を記憶する素子の情報の読み出し等に利用することも可能となる。
上記磁化された構造体に照射光を照射したときの散乱光の散乱場のポインティングベクトルを数値的に評価する。
誘電率εの媒質中に、誘電率が数1で表されるような構造体がある場合を考える。
このような系にE(r)で表される電場が入射した時の応答電場は数2で表される。
ただし、ここでは数3である。
1は単位テンソルを表す。数2で第一項は入射場を、第二項は散乱場を表している。Gはテンソル型Green関数を表している。Vは構造体の体積であり、第二項の積分は構造体内部でのみ行えばよい。
全応答電場E(r)を具体的に評価するには、数2から求めればよいが、右辺第二項の積分中にもE(r’)が現れているので、自己無撞着に解く必要がある。そこで、数2を数値的に解くために、Discrete Dipole Approximation(DDA)と呼ばれる方法を用いる(参考文献1)。いま考えている系全体をN個のメッシュで区切り、それぞれに番号を振る(i=1〜N)。i番目のメッシュにおける電場を、E(r)とすると、数2は数4のように書き直すことができる。
M(r)はセルフターム、Lは数2の第二項の積分での特異点の形状に依存する量である(参考文献2)。数3と数4は、N元の連立方程式となっているので、これを解けば各メッシュでの電場E(r)(i=1〜N)を求めることができる。電場E(r)が求まれば、磁場は簡単に導くことができて、
となる。ここで、
である。
電場・磁場が求まると、光のエネルギーの方向を示すポインティングベクトルを計算することができる。ここで、数3及び数5における応答電場および応答磁場ともに右辺第一項の入射場をEin,Hin、右辺第二項の散乱場をEscat,Hscatと置くと、全応答場のポインティングベクトルは、Ein×Hin、Ein×Hscat、Escat×Hin、Escat×Hscatの四項の和からなる。しかしながら、ここでは、散乱場の伝播特性を明らかにするため散乱場のポインティングベクトルである数7のみに着目した解析を行った(数値計算においては、入射光のポインティングベクトルの大きさを1とした)。
以下では、磁化を持った構造体により光がどのように散乱されるのかを探るため、等方性の物質でできた柱状構造体を構造体として仮定した。このとき、背景媒質は真空とした(ε=1)。もし、等方性の物質がz軸方向に磁化を持つとすると、誘電率は数8のようにテンソルの形で表され、
非対角成分εxyが現れる(磁化がない場合はεxy=0)。このような誘電率テンソルを柱状誘電体に与え、数4及び数5をから散乱電場および散乱磁場を求めた後、数7に代入し、磁化を持った構造体の散乱場のポインティングベクトルを数値的に評価した。
まず、図4のように一辺の長さLの正四角柱の構造体1に、x軸の正方向に進行し、y軸方向に振動する波長λの平面波が入射した場合の散乱場について調べた。構造体1の後方の、左、中央、右に位置する3点、a,b,cでの散乱場のポインティングベクトルの大きさをサイズパラメータの関数としてプロットした(図5)。磁化がない場合の、3点でのポインティングベクトルの大きさのサイズパラメータ依存性を図5(a)に示す。横軸は角柱のサイズパラメータL/λである。ただし、誘電率テンソルの各成分の値は、εxx=2,εxy=0として計算した。また、図5(b)にa点とc点のポインティングベクトルの大きさの比を示す。当然のことながら、物質に磁化がない場合、光は進行方向に対して対称的に散乱されるので、a点とc点のポインティングベクトルの大きさの比は常に1:1である。磁化がない場合の散乱の様子を知るために、図5(a)で示す(i)(L/λ=1.47)の時の構造体1周辺のポインティングベクトルの分布を計算した(図6)。図6を見ると、散乱場は対称になっていることが確認できる。
次に、構造体1が磁化され誘電率に非対角成分がある場合について同様に3点a,b,cにおいてポインティングベクトルの大きさを計算をした(ただし、εxx=2,εxy=1とした)。その結果を図7に示す。図7(a)を見ると、L/λ=2〜3.5の範囲で複数のピーク構造が確認できる。このピーク位置では、幾何学的共鳴効果により光は構造体1内に閉じこめられ、大きく増強されると考えられる。また、図7(b)においてもピーク構造が確認できる。実際に散乱の様子を知るために、図7(b)示した三つのピーク(i),(ii),(iii)について、構造体1周辺の散乱場のポインティングベクトルを計算した。それぞれの結果を図8〜図10に示す。ここで、構造体1の一辺の長さは、L=450nmとして計算した。(i)のピークは、a点とc点のポインティングベクトルの大きさの比は大きいが、図7(a)を見てわかるようにポインティングベクトルの増大はなく、幾何学的共鳴は生じていない。また、図9及び図10より、幾何学的共鳴を生じるL/λでは、ポインティングベクトルの大きさ・偏りともに大きくなっていることがわかる。
ここまで、角柱の構造体1による散乱についての計算について述べたが、以下では、図11に示す円柱の構造体1による散乱について同様の計算を行った結果を記す。角柱の場合と同じように、磁化による散乱の本質を理解するために、まずはεxx=2,εxy=1というパラメータを用いて計算を行った。計算に用いたモデルは、基本的には図1の角柱を円柱に置き換えたものである。ただし、Lは円柱の直径を表す。3点a,b,cでの散乱場のポインティングベクトルのサイズパラメータ(L/λ)依存性を図12に示す。円柱の場合も角柱の場合と同様に、幾何学的共鳴によるピーク構造が確認できるが、形が異なるためにL/λに対する依存性は大きく異なることが分かる。そこで、図12(b)に示すピーク(i),(ii),(iii)での、円柱周辺での散乱場ポインティングベクトルの場所依存性を数値的に評価し、図13〜図15に示した(直径L=450nm)。角柱の場合と同様に幾何学的共鳴を生じるところでは、ポインティングベクトルの大きさ・偏りともに大きくなっていることが分かるが、その形状の違いを反映した分布となっていることが分かる。
最後に、図16〜19に、柱状の構造体1の構成物質のパラメータとして具体的に強磁性体であるイットリウム・鉄・ガーネット(YIG)に近い値を用いた場合の計算結果も示した。図16及び図18における角柱、円柱いずれの場合もサイズパラメータ依存性を見ると、非対角成分が上記の例に比べて小さいため大部分では顕著な差が見られないように思われるが、鋭いピークのところで左右のポインティングベクトルの比が急峻に変化していることが分かる。これは高いQ値の幾何学的共鳴準位に共鳴すれば、誘電率の非対角成分が少々小さくても強い非相反性が見られる可能性を示唆している。また、必ずしも最適な条件であるとは言えないが、図17及び図19に示すように、ポインティングベクトルの場所依存性にも上記の例と同様に顕著な偏りが現れている様子も見て取れる。
以上の結果から、柱状構造体1のサイズ、形状により光路の回転の仕方を制御して、光通信用素子の構成要素として利用できる可能性が分かった。特に、光の波長と構造体1のサイズや形状を適切に設計してやれば、高いQ値を有する幾何学的共鳴準位において、磁気光学効果との相乗作用により特異な非対称性を有する散乱光のポインティングベクトルが得られることが分かった。これは、構造体1内に局在する光電場の空間構造をデザインすれば、光サーキュレーターなどで利用される非相反性などの磁気光学効果の制御に繋がる可能性を示唆している。ここでは単一のマイクロ構造体を対象とした考察を中心に行ったが、それらを配列した構造体を作成することで、素子の光機能を多彩にデザインするのための指導原理提供に繋がる可能性もある。
〔定義集〕
・磁気光学効果:磁場によって誘起される光学活性を言う。
・ファラデー効果:光軸と磁化の方向が平行な時の磁気光学効果であり、磁化を持つ構造体にその磁化の方向に対して平行な偏光方向の光を入射するとその偏光面が回転する効果を言う。
・コットンムートン効果(フォークト効果):光軸と磁化の方向が垂直な時の磁気光学効果であり、磁化を持つ構造体にその磁化の方向に対して直行する偏光方向の光を入射するとその伝播経路が屈折される効果を言う。一方で、平行な偏光は屈折のされ方が異なるため、磁気複屈折とも呼ばれる。
・幾何学的共鳴効果:電子的な共鳴効果が無い波長領域でも、構造体のサイズが光の波長と同じオーダーになると背景誘電率の効果によって構造体内部で全反射が起き、内部に閉じ込められた光が定在波を形成することによって散乱スペクトルに共鳴的なピーク構造が現れる現象を言う。球状散乱体や円柱状散乱体におけるWhispering Gallery Mode(WGM)がよく知られている。
〔参考文献〕
参考文献1:Oliver J. F. Martin and Nicolas B. Piller, Physical Review E 58, 3909 (1998).
参考文献2:A. D. Yaghjian, PROCEEDINGS OF THE IEEE 68, 248 (1980).
本発明の一実施形態を示すものであって、正四角柱形の構造体に照射光を照射している状態を示す斜視図である。 本発明の一実施形態を示すものであって、磁化されていない正四角柱形の構造体に照射光を照射している状態を示す平面図である。 本発明の一実施形態を示すものであって、磁化された正四角柱形の構造体に照射光を照射している状態を示す平面図である。 本発明の実施例を示すものであって、散乱場のポインティングベクトルを調べるために、正四角柱形の構造体に照射光を照射している状態を示す平面図である。 本発明の実施例を示すものであって、磁化されていない構造体において、(a)は図4の配置における各点a〜cのポインティングベクトルの大きさ、(b)は点aと点cのポインティングベクトルの大きさの比のサイズパラメータ依存性を示すグラフである。 本発明の実施例を示すものであって、磁化されていない構造体において、図5のピーク(i)における散乱場のポインティングベクトルを示す図である(白線の正方形は構造体の領域を表す)。 本発明の実施例を示すものであって、磁化された構造体において、(a)は図4の配置における各点a〜cのポインティングベクトルの大きさ、(b)は点aと点cのポインティングベクトルの大きさの比のサイズパラメータ依存性を示すグラフである。 本発明の実施例を示すものであって、磁化された構造体において、図7のピーク(i)における散乱場のポインティングベクトルを示す図である(白線の正方形は構造体の領域を表す)。 本発明の実施例を示すものであって、磁化された構造体において、図7のピーク(ii)における散乱場のポインティングベクトルを示す図である(白線の正方形は構造体の領域を表す)。 本発明の実施例を示すものであって、磁化された構造体において、図7のピーク(iii)における散乱場のポインティングベクトルを示す図である(白線の正方形は構造体の領域を表す)。 本発明の実施例を示すものであって、散乱場のポインティングベクトルを調べるために、円柱形の構造体に照射光を照射している状態を示す平面図である。 本発明の実施例を示すものであって、(a)は図11の配置における各点a〜cのポインティングベクトルの大きさ、(b)は点aと点cのポインティングベクトルの大きさの比のサイズパラメータ依存性を示すグラフである。 本発明の実施例を示すものであって、図11のピーク(i)における散乱場のポインティングベクトルを示す図である(白線の円形は構造体の領域を表す)。 本発明の実施例を示すものであって、図11のピーク(ii)における散乱場のポインティングベクトルを示す図である(白線の円形は構造体の領域を表す)。 本発明の実施例を示すものであって、図11のピーク(iii)における散乱場のポインティングベクトルを示す図である(白線の円形は構造体の領域を表す)。 本発明の実施例を示すものであって、誘電率テンソルとしてYIGの値に近い値を有すると仮定した正四角柱形の構造体において、(a)は図4の配置における各点a〜cのポインティングベクトルの大きさ、(b)は点aと点cのポインティングベクトルの大きさの比のサイズパラメータ依存性を示すグラフである。 本発明の実施例を示すものであって、図16のピーク(i)における散乱場のポインティングベクトルを示す図である(白線の正方形は構造体の領域を表す)。 本発明の実施例を示すものであって、YIGに近似した円柱形の構造体において、(a)は図11の配置における各点a〜cのポインティングベクトルの大きさ、(b)は点aと点cのポインティングベクトルの大きさの比のサイズパラメータ依存性を示すグラフである。 本発明の実施例を示すものであって、図18のピーク(i)における散乱場のポインティングベクトルを示す図である(白線の円形は構造体の領域を表す)。
符号の説明
1 構造体
R 照射光
透過光
散乱光
M 磁化

Claims (3)

  1. 光透過性を有し磁化された磁性体からなる構造体に共鳴波長の光を磁化方向に交差する方向から照射することにより、この構造体での散乱光の非相反性の有無を切り替え又は強弱を制御して光路を切り替えることを特徴とする光伝播制御方法。
  2. 前記共鳴波長の光が、前記構造体の共鳴波長をスペクトル中に含む光であることを特徴とする請求項1に記載の光伝播制御方法。
  3. 前記共鳴波長が、前記構造体の形状とサイズに基づく幾何学的共鳴波長であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光伝播制御方法。
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