図1は骨と組織との界面の概略図を表している。組織Tは一つの切り取り末端を有し、且つ、その切り取り末端を骨Bの一部分に固定することが望まれている。最初の工程で、図のように直径dHを有する穴Hが骨Bに、一般的に公知の骨穿孔技術を用いることによってあけられ得る。
骨アンカー部材20が、組織Tを骨Bに固定し得る。骨アンカー部材20は、ある長さの縫合糸30と連結した状態で用いられても良い。縫合糸30は、第一末端32a及び第二末端32bを有する。末端32a,32bは、骨アンカー部材20に連結されても良い。縫合糸30の中央部分は輪34を形成する。輪34は、一般的に公知のスレッド技術を用いることによって組織の切り取り末端に近い組織Tの一部を縫うように進められる。ここに記載の実施形態において、組織、穴、及び骨は、図1に記載のように各々T、H、及びBと参照される。
図2Aは、骨アンカーの一実施形態の斜視前面図である。図2Bは、線A−Aに沿った骨アンカーの斜視側面図である。図2Cは、図2Aに記載の接合アンカーの断面図である。骨アンカー部材20は、図2Aに記載のように近位部22及び遠位部24を有する。骨アンカー部材20は、複数の滑り止め部材42を含む。滑り止め部材42は、骨アンカー部材20の該表面上に、形成されても又は取り付けられても良い。滑り止め部材42は、骨アンカー部材20を骨の穴内部に固定し得る。幾つかの実施形態において、骨アンカー部材20は放射状に拡張可能な部材を含んでも良い。放射状に拡張可能な部材は、骨アンカー部材を骨に固定するために、骨内にはめ込まれ得る。幾つかの実施形態において、骨アンカー部材20は、ねじ込み外側部材を含んでも良い。ねじ込み外側部品は、骨アンカー部材を骨に固定するために、取り囲んでいる骨内にねじ込まれても良い。
図2B〜2Cを参照すると、骨アンカー部材20は、第一ガイド溝50及び第二ガイド溝52を含んでいる。ガイド溝50、52は、骨アンカー部材20の反対側の表面内に形成される。ガイド溝50、52は、縫合糸30の部分を収容するように構成され、それによって縫合糸部分は、使用時にガイド溝の制限の外へは延びない。
骨アンカー部材20は、第一通路60及び第二通路70を含んでいる。通路60、70は図2Cに図示されたように、骨アンカー部材20の本体を通って横方向に延びる。通路60は、開口部61を介して第一ガイド溝50に通じ、更に開口部62を介してガイド溝52に通じている。同様に、通路70は、開口部71を介してガイド溝50に通じ、更に開口部72を介してガイド溝52に通じている。
通路60は第二通路70に近接して配置されるように示されている、つまり通路60は骨アンカー部材20の近位部22により近づいている。しかしながら、当業者にとって明らかであろうように、通路は互いに近接して配置されても良いし、又は本発明の課題を解決するように他の配置であっても良い。
通路60、70は、少なくとも一つの滑り止め部材74を含む。滑り止め部材74は傾き部75と実質的な直角部76とを含む。複数の直角部76は、互いに隣り合って配置され、それによって図2Cに示されたような滑り止め形状を形成している。傾き部75は図2Cに示されるように、通路60の開口部62ならびに通路70の開口部72に向かって、ある角度に置かれている。幾つかの実施形態において、滑り止め通路60、70は、第一縫合糸末端32a及び第二縫合糸末端32bの一方方向の移動を可能とするように構成される。例えば縫合糸末端32aが近位方向(基部方向:proximal direction)に引っ張られる場合に、傾き部75は近位方向への縫合糸末端移動を可能にする一方で、通路60内で縫合糸末端32aの遠位方向への進行を阻止する。
ある実施形態において、縫合糸30の外径は、滑り止め通路60及び70の内径よりも僅かに大きくても良い。したがって縫合糸末端32a及び32bは、近位方向へは比較的殆んど抵抗無く滑り止め通路60及び70を通り抜けることができるが、一方で縫合糸は遠位方向へは著しく大きな力を持つ。
一実施形態、つまり組織Tと骨アンカー部材20との間に縫合糸30を固定するための方法において、縫合糸30の中央部分は、自由末端32a及び32bが組織から延びるように、最初に組織Tを通って輪にすることができる。自由末端32aは次に、近位方向へ一方方向の滑り止め通路60を通って進み、一方で自由末端32bも近位方向へ一方方向の滑り止め通路70を通って進む。
当業者にとって明らかであろうように、縫合糸が図2Cに記載されるように最終的に配置されるならば、縫合糸30は他のスレッド技術を用いて組織Tと骨アンカー部材20との間に固定されても良い。
縫合糸30の第一末端32aが第一通路60を通って配置され、次に輪部34aへ移行する。輪部34aは輪部34bへ移行し、それとの間に組織Tと結合される輪34を形成する。輪部34bは、図2Cに示されるように通路70を通って配置される第二末端32bへ移行する。したがって縫合糸30の第一及び第二末端32a,32bは、上記目的のために独立して操作され得る。
縫合糸30が骨アンカー部材20及び組織に結合された後、骨アンカー部材20は、関節鏡誘導下で、骨の穴内へ遠位に進められる。骨アンカー部材20の外側滑り止め部材42は、適切な力が負荷される場合に骨の穴の内側に遠位に進むことが可能であるが、しかしながら外側滑り止め部材42は、骨内に安定したアンカーをもたらすために骨アンカー部材20の近位方向への移動を阻害する。
縫合糸末端32a及び32bのうちの一つ又は両方を滑り止め通路60及び70を介して近位方向に引っ張ることによって、骨に対する組織の位置を最適化できる。二つの分離した通路の利用によって、組織が不規則に切り取られた場合にしばしば必要とされる、外科医が縫合糸の各末端を独立して伸張することが可能となる。
また、複数の滑り止め通路60,70の使用によって、第一及び第二縫合糸末端32a,32bの漸進的伸張が可能となる。このことは、ガイドとして触覚フィードバックを用いることによって組織の位置あわせの際の漸進的調整を可能とする。一旦所望の伸張が成し遂げられると、縫合糸末端の収縮が止まり、縫合糸は自動的に所定の位置に固着される。このようにして結節を結ぶ必要がなくなる。
幾つかの実施形態において、骨アンカー部材20が骨アンカー部材と骨自体との間に間隔(解除部)を設けることによって骨の穴内部に固定される場合、ガイド溝50及び52によって縫合糸末端32a,32bの収縮が可能となる。
代替として縫合糸30は、図3A〜3E又は図6〜8に関して以下に記載の技術を用いることによって骨アンカー部材20に結合されても良い。これらの技術によって、自由末端32a及び32bを通路60及び70を通って進める必要なく、骨アンカー部材20に縫合糸を固定することが可能となる。
図3A〜3Eは骨アンカー20'の更なる実施形態を表している。骨アンカー20'は一つの第一接合部22a及び一つの第二接合部22bを含んでいる。幾つかの実施形態において、接合部22a,22bは以下の注記を除いて基本的に対称である。
図3Bをみると、接合部22aは滑り止め通路部60a及び滑り止め通路部70aを含んでいる。接合部22bは滑り止め通路部60b及び滑り止め通路部70bを含んでいる。図3Aに記載のような状態に組み立てられる場合、滑り止め通路部60aと滑り止め通路部60bとは滑り止め通路60'を形成し、他方で滑り止め通路部70aと滑り止め通路部70bとは滑り止め通路70'を形成する。
接合部22aのガイド溝部50aと接合部22bのガイド溝(部)50bとは、図3A及び3Cに記載のような組立状態のガイド溝50'を形成する。接合部22aのガイド溝部52aと接合部52bのガイド溝部52bとは、図3Dに記載のような組立状態のガイド溝52'を形成する。
図3Eに記載のように、接合部22aは少なくとも一つの接合ポケット59を含んでいる。接合部22bは、図3A及び3Cの組立状態における対応しているポケット59と安定に係合するように構成された、少なくとも一つの突起55を含んでいる。
好ましい実施形態において突起55は、図3Dの「B」に詳細に示されているように、レッジ57を含んでいる。任意に接合ポケット59は、レッジ57を受けるように構成された、僅かに大きな直径(図示せず)を有する一つの補足的な凹部を含んでも良い。このようにして突起55のレッジ57は、ポケット59の、より大きな直径凹部ちスナップ係合しても良く、それによって接合部22a,22bを固定する。
使用中、第一縫合糸末端は図3Eの滑り止め通路部60a内に配置されても良く、第二縫合糸末端は図3Eの滑り止め通路部70a内に配置されても良い。次に、接合部22bは接合部22aに固定される(例えば上記突起55とポケット59との間のスナップロック係合を用いて)。
第一及び第二縫合糸末端は、滑り止め通路60,70を通って配置される。図3A〜3Eに記載の骨アンカーを用いることによって、縫合糸末端を滑り止め通路60及び70を通って進めることは必要ではなくなる、それによってスピードが増し且つ装置の使用が容易になる。
骨アンカー100の代替の実施形態が図4A〜4Cに記載されている。図4Aは骨アンカー部材及び一つの差込部を含む骨アンカーの一実施形態の断面図である。図4Bは図4Aに記載の差込部の側面図である。図4Cは図4Aに記載の差込部の、反対側の側面図である。
図4Aをみると、骨アンカー100は骨アンカー部材102及び差込部110を含んでいる。骨アンカー部材102は、その中に配置された穿孔104を有する本体103を含んでいる。本体103は、その外側表面上に配置された滑り止め部材106を含んでも良い。滑り止め部材106の形状及び寸法は、図4Aに記載されたものに制限されない。例えば、滑り止め部材106は、骨アンカー部材20の滑り止め部材42と基本的に類似に形成されても良い。滑り止め部材106は、摩擦力密着を用いて骨の穴内へ挿入するように構成される。
使用中、骨アンカー部材102が穴内に固定された後、差込部110は骨アンカー部材102の穿孔104内へ挿入されても良い。差込部110は、その外表面上に滑り止め部材116を含んでも良い。滑り止め部材116は、穿孔104内への差込部の前進を可能にし、且つ、差込部110が内壁105と係合及び摩擦的把持することを可能にする、それによって差込部100を骨アンカー部材102へ固定する。
図4B及び4Cをみると、差込部110は第一及び第二通路118及び120を含んでいる。第一及び第二縫合糸末端32a及び32bは、図2Cに記載されたものと同様に、装置100の差込部110と結合されても良い。縫合糸30の第一末端32aは第一通路118を通って配置される。第一通路118を通って出た後、第一末端32aは次に輪部34aへ移行し、輪34を形成し、及び輪部34bへ移行する(例えば図2A〜2Cに示されたように)。輪部34bは、第二通路120を通って延びる第二末端32bへ移行する。
代替として縫合糸30は、図6〜8に関して以下に記載される技術を用いて差込部110と結合されても良い。これら技術は、以下に説明されるように、通路118及び120を通って自由末端32a及び32bを進める必要なく、縫合糸30を差込部110と結合することを可能にする。
必要に応じて、図4A〜4Cの通路118及び120は、図2Cに関して上述したように滑り止め部材74を含んでも良い。滑り止め部材74が使われる場合、次に組織が、上記のように縫合糸30の第一及び第二末端32a,32bを個々に伸張することによって骨に固定されても良い(例えば図1参照)。
差込部110は、好ましくは差込本体113の横側表面(側面)に配置された一つかそれ以上のガイド溝125を含む。ガイド溝125は、好ましくは図2Cのガイド溝50及び52と基本的に類似である。図4Cにおいて、差込部と骨アンカー部材との間に間隔を設けることによって穿孔104内に差込部110が固定される場合、ガイド溝125は、第一及び第二縫合糸末端32a及び32bの収縮が可能となるように構成される。
代替として通路118及び120は、滑り止め部材74が使用されないような基本的に滑らかな通路であっても良い。この場合、通路118及び120は、通路を通る縫合糸30の動きを基本的に阻止しない。操作において、縫合糸末端32a及び32bは、差込部110を骨アンカー部材102内へ挿入する前に個々に伸張されても良い。組織が骨に適切に固定された場合、差込部110は次に骨アンカー部材102の穿孔104へ押し込まれる。このことによって、ガイド溝125が存在しない場合に、末端32a及び32bが差込部110と骨アンカー部材102との間に挟まれ得る。これによって、縫合糸は力密着を用いることによって二つの部品間に固定される。
図5A〜5Cは骨アンカー装置の更なる実施形態を表している。骨アンカー140は、図5Aに記載のように、骨アンカー部材142及び差込部150を含んでも良い。図5Bは図5Aに記載の差込部の側面図である。図5Cは、図5Aに記載の差込部の、反対側の側面の側面図である。
図5Aを参照すると、装置140は骨アンカー部材142及び差込部150を含んでいる。骨アンカー部材142は、その中に配置された穿孔144を有した本体143を含んでいる。本体143は、外側滑り止め部材146及び穿孔144の内表面上に配置された内側滑り止め部材145を含んでも良い。外側滑り止め部材146は、上記実施形態において記載されたように、力密着を用いることによって骨の穴内へ挿入するように(例えば図1参照)構成される。
差込部150は本体153を含んでいる。一実施形態において、本体153は基本的に円柱形であっても良い。一実施形態において、本体153の外表面156は、基本的に滑らかであっても良い。本体153はその遠心端においてテーパ部157を含んでも良い。
第一及び第二末端32a,32bを有する縫合糸30は、差込部150と結合される。結合方法は図6〜8に関連して以下に記載される。
操作に於いて、骨アンカー部材142は骨の穴(例えば図1参照)内へ進められる。骨アンカー部材142の外側滑り止め部材146によって、穴内への、骨アンカー部材の一方方向の動きが可能となる。
差込部150は、骨アンカー部材142の穿孔144内へ挿入され得る。差込部150の外表面156の外径は、穿孔144の内径よりも僅かに大きくても良い。それによって、差込部150が遠位に動かされた場合、骨アンカー部材142の穿孔内に差込部150を固定するように力密着が実行される。
差込部150のテーパ部157は、骨アンカー部材142に関して差込部の遠位の前進を容易にする。内側滑り止め部材145は、穿孔144内へ遠位方向にのみ差込部110の前進が可能となるように構成される。
第一及び第二縫合糸末端32a及び32bは、図4A〜4Cに関する上記記載のようにして差込部150に結合されても良い。特に、縫合糸30の第一末端32aは、第一通路158を通って配置され、且つ組織を通って進められる一つの輪を形成する。縫合糸30の第二末端32bは、第二通路160を通って延びる。
第一及び第二通路158,160は、滑り止め部材74(図2C参照)を含んでも良い。滑り止め部材74が配置される場合は、次に組織は、縫合糸30の第一及び第二末端32a,32bを個々に伸張することによって骨に固定され得る。滑り止め部材74は、各縫合糸末端の増強伸張を可能にし、且つ、概ね図2Cに関する上記記載のように、それらの各通路158及び160内に縫合糸末端を固着するために用いられる。
差込部150は、図5Cに示されたように差込本体153の横側表面に配置された一つかそれ以上のガイド溝165を含む。ガイド溝165は、差込部150が骨144内に固定された場合に、第一及び第二縫合糸末端32a、32bの伸張が可能となるように構成される。幾つかの実施形態においてガイド溝165は、図2Cのガイド溝50と基本的に類似である。
代替として通路158,160は、滑り止め部材74が配置されず且つガイド溝165が存在しないような滑らかな通路であっても良い。幾つかの実施形態において、通路158,160は基本的に滑らかであっても良い。使用中、縫合糸末端32a、32bは、差込部150が骨アンカー部材142内へ挿入される前に別々にに伸張されても良い。組織が適切に骨に固定される場合、次に差込部150は骨アンカー部材142の穿孔144内へ押し込まれる。これによって縫合糸末端32a,32bが差込部150と骨アンカー部材142との間に挟み込まれる。したがって縫合糸は力密着を用いることによって二つの部品の間に固定される。
差込部の更なる実施形態は、図6A〜6Cに記載している。差込部は図4A〜4Cに記載の骨アンカーにおいて用いられても良い。図6Aは、閉じた状態の差込部一実施形態の側面図である。図6Bは、部分的に開いた状態の、図6Aに記載の差込部の側面図である。図6Cは、図6Bに記載の差込部の上面図である。
差込部110'は、ヒンジ部材115を用いることによって互いに結合されている第一及び第二差込部110a,110bを含んでいる。ヒンジ部材115は第一及び第二差込部110a,110bを一体化されても良く、又は当該ヒンジ部材が二つの別個の部品を共に結合する第三要素であっても良い。
ヒンジ部材115によって差込部110'は、図6Aに示されたような閉じた状態と、図6B〜6Cに記載されたような部分的に又は完全に開いた状態との間を各々移行することが可能となる。図6B〜6Cの開いた状態において、第一縫合糸末端は通路118a内に配置され(例えば医者によって迅速に配置され)ることが可能で、且つ第二縫合糸末端は通路120a内に配置される。代替として縫合糸末端の配置は逆であっても良い(例えば、第一及び第二縫合糸末端はそれぞれ通路120b及び118b内に置かれても良い)。
縫合糸末端が所定の場所にあるならば、差込部110'は図6Aに記載の閉じた状態に、第一及び第二差込部110a、110bを一緒に回転することによって転換され得る。閉じた状態において、第一及び第二差込部110a、110bは第一及び第二通路118'及び120'を形成する。縫合糸末端がそれら各々の通路内に配置されるならば、装置は組織を骨に固定するように作動され得る。
当業者にとって明らかであるように、ヒンジ部材115は、閉じた状態にある第一及び第二差込部110a、110bの適切な調整を確保するために用いられる。必要ならば、図3A〜3Eの突起55及びポケット59のような固定手段が、差込部110a及び110bを固定するために用いられても良い。また当業者にとって明らかであるように、固定手段は、縫合糸末端を再配置するために、図6B〜6Cに示されたように差込部が分離され得るように可逆的であっても良い。
図7は部分的に開いた状態にある一つの差込の斜視図である。差込部110''は、異なる大きさの第一及び第二差込部110a'、110b'を含んでいる。ヒンジ部材115は、差込部110''の中心からずれている。また、差込部110a'の通路部118a'及び120a'は、各々180度よりも小さい。対照的に、差込部110b'の通路部118b'及び120b'は、各々180度よりも大きい。
使用中、第一縫合糸末端は通路部118b'内に配置され、且つそれから第二縫合糸末端は通路部120b'内に配置されても良い。これら通路部が各々180よりも大きいので、縫合糸末端は通路部内に押し込まれ得る。かかる方法を用いることによって、縫合糸末端は少なくとも部分的に所定の場所にとどまる。縫合糸末端が所定の場所にあるならば、差込部110''は閉じた状態へ転換される。閉じた状態において、通路部118a'、118b'は第一一方通行360度通路を形成し、そこを第一縫合糸末端は通り抜け得る。第二通路部120a'、120b'は第二一方通行360度通路を形成し、そこを第二縫合糸末端は通り抜け得る。
図8A〜8Cを参照すると、さらにもう一つの差込の実施形態が記載されている。図8Aは差込の一実施形態の側面図である。図8Bは、部分的に開いた状態の図8Aに記載の差込の側面図である。図8Cは、完全に開いた状態の図8Aに記載の差込の上面図である。
ヒンジ部材115は、詳細図「D」に示されたように、差込部の遠心端と向かい合うように差込部110''の横側表面に配置される。図6A〜6Cの実施形態と同様に、図8A〜8Cの実施形態は、縫合糸の差込部への結合を容易にする。使用中、差込部の通路118及び120を通る縫合糸の進行の必要は無い。
当業者にとって明らかであるように、通路部118a及び120aは、図7に関して上記したように各々通路部118b及び120bよりも大きくても良い。
図9を参照すると、骨アンカーの一実施形態が記載されている。骨アンカー部材180は、以下の注記を除いて図2A〜2Cの骨アンカー部材20と類似である。骨アンカー部材180の滑り止め部材182は、上記したような骨アンカー部材20の滑り止め部材42と類似であり、且つ骨の穴内へ骨アンカー部材180の固着を容易にする。またガイド溝190及び192は、図2A〜2Cのガイド溝50及び52と類似である。
上記実施形態とは異なり、骨アンカー部材180は、本体181内に備えられた少なくとも一つの接着剤搬送溝188を含んでいる。接着剤搬送溝188は、穴が第一通路184及び第二通路186を通って延びるように、本体181の上部表面内にドリルで穴をあけることによって形成されても良い。当業者にとって明らかであるように、しかしながら溝188は他の公知の技術を用いることによって形成されても良い。
第一及び第二通路184及び186は図2Cの滑り止め部材74を含んでも良く、それによって通路を通る縫合糸末端32a及び32bの一方方向の動きが可能となる。代替として、通路184及び186は、いずれの方向にも通路を通って縫合糸30が動くことのできる、基本的に滑らかな内表面を含んでも良い。
骨アンカー部材180が骨の穴内に固定された後、上記に広範囲に渡って記載されたように、縫合糸30の第一及び第二末端32a、32bを個々に伸張することによって、骨に対する組織の位置が接近され得る。組織が所望の位置にある場合、接着剤が接着剤搬送溝188に送られる。溝188への接着剤の搬送は、作用套管内に配置された針様管(図示せず)を用いることによって容易になるかもしれない。針様管は、接着剤を搬送するために、接着剤搬送溝188に近接して又は接着剤搬送溝188内に配置され得る遠位開口部を有する。
接着剤は、遠位に接着剤搬送溝188を通って第一及び第二通路184及び186内へ流れ込むことが可能である。接着剤は、第一及び第二通路184及び186の一致している部分に配置された、縫合糸30の少なくとも一部分と接触しても良く、それによって縫合糸を所定の場所に固着する。当業者にとって明らかであるように、図9には一つの接着剤搬送溝188が記載されているが、滑り止め部材74が用いられるかどうかに関係なく、複数の接着剤搬送溝が縫合糸を固定するために用いられても良い。
図10Aを参照すると、装置200は骨アンカー部材202及び差込部210を含んでいる。装置200は以下の注記を除いて図5A〜5Cの装置140と類似である。
骨アンカー部材202は、その中に配置された穿孔204を有する本体203を含んでいる。骨アンカー部材202の本体203は、上述したような力密着を用いることによって骨の穴内に挿入されるように構成された(例えば図1参照)、外側滑り止め部材206を含む。
差込部210は基本的に円柱形状であっても良く、且つ本体213を含んでいる。本体213は滑らかな外表面216及びテーパ部217を有している。任意に、テーパ部217は本体213の遠心端に形成されても良い。
第一及び第二末端32a、32bを有する縫合糸30は、好ましくは図6〜8に関して上述された方法で差込部210と結合される。
本体213の外径は、穿孔204の内径よりも僅かに大きな寸法を有しても良い。直径の寸法は、力が加えられた場合に差込部210の本体213が遠位に穿孔204内に進行することが可能となるように選択される。骨アンカー部材202のテーパ部207は、穿孔204内への差込部210の進行を容易にする。
操作に於いて、骨アンカー部材202は、図10Bに記載のように骨アンカー部材が遠位に穴内に進行する場合、骨アンカー部材202が骨の穴内に固定される。骨アンカー部材202の外側滑り止め部材206は、穴内への、骨アンカー部材の一方方向の動きを可能にする。
差込部210は、骨アンカー部材202の穿孔内へ遠位に進行し、且つ上述したような力密着を用いることによってその中に固定される。この時、骨の周辺部位は、図10B中により大きな指示矢印によって示したように、骨アンカー部材202に圧縮力を負荷し得る。この骨アンカー部材上の圧縮力は順に、図10B中により小さな指示矢印によって示したように、差込部210への圧縮力を生じ、それによって差込部10穿孔204内へ安定に保持する。
幾つかの実施形態において、通路218及び219は、図2Cに関して上述したように、滑り止め部材74を含んでも良い。代替として通路218及び219は、いずれの方向にも縫合糸30の進行を可能にする、基本的に滑らかな内表面を含んでも良い。
ある実施形態において、骨に対する組織の位置は、骨アンカー部材202内への差込部210の挿入の前に、縫合糸末端32a及び32bを別々に伸張することによって接近され得る。幾つかの実施形態において、組織位置は、通路219が穿孔204のすぐ上に配置される場合に接近される。一旦組織の所望の位置調整が成し遂げられると、差込部210は穿孔204内に遠位に進行され、それによって縫合糸を固着する。特に、縫合糸は、差込部210の外表面216と、骨アンカー部材202の内表面205との間に挟みこまれるであろう。
図11を参照すると、装置220は骨アンカー部材222及び差込部230を含み得る。装置220は、以下の注記を除いて図10A〜10Bの装置200と類似である。
図11に記載のように、骨アンカー部材222は、その中に配置された穿孔224を有する本体223を含んでいる。また本体223は、上述したように力密着を用いることによって骨の穴内に挿入されるように構成された(例えば図1参照)外側滑り止め部226を含んでいる。骨アンカー部材222は、内側テーパ部227を有する一つの近位突起を含んでいる。近位留め具228が、内側テーパ部227と骨アンカー部材222の内壁225との間に形成される。
差込部230は、近位部235、中央部234及びテーパ状遠位部237を有する本体を含んでいる。テーパ状遠位部237は、遠位に向いた力が差込部230に加えられる場合に、骨アンカー部材222のテーパ部227を通り抜けるような寸法にされる。更に力が加えられる場合、差込部230の中央部234は、テーパ部227を介して穿孔224内に進行される。更に力が差込部230に加えられる場合、近位部235はテーパ部227を通り過ぎて進む。一旦近位部235が完全に穿孔224内に挿入されると、近位留め具228は、差込部230の近位縁236に接するように構成され、それによって差込部を骨アンカー部材222内に固定する。
当業者にとって明らかであるように、装置220は、図2〜10の実施形態に関して記載された他のいかなる特徴を更に含んでも良い。例えば、通路238及び239は図2Cの滑り止め部材74を含んでも良いし、又は代替として基本的に滑らかな内表面を含んでも良い。また、装置220の操作は、好ましくは図2〜10の実施形態に関して記載された方法と基本的に類似であることが好ましい。
幾つかの実施形態において、骨アンカーは、骨の表面に二つの開口部を有する骨通し穴HT内に配置されても良い。図12を参照すると、骨アンカー240は図1〜2の骨アンカー部材20と類似であるが、通し穴HTが使われる用途の使用のために構成されている。
骨アンカー240は、近心端及び遠心端を有する本体242を含んでいる。フランジ245が近心端に配置され、且つ本体242の遠心端にテーパ部246が形成されている。本体242は、フランジ245とテーパ部246との間に配置された外表面243を含んでいる。
骨アンカー240は第一及び第二通路250、252を含んでおり、各々多数の滑り止め部材254を有している。滑り止め部材の各々は、互いに隣接して配置された傾き部255と実質的な直角部256を含んでおり、それによって図2Cの滑り止め部材74に関して上述されたような滑り止め形状を形成する。
使用中、縫合糸30の一つの輪が最初に組織Tを通って結合され、自由末端32a及び32bは組織から延びている。次に自由末端32aは、近位方向に第一通路250を縫うように進む。自由末端32bもまた近位方向に第二通路252を縫うように進む。骨Bの片側又は両側にける関節鏡操作で、縫合糸は通路250、252及び組織Tを縫うように進められても良い。
当業者にとって明らかであるように、結局は図12に記載のように縫合糸が据えられるならば、他の関節鏡スレッド技術を用いて組織Tと骨アンカー240との間で縫合糸30が結合されても良い。
一旦図12に示されたように縫合糸が進められると、第一及び第二縫合糸末端32a及び32bは、同時に骨Bに関して組織Tの位置を接近させるために、近位方向に収縮されても良い。縫合糸末端が伸張されるにつれて、通し穴HTの直径よりも大きな外径を有するフランジ245が骨Bに接する。フランジ245と組織Tが反対方向から骨に抗して引っ張られるために、システムは伸張されるようになる。
本発明の一つの特徴に従うと、滑り止め通路250及び252は、第一及び第二縫合糸末端32a及び32bの一方方向の動きを可能とするように各々構成される。例えば第一末端が近位方向に引っ張られる場合、傾き部255は近位方向への縫合糸末端の動きを可能にする。しかし縫合糸末端32aは、通路250内の遠位方向への進行を阻害される。二つに分かれた通路の使用は、組織Tが不規則に切り取られた場合にしばしば必要とされる、縫合糸の各末端を別々に伸張することを可能にする。
当業者にとって明らかであるように、図12に記載の方法は、別々に分離された骨アンカー部材及び差込部を用いて成し遂げられても良い。例えば、別々に分離された骨アンカー及び差込部が用いられている図4〜5及び図10〜11の実施形態の原理が、ワンピース(一体成形)の骨アンカー240の代わりに実行されても良い。
また図12に記載の縫合糸固定方法は、実質的に滑らかな通路250及び252を用いることによって実行されても良い。実質的に滑らかな通路が用いられる場合、圧力密着又は接着剤が、縫合糸の工程を容易にするために滑り止め通路の変わりに用いられても良い。例えば、図4〜5及び図10〜11の実施形態に関して上述されたように、圧力密着又は接着剤が用いられても良い。
図13Aは、骨アンカー部材及び差込部を含む装置の一実施形態の断面図である。図13Aに示されるように、装置270は、骨アンカー部材272及び差込部280を含んでいる。骨アンカー部材272は、その中に配置された穿孔274を有する本体273を含んでいる。本体273は、上述されたように、力密着を用いることによって骨の穴内へ挿入されるように構成された(例えば図1参照)、外側滑り止め部材276を含んでいる。骨アンカー部材272は、内側テーパ部277を有する一つの近位突起を含んでいる。近位留め具278は、内側テーパ部277と骨アンカー部材272の内壁との間に形成される。
骨アンカー部材272は、穿孔274の遠位部に配置された第一及び第二バネ要素292a及び292bを含んでいる。第一及び第二バネ要素292a及び292bは、骨アンカー本体273と一体成形されても良い、又は本体273に結合された分離要素であっても良い。第一及び第二バネ要素292a及び292bは、穿孔274内で差込部280を収容するために、また装置270と連結して用いられる縫合糸の封鎖及び解除を可能にするために(図13A〜13Cには示されず)変形されても良い。当業者にとって明らかであるように、一つかそれ以上のバネ要素が用いられても良い。
第一及び第二通路298及び299は、横側から骨アンカー部材272の本体273を通って延びる。第一及び第二通路298及び299は、以下に記載される目的のために、差込部280の第一及び第二通路288及び289と選択的に一直線に整列するように構成される。
装置270の差込部280は、近心端及び遠心端を有する本体283を含んでいる。近心端はフランジ284を含んでいる。テーパ部286は、フランジ284と本体283との間に配置される。遠位テーパ部287は、差込部280の遠心端に配置される。
差込部280は、横側から本体283を通って延びる第一及び第二通路288及び289を含んでいる。幾つかの実施形態に於いて、第一及び第二通路288及び289は、実質的に滑らかな内表面を含んでいる。
図13Bは装置270の使用を描いている。最初に、差込部280が骨アンカー部材272の穿孔274内へ、挿入部294を用いることによって挿入される。適切な力が差込部280に加えられると、テーパ状遠心端287は骨アンカー部材272のテーパ部277を通り過ぎる。更に力が加えられると、差込部280の中央部がテーパ部277を介して穿孔274内へ進められる。更なる力が差込部280に加えられると、テーパ部286及びフランジ284を有する近位部が、次にテーパ部277を通り過ぎて進められる。
差込部280が完全に穿孔274内に挿入されると、第一及び第二バネ要素292a及び292bが差込部280を近位方向に促すために傾けられることによって、フランジ284が近位留め具278(図13C参照)に接することが可能となる。しかしながら十分な遠位方向の力が差込部280に加えられると、(例えば、挿入部294を用いることによって)第一及び第二バネ要素は遠位方向に変形される(図13B参照)。
挿入部294は、医師による遠位方向の力を差込部290に伝達するように構成された、一つの棒又は他の実質的に剛体部材であっても良い。幾つかの実施形態において、挿入部294は、図13Bに示されるように嵌め合いスロット295と係合する。
差込部280に採用する遠位方向の力の供給は、図13Bに示されるように、第一及び第二通路288及び289を各々骨アンカー部材272の第一及び第二通路298及び299と実質的に一直線に整列する。このとき縫合糸は、一直線に整列した第一通路288及び298を通って進み得る。縫合糸は、上記のように組織を通って進み、次に一列にあった第二通路289及び299を通って戻り得る。第一縫合糸末端32aは第一通路288及び298を通って延び、一方で第二縫合糸末端32bは第二通路289及び299を通って延びる。
一旦縫合糸が装置270と結合されると、装置270は関節鏡誘導下で骨の穴内へ挿入される。滑り止め部材276が穴内へ装置270を上述したように固定する。このとき第一及び第二縫合糸末端32a及び32bは、関節鏡視野の外へ延びるだろう。
第一及び第二通路288及び289が各々第一及び第二通路298及び299と一直線に整列させられる場合、第一及び第二縫合糸末端32a及び32bは、骨に対する組織の位置を接近させるために選択的に伸張され得る。縫合糸末端の伸張の間、図13Bに示されたように挿入部294は、通路が一直線に整列するように差込部を遠位方向におし進める。
組織の所望の配置が成し遂げられると、差込部280に加えられた力は(例えば図13Cに示されたように、挿入部294を近位方向に引っ込めることによって)除去される。このとき第一及び第二バネ要素292a及び292bは、近位方向へ偏るために傾けられ、それによって差込部280のフランジ284を骨アンカー部材272の近位留め具278に向かっておし進める。骨アンカー部材272に対する差込部280のこの動きによって、差込部280の第一通路288と骨アンカー部材272の第一通路298との間の誤整列を生じる。また、誤整列は第二通路289と299との間にも発生する。従って、この誤整列によって、第一縫合糸末端32aは第一通路288と298との間に挟まれるようになり、一方で第二縫合糸末端32bは第二通路289と299との間に挟まれるようになる。これら誤整列は、縫合糸を所定の位置に封鎖する。
使用中に骨に関して組織の位置調整が必要となる場合には、図13Bに示されたように差込部280を遠位方向におし進めるために、次に挿入部294が嵌め合いスロット295内へ挿入されても良い。上述したように、差込部280及び骨アンカー部材272の第一及び第二通路が一直線に整列した場合(図13B参照)、縫合糸末端32a及び32bは組織の位置調整のために操作され得る。
図14は、一つの骨アンカー部材及び一つの差込部を含んでいる装置の一実施形態の、斜視断面図である。装置は、以下の記載を除いて図13に記載された装置と類似である。骨アンカー部材272'は、本体273の遠心端に配置されたバネ要素292'を含んでいる。バネ要素292'は遠位に、中央部293を有する凹んだ形状を含んでいる。
骨アンカー部材272'は、図13A〜13Cに関して上述されたものと類似の方法で、差込部280と連結して用いられる。特に差込部280が穿孔274内に挿入された後の、差込部280上に作用する更なる遠位方向の力の供給は、バネ要素292'の中央部293を遠位方向へ変形させる。バネ要素'の中央部が遠位方向に変形されると、差込部280の第一及び第二通路288及び289は、骨アンカー部材272'の第一及び第二通路298及び299と各々実質的に一直線に整列させられる。この状態において図13Bに関して上述されたように、第一縫合糸末端32aは一直線に整列した第一通路288及び298を通って実質的に邪魔されることなく動くことができ、一方で第二縫合糸末端32bは一直線に整列した第二通路289及び299を通って各々動くことができる。
組成の所望の配置が成し遂げられた場合、差込部280にかけられた力は(例えば、図13Cに記載のように挿入部294を近位方向に引っ込めることによって)除去され、且つバネ要素292'の中央部293は、近位方向にそれの好む向きへ戻る。これによって、差込部280のフランジ284は骨アンカー部材272'の近位留め具278に向かっておし進められる。上述したように、骨アンカー部材272'に対する差込部280の動きは、第一通路288と298との間の誤配列、及び第二通路289と299との間の誤配列を生じる。これら誤配列は、縫合糸を所定の位置に封鎖するように縫合糸末端32a及び32bを鋏む。
図15を参照すると、一つの骨アンカー部材及び一つの差込部を含む装置の一実施形態が記載されている。図15Aは、一つの骨アンカー及び一つの差込部を含む装置の一実施形態の上面図である。図15Bは、図15Aに記載された骨アンカーの線15C−15Cに沿った断面図である。図15Cは、封鎖された状態の、図15Aに記載された骨アンカーの上面図である。
装置300は骨アンカー部材302及び差込部310を含んでいる。骨アンカー部材302は上記骨アンカー部材と類似であり、且つ骨の穴内に差込部302を固着するように構成された(例えば図1参照)多数の滑り止め部材306を有する本体303を含んでいる。骨アンカー部材302は、差込部310を受けるように構成された中央穿孔304を含んでいる。
装置300の差込部310は、図15Bに示されたように遠位部318及び中央穿孔312を有する本体311を含んでいる。本体311は、穿孔304の内径よりも僅かに小さい外径を有している。したがって差込部310は、骨アンカー部材302の穿孔304内で(円周)回転するように構成される。
骨アンカー部材302は、図15A及び15Bに示されるように、本体303の正反対の表面に形成された、第一及び第二半円溝305a及び305bを含んでいる。また、差込部310は、図15A及び15Bに示されるように、本体311上の正反対の表面に形成された、第一及び第二半円溝315a及び315bを含んでいる。
装置300は、図15Aに示されるような、差込部310の外表面に配置された作動ノブ321も含んでいる。作動ノブ321は、解除状態では骨アンカー部材302の第一凹部322内に配置され、且つ封鎖状態では第二凹部323内に配置されるように構成される。
作動ノブ321が第一凹部322内に配置される場合、骨アンカー部材302の第一及び第二半円溝305a及び305bは、差込部310の第一及び第二半円溝315a及び315bと各々一直線に整列され、それによって図15A及び15Bに示されるような第一及び第二円溝を形成する。
作動ノブ321が第一凹部内に配置される場合、骨アンカー部材302の第一及び第二半円溝305a及び305bは、図15Cに示されるような差込部310の第一及び第二半円溝315a及び315bと一直線に配列されない。
使用中、縫合糸30は図16に示されたようにして装置300と結合される。特に第一縫合糸末端32aは、差込部310の中央穿孔312を通って延びる。第一縫合糸末端32aは、窓327を通り抜けて差込部310(図15B参照)に入り、且つ輪部34aへ移行する。輪部34aは、半円溝305a及び315aによって形成された第一円溝を縫うように進められる。
次に輪部34aは組織を縫うように進んで輪部34bに移行する。輪部34bは、半円溝305b及び315bによって形成された第二円溝を縫うように進められる。輪部34bは第二窓327を通り抜け、第二縫合糸末端32bへ移行する。第二縫合糸末端32bは、差込部310の中央穿孔312を通って延びる。
使用中、図15A〜15Bに示されたように、作動ノブ322が第一凹部322内に配置される場合、第一及び第二縫合糸末端32a及び32bは選択的に伸張されても良い。これは、縫合糸が自由に通ることのできる第一及び第二円溝を形成するために、骨アンカー部材302の第一及び第二半円溝305a及び305bが、差込部310の第一及び第二半円溝315a及び315bとそれぞれ一列に整列されるからである。
第一及び第二末端32a及び32bが個々に伸張されると、差込部310の丸みを帯びた縁328(図15B参照)は、縫合糸末端が窓327を通り抜けるときにかかるせん断応力を減少するために用いられることに注目すべきである。
縫合糸を所定の場所に封鎖(固着)するために、差込部310は骨アンカー部材302に対して回転され、それによって作動ノブ321は第二凹部323内へ進められる。差込部310の回転は、六角鍵(図示せず)のような作動具を嵌め合いスロット325内に挿入することによって成し遂げられても良い。一旦ノブ321が図15Cに示されるように第二凹部323内に固定されると、縫合糸は所定の位置に封鎖される、というのは誤配列された半円溝が縫合糸の第一及び第二末端を鋏むからである。
縫合糸が封鎖された後に骨に対して組織の位置が(例えば微調整して)最適化され得、作動具が嵌め合いスロット325内に挿入されても良く、且つ加えられた力がノブ322を反対方向に回転させて第一凹部322内に入れる。上記のようにこれは、骨に対する組織の位置決めを容易にするために縫合糸を進めたり引っ込めたりする、二つの全円溝を形成する。
図17A及び17Bは、各々解除及び封鎖状態の骨アンカー実施形態の断面図である。図17Aを参照すると、骨アンカー部材340は近位部及び遠位部を有する本体343を含んでいる。骨アンカー部材340は多数の滑り止め部材346及び向かい合ったガイド溝348及び349を含んでいる。幾つかの実施形態において、ガイド溝348及び349は図2Cのガイド溝50及び52と類似である。
骨アンカー部材340は少なくとも一つの通路352及び軟質部材350を含んでいる。通路352は本体343を横側から通って延びる。軟質部材350は通路352に近接して配置される。軟質部材350は、凸形状を呈している(例えば通路352と離れるように屈曲する)弛緩構造を有している。図17Aに示された弛緩構造において、縫合糸30が通路を実質的に妨害されることなく動くことが可能となるように、軟質部材350と通路352との間には十分な間隔が存在する。
使用中、骨アンカー部材340が骨の穴内に挿入される前に、第一縫合糸末端32aは通路352を通り過ぎる。次に第一縫合糸末端は、上記のように組織を縫うように進められる輪部34aとなる。輪部34aは組織を通って伸びて輪部34bとなる。輪部34bは通路352を通って戻り、第二縫合糸末端32bとなる。第一及び第二縫合糸末端32a及び32bは、関節鏡視野の外に延び、使用中に別々に伸張され得る。
縫合糸30が装置340及び組織と結合された後、骨アンカー部材340は遠位に進められて骨の穴内に入り(例えば図1参照)、それによって滑り止め部材346は装置を穴内に固着するために用いられる。上記のように、第一及び第二縫合糸末端32a及び32bは、骨に対して組織の位置を近づけるために別々に伸張されても良い。この間、軟質部材350には外からの力は加えられず、それによって縫合糸は通路352内で動くことができる。
一旦所望の組織位置決めが成し遂げられると、図17Bに記載のように、軟質部材350に遠位方向に力を加えることによって、縫合糸が所定の位置に封鎖されても良い。軟質部材350は、骨アンカー部材342内において遠位ノブ354が合致するポケット355へ向かっておし進められるような、凸形状を好ましくは着けている。遠位方向の力は、縫合糸を鋏んでその動きを通路352内に制限することによって、縫合糸を所定の位置に封鎖する。
当業者にとって明らかであろうように、遠位方向の力を軟質部材350上に加えるために、及び更に軟質部材を図17Bに記載された凸位置に封鎖するために、多数の機能が用いられ得る。例えば、差込が穿孔358内に挿入され、次に軟質部材を所定の位置に保持するために、軟質部材350に向かって押し込まれても良い。代替として骨アンカー部材340は、差込を穿孔358内の所定の位置に維持できるように、テーパ部277及び近位留め具278(図17A参照)を含んでも良い。いずれの場合も、差込は縫合糸を封鎖状態に保持するように圧縮力を加えるために用いられる。
代替として軟質部材は、たった二つの安定状態を有するような「二安定」であっても良い。第一状態において、軟質部材は図17Aに記載のように配置される。十分な遠位方向の力が加えられる場合、軟質部材は図17Bに示されるように、第一状態から第二状態へ「速く動く(スナップ)」ように構成される。第一状態と第二状態との間には、安定位置は存在しない。したがって軟質部材は封鎖状態又は解除状態のいずれにももたらされる。軟性部材を図17Bに表された第二状態から、図17Aに表された第一状態にスナップさせ、それによって装置を解除するために、近位方向の力を軟質部材に加えるための手段が用いられても良い。
幾つかの実施形態において、縫合糸を封鎖状態に保持するために、ネジ部材が用いられても良い。図18A〜18Bに示されるように、ネジ蓋360は、穿孔358'のねじ溝を入れた内側部371につけられた、おねじ361を有する。特定の実施形態において、ネジ蓋360は、嵌め合いスロット365を有する近位部及び遠位突起362を有する遠位部を含んでいる。
解除状態においてネジ蓋360は、図18Aに示されるような、穿孔358'内に近位に配置される。縫合糸を所定の位置に封鎖するために、封鎖具375が嵌め合いスロット365に挿入され、次に(例えばネジを締めるのと類似の方法で)時計方向に回転してネジ蓋を遠位方向へ進めても良い。これによってネジ蓋360の遠位部及び遠位突起362が軟質部材350を遠位におし進め、それによって通路352を通って配置された縫合糸長さに影響する。これは縫合糸を所定の位置に封鎖する。
縫合糸の再調整をする場合、次に封鎖具375は、近位にネジ蓋を引っ込めるために、嵌め合いスロット365内で反時計回りに回転されても良い。これは図18Aに記載されたように、縫合糸にかけられた力を取り除くであろう。
幾つかの実施形態に於いて、軟質部材350は完全に省略されても良い。この場合ネジ蓋360は、縫合糸を所定の位置に封鎖するために、通路352内で縫合糸を直接鋏んでも良い。
図19A〜19Bを参照すると、図17A〜17Bの骨アンカーの代替実施形態が記載されている。骨アンカー部材340''の操作は、封鎖部材380が軟質部材350の代わりに備えられているという主な例外を有しているが、実質的には骨アンカー340のものと同様である。
封鎖部材380は、図19Aに示されたように、本体343''の凹部391内に閉じ込められるように構成された円柱体381を含んでいる。封鎖部材380は、少なくとも部分的に本体343''の窓390を通って延びるように構成された遠位突起382を含んでいる。
第一及び第二支持部材383a及び383bが円柱体381の下に配置され、且つ封鎖部材380と一体成形されても良い。図19Aに示されたように、第一及び第二支持部材383a及び383bは本体343''の支持レッジ395上に載っており、それによって凹部391内で封鎖部材380を持ち上げている。
図17A〜17Bに関して上述されたように、使用中、縫合糸30は組織に固定され、且つ通路352''を通って配置される。次に骨アンカー部材340''は、滑り止め部材346が穴において装置に固着するように、遠位に進められて骨の穴内へ入る(例えば図1参照)。
封鎖部材380が凹部391内で持ち上げられる場合、遠位突起382は実質的に通路352''内へ延びなくても良く、それによって通路352''内での縫合糸の移動が可能となる。このとき、第一及び第二縫合糸末端32a及び32bは、骨に対して組織の位置を近づけるために別々に伸張され得る。
一旦所望の位置決めが成し遂げられると縫合糸は、第一及び第二支持部材383a及び383bを下げる又は除去する、多くの技術によって所定の位置に封鎖されても良く、それによって図19Bに記載されたように、凹部391内への円柱体381を下げ、且つ遠位突起382を合致するポケット355''に向かっておし進める。遠位突起382によって加えられた遠位方向の力は、縫合糸を所定の位置に固定する。
特定の実施形態において、第一及び第二支持部材383a及び383bは本体343''の支持レッジ395に融着されても良い。幾つかの実施形態において、当該技術分野において公知の技術を用いることによって穿孔358''を介して封鎖部材380の近位表面に超音波エネルギーがもたらされる。超音波エネルギーの供給によって、第一及び第二支持部材383a及び383bは支持レッジ395に融着され、それによって封鎖部材380を下げ、且つ通路352''内の所定の位置に置かれた縫合糸を封鎖する。
図17〜19の実施形態において、たった一つの通路352が図示されているが、当業者にとって(例えば第一通路に隣接して置かれた)第二の通路が備えられても良いことは明らかである。二つの隣接する通路352が備えられる場合、次に縫合糸は第一通路を通り、組織を通り、且つ第二通路を通って戻ることが可能となる。
また例えばシアノアクリレート、エポキシ、骨セメント等の接着剤が、図17〜19に記載の実施形態のいずれにも関連して用いられても良いことは当業者にとって明らかであろう。かかる接着剤は、軟質部材350、ネジ蓋360、封鎖部材380及びいかなる関連部材を含む装置、しかしこれらに制限しないが、に関連して用いられても良い。
図20A及び20Bは各々、骨アンカー及び差込部を含む解除状態の装置の、実施形態の上面断面図及び側面図である。図21A及び21Bは各々、封鎖状態の、図20A〜20Bに示された上面断面図及び側面図である。装置400(図20A参照)は骨アンカー部材402及び差込部410を含んでいる。
骨アンカー部材402は、上述したように、骨の穴内に骨アンカー部材402を固定するように構成された、滑り止め部材406を有する本体403を含んでいる。骨アンカー部材402はまた、本体403を通って横方向に延びる第一及び第二通路408及び412を含んでいる。
骨アンカー部材402は、本体403の外側表面に配置されたガイド溝409a、409b、413a及び413bを更に含んでいる。当該ガイド溝は、本実施形態に4つのガイド溝が用いられていることを除き、図2A〜2Cのガイド溝50及び52と類似であることが好ましい。
使用中、第一縫合糸末端32aはガイド溝409a、通路408、及びガイド溝409bを通り抜ける。第一方縫合糸末端は次に、組織を通って進む輪34に移行する。縫合糸30の輪34は次に、第二縫合糸末端32bに移行する。第二縫合糸末端32bはガイド溝413b、通路412、及びガイド溝413aを通り抜ける。これによって縫合糸は組織と装置400との間で結合される。
本体411を有する差込部410は、骨アンカー部材402の中央穿孔内に配置されるように構成されている。差込部410は、骨アンカー部材402の第一凹部423内では解除状態で配置され、且つ第二凹部424内では封鎖状態で配置されるように構成された作動ノブ422を含んでいる。
解除状態において、(例えばノブ422が第一凹部423内に配置される場合)差込部410は、本体411が骨アンカー部材410の第一及び第二通路408及び412と実質的に重ならないように調整される。
幾つかの実施形態において、ノブ422が第一凹部423内に置かれる場合、縫合糸30の第一及び第二末端32a及び32bは選択的に伸張される。このことは、縫合糸がその内側を通り抜けることのできる、実質的に妨げられない円形溝を第一及び第二通路408及び412がもたらしているからである。
所定の場所に縫合糸を封鎖するために、差込部410は、ノブ422を第二凹部424内に進めるように回転される。骨アンカー部材402に対する差込部410の回転は、作動具(例えば長方形の鍵)を嵌め合いスロット427内に挿入することによって成し遂げられ得る。一旦ノブ422が第二凹部424内に固定されると、縫合糸は所定の場所に封鎖される、というのは差込部410の本体411が通路408及び412に作用するからである。
縫合糸が封鎖状態にされた後で骨に対して組織の位置を調整する(例えば微調整する)ために、ノブ422を回転して第一凹部423に戻す(図20A〜20B参照)ように、作動具が嵌め合いスロット427内に挿入されても良い。このことは、縫合糸の第一及び第二末端が個々に伸張され得るように、縫合糸に作用していた圧縮力を除去して組織の再配置を容易にする。
図22A及び22Bは、骨アンカー部材及び差込部を含む装置の一実施形態の、断面図である。
図22Aを参照すると、装置440は骨アンカー部材442及び差込部450を含んでいる。骨アンカー部材442は、骨アンカー部材442を骨の穴内に固定するように構成された(図1参照)、滑り止め部材446を有する本体443を含んでいる。更に骨アンカー部材442は、穿孔444及び穿孔444の遠心端近くに配置された環状突起449を含んでいる。
差込部450は、近位部及び遠位部を備えた本体451を有している。近位部は、本体451の相対する横側表面に引っ込めて作られた第一及び第二ガイド溝456及び457を含んでいる。本体451の遠位部は、環状凹部453及び遠位テーパ部454を含んでいる。差込部410はまた、それを通って横方向に配置された通路448を備えた一つの中央部を有している。
差込部450が穿孔444内に挿入される前に、第一縫合糸末端32aが通路448を貫通される。第一縫合糸末端は次に、組織を通って進められる輪部34aとなる。輪部34aは組織を通って延びて輪部34bとなる。輪部34bは通路448を通り抜けて戻り、第二縫合糸末端32bとなる。第一及び第二縫合糸末端32a及び32bは、使用中操作され得る。
代替として上述したように、縫合糸30の中央部分が組織を縫って進められ、次に縫合糸の複数の自由末端が、縫合糸の図示された配置を成すために近位方向に通路448を通り抜けても良い。
幾つかの実施形態において、骨アンカー部材442は、差込部450が穿孔444内に挿入される前に骨の穴内に挿入される。一旦骨アンカー部材442が穴内に安定して配置されると、差込部450は骨アンカー部材442の僅か上方に配置される、それによって通路448が穿孔444の近位にある。この時、骨に対する組織の位置を近づけるために、第一及び第二縫合糸末端32a及び32bは個々に伸張されても良い(例えば図1参照)。
一旦所望の位置決めが成し遂げられると、差込部450は、骨アンカー部材442の穿孔444内に遠位に進められても良い。図13A〜13Cの挿入部294のような挿入部が、差込部450を遠位に進めるために嵌め合いスロット458内に挿入されても良い。遠位方向の十分な力の供給は、環状突起449を越えてテーパ部454をおし進め、それによって図22Bに示されたように骨アンカー部材内に差込部を封鎖する。
この時、第一及び第二縫合糸末端32a及び32bはガイド溝456内で圧縮され、一方で縫合糸輪部34a及び34bはガイド溝457内で圧縮される。ガイド溝456及び457は、差込部450が穿孔444内に挿入される場合に縫合糸が所定の位置に完全に封鎖されることを確保するような大きさに作られても良い(図22A参照)。代替としてガイド溝456及び457は、自由末端32a及び32bへの十分な伸張を負荷することで縫合糸、差込部450と骨アンカー部材442との間の摩擦力を克服するような、縫合糸の増分調整を可能とするような大きさに作られても良い。
図23A〜23Cを参照すると、図22A〜22Bの差込部450の一実施形態が示されている。図23Aは、図22A及び22Bに図示された差込部の一実施形態の断面図である。図23Bは、図23Aに図示された差込分の斜視側面図である。図23Cは、図23Aに図示された差込部の底面図である。
図23Aにおいて、差込部450'は、図22A〜22Bの通路448の代わりに、遠位通路466を含んでいる。遠位通路466は、本体451の遠心端に引っ込めて作られたスロットとして形成される。遠位通路466は、向かい合ったガイド溝456及び457と通じても良い。
差込部450'を用いる骨アンカーシステムの操作は、第一及び第二縫合糸末端32a及び32bが遠位通路466内に配置されるということをのぞき、実質的に図22A〜22Bに記載の工程ステップと類似である。特に使用中、縫合糸末端32a、32bは差込部450'の遠心端の周りをまわって輪状にされ得、且つ中央通路448を縫って進めることよって挿入される必要が無い。一旦、縫合糸末端が差込部450'の遠心端の周りをまわって輪状にされ且つ通路466内にとどめられると、次に縫合糸は、骨アンカー部材442内に差込部450'を挿入する間、所定の場所に保持されても良い。一旦、差込部が環状突起449(例えば図22Bに記載されたように)を介して所定の位置に封鎖されると、次に縫合糸は、差込部450'と骨アンカー部材442との間で圧縮される。
図24Aを参照すると、装置は、代替の骨アンカー部材442''及び代替の差込部450''を含んでいる。骨アンカー部材442''及び代替の差込部450''は、以下の注記を除いて図22A〜22Bの骨アンカー部材442及び差込部450と類似である。
差込部450''は、本体の第一横側表面に形成された第一縫合糸解除溝456'及び本体の反対側の横側表面に形成された第二縫合糸解除溝457'を有する本体451'を含んでいる。差込部450''はまた、縫合糸溝466'に沿って、本体451'の遠位部に解除凹部455を含んでいる。
本体451'は、縫合糸溝466'に隣接して形成された多数の滑り止め部材459aを含んでいる。また骨アンカー部材442''は、穿孔444内に形成された多数の滑り止め部材459bを含んでいる。図24Bに図示されたように、骨アンカー部材442''の穿孔444内に差込部450''が配置されると、滑り止め部材459bは滑り止め部材459aと向かい合うように構成されている。
使用中、縫合糸長さ30aは、縫合糸の部分35aと35bとの間に輪470を最初に形成することによって骨アンカー部材442''に結合される。縫合糸30aのある部分は次に、差込部450''の縫合糸溝466'の周りをまわって輪状にされる。この時、近位縫合糸末端33a及び33bは解除溝456'と隣接しており、一方で縫合糸部35a及び35bは解除溝457'と近接している。次に差込部450''は、図24Bに図示されたように、骨アンカー部材442''の穿孔444内に降下される。
適切な力が加えられると、差込部450''の遠位テーパ部454が骨アンカー部材442''の突起449を越えて通り過ぎる。この時突起449は、骨アンカー部材442''に対する差込部450''の動きを実質的に妨げるために、図24Bに示されるように凹部453内にとどめられる。近位縫合糸末端33a及び33bは解除溝456'内に配置され、一方で総合糸部35a及び35bは解除溝457'内に配置される。
ある実施形態において縫合糸輪470は、概ね上述されたように組織と直接結合されても良い。縫合糸末端33a及び33bの伸張は、組織の位置決めを直接もたらす。また上述したように、滑り止め部材459aおよび459bは、縫合糸末端の伸張を容易にし、且つ所定の場所に縫合糸末端を封鎖する一方通行の溝を形成しても良い。幾つかの実施形態において、第二縫合糸長さは、骨に組織を固着するために用いられても良い。図25A〜25Bは、二つの縫合糸を用いている図24A及び24Bに図示された骨アンカーの図である。
図25Aにおいて、第二縫合糸長さ30bは、組織Tと直接結合された輪471を有している。輪471は縫合糸部34aと34bとの間に形成される。縫合糸部34a及び34bと近接した第二縫合糸30bは、使用中に操作されるように構成された近心端32a及び32bを含んでいる。
第二縫合糸30bは、輪470を介して近心端32a及び32bを引っ張ることによって、第一縫合糸30aに結合される。この時、四つの近位縫合糸末端が、アクセス套管(図示せず)から近位に延びている。特に第二縫合糸30bの近心端32a及び32bは全て、アクセス套管から、第一縫合糸30aの近心端33a及び33bに沿って延びる。4つの縫合糸末端の各々は、使用中別々に伸張され得る。
4つの縫合糸末端32a、32b、33a及び33bの各々が選択的に伸張されるにつれて、輪470及び縫合糸部35a、35bは、図25Bに示されるように解除溝457'に近づけられる。輪470が解除溝457'の方へ引かれる場合、第二縫合糸30bも解除溝の方へ引かれる(つまり、第二縫合糸の近心端32a及び32bが輪470を介して予め引っ張られたからである)。
この時、解除溝457'の方へ引かれる様々な縫合糸部は、縫合糸を所定の場所に効果的に封鎖するために解除溝内に挿入されるようになる。実際には、4つの縫合糸末端32a、32b、33a及び33bに張力が加えられるにつれて組織Tは骨に近づけられ、最後には縫合糸が所定の場所に封鎖される。
上記方法の使用は、手術処置中の時間及び労力を著しく節約させ得る。例えば骨アンカー部材442''、差込部450''及び(輪470を含む)第一縫合糸30aは、図24Bに示されるように、既に組み立てられた状態で備えられ得る。これら部品は、手術処置中に組み立てられる必要が無い。
適切な時に第二縫合糸30bは輪471を介して組織Tに結合される。この方法を用いることによって、縫合糸30bが組織Tに結合された後に、近位縫合糸末端32a及び32bを差込部450''又は骨アンカー部材442''を縫って進める必要が無い。それどころか縫合糸末端32a及び32bは、第一縫合糸30aの輪470を介して引っ張られる。要するに、第一縫合糸30aは組織Tに結合され、次に近心端32a及び32bは予め備えられた輪470を通って誘導され、それによって手術の時間及び労力を節約する。
図26A〜26Dを参照すると、骨アンカーを含んでいる装置が記載されている。図26Aは骨アンカー500の一実施形態を図示している。図26Bは、封鎖位置にある、図26Bに図示された骨アンカーの縫合糸封鎖機構を表す断面図である。図26Cは、解除位置にある、図26Bに図示された縫合糸封鎖機構を表す断面図である。図26Dは、図26Aに図示された骨アンカーの分解図である。
骨アンカー500は本体502及び挿入部504を含んでいる。本体502は、上記のように、骨に骨アンカー500を固定するために使われる滑り止め506を有している。本体502は、本発明の範囲を逸脱することなく、拡張部等の、骨に骨アンカー500を固定するために適したいかなる他の特徴構成を有しても良い。
挿入部504は本体502の凹部508内に配置される。縫合糸は、凹部508の近心端を通って装置500に入り、本体502と挿入部504との間の空間を通って延びる。次に縫合糸は、挿入部504内の穴510を通り抜ける。幾つかの実施形態において穴510は、図26Dに示されるような様々な大きさの縫合糸を収容するために三角形をしている。
挿入部504は、図26Bの閉鎖位置と図26Cの開いた位置との間を可動である。凹部508は、挿入部504の穴510に面している各側面の上に傾斜表面512を有している。挿入部504が図26Bの閉鎖位置にある場合、縫合糸は、傾斜表面512と穴510の上部端514との間に捕らえられる。挿入部504は、挿入部504上のバネ部516によって閉鎖位置へ偏らせられても良い。バネ部516は、挿入部504内のらせん状カット518によって形成される。挿入部504はまた、遠心端に近い本体502にピン留め接続520を有している。ピン留め接続520をもたらすために、ピン522は穴524を通って挿入部504内に延びる。バネ部516が挿入部504と一体成形されるが、他の実施形態と同様に別個のバネがまた備えられても良い。
挿入部504は、挿入マニピュレータ524を引っ張ることによって、図26Cの解除位置に動かされても良い。マニピュレータ524は、挿入部504を解除位置に動かすために引っ張られる、単なる軟質つなぎ綱526であっても良い。処置が完了した時につなぎ綱526は切って除去されても良い。マニピュレータ524は、使用者に必要に応じて縫合糸張力を調整することを可能にする。骨アンカー500は記載された他の装置と同一又は類似の方法で用いられる。
図27A〜27Bを参照すると骨アンカー530が記載されている。図27Aは骨アンカーの一実施形態の斜視図である。図27Bは、図27Aに図示された骨アンカーの断面図である。図27Cは、図27Aに図示された骨アンカーの分解図である。
骨アンカー530は、他のいかなる特徴構成も骨アンカー530を骨に固定するために備えられても良いが、骨アンカーを骨に固定するために用いられる滑り止め531を備えた本体532を有している。縫合糸は縫合糸封鎖部533によって封鎖される。縫合糸封鎖部533は、縫合糸を矢印556の方向へ進ませるが、他の方向への動きは妨げる。縫合糸は軸受表面534の周りに延びる。軸受表面534はローラー536であっても良いが、非回転部材もまた用いられても良い。ローラー536は穴538内に据えつけられる。縫合糸封鎖部533は第一封鎖部540及び第二封鎖部542を有するが、いかなる数の封鎖部を含んでいても良い。
第一及び第二封鎖部540、542は、環状クリップ550として一体成形されても良い。環状クリップ550は、本体532内の輪形凹部552内に設置される。縫合糸封鎖部540、542は、環状クリップ550から延びる縫合糸係合部554を含んでいる。封鎖部540、542は、一体成形されたリビングヒンジ556を含んでも良い。リビングヒンジ556は、縫合糸が矢印556の方向に引っ張られる場合に、縫合糸係合部554を内側へ屈曲させる。縫合糸封鎖部533は、縫合糸を矢印556の方向へ引っ張らせるが、縫合糸が反対の方向へ動くのを阻止する。骨アンカー530は上記骨アンカーと同様に用いられる。
図28A〜28Dを参照すると、骨アンカー560が記載されている。図28Aは骨アンカー560の一実施形態の斜視図である。図28B及び28Cは、図28Aに図示された骨アンカーと連結したリリース要素の使用を図示した断面図である。図28Dは図28Aに記載の骨アンカーの分解図である。骨アンカー560は、上記他の骨アンカーと同様の方法で又は類似の方法で用いられる。
骨アンカー560は縫合糸封鎖部564を含んでいる。縫合糸封鎖部564によって、縫合糸は矢印566の方向に引っ張られ得るが、他の方向への動きは阻止される。縫合糸封鎖部564は、穴573内で回転可能なピン571によって形成されたピン留め接続570(図28D参照)を有するカム568を含んでいる。縫合糸がカム568と本体572の内表面574との間で捕らえられたときに、縫合糸は封鎖される。
骨アンカー560は、縫合糸封鎖部564をリリースするためのリリース要素576を含んでいる。リリース要素576は、導入器578の部品であっても良い。導入器578は、骨アンカー560を骨内へ進める場合に使われ得る。リリース要素576は、導入器578の溝を通って延びている。リリース要素576及び本体572は、リリース要素を回転させ且つ(例えば図28Bに図示されたように)所望の位置に進めることができるように構成され(例えばねじ込まれ)ても良い。リリース要素576は、カム568の上部と接触し、且つ(例えば図28Cに図示されたように)カムを枢軸回転させる。カムを枢軸回転させることによって、一方向又はそれ以上の所望の方向への縫合糸の操作が可能となる。
更なる改良:
図29を参照すると、骨アンカー600の代替無制限実施形態が示されている。図29Aは、カムと骨アンカーの遠心端表面との間に配置された縫合糸を有する一つのカムを備えた骨アンカーの一実施形態の図である。図29Bは図29Aで図示された実施形態の断面図である。図29Cは図29Aで図示された骨アンカーの前面図である。図29Dは図29Aで図示された骨アンカー及び縫合糸の分解図である。
図29A〜29Dに図示された骨アンカー600の無制限実施形態は実質的に平らな形状を有しているが、かかる構成は単に上記骨アンカーがとり得る多くの代替形状の図示を目的としていることは、当業者にとって明らかであろう。異なる実施形態において、骨アンカー600は、上記実施形態の精神又は範囲を逸脱することなく、ここに図示されたものとは異なる断面及び/又は寸法を有するように構成されても良い。
骨アンカー600は側板611を備えた本体610を含んでいても良い。側板611は空所612を形成しても良い。側板611は全体的に又は少なくとも部分的に空所612を取り囲んでも良い。空所は本体の全長さに沿って遠位に延びても良いし、又は本体の長さの一部分だけ任意に延びても良い。空所612は開口部613を形成するために、本体の近心端まで延びる。
本体610は、空所612の遠心端に配置された内表面615を有している。内表面615はその製造時に本体から形成されても良いし、又は本体610の遠心端にブロック616を結合することによって形成されても良い(図29D参照)。
幾つかの実施形態において、開口部613は本体610の近心端において完全に囲まれても良い。ある実施形態において、開口部613を取り囲むために側面640が本体610に結合される。側面640はその製造時に本体から成形されても良いし、又は図29Dに図示されたように、本体610の近心端にリテーナ645を結合することによって形成されても良い。
図29Aを参照すると、骨アンカー600は空所612内に枢軸回転可能に配置されたカム650を含んでいても良い。カム650は、制限無くいかなる適した回転可能な結合を形成するための当業者に公知の手段(例えばピン)を用いて、本体610に枢軸回転可能に結合される。一つの無制限実施形態において、カム650は、図29Dに図示されたように穴651が向かい合った側板611上の穴652と一直線に配列されるように空所612内に配置されても良い。ピン653は、カム650を本体610に結合するために、一直線に配列された複数の穴を通って挿入され得る。この結合は、図29Bに示されたように、カム650をピン653の軸の周りを回転(例えば枢軸回転)可能にする。
幾つかの実施形態に於いて、カム650は不均整の断面形状を有するように構成されても良い。図29A〜Dは、カム650の断面形状が実質的に卵型(例えば特に図29B及び図29D参照)をしている場合の一実施形態を図示している。しかしながら上記実施形態のカムの形状が代表的なもののみであって、対象となる骨アンカーと共に用いるのに適した多くのカム形状のうち、一つを図示するために用いられたということは当業者にとって明らかであろう。いかなる断面形状でカムが構成されても、上記実施形態の範囲を逸脱することなくここに記載されたものの代替品となり得ることは当業者にとって明らかであろう。
上記のようにカム650を本体610に結合することによって、カムを空所612内で自由に枢軸回転させる。一実施形態においてカム650は、外側カム表面667が内表面615(例えば図29Bに図示されたように)と接触するようになるまで、第一方向に(例えば下方に)枢軸回転しても良い。接触後、第一方向へのカム650の更なる回転は阻止される。カム650はしかしながら、反対方向に(例えば上方に)はまだ枢軸回転可能であっても良い。
幾つかの実施形態において、カム650は、カム表面667が内表面615の方へ偏るように構成されても良い。いかなる適した当業者に公知の手段が、カム表面667を内表面615の方へ偏らせるために用いられても良い。カムを偏らせるための方法の例は、カムをバネバイアスアッセンブリと結合すること、又は少なくともカムの一部分及び/又は本体の内表面を、磁性を帯びた材料で構成することを含んでいるが、これらに制限されない。
図29Aを参照すると、一つ又はそれ以上の結合部材630が、本体610の外表面上に配置されても良い。結合部材は、骨アンカー600を、骨アンカーが設置されるべき骨の開口部に固定するために用いられても良い。本体610は、本発明の範囲から逸脱することなく、拡張部等の骨アンカー600を骨に固定するために適した他のいかなる特徴構成を含んでも良い。
一実施形態において、結合部材630は本体から放射状に延びても良い。一実施形態において、結合部材630は骨表面と可逆的に係合するように構成されても良い。典型的に結合部材は、少なくとも部分的に、実質的に剛直な又は変形可能な材料で形成され得る。一実施形態において結合部材は、その製造中に本体から形成される。幾つかの実施形態において結合部材は、本体とは別個に製造され且つ本体の外表面に結合されても良い。幾つかの実施形態において本体は、治療据付間際に結合部材に結合されても良い。本体は、様々な結合部材と合うように構成されても良く、特定の用途に適した特有の特徴を各々有している。結合部材の選択は、治療及び本体に結合される間際に医師に供給されても良い。かかるシステムによって、代替の骨アンカーを選択しそれを移植するための準備をするために進行中の処理を中断及び長引かせることなく、特定の患者及び使用に最も適した(例えば寸法、深さ及び/又は骨穴の幅)、(複数の)結合部材を医師が選択することを可能にする。結合部材への本体の結合は、当業者に一般的に公知ないかなる適した手段であっても良い。無制限の例により本体は、スナップ留め、ネジ、接着剤、又は上記当業者に一般的に公知ないかなる適した手段を用いて、結合部材に結合されても良い。無制限の例は図29Aに図示されている。一つ又はそれ以上の放射状に広がることが可能な結合部材630を含んでいるクリップ620を医師が選択しても良い。選択がなされた後、骨アンカーはクリップ620を本体610に結合することによって使用準備完了となる。一実施形態において、図29Dに図示されたように、穴623を穴622と一直線に配列し且つ一直線に配列された複数の穴を通ってピン621が挿入されることによって、ピン留め接続が形成されても良い。結合部材630は本体610から放射状に延びている。
一実施形態において、骨アンカーは、最初に結合部材を引っ込めることによって骨の穴内に配置される。上記引っ込めは、結合部材を把持し且つそれらを本体の方へ押しつけることが可能である装置(例えば、はめ込み器)を用いて成されても良い。骨アンカーが骨開口部に最適に配置されると、はめ込み器は結合部材から外され、それらを放射状に動かして骨開口部の表面と係合させることを可能にする。代替として骨アンカーは、結合部材を引っ込めることなく且つ骨アンカーが配置される開口部の表面を結合部材が捕らえることなく骨開口部に挿入されても良い。
縫合糸660は、骨に対する組織の位置調整を最適化するために縫合糸の片方又は両方の末端を伸張可能とするように、骨アンカー600内に配置されても良い。縫合糸660は、組織に結合される遠位輪部665、骨アンカー600と結合される縫合糸末端部662a及び662bを含んでいる。使用中、縫合糸末端部662a及び662bは伸張され、それによって組織は骨アンカーの方へ引かれる。
縫合糸末端部662a、662bは、開口部613を通って入ることによって骨アンカー600と結合される。縫合糸末端部662a、662bは本体610の遠心端に向かって延びる。カム650を係合するために、縫合糸末端部662a,663bはカム表面650外表面の少なくとも一部の周りに巻きつけられても良い。任意にカム650はその外表面の少なくとも一部分上においてきめ(織目)を出されても良い。上記きめは、カム表面が摩擦によって縫合糸を捕らえることを可能にし得る。縫合糸がカム650の外表面の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、又は少なくとも70%と接触するように、縫合糸はカム650の周りに巻きつけられても良い。一実施形態において、縫合糸末端部662a、662bは、図29A及び29Bに示されたようなヘアピン形状でカム650の周りに巻きつけられても良い。縫合糸末端部662a、662bをカムの下側表面の周りに巻きつけることによって、縫合糸末端は、外側カム表面667と内表面615との間の隙間666に配置される。ヘアピン形状にカムの周りに縫合糸を巻きつけることは、縫合糸長とカムの外表面との間の接触を最大化し得る。こうしてカム表面と縫合糸長との間の引張りが強められる。カム650と結合された後、縫合糸末端部662及び663は本体610の近心端に向かって延び且つ開口部613を通って出ても良い。一実施形態において、側面640は開口部613において所定の位置に縫合糸末端部662及び663を保持しても良く(図29B参照)、医師に、縫合糸へのより大きな接近、及び使用中の縫合糸の操作を容易にすることを可能にする。
一実施形態において、縫合糸引抜き道具(図示せず)が上記及び図29A〜Dに記載の骨アンカーを通る縫合糸末端の前進を用意にしても良い。縫合糸引抜き道具は、組織と結合された縫合糸と類似の形状及び寸法であっても良い。幾つかの実施形態において、縫合糸引抜き道具は実質的にS状である。
縫合糸引抜き道具は、アンカーを骨開口部内に位置決めする前に、縫合糸と同様の方法で骨アンカーを通って進められても良い。縫合糸引抜き道具の遠心端は縫合糸の末端に結合している。使用中、縫合糸の一つの輪は関係のある組織を通り抜けても良い。縫合糸の末端部は縫合糸引抜き道具の遠心端と結合されても良い。縫合糸引抜き道具の近心端を引っ張ることによって、縫合糸引抜き道具は骨アンカーの本体を通り抜け、縫合糸末端の一部分は本体の開口部を通り抜けて、カムの周りをまわって、外側カム表面と本体の内表面との間を進み、空所内の開口部を通って出る。
縫合糸が組織と結合され且つ骨アンカー600を通って適切に進む場合、縫合された組織は、図29Bに記載の矢印690で示された方向に縫合糸末端部662及び663を個々に又は一緒に伸張することによって、骨のほうへ引っ張られ得る。縫合糸の伸張は、カム表面667を内表面615から離れるように動かし(例えば、枢軸回転し)、矢印690で示された方向への縫合糸末端部662及び663の動きを可能にする。しかしながら内表面615に対応するカム表面667の形状のために、縫合糸末端部662及び663に加えられた張力が解除された後、カム表面667は内表面615に隣接した位置に戻ることが注目されるだろう。矢印695で示された方向に縫合糸末端部662及び663に加えられた張力は、カム表面667と内表面615との間に末端部662及び663を圧縮することによって縫合糸を所定の位置に封鎖する。このようにして縫合糸に結合された組織の動きは所望の方向にのみ許可され、他方で元の位置への組織の滑り又は動きは実質的に妨げられる。
図30A〜Dは骨アンカー700を記載している。図30Aは縫合糸封鎖アッセンブリを有する骨アンカーの一実施形態を図示している。図30Bは図30Aに図示された骨アンカーの断面図である。図30Cは図30Aに図示された骨アンカーの側面図である。図30Dは図30Aに図示された骨アンカーの分解図である。
骨アンカー700は挿入部710及び本体715を含んでいる。挿入部710は一つか又はそれ以上の(多数の)フランジ部材711(図30D参照)を含んでいる。フランジ部材711は挿入部710から近位に延びても良い。空所720がフランジ部材711間に形成される。空所720の遠心端は内表面719を含んでいる(図30B参照)。
幾つかの実施形態において、本体715は挿入部710と結合するように構成され得る。図30Bに図示されたように、本体715はフランジ部材711及び空所720を受け入れ且つ取り囲むように構成される。本体715は、本体715の穴701aとフランジ部材711の穴701b(図30D参照)を一列に配列することによって、挿入部710に結合され得る。次にピン705が一列に配列された複数の穴を通って挿入され得る。結合を可能にする挿入部710及び本体715のいかなる代替形状も可能であり、且つ上記実施形態の精神及び範囲を逸脱することなく、結合の手段が用いられても良い。
本体715は、任意に多数の放射状結合部材716を含んでも良い。放射状結合部材716は上記のように骨に骨アンカー700を固定し得る。本体700は、滑り止めを含むが、これに制限されない、骨にアンカー700を固定するための当業者に公知の手段を用いても良い。
骨アンカー700はまた封鎖アッセンブリ740を含んでいる。封鎖アッセンブリ740は多数の封鎖要素750を含んでいる。図30Dにおいて封鎖要素750は封鎖環750a及び750bとして描かれている。封鎖環750a及び750bは各々、上棒751a及び751b、下棒752a及び752bを含んでいる。封鎖環750a及び750bは、封鎖環が互いに平行に配置された場合に、下棒752a及び752bが図30Bに図示されたように空所720に入ることが可能となるような大きさに作られる。封鎖環750a及び750bは、下棒752a及び752bが空所720内に置かれた場合、互いに平行に配置され得る。幾つかの実施形態において、封鎖環は実質的に互いに平行である。下棒750a及び750bは、空所720の内表面719に対して、個々に様々な位置に置かれても、又は同じ位置に置かれても良い。図30Bにおいて下棒752bは内表面719と隣接して又は接触して配置される。幾つかの実施形態において、下棒752aは内表面719と実質的に隣接して又は直接接触して配置される。対照的に、下棒752aは、下棒752bよりも内表面719からより離れたところに、空所720の長軸に沿って配置される。同様に、上棒751bは、上棒751aよりも空所720の開口部により近づいている。縫合糸間隙760が上棒751aと751bとの間にあり、縫合糸の厚みを収容するような大きさに作られている。上記封鎖アッセンブリは幾つかの実施形態において「二棒封鎖アッセンブリ」と参照され得る。
一実施形態において一つ又はそれ以上の封鎖要素750が空所720内を軸方向に動き得る。軸方向の封鎖要素750の動きによって、幾つかの実施形態において、上棒751aと751bとの間で縫合糸長を圧縮することによって、間隙760内に配置された縫合糸長を封鎖又は解除するために、封鎖要素が互いに作用することが可能となる。幾つかの実施形態において、封鎖要素750は、所定の位置に縫合糸を可逆的に封鎖するために、縫合された組織の、所望の位置決めの後に(例えば、組織の位置微調整後に)軸方向に動かされても良い。封鎖要素750の軸方向の動きは、上記のものを含み、当業者に公知の手段を用いることによって成し遂げられても良い。
縫合糸780は、縫合糸の末端を個々に伸張することによって骨に対する組織の適切な位置決めが可能となるように、一方で反対方向への縫合糸及びそれに結合された組織の動きを実質的に阻止するように、骨アンカー700内に配置される。
幾つかの実施形態において、縫合糸780は、一つの遠位輪部785、及び近位縫合糸末端部781a及び781bを有するように構成される。遠位輪部785は組織と結合する。縫合糸末端部781a及び781bは、骨アンカー700の封鎖アッセンブリを通って進められ得、矢印790で示された方向に伸張される場合は骨アンカーの方へ組織を引く。幾つかの実施形態において、縫合糸末端部781a及び781bは図30A及び30Bに図示された二棒封鎖アッセンブリを通って進められても良い。組織において、輪部785は骨アンカー700に対して遠位に配置される。縫合糸末端部781a及び781bは、縫合糸末端部を環750aの開口部及び上棒751bの下を通り抜けさせることによって、封鎖アッセンブリ740と結合し得る。縫合糸末端部781a及び781bは、上棒751bの周りを上向きに巻かれ、縫合糸間隙を通り抜け、且つ上棒751aの周りを上向きに巻かれる。それゆえ縫合糸末端部781a及び781bは、縫合された組織の位置決めを容易にする(図30B参照)。
ある実施形態において、縫合糸引抜き道具は、上記のように二棒封鎖アッセンブリを通る縫合糸末端の進行を容易にしても良い。縫合糸引抜き道具は、組織に結合される縫合糸と類似の形状及び大きさに作られ得、且つ骨開口部内への、アンカーの位置決めの前に、縫合糸と同様の方法で骨アンカーを通って進められても良い。縫合糸引抜き道具はの遠心端は、縫合糸末端部781a及び781bと結合している。使用中、縫合糸の輪は組織を通り抜けている。縫合糸の末端部は、縫合糸引抜き道具の遠心端に結合される。所望の方向に(例えば、方向790に)縫合糸引抜き道具の近心端を引っ張ることによって、縫合糸引抜き道具は封鎖アッセンブリを通過し、且つ縫合糸末端部781a及び781bは環750aを通り抜け、上棒751bの下及び周りを進んで、縫合糸間隙760を通り抜けて最終的に上棒751aの周りに巻かれる。
縫合糸が組織と結合され且つ骨アンカーの封鎖アッセンブリを通って適切に進められる場合、縫合された組織は、図30Bに記載の矢印790で示された方向に縫合糸末端部781a及び781bを個々に又は一緒に伸張することによって、骨の方へ引き寄せられ得る。縫合糸末端の伸張はこのようにして、方向790へ封鎖アッセンブリを通って縫合された組織を動かし、このようにして骨の方に組織を引き寄せる。しかしながら、縫合された組織に対する二棒封鎖アッセンブリの形状により、反対の方向への組織の動き又は滑りは実質的に阻害されることが注目されるだろう。矢印795によって示された方向に、遠位に縫合糸を伸張することによって、縫合糸が上棒751bに上向きの力を加えさせ、間隙760に配置された縫合糸長が上棒間で圧縮されるように上棒751b及び751aを相互作用させ、こうして実質的に所定の位置に縫合糸を封鎖する。
モジュラー設計:
骨アンカー600は、各々特定の用途に適した特徴構成を有している、様々に異なる結合部材と共に用いられるように本体が構成されている特定の実施形態を記載した。この特徴は骨アンカー600の実施形態に制限されないことが、しかしながら当業者にとってすぐに認識されるだろう。この特徴は、外側部品への内側部品の結合に制限することを意味しているのではない。それどころか、上記骨アンカーアッセンブリの構成部品は、モジュール化をするつもりの特徴構成によって設計されている。上記全ての実施形態に対して制限無く、骨アンカーアッセンブリの内側部品の様々な特徴構成を、骨アンカーの外側部品の広く様々な特徴構成と組み合わせること可能性が付加されるように意図されている。
モジュール化の特徴構成を骨アンカーアッセンブリ設計パラメータに組み込むことは、次の利点をもたらす。(a)外科(手術)用途に適した骨アンカーを再設計する必要なく、外科用途における汎用性を最大化すること。(b)治療の点における手術処理の柔軟性を保持すること。(c)他のいかなる構成部品で、いかなる構成部品を完全に交換可能であること。(d)一つの外科用途において用いられる他の骨アンカー構成要素の選択又は配置とは無関係の、各骨アンカー構成要素を調節可能なこと。(e)外科医が患者の個々の解剖学的構造に従ってアッセンブリを仕立てることが可能となる、さもなければ骨又は組織を破壊するかもしれない外科処置の再検討に直面してもである。(f)あらゆる型及び寸法の内側及び外側構成部品の使用である。モジュール化の特徴構成は、医師に、彼又は彼女の全ての注意を手元の処置、患者の予後及び治癒の改善に専念させることを可能にする。
骨の穴内への骨アンカー部材の固定は、上述されたように又は一般的に知られた骨固定技術を用いることによって行われても良い。例えば、図2Aの滑り止め部材42が骨アンカーを固定するために用いられる手段であっても良い。固定するための他の代替手段が本発明の装置及び方法と共に用いられても良い。例えば骨アンカーが、周りの骨内に延びる一つ又はそれ以上の放射状に広がることが可能な部材を必要としても良い。
また、本発明の幾つかの実施形態は骨アンカー部材の使用のみを記載しており、他の実施形態は骨アンカー部材及び差込部の使用を記載してはいるが、これら特徴構成の多くは交換可能である。骨アンカー部材のみを図示している多くの実施形態が、骨アンカー部材及び差込部を使用することによって、及びその逆によって成され得ることは当業者にとって明らかであろう。
また骨アンカー部材及び差込部を有するこれら上記の実施形態に対し、縫合糸末端が、差込部が骨アンカー部材の穿孔内に挿入される前又は後のいずれにも伸張され得るということが当業者にとって明らかであろう。
特にここにおいて開示されていない様々な手段を用いることによって、差込部が骨アンカー部材の穿孔内にしっかりと設置され得るということも、当業者にとって明らかであろう。例えば差込部が骨アンカー部材の穿孔内に挿入された後、例えばシアノアクリレート、エポキシ、骨セメント等の接着剤が、差込部を骨アンカー部材に貼り付けるために用いられても良い。代替として、差込部の外表面が、差込部が骨アンカー部材の穿孔内に挿入された後に骨アンカー部材に貼り付ける、生体適合性接着剤によって被覆されても良い。幾つかの実施形態において、差込部を骨アンカー部材に融着するために熱が加えられても良い。差込部を骨アンカー部材に固定するためのまた更なる手段が用いられ得ることは、当業者にとって明らかであろう。
多数の骨アンカー部材、又は各差込部に結合された多数の骨アンカー部材が用いられ得るということを理解すべきである。一つ又はそれ以上の縫合糸が所望の組織部と骨アンカー部材との又は差込部との間で結合されても良い。多数の縫合糸及び骨アンカー部材が用いられる場合、結果として起きる組織のより大きな伸張が成し遂げられ得る。
最後に、上記実施形態は、骨への組織の付着を容易にするための装置及び方法の使用を言及しているが、かかる装置及び方法は組織を組織に、及び骨を骨に固定するためにも用いられ得るということが当業者にとって明らかであろう。
本発明の好ましい実例となる実施形態が上述されたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正が成され得るということは当業者にとって明らかであろう。添付された請求項は、本発明の真の精神及び範囲内に属するかかる全ての変更及び修正を網羅することを意図している。
本特許明細書において、特定の米国特許、米国特許明細書、及び他の資料(例えば文献)はリファレンスに組み込まれている。かかる米国特許、米国特許明細書、及び他の資料の記載は、しかしながら、リファレンスに組み込まれた結果、かかる記載と上記他の表現及び図との間において衝突は存在しない。かかる衝突が生じる場合、かかるリファレンス米国特許、米国特許明細書、及び他の資料によって組み込まれたかかる衝突している記載は、特に本願特許明細書においてリファレンスによって組み込まれていない。
本発明の様々な特徴構成の更なる修正及び代替実施形態は、この記載に鑑みて、当業者にとって明らかである。従ってこの記載は図示のみと解釈され得、当業者に本発明の実施の一般的な方法を教示することを目的としている。上記示された及び記載された本発明の形態は現在のところ好ましい実施形態として解釈されるべきであるということを理解すべきである。上記図及び記載された物と、要素及び材料が置き換えられるかもしれないし、部品及び工程が逆にされるかもしれないし、本発明のある特徴構成が独立して用いられるかもしれないというこれら全てが、本発明に対する本記載の利益を入手した後に当業者にとって明らかとなるだろう。請求項に記載されたような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、上記要素における変更が成されるかもしれない。その上、ある実施形態において上記特徴構成が独立して組み合わせられるかもしれないということを理解されるべきである。