JP4976304B2 - 音響信号処理装置、音響信号処理方法およびプログラム - Google Patents

音響信号処理装置、音響信号処理方法およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、音響信号処理装置および音響信号処理方法に関し、特にNIチャンネルにダウンミックスされた音響信号を、NO(NO>NI)チャンネルの音響信号に変換する技術に関する。
近年、Spatial Codec(空間的符号化)と言われる技術開発が行われている。これは、非常に少ない情報量でマルチチャンネルの臨場感を圧縮・符号化することを目的としており、例えば、既にデジタルテレビの音声方式として広く用いられているマルチチャンネルコーデックであるAAC方式が、5.1ch当り512kbpsや、384kbpsというビットレートを要するのに対し、Spatial Codecでは、128kbpsや、64kbps、さらに48kbpsといった非常に少ないビットレートでマルチチャンネル信号を圧縮・符号化することを目指している。そのための国際標準規格化活動が、現在MPEGオーディオ規格化会議において行われており、所謂Reference Model Zero(以下、「RM0」とも記す。)と呼ばれるスペーシャルオーディオコーデックの基本となる処理方式が開示されている(非特許文献1)。
なおここで、Spatial Codecの基本原理について説明する。
図1は、Spatial Codecの基本原理について、L,Rの2chを例として説明するための図である。
エンコードプロセスにおいては、図1(a)に示されるように、スペーシャルオーディオエンコーダは、複素演算により、L,Rの2chの音楽信号から、ダウンミックス信号S(S=(L+R)/2)、レベル比cおよび位相差θを求める。ダウンミックス信号Sは、レベル比cおよび位相差θとともに、MPEG方式AAC規格等による符号化装置でさらに符号化される。
デコードプロセスにおいては、図1(b)に示されるように、ダウンミックス信号Sに対して直交し、かつ残響感を伴う信号であるデコリレート信号Dを生成する。
そして、図1(c)に示されるように、ダウンミックス信号Sとデコリレート信号Dとを混ぜ合わせ、復号化されたレベル比cおよび位相差θに基づいて、図1(a)に示される平行四辺形の関係を満たすL,Rの2chの音声信号を生成する。
ここでは、2chから1chにダウンミックスし、1chを2chにマルチチャンネル化する場合について説明したが、この原理を複数回繰り返すことで、5.1chを2chにダウンミックスし、2chを5.1chにマルチチャンネル化すること等もできる。
次いで、RM0における信号の流れについて、説明する。
図2は、RM0における基本的な信号の流れの一例として、2チャンネルの信号を5チャンネルの信号に変換する音響信号処理装置900の機能構成を示すブロック図である。
ここで、入力の2チャンネルは元々は5チャンネルの信号であったものを2チャンネルにダウンミックスしたものであり、出力の5チャンネルは元々の5チャンネル信号に復元されるものである。またここでは、2チャンネル信号は通常、前方の左右スピーカから出力される信号であり、5チャンネル信号は通常、前方の左右スピーカ、後方左右スピーカ、前方中央スピーカから出力される信号を意味する。
さて、図2に示されるように、音響信号処理装置900は、pre−mixing matrix M1(901)と、デコリレータ(De correlator又は、Decorrelatorとも記す。)902,903と、post−mixing matrix M2(904)とを備える。
pre−mixing matrix M1(901)は、入力のinput1と、input2とに対してゲイン制御に関する行列演算を行う処理によって、5系統の信号に変換する。その中の2系統の信号はデコリレータ(De correlator)902,903による処理によって、無相関な信号にそれぞれ変換される。post−mixing matrix M2(904)は、デコリレータ(De correlator)902,903によって変換された2系統の信号と、変換されなかった残りの3系統の信号との合計5系統の信号に対して位相制御に関する行列演算を行う処理によって、出力の5チャンネル信号を生成する。
図3は、音響信号処理装置900のさらに詳しい機能構成を示すブロック図である。なお、図2では、信号は左から右へ流れるように示したが、図3において信号は右から左へ流れるように示されている。これは、pre−mixing matrix M1(901)と、post−mixing matrix M2(904)の内部が、行列演算によって定義されるので、行列演算式の数学的表現と信号の流れとを一致させるために、信号が右から左へ流れるように示したのみであり、本質的には図2に示したものと変りはない。
音響信号処理装置900は、上述したpre−mixing matrix M1(901)、デコリレータ(De correlator)902,903、post−mixing matrix M2(904)の他、さらに2つの行列式生成部905,907と、2つの内挿部906,908とを備える。
さて、図3に示されるように、pre−mixing matrix M1(901)の信号処理は、5行*2列の行列式によって実現される。一般的には、下記式(1)に示すような行列式が、pre−mixing matrix M1(901)の一例として定義される。
Figure 0004976304
…(1)
式(1)において、α、βは、CPC(Channel Prediction Coefficients)と言われる音響空間的な係数によって求められる値であり、γは、ICC(Inter Channel Correlation)と言われる音響空間的な係数によって求められる値である。
また、添え字lは、l番目のパラメータセット(圧縮符号化パラメータの集合体)からきたデータであることを示す添え字である。また、添え字mは、m番目の周波数帯域からきたデータであることを示す添え字である。これらの意味の詳細については本願の趣旨に関係ないのでここでは省略する。
式(1)は、5行*3列の行列式であるが、その中の3列目は、非特許文献1で述べられている所謂ResidualCodingが行われている場合のみ意味を持つものであるが、通常、ビットレートの制約と、デコード演算負荷の軽減の観点で、ResidualCodingが行われない場合が多いので、その場合、式(1)は、下記式(2)とみなすことができる。
Figure 0004976304
…(2)
つまり式(2)が、図3における右側の行列式に対応している。勿論、ResidualCodingが行われている場合は、図3における右側の行列式は、式(1)に準じた5行*3列の行列式になり、入力信号として、ResidualSignalが追加され3チャンネルとなる。
そのようにして生成された5系統の信号の中の2系統の信号は、デコリレータ(De correlator)902,903の処理によって無相関な信号にそれぞれ変換される。これによって変換された2系統の信号と、変換されなかった残りの3系統の信号との合計5系統の信号とが、post−mixing matrix M2(904)における処理によって変換され、出力の5チャンネル信号が生成される。この信号処理は、5行*5列の行列演算式によって実現される。
ここでは、簡単のために、5行*5列の行列演算式を一例に挙げたが、これは、前方2チャンネル、後方2チャンネル、センターチャンネルの5チャンネルを対象にしている場合であって、さらに、LFEチャンネルを加味すれば、この行列式は、6行5列の行列式となる。また、さらに、非特許文献1で述べられている所謂TttElementにおいてDecorrelatorが用いられる場合は、当該行列演算の入力側が、1チャンネル増えるので、この行列式は、6行6列の行列式となる。
さてここで、各行列演算における行列式の要素(係数)は、元々の5チャンネルの信号間のレベル比と相互相関(位相差)とチャンネル間予測係数とを符号化したパラメータから生成される。
まず、符号化されているレベル比、相互相関(位相差)、チャンネル間予測係数の情報を復号化し、行列式生成部905,907によって、2チャンネルの信号を5チャンネルの信号に分離するために必要となる信号間のレベル比や位相差や予測係数を求める。
これらの符号化信号は、所定時間間隔のフレーム毎に更新されるものであるので、レベル比や位相差の値は、その変動をスムーズにするために、前フレームの状態と現フレームの状態とから、内挿部906,908によってスムージングされる。このようにして、pre−mixing matrix M1(901)と、post−mixing matrix M2(904)とにおける行列演算式の各要素が決定されるが、この行列演算式の各要素を決定する過程は、本願の趣旨とは特に関係ないのでここでは詳細な説明を省略する。
また、非特許文献1において、デコリレータ(De correlator)902,903の処理は、入力信号の周波数特性は維持したまま時間特性のおいて入力信号と無相関(incoherent)な信号を生成することであることが述べられており、その方法として、lattice all pass filterを用いることが述べられている。
J.Herre,et al,"The Reference Model Architecture for MPEG Spatial Audio Coding",118th AES Convention, Barcelona、 Audio Engineering Society Convention Paper 6447、2005年5月28−31日
しかしながら、上記した音響信号処理装置900には、以下のような問題がある。
すなわち、pre−mixing matrix M1(901)と、post−mixing matrix M2(904)とは、共にサイズの大きな行列式を用いた行列演算によって実現されるので、多大の積和演算を要するという第1の問題がある。
また、内挿部906,908も、各フレーム毎に過去のフレームとの間でスムージングの処理を行うので、多大の演算量を要するという第2の問題がある。
また、De correlator902,903の処理で用いられているlattice all pass filterの処理も複数タップのIIRフィルタで構成されるので、多大の演算量を要するという第3の問題がある。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、行列演算の演算量を削減することができる音響信号処理装置および音響信号処理方法を提供することを第1の目的とする。
また、内挿処理に必要な演算量を削減することができる音響信号処理装置および音響信号処理方法を提供することを第2の目的とする。
さらに、デコリレート処理に必要な演算量を削減できる音響信号処理装置および音響信号処理方法を提供することを第3の目的とする。
そこで、上記第1の問題を解決するために、本発明に係る音響信号処理装置、NIチャンネルにダウンミックスされた音響信号を、所定の時間間隔毎に区切られたフレーム毎に更新される空間情報パラメータを用いてNO(NO>NI)チャンネルの音響信号に変換する音響信号処理装置であって、前記NIチャンネルにダウンミックスされた音響信号に対して行列演算する第1の行列演算手段と、前記第1の行列演算手段の出力信号に対し、行列演算された信号の周波数特性を維持したまま、時間特性について行列演算された信号と無相関(incoherent)な信号を生成するK個のデコリレート(De correlate)手段と、前記デコリレート(De correlate)手段の出力信号と、前記第1の行列演算手段による行列演算、および前記デコリレート手段によるデコリレートのいずれもされなかった前記NIチャネルの前記音響信号とに対して行列演算を行い、前記NOチャンネルの音響信号を出力する第2の行列演算手段と、前記空間情報パラメータから前記第1の行列演算手段のマトリックス係数と前記第2の行列演算手段のマトリックス係数とを生成する行列式生成手段とを備え、前記行列式生成手段は、フレ−ム毎に、前記第1の行列演算手段の行列式がK行、NI列であり、かつ、前記第2の行列演算手段の行列式がNO行、(NI+K)列となるように、行列式を生成することを特徴とする。
また、上記第1の問題を解決するために、本発明に係る音響信号処理装置においては、NIチャンネルにダウンミックスされた音響信号を、NO(NO>NI)チャンネルの音響信号に変換する音響信号処理装置であって、前記NIチャンネルにダウンミックスされた音響信号に対して、K(NO>K≧NI)行、NI列の行列演算を行い、行列演算されたK個の信号を出力する第1の行列演算手段と、行列演算された信号の周波数特性を維持したまま、時間特性について行列演算された信号と無相関(incoherent)な信号を生成するK個のデコリレート(De correlate)手段と、前記NIチャンネルにダウンミックスされた音響信号と、前記K個の無相関な信号とに対して、NO行、(NI+K)列の行列演算を行い、前記NOチャンネルの音響信号を出力する第2の行列演算手段とを備えることを特徴とする。
これにより、従来のRM0におけるpre−mixing matrix M1の行列式の行数がNOで、必ずデコリレート手段の個数Kよりも必ず大きいが、本発明では第1の行列演算手段における行列式の行数が、デコリレート手段の個数Kと同じにまで小さくなるので、演算量を大幅に削減することができる。
また、本発明に係る音響信号処理装置においては、前記Kは、前記NIと等しいことを特徴とすることができる。
これにより、RM0におけるpre−mixing matrix M1が、例えば5行*2列のサイズの行列式の演算で、post−mixing matrix M2が、例えば5行*5列のサイズの行列式の演算であるならば、本発明では、第1の行列演算手段における行列演算が、2行*2列のサイズの小さな行列式の演算となり、第2の行列演算手段における行列演算が、5行*4列のサイズの小さな行列式の演算となるので、演算量をさらに削減することができる。
また、上記第2の問題を解決するために、本発明に係る音響信号処理装置においては、前記音響信号処理装置は、さらに所定の時間間隔毎に区切られたフレーム毎に更新されるパラメータから、前記第1の行列演算手段における第1行列式の各係数を生成する第1の行列式生成手段と、前記パラメータから、前記第2の行列演算手段における第2行列式の各係数を生成する第2の行列式生成手段と、直前のフレームにおけるパラメータまたは直前のフレームにおける第2行列式の各係数を用いて、逐次内挿(Interpolate)して前記第2の行列演算手段における第2行列式の各係数を算出する内挿手段とを備えることを特徴とすることができる。
これにより、行列式の各要素の内挿処理を第2の行列演算手段における第2行列式に対してのみ行えばよい、つまり聴感上不要な第1の行列演算手段における第1行列式に対する行列式の各要素の内挿処理をスキップするので、演算量をさらに削減することができる。
また、上記第3の問題を解決するために、本発明に係る音響信号処理装置においては、前記K個のデコリレート手段は、入力信号の位相を90度回転させる処理を含むこと特徴とすることができる。
これにより、K個のデコリレート手段を非常に簡素に構成でき、演算量をさらに削減することができる。
また、本発明に係る音響信号処理装置においては、前記第1の行列演算手段の行列演算に用いられるK行、NI列の第1行列式は、ゲイン制御に関する係数から前記デコリレート手段で不要なゲイン制御に関する係数を分離することにより得られ、前記デコリレート手段で必要なゲイン制御に関する最小単位の係数だけで構成され、前記第2の行列演算手段の行列演算に用いられるNO行、(NI+K)列の第2行列式は、前記デコリレート手段で不要なゲイン制御に関する係数と、位相制御に関する係数とを結合することによって得られた係数により構成されることを特徴とすることができる。
これにより、演算量を削減しつつ、他チャンネルへの信号の染み出し(クロストーク)のない高音質のNOチャンネルの音響信号を出力することができる。
なお、本発明は、このような音響信号処理装置として実現することができるだけでなく、このような音響信号処理装置が備える特徴的な手段をステップとする音響信号処理方法として実現したり、それらのステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体やインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言うまでもない。
以上の説明から明らかなように、本発明に係る音響信号処理装置および音響信号処理方法によれば、演算量が削減され、演算能力が低いプロセッサでも高音質のサラウンド再生が可能になるという効果が奏される。
よって、本発明により、固定された場所に限られず、自動車等の移動体での視聴が可能となり、音楽等のコンテンツ配信が普及してきた今日における本願発明の実用的価値は極めて高い。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図4は、本発明の実施の形態1に係る音響信号処理装置を利用したオーディオコンテンツ配信システム1の全体構成を示す図である。
図4に示されるように、オーディオコンテンツ配信システム1は、オーディオエンコーダ10と、オーディオデコーダ20と、オーディオデコーダ20およびオーディオエンコーダ10を相互に通信可能に接続する通信路40とから構成され、オーディオエンコーダ10から1セグメントの通信路40を介してオーディオコンテンツを送信し、オーディオデコーダ20においてオーディオコンテンツを、受信しながら、所定のビットレートでストリーミング再生するものである。なお、この実施の形態1では、オーディオエンコーダ10は放送局等の中に、オーディオデコーダ20は車の中に、それぞれ設置されているものとして説明する。
通信路40は、インターネット42を中心として、インターネット42に接続されるインターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider、以下「ISP」とも記す。)43と、携帯電話網を形成するゲートウェイ45および基地局44と、無線LANを形成する複数のアクセスポイント46a〜46nとから構成される。このアクセスポイント46a〜46nは、車が走行中でも通信可能となるよう、道路に沿って連続して設置されている。
オーディオエンコーダ10は、ISP43を経由してインターネット42に接続される。オーディオデコーダ20は、携帯電話網と無線LANを経由してインターネット42に接続される。
図5は、図4に示されるオーディオエンコーダ10およびオーディオデコーダ20の詳細構成を示すブロック図である。なお、この図5においては通信路40の図示が省略されている。
オーディオエンコーダ10は、1024サンプルや2048サンプルなどによって示されるフレーム単位で複数チャンネルのオーディオ信号(例えば、5チャンネルのオーディオ信号)を処理するものであって、ダウンミックス部11と、バイノーラルキュー検出部12と、エンコーダ13と、多重化部14と、通信路40に接続するための通信部15とを備えている。
ダウンミックス部11は、5チャンネルのスペクトル表現されたオーディオ信号の平均をとることによって、2チャンネルにダウンミックスされたダウンミックス信号Mを生成する。
バイノーラルキュー検出部12は、スペクトルバンド毎に、5チャンネルのオーディオ信号およびダウンミックス信号Mを比較することによって、ダウンミックス信号Mを5チャンネルのオーディオ信号に戻すためのBC情報(バイノーラルキュー)を生成する。
BC情報は、音響空間的な係数によって求められる値CPCと、チャンネル間コヒーレンス/相関を示す相関情報ICCと、音響空間的な係数によって求められる値、チャンネルレベル強度差CLDとを含む。
ここで、相関情報ICCが5つのオーディオ信号の類似性を示すのに対し、チャンネルレベル強度差CLDは5チャンネルのオーディオ信号の相対的な強度を示す。一般に、チャンネルレベル強度差CLDは、音のバランスや定位を制御するための情報であって、相関情報ICCは、音像の幅や拡散性を制御するための情報である。これらは、共に聴き手が聴覚的情景を頭の中で構成するのを助ける空間パラメータである。
スペクトル表現された5チャンネルのオーディオ信号およびダウンミックス信号Mは、「パラメータバンド」からなる通常複数のグループに区分されている。したがって、BC情報は、それぞれのパラメータバンド毎に算出される。なお、「BC情報」と「空間パラメータ」という用語はしばしば同義的に用いられる。
エンコーダ13は、例えば、MP3(MPEG Audio Layer−3)や、AAC(Advanced Audio Coding)などによって、ダウンミックス信号Mを圧縮符号化する。
多重化部14は、ダウンミックス信号Mと、量子化されたBC情報とを多重化することによりビットストリームを生成し、そのビットストリームを上述の符号化信号として出力する。
オーディオデコーダ20は、通信路21と接続するための通信部21と、逆多重化部22と、デコーダ23と、音響信号処理装置24とを備えている。
逆多重化部22は、上述のビットストリームを取得し、そのビットストリームから量子化されたBC情報と、符号化されたダウンミックス信号Mとを分離して出力する。なお、逆多重化部22は、量子化されたBC情報を逆量子化して出力する。
デコーダ23は、符号化されたダウンミックス信号Mを復号化して音響信号処理装置24に出力する。
音響信号処理装置24は、デコーダ23から出力されたダウンミックス信号Mと、逆多重化部22から出力されたBC情報とを取得する。そして、音響信号処理装置24は、そのBC情報を用いて、ダウンミックス信号Mから、5つのオーディオ信号を復元する。
なお、上述では、5チャンネルのオーディオ信号を符号化して復号化する例を挙げてオーディオコンテンツ配信システムを説明したが、オーディオコンテンツ配信システムは、2チャンネルよりも多いチャンネルのオーディオ信号(例えば、5.1チャンネル音源を構成する、6つのチャンネルのオーディオ信号)を、符号化および復号化することもできる。
なお、本実施の形態1では、上述の背景技術で説明したRM0における2チャンネルの入力信号を5チャンネルの出力信号に変換する技術と対比しており、どのように、RM0で開示されている技術を改良するかを示す。ここでは、入力は2チャンネル、出力は5チャンネルという設定で実施の形態を述べるが、勿論これは一例に過ぎず、出力が5.1チャンネルなどであってもよいことは言うまでもない。
図6は、図5に示される音響信号処理装置24の機能構成を示すブロック図である。
図6に示されるように、音響信号処理装置24は、2行*2列の行列演算を行う第1の行列演算部241と、2個のデコリレート(De correlate)部242,243と、5行*4列の行列演算を行う第2の行列演算部244と、所定の時間間隔で区切られたフレーム毎に、伝送されるBC情報から、第1の行列演算部241における第1行列式の各要素を算出する第1の行列式生成部245と、所定の時間間隔で区切られたフレーム毎に、伝送されるBC情報から、第2の行列演算部244における第2行列式の各要素を算出する第2の行列式生成部246と、第2の行列式生成部246で生成された値を、フレーム間で内挿することによってスムージングする内挿部247とを備える。
このような第1の行列演算部241、第1および第2のデコリレート部242,243、第2の行列演算部244、第1の行列式生成部245、第2の行列式生成部246および内挿部247は、ROMに予め記憶されたプログラムと、当該プログラムを実行するデジタルシグナルプロセッサ(DSP)と、当該プログラムの実行時にワークエリアを提供するメモリ等により実現される。
以上のように構成された音響信号処理装置24の動作について以下説明するが、その前に、図3に示した従来の技術における行列式が、図6に示される構成における行列式に変形できる理由について、図7から図11を用いて説明する。
図7は、図3における主要な信号の流れを示した部分を取り出した図である。したがって、信号の流れは、上記背景技術で説明したとおりであり、右側から2チャンネルの信号が入力され、最終的に5チャンネルの信号が出力される。
図8は、図7におけるpre−mixing matrix M1における行列演算式に「0」を挿入することによって拡張した図である。
このような行列式の拡張に伴って、元々2チャンネルである入力信号をそれぞれ複写し4チャンネルに拡張する。ただし、右側の行列式から明らかなように、信号処理の意味合いは、数学的に図7のものと全く同じである。
図9は、図8における拡張された行列式に「1」を挿入することによって、2つの行列式に分離したところを示す図である。
ここでは行列式は単に2つに分割されただけであり、右側の行列式から明らかなように、数学的に図7のものと全く同じである。
図10は、図9に示したものに対して、信号処理の順番を入れ替えごたことを示している。
すなわち、図9で示した分離された行列式の内、左側の行列式の処理と、デコリレータの処理とを入れ替えている。
図11は、図10に示したものを合理化した図である。
すなわち、図10に示した左側の2つの行列式を予め行列演算しておくことによって1つに統合したことと、図10に示した右側の行列式から、係数が「1」である要素を削除することによって、行列のサイズを小さくしたことを示している。例えば、図11の左側に示した行列式の1行1列目の要素w0は、通常の行列演算のマナーに従って、
w0=c0*a0+d0*a1+e0*a2+f0*0+g0*0
として求められる。
他の要素も同様に、通常の行列演算のマナーに従って、求められる。
このように、図7から図11に示したように、行列式を分解し、処理の順番を入れ替え、行列式を結合することによって、RM0で示された信号処理の流れは、図6で示した本願における信号処理の流れに加工することができる。
これにより、演算量を削減しつつ、他チャンネルへの信号の染み出し(クロストーク)のない高音質のNOチャンネルの音響信号を出力することができる。
さて、図6のように構成された音響信号処理装置24の各部の動作について以下説明する。
DSPは、2chのダウンミックスされた信号を5chの信号に変換するに当たり、まず前処理を実行する(S11)。
この前処理には、第1の行列演算部241における第1行列式が、ゲイン制御に関する係数から第1および第2のデコリレート部242,243で不要なゲイン制御に関する係数を分離することにより得られ、第1および第2のデコリレート部242,243で必要なゲイン制御に関する最小単位の係数だけで構成されるように決定することが含まれる。また、前処理には、第2の行列演算部244における第2行列式が、第1および第2のデコリレート部242,243で不要なゲイン制御に関する係数と、位相制御に関する係数とを結合することによって得られた係数により構成されるように決定することが含まれる。また、前処理には、第1および第2のデコリレート部242,243における処理を簡略化(例えば、位相の90゜回転)することの決定が含まれる。さらに、前処理には、第1の行列式生成部245により生成された係数に対する内挿処理をスキップすることの決定も含まれる。
前処理が終わると、DSPは、フレーム毎の処理を繰り返し実行する(S12〜S19)。
このフレーム毎の処理においては、DSPは、まず、第1の行列式生成部245において、所定の時間間隔で区切られたフレーム毎に伝送される位相差情報(Inter channel coherence)とレベル比(channel level difference)とチャンネル間予測係数(Channel Prediction Coefficient)とから、第1の行列演算部241における第1行列式の各要素を算出する(S13)。
すなわち、第1の行列演算部241における行列式の要素、a3,b3,a4,b4を算出する。ここで、a3,b3,a4,b4の値は、図3におけるa3,b3,a4,b4の値と同じ意味合いのものであるので、その算出方法は、RM0で規定された方法と同様でよい。すなわち、図6における右側の行列式は、RM0で用いられている文字で表現すると、下記式(3)に示す2行*2列の行列式と同じものである。
Figure 0004976304
…(3)
勿論、式(3)は所謂ResidualCodingが行われていない場合の例であるので、ResidualCodingが行われている場合は、下記式(4)に示すような2行*3列の行列式になる。
Figure 0004976304
…(4)
ただし、図3におけるa3,b3,a4,b4の値は、内挿部247によって加工された後のものであるのに対し、図6内の第1の行列演算部241における行列式の要素、a3,b3,a4,b4は、内挿部247によって加工される前のものであるところが異なるが、何れにしてもその算出方法は、RM0で規定された方法と同様でよい。
さて、次に、図6におけるメインの信号の流れについて説明する。
入力のinput1とinput2とは、第1の行列演算部241において、各要素の行列演算がなされる。すなわち、DSPは、第1の行列演算部241の第1行列式の演算処理を実行する(S14)。そのようにして生成された信号は第1および第2のデコリレート部242,243で処理される。すなわち、DSPは、第1および第2のデコリレート部242,243においてデコリレート処理を実行する(S15)。
この第1および第2のデコリレート部242,243は、入力信号の周波数特性は維持したまま時間特性は入力信号と無相関(incoherent)な信号を生成する処理である。その方法として、RM0では、lattice all pass filterを用いることが示されているが、入力信号の位相を90度回転させるという簡略化された方法でもよい。入力信号の位相を90度回転させるということは、信号の持つ周波数特性は完全に維持され、しかも、数学的に完全に無相関な信号が生成できるからである。しかも、その処理は、入力信号が複素数である場合、実数項と虚数項とを入れ替えて、一方の符号を反転させるだけの処理で実現できるので、第1および第2のデコリレート部242,243の構成を簡素化することができ、極めて演算量が軽量で済むことになる。
デコリレート処理が終わると、DSPは、第2の行列式生成部246において、所定の時間間隔で区切られたフレーム毎に伝送される位相差情報(Inter channel coherence)とレベル比(channel level difference)とから前記第2の行列演算部244における行列式の各要素の基となる値を算出する(S16)。
すなわち、前記第2の行列式生成部246は、図10で示した左側の2つの行列式を求め、さらにこれら2つの行列式を結合する過程を実行する手段である。ここで、図10で示したa0,b0,a1,b1,a2,b2の値は、図3におけるa0,b0,a1,b1,a2,b2の値と同じ意味合いのものであるので、その算出方法は、RM0で規定された方法と同様でよい。
すなわち、図10における左側の2つの行列式の内の右側の行列式は、RM0で用いられている文字で表現すると、下記式(5)に示す5行*4列の行列式と同じものである。
Figure 0004976304
…(5)
勿論、式(5)は所謂ResidualCodingが行われていない場合で、しかも所謂TttDecorrelatorの処理が行われていない場合で、しかもLFEチャンネルが省略されている場合の例であるので、それらがすべで実施されている場合は、下記式(6)に示すような構成になる。
Figure 0004976304
…(6)
ただし、図3におけるa0,b0,a1,b1,a2,b2の値は、内挿部247によって加工された後のものであるが、ここで用いるa0,b0,a1,b1,a2,b2の値は、内挿部247によって加工される前のものである。
また、図10で示したc0〜c4,d0〜d4,e0〜e4,f0〜f4,g0〜g4,の値は、図3におけるc0〜c4,d0〜d4,e0〜e4,f0〜f4,g0〜g4,の値と同じ意味合いのものであるので、その算出方法は、RM0で規定された方法と同様でよい。ただし、図3におけるc0〜c4,d0〜d4,e0〜e4,f0〜f4,g0〜g4の値は、内挿部247によって加工された後のものであるが、ここで用いるc0〜c4,d0〜d4,e0〜e4,f0〜f4,g0〜g4の値は、内挿部247によって加工される前のものである。このようにして算出されたa0,b0,a1,b1,a2,b2、およびc0〜c4,d0〜d4,e0〜e4,f0〜f4,g0〜g4の値を、行列演算の通常のマナーに従って、図11に示したw0〜w4,x0〜x4,y0〜y4,z0〜z4として、1つの行列式に結合する。
次に、DSPは、内挿部247において、前記第2の行列式生成部246で生成した、前記w0〜w4,x0〜x4,y0〜y4,z0〜z4と、直前の処理フレームにおいて生成されていた当該値とを内挿することによって、フレームの境目で急峻に行列式の要素が変化することを防ぐようにw0〜w4,x0〜x4,y0〜y4,z0〜z4の値をスムージングする(S17)。そのようにして得られた値が、図6の第2の行列演算部244内に示したw0^〜w4^,x0^〜x4^,y0^〜y4^,z0^〜z4^である。
ここで、各要素に記号^を付した理由は、この値が内挿処理された後の値であることを示すためである。図7から図11において、信号処理の変形の過程を示したときは、図11の左側の行列式の最終的な各要素に^をつけなかったが、このときは、単に信号処理の変形の過程を数学的に示すのみであったが、図6における左側の行列式の各要素は、内挿処理されたものであるので、これを明確に区別するために記号^を付した。
ただし、内挿部247は、演算量削減のために、削除してもよい。また、第1の行列式生成部245が生成した行列式の係数については、図6では内挿部247で加工していないが、内挿処理によってスムージングしてもよい。
ただし、音質に与える影響から考えれば、図6に示すように、前記第1の行列式生成部245が生成した行列式の係数については、スムージングを行わなくても音質に与える悪い影響は少ない。
なぜならば、第1の行列演算部241の出力は全て、直後の第1および第2のデコリレート部242,243に入力され、第1および第2のデコリレート部242,243では、RM0の規定によれば、音に残響成分を与えるような処理が施されるので、スムージングを行わないことによって急峻に行列式が変化しても、第1および第2のデコリレート部242,243による音をぼやかしたような効果により、行列式の変化点における不連続感を弱める働きがあるからである。
このように、第1および第2のデコリレート部242,243によって変換された2系統の信号と、前記input1とinput2との合計4系統の信号が、前記第2の行列演算部244によって処理され、出力の5チャンネル信号が生成される。つまり、DSPは、第2の行列演算部244における第2行列式を用いた演算処理を実行する(S18)。ここで注意しなくてはならないことは、前記第2の行列演算部244における行列式の各要素は、逐次内挿されたものであるということである。
例えば、1フレーム時間が、32単位時間持続する時間長をもっている場合、前記第1の行列演算部241においては、その行列式の各要素は、32単位時間の間、常に同じ値であるが、前記第2の行列演算部244における行列式の各要素は、1単位時間毎に逐次変化する。例えば、前記第2の行列演算部244における行列式の中の1行1列目の値w0を例にとれば、前記第2の行列式生成部246で生成された現フレームのw0の値がw0(t)であり、前記第2の行列式生成部246で生成された前のフレームのw0の値がw0(t−1)であった場合、前記内挿部247では、1単位時間毎にw0(t−1)とw0(t)との内挿をとり、値が滑らかにw0(t−1)からw0(t)へと移行するようにする。
以上のように本実施の形態1によれば、NI行の行列演算を行う第1の行列演算部241と、NI個の第1および第2のデコリレート部242,243と、NO行の行列演算を行う第2の行列演算部244とを有し、NIチャンネル信号を前記第1の行列演算部241の入力とし、第1の行列演算部241の出力信号を第1および第2のデコリレート部242,243の入力とし、第1の行列演算部241の入力信号と第1および第2のデコリレート部242,243の出力信号とを第2の行列演算部244の入力することによって、演算量を削減することができる。
例えばRM0におけるpre−mixing matrix M1が、5行*2列のサイズの行列式の演算で、post−mixing matrix M2が、5行*5列のサイズの行列式の演算であるならば、本願の技術によれば、第1の行列演算が、2行*2列のサイズの行列式の演算となり、第2の行列演算が、5行*4列のサイズの行列式の演算となり演算量が削減できる。
また、所定の時間間隔毎に区切られたフレーム毎に更新されるパラメータから、第1の行列演算部241と第2の行列演算部244とにおける行列式の各係数を生成する行列式生成部245をさらに備え、第1の行列演算部241における行列式の各係数は各フレーム内では一定であり、第2の行列演算部244における行列式の各係数は直前のフレームにおけるパラメータ、あるいは、直前のフレームにおける行列式の各係数を用いて逐次内挿(Interpolate)して算出するようにすることによって、行列式の各要素の内挿処理を第2の行列演算式に対してのみ行えばよいので、演算量が削減できることとなる。
また、前記第1および第2のデコリレート部242,243を、入力信号の位相を90度回転させる処理とすることによって、第1および第2のデコリレート部242,243を非常に簡素に構成できることとなる。
なお、本実施の形態1では、第2行列式の係数を算出する処理(S16)と、第2行列式の係数に対する内挿処理を実行する処理(S17)を、デコリレート処理の後に実行したが、ステップS13とステップS14との間に実行するようにしてもよい。これにより、係数を求める処理と、5chの音響信号に変換するメインの処理とに分離することができる。
また、本実施の形態1では、2チャンネルの入力に対しマルチチャンネルの出力を生成する際の処理の流れを示したが、本発明は、1チャンネルの入力に対しマルチチャンネルの出力を生成する際にも適用できる。
(実施の形態2)
例えば、1チャンネルの入力に対し出力チャンネル数を5とした場合の適用の考え方を図13を用いて説明する。
本願の趣旨は、前記第1の行列演算部241における行列式の行の数を、Decorrelatorの数と同じにすることによって、RM0で述べられているpre−mixing matrix M1に要する演算量より、前記第1の行列演算部241に要する演算量を少なくすることである。
図13の一番上の図、つまり図13(a)は、RM0において1チャンネルの入力に対しマルチチャンネルの出力を生成する際の信号の流れを示している。上から2番目、3番目の図、つまり図13(b),図13(c)は、それを数学的に、拡大、分離している図である。考え方は、図8、図9の説明で述べたとおりである。
上から4番目の図、つまり図13(d)は、Decorrelatorの処理と行列演算の処理とを入れ替えている図である。考え方は、図10の説明で述べたとおりである。
一番下の図、つまり図13(e)は、上から4番目の図に対して、左側の2つの行列式を予め結合することで演算量を減らし、右側の行列式を、最小化(最適化)することによって演算量を減らしている図である。
このようにすることによって、第1の行列演算部241における行列式は、4行1列となり、その行数はDecorrelatorの数と同じにすることができ、演算量を削減することができる。
また、このようにすると、第1の行列演算部241の出力は、全てDecorrelatorに入力されるので、Decorrelatorによる残響成分付加の効果で、第1の行列演算部241の行列式の各要素がフレーム間で急峻に変動する場合でも、その急峻な変動が聴覚上問題にならなくなるので、内挿部による第1行列式の各要素に対するスムージング処理が不要となる、という利点も得られる。
この例においても、出力のチャンネル数は5としたが、LFEチャンネルを加味し6チャンネルとしてもよいことは言うまでもない。その場合、左側の行列式の行数は6行となる。
本発明に係る音響信号処理装置によれば、ダウンミックスされた信号をもとの複数チャンネルの信号に復号する処理を少ない演算量で実施できるので、低ビットレートでの音楽放送サービスや音楽配信サービス、およびその受信機器等に適用できる。
図1は、Spatial Codecの基本原理について、L,Rの2chを例として説明するための図である。 図2は、RM0における従来の音響信号処理装置900の機能構成を示すブロック図である。 図3は、音響信号処理装置900のさらに詳細な機能構成を示すブロック図である。 図4は、本発明の実施の形態1に係る音響信号処理装置を利用したオーディオコンテンツ配信システム1の全体構成を示す図である。 図5は、図4に示されるオーディオエンコーダ10およびオーディオデコーダ20の詳細構成を示すブロック図である。 図6は、図5に示される音響信号処理装置24の機能構成を示すブロック図である。 図7は、従来の技術における主要な信号処理の流れ示す図である。 図8は、図7におけるpre−mixing matrix M1における行列演算式に「0」を挿入することによって拡張した図である。 図9は、図8における拡大された行列式に「1」を挿入することによって2つの行列式に分離した図である。 図10は、図9に示したものに対して、信号処理の順番を入れ替えた図である。 図11は、図10に示したものを合理化した図である。 図12は、音響信号処理装置24の各部において実行される処理の動作を示すフローチャートである。 図13は、本発明の実施の形態2に係る音響信号処理装置において、1チャンネルの信号から5チャンネルの信号に変換する場合の本願技術の適用の考え方を示す図である。
符号の説明
24 音響信号処理装置
241 第1の行列演算部
242,243 デコリレート部
244 第2の行列演算部
245 第1の行列式生成部
246 第2の行列式生成部
247 内挿部

Claims (7)

  1. NIチャンネルにダウンミックスされた音響信号を、所定の時間間隔毎に区切られたフレーム毎に更新される空間情報パラメータを用いてNO(NO>NI)チャンネルの音響信号に変換する音響信号処理装置であって、
    前記NIチャンネルにダウンミックスされた音響信号に対して行列演算する第1の行列演算手段と、
    前記第1の行列演算手段の出力信号に対し、行列演算された信号の周波数特性を維持したまま、時間特性について行列演算された信号と無相関(incoherent)な信号を生成するK個のデコリレート(De correlate)手段と、
    前記デコリレート(De correlate)手段の出力信号と、前記第1の行列演算手段による行列演算、および前記デコリレート手段によるデコリレートのいずれもされなかった前記NIチャネルの前記音響信号とに対して行列演算を行い、前記NOチャンネルの音響信号を出力する第2の行列演算手段と、
    前記空間情報パラメータから前記第1の行列演算手段のマトリックス係数と前記第2の行列演算手段のマトリックス係数とを生成する行列式生成手段とを備え、
    前記行列式生成手段は、フレ−ム毎に、前記第1の行列演算手段の行列式がK行、NI列であり、かつ、前記第2の行列演算手段の行列式がNO行、(NI+K)列となるように行列式を生成する
    ことを特徴とする音響信号処理装置。
  2. 前記Kは、前記NIと等しい
    ことを特徴とする請求項1記載の音響信号処理装置。
  3. 前記行列式生成手段は、
    所定の時間間隔毎に区切られたフレーム毎に更新されるパラメータから、前記第1の行列演算手段における第1行列式の各係数を生成する第1の行列式生成手段と、
    前記パラメータから、前記第2の行列演算手段における第2行列式の各係数を生成する第2の行列式生成手段と、
    直前のフレームにおけるパラメータまたは直前のフレームにおける第2行列式の各係数を用いて、逐次内挿(Interpolate)して前記第2の行列演算手段における第2行列式の各係数を算出する内挿手段と
    を備えることを特徴とする請求項1記載の音響信号処理装置。
  4. 前記K個のデコリレート手段は、入力信号の位相を90度回転させる処理を含む
    ことを特徴とする請求項1記載の音響信号処理装置。
  5. 前記第1の行列演算手段の行列演算に用いられるK行、NI列の第1行列式は、ゲイン制御に関する係数から前記デコリレート手段で不要なゲイン制御に関する係数を分離することにより得られ、前記デコリレート手段で必要なゲイン制御に関する最小単位の係数だけで構成され、
    前記第2の行列演算手段の行列演算に用いられるNO行、(NI+K)列の第2行列式は、前記デコリレート手段で不要なゲイン制御に関する係数と、位相制御に関する係数とを結合することによって得られた係数により構成される
    ことを特徴とする請求項1記載の音響信号処理装置。
  6. 音響信号処理装置が、NIチャンネルにダウンミックスされた音響信号を、所定の時間間隔毎に区切られたフレーム毎に更新される空間情報パラメータを用いてNO(NO>NI)チャンネルの音響信号に変換する音響信号処理方法であって、
    音響信号処理装置は、第1の行列演算手段、K個のデコリレート(De correlate)手段、第2の行列演算手段、および行列式生成手段を備え、
    前記音響信号処理方法は、
    前記第1の行列演算手段が、前記NIチャンネルにダウンミックスされた音響信号に対して行列演算する第1の行列演算ステップと、
    前記K個のデコリレート手段が、前記第1の行列演算ステップにより得られた出力信号に対し、行列演算された信号の周波数特性を維持したまま、時間特性について行列演算された信号と無相関(incoherent)な信号を生成するK個のデコリレート(De correlate)ステップと、
    前記第2の行列演算手段が、前記デコリレート(De correlate)ステップにより得られた出力信号と、前記第1の行列演算ステップによる行列演算、および前記デコリレートステップによるデコリレートのいずれもされなかった前記NIチャネルの前記音響信号とに対して行列演算を行い、前記NOチャンネルの音響信号を出力する第2の行列演算ステップと、
    前記行列式生成手段が、前記空間情報パラメータから前記第1の行列演算ステップのマトリックス係数と前記第2の行列演算ステップのマトリックス係数とを生成する行列式生成ステップとを含み、
    前記行列式生成ステップでは、フレ−ム毎に、前記第1の行列演算ステップの行列式がK行、NI列であり、かつ、前記第2の行列演算ステップの行列式がNO行、(NI+K)列となるように行列式を生成する
    ことを特徴とする音響信号処理方法。
  7. 請求項6記載の音響信号処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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