JP5011735B2 - 映像表示装置 - Google Patents
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Description
このうち、TN(ツイストネマチック)型の配向の液晶では、ねじれた配向であるため、リタデーションフィルムにおいて偏光を補正しても、一方向だけコントラストの反転が起こってしまうという欠点があり、様々な方向から見ることが想定されるテレビには、あまり適していない。
TN方式では、液晶が90°ねじれて配向している。
この方式では、視野角も広く、応答性の高く、光学特性は良い。
但し、ベント配向が、スプレイ配向の2つの安定状態を持つため、安定した動作のものを作製するのが非常に難しい。
しかし、IPSは、応答性が比較的低い、暗部が潰れやすい、製造コストが高いと言われている。
このVA型液晶は、TNやIPSが水平に配向しているのに対して、垂直に配向しているので、コントラストが高く、黒の部分の階調も再現もしやすい。
また、応答性,透過率,製造コストの面で、TN型には、劣るが、IPSよりは比較的製造し易いと言われている。
しかし、見る角度によって、ガンマが変化してしまい、斜めからみると、白っちゃけて見えてしまい、見る角度によって、色が変化してしまう欠点がある。
また一方で、薄型テレビの大型化が顕著であり、違和感があるような画像を視覚すると、そのまま眼の疲労感に直結してしまう。
一方、人間の感じ方は、外部の明るさに影響を非常に受けることが知られており、その環境の明るさにより最適な画像表示が異なってくるため、視聴環境によっては、疲労感のある映像となったり、メリハリのない映像となったりしてしまい、すべての視聴環境に適応した画像というのは、表示できない。
"The Theory of the Photographic Process" T. H. James
これは、網膜の周辺からの刺激が抑制神経を伝わって網膜の中心付近に神経に伝わることによるものと言われている。
そこで、適切な画質の調整をユーザー自ら行う事が考えられるが、テレビが様々な人に使用される事を鑑みると非常に煩雑となってしまい、すべての人が適切に行えるとは考え難い。
さらには、店頭にテレビが展示される際は、非常に明るい環境の中に置かれ、しかも、購買者の目を引く必要があるため、画像としては、彩度の高いものが望まれているが、そのような画像をそのままリビングに持ち込むと非常に疲れる映像になってしまう。
本発明は、映像表示装置(特に、液晶テレビ)の視覚にあたって、人間の眼が環境の明るさに応じて適応する性質に合わせて、画像を適切に自動的に調節することによって、様々な環境下で視聴されるテレビをどのような環境でも疲労感も少なく、よりリアルな映像を視覚可能とすることを主目的とし、明るい店頭展示状態においては、輝度の低下,コントラストの低下,ボケを抑制しつつ、見る角度による階調の変化,色変化を抑制する色補正可能な拡散体を適用した好適な画質(色)の表示が可能な映像表示装置を提供し、ユーザーの購買意欲の向上を促そうとするものである。
粒子径に応じて可視光波長域の光をより強く散乱(Mie散乱)するような屈折率の異なる粒子状の微細な領域(内面散乱体)を有する光散乱フィルムを、偏光フィルムと組み合わせて液晶表示素子に適用してなる映像表示装置であり、
正面から45°の範囲で階調のガンマの変化が0.5以内であり、コントラストが1:50以上を保ち、
視聴環境の照度を計測できる計測器を備えており、計測された照度に応じて、階調特性を変化させる手段を備えることを特徴とする。
上記フィルムを偏光フィルムと組み合わせて液晶表示素子に適用して、観察者側の偏光層のさらに前面に配置することにより、
映像表示装置(液晶テレビ)を見る角度に応じた色変化,コントラスト低下,ボケ,正面での輝度低下が認識できないほど小さく視覚され、特に垂直配向型液晶で特筆される、暗部の表現力,低コストなどの特徴を一層生かした液晶テレビが実現される。
このような表示を行なうためには、斜めから見た際でも、コントラストが十分に保たれていないと、斜めから観察した際に、より黒の浮きが大きくなってしまい、不具合がある。
また、ガンマ特性が寝る傾向があると、これも望ましい特性が得られないため、これも少ない方が良い。
その際には、100cd/m 2 以下の明るさを抑えると黒浮きも抑えられて、眼への負担も抑えられると考えられるのでより望ましい。
このような表現は、小さなディスプレイでは、若干の違和感を感じる程度で、疲労を感じるほどではないが、ディスプレイが大型化していけば、違和感および疲労感を一層強く感じることになる。
テレビ映像について、明室環境と暗室環境での望ましい階調特性(入力信号=NTSC)を、図1のグラフに示す。
粒子径に応じて可視光波長域の光をより強く散乱(Mie散乱)するような屈折率の異なる粒子状の微細な領域(内面散乱体)を有する光散乱フィルムを、垂直配向型の液晶テレビに配置した際の、角度変化に応じたコントラスト変化を、図2のグラフに示す。
その場合、50lux/cm 2 と150lux/cm 2 の間の環境では、出力する表示映像のガンマを3.3から2.2へと、漸近的に変化させるのがよい。
このようなガンマ特性をもつ映像表示装置は、どの角度から見ても、ガンマ特性が変化せず、また、黒浮きもある程度抑えられた表示装置である必要もある。そのため、透過型の垂直配向型の液晶パネルの前側偏光板の偏光層の前面に、後述の<光散乱フィルム>を配置して、後方散乱や色変化に関して下記に記載の条件を満たすようにして実現した。
しかし、間接照明下のような薄明かりの中であれば、これ以上、黒の輝度を落としても、認識できず、濃度換算で言えば、2.5は維持されるので、暗い環境下でも、十分である。
むしろ、斜めから見た際に最大で、1:20程度まで、コントラストが低下してしまう点は、テレビの視聴環境を考えると、問題があると考えられ、この点は改善が望まれる。
・後方散乱
テレビの視聴には、明室下が推奨されていることから、コントラストを語る場合に、明室下の条件下で考えた場合、光を拡散させ液晶表示装置の明室下でのコントラストを十分確保するには、明室では、暗室下と比較し、ディスプレイの暗部に対する感度が鈍くなる事を考慮し、コントラストとしては、100:1以上のコントラストは、ほとんど知覚できない。そのため、コントラストとして、100:1あれば十分である。
ところで、現在の液晶テレビは白色の輝度が400cd/m 2 以上ある。
このとき、コントラスト100:1を得るためには、黒の輝度を4cd/m 2 以下に抑えれば良い。
通常の室内環境においては、100〜300lux/m 2 であり、明るい部屋の場合を考え、ディスプレイからの反射が、理想拡散板である場合には、300/3.14=95cd/m 2 となる。
一方、液晶ディスプレイに黒を表示した場合それ自体の輝度として、白輝度の1/400程度の輝度を有しており、約1cd/m 2 の輝度となる。
ここで、液晶ディスプレイの反射率が、理想拡散板の3%である場合、輝度は、2.9cd/m 2 となるので、この場合、通常のリビングのような明室下でも、十分なコントラストが得られる。
また、通常のリビング等では、部屋の中心付近に照明光源があり、部屋の壁際にテレビをおくのが一般的である。
このことから、想定されるディプレイに入射する照明光の入射角度をとしては、約45度照明が妥当と考える。上記条件と合わせると、45度照明,0度測定の反射率が、標準白色板に対して3%以下であれば、明室下でも十分なコントラストが得られることになる。
一方で、映画を落ち着いた環境下で手軽に見たいという要望があるが、このような用途に液晶テレビでは、上記のような点から、ガンマ特性が淡くふれてしまうため、少しボケた印象を受けてしまう。
また、同様に輝度も明室下と同様の明るさであると、黒の輝度が浮きやすく、高いコントラストを、有した液晶パネルを用いる必要があるが、暗いところではバックライトの輝度を低下させれば、液晶パネルの輝度を低いままでも高い画質が得られる。
また、正面では青く、横からは黄色く見える傾向がある。
これを補正するために、負の一軸異方性を有するリタデーションフィルムを用いたりしているが、これは特定の配向き、特に黒の部分にのみ効果があるため、中間階調での補正には十分でない。
本発明の拡散体を適用した光学フィルムを垂直配向型の液晶の前側偏光板に配置することによって、それぞれの向きでの光が十分に混ぜ合わせられ、拡散の波長依存性の効果により色の補正が可能であり、正面と周辺との色差が、ΔU’V’で0.04以下となるようにすることにより、実質的に、色変化を知覚しないディプレイを得ることができる。
さらに厳しい品質を求められるものには、ΔU’V’で0.03以下の方が望ましい。
このとき、試験色としては、例えば、CIE1974で規定されている8試験色近傍の色を用いることができる。
また、JISZ 8726の15試験色の近傍の色を用いても良い。
この色変化を測定するときには、すべての色を測定することは実質的に不可能であるため、このように代表的な色を測定し、色変化を測定することで、ディスプレイを評価するのは、妥当であると考えられる。
また、この拡散体を適用した光学フィルムを付加することにより一般的には、正面の輝度の低下が起こる。これを、バックライトで補正することは可能であるが、極度に低下すると補正しきれなくなるため、この拡散体を適用した光学フィルムを付加する前と比較して元の輝度の40%以内に抑えるのが妥当であると考えられる。さらに望ましくは、20%以内に抑えるのが良い。
また、屈折率異方性を有するようなリタデーションフィルムとともに用いることも可能である。
このようにして得られた、液晶表示装置において、周辺の輝度に応じて階調のガンマを変化させる事によって視聴環境の明るさが異なる場合においても、良好な映像を視聴することができた。
良好な映像の表示が可能な薄型表示装置として、IPS型の液晶表示装置も挙げられる。
しかしこのディスプレイも斜めから見るとコントラストが、偏光板を斜めに進むもれ光により、1:10〜1:20程度になってしまう。
このようなディスプレイでも、リタデーションフィルムを用いたり、拡散フィルムを用いて、黒浮きを抑制させる事により、同様に十分なコントラストを確保することが望ましい。
またIPSでは、VA型液晶のように、斜めからみた際に階調が軟調になることはないので、その点では、望ましい階調を表示しやすい。
このようなIPS型液晶表示装置に対して、50lux/cm 2 以下の環境では、フルの階調を用いてガンマを従来の1.5倍相当にすると良い。NTSCの場合、入力信号は2.2を想定している。そのため、本発明における映像表示装置では、出力する表示映像のガンマは、3.3にすると良い。
また、150lux/cm 2 〜250lux/cm 2 の環境では、出力する表示映像のガンマを、本来のNTSCの信号に想定されているガンマである2.2とできる。
その場合、50lux/cm 2 と150lux/cm 2 の間の環境では、出力する表示映像のガンマを3.3から2.2へと、漸近的に変化させるのがよい。
また、250lux/cm 2 以上の環境では、彩度を上げ、よりリアリティ豊かな、望ましい画像を表示するように設定することによって、店頭展示の際にも、よりアイキャッチ効果が高い映像を表示させることができる。
このようなガンマ特性をもつ映像表示装置を、IPS型の液晶パネルの前側偏光板の偏光層の前面に、光学フィルムとして後述の<光散乱フィルム>を配置して、実現した。
プラズマテレビでは、例えば最外面に光を吸収するような層を用いることによって、明るい部屋でのコントラストを向上させることができ、このようなパネルであれば、家庭のリビングなどでは、十分なコントラストが得られ、角度によって階調特性も変わらないため、このようなディスプレイにも用いることが可能である。
MEKで溶かした酢酸ビニルのSN−12T(ポリマーの商品名:ポバール 大阪有機社製)に、アクリルモノマーであるM−110(商品名:アロニックス 東亜合成社製)を、質量比で、5:1の割合で混合し、富士写真フイルム(株)製TACのフジタック(80μm厚)に塗工し、加熱により、溶剤を揮発させ、18μmの膜厚となるようにポリマー層を塗布し、紫外線を約500mJ/cm 2 で照射後、120℃で10分間加熱し、相分離した光拡散体が得られた。このフィルムを15画型液晶テレビのKLV−15AP(商品名:ベガ ソニー社製)の表面に貼合した。
内面散乱体の平均粒子径は、0.4μmである。
全体の塗工液の固形分の質量比率から、内面散乱体の含有量は、約30%であるが、十分な散乱性が得られた。また、このような光学フィルムを液晶テレビの最表面に配置することにより、ΔU’V’で0.04程度に色変化を抑制することができた。
Claims (3)
- 粒子径に応じて可視光波長域の光をより強く散乱するような屈折率の異なる粒子状の微細な領域を有する光散乱フィルムを、偏光フィルムと組み合わせて液晶表示素子に適用してなる映像表示装置であり、
50lux/cm 2 〜150lux/cm 2 の環境においては、表示映像のガンマが、3.3から2.2の間で漸近的に変化することを特徴とする、映像表示装置。 - 前記液晶表示素子が、垂直配向型の液晶を使用しており、
100〜300lux/cm 2 の環境においては、正面から45°の範囲内では、表示映像のコントラストが1:50以上であることを特徴とする、請求項1に記載の映像表示装置。 - 前記液晶表示素子が、IPS型の液晶を使用しており、
リタデーションフィルムが用いられていることを特徴とする、請求項1に記載の映像表示装置。
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