JP4944335B2 - 粘膜表面へ投与するための医薬組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、粘膜表面に対して医薬(例えば、ワクチン)をデリバリーするのに特に有用な組成物、例えば鼻腔内処方物に関する。本発明は更に前記組成物を用いて患者を治療する方法及び前記組成物の製造方法に関する。
【0002】
ワクチン接種の分野における主な目的は、慣用されている皮下及び筋肉内注射により引き出されるレベルに匹敵するレベルの全身免疫の誘発を促進する非腸管外予防接種処方を開発することである。
【0003】
気道の鼻咽頭通路及び肺領域はペプチド作動性薬物及びワクチンの全身送達のための有力な標的である。治療薬が比較的容易に吸入または鼻に導入され得ると、この免疫化モードは予想される患者のコンプライアンスの点で魅力的となる。更に、呼吸粘膜は、免疫化、特に進入口としての粘膜表面を冒すまたは利用する病原体に対する免疫化の点で他の非腸管外部位に比して或る形態学的、生理学的及び免疫学的効果を呈する。これは、前記病原体に対する効果的なワクチン化には通常粘膜が分泌IgA(sIgA)アイソタイプの局所産生抗体で十分に保護されなければならないからである。ワクチンを腸管外投与すると粘膜表面は通常IgAで十分に保護されず、粘膜関連リンパ組織(MALT)の免疫応答要素に対して抗原物質がうまく送達されると免疫系の粘膜アームが激しく刺激され得ることが現在明らかである。共通の粘膜免疫系(CMIS)を利用して、単一部位でのワクチンの粘膜投与により幾つかの異種粘膜表面が保護され得ることが実現可能となる。粘膜ワクチン化は、抗原物質が上皮下区画から全身免疫応答組織(例えば、脾臓)へ転位するためにある程度の全身免疫が局所応答に応じて誘導され得るという追加の効果を発揮する。
【0004】
非腸管外免疫化が好ましい論理的・免疫学的因子にもかかわらず、抗原性タンパク質を例えば胃腸管または気道に単純に粘膜投与することは通常ワクチン化の点で有効でない。酵素または化学的分解と上皮下区画への吸収が弱いために、粘膜投与したワクチンは通常幾つかの形態のアジュバントまたは送達ベシクルを必要とする。1つの方法は、抗原性物質をポリ−DL−ラクチド(PLA)ミクロスフェアのような微粒状ポリマー担体内にカプセル化することである(Vaccine,12:5−11(1994))。この方法は、不安定なワクチンを内腔分解から保護し、粘膜及び全身区画への吸着を高めるのに役立つ(J.H.Eldridgeら,Seminars in Hematology,30,16−25(1993))。マイクロカプセル化は可溶性抗原性分子を粒状物質に変換し、よって抗原提示細胞(APC)(Y.Tabataら,Adv.Polym.Sci.,94,107−141(1990);L.Vidardら,J.Immunol.,156:2809−2818(1996);N.Van Rooijen,Immunol.Today,11,436−439(1990))またはリンパ小胞中のミクロホールド細胞(M−細胞)(R.I.Walkerら,Vaccine,12,387(1994);D.T.O’Haganら,Vaccine,7,421−424(1989);P.G.Jenkinsら,J.Drug Targetting,3,79−81(1995))へのワクチンの取り込みを促進させることにより有用であり得ることは立証されている。
【0005】
余り研究されていないが、鼻腔内(i.n.)ルートはワクチンの粘膜送達のための魅力的なルートである。鼻上皮は接近しやすく、高分子量分子を余り排除しない。
【0006】
気道上皮を覆う粘膜表層の厚さは他の粘膜に比して比較的薄く、例えば腸粘膜の500分の1の厚さである。胃腸管に比べて気道では蛋白分解酵素の濃度が実質的に低く、pHは両端である。
【0007】
更に、鼻関連リンパ組織(NALT)が腸粘膜のように選択的抗原摂取のためにM−細胞を含むリンパ上皮を有することは現在知られている(P.Brandenburg,「肺及び上気道の免疫学(Immunology of the Lung and Upper Respiratory Tract)」,Bienenstock J.編,ニューヨークに所在のMaGraw−Hill(1974年)出版,p.28−95)。NALTは、抗原サーベイランス並びに粘膜及び全身免疫応答の誘導の点で他のMALT、例えば消化管関連リンパ組織(GALT)と同様の役割を発揮する。
【0008】
筋肉内投与用破傷風ワクチンのカプセル化において高分子量ポリマーを使用することは公知である(Vaccine,12:4,299−306(1994))。鼻腔内に適用されるリシン毒素を含むマイクロカプセル化ワクチン処方物も公知である(Vaccine,14:11,1031(1994))。しかしながら、いずれの場合も、高分子量(94kDa)ポリマーミクロスフェアの効果は低分子量(72kDa)コポリマーから作成したものよりも劣る。
【0009】
ペスト菌に対する免疫応答を生じさせる際に使用するためのミクロスフェアの作製において高分子量ポリマー(PLA100kDa)を使用することは既にImmunology,92,Suppl.1,56(1997)及びJ.Pharm.Pharmacol.49,Suppl,4,85(1997)に記載されている。しかしながら、この場合組成物は複数回鼻腔内投与されていた(すなわち、初期投与後1回以上追加投与された)。
【0010】
ワクチンのような医薬の追加投与の必要性を最小限とするかまたは排除することが望ましい。これは、反復投与は患者にとって不都合であり、費用がかかるからである。
【0011】
アジュバントを使用してワクチン組成物のような医薬組成物の効果を高める試みもなされてきた。米国特許第5,643,605号明細書は、主にアジュバントを低粘度ポリマーでカプセル化して約20〜100μmの平均直径を有するミクロスフェアを形成する方法及び組成物を記載している。すなわち、この組成物は直径20μm以上のミクロスフェアを含んでいる。
【0012】
本発明者らは、特定のマイクロカプセル化処方物が粘膜表面に適用したときに高レベルの効果を生ずることを知見した。例えば、ワクチンの場合、ワクチンはアジュバントを使用せずに通常1回投与で投与され得る。
【0013】
「1回投与(single dose)」は追加投与せずに医薬、特にワクチンを適用することを意味する。
【0014】
従って、本発明は生物学的効果を生じ得る物質を含み、前記物質の第1量が94kDaを超える分子量を有するポリマーからなり且つ20μmの最大直径を有するミクロスフェア内にカプセル化されており、前記物質の第2量は前記第1量よりも高いバイオアベイラビリティを有する形態を有していることを特徴とする粘膜表面へ適用するための医薬組成物を提供する。
【0015】
好適な生物学的効果はワクチンのような防御免疫応答を生ずるものであるが、他の医薬活性化合物も使用し得る。特に、他の好適な生物活性化合物はCNS活性薬物、鎮痛薬(例えば、中枢作用性鎮痛薬)、疼痛緩和薬(例えば、モルヒネ類似体)及びホルモン(例えば、インスリン)のような医薬である。
【0016】
活性物質の第2量の高いバイオアベイラビリティとは、前記物質を投与したときにレシピエントの器官系に非常に速やかに取り込まれることを意味する。従って、迅速且つ高い免疫応答を達成するのに役立ち、ミクロスフェアからの物質のゆっくりとした放出により強化される。高分子量ポリマーミクロスフェアは、カプセル化されている物質の放出を遅らせる傾向にある。
【0017】
好適には、前記物質の第2量は組成物中で遊離状態である。或いは、少なくとも部分的にミクロスフェアの表面上に吸着しているかまたは前記表面に弱く結合している。
【0018】
或いは、第2量は本発明の組成物の一部をなす高い分子量ポリマーミクロスフェアを包囲しているかまたはミクロスフェアから分離している容易に分散可能なミクロスフェアまたはベシクルに包囲されていてもよい。
【0019】
好適には、ポリマーは100kDa以上の分子量を有する。好適なポリマーは、ミクロスフェアのような構造物を形成し得る水不溶性ポリマーである「構造ポリマー」からなる。前記ポリマーはマトリックス材料に構成され得、有機溶媒にのみ溶解し得る。本発明の組成物に使用するのに特に適したポリマーはポリ−(L−ラクチド)、すなわちPLAであるが、ポリ(乳酸/グリコール酸)、すなわちPGLAのような他の高分子量ポリマー材料も使用し得る。高い結晶化度(例えば、70%以上の結晶化度)を有する構造ポリマー、特にPLAが好ましい。前記ポリマーは高い粘度、例えば1.2dl/g以上、より好ましくは1.5dl/g以上の粘度を有する。
【0020】
しかしながら、ミクロスフェアは上記した高分子量ポリマーを好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも95%含む。特に、使用するポリマーは100%高分子量ポリマーPLAである。
【0021】
場合により、ミクロスフェアは更にポリビニルアルコールまたはメチルセルロースのようなエマルションを安定化させる物質、好ましくはポリビニルアルコールを含み得る。
【0022】
好適には、ミクロスフェアは上記した低分子量PLAまたはPGLAのような低分子量構造ポリマーを含まない。
【0023】
このようなミクロスフェアは最大直径20μmで非常に小さく、良好な流動特性を有する。好適には、ミクロスフェアが少なくとも2μm、好ましくは2〜15μm、より好ましくは2〜10μm、最も好ましくは4〜10μmの平均直径を有する。特定実施態様では、ミクロスフェアは約6μmの平均直径を有する。粒子の最大直径は好適には10μm、好ましくは7μm、より好ましくは6μmである。
【0024】
組成物中に使用される物質の第1量及び第2量の比は、使用する特定物質に応じて異なるが、通常1:2〜2:1、好ましくは約1:1である。
【0025】
前記組成物は通常医薬の投与において有効であるが、投与を受ける動物(特に、哺乳動物)において防御免疫応答を生じ得る生物活性物質を投与するために特に有効である。前記物質の例には、抗原性ポリペブチドの他前記ポリペプチドをコードし得、“DNA”ワクチンとして公知の核酸配列が含まれる。
【0026】
好適なポリペフチドはサブユニットワクチン等、例えばジフテリア毒素、破傷風毒素、ボツリヌス毒素FHc及び炭疽菌防御抗原(PA)である。
【0027】
本明細書中、用語「ポリペプチド」はタンパク質またはその抗原決定断片を含む。
好適なポリペプチドはサブユニットワクチンである。
【0028】
好ましい実施態様において、本発明の組成物はペスト菌に対して防御免疫応答を生じ得る生物活性物質を含む。前記物質としては、例えば国際特許出願公開第96/28551号パンフレットに記載されているようなサブユニットワクチンが好適である。前記特許明細書に記載されているワクチンはペスト菌のV抗原、その免疫学的に活性な断片またはその変異体とペスト菌のF1抗原、その免疫学的に活性な断片またはその変異体の組合せからなる。
【0029】
本明細書中、用語「断片」は少なくとも1つの抗原決定基を含む塩基配列の一部を指す。これらは欠失突然変異体であり得る。配列の1つ以上の抗原決定領域が一緒に結合されていてもよい。
【0030】
用語「変異体」は、配列中の1つ以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されている点で誘導元の塩基配列とは異なる核酸配列を指す。アミノ酸置換は、アミノ酸が大体類似の性質を有する別のアミノ酸で置換されている「保存的」と見做され得る。アミノ酸を異なる種類のアミノ酸で置換した非保存的置換もある。概して、ポリペプチドの生物学的活性を変更することなく数個を非保存的置換することも可能である。好適には、変異体は塩基配列に対して少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%相同である。
【0031】
特に、生物活性物質はペスト菌のV抗原とペスト菌のF1抗原またはその免疫学的活性断片の組合せからなる。好適には、前記した両抗原は組成物内の第1量及び第2量中に、好ましくは等しい比率で存在する。
【0032】
特に好ましい実施態様では、マウスに対するミクロスフェア調製物の各投与は前記抗原の各々を30〜50μg、最も好ましくは約40μg含む。好ましくは、ヒト及び動物に対する用量はmg/kg換算で同一のオーダーである。
【0033】
本発明のワクチン組成物は投与する生物活性物質に対する免疫応答を高めるためにアジュバントを含み得るが、アジュバントは必須でないことが判明し、組成物にアジュバントを配合しないことが好ましい。使用する場合、好適なアジュバントには医薬的に許容され得るアジュバント、例えばフロインド不完全アジュバント、アルヒドロゲル、アルミニウム化合物、及び好ましくは粘膜応答を上向きに調節することが公知のアジュバント(例えば、CTB、コレラ毒素(CT)の非毒性ペンタマーBサブユニットまたは大腸菌の突然変異非耐熱性毒素(mLT))が含まれる。
【0034】
他の種類のアジュバントは国際特許出願公開第00/56282号パンフレット、同第00/56362号パンフレット及び同第00/56361号パンフレットに記載されている。
【0035】
本発明の組成物は鼻腔内適用するのに特に適している。前記組成物は、場合により例えば凍結乾燥により保存されるミクロスフェアそのものであっても、またはミクロスフェアを医薬的に許容され得る担体または賦形剤と混合してもよい。好適な担体の例には、当業界で公知のように固体または液体担体が含まれる。本発明の特に好ましい実施態様では、組成物は液体担体、特にリン酸緩衝食塩液中にミクロスフェアを含む懸濁液からなる。
【0036】
更に、本発明は医薬組成物の製造方法を提供し、その方法は医薬活性物質を高分子量(特に、100kDa以上の分子量)を有するポリマー材料でカプセル化して20μmの最大直径を有するミクロスフェアを形成した後、前記ミクロスフェアをより高いバイオアベイラビリティ形態の更なる量の前記物質と混合することを含む。
【0037】
カプセル化は好適には二重エマルション溶媒蒸発法(double emulsion solvent evaporation method)を用いて実施される。この方法は医薬活性物質及び構造ポリマーを用いて第1エマルションを形成し、これを水性相(好適には、構造ポリマーを含まない)と混合して第2エマルションを形成し、溶媒を蒸発させ、小ミクロスフェアを単離することを含む。特に、医薬活性成分を場合によりPVAのような乳化剤を含む水溶液中に溶解または懸濁させる。存在させる場合、乳化剤は低濃度(例えば、5%w/v未満)で含有させる。次いで、前記溶液または懸濁液を、ジクロロメタンのような有機溶媒中に高分子量構造ポリマーを含む溶液と混合する。その後、特に混合物を超音波処理することにより第1エマルションを形成する。次いで、第1エマルションを、好ましくは乳化剤を含む第2水性相に激しく撹拌しながら添加する。その後、溶媒を好ましくは蒸発させる。蒸発は室温で実施するのが有利である。その後、ミクロスフェアを例えば遠心し、凍結乾燥することにより回収し得る。
【0038】
特に、本発明の方法は予防用または治療用ワクチンの製造方法であり、その方法は防御免疫応答を生じ得る物質を高分子量(特に、100kDa以上の分子量)を有するポリマー材料でカプセル化して20μm未満の最大直径を有するミクロスフェアを形成した後、前記ミクロスフェアをより高いバイオアベイラビリティ形態の更なる量の前記物質と混合することを含む。
【0039】
ミクロスフェアの形成方法は当業界で公知である。この方法には、乳化方法及び噴霧乾燥方法が含まれる。
【0040】
本発明のミクロスフェアは好適には二重エマルション溶媒蒸発法を用いて作成される。簡単に説明すると、(好適には、凍結乾燥状態の)生物活性物質をポリビニルアルコール(PVA)やメチルセルロースのようなポリマーの水溶液に懸濁させる。ジクロロメタンのような有機溶媒中に高分子量ポリマーを含む溶液を激しく撹拌しながら添加する。次いで、生じたエマルションをポリマー(PVA等)を含む第2水性相に激しく撹拌しながら滴下する。添加後、有機溶媒を蒸発除去し、得られたミクロスフェアを分離する。
【0041】
好適には、組成物は単位量剤型の形態を有する。これは、使用する活性物質の種類、患者の種類、治療する状態及び他の臨床因子に応じて変わる。しかしながら、本発明の組成物は通常約2〜10重量%の活性成分を含む。組成物中の高分子量ポリマーの量は70〜98重量%のオーダーである。
使用に際し、鼻腔投与のための妥当な用量は0.05〜0.2gのオーダーである。
【0042】
本発明の組成物にはワクチン組成物、特に1回投与ワクチン組成物が含まれる。
【0043】
更なる態様として、本発明は治療を要する哺乳動物の粘膜表面(特に、鼻粘膜表面)に対して上記した組成物の形態の生物活性物質を有効量投与することからなる哺乳動物の治療方法を提供する。
【0044】
特に、本発明の方法は哺乳動物を感染から防御する方法であり、その方法は哺乳動物の粘膜表面(特に、鼻粘膜表面)に対して上記した組成物の形態の防御免疫応答を生じ得る生物活性物質の有効量を1回投与することを含む。
【0045】
本出願人は、本発明の組成物の形態の組合せサブユニットワクチンを1回鼻腔内投与することにより実験動物をペスト菌での吸入攻撃から防御し得ることを立証した。本発明の組成物において使用される高分子量ポリマーは鼻腔内デリバリーに特に適しているようである。
【0046】
以下、本発明を例を用いて特に説明する。
【0047】
実施例1:ワクチン組成物の製造
ペスト菌(Yersinia pestis)のV抗原を大腸菌においてグルタチオン−s−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させた。Vタンパク質を融合タンパク質から因子Xa(Boehringer Mannheim UK Ltd)を用いて22℃で18時間開裂し、組み換えVタンパク質をS.Learyら(Infect.Immun.,255:193−198(1995))に記載されているようにアフィニティー吸着により精製した。化学的に調整した培地(pH7.4)で37℃で培養したペスト菌の上清から40%(w/v)硫酸アンモニウムを添加してF1抗原を沈降させ、pH8の20mM Tris−HClにおいてペレットを繰り返し再懸濁・遠心して精製した。
【0048】
実施例2:サブユニットのマイクロカプセル化
二重エマルション溶媒蒸発法(Y.Ogawaら,Chem.Pharm.Bull.,36:1095−1103(1988))の改変方法において分子量100kDaのポリ−L−ラクチド(米国のPolysciences Inc.)を用いた。簡単に説明すると、V(4.2mg)及び凍結乾燥したF1抗原(5.9mg)をポリビニルアルコール(PVA)13−22kDa(加水分解率88%)の2.5%水溶液(0.5ml)に懸濁した。この懸濁液を、HPLC等級ジクロロメタン(DMC)(5ml)に溶解した分子量100kDaのポリ−L−ラクチド(250mg)と混合し、混合物を氷上において60Wで2分間音波処理した。生じた第1エマルションを5%w/v PVA 13−23kDa(加水分解率88%)を含有する第2水性相(75ml)に添加し、Silversonホモジナイザー(英国のSilverson)を用いて最高速度で8分間激しく撹拌した。次いで、溶媒を周囲温度で蒸発させ、生じたミクロスフェア(MDVF)を超遠心により回収した後凍結乾燥した。凍結乾燥したミクロスフェアを標準的手順を用いて特定した。
【0049】
このようにすると、F1タンパク質及びVタンパク質は共に各スフェアにカプセル化されており、スフェア1mgは18〜20μgの各タンパク質(ミクロスフェア1mgあたり最大40μgのタンパク質)を含んでいた。
【0050】
実施例3:ミクロスフェアの特性付け
ミクロスフェアの形態を走査型電子顕微鏡(英国のCambridge Instruments,Stereoscan 90)を用いて調べた。粒径はレーザー回折(英国シュロップシャーに所在のMalvern Instruments Ltd.)により測定した。処方した粒子は6μmの体積平均径を有していることが判明した。走査型電子顕微鏡で目視するとミクロスフェアは滑らかな球であった。
【0051】
実施例4:マイクロカプセル化したF1+Vの1回鼻腔内デリバリーはマウスをペスト菌での攻撃から防御する
実施例2のMDVFミクロスフェアを滅菌食塩液中に含む懸濁液に遊離のF1タンパク質及びVタンパク質を添加した。各タンパク質18〜20μg(最大タンパク質40μg)を含有するスフェア及び遊離タンパク質各20μgを含む投与単位を作成した。
【0052】
デリバリーされるF1及びVの総用量は動物1匹あたり40μgであった。
マウスに対してリン酸緩衝食塩液50μl中に上記ミクロスフェアを含む懸濁液を1回だけ鼻腔内投与した。
【0053】
対照動物には、マウス1匹あたり40μgのF1+40μgのVの総用量を与えるように十分な遊離F1及びVタンパク質と「空」スフェアの混合物を投与した。「空」スフェアはタンパク質のカプセル化を実施しない以外は上記と同様にして作成したものである。
【0054】
免疫化したマウスを、1回初回投与してから60日目に104cfuの毒性ペスト菌、74日目に106cfuのペスト菌を皮下注射して攻撃した。免疫化したマウスの生存を下表に示す。
【0055】
【表1】
本発明の組成物がF1+V免疫原の初期バーストを送達し、その後良好な生存率を確保するのに有効なカプセル化タンパク質をより徐々に調整放出するという効果を有することが明らかであった。
Claims (12)
- 生物学的効果を生じ得る物質を含む、粘膜表面へ1回投与で投与するための医薬組成物であって、
前記物質の第1量は94kDaを超える分子量を有し、結晶化度が70%以上であり、1.2dL/g以上の粘度を有するポリマーからなり且つ20μmの最大直径を有するミクロスフェア内にカプセル化されており、
前記物質の第2量は組成物中で遊離しているかまたは少なくとも部分的にミクロスフェアの表面上に吸着されている、或いは容易に分散可能なミクロスフェアまたはベシクルでカプセル化されていることを特徴とする前記組成物。 - 生物学的効果を生じ得る物質が、該物質の投与を受ける動物において防御免疫応答を生じ得る物質であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の組成物。
- ポリマーが100kDa以上の分子量を有することを特徴とする請求の範囲第1項〜第2項のいずれか1項に記載の組成物。
- ポリマーがポリ−(L−ラクチド)からなることを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の組成物。
- ミクロスフェアが2〜15μmの体積平均径を有することを特徴する請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載の組成物。
- ミクロスフェアが2〜10μmの体積平均径を有することを特徴する請求の範囲第5項に記載の組成物。
- ミクロスフェアが10μmの最大直径を有することを特徴する請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1項に記載の組成物。
- 生物活性物質がペスト菌(Yersinia pestis)に対して防御免疫応答を生じ得ることを特徴とする請求の範囲第1項〜第7項のいずれか1項に記載の組成物。
- 生物活性物質がペスト菌のV抗原またはその免疫学的活性断片とペスト菌のF1抗原またはその免疫学的活性断片の組合せからなることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の組成物。
- 1回投与が1回接種ワクチンからなることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の組成物。
- 鼻腔内適用に適していることを特徴とする請求の範囲第1項〜第10項のいずれか1項に記載の組成物。
- リン酸緩衝生理食塩水中にミクロスフェアを含む懸濁液からなることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の組成物。
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