JP4931500B2 - 粉粒体吐出装置、農薬散布装置および農薬散布方法 - Google Patents
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Description
ストッキング等に農薬を詰めて吊り下げる方法では、農薬の自然落下により投入が行われるため、農薬の投入量の調整が難しかったことに加えて、農薬が吸湿、固着して散布されずに残ってしまうことがあった。
また、本発明の粉粒体吐出装置をダクト散布法に適用した場合、吐出体として棒状ブラシを使用していないので、ブラシの間に詰まった粉粒体が風圧により吐出されることがなく、粉粒体を定量的に吐出することができる。
このような構成によれば、吐出体の取り外しが可能なので、陥没部の体積が異なる吐出体に適宜付け替えることで、容易に粉粒体吐出量を変更することができる。
このような構成によれば、陥没部が吐出体に設けられた孔部であるので、陥没部がより多くの粉粒体を収容できる。また、ダクト散布法に適用した場合、粉粒体が送風装置の風で飛ばされやすくなるので、陥没部に粉粒体が残ることが防止され、粉粒体をより確実に、定量的に吐出することができる。
本発明によれば、上述の粉粒体吐出装置を用いて筒状体の内部に農薬を吐出するので、農薬を定量的に散布することができる。また、上述の粉粒体吐出装置は、吐出体として棒状ブラシを使用していないので、ブラシの間に詰まった粉粒体が風圧により吐出されることがなく、粉粒体を定量的に吐出することができる。
このような構成によれば、粉粒体吐出装置が送風装置の送風口付近に設置されるので、陥没部に収容された農薬を、送風装置からの送風によって確実に放出させることができ、陥没部に農薬が残ることが防止され、農薬をより確実に、定量的に散布することができる。
このような構成によれば、送風の方向と吐出体の孔部の軸方向とが同じなので、孔部に収容された農薬を、送風装置からの送風によって確実に放出させることができ、孔部に農薬が残ることが防止され、農薬をより確実に、定量的に散布することができる。
本発明によれば、上述の粉粒体吐出装置を用いて筒状体の内部に農薬を吐出するので、農薬を定量的に散布することができる。また、上述の粉粒体吐出装置は、吐出体として棒状ブラシを使用していないので、ブラシの間に詰まった粉粒体が風圧により吐出されることがなく、粉粒体を定量的に吐出することができる。
図1は、本実施形態の粉粒体吐出装置1の断面図である。
図1に示される粉粒体吐出装置1は、粉粒体である農薬3を吐出するものであり、吐出口4を有する容器2と、この容器2の内部に吐出口4に対し進退可能に設けられた吐出体20と、この吐出体20を吐出口4に対し上下に進退させる駆動部30であるソレノイド30aとを備えている。
また、容器2の下部は、内部に収納される農薬3を容器2のほぼ中心に流動させるために、容器2の下部に設けられている吐出口4に向かって収束するように形成されている。
なお、容器2の側面部には、粉粒体投入口21および蓋体22が設けられており、この粉粒体投入口21より吐出対象である農薬3等の粉粒体を投入することができる。
吐出体20は短冊状の樹脂部材からなる板部201と、板部201の上端部に設けられた円柱状の軸部202とから構成される。
板部201の正面、背面および両側面は、吐出口4に接しており、板部201の正面下部には陥没部203である円形の孔部203aが設けられている。板部201は、吐出口4に対して進退されるため、耐摩擦性、耐かじり性を考慮した材料で形成されていることが好ましい。
軸部202の上部は、容器2上部に配設されている駆動部30であるソレノイド30aに、取り外し可能に連結されている。
ソレノイド30aの動作を操作する制御パネル50には、電源の入/切を表示する電源ランプ51、ヒューズ52のほか、操作系として、ソレノイド30aの動作回数を表示することができる動作計数カウンター53、ソレノイド30aを動作させる回数を設定することができる動作カウンター54、ソレノイド30aの動作を開始する時刻を設定することができるタイマー55が、それぞれ設置されている。
また、粉粒体吐出装置1には固定部32が設けられており、固定部32を支柱33等に固定することにより、粉粒体吐出装置1が好適に固定されることになる。
まず、図3(A)に示すように、連結体31および吐出体20を引き上げた状態で、容器2側面の粉粒体投入口21から農薬3を投入する。次に、制御パネル50の動作カウンター54およびタイマー55を、それぞれ所望の条件に設定の上、図示しない電源を入れる。
タイマー55で設定した時間になると、ソレノイド30aに電流が印加され、ソレノイド30aの連結体31が上下運動し、それに伴って、連結体31に連結された吐出体20が、吐出口4に対し上下に進退される。なお、図3(A)は吐出体20が上がった状態、図3(B)は、吐出体20が下がった状態をそれぞれ示している。
なお、ソレノイド30aの上下運動の回数は、適宜動作計数カウンター53に表示され、上下運動の回数が動作カウンター54に設定した回数に達すると、ソレノイド30aへの電流供給が止められ、上下運動が停止する。
図4に示される農薬散布装置10において、1は粉粒体吐出装置、60は筒状体であるダクト、61は散布口、70は送風装置、75は作物である。なお、農薬散布装置10は、図示しない温室ハウス内に設置されている。
取付部63は、ダクト60の外周面上部に設けられた円形の開口部631と、開口部631の一端にダクト60の軸方向に平行に設けられたスリット632と、スリット632を挟むように設けられたテープ633aおよび633bとから構成されている。開口部631は、粉粒体吐出装置1のツバ42よりも小さい。テープ633aおよび633bは、いわゆるマジックテープ(登録商標)である。
なお、ダクト60における農薬3の投入位置となる取付部63は、ダクト60内での農薬3の搬送を効率よく行うため、送風装置70の送風口71付近に設けられている。
このとき、粉粒体吐出装置1は、孔部203aの軸方向と送風装置70の送風方向とが同一となるように設置される。
容器2内に農薬3が投入された粉粒体吐出装置1を、ダクト60の所定位置に設けられた取付部63に設置し、前記した動作に従って、ダクト60内部に対して農薬3を吐出する。
ダクト60内部では、送風装置70から断続的に風が流れているため、ダクト60内部に吐出された農薬3は、ダクト60内部を漂流する。
ダクト60内部を漂流した粉粒状の農薬3は、ダクト60の側面に設けられた散布口61からダクト外に排出され、温室ハウス内の作物75に対して好適に散布される。
粉粒体吐出装置1において、
(1)ソレノイド30aが一回動作するごとに、孔部203aの体積に相当する一定量の農薬3が容器外に吐出されるので、農薬3を定量的に吐出することができる。
(2)吐出体20が進退する際、突起部204が容器2内の農薬3を掻き回すので、農薬3の固着を防ぐことができる。
(3)吐出体20の取り外しが可能なので、陥没部203の体積が異なる吐出体20に適宜付け替えることで、容易に農薬3の吐出量を変更することができる。
(5)作業者が直接農薬3をダクト60内部へ投入することがなくなるので、農薬散布時に農薬を吸引するおそれがなくなり、マスクの着用も必要なく、安全に作業を行うことができる。
(6)農薬3が容器2に封入されている状態で吐出されていくので、農薬3への湿気の浸入を好適に防止することができる。
(8)吐出体20の上下方向への進退がソレノイド30aにより行われるようにしているので、吐出体20の駆動を正確かつ確実に行うことができ、農薬3の定量的な吐出が一層促進されることになる。
(9)吐出体20が駆動部30に対して連接されている構成をとるため、駆動部30による吐出体20の駆動をよりスムースに行うことができる。
(10)吐出体20として棒状ブラシを使用していない粉粒体吐出装置1を用いてダクト60の内部に農薬3を吐出するので、ブラシの間に詰まった農薬3が風圧により吐出されることがなく、農薬3を定量的に吐出することができる。また、ブラシ状の吐出体20を用いる場合と異なり、農薬3の吐出量が、送風装置70からの風圧の違いや容器2の振動などによる影響を受けにくいので、使用条件の詳細な調整を必要としない。
(11)ダクト60の内部を流れる空気によって、粉粒体吐出装置1から吐出される農薬3が好適に搬送されるので、ダクトに設けられた散布口61から、農薬散布装置10が適用される施設内に対して、農薬3を効率よく、かつ、まんべんなく散布させることができる。
(13)送風装置70による送風の方向と吐出体20の孔部203aの軸方向が同じなので、孔部203aに収容された農薬3を、送風によって確実に放出させることができ、孔部203aに農薬3が残ることが防止され、農薬3をより確実に、定量的に散布することができる。
(14)送風装置70による送風が止まって、ダクト60が萎んだ場合でも、粉粒体吐出装置1のツバ42が、ダクト60の開口部631に係止され、粉粒体吐出装置1がダクト60から外れることがなく、吐出口4が常にダクト60内にある状態に保たれるので、農薬3の散布を確実に行うことができる。
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれるものである。
(i)本実施形態において、農薬散布装置10に適用する都合上、粉粒体吐出装置1で吐出する粉粒体は農薬3としたが、これに限定されない。たとえば、凝集剤、吸着剤、触媒、中和剤、消臭剤や畜産の飼料などを吐出することもできる。
(iii)陥没部203の形状および個数は、本実施形態で述べたものに限定されない。たとえば、陥没部203は、図6に示すような球形であってもよい。また、陥没部203を孔部203aとする場合、その断面は円形に限らず、四角形などの多角形であってもよい。これらの場合でも、陥没部203は農薬3を収容することができ、定量的な農薬3の吐出が可能である。
(v)吐出口4の位置は、本実施形態で述べた容器2下部に限定されない。たとえば、容器2側面に、水平方向、斜め方向に設けてもよい。ただし、吐出口4の向きに合わせて、駆動部30を配置する必要がある。
開放状態にすることにより、ダクト60の側面部に設けられる散布口61に加えて、開放状態の端部62bからも農薬3がダクト60の外部に排出されることとなり、農薬3が温室ハウス等の施設内の作物75に対してより一層好適に散布される。
(vii)吐出体20を上下に進退させる駆動部30として、ソレノイド30aを示したが、これには限定されず、例えば、同様な上下運動の動作をすることが可能なエアーシリンダや、クランクによる往復運動を備えた機構等を用いてもよい。これらを使用することによっても、前記したソレノイド30aが奏する効果と同様な効果を享受することができる。
(ix)固定部32を支柱33に固定することにより粉粒体吐出装置1を固定する態様を示したが、これに限定されない。たとえば、粉粒体吐出装置1は、チェーンや針金などで温室ハウスの天井などから吊り下げる構成としてもよい。
また、固定部32の端面、あるいは駆動部30の側面に磁石を設け、この磁石によって送風装置70の側面など金属製の固定物に、粉粒体吐出装置1を固定する構成としてもよい。このような構成によれば、温室ハウス内に支柱33を設ける必要がなく、経済的である。
本実施形態において、粉粒体吐出装置1の駆動部30と制御部とは隣接して設けられているが、これに限定されない。たとえば、粉粒体吐出装置1は、駆動部30とは別個に、制御部を内臓した制御ユニットを有し、この制御ユニットから有線または無線で駆動部30の制御信号が発信され、この制御信号を受信して駆動部30が動作する構成としてもよい。このような構成によれば、駆動部30を遠隔操作することができる。
また、複数の粉粒体吐出装置1の駆動部30を、一つの制御ユニットで制御するように構成してもよい。このような構成によれば、たとえば、粉粒体吐出装置1を農薬散布装置10に適用するときに、一つの制御ユニットで複数の温室ハウスに対する農薬3の散布を制御することができ、作業の効率化が図れる。ここで、制御ユニットに送風装置70の制御機能を内蔵させれば、送風装置70の制御と農薬3の散布の制御とを一度に行うことができ、送風装置70の駆動と農薬3の散布を連動させることなども可能で、作業のさらなる効率化が望める。
[実施例]
前記実施形態の粉粒体吐出装置1を用いて各種の粉粒体を吐出し、その吐出量を測定した。
容器2は、500mlの容量を備えるポリエチレンテレフタレート製のものを使用した。吐出体20は、厚さ3mmの板部201に直径8mmの孔部203aを有するものを使用した。
粉粒体の吐出は、屋外にて行った。測定は一日一回(13時ころ)、51日間にわたって行い、測定時の天候を記録した。
吐出体20を引き上げた状態で、容器2側面の粉粒体投入口21から各種粉粒体を100g投入した。
次に、吐出口4の下部に、吐出された粉粒体を収容する受け器を設置した。なお、前もって受け器の空の状態での質量を測定した。吐出された粉粒体が、風によって受け器外部に漏れることを防ぐため、粉粒体吐出装置1のつば42と、受け器の口とを覆うようにビニール製のシートを被せた。
実施例および以下に示す比較例について、測定時の天候、粉粒体の総吐出量、ソレノイド30aの動作回数および動作一回あたりの吐出量を表1に、動作一回あたりの吐出量の測定日ごとの変化を図7に示す。
板部201および突起部204を備えず先端部がブラシ状の吐出体20(特許文献1参照)と、これに合わせた形状のキャップ41とを使用した。また、動作カウンター54を使用して、ソレノイド30aの動作回数が実施例で記録した回数と同じになるように設定した。これ以外は実施例と同様に行った。
表1および図7から明らかなように、本発明の粉粒体吐出装置1は、実施例において、吐出量のばらつきが小さく、粉粒体を定量的に吐出していることがわかる。一方、比較例においては、吐出体20の先端部がブラシ状なので、粉粒体の吐出量に大きなばらつきがみられた。
表1のデータを用いて求めた動作一回あたりの吐出量の標準偏差は、実施例では0.003、比較例では0.010であった。標準偏差の数値から、本発明の粉粒体吐出装置1は、粉粒体を定量的に吐出していることがわかる。
2 容器
3 農薬
4 吐出口
10 農薬散布装置
20 吐出体
30 駆動部
30a ソレノイド
31 連結体
60 ダクト
61 散布口
63 取付部
70 送風装置
71 送風口
201 板部
202 軸部
203 陥没部
203a 孔部
204 突起部
Claims (7)
- 吐出口を有する容器を備え、前記容器に収容された粉粒体を前記吐出口から吐出する粉粒体吐出装置であって、
前記吐出口に対し進退可能に設けられ、前記吐出口の内面に当接する側面の一部に陥没部が形成された板部を含む吐出体と、この吐出体を前記陥没部が前記容器の前記吐出口から外部に突出する位置と前記容器の内部の位置との間で進退させる駆動部と、前記吐出体の前記陥没部より前記容器内部側の部分に設けられ前記吐出体の進退方向に対して交差する突起部と、を有することを特徴とする粉粒体吐出装置。 - 請求項1に記載の粉粒体吐出装置において、
前記吐出体は、前記駆動部に取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする粉粒体吐出装置。 - 請求項1または請求項2に記載の粉粒体吐出装置において、
前記吐出体の前記陥没部が、前記吐出体に設けられた孔部であることを特徴とする粉粒体吐出装置。 - 一方の端部が空気を送風可能な送風装置に連接され、他方の端部および/または側面部に対して散布口が形成された筒状体の内部を流れる空気に農薬を搬送させ、前記散布口から前記空気とともに前記農薬を前記筒状体の外部に散布することができる農薬散布装置であって、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の粉粒体吐出装置を、前記吐出口から前記筒状体の内部に対して前記容器内の前記農薬を吐出可能なように設置したことを特徴とする農薬散布装置。 - 請求項4に記載の農薬散布装置において、
前記粉粒体吐出装置が、前記送風装置の送風口付近に設置されることを特徴とする農薬散布装置。 - 請求項5に記載の農薬散布装置において、
前記吐出体の前記陥没部が、前記吐出体に設けられた孔部であり、
この孔部の軸方向が、前記送風装置の送風方向と略同一になるように前記粉粒体吐出装置が設置されることを特徴とする農薬散布装置。 - 一方の端部が空気を送風可能な送風装置に連接され、他方の端部および/または側面部に対して散布口が形成された筒状体の内部に対して、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の粉粒体吐出装置の前記吐出口から農薬を吐出して、
前記筒状体内部を流れる前記空気に前記農薬を搬送させ、
前記筒状体の前記散布口から前記空気とともに前記農薬を前記筒状体の外部に散布することを特徴とする農薬散布方法。
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