JP4969459B2 - 核酸鋳型合成において使用される遊離反応体 - Google Patents

核酸鋳型合成において使用される遊離反応体 Download PDF

Info

Publication number
JP4969459B2
JP4969459B2 JP2007552363A JP2007552363A JP4969459B2 JP 4969459 B2 JP4969459 B2 JP 4969459B2 JP 2007552363 A JP2007552363 A JP 2007552363A JP 2007552363 A JP2007552363 A JP 2007552363A JP 4969459 B2 JP4969459 B2 JP 4969459B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reactive
reaction
sequence
oligonucleotide
template
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007552363A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008528000A (ja
JP2008528000A5 (ja
Inventor
デイビッド リュー,
香里 櫻井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Harvard College
Original Assignee
Harvard College
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Harvard College filed Critical Harvard College
Publication of JP2008528000A publication Critical patent/JP2008528000A/ja
Publication of JP2008528000A5 publication Critical patent/JP2008528000A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4969459B2 publication Critical patent/JP4969459B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07HSUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
    • C07H21/00Compounds containing two or more mononucleotide units having separate phosphate or polyphosphate groups linked by saccharide radicals of nucleoside groups, e.g. nucleic acids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/1034Isolating an individual clone by screening libraries
    • C12N15/1068Template (nucleic acid) mediated chemical library synthesis, e.g. chemical and enzymatical DNA-templated organic molecule synthesis, libraries prepared by non ribosomal polypeptide synthesis [NRPS], DNA/RNA-polymerase mediated polypeptide synthesis

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

(関連出願)
本出願は、2005年1月21日に出願された米国特許出願第60/646,584号の利益およびその優先権を主張するものであり、その全開示は、本明細書中に参考として援用される。
(政府資金提供)
本願に記載された研究は、一部、米国海軍研究事務所によって契約番号N00014−03−1−0749の下、およびNIH/NIGMSによって助成金R01 GM065865の下に資金援助を受けた。米国政府は、本発明において一定の権利を有し得る。
(発明の分野)
本発明は、一般的に、核酸鋳型合成を行うための方法および組成物に関する。より詳しくは、本発明は、反応中間体を作製するために核酸鋳型合成を行うための方法および組成物に関し、この反応中間体は次いで、この反応中間体と反応して反応生成物を生成させる遊離反応体を用いて、反応生成物に化学的に変換され得る。
(発明の背景)
核酸鋳型有機合成により、従来の合成形式では可能でない制御反応様式が可能になり、これまでは生体高分子に対してのみ利用可能であった翻訳方法、選択方法および増幅方法を用いて合成分子を操作することが可能になる(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12)。核酸鋳型合成、特に、DNA鋳型有機合成(すなわち、DTS)によって得られ得る構造は、主に、2つの核酸連結反応体間のカップリング反応の生成物に限定されている。しかしながら、場合によっては、反応体をオリゴヌクレオチドに係留(tether)することが困難または不可能である。したがって、非オリゴヌクレオチド連結低分子試薬を、配列プログラム形式または配列記録化様式で反応させることを可能にするストラテジーの開発により、核酸鋳型合成の合成能力が有意に拡張される。
Gartnerら(2001)J.AM.CHEM.SOC.123:6961−3 Gartnerら(2002)ANGEW.CHEM.,INT.ED.ENGL.123:61796−1800 Gartnerら(2002)J.AM.CHEM.SOC.124:10304−6 Calderoneら(2002)ANGEW.CHEM.,INT.ED.ENGL.41:4104−8 Gartnerら(2003)ANGEW.CHEM.,INT.ED.ENGL.42:1370−5 Liら(2004)J.AM.CHEM.SOC.124:5090−2 Kananら(2004)NATURE 431:545−9 Gartnerら(2004)SCIENCE 305:1601−5 Liら(2004)ANGEW.CHEM.INT.ED.43:4848−70 Brennerら(1992)PROC.NATL.ACAD.SCI.USA 89:5181 Doyonら(2003)J.AM.CHEM.SOC.125:12372−3 Halpinら(2004)PLOS BIOL.2:e174
(発明の要旨)
本発明は、試薬をオリゴヌクレオチドに係留させる必要性に取り組むことによって核酸鋳型有機合成の範囲を拡張するための方法および組成物を提供する。試薬を核酸、例えばDNAに連結させることが可能でも簡便でもない場合、それにもかかわらず、このような変換により、かかる試薬が、核酸配列と生成物の構造との対応性を保持したまま低分子合成に寄与することが可能になる。また、カップリング反応から核酸鋳型工程を切り離すこと(decoupling)によって、このアプローチにより、必ずしも核酸ハイブリダイゼーションが補助されない条件下で結合形成を行うことが可能になる。
一態様において、本発明は、反応生成物の合成方法を提供する。該方法は、(a)第1の反応性単位および第2の反応性単位を含む混合物を、第1の反応性単位と第2の反応性単位との間での反応により反応中間体が形成されるのを可能にする条件下に提供する工程;(b)該反応中間体に結合させた同定用(identifying)配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程;ならびに(c)反応中間体を、該反応中間体と選択的反応性である遊離反応体と合わせ、それにより、同定用配列に連結された反応生成物を生成させる工程を含む。このアプローチにおいて、遊離反応体は、出発混合物中の反応性単位のいずれかに対してよりも反応中間体に対しての方が反応性が高い。
別の態様において、本発明は、例えば、米国特許出願第10/643,752号(これは、米国特許出願公開第US2004/0180412号で公開されている)に記載されているような核酸鋳型合成による反応生成物の合成方法を提供する。該方法は、(a)(i)コドン配列を含む第1のオリゴヌクレオチドに結合させた第1の反応性単位、および(ii)該コドン配列に相補的なアンチコドン配列を含む第2のオリゴヌクレオチドに結合させた第2の反応性単位、を含む混合物を提供する工程;(b)第1のオリゴヌクレオチドのコドン配列を第2のオリゴヌクレオチドのアンチコドン配列とアニーリングさせて、第1の反応性単位と第2の反応性単位との間での反応を誘導して、少なくとも第1のオリゴヌクレオチドに結合した反応中間体を形成させる工程;ならびに(c)反応中間体を、該反応中間体と選択的反応性である遊離反応体と合わせ、それにより、第1のオリゴヌクレオチド配列に依然として結合した反応生成物を合成する工程を含む。遊離反応体は、好ましくは、該出発混合物中の反応性単位のうちの少なくとも一方に対してよりも反応中間体に対しての方が反応性が高い。
同様に、初期反応混合物中に多数の異なる第1の反応性単位(および必要に応じて、第2の反応性単位)が存在する程度まで、ある一定の反応条件下では、多数の異なる反応中間体を創製させ得ることが可能である。したがって、遊離反応体が、混合物中のただ1つの特定の型の反応中間体と選択的反応性であることは好都合であり得る。あるいはまた、遊離反応体が、反応中間体が特定の化学的官能性を有する官能基を有する反応中間体の集団または部分集団と選択的反応性であることは好都合であり得る。例えば、遊離反応体は、遊離アミンを欠く他の反応性中間体と比べ、遊離アミンを含有する反応性中間体と選択的反応性であり得る。
さらにまた、コドンおよび/またはアンチコドンの配列がわかることにより、どの第2の反応性単位が第1の反応性単位と反応して反応性中間体および/または反応生成物を生成させたのかを決定することが可能である。さらにまた、第1のオリゴヌクレオチドが、第1のオリゴヌクレオチドに結合させた第1の反応性単位の配列同定体(identifier)を提供する場合、どのような第1の反応単位が第2の反応性単位と反応して反応中間体および/または反応生成物を生成させたのかを決定することが可能である。反応条件、反応中間体を含有する反応混合物中に存在する反応体、およびある特定の遊離反応体が反応中間体を含有する混合物に添加された場合に関する情報に基づき、どのような遊離反応体が反応中間体と反応して具体的な反応生成物を創製させたかを決定することが可能であり得る。この情報を用い、反応生成物およびこれが作製された反応経路が特定され得る。
前述の本発明の態様および特徴は、以下の図面、詳細な説明、実施例および特許請求の範囲を参照することにより、さらに理解され得る。
(定義)
用語「コドン」および「アンチコドン」は、本明細書で用いる場合、それぞれ、鋳型および転移(transfer)単位内の相補オリゴヌクレオチド配列であって、核酸鋳型合成中、転移単位が鋳型にアニーリングするのを可能にする相補オリゴヌクレオチド配列をいう。
用語「遊離反応体(free reactant)」は、本明細書で用いる場合、核酸鋳型合成に関与し得るオリゴヌクレオチドに連結されていない化学物質試薬または化学的部分をいう。これに対し、第1および第2の反応性単位ならびに転移単位は、核酸鋳型合成に関与し得るオリゴヌクレオチドに結合されている。
用語「オリゴヌクレオチド」または「核酸」は、本明細書で用いる場合、ヌクレオチドのポリマーをいう。該ポリマーとしては、限定されないが、天然ヌクレオシド(すなわち、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシンおよびデオキシシチジン)、ヌクレオシド類似体(例えば、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシン、ピロロピリミジン、3−メチルアデノシン、5−メチルシチジン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−プロピニル−ウリジン、C5−プロピニル−シチジン、C5−メチルシチジン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニンおよび2−チオシチジン)、化学的に修飾された塩基、生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化された塩基)、インターカレートされた塩基、修飾された糖類(例えば、2’−フルオロリボース、リボース、2’−デオキシリボース、アラビノースおよびヘキソース)、または修飾されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’−N−ホスホロアミダイト連結)が挙げられ得る。また、核酸およびオリゴヌクレオチドとしては、修飾されたバックボーンを有する塩基の他のポリマー(例えば、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、トレオース核酸(TNA)など)、および増幅手法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応、または非酵素系鋳型特異的複製(non−enzymatic template−directed replication))を用いる増幅反応のための鋳型として供され得る任意の他のポリマーが挙げられ得る。
用語「反応性単位」は、本明細書で用いる場合、反応中間体および/または反応生成物を生成させるための別の化学物質試薬または化学的部分との化学反応に関与し得る化学物質試薬または化学的部分(例えば、限定されないが、ビルディングブロック、モノマー、モノマー単位、低分子骨格、または核酸鋳型化学合成に有用な他の反応体が挙げられる)をいう。
用語「反応中間体」は、本明細書で用いる場合、遊離反応体によって異なる試薬または化学的部分に化学的に変換され得る化学物質試薬または化学的部分をいう。
用語「低分子」は、本明細書で用いる場合、研究室で合成されたもの、または自然界に見られるもののいずれかであって、10,000グラム/モル未満、必要に応じて、5,000グラム/モル未満、必要に応じて、2,000グラム/モル未満の分子量を有する有機化合物をいう。
用語「低分子骨格」は、本明細書で用いる場合、官能性付与に適した少なくとも1つの部位または化学的部分を有する化合物をいう。低分子の骨格または分子の骨格は、官能性付与に適した部位または化学的部分を2、3、4、5またはそれより多く有し得る。このような官能性付与部位は、当業者には理解されるように、保護またはマスクされてもよい。該部位はまた、基礎となる環構造またはバックボーン上にも見られ得る。低分子骨格は、核酸、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体のいずれでもない。
用語「転移単位」は、本明細書で用いる場合、反応性単位(例えば、限定されないが、ビルディングブロック、モノマー、モノマー単位、低分子骨格、または核酸鋳型化学合成に有用な他の反応体が挙げられる)に結合させたアンチコドン配列を有するオリゴヌクレオチドを含む分子をいう。
用語「鋳型」は、本明細書で用いる場合、核酸鋳型化学合成に適した少なくとも1つのコドン配列を有するオリゴヌクレオチドを含む分子をいう。鋳型は、必要に応じて、、(i)複数のコドン配列、(ii)増幅手段、例えば、PCRプライマー結合部位もしくはこれに相補的な配列、(iii)これと関連する反応性単位、(iv)(i)と(ii)との組合せ、(v)(i)と(iii)との組合せ、(vi)(ii)と(iii)との組合せ、または(i)と(ii)と(iii)との組合せを含み得る。
本明細書全体を通して、組成物がある特定成分を有する、含有するまたは含むものと記載される場合、またはプロセスがある特定のプロセス工程を有する、含有するまたは含むものと記載される場合、本発明の組成物は、記載した成分から本質的になるか、または記載した成分からなること、および本発明のプロセスは、記載したプロセス工程から本質的になるか、または記載したプロセス工程からなることもまた想定される。さらに、諸工程の順序またはある特定の諸作業(action)を行うための順序は、本発明が実施可能で維持される限り重要でないことを理解されたい。さらに、そうでないとの記載がない限り、2つ以上の工程または作業を同時に行ってもよい。
(詳細な説明)
本発明は、分子(例えば低分子)のライブラリーの合成に有用である。本明細書に記載する官能基変換は、試薬をオリゴヌクレオチドに係留させる必要性に取り組むことにより核酸鋳型有機合成の範囲を拡張するのに特に有用である。オリゴヌクレオチドへの試薬の連結が可能でも簡便でもない場合、それにもかかわらず、このような変換により、かかる試薬が、オリゴヌクレオチド配列と得られる生成物の構造との対応性を保持したまま低分子合成に寄与することが可能になる。
一態様において、本発明は、反応生成物の合成方法を提供する。該方法は、(a)第1の反応性単位および第2の反応性単位を含む混合物を、第1の反応性単位と第2の反応性単位との間の反応により反応中間体が形成されるのを可能にする条件下に提供する工程;(b)該反応中間体に結合させた同定用配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程;ならびに(c)反応中間体を、該反応中間体と選択的反応性である遊離反応体と合わせ、それにより、同定用配列に連結された反応生成物を生成させる工程を含む。このアプローチにおいて、遊離反応体は、出発混合物中の反応性単位のいずれかに対してよりも反応中間体に対して反応性が高い。
このアプローチを図1に概略的に示す。簡単には、第1の反応性単位(FRU)を、第2の異なる反応性単位(SRU)と反応させ、反応中間体(RI)を生成させる。RIを同定用配列(IS)に結合(好ましくは共有結合)させる。ISは、オリゴヌクレオチド(例えば、DNAまたはその誘導体、RNAまたはその誘導体)であり得る。次いで、RI−IS複合体を遊離反応体(FR)と、FRがRIを反応生成物(RP)に化学的に変換させるのを可能にする条件下で合わせる。RPは、依然としてISに連結されており、RPおよびRPの合成履歴を特定するのに使用され得る。
一つのアプローチにおいて、IS(例えば、ある特定のコドン配列またはアンチコドン配列を規定する核酸配列)を、RIが生成される反応前にFRUに連結させる。ISは、RIに連結されたISが提供されるように、反応後、RIに連結されたままである。RPの創製後、ISはRPに連結されたままであり、その結果、RPおよびその合成履歴を特定することが可能である。SRUをISに相補的な配列に連結させ得ることもまた想定される。その結果、工程(a)中、ISはISに相補的な配列にハイブリダイズし、その結果、FRUとSRUとを反応的に近接させる。
別のアプローチにおいて、IS(例えば、ある特定のコドン配列またはアンチコドン配列を規定する核酸配列)をRIに、これがFRUとSRUとの間の反応によって形成された後に連結させる。次いで、RIを、FRを介してRPに化学的に変換させ得る。ISは、RPに連結されたままである。ISはRIに、RIの形成後に酵素的に(例えばポリメラーゼまたはリガーゼによって)連結させ得る。
一実施形態において、FRは、出発混合物中の反応性単位または他の反応性中間体のうちの少なくとも1種類に対してよりも、必要に応じてすべてに対してよりも、RIに対しての方が少なくとも5倍反応性が高い。さらにまた、反応体および反応条件に応じて、他の実施形態において、FRは、出発混合物中の反応性単位または他の反応性中間体のうちの少なくとも1種類に対してよりも、必要に応じてすべてに対してよりも、RIに対しての方が少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも250倍、少なくとも500倍または少なくとも1000倍反応性が高い。さらに、反応体および反応条件に応じて、RPは50%以上、75%以上、85%以上または98%以上の収率で合成される。
出発材料であるFRUおよびSRUと比べたRIに対するFRの反応性は、実験によって測定され得る。標準的な反応条件下でFRおよびRIを合わせることにより生成される生成物の量を測定してもよい。等モル量でFRをFRUまたはSRUのいずれかと同じ反応条件下で合わせることにより生成される生成物の量を測定してもよい。生成物の収率は、化学技術分野で標準的な手法によって測定され得る。各反応で生成される生成物の相対量に基づき、FRがより反応性が高いか否かを決定することが可能であり、もし反応性がより高ければ、FRUまたはSRUに対してよりもどれだけ反応性が高いかを決定することが可能である。同様のアプローチを用いて、遊離反応体が、ある1つの反応中間体に対しての方が、他の異なる反応性中間体に対してよりも反応性が高いか否かが決定され得る。
別の態様において、本発明は、例えば、米国特許出願公開第US2004/0180412号に記載された核酸鋳型合成を経由する反応生成物の合成方法を提供する。該方法は、(a)(i)コドン配列を含む第1のオリゴヌクレオチドに結合させた第1の反応性単位、および(ii)コドン配列に相補的なアンチコドン配列を含む第2のオリゴヌクレオチドに結合させた第2の反応性単位(ここで、アンチコドン配列は第2の反応性単位を示す)、を含む混合物を提供する工程;(b)第1のオリゴヌクレオチドのコドン配列を第2のオリゴヌクレオチドのアンチコドン配列とアニーリングさせ、第1の反応性単位と第2の反応性単位との間での反応を誘導して、少なくとも第1のオリゴヌクレオチドに結合した反応中間体を形成させる工程;ならびに(c)反応中間体を、該反応中間体と選択的反応性である遊離反応体と合わせ、それにより、第1のオリゴヌクレオチドに結合した反応生成物配列を合成する工程を含む。遊離反応体は、好ましくは、出発混合物中の反応性単位または他の反応中間体のうちの少なくとも1種類に対してよりも(必要に応じて、すべてに対してよりも)、反応中間体に対しての方が反応性が高い。
このアプローチを図2に概略的に示す。この場合、第1の反応性単位(FRU)を、コドン配列を含む第1のオリゴヌクレオチド(CS)に結合(例えば共有結合)させる。第1の反応性単位とオリゴヌクレオチドとの組合せは、鋳型と称され得る。コドン配列により、例えばISのようにFRUが特定され得る。あるいはまた、CSは、FRUを特定する別個の同定体配列(IS)をさらに含むものであり得る。後者のシナリオでは、CSにより第2の反応性単位(SRU)が特定され得、これがFRUと反応して反応中間体(RI)を創製し、ISによりFRUが特定され得る。
このアプローチにおいて、SRUを、CSに相補的なアンチコドン配列(ACS)を含有する第2のオリゴヌクレオチドに結合(例えば共有結合)させる。第2の反応性単位とアンチコドン配列との組合せは、転移単位と称され得る。鋳型と転移単位とを適切な反応条件下で合わせると、CSとACSとが互いにアニーリングし、FRUとSRUとが反応的に近接する。次いで、FRUおよびSRUは、例えば近接触媒作用によって互いに反応し、依然としてCSに連結されたRIを生成させる。遊離反応体(FR)と合わせると、RIはFRによって、依然としてCSに連結された反応生成物(RP)に化学的に変換される。RPに結合したオリゴヌクレオチドがCSを含有すると仮定すると、どのSRUがRIおよび/またはRPの合成に関与したかを決定することが可能である。同様に、RPに結合したオリゴヌクレオチドがISを含有する場合、どのFRUがRIおよび/またはRPの合成に関与したかを決定することが可能である。したがって、この情報を用い、RIおよび/またはRPの正体(identity)および合成履歴が決定され得る。
さらにまた、FRUは、核酸鋳型合成中に低分子を生成させるために使用され得る低分子骨格であり得ることが想定される。特に、低分子骨格は、これに該低分子の置換基を存在させるコアとして使用され得る。
一実施形態において、FRは、出発混合物中の反応性単位または他の反応性中間体のうちの少なくとも1種類に対してよりも(必要に応じて、すべてに対してよりも)、RIに対しての方が少なくとも5倍反応性が高い。さらにまた、反応体および反応条件に応じて、他の実施形態において、FRは、出発混合物中の反応性単位または他の反応性中間体のうちの少なくとも1種類に対してよりも(必要に応じて、すべてに対してよりも)、RIに対しての方が少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも250倍、少なくとも500倍または少なくとも1000倍反応性が高い。さらに、反応体および反応条件に応じて、RPは50%以上、75%以上、85%以上または98%以上の収率で合成される。
別の態様において、本発明は、反応生成物の合成方法を提供する。該方法は、(a)第1の反応性単位の集団と第2の反応性単位の混合物を、第1の反応性単位のうちの少なくとも1種類と第2の反応性単位との間での反応を誘導する条件下に提供し、それにより、該第1の反応性単位の集団と共存する反応中間体を形成させる工程;(b)該反応中間体に結合させた同定用配列を提供する工程であって、ここで、該配列は、反応中間体を第1の反応性単位と識別する、工程;ならびに第1の反応性単位と共存する該反応中間体を、反応中間体と選択的に反応できる遊離反応体と合わせ、それにより、同定用配列に連結される反応生成物を合成する工程であって、該反応生成物は、該第1の反応性単位の集団と共存する、工程を含む。遊離反応体は、出発混合物中の反応性単位または他の反応性中間体のうちの少なくとも1種類に対してよりも反応中間体に対しての方が反応性が高い。
このアプローチを図3に概略的に示すが、これは、第1の反応単位が第1の反応性単位の混合物として存在すること以外は、図1に概略的に示すアプローチと同様である。簡単には、FRU、FRU、FRUおよびFRUで表される4種類の第1の反応性単位を含有する出発混合物を、SRUで表される第2の反応性単位と合わせる。適切な条件下で、FRUとSRUとが互いに反応し、RIで表される反応中間体が生成される。同定体配列(IS)をRIに結合させ、RIが特定され得る。その後、遊離反応体(FR)を混合物と、RIが、RPで表される反応生成物に化学的に変換される条件下で合わせる。RPは、依然としてISに連結されており、これを用いて、RPおよびRPの合成履歴が特定され得る。さらに、特に、FRUが低分子骨格である場合、RPが、他の回(round)の官能基変換に曝露されて、さらに修飾された生成物が生成され得ることが想定される。
別の態様において、本発明は、核酸鋳型合成を経由する反応生成物の合成方法を提供する。該方法は、(a)(i)コドン配列を含む第1のオリゴヌクレオチドに各々連結された複数の異なる第1の反応性単位を含む混合物を提供する工程であって、ここで、各オリゴヌクレオチド配列はまた、これに結合された第1の反応性単位を示す、工程;(b)少なくとも1つの第1の反応性単位のコドン配列に相補的なアンチコドン配列を含む第2のオリゴヌクレオチドに結合させた第2の反応性単位を提供する工程であって、ここで、アンチコドン配列は、第2の反応性単位を示す、工程;(c)第1のオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つのコドン配列を、第2のオリゴヌクレオチドのアンチコドン配列にアニーリングさせて、第1の反応性単位と第2の反応性単位との間での反応を誘導して、少なくとも第1のオリゴヌクレオチドに連結された第1の反応中間体を形成させる工程;ならびに(d)第1の反応中間体を、該第1の反応中間体と選択的反応性である遊離反応体と合わせ、それにより、同定用配列に連結された第1の反応生成物を合成する工程であって、ここで、遊離反応体は、混合物中の反応性単位または他の反応性中間体のうちの少なくとも1種類に対してよりも(必要に応じて、すべてに対してよりも)、第1の反応中間体に対しての方が反応性が高い、工程を含む。
このアプローチを図4に概略的に示すが、これは、第1の反応性単位が第1の反応性単位の混合物として存在すること以外は、図2に概略的に示すアプローチと同様である。簡単には、初期反応物は、複数の鋳型を含有し、ここで、各鋳型は、それ自体のコドン特有(unique)配列(CS)を含有するそれ自体のそれぞれのオリゴヌクレオチドに結合(好ましくは共有結合)させた第1の反応性単位(FRU、FRU、FRUおよびFRUで表される)を含有する。オリゴヌクレオチドはまた、好ましくは、どの第1の反応性単位を鋳型のどのコドン配列に結合させるかを特定する同定体配列(IS)を含有する。コドン配列に相補的なアンチコドン配列を含有するオリゴヌクレオチドに結合(好ましくは共有結合)させた第2の反応性単位(SRU)を含有する転移単位を、鋳型と合わせる。転移単位のACSを鋳型のCSとアニーリングさせて、FRUとSRUとを反応的に近接させ、これによりFRUとSRUとが互いに反応し、CSを含有するオリゴヌクレオチドに依然として結合したままである反応中間体(RI)を生成させる。遊離反応体(FR)と合わせると、RIはFRによって化学的に転移(transfer)され、依然としてCSに連結された反応生成物(RP)が生成される。RPに結合したオリゴヌクレオチドがCSを含有すると仮定すると、どのSRUがRIおよび/またはRPの合成に関与したかを決定することが可能である。同様に、RPに結合したオリゴヌクレオチドがISを含有する場合、どのFRUがRIおよび/またはRPの合成に関与したかを決定することが可能である。したがって、この情報を用い、RIおよび/またはRPの正体および合成履歴が決定され得る。記載のように、第1の反応性単位は、低分子ライブラリーの設計および合成に有用な低分子骨格であり得ることが想定される。
さらに、多数の異なる官能基変換を同時に同じ反応容器内で行い得ることが可能である。したがって、該方法はまた、以下のさらなる工程を含み得る:少なくとも1種類の異なる第1の反応性単位のコドン配列に相補的なアンチコドン配列を含有する第3のオリゴヌクレオチドに連結させた第3の異なる反応性単位を提供する工程であって、ここで、アンチコドン配列は、第3の反応性単位を示す、工程;第1のオリゴヌクレオチドのうちの異なる1種類のコドン配列を、第3のオリゴヌクレオチドのアンチコドン配列とアニーリングさせて、第1の反応性単位と第3の反応性単位との間での反応を誘導して、少なくとも第1の異なるオリゴヌクレオチドに結合した第2の反応中間体を形成させる工程;ならびに第2の反応中間体を、該第2の反応中間体と選択的反応性である遊離反応体と合わせ、それにより、同定用配列に結合した第2の反応生成物を合成する工程であって、ここで、遊離反応体は、混合物中の反応性単位または他の反応性中間体のうちの少なくとも1種類に対してよりも(必要に応じて、すべてに対してよりも)、第2の反応中間体に対しての方が反応性が高い、工程。
さらに、反応生成物が、他の回の官能基変換に曝露されて(例えば、FRUが低分子骨格である場合)、さらに修飾された生成物が生成され得ることが想定される。
当業者には理解されるように、本発明は、核酸鋳型化学合成の際に使用され得る化学反応の範囲を拡張するために使用され得る。鋳型、転移単位、反応条件、反応化学、選択手順の選択および使用に関する一般的な考慮事項は、当該技術分野で知られている。これらの考慮事項の一般的な論考は、以下の通りである。
(I.鋳型の考慮事項)
核酸鋳型は、相補オリゴヌクレオチドに連結された反応体を配列特異的に補充することにより、明白な構造的要件なしで、多種多様な化学反応を指図(direct)し得る。合成中、鋳型は、1つ以上の転移単位にハイブリダイズまたはアニーリングして反応中間体の合成を指図し、続いて該反応中間体が、遊離反応体によって反応生成物に変換され得る。次いで、反応生成物を、一定の基準(例えば、予め選択した標的分子に結合する能力など)に基づいて選択またはスクリーニングする。反応生成物が同定されたら、次いで、会合した鋳型を配列決定し、反応中間体および/または反応生成物の合成履歴をデコード(decode)し得る。
(i)鋳型形式
鋳型の長さは、想定される核酸鋳型合成の型に応じて大きく異なり得る。例えば、ある特定の実施形態において、鋳型は、10〜10,000ヌクレオチド長、20〜1,000ヌクレオチド長、20〜400ヌクレオチド長、40〜1,000ヌクレオチド長または40〜400ヌクレオチド長であり得る。鋳型の長さは、もちろん、例えば、コドンの長さ、ライブラリーの複雑さ、反応生成物の複雑さおよび/または大きさ、スペーサー配列の使用などに依存する。
鋳型は、転移単位と会合した1つ以上の反応性単位と相互作用し得る、反応性単位で終結するヘアピンループが一方の末端に組み込まれたものであり得る。例えば、DNA鋳型は、5’−アミノ基で終結するヘアピンループを含むものであり得、5’−アミノ基は、保護されていても保護されていなくてもよい。このアミノ基は、非天然ポリマーまたは低分子の形成の開始点としての機能を果たし得る。
(ii)コドンの使用頻度
鋳型の配列は、多数の方法で設計され得ることが想定される。例えば、コドンの長さは決定されなければならず、コドン配列は設定されなければならない。2という長さのコドンが使用される場合、4種類の天然に存在する塩基を用いて16通りだけの可能な組合せが、ライブラリーをコードする際の使用に利用可能である。コドンの長さを伸ばして3(自然界でタンパク質をコードする際に使用される数)にすると、可能な組合せの数は64に増加する。コドンの長さを伸ばして4にすると、可能な組合せの数は256に増加する。コドンの長さの決定に考慮されるべき他の要素は、ミスマッチ、フレームシフト、ライブラリーの複雑さなどである。コドンの長さをある点まで増やすにつれて、ミスマッチの数は減少する。しかしながら、過度に長いコドンは、ミスマッチした塩基対にもかかわらずハイブリダイズする可能性がある。
コドンの長さは変化し得るが、コドンは、2〜50ヌクレオチド、2〜40ヌクレオチド、2〜30ヌクレオチド、2〜20ヌクレオチド、2〜15ヌクレオチド、2〜10ヌクレオチド、3〜50ヌクレオチド、3〜40ヌクレオチド、3〜30ヌクレオチド、3〜20ヌクレオチド、3〜15ヌクレオチド、3〜10ヌクレオチド、4〜50ヌクレオチド、4〜40ヌクレオチド、4〜30ヌクレオチド、4〜20ヌクレオチド、4〜15ヌクレオチド、4〜10ヌクレオチド、5〜50ヌクレオチド、5〜40ヌクレオチド、5〜30ヌクレオチド、5〜20ヌクレオチド、5〜15ヌクレオチド、5〜10ヌクレオチド、6〜50ヌクレオチド、6〜40ヌクレオチド、6〜30ヌクレオチド、6〜20ヌクレオチド、6〜15ヌクレオチド、6〜10ヌクレオチド、7〜50ヌクレオチド、7〜40ヌクレオチド、7〜30ヌクレオチド、7〜20ヌクレオチド、7〜15ヌクレオチド、7〜10ヌクレオチド、8〜50ヌクレオチド、8〜40ヌクレオチド、8〜30ヌクレオチド、8〜20ヌクレオチド、8〜15ヌクレオチド、8〜10ヌクレオチド、9〜50ヌクレオチド、9〜40ヌクレオチド、9〜30ヌクレオチド、9〜20ヌクレオチド、9〜15ヌクレオチド、9〜10ヌクレオチドの範囲であり得る。しかしながら、コドンは、好ましくは、3、4、5、6、7、8、9または10ヌクレオチド長である。
鋳型にコドンの組を用いることによって、好ましくは、該コドンの組内の任意の2つのコドン間のミスマッチの数が最大になり、転移単位の適正なアンチコドンのみが鋳型のコドン部位にアニーリングすることを確実にする。さらにまた、鋳型が、1つのコドンの組の全てのメンバーおよび異なるコドンの組の全てのコドンとの間でミスマッチを有し、アンチコドンが誤ったコドンの組に不慮に結合しないことを確実にすることは重要である。例示的なコドンの組の選択および機能性コドンの組を作出する方法は、例えば、米国特許出願公開第US2004/0180412号に記載されている。このアプローチおよび他のアプローチを用いて、異なる組のコドンを、コドンが繰り返されないように作製し得る。
核酸鋳型合成を用いてポリマーまたは低分子を作製する場合、フレームシフトを抑制するため、コドン間にスペーサー配列を配置してもよい。例えば、ポリマーサブユニットをコードする鋳型の塩基(該ポリマーの「遺伝暗号」)は、フレーム外アニーリングの可能性が最小限となるように選択され得る。このような遺伝暗号により、望ましくないフレームシフト核酸鋳型ポリマーの翻訳が低減され、予測される融解温度の範囲およびフレーム外アニーリングの際に生じるミスマッチの最小数が異なる。
(iii)鋳型の合成
鋳型は、当該技術分野で周知の方法論を用いて合成され得る。このような方法としては、インビボ方法およびインビトロ方法の両方、例えば、PCR、プラスミド調製、エンドヌクレアーゼ消化、固相合成(例えば、自動合成装置を使用)、インビトロ転写、鎖の分離(strand separation)などが挙げられる。合成後、所望の場合は、鋳型を目的の反応性単位と、当該技術分野で公知の標準的なカップリング化学を用いて結合(例えば、共有または非共有結合)させ得る。
多種多様な鋳型を合成するための効率的な方法は、「スプリットプール」手法を使用することである。オリゴヌクレオチドは、標準的な3’から5’への化学反応を用いて合成される。最初に、定常3’末端を合成する。次いで、これをn個の異なる容器に分割する(ここで、nは、鋳型内の該位置に見られる異なるコドンの数である)。各容器について、n個の異なるコドンのうちの1つを定常3’末端の(成長している)5’末端上に合成する。したがって、各容器は、5’から3’に、定常3’末端に結合した異なるコドンを含む。こうして、n個の容器をプールし、その結果、単一の容器は、定常3’末端に結合したn個の異なるコドンを含む。コドンの5’末端に隣接する任意の定常塩基がこうして合成される。次いで、該プールをm個の異なる容器に分割し、ここで、mは、鋳型の次の(5’以降)の位置に出現する異なるコドンの数である。異なるコドンが、m個の容器の各々において(成長しているオリゴヌクレオチドの5’末端において)合成される。得られたオリゴヌクレオチドを単一の容器内にプールする。分割、合成およびプールは、オリゴヌクレオチドにおいてすべてのコドンおよび定常領域が合成されるまで、必要に応じて繰り返される。
(II.転移単位)
転移単位は、アンチコドン配列および反応性単位を含有するオリゴヌクレオチドを含む。アンチコドンは、鋳型内に存在するコドンに相補的となるように設計される。したがって、アンチコドンを設計する際は、鋳型に用いられる配列およびコドン長を考慮すべきである。鋳型に用いられるコドンに相補的な任意の分子、例えば、天然または非天然のヌクレオチドが使用され得る。ある特定の実施形態において、コドンは、自然界に見られる1個以上の塩基(すなわち、チミジン、ウラシル、グアニジン、シトシンおよびアデニン)を含む。したがって、アンチコドンとしては、通常自然界に見られ、塩基、糖および必要に応じたリン酸基を有する1個以上のヌクレオチドが挙げられ得る。
上記のように、アンチコドンは、特定の型の反応性単位と会合して転移単位を形成する。反応性単位は、別個の存在(entity)を表すものであってもよく、アンチコドン単位の機能性部の一部であってもよい。ある特定の他の実施形態において、ポリマーライブラリーではなく低分子のライブラリーを創製する場合、アンチコドンを、一般的に、低分子骨格を修飾するために用いられる反応性単位または反応体と会合させる。ある特定の実施形態において、反応体は、該反応体が低分子骨格と反応的に近接するのを可能にするのに充分長いリンカーを介してアンチコドンに連結される。リンカーは、好ましくは、分子内反応を許容するが分子間反応を最小限にする長さおよび組成を有する。反応体としては、広範囲の反応によって実証されている多様な試薬が挙げられ、これらは、核酸鋳型合成において利用され得、任意の化学基、触媒(例えば、有機金属化合物)、または化学の技術分野で公知の反応性部分(例えば、求電子剤、求核剤)であり得る。
ある特定の実施形態において、各アンチコドン配列は、1つのモノマー型と会合する。例えば、アンチコドン配列ATTAGは、イソブチル側鎖を有するカルバメート残基と会合し得、アンチコドン配列CATAGは、フェニル側鎖を有するカルバメート残基と会合し得る。モノマー単位に対するアンチコドンのこの1対1マッピングによって、合成に使用された核酸鋳型を配列決定することにより、ライブラリーの任意のポリマーのデコードが可能になり、最初のポリマーの配列がわかることにより、同じポリマーまたは関連ポリマーの合成が可能になる。鋳型の配列を変更する(例えば、変異させる)ことにより、異なるモノマー単位が導入され得、それにより、関連ポリマーの合成が可能となり得、続いて、これを選択および進化させ得る。ある特定の好ましい実施形態において、自然界の場合のように、数種類のアンチコドンが1つのモノマー単位をコードし得る。
アンチコドンは反応体と、リンカー部分を介して会合し得る。この連結は、光、酸化、加水分解、酸への曝露、塩基への曝露、還元などによって切断可能であり得る。Fruchtelら(1996)ANGEW.CHEM.INT.ED.ENGL.35:17には、本発明の実施に有用な多様な連結が記載されている。リンカーは、反応体と低分子骨格との接触を助長し、ある特定の実施形態においては、所望される反応に応じて、脱離基としてのDNAの位置を占め(「自己切断可能な」ストラテジー)、または反応性基を鋳型に、「傷跡のない(scarless)」リンカーストラテジー(これは、化学的官能性を有するさらなる原子(1個または複数)が残らない生成物をもたらす)、もしくは「有用な傷跡(useful scar)」ストラテジー(リンカーの一部分が残り、リンカー切断後の後続の工程で官能性付与される)により連結させ得る。有用なリンカー、その設計および使用は、米国特許出願公開第US2004/0180412号に記載されている。
鋳型への転移単位の特異的アニーリングにより、多くの従来の有機合成で使用される濃度よりも低い濃度での転移単位の使用が可能になる。したがって、転移単位は、ミリモル未満の濃度(例えば、100μM未満、10μM未満、1μM未満、100nM未満または10nM未満)で使用され得る。
(III.化学反応)
多様な化合物および/またはライブラリーが、本明細書に記載の方法を用いて調製され得る。ある特定の実施形態において、核酸でもその類似体でもないか、またはこれらに似ていない化合物が、本発明の方法に従って合成される。ある特定の他の実施形態において、タンパク質、ペプチドまたはその類似体でなないか、またはこれらに似ていない化合物が、本発明の方法に従って合成される。
(i)低分子の合成のためのカップリング反応
ある一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を用いて低分子などの化合物を創製することが可能である。このような低分子は、非ポリマー系および/または非オリゴマー系の天然産物などであり得る。低分子における相当な関心は、一部は、多くの医薬調製物の活性成分としてのその使用のためであるが、これらはまた、例えば、触媒、材料または添加剤としても使用され得る。
本発明の方法を用いる低分子の合成において、進化可能な鋳型が使用され得る。鋳型は、低分子を構築するための低分子骨格を含むものであってもよく、または低分子骨格を鋳型に添加してもよい。低分子骨格は、官能性付与のための2つ以上の部位を有する任意の化合物であり得る。例えば、低分子骨格は、環構成原子とカップリングされた官能性付与可能な基を有する環系(例えば、コレステロール内に見られるABCDステロイド環系)を含み得る。別の例において、低分子は、医薬用薬剤(例えば、モルヒネ、モルヒネならびにセファロスポリン抗生物質など)の基礎となる構造のものであり得る。低分子骨格上の官能性付与される部位または基は、当該技術分野で公知の方法および保護基を用いて保護されてもよい。低分子骨格に用いられる保護基は、保護基が一度に除去され得るように互いにオルソゴナルであってもよい。
このアプローチにおいて、転移単位は、修飾、低分子骨格への付加または該骨格からの除去における使用のための反応体またはビルディングブロックと会合したアンチコドンを含む。反応体またはビルディングブロックは、例えば、求電子剤(例えば、アセチル、アミド、酸塩化物、エステル、ニトリル、イミン)、求核剤(例えば、アミン、ヒドロキシル基、チオール)、触媒(例えば、有機金属触媒)、または側鎖であり得る。転移単位を鋳型と、ハイブリダイズ条件下で接触させる。オリゴヌクレオチドのアニーリングの結果、結合された反応体またはビルディングブロックは、低分子骨格上の1種類以上の反応中間体をもたらす部位との反応が可能になる。次いで、反応中間体を遊離反応体と反応させ、反応生成物が生成され得る。
反応条件、リンカー、反応体および官能性付与される部位は、分子間反応が回避され、分子内反応が加速されるように選択する。合成される具体的な化合物に応じて、鋳型と転移単位との逐次接触、または同時接触が使用され得る。
該骨格上の該部位を修飾した後、新たに合成された低分子は、その合成をコードした鋳型と会合したままである。鋳型配列のデコードにより、合成履歴、ひいては低分子の構造のデコンヴォルーション(deconvolution)が可能になる。また、鋳型は、より多くの所望の低分子を創製するために増幅されてもよく、そして/または鋳型を進化(変異誘発)させて、関連低分子を創製してもよい。また、精製またはスクリーニングのために低分子を鋳型から切断してもよい。
(ii)ポリマー合成のためのカップリング反応
ある特定の実施形態において、ポリマー(特に、非天然ポリマー)が、本明細書に記載の手法を用いて調製され得る。例示的な非天然ポリマーとしては、限定されないが、ペプチド核酸(PNA)ポリマー、ポリカルバメート、ポリウレア、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアルキレン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリカーボネート、非天然の空間的配置を有するポリペプチド、非天然アミノ酸を有するポリペプチド、およびこれらの組合せが挙げられる。ある特定の実施形態において、該ポリマーは、少なくとも10、25、75、100、125、150個またはそれより多くのモノマー単位を含む。本明細書に記載の方法論を用いて合成される該ポリマーは、例えば、触媒、医薬品、金属キレート化剤、または触媒として使用され得る。
ある種の非天然ポリマーの調製では、アンチコドンに結合させたモノマー単位は、共に連結されてポリマーを形成することができる任意のモノマーまたはオリゴマーであり得る。モノマー単位は、例えば、カルバメート、D−アミノ酸、非天然アミノ酸、PNA、ウレア、ヒドロキシ酸、エステル、カーボネート、アクリレートまたはエーテルであり得る。
(iii)反応条件
核酸鋳型反応(例えば、反応中間体を作製するための核酸鋳型反応)は、水性もしくは非水性(すなわち有機系)の溶液、または1種類以上の水性および非水性の溶液の混合物中で行われ得ることを理解されたい。水溶液中では、反応は、約2〜約12、または好ましくは約2〜約10、またはより好ましくは約4〜約10のpH範囲で行われ得る。DNA鋳型化学反応に用いられる反応は、好ましくは、非常に塩基性の条件(例えば、pH>12、pH>10)または非常に酸性の条件(例えば、pH<1、pH<2、pH<4)のいずれをも必要とすべきでない。これは、極端な条件により、核酸鋳型および/または合成される分子(例えば、ポリマーもしくは低分子)の分解または修飾がもたらされ得るからである。水溶液は、1種類以上の無機塩(例えば、限定されないが、NaCl、NaSO、KCl、Mg+2、Mn+2など)を種々の濃度で含有し得る。
核酸鋳型反応に適した有機溶媒としては、限定されないが、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ならびに有機アルコール(例えばメタノールおよびエタノール)が挙げられる。有機溶媒中の反応成分の定量的な溶解を可能にするため、第4級化アンモニウム塩(例えば、長鎖テトラアルキルアンモニウム塩)などを添加してもよい(Jostら(1989)NUCLEIC ACIDS RES.17:2143;Mel’nikovら(1999)LANGMUIR 15:1923−1928)。
核酸鋳型反応には、触媒(例えば、均一系触媒作用、不均一系触媒作用、相間移動触媒作用、および不斉触媒作用など)が必要とされ得る。実施形態によっては、触媒は必要とされない。核酸に連結されていないさらなる補助的試薬の存在は、ある一部の実施形態において好ましい。有用な補助的試薬としては、例えば、酸化剤(例えば、NaIO);還元剤(例えば、NaCNBH);活性化試薬(例えば、EDC、NHSおよびスルホNHS);遷移金属、例えば、ニッケル(例えば、Ni(NO)、ロジウム(例えば、RhCl)、ルテニウム(例えば、RuCl)、銅(例えば、Cu(NO)、コバルト(例えば、CoCl)、鉄(例えば、Fe(NO)、オスミウム(例えば、OsO)、チタン(例えば、TiClもしくはチタンテトライソプロポキシド)、パラジウム(例えば、NaPdCl)またはLnなど;遷移金属配位子(例えば、ホスフィン、アミンおよびハロゲン化物);ルイス酸ならびにルイス塩基が挙げられ得る。
反応条件は、好ましくは、使用される反応性単位およびオリゴヌクレオチドの性質に適合するように最適化される。反応中間体を創製するため、および反応中間体を最終生成物に変換するために使用される試薬(例えば、遊離反応体)および反応条件の選択は、作製する具体的な化合物およびライブラリーに依存することを理解されたい。しかしながら、試薬および反応条件の選択は、当該技術分野における技術水準の範囲内であることが想定される。
(iv)化学反応の類型
反応中間体を創製するため、および/または反応中間体から反応生成物を創製するために、多種多様な化学反応が使用され得ることを理解されたい。ポリマー、低分子または他の分子を合成するための既知の化学反応が、核酸鋳型反応において使用され得る。したがって、March’s Advanced Organic Chemistry、Organic Reactions、Organic Syntheses、有機化学の教科書、Journal of the American Chemical Society、Journal of Organic Chemistry、Tetrahedronなどの雑誌、およびCarruther’s Some Modern Methods of Organic Chemistryなどに示された反応が使用され得る。選択される反応は、好ましくは、DNAもしくはRNAなどの核酸と適合性であるか、または鋳型として使用する修飾された核酸と適合性である。
上記にかかわらず、本発明は、ある種の官能基変換、例えば、限定されないが、アジドからアミンへの変換、アジドからチオールへの変換、アジドからカルボン酸への変換、ヒドロキシルからアミンへの変換、ヒドロキシルからチオールへの変換、アセタールからアルデヒドへの変換、ケタールからケトンへの変換、カーボネートからヒドロキシル基への変換、カルバメートからアミンへの変換、チオカーボネートからチオールへの変換、ニトロ基からアミンへの変換、スルホンアミドからアミンへの変換、アルケンからエポキシドへの変換、α,β−不飽和ケトンからエポキシドへの変換、エポキシドからl,2−ジオールへの変換、エポキシドからl,2−ヒドロキシアミンへの変換、エポキシドからl,2−ヒドロキシスルフィドへの変換、アルケンからアジリジンへの変換、アジリジンからl,2−ジアミンへの変換、アジリジンからl,2−アミノスルフィドへの変換、リン酸エステルからリン酸への変換、イミドからアミンへの変換、およびニトリルからカルボン酸への変換を行う際に特に有用であることが想定される。他の例示的な変換は、例えば、Greeneら(編)(1999)PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS 第3版,Wiley−Interscience,およびKocienski(1994)PROTECTING GROUPS,Thiemeに見出され得る。
(IV.生成物の選択、スクリーニングおよび同定)
(i)選択およびスクリーニングアプローチ
所望の活性(触媒活性、結合親和性または活性アッセイにおける特定の効果など)を有する反応生成物の選択および/またはスクリーニングが、当該技術分野で知られ、使用されている方法論を用いて行われ得る。例えば、親和性選択は、ライブラリー系選択方法、例えば、ファージディスプレイ、ポリソームディスプレイ、およびmRNA−融合タンパク質ディスプレイペプチドなどに使用される原理に従って行われ得る。触媒活性に関する選択は、遷移状態アナログアフィニティーカラムにおける親和性選択(Bacaら(1997)PROC.NATL.ACAD.SCI.USA 94(19):10063−8)、または機能に基づく選択スキーム(Pedersenら(1998)PROC.NATL.ACAD.SCI.USA 95(18):10523−8)によって行われ得る。微量のDNA(約10−20mol)がPCRによって増幅され得るため(Kramerら(1999)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(Ausubel,F.M.編)15.1−15.3,Wiley)、このような選択は、現行の方法による反応解析に必要とされるものより10桁以上小さい規模で行われ得、経済的かつ効率的で真に広い研究が行われ得る。
鋳型および反応生成物は、標的分子に対する結合に関して選択(スクリーニング)され得る。この状況において、選択または分配は、標的分子に結合したライブラリーメンバーが、標的分子に結合していないライブラリーメンバーと分離される任意のプロセスを意味する。選択は、当該技術分野で公知の種々の方法によってなされ得る。
本発明の鋳型は、直接的な選択および増幅のための内蔵機能を含む。ほとんどの適用において、標的分子に対する結合は好ましくは選択的であり、その結果、鋳型および得られる反応生成物が特定の標的分子と優先的に結合し、おそらく、特定の生物学的効果が抑制または誘導される。最終的に、本発明を用いて同定される結合分子は、治療用および/または診断用薬剤として有用であり得る。選択が完了したら、選択された鋳型を、必要に応じて、増幅および配列決定してもよい。選択された反応生成物は、充分な量で存在する場合、鋳型から分離され、(例えば、HPLC、カラムクロマトグラフィーまたは他のクロマトグラフィー法によって)精製され、さらに特徴付けられ得る。
選択ストラテジーは、ほぼあらゆる標的に対する選択を可能にするために行われ得る。重要なことには、選択ストラテジーは、標的分子に関する詳細な構造上の情報もライブラリー内の分子に関する詳細な構造上の情報も、なんら必要としない。プロセス全体は、所定の標的に対するライブラリー内の分子の特異的認識および結合に関与する結合親和性によって駆動される。
鋳型分子と反応生成物との連結により、種々の選択ストラテジーを用いる結合分子の速やかな同定が可能になる。核酸鋳型合成は、広く、任意の既知の標的分子に対する結合分子の同定を可能にする。さらに、新規な未知の標的が、未知抗原(エピトープ)に対する結合分子を単離すること、ならびに同定および確認のためにこのような結合分子を使用することによって見出され得る。
ライブラリーからの結合分子の選択は、最適な結合分子が同定される任意の形式で行われ得る。結合の選択は、典型的には、所望の標的分子の固定化、潜在的結合体のライブラリーの添加、および洗浄による非結合体の除去を伴う。固定化された標的に対して低親和性を示す分子を洗浄除去すると、一般的には、より強い親和性を有する分子が標的に結合されたままとなる。ストリンジェント洗浄後に標的に結合されたままである富化された集団を、好ましくは、例えば、酸、カオトロピック塩、加熱、既知リガンドとの競合的溶出によって、あるいは標的および/または鋳型分子のタンパク質分解性放出によって溶出させる。溶出される鋳型はPCRに適しており、何桁もの増幅をもたらし、それにより本質的に、選択された各鋳型が、クローン化、配列決定および/またはさらなる富化もしくは誘導体化のために、非常に増加したコピー数で利用可能となる。
標的分子(ペプチド、タンパク質、DNAまたは他の抗原)を、固相支持体(例えば、容器壁、マイクロタイタープレートウェルの壁)上に固定化してもよい。ライブラリーは、好ましくは、水性結合バッファー中にワンポットで溶解し、固定化された標的分子の存在下で平衡化される。非結合体は、バッファーで洗い流される。それ自体の合成部分を介してではなく結合されたDNA鋳型を介して標的分子に結合し得る分子は、PCRプライマー結合部位を欠く官能性付与していない鋳型を有する結合したライブラリーを洗浄することにより排除され得る。次いで、残留する結合ライブラリーメンバーを、例えば変性によって溶出し得る。
あるいはまた、特に、標的分子が容器壁に充分に吸着されることが疑わしい場合(SDS−PAGEゲルから溶出される折り畳まれていない(unfolded)標的の場合であり得る)、標的分子をビーズ上に固定化してもよい。次いで、誘導体化ビーズを用いて、高親和性ライブラリーメンバーを非結合体から、単に、ベンチトップ型遠心機内でビーズを沈降させることによって分離し得る。あるいはまた、ビーズを用いてアフィニティーカラムを作製し得る。このような場合では、結合を可能するために、ライブラリーをカラムに1回以上通過させる。次いで、カラムを洗浄して非結合ライブラリーメンバーを除去する。磁性ビーズは、本質的に、上記のものの改変物であり、標的を磁性ビーズに結合させ、次いで、これを選択に使用する。
標的分子に結合するライブラリーメンバーは、変性、酸またはカオトロピック塩によって放出され得る。あるいはまた、バックグラウンドを低減するため、および所望の特異性に関して選択するために、溶出条件をより特異的にし得る。溶出は、標的分子と固定化表面との間、または反応生成物と鋳型との間のリンカーを切断するタンパク質分解を用いて行われ得る。また、溶出は、標的分子に対する既知の競合的リガンドとの競合によって行われ得る。あるいはまた、PCR反応は、選択手順の最後に、洗浄された標的分子の存在下で直接行われ得る。したがって、鋳型のみがさらなる増幅またはクローニングに必要とされ、反応生成物自体は必要とされないため、結合分子は、選択可能であるべき標的から溶出可能である必要はない。実際、一部の標的分子は、最もアビディティのある(avid)リガンドに非常に強固に結合するため、溶出が困難である場合があり得る。
(ii)生成物の同定
一旦すべての回の選択が完了したら、選択された反応生成物に結合しているか、または以前は該反応生成物に結合していた鋳型を、好ましくは、鋳型の配列決定または他の後の操作を容易にする任意の適切な手法を用いて増幅させる。天然オリゴヌクレオチドは、任意の当該技術分野の技術水準の方法によって増幅させ得る。このような方法としては、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR);核酸配列に基づく増幅(例えば、Compton(1991)NATURE 350:91−92を参照)、アンチセンスRNAの増幅(例えば、van Gelderら(1988)PROC.NATL.ACAD.SCI.USA 85:77652−77656を参照);自続型配列複製系(Gnatelliら(1990)PROC.NATL.ACAD.SCI.USA 87:1874− 1878);ポリメラーゼ非依存的増幅(例えば、Schmidtら(1997)NUCLEIC ACIDS RES.25:4797−4802を参照)、およびクローン化されたDNA断片を保有するプラスミドのインビボ増幅が挙げられる。PCR法の説明は、例えば、Saikiら(1985)SCIENCE 230:1350−1354;Scharfら(1986)SCIENCE 233:1076−1078;および米国特許第4,683,202号に見られる。リガーゼ連鎖反応(LCR)などのリガーゼ媒介性増幅方法もまた使用され得る。一般に、選択した核酸配列の忠実で効率的な増幅を可能にする任意の手段が、本発明の方法において使用され得る。必要ではないが、増幅後の配列の比例的表示が、増幅前の混合物中の配列の相対的割合を反映することが好ましい。
非天然ヌクレオチドでは、効率的な増幅手順の選択肢がより少ない。非天然ヌクレオチドは、ある種の酵素(例えば、ポリメラーゼ)によって組み込まれ得るため、各伸長サイクル中にポリメラーゼを添加することにより、マニュアル型ポリメラーゼ連鎖反応を行うことが可能である。
一旦増幅されたら、目的の生成物をコードした鋳型の配列が決定され得る。例えば、配列決定は、標準的なジデオキシチェーンターミネーション法、または化学的配列決定(例えば、Maxam−Gilbert配列決定手順を使用)によって行われ得る。あるいはまた、鋳型の配列(または長鎖の鋳型を用いる場合は、その可変部分(1つまたは複数))は、ハイブリダイゼーション実験によって決定され得る。例えば、検出可能な部分(例えば、蛍光部分など)と会合する1本鎖鋳型分子を、既知配列の1本鎖核酸または核酸類似体の多数のクローン集団を担持するチップに曝露する。ここで、各クローン集団は、チップ上の特定のアドレス指定可能な位置に存在する。鋳型配列は、チップ上の配列へのアニーリングが許容される。次いで、チップ上の検出可能な部分の位置を決定する。検出可能な部分の位置および該位置に固定化された配列に基づいて鋳型の配列が測定され得る。多数のこのようなオリゴヌクレオチドが、チップまたは他の固相支持体上のアレイにおいて固定化され得ることが想定される。
ライブラリーは、例えば、エラープローンPCR(Cadwellら(1992)PCR METHODS APPL.2:28)を用いて、またはDNAをインビトロ相同組換えに供することにより(Stemmer(1994)PROC.NATL.ACAD.SCI.USA 91:10747;Stemmer(1994)NATURE 370:389)、またはカセット変異誘発によって、DNAレベルで変異を誘導することにより進化させ得る。鋳型の進化および進化による合成は、例えば、米国特許出願公開第US2004/0180412号に記載されている。
以下の実施例は、本発明の種々の実施形態およびその均等物の実施に適用され得る、重要なさらなる情報、例示および手引きを含む。本発明の実施は、このような以下の実施例から、より充分に理解される。実施例は、本明細書において例示の目的のみのために提示されており、なんら限定するものと解釈されるべきでない。
以下の実施例に、配列プログラム化官能基変換の実行可能性を示す。実施例1および2に、3通りの配列プログラム化官能基変換、すなわち、アジドからアミン、アジドからチオール、およびアジドからカルボン酸への変換を記載し、変換の最終生成物は、ゲル電気泳動(実施例1)または質量分析法(実施例2)によって特徴付けられた。実施例3は、DNAに連結されていない低分子試薬(例えば、塩化スルホニル、クロロホルメート、イソシアネートおよびイソチオシアネート反応体)を用いて、アミン連結鋳型をスルホンアミド、カルバメート、尿素またはチオ尿素に変換することが可能であることを示す。実施例4は、単一溶液中で、有機アジドの混合物をアミン中間体に配列特異的に変換し、次いで、DNAに連結されていない遊離反応体(例えば、塩化スルホニル、クロロホルメート、イソシアネートおよびイソチオシアネート)を用いて、アミン中間体をスルホンアミド、カルバメート、尿素およびチオ尿素生成物に配列特異的に変換することが可能であることを示す。
(実施例1.第1級アミン、カルボン酸およびチオールへのアジドのDNA鋳型変換(PAGEによる特徴付け))
この実施例では、アジドがアミン、チオールまたはカルボン酸に特異的に変換され得る配列プログラム化官能基変換を記載する。個々の反応スキームおよび結果としてもたらされた反応収率を、図5Aおよび5Bに示す。
(I.材料および方法)
(i)アジド酸の合成
図5Bに示す化合物1〜12の合成のためのアジド基質を、対応するカルボン酸前駆物質から以下のようにして調製した:
アジド酢酸(図5Bの鋳型1を作製するために使用)。この試薬を、Lundquistら(2001)ORG LETT.3:781に記載のようにして作製した。生成物は、以下の特性を有することがわかった:H NMR(300MHz,CDCl)δ3.96(2H,s)。
アジド−3−メチルペンタン酸(図5Bの鋳型2を作製するために使用)。この試薬は、Lundquistら(2001)(前出)に記載のようにして作製した。生成物は、以下の特性を有することがわかった。
Figure 0004969459
4−アジドメチル安息香酸(図5Bの鋳型3を調製するために使用)。ナトリウムアジド(1.3g,20mmol)および18−クラウン−6エーテル(0.2mL,1mmol)をDMSO(4mL)中に溶解した。得られた溶液に、4−クロロメチル安息香酸(1.71g,10mmol)を添加し、反応混合物を25℃にて12時間攪拌した。反応物をEtOAc中で希釈し、0.1N HClで洗浄し(2×)、次いでブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、濃縮して白色固形物(1.75g,定量的)を得た。得られた生成物は、以下の特性を有することがわかった:
Figure 0004969459
1−アジドシクロへキシルカルボン酸(図5Bの鋳型5を調製するために使用)およびアジドイソグルタミン酸(図5Bの鋳型4を調製するために使用)を、アジド酸の合成について記載の方法に従って、Lundquistら(2001)(前出)のジアゾ転移によって合成した。1−アジドシクロへキシルカルボン酸は、以下の特性を有することがわかった:
Figure 0004969459
アジドイソグルタミン酸は、以下の特性を有することがわかった:
Figure 0004969459
1−アジドメチル安息香酸(図5Bの鋳型6を作製するために使用)。この試薬を、Wadaら(2001)TETRAHEDRON LETT.42:1069−72、さらにLoveら(2001).J.ORG CHEM.66:68165−76に記載のようにして作製した。生成物は、以下の特性を有することがわかった:
Figure 0004969459
4−アジド安息香酸(図5Bの鋳型7を作製するために使用)。この試薬をSigma−Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。
4−アジドベンジル−シクロヘキシルジカルボン酸モノエステル(図5Bの鋳型8を調製するために使用)。トランス−シクロへキシルジカルボン酸(200mg,1.16mmol)、EDC(223mg,2.32mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.4mL,2.32mmol)をCHCl(4mL)に溶解し、25℃にて30分間攪拌した。この混合物に、4−アジドベンジルアルコール(86.6mg,0.58mmol)を添加した。反応物を25℃にて12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(30% EtOAc/ヘキサン)によって精製した。所望のエステルが黄色固形物(18.2mg,5%)として得られた。得られた生成物は、以下の特性を有することがわかった。
Figure 0004969459
4−アジドベンジル−コハク酸モノエステル(図5Bの鋳型9を調製するために使用)。4−アジドベンジルアルコール(100mg,0.67mmol)、無水コハク酸(134mg,1.37mmol)およびN,N−ジメチルアミノピリジン(3.7mg,30μmol)をDMF(1mL)に溶解し、25℃にて12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(30% EtOAc/ヘキサン)によって精製した。所望のエステルが黄色固形物として得られた(75.9mg,45%)。得られた生成物は、以下の特性を有することがわかった:
Figure 0004969459
4−アジドベンジル−ジフェン酸モノエステル(図5Bの鋳型10を調製するために使用)。4−アジドベンジルアルコール(112mg,0.5mmol)および無水ジフェン酸(74.5mg,0.5mmol)をピリジン(1mL)に溶解し、25℃にて12時間攪拌した。反応混合物をEtOAc中で希釈し、リン酸バッファー(pH6.0、2×)で洗浄し、次いでブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、真空にて濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(25% EtOAc/ヘキサン)によって精製した。所望のエステルが黄色固形物として得られた(193mg,99%)。得られた生成物は、以下の特性を有することがわかった:
Figure 0004969459
1−アジドメチルベンゾイルチオ酢酸チオエステル(図5Bの鋳型11を調製するために使用)。2−アジドメチルベンゾイル酸(40mg,0.23mmol)を、EDC(64.9mg,0.34mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(39.1mg,0.34mmol)(CHCl中)と25℃にて2時間混合した。反応混合物をNaHCOで洗浄し(2×)、次いでブラインで洗浄した。有機層を濃縮し、粗生成物を、さらに精製せずに次の工程で直接使用した。N−ヒドロキシルスクシンイミジル2−アジドメチル安息香酸エステル(16.4mg,47μmol)およびチオ酢酸(3.2μL)(DMF中(250μL))を、25℃で24時間反応させた。反応混合物をEtOAc中で希釈し、NaHCOで洗浄し(2×)、次いでブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、真空にて濃縮した。粗製混合物をフラッシュクロマトグラフィー(30% EtOAc/ヘキサン)によって精製し、チオエステル(9.8mg,83%)を得た。得られた生成物は、以下の特性を有することがわかった:
Figure 0004969459
2−アジドメチルベンゾイルチオプロピオン酸チオエステル(図5Bの鋳型12を調製するために使用)。2−アジドメチルベンゾイルN−ヒドロキシスクシンイミジル(ΝHS)エステルを、等容量の1−アジドメチル安息香酸(図5Bの鋳型6を作製するために使用)(DMF中900mM)、EDC(DMF中900mM)およびΝHS(DMF中900mM)を25℃で1時間混合することにより調製した。チオール基をDΝAオリゴヌクレオチドに、並行調製において結合させ、鋳型の形成時に鋳型内に組み込ませた(下記の5’2−アジドメチルベンゾイルチオプロピオン酸チオエステル連結DNAの調製を参照のこと)。
(ii)官能性付与したオリゴヌクレオチドの調製
この実施例および以下の実施例全体を通して、オリゴヌクレオチドは、Perseptive Biosystems Expedite 8090 DNA合成装置で、標準的なホスホルアミダイトプロトコルを用いて合成し、分取スケール逆相HPLCを用いて精製した。自動化固相オリゴヌクレオチド合成のための試薬を、Glen Researchから購入した。以下に記載するアミン末端DNAオリゴヌクレオチドおよびビオチン化DNAオリゴヌクレオチドでは、5’アミノ修飾体5(Glen Research)を用いて5’アミノ修飾オリゴヌクレオチドを調製し、3’アミノ修飾体C7 CPG(Glen Research)を用いて3’アミノ修飾オリゴヌクレオチドを調製し、ビオチンTEG CPG(Glen Research)を用いて、3’ビオチン標識オリゴヌクレオチドを調製した。官能性付与したDNAオリゴヌクレオチドを、分析スケール逆相HPLCによって精製した。
精製したオリゴヌクレオチドの溶液の濃度を、Hewlett−Packard 8453 UV−可視光分光測光器(Agilent Technologies)で測定した260nmにおける吸光度に基づいて測定した。臭化エチジウムで染色したオリゴヌクレオチドを可視化し、UVトランスイルミネーションおよびデンシトメトリー(Eagle Eye II デンシトメータ(Stratagene)を使用)によって定量した。
(a)鋳型オリゴヌクレオチド
5’アジド連結DNAオリゴヌクレオチド鋳型(図5Bの鋳型1〜11を作製するために使用)。所望のアジド酸のN−ヒドロキシスクシンイミジル(ΝHS)エステルを、等容量のそれぞれのアジド酸(DMF中900mM)、EDC(DMF中900mM)およびΝHS(DMF中900mM)を25℃で1時間混合することにより調製した。粗製ΝHSエステルを2つに分けて(各50μL)、5’アミノ修飾DΝAオリゴヌクレオチド(50μL、典型的には300μM)を100mM リン酸ナトリウムバッファー(pH7.2、350μL)中に含む溶液に添加した。これらの調製に用いた30量体鋳型は、5’NH(CO)−POH−GGT ACG AAT TGC ACT CGG GAA ATC CAC CTT(配列番号1)であった。カップリング反応を25℃で1時間行った。得られた反応混合物を、NAP−5サイズ排除カラム(Amersham Biosciences)に直接ローディングし、有機溶媒、塩および過剰の低分子を除去し、アジド連結DNAオリゴヌクレオチドを、分析スケール逆相HPLC(8〜30% MeCN/0.1M TEAA勾配)によってさらに精製した。所望のオリゴヌクレオチド生成物をMALDI−TOF質量分析法によって特徴付けした。
5’2−アジドメチルベンゾイルチオプロピオン酸チオエステル連結DNA(図5Bの鋳型12を作製するために使用)。2,2’−ジチオジプロピオン酸をDMF(900mM)中に含む溶液を、等容量のEDC(DMF中900mM)およびNHS(DMF中900mM)と25℃で1時間混合した。粗製NHSエステル(50μL)を、5’アミノ修飾DNAオリゴヌクレオチド(50μL、典型的には300μM)を100mM リン酸ナトリウムバッファー(pH7.2,350μL)中に含む溶液に添加した。カップリング反応を25℃で1時間行った。反応混合物を、NAP−5サイズ排除カラム(Amersham Biosciences)に直接ローディングし、分析スケール逆相HPLC(8〜30% MeCN/0.1M TEAA勾配)によって精製した。ジスルフィド連結オリゴヌクレオチド生成物をMALDI−TOF質量分析法によって特徴付けした。2−チオプロピオン酸連結オリゴヌクレオチドを、上記のジスルフィド連結オリゴヌクレオチド(oligonuleotide)(典型的には、10μM)を20mM DTT含有100mM CAPSバッファー(pH8)中で、25℃にて0.5時間処理することにより調製した。反応混合物をゲル濾過カラムに通すことにより過剰のDTTを除去した。パラレルで、2−アジドメチルベンゾイルN−ヒドロキシスクシンイミジル(ΝHS)エステルを、記載のようにして調製した(上記の2−アジドメチルベンゾイルチオプロピオン酸チオエステルの調製を参照)。粗製ΝHSエステル(100μL)を、5’チオール連結オリゴヌクレオチド(100μL)を100mM リン酸ナトリウムバッファー(pH7.2、300μL)中に含む溶液に添加した。カップリング反応を25℃で1時間行った。反応混合物を、ΝAP−5サイズ排除カラムに直接ローディングし、分析スケール逆相HPLC(8〜30% MeCN/0.1M TEAA勾配)によって精製した。所望のオリゴヌクレオチド生成物をMALDI−TOF質量分析法によって特徴付けした。
(b)転移単位
3’トリフェニルホスフィン連結DNA。トリフェニルホスフィン基の結合は、CPG樹脂に連結させた3’アミノ修飾オリゴヌクレオチド上に行った。鋳型に充分相補的な10量体試薬は、5’AAT TCG TAC C−OPOH−CHCH(CHOH)(CHNHCOCPPh(配列番号2)の構造を有した。鋳型と比べて3塩基ミスマッチを含む10量体試薬は、以下の構造−5’AAT ACA TCC C−OPOH−CHCH(CHOH)(CHNHCOCPPh(配列番号3)を有した。後者を、これらの実験の対照として使用した。
3’FMOC−NH−オリゴヌクレオチド上のFmoc基を、(i)20%ピペリジン含有DMFでの10分間の処理;(ii)DMFでの洗浄;および(iii)MeCNでの洗浄というサイクルを3回行うことによって除去した。樹脂を、窒素ガス流下で乾燥した。4−ジフェニルホスフィノ安息香酸(30.6mg,100μmol)、EDC(19.1mg,100μmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(36.8μL,211μmol)をDMF(0.6mL)中に含む溶液を該樹脂に添加し、混合物を37℃で2時間インキュベートした。樹脂をDMF(2×)およびMeCN(2×)で洗浄し、次いで、窒素下で乾燥した。誘導体化オリゴヌクレオチドをCPG樹脂から、塩酸トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP−HCl,1 mg)を含む1:1水酸化アンモニウム:メチルアミン(AMA)中での55℃で45分間のインキュベーションによって切断した。切断溶液を濾過し、分析スケール逆相HPLC(8〜30% MeCΝ/0.1M TEAA勾配)によって精製した。所望のオリゴヌクレオチド生成物をMALDI−TOF質量分析法によって特徴付けした。
(c)捕捉試薬
ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行うため、反応生成物を、鋳型にアニーリングする20量体二次試薬(捕捉試薬)を用いて捕捉した。
アミノ修飾されたDΝA(この試薬は、鋳型8〜10の生成物を捕捉するために用いた)。20量体二次試薬は、5’TCC CGA GTG CAA TTC GTA CC−OPOH−CHCH(CHOH)(CHΝH(配列番号4)の配列を含むものであった。このオリゴヌクレオチドを、以下の捕捉試薬の出発材料として使用した。
3’ブロモ酢酸エステル連結DNA(この試薬は、鋳型11および鋳型12の生成物を捕捉するために用いた)。ブロモ酢酸のNHSエステルを、等容量の900mMブロモ酢酸(DMF中)、900mM EDC(DMF中)および900mM NHS(DMF中)を25℃で1時間混合することにより調製した。粗製NHSエステル(100μL)を、5’アミノ修飾DNAオリゴヌクレオチド(50μL,典型的には300μM)を100mM リン酸ナトリウムバッファー(pH7.2,350μL)中に含む溶液に添加した。カップリング反応を25℃で1時間進行させた。反応混合物を、NAP−5サイズ排除カラムに直接ローディングし、有機溶媒、塩および過剰の低分子を除去し、分析スケール逆相HPLC(8〜30% MeCN/0.1M TEAA勾配)によってさらに精製した。所望のオリゴヌクレオチド生成物をMALDI−TOF質量分析法によって特徴付けした。
3’4−ホルミル安息香酸エステル連結DNA(この試薬は、鋳型7生成物を捕捉するために用いた)。4−ホルミル安息香酸エステル連結20量体DNAは、ブロモ酢酸エステル連結DNAのプロトコルに従い、ブロモ酢酸の代わりに4−ホルミル安息香酸を用いて調製した。
3’コハク酸モノエステル連結DNA(この試薬は、鋳型1〜6の生成物を捕捉するために用いた)。無水コハク酸(22mg,0.1mmol)をNHS(10mg,0.1mmol)(DMF中)(200μL)により25℃で15分間活性化させた。100μLの混合物を、3’アミノ修飾鋳型(50μL,典型的には300μM)を含む100mM HEPESバッファー(pH8.5;850μL)に添加し、37℃で16時間インキュベートした。反応混合物をNAP−5サイズ排除カラムによって脱塩し、分析スケールHPLC(8〜30% MeCN/0.1M TEAA勾配)によってさらに精製した。所望のオリゴヌクレオチド生成物をMALDI−TOF質量分析法によって特徴付けした。
(II.結果および結論)
(i)アジドからアミンへのDNA鋳型変換
30量体DNAオリゴヌクレオチド鋳型の5’末端に連結させた多様な有機アジドを、相補的なDNA10量体の3’末端にコンジュゲートさせたトリフェニルホスフィンと反応させた(図5A参照)。アジドからアミン官能基へのDNA鋳型変換を、30量体5’アジド連結鋳型(12pmol)および10量体3’トリフェニルホスフィン連結試薬(24pmol)を、全容量200μLの100mM CAPSバッファー(pH10)(500mMのNaClを含有する)中で25℃にて16時間混合することにより行った。基質4および5では、1M NaCl、およびホスフィン酸化を抑制するための0.5mM DTTの添加により、収率が増加することがわかった。代表的な反応条件は、1〜7では、60nMアジド、120nMホスフィン、0.1M CAPS pH10、0.5M NaClを含むもの;8〜11では、0.1M MES pH6.0、1M NaCl以外は上記のとおり;および12では、0.1M MOPS pH7.5、1M NaCl以外は上記のとおりとした。
DNA鋳型カップリング反応とは異なり、アジドからアミンへの変換は、出発材料および生成物が同様の分子量を有したため、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって直接モニターすることができなかった。これらの反応の進行をアッセイするため、推定アミン生成物を、カルボジイミドの存在下で20量体連結カルボン酸により、またはNaBHCNの存在下で20量体連結アルデヒドにより捕捉した。これらの二次試薬または捕捉試薬は、10量体連結ホスフィンオキシドと置き換えられ、第1級アミンと効率的にカップリングしたが、アジドとはカップリングしなかった。得られたアミドまたは第2級アミン生成物は、20量体の分子量を獲得し、PAGEによって出発物質アジドと容易に識別することができた。
基質1〜6から誘導したアミン生成物を捕捉するため、20量体3’カルボン酸連結試薬(24pmol)を反応混合物に、EDC(30mM)およびスルホNHS(15mM)を含むMESバッファー(pH6.5)とともに添加した。基質7から誘導したアミン生成物を捕捉するため、生成物を、NaBHCN(3mM)含有MESバッファー(pH6.5)の存在下、20量体3’アルデヒド連結試薬により捕捉した。生成物の捕捉後、DNA連結種をNaOAc(pH5)、エタノールおよびグリコーゲンにより沈殿させた。
得られたペレットを変性ゲルローディングバッファーに溶解し、変性PAGE解析に供した。特に記載のない限り、変性PAGE解析は、15%ポリアクリルアミドゲル(TBE−尿素)を用いて行った。
反応収率を、生成物および鋳型バンドのゲルの臭化エチジウム染色、UV可視化およびCCDに基づくデンシトメトリーによって定量した。収率の計算により、変性ゲル中の鋳型および生成物は、塩基ごとに等しい強度で染色されることが推測された。生成物が定量中に部分二本鎖となる場合、染色強度の変化によって、より高い見かけ上の収率がもたらされ得る。
変性PAGE解析によって得られた典型的な結果を図6に示す。図6Aに、図5Bのアジド3でのアジドからアミンへのDNA鋳型変換の変性PAGE解析を示す。図6Bに、図5Bのアジド7でのアジドからアミンへのDNA鋳型変換変性PAGE解析を示す。
試験した7種類のアジド(図5Bの基質1〜7)では、DNA鋳型アジド還元はpH10で効率的に進行した。反応生成物の実際の収率を図5Bにまとめる。各場合において、ホスフィンを非相補的ミスマッチオリゴヌクレオチドに連結させた対照反応では、有意なアミドも第2級アミン生成物も生成されず、これらのアジドからアミンへのDNA鋳型変換が配列特異的に進行したことを示す。
(ii)アジドからカルボン酸またはチオールへのDNA鋳型変換
反応の範囲をさらに拡張し、アジドからカルボン酸へ、およびアジドからチオール官能基への変換を行った(図5Aを参照)。両方の場合において、アジド還元によって自発的フラグメンテーションが誘導され、カルボン酸基またはチオール基が脱マスキングされた。これらの反応の効率を評価するため、DNA連結アミンを用い、カルボジイミドの存在下でカルボン酸(基質8〜10から生じた生成物)を捕捉し、一方、DNA連結臭化アルキルを用いてチオール生成物(基質11および基質12から生じた生成物)を捕捉した。
アジドからカルボン酸へのDNA鋳型変換を、バッファーが0.1M MES pH6.0および1M NaClを含有するものとした以外は、アジドからアミンへの変換と同様にして行った。カルボン酸生成物を捕捉するため、20量体3’アミン連結試薬を反応混合物に、EDC(30mM)およびスルホNHS(15mM)を含むMESバッファー(pH6.5)とともに添加した。変性PAGEの典型的な結果を図6Cに示す(図5Bの試薬8を用いた場合を示す)。
アジドからチオールへのDNA鋳型変換を、バッファーが0.1M MES pH6.0(基質11の場合)またはMOPS pH7.5(基質12の場合)のいずれか、および1M NaClを含むものとしたこと以外は上記のようにして行った。チオール生成物を捕捉するため、20量体3’臭化アルキル連結試薬を反応混合物に添加し、37℃で6時間インキュベートした。変性PAGEの典型的な結果を、図6Dに示す(図5Bの試薬11を用いた場合を示す)。
カルボン酸からアミンへ、およびチオールからアミンへの変換では、変性PAGE解析によって、DNA鋳型官能基変換によるカルボン酸基およびチオール基の脱マスキング(図5Bの基質8〜12)もまた、効率的および配列特異的に進行することが示された。
(実施例2.第1級アミン、カルボン酸およびチオールへのアジドのDNA鋳型変換(質量分析による特徴付け))
この実施例は、反応生成物を、PAGEではなく質量分析法によって特徴付けしたこと以外は実施例1と同様である。これを容易にするため、より小さい鋳型および異なる捕捉系を、同じまたは同様の条件下で使用した。
(I.材料および方法)
(i)アジド酸の合成
図5Bに示す化合物1〜12の合成のためのアジド基質を、実施例1に記載のようにして調製した。
(ii)官能性付与したオリゴヌクレオチドの調製
この実施例で用いたオリゴヌクレオチドは、以下の変更を行って、実施例1と同様にして調製した。
(a)鋳型オリゴヌクレオチド
鋳型オリゴヌクレオチドを、30量体鋳型を用いるのではなく、以下の10量体鋳型:5’−NH(CO)−POH−GGT ACG AAT T−OPOH−CH(CHOH)CH(OCCHNHCO−ビオチン(配列番号5)を用いたこと以外、実施例1に記載のようにして調製した。
(b)転移単位
トリフェニルホスフィン連結試薬を実施例1に記載のようにして調製した。
(iii)質量分析による解析
MALDI−TOF質量分析法をApplied Biosystems Voyager−DE Pro Biospectrometry Workstationにおいて行い、Voyager Data Explorerソフトウエアにより処理した。9部のヒドロキシピコリン酸(HPA,50% MeCN/HO中50mg/mL)と1部のクエン酸アンモニウム(HO中50mg/mL)の混合物を、すべての実験でマトリックスとして使用した。
(II.結果および結論)
相補DNA連結ホスフィン試薬(24pmol)を、10量体5’−アジド連結3’−ビオチン化鋳型(12pmol)を、100mM CAPSバッファー(pH10)(500mM NaCl含有)中に含む溶液に添加した。混合物を、25℃で0.5時間、次いで37℃で12時間攪拌した。ビオチン化生成物および未反応鋳型を、反応混合物をストレプトアビジン連結磁性粒子(Roche)で処理することにより精製し、製造業者のプロトコルに従って溶出した。溶出物中のDNAを、エタノールおよびグリコーゲンにより沈殿させた。基質11および基質12を、直接、次の質量分析による解析に供した。MALDI−TOF解析のための試料は、マトリックス溶液に溶解したペレットをZipTip Cl 8カラム(Millipore)を用いて脱塩することにより調製した。
得られたイミノホスホランをMALDI−TOF質量分析法によって同定し、おそらく安定なHCl塩の形成のため、予期に反して、加水分解(特に、酸性条件条件下での)に安定であることがわかった(Shalev,ら(1996)J.ORG.CHEM.61:1689−1701)。しかしながら、pH10のバッファー中、25℃で0.5時間、続いて37℃で12時間のDNA連結ホスフィンによる鋳型連結アジドの処理により、定量的なイミノホスホラン加水分解がもたらされ、対応する第1級アミンが生成した。
MALDI−TOF解析の結果を表1にまとめる。表中、試薬1〜12は、図5Bで表したとおりである。MALDI−TOF実験条件下での不安定性のため、チオール連結生成物(11と12)を、DNA鋳型スタウディンガー反応に従ってヨードアセトアミド(5mM)で処理することにより、アルキルチオエーテル付加物として捕捉した(表1の11および12に関するMALDI−TOFデータは、捕捉されたチオエーテル付加物のものである)。
Figure 0004969459
アジド還元反応の質量分析による解析は、各場合において、予測された第1級アミン生成物の形成と一致した。代表的なスペクトルを図7に示す。
表1に示す質量分析による解析に基づくと、アジドからアミンへ、アジドからカルボン酸へ、およびアジドからチオールへの配列特異的な変換はすべて、適切な生成物を生成した。
(実施例3.低分子試薬を用いたアミン連結鋳型の変換)
DNA鋳型官能基変換により非DNA連結試薬が配列プログラム化合成に関与できる可能性をさらに探究するため、各々が、鋳型の操作および精製を助長するために、5’末端に異なるアジド、4種類の特有の6塩基コドンのうちの1つ、および3’末端にビオチン基を含有する4種類のDNA鋳型(鋳型13〜16、図8)を調製した。次いで、アジド連結鋳型を、TCEP−HClに曝露することによってアミン連結鋳型へと化学的に変換した。次いで、得られたアミンを遊離試薬と反応させ、アミン中間体から最終生成物への変換が起こり得るか否かを調べた。特に、塩化ダンシル(21)、エチルクロロホルメート(22)、4−メトキシフェニルイソシアネート(23)および6−モルホリノピリジニル3−イソチオシアネート(24)はその構造または水との反応性が理由でDNAに容易には結合できないため、これらすべてをアミン反応性薬剤として選択した。出発試薬および理論上の最終生成物を示す簡略化した反応スキームを図9に示す。
(I.材料および方法)
鋳型のコード配列を、(i)少なくとも6つの非相補的塩基対が任意の2つの異なるコドン間に存在することを確実にするため、(ii)試薬間の融解温度の差を最小限にするためにコドン1つあたり一定%のGCを維持するため、および(iii)16通りの理論上の低分子カップリング生成物の分子量が異なり、MALDI−TOF質量分析法によって識別可能となるように質量を変化させるために、コンピューテーショナルスクリーニングによって設計した。
図8に示すスキームで用いた鋳型の各々(鋳型13〜16)は、5’NH(CO)−POH−TT−(コドン)−GTA−OPOH−CH(CHOH)CH(OCCHNHCO−ビオチンを含むものであった。各鋳型に用いたコドンは以下のとおりであった:鋳型13のコドンは、GTG CAA CGT CAT、n=0(配列番号6)であった;鋳型14のコドンは、CCT AGT CGT CAT、n=3(配列番号7)であった;鋳型15のコドンはTAA GCC CGT CAT、n=2(配列番号8)であった;鋳型16のコドンは、AGC TTG CGT CAT、n=1(配列番号9)であった。
アジド含有鋳型13〜16を、実施例1に記載のようにして調製した(それぞれ、鋳型1、3、4および2を参照)。
鋳型13〜16のアジド基をTCEP−HClに曝露することによってアミン基へと化学的に変換した。簡単には、次いでアミン連結鋳型を、アジド連結鋳型(鋳型13〜16)を5mM TCEP−HCl含有100mM MOPSバッファー(pH7.5)で25℃にて3時間処理することにより調製した。得られた鋳型をHPLCによって精製した。その後、得られた鋳型(アミン中間体)を可溶性試薬と反応させ、官能基変換が起こり得るか否かを調べた。
(II.結果および結論)
一旦アミン連結鋳型13〜16が創製されたら、次いで、これらを可溶性試薬に曝露し、官能基変換が起こり得るか否かを調べた。各変換について、以下に詳細に論考する。
アミン連結鋳型13(400pmol)を含む100μLの100mM 水性NaHCO(pH9.0)を、20mM塩化ダンシル21を含む100μLのDMFと混合し、37℃で1時間攪拌した。反応混合物を200μLの0.1M TEAA中で希釈し、NAP−5サイズ排除カラムに通した。溶出物(1mL 0.1M TEAA中)を、分析スケール逆相HPLC(8〜30% MeCN/0.1M TEAA勾配)によって解析した。生成物の収率を、出発材料、生成物および任意の副生成物の積分ピーク面積(260nmにおけるUV吸光度に基づく)に基づいて計算した。代表的なクロマトグラムを図10Aに示す。
アミン連結鋳型14(400pmol)を含む100μLの200mM水性NaHCO(pH9.0)を、40mMエチルクロロホルメート22を含む100μLのDMFと混合し、37℃で1時間攪拌した。反応物を、グリコーゲン含有NaOAcバッファー(pH5.0)の添加、続いてエタノール沈殿によってクエンチした。ペレットを0.1M TEAAに溶解し、分析スケール逆相HPLC(8〜30% MeCN/0.1M TEAA勾配)によって解析した。代表的なクロマトグラムを図10Bに示す。
アミン連結鋳型15(400pmol)を含む100μLの500mM水性トリエチルアミン(pH10)を、20mMの4−メトキシフェニルイソシアネート23を含む100μLのDMFと混合し、37℃で1時間攪拌した。反応混合物をクエンチし、上記のようにして解析した。代表的なクロマトグラムを図10Cに示す。
アミン連結鋳型16(400pmol)を含む100μLの500mM水性トリエチルアミン(pH10)を、20mMと混合し、20mMの6−モルホリノイソチオシアネート24を含む100μLのDMFと反応させ、37℃で1時間攪拌した。反応混合物をクエンチし、上記のようにして解析した。代表的なクロマトグラムを図10Dに示す。
可溶性試薬(遊離反応体)21、22、23または24を、過剰量(10または20mMの終濃度)(DMF中)で鋳型連結第1級アミンに、塩基性条件(pH9〜10)下で添加すると、対応するスルホンアミド、カルバメート、尿素またはチオ尿素が効率的に生成された(21では70%の収率、22、23および24では>86%)。これらの結果は、アミドに連結させた鋳型を、遊離反応体を用いてスルホンアミド、カルバメート(carbomate)、尿素またはチオ尿素に変換することが可能であることを示した。
(実施例4.低分子試薬を用いた4種類のアジド連結鋳型の配列特異的変換)
この実施例は、反応体結合鋳型の配列特異的変換を行って反応中間体を生成させ、次いで、これを遊離反応体と反応させて反応生成物を生成させ得ることが可能であることを示す。特に、アジド連結鋳型の単一溶液混合物は、アミン中間体に配列特異的に変換された。次いで、アミン中間体は、DNAに連結されていない塩化スルホニル、クロロホルメート、イソシアネートおよびイソチオシアネート反応体を用い、スルホンアミド、カルバメート、尿素およびチオ尿素生成物に配列特異的に修飾された。
(I.材料および方法)
(i)官能性付与したオリゴヌクレオチドの調製
(a)鋳型オリゴヌクレオチド
鋳型13〜16を、実施例3に記載のようにして調製した。
(b)転移単位
以下のトリフェニルホスフィン連結オリゴヌクレオチドの各々を、実施例1に記載のようにして調製した。
オリゴヌクレオチド17(図9)は、5’CGT TGC ACA A−OPOH−CHCH(CHOH)(CHNHCOCPPh(配列番号10)の構造を有した。オリゴヌクレオチド18(図9)は、5’CGA CTA GGA A−OPOH−CHCH(CHOH)(CHNHCOCPPh(配列番号11)の構造を有した。オリゴヌクレオチド19(図9)は、5’CGG GCT TAA A−OPOH−CHCH(CHOH)(CHNHCOCPPh(配列番号12)の構造を有した。オリゴヌクレオチド20(図9)は、5’CGC AAG CTA A−OPOH−CHCH(CHOH)(CHNHCOCPPh(配列番号13)の構造を有した。
(II.結果および結論)
鋳型13〜16の混合物を、配列特異的反応体17と、次いで遊離反応体21と合わせた。得られた溶液を、同様に、配列特異的反応体18、続いて遊離反応体22と合わせ;配列特異的反応体19、続いて遊離反応体23と合わせ;そして配列特異的反応体20、続いて遊離反応体24と合わせた。
より詳しくは、3’トリフェニルホスフィン連結オリゴヌクレオチド17(8当量)を、該4種類の5’アジド連結鋳型(鋳型13〜16,各鋳型について100nM)を100mM CAPSバッファー(pH10)および500mMのNaCl中に含む単一溶液混合物に添加し、アジドからアミンへの変換を行った。混合物を、25℃で0.5時間、次いで37℃で12時間インキュベートした。オリゴヌクレオチドを、グリコーゲンを含むNaOAcバッファー(pH5.0)およびエタノールの添加によって沈殿させた。ペレットを100μLの100mM NaHCOに溶解し、塩化ダンシル21(100μLのDMF(20mM)中)と37℃で1時間反応させた。反応混合物をエタノール沈殿によって脱塩した。アジドからアミンへのDNA鋳型変換が配列特異的に進行した場合、鋳型13から生じたアミンのみが、配列特異的反応体21と反応してスルホンアミド25が生成するはずであり、一方で鋳型14〜16は変化なしのままとなるはずである(図8参照)。過剰の塩化スルホニルは、エタノール沈殿時に除去され、あらゆる未反応アミンは、N−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステル連結樹脂を用いて除去した。
次いで、上記のアジドからアミンへのDNA鋳型変換を、ホスフィン連結オリゴヌクレオチド18を用いて繰り返した。ペレットを100μLの200mM NaHCOに溶解し、エチルクロロホルメート22(100μLのDMF(40mM)中)と37℃で1時間反応させた。反応混合物をエタノール沈殿によって脱塩し、乾燥させた。
次いで、上記のアジドからアミンへのDNA鋳型変換を、ホスフィン連結オリゴヌクレオチド19を用いて繰り返した。ペレットを100μLの500mM 水性トリエチルアミン溶液に溶解し、4−メトキシフェニルイソシアネート23(100μLのDMF(20mM)中)と37℃で1時間反応させた。反応混合物をエタノール沈殿によって脱塩し、乾燥させた。
次いで、上記のアジドからアミンへのDNA鋳型変換を、ホスフィン連結オリゴヌクレオチド20を用いて繰り返した。ペレットを100μLの500mM 水性トリエチルアミン溶液に溶解し、6−モルホリノ−3−ピリジニルイソチオシアネート24(100μLのDMF(20mM)中)と37℃で1時間反応させた。反応混合物をエタノール沈殿によって脱塩し、乾燥させた。ペレットを100mM MESバッファー(pH6)に溶解し、まずTCEP−HCl(5mM)により25℃で2時間、次いでNHS活性化樹脂(Amersham Biosciences;100pmolの鋳型に対して5μLの樹脂溶液)によりさらに2時間処理した。樹脂を濾過によって除去し、0.1M TEAAで3回洗浄した。
生成物の最終混合物は、鋳型連結ビオチン基を、磁性粒子に連結させたストレプトアビジンで捕捉することにより精製した。捕捉されたオリゴヌクレオチドを該粒子から、製造業者のプロトコルに従って溶出した。溶出液中のDNAをNaOAc(pH5.0)、グリコーゲンおよびエタノールにより沈殿させた。260nmでの出発材料プールおよび最終生成物プールのUV吸光度をモニターすることにより、分光分析によってDNAの回収率を測定した。等量の生成物25〜28(図8参照)を含有し、260nmで1.0のUV吸光度を有する混合物の濃度は、5.5μMであると推定された。MALDI−TOF解析のための試料を、実施例2に記載のようにして調製した。図11Aおよび図11Bに、それぞれ、出発材料(鋳型13、14、15および16)ならびに生成物(生成物25、26、27、28)の代表的なスペクトルを示す。
MALDI−TOF質量分析法により、最終生成物混合物が、主に、この4種類の配列プログラム化生成物(スルホンアミド25、カルバメート26、尿素27およびチオ尿素28)を含有することが明らかになった。12通りの考えられ得る望ましくない交差生成物はいずれも観察されなかった。
UVスペクトロメトリー解析により、最終生成物混合物が、4回の連続的なDNA鋳型還元および低分子カップリングシーケンスについて51%の合計収率で生成されたことが示された。これらの結果により、DNA鋳型官能基変換は、非DNA連結低分子を配列プログラム化反応に関与させるのを可能にすることが確立される。また、このプロセスの効率により、この微量(nmol以下)規模で有機合成を行う場合に可能となる分子生物学精製および洗浄ストラテジーの価値が強調される。
総合すると、この実施例に記載したDNA鋳型官能基変換では、試薬をオリゴヌクレオチドに係留させる必要性に取り組むことにより、核酸鋳型合成の合成能力が拡張される。オリゴヌクレオチドに対する試薬の連結が可能でないか、または不都合である場合、それにもかかわらず、このような変換により、かかる試薬が、オリゴヌクレオチド配列と生成物の構造との対応性を保持したまま低分子合成に寄与することが可能になる。
(引用による援用)
本明細書で言及した特許文献および学術論文の各々の全開示は、あらゆる目的のために、本明細書中に参考として援用される。
(均等物)
本発明は、その精神および本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化され得る。したがって、前述の実施形態は、あらゆる点において、本明細書に記載の本発明の限定ではなく例示であると考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の記載ではなく、添付の特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の均等の意味および範囲に含まれるあらゆる変更は、これに包含されるものとする。
図1は、第1の反応性単位(FRU)および第2の反応性単位(SRU)を反応させて反応中間体(RI)を形成させる本発明の一態様の概略図である。反応中間体(RI)を同定用配列(IS)に結合させる。RI−IS複合体を、RIと選択的反応性である遊離反応体(FR)と合わせ、ISに連結された反応生成物(RP)を得る。 図2は、反応中間体(RI)の形成前に、第1の反応性単位(FRU)および第2の反応性単位(SRU)を、それぞれコドン配列(CS)および相補的なアンチコドン配列(ACS)に連結させる本発明の別の態様の概略図である。CSとACSが互いにアニーリングしてFRUとSRUが互いに反応するのを可能にし、RIが生成される。CSは、RIに連結されたままである。CSは、RIを遊離反応体(FR)と反応させたとき、反応中間体(RP)に連結された状態で維持されている。 図3は、図1に示すスキームの実施形態の概略図であり、ここでは、第1の反応性単位の集団(FRU〜FRU)の混合物において、第1の反応性単位の少なくとも1種類(FRU)が第2の反応性単位(SRU)と反応して反応中間体(RI)が形成され、これは、該第1の反応性単位の集団(FRU〜FRU)と共存している。反応中間体(RI)を同定用配列(IS)に連結させる。次いで、ISに連結され、該第1の反応性単位の集団(FRU〜FRU)と共存している反応中間体(RI)を、RIと選択的反応性である遊離反応体(FR)と反応させ、ISに連結された反応生成物(RP)を得る。 図4は、図2に示すスキームの実施形態の概略図であり、ここでは、反応中間体(RI)の形成前に、第1の反応性単位(FRU〜FRU)および第2の反応性単位(SRU)を、それぞれ、コドン配列(CS)および相補的なアンチコドン配列(ACS)に連結させる。CSは、RIに連結されたままである。CSは、RIを遊離反応体(FR)と反応させてRPを生成させたとき、反応中間体(RP)に連結された状態で維持されている。 図5Aは、第1級アミン(上部スキーム)、カルボン酸(中央スキーム)およびチオール(下部スキーム)へのアジドのDNA鋳型変換を示す。 図5Bは、基質アジド1〜12を用いる例示的なDNA鋳型反応を示し、図中、表示した収率は下限を表す。 図6Aは、図5Bのアジド3のアジドからアミンへのDNA鋳型変換後の変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)ゲルを図示したものである。レーン1は、アジド連結30量体鋳型を含む。レーン2は、アジド連結30量体鋳型+カルボン酸連結20量体捕捉試薬+30mM EDC+15mMスルホNHS(生成物形成を示さない)を含む。レーン3は、アジド連結30量体鋳型+ホスフィン連結10量体試薬(10量体は見えない)を含む。レーン4は、アジド連結30量体鋳型+ホスフィン連結10量体試薬+カルボン酸連結20量体捕捉試薬+30mM EDC+15mMスルホNHSを含み、アジドからアミンへの変換後のDNA鋳型アミンアシル化によって生じた50量体副生成物が見える。レーン5は、アジド連結30量体鋳型+ミスマッチ配列を含むホスフィン連結10量体試薬+カルボン酸連結20量体捕捉試薬+30mM EDC+15mMスルホNHSを含む。レーン6は、アジド連結30量体鋳型+5mM TCEP−HCl+カルボン酸連結20量体捕捉試薬+30mM EDC+15mMスルホNHS(アジドがTCEPによってインサイチュで還元される陽性対照)を含む。電気泳動の開始時の30量体鋳型と20量体捕捉試薬との間での二本鎖の不完全な変性により、バンドにじみ(blurring)(レーン2および4〜6)がもたらされるようである。 図6Bは、図5Bのアジド7 のアジドからアミンへのDNA鋳型変換後の変性PAGEゲルを図示したものである。レーン1は、アジド連結30量体鋳型+アルデヒド連結20量体捕捉試薬+3mM NaBHCNを含む。レーン2は、アジド連結30量体鋳型+ホスフィン連結10量体試薬+アルデヒド連結20量体捕捉試薬+3mM NaBHCNを含む。レーン3は、アジド連結30量体鋳型+ミスマッチ配列を含むホスフィン連結10量体試薬+アルデヒド連結20量体捕捉試薬+3mM NaBHCNを含む。わずかに50量体捕捉生成物の形成がレーン1および3において観察され、これは、基質連結鋳型の調製中およびDNA鋳型反応中でのフェニルアジドのゆっくりとした自発的還元に起因する。レーン1および3において観察されたバックグラウンド反応性(<13%)は、レーン2の報告した収率を測定するため差し引いた。 図6Cは、図5Bのアジド8 のアジドからカルボン酸へのDNA鋳型変換後の変性PAGEゲルを図示したものである。レーン1は、アジド連結30量体鋳型+アミン連結20量体捕捉試薬+30mM EDC+15mMスルホNHSを含む。レーン2は、アジド連結30量体鋳型+ホスフィン連結10量体試薬+アミン連結20量体捕捉試薬+30mM EDC+15mMスルホNHSを含む。レーン3は、アジド連結30量体鋳型+ミスマッチ配列を含むホスフィン連結10量体試薬+アミン連結20量体捕捉試薬+30mM EDC+15mMスルホNHSを含む。 図6Dは、図5Bのアジド11のアジドからチオールへのDNA鋳型変換後の変性PAGEゲルを図示したものである(10%ポリアクリルアミドゲルを使用)。レーン1は、アジド連結30量体鋳型+臭化アルキル連結20量体捕捉試薬を含む。レーン2は、アジド連結30量体鋳型+ホスフィン連結10量体試薬+臭化アルキル連結20量体捕捉試薬を含む。レーン3は、アジド連結30量体鋳型+ミスマッチ配列を含むホスフィン連結10量体試薬+臭化アルキル連結20量体捕捉試薬を含む。 図7は、DNA鋳型官能基変換による代表的なMALDI−TOFスペクトルである(この場合、アミン生成物は、アジド1から生成)。 図8は、4種類の配列プログラムされたスルホンアミド、カルバメート、尿素およびチオ尿素生成物を生成させる、4種類のアジドを含有する単一溶液と4種類の非DNA連結低分子求電子剤との反応を示す。鋳型13は、コドン配列aを有するオリゴヌクレオチドに結合されている。転移単位17を含有するトリフェニルホスフィンは、アンチコドン配列a’を有するオリゴヌクレオチドに結合されている。鋳型合成中、コドン配列aはアンチコドン配列a’にアニーリングする。同様に、鋳型14、15および16は、それぞれコドン配列b、cおよびdを含み、それぞれアンチコドン配列b’、c’およびd’を介して転移単位18、19および20にアニーリングする。 図9は、図8で使用した出発試薬および創製された反応生成物を示す概略図である。 図10A〜図10Dは、アミン連結鋳型と低分子試薬との反応のHPLC解析後のHPLCトレース(260nmでモニター)の図である。SMは、未反応の出発材料アミン連結鋳型のピークを示す。PRDは、誘導体化された生成物を示す。特に記載のない限り、SMまたはPRDの表示したもの以外のピークは、DNA連結種に対応しない(230nmにおけるUV吸収およびMALDI−TOF解析によって判断)。図10Aは、アミン連結鋳型13と塩化ダンシル21との反応の結果を示す(試薬13および21は図8に示す)。 図10A〜図10Dは、アミン連結鋳型と低分子試薬との反応のHPLC解析後のHPLCトレース(260nmでモニター)の図である。SMは、未反応の出発材料アミン連結鋳型のピークを示す。PRDは、誘導体化された生成物を示す。特に記載のない限り、SMまたはPRDの表示したもの以外のピークは、DNA連結種に対応しない(230nmにおけるUV吸収およびMALDI−TOF解析によって判断)。図10Bは、アミン連結鋳型14とエチルクロロホルメート22との反応の結果を示す(試薬14および22は図8に示す)。 図10A〜図10Dは、アミン連結鋳型と低分子試薬との反応のHPLC解析後のHPLCトレース(260nmでモニター)の図である。SMは、未反応の出発材料アミン連結鋳型のピークを示す。PRDは、誘導体化された生成物を示す。特に記載のない限り、SMまたはPRDの表示したもの以外のピークは、DNA連結種に対応しない(230nmにおけるUV吸収およびMALDI−TOF解析によって判断)。図10Cは、アミン連結鋳型15と4−メトキシフェニルイソシアネート23との反応の結果を示す(試薬15および23は図8に示す)。 図10A〜図10Dは、アミン連結鋳型と低分子試薬との反応のHPLC解析後のHPLCトレース(260nmでモニター)の図である。SMは、未反応の出発材料アミン連結鋳型のピークを示す。PRDは、誘導体化された生成物を示す。特に記載のない限り、SMまたはPRDの表示したもの以外のピークは、DNA連結種に対応しない(230nmにおけるUV吸収およびMALDI−TOF解析によって判断)。図10Dは、アミン連結鋳型16と6−モルホリノピリジニル3−メトキシルフェニルイソシアネート24との反応の結果を示す(試薬16および24は図8に示す)。 図11Aは、1つの溶液中の4種類のアジド出発材料(図8の試薬13〜16)のMALDI−TOFスペクトルを示す。 図11Bは、アジド出発材料13〜16の4種類の配列特異的変換生成物(図8の生成物25〜28)のMALDI−TOFスペクトルを示す。

Claims (30)

  1. 反応生成物の合成方法であって、該方法は、
    (a)第1の反応性単位および第2の反応性単位を含む混合物を、該第1の反応性単位と該第2の反応性単位との間での反応が誘導される条件下に提供し、反応中間体を生成させる工程;
    (b)該反応中間体に共有結合させた同定用配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程;ならびに
    (c)該反応性単位のうちの少なくとも1種類と共存する該反応中間体を、該反応中間体に対して選択的反応性である遊離反応体と合わせ、それにより、該同定用配列に連結された反応生成物を合成する工程であって、ここで、該遊離反応体は、(i)工程(a)もしくは(b)のいずれの間にも存在せず;かつ、(ii)工程(a)において提供される混合物からの該反応性単位のうちの少なくとも1種類に対してよりも該反応中間体に対しての方が反応性が高い、工程
    を包含する、方法。
  2. 前記同定用配列は、前記反応中間体を生成させる反応前に前記第1の反応性単位に結合され、該反応中間体に連結された状態で維持されている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第2の反応性単位を、前記同定用配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列に結合させる、請求項2に記載の方法。
  4. 工程(a)が、前記同定用配列を該同定用配列に相補的な配列とハイブリダイズさせ、それにより、前記第1の反応性単位と前記第2の反応性単位とを反応的に近接させることを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 工程(b)が、前記反応中間体の形成後に、前記同定用配列を該反応中間体に酵素的に結合させることを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 核酸鋳型合成による反応生成物の合成方法であって、該方法は、
    (a)(i)コドン配列を含む第1のオリゴヌクレオチドに結合させた第1の反応性単位、および(ii)該コドン配列に相補的なアンチコドン配列を含む第2のオリゴヌクレオチドに結合させた第2の反応性単位、を含む混合物を提供する工程;
    (b)該第1のオリゴヌクレオチドのコドン配列を該第2のオリゴヌクレオチドのアンチコドン配列とアニーリングさせて、該第1の反応性単位と該第2の反応性単位との間での反応を誘導して、少なくとも該第1のオリゴヌクレオチドに共有結合した反応中間体を形成させる工程;ならびに
    (c)該反応性単位のうちの少なくとも1種類と共存する該反応中間体を、該反応中間体に対して選択的反応性である遊離反応体と合わせ、それにより、該第1のオリゴヌクレオチドに連結された反応生成物を合成する工程であって、ここで、該遊離反応体は、(i)工程(a)もしくは(b)のいずれの間にも存在せず;かつ、(ii)工程(a)において提供される混合物からの該反応性単位のうちの少なくとも1種類に対してよりも該反応中間体に対しての方が反応性が高い、工程
    を包含する、方法。
  7. 反応生成物の合成方法であって、該方法は、
    (a)第1の反応性単位の集団と第2の反応性単位との混合物を、該第1の反応性単位のうちの少なくとも1種類と該第2の反応性単位との間での反応を誘導する条件下に提供し、それにより、未反応の第1の反応性単位の残りの集団と共存する反応中間体を形成させる工程;
    (b)該反応中間体に共有結合させた同定用配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程;
    (c)該第1の反応性単位と共存する該反応中間体を、該反応中間体と選択的に反応できる遊離反応体と合わせ、それにより、同定用配列に結合した反応生成物を合成する工程であって、該反応生成物は、該第1の反応性単位の集団と共存し、ここで、該遊離反応体は、(i)工程(a)もしくは(b)のいずれの間にも存在せず;かつ、(ii)該出発混合物中の該反応性単位のうちの少なくとも1種類に対してよりも該反応中間体に対しての方が反応性が高い、工程
    を包含する、方法。
  8. 前記同定用配列は、前記反応中間体を生成させる反応前および該反応中に前記第1の反応性単位のうちの少なくとも1種類に結合され、該反応中間体に連結された状態で維持されている、請求項7に記載の方法。
  9. 前記第2の反応性単位を、前記同定用配列に相補的な配列に連結させる、請求項8に記載の方法。
  10. 工程(a)が、前記同定用配列を該同定用配列に相補的な配列とハイブリダイズさせ、それにより、前記第1の反応性単位のうちの少なくとも1種類と前記第2の反応性単位とを反応的に近接させることを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 工程(b)が、前記反応中間体の形成後に、前記同定用配列を該反応中間体に酵素的に結合させることを含む、請求項7に記載の方法。
  12. 前記反応生成物が50%以上収率で合成される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記反応生成物が75%以上の収率で合成される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記反応生成物が85%以上の収率で合成される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記反応生成物が98%以上の収率で合成される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 核酸鋳型合成による反応生成物の合成方法であって、該方法は、
    (a)コドン配列を含む対応する異なる第1のオリゴヌクレオチドにそれぞれ結合させた複数の異なる第1の反応性単位を含む混合物を提供する工程であって、ここで、該オリゴヌクレオチド配列は、そこに結合された該第1の反応性単位を示す、工程;
    (b)少なくとも1種類の第1の反応性単位のコドン配列に相補的なアンチコドン配列を含む第2のオリゴヌクレオチドに結合させた第2の反応性単位を提供する工程;
    (c)該第1のオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1種類のコドン配列を、該第2のオリゴヌクレオチドのアンチコドン配列とアニーリングさせて、該第1の反応性単位と該第2の反応性単位との間での反応を誘導して、少なくとも第1のオリゴヌクレオチドに共有結合した第1の反応中間体を形成させる工程;ならびに
    (d)該反応性単位のうちの少なくとも1種類と共存する該第1の反応中間体を、該第1の反応中間体と選択的反応性である遊離反応体と合わせ、それにより、該第1のオリゴヌクレオチドに結合した第1の反応生成物を合成する工程であって、ここで、該遊離反応体は、(i)工程(a)もしくは(b)のいずれの間にも存在せず;かつ、(ii)該混合物からの該反応性単位のうちの少なくとも1種類に対してよりも該第1の反応中間体に対しての方が反応性が高い、工程
    を包含する、方法。
  17. (e)少なくとも1種類の第1の反応性単位のコドン配列に相補的なアンチコドン配列を含む第3のオリゴヌクレオチドに結合させた第3の反応性単位を提供する工程;
    (f)該第1のオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1種類のコドン配列を、前記第3のオリゴヌクレオチドのアンチコドン配列とアニーリングさせて、該第1の反応性単位と該第3の反応性単位との間での反応を誘導して、該第1のオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1種類に結合した第2の反応中間体を形成させる工程;ならびに
    (g)該第2の反応中間体を、該第2の反応中間体と選択的反応性である遊離反応体と合わせ、それにより、該第1のオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1種類に結合した第2の反応生成物を合成する工程であって、ここで、該遊離反応体は、該混合物中の該反応性単位のうちの少なくとも1種類に対してよりも該第2の反応中間体に対しての方が反応性が高い、工程
    をさらに含む、請求項16に記載の方法。
  18. 核酸鋳型合成をインビトロで行う方法であって、該方法は、
    (a)(i)コドン配列を規定する第1のオリゴヌクレオチドに共有結合させた第1の反応性単位をそれぞれ含む複数の異なる鋳型、および(ii)該鋳型のコドン配列に相補的なアンチコドン配列を規定する第2のオリゴヌクレオチドに共有結合させた第2の反応性単位を含む転移単位、を含む混合物を提供する工程;
    (b)1つの鋳型の該コドン配列と該転移単位のアンチコドン配列とをアニーリングさせて、該第1の反応性単位と該第2の反応性単位とが互いに反応して反応中間体が生成されるように該第1の反応性単位と該第2の反応性単位とを反応的に近接させる工程;ならびに
    (c)未反応の鋳型と共存させながら、該反応中間体を、該反応中間体と化学的に反応して反応生成物を生成させる遊離反応体と接触させる工程であって、ここで、該遊離反応体は、(i)工程(a)もしくは(b)のいずれの間にも存在せず;かつ、(ii)出発混合物中の該反応性単位のうちの少なくとも1種類に対してよりも該反応中間体に対しての方が反応性が高く、そしてここで、該第1のオリゴヌクレオチドは、該反応生成物に連結された状態で維持されている、工程
    を包含する、方法。
  19. 前記第1の反応性単位が低分子骨格である、請求項18に記載の方法。
  20. 工程(b)において、前記第1の反応性単位の官能基が、前記反応中間体内の異なる化学的部分に変換される、請求項18に記載の方法。
  21. 前記低分子骨格が保護された官能基を含有している、請求項19に記載の方法。
  22. 工程(b)において、前記官能基を脱保護して反応中間体を生成させ、ここで、前記低分子骨格が、脱保護された官能基を含有している、請求項21に記載の方法。
  23. 前記反応生成物が
    (a)核酸でないか、または
    (b)ヌクレオチドもしくはヌクレオチド類似体のいずれでもないか、または
    (c)ヌクレオチド類似体ではない、
    請求項19に記載の方法。
  24. 工程(b)において、リボソームの補助なしで、前記第1の反応性単位と前記第2の反応性単位とが互いに反応して前記反応中間体を生成させる、請求項18に記載の方法。
  25. 前記第1のオリゴヌクレオチドに結合した反応生成物を選択する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
  26. 前記第1のオリゴヌクレオチドを増幅させる工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記反応生成物の正体または合成履歴を決定するために、前記反応生成物に結合した第1のオリゴヌクレオチドの配列を決定するさらなる工程を含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記遊離反応体が、出発混合物中の前記反応性単位の全てまたは少なくとも1種類に対してよりも前記反応中間体に対しての方が少なくとも5倍反応性が高い、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記遊離反応体が、出発混合物中の前記反応性単位の全てまたは少なくとも1種類に対してよりも前記反応中間体に対しての方が少なくとも50倍反応性が高い、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記遊離反応体が、出発混合物中の前記反応性単位の全てまたは少なくとも1種類に対してよりも前記反応中間体に対しての方が少なくとも1000倍反応性が高い、請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
JP2007552363A 2005-01-21 2006-01-20 核酸鋳型合成において使用される遊離反応体 Active JP4969459B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US64658405P 2005-01-21 2005-01-21
US60/646,584 2005-01-21
PCT/US2006/002420 WO2006079061A2 (en) 2005-01-21 2006-01-20 Free reactant use in nucleic acid-templated synthesis

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2008528000A JP2008528000A (ja) 2008-07-31
JP2008528000A5 JP2008528000A5 (ja) 2009-03-26
JP4969459B2 true JP4969459B2 (ja) 2012-07-04

Family

ID=36604194

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007552363A Active JP4969459B2 (ja) 2005-01-21 2006-01-20 核酸鋳型合成において使用される遊離反応体

Country Status (7)

Country Link
EP (1) EP1856256B1 (ja)
JP (1) JP4969459B2 (ja)
CN (1) CN101107357B (ja)
AU (1) AU2006206219B2 (ja)
CA (1) CA2595590C (ja)
DE (1) DE602006007819D1 (ja)
WO (1) WO2006079061A2 (ja)

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1401850A1 (en) 2001-06-20 2004-03-31 Nuevolution A/S Nucleoside derivatives for library preparation
IL163822A0 (en) 2002-03-15 2005-12-18 Nuevolution As An improved method for synthesising templated molecules
WO2004013070A2 (en) 2002-08-01 2004-02-12 Nuevolution A/S Multi-step synthesis of templated molecules
WO2004039825A2 (en) 2002-10-30 2004-05-13 Nuevolution A/S Method for the synthesis of a bifunctional complex
AU2003291964A1 (en) 2002-12-19 2004-07-14 Nuevolution A/S Quasirandom structure and function guided synthesis methods
WO2004074429A2 (en) 2003-02-21 2004-09-02 Nuevolution A/S Method for producing second-generation library
US8017323B2 (en) 2003-03-26 2011-09-13 President And Fellows Of Harvard College Free reactant use in nucleic acid-templated synthesis
EP1670939B1 (en) 2003-09-18 2009-11-04 Nuevolution A/S A method for obtaining structural information concerning an encoded molecule and method for selecting compounds
LT2336315T (lt) 2005-12-01 2017-11-10 Nuevolution A/S Fermentiniai kodavimo būdai, skirti efektyviai didelių bibliotekų sintezei
WO2010094036A1 (en) 2009-02-13 2010-08-19 X-Chem, Inc. Methods of creating and screening dna-encoded libraries
SI2558577T1 (sl) 2010-04-16 2019-05-31 Nuevolution A/S Bifunkcionalni kompleksi in metode za pripravo in uporabo takšnih kompleksov
DK2748357T3 (en) * 2011-09-07 2018-07-16 X Chem Inc Methods for labeling DNA-encoded libraries
CA2879018A1 (en) 2012-07-13 2014-01-16 X-Chem, Inc. Dna-encoded libraries having encoding oligonucleotide linkages not readable by polymerases
US11186836B2 (en) 2016-06-16 2021-11-30 Haystack Sciences Corporation Oligonucleotide directed and recorded combinatorial synthesis of encoded probe molecules
US11795580B2 (en) 2017-05-02 2023-10-24 Haystack Sciences Corporation Molecules for verifying oligonucleotide directed combinatorial synthesis and methods of making and using the same
WO2024073349A2 (en) * 2022-09-26 2024-04-04 Ansa Biotechnologies, Inc. Cleavable linkers for the tethering of polymerases to nucleotides

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5573905A (en) * 1992-03-30 1996-11-12 The Scripps Research Institute Encoded combinatorial chemical libraries
US7479472B1 (en) * 1998-10-19 2009-01-20 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University DNA-templated combinatorial library chemistry
EP1905829B1 (en) * 2001-06-20 2016-02-17 Nuevolution A/S Templated molecules and methods for using such molecules
WO2004013070A2 (en) * 2002-08-01 2004-02-12 Nuevolution A/S Multi-step synthesis of templated molecules
CA2495881C (en) * 2002-08-19 2014-07-08 The President And Fellows Of Harvard College Evolving new molecular function

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008528000A (ja) 2008-07-31
WO2006079061A3 (en) 2006-09-28
CA2595590C (en) 2015-04-21
CA2595590A1 (en) 2006-07-27
EP1856256B1 (en) 2009-07-15
EP1856256A2 (en) 2007-11-21
AU2006206219B2 (en) 2012-07-26
WO2006079061A2 (en) 2006-07-27
DE602006007819D1 (de) 2009-08-27
CN101107357B (zh) 2013-01-02
AU2006206219A1 (en) 2006-07-27
CN101107357A (zh) 2008-01-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4969459B2 (ja) 核酸鋳型合成において使用される遊離反応体
US8017323B2 (en) Free reactant use in nucleic acid-templated synthesis
EP1899465B1 (en) Iterated branching reaction pathways via nucleic acid-mediated chemistry
EP1540013B1 (en) Evolving new molecular function
KR101411361B1 (ko) 구조적 핵산에 의해 가이드되는 화학적 합성
JP5508711B2 (ja) コードされたライブラリーの合成のための方法
US20090035824A1 (en) Nucleic acid-templated chemistry in organic solvents
ZA200502624B (en) Method for the synthesis of a bifunctional complex.

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090115

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110809

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20111108

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20111115

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20111206

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20111213

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120209

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20120209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120309

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120403

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150413

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250