本実施の形態におけるウェットティッシュは、人体の皮膚表面に付着する汚れを拭き取るための清浄用ウェットティッシュであってウェットティッシュウォーマー(ウェットティッシュ加温器)にて加温されるものであり、例えば、乳幼児のお尻拭き用のウェットティッシュとして使用される。本実施の形態におけるウェットティッシュは、セルロース系繊維を含有する基材シートとしての不織布に、N価アルコール(3≦N)及び多糖類から選択される1種又は2種以上を含有する含浸液を含浸してなるものである。
不織布は、セルロース系繊維と合成繊維とが所定の配合比で配合されている。セルロース系繊維としては、例えば、コットン、パルプ、麻等の天然セルロース系繊維、レーヨン、リヨセル、キュプラ等の再生セルロース系繊維等が挙げられる。これらの素材は、1種であっても2種以上配合されていてもよい。これらの素材の中でも、レーヨンは、肌触りが滑らかであり、吸湿性及び放湿性に優れ、熱に強いという点で好ましい。
合成繊維としては、例えば、ナイロン等のポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)等のポリエステル系繊維、ビニロン等のポリビニルアルコール系繊維、ポリアクリロニトリル等のポリアクリル系繊維、ポリウレタン(PU)系繊維、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系繊維等が挙げられる。これらの素材は、1種であっても2種以上配合されていてもよい。
不織布にセルロース系繊維としてレーヨンを配合する場合、レーヨンの配合率は、例えば50〜60wt%とすることができ、不織布の組成は、例えば[レーヨン50wt%、PET40wt%、PP/PE10wt%]、[レーヨン60wt%、PET40wt%]等とすることができる。
N価アルコール(N=3)としては、例えば、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、2,3,4−ヘキサントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、トリメチロールプロパン、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等を挙げることができる。中でも、グリセリンは、高い保水(保湿)性を有するとともに、体温では蒸発しないため皮膚表面の乾燥を防ぎ皮膚の潤いを保つ効能があり、また、安価であるという点で好ましい。
また、N価アルコール(N=4)としては、例えば、エリスリトール、ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ソルビタン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等を挙げることができる。中でも、エリスリトールは、高い保水性を有するとともに放熱作用により使用後に清涼感を与えるという点で好ましい。
また、N価アルコール(N=5)としては、例えば、キシリトール、アドニトール、トリグリセリン、アラビトール等を挙げることができる。中でも、キシリトールは、保水性があるとともに使用時のべとつき感が少ないという点で好ましい。
また、N価アルコール(N=6)としては、例えば、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、マンニトール、イジトール、ダルシトール、イノシトール、タロース、アロース等を挙げることができる。中でも、ソルビトールは、高い保水性を有するとともに柔軟効果があるという点で好ましい。
また、多糖類としては、例えば、トレハロース、スクロース、ラクトース、マルトース等を挙げることができる。中でも、トレハロースは、保水性を有するとともに消臭効果があるという点で好ましい。
また、その他の添加剤としては、例えば、界面活性剤、防腐剤、pH調整剤等、種々の薬剤を挙げることができる。界面活性剤としては、例えば、乳化や可溶化に優れ、且つ安全性の高いPEG−60水添ヒマシ油、強い殺菌作用及び抗カビ作用を有するカチオン界面活性剤の塩化セチルピリジニウム(CPC)等を挙げることができる。また、防腐剤としては、例えば、化粧品の防腐剤として一般的に使用されているメチルパラベン、エチルパラベン等を挙げることができる。また、pH調整剤としては、例えば、食品にも含まれることから非常に安全性が高いクエン酸、クエン酸ナトリウム等を挙げることができる。
本実施の形態におけるウェットティッシュは、このようなN価アルコール(3≦N)及び多糖類から選択される1種又は2種以上をセルロース系繊維1gあたり所定値以上となる重量で含有する含浸液を、セルロース系繊維を含有する不織布に含浸させる。これにより、本実施の形態におけるウェットティッシュは、ウェットティッシュウォーマーで加温した後、加温状態のウェットティッシュウォーマー内で所定時間放置しても、不織布の黄変を抑制することができる。
含浸液中にN価アルコール(N=3)を含有させる場合、ウェットティッシュ1枚分の不織布中のセルロース系繊維1gあたりの、含浸液中におけるN価アルコール(N=3)の重量は、0.023g以上とすることが好ましい。
ウェットティッシュ1枚分の不織布中のセルロース系繊維1gあたりの、含浸液中におけるN価アルコール(N=3)の重量を0.023g以上とすることにより、ウェットティッシュをウェットティッシュウォーマーで加温した後、加温状態のウェットティッシュウォーマー内で所定時間放置しても、不織布の黄変を抑制することができる。
ウェットティッシュ1枚分の不織布中のセルロース系繊維1gあたりの、含浸液中におけるN価アルコール(N=3)の重量(g)は、ウェットティッシュ1枚分の不織布の重量(g)及び不織布中のセルロース系繊維の重量(g)と、この不織布の重量(g)に対する含浸液の含浸重量(g)と、この不織布に含浸させる含浸液におけるN価アルコール(N=3)の濃度(wt%)とを用いて調整される。すなわち、ウェットティッシュ1枚分の不織布中のセルロース系繊維1gあたりの、含浸液中におけるN価アルコール(N=3)の重量(g)は、ウェットティッシュ1枚分の不織布の重量(g)に対して所定の倍率でこの不織布に含浸させた含浸液の重量(g)に、含浸液中のN価アルコール(N=3)の濃度を乗算して得た値を、ウェットティッシュ1枚分の不織布中のセルロース系繊維の重量(g)で除算して得られる値である。
また、含浸液中にN価アルコール(N=3)を含有させる場合、保水効果等を発揮させることができるが、N価アルコール(N=3)の濃度が高すぎる場合には、べたつき感を生じる等、ウェットティッシュの品質を低下させる可能性がある。そこで、含浸液中のN価アルコール(N=3)の濃度は、例えば8wt%以下とすることが好ましい。
含浸液中にN価アルコール(N=4)を含有させる場合、ウェットティッシュ1枚分の不織布中のセルロース系繊維1gあたりの、含浸液中におけるN価アルコール(N=4)の重量は、0.018g以上とすることが好ましい。ウェットティッシュ1枚分の不織布中のセルロース系繊維1gあたりの、含浸液中におけるN価アルコール(N=4)の重量を0.018以上とすることにより、ウェットティッシュをウェットティッシュウォーマーで加温した後、加温状態のウェットティッシュウォーマー内で所定時間放置しても、不織布の黄変を抑制することができる。
また、含浸液中にN価アルコール(N=4)を含有させることにより、保水効果や清涼感を与える効果等を発揮させることができるが、N価アルコール(N=4)の濃度が高すぎる場合には、べたつき感を生じる等、ウェットティッシュの品質を低下させる可能性がある。そこで、含浸液中のN価アルコール(N=4)の濃度は、例えば5wt%以下とすることが好ましい。
含浸液中にN価アルコール(N=5)を含有させる場合、ウェットティッシュ1枚分の不織布中のセルロース系繊維1gあたりの、含浸液中におけるN価アルコール(N=5)の重量は、0.055g以上とすることが好ましい。ウェットティッシュ1枚分の不織布中のセルロース系繊維1gあたりの、含浸液中におけるN価アルコール(N=5)の重量を0.055g以上とすることにより、ウェットティッシュをウェットティッシュウォーマーで加温した後、加温状態のウェットティッシュウォーマー内で所定時間放置しても、不織布の黄変を抑制することができる。
また、含浸液中にN価アルコール(N=5)を含有させることにより、保水効果等を発揮させることができるが、N価アルコール(N=5)の濃度が高すぎる場合には、べたつき感を生じる等、ウェットティッシュの品質を低下させる可能性がある。そこで、含浸液中のN価アルコール(N=5)の濃度は、例えば5wt%以下とすることが好ましい。
含浸液中にN価アルコール(N=6)を含有させる場合、ウェットティッシュ1枚分の不織布中のセルロース系繊維1gあたりの、含浸液中におけるN価アルコール(N=6)の重量は、0.032g以上とすることが好ましい。ウェットティッシュ1枚分の不織布中のセルロース系繊維1gあたりの、含浸液中におけるN価アルコール(N=6)の重量を0.032g以上とすることにより、ウェットティッシュをウェットティッシュウォーマーで加温した後、加温状態のウェットティッシュウォーマー内で所定時間放置しても、不織布の黄変を抑制することができる。
また、含浸液中にN価アルコール(N=6)を含有させることにより、保水効果や柔軟効果等を発揮させることができるが、N価アルコール(N=6)の濃度が高すぎる場合には、べたつき感を生じる等、ウェットティッシュの品質を低下させる可能性がある。そこで、含浸液中のN価アルコール(N=6)の濃度は、例えば5wt%以下とすることが好ましい。
また、含浸液中に多糖類を含有させる場合、ウェットティッシュ1枚分の不織布中のセルロース系繊維1gあたりの、含浸液中における多糖類の重量は、0.055g以上とすることが好ましい。ウェットティッシュ1枚分の不織布中のセルロース系繊維1gあたりの、含浸液中における多糖類の重量を0.055g以上とすることにより、ウェットティッシュをウェットティッシュウォーマーで加温した後、加温状態のウェットティッシュウォーマー内で所定時間放置しても、不織布の黄変を抑制することができる。
また、含浸液中に多糖類を含有させることにより、保水効果等を発揮させることができるが、多糖類の濃度が高すぎる場合には、べたつき感を生じる等、ウェットティッシュの品質を低下させる可能性がある。そこで、含浸液中の多糖類の濃度は、例えば5wt%以下とすることが好ましい。
このような不織布の黄変を抑制する要因としては、例えば次の点が考えられる。すなわち、不織布中のセルロース系繊維1gあたりのN価アルコール(3≦N)及び多糖類から選択される1種又は2種以上の重量(g)を上述の所定値以上とすることにより、不織布中のセルロース系繊維が加熱されても、N価アルコール(3≦N)、多糖類の高い保水効果によってセルロース系繊維中の水分の蒸発が抑制される。このため、側鎖のヒドロキシル基(−OH)が空気酸化されることがなくなり、不織布の黄変が抑制されると考えられる。なお、N価アルコール(N≦2)は、保水効果が小さく、上述のような不織布の黄変抑制効果を発揮する程度にまでセルロース系繊維の水分の蒸発を抑制することができないため、含浸液中に含有させるアルコールとしては不適当である。
このように、本実施の形態におけるウェットティッシュは、ウェットティッシュウォーマーにて加温されるウェットティッシュであって、セルロース系繊維を含有する不織布に、N価アルコール(3≦N)及び多糖類から選択される1種又は2種以上をセルロース系繊維1gあたり所定値(g)以上の重量で含有する含浸液が含浸されてなるものである。このような本実施の形態におけるウェットティッシュは、ウェットティッシュウォーマーで加温した後、加温状態のウェットティッシュウォーマー内で所定時間放置しても、不織布の黄変を抑制することができる。
本実施の形態におけるウェットティッシュは、水(精製水)と、N価アルコール(3≦N)、及び多糖類から選択される1種又は2種以上と、その他の添加剤とを含有する含浸液をセルロース系繊維を含有する不織布に対して所定の倍率の重量で含浸させることにより製造される。含浸液を不織布に含浸させる方法としては、例えば、含浸液を不織布にスプレーする、不織布を含浸液に浸漬する等の方法を用いることができる。このようにしてウェットティッシュを製造するにあたり、N価アルコール(3≦N)及び多糖類から選択される1種又は2種以上をセルロース系繊維1gあたり所定値以上となる重量で含有する含浸液をセルロース系繊維を含有する不織布に含浸させることにより、ウェットティッシュウォーマーで加温した後、加温状態のウェットティッシュウォーマー内で所定時間放置しても、不織布の黄変を抑制することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施例に限定されるものではない。本実施例では、セルロース繊維の一種であるレーヨンを含有する不織布(以下、「レーヨン系不織布」という。)に含浸液を含浸させてなるウェットティッシュを加温し、所定時間経過後の不織布の変色度合いを確認した。
本実施例では、3種のレーヨン系不織布として、レーヨン系不織布RPM2−35(ダイワボウポリテック株式会社製)、ASP−40K(ダイワボウポリテック株式会社製)、FK−35M(クラレクラフレックス株式会社製)を用いた。[表1]に、レーヨン系不織布RPM2−35、ASP−40K、FK−35Mのそれぞれ1枚あたりの不織布組成(wt%)、幅(m)、長さ(m)、目付(g/m2)、及び不織布1枚あたりのレーヨン重量(g/枚)を示す。ここで、目付(g/m2)は、不織布1枚の厚みの目安となる重量密度を表す。
≪1.N価アルコール(N=3)を用いた場合のレーヨン系不織布の変色確認≫
以下、N価アルコール(N=3)としてグリセリンを含有する含浸液を用いて、レーヨン系不織布RPM2−35の変色度合いを確認する実験を行った。先ず、水、グリセリン、PEG−60水添ヒマシ油、メチルパラベン、エチルパラベン、CPC、クエン酸、及びクエン酸ナトリウムをそれぞれ[表2]に示す配合比で配合して含浸液A1〜A10を作製した。
次に、10枚のレーヨン系不織布RPM2−35の1枚ずつに含浸液A1〜A10をそれぞれ均一に含浸させてウェットティッシュのサンプル1〜10を作製した。ここで、1枚のレーヨン系不織布RPM2−35の重量(g)に対する、このレーヨン系不織布RPM2−35に含浸させる含浸液の重量(g)の倍率(以下、「含浸倍率」という。)を2.3倍とした。
サンプル1〜10を作製する上で、以下の算出式(1)、(2)からウェットティッシュ1枚分の不織布中のレーヨン1gあたりの含浸液中のグリセリン量(g)(以下、これを「G/R比率(g/g)」という。)を算出した。
グリセリン重量(g/枚)=目付(g/m2)×幅(m)×長さ(m)×含浸倍率×液中のグリセリン濃度(wt%)/100 ・・(1)
G/R比率(g/g)=グリセリン重量(g/枚)/レーヨン重量(g/枚) ・・(2)
次に、サンプル1〜10をそれぞれウェットティッシュウォーマーで加温し、レーヨン系不織布RPM2−35の変色度合いを確認した。
ウェットティッシュウォーマーとしては、上蓋にヒータが設置されているウォーマーW1(製品名;Combi クイックウォーマーHU C−107163(トーアテック株式会社製))を用いた。サンプル1〜10をそれぞれウォーマーW1内のヒータ面と接触するようにウォーマーW1内の所定の位置に配置した。そして、ヒータの電源を入れてウォーマーW1内を加温状態とし、サンプル1〜10を乳幼児のお尻に適した温度(例えば約45℃)に加温した。
サンプル1〜10のそれぞれを加温状態のウォーマーW1内で24時間放置後、レーヨン系不織布RPM2−35の変色度合いを目視で確認した。これと同じ手順の処理をさらに5回行った。すなわち、レーヨン系不織布RPM2−35の変色確認を6回(n=6)行った。
[表3]に、サンプル1〜10におけるレーヨン系不織布RPM2−35の変色確認の結果を示す。[表3]において、◎は、全く変色していないことを示し、○は、ウェットティッシュとしての使用上問題ない程度に不織布の黄変が抑制されていることを示す。また、×は、ウェットティッシュ6枚中1枚でも明らかに黄変していることを示す。
[表3]に示すように、サンプル1〜3のウェットティッシュでは、不織布が部分的又は全体的に黄色に変色してしまった。一方、サンプル4〜10のウェットティッシュでは、不織布の黄変を効果的に抑制することができた。このことは、サンプル1では、含浸液にグリセリンが含有されていないため、サンプル2、3では、レーヨン系不織布に対するグリセリンの量が少ないために黄変してしまったものと考えられる。一方、サンプル4〜10では、レーヨン系不織布に対するグリセリンの量が充分な量であるために、不織布の黄変を効果的に抑制することができたものと考えられる。
したがって、この[表3]に示す結果より、レーヨン系不織布に、グリセリン等のN価アルコール(N=3)を含浸液が含浸されてなるウェットティッシュにおいて、G/R比率を0.023以上、すなわちレーヨン系不織布1gあたりの、含浸液中におけるN価アルコール(N=3)の重量を0.023g以上とすることにより、ウェットティッシュウォーマーで加温しても、レーヨン系不織布の黄変が抑制されることがわかった。
特にG/R比率を0.184とすることにより、不織布の変色を完全に抑制することがわかった。
≪2.他のレーヨン系不織布の変色確認≫
以下、N価アルコール(N=3)としてグリセリンを含有する含浸液を用いて、レーヨン系不織布RPM2−35以外のレーヨン不織布の変色度合いの確認を行った。
最初に、レーヨン系不織布として、[表1]に示すレーヨン系不織布ASP−40Kを用いた場合について説明する。先ず、10枚のレーヨン系不織布ASP−40Kの1枚ずつに含浸液A1〜A10をそれぞれ含浸させ、ウェットティッシュのサンプル11〜20とした。
以降、上述のサンプル1〜10に対して行った処理と同様の処理を行った。すなわち、サンプル11〜20に対し、サンプル1〜10と同様にウォーマーW1を用いてレーヨン系不織布ASP−40Kの変色度合いを6回確認した。
[表4]にサンプル11〜20におけるレーヨン系不織布ASP−40Kの変色確認の結果を示す。[表4]において、◎は、全く変色していないことを示し、○は、ウェットティッシュとしての使用上問題ない程度に不織布の黄変が抑制されていることを示す。また、×は、ウェットティッシュ6枚中1枚でも明らかに黄変していることを示す。
[表4]に示すように、サンプル11〜14のウェットティッシュでは、不織布が部分的又は全体的に黄色に変色してしまった。一方、サンプル15〜20のウェットティッシュでは、不織布の黄変を効果的に抑制することができた。このことは、サンプル11では、含浸液にグリセリンが含有されていないため、サンプル12〜14では、レーヨン系不織布に対するグリセリンの量が少ないために黄変してしまったものと考えられる。一方、サンプル15〜20では、レーヨン系不織布に対するグリセリンの量が充分な量であるために、不織布の黄変を効果的に抑制することができたものと考えられる。特に、G/R比率を0.153以上としたサンプル18〜20では、不織布の変色を完全に抑制することがわかった。すなわち、レーヨン系不織布ASP−40Kを用いた場合においても、レーヨン系不織布RPM2−35を用いた場合と同様の結果が得られた。
次に、レーヨン系不織布として、[表1]に示すレーヨン系不織布FK−35Mを用いた場合について説明する。先ず、10枚のレーヨン系不織布FK35−Mの1枚ずつに含浸液A1〜A10をそれぞれ含浸させ、ウェットティッシュのサンプル21〜30とした。
以降、上述のサンプル1〜10に対して行った処理と同様の処理を行った。すなわち、サンプル21〜30に対し、サンプル1〜20と同様にウォーマーW1を用いてレーヨン系不織布FK−35Mの変色度合いを6回確認した。
[表5]にサンプル21〜30におけるレーヨン系不織布FK−35Mの変色確認の結果を示す。[表5]において、◎は、全く変色していないことを示し、○は、ウェットティッシュとしての使用上問題ない程度に不織布の黄変が抑制されていることを示す。また、×は、ウェットティッシュ6枚中1枚でも明らかに黄変していることを示す。
[表5]に示すように、サンプル21〜24のウェットティッシュでは、不織布が部分的又は全体的に黄色に変色してしまった。一方、サンプル25〜30のウェットティッシュでは、不織布の黄変を効果的に抑制することができた。このことは、サンプル21では、含浸液にグリセリンが含有されていないため、サンプル22〜24では、レーヨン系不織布に対するグリセリンの量が少ないために黄変してしまったものと考えられる。一方、サンプル25〜30では、レーヨン系不織布に対するグリセリンの量が充分な量であるために、不織布の黄変を効果的に抑制することができたものと考えられる。特に、G/R比率を0.153以上としたサンプル28〜30では、不織布の変色を完全に抑制することがわかった。すなわち、レーヨン系不織布FK―35Mを用いた場合においても、レーヨン系不織布RPM2−35、RPM2−35を用いた場合と同様の結果が得られた。
このように、レーヨン系不織布RPM2−35M、ASP−40K、FK−35Mの何れを用いた場合においても、N価アルコール(N=3)であるグリセリンを含有する含浸液を含浸させた場合、G/R比率を0.023以上とすることにより、不織布の黄変が抑制されていた。このことから、レーヨン系不織布の違いによる変色抑制効果に違いはないことがわかった。
≪3.ウェットティッシュウォーマーの違いによるレーヨン系不織布の変色確認≫
以下、2種類のウェットティッシュウォーマーそれぞれにおいて、レーヨン系不織布の変色度合いを確認する実験を行った。先ず、レーヨン系不織布RPM2−35、ASP−40K、FK−35Mの1枚ずつに、それぞれN価アルコール(N=3)としてグリセリンを含有する含浸液を[表6]に示す条件で含浸させ、この含浸液を含浸させてなるウェットティッシュのサンプルをサンプル31〜36とした。
次に、サンプル31〜36を、ウォーマーW1、及び、ウォーマーW2(製品名;ピジョン おしりナップウォーマー(バイオエコーネット株式会社製))のそれぞれを用いて加温させた。
具体的には、サンプル31〜36を、それぞれウェットティッシュウォーマーW1,W2の内部の所定の位置に配置し、ヒータの電源を入れてウォーマーW1,W2内を加温状態とし、サンプル31〜36を乳幼児のお尻に適した温度(例えば約45℃)に加温した。サンプル31〜36を加温状態のウォーマーW1,W2内でそれぞれ24時間放置後、レーヨン系不織布RPM2−35の変色度合いを目視で確認した。これと同じ手順の処理をさらに2回行った。すなわち、ウォーマーW1,W2それぞれにおいて3回ずつ(n=3)レーヨン不織布RPM2−35の変色確認を行った。
この[表6]において、◎は、全く変色していないことを示し、○は、ウェットティッシュとしての使用上問題ない程度に不織布の黄変が抑制されていることを示す。また、×は、3枚中1枚でも明らかに黄変していることを示す。
[表6]に示すように、サンプル31〜36の何れにおいても、ウォーマーW1内で加温した場合とウォーマーW2内で加温した場合とで、変色確認の結果に差が生じないことがわかった。
≪4.N価アルコール(N=4〜6)又は多糖類を用いた場合の不織布の変色確認≫
以下、N価アルコール(N=4〜6)又は多糖類を含有する含浸液を用いて、レーヨン系不織布の変色度合いを確認する実験を行った。
先ず、N価アルコール(N=4)としてエリスリトールを含有する含浸液B1〜B9([表7]参照)を用いた場合について説明する。
含浸液B1〜B9を、それぞれ先の[表1]に示すレーヨン系不織布RPM2−35の1枚ずつに含浸させてウェットティッシュのサンプル41〜49を作製し、それぞれウォーマーW1内のヒータ面と接触するようにウォーマーW1内の所定の位置に配置した。ヒータの電源を入れてウォーマーW1内を加温状態とし、サンプル41〜49を乳幼児のお尻に適した温度(例えば約45℃)に加温した。サンプル41〜49のそれぞれを加温状態のウォーマーW1内で24時間放置後、レーヨン系不織布RPM2−35の変色度合いを目視で確認した。これと同じ手順の処理をさらに5回行った。すなわち、ウォーマーW1においてレーヨン不織布RPM2−35の変色確認を6回(n=6)行った。
[表8]に、サンプル41〜49におけるレーヨン系不織布RPM2−35の変色確認の結果を示す。この[表8]において、◎は、全く変色していないことを示し、○は、ウェットティッシュとしての使用上問題ない程度に不織布の黄変が抑制されていることを示す。また、×は、明らかに黄変していることを示す。
[表8]に示すように、サンプル41〜43のウェットティッシュでは、不織布が部分的又は全体的に黄色に変色してしまった。一方、サンプル44〜49のウェットティッシュでは、不織布の黄変を効果的に抑制することができた。このことは、サンプル41では、含浸液にエリスリトールが含有されていないため、サンプル42、43では、レーヨン系不織布に対するエリスリトールの量が少ないために黄変してしまったものと考えられる。一方、サンプル44〜49では、レーヨン系不織布の重量に対するエリスリトールの量が充分な量であるために不織布の黄変を効果的に抑制することができたものと考えられる。
この[表8]に示す結果から、レーヨン系不織布に、エリスリトール等のN価アルコール(N=4)を含有する含浸液が含浸されてなるウェットティッシュにおいて、レーヨン1gあたりの、含浸液中におけるN価アルコール(N=4)の重量(g)(以下、これを「対レーヨン比率(g/g)」という。)を0.018以上とした場合には、ウェットティッシュウォーマーで加温しても、不織布の黄変が抑制されていることがわかった。特に、対レーヨン比率を0.138以上とすることにより、不織布の変色を完全に抑制できることがわかった。
次に、N価アルコール(N=5)としてキシリトールを含有する含浸液C1〜C10([表9]参照)をそれぞれRPM2−35の1枚ずつに含浸させてウェットティッシュのサンプル51〜60を作製した。サンプル51〜60について、サンプル41〜49について行った実験と同様の実験を行った。
[表10]に、サンプル51〜60におけるレーヨン系不織布RPM2−35の変色確認の結果を示す。
[表10]に示すように、サンプル51〜53のウェットティッシュでは、不織布が部分的又は全体的に黄色に変色してしまった。一方、サンプル54〜60のウェットティッシュでは、不織布の黄変を効果的に抑制することができた。このことは、サンプル51では、含浸液にキシリトールが含有されていないため、サンプル52、53では、レーヨン系不織布に対するキシリトールの量が少ないために黄変してしまったものと考えられる。一方、サンプル54〜60では、レーヨン系不織布の重量に対するキシリトールの量が充分な量であるために不織布の黄変を効果的に抑制することができたものと考えられる。
この[表10]に示す結果から、レーヨン系不織布に、キシリトール等のN価アルコール(N=5)を含有する含浸液が含浸されてなるウェットティッシュにおいて、レーヨン1gあたりの、含浸液中におけるN価アルコール(N=5)の重量(g)(以下、これを「対レーヨン比率(g/g)」という。)を0.055以上とした場合には、ウェットティッシュウォーマーで加温しても、不織布の黄変が抑制されていることがわかった。特に対レーヨン比率を0.230以上とすることにより、不織布の変色を完全に抑制できることがわかった。
次に、N価アルコール(N=6)としてソルビトールを含有する含浸液D1〜D8([表11]参照)をそれぞれレーヨン系不織布RPM2−35の1枚ずつに含浸させてウェットティッシュのサンプル61〜68を作製した。サンプル61〜68について、サンプル41〜49について行った実験と同様の実験を行った。
[表12]に、サンプル61〜68におけるレーヨン系不織布RPM2−35の変色確認の結果を示す。
[表12]に示すように、サンプル61〜63のウェットティッシュでは、不織布が部分的又は全体的に黄色に変色してしまった。一方、サンプル64〜68のウェットティッシュでは、不織布の黄変を効果的に抑制することができた。このことは、サンプル61では、含浸液にソルビトールが含有されていないため、サンプル62、63では、レーヨン系不織布に対するソルビトールの量が少ないために黄変してしまったものと考えられる。一方、サンプル64〜68では、レーヨン系不織布の重量に対するソルビトールの量が充分な量であるために不織布の黄変を効果的に抑制することができたものと考えられる。
この[表12]に示す結果から、レーヨン系不織布に、ソルビトール等のN価アルコール(N=6)を含有する含浸液が含浸されてなるウェットティッシュにおいて、レーヨン1gあたりの、含浸液中におけるN価アルコール(N=6)の重量(g)(以下、これを「対レーヨン比率(g/g)」という。)を0.032以上とした場合には、ウェットティッシュウォーマーで加温しても、不織布の黄変が抑制されていることがわかった。特に対レーヨン比率を0.138以上とすることにより、不織布の変色を完全に抑制できることがわかった。
次に、多糖類としてトレハロースを含有する含浸液E1〜E10([表13]参照)をそれぞれレーヨン系不織布RPM2−35の1枚ずつに含浸させてウェットティッシュのサンプル71〜80を作製した。サンプル71〜80について、サンプル41〜49について行った実験と同様の実験を行った。
[表14]に、サンプル71〜80におけるレーヨン系不織布RPM2−35の変色確認の結果を示す。
[表14]に示すように、サンプル71〜73のウェットティッシュでは、不織布が部分的又は全体的に黄色に変色してしまった。一方、サンプル74〜80のウェットティッシュでは、不織布の黄変を効果的に抑制することができた。このことは、サンプル71では、含浸液にトレハロースが含有されていないため、サンプル72、73では、レーヨン系不織布に対するトレハロースの量が少ないために黄変してしまったものと考えられる。一方、サンプル74〜80では、レーヨン系不織布の重量に対するトレハロースの量が充分な量であるために不織布の黄変を効果的に抑制することができたものと考えられる。
この[表14]に示す結果から、レーヨン系不織布に多糖類であるトレハロース等の多糖類を含有する含浸液が含浸されてなるウェットティッシュにおいて、レーヨン1gあたりの、含浸液中における多糖類の重量(g)(以下、これを「対レーヨン比率(g/g)」という。)を0.055以上とした場合には、ウェットティッシュウォーマーで加温しても、不織布の黄変が抑制されていることがわかった。特に対レーヨン比率を0.230以上とすることにより、不織布の変色を完全に抑制することがわかった。
≪5.N価アルコール(N=2)を用いた場合の不織布の変色確認≫
次に、N価アルコール(N=2)としてプロピレングリコール(PG)を含有する含浸液F1〜F4([表15]参照)をそれぞれレーヨン系不織布RPM2−35の1枚ずつに含浸させてウェットティッシュのサンプル81〜84を作製した。サンプル81〜84について、サンプル41〜49について行った実験と同様の実験を行った。
[表16]に、サンプル81〜84におけるレーヨン系不織布RPM2−35の変色確認の結果を示す。
[表16]に示すように、レーヨン1gあたりの、含浸液中におけるPGの重量(g)(以下、これを「対レーヨン比率(g/g)」という。)の値に関係なく、サンプル81〜84の全てのウェットティッシュにおいて、不織布が黄色に変色してしまった。
次に、同じくN価アルコール(N=2)として1,3ブチレングリコール(1,3BG)を含有する含浸液G1〜G4をそれぞれレーヨン系不織布RPM2−35の1枚ずつに含浸させてウェットティッシュのサンプル91〜94を作製した。ここで、含浸液G1〜G4は、それぞれF1〜F4中のPGと同濃度(wt%)でPGに替えて1,3BGを配合したものであり、それ以外の成分及び配合比は、[表15]に示すF1〜F4の成分及び配合比と同じである。サンプル91〜94について、サンプル41〜44について行った実験と同様の実験を行った。
[表17]に、サンプル91〜94におけるレーヨン系不織布RPM2−35の変色確認の結果を示す。
[表17]に示すように、レーヨン1gあたりの、含浸液中における1,3BGの重量(g)(以下、これを「対レーヨン比率(g/g)」という。)の値に関係なく、サンプル91〜94の全てのウェットティッシュにおいて、不織布が黄色に変色してしまった。
この[表16]、[表17]に示す結果から、レーヨン系不織布にN価アルコール(N=2)を含有する含浸液が含浸されてなるウェットティッシュにおいて、対レーヨン比率が何れの値であっても、ウェットティッシュウォーマーで加温した場合に、不織布の黄変が抑制されないことがわかった。
≪6.N価アルコール(3≦N)及び多糖類から選択される複数の薬剤を併用した場合のレーヨン系不織布の変色確認≫
以下、N価アルコール(N=3)であるグリセリンとN価アルコール(N=4)であるエリスリトールとを含有する含浸液、又は、グリセリンと多糖類であるトレハロースとを含有する含浸液を用いてレーヨン系不織布RPM2−35の変色度合いを確認する実験を行った。
先ず、水、グリセリン、エリスリトール、トレハロース、PEG−60水添ヒマシ油、メチルパラベン、エチルパラベン、CPC、クエン酸、クエン酸ナトリウムをそれぞれ[表18]に示す配合比で配合して含浸液H1〜H13を作製した。
次に、13枚のレーヨン不織布RPM2−35の1枚ずつに含浸液H1〜H13をそれぞれ均一に含浸させてウェットティッシュのサンプル101〜113を作製した。
続いて、サンプル101〜113をそれぞれウォーマーW1内のヒータ面と接触するようにウォーマーW1内の所定の位置に配置した。ヒータの電源を入れてウォーマーW1内を加温状態とし、サンプル101〜113を乳児のお尻に適した温度(例えば約45℃)に加温した。サンプル101〜113のそれぞれを加温状態のウォーマーW1内で24時間放置後、レーヨン系不織布RPM2−35の変色度合いを目視で確認した。これと同じ手順の処理をさらに5回行った。すなわち、レーヨン系不織布RPM2−35の変色確認を6回(n=6)行った。
[表19]に、サンプル101〜113におけるレーヨン不織布RPM2−35の変色確認の結果を示す。この[表19]において、○は、ウェットティッシュとしての使用上問題ない程度に不織布の黄変が抑制されていることを示す。また、×は、ウェットティッシュ6枚中1枚でも明らかに黄変していることを示す。
なお、GEは、含浸液に含まれるグリセリン及びエリスリトールを示し、GTは、含浸液に含まれるグリセリン及びトレハロースを示す。また、レーヨン1gあたりの、含浸液中におけるグリセリン、エリスリトール、トレハロース、GE、又はGTの重量(g)(g/g)を「対レーヨン比率」という。
[表19]に示すように、グリセリン及びエリスリトール(GE)を含有するサンプル104〜107のウェットティッシュにおいて、サンプル104のウェットティッシュでは、部分的又は全体的に不織布が黄色に変色してしまった。一方、サンプル105〜107のウェットティッシュでは、グリセリン濃度及びエリスリトール濃度が共に低い値であるにも拘らず、不織布の黄変を効果的に抑制することができた。
このことは、サンプル104では、レーヨン系不織布に対するグリセリン及びエリスリトールの重量が少ないために黄変してしまったと考えられる。一方、サンプル105〜107では、レーヨン系不織布に対するグリセリン及びトレハロースの重量が充分な量であるために不織布の黄変を効果的に抑制することができたと考えられる。
また、グリセリン及びトレハロース(GT)を含有するサンプル108〜111において、サンプル108のウェットティッシュでは、不織布が部分的又は全体的に黄色に変色してしまった。一方、サンプル109〜111のウェットティッシュでは、グリセリン濃度及びトレハロース濃度が共に低い値であるにも拘わらず、不織布の黄変を効果的に抑制することができた。
このことは、サンプル108では、レーヨン系不織布に対するグリセリン及びトレハロースの重量が少ないために黄変してしまったと考えられる。一方、サンプル109〜111では、レーヨン系不織布に対するグリセリン及びトレハロースの重量が充分な量であるために不織布の黄変を効果的に抑制することができたと考えられる。
また、グリセリン、エリスリトール、トレハロースの内、グリセリンを単独で含有するサンプル112、113のウェットティッシュでは、不織布の黄変が効果的に抑制されていた。しかしながら、先の[表3]に示すように、グリセリンを単独で含有する場合には、グリセリン濃度が0.4wt%以下では不織布が黄色に変色してしまい、0.5wt%以上として初めて不織布の黄変を抑制することができるのであって、エリスリトール又はトレハロースと併用される場合よりも高濃度のグリセリンが必要であることがわかる。
すなわち、グリセリン及びエリスリトールの両方を含有する含浸液を用いた場合には、含浸液中のグリセリン、エリスリトールそれぞれの濃度を、これらの薬剤を単独で含有する含浸液を用いた場合よりも低濃度としてレーヨン系不織布の黄変を抑制できることがわかった。
同様に、グリセリン及びトレハロースの両方を含有する含浸液を用いた場合には、含浸液中のグリセリン、トレハロースそれぞれの濃度を、これらの薬剤を単独で含有する含浸液を用いた場合よりも低濃度としてレーヨン系不織布の黄変を抑制できることがわかった。
このように、N価アルコール(3≦N)及び多糖類から選択される2種以上の薬剤を含有する含浸液を用いた場合には、含浸液中の、N価アルコール(3≦N)及び多糖類から選択される2種以上の薬剤のそれぞれの濃度を、これらの薬剤を単独で含有する含浸液を用いた場合よりも低濃度としてレーヨン系不織布の黄変を抑制することが可能となる。
これにより、例えば、レーヨン系不織布の黄変抑制効果の高く安価なグリセリンと、清涼感や柔軟性等の様々な薬理効果を有するものの高価な多価アルコール(4≦N)や多糖類とを配合させる場合のように、複数の薬剤をそれぞれ低濃度で配合させることにより、コストメリットを図りながら、レーヨン系不織布の黄変を抑制できるとともに、様々な薬理効果を発揮させることが可能となる。