JP4894598B2 - ハイブリッドポリマー - Google Patents
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Description
式(1):H-Gly-Xaa-Gly-Val-Pro-OH(Xaaは、Val、Ile、Lys、Glu、Ala、Ser、Thr、Asn、Glnよりなる群から選ばれるいずれか1つである。)
式(2):H-Pro-Yaa-Gly-OH(Yaaは、Hyp、Pro、Gly、Ala、Leu、Ser、Thr、Asn、Glnよりなる群から選ばれるいずれか1つである。)
式(3):H-(Gly-Xaa-Gly-Val-Pro)m-(Pro-Yaa-Gly)n-OH(m,nは自然数である。)
式(4):H-(Pro-Yaa-Gly)m-(Gly-Xaa-Gly-Val-Pro)n-OH(m,nは自然数である。)
本発明において第1ペプチド成分と称されるものは以下の式(1)で示される構造を有する。
式(1):H-Gly-Xaa-Gly-Val-Pro-OH(Xaaは、Val、Ile、Lys、Glu、Ala、Ser、Thr、Asn、Glnよりなる群から選ばれるいずれか1つである。)
式(1)において、Glyはグリシン、Valはバリン、Proはプロリン、Ileはイソロイシン、Lysはリジン、Gluはグルタミン酸、Alaはアラニン、Serはセリン、Thrはトレオニン、Asnはアスパラギン、Glnはグルタミンを意味する。第1ペプチド成分は、前述された5つのアミノ酸からなるペンタペプチドであり、エラスチン由来の配列といえる。
式(2):H-Pro-Yaa-Gly-OH(Yaaは、Hyp、Pro、Gly、Ala、Leu、Ser、Thr、Asn、Glnよりなる群から選ばれるいずれか1つである。)
式(2)において、Proはプロリン、Glyはグリシン、Hypはヒドロキシプリン、Proはプロリン、Glyはグリシン、Alaはアラニン、Leuはロイシン、Serはセリン、Thrはトレオニン、Asnはアスパラギン、Glnはグルタミンを意味する。第2ペプチド成分は、前述された3つのアミノ酸からなるトリペプチドであり、コラーゲン由来の配列といえる。
式(3):H-(Gly-Xaa-Gly-Val-Pro)m-(Pro-Yaa-Gly)n-OH(m,nは自然数である。)
式(4):H-(Pro-Yaa-Gly)m-(Gly-Xaa-Gly-Val-Pro)n-OH(m,nは自然数である。)
本発明にかかるポリマーゲルは、前述されたハイブリッドポリマーを含む水溶液を、50〜90℃に加熱してゲル化することにより得られるものである。その製造方法は、上記ハイブリッドポリマーを純水やエタノール、メタノールなどに約1〜1000mg/mLで溶解してハイブリッドポリマー水溶液とする。ハイブリッドポリマーを溶解する溶媒は特に限定されないが、生体適合性の観点から純水が好ましい。また、ハイブリッドポリマーの濃度は、得られるポリマーゲルの均一性や強度を考慮して定められ、より好ましくは50〜500mg/mLである。ハイブリッドポリマーの濃度を上記範囲以内とすることにより、強度の高いポリマーゲルが得られる。ハイブリッドポリマーの濃度が上記範囲より低ければ、ポリマーゲルの強度が低くなり、高ければ均一なポリマーゲルが得られにくい傾向にある。
本発明にかかるハイブリッドポリマーシートは、上記ハイブリッドポリマーがシート形状に成形されたものである。その製造方法は、上記ハイブリッドポリマーを純水やエタノール、メタノールなどに約1〜10mg/mLで溶解してハイブリッドポリマー水溶液とする。ハイブリッドポリマーを溶解する溶媒は特に限定されないが、生体適合性の観点から純水が好ましい。また、ハイブリッドポリマーの濃度は、得られるハイブリッドポリマーシートの厚みや強度の観点から定められ、より好ましくは5〜10mg/mLである。ハイブリッドポリマーの濃度を上記範囲以内とすることにより、ホールなどの欠如部位のない完全なハイブリッドポリマーシートを形成することができ、ハイブリッドポリマーシートに医療用などの所望の用途に応じた適切な強度を付与することができる。また、ハイブリッドポリマーの濃度を上記範囲以内とすることにより、ハイブリッドポリマー溶液に沈殿が生じない。
本発明にかかるポリマー積層体は、上記ハイブリッドポリマーシートが、基材上に積層されたものである。基材は、ハイブリッドポリマーとは異なる別のポリマーであって、例えばポリ乳酸などの剛性の高いポリマーを3次元に構築したものである。基材の形状として、例えば平板や直方体が採用されるが、基材の形状やポリマー積層体の用途に応じて変更することができる。例えば、ポリマー積層体を細胞培養に使用するのであれば、基材の表面を形成したい細胞塊の形状にすればよい。基材とハイブリッドポリマーとの結合は、例えば、吸着による結合や、ガンマ線を照射することにより基材とハイブリッドポリマーシートとの間に共有結合を形成する結合があげられる。
本発明にかかる薬剤内包ポリマーゲルは、上記ハイブリッドポリマー及び薬剤を含む水溶液を、50〜90℃に加熱してゲル化することにより得られる当該薬剤を内包するものである。その製造方法は、上記ハイブリッドポリマーを純水やエタノール、メタノールなどに約1〜10mg/mLで溶解してハイブリッドポリマー水溶液とする。ハイブリッドポリマーを溶解する溶媒は特に限定されないが、生体適合性の観点から純水が好ましい。また、ハイブリッドポリマーの濃度は、得られるポリマーゲルの強度を考慮して定められ、より好ましくは5〜10mg/mLである。ハイブリッドポリマーの濃度を上記範囲以内とすることにより、薬剤を内包しても強度が保たれたポリマーゲルを作製することが容易である。
・カップリング1
C末端側がBzl化されたグリシン(H-Gly-OBzl・Tos-OH、MW=337.3、渡辺化学)30mmolをDMF(和光純薬)に溶解し、N末端側がBoc化されたバリン(Boc-Val-OH、MW=217.2、渡辺化学)30mmolを添加した。さらに、トリエチルアミン(東京化成工業)30mmol(140μL/1mmol換算で4.2mL)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・H2O(渡辺化学、HOBt・H2O)36mmolを加え、この溶液が入ったナスフラスコを氷冷した。十分に冷やした後、水溶性カルボジイミド(WSCI)・塩酸(MW=191.7、ペプチド研究所、WSCI・HCl))33mmolを加えて30分放置した後、室温に戻した。これを撹拌しながら室温で一晩放置した。
得られたBoc-Val-Gly-OBzl26.5mmolを4N塩酸/ジオキサン70mLに溶解させ、室温で2時間静置した。その後、エバポレータを用いて減圧濃縮を行い、ジエチルエーテルを加えて結晶化を行った。その結晶をろ過により採取した後、デシケータで減圧乾燥した。乾燥後の脱Bocされたバリン・グリシンペプチド(H-Val-Gly-OBzl・HCl)の秤量値は7.85g(98%)であった。
カップリング1と同様にして、脱Bocされたバリン・グリシンペプチド(H-Val-Gly-OBzl・HCl)26mmolをDMFに溶解し、N末端側がBoc化されたグリシン(Boc-Gly-OH、MW=175.19、渡辺化学)26mmolを添加した。さらに、トリエチルアミン3.64mL、ブタノール・H2O31.2mmolを加え、氷冷後、WSCl・HCl28.6mmolを加えてから室温に戻した。撹拌しながら一晩放置した後、カップリング1と同様に、結晶除去、減圧濃縮、減圧濃縮残渣の溶解、結晶除去、洗浄、乾燥、硫酸ナトリウムの除去、減圧濃縮、結晶化、減圧乾燥により、グリシン・バリン・グリシンペプチド(Boc-Gly-Val-Gly-OBzl、C21H31O6N3、MW=421.49)を得た。秤量値は9.2g(83%)であった。
得られたグリシン・バリン・グリシンペプチド(Boc-Gly-Val-Gly-OBzl)15mmol(6.3g)をMeOH溶液(和光純薬、メタノール)30mLに溶解し、5%パラジウム炭素(ナカライテスク)8gを加えた。この溶液にHCOONH4(MW=63.06、和光純薬、ギ酸アンモニウム)60mmolを加えて、常温で1時間撹拌した後、ろ過によりパラジウム炭素を除去した。この溶液を濃縮して、NaHCO3水溶液に溶解した。これをジエチルエーテル10mLで2回洗浄し、その水層に10%クエン酸溶液を加えて、容器のpHを3以下に調整した。これを酢酸エチル10mLで3回抽出を行い、酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄してから硫酸ナトリウムを加えて一晩放置した。
C末端側がBzl化されたプロリン(H-Pro-OBzl・HCl、MW=241.7、渡辺化学)30mmolをDMFに溶解し、N末端側がBoc化されたバリン30mmolを添加した。さらに、トリエチルアミン4.2mL、ブタノール・H2O36mmolを加え、この溶液が入ったナスフラスコを氷冷した。十分に冷やした後、WSCl・HCl33mmolを加えて30分放置した後、室温に戻した。これを撹拌しながら室温で一晩放置した。
得られたBoc-Val-Pro-OBzl13mmolを4N塩酸/ジオキサン35mLに溶解させ、室温で2時間静置した。その後、エバポレータを用いて減圧濃縮を行い、ジエチルエーテルを加えて結晶化を行った。その結晶をろ過により採取した後、デシケータで減圧乾燥した。乾燥後の脱Bocされたバリン・プロリンペプチド(H-Val-Pro-OBzl・HCl、C17H24O3N2・HCl、MW=304.38+36.46)の秤量値は4.4g(99%)であった。
カップリング1と同様にして、脱Bocされたバリン・プロリンペプチド(H-Val-Pro-OBzl・HCl)9mmolをDMFに溶解し、脱Bzlされたグリシン・バリン・グリシンペプチド(Boc-Gly-Val-Gly-OH)9mmolを添加した。さらに、トリエチルアミン1.26mL、ブタノール・H2O10.8mmolを加え、氷冷後、WSCl・HCl9.9mmolを加えてから室温に戻した。撹拌しながら一晩放置した後、カップリング1と同様に、結晶除去、減圧濃縮、減圧濃縮残渣の溶解、結晶除去、洗浄、乾燥、硫酸ナトリウムの除去、減圧濃縮、結晶化、減圧乾燥により、グリシン・バリン・グリシン・バリン・プロリンペプチド(Boc-Gly-Val-Gly-Val-Pro-OBzl、C31H47O8N5、MW=617.73)を得た。秤量値は3.25g(63%)であった。
・カップリング1
C末端側がBzl化されたグリシン20mmolをDMFに溶解し、N末端側がBoc化されたヒドロキシプロリン(Boc-Hyp(Bzl)-OH、MW=321.36、渡辺化学)20mmolを添加した。さらに、トリエチルアミン2.8mL、ブタノール・H2O24mmolを加え、この溶液が入ったナスフラスコを氷冷した。十分に冷やした後、WSCl・HCl22mmolを加えて30分放置した後、室温に戻した。これを撹拌しながら室温で一晩放置した。
得られたBoc-Hyp(Bzl)-Gly-OBzl15mmolを4N塩酸/ジオキサン40mLに溶解させ、室温で1時間静置した。その後、エバポレータを用いて減圧濃縮を行い、エーテルを加えて結晶化を行った。その結晶をろ過により採取した後、デシケータで減圧乾燥した。乾燥後の脱Bocされたヒドロキシプロリン・グリシンペプチド(H-Hyp(Bzl)-Gly-OBzl・HCl、C21H24O4N2・HCl、MW=368.42+36.46)の秤量値は5.6g(92%)であった。
カップリング1と同様にして、脱Bocされたヒドロキシプロリン・グリシンペプチド(H-Hyp(Bzl)-Gly-OBzl・HCl)13.5mmolをDMFに溶解し、N末端側がBoc化されたプロリン(Boc-Pro-OH、MW=215.25、渡辺化学)13.5mmolを添加した。さらに、トリエチルアミン1.9mL、ブタノール・H2O16.2mmolを加え、氷冷後、WSCl・HCl14.9mmolを加えてから室温に戻した。撹拌しながら一晩放置した後、カップリング1と同様に、結晶除去、減圧濃縮、減圧濃縮残渣の溶解、結晶除去、洗浄、乾燥、硫酸ナトリウムの除去、減圧濃縮した。減圧濃縮残渣の結晶化を試みたが結晶化しなかった。減圧濃縮残渣を、クロロホルム:酢酸エチル=7:1の溶離液を用いてシリカゲルクロマトグラフィを行った。得られたプロリン・ヒドロキシプロリン・グリシンペプチド(Boc-Pro-Hyp(Bzl)-Gly-OBzl、C31H39O7N3、MW=565.67)を得た。秤量値は7.64g(100%)であった。
得られたプロリン・ヒドロキシプロリン・グリシンペプチド(Boc-Pro-Hyp(Bzl)-Gly-OBzl)8mmol(4.5g)をMeOH溶液20mLに溶解し、5%パラジウム炭素8gを加えた。この溶液にHCOONH432mmolを加えて、常温で2時間撹拌した後、ろ過によりパラジウム炭素を除去した。この溶液を濃縮して、NaHCO3水溶液に溶解した。これをジエチルエーテル10mLで2回洗浄し、その水層に10%クエン酸溶液を加えて、容器のpHを3以下に調整した。これを酢酸エチル10mLで3回抽出を行い、酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄してから硫酸ナトリウムを加えて一晩放置した。
上記第1ペプチド成分(H-Gly-Val-Gly-Val-Pro-OH)427mg (1mmol)を DMSO(和光純薬、ジメチルスルホキシド)4mLに溶解した。この溶液を氷冷し、トリエチルアミン140μL(1mmol)、ブタノールブタノール (183 mg; 1.2 mmol)、WSCI・塩酸210mg(1.1mmol)を順次加え、反応を開始した。30分経過後、溶液を室温に戻し、さらに反応させた。1週間経過後、純水36mLを加えて排除分子量3500の透析膜に移し0.5M炭酸水素アンモニウム水溶液(pH7.8)200mLに対して30分間、500mLに対して1時間、さらに1Lに対して終夜で透析した。得られた溶液を透析チューブから回収し、凍結乾燥を行って第1ポリマーの保護体を得た。第1ポリマーの収量は381mgであり、収率は89%であった。
第2ペプチド成分(H-Pro-Hyp(Bzl)-Gly-OH)375mg (1mmol)、DPPA258μL(1.2mmol)、DIEA408μL(2.4mmol)のDMSO溶液 1mLを氷冷下で調製し、反応を開始した。4時間後に室温に戻して、さらに反応させた。6日間後、反応液を純水18mLに希釈し、0.5M炭酸水素アンモニウム水溶液 (pH7.8)200mLに対して30分間、500mLに対して1時間、さらに1Lに対して終夜で透析した。得られた溶液を透析チューブから回収し、凍結乾燥を行って第2ポリマーの保護体を得た。第2ポリマーの収量は370mgであり、収率99%であった。
第1ペプチド成分(H-Gly-Val-Gly-Val-Pro-OH)427mg (1mmol)を DMSO4mLに溶解した。この溶液を氷冷下で、トリエチルアミン140μL(1mmol)、ブタノール183mg(1.2mmol)、水溶性カルボジイミド・塩酸210mg (1.1mmol)を順次加え、反応を開始した。30分間経過後、室温に戻し、そのまま反応させた。1週間経過後、純水36mLを加えて排除分子量3500の透析膜に移した。これを0.5M炭酸水素アンモニウム水溶液(pH7.8)200mLに対して30分間、500mLに対して1時間、さらに1Lに対して終夜で透析した。得られた溶液を透析チューブから回収し、凍結乾燥を行って第1ポリマーの保護体を得た。第1ポリマーの収量は381mgであり、収率は89%であった。
第2ペプチド成分(H-Pro-Hyp(Bzl)-Gly-OH)375mg (1mmol)、DPPA258μL(1.2mmol)、DIEA408μL(2.4mmol)のDMSO溶液 1mLを氷冷下で調製し、反応を開始した。4時間経過後に室温に戻し、さらに反応させた。6日間経過後、反応液を純水18mLに希釈し、0.5M炭酸水素アンモニウム水溶液 (pH7.8)200mLに対して30分間、500mLに対して1時間、さらに1Lに対して終夜で透析した。得られた溶液を透析チューブから回収し、凍結乾燥を行って第2ポリマーの保護体を得た。第2ポリマーの収量369mgであり、収率は99%であった。
第2ペプチド成分(H-Pro-Hyp(Bzl)-Gly-OH)37mg (1mmol)、DPPA258μL(1.2mmol)、DIEA408μL(2.4mmol)のDMSO溶液1mLを氷冷下で調製し、反応を開始した。4時間経過後に室温に戻し、さらに反応させた。6日間経過後、反応液を純水18mLに希釈し、0.5M炭酸水素アンモニウム水溶液 (pH7.8)200mLに対して30分間、500mLに対して1時間、さらに1Lに対して終夜で透析した。得られた溶液を透析チューブから回収し、凍結乾燥を行って第2ポリマーの保護体を得た。第2ポリマーの収量は371mgであり、収率は99%であった。
コラーゲン原料のトリペプチドと、エラスチン原料のトリペプチドとを、モル比で7:3となるように10mg/mLの濃度でDMSOに溶解させた。これに、水溶性カルボジイミド19mg、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール13mgを加えて、室温で撹拌して2日間重合させ、得られた溶液を水に対して12時間透析した(MWCO3000)。これにより、モル比7:3でランダム重合された平均分子量150,000のポリマーを得た。このポリマー溶液を実施例1と同様にしてポリマーシートとした。なお、このポリマーはゲル化することができなかった。
実施例1及び実施例2で得られたハイブリッドポリマーシート、比較例で得られたコラーゲンシートについて、表面性、ハンドリング、加温によるゲル化、引張り強度、細胞接着性を評価した。これらの評価方法を以下に示す。また、評価結果を表1に示す。
各シートの表面に凹凸があるか否かを目視により確認した。シートの厚みに明らかなムラが認められる場合に「×」とし、認められない場合に「○」と判断した。
各シートを手に持って基板上に拡げた際に、シートに割れや欠けが生じれば「×」と判断し、生じなければ「○」と判断した。
各シートを水中に浸し、ヒータ付きセルホルダを装着した紫外可視分光高度計(日本分光、商品名:UBest560)を用いて、温度を変えて400nmの濁度を測定することによりゲル化した温度を求めた。
各シートから短冊状の試験片を採取し、該試験片の両端を一対のクリップで挟み、一方のクリップを固定し、他方のクリップにバネ計りを連結した。バネ計りを毎分1mmで移動させて試験片を引張り、試験片に亀裂が生じた際のバネ計りの目盛りを読み取った。この読取値に対して、比較例1のコラーゲンシートの引張り強度を1(実測値:0.1kg)として、実施例1及び実施例2のハイブリッドポリマーシートの引張り強度を比として算出した。また、比較例2のポリマーシートについても同様の引張り試験を行ったが、引張り強度が0.1kgに達する前に破断した。
各シートを10mm×10mmに裁断してγ線滅菌を施してから、浮遊性細胞培養用のフラスコ(Nunc、25cm2型)に入れた。このフラスコに、10%FBS(大日本製薬)を含有するRPMI1640培地(シグマ)を5mL加えた。さらに、PC12細胞1×105個を加え、37℃に温度設定されたCO2インキュベータ内に静置して培養を行った。1日経過後に細胞の有無を確認し、4日経過後にシートを取り出した。取り出したシートをトリプシン処理して細胞を剥離させて個数を計数した。
実施例1のハイブリッドポリマーを10mg/mLを純水に溶解した。この水溶液を50℃の加熱してゲル化した。得られたポリマーゲルを10mm×10mmのセラミック基板にスピンコートして37℃で乾燥し、ポリマーゲルで被膜されたセラミック基板を得た。このセラミック基板をガンマ線滅菌し、浮遊細胞培養用のフラスコ(Nunc、25cm2型、商品名:Nunc浮遊細胞用フラスコ)に入れた。このフラスコに、10%FBS(大日本製薬)入りRPMI1640培地(シグマ)を5mL入れ、さらにPC12細胞1×105個を加えて、CO2インキュベータ内に静置して37℃で培養した。1日経過後に、目視によりポリマーゲルに細胞の接着が確認された。4日経過後に、セラミック基板をフラスコから取り出し、トリプシン処理によりポリマーゲルから細胞を剥離させて個数を計測した。その結果、8×105個の細胞が計測された。
実施例1のハイブリッドポリマーを10mg/mLを純水に溶解した。この水溶液を50℃の加熱してゲル化した。得られたポリマーゲルを30mm×10mmのポリ乳酸基板にスピンコートして37℃で乾燥し、ポリマーゲルで被膜されたポリ乳酸基板を得た。このポリ乳酸基板をガンマ線滅菌し、浮遊細胞培養用のシャーレ(Nunc、90mm型、商品名:Nunc浮遊細胞用シャーレ)に入れた。このシャーレに、10%FBS(大日本製薬)入りRPMI1640培地(シグマ)を5mL入れ、さらにPC12細胞1×105個を加えて、CO2インキュベータ内に静置して37℃で培養した。1日経過後に、目視によりポリマーゲルに細胞の接着が確認された。4日経過後に、ポリ乳酸基板をフラスコから取り出し、トリプシン処理によりポリマーゲルから細胞を剥離させて個数を計測した。その結果、3×106個の細胞が計測された。
実施例1のハイブリッドポリマー10mg/mLを純水に溶解した。さらに、この水溶液に、インスリン100μgを加えて溶解し、60℃に加熱してゲル化させ、その後、徐々に乾燥させてインスリンを内包するハイブリッドポリマーシートを作製した。得られたインスリン内包ハイブリッドポリマーシートは、縦横が10mm×15mm、厚みが0.3mmであった。このインスリン内包ハイブリッドポリマーシートをリン酸緩衝液10mL中に浸潤させて、HPLCにより緩衝溶液中に放出されたインスリン量を測定した。
Claims (11)
- 式(1)で示される第1ペプチド成分の重合体である第1ポリマーと、式(2)で示される第2ペプチド成分の重合体である第2ポリマーとが直列に連結されてなる式(3)又は式(4)で示されるハイブリッドポリマーであって、
上記第1ポリマー及び第2ポリマーは、第1ペプチド成分又は第2ペプチド成分の8量体以上であるハイブリッドポリマー。
式(1):H-Gly-Xaa-Gly-Val-Pro-OH(Xaaは、Val、Ile、Lys、Glu、Ala、Ser、Thr、Asn、Glnよりなる群から選ばれるいずれか1つである。)
式(2):H-Pro-Yaa-Gly-OH(Yaaは、Hyp、Pro、Gly、Ala、Leu、Ser、Thr、Asn、Glnよりなる群から選ばれるいずれか1つである。)
式(3):H-(Gly-Xaa-Gly-Val-Pro)m-(Pro-Yaa-Gly)n-OH(m,nは自然数である。)
式(4):H-(Pro-Yaa-Gly)m-(Gly-Xaa-Gly-Val-Pro)n-OH(m,nは自然数である。) - 上記第1ポリマーに対して、上記第2ペプチド成分が重合されたものである請求項1に記載のハイブリッドポリマー。
- 上記第2ポリマーに対して、上記第1ペプチド成分が重合されたものである請求項1に記載のハイブリッドポリマー。
- 請求項1から3のいずれかに記載のハイブリッドポリマーを含む水溶液を、50〜90℃に加熱してゲル化することにより得られるポリマーゲル。
- 請求項1から3のいずれかに記載のハイブリッドポリマーを含む水溶液を、50〜90℃に加熱してゲル化するポリマーゲルの製造方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載のハイブリッドポリマーを含む水溶液を50〜90℃に加熱して所望の形状にキャストし、4〜50℃で水分を蒸発させることによりシート形状に成形して得られるハイブリッドポリマーシート。
- 請求項1から3のいずれかに記載のハイブリッドポリマーを含む水溶液を50〜90℃に加熱して所望の形状にキャストし、4〜50℃で水分を蒸発させることによりシート形状に成形するハイブリッドポリマーシートの製造方法。
- 引張り強度が0.2kg/cm2以上である請求項6に記載のハイブリッドポリマーシート。
- 請求項6又は8に記載のハイブリッドポリマーシートが、基材上に積層されたポリマー積層体。
- 請求項1から3のいずれかに記載のハイブリッドポリマー及び薬剤を含む水溶液を、50〜90℃に加熱してゲル化することにより得られる当該薬剤を内包する薬剤内包ポリマーゲル。
- 請求項1から3のいずれかに記載のハイブリッドポリマー及び薬剤を含む水溶液を、50〜90℃に加熱してゲル化して、当該薬剤をゲルに内包させる薬剤内包ポリマーゲルの製造方法。
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