JP4904981B2 - 公開鍵暗号システム構築方法、暗号演算方法、および情報処理装置、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents
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情報処理装置において、公開鍵暗号方式において適用する鍵の生成を行う公開鍵暗号システム構築方法であり、
演算処理部において実行する鍵生成ステップとして、
有限体Fq上定義される多様体V/Fq上においてベースポイントPを、P∈V/Fqとした場合、
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成する鍵生成ステップを実行することを特徴とする公開鍵暗号システム構築方法にある。
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成するステップであることを特徴とする。
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成するステップであることを特徴とする。
情報処理装置において、公開鍵暗号方式において規定される公開鍵を適用した演算を実行する暗号演算方法であり、
演算処理部において実行する演算ステップであり、
有限体Fq上定義される多様体V/Fq上においてベースポイントPを、P∈V/Fq、秘密鍵dを、d∈Z、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、
前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出する演算ステップを有することを特徴とする暗号演算方法にある。
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、
前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出するステップであることを特徴とする。
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、
前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出するステップであることを特徴とする。
公開鍵暗号方式において適用する鍵の生成を行う情報処理装置であり、
有限体Fq上定義される多様体V/Fq上においてベースポイントPを、P∈V/Fqとした場合、
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成する演算処理部、
を有することを特徴とする情報処理装置にある。
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成する処理を実行する構成であることを特徴とする。
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成する処理を実行する構成であることを特徴とする。
公開鍵暗号方式において規定される公開鍵を適用した演算を実行する情報処理装置であり、
有限体Fq上定義される多様体V/Fq上においてベースポイントPを、P∈V/Fq、秘密鍵dを、d∈Z、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、
前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出する演算処理部、
を有することを特徴とする情報処理装置にある。
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、
前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出する処理を実行する構成であることを特徴とする。
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、
前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出する処理を実行する構成であることを特徴とする。
前記入力値算出処理を、
入力としてP,Q、およびPとQの差分値Rを入力とした擬似加算VADD(P,Q,R)により実行する構成であることを特徴とする。
情報処理装置において、公開鍵暗号方式において適用する鍵の生成を行わせるコンピュータ・プログラムであり、
演算処理部において実行させる鍵生成ステップであり、
有限体Fq上定義される多様体V/Fq上においてベースポイントPを、P∈V/Fqとした場合、
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成させる鍵生成ステップを実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラムにある。
情報処理装置において、公開鍵暗号方式において規定される公開鍵を適用した演算を実行させるコンピュータ・プログラムであり、
演算処理部において実行させる演算ステップであり、
有限体Fq上定義される多様体V/Fq上においてベースポイントPを、P∈V/Fq、秘密鍵dを、d∈Z、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、
前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出させる演算ステップを実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラムにある。
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成し、公開鍵暗号システムにおいて規定される署名検証において、上記の公開鍵を適用した演算処理によって効率的な演算が可能となる。具体的には、署名検証アルゴリズムにおけるスカラー倍点の加算[kP+lQ]の算出を、専用の計算アルゴリズムや、加算手法を適用することなしに、擬似加算と2倍算のみで、実行可能として効率的な演算が実現される。
1.楕円曲線およびKummer曲面上の離散対数問題に基づく暗号系についての説明
(1.1).楕円曲線上の離散対数問題に基づく暗号系についての説明
(1.2).Kummer曲面上の離散対数問題に基づく暗号系についての説明
(1.3)スカラー倍点の加算kP+lQにおける問題点
2.擬似加算と2倍算によりスカラー倍点の加算kP+lQの算出を行なう構成
3.情報処理装置構成例
まず、本発明の具体的な説明の前に、前提となる楕円曲線およびKummer曲面上の離散対数問題に基づく暗号系について説明する。説明は、以下の2つの項目について行なう。
(1.1).楕円曲線上の離散対数問題に基づく暗号系についての説明
(1.2).Kummer曲面上の離散対数問題に基づく暗号系についての説明
楕円曲線上の離散対数問題に基づく暗号系(楕円曲線暗号)は、背景技術の欄においても述べたように、MillerとKolblitzがそれぞれ独立に提案した公開暗号系であり、安全性および高速性の点で昨今注目されている。安全性の根拠をDiffie,Hellmanが提案した有限Abel群G上の離散対数問題におき、有限Abel群Gとして楕円曲線の群構造を選択したものであり、同様の拡張で、超楕円曲線暗号などの可換群の構造を持つAbel多様体を適用した公開鍵暗号系がこれまでにも様々に提案されてきた。離散対数問題とは次のように定義される。
離散対数問題は、以下のような問題として定義される。
Gを有限Abel群,x,y∈Gとする。
このとき、
y=nx
を満たす整数nを求めよ。
*定義1.2(楕円曲線上の離散対数問題)
Fqを位数qの有限体、E/FqをFq上定義されるordinaryな楕円曲線とする。
E/Fq上の有理点P,Qに対して、
Q=nP
を満たす整数nを求めよ。
として定義される。
ここでは説明の為、有限体の標数を、
charFq≠2
とする。一般にFq上定義される楕円曲線EはWerierstrauss標準型、
E/Fq:y2=x3+ax+b, ただし、a,b∈Fq
として与えられる。
EM/Fq:By2=x3+Ax2+x, ただし、A,B∈Fq,(A2−4)B≠0
として与えられる。
x=X/Z,
y=Y/Z
によって射影座標系表示(X,Y,Z)を得られる。
このとき、Montgomery型楕円曲線における加算及び2倍算は次の定義のように与えられる。
Montgomery型楕円曲線おける加法は以下のように定義することができる。
EM/Fq上の有理点
P1=(X1,Y1,Z1),
P2=(X2,Y2,Z2)≠P1
とその差分点、
P0=−P1+P2=P2−P1=(X0,Y0,Z0)
が与えられた際、P1とP2との加算点
P3=P1+P2=(X3,Y3,Z3)は、
X3=Z0((X1−Z1)(X2+Z2)+(X1+Z1)(X2−Z2))2
Z3=X0((X1−Z1)(X2+Z2)−(X1+Z1)(X2−Z2))2
として示すことができる。
Montgomery型楕円曲線おける2倍算は以下のように定義することができる。
EM/Fq上の有理点
P1=(X1,Y1,Z1)
が与えられた際、
その2倍点
P2=2P1=(X2,Y2,Z2)は、
4X1Z1=(X1+Z1)2−(X1−Z1)2
X2=(X1+Z1)2(X1−Z1)2
Z2=4X1Z1((X1−Z1)2+(4X1Z1)(A+2)/4)
として示すことができる。
楕円曲線上の離散対数問題に基づく暗号系の重要な要素のひとつとして、楕円曲線上の有理点Pの整数k倍点kPの計算、すなわちスカラー倍算を如何に高速に行うかという問題がある。楕円曲線上のスカラー倍算については、様々な手法が研究、提案されているが、Montgomery型楕円曲線のスカラー倍算についても、前述した加法、2倍算を用いて効率的なスカラー倍算を行なう加法鎖(addition chain)を構成できることが知られている。
Ut=Pt,Vt=2P
を初期値として整数kの2進表現、
k=(ktkt−1・・・t1k0)
のkt−1から順に見ていき、
kiが1ならば、
Ui=Ui+1+Vi+1,Vi=2Vi+1
とし、
kiが0ならば、
Ui=2Ui+1,Vi=Ui+1+Vi+1
とする計算を逐次的に行うものであり、UiとViの差が常にPとなるのが大きな特徴である。以下、手順を示すが、特徴が分かり易いようにMontgomery型楕円曲線における加法、2倍算を関数の形で定義する。
Montgomery型楕円曲線における擬似加算(MonADD)を以下のように定義する。
Montgomery型楕円曲線EM/Fq上の点P1,P2と、
その差分点P0=P1−P2
を入力として、定義1.3で示した計算を実施する関数を、
MonADD=(P0,P1,P2)=P1+P2
とする。
(a)P1とP2と、その差分値であるP0=P1−P2、または、
(b)P1とP2と、その差分値であるP0=P2−P1、
これら(a)または(b)のいずれかを入力とし、
出力として、
P1とP2との加算結果であるP1+P2
を得る加算処理である。
(a)P0=P1−(−P2、)=P1+P2、または、
(b)P0=P2−(−P1、)=P1+P2、
をP1とP2と併せて入力として適用して、
出力として、
P1と−P2との加算結果であるP1−P2
を得る加算処理も擬似加算である。
MonADD=(P0,P1,P2)
として示される擬似加算において、
差分点P0は、P1−P2,P2−P1,P1+P2のいずれかとして表現可能であり、求める加算点は、P1+P2,P2−P1,P1−P2のいずれかとして表現可能となる。
Montgomery型楕円曲線における2倍算(MonDBL)を以下のように定義する。
Montgomery型楕円曲線EM/Fq上の点P1を入力として、定義1.4で示した計算を実施する関数を、
MonDBL(P1)=2P1
とする。
Montgomery型楕円曲線上の点P、
スカラー量k
を入力として、
出力として、
kP
のスカラー倍算結果を得るアルゴリズムである。
Montgomery型楕円曲線における擬似加算(MonADD)、
Montgomery型楕円曲線における2倍算(MonDBL)、
を利用して、効率的なスカラー倍算を行なう加法鎖(addition chain)を適用した演算を行なうアルゴリズムとして構成されている。
k=25=(11001)2
であるから、初期値を、
U=P,
V=2P=MonDBL(P)
として図示すると、図1に示す加法鎖(addition chain)を適用した計算手順が得られる。
Ut=Pt,Vt=2P
を初期値として整数kの2進表現、
k=(ktkt−1・・・t1k0)
のkt−1から順に見ていき、
kiが1ならば、
Ui=Ui+1+Vi+1,Vi=2Vi+1
とし、
kiが0ならば、
Ui=2Ui+1,Vi=Ui+1+Vi+1
とする計算を逐次的に行う。
k=25=(11001)2
であり、
(k4,k3,k2,k1,k0)=(1,1,0,0,1)
となる。
初期値は、
U=P,
V=2P=MonDBL(P)
となる。
k3=1であり、
U4=P,V4=2P
であるから、
U3=U4+V4=3P
V3=2V4=4P
となる。
k2=0であり、
U3=3P,V3=4P
であるから、
U2=2U3=6P
V2=U3+V3=7P
となる。
k1=0であり、
U2=6P,V2=7P
であるから、
U1=2U2=12P
V1=U2+V2=13P
となる。
k0=1であり、
U1=12P,V1=13P
であるから、
U0=U1+V1=25P
V0=2V1=26P
となる。
k=25=(11001)2
とした場合のスカラー倍算結果25Pが算出される。このように、スカラー倍点kPを求めるときに、加法鎖(addition chain)を適用した演算とすることで、Montgomery型楕円曲線におけるスカラー倍算において加法鎖(addition chain)を適用した演算が、前述のアルゴリズム1(Algorithm1)に示すアルゴリズムであり、具体的には、
Montgomery型楕円曲線における擬似加算(MonADD)、
Montgomery型楕円曲線における2倍算(MonDBL)、
これらの演算が行なわれることになる。
楕円曲線暗号の応用のひとつとして、署名生成・検証技術が挙げられる。特にAmerican National Standards Institute(ANSI)において制定された署名生成・検証技術、Elliptic Curve Digital Signature Algorithm(ECDSA)は標準として広く使用されている。以下、ECDSAについて簡単に説明する。
ドメインパラメータ:E/Fq,P
公開鍵;Q=dP
秘密鍵:d∈[1,n−1]
である。
ECDSA署名生成について説明する。署名生成者は署名を付けるメッセージmに対して、あるハッシュ関数hashを作用させダイジェストを得る。なお、使用するハッシュ関数としては様々なハッシュ関数が適用可能である。このダイジェストはbinary表現として先頭bitをMSBとする整数eとして扱うものとする。
次に、署名検証について説明する。署名検証者は署名(a',s')が付けられたメッセージm'に対してあるハッシュ関数hashを作用させダイジェストを得る。このダイジェストはbinary表現として先頭bitをMSBとする整数e'として扱うものとする。次に署名検証者は署名(a',s')の要素a',s'それぞれが、閉区間[1,n−1]に入っているかどうかを判定する。
B=kP+lQ
を計算する。署名生成時と同様、楕円曲線上の有理点のx座標要素をなんらかの手順で整数に変換するelt2intによってBのx座標要素bを求める。最後にbとa'とを比較し、一致すれば署名(a',s')はメッセージm'に対して正しく付けれたものであると判断する。一致しない場合は、不正であるものとして破棄される。この一連の手順をアルゴリズム3(Algorithm3)として以下に示す。
B=kP+lQ
を計算するステップである。この計算ステップは、Montgomery型楕円曲線上の点P,Qそれぞれのスカラー倍算結果kP,lQの加算点を求める処理である。この異なる2点P,Qのスカラー倍算の加算処理は、計算負荷の大きい処理である。この異なる2点P,Qのスカラー倍算の加算処理を高速に実行する手法として、本発明の出願人は、先にスカラー倍同時計算手法を提案している。この手法は、既に特許取得済みである特開2002−323852に記載されている。以下この手法について簡単に説明する。
以下、Montgomery型楕円曲線において、2つのスカラー倍算の和、
kP+lQ
を効率よく計算する方法について説明する。この手法は、スカラー倍同時計算手法として、
特開2002−323852号公報、
秋下徹.Montgomery型楕円曲線における高速なスカラー倍同時計算法.In Technical report,第101巻,pp.97−103.IEICE,ISEC2001−32,2001.
に記載されている。
B=kP+lQ
を計算する場合に有効である。
B=kP+lQ
を高速に算出することができる。
次に、Kummer曲面上の離散対数問題に基づく暗号系について説明する。Montgomery型楕円曲線におけるスカラー倍算を高速に行う手法として図1を参照して説明したMontgomery Ladderを種数2の超楕円曲線に応用する提案が、Gaudryや、Duquesneによって、下記文献において、提案されている。
「Sylvain Duquensne.Montgomery Scalar Multiplication for Genus 2 Curve.In Duncan Buell,editor,Algorithmic Number Theory,Vol.3076 of Lecture Notes in Computer Science,pp.153−168.Sixth International Symposium, ANTS−VI,SpringerVerlag,2004.」、「P.Gaudry.Fast genus 2 arithmetic based on Theta functions. Cryptology ePrint Archive,July 2005.2005/0314.」
Kummer曲面を以下のように定義する。
S2をSiegel上半平面とし、Ω∈S2をimaginary partが0より大きい2×2複素行列とする。このとき、
φ:C2→P3(C)
z→(v1(2z),v2(2z),v3(2z),v4(2z))
で定義されるφの像の軌跡をΩで関連づけられたKummer曲面という。
a=v1(0),b=v2(0),c=v3(0),d=v4(0),
A=Θ1(0),B=Θ2(0),C=Θ3(0),D=Θ4(0),
これらを用いてパラメータ化(parametrize)し、
K=Ka,b,c,d
として示す。
Gaudry等はKummer曲面上の点について2倍算と「疑似」加法の群演算を明示的に与えており、これによりスカラー倍算において、先に図1を参照して説明したMontgomery Ladderタイプのaddition chainが構成できることを示している。
y0=(a/b),
z0=(a/c),
t0=(a/d),
y0'=(A/B)2,
z0'=(A/C)2,
t0'=(A/D)2,
Kummer曲面における2倍算(KummerDBL)を以下のように定義する。
Kummer曲面K上の点、
P1=(x1,y1,z1,t1)
を入力として、
P1の2倍点、
2P1=(x2,y2,z2,t2)
を求める関数を、
KummerDBL(P1)=2P1
と定義する。この具体的な計算手順をアルゴリズム5(Algorithm5)として示す。
Kummer曲面における擬似加算(KummerADD)を以下のように定義する。
Kummer曲面K上の点、
P1=(x1,y1,z1,t1)
P2=(x2,y2,z2,t2)
と、その差分点、
P3'=(x3',y3',z3',t3')=−P1+P2=P2−P1
を入力として、P1とP2の加算点、
P3=P1+P2
を求める疑似加算関数を
KummerADD(P1,P2,P3')=P1+P2
と定義する。
なお、差分点は、MontgomeryP型楕円曲線の場合と同様、P3'=P2−P1のみならず、P3'=P1−P2として表現することもできる。
P3=P1+P2
を求める疑似加算関数KummerADDの具体的な計算手順をアルゴリズム6(Algorithm6)として以下に示す。
Kummer曲面上の点P、
スカラー量k
を入力として、
出力として、
kP
のスカラー倍算結果を得るアルゴリズムである。
Kummer曲面における擬似加算(KummerADD)、
Kummer曲面における2倍算(KummerDBL)、
を利用して、効率的なスカラー倍算を行なう加法鎖(addition chain)を適用した演算を行なうアルゴリズムとして構成されている。
Kummer曲面上の点について、疑似加算及び2倍算が定義され、スカラー倍算が構成されたことで、不完全(疑似的)ではあるが加法群の群構造が導入された。この事実はKummer曲面上に離散対数問題が定義できることに他ならない。前述の離散対数問題に習って定義すれば、次のように説明できる。
Kummer曲面上の離散対数問題は、以下の問題として定義される。
Fqを位数qの有限体、
K/FqをFq上定義されるKummer曲面とする。
K/Fq上の点P,Qに対して、
Q=nP
を満たす整数nを求めよ。
以下の超楕円曲線
上述したMontgomery型楕円曲線を使った暗号や、Kummer曲面を使った暗号では、前述したように疑似加算を用いてスカラー倍算kPを効率良く計算することができる。しかし、このタイプの暗号では、様々な暗号プロトコルを構成する場合、疑似加算だけでなく、実際の加算が必要な場合もあり、この時に、大きな問題が生じる。
次に、擬似加算と2倍算によりスカラー倍点の加算kP+lQの算出を行なう本発明に従った処理について説明する。
KP+lQ
の算出を擬似加算と2倍算により実行することが可能となる。
本発明の提案する公開鍵暗号方式は、先に、図1を参照して説明したMontgomery Ladderタイプの加法鎖(addition chain)を持つスカラー倍算が構成可能な有限体Fq上定義される多様体V/Fq上の離散対数問題に困難性の根拠をおく公開鍵暗号方式であり、
ベースポイントをP∈V/Fqとした場合、
秘密鍵:d∈Zとする。
公開鍵は、以下のQ,Rのペアとして設定する。
1つの公開鍵Qは、
ベースポイントPの秘密鍵:d倍の点、
Q=dPとする。
さらに、もう1つの公開鍵Rを、
Qとの差分がPとなる点R、すなわち、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記のいずれかに設定する。
このように公開鍵Q,Rを設定することで、例えば、公開鍵暗号方式における署名検証処理において算出する必要のある点P,Qのスカラー倍点,kP,lQの加算点、すなわち、
KP+lQ
の算出を、疑似加算と2倍算のみで計算することが可能となる。なお、この方式では、前述したスカラー倍同時計算が可能であり、スカラー倍同時計算kP+lQにおいて、通常の加算を用いずに疑似加算と2倍算のみで計算が可能となり、高速な演算が実現される。
まず、本発明に従った実施例における定義について説明する。
以下の本発明に従った実施例における公開鍵暗号方式は、Montgomery型楕円曲線を用いた方式であり、多様体V/Fq上で定義可能なMontgomery Ladderタイプの加法鎖(addition chain)を持つスカラー倍算は、V/Fq上の疑似加算及び2倍算から構成されるものとする。
なお、前述たように、差分点はP0=P1−P2と示すこともでき、以下では、差分点はP0=P2−P1を代表例として示す。
2倍算は、多様体V/Fq上の点P1を入力し、2倍点P2=2P1を出力するものとする。
VADD(P1,P2,P0)=P1+P2,
VDBL(P1)=2P1
と定義する。
(a)P1とP2と、その差分値であるP0=P1−P2、または、
(b)P1とP2と、その差分値であるP0=P2−P1、
これら(a)または(b)のいずれかを入力とし、
出力として、
P1とP2との加算結果であるP1+P2
を得る加算処理である。
次に、スカラー倍同時計算kP+lQを通常の加算を用いずに疑似加算と2倍算のみで計算することを可能とした公開鍵方式の実現方法、すなわち、2つの要素Q,Rを公開鍵とする公開鍵暗号系の構成方法について説明する。
次に、ある乱数d∈Zを選択し、このdを暗号系の秘密鍵とする。すなわち、
秘密鍵:d∈Z
とする。
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
を計算し、
Q,Rのペアを公開鍵とする。
秘密鍵:d∈Z
とする。
Q=dP
を算出し、ステップS103において、
Q=dPを公開鍵として決定する。
秘密鍵:d∈Z
とする。
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
を計算し、
ステップS203において、Q,Rのペアを公開鍵として公開する。
(d+1)P
つまり、アルゴリズム8におけるRの情報を冗長な情報として捨ててしまうのに対し、本発明に従った公開鍵生成アルゴリズムであるアルゴリズム8(Algorithm8)では、Qとともに、
R=(d+1)P
を公開鍵として扱うことに大きな違いがある。
公開鍵ペアQ,Rとして
Q=dP
R=(d+1)P
の算出を行なう例であるが、前述したようにRは、
R=(d−1)P
としてもよい。
d'=d−1
として入力に与え、結果として得られた
Q'=(d−1)P,
R'=dP
から、
Q=R',
R=Q'
とすれば良い。
次に、上述した鍵の設定とした公開鍵暗号方式において、例えば、署名検証処理において必要となるスカラー倍点の加算点の算出、すなわち、
kP+lQ
の算出処理について説明する。
ベースポイントP∈V/Fq、を決定する。
秘密鍵:d∈Z
公開鍵ペア:Q,Rとして、
Q=dP
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
が設定されている。
kP+lQを算出するスカラー倍同時計算のシーケンスについて、図3を参照して説明する。従来の公開鍵暗号方式におけるスカラー倍同時計算シーケンスと対比するため、図3(a)に従来の公開鍵暗号方式におけるスカラー倍同時計算シーケンス、図3(b)に本発明に従った公開鍵暗号方式におけるスカラー倍同時計算シーケンスを示す。
B=kP+lQ
を得る。
U=P+Q,
V=Q−P
を入力として与えるように変更を加えたことが従来の同時計算アルゴリズムSIMUL1との違いである。なお、先に説明した例と同様、差分点の形は、U=P+Q,V=P−Qとしてもよい。
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
のQ,Rのペアからなる公開鍵のペアである。
なお、ここでは、まず、
Q=dP
R=(d+1)P
この設定の場合について説明する。
U=R、
V=VADD(P,Q,R)
としてU,Vを設定する。
Uを公開鍵ペアQ,Rの一方Rとして設定し、
VをベースポイントPと、公開鍵ペアQ,Rの一方の公開鍵Qの加算値を、Rを適用した擬似加算によって算出する。
擬似加算:V=VADD(P,Q,R)
の入力値P,Q,Rは、
P=P
Q=dP
R=(d+1)P
であり、
R=(d+1)P=dP+P=Q+P
であるので、
V=VADD(P,Q,R)は、
P,Q,R=P+Qを入力として、
出力として、
P−Q,Q−Pを算出する擬似加算となる。
U=R、
V=VADD(P,Q,R)
としてU,Vを設定する。
このステップS402の処理は、ステップS403におけるスカラー倍同時計算kP+lQの事前処理であり、スカラー倍同時計算kP+lQを行なうための入力値として適用するU,Vを算出する処理である。
P+Q=R
Q−P=VADD(P,Q,R)
で与えられるためである。
P+Q=R
このRは、公開鍵Rとして既知の値であり、
Q−P=VADD(P,Q,R)
として擬似加算によって算出できるからである。
kP+lQ
の算出処理を、前述のアルゴリズム9(Algorithm9)の適用により、擬似加算および2倍算のみで行なうことが可能となる。
Q=dP
R=(d+1)P
とした設定の場合の説明であったが、公開鍵ペアQ,Rを、
Q=dP,
R=(d−1)P
とした設定の場合においても、PとQの差分点P+Q,Q−Pは、
P+Q=VADD(P,Q,R)
Q−P=R
であることから、上記アルゴリズム9(Algorithm9)と全く同じ手順でスカラー倍同時計算kP+lQを、通常の加算を用いずに疑似加算と2倍算のみで計算することができる。
ベースポイントをP、
公開鍵を
Q=dP、および、
Qとの差分がPとなる点、
R=(d+1)P、または
R=(d−1)P
として、Q,Rを公開鍵として設定することで、
スカラー倍点の加算kP+lQを、アルゴリズム9(Algorithm9)を適用したスカラー倍同時計算が可能となり、通常加算を行なうことなく、疑似加算と2倍算を適用した算出処理として実行することが可能となる。
公開鍵Q,Rのペアを、
Q=dP,
R=(d+1)P
として設定した場合、以下に示すアルゴリズム10(Algorithm10)によってDSA署名検証プロトコルを実行することができる。
B=SIMUL2(P,Q,U,V,k,l)
が、前述のアルゴリズム9、すなわち、擬似加算と、2倍算により
kP+lQ
の算出を実行するステップである。
U=R,
V=VADD(P,Q,R)
これらのU,V算出処理利が実行される。このステップ10で算出するU,Vは、ステップ11における、
B=SIMUL2(P,Q,U,V,k,l)
の入力値、すなわち、前述のアルゴリズム9において、楕円曲線上の点P,Qのスカラー倍点の加算
kP+lQ
のスカラー倍同時計算処理のための入力として適用される。この入力を設定して、前述のアルゴリズム9を適用したスカラー倍同時計算を実行することで、擬似加算および2倍算を適用してkP+lQを算出することが可能となる。
Q=dP,
R=(d−1)P
の場合には、上記アルゴリズム10(Algorithm10)のステップ10を、
10: U=VADD(P,Q,R),V=R
と変更する。
kP+lQ
を擬似加算と2倍算を適用して算出することが可能となり、ECDSA署名検証プロトコルの実装コストを削減することができる。
kP+lQ
を擬似加算と2倍算を適用して算出することが可能となり、DSA署名検証プロトコルの実装コストを削減することができる。
次に、上述の実施例で述べた一連の処理を実行する情報処理装置の構成例について説明する。上述の実施例で述べた一連の処理は、ハードウェア、ソフトウェアの組み合わせにより行うことができる。即ち、汎用のコンピュータや、マイクロコンピュータにプログラムを実行させることにより行う構成とすることが可能である。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、例えば汎用のコンピュータや1チップのマイクロコンピュータ等にインストールされる。図4は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされる情報処理装置の一実施の形態の構成例を示している。
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成する処理を実行する。
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出する。
U=R、および擬似加算:V=VADD(P,Q,R)を実行する。
ベースポイントをP∈V/Fqとし、
秘密鍵を、d∈Z、
公開鍵を、
Q=dPとする。
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
として、Q,Rの公開鍵のペアを生成する。
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成し、公開鍵暗号システムにおいて規定される署名検証において、上記の公開鍵を適用した演算処理によって効率的な演算が可能となる。具体的には、署名検証アルゴリズムにおけるスカラー倍点の加算[kP+lQ]の算出を、専用の計算アルゴリズムや、加算手法を適用することなしに、擬似加算と2倍算のみで、実行可能として効率的な演算を実現する。
102 ROM
103 RAM
104 HDD
105 暗号演算処理手段
106 メモリ
111 入力部
112 出力部
113 通信部
114 リムーバブル記憶媒体
121 バス
122 入出力インタフェース
201 暗号処理演算部
202 楕円曲線生成部
203 公開鍵秘密鍵生成部
204 乱数発生部
205 記憶部
Claims (18)
- 情報処理装置において、公開鍵暗号方式において適用する鍵の生成を行う公開鍵暗号システム構築方法であり、
演算処理部において実行する鍵生成ステップとして、
有限体Fq上定義される多様体V/Fq上においてベースポイントPを、P∈V/Fqとした場合、
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成する鍵生成ステップを実行することを特徴とする公開鍵暗号システム構築方法。 - 前記鍵生成ステップは、
有限体Fq上定義されるMontgomery型楕円曲線E/Fq上の離散対数問題に困難性の根拠をおく公開鍵暗号方式において、ベースポイントPを、P∈E/Fqとした場合、
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成するステップであることを特徴とする請求項1に記載の公開鍵暗号システム構築方法。 - 前記鍵生成ステップは、
有限体Fq上定義されるKummer曲面K/Fq上の離散対数問題に困難性の根拠をおく公開鍵暗号方式において、ベースポイントPを、P∈K/Fqとした場合、
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成するステップであることを特徴とする請求項1に記載の公開鍵暗号システム構築方法。 - 情報処理装置において、公開鍵暗号方式において規定される公開鍵を適用した演算を実行する暗号演算方法であり、
演算処理部において実行する演算ステップであり、
有限体Fq上定義される多様体V/Fq上においてベースポイントPを、P∈V/Fq、秘密鍵dを、d∈Z、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、
前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出する演算ステップを有することを特徴とする暗号演算方法。 - 前記演算ステップは、
有限体Fq上定義されるMontgomery型楕円曲線E/Fq上の離散対数問題に困難性の根拠をおく公開鍵暗号方式において、ベースポイントPを、P∈E/Fq、秘密鍵dを、d∈Z、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、
前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出するステップであることを特徴とする請求項4に記載の暗号演算方法。 - 前記演算ステップは、
有限体Fq上定義されるKummer曲面K/Fq上の離散対数問題に困難性の根拠をおく公開鍵暗号方式において、ベースポイントPを、P∈K/Fq上の離散対数問題に困難性の根拠をおく公開鍵暗号方式において、ベースポイントPを、P∈K/Fq、秘密鍵dを、d∈Z、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、
前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出するステップであることを特徴とする請求項4に記載の暗号演算方法。 - 前記演算ステップは、
公開鍵暗号方式において規定される署名検証処理として実行する演算であり、署名検証処理アルゴリズムで必要となる前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理kP+lQを実行するステップであることを特徴とする請求項4に記載の暗号演算方法。 - 前記暗号演算方法は、さらに、
前記演算処理部において、前記演算ステップの入力値として適用する前記P,Qの差分値の算出処理を実行する入力値算出ステップを実行し、
前記入力値算出ステップは、
入力としてP,Q、およびPとQの差分値Rを入力とした擬似加算VADD(P,Q,R)を実行するステップであることを特徴とする請求項4に記載の暗号演算方法。 - 公開鍵暗号方式において適用する鍵の生成を行う情報処理装置であり、
有限体Fq上定義される多様体V/Fq上においてベースポイントPを、P∈V/Fqとした場合、
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成する演算処理部、
を有することを特徴とする情報処理装置。 - 前記演算処理部は、
有限体Fq上定義されるMontgomery型楕円曲線E/Fq上の離散対数問題に困難性の根拠をおく公開鍵暗号方式において、ベースポイントPを、P∈E/Fqとした場合、
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成する処理を実行する構成であることを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。 - 前記演算処理部は、
有限体Fq上定義されるKummer曲面K/Fq上の離散対数問題に困難性の根拠をおく公開鍵暗号方式において、ベースポイントPを、P∈K/Fqとした場合、
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成する処理を実行する構成であることを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。 - 公開鍵暗号方式において規定される公開鍵を適用した演算を実行する情報処理装置であり、
有限体Fq上定義される多様体V/Fq上においてベースポイントPを、P∈V/Fq、秘密鍵dを、d∈Z、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、
前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出する演算処理部、
を有することを特徴とする情報処理装置。 - 前記演算処理部は、
有限体Fq上定義されるMontgomery型楕円曲線E/Fq上の離散対数問題に困難性の根拠をおく公開鍵暗号方式において、ベースポイントPを、P∈E/Fq、秘密鍵dを、d∈Z、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、
前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出する処理を実行する構成であることを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。 - 前記演算処理部は、
有限体Fq上定義されるKummer曲面K/Fq上の離散対数問題に困難性の根拠をおく公開鍵暗号方式において、ベースポイントPを、P∈K/Fq上の離散対数問題に困難性の根拠をおく公開鍵暗号方式において、ベースポイントPを、P∈K/Fq、秘密鍵dを、d∈Z、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、
前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出する処理を実行する構成であることを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。 - 前記演算処理部は、
公開鍵暗号方式において規定される署名検証処理に含まれる演算として、署名検証処理アルゴリズムで必要となる前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理kP+lQを実行する構成であることを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。 - 前記演算処理部は、前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理kP+lQの演算アルゴリズムにおける入力値として適用するP,Qの差分値の算出処理としての入力値算出処理を実行する構成であり、
前記入力値算出処理を、
入力としてP,Q、およびPとQの差分値Rを入力とした擬似加算VADD(P,Q,R)により実行する構成であることを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。 - 情報処理装置において、公開鍵暗号方式において適用する鍵の生成を行わせるコンピュータ・プログラムであり、
演算処理部において実行させる鍵生成ステップであり、
有限体Fq上定義される多様体V/Fq上においてベースポイントPを、P∈V/Fqとした場合、
秘密鍵dを、d∈Z、
公開鍵を、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rを生成させる鍵生成ステップを実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラム。 - 情報処理装置において、公開鍵暗号方式において規定される公開鍵を適用した演算を実行させるコンピュータ・プログラムであり、
演算処理部において実行させる演算ステップであり、
有限体Fq上定義される多様体V/Fq上においてベースポイントPを、P∈V/Fq、秘密鍵dを、d∈Z、2つの公開鍵ペアQ,Rとして、
Q=dP、
R=(d+1)P、または、R=(d−1)P
上記いずれかのRからなる公開鍵ペアQ,Rが規定された公開鍵暗号方式において、
前記ベースポイントPと公開鍵Qとのスカラー倍点kP,lQの加算処理、すなわち、
kP+lQ
上記演算を、入力として、P,Q,k,lの他、P,Qの差分値を入力とした演算を実行して擬似加算および2倍算の計算のみによって算出させる演算ステップを実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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