本発明の例示的な実施形態は、以下の添付図面を参照して詳細に説明される。
権利をオファーして許諾したりする装置と方法を詳細に説明するに先立って、特定のコンテンツ、サービスまたはその他の品目に対して使用権とメタ権利を指定して行使するために利用することができるDRMシステムを、最初に以下で説明する。
図9に、公開鍵と秘密鍵の対またはその他の識別メカニズムを周知の保護された方法でコンテンツユーザに対して発行する有効化(activation)サーバ20という形態で、ユーザ有効化コンポーネントを含んでいるDRMシステム10を示す。通常、ユーザは最初にDRMシステム10を用いる際に、特定のコンテンツフォーマット用のレンダリングアプリケーションと共一緒に作動するか、またはこれを含んでいるソフトウエアをインストールする。このソフトウエアは、クライアント環境30、たとえばコンテンツ受信者と関連しているコンピュータにインストールされる。このソフトウエアは、DRM10システムの一部であり、保護されているコンテンツに対する使用権を執行するために用いられる。有効化プロセスの間、いくらかの情報が有効化サーバ20とクライアント環境30間で交換される。クライアントコンポーネント60は好ましくは改竄耐性があり、有効化サーバ20が発行した公開鍵と秘密鍵ならびに、たとえばレンダリングコンポーネントなどの他のコンポーネントから成る集合を含んでいる。
権利ラベル40はコンテンツ42と関連付けられており、対応する条件が満たされた場合に、受信者、すなわち権利の消費者にとって利用可能な使用権とメタ権利を指定する。ライセンスサーバ50は暗号鍵を管理し、保護されたコンテンツ42のライセンス52を発行する。ライセンス52は、使用権とメタ権利を含む権利のエンドユーザに対する実際の許諾を具体化するものである。たとえば、権利のオファー40によって、ユーザに5ドルの料金でコンテンツを閲覧し、10ドルの料金でコンテンツを印刷することを許可することができ、または、ユーザに、たとえば以下に説明するメタ権利という概念を利用することによって別のユーザに対して権利をオファーすることを許可することができる。5ドルの料金が支払われれば、閲覧権利に対するライセンス52を発行することが可能である。クライアントコンポーネント60は、ライセンス中に指定されている使用権とメタ権利を含む権利を解釈して執行する。権利ラベル40とライセンス52を以下に詳述する。
図11に、好ましい実施形態による権利ラベル40を示す。権利ラベル40は、複数の権利オプション44を含む。権利オプション44の各々が、使用権44a、条件44bおよびコンテンツ指定44cを含んでいる。コンテンツ指定44cは、権利のオファー44と関連するコンテンツ42を参照したり、検出したり、別様に指定したりする何らかのメカニズムを含むことができる。
図10に示すように、ライセンス52は、ライセンス52a、許諾52bおよびデジタル署名52cを含んでいる。許諾52bは、ラベルから選択された、許諾された使用権および/メタ権利を含んでいる。許諾の構造もまた、指定された使用権および/メタ権利が許諾される1人以上の主要者、条件のリスト、およびライセンスを執行するために必要な状態変数を含んでいる。使用権と同様に、許諾されたメタ権利のアクセスと行使は、以下に説明するように条件リストと状態変数によって制御される。
クリアな(保護されていない)コンテンツは、コンテンツ公開者、コンテンツ配信者、コンテンツサービス提供者またはその他のあらゆる当事者に関連するコンピュータ70にインストールされた、文書準備アプリケーション72によって作成可能である。コンテンツの準備(作成)は、コンテンツ42を使用し配信させることができる使用権、メタ権利および条件を指定し、権利ラベル40をコンテンツ42と関連付け、なんらかの暗号アルゴリズムでコンテンツ42を保護することから成っている。XrMLなどの権利記述言語を用いて、権利と条件を指定することが可能である。しかしながら、使用権とメタ権利は、どのような仕方で指定してもよい。また、権利は、単にコンテンツを関連している所定の仕様やテンプレートという形態でもあり得る。したがって、権利を指定するプロセスとは、権利をコンテンツと関連付けるなんらかのプロセスのことである。コンテンツ42と関連している権利ラベル40と、コンテンツを暗号化するために用いられた暗号鍵とは、ライセンスサーバ50に送信されることができる。
権利は、配信権などの移転権を指定することが可能であり、権利を他者に許諾したり、権利を派生させたりすることを許可することができる。このような権利は「メタ権利」と呼ばれる。メタ権利とは、他のメタ権利または使用権を操作したり、修正したり、別様に派生したりすべき権利のことである。メタ権利は、使用権に対する使用権と考えることができる。メタ権利には、他者に対して/他者からの、使用権をオファー、許諾、取得、移転(譲渡)、委託、追跡、放棄、交換、および取り消し等を行う権利が含まれ得る。メタ権利は、他の権利と関連する条件の内のいずれかを修正する権利を含むことが可能である。たとえば、メタ権利は、特定の権利の範囲を拡大したり減少させたりする権利であってもよい。メタ権利はまた、権利の有効期限を拡大したり減少させたりする権利であってもよい。
多くの場合、権利に指定された使用法を行使するためには条件を満たさなければならない。たとえば条件は、料金の支払いや、個人的データの提出や、その他の使用法の行使を許可する前のなんらかの所望の要件であってよい。たとえば「アクセス条件」もまた条件であり得るが、アクセス条件は、たとえば、大学の学生や読書クラブのメンバーなどの特定のユーザグループに適用され得る。言い換えれば、条件とは、ユーザが特定の人物又は特定のグループのメンバーであることである。権利と条件は、互いに別個のエンティティ(実体)であるか、又は組み合わせることが可能である。 状態変数は、潜在的にダイナミック(動的)な状態条件を追跡するものである。状態変数とは、品目のステータス、使用権、ライセンスまたはその他のダイナミックな条件を表す値を有する変数のことである。状態変数は、情報交換所90のライセンスやサーバ30の別のデバイスによって、ライセンス52中の識別メカニズムに基づいて追跡することが可能である。さらに、状態変数の値はある条件で用いることが可能である。たとえば、使用権は、コンテンツ42を3回印刷する権利であり得る。使用権を行使するたびに、状態変数の値「印刷回数」がインクリメント(増分)される。この例では、状態変数の値が3であれば、条件はもはや満たされず、コンテンツ42は印刷不可能となる。状態変数の別の例として、時間がある。ライセンス52の条件として、コンテンツ42を30日以内に印刷すること等があってもよい。状態変数を用いて、30日が満了したか否かを追跡することが可能である。さらに、権利の状態を、状態変数の集合(collection)として追跡することが可能である。変更の集合は、自身の使用履歴を表す使用権の状態である。
DRMシステム10の例示的なワークフローを以下に説明する。ユーザなどの受信者は、クライアント環境30で操作する間、有効化サーバ20によって有効化されてコンテンツを受信する。この結果、公開鍵と秘密鍵の対(および何らかのユーザ/マシンの固有情報)が、周知の方法でクライアントソフトウエアコンポーネント60という形態でクライアント環境30にダウンロードされる。この有効化プロセスは、ライセンスを発行する以前であればいつでも遂行可能である。
ユーザは、保護されているコンテンツ42を使用したい場合、コンテンツ42を要求する。たとえば、ユーザは、コンテンツの配信者などの権利の許諾者と関連するWebサーバ80上で稼動しているWebサイトを、クライアント環境30にインストールされているブラウザを用いてブラウズ(閲覧)して、保護されているコンテンツ42をダウンロードしようとする。このプロセス中、ユーザは、料金トランザクション(コンテンツの販売の際など)や他のトランザクション(情報の収集など)を含む可能性のある一連のステップを実施してもよい。適切な条件および、料金の徴収やユーザが有効化されたことの検証やその他の前提条件が満たされると、Webサーバ80は、機密保護ソケットレイヤー(SSL)を用いたチャネルなどの機密保護通信チャネルを介してライセンスサーバ50とを連絡する。すると、ライセンスサーバ50はコンテンツに対するライセンス52を生成し、Webサーバ80は、保護されているコンテンツ42とライセンス52の双方をダウンロードさせる。ライセンス52は、ライセンスサーバ50または関連するデバイスからダウンロード可能である。コンテンツ42は、公開者、配信者またはその他の当事者と関連するコンピュータ70からダウンロード可能である。
次に、クライアント環境30下のクライアントコンポーネント60がさらに、ライセンス52を解釈して、ライセンス52中で指定されている権利と条件に基づいてコンテンツ42の使用を許可する。使用権の解釈と行使は一般に周知である。上記のステップは、連続して行われるか、または様々な順序でほぼ同時に行われてもよい。
DRMシステム10は、コンテンツ42のセキュリティ面に対応している。特に、DRMシステム10は、ライセンスサーバ50が発行したライセンス52を認証してもよい。このような認証をアプリケーション60が遂行する1つの方法は、このライセンスが信頼可能であるか否かを判定することである。言い換えれば、アプリケーション60は、デジタル署名52cの暗号署名またはその他のライセンスの識別特徴を検証して確認する機能を有している。上記の有効化ステップ中、クライアント環境30とライセンスサーバ50の双方が、有効化されたクライアント環境30がライセンス52の書名52を周知の仕方で検証するための必要とされるコンポーネントなどの他のコンポーネントをも含んでいる改竄防止性を有するソフトウエア「パッケージ」で鍵の集合を受信する。もちろん、上記の例は単にDRMシステムを実効化するための1つの方法に過ぎない。たとえば、ライセンスとコンテンツは、互いに異なったエンティティから配信可能である。また、権利のオファー40は、コンテンツを作成する当事者とは別の当事者によってコンテンツに関連付けられることが可能である。また、情報交換所90を用いて、支払いトランザクションを処理し、ライセンスを発行する前に支払いを検証することが可能である。
いずれの権利の集合の場合にも、2種類のエンティティ、すなわち、「供給者」と「消費者」が関与する。供給者の機能は、権利をオファーし、場合によっては許諾することであり、消費者の機能は権利を選択し、場合によっては行使することである。供給者と消費者は双方が、実際には2つ以上のエンティティを表してもよい。一般に、複数のエンティティが複数のエンティティに対してまとめて権利をオファーし許諾してもよい。供給者と消費者は、権利の許諾に関して相互に直接的な関係を持つ、コンテンツ価値の連鎖中の任意の2つのエンティティを表している。価値連鎖の最初の部分では、供給者と消費者は著者と公開者であってもよい。価値連鎖を沿って行くにつれて、供給者と消費者は公開者と別の公開者(コンテンツ集約目的のもの)、公開者と配信者(コンテンツ配信するもの)、配信者と小売店(コンテンツ小売のためのもの)、小売店と消費者(コンテンツを消費するもの)、さらに消費者と別の消費者(コンテンツを超流通(super-distribution)させたりまたは個人的に貸与したりするもの)となっていく。
「権利のオファー(提案)」または「権利オファー」は、消費者(たとえばコンテンツの配信者またはユーザ)がどのようにすれば、コンテンツの特定のインスタンス(実体)とそれに関連する使用権および/またはメタ権利をともに取得することが可能であるかを表現するものである。オファーは金融条項を含んでいてもいなくてもよい。オファーは、単に交渉を始めようとする意思の表現であり、また、そこに記述された条項であれば許諾するという意思の表現である。オファーは、権利ラベルという形態で表現されてよい。「権利の検討」とは、権利の消費者が、オファーされ、場合によっては売買契約されている関連する条項および条件とを検討する、権利許諾のプロセスの一部である。「権利の選択」とは、権利とそれに関連する条項および条件を権利のオファー内容から選択することである。これは、これらの権利とそれに対応する条項および条件とを受け入れるという消費者の意図を示すものである。たとえば、選択は、ラベル40から1つのオプションを選ぶ動作を含むことが可能である。「権利のカスタマイズ」とは、権利の供給者が権利と条項および条件とを権利消費者の選択内容に基づいて組み立てる、権利許諾のプロセスの一部である。このプロセスの結果は、権利の消費者に受け入れられるべきライセンス案(ドラフトライセンス)でもあり得る。「権利のライセンス」とは、権利の供給者と消費者が受け入れて同意した権利と、場合によっては条件の表現である。これは、権利のオファーと許諾のプロセスの出力である。ライセンスとは、コンテンツまたはその他の品目の使用(場合によってはさらなる配信を含む)を統御する権利を行使することへの許諾である。
上述したように、権利ラベル40などの権利ラベルは、消費者が選択と交渉(許可されている場合)とを実行することを許可する多くのオプション44を含んでいる一方、ライセンス52は消費者が選択して受け入れた権利を含んでいる。ここで、受け入れられた権利には、他者に対してオファーを提示したりオファーを選択したりする権利が含まれてもよい。
配信連鎖モデルの例を図1に示す。この配信連鎖には、コンテンツ供給者100、配信者110およびエンドユーザ120が含まれている。もちろん、コンテンツは上述した方法で作成されてよい。コンテンツはすでに図1のモデルで作成されているものと仮定する。図1は、コンテンツの移転を対象としたものであり、この例では、提供者100がコンテンツを配信者110に対して公開する、または配信者110からコンテンツを再使用する目的で受信することができることを示している。配信者110は次いで、コンテンツをユーザ120に配信したり返送コンテンツをユーザ120から受信したりすることができる。ユーザ100はコンテンツを使用することが可能である。多層構造の配信連鎖がどれほど複雑になり得るかをさらに例示すると、供給者100は他者からコンテンツを収集することができ、配信者110は他の配信者から再配信のためにコンテンツを受信することができ、ユーザ120は他のユーザとコンテンツを共有可能である。コンテンツの寿命のサイクルには複数の段階があり、また、様々な当事者間には複数の関係があること明らかである。権利の指定は、寿命サイクルの様々な段階と関係において正確で首尾一貫していることが重要であり、多層構造の配信と使用に際してコンテンツを持続的に保護するためには必須である。
図2に、権利の生成、収集、発行、放棄、推進、許諾、解約、委託および行使を含む、同じモデル中での権利の流れを示す。図2のモデルは、同じエンティティ、すなわち、供給者100、配信者110およびユーザ120を含んでいる。権利の流れに関して、当事者各々が権利を許諾して受け入れることが可能であることが理解される。ユーザ120は、他のユーザから権利を許諾されて受け入れることが可能であり、これはこの例では「委託」と呼ばれるプロセスである。
図2のモデルでは、特定のコンテンツの公開、配信および使用という多くの関係が含まれている。当事者を別様に統合したり分離したりすることによってその他のモデルをこのモデルから派生することが可能である。たとえば、いずれの提供者も配信者となることが可能である。これは「直接公開」であって、著者個々人が、一切の中間的な公開者を介さず自身のコンテンツを配信/販売することが可能となる。さらに、いずれの消費者も潜在的な配信者となることが可能である。これによって、消費者は、コンテンツを相互に渡すことが可能となる。これには、超流通、贈与および個人的貸与が含まれる。「Webコミュニティ」では、すべての人がコンテンツを公開し、配信させ、消費することが可能である。「コンテンツの収集(contents aggregation)」によって、公開者は、他の公開者からのコンテンツを合成して複合した作品とすることが可能である。サイトライセンス及び企業使用によって、消費者間でコンテンツを共有することが可能となる。
一般に、図2に示すすべての権利関係は、図3Aと図3Bに示すように2つの一般的な供給者/消費者モデルによって把握可能である。図3Aは「プッシュ」モデルを示し、図3Bは「プル」モデルを示す。図3Aに示すプッシュモデルでは、権利の供給者200が権利のオファーと許諾のプロセスを開始して、権利消費者210に対するオファーを生成し、これに対する権利を許諾する。図3Bに示すプルモデルでは、権利消費者210がプロセスを開始して、権利供給者200からオファーを要求し、権利を受け入れる。
権利のオファーと許諾の好ましい実施形態のアーキテクチャを図4に示す。アーキテクチャ400は、コンピュータのハードウエアとソフトウエアの組み合わせとして実現可能であり、権利供給者コンポーネント402、権利消費者コンポーネント438およびこれら2つのコンポーネントをリンクする通信チャネル422を含むことが可能である。たとえば、通信チャネル42は、インターネット、コンピュータ間コンピュータ直接接続、LAN、無線接続等であってよい。供給者コンポーネント402は供給者、すなわち権利を行使しようとしている(消費しようとしている)エンティティである消費者が権利を利用できるようにするエンティティと関連している。この供給者は、コンテンツの所有者もしくは提供者、または配信者、もしくは小売業者やWebサイトのオペレータなどのいずれかの「仲介者」であってよい。消費者コンポーネント438は、最終ユーザ(すなわちコンテンツ消費者)または小売業者、問屋、再販業者などの「仲介者」でありうる消費者と関連している。消費者は権利を消費するが、コンテンツを必ずしも使用する(すなわち消費する)わけではないことに留意されたい。供給者コンポーネント402と消費者コンポーネント438は双方ともが、パソコン、携帯用コンピュータ、モバイル電話、サーバ、ネットワークまたはこれらのいずれかの組み合わせなどのいずれかのタイプのハードウエアデバイスおよび/またはソフトウエアモジュールからなっていてよい。供給者コンポーネント402は、消費者に対して権利ラベル40を生成すると共に、オファーを生成し、ライセンス案を提示し、ライセンス52を許諾する。消費者コンポーネント438は、要求を発行し、権利ラベル40からオプション44の選択肢を選び、修正オファーを生成し、ライセンス52を受け入れる。供給者コンポーネント402と消費者コンポーネント438は同じデバイス中に組み込み可能であり、通信チャネル422は内部チャネルであってもよい。
供給者コンポーネント402は、ユーザインタフェースモジュール404、通信インタフェースモジュール420、アイデンティティモジュール406と、供給者の権利の(発行されたライセンスという形態での)レポジトリ412と、関連情報管理用のデータベース414を含んでいる。ユーザインタフェース404は周知の方法で、コンポーネント機能をユーザに対して提示し、ユーザとの相互作用(インタラクション)を受け入れる。通信インタフェース422は、供給者コンポーネント402と消費者コンポーネント438間のメッセージ用の適切なフォーマッティングとプロトコルを提供する。アイデンティティモジュール406は、供給者コンポーネント402のアイデンティティが消費者コンポーネント438によって認証されることを保証し、また、供給者コンポーネント402のユーザのパスワード、暗号鍵または生体認証情報のような認証情報を含んでいてもよい。権利レポジトリ412は、供給者コンポーネント402のユーザに対して許諾された権利を記憶し、内部に記憶されている権利を索引付けし、探索し、更新する機能を含んでいてよい。管理データベース414は、権利のオファーと許諾のプロセス中に生成された情報をアーカイブするために用いられる。このような情報には、初期オファー、消費者の選択、場合によっては修正オファー、取り決めおよび最終的なライセンスに関連する情報が含まれる。 消費者コンポーネント438は、ユーザインタフェースモジュール428、通信インタフェースモジュール424、アイデンティティモジュール426、消費者権利の(発行されたライセンスという形態での)レポジトリ434および関連情報管理用のデータベース436を含んでいる。ユーザインタフェース424は、ユーザに対するコンポーネントの提示と、ユーザインタラクションの受け入れとを取り扱い、処理する。通信インタフェース422は、供給者コンポーネント402と消費者コンポーネント438間の権利のオファーと許諾のメッセージ用の適切なフォーマッティングとプロトコルを提供する。アイデンティティモジュール426は、消費者コンポーネント438のアイデンティティが供給者コンポーネント402によって認証されることを保証し、ユーザのパスワード、暗号鍵または生体認証情報のような認証情報を含むことができる。権利レポジトリ434は、消費者コンポーネント438のユーザに対して許諾された権利を記憶し、内部に記憶されている権利を索引付けし、探索し、更新する機能を含んでいてよい。管理データベース436は、権利のオファーと許諾のプロセス中に生成された情報をアーカイブするために用いられる。この情報には、オファー44、消費者の選択、場合によっては修正オファー、取り決めおよびライセンス52に関連する情報が含まれる。ここで、データベース436は、データベース414と同じまたはこれと異なった情報が記憶可能であるが、これは、当事者が他の当事者とインタラクト(対話)可能であり、したがって相互に異なったアーカイブ情報を有するためである。
供給者コンポーネント402は、オファーを生成するオファー生成モジュール408、ライセンスを構成する権利構成モジュール410、オファー生成用テンプレートを以前のトランザクションとオファーの共通した形式に基づいて提供するオファーテンプレートモジュール418および、過去の消費者の特性と消費者との関係に基づいて権利をカスタマイズし許諾する消費者プロフィールモジュール416をも含んでいる。
消費者コンポーネント438はまた、オファー中に提示されている権利と条項および条件を理解するためのオファー分析モジュール430、オファーに指定されている好ましいオプションを選択する選択実行モジュール432、過去と現在の供給者の特性と関係に基づいていずれかの好ましい供給者を記述する供給者優先傾向(選好)モジュール438およびオファー中の選択オプションのパターンと興味を提供する選択パターンモジュール440をも含んでいる。たとえば、選択範囲パターンモジュール440は、好ましい供給者のリストまたは消費者にとって興味のある品目の最低価格のリストを含んでもよい。オファー分析モジュール430と選択実行モジュール432はそれぞれ1つのモジュールに組み合わせてもよい。
アーキテクチャ400内で権利をオファーし許諾するプロセスは、供給者コンポーネント402と消費者コンポーネント438が従うプロトコル(手続)に基づいている。これらのプロトコルは全般的に、オファーとこのオファーの受け入れとから成っている。具体的には、これらのプロトコルは、1つの当事者から別の当事者へのオファーとこのオファーの、オファー対象である人物による受け入れとを含んでいる。いったんオファーが為されたら、受け入れられる前に取り消せる形式とされるか、または全く取り消せないか、オファーするものが定義可能なある条件下でしか取り消せない形式とされることができる。オファーはまた、たとえば受け入れの期限が切れた場合など様々な仕方で期限切れとすることができる。期限が指定されていない場合、オファーは、このオファーの対象事項により、所定の妥当な期間で期限切れとすることができる。雑誌、機関紙、さらには新聞などの定期的に利用可能となるコンテンツの場合、妥当な期間は、たとえば、コンテンツの出版期間次第としてもよい。ストリーミングコンテンツなどの動的に生成または提供されるコンテンツの場合、妥当な期間は、コンテンツが利用可能となる前の任意の時間であってよい。権利供給者は、権利の消費者が拘束される他の受け入れ条項を決定することが可能である。たとえばオファーは、受け入れ(承諾)をeメールやある種のWebページインタフェースを介してある形態で返送することを要求してもよい。
図5Aに、権利許諾のプッシュモデルのプロトコル500のワークフローを示す。供給者コンポーネント402は、たとえば、権利ラベル40という形態で権利のオファーを場合によっては多くのオプション44と共に生成し、それを消費者438に送る(510)。消費者コンポーネント438は、このオファーとその可能なオプションとを検討し、供給者コンポーネント402に対して権利オファー44のオプションのいずれかを選択して応答する(512)。供給者コンポーネント402は、この消費者の応答にしたがって権利をカスタマイズし、消費者コンポーネント432のユーザに対してライセンス案という形態でこの権利を発行する(514)。
次に、消費者コンポーネント438は、このライセンス案が為された上記の選択に対応しているか、或いは受け入れ可能であれば受け入れる(516)。受け入れられた(承認された)場合、供給者コンポーネント402はライセンス52を発行し、ライセンス52を消費者コンポーネントに送信する(518)。ライセンス52の許諾52bは使用権および/またはメタ権利を含み得ることに留意されたい。したがって、ライセンス52によって消費者コンポーネント438のユーザは、類似の方法で他者に対して権利を許諾することが可能である。しかしながら、派生可能な権利は、メタ権利を用いることによって上流側の当事者によって制御される。追加的に、上記のプロトコルは、供給者コンポーネント402が、消費者コンポーネント438のユーザにクレジットカードによって支払いを行うことを要求するステップと、ユーザコンポーネント402が情報を提供して課金を承認するステップを含み得る。供給者コンポーネント402と消費者コンポーネント438の双方は、このプロセスが成功であったか失敗であったかに関するステータスレポートを生成することが可能である。さらに、当事者たちは、このプロセス中に互いを認証し、このプロセス全体にわたって認証を維持することが可能である。
図5Bに、権利許諾のプルモデルのプロトコルを示す。最初に、消費者コンポーネント438は、コンテンツ内のある権利の取得に興味があることを示す要求を供給者コンポーネント402に送る(520)。すると、供給者コンポーネント402はそれに応じて、消費者コンポーネント438が要求した権利を範囲に含む複数のオファーオプション44を有するラベル40の形態を有するオファーを示し、このオファーを消費者コンポーネント438に送る(522)。
消費者コンポーネント438は次いで、このオファーとそのオプションを検討し、供給者コンポーネント402に対して、これらオファーオプションの内の1つを選択して応答する(524)。供給者コンポーネント402は、この応答にしたがって権利をカスタマイズし、ライセンス案の形態でこの権利を消費者に対して許諾する(526)。次に、消費者コンポーネント438はこのライセンス案を受け入れ(528)、供給者コンポーネント402は消費者コンポーネント438に対する権利を許諾するライセンス52を発行する(530)。この権利もまた、メタ権利を含み得る。
図6に、供給者コンポーネント402内のオファー生成モジュール408によって実行されるオファー生成プロセス600を示す。オファー生成プロセス600では、最初にブロック602において利用可能な権利が収集される。権利は、供給者に対して許諾されたメタ権利から派生されることにより前の供給者から入手されるか、最初に作成されることができる。ステップ604で、供給者が消費者に対してオファーを行える権利があるか判定される。たとえば、消費者が未成年者であることが既知であり、コンテンツが成人の消費者に限られているような場合、または、消費者がコンテンツ受信の禁止者のリストに載っているような場合、供給者はオファーしないことができる。このような場合、オファー生成プロセスはステップ606で終了する。供給者がオファーできる権利がある場合、プロセスはステップ608で、ステップ602で収集された権利を解析することによって、消費者に対してオファー可能なすべての権利を決定する。次に、ステップ610で、本プロセスは、消費者が何らかの特定の権利を要求しているか否かを判定する。要求が受信されていれば、本プロセスはさらに、受信した消費者が要求した権利について考慮し、これらを利用可能な権利と比較することによって、オファー可能と判定された権利をフィルタリングする。次に、本プロセスはステップ614で、オファーテンプレートを適用する必要があるか否かを判定する。
たとえば、消費者は、テンプレートに含まれる、コンテンツを印刷する権利やアーカイブする権利などの標準的な権利をオファーされることができる。オファーテンプレートが利用可能であり、また必要とされる場合、オファーテンプレートがステップ616で適用される。ステップ618で、人間が介入して、このオファーテンプレートまたは本プロセス中でこの時点までオファー目的で利用可能な権利の内のいずれかをさらに調整してもよい。次に、条件変数および/または状態変数によって制限を掛けることが可能である。たとえばステップ620で、時間制限をある権利に対して掛けたりしてもよい。最後にステップ622で、デジタル署名または他の認証を、オファー予定の権利の集合と共に提供し、ステップ624において権利ラベル40の形態で認証済みオファーを行って、ステップ624で消費者コンポーネント438に対して提示する。
図8に、供給者コンポーネント402内の権利構成モジュール410によって実行される権利カスタマイズプロセス800を示す。最初に、消費者の選択がステップ802で受信される。選択とは、ステップ624(図6)で選択されたラベル40中の権利および条件のオプション44のことである。次に、供給者コンポーネント402が消費者コンポーネント438に対して権利を許諾する権利を有するか否かがステップ804で判定される。たとえば、消費者が、最少年齢やコンテンツがライセンスされ得る場所に居住している証拠などの、ある種の要件を満たしていない場合には、ライセンスを許諾することは不適当であり、権利カスタマイズプロセス800はステップ806で終了する。このような要件を満たしていれば、消費者が選んだ選択内容をステップ808で分析して、これらの内容が供給者コンポーネント402によって認識可能であるか否かを確認する。たとえば、この選択内容を解析し、理解(解釈)可能であるか否かを確認することが可能である。
次に、消費者情報が入手可能であるか否かをステップ810で判定する。たとえば、消費者のプロフィールはデータベース414に記憶されていることができる(図4)。入手可能であれば、ステップ812でこの消費者情報を考慮検討して消費者の選択内容をさらに分析する。ステップ812では、以下の説明するように動的情報を考慮することもまた可能である。たとえば、プロフィールには、ある権利を提供することが望ましいか望ましくないかを示す信頼度格付けまたは消費者の住所が含まれる場合がある。次いでステップ814で選択内容が妥当であるか否かが判定される。この判定は、たとえばコンピュータ計算によって、または人間が介入して実施される。消費者の選択内容が不適当であると見為されれば、ブロック816で消費者の選択について再交渉が行われる。この再交渉プロセスでは、顧客には、前の選択内容の分析に基づいた新たなオファーが提示され、新たなオファーの選択内容を提出するチャンスが与えられ、権利カスタマイズプロセス800が再度ステップ802から開始される。内容が適当であれば、選択された権利を含むライセンスがステップ818で作成される。
ライセンスの作成後、消費者による受け入れが必要であれば(ステップ820)、ステップ822で閲覧のために消費者に対して提示される。ステップ824で消費者がライセンス内の条項に同意しなければ、ステップ816で再交渉が開始され、これにより権利カスタマイズプロセス800が再度ステップ802から再開始される。ステップ820で、消費者による閲覧が不必要であれば、ライセンスはステップ826で認証され、ステップ828で完成されたライセンス52が作成され、発行されて、コンテンツ42と関連付けられる。
図7に、消費者コンポーネント438のオファー分析モジュール430と選択実行モジュール432とによって実行されるオファー検討プロセス700を示す。利用可能なオファーが最初にステップ702で収集される。ステップ704で、プロセス700は、供給者からのオファーを受け入れられる権利があるか否かを判定する。たとえば、消費者は、年齢制限や企業外からのコンテンツ受け入れに対する制限などのコンテンツの購入に対するある種の制限があれば、オファーを受け入れられない場合がある。このような場合、オファー検討プロセスはステップ706で終了する。消費者が供給者からのオファーを受け入れる権利を有していれば、このオファーがステップ708で分析されて、認識可能であるか否かが判定される。供給者の優先傾向が入手可能であるとステップ710で判定されたら、ステップ712で、オファーがこの優先傾向に基づいてフィルタリングされる。たとえば、消費者は特定の供給者を信頼したり、その他の理由で他の供給者よりこの供給者とのトランザクションを好んだりする場合がある。次に、ステップ714で、消費者の優先傾向が入手可能であるか否かを判定し、そうであれば、ステップ716でオファーに対してこの優先傾向が適用される。ステップ708〜714のロジックと他のいずれかの所望のロジックを適用することによっていったんすべてのオファーが分析されると、消費者はブロック718でオプションを選択し、ブロック720で付随事項(contingency)を
指定する。オプションの選択は自動的に実行することが可能である。人間の介入が必要であれば、消費者が介入して、さらに追加の選択事項や条件を所望により指定することが可能である。あらゆる優先傾向、ルールまたは他のロジックがオファーを分析するために用いられてもよい。
全体として、上記の図6、7、8の説明から分かるように、消費者が要求を送り、そしてライセンスが構築される。供給者と消費者のいずれがライセンスの内容を起草しても良いが、上記の例では供給者がコンテンツを起草している。この要求はオファーのサブ集合であり、このオファーは1つ以上のオプション(選択肢)を有している。供給者は、要求を送る消費者に(および、所望により他の消費者にも)対してこのオファーを利用可能なものとし、次いで消費者は(適用可能であれば他の消費者も)選択を行う。次に、供給者がこの選択内容を分析して、ライセンスを構築(すなわち権利の許諾)する。ここで、この要求は拒絶されたり、修正提案を行って、同じプロセスをこの修正提案に対して繰り返したりすることも可能である。
また、供給者が要求を分析するに際しても、この分析は自動的に実施しても、人間の介入によって実施してもよい。消費者がオファーについて検討する際、選択または受け入れは自動的に、または人間の介入によって実行されてもよい。オファーもしくはライセンス、またはこれらの双方が、動的情報、消費者情報および、上述のような消費者の要求に基づいて生成されてもよい。
この動的情報には、価格付け、ネットワークの状態、瞬時ごとのWebサイトのトラフィック、付与されるディスカウント、付与されるクーポン券、消費者の趣味、コンテンツの使用回数、コンテンツの使用時間、コンテンツの使用場所等に関連する情報を含む多くの種類の情報が含まれてもよい。動的情報は状態変数として追跡可能であり、この状態変数の値を必要に応じてチェックして更新することが可能である。
ダイナミック情報は、非静的な要素を参照して変更したり、作成したりする(実際にする必要はないが)ことが可能な情報である。たとえば、動的情報は、公式、データベース、曲線、所定の表、値のパーセンテージ、関数、公定歩合や株式市場の指数の変化などの他のデータに対する参照、および/またはユーザや配信者による人手の介入、および/または消費者の入力に基づいて得ることが可能である。
消費者情報には、消費者の年齢、消費者のクレジット履歴、消費者のクレジット限度額、消費者の収入、得られた権利やライセンスの種類、消費者のパスワード、消費者に割り当てられた鍵、アクセスやディスカウントのクラブメンバーシップ、所定の判断基準に基づいた消費者の等級、または他のデータ、識別のための特徴および情報などの情報が含まれてもよい。供給者情報には、消費者情報としての情報対象の一部または全部が含まれ、また、たとえば、利用可能なオプションやバリエーション、供給者、出荷情報および他の情報も含まれてもよい。
本発明に開示するシステムとプロセスは、コンテンツの多層構造と超流通をサポートするものである。以下に説明するのは、どのようにこれをモデリングしサポートすることが可能であるかを示す使用ケースである。権利供給者(この場合ではコンテンツ配信者)に対するオファーされた権利を、権利消費者(この場合ではエンドユーザ)に対する許諾された権利に変換するプロセスを示すことによって、権利をオファーし許諾するプロセスを解説する。具体的には、どのようにしてオファーが既存のライセンスから生成されるか、どのようにしてこのオファーが選択にしたがって検討されるか、およびどのようにして最終的なライセンスが発行されるかを示す。メタ権利は、コンテンツ配信連鎖中である当事者から次の当事者に権利を移転することを可能とするメカニズムとなる。
あるコンテンツCのコンテンツ提供者Pが、配信者Dが、アメリカ合衆国(US)の領域内のあらゆるエンドユーザに1ドルという均一料金で「プレイ」権利を、1枚当たり4ドルの費用で「印刷」権利を販売してもよいことを(双方ともDからPに支払われる)指定するように望んでいるものと仮定する。この提供者はまた、コンテンツ配信者が自分自身の条件を、自身がエンドユーザに対して発行する「プレイ」権利と「印刷」権利に付加することを許可している。
コンテンツ提供者から配信者に対するライセンスは、XrML権利言語を用いると以下のようになる。
配信者は、上記のライセンス中に表現した権利に基づいてエンドユーザに対してオファーすることができる。ここで、使用権と各々のオプションの条件とは、<grant>タグの間にXMLとして記載されている。下記のオファーでは、配信者は、エンドユーザに対して2ドル(提供者に対する支払いより1ドル多い)課金するという「プレイ」権利取得に対する料金条件と、エンドユーザに対して1枚印刷するごとに6ドル(提供者に対する支払いより1ドル多い)課金するという「印刷」権利取得に対する料金条件とを追加していることに注意されたい。配信者はまた、オファーの受け入れ期間(2002年12月31日まで)を制限している。配信者に対して許諾されたメタ権利によって、配信者は、上述したようにライセンス中の許諾事項を修正して、オファーすることが可能である。
このオファーがエンドユーザに対して提示されると、エンドユーザは、均一料金2ドルの「プレイ」権利だけを取得することを選択してもよく、以下に示すように、配信者に<choice>タグの間にXMLとして記載された選択で応答する。
ここで、この要求は拒絶することも可能であることに留意されたい。また、応答を、配信者が最初にオファーしていない権利のための修正オファーとして構築することも可能であることにも留意しなければならない。配信者は、この選択をエンドユーザから受信すると、以下に示すようなライセンスをユーザに対して発行する。
ここで、上記のすべてのXML文書において、発行者は、なんらかのデジタル署名アルゴリズムを用いて文書にデジタル署名することを選択できることに留意されたい。このような文書の受信者は、添付されたデジタル署名の有効性をチェックすることによってこれらの文書の有効性を検証するという選択肢を有している。様々な文書とその要素とに対するアクセスは、周知の技法を用いて制御可能である。
ある状況下では、オファーし許諾されると、その結果、ライセンスには、コンテンツの新たな使用状態が記される。権利を行使し始めると、メタ権利の結果として得られた派生された権利は、この権利と関連する状態変数の値を継承および/または共有する。たとえば、ある文書を5回印刷して4枚コピーする権利を許諾されると、新しいコピーはすべて同じ権利集合を有していてもよいが、オリジナルと状態(または残余の権利)を共有する。原稿が2回印刷されて新たにコピーされると、このコピーと原稿は合計3回印刷してもう2部コピーを作成することが可能である。
このように、この例示的な実施形態は、品目と関連するように構成される使用権を移転する方法を含んでいる。本方法は、品目に対する使用権とメタ権利とを含んでいる少なくとも1つの第1のオファーを供給者によって生成し、使用権はこの品目の使用方法を定義し、メタ権利は使用権または他のメタ権利を派生するための権利を指定しており、このオファーを第1の消費者に提示し、所望の使用権とメタ権利とを示す選択を第1の消費者から受信し、この所望の使用権とメタ権利を第1の消費者に対して許諾する第1のライセンスを生成することを含む。本例示的な実施形態は、多層構造の流通チャネルで、ライセンスされる品目と関連するように構成された使用権を、少なくとも1レベル下流に割り当てられた下流の権利および条件と共に転送するシステムをさらに含む。本システムは、供給者ユーザインタフェースモジュールと、少なくとも使用権とメタ権利を含んでいるオファーを生成するオファー生成モジュールと、ライセンス案を合成する権利構成モジュールと、供給者の権利のレポジトリと、供給者管理データベースとを備える供給者コンポーネントを含んでいる。本システムは、消費者ユーザインタフェースモジュールと、供給者コンポーネントが生成したオファーを分析してこの分析に基づいてオファーを選択するように構成されたオファー検討モジュールと、消費者の権利のレポジトリと、消費者管理データベースを備える消費者コンポーネントをさらに含んでいる。本例示的な実施形態は、デジタルコンテンツの管理と配信の内の少なくとも一方を実施するシステム内で用いられるデジタルコンテンツに対してライセンスを生成する方法をさらに含んでいる。本方法は、メタ権利を含んでいるオファーを消費者に対して提示し、消費者によるオファー内の少なくとも1つのメタ権利の選択を受信し、この選択に基づいてライセンスを生成することを含み、このライセンスは、消費者がこの少なくとも1つのメタ権利を行使することを可能とし、また、消費者が、この少なくとも1つのメタ権利から派生された少なくとも1つの派生した権利をオファーし、この少なくとも1つの派生した権利を含むライセンスを生成することを可能とする。
図12に、本発明による、共通の権利状態サーバを含む例示的なシステムを示す。図12で、この例示的システムは、権利状態マネージャ1209および1つ以上の権利状態レポジトリ1214を含んでいるシステムの共通権利状態サーバ1201と、メタ権利マネージャ1210、使用権マネージャ1212、認証コンポーネント1208、条件バリデータ1206、権利状態マネージャ1204、1つ以上の権利状態レポジトリ1216、ライセンスマネージャ1203、ライセンスインタープリタ1202および1つ以上のライセンスレポジトリ1218を含んでいる1つ以上のライセンスサーバ1200とを含むことが可能である。
共通権利状態サーバ1201は、1つ以上のライセンスサーバ1200と接続されているリモートサーバとして構成可能である。共通権利状態サーバ1201は、権利状態マネージャ1209を介して、ライセンスサーバ1200内の権利状態マネージャ204に匹敵するサービスを提供する。権利状態サーバ1201から提供されるサービスと、サーバ1201が管理する状態とは、1以上の権利供給者と権利消費者(図示せず)とによって共有可能である。
権利状態サーバ1201は、1つ以上のライセンスサーバ1200と1つ以上のリモート通信リンク1220等を介して接続されるリモートサーバとして構成することが可能である。権利状態サーバ1201によって提供されるサービスもまた、ライセンスサーバ1200の内の1つ以上に統合することが可能であり、このようなサービスは、他の権利供給者、権利消費者等からアクセス可能である。
ライセンスマネージャ1203は、任意の適切な機械読み取り可能な表現を含むことができ、オプションとしてはメタ権利を含んでいるオファーに基づいて新しい権利を派生させることが可能である。権利を派生させるとき、ライセンスマネージャ1203は、派生した権利と関連付けられる新しい状態変数を作成することが可能である。状態変数の作成とその適用範囲(scope)は、オファーの中に、またはシステム中のいずれか他の機能に
よって規定することが可能である。この状態変数は、たとえば、権利の派生前に、権利の派生中に、条件が満たされ次第、状態変数と関連する権利の最初の行使中などに、1つ以上のインスタンスにおいて作成可能である。状態変数は、特定の権利消費者に対して排他的に指定されたり、権利消費者間で共有されたり、権利消費者と権利供給者等の他のエンティティ間で共有されたりすることが可能である。ライセンスマネージャ1230は、権利状態マネージャ1204と対話して、新しい状態変数を1つ以上の権利状態レポジトリ1216中の物理アドレスと関連付けることが可能である。権利状態マネージャ1204は、1つ以上の権利状態レポジトリ1216にアクセスすることが可能であり、また、権利状態サーバ1201と対話して、1つ以上の権利状態レポジトリ1214からの共有状態変数にアクセスすることが可能である。
指定された状態変数を用いて、ライセンスの受信者に対してコンテンツを5回印刷する権利を許諾するライセンスをサポートすることが可能であり、共有された状態変数を用いて、認可されたユーザのグループに対して、コンテンツを一括して合計100回印刷する権利を許諾するサイトライセンスをサポートすることなどが可能である。指定された状態変数は、対応する権利が行使されると更新することが可能であり、共有された状態変数は、認可されたユーザが対応する権利が行使すると、更新することが可能である。言い換えれば、共有状態変数は、複数のユーザによる動作に応答して更新され、これらユーザの各々に対してグローバルに適用されるデータ変数を含むことが可能である。
状態変数の範囲を指定するには複数の方法があるが、これらの方法のいずれもが、派生的状態変数が共有可能であるか否か、派生的状態変数をどのようにしたら共有可能であるか、などに関して影響を及ぼしうる。たとえば、状態変数は、ローカルであって受信者にだけ単独に限定されるか、又はグローバルであって所定の受信者グループによって共有可能であってよい。グローバル状態変数は、派生された権利が発行されたときには指定されておらず、おそらくライセンス内で定義されているあるルールまたは他の手段に基づいて、後で指定される受信者グループによって共有可能である。グローバル状態変数は、1つ以上の権利供給者、所定の受信者、未指定の受信者等の間で共有可能である。有利には、所与のビジネスモデルとメタ権利内で許諾されている権利による共有関係により、状態変数を値連鎖の様々な段階で作成可能である。
状態変数の非排他的な例示的使用法のセットを以下に説明する。たとえば、状態変数はメタ権利内では未指定であり得るが、これは、状態変数の識別子と値とが、メタ権利マネージャモジュール1210によって未だ決定されておらず、派生した権利に未だ含まれてはいないことを意味する。相互に別個の状態変数を各々の派生した権利に割り当てると、派生した権利のこの状態変数の範囲は、通常、受信者に限られる。
図13に、本発明による、排他的(exclusive)使用権を派生させる際の状態変数を用
いる方法を示す。図13で、オファー1301から派生された権利1302と1303は、それぞれの消費者に対して専用(exclusive)である。オファー1301は、特定の派生的権利を得る条件が満たされると前記派生的権利を得る権利を受信者が有するタイプのメタ権利である。したがって、例示的オファー1301は、未指定の状態変数1304を有している。しかしながら、特定的な状態変数1305と1306は、各々が固有のIDを割り当てられており、派生した権利1302と1303に含まれている。派生状態変数1305と1306は、その関連の派生した権利に拘束されている、たとえば、“AlicePLayEbook”(すなわち、アリスはeブックをプレイする権利がある)は、派生した権利1302に拘束されており、“BobPlayEbook”(すなわち、ボブはeブックをプレイする権利がある)は、派生した権利1303に拘束されている。“AlicePLayEbook”変数は、アリスが自分のプレイ権利を行使すると更新されることができ、“BobPlayEbook”変数はボブが自分のプレイ権利を行使すると更新されることができる。
オファーから権利を派生する以外にも、権利はあるエンティティから受信者に移転可能である。権利が移転されると、関連の状態変数の統御もこの受信者に移転される。権利が移転されると、ソース(移転元)の当事者は、通常、もはやその権利は行使不可能となるが、受信者はその権利を行使することが可能である。受信者の権利の行使を統御するライセンスサーバは、状態の管理を担っている。しかしながら、状態変数を共通の権利状態サーバ1201が管理する場合、権利状態サーバ1201に権利の移転を通知する必要がある。具体的には、状態変数は、権利の移転以後は、受信者の状況(context)で管理する
ことが可能である。
権利をソースの当事者と受信者間で共有する場合、関連する状態変数が派生した権利内で参照される。この権利を複数の受信者で共有する場合、一般的にこれら受信者のすべてが、ソースの当事者と同じ状態変数を共有する。この場合、共有された状態は、すべての共有者からアクセス可能なエンティティによって管理することが可能である。
図14に、本発明による、継承した使用権を派生させる際に状態変数を用いる方法を示す。図14で、派生した権利はメタ権利から状態変数を継承することが可能である。たとえば、ユーザであるアリスのパソコン(PC)を、ライセンス1403にしたがってeブックをプレイするように構成することが可能である。PCとPDAが同じ状態変数1404と1405、たとえば、“AlicePLayEbook”を共有する場合、アリスのPDA(携帯情報端末)もまた、オファー1401にしたがってeブックをプレイする権利を取得することが可能である。派生した権利1402によって、アリスは、PDAとPCが5回という同じカウント制限値1406を共有する限り、自分のPDAでもeブックをプレイすることが可能である。
使用権を所定の受信者の集合で共有する場合、対応する使用権を追跡する状態変数を、すべての受信者に対して同じ状態変数IDを用いてメタ権利内に指定することが可能である。このメタ権利を行使している間、同じ状態変数IDがすべての派生した権利内に含まれる。
図15に、本発明による、権利の受信者の既知の集合の中で共有される権利を派生させる際の状態変数を用いる方法を示す。図15で、サイトライセンス1501がFooU大学に対して発行される。たとえば、サイトライセンス1501によって、図書館員は、FooUの学生が、eブック等の対応するコンテンツに対しプレイ、閲覧等の行為を行うことを、このような使用権が状態変数1504、たとえば、“www.foou.edu”によって追跡されている限り、可能とするような権利を発行する権利を許諾される。したがって、サイトライセンス1501から派生した権利1502と1503は、状態変数1505と1506である、“www.foou.edu”、を含んでいるが、これは、対応する学生であるアリス及びボブがeブックをプレイすると更新されることができる。
使用権を動的な受信者集合で共有する場合、状態変数は使用権内で未指定のままでもよい。メタ権利の行使と、受信者の集合が既知であれば、状態変数を、この既知の受信者に一意である何らかのIDを用いて指定可能であり、派生した権利内に含めることが可能である。
図16を用いて、本発明による、権利の受信者からなる動的な集合によって共有される権利を派生させる際の状態変数を用いる方法を示す。図16で、オファー1601は、配信者が提携しているクラブに対してサイトライセンスを発行して、各クラブの5人のメンバーに対して、eブックなどのコンテンツを閲覧、プレイ等の行為を同時に実行することを可能とすることを指定する。このような権利と関連する対応する状態変数1607は、オファー1601中では未指定であってよい。対応する権利1602と1603が提携クラブに対して発行されると、対応するクラブ識別子を用いて、この発行済み権利中の状態変数1608と1609を指定する。オファー1602と1603は、オファー1601から派生したメタ権利であり、別個の状態変数1608と1601を割り当てられているオファーである。さらなるオファー1604〜1606を、オファー1602と1603から派生させて、それぞれのクラブのメンバー内で共有させることが可能である。ライセンス1604と1605はオファー1602から派生した権利の例であり、状態変数1608、たとえば、“um:acme:club”を継承しており、ライセンス1606は状態変数1609、たとえば、“um:foo:club”を継承している。
状態変数は、権利供給者、消費者等の当事者によって共有可能であるばかりではなく、複数の行使可能権利によっても共有可能である。図17を用いて、本発明による、複数の権利で共有された状態を維持するために状態変数を用いる方法を示す。図17では、同じ状態変数1703が印刷権利1702とプレイ権利1701の双方に関連付けられ、これにより、プレイ、印刷等の行為の総数をまとめて追跡可能とする。
権利の状態は、2つ以上の状態変数に基づくことができる。図18を用いて、本発明による、権利の1つの状態を表すために複数の状態変数を用いる方法を示す。図18を参照して説明する例は、図16で説明した例を踏まえている。図18では、使用権を、オファー1801中の複数の状態変数1807と1808を用いて追跡することが可能である。たとえば、優先レベルを表す状態変数1808は、対応するオファー1802と1803(たとえば、サイトライセンス)中で未指定のままでもよい。たとえば優先順位を設定する対応する状態変数1809〜1811が、対応する1804、1805および1806中の各々のメンバーに対して割り当て可能である。このように閲覧、プレイ等の行為を行う対応する権利は、2つの状態変数次第とすることが可能であり、事実上、優先レベルごとに、閲覧、プレイ等の行為を同時に5回までに制限する。
1つの状態変数で状態の集合を表すことが可能である。たとえば、一意のIDを用いて状態変数を表すことが可能であり、また、適当なメカニズムを用いて、このような一意のIDを、各々が別個の状態を表している複数の変数のデータベースにマッピングすることが可能である。
状態変数の適用範囲を用いて、状態変数を管理できるエンティティを決定することが可能である。たとえば、ローカル状態変数の場合、その関連の権利の使用追跡を、メディアプレイヤ等の権利消費環境内に埋め込まれている信頼されているエージェントだけによって管理することが可能である。追加的に、このような使用追跡は、共通権利状態サーバ1201などの信頼されているリモートサービスによって実行することが可能である。さらに、共有されているグローバル状態変数を、複数の信頼されているエージェントによってアクセス可能なものとすることが可能である。ピア(peer)権利消費環境内に含まれるデータ等のコンテンツのアクセスに関連するプライバシ問題、セキュリティ問題、信頼問題、権利問題等を避けるために、このような共有されているグローバル状態変数の管理を、権利状態サーバ1201などのリモートサービスによって実行することができる。
カウンタは、状態変数を用いる一般的な形態である。たとえば、このような状態の共有にはカウンタの共有を含み、この場合の状態は、権利行使の回数、イベントの発生回数等を表している。このようなカウンタの共有は様々な形態で見られることができ、また多くの状況で発生可能であるが、このような状況には、同時使用数の追跡、連続使用回数の追跡、順序付け(たとえば、コマーシャルは、フリーコンテンツがアクセス可能となる前に閲覧されなければならない)、1回使用制限、トランザクション数、委託制御レベル、超流通レベル、少なくとも1つ以上のサービスやデバイスに依存場合等がある。
加えて、状態変数は様々な形態で具体化可能である。たとえば、状態変数を用いて、映画スタジオにより放映権を特定のテレビ局に移転したり、あるテレビ局のグループが共有する放映権を移転したり、入札プロセスで割り当てられた放映権の移転等を実行するために用いられたりするような、ある期間中の特定のタイムスロットを追跡することが可能である。
状態変数はまた、たとえば、地域的な販売や権利配信で、金融情報交換所からのステートメントという形態で用いられることができ、フリーコンテンツがアクセス可能となる以前にコマーシャルが見られたか否かの状態として、適切な料金が支払われたこと等を確認することが可能である。
全ての権利が状態に関連付けられる必要はない。図19を用いて、本発明による、すべての権利が状態と関連しているわけではない場合を示す。図19では、オファー1901によって、ユーザのアリスは、無制限のプレイ権、閲覧権等の権利を自身のPDAに対して許諾することが可能である。このようなプレイ権はいかなる状態とも関連付ける必要はない。したがって、派生した権利1902もまた、自身のPCに対する権利1903と同様に、コンテンツに対する無制限のプレイ権を有している。
状態と関連している権利がすべて共有されたり、継承されたりするわけではない。たとえば、オフラインで用いられるような権利もあり、これは、全体として別のデバイスに対して移転されることができ、したがって、他のデバイスと共有されない。図20を用いて、本発明による、状態と関連しているすべての権利が共有されたり継承されたりするわけではない場合を示す。図20では、ユーザであるアリスのプレイ権2003、アリスのPDAのプレイ権2002およびアリスのPCのプレイ権2003は同じ状態変数ID2004を指定されているとはいえ、同じ状態を共有する必要はなく、これは、デバイスは各々が自身の状態をローカルで追跡可能であるからである。このような実施例によって、PCとPDAとは各々が、対応するコンテンツを最大で5回までプレイすることが可能である点で有利である。
図21に、メタ権利を明示的には含まないオファーの形態を示す。図21では、オファー2101は、英語で書かれたサイトライセンスとして構成されている。ライセンス2102と2103は、オファー2101から派生したインスタンスである。本例示的な実施形態では、変数2104と2105は、たとえば図12のシステムによるオファー2101の解釈に基づいて作成することが可能である。
本好ましい実施形態は、パソコン、サーバ、ワークステーション、PDA、シンクライアント物などの様々なデバイスを利用することが可能である。たとえば、クライアント環境は、モバイル電話やPDAなどの携帯デバイスであってよい。様々な通信チャネルが使用可能である。さらに、様々な機能が1つのデバイスに統合可能である。たとえば、ライセンスサーバ機能が、クライアント環境内のソフトウエアで実施可能である。さらに、オファーをしたり、権利を選択したり、ライセンス許諾したりするライセンスサーバの機能を同じデバイス中で実施可能である。本明細書に開示した機能モジュールは、分かりやすいように機能別に分離している。しかしながら、これら様々な機能を、任意の方法でハードウエアおよび/またはソフトウエアとして組み合わせたり分離したりすることが可能である。これら様々な機能は相互に分離しても組み合わせても有用であり得る。
様々な要素とその部分は、同じデバイスまたは別々のデバイスに記憶可能である。たとえば、ライセンスはコンテンツと一緒に、または別々に記憶されることができる。さらに、ライセンスの様々な要素を相互に別のデバイスに記憶することができる。たとえば、状態変数の値を、状態変数の現在値を追跡するシステムの状態変数レポジトリに記憶することができる。様々なリンク、参照、指定等を用いて、これらの要素を関連付けすることが可能である。
本発明を例示的な実施形態と例を用いて説明した。しかしながら、添付のクレームと法的な均等物によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正が可能である。