JP4906989B2 - Manufacturing method of sheet for simultaneous injection molding - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特にオレフィン系樹脂からなる樹脂成形物にも密着良くラミネートできる射出成形同時絵付用シートの製造方法に関する。特に、カールが少ない射出成形同時絵付用シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、樹脂成形物の表面を絵付した絵付成形品が各種用途で使用されている。例えば、特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に開示の射出成形同時絵付方法等では、射出成形同時絵付用シートを射出成形の雌雄両型間に配置した後、溶融樹脂をキャビティ内に射出充填することで、樹脂成形物の成形と同時にその表面に射出成形同時絵付用シートを接着積層して、該シートで絵付された絵付成形品を得る方法を開示している。
【0003】
ところで、従来、射出成形同時絵付方法にて、樹脂成形物に使用する射出成形樹脂としては、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が多かった。この為、射出成形同時絵付方法にて樹脂成形物表面に積層する為に用いるラミネートタイプの射出成形同時絵付用シートについても、これらの射出成形樹脂に接着が良い仕様のものが一般的であった。
また、得られる絵付成形品に塗装感や表面艶等の意匠性を付与して高級感を出すとともに十分な耐擦傷性、耐候性等の表面物性も得る為に、最表面層となる表面シートには、アクリル樹脂シート等を使用していた。
【0004】
(1)例えば、特開平11−91041号公報に記載の如く、(1)表面シートには、透明性に優れたポリメチルメタクリレート(PMMA)等の透明なアクリル樹脂シートを使用し、裏面側の基材シートにABS樹脂シートを使用し、これらの間に、装飾層等を形成した射出成形同時絵付用シートである。
但し、特に最近になって要求が多い、ポリプロピレン等の安価なポリオレフィン系樹脂の射出成形樹脂に対しては、密着性が悪かった。
【0005】
(2)また、例えば特開平10−128789号公報に記載されている如く、基材シート兼表面シートとして、透明なアクリル樹脂シートを使用し、その裏面側に装飾層を印刷形成し、最裏面層として、ポリオレフィン系樹脂に密着する接着剤を塗布形成した構成の射出成形同時絵付用シートでは、ポリオレフィン系樹脂への密着は良くなる。しかし、アクリル樹脂シートの成膜技術及びコストの点で、アクリル樹脂シートの厚みは0.1〜0.2mmとなる為に、基材シートとしての腰が無く、シートのハンドリングが難しい上、カールも大きかった。
【0006】
(3)そこで、本発明者は、特願平11−91537号で、表面シートにはアクリル樹脂を使用し、基材シートにはポリオレフィン系樹脂を使用し、これら間に装飾層等を設けた構成の射出成形同時絵付用シートを提案した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(3)の構成の射出成形同時絵付用シートは、確かに、ポリオレフィン系樹脂に対する密着性は良くなるが、カールが発生する事があった。この為、射出成形同時絵付時にシートを搬送する際、カールしたシートが装置に引っ掛かったりする不具合が発生した。また、シートを射出成形型に固定する際に、シートがカールしていると、シートの位置決めが不正確となる事もあった。また、射出成形型とは別の型でシートの予備成形をするオフライン予備成形を採用する形態の射出成形同時絵付では、予備成形後、シートを予備成形型から取り外した後、射出成形型にセットする必要があるので、カールの問題は特に大きかった。
【0008】
ただ、カール低減策としては、表面シートのアクリル樹脂と、基材シートのポリオレフィン系樹脂とは、他の樹脂に変更せず、そのままとする策が望まれた。それは、あくまでも、最表面となる表面シートには、透明性、耐候性等の点で、アクリル樹脂が優れており、また、最裏面となる基材シートにはポリオレフィン系樹脂との密着の点で、ポリオレフィン系樹脂が優れているからである。したがって、表面シートにはアクリル樹脂を用い、基材シートにはポリオレフィン系樹脂を用いる事を前提とした上で、カールを減らす必要があったからである。
【0009】
そこで、本発明の課題は、ラミネートタイプの射出成形同時絵付用シートの製造方法において、該絵付用シートを用いて得られる絵付成形品に十分な透明性及び表面物性を付与できる上、射出成形樹脂として、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を用いても密着良く樹脂成形物に積層でき、その上、カールが少なく射出成形同時絵付を円滑に行える様にする事である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明は、印刷用ないし塗工用基材である表面シート上に直接に印刷ないし塗工により装飾層を形成し、該装飾層上に基材シートを積層するラミネートタイプの射出成形同時絵付用シートの製造方法において、該表面シートが透明アクリル樹脂の表面シート、該基材シートがポリオレフィン系樹脂からなる基材シート、該表面シートと基材シートとの厚み比が、表面シート厚み/基材シート厚み≦0.35である、構成とした。
【0011】
この様に、ラミネート後に最表面層となる表面シートに透明アクリル樹脂を採用し、一方、樹脂成形物に接する最裏面層となる基材シートには、ポリオレフィン系樹脂を採用し、装飾層をこれらの間に設ける事で、得られる絵付成形品に優れた透明性及び表面物性を付与できる上、特にポリオレフィン系樹脂の樹脂成形物に密着良くラミネートできる。しかも、表面シートと基材シートとの厚み比を、上記の如く特定して、表面シートの厚みが基材シートの厚みに比べて、特定厚み比以下としたので、カールを確実に少なくできる。したがって、特に射出成形型とは別の予備成形するオフライン予備成形等の形態による射出成形同時絵付において、射出成形同時絵付用シートの機械的搬送、正確な位置決めが円滑に行え、ハンドリング性に優れている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、図1は表面シートと基材シートとの厚み比と、カールの度合いとの関係を概念的に示す説明図、図2及び図3は本発明の射出成形同時絵付用シートの層構成のうちの幾つかを例示する断面図、図4は本発明の射出成形同時絵付用シートの用途である射出成形同時絵付方法を説明する概念図、図5は本発明の射出成形同時絵付用シートを用いて得られる絵付成形品を例示する断面図、図6は カールの測定法の説明図である。
【0013】
〔表面シートと基材シートの厚み比〕
本発明では、透明アクリル樹脂の表面シートと、ポリオレフィン系樹脂の基材シートとの厚み比、すなわち基材シートの厚みに対する表面シートの厚みの割合である、「表面シートの厚み/基材シートの厚み」は、0.35以下とする。図1は、試作実験の結果得られた知見であり、表面シートと基材シートの厚み比と、カールの度合いとの関係を概念的に示した概念図であり、同図の如く、該厚み比が0.35を境に、その前後でカールの度合いが急激に変化し、厚み比を0.35以下とすれば、カールは射出成形同時絵付用シートが使用可能な程度に良好となる。
【0014】
この様な現象は、推察するに、透明アクリル樹脂の表面シートの基材シートの厚みに対する比率が大きい場合、該表面シートの加熱収縮率の大きさの影響を受けやすくなり、カールが大きくなると思われる。この為、上記特定の厚み比とすれば、透明アクリル樹脂からなる表面シートの加熱収縮率の大きさの影響を低減し、カールを確実に少なくできる様になると思われる。
【0015】
なお、上記厚み比の下限は、もちろんゼロ(表面シート無しの構成)では無いが、実用上用意できる透明アクリル樹脂シートの厚みの下限値の制約を受ける。ちなみに、耐候性、表面の耐摩耗性等の点から、透明アクリル樹脂の表面シートの厚みは30μm以上、より好ましくは50μm以上である。したがって、仮に表面シートに厚み35μmのシートを使用するには、上記厚み比を0.35以下とするには、基材シートには厚みが100μm以上のシートを使用すれば良い。また、逆に、基材シートに厚み400μmのシートを使用する場合には、表面シートには、厚み140μm以下のシートを使用すれば良い事になる。
【0016】
〔射出成形同時絵付用シートの層構成〕
ここで、図2及び図3の断面図により、本発明の射出成形同時絵付用シートの層構成のうちの幾つかを例示しておく。
【0017】
図2(A)で例示する射出成形同時絵付用シートSは、最表面層となる透明アクリル樹脂の表面シート1に、装飾層2、プライマー層4、接着剤層5、そしてポリオレフィン系樹脂からなる基材シート3が、この順に積層された構成のものである。この様に、本発明の射出成形同時絵付用シートは、基本的には、表面シート1、装飾層2、基材シート3が積層された構成であるが、必要に応じ適宜、他の層(同図ではプライマー層4、接着剤層5)を層間に設けても良い。
また、図2(B)で例示する射出成形同時絵付用シートSは、図2(A)の構成に対して接着剤層5が省略された構成であり、最表面層となる透明アクリル樹脂の表面シート1に、装飾層2、プライマー層4、そしてポリオレフィン系樹脂からなる基材シート3が、この順に積層された構成のシートである。
【0018】
また、図3(A)で例示する射出成形同時絵付用シートSの如く、基材シート3は複層でも良い。ちなみに、図3(A)の射出成形同時絵付用シートSは、2層の基材シート3の一例である。その他の層構成は、図2(B)と同じで、表面シート1に、装飾層2、プライマー層4、そして表側となる基材シート3A及び裏側となる基材シート3Bとからなる基材シート3が積層された構成のシートである。また、図3(B)は、図3(A)にて、基材シート3が基材シート3Aと基材シート3Bとが接着層6を介して積層した層構成例の射出成形同時絵付用シートSである。
【0019】
次に、各層について更に詳述する。
【0020】
〔表面シート〕
表面シート1は、透明アクリル樹脂からなる透明な樹脂シートである。透明アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等のアクリル樹脂〔但し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味〕を単体又は2種以上の混合物として用いる。表面シートに良好な耐擦傷性を付与する為に、透明アクリル樹脂には、滑剤として炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤等の滑剤を添加すると好ましい。但し、滑剤を添加し過ぎると射出成形同時絵付時に型内でシートが滑って、シワ、歪み等を生じ易くなる。その為、滑剤は表面シートの動摩擦係数が0.2〜0.9になる様に添加すると良い。添加量でいうと0.1〜0.5重量%程度である。なお、表面シートは単層の他、2層以上の積層体の透明アクリル樹脂シートとして用いても良い。また、透明とは通常は無着色透明だが、必要に応じ適宜公知の着色剤の添加によって着色透明としても良い。表面シートに透明アクリル樹脂を使用し、装飾層をその下層とする事で、透明アクリル樹脂による優れた透明性によって塗装感や表面艶等の高級感溢れる意匠性を付与出来る事になる。また、ポリオレフィン系樹脂等にくらべて、耐候性及び耐擦傷性等の表面物性も良好にできる。
【0021】
なお、表面シートの厚みは、前述した厚み比の条件を満たせば、特に制限は無い。表面シートは、通常は20〜200μm程度とする。但し、前述の如く、耐候性、表面の耐摩耗性等の点から、表面シートの厚みは30μm以上、より好ましくは50μm以上とするのが良い。
【0022】
〔装飾層〕
装飾層2は、印刷等で例えば絵柄等を表現した層である。装飾層の材料としては特に制限は無い。表面シートや基材シート等の隣接する層に密着良く積層できれば良い。装飾層2による絵柄は、例えば、木目、石目、布目、砂目、皮絞模様、幾何学模様、文字、記号、全面ベタ等と任意である。
【0023】
装飾層2は、通常は印刷インキ又は塗料で、公知の印刷又は塗工法(塗工法は全ベタ柄のとき)により形成する。通常、装飾層2は、表面シート1に対して形成する。そして、装飾層が形成された表面シートを、間に必要に応じ適宜プライマー層4或いは更に接着剤層5等を介して、基材シート3と、ドライラミネーション法等の公知の積層法で積層して射出成形同時絵付用シートとする。
【0024】
また、上記印刷インキ(或いは塗料)に用いる着色剤は公知の染料や顔料で良く、例えばチタン白、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、コバルトブルー等の無機顔料、アニリンブラック、フタロシアニンブルー、イソインドリノン、キナクリドン等の有機顔料、アルミニウム箔粉等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢(パール)顔料、その他染料等を用いる。
【0025】
また、装飾層2(或いは、印刷インキや塗料)のバインダーの樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂等の公知の樹脂から適宜なものを使用すれば良い。
【0026】
なお、このバインダーの樹脂としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との混合物、或いはアクリルウレタン樹脂を、主成分として使用するのは、射出成形同時絵付用シート自体の層内の密着性の点で好ましい一態様である。ちなみに、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との混合物の組み合わせは、アクリル樹脂は表面シートとの密着性向上に寄与し、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は印刷適性や成形適性向上に寄与する。また、アクリルウレタン樹脂は、その単体でそれら適性を満足させる事ができる。
【0027】
上記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、通常、酢酸ビニル含有量が5〜20重量%程度、平均重合度350〜900程度のものが用いられる。また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、必要に応じ、更にマレイン酸、フマル酸等のカルボン酸を共重合させたものでも良い。
【0028】
上記アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等のアクリル樹脂、或いは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて得られるアクリルポリオール等のアクリル樹脂を、単体又は2種以上混合して使用する。なお、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートの意味である。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との混合比は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体/アクリル樹脂=1/9〜9/1(重量比)程度である。
【0029】
上記アクリルウレタン樹脂としては、2液硬化型のアクリルウレタン樹脂、或いは熱可塑性のアクリルウレタン樹脂等を使用すれば良い。
【0030】
例えば、2液硬化型のアクリルウレタン樹脂は、アクリルポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。
アクリルポリオールとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、オクチル(メタ)アクリレート−エチルヘキシル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等を単体又は2種以上混合して使用する。
また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネート、或いはまた、上記各種イソシアネートの付加体、又は多量体を用いる事もできる。例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等がある。
また、熱可塑性のアクリルウレタン樹脂は、例えば2価のアクリルポリオールと2価のイソシアネートとをウレタン結合させて得られる様な、線状高分子からなる。
【0031】
なお、バインダーの樹脂の主成分として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との混合物、或いはアクリルウレタン樹脂を使用する場合、副成分の樹脂として、必要に応じて、適宜、主成分とする樹脂以外のその他の樹脂、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性や2液硬化型等の(アクリルウレタン樹脂以外の)ウレタン樹脂等の樹脂を併用しても良い。
【0032】
なお、装飾層としては、木目柄等による装飾目的の層の他に、クロム、アルミニウム等の金属の薄膜層、銀粉等の導電性粉末をバインダー中に分散させた、導電性層等の機能層でも良い。
【0033】
〔基材シート〕
基材シート3は、射出成形同時絵付用シートの最裏面層となる層であり、この基材シートにポリオレフィン系樹脂からなるシートを用いる事によって、射出成形同時絵付用シートを、ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成形物に密着良くラミネ−トできる様になる。もちろん、射出成形同時絵付用シートのカールを確実に減らす点で、基材シートには、表面シートとの前述した特定の厚み比関係を満たす厚みのシートを使用する。
【0034】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(低密度、中密度、又は高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂、或いは各種のオレフィン系熱可塑性エラストマーが用いられる。オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば下記のものが使用できる。
【0035】
(1)特公平6−23278号公報記載の、(A) ソフトセグメントとして、数平均分子量Mnが25,000以上、且つ、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレン10〜90重量%と、(B) ハードセグメントとして、メルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜10重量%、との混合物からなる軟質ポリプロピレン。
なお、特に成形性を良好にし、印刷適性(見当精度)とも両立させるには、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンとの混合割合は、アタクチックポリプロピレンの重量比で下限は5重量%以上、上限は50重量%以下、より好ましくは40重量%以下が好ましい。
【0036】
(2)エチレン−プロピレン−ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマー。ここで、そのブテンとして、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレンの3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共重合体としては、ランダム共重合体で、非晶質の部分を一部含む上記エチレン−プロピレン−ブテン共重合体の好ましい具体例としては次の(i) 〜(iii) が挙げられる。
(i) 特開平9−111055号公報記載のもの。これは、エチレン、プロピレン及びブテンの三元共重合体によるランダム共重合体である。単量体成分の重量比はプロピレンが90重量%以上とする。メルトフローレートは、230℃、2.16kgで1〜50g/10分のものが好適である。そして、このような三元ランダム共重合体100重量部に対して、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50重量部、炭素数12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3重量部を熔融混練してなるものである。
(ii)特開平5−77371号公報記載のもの。これは、エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体であって、プロピレン成分含有率が50重量%以上の非晶質重合体20〜100重量%に、結晶質ポリプロピレンを80〜0重量%添加してなるものである。
(iii) 特開平7−316358号公報記載のもの。これは、エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体であって、プロピレン及び/又は1−ブテンの含有率が50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に対して、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶質ポリオレフィン80〜0重量%を混合した組成物に対して、N−アシルアミノ酸アミン塩、N−アシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤を0.5重量%添加してなるものである。
【0037】
なお、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体樹脂は、単独で用いても良いし、上記(i) 〜(iii) に必要に応じ更に他のポリオレフィン系樹脂を混合して用いても良い。
【0038】
(3)特公昭53−21021号公報記載の如き、(A) ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のオレフィン重合体(結晶性高分子)をハードセグメントとし、これに(B) 部分架橋したエチレン−プロピレン共重合体ゴム、不飽和エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のモノオレフィン共重合体ゴムをソフトセグメントとし、これらを均一に配合し混合してなるオレフィン系エラストマー。なお、モノオレフィンゴム/オレフィン重合体=50/50〜90/10(重量比)の割合で混合する。
【0039】
(4)特公昭53−34210号公報等に記載の如き、(B) 未架橋モノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)と、(A) オレフィン系共重合体(結晶性、ハードセグメント)と架橋剤とを混合し、加熱し剪断応力を加えつつ動的に部分架橋させてなるオレフィン系エラストマー。なお、(B) モノオレフィンゴム/(A) オレフィン系共重合体=60/40〜80/20(重量比)である。
【0040】
(5)特公昭56−15741号公報等に記載の如き、(A) アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等のペルオキシドと混合・加熱すると分子量を減じ、流動性を増すペルオキシド分解型オレフィン重合体(ハードセグメント)と、(B) エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のペルオキシドと混合・加熱することにより、架橋して流動性が減じるペルオキシド架橋型モノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)、(C) ポリイソブチレン、ブチルゴム等のペルオキシドと混合・加熱しても架橋せず、流動性が不変の、ペルオキシド非架橋型炭化水素ゴム(ソフトセグメント兼流動性改質成分)、及び(D) パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油系軟化剤、とを混合し、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理してなるオレフィン系エラストマー。なお、(A) が90〜40重量部、(B) が10〜60重量部で、(A) +(B) =100重量部として、これに、(C) 及び/又は(D) が5〜100重量部の配合比となる。
【0041】
(6)特開平2−139232号公報に記載の如き、エチレン−スチレン−ブチレン共重合体からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー。
【0042】
(7)極性基として水酸基又は/及びカルボキシル基を持たせた、上記(1)から(6)のオレフィン系熱可塑性エラストマー。例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のグラフト重合で水酸基を、また、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の共重合体でカルボキシル基を導入したオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる。これら水酸基、カルボキシル基はどちらか一方、又は両方を併用してもよく、これら極性基(極性官能基)は、プライマー層、接着剤層等の他の層との接着性を向上させる作用を持つ。
【0043】
使用するポリオレフィン系樹脂の種類は、射出成形同時絵付用シートを積層する樹脂によって適宜選択すると良い。例えば、積層する樹脂が、ポリプロピレン系の場合はポリプロピレンを使用し、ポリエチレン系の場合はポリエチレンを使用したりするのが好ましい。ポリエチレンやポリプロピレンを採用した場合は、基材シートの入手容易性、汎用性、低コスト等の利点が得られる。
また、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用した場合には、撓りやすくハンドリングも容易となる。また、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、結晶質ポリオレフィン樹脂からなるハードセグメントとゴム(エラストマー)成分からなるソフトセグメントとからなる為、結晶質ポリオレフィン樹脂(高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン等)のシートの場合に起き易い、ネッキング(局所的に不均一にシートの伸びが集中すること)を生じ難く、成形性の点でも有利である。
【0044】
基材シートは、延伸シート、未延伸シートのいずれでも良いが、成形性の点では未延伸シートの方が好ましい。
基材シートは、Tダイ押出法等の公知の成膜法によって既にシートとした物を使用しても良いが、透明アクリル樹脂の表面シートに装飾層、更に適宜プライマー層等も形成した積層シートに対して、Tダイ押出法等によってシートとして成膜と同時に積層しても良い。なお、前者の場合は、ドライラミネーション等の公知の積層法で積層すれば良い。
【0045】
なお、基材シートの厚みは、用途、表面シートとの厚み比の関係、射出成形同時絵付用シート全体としの必要厚さ等にもよるが、80μm〜2mm程度とする。また、該厚みは、射出成形同時絵付用シート全体の総厚が200μm以上となる様するのが、ハンドリングの容易さ等の点で好ましい。また特に、オフライン予備成形を行う場合には、総厚は400μm以上とすることが好ましい。
【0046】
基材シートには、更に必要に応じ、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤等の各種の添加剤を添加しても良い。
【0047】
例えば、難燃剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が用いられる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等が用いられる。また、光安定剤としては、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等が用いられる。
また、充填剤としては、例えば、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、カオリナイト等の体質顔料等が用いられる。
【0048】
また、着色剤を添加することで、基材シートに着色隠蔽性を付与して、射出成形同時絵付用シートを積層する樹脂の色を隠蔽し且つ装飾層の下地色を整える事もできる。着色剤には、前述装飾層のところで述べた如き、公知の着色剤を使用すれば良い。
【0049】
なお、図3を参照して既に概説した様に、基材シートは、2層等の複層構成としても良い。2層とする場合、図3(A)で示す如く直接2層を熱融着で積層しても良いが、図3(B)で示す如く層間に接着層6を介して積層しても良い。接着層6にはウレタン樹脂等の公知の接着剤を使用すれば良い。また。層間に接着層を介在させずに2層等と複層構成とするには、例えば、Tダイによる共押出法によって成膜と同時に積層することもできる。接着層を介して積層するには、例えば、ドライラミネーション法で積層すれば良い。この場合、図3(B)で説明すれば、基材シート3Aと基材シート3Bとを積層して一旦、基材シート3とする以外に、表面シート1、装飾層2、プライマー層4、及び基材シート3Aが積層された装飾シート(積層シート)に、基材シート3Bを積層しても良い。装飾シートに於ける装飾層は表面シート或いはプライマー層4形成済みの基材シート3Aに印刷等で形成する。
【0050】
なお、基材シートを2層構成等と複層構成とするのは、その印刷適性を確保する意味からも有意義である。それは、連続帯状のシートとして基材シートに装飾層を印刷形成する場合には、500μm等とあまりに厚いシートでは、枚葉印刷でなければ出来ないからである。この為、表側となる基材シート3Aを印刷できる厚み(50〜100μm程度)のシートとして、このシートに印刷した後、裏側となる基材シート3Bを、例えば、間に接着層6を介してドライラミネーション法で積層すれば、基材シート3としての必要な総厚を確保できる。
なお、装飾層の印刷形成は、表面シートに対して行っても良いのだが、基材シートの方が耐溶剤性が一般的に良く、印刷時の溶剤によるシート劣化の問題が起きにくいからである。但し、基材シートは一般に密着性が劣る問題があるが、それは、図3で例示する如く、ウレタン樹脂等からなるプライマー層4を予め基材シート3に設けた後、装飾層2を設ける事で解決できる。
【0051】
また、2層構成の基材シートの場合、密着性向上にも効果的である。例えば、図3(A)の場合で説明すれば、基材シート3として、プライマー層4と接する側に分子中に極性官能基を有する基材シート3Aを配置してプライマー層4との密着を確保し、樹脂成形物と接する側に分子中に極性官能基の無い基材シート3Bを配置して射出成形同時絵付けに必要な基材シート3の総厚を確保しつつ価格の上昇も最低限に抑えてなる構成である。
なお、ポリオレフィン系樹脂の分子中に極性官能基を付与する為には、例えば、エチレンやプロピレン等のオレフィン系単量体を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸と共に共重合して重合体分子中にカルボキシル基を付与したり、或いは一旦、オレフィン系単量体を酢酸ビニルと共重合した後、鹸化して重合体分子中に水酸基を付与したりすれば良い。
【0052】
また、基材シートを2層構成とすることで、例えば、樹脂成形物側の基材シート3Bは着色隠蔽層として専ら着色隠蔽付与、成形性、及び射出成形同時絵付けの為に必要な厚さを確保した層として使用し、表側の基材シート3Aは、着色剤等を添加せず、専らプライマー層や接着剤層との密着を確保した層として使用する事も出来、コストを最小限にして且つ複数の要求物性を満たすことができる。そして、上記隠蔽性によって、射出成形樹脂の色に左右されずに、絵付けによる色調表現を安定化できる。
【0053】
〔プライマー層〕
プライマー層4を、必要に応じ適宜、層間に介在させて層間密着性を向上させる為に設けても良い。図3に例示のプライマー層4は、装飾層2と基材シート3との間の場合である。プライマー層4として、公知のプライマー剤等を適宜選択使用すれば良く、その樹脂としては特に制限は無い。なかでも、ウレタン樹脂を主成分樹脂として使用するのは好ましい。プライマー層4にウレタン樹脂を採用することで、層間密着性を向上させる事が出来る。
【0054】
上記ウレタン樹脂としては、2液硬化型ウレタン樹脂、1液湿気硬化型ウレタン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂等を使用すれば良い。
【0055】
例えば、2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が用いられる。また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネート、或いはまた、上記各種イソシアネートの付加体、又は多量体を用いる事もできる。例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等がある。
【0056】
1液湿気硬化型ウレタン樹脂は、分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分とする組成物である。前記プレポリマーは、通常は分子両末端に各々イソシアネート基を1個以上有するポリイソシアネートプレポリマーであり、常温で固体の熱可塑性樹脂の状態にあるものである。イソシアネート基同士が空気中の水分により反応して鎖延長反応を起こして、その結果、分子鎖中に尿素結合を有する反応物を生じて、この尿素結合に更に分子末端のイソシアネート基が反応して、ビウレット結合を起こして分岐し、架橋反応を起こす。
分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的には、ウレタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル結合を有するポリエステル骨格、ポリブタジエン骨格等である。適宜これら1種又は2種以上の骨格構造を採用する。なお、分子鎖中にウレタン結合がある場合は、このウレタン結合とも末端イソシアネート基が反して、アロファネート結合を生じて、このアロファネート結合によっても架橋反応を起こす。
【0057】
熱可塑性ウレタン樹脂は、2価のポリオールと2価のイソシアネートとをウレタン結合させて得られる線状高分子からなる。
【0058】
なお、プライマー層は、上述の如き特定樹脂を用いたインキ又は塗液をプライマー剤として、公知の印刷法又は塗工法で形成すれば良い。
【0059】
〔接着剤層〕
また、接着剤層5を、必要に応じ適宜、装飾層2と基材シート3間に設けたプライマー層4に対して、このプライマー層4と基材シート3間に介在させて、これらを接着させる層として設けても良い。接着剤層の樹脂としては、特に制限は無く、公知の各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を適宜使用すれば良い。但し、前記プライマー層4にウレタン樹脂を使用し、且つ装飾層のバインダーの樹脂を塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との混合物或いはアクリルウレタン樹脂を主成分樹脂として使用する場合には、この接着剤層は塩素化ポリプロピレンを主成分として構成すると、プライマー層4と基材シート3間の層間密着力向上に好ましい結果が得られる。
なお、接着剤層は、上記した樹脂等を用いたインキ又は塗液で、公知の印刷法又は塗工法で形成すれば良い。接着剤層の厚みは特に制限はないが、例えば5〜20μm程度である。
【0060】
なお、敢えて接着剤層5も設けて、プライマー層4と接着剤層5との2層を、装飾層2と基材シート3との間に介在させた構成とする理由は、主に以下の二つである。
【0061】
(1)基材シートの易接着処理を目的とする場合;すなわち、この場合、接着剤層5は、この後で詳述する基材シート3が単層構成で、且つコスト等の点から、接着性向上に寄与する極性官能基を導入していない樹脂シートの場合に、極性官能基導入の基材シートに代わる樹脂層として利用することにより、プライマー層4と基材シート3との接着性を強化することができる。この場合は、接着剤層5は、基材シート3側の表面に形成する方が、接着力向上の点で好ましい。接着剤層5は、グラビアロールコート、熔融押出コート等の公知の塗工法で形成する。なお、もちろんだが、基材シート3に、極性官能基を導入したポリオレフィン系樹脂を使用する場合でも、接着剤層を使用しても良い。
【0062】
(2)表面シート1への印刷・塗工工程と基材シート3との積層工程とのオフライン化を目的とする場合;すなわち、この場合は、表面シート1上に装飾層2とプライマー層4を形成するまでは、慣用の印刷・塗工機によりインラインで連続して加工が終わる。一方、基材シート3の積層(ラミネ−ト)は、印刷・塗工機とは別のラミネ−ト機で行われる為、現実の生産工程の管理上は、印刷・塗工機の工程とラミネ−ト機の工程とは同時連続化させずに別個に独立して各々機械が空いているときに各々の機械が受け持つ工程を実施する方が、多品種量産時には効率的な場合が多い。そして、この場合は、表面シート1上に装飾層2と、1液又は2液硬化型ウレタン樹脂を用いてプライマー層4を形成してから、基材シート3を積層するまでの時間が、プライマー層4に用いるウレタン樹脂の硬化反応完了時間(ポットライフ)よりも長くなることも有る。もし、ポットライフを超過すると、もはやプライマー層は接着力を失う。そこで、プライマー層4を形成後、インライン連続で、そのポットライフ未満のうちに、プライマー層4上に更に熱可塑性樹脂を用いて接着剤層5形成しておくことにより、ポットライフが無限大の塩素化ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂の接着剤層5により基材シート3との接着力は時間無制限となる。
また、それならば、むしろ塩素化ポリプロピレンをプライマー層4に用い、接着剤層5の追加を省くことも一応考えられるが、結論は不可である。これは、装飾層2を構成するアクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物或いはアクリルウレタン樹脂と、塩素化ポリプロピレンとは、接着性が不十分の為である。ここで言う接着性が不十分とは、初期接着力は十分であっても、耐熱性試験、耐候性試験等の耐環境試験を行った後での接着力が低下し、層間で容易に剥がれてしまうことを言う。
よって、印刷・塗工工程とラミネ−ト工程のオフライン化には、表面シート1に装飾層2とプライマー層4と熱可塑性樹脂の接着剤層5までをインライン形成しておいたものを適宜、基材シート3に熱プレスにて接着剤層5で熔融接着させて積層する方式が最適となる。
なお、この場合、接着剤層5は、上記特定樹脂を用いたインキ又は塗液を用い、グラビアロールコート等の公知の印刷法又は塗工法で、表面シート1のプライマー層4の表面側に、装飾層2及びプライマー層4と連続して形成する。
【0063】
〔射出成形同時絵付方法〕
ここで、上述した本発明の射出成形同時絵付用シートの使用用途である、射出成形同時絵付方法について、一応説明しておく。ここでの射出成形同時絵付方法は、ラミネ−ト形態となり、特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載されるように、射出成形同時絵付用シートを、一対の型の間に配置した後、両型を型締めし、両型で形成されるキャビティ内に流動状態の樹脂を射出し充填して固化させて、樹脂成型物の成形と同時にその表面に射出成形同時絵付用シートを積層して、樹脂成形物を絵付けする方法である。
【0064】
なお、基本的には、射出成形同時絵付方法としては、従来公知の各種形態をとり得る。例えば、射出成形同時絵付用シートの予備成形を行う形態、或いは行わない形態。また、射出成形同時絵付用シートの予熱を行う形態、行わない形態。なお、予備成形時には通常は射出成形同時絵付用シートは予熱する。但し、本発明の射出成形同時絵付用シートの場合は、これらのなかでも、ハンドリング操作が増える予備成形をオフラインで行う形態が、本シートのカール低減性能を十二分に発揮する点で好適な形態の一つである。
【0065】
なお、もちろんの事だが、射出成形同時絵付用シートの絞りが大きい場合は、予備成形を行うのが好ましい。一方、射出成形同時絵付用シートの絞りが少ない場合は、射出される流動状態の樹脂の樹脂圧で該シートを成形しても良い。この際、絞りが浅ければ、予備成形無しで樹脂射出と同時に型内に充填される流動状態の樹脂の樹脂圧で射出成形同時絵付用シートを成形しても良い。また、樹脂圧で射出成形同時絵付用シートを成形する場合でも、該シートは予熱せずに射出樹脂の熱を利用しても良い。また、射出成形同時絵付用シートの予備成形は、通常は、射出成形型を真空成形型と兼用して行うが、型間に該シートを供給する前に、型外部で別の真空成形型で該シートを真空成形する様な予備成形でも良い。また、予備成形は、射出成形型を真空成形型と兼用して行う形態が効率的で且つ精度良く積層できる点で好ましい。しかし、予備成形済み射出成形同時絵付用シートを予め別の場所で纏めて製造しておく場合等では、予備成形は、射出成形型とは別の型で行うオフライン予備成形の形態が好ましい。なお、本発明の説明に於いて、真空成形とは真空圧空成形も包含する。
【0066】
ところで、図4は射出成形同時絵付方法を或る一形態で説明する概念図である。図4に示す形態では、射出成形型は別の型である真空成形型で、射出成形同時絵付用シートを加熱し軟化させて予備成形した後に、成形された射出成形同時絵付用シートを射出成形型に挿入後、型締めして樹脂を射出する、オフラン予備成形による形態である。そこで次に、図4を用いて、この形態の射出成形同時絵付方法を更に説明する。
【0067】
先ず、図4(A)の如く、型面に吸引孔31等の吸引手段を有する真空成形型Mvを用いて、ヒータ32で加熱軟化させた射出成形同時絵付用シートを真空成形により予備成形する。なお、真空成形型Mvは、鉄やアルミニウム等の金属、或いはセラミックス等からなる。また、射出成形同時絵付用シートSは適宜枠状のシートクランプ33で固定する。この際、射出成形同時絵付用シートの基材シート側は、射出樹脂側(図面上方)となる向きとする。また、ヒータ32による加熱軟化は、例えば非接触の輻射加熱とするが、接触による伝導加熱でも良い。そして、予備成形は、吸引孔から吸引して真空成形して、射出成形同時絵付用シートを真空成形型Mvの型面に沿わせ真空成形する。なお、真空成形は圧空も併用する真空圧空成形でも良く、これも包含する。
【0068】
次いで、予備成形された射出成形同時絵付用シートSを、図4(B)の如く、一対の射出成形型MaとMbとの間に供給する。ここでは射出成形型Maの方は射出ノズルと連通する湯道(ランナー)及び湯口(ゲート)を有し、射出成形型Mbはそのキャビティ面が前記予備成形型Mvの型面と同一又は略同一形状を成し、予備成形済の射出成形同時絵付用シートを固定する型となる。これらの型は鉄等の金属、或いはセラミックスからなる。型開き状態に於いて両型Ma、Mb間に射出成形同時絵付用シートSを供給し、型Mbに射出成形同時絵付用シートSを枠状のシートクランプ42で押圧する等して固定する。この際、射出成形同時絵付用シートの基材シート側は、図面右側の射出樹脂側となる様にする事はもちろんである。次いで、図4(C)の如く両型を型締めし、両型で形成さるキャビティに加熱熔融状態等の流動状態の樹脂を充填する。そして、射出成形同時絵付用シートの不要部分がある場合は、それを適宜トリミングすれば絵付成形品が得られる。
【0069】
〔射出成形樹脂〕
なお、射出成形同時絵付方法に於いて、射出成形して樹脂成形物とする樹脂としては、基本的には、射出成形同時絵付方法に於ける従来公知のものが使用でき特に制限はなく、製品の要求物性やコスト等に応じて選定される。但し、本発明の射出成形同時絵付用シートは、ポリオレフィン系樹脂に対して密着が良い様に構成されているので、ポリオレフィン系樹脂が好適である。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂、或いは各種のオレフィン系熱可塑性エラストマーが用いられる。
【0070】
なお、本発明の射出成形同時絵付用シートはこれらポリオレフィン系樹脂と密着性が良い様に構成してあるが、その密着性をより向上させる必要がある場合には、これらポリオレフィン系樹脂に、エチレンプロピレンゴムを添加すると良い。エチレンプロピレンゴムはエチレン−プロピレン共重合体からなるゴム(EPR)であり、非晶質のランダム共重合体である。また、エチレンプロピレンゴムとしては純粋なエチレン−プロピレン共重合体の他に、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)も使用できる。エチレンプロピレンゴムはポリオレフィン樹脂100重量部に対し1〜40重量部の範囲で添加するのが、密着性向上、剛性維持の点から好ましい。
【0071】
なお、射出成形樹脂は、用途に応じて適宜、着色剤を添加して着色した樹脂を使用しても良い。着色剤には、前述装飾層で述べた如き公知の着色剤を使用できる。また、射出成形樹脂には、必要に応じて適宜、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機物粉末、ガラス繊維等の充填剤、安定剤、滑剤等の公知の各種添加剤を含有させる。
【0072】
〔絵付成形品〕
本発明の射出成形同時絵付用シートを樹脂成形物に積層する事で、図5の断面図で概念的に示す如き絵付成形品Pが得られる。すなわち、前述した本発明の射出成形同時絵付用シートSが樹脂成形物7の表面に積層した構成の成形品である。樹脂成形物7の樹脂としてはポリオレフィン系樹脂が好適である。もちろん、射出成形同時絵付用シートSは、その基材シートが樹脂成形物と接する様に積層されている。なお、樹脂成形物に用いるポリオレフィン系樹脂は、前記射出成形樹脂で説明した如き樹脂である。樹脂成形物7の表面に射出成形同時絵付用シートSを積層するには、前述した射出成形同時絵付方法が好適である。ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成形物に射出成形同時絵付用シートが積層した絵付成形品は、射出成形同時絵付用シートと樹脂成形物との密着性に優れ、また表面の透明性も良好な成形品となる。
【0073】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳述する。
【0074】
〔実施例1〕
図2(A)の如き構成の射出成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。無着色のポリメチルメタクリレート(PMMA)シート(厚さ0.125mm)を透明アクリル樹脂の表面シート1として、その片面に、バインダーの樹脂が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との1対1重量比混合物で、弁柄を主成分とする着色剤を使用した着色インキを印刷して木目柄の装飾層2を形成し、更にアクリルポリオールと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとからなる2液硬化型ウレタン樹脂を主成分とするプライマーインキを全面に印刷してプライマー層4を厚さ2μmに形成して、印刷シートとした。
次に予め、弁柄、カーボンブラック、黄鉛、及びチタン白を主成分とする着色剤の添加で黄褐色に着色され不透明なポリプロピレンからなる基材シート3(厚さ0.4mm)の片面に、塩素化ポリプロピレンを主成分とする接着剤を塗工して厚さ4μmの接着剤層5を形成した上で、該接着剤層5と上記印刷シートの未硬化状態のプライマー層4とが接する様にして、基材シート3を上記印刷シートにドライラミネーション法によって積層して、本発明の射出成形同時絵付用シートSを得た。ちなみに、表面シートと基材シートとの厚み比、表面シート厚み/基材シート厚みは、0.125/0.40=0.31である。
なお、他の実施例及び比較例と共に、内容は表1に纏めて示す。
【0075】
〔実施例2〕
実施例1に於いて、表面シートの厚みを0.075mmに変え、且つ基材シートの厚みを0.38mm(但し、厚み0.08mmの表側基材シートと厚み0.30mmの裏側基材シートとを2液硬化型ウレタン樹脂の接着層を介してドライラミネーションで2層積層体とした基材シート)に変更した他は、実施例1と同様にして、射出成形同時絵付用シートを得た。厚み比は、0.20である。
【0076】
なお、上記基材シートは、厚み0.08mmの表側基材シートには、マレイン酸のグラフト共重合により分子中にカルボキシル基を導入した無着色透明なポリプロピレンからなるシートを用い、厚み0.30mmの裏側基材シートには実施例1同様に着色剤で着色した不透明なポリプロピレンからなるシートを用いて、アクリルポリオールと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとからなる2液硬化型ウレタン樹脂を主成分とする接着剤の接着層を間に介して、ドライラミネーション法によって積層したシートを用いた。
【0077】
〔実施例3〕
実施例1に於いて、表面シートの厚みを0.050mmに変え、且つ基材シートは実施例2と同じ厚み0.38mmのシートを使用した他は、実施例1と同様にして、射出成形同時絵付用シートを得た。厚み比は、0.13である。
【0078】
〔実施例4〕
実施例1に於いて、基材シートを、実施例2で使用した基材シートに変更した他は、実施例1と同様にして、射出成形同時絵付用シートを得た。厚み比は、0.33である。
【0079】
〔比較例1〕
実施例1に於いて、基材シートの厚みを0.20mmに変えた他は、実施例1と同様にして、射出成形同時絵付用シートを得た。厚み比は0.63である。
【0080】
〔比較例2〕
実施例1に於いて、基材シートの厚みを0.30mmに変えた他は、実施例1と同様にして、射出成形同時絵付用シートを得た。厚み比は0.42である。
【0081】
〔性能評価〕
カールの評価は、上記実施例及び比較例の各射出成形同時絵付用シートを、縦横各120mmの正方形に切り出し、160℃雰囲気のオーブンに1分間放置後、取り出して、シート温度が20℃に冷えた後、図6で示す如く、射出成形同時絵付用シートSを水平面E上に置き、湾曲したシートの水平面からの(最大)高さHを測定して、カールの度合いを評価した。そして(最大)高さが20mm以下ならば良好、20mmを越えると不良と判定した。
その結果、表1の如く、厚み比が0.35超過の各比較例はいずれもカールの度合いが40mm以上で不良でカールが強かったが、厚み比が0.35以下の各実施例ではいずれもカールの度合いが5〜18mmであり良好でカールは弱かった。また、厚み比0.35前後では、カールの度合いの差は、20mm以上異なり、厚み比=0.35の臨界的効果(厚み比≦0.35の有意性)が認められた。
【0082】
【表1】
【0083】
次に、図4の概念図で説明した様なオフランイ予備成形による射出成形同時絵付けを行って、カール発生によるハンドリング時の不具合の有無を評価した。なお、射出成形樹脂には、エチレン−プロピレン共重合体ゴムを10重量%添加したポリプロピレン樹脂を使用して、図5に示す如き、射出成形同時絵付用シートSが樹脂成形物7に積層された絵付成形品Pを作製した。
この結果、各実施例では、予備成形後の射出成形同時絵付用シートを、射出成形型にセットする際のハンドリング及び位置決め精度も良好であった。しかも、木目柄で絵付けされ且つ透明性も良好で、高級感溢れる意匠感を有する絵付成形品が得られた。しかし、各比較例はカールが大きく予備成形後の射出成形同時絵付用シートにカールが発生しており、射出成形型にセットする際のハンドリングが円滑に行かず、且つ射出成形型への位置決め精度も甘くなり、この為、一部の絵付成形品では、表面の射出成形同時絵付用シートの皺が入り外観不良となった。
【0084】
【発明の効果】
本発明の射出成形同時絵付用シートによれば、得られる絵付成形品に優れた透明性及び表面物性を付与し、特にポリオレフィン系樹脂の樹脂成形物に密着良くラミネートできる上、射出成形同時絵付用シート使用時のカール発生を確実に少なくできる。したがって、特に射出成形型とは別の型で予備成形するオフライン予備成形等の形態による射出成形同時絵付において、射出成形同時絵付用シートの機械的搬送、正確な位置決めが円滑に行え、ハンドリング性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面シートと基材シートの厚み比と、カールとの関係を示す概念図。
【図2】本発明の射出成形同時絵付用シートの層構成の幾つかを例示する断面図。
【図3】本発明の射出成形同時絵付用シートの層構成の幾つかを例示する断面図。
【図4】射出成形同時絵付方法の一例を説明する概念図。
【図5】本発明で得られる絵付成形品を例示する断面図。
【図6】カールの測定法の説明図。
【符号の説明】
1 表面シート
2 装飾層
3 基材シート
3A (表側の)基材シート
3B (裏側の)基材シート
4 プライマー層
5 接着剤層
6 接着層
7 樹脂成形物
31 吸引孔
32 ヒータ
33 シートクランプ
E 水平面
H カールの高さ
Ma 射出成形型(雄型)
Mb 射出成形型(雌型)
Mv 真空成形型
P 絵付成形品
S 射出成形同時絵付用シート[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
In particular, the present invention provides a sheet for simultaneous injection molding that can be laminated with good adhesion even to a resin molding made of an olefin resin.Manufacturing methodAbout. In particular, injection-molded sheets with little curlingManufacturing methodAbout.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a molded article with a picture of the surface of a resin molded product has been used for various purposes. For example, in the injection molding simultaneous painting method disclosed in Japanese Patent Publication No. 50-19132, Japanese Patent Publication No. 43-27488, etc., after the injection molding simultaneous painting sheet is placed between both male and female molds of injection molding, the molten resin A method is disclosed in which an injection-molded simultaneous painting sheet is bonded and laminated on the surface of a resin molded product at the same time as molding a resin molding by injection filling into a cavity, thereby obtaining a molded product with a picture painted on the sheet.
[0003]
By the way, conventionally, as the injection molding resin used for the resin molding by the injection molding simultaneous painting method, there are many ABS resins (acrylonitrile-butadiene-styrene copolymer), acrylic resins, polycarbonate resins and the like. For this reason, a laminate type injection molding simultaneous painting sheet used for laminating on the surface of a resin molded article by the injection molding simultaneous painting method is generally of a specification that has good adhesion to these injection molding resins. .
In addition, a surface sheet is used as the outermost surface layer in order to give a sense of quality by imparting a design feeling such as a feeling of painting and surface gloss to the resulting molded molded article and to obtain sufficient surface properties such as scratch resistance and weather resistance. An acrylic resin sheet or the like was used.
[0004]
(1) For example, as described in JP-A-11-91041, (1) a transparent acrylic resin sheet such as polymethyl methacrylate (PMMA) having excellent transparency is used for the top sheet, This is an injection-molded simultaneous painting sheet in which an ABS resin sheet is used as a base sheet, and a decorative layer or the like is formed between them.
However, the adhesiveness was poor particularly for injection molding resins of inexpensive polyolefin resins such as polypropylene, which have been demanded recently.
[0005]
(2) Also, as described in JP-A-10-128789, for example, a transparent acrylic resin sheet is used as a base sheet and a top sheet, and a decorative layer is printed on the back side, and the back side In the sheet for simultaneous injection-molding with a structure in which an adhesive that adheres to the polyolefin resin is applied as a layer, the adhesion to the polyolefin resin is improved. However, since the acrylic resin sheet has a thickness of 0.1 to 0.2 mm in terms of film formation technology and cost of the acrylic resin sheet, there is no waist as a base sheet, and it is difficult to handle the sheet. Was also big.
[0006]
(3) Therefore, the present inventor, in Japanese Patent Application No. 11-91537, used an acrylic resin for the top sheet, a polyolefin resin for the base sheet, and provided a decoration layer or the like therebetween. A sheet for simultaneous injection molding with composition was proposed.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
However, the injection-molded simultaneous painting sheet having the configuration (3) has improved adhesion to the polyolefin resin, but may cause curling. For this reason, when conveying a sheet at the time of injection molding simultaneous painting, a problem that the curled sheet is caught in the apparatus occurred. Further, if the sheet is curled when the sheet is fixed to the injection mold, the positioning of the sheet may be inaccurate. Also, in the case of simultaneous injection molding with an off-line preforming method in which the sheet is preformed separately from the injection mold, after the preforming, the sheet is removed from the preforming mold and then set in the injection mold. The problem of curling was particularly large because it was necessary to do so.
[0008]
However, as a curl reduction measure, a measure to leave the acrylic resin of the top sheet and the polyolefin resin of the base sheet as it is without changing to another resin was desired. To the last, the surface sheet that is the outermost surface is excellent in acrylic resin in terms of transparency, weather resistance, etc., and the base material sheet that is the outermost surface is in close contact with the polyolefin resin. This is because polyolefin resin is excellent. Therefore, it is necessary to reduce curl on the premise that acrylic resin is used for the top sheet and polyolefin resin is used for the base sheet.
[0009]
Then, the subject of this invention is the sheet | seat for laminate type injection molding simultaneous paintingManufacturing methodIn addition, sufficient transparency and surface physical properties can be imparted to a molded article obtained using the sheet for painting, and even when a polyolefin-based resin such as polypropylene is used as an injection molding resin, it can be laminated on a resin molded article with good adhesion. In addition, there is less curl so that simultaneous painting with injection molding can be performed smoothly.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
So, to solve the above problem,The present invention relates to a laminate type injection molding simultaneous painting in which a decoration layer is formed directly on a surface sheet, which is a substrate for printing or coating, by printing or coating, and the substrate sheet is laminated on the decoration layer. In the method for producing a sheet, the surface sheet is a surface sheet made of a transparent acrylic resin, the substrate sheet is a substrate sheet made of a polyolefin resin, and the thickness ratio between the surface sheet and the substrate sheet is expressed as surface sheet thickness / substrate Sheet thickness ≦ 0.35,The configuration.
[0011]
In this way, a transparent acrylic resin is used for the surface sheet that becomes the outermost surface layer after lamination, while a polyolefin-based resin is used for the base material sheet that becomes the outermost surface layer in contact with the resin molded product, and the decorative layer is made of these. By providing between these, it is possible to give excellent transparency and surface physical properties to the resulting molded article with a picture, and in particular, it can be laminated with good adhesion to a resin molded product of polyolefin resin. In addition, the thickness ratio between the top sheet and the base sheet is specified as described above, and the thickness of the top sheet is less than the specific thickness ratio compared to the thickness of the base sheet, so curling can be reliably reduced. Therefore, mechanical injection and accurate positioning of the injection-molded simultaneous painting sheet can be performed smoothly, especially in the case of simultaneous injection-molding with a form such as off-line preforming, which is preformed separately from the injection mold. Yes.
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below. 1 is an explanatory view conceptually showing the relationship between the thickness ratio of the topsheet and the base sheet and the degree of curling, and FIGS. 2 and 3 show the layer structure of the injection-molded simultaneous painting sheet of the present invention. Cross-sectional views illustrating some of them, FIG. 4 is a conceptual diagram illustrating an injection molding simultaneous painting method that is an application of the injection molding simultaneous painting sheet of the present invention, and FIG. 5 shows the injection molding simultaneous painting sheet of the present invention. FIG. 6 is an explanatory view of a curl measuring method. FIG.
[0013]
[Thickness ratio of surface sheet and substrate sheet]
In the present invention, the thickness ratio between the transparent acrylic resin surface sheet and the polyolefin resin substrate sheet, that is, the ratio of the thickness of the surface sheet to the thickness of the substrate sheet, The “thickness” is 0.35 or less. FIG. 1 is a knowledge obtained as a result of the prototype experiment, and is a conceptual diagram conceptually showing the relationship between the thickness ratio of the top sheet and the base sheet and the degree of curling. As shown in FIG. When the ratio is 0.35, the degree of curling changes abruptly before and after the ratio, and when the thickness ratio is 0.35 or less, the curl becomes good enough that the sheet for simultaneous painting with injection molding can be used.
[0014]
This phenomenon is presumed that when the ratio of the surface sheet of the transparent acrylic resin to the thickness of the base sheet is large, it is likely to be affected by the size of the heat shrinkage of the surface sheet, and the curl will increase. It is. For this reason, if it is said specific thickness ratio, it will be thought that the influence of the magnitude | size of the heat shrinkage rate of the surface sheet which consists of a transparent acrylic resin can be reduced, and curl can be reduced reliably.
[0015]
The lower limit of the thickness ratio is of course not zero (a configuration without a surface sheet), but is subject to the limitation of the lower limit of the thickness of a transparent acrylic resin sheet that can be prepared in practice. Incidentally, the thickness of the surface sheet of the transparent acrylic resin is 30 μm or more, more preferably 50 μm or more from the viewpoint of weather resistance, surface wear resistance, and the like. Therefore, in order to use a sheet having a thickness of 35 μm as the top sheet, a sheet having a thickness of 100 μm or more may be used as the base sheet in order to make the thickness ratio 0.35 or less. Conversely, when a sheet having a thickness of 400 μm is used as the base sheet, a sheet having a thickness of 140 μm or less may be used as the top sheet.
[0016]
[Layer structure of sheet for simultaneous injection molding]
Here, some of the layer structures of the injection-molded simultaneous painting sheet of the present invention are illustrated by the cross-sectional views of FIGS. 2 and 3.
[0017]
An injection-molded simultaneous painting sheet S illustrated in FIG. 2A is composed of a transparent acrylic
Moreover, the sheet S for injection molding simultaneous picture illustrated in FIG. 2 (B) has a configuration in which the adhesive layer 5 is omitted from the configuration of FIG. 2 (A), and is made of a transparent acrylic resin that becomes the outermost surface layer. A
[0018]
Further, like the injection-molded simultaneous painting sheet S illustrated in FIG. 3A, the
[0019]
Next, each layer will be described in detail.
[0020]
[Surface sheet]
The
[0021]
The thickness of the top sheet is not particularly limited as long as the above-described thickness ratio condition is satisfied. The surface sheet is usually about 20 to 200 μm. However, as described above, the thickness of the top sheet is preferably 30 μm or more, more preferably 50 μm or more in terms of weather resistance, surface wear resistance, and the like.
[0022]
[Decoration layer]
The
[0023]
The
[0024]
The colorant used in the printing ink (or paint) may be a known dye or pigment, for example, inorganic pigments such as titanium white, carbon black, petal, yellow lead, cobalt blue, aniline black, phthalocyanine blue, isoindo. Organic pigments such as linone and quinacridone, metal pigments such as aluminum foil powder, pearlescent pigments such as titanium dioxide-coated mica, and other dyes are used.
[0025]
Moreover, what is necessary is just to use an appropriate thing from well-known resins, such as an acrylic resin, a vinyl chloride-vinyl acetate copolymer, and a urethane resin, as resin of the binder of the decoration layer 2 (or printing ink or paint).
[0026]
As the binder resin, a mixture of a vinyl chloride-vinyl acetate copolymer and an acrylic resin, or an acrylic urethane resin is used as a main component. This is a preferred embodiment in terms of sex. By the way, the combination of the mixture of vinyl chloride-vinyl acetate copolymer and acrylic resin, acrylic resin contributes to improved adhesion to the surface sheet, and vinyl chloride-vinyl acetate copolymer improves printability and moldability. Contribute. Moreover, acrylic urethane resin can satisfy those suitability by itself.
[0027]
As the vinyl chloride-vinyl acetate copolymer, those having a vinyl acetate content of about 5 to 20% by weight and an average degree of polymerization of about 350 to 900 are usually used. The vinyl chloride-vinyl acetate copolymer may be further copolymerized with a carboxylic acid such as maleic acid or fumaric acid, if necessary.
[0028]
Examples of the acrylic resin include acrylic resins such as polymethyl (meth) acrylate, polybutyl (meth) acrylate, methyl (meth) acrylate-butyl (meth) acrylate copolymer, methyl (meth) acrylate-styrene copolymer, Alternatively, methyl (meth) acrylate, ethyl (meth) acrylate, butyl (meth) acrylate, octyl (meth) acrylate, cyclohexyl (meth) acrylate, and the like, 2-hydroxyethyl (meth) acrylate, 2-hydroxy-3-phenoxy An acrylic resin such as an acrylic polyol obtained by copolymerizing a (meth) acrylic acid ester having a hydroxyl group in a molecule such as propyl (meth) acrylate is used alone or in combination of two or more. (Meth) acrylate means acrylate or methacrylate.
The mixing ratio of the vinyl chloride-vinyl acetate copolymer and the acrylic resin is about vinyl chloride-vinyl acetate copolymer / acrylic resin = 1/9 to 9/1 (weight ratio).
[0029]
As the acrylic urethane resin, a two-component curable acrylic urethane resin or a thermoplastic acrylic urethane resin may be used.
[0030]
For example, a two-component curable urethane urethane resin is a urethane resin whose main component is acrylic polyol and whose crosslinking agent (curing agent) is isocyanate.
Examples of the acrylic polyol include methyl (meth) acrylate-2hydroxyethyl (meth) acrylate copolymer, octyl (meth) acrylate-ethylhexyl (meth) acrylate-2 hydroxyethyl (meth) acrylate copolymer, methyl (meth) ) Acrylate-butyl (meth) acrylate-2hydroxyethyl (meth) acrylate-styrene copolymer or the like is used alone or in admixture of two or more.
As the isocyanate, a polyvalent isocyanate having two or more isocyanate groups in the molecule is used. For example, aromatic isocyanate such as 2,4-tolylene diisocyanate, xylene diisocyanate, 4,4'-diphenylmethane diisocyanate, or 1,6-hexamethylene diisocyanate, isophorone diisocyanate, hydrogenated tolylene diisocyanate, hydrogenated diphenylmethane diisocyanate, etc. Aliphatic (or alicyclic) isocyanates, or adducts or multimers of the above-mentioned various isocyanates can also be used. For example, there are tolylene diisocyanate adducts, tolylene diisocyanate trimers, and the like.
The thermoplastic acrylic urethane resin is made of a linear polymer such as that obtained by urethane bonding of divalent acrylic polyol and divalent isocyanate.
[0031]
In addition, when using a mixture of a vinyl chloride-vinyl acetate copolymer and an acrylic resin, or an acrylic urethane resin as the main component of the binder resin, as a subcomponent resin, if necessary, Other resins than the resin to be used, for example, a thermoplastic polyester resin, a resin such as a thermoplastic resin or a urethane resin (other than an acrylic urethane resin) such as a two-component curable resin may be used in combination.
[0032]
The decorative layer is a functional layer such as a conductive layer in which a thin film layer of a metal such as chrome or aluminum, or a conductive powder such as silver powder is dispersed in a binder, in addition to a layer for decorative purposes such as a grain pattern. But it ’s okay.
[0033]
[Base material sheet]
The
[0034]
Examples of the polyolefin resin include high crystalline non-crystalline materials such as polyethylene (low density, medium density, or high density), polypropylene, polymethylpentene, polybutene, ethylene-propylene copolymer, propylene-butene copolymer, and the like. Elastomeric polyolefin resins or various olefinic thermoplastic elastomers are used. As the olefin-based thermoplastic elastomer, for example, the following can be used.
[0035]
(1) As described in Japanese Patent Publication No. 6-23278, (A) as a soft segment, the number average molecular weight Mn is 25,000 or more, and the ratio Mw / Mn ≦ 7 of the weight average molecular weight Mw and the number average molecular weight Mn 10 to 90% by weight of atactic polypropylene soluble in boiling heptane, and (B) 90 to 10% by weight of isotactic polypropylene insoluble in boiling heptane having a melt index of 0.1 to 4 g / 10 min as a hard segment, Soft polypropylene made of a mixture of
In particular, in order to improve the moldability and achieve both printability (registration accuracy), the mixing ratio of isotactic polypropylene and atactic polypropylene is the weight ratio of atactic polypropylene and the lower limit is 5% by weight or more. Is preferably 50% by weight or less, more preferably 40% by weight or less.
[0036]
(2) A thermoplastic elastomer comprising an ethylene-propylene-butene copolymer resin. Here, as the butene, any of three structural isomers of 1-butene, 2-butene, and isobutylene can be used. The following (i) to (iii) are preferred specific examples of the ethylene-propylene-butene copolymer that is a random copolymer and partially contains an amorphous part.
(i) As described in JP-A-9-1111055. This is a random copolymer of a terpolymer of ethylene, propylene and butene. The weight ratio of the monomer component is 90% by weight or more of propylene. The melt flow rate is preferably 1 to 50 g / 10 min at 230 ° C. and 2.16 kg. Then, 0.01 to 50 parts by weight of a transparent nucleating agent mainly composed of a phosphoric acid aryl ester compound and a fatty acid amide having 12 to 22 carbon atoms is added to 100 parts by weight of such a ternary random copolymer. 003 to 0.3 parts by weight are melt kneaded.
(ii) Those described in JP-A-5-77371. This is a terpolymer of ethylene, propylene and 1-butene, and 20 to 100% by weight of amorphous polypropylene having a propylene component content of 50% by weight or more, and 80 to 0% by weight of crystalline polypropylene. % Addition.
(iii) Those described in JP-A-7-316358. This is a terpolymer of ethylene, propylene, and 1-butene, and the content of propylene and / or 1-butene is 50 to 100% by weight of the low crystalline polymer. 0.5% by weight of an oil gelling agent such as N-acylamino acid amine salt or N-acylamino acid ester is added to a composition in which 80 to 0% by weight of crystalline polyolefin such as isotactic polypropylene is mixed. It will be.
[0037]
The ethylene-propylene-butene copolymer resin may be used alone, or other polyolefin-based resins may be further mixed with the above (i) to (iii) as necessary.
[0038]
(3) As described in Japanese Patent Publication No. 53-21021 (A) An olefin polymer (crystalline polymer) such as polyethylene, polypropylene, polymethylpentene or the like is used as a hard segment, and (B) a partially crosslinked ethylene- Monoolefin copolymer rubber such as propylene copolymer rubber and unsaturated ethylene-propylene-nonconjugated diene terpolymer rubber is used as a soft segment, and these are uniformly blended and mixed. In addition, it mixes in the ratio of monoolefin rubber / olefin polymer = 50 / 50-90 / 10 (weight ratio).
[0039]
(4) As described in JP-B-53-34210, etc., (B) uncrosslinked monoolefin copolymer rubber (soft segment) and (A) olefin copolymer (crystalline, hard segment) and crosslinked. An olefin-based elastomer that is mixed with an agent, heated, and partially dynamically crosslinked while applying shear stress. Note that (B) monoolefin rubber / (A) olefin copolymer = 60/40 to 80/20 (weight ratio).
[0040]
(5) Mixing and heating with peroxides such as (A) isotactic polypropylene, propylene-ethylene copolymer, propylene-butene-1 copolymer, etc., as described in JP-B-56-15741, etc., reduces the molecular weight. Mixing and heating with peroxide-decomposable olefin polymer (hard segment) that increases fluidity and (B) peroxides such as ethylene-propylene copolymer rubber and ethylene-propylene-nonconjugated diene terpolymer rubber Peroxide-crosslinked monoolefin copolymer rubber (soft segment) that crosslinks to reduce fluidity, (C) Crosslinks with peroxides such as polyisobutylene and butyl rubber do not crosslink and heat, fluidity remains unchanged, Peroxide non-crosslinked hydrocarbon rubber (soft segment and fluidity modifying component), and (D) paraffinic, naphtho An olefin-based elastomer obtained by mixing a mineral oil-based softener such as a ten-based or aromatic-based softener and dynamically heat-treating it in the presence of an organic peroxide. In addition, (A) is 90 to 40 parts by weight, (B) is 10 to 60 parts by weight, and (A) + (B) = 100 parts by weight, and (C) and / or (D) is 5 The blending ratio is ˜100 parts by weight.
[0041]
(6) An olefinic thermoplastic elastomer comprising an ethylene-styrene-butylene copolymer as described in JP-A-2-139232.
[0042]
(7) The olefinic thermoplastic elastomer according to the above (1) to (6), which has a hydroxyl group and / or a carboxyl group as a polar group. For example, an olefinic thermoplastic elastomer into which a hydroxyl group is introduced by graft polymerization of an ethylene-vinyl alcohol copolymer or the like and a carboxyl group is introduced by a copolymer of maleic acid, fumaric acid, itaconic acid or the like is used. Either one or both of these hydroxyl groups and carboxyl groups may be used together, and these polar groups (polar functional groups) have the effect of improving the adhesion with other layers such as a primer layer and an adhesive layer. .
[0043]
The type of polyolefin resin to be used may be appropriately selected depending on the resin on which the sheet for simultaneous injection molding is provided. For example, when the resin to be laminated is polypropylene, it is preferable to use polypropylene, and when it is polyethylene, it is preferable to use polyethylene. When polyethylene or polypropylene is employed, advantages such as availability of the base sheet, versatility, and low cost can be obtained.
Moreover, when an olefinic thermoplastic elastomer is used, it is easy to bend and handling becomes easy. In addition, since the olefinic thermoplastic elastomer is composed of a hard segment made of a crystalline polyolefin resin and a soft segment made of a rubber (elastomer) component, the sheet of crystalline polyolefin resin (high density polyethylene, isotactic polypropylene, etc.) In this case, it is difficult to cause necking (locally concentrated sheet elongation is concentrated), which is advantageous in terms of formability.
[0044]
The base sheet may be either a stretched sheet or an unstretched sheet, but the unstretched sheet is preferable in terms of formability.
The base sheet may be a sheet already formed by a known film-forming method such as a T-die extrusion method, but a laminated sheet in which a decorative layer, a primer layer, and the like are appropriately formed on a transparent acrylic resin surface sheet On the other hand, it may be laminated simultaneously with film formation as a sheet by a T-die extrusion method or the like. In the former case, lamination may be performed by a known lamination method such as dry lamination.
[0045]
The thickness of the base material sheet is about 80 μm to 2 mm, although it depends on the application, the relationship of the thickness ratio with the surface sheet, the required thickness of the entire sheet for simultaneous injection molding and painting. The total thickness of the injection-molded simultaneous painting sheet is preferably 200 μm or more from the viewpoint of ease of handling and the like. In particular, when performing off-line preforming, the total thickness is preferably 400 μm or more.
[0046]
Various additives such as a flame retardant, a lubricant, an antioxidant, an ultraviolet absorber, a light stabilizer, and a filler may be further added to the base sheet as necessary.
[0047]
For example, aluminum hydroxide, magnesium hydroxide, or the like is used as the flame retardant. As the ultraviolet absorber, benzotriazole, benzophenone, or the like is used. Further, as the light stabilizer, a hindered amine radical scavenger or the like is used.
Examples of the filler include extender pigments such as mica, talc, calcium carbonate, barium sulfate, silica, alumina, and kaolinite.
[0048]
Further, by adding a colorant, it is possible to impart color concealment to the base sheet, conceal the color of the resin for laminating the sheets for simultaneous injection-molding, and adjust the base color of the decoration layer. As the colorant, a known colorant may be used as described in the decoration layer.
[0049]
In addition, as already outlined with reference to FIG. 3, the base sheet may have a multilayer structure such as two layers. In the case of two layers, two layers may be directly laminated by heat fusion as shown in FIG. 3A, or may be laminated via an
[0050]
In addition, it is meaningful from the meaning which ensures the printing suitability to make a base material sheet into 2 layer structure etc. and multilayer structure. This is because when a decorative layer is printed on a base sheet as a continuous belt-like sheet, a sheet that is too thick, such as 500 μm, can only be printed on a single sheet. For this reason, after printing on this sheet as a sheet having a thickness (about 50 to 100 μm) capable of printing the base material sheet 3A on the front side, the base material sheet 3B on the back side is interposed, for example, with the
The decorative layer may be printed on the top sheet, but the base sheet is generally better in solvent resistance and the problem of sheet deterioration due to the solvent during printing is less likely to occur. is there. However, the base sheet generally has a problem of poor adhesion, and as illustrated in FIG. 3, the
[0051]
In the case of a two-layer base sheet, it is also effective for improving adhesion. For example, in the case of FIG. 3 (A), as the
In order to impart a polar functional group to the polyolefin resin molecule, for example, an olefin monomer such as ethylene or propylene is used as an unsaturated carboxylic acid such as acrylic acid, methacrylic acid, maleic acid or fumaric acid. To give a carboxyl group in the polymer molecule, or once the olefin monomer is copolymerized with vinyl acetate and then saponified to give a hydroxyl group in the polymer molecule. .
[0052]
Further, by forming the base sheet in a two-layer structure, for example, the base sheet 3B on the resin molded product side is a thickness necessary for providing colored concealment, moldability, and simultaneous injection molding as a colored concealment layer. The front side base sheet 3A can be used as a layer that ensures adhesion with the primer layer and the adhesive layer without adding a colorant or the like, thereby minimizing the cost. And a plurality of required physical properties can be satisfied. And by the said concealment property, the color tone expression by painting can be stabilized irrespective of the color of injection molding resin.
[0053]
[Primer layer]
The
[0054]
As the urethane resin, a two-component curable urethane resin, a one-component moisture curable urethane resin, a thermoplastic urethane resin, or the like may be used.
[0055]
For example, a two-component curable urethane resin is a urethane resin having a polyol as a main component and an isocyanate as a crosslinking agent (curing agent). As the polyol, one having two or more hydroxyl groups in the molecule, for example, polyethylene glycol, polypropylene glycol, acrylic polyol, polyester polyol, polyether polyol, polycarbonate polyol, polyurethane polyol and the like are used. As the isocyanate, a polyvalent isocyanate having two or more isocyanate groups in the molecule is used. For example, aromatic isocyanate such as 2,4-tolylene diisocyanate, xylene diisocyanate, 4,4'-diphenylmethane diisocyanate, or 1,6-hexamethylene diisocyanate, isophorone diisocyanate, hydrogenated tolylene diisocyanate, hydrogenated diphenylmethane diisocyanate, etc. Aliphatic (or alicyclic) isocyanates, or adducts or multimers of the above-mentioned various isocyanates can also be used. For example, there are tolylene diisocyanate adducts, tolylene diisocyanate trimers, and the like.
[0056]
The one-component moisture-curable urethane resin is a composition containing a prepolymer having an isocyanate group at the molecular end as an essential component. The prepolymer is usually a polyisocyanate prepolymer having one or more isocyanate groups at both molecular ends, and is in a state of a solid thermoplastic resin at room temperature. Isocyanate groups react with each other by moisture in the air to cause chain extension reaction. As a result, a reaction product having a urea bond in the molecular chain is generated, and the isocyanate group at the molecular end further reacts with this urea bond. , Biuret bond is caused to branch, causing a crosslinking reaction.
The skeleton structure of the molecular chain of the prepolymer having an isocyanate group at the molecular terminal is arbitrary, and specific examples include a polyurethane skeleton having a urethane bond, a polyester skeleton having an ester bond, and a polybutadiene skeleton. One or more of these skeleton structures are employed as appropriate. In addition, when there is a urethane bond in the molecular chain, the terminal isocyanate group is contrary to this urethane bond to form an allophanate bond, and this allophanate bond also causes a crosslinking reaction.
[0057]
The thermoplastic urethane resin is composed of a linear polymer obtained by urethane-bonding a divalent polyol and a divalent isocyanate.
[0058]
In addition, what is necessary is just to form a primer layer by the well-known printing method or the coating method by using the ink or coating liquid using the above-mentioned specific resin as a primer agent.
[0059]
[Adhesive layer]
In addition, the adhesive layer 5 is appropriately interposed between the
In addition, what is necessary is just to form an adhesive bond layer with the well-known printing method or the coating method with the ink or coating liquid using the above-mentioned resin. Although there is no restriction | limiting in particular in the thickness of an adhesive bond layer, For example, it is about 5-20 micrometers.
[0060]
The reason why the adhesive layer 5 is also provided and the two layers of the
[0061]
(1) For the purpose of easy adhesion treatment of the substrate sheet; that is, in this case, the adhesive layer 5 has a single-layer configuration of the
[0062]
(2) When aiming at off-line of the printing / coating process on the
In that case, it is rather possible to use chlorinated polypropylene for the
Therefore, in order to make the printing / coating process and the lamination process off-line, the
In this case, the adhesive layer 5 is formed on the surface side of the
[0063]
[Injection molding simultaneous painting method]
Here, the injection molding simultaneous painting method, which is a use application of the above-described injection molding simultaneous painting sheet of the present invention, will be described once. The injection molding simultaneous painting method here is a laminating form, and as described in Japanese Patent Publication No. 50-19132, Japanese Patent Publication No. 43-27488, etc., a sheet for injection molding simultaneous painting is used as a pair of molds. After being placed between the two molds, both molds are clamped, the resin in a fluid state is injected into the cavities formed by both molds, solidified by solidification, and simultaneously with injection molding on the surface of the resin molding This is a method of painting resin sheets by laminating picture sheets.
[0064]
Basically, various methods known in the art can be used as the method of simultaneous injection molding. For example, a form in which the injection molding simultaneous painting sheet is preformed or not. Moreover, the form which pre-heats the sheet | seat for injection molding simultaneous painting, and the form which does not perform. In addition, the sheet for simultaneous injection-molding is usually preheated at the time of preliminary molding. However, in the case of the sheet for simultaneous injection-molded painting of the present invention, among these, the form in which the preforming with an increased handling operation is performed off-line is preferable in that the curl reduction performance of the sheet is fully exhibited. One of the forms.
[0065]
Of course, it is preferable to perform preliminary molding when the drawing of the sheet for simultaneous injection molding is large. On the other hand, when the injection molding simultaneous painting sheet has a small aperture, the sheet may be molded with the resin pressure of the injected resin in a fluid state. At this time, if the aperture is shallow, the injection-molded simultaneous painting sheet may be molded with the resin pressure of the resin in a fluid state filled in the mold simultaneously with the resin injection without pre-molding. Even when a sheet for simultaneous injection molding is molded with resin pressure, the heat of the injection resin may be used without preheating the sheet. In addition, the preliminary molding of the sheet for simultaneous injection molding is usually performed by using the injection mold as a vacuum mold, but before supplying the sheet between the molds, a separate vacuum mold is used outside the mold. It may be preformed such that the sheet is vacuum formed. In addition, the pre-molding is preferable in that an injection mold is also used as a vacuum mold so that lamination can be performed efficiently and accurately. However, in the case where the preformed injection-molded simultaneous painting sheet is manufactured in advance at a different location, the pre-molding is preferably in the form of off-line pre-molding performed by a mold different from the injection mold. In the description of the present invention, vacuum forming includes vacuum / pressure forming.
[0066]
Incidentally, FIG. 4 is a conceptual diagram illustrating the injection molding simultaneous painting method in one form. In the form shown in FIG. 4, the injection mold is a vacuum mold that is another mold, and after the injection molding simultaneous painting sheet is heated and softened and pre-molded, the molded injection molding simultaneous painting sheet is injection molded. After insertion into the mold, the mold is clamped and the resin is injected. Then, next, the injection molding simultaneous painting method of this embodiment will be further described with reference to FIG.
[0067]
First, as shown in FIG. 4A, using a vacuum forming die Mv having suction means such as suction holes 31 on the die surface, the injection-molded simultaneous painting sheet softened by heating with the heater 32 is preformed by vacuum forming. . The vacuum forming die Mv is made of a metal such as iron or aluminum, or ceramics. Further, the injection-molded simultaneous painting sheet S is appropriately fixed by a frame-shaped
[0068]
Next, the preformed injection-molded simultaneous painting sheet S is supplied between a pair of injection molds Ma and Mb as shown in FIG. Here, the injection mold Ma has a runner and a gate that communicate with the injection nozzle, and the injection mold Mb has the same or substantially the same cavity surface as that of the preforming mold Mv. It has a shape and becomes a mold for fixing a preformed injection-molded simultaneous painting sheet. These molds are made of metal such as iron or ceramics. In the mold open state, the injection molding simultaneous painting sheet S is supplied between the molds Ma and Mb, and the injection molding simultaneous painting sheet S is fixed to the mold Mb by pressing it with a frame-shaped sheet clamp 42. In this case, of course, the base sheet side of the injection-molded simultaneous painting sheet is the injection resin side on the right side of the drawing. Next, both molds are clamped as shown in FIG. 4C, and a resin formed in a fluid state such as a heat-melted state is filled in a cavity formed by both molds. If there is an unnecessary portion of the sheet for simultaneous injection-molding, if it is appropriately trimmed, a molded product with a picture can be obtained.
[0069]
[Injection molding resin]
In addition, in the injection molding simultaneous painting method, as a resin which is injection molded into a resin molded product, basically known ones in the injection molding simultaneous painting method can be used, and there is no particular limitation. It is selected according to the required physical properties and cost. However, since the injection-molded simultaneous painting sheet of the present invention is configured to have good adhesion to the polyolefin-based resin, a polyolefin-based resin is preferable. Examples of polyolefin resins include high crystalline non-elastomeric polyolefin resins such as polyethylene, polypropylene, polybutene, polymethylpentene, ethylene-propylene copolymer, propylene-butene copolymer, or various olefinic thermoplastics. An elastomer is used.
[0070]
The injection-molded simultaneous painting sheet of the present invention is configured so as to have good adhesion with these polyolefin resins. However, when it is necessary to further improve the adhesion, Propylene rubber should be added. The ethylene propylene rubber is a rubber (EPR) made of an ethylene-propylene copolymer, and is an amorphous random copolymer. In addition to the pure ethylene-propylene copolymer, ethylene-propylene-diene terpolymer (EPDM) can be used as the ethylene-propylene rubber. The ethylene propylene rubber is preferably added in an amount of 1 to 40 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the polyolefin resin from the viewpoint of improving adhesion and maintaining rigidity.
[0071]
Note that as the injection molding resin, a resin colored by adding a colorant may be used as appropriate according to the application. As the colorant, a known colorant as described in the decoration layer can be used. In addition, the injection molding resin appropriately contains various known additives such as inorganic powders such as silica, alumina, calcium carbonate, and aluminum hydroxide, fillers such as glass fibers, stabilizers, and lubricants as necessary. .
[0072]
[Molded product with picture]
By laminating the injection-molded simultaneous painting sheet of the present invention on a resin molded product, a molded product P as illustrated conceptually in the cross-sectional view of FIG. 5 is obtained. That is, it is a molded article having a structure in which the above-described sheet S for simultaneous injection molding of the present invention is laminated on the surface of the resin molded
[0073]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to Examples and Comparative Examples.
[0074]
[Example 1]
A sheet S for simultaneous injection molding with a structure as shown in FIG. 2A was produced as follows. An uncolored polymethyl methacrylate (PMMA) sheet (thickness: 0.125 mm) is used as a transparent
Next, on one side of the base material sheet 3 (thickness 0.4 mm) made of opaque polypropylene colored yellowish brown by adding a colorant mainly composed of petal, carbon black, chrome lead and titanium white. The adhesive layer 5 having a thickness of 4 μm is formed by applying an adhesive mainly composed of chlorinated polypropylene, and then the adhesive layer 5 and the
The contents are shown in Table 1 together with other examples and comparative examples.
[0075]
[Example 2]
In Example 1, the thickness of the top sheet was changed to 0.075 mm, and the thickness of the base sheet was 0.38 mm (however, the front base sheet having a thickness of 0.08 mm and the back base sheet having a thickness of 0.30 mm) A sheet for simultaneous injection molding was obtained in the same manner as in Example 1 except that the base sheet was changed into a two-layer laminate by dry lamination via an adhesive layer of a two-component curable urethane resin. . The thickness ratio is 0.20.
[0076]
In addition, the said base material sheet uses the sheet | seat which consists of a non-colored transparent polypropylene which introduce | transduced the carboxyl group into the molecule | numerator by graft copolymerization of maleic acid for the front side base material sheet of thickness 0.08mm, and thickness 0.30mm The back side base material sheet is a sheet made of an opaque polypropylene colored with a colorant as in Example 1, and a two-component curable urethane resin consisting of acrylic polyol and 1,6-hexamethylene diisocyanate as a main component. A sheet laminated by a dry lamination method with an adhesive layer of the adhesive to be used in between was used.
[0077]
Example 3
In Example 1, the thickness of the surface sheet was changed to 0.050 mm, and the base sheet was injection molded in the same manner as in Example 1 except that a sheet having the same thickness of 0.38 mm as in Example 2 was used. A sheet for simultaneous painting was obtained. The thickness ratio is 0.13.
[0078]
Example 4
In Example 1, except that the base material sheet was changed to the base material sheet used in Example 2, a sheet for simultaneous injection molding was obtained in the same manner as in Example 1. The thickness ratio is 0.33.
[0079]
[Comparative Example 1]
In Example 1, except that the thickness of the base material sheet was changed to 0.20 mm, a sheet for simultaneous injection molding and painting was obtained in the same manner as Example 1. The thickness ratio is 0.63.
[0080]
[Comparative Example 2]
In Example 1, except that the thickness of the base material sheet was changed to 0.30 mm, an injection-molded simultaneous painting sheet was obtained in the same manner as in Example 1. The thickness ratio is 0.42.
[0081]
[Performance evaluation]
The evaluation of curl was made by cutting each of the injection-molded simultaneous painting sheets of the above examples and comparative examples into squares of 120 mm in length and width, leaving them in an oven at 160 ° C. for 1 minute, taking them out, and cooling the sheet temperature to 20 ° C. Then, as shown in FIG. 6, the sheet S for simultaneous injection molding was placed on the horizontal plane E, and the (maximum) height H from the horizontal plane of the curved sheet was measured to evaluate the degree of curling. When the (maximum) height was 20 mm or less, it was judged as good, and when it exceeded 20 mm, it was judged as bad.
As a result, as shown in Table 1, each of the comparative examples having a thickness ratio exceeding 0.35 had a curl degree of 40 mm or more and was poor and strong, but in each example having a thickness ratio of 0.35 or less, The curl degree was 5 to 18 mm, and the curl was good and the curl was weak. In addition, when the thickness ratio was around 0.35, the difference in the degree of curling was different by 20 mm or more, and a critical effect (thickness ratio ≦ 0.35 significance) was recognized.
[0082]
[Table 1]
[0083]
Next, simultaneous injection painting by off-run preforming as described in the conceptual diagram of FIG. 4 was performed to evaluate the presence or absence of defects during handling due to curling. As the injection molding resin, a polypropylene resin to which 10% by weight of ethylene-propylene copolymer rubber was added was used, and an injection molding simultaneous painting sheet S was laminated on the
As a result, in each example, the handling and positioning accuracy when the injection-molded simultaneous painting sheet after the pre-molding was set in the injection mold were also good. In addition, a picture-molded article is obtained which is painted with a wood grain pattern and has good transparency and has a sense of design full of luxury. However, in each comparative example, the curl is large, and the curl is generated on the injection-molded sheet with pre-molding, the handling is not performed smoothly when set in the injection mold, and the positioning accuracy to the injection mold For this reason, some of the molded articles with paintings had defects in the appearance due to the wrinkles of the sheet for simultaneous injection molding on the surface.
[0084]
【The invention's effect】
According to the injection-molded simultaneous painting sheet of the present invention, excellent transparency and surface physical properties are imparted to the resulting molded article, and in particular, it can be laminated with good adhesion to a resin molded product of a polyolefin-based resin. Curling can be reliably reduced when using the sheet. Therefore, mechanical injection of the sheet for simultaneous injection molding and accurate positioning can be performed smoothly, especially in the case of simultaneous injection molding with a form such as offline preforming, which is preformed with a mold different from the injection mold. Are better.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a conceptual diagram showing a relationship between a thickness ratio of a top sheet and a base sheet and curl.
FIG. 2 is a cross-sectional view illustrating some of the layer structures of the injection-molded simultaneous painting sheet of the present invention.
FIG. 3 is a cross-sectional view illustrating some of the layer structures of the injection-molded simultaneous painting sheet of the present invention.
FIG. 4 is a conceptual diagram illustrating an example of an injection molding simultaneous painting method.
FIG. 5 is a cross-sectional view illustrating a picture molded product obtained by the present invention.
FIG. 6 is an explanatory diagram of a curl measurement method.
[Explanation of symbols]
1 Surface sheet
2 decoration layers
3 Base sheet
3A (front side) base sheet
3B (Back side) base sheet
4 Primer layer
5 Adhesive layer
6 Adhesive layer
7 resin moldings
31 Suction hole
32 Heater
33 Sheet clamp
E horizontal plane
H curl height
Ma injection mold (male mold)
Mb injection mold (female)
Mv vacuum mold
P Molded product with picture
S Sheet for simultaneous injection molding
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