JP4960416B2 - 話者クラスタリング装置および話者クラスタリング方法 - Google Patents
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Description
このようなクラスタリング技術として、例えば、入力された音声から抽出された特徴パターンを共通符号に変換した後、各音声区間における各符号の出現確率をクラスタ分析することにより、同一話者の判定を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
出現確率をクラスタ分析する際は、クラスタの指標となる出現確率ベクトル間の距離を算出しなければならない。このベクトル間の距離の計算には、一般的に、KL距離(カルバック・ライブラー情報量)やユークリッド距離が用いられる(例えば、非特許文献1参照)。特に、音声信号中の発話間の距離を測るには、各発話の発話特性を示すガウス分布を推定し、該ガウス分布間のKL距離が用いられることが一般的である(例えば、非特許文献2参照)。
また、特許文献1や非特許文献2のように、発話をガウス分布ではなく、ベクトル量子化の符号出現頻度ベクトルで表した場合にKL距離を用いると、出現頻度が0回の部分で数値的な異常(0の対数)が生じるため発見法的な対処が必要になり、対数は0近傍で大きな値の変化をするため、正確な処理は本質的な困難があると考えられる。
コサイン距離による類似度は、符号の出現頻度の分布をベクトルとして、出現頻度ベクトルの間の角度に依存する。また、コサイン距離は、発話間に出現した符号の頻度だけに依存するため、一方の発話で出現頻度が0(ゼロ)の符号が存在した場合に、コサイン距離算出のための分子の和には寄与しない。このため、発話が短い場合の発話間の音韻の出現頻度の偏りが生じる場合に、コサイン距離で算出した類似度を用いてクラスタリングすることにより、発話の話者性を反映し、発話の長さや発話間の音韻の出現頻度の偏りに影響を受けない話者クラスタリングを実現することができる。
また、発話間のコサイン距離の算出において、一方の発話の出現頻度ベクトルがゼロである場合は類似度もゼロとなり、発見法的な処理を行う必要がない。したがって、演算量を大幅に低減させることができるとともに、発話データに特別な処理を施さないことから、より精度の高い話者クラスタリングを行うことができる。
これによれば、該発話の特徴を正確に捉えることができるため、より精度の高い話者クラスタリングを行うことができる。
特に、本発明において、発話における符号の出現回数と、発話における時系列的な変化量の符号の出現回数とを成分として生成された出現頻度ベクトルは、発話の特徴をより正確に表現することができる。その結果より精度の高い話者クラスタリングを行うことができる。
これにより、発話間の類似度が明らかに小さい場合は類似度を0とすることができるので、前述した固有値差分による話者数推定の精度を向上させることができる。
演算量を大幅に低減させることができる。
これにより、発話間の類似度が明らかに小さい場合は類似度を0とすることができるので、前述した固有値差分による話者数推定の精度を向上させることができる。
コサイン距離による類似度は、符号の出現頻度の分布をベクトルとして、出現頻度ベクトルの間の角度に依存する。また、コサイン距離は、発話間に出現した符号の頻度だけに依存するため、一方の発話で出現頻度が0(ゼロ)の符号が存在した場合に、コサイン距離算出のための分子の和には寄与しない。このため、発話が短い場合の発話間の音韻の出現頻度の偏りが生じる場合に、コサイン距離で算出した類似度を用いてクラスタリングすることにより、発話の話者性を反映し、発話の長さや発話間の音韻の出現頻度の偏りに影響を受けない話者クラスタリングを実現することができる。
また、発話間のコサイン距離の算出において、一方の発話の出現頻度ベクトルがゼロである場合は類似度もゼロとなり、発見法的な処理を行う必要がない。したがって、演算量を大幅に低減させることができるとともに、発話データに特別な処理を施さないことから、より精度の高い話者クラスタリングを行うことができる。
〔1.第1実施形態〕
[1−1.話者クラスタリング装置の構成]
話者クラスタリング装置100は、図1に示すように、音声信号取得手段10と、発話区分手段20と、ベクトル量子化手段30と、出現頻度生成手段40と、類似度算出手段50と、クラスタリング手段60と、話者数判定手段70と、を備えている。また、図示しないが、話者クラスタリング装置100は、音声信号を入力可能な入力手段を備えている。
発話区分手段20は、入力された音声信号を発話ごとに区分する。具体的には、音声信号中の音声が発生していない部分で区切ることができる。
特徴ベクトル時系列変換部31は、音声信号を一定時間ごとにサンプリングし、各サンプルにおける、例えば、メルケプストラムなどの音声の特徴量(特徴ベクトル)を抽出し、時系列に出力する。すなわち、特徴ベクトルを時系列に生成する。
特徴ベクトルクラスタリング部32は、特徴ベクトルに基づいて各サンプルを特徴空間に並べ、特徴空間におけるサンプルの集合ごとにクラスタリングし、生成された各クラスタに識別可能な番号を付与する。
符号列生成部33は、各クラスタに付与された番号を符合として用い、音声信号を時系列の符号(以下、符号列と表記する。)に変換する。
類似度算出手段50は、各発話の出現頻度ベクトルを用いて、発話間のコサイン距離を算出し、このコサイン距離を発話間の類似度とする。
ここで、スペクトラルクラスタリングについて説明する。
クラスタリング対象のデータ集合をC={i|i=1、…、N}、データiとjとの類似度wij≧0としたときのデータ集合Cのクラスタへの分割を以下の式(1)で表すとする。
また、クラスタ内の平均類似度SWを以下の式(2)で表し、クラスタ間の平均類似度SBを以下の式(3)で表す。
次に、話者クラスタリング装置100の具体的な動作を図2のフローチャートに従って説明する。
まず、音声信号取得手段10は、図示しない入力手段によって入力された音声信号Aを取得する(ステップ1、以下ステップを「S」と略す)。
次に、発話区分手段20は、図3に示すように、入力された音声信号Aを、発話a1、a2、a3 …aNに分割する(S2)。ここで、Nは発話数である。
次に、符号列生成部33は、図5に示すように、各クラスタに付与された番号を符号として用い、該符号を時系列に並べた符号列を生成する(S5)。
以上のS3〜S5の処理により、音声信号が符号に変換され、ベクトル量子化が完成する。
発話aiと発話ajとの類似度wij (0)は、以下の式(4)で算出することができる。なお、本実施形態では、類似度wij (0)に対して後処理を行い、最終的な類似度wijを算出するため、調整前類似度wij (0)とする。
類似度wij (0)が最大類似度wi *のε倍より小さいということは、類似度が明らかに小さいということである。したがって、明らかに類似度が小さい場合に類似度を0と近似することにより、後述のクラスタリングにおいて演算量を低減させることができる。
算出された発話間の類似度は、図7に示すようなマトリックス状に表現することができる。図7において、発話a1と発話a3との類似度が「150」と高く、発話a1と発話a2との類似度は「0」で類似していないということが言える。
まず、S7で算出された類似度wijを要素とする類似度行列Wから、ラプラシアン行列(N次正方行列)Lを以下の式(7)により算出する。
ラプラシアン行列LのQ個の固有ベクトルviqを以下の式(8)で表す。
式(9)に示すyiqを要素とする行列YのN個の行ベクトルを、以下の式(10)で表されるk−meansクラスタリングにより、Q個のクラスタに分割する。
このようにして得られたQ個のクラスタには、特徴が類似する発話がそれぞれ分類され、1つのクラスタに属する発話は同一話者による発話であると判定することができる。
以上の処理終了後、話者クラスタリング装置100は、入力された音声信号中の話者の同定結果および話者数を図示しない出力手段に出力した後、動作を終了する。
上述した第1実施形態では、以下に示す作用効果を奏することができる。
ベクトル量子化手段30により音声信号を符号に変換し(量子化)、出現頻度生成手段40はこの符号に基づいて各符号を成分とする出現頻度ベクトルを発話ごとに生成する。類似度算出手段50は、該出現頻度ベクトルを用いてコサイン距離を算出し、該コサイン距離を類似度とする。
特性の異なる発話の類似度を求める場合、出現頻度ベクトルからKL距離を用いて類似度を求める際は、一方の発話の出現頻度ベクトル中の成分値がゼロの箇所を他の値に変えるなどの処理が必要であり、そのために精度が落ちるという問題があったが、本実施形態では、コサイン距離を用いて類似度を求めるため、一方の発話の出現頻度ベクトル中の成分が0(ゼロ)である場合には類似度への寄与もゼロになり(上記式(1)参照)、特別な処理を行う必要がない。したがって、より精度の高い話者クラスタリングを行うことができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、出現頻度生成手段の動作が前記第1実施形態の出現頻度生成手段40と相違する。なお、前記第1実施形態と同一の構成および動作については説明を省略する。
出現頻度生成手段は、符号列中の各符号の出現回数に重み付けを行い、この重み付けされた出現回数を成分とする出現頻度ベクトルを発話ごとに生成する。
具体的な重み付けの方法としては、TF/IDF(Term Frequency Inverse/Document Frequency)法が用いられる。具体的には、各発話における符号の出現回数を、当該符号と同一の符号が出現する発話の数の逆数で重み付けする。このように、発話ごとに各符号の出現回数が重み付けされ、出現頻度生成手段は、この重み付けされた出現回数を成分とする出現頻度ベクトルを生成する。
このようにして生成された出現頻度ベクトルを用いて、第1実施形態と同様に、類似度算出手段50は類似度を算出する。
各発話における各符号の出現回数に対してTF/IDF法による重み付けを行う。本実施形態においては、発話の特徴である符号が、他の発話に出現しない程、重み付けされるようになる。すなわち、どの発話にも出現するような特徴(符号)は、該発話中の特徴とされるものではなく、他の発話に出現しない特徴(符号)に対して、重み付けを行う。
したがって、符号に変換された音声信号の特徴をより正確に抽出でき、より精度の高い話者クラスタリングを行うことができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、出現頻度生成手段において出現頻度ベクトルの成分が前記第1実施形態の出現頻度生成手段40と相違する。なお、前記第1実施形態と同一の構成については説明を省略する。
第3実施形態の出現頻度生成手段による具体的な方法を図8および図9を用いて説明する。
図8に示すように、音声信号から変換された符号列において、連続する2つの符号を1単位とした、単位符号u1、u2、u3、…という符号列が存在する。このとき、同一の符号の組み合わせが存在する場合は、同一の単位符号とみなす。例えば、図8において、符号列の最初の単位符号u1の符号の組み合わせは「5,9」である。したがって、該符号列における「5,9」の符号の並びは全て単位符号u1とする。
このようにして生成された出現頻度ベクトルを用いて、第1実施形態と同様に、類似度算出手段50は類似度を算出する。
出現頻度生成手段は、音声信号から変換された符号における連続する符号の組み合わせを成分とする出現頻度ベクトルを生成する。連続する符号の組み合わせはその発話における特徴を表すものであり、単一の符号よりも発話の特性を特徴的に表す。また、同一の符号の組み合わせは同一の特徴であると判定することができる。したがって、連続する符号の組み合わせの出現回数を成分とする出現頻度ベクトルを用いることで、発話の特徴をより正確に抽出することができ、精度の高い類似度を算出することができる。その結果、より精度の高い話者クラスタリングを行うことができる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態では、変化量ベクトル量子化手段をさらに備え、この変化量を出現頻度ベクトルの成分として用いる点が、第1実施形態と相違する。なお、前記第1実施形態と同一の構成については説明を省略する。
図10に示すように、話者クラスタリング装置101は、音声信号取得手段10と、発話区分手段20と、ベクトル量子化手段30と、変化量ベクトル量子化手段80と、出現頻度生成手段41と、類似度算出手段50と、クラスタリング手段60と、話者数判定手段70と、を備えている。
このようにして生成された出現頻度ベクトルを用いて、第1実施形態と同様に、類似度算出手段50は類似度を算出する。
音声信号の時系列的な変化量は発話の特徴を表すものであるので、発話における同一の変化量は同一の特徴であると判定することができる。第4実施形態では、符号列中の各符号の出現回数のほかにも変化量の出現回数を成分とする出現頻度ベクトルを生成するので、発話の特徴をより正確に抽出することができ、精度の高い類似度を算出することができる。その結果、より精度の高い話者クラスタリングを行うことができる。
なお、本発明は前記各実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上記実施形態において、類似度wijを算出するために、上記式(4)により調整前類似度wij (0)を算出し、この調整前類似度wij (0)に対して上記式(5)に示す調整を行い、最終的な類似度wijを算出することとしたが、上記式(4)により算出された調整類似度wij (0)をそのまま類似度wijとして用いてもよい。これによれば、類似度がより正確となるので、より精度の高い話者クラスタリングを行うことができる。
20…発話区分手段
30…ベクトル量子化手段
40、41…出現頻度生成手段
50…類似度算出手段
60…クラスタリング手段
70…話者数判定手段
80…変化量ベクトル量子化手段
100…話者クラスタリング装置
Claims (6)
- 入力された音声信号中の同一話者の発話を同定する話者クラスタリング装置であって、
ベクトル量子化を用いて前記音声信号を符号に変換するベクトル量子化手段と、
ベクトル量子化を用いて前記音声信号の時系列的な変化量を符号に変換する変化量ベクトル量子化手段と、
前記変換された符号中の各発話に対して、前記音声信号の符号の出現回数と、前記変化量の符号の出現回数とを成分とする出現頻度ベクトルを生成する出現頻度生成手段と、
前記出現頻度ベクトルに基づいて前記発話間のコサイン距離をそれぞれ算出し、該コサイン距離を発話間の類似度として求める類似度算出手段と、
前記発話間の類似度に基づいて前記発話を分類するクラスタリング手段と、を備え、
前記出現頻度生成手段は、前記各発話中の連続する符号の組み合わせによる符号列の出現回数を成分とした出現頻度ベクトルを生成し、前記出現頻度ベクトルに対して、前記各発話内における前記符号の出現回数を、当該符号と同一の符号が出現する前記発話の数の逆数で重み付けする
ことを特徴とする話者クラスタリング装置。 - 請求項1に記載の話者クラスタリング装置において、
前記クラスタリング手段は、
前記算出したコサイン距離による発話間の類似度を用いてスペクトラルクラスタリングを行うことを特徴とする話者クラスタリング装置。 - 請求項1または請求項2に記載の話者クラスタリング装置において、
前記類似度算出手段により得られる各発話間の前記類似度を要素とする類似度行列から得られる正方行列の固有値を算出し、連続する固有値間の差分が最大値をとる固有値に基づいて、前記音声信号中の話者数を決定する話者数判定手段をさらに備えた
ことを特徴とする話者クラスタリング装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の話者クラスタリング装置において、
前記類似度算出手段は、
前記算出した各発話間の類似度のうちの最大値にあらかじめ定められた係数を乗じて算出した閾値を下回る類似度を0として前記類似度を求めることを特徴とする話者クラスタリング装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の話者クラスタリング装置において、
前記類似度算出手段は、
前記算出した各発話間の類似度のうち、類似度が大きい上位所定数以外の類似度を0として前記類似度を求めることを特徴とする話者クラスタリング装置。 - 入力された音声信号中の同一話者の発話を同定する話者クラスタリング方法であって、
ベクトル量子化を用いて前記音声信号を符号に変換するベクトル量子化ステップと、
ベクトル量子化を用いて前記音声信号の時系列的な変化量を符号に変換する変化量ベクトル量子化ステップと、
前記変換された符号中の各発話に対して、前記音声信号の符号の出現回数と、前記変化量の符号の出現回数とを成分とする出現頻度ベクトルを生成する出現頻度生成ステップと、
前記出現頻度ベクトルに基づいて前記発話間の類似度を求める類似度算出ステップと、
前記発話間の類似度に基づいて前記発話を分類するクラスタリングステップと、を備え、
前記出現頻度生成ステップは、前記各発話中の連続する符号の組み合わせによる符号列の出現回数を成分とした出現頻度ベクトルを生成し、前記出現頻度ベクトルに対して、前記各発話内における前記符号の出現回数を、当該符号と同一の符号が出現する前記発話の数の逆数で重み付けする
ことを特徴とする話者クラスタリング方法。
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