JP4894090B2 - Process for producing polyphenylene sulfide and extruded product - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略記する)の製造方法およびその方法により得られた押し出し成形品に関し、さらに詳しくは、高分子量PPSを効率よく短時間に製造する方法および押し出し成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
PPSは、耐熱性、耐薬品性、難燃性、機械的強度、電気的特性及び寸法安定性などに優れたエンジニアリングプラスチックであり、射出成形、押出成形及び圧縮成形などの各種成形法により、各種成形品、フィルム、シート及び繊維などに成形可能であるため、電気・電子機器や自動車機器などの広範な分野において幅広く用いられている。
【0003】
PPSの製造方法として、特公昭45−3368号公報には、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機アミド溶媒中で、硫化ナトリウムなどのアルカリ金属硫化物とp−ジクロロベンゼンなどのジハロ芳香族化合物とを反応させる方法が提案されているが、この方法では、低分子量で溶融粘度が小さいPPSしか得ることができない。このような低分子量PPSは、重合後に空気の存在下で加熱し、酸化硬化(キュアー)すれば高分子量化することができるが、このようにして得られた硬化PPSは、機械的物性が不十分であり、しかも線状ではないため、シート、フィルム及び繊維などに成形加工することが困難であった。
【0004】
近年では、重合時に高分子量のPPSを得るために、上記の方法を改善した各種の製造方法が提案されされている。そして、PPSの重合方法の改善手段としては、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させるに際し、各種の重合助剤を添加する方法が代表的であり、例えば、重合助剤としてアルカリ金属カルボン酸塩を使用する方法(特公昭52−12240号公報)、同じく芳香族カルボン酸のアルカリ土類金属塩を使用する方法(特開昭59−219332号公報)、同じくアルカリ金属ハライドを使用する方法(米国特許第4,038,263号明細書)、及び同じく脂肪族カルボン酸のナトリウム塩を使用する方法(特開平1−161022号公報)などが提案されている。
【0005】
これらの方法によれば、確かに重合により線状で高分子量のPPSを得ることができるが、高重合度なPPSをより短時間に得るためには、酢酸リチウムや安息香酸ナトリウムなどの高価な重合助剤を用いて重合を行う必要があり、また酢酸ナトリウムなどの安価な重合助剤を単純に適用したとしても、重合時間が長くなって経済的に不利であるという問題があった。
【0006】
一方、特公昭63−33775号公報には、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてPPSを得る方法において、特定の二段階重合法を採用することが提案されている。すなわち、この方法は、前段重合工程において、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.4モルの水が存在する状態で、180〜235℃の温度で反応させることにより、ジハロ芳香族化合物の転化率を50〜98モル%として低粘度のプレポリマーを生成させた後、後段重合工程において、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.5〜7モルの水が存在する状態となるように反応系に水を添加するとともに、245〜290℃の温度に昇温して、反応を継続する二段階重合法であるが、この方法では、十分に高分子量のPPSを得るために、かなりの長時間の重合時間を必要とするという問題があった。
【0007】
さらに、特開平6−145355号公報には、アルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.4モルの水の存在下に、アルカリ金属カルボン酸塩を0.001〜0.20モルと比較的少量存在させて重合を行う方法が開示されているが、この方法の主な目的は、粒状のPPSを析出させて収率を上げることにあり、このような少量のアルカリ金属カルボン酸塩の使用量では、高重合度のPPSを短時間で得ることは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0009】
したがって、本発明の目的は、高分子量のポリフェニレンスルフィドを短時間に効率よく製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく鋭意研究した結果、重合助剤のみ或いは水分量のみを増やしても高重合度のポリフェニレンスルフィドを効率よく短時間で得ることは難しいが、全重合工程の低温段階においてジハロ芳香族化合物を30〜80モル%まで反応させてプレポリマーを生成する工程を設けるとともに、重合助剤量と水分量を特定の割合に規定し、前記プレポリマーを高温で反応することにより、短時間で高重合度なPPSが得られることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明は、有機アミド溶媒中で、重合助剤の存在下に、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させてポリフェニレンスルフィドを製造する方法において、前記の反応を少なくとも下記の工程1及び2により行うことを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法であって、重合助剤を重合開始前の脱水工程の前に添加することを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法を提供するものである。
【0012】
工程1:有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを、200℃以上245℃未満の温度範囲内で、転化率が30〜60モル%になるように反応させてポリフェニレンスルフィドのプレポリマーを生成させる工程、及び
工程2:245℃以上290℃未満の温度範囲内で、前記プレポリマーを高分子量ポリフェニレンスルフィドに転換する工程において、系内の重合助剤量を仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.33〜0.70モルとすることを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法。
【0013】
なお、本発明のポリフェニレンスルフィドの製造方法においては、有機アミド溶媒中で、重合助剤の存在下に、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリフェニレンスルフィドを製造する方法において、前記工程2における系内の水分量が、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり1.0モル以上2.5モル未満となるように、反応系に水を添加し、かつ水分と重合助剤のモル比[重合助剤量(モル)/水分量(モル)]を0.1〜0.7として、前記プレポリマーを高分子量ポリフェニレンスルフィドに転換することが好ましい。
【0014】
さらに、本発明のポリフェニレンスルフィドの製造方法においては、有機アミド溶媒中で、重合助剤の存在下に、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリフェニレンスルフィドを製造する方法において、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.01〜0.2モルのアルカリ金属水酸化物に代表される重合安定剤を含む系で反応を行うことが好ましい条件である。
【0015】
また、前記工程1における有機アミド溶媒が仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5モル以上1.5モル未満の水を含有すること、前記工程1の重合時間T1()が、昇温、降温時間を含めて、20分以上120分未満であること、及び前記工程1の昇降温時間を含めた重合時間T1()と、前記工程2の昇降温時間を含めた重合時間T2()の比(T1/T2)が0.1〜2.0であることが好ましい条件としてあげられる。
【0016】
さらに本発明の製造法により得られたポリフェニレンスルフィド樹脂は十分に溶融粘度が高くまた、靱性に優れることから、特に押出成形品として有用である。
【0017】
また、本発明におけるポリフェニレンスルフィドの合成方法は、中低粘度のポリマーを極めて短時間に重合し、生産性を向上させる点でも有用である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、アルカリ金属硫化物、ジハロ芳香族化合物、分子量調節剤、分岐・架橋剤、重合溶媒、重合助剤、重合安定剤、重合反応、後処理及び生成PPSの順に詳述する。
【0019】
アルカリ金属硫化物
本発明で使用されるアルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができる。特に好ましいものは、硫化ナトリウムである。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物、或いは反応前に別の反応槽で調整されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物、或いは反応前に別の反応槽で調整されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。
【0020】
本発明において、仕込みアルカリ金属硫化物の量は、脱水操作などにより反応開始前にアルカリ金属硫化物の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
【0021】
ジハロ芳香族化合物
本発明で使用されるジハロ芳香族化合物としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼンなどのジハロベンゼン、及び1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ安息香酸などのハロゲン以外の置換基をも含むジハロ芳香族化合物などを挙げることができる。なかでも、p−ジクロロベンゼンに代表されるp−ジハロベンゼンを主成分にするジハロ芳香族化合物が好ましい。特に好ましくは、p−ジクロロベンゼンを80〜100モル%含むものである。また、異なる2種以上のジハロ芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能である。
【0022】
分子量調節剤、分岐・架橋剤
本発明においては、生成PPSの末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を併用することができる。また、分岐または架橋重合体を形成させるために、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼンなどのトリハロ以上のポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)、活性水素含有ハロゲン芳香族化合物及びハロゲン芳香族ニトロ化合物などを併用することも可能である。
【0023】
重合溶媒
本発明においては、重合溶媒として有機アミド溶媒を使用する。有機アミド溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン、テトラアルキル尿素、ヘキサアルキル燐酸トリアミドなどに代表されるアプロチック有機アミド溶媒、及びこれらの混合物などが、反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらの中でもN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記する)の使用が特に好ましい。本発明における重合溶媒の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.2〜10モルの範囲が好ましく、2〜5モルの範囲がより好ましい。
【0024】
重合助剤
本発明においては、高重合度のPPSをより短時間で得るために重合助剤を用いる。重合助剤の具体例としては、一般にPPSの重合助剤として知られているアルカリ金属カルボン酸塩及びハロゲン化リチウムなどを挙げることができる。
特に好ましいものは、アルカリ金属カルボン酸塩である。
【0025】
アルカリ金属カルボン酸塩は、一般式R(COOM)n (式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数である。)で表される化合物である。アルカリ金属カルボン酸塩は、無水、水和物または水溶液としても用いることができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、及びそれらの混合物などを挙げることができる。アルカリ金属カルボン酸塩は、有機アミド溶媒中で、有機酸と、アルカリ金属水酸化物、炭酸アルカリ金属塩及び重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記アルカリ金属カルボン酸塩の中でも、安価で入手し易いことから、特に酢酸ナトリウムが好ましく用いられる。
【0026】
これら重合助剤の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、0.33モル〜0.7モルの範囲であり、0.33〜0.45モルの範囲がより好ましく、0.33〜0.42モルの範囲が更に好ましい。上記の範囲未満では、高重合度化効果が不十分であり、上記の範囲を越えると、それ以上の高重合度化効果が得られないばかりか、同重合度のポリマーを得るのに要する重合時間は逆に長くなる。
【0027】
これら重合助剤は、後段重合工程(後記工程2)における反応系に含有されるように、その添加時期は、重合開始前の脱水工程の前である
【0028】
重合安定剤
本発明においては、重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、及びアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい
【0029】
これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、通常0.01〜0.2モル、好ましくは0.020〜0.15モル、より好ましくは0.03〜0.10モルの割合で使用する。この割合が少ないと安定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であったり、ポリマー収率が低下する傾向となる。重合安定剤の添加時期は、前段重合開始前の脱水工程の前か、前段重合開始時から後段重合途中のいずれかの時点、あるいはこれらの任意の組合わせの時期であればよい。好ましくは脱水工程の前あるいは前段重合開始時である。なお、脱水操作時にアルカリ金属硫化物の一部が分解して、硫化水素が発生する場合には、その結果生成したアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
【0030】
重合反応
本発明においては、有機アミド溶媒中で、重合助剤の存在下に、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてPPSを製造する際に、前記の反応を少なくとも下記の工程1及び2により行い、重合助剤を重合開始前の脱水工程の前に添加することを特徴とするが、さらにその他の前処理工程や後処理工程などの付加的な工程があってもよい。
【0031】
工程1:有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを、200℃以上245℃未満の温度範囲内で、転化率が30〜60モル%になるように反応させて、ポリフェニレンスルフィドのプレポリマーを生成させる工程、及び
工程2:系内の重合助剤量を仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.33〜0.70モルとし、245℃以上290℃未満の温度範囲内で、前記プレポリマーを高分子量ポリフェニレンスルフィドに転換する工程
上記の工程1を開始するに際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜220℃、好ましくは100〜220℃の温度範囲で、有機アミド溶媒にアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物を加える。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時であってもさしつかえない。アルカリ金属硫化物は、通常、水和物の形で使用されるが、その含有水量が仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5モルより少ない場合には、必要量の水を添加して補充することが好ましい。アルカリ金属硫化物の含有水量が多すぎる場合には、ジハロ芳香族化合物を添加する前に、有機アミド溶媒とアルカリ金属硫化物を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去する必要がある(脱水工程)。なお、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分を添加して補充するのが通常である。
【0032】
また、アルカリ金属硫化物としては、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物、或いは反応前に別の反応槽で調整されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。この方法に特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機アミド溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180〜250℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる(脱水工程)。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するためにトルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
【0033】
上記工程1における反応系の共存水量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり通常、0.5〜1.5モル、好ましくは0.8〜1.2モルの範囲である。上記工程1の共存水量をこのような比較的少ない範囲に規定することにより、より短時間で高重合度のPPSを得ることができる。
【0034】
上記工程1の反応温度は200℃以上245℃未満であり、平均反応温度が220℃以上240℃以下であることが望ましい。
【0035】
上記工程2においては、重合助剤量を仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.33〜0.70モルとする事が重要である。前記重合助剤量のより好適な範囲は、0.33〜0.45モルであり、0.33〜0.42モルが更に好ましい。上記の範囲未満では、高重合度化効果が不十分であり、上記の範囲を越えると、それ以上の高重合度化効果が得られないばかりか、重合時間にとっては逆効果となる。
【0036】
これら重合助剤は、後段重合工程(後記工程2)における反応系に含有されるように、その添加時期は、重合開始前の脱水工程の前である
【0037】
上記工程2では、重合系内の水分量が、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり1.0モル以上2.5モル未満となるように水分を添加する事が望ましい。水分の添加時期は、上記工程の開始時点、中間時点、終期のいずれであっても良いが、上記工程2の所要時間の半分より前に添加を開始することが好ましい。水分量が上記の範囲未満であると、高重合度化効果が減退し、一方上記の範囲を超えると、重合時間が逆に長くなるばかりか、重合釜内の圧力が大きく、重合容器のより高い耐圧性能を有した重合釜が必要となるため、経済的にも安全性の面でも好ましくない。
【0038】
また上記工程2においては、反応系内に存在する水分と重合助剤のモル比[重合助剤量(モル)/水分量(モル)]を0.1〜0.7とする事が好ましい。このモル比が上記の範囲未満であっても、上記の範囲を超える場合であっても、充分な高重合度PPSを短時間で得ることが困難となる。上記モル比のより好適な範囲は0.25〜0.45である。
【0039】
なかでも、上記工程2における水分量が、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり1.0モル以上2.5モル未満になるように、反応系に水を添加し、かつ水分と重合助剤のモル比[重合助剤量(モル)/水分量(モル)]を0.1〜0.7として、前記プレポリマーを高分子量ポリフェニレンスルフィドに転換することが、高重合度のPPSを短時間で得る上で好ましい。
【0040】
上記工程2の反応温度は245℃以上290℃未満であり、平均反応温度が250℃以上280℃以下であることが望ましい。上記の範囲を越える反応温度では、反応系内が分解傾向となる場合があるため好ましくない。
【0041】
本発明において、重合安定剤の使用量(仕込量)は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり、通常0.01〜0.2モル、好ましくは0.06から0.15モルの範囲であることが高分子量PPSを得るために望ましい。この使用量が少なすぎると、望ましくない副反応を抑制できなくなり、十分な高重合度のPPSを得るのが困難となる。また多すぎると、経済的に不利益であったり、ポリマー収率が低下する傾向となる。
【0042】
本発明において、ジハロ芳香族化合物の使用量(仕込み量)は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり、通常0.9〜2.0モル、好ましくは0.95〜1.5モル、より好ましくは1.0〜1.3モル、更に好ましくは1.01〜1.10モルの範囲であることが、高分子量のPPSを得るのために望ましい。この使用割合が0.9モル未満または2.0モル超過の場合には、加工に適した高粘度(高重合度)のPPSを得ることが困難となるので好ましくない。
【0043】
また、上記工程1から工程2に切り換える時点は、系内のジハロ芳香族化合物の転化率が30〜60モル%に達した時点である。転化率が30モル%未満では、工程2における後段重合の際に、分解などの望ましくない反応が起こり易くなる。また、転化率が60モル%を超える範囲では、反応時間が長くなるため経済的に好ましくない。
【0044】
なお、ジハロ芳香族化合物(ここではDHAと略記)の転化率は、以下の式で算出した値である。DHA残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
【0045】
(a)ジハロ芳香族化合物をアルカリ金属硫化物に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)−DHA過剰量(モル)〕
(b)上記(a)以外の場合
転化率=〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)〕
本発明において、上記工程1の重合時間としては、20分以上〜2時間未満の範囲が好ましく、60分〜110分の範囲がより好ましい。反応時間が上記の範囲未満では、十分な高重合度化が困難な場合が多く、上記の範囲を越える時間をかけても、それにより得られる高重合度化効果が小さくなり、経済的に不利となる。
【0046】
また、上記工程2の重合時間としては、80〜220分の範囲が好ましく、100分〜180分の範囲がより好ましい。反応時間が上記の範囲未満では、十分な高重合度化が困難な場合が多く、上記の範囲を越える時間をかけても、それにより得られる高重合度化効果が小さくなり、経済的に不利となる。
【0047】
本発明の方法を適用することで、全重合反応時間が1〜10時間の範囲、特に4〜8時間の範囲で、最も重合度と経済性に優れたPPSを得ることができる。ここで、全重合反応時間とは、モノマー原料投入後、昇温、定温、降温過程を含めて、重合系が200℃〜290℃の範囲にある全時間を示す。
【0048】
特に、工程1において、重合開始からの昇温時間および工程2に移行する際の245℃に到達するまでを含めた重合時間T1()と工程2において工程1から工程2に移行する際の245℃到達以降の昇温時間および重合終了後の降温時間を含めた重合時間T2()の比を、T1/T2=0.1〜2.0の範囲、より好ましくはT1/T2=0.4〜1.5の範囲に、更に好ましくはT1/T2=0.5〜0.8の範囲に制御することによって、高重合度のPPSをより短時間で得ることができる。
【0049】
後処理
本発明においては、重合反応終了後の後処理を、常法によって行なうことができる。例えば、重合反応の終了後、重合溶媒をフラッシュ法により揮散除去してから、水洗濾過を繰り返して乾燥することにより、また、冷却した生成物スラリーをそのまま、あるいは水などで稀釈してから濾別し、水洗濾過を繰り返して乾燥することにより、PPSを得ることができる。生成物スラリーは、高温状態のままでポリマーを篩分してもよい。また、上記濾別・篩分後、PPSを重合溶媒と同じ有機アミド溶媒やケトン類、アルコール類などの有機溶媒及び高温水で洗浄処理してもよい。PPSを酢酸、塩酸などの酸や塩化アンモニウムのような塩で処理することもできる。
【0050】
生成PPS
本発明の方法により、MFRが110g/10分以下の、より好ましくは80g/10分以下の高分子量のPPSを短時間で収率よく得ることができる。本発明の方法により得られるPPSは、直鎖状に高分子量化されているので、射出成形品のみならず、押出成形により、シート、フィルム、繊維及びパイプなどの押出成形品に成形することができる。
【0051】
本発明の方法により得られるPPSは、単独でも使用することができるが、所望により各種無機充填剤、繊維状充填剤及び各種合成樹脂などを配合して用いてもよい。
【0052】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明についてさらに具体的に説明する。なお、物性の測定は以下の方法に準じて行なった。
【0053】
(1)ポリマーの収率
脱水工程後のオートクレーブ中の硫化ナトリウムが全てPPSに転化したと仮定した重量(理論量)を基準とした。硫化ナトリウムがジハロ芳香族化合物よりも過剰に仕込まれた場合は、すべてPPSに転化することはあり得ない場合もあるが、その場合でも一応硫化ナトリウムの量を基準として考えることとする。
【0054】
(2)ポリマーの溶融粘度
東洋精機社製メルトインデクサ(長さ8.00mm、穴直径2.095mmのオリフィス、サンプル量7g、サンプル仕込み後測定開始までのプレヒート時間5分、荷重5000g)を用い、315.5℃の条件で測定を行ない、ポリマーのメルトフローレートを比較した。
【0055】
[実施例1]
(脱水工程)
撹拌機付きの1リットルオートクレーブに、47%水硫化ナトリウム118g(1.00モル)、96%水酸化ナトリウム42.9g(1.03モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)163g(1.65モル)、酢酸ナトリウム32.8g(0.4モル)、及びイオン交換水150gを仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水212gおよびNMP4gを留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.05モルであった。また、硫化水素の飛散量は2モル%であった。
(工程1)
次に、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)147g(1.00モル)、NMP131g(1.31モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、200℃から235℃まで0.8℃/分の速度で昇温し、235℃で35分保持した。その後次の条件で昇温し、工程2に移行した。
(工程2)
すなわち、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温し、90分保持した。270℃到達10分経過後に水14.4g(0.8モル)を15分かけて系内に注入した。なお、系内の水分量は、重合工程で副生する水分を含めて仕込みアルカリ金属硫化物1モルあたり1.8モルであった。270℃で90分経過後、200℃まで1.0℃/分の速度で冷却し、その後室温近傍まで急冷した。
(回収工程)
内容物を取り出し、0.5リットルのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を1リットルの温水で数回洗浄、濾別し、PPSポリマー粒子を得た。これを、80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。
【0056】
得られたPPSのメルトフローレートは40g/10分であり、収率は92%であった。
【0057】
途中まで上記と同様の操作を行い、235℃で35分反応した後、0.8℃/分の速度で245℃まで昇温した時点で重合系を急冷した。その重合内容物中のp−DCBをガスクロマトグラフ法で測定したところ、転化率60%であった。
これらの結果を表1に示す。
[実施例2]
270℃に到達してから10分経過後に注水する水分量を0モル(なお、系内水分量は、重合工程で副生する水分を含めると1.0モルである)としたこと以外は、実施例1と同様に重合、回収操作を行った。結果を表1に示す。
【0058】
この結果から、系内水分量の多い方が、高重合度化には優れていることがわかる。
[比較例1]
酢酸ナトリウム量を0.20モルとした以外は、実施例1と同様に重合、回収操作を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
酢酸ナトリウム量を0.80モルとした以外は、実施例1と同様に重合、回収操作を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
270℃での反応時間を60分とした以外は、実施例1と同様に重合、回収操作を行った。結果を表1に示す。
【0059】
この結果、重合時間を30分短縮しても、十分高重合度なポリマーを効率よく
得られることがわかる。
[実施例4]
235℃での保持時間を35分から20分に短縮し、270℃での保持時間を90分から105分に延長した以外は、実施例1と同様に重合、回収操作を行った。結果を表1に示す。
比較例3
235℃での保持時間を35分から50分に延長し、270℃での保持時間を90分から75分に短縮した以外は、実施例1と同様に重合、回収操作を行った。結果を表1に示す。
【0060】
この結果、実施例4、比較例3は、実施例1に比べて重合度が低下傾向にあり、全重合時間が同一であっても、工程1と工程2の重合時間比を調整することが、より高重合度のPPSを得る上で重要であることがわかる。
比較例4
96%水酸化ナトリウムの仕込量を40.8g(0.98モル)とした以外は実施例1と同様に重合、回収操作を行った。結果を表1に示す。
【0061】
この結果からは、水酸化ナトリウムに代表される重合安定剤の多い方が、高重合度化に優れていることがわかる。
【0062】
【表1】

Figure 0004894090
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高分子量のPPSを効率よく短時間に製造することができる。したがって、本発明の高分子量PPSの製造方法は、工業的規模でのPPSを安全かつ経済的に製造する方法として好適である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing polyphenylene sulfide (hereinafter abbreviated as PPS) and an extrusion molded product obtained by the method, and more particularly to a method for efficiently producing high molecular weight PPS in a short time and an extrusion molded product. Is.
[0002]
[Prior art]
PPS is an engineering plastic that excels in heat resistance, chemical resistance, flame resistance, mechanical strength, electrical properties, and dimensional stability. Various types of molding methods such as injection molding, extrusion molding, and compression molding can be used. Since it can be molded into molded articles, films, sheets, fibers, etc., it is widely used in a wide range of fields such as electrical / electronic equipment and automobile equipment.
[0003]
As a method for producing PPS, Japanese Patent Publication No. 45-3368 discloses an alkali metal sulfide such as sodium sulfide and a dihaloaromatic compound such as p-dichlorobenzene in an organic amide solvent such as N-methyl-2-pyrrolidone. In this method, only PPS having a low molecular weight and a low melt viscosity can be obtained. Such a low molecular weight PPS can be increased in molecular weight by heating in the presence of air after polymerization and oxidative curing (curing). However, the cured PPS thus obtained has poor mechanical properties. Since it is sufficient and not linear, it has been difficult to form a sheet, film, fiber, or the like.
[0004]
In recent years, in order to obtain a high molecular weight PPS at the time of polymerization, various production methods improved from the above method have been proposed. As a means for improving the polymerization method of PPS, a method of adding various polymerization assistants when reacting an alkali metal sulfide and a dihaloaromatic compound in an organic amide solvent is typical. A method using an alkali metal carboxylate as an auxiliary agent (Japanese Patent Publication No. 52-12240), a method using an alkaline earth metal salt of an aromatic carboxylic acid (Japanese Patent Laid-Open No. 59-219332), and an alkali A method using a metal halide (US Pat. No. 4,038,263) and a method using a sodium salt of an aliphatic carboxylic acid (Japanese Patent Laid-Open No. 1-161022) are also proposed.
[0005]
According to these methods, it is possible to obtain linear and high molecular weight PPS by polymerization, but in order to obtain PPS having a high degree of polymerization in a shorter time, expensive such as lithium acetate and sodium benzoate are used. It is necessary to carry out the polymerization using a polymerization aid, and even if an inexpensive polymerization aid such as sodium acetate is simply applied, there is a problem that the polymerization time is long and it is economically disadvantageous.
[0006]
On the other hand, Japanese Patent Publication No. 63-33775 proposes to employ a specific two-stage polymerization method in a method of obtaining PPS by reacting an alkali metal sulfide and a dihaloaromatic compound in an organic amide solvent. ing. That is, in this prepolymerization step, the reaction is carried out at a temperature of 180 to 235 ° C. in the presence of 0.5 to 2.4 mol of water per mol of the charged alkali metal sulfide. After producing a low-viscosity prepolymer with a compound conversion rate of 50 to 98 mol%, 2.5 to 7 mol of water per mol of charged alkali metal sulfide is present in the subsequent polymerization step. Is a two-stage polymerization method in which water is added to the reaction system and the temperature is raised to a temperature of 245 to 290 ° C. to continue the reaction. In this method, in order to obtain a sufficiently high molecular weight PPS, There is a problem that a long polymerization time is required.
[0007]
Further, JP-A-6-145355 discloses that alkali metal carboxylate is compared with 0.001 to 0.20 mol in the presence of 0.5 to 2.4 mol of water per mol of alkali metal sulfide. However, the main purpose of this method is to increase the yield by precipitating granular PPS, and the amount of such a small amount of alkali metal carboxylate is reduced. It was difficult to obtain PPS with a high degree of polymerization in a short time with the amount used.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been achieved as a result of studying the solution of the problems in the prior art described above as an issue.
[0009]
Accordingly, an object of the present invention is to provide a method for efficiently producing a high molecular weight polyphenylene sulfide in a short time.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
As a result of diligent research to achieve the above object, the present inventors have found that it is difficult to efficiently obtain a high degree of polymerization polyphenylene sulfide in a short time even if only the polymerization aid or only the amount of water is increased. In the low temperature stage of the process, a process for producing a prepolymer by reacting the dihaloaromatic compound to 30 to 80 mol% is provided, and the polymerization assistant amount and the water content are regulated to a specific ratio, and the prepolymer is heated at a high temperature. As a result of the reaction, it was found that PPS having a high degree of polymerization was obtained in a short time and reached the present invention.
[0011]
  That is, the present invention produces polyphenylene sulfide by reacting an alkali metal sulfide and a dihaloaromatic compound in a temperature range of 200 ° C. or more and less than 290 ° C. in an organic amide solvent in the presence of a polymerization aid. A process for producing polyphenylene sulfide, characterized in that the reaction is carried out at least by the following steps 1 and 2.A method for producing polyphenylene sulfide, characterized in that a polymerization aid is added before the dehydration step before the start of polymerization.Is to provide.
[0012]
Step 1: In an organic amide solvent, an alkali metal sulfide and a dihaloaromatic compound are converted within a temperature range of 200 ° C. or higher and lower than 245 ° C. with a conversion rate of 30 to 30 ° C.60Reacting to a mole% to form a polyphenylene sulfide prepolymer, and
  Step 2: In the step of converting the prepolymer into high molecular weight polyphenylene sulfide within a temperature range of 245 ° C. or more and less than 290 ° C., the amount of polymerization aid in the system is charged and 0.33 to 0 per mole of alkali metal sulfide A process for producing polyphenylene sulfide, characterized in that the amount is 70 mol.
[0013]
In the method for producing polyphenylene sulfide of the present invention, in the method for producing polyphenylene sulfide by reacting an alkali metal sulfide with a dihaloaromatic compound in the presence of a polymerization aid in an organic amide solvent, Water is added to the reaction system so that the amount of water in the system in step 2 is 1.0 mol or more and less than 2.5 mol per mol of the charged alkali metal sulfide, and the molar ratio of the water to the polymerization aid is It is preferable to convert the prepolymer to high molecular weight polyphenylene sulfide by setting [polymerization aid amount (mole) / water content (mole)] to 0.1 to 0.7.
[0014]
Furthermore, in the method for producing polyphenylene sulfide of the present invention, in the method for producing polyphenylene sulfide by reacting an alkali metal sulfide and a dihaloaromatic compound in an organic amide solvent in the presence of a polymerization aid, It is preferable to carry out the reaction in a system containing a polymerization stabilizer typified by 0.01 to 0.2 mol of alkali metal hydroxide per mol of alkali metal sulfide.
[0015]
  Moreover, the organic amide solvent in the said process 1 contains 0.5 mol or more and less than 1.5 mol of water per mol of alkali metal sulfide prepared, polymerization time T1 of the said process 1 (Min), 20 minutes or more including temperature rise and fall time120 minutesAnd polymerization time T1 including the temperature increase / decrease time of step 1 (Min) And polymerization time T2 including the temperature increase / decrease time of step 2 (Min) Ratio (T1 / T2) is preferably 0.1 to 2.0.
[0016]
Furthermore, since the polyphenylene sulfide resin obtained by the production method of the present invention has a sufficiently high melt viscosity and excellent toughness, it is particularly useful as an extruded product.
[0017]
In addition, the method for synthesizing polyphenylene sulfide in the present invention is also useful in terms of improving productivity by polymerizing a medium-low viscosity polymer in an extremely short time.
[0018]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail in the order of alkali metal sulfide, dihaloaromatic compound, molecular weight regulator, branching / crosslinking agent, polymerization solvent, polymerization aid, polymerization stabilizer, polymerization reaction, post-treatment and produced PPS.
[0019]
Alkali metal sulfide
Preferred examples of the alkali metal sulfide used in the present invention include lithium sulfide, sodium sulfide, potassium sulfide, rubidium sulfide, cesium sulfide, and a mixture of two or more thereof. Particularly preferred is sodium sulfide. These alkali metal sulfides can be used as hydrates or aqueous mixtures or in the form of anhydrides. Further, an alkali metal sulfide prepared in situ in the reaction system from an alkali metal hydrosulfide and an alkali metal hydroxide, or an alkali metal sulfide prepared in a separate reaction tank before the reaction can be used. . Also, an alkali metal sulfide prepared in situ in the reaction system from an alkali metal hydroxide such as lithium hydroxide or sodium hydroxide and hydrogen sulfide, or an alkali metal sulfide prepared in a separate reaction tank before the reaction Can also be used.
[0020]
In the present invention, the amount of charged alkali metal sulfide means the remaining amount obtained by subtracting the loss from the actual charged amount when a partial loss of alkali metal sulfide occurs before the start of the reaction due to dehydration operation or the like. It shall be.
[0021]
Dihaloaromatic compounds
Examples of the dihaloaromatic compound used in the present invention include dihalobenzenes such as p-dichlorobenzene, m-dichlorobenzene and p-dibromobenzene, and 1-methoxy-2,5-dichlorobenzene and 3,5-dichlorobenzoic acid. And dihaloaromatic compounds containing a substituent other than halogen. Especially, the dihalo aromatic compound which has p-dihalobenzene represented by p-dichlorobenzene as a main component is preferable. Particularly preferably, it contains 80 to 100 mol% of p-dichlorobenzene. It is also possible to combine two or more different dihaloaromatic compounds into a copolymer.
[0022]
Molecular weight regulator, branching / crosslinking agent
In the present invention, a monohalo compound (not necessarily an aromatic compound) can be used in combination for forming the end of the produced PPS or adjusting the polymerization reaction or the molecular weight. In addition, in order to form a branched or crosslinked polymer, a polyhalo compound of trihalo or higher such as 1,2,4-trichlorobenzene, 1,3,5-trichlorobenzene (not necessarily an aromatic compound), active hydrogen It is also possible to use a halogen-containing aromatic compound and a halogen-aromatic nitro compound in combination.
[0023]
Polymerization solvent
In the present invention, an organic amide solvent is used as a polymerization solvent. Examples of the organic amide solvent include N-alkylpyrrolidone such as N-methyl-2-pyrrolidone and N-ethyl-2-pyrrolidone, caprolactams such as N-methyl-ε-caprolactam, 1,3-dialkyl-2- Aprotic organic amide solvents represented by imidazolidinone, tetraalkylurea, hexaalkylphosphoric triamide and the like, and mixtures thereof are preferably used because of high stability of the reaction. Among these, use of N-methyl-2-pyrrolidone (hereinafter abbreviated as NMP) is particularly preferable. The amount of the polymerization solvent used in the present invention is preferably in the range of 0.2 to 10 mol, more preferably in the range of 2 to 5 mol, per mol of the charged alkali metal sulfide.
[0024]
Polymerization aid
In the present invention, a polymerization aid is used in order to obtain PPS having a high degree of polymerization in a shorter time. Specific examples of the polymerization aid include alkali metal carboxylates and lithium halides generally known as polymerization aids for PPS.
Particularly preferred are alkali metal carboxylates.
[0025]
The alkali metal carboxylate has a general formula R (COOM) n (wherein R is an alkyl group having 1 to 20 carbon atoms, a cycloalkyl group, an aryl group, an alkylaryl group or an arylalkyl group. , Lithium, sodium, potassium, rubidium and cesium, and n is an integer of 1 to 3). Alkali metal carboxylates can also be used as anhydrous, hydrated or aqueous solutions. Specific examples of the alkali metal carboxylate include, for example, lithium acetate, sodium acetate, potassium acetate, sodium propionate, lithium valerate, sodium benzoate, sodium phenylacetate, potassium p-toluate, and mixtures thereof. Can be mentioned. Alkali metal carboxylate is an organic acid, an organic acid, and one or more compounds selected from the group consisting of alkali metal hydroxides, alkali metal carbonates, and alkali metal bicarbonates, with approximately equal chemical equivalents. You may form by adding and making it react one by one. Among the alkali metal carboxylates, sodium acetate is particularly preferably used because it is inexpensive and easily available.
[0026]
  The amount of these polymerization aids used is 1 mol of the charged alkali metal sulfide.0.33Mol to 0.7 mol,0.33The range of -0.45 mol is more preferable, and the range of 0.33-0.42 mol is still more preferable. If it is less than the above range, the effect of increasing the degree of polymerization is insufficient, and if it exceeds the above range, not only the effect of increasing the degree of polymerization can be obtained, but also the polymerization required to obtain a polymer of the same degree of polymerization. Conversely, the time becomes longer.
[0027]
  These polymerization aids,rearAs contained in the reaction system in the step polymerization process (post-process 2 below), ThatWhen to addHeavyOf the dehydration processBefore.
[0028]
  Polymerization stabilizer
  In the present invention, a polymerization stabilizer may be used to stabilize the polymerization reaction system and prevent side reactions. The polymerization stabilizer contributes to stabilization of the polymerization reaction system and suppresses undesirable side reactions. One measure of the side reaction is the generation of thiophenol, and the addition of a polymerization stabilizer can suppress the generation of thiophenol. Specific examples of the polymerization stabilizer include compounds such as alkali metal hydroxides, alkali metal carbonates, alkaline earth metal hydroxides, and alkaline earth metal carbonates. Among them, alkali metal hydroxides such as sodium hydroxide, potassium hydroxide, and lithium hydroxide are preferable..
[0029]
These polymerization stabilizers can be used alone or in combination of two or more. The polymerization stabilizer is usually 0.01 to 0.2 mol, preferably 0.020 to 0.15 mol, more preferably 0.03 to 0.10 mol, relative to 1 mol of the charged alkali metal sulfide. Used in. If this ratio is small, the stabilizing effect is insufficient. Conversely, if the ratio is too large, it is economically disadvantageous or the polymer yield tends to decrease. The polymerization stabilizer may be added before the dehydration step before the start of the pre-stage polymerization, at any point during the start of the pre-stage polymerization or in the middle of the post-stage polymerization, or any combination thereof. Preferably, it is before the dehydration step or at the start of the previous stage polymerization. In addition, when a part of alkali metal sulfide decomposes | disassembles at the time of spin-drying | dehydration operation and hydrogen sulfide generate | occur | produces, the alkali metal hydroxide produced | generated as a result can also become a polymerization stabilizer.
[0030]
Polymerization reaction
In the present invention, when producing PPS by reacting an alkali metal sulfide and a dihaloaromatic compound in an organic amide solvent in the presence of a polymerization aid, the above reaction is carried out at least in the following step 1 and Line by 2Add a polymerization aid before the dehydration step before the start of polymerizationIt is also characterized byNisoThere may be additional steps such as other pre-processing steps and post-processing steps.
[0031]
Step 1: In an organic amide solvent, an alkali metal sulfide and a dihaloaromatic compound are converted within a temperature range of 200 ° C. or higher and lower than 245 ° C. with a conversion rate of 30 to 30 ° C.60Reacting to a mole% to form a polyphenylene sulfide prepolymer; and
Step 2: Charge the amount of polymerization aid in the system per mole of alkali metal sulfide0.33A step of converting the prepolymer into a high molecular weight polyphenylene sulfide within a temperature range of 245 ° C. or more and less than 290 ° C.
When starting the above step 1, the alkali metal sulfide and the dihaloaromatic compound are added to the organic amide solvent, desirably in an inert gas atmosphere at room temperature to 220 ° C., preferably 100 to 220 ° C.. ThisThe order in which these raw materials are charged may be out of order or even simultaneously. Alkali metal sulfides are usually used in the form of hydrates. If the water content is less than 0.5 moles per mole of charged alkali metal sulfides, the required amount of water is added to replenish. It is preferable to do. If the alkali metal sulfide content is too high, before adding the dihaloaromatic compound, the mixture containing the organic amide solvent and the alkali metal sulfide is heated to remove excess water out of the system. Needed (dehydration process). In addition, when water is removed too much by this operation, it is normal to replenish by adding a deficiency.
[0032]
In addition, the alkali metal sulfide includes an alkali metal sulfide prepared in situ in the reaction system from an alkali metal hydrosulfide and an alkali metal hydroxide, or an alkali metal adjusted in a separate reaction tank before the reaction. Sulfides can also be used. Although there is no particular limitation on this method, desirably, an alkali metal hydrosulfide and an alkali metal hydroxide are added to an organic amide solvent in an inert gas atmosphere at a temperature ranging from room temperature to 150 ° C., preferably from room temperature to 100 ° C. A method in which the temperature is raised to at least 150 ° C. or higher, preferably 180 to 250 ° C. under normal pressure or reduced pressure, to distill off water (dehydration step). A polymerization aid may be added at this stage. Moreover, in order to accelerate | stimulate distillation of a water | moisture content, you may react, adding toluene etc.
[0033]
The amount of coexisting water in the reaction system in Step 1 above is usually in the range of 0.5 to 1.5 mol, preferably 0.8 to 1.2 mol, per mol of the charged alkali metal sulfide. By defining the amount of coexisting water in step 1 in such a relatively small range, PPS having a high degree of polymerization can be obtained in a shorter time.
[0034]
The reaction temperature in Step 1 is preferably 200 ° C. or higher and lower than 245 ° C., and the average reaction temperature is preferably 220 ° C. or higher and 240 ° C. or lower.
[0035]
  In step 2 above, the amount of polymerization aid is charged and per mole of alkali metal sulfide.0.33It is important to set it to ˜0.70 mol. A more preferable range of the polymerization assistant amount is0.33It is -0.45 mol, and 0.33-0.42 mol is still more preferable. If it is less than the above range, the effect of increasing the degree of polymerization is insufficient, and if it exceeds the above range, not only the effect of increasing the degree of polymerization beyond that can be obtained, but also an adverse effect on the polymerization time.
[0036]
  These polymerization aids,rearAs contained in the reaction system in the step polymerization process (post-process 2 below), ThatWhen to addHeavyOf the dehydration processBefore.
[0037]
In step 2, it is desirable to add water so that the amount of water in the polymerization system is 1.0 mol or more and less than 2.5 mol per mol of the charged alkali metal sulfide. The addition timing of water may be any of the start time, the intermediate time, and the end time of the above process, but it is preferable to start the addition before half of the time required for the above process 2. If the amount of water is less than the above range, the effect of increasing the degree of polymerization decreases.On the other hand, if the amount exceeds the above range, not only the polymerization time becomes longer, but also the pressure in the polymerization vessel increases, Since a polymerization kettle having high pressure resistance is required, it is not preferable in terms of economy and safety.
[0038]
In the above step 2, it is preferable that the molar ratio of the moisture present in the reaction system and the polymerization assistant [polymerization assistant amount (mol) / water content (mol)] is 0.1 to 0.7. Even if this molar ratio is less than the above range or exceeds the above range, it is difficult to obtain a sufficiently high degree of polymerization PPS in a short time. A more preferable range of the molar ratio is 0.25 to 0.45.
[0039]
In particular, water is added to the reaction system so that the amount of water in the above step 2 is 1.0 mol or more and less than 2.5 mol per mol of the charged alkali metal sulfide, and the mol of the water and the polymerization aid. By converting the prepolymer to high molecular weight polyphenylene sulfide at a ratio of [polymerization aid amount (mol) / water content (mol)] of 0.1 to 0.7, a high degree of polymerization PPS can be obtained in a short time. Preferred above.
[0040]
The reaction temperature in Step 2 is preferably 245 ° C. or higher and lower than 290 ° C., and the average reaction temperature is preferably 250 ° C. or higher and 280 ° C. or lower. A reaction temperature exceeding the above range is not preferable because the inside of the reaction system tends to decompose.
[0041]
In the present invention, the amount (charge) of the polymerization stabilizer used is usually 0.01 to 0.2 mol, preferably 0.06 to 0.15 mol per mol of the charged alkali metal sulfide. Is desirable to obtain high molecular weight PPS. If the amount used is too small, undesirable side reactions cannot be suppressed, and it becomes difficult to obtain a PPS having a sufficiently high degree of polymerization. On the other hand, if the amount is too large, it is economically disadvantageous or the polymer yield tends to decrease.
[0042]
In this invention, the usage-amount (preparation amount) of a dihalo aromatic compound is 0.9-2.0 mol normally with respect to 1 mol of preparation alkali metal sulfide, Preferably it is 0.95-1.5 mol, More preferably The range of 1.0 to 1.3 mol, more preferably 1.01 to 1.10 mol, is desirable for obtaining a high molecular weight PPS. When this use ratio is less than 0.9 mol or more than 2.0 mol, it is difficult to obtain a high-viscosity (high polymerization degree) PPS suitable for processing.
[0043]
Moreover, at the time of switching from the said process 1 to the process 2, the conversion rate of the dihalo aromatic compound in a system is 30-.60When it reaches the mol%TheWhen the conversion is less than 30 mol%, an undesirable reaction such as decomposition tends to occur during the subsequent polymerization in Step 2. Also, the conversion rate is60Mol%Exceeding rangeThen, since reaction time becomes long, it is not economically preferable.
[0044]
The conversion rate of the dihaloaromatic compound (abbreviated as DHA here) is a value calculated by the following formula. The remaining amount of DHA can be usually determined by gas chromatography.
[0045]
(A) When dihaloaromatic compound is added in excess by molar ratio to alkali metal sulfide
Conversion = [DHA charge (mol) -DHA remaining amount (mol)] / [DHA charge (mol) -DHA excess (mol)]
(B) In cases other than (a) above
Conversion = [DHA charge (mol) -DHA remaining amount (mol)] / [DHA charge (mol)]
In the present invention, the polymerization time in Step 1 is preferably in the range of 20 minutes to less than 2 hours, and more preferably in the range of 60 minutes to 110 minutes. If the reaction time is less than the above range, it is often difficult to achieve a sufficiently high degree of polymerization. Even if a time exceeding the above range is taken, the resulting effect of increasing the degree of polymerization is reduced, which is economically disadvantageous. It becomes.
[0046]
In addition, the polymerization time in Step 2 is preferably in the range of 80 to 220 minutes, and more preferably in the range of 100 minutes to 180 minutes. If the reaction time is less than the above range, it is often difficult to achieve a sufficiently high degree of polymerization. Even if a time exceeding the above range is taken, the resulting effect of increasing the degree of polymerization is reduced, which is economically disadvantageous. It becomes.
[0047]
By applying the method of the present invention, PPS having the most excellent polymerization degree and economical efficiency can be obtained in the total polymerization reaction time in the range of 1 to 10 hours, particularly in the range of 4 to 8 hours. Here, the total polymerization reaction time indicates the total time in which the polymerization system is in the range of 200 ° C. to 290 ° C. including the temperature raising, constant temperature, and temperature lowering processes after the monomer raw material is charged.
[0048]
  In particular, in Step 1, the polymerization time T1 (including the temperature rising time from the start of polymerization and reaching 245 ° C. when moving to Step 2)Min) And the polymerization time T2 including the temperature rise time after reaching 245 ° C. and the temperature fall time after completion of the polymerization in the transition from the step 1 to the step 2 in the step 2 (Min) In the range of T1 / T2 = 0.1 to 2.0, more preferably in the range of T1 / T2 = 0.4 to 1.5, and still more preferably T1 / T2 = 0.5 to 0.00. By controlling in the range of 8, a high degree of polymerization PPS can be obtained in a shorter time.
[0049]
Post-processing
In the present invention, the post-treatment after completion of the polymerization reaction can be performed by a conventional method. For example, after completion of the polymerization reaction, the polymerization solvent is volatilized and removed by flash method, followed by repeated washing with water and drying, and the filtered product slurry is filtered as it is or diluted with water. Then, PPS can be obtained by repeatedly washing with water and drying. The product slurry may be sieved through the polymer while still in the high temperature state. Further, after the above filtration and sieving, PPS may be washed with the same organic amide solvent as the polymerization solvent, organic solvents such as ketones and alcohols, and high-temperature water. PPS can also be treated with an acid such as acetic acid or hydrochloric acid or a salt such as ammonium chloride.
[0050]
Generated PPS
According to the method of the present invention, a high molecular weight PPS having an MFR of 110 g / 10 min or less, more preferably 80 g / 10 min or less, can be obtained in a high yield in a short time. Since the PPS obtained by the method of the present invention has a high molecular weight in a linear form, it can be formed into not only injection molded products but also extruded products such as sheets, films, fibers and pipes by extrusion molding. it can.
[0051]
The PPS obtained by the method of the present invention can be used alone, but various inorganic fillers, fibrous fillers, various synthetic resins and the like may be blended and used as desired.
[0052]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described more specifically with reference to examples and comparative examples. The physical properties were measured according to the following methods.
[0053]
(1) Polymer yield
Based on the weight (theoretical amount) assuming that all sodium sulfide in the autoclave after the dehydration step was converted to PPS. If sodium sulfide is charged in excess of the dihaloaromatic compound, it may not be converted to PPS at all, but even in that case, the amount of sodium sulfide should be considered as a standard.
[0054]
(2) Polymer melt viscosity
Using a Toyo Seiki melt indexer (length 8.00 mm, hole diameter 2.095 mm orifice, sample amount 7 g, preheating time 5 minutes from sample preparation to measurement start, load 5000 g) under the condition of 315.5 ° C. Measurements were made and the polymer melt flow rates were compared.
[0055]
[Example 1]
(Dehydration process)
In a 1 liter autoclave equipped with a stirrer, 118 g (1.00 mol) of 47% sodium hydrosulfide, 42.9 g (1.03 mol) of 96% sodium hydroxide, 163 g (1) of N-methyl-2-pyrrolidone (NMP) .65 mol), 32.8 g (0.4 mol) of sodium acetate, and 150 g of ion-exchanged water, and gradually heated to 240 ° C. over about 3 hours while flowing nitrogen at normal pressure to distill 212 g of water and 4 g of NMP. After dispensing, the reaction vessel was cooled to 160 ° C. The amount of water remaining in the system per mole of the alkali metal sulfide charged was 1.05 mol including the water consumed for the hydrolysis of NMP. The amount of hydrogen sulfide scattered was 2 mol%.
(Process 1)
Next, 147 g (1.00 mol) of p-dichlorobenzene (p-DCB) and 131 g (1.31 mol) of NMP were added, the reaction vessel was sealed under nitrogen gas, and the mixture was stirred at 240 rpm to 200 ° C to 235 ° C. The temperature was raised to 0.8 ° C. at a rate of 0.8 ° C./min and held at 235 ° C. for 35 minutes. Thereafter, the temperature was raised under the following conditions, and the process shifted to Step 2.
(Process 2)
That is, the temperature was raised to 270 ° C. at a rate of 0.8 ° C./min and held for 90 minutes. After 10 minutes had reached 270 ° C., 14.4 g (0.8 mol) of water was injected into the system over 15 minutes. The water content in the system was 1.8 mol per 1 mol of the alkali metal sulfide charged, including the water generated as a by-product in the polymerization process. After 90 minutes at 270 ° C., it was cooled to 200 ° C. at a rate of 1.0 ° C./minute, and then rapidly cooled to near room temperature.
(Recovery process)
Take out the contents, dilute with 0.5 liters of NMP, filter off the solvent and solids with a sieve (80 mesh), wash the resulting particles several times with 1 liter of warm water, filter and remove the PPS polymer particles Got. This was dried with hot air at 80 ° C. and dried under reduced pressure at 120 ° C.
[0056]
The melt flow rate of the obtained PPS was 40 g / 10 min, and the yield was 92%.
[0057]
The same operation as described above was performed halfway, and after reacting at 235 ° C. for 35 minutes, the polymerization system was rapidly cooled when the temperature was raised to 245 ° C. at a rate of 0.8 ° C./min. When p-DCB in the polymerization content was measured by a gas chromatographic method, the conversion was 60%.
These results are shown in Table 1.
[Example 2]
Except that the amount of water injected after 10 minutes after reaching 270 ° C. was 0 mol (in addition, the amount of water in the system is 1.0 mol including the water generated as a by-product in the polymerization step), Polymerization and recovery operations were performed in the same manner as in Example 1. The results are shown in Table 1.
[0058]
From this result, it can be seen that the higher the water content in the system, the better the degree of polymerization.
[Comparative Example 1]
Polymerization and recovery operations were performed in the same manner as in Example 1 except that the amount of sodium acetate was 0.20 mol. The results are shown in Table 1.
[Comparative Example 2]
Polymerization and recovery operations were performed in the same manner as in Example 1 except that the amount of sodium acetate was 0.80 mol. The results are shown in Table 1.
[Example 3]
Polymerization and recovery operations were performed in the same manner as in Example 1 except that the reaction time at 270 ° C. was 60 minutes. The results are shown in Table 1.
[0059]
As a result, even if the polymerization time is shortened by 30 minutes, a sufficiently high degree of polymerization can be efficiently obtained.
It turns out that it is obtained.
[Example 4]
Polymerization and recovery operations were performed in the same manner as in Example 1 except that the holding time at 235 ° C. was shortened from 35 minutes to 20 minutes and the holding time at 270 ° C. was extended from 90 minutes to 105 minutes. The results are shown in Table 1.
[Comparative Example 3]
Polymerization and recovery operations were performed in the same manner as in Example 1 except that the holding time at 235 ° C. was extended from 35 minutes to 50 minutes and the holding time at 270 ° C. was reduced from 90 minutes to 75 minutes. The results are shown in Table 1.
[0060]
As a result, Example 4,Comparative Example 3The degree of polymerization tends to be lower than that of Example 1, and even when the total polymerization time is the same, adjusting the polymerization time ratio of Step 1 and Step 2 can obtain a PPS with a higher degree of polymerization. It turns out that it is important.
[Comparative Example 4]
  Polymerization and recovery operations were performed in the same manner as in Example 1 except that the amount of 96% sodium hydroxide charged was 40.8 g (0.98 mol). The results are shown in Table 1.
[0061]
From this result, it can be seen that a larger amount of the polymerization stabilizer typified by sodium hydroxide is superior in increasing the degree of polymerization.
[0062]
[Table 1]
Figure 0004894090
[0063]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, high molecular weight PPS can be efficiently produced in a short time. Therefore, the method for producing high molecular weight PPS of the present invention is suitable as a method for producing PPS on an industrial scale safely and economically.

Claims (7)

有機アミド溶媒中で、重合助剤の存在下に、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させてポリフェニレンスルフィドを製造する方法において、前記の反応を少なくとも下記の工程1及び2により行うことを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法であって、重合助剤を重合開始前の脱水工程の前に添加することを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法
工程1:有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを、200℃以上245℃未満の温度範囲内で、転化率が30〜60モル%になるように反応させて、ポリフェニレンスルフィドのプレポリマーを生成させる工程、及び
工程2:245℃以上290℃未満の温度範囲内で、前記プレポリマーを高分子量ポリフェニレンスルフィドに転換する工程において、系内の重合助剤量を仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.33〜0.70モルとすることを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法。
In the method of producing polyphenylene sulfide by reacting an alkali metal sulfide and a dihaloaromatic compound in a temperature range of 200 ° C. or more and less than 290 ° C. in the presence of a polymerization aid in an organic amide solvent, the reaction described above Is a method for producing polyphenylene sulfide characterized in that it is carried out by at least the following steps 1 and 2 , wherein a polymerization assistant is added before the dehydration step before the start of polymerization .
Step 1: In an organic amide solvent, an alkali metal sulfide and a dihaloaromatic compound are reacted in a temperature range of 200 ° C. or higher and lower than 245 ° C. so that the conversion is 30 to 60 mol%. In the step of producing a prepolymer of sulfide and in the step 2: converting the prepolymer into high molecular weight polyphenylene sulfide within a temperature range of 245 ° C. or more and less than 290 ° C., an amount of a polymerization auxiliary in the system is charged A method for producing polyphenylene sulfide, characterized in that 0.33 to 0.70 mol per mol of sulfide.
前記工程2において、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり1.0以上2.5モル未満の水が存在する状態となるように、反応系に水を添加し、かつ水分と重合助剤のモル比[重合助剤量(モル)/水分量(モル)]を0.1〜0.7として、前記プレポリマーを高分子量ポリフェニレンスルフィドに転換することを特徴とする請求項1記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。In step 2, water is added to the reaction system so that 1.0 to 2.5 moles of water per mole of the alkali metal sulfide charged is present, and the molar ratio of moisture to the polymerization aid. as polymerization aid amount (mol) / amount of water (mol)] of 0.1 to 0.7, the prepolymer of polyphenylene sulfide of claim 1 Symbol mounting, characterized in that converted to high molecular weight polyphenylene sulfide Production method. 前記工程2の重合時間T2(分)が、昇温、降温時間を含めて、100分〜180分の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。The method for producing polyphenylene sulfide according to claim 1 or 2 , wherein the polymerization time T2 (minute) in the step 2 is in the range of 100 minutes to 180 minutes including the temperature rise and temperature drop times. 有機アミド溶媒中で、重合助剤の存在下に、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリフェニレンスルフィドを製造する方法において、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.01〜0.2モルの重合安定剤を含む系で反応を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。In a method for producing polyphenylene sulfide by reacting an alkali metal sulfide with a dihaloaromatic compound in the presence of a polymerization aid in an organic amide solvent, 0.01 to 0.00 per mol of the charged alkali metal sulfide. The method for producing polyphenylene sulfide according to any one of claims 1 to 3 , wherein the reaction is carried out in a system containing 2 mol of a polymerization stabilizer. 前記工程1における有機アミド溶媒中の水分量が、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5以上1.5モル未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。Water content of the organic amide solvent in the step 1, according to any one of claims 1 to 4, wherein the charged alkali metal sulfide less than 1 mole per 0.5 to 1.5 moles A method for producing polyphenylene sulfide. 前記工程1の重合時間T1(分)が、昇温、降温時間を含めて、20分以上120分未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。The polymerization time T1 (min) of the step 1 is 20 minutes or more and less than 120 minutes including the temperature rising and temperature lowering time. The polyphenylene sulfide according to any one of claims 1 to 5 , Production method. 前記工程1の昇温、降温時間を含めた重合時間T1(分)と、前記工程2の昇温、降温時間を含めた重合時間T2(分)の比(T1/T2)が0.1〜2.0であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。The ratio (T1 / T2) of the polymerization time T1 (minutes) including the temperature increase / decrease time in the step 1 and the polymerization time T2 (minutes) including the temperature increase / decrease time in the step 2 is 0.1 to T2. It is 2.0, The manufacturing method of the polyphenylene sulfide of any one of Claims 1-6 characterized by the above-mentioned.
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