JP4874106B2 - 極座標変調装置及びそれを用いた無線通信機器 - Google Patents

極座標変調装置及びそれを用いた無線通信機器 Download PDF

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Description

本発明は、変調装置に関し、より特定的には、極座標変調装置及びそれを用いた無線通信機器に関する。
携帯電話では、限られた電池容量のもとで長時間に渡って通話が可能であることが求められる。高周波信号を増幅してアンテナに送信電力を供給する電力増幅部は、特に多くの電力を消費する。従って、電力増幅部の高効率化が重要な課題となる。
また、世界では様々な通信方式が普及してきており、一台で複数の通信方式に対応できるマルチモードの無線通信端末が求められている。しかし、従来の技術の延長でマルチモード無線通信端末を作製すると、特に無線部の部品の個数が増えてサイズが大きくなる上、コストが増大してしまう。そのため、マルチモード無線通信端末の実現においては、部品の共有化が重要な課題となる。
携帯電話の規格の一つであるGSM(Global System for Mobile Communications)をベースとして、通信速度の高速化を図ったEDGE(Enhanced Data GSM Environment)方式では、無線送信部における変調方式として、従来の変調方式であるGMSK(Gaussian filtered Minimum Shift Keying)変調の送信回路構成と親和性が高い極座標変調(ポーラ変調)方式が採用されることが多い。
GSM方式及びUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)方式に対応したマルチモード無線通信端末において、極座標変調方式を採用すれば、プラットフォーム一元化によるシステムの簡素化を図ることができる。
また、無線部のサイズ増大を抑制するためには、電力増幅器等の部品を複数の変調方式で共有化する等の対応が有効となる。しかし、電力増幅器の共有化は一般に動作効率の低下を招く。加えて、UMTS方式では、非常に低出力から高出力までの電力制御が要求されるので、送信ダイナミックレンジの確保も重要な課題となる。
上記のような背景の下、以下のような技術が提案されている。
電力増幅部を極座標変調動作させるための電源部の制御手段が、特許文献1に開示されている。図20は、特許文献1に記載されている極座標変調装置における振幅制御部900の構成を示すブロック図である。
図20において、振幅制御部900は、入力端子901と、DAC(デジタルアナログコンバータ)902と、制御器903と、比較器904と、OPアンプ905と、電流モニタ906と、電源端子907と、負荷908と、トランジスタ909と、電源端子910とを含む。
入力端子901から入力された振幅データは、DAC902を介して、OPアンプ905に入力される。OPアンプ905の出力電圧は、電流モニタ906を介してトランジスタ909のベースに入力される。これによって、トランジスタ909は、電源端子910から入力される電源電圧Vbatに基づいて、ベースに入力される信号を増幅し、変調信号電圧Vm(t)として出力する。負荷908は、電力増幅器である。トランジスタ909は、負荷908として接続された電力増幅器の電源端子907を、変調信号電圧Vm(t)で変調する。変調信号電圧Vm(t)は、OPアンプ905へフィードバックされる。OPアンプ905は、DAC902から出力された変調信号とフィードバックされた変調信号電圧Vm(t)とを比較して、出力電圧を調整する。
トランジスタ909のエミッタ・コレクタ間には、飽和電圧0.1Vが存在する。従って、トランジスタ909の電源電圧Vbatは、変調信号電圧Vm(t)の最大値よりも0.1V以上高い電圧でないと、トランジスタ909が飽和して動作しなくなる。トランジスタ909が飽和すると、ベースに電流が流れ込む。電流モニタ906は、ベースに流れ込む電流をモニタして、モニタ結果を比較器904に伝える。比較器904は、電流モニタ906によってモニタされた電流が所定の閾値以上であるか否かを判断する。所定の閾値以上である場合、その旨を制御部903に伝える。それに応じて、制御部903は、電流モニタ906を介して比較器904から電流が所定の閾値以上である旨が伝えられなくなるまで、DAC902の出力電圧の最大値を低下させる。このように、DAC902の出力電圧の最大値を低下させることによって、電源電圧Vbatが変調信号電圧Vm(t)の最大値よりも0.1V以上高い状態を作り出すことができる。従って、トランジスタ909の飽和を防止することができる。
トランジスタ909の電源端子910に十分大きな電源電圧Vbatが供給されていれば、上記のような制御は必要ない。しかし、通常、電源電圧Vbatは、電池から供給されている。よって、電池の容量が低下すれば、上記のような制御が必要となる。つまり、特許文献1に記載の振幅制御部900を用いれば、電池電圧が低下することによって電源電圧Vbatが低下したとしても、トランジスタ909を飽和させずに、安定的な動作を実現することができる。
極座標変調装置においてダイナミックレンジを拡大する例が、特許文献2に開示されている。図21は、特許文献2に記載されている極座標変調装置923の構成を示すブロック図である。
図21において、極座標変調装置923は、包絡線抽出/制限器911と、可変増幅器912と、電力増幅器913と、直交変調器914とを備える。I(Inphase:同相)ベースバンド信号及びQ(Quadrature:直交)ベースバンド信号は、包絡線抽出/制限器911に入力される。包絡線抽出/制限器911は、振幅成分(I2+Q21/2が一定になるようなIc信号及びQc信号と、I及びQベースバンド信号の包絡線成分を示す振幅信号とを出力する。可変増幅器912は、振幅信号について、所定値以上の大きさの成分を所定値に制限する。直交変調器914は、入力されるIc信号及びQc信号に基づいて、位相変調信号を生成し、当該位相変調信号を電力増幅器913に入力する。一方、振幅信号は、可変増幅器912によって振幅が調整された後、電力増幅器913の電源部に入力される。電力増幅器913は、位相変調信号を振幅信号によって振幅変調して、変調信号を出力する。包絡線抽出/制限器911は、振幅信号の振幅を制限する。これによって、変調信号における最大値と平均値との比率ピーク対平均電力比(PAPR:Peak to Average Power Ratio)が低下するので、振幅信号の変動幅が抑制することとなり、ダイナミックレンジが拡大する。
なお、ダイナミックレンジが拡大するといった場合、電力増幅部で用いられる増幅素子が線形性を有する範囲が広くなる。
図22は、IS95方式を用いる携帯電話の出力における隣接チャネル漏洩電力ACPR(Adjacent Channel Power Ratio)と振幅信号のPAPRとの関係を示すグラフである。たとえば、送信周波数が1980MHzである場合、PAPRが10dB以上であれば、ACPRは増加しない。しかし、PAPRが4.2dB以下であれば、ACPRは、規格値−54dBcを割り込んでしまう。つまり、振幅信号のPAPRを4.2dB以上に制限すれば、規格を割り込むことがないので、包絡線抽出/制限器911は、規格を割り込まないように、振幅信号の振幅を制限することによって、振幅制限しない場合よりも最大6dB高い平均出力が得られる。結果、ダイナミックレンジが拡大することとなる。
また、極座標変調装置においてダイナミックレンジを拡大する例が、特許文献3に開示されている。図23は、特許文献3に記載の極座標変調装置922の構成を示すブロック図である。
図23において、極座標変調装置922は、振幅信号入力端子915と、振幅制限回路916と、電圧制御回路917と、位相信号入力端子918と、角度変調器919と、電力増幅器920と、出力端子921とを備える。
角度変調器919は、入力されてくる位相信号を角度変調する。振幅制限回路916及び電圧制御回路917は、入力されてくる振幅信号の大きさが第1の所定値よりも小さくなった場合、その小さくなった部分の振幅信号の大きさが第1の所定値になるように振幅信号の波形を整形し、入力されてくる振幅信号の大きさが第1の所定値よりも大きい第2の所定値より大きくなった場合、その大きくなった部分の振幅信号の大きさを第2の所定値になるように振幅信号の波形を整形する。電力増幅器920は、角度変調器919から出力された角度変調波を電圧制御回路917から出力された信号で振幅変調することによって、振幅変調された信号を出力する。これにより、電力増幅器920に入力される振幅信号の最大値を制限することができるので、電力増幅器920で用いられる増幅素子が広い範囲で線形性を有していなくても、歪みが少ない所望の信号を得ることができ、ダイナミックレンジが拡大する。逆に、特許文献3に記載の構成を用いれば、線形性を有する範囲は狭いが消費電力が小さい電力増幅器を用いることができ、効率を向上させることができる。
米国特許第6528975号明細書 米国特許第6242975号明細書 米国特許出願公開第2005/0008093号明細書
しかし、特許文献1に記載の技術には、以下のような課題が存在する。特許文献1に記載の構成において、振幅制御部900は、電源電圧Vbatが低下すれば、トランジスタ909が飽和しないような最大の振幅変調電圧Vm(t)で動作する。従って、電源電圧Vbatが低下した場合は、高い動作効率が実現される。しかし、電池を充電した直後のように、電源電圧Vbatが、振幅変調電圧Vm(t)の最大値よりも、明らかに0.1V以上高い電圧であれば、電力利用の効率が低下する。無線通信が高速大容量化するに従って、送信回路では従来にも増して、より高効率動作が求められている。固定された電源電圧が供給されるシリーズレギュレータから、電力増幅器に対して、振幅信号を入力して、極座標変調する構成では、高い効率での動作を実現するために、シリーズレギュレータでの損失を抑制することが最も重要となる。しかし、特許文献1の振幅制御部900では、電源電圧Vbatが高い場合、効率が低下するので、好ましくない。
特許文献2及び3に記載の構成において、ダイナミックレンジの拡大や高効率化を図ることができるが、以下のような課題が存在する。まず、特許文献2及び3に記載の技術では、電力増幅器を小型化することによって、高効率化を図ることができるが、例えば、例えばGSM方式とUMTS方式との間で、一つの極座標変調装置を共有する場合、電力増幅器を小型化することはできない。なぜなら、EDGE方式やUMTS方式で動作する場合の最大出力がGMSK方式で動作する場合の最大出力より低いことが規格で決まっており、電力増幅器のサイズがGMSK変調動作時の最大出力に拘束されるからである。
また、ACPRの規格値は、用いられる変調方式において異なる。特許文献2及び3に記載の技術では、振幅信号の大きさを一律に制御することによって、PAPRを制御してダイナミックレンジを拡大しているが、複数の変調方式を用いる場合、このように一律に振幅信号の大きさを制御したのでは、ダイナミックレンジが確保されないおそれがある。逆に、ダイナミックレンジを確保するために、振幅信号の制限値を大きくすると、効率が低下する場合があったり、歪みが発生する場合があったりする。
以上のように、従来の技術は、電力利用の高効率化及び/又はダイナミックレンジの拡大という面において、十分ではなかった。特に、マルチモードのように複数の変調方式を用いる場合、従来の技術では、高効率化及び/又はダイナミックレンジの拡大を図ることが困難であった。
それ故に、本発明の目的は、電力利用の高効率化及び/又はダイナミックレンジの拡大を図ることができる極座標変調装置並びにそれを用いた無線通信機器を提供することである。
本発明は、極座標変調装置に向けられている。そして、上記目的を達成させるために、本発明の第1の局面による極座標変調装置は、電力増幅部と、位相情報を含む第1の変調信号を生成する位相変調部と、振幅情報を含む第2の変調信号を生成する振幅信号制御部と、第2の変調信号の振幅が所定の制限値よりも大きい場合、所定の制限値を超えた部分が所定の制限値以下の振幅となるように、第2の変調信号の波形を整形した波形整形変調信号を生成する波形整形部と、電源電圧を出力する電圧制御部と、電圧制御部から出力される電源電圧に基づいて波形整形変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、電力増幅部に供給する振幅変調電圧供給部とを備え、電力増幅は、第1の変調信号を振幅変調電圧に基づいて増幅することによって、第1の変調信号が振幅変調された第3の変調信号を出力し、波形整形部は、電力増幅部が発生する歪み電力の変化の要因に従って、電力増幅部で発生する隣接チャネル漏洩電力が第1の所定値以下となるように、又は、受信帯域における電力が第2の所定値以下となるように、所定の制限値を調整することを特徴とする。
ここで、第1の変調信号の電力値が、電力増幅部が発生する歪み電力の変化の要因となる場合には、波形整形部で、第1の変調信号の電力値に従って所定の制限値を調整すればよいし、第2の変調信号の振幅値が、電力増幅部が発生する歪み電力の変化の要因となる場合には、波形整形部で、第2の変調信号の振幅値に従って所定の制限値を調整すればよい。
また、制御チャネルで示されている利得とデータチャネルで示されている利得との組み合わせが、ピーク対平均電力比(PAPR)を変化させる要因である場合には、波形整形部で、制御チャネルで示されている利得とデータチャネルで示されている利得との組み合わせに従って所定の制限値を調整してもよいし、使用するサブキャリアの数が、ピーク対平均電力比を変化させる要因である場合には、波形整形部で、使用するサブキャリアの変調ルールに従って所定の制限値を調整してもよい。また、複数の変調方式を用いて信号を出力することができ、かつ、使用する変調方式がピーク対平均電力比を変化させる要因である場合には、波形整形部で、使用する変調方式に従って所定の制限値を調整してもよい。
好ましくは、波形整形部で設定される所定の制限値を記憶するメモリ部をさらに備え、波形整形部が、メモリ部から所定の制限値を読出して、所定の制限値を調整する。さらには、メモリ部に、電力増幅部からの出力電力に応じて制限値が段階的に記憶されていることが望ましい。
また、電圧制御部に、相異なる複数の電源電圧を出力することができる複数の直流電源を含ませ、振幅変調電圧供給部に、複数の直流電源に対応してそれぞれ設けられており、電源電圧に基づいて波形整形変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、電力増幅部に供給する複数のシリーズレギュレータを含ませて、波形整形部によって生成された波形整形変調信号を複数のシリーズレギュレータのいずれか一つに入力するためのスイッチ部をさらに備えさせてもよい。
また、複数の変調方式を用いて信号を出力することができ、かつ、使用する変調方式が電力増幅部が発生する歪み電力の変化の要因となる場合には、波形整形部が、使用する変調方式に従って所定の制限値を調整し、スイッチ部が、使用する変調方式に従って波形整形変調信号を入力するシリーズレギュレータを選択してもよい。
本発明の第2の局面による極座標変調装置は、電力増幅部と、位相情報を含む第1の変調信号を生成する位相変調部と、振幅情報を含む第2の変調信号を生成する振幅信号制御部と、電源電圧を出力する電圧制御部と、電圧制御部から出力される電源電圧に基づいて第2の変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、電力増幅部に供給する振幅変調電圧供給部とを備え、電力増幅は、第1の変調信号を振幅変調電圧に基づいて増幅することによって、第1の変調信号が振幅変調された第3の変調信号を出力し、電圧制御部は、トランジスタから出力される振幅変調電圧の最大値に基づいて求められる電圧を、電源電圧として振幅変調電圧供給部に供給することを特徴とする。
好ましくは、電圧制御部は、スイッチングレギュレータであり、スイッチングレギュレータには電池から電圧が供給されており、電圧制御部は、振幅変調電圧の最大値にトランジスタの飽和電圧に基づいて決められている一定電圧を加算した電圧よりも大きく、かつ電池から供給される電圧よりも小さい電圧を、電源電圧として振幅変調電圧供給部に供給する。
また、振幅変調電圧供給部から出力される振幅変調電圧の最大値を検出する電圧測定部をさらに備え、電圧制御部に、電圧測定部によって検出された振幅変調電圧の最大値に基づいて求められる電源電圧を、振幅変調電圧供給部に供給させてもよい。
また、電圧制御部は、振幅情報に基づいて振幅変調電圧の最大値を求め、求めた最大値に基づいて求められる電圧を、電源電圧として振幅変調電圧供給部に供給してもよいし、振幅変調電圧の最大値に、トランジスタの飽和電圧に基づいて決められている一定電圧を加算した電圧を、電源電圧として振幅変調電圧供給部に供給してもよい。
また、第2の変調信号の振幅が所定の制限値よりも大きい場合、所定の制限値を超えた部分が所定の制限値以下の振幅となるように、第2の変調信号の波形を整形した波形整形変調信号を生成する波形整形部をさらに備え、振幅変調電圧供給部が、第2の変調信号の代りに、波形整形変調信号をトランジスタによって増幅して、増幅された信号を振幅変調電圧として電力増幅部に供給してもよい。
ここで、電圧制御部は、所定の制限値にトランジスタの飽和電圧に基づいて決められている一定電圧を加算した電圧を、電源電圧として振幅変調電圧供給部に供給することが望ましい。また、波形整形部は、電力増幅部が発生する歪み電力の発生の要因に従って、電力増幅部で発生する隣接チャネル漏洩電力が所定値以下となるように、又は、受信帯域における電力が第2の所定値以下となるように、所定の制限値を調整することが望ましい。また、電圧制御部に、相異なる複数の電源電圧を出力することができる複数の直流電源を含ませ、振幅変調電圧供給部に、複数の直流電源に対応してそれぞれ設けられており、電源電圧に基づいて第2の変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、電力増幅部に供給する複数のシリーズレギュレータを含ませ、第2の変調信号を複数のシリーズレギュレータのいずれか一つに入力するためのスイッチ部をさらに備えさせて、電圧制御部に、使用されるシリーズレギュレータに含まれるトランジスタから出力される振幅変調電圧の最大値に基づいて、使用する直流電源を選択し、直流電源から出力される電圧を電源電圧として、振幅変調電圧供給部に供給させてもよい。この場合、複数の変調方式を用いて信号を出力することができ、スイッチ部は、使用する変調方式に従ってシリーズレギュレータを選択することが望ましい。
本発明の第3の局面による極座標変調装置は、電力増幅部と、位相情報を含む第1の変調信号を生成する位相変調部と、振幅情報を含む第2の変調信号を生成する振幅信号制御部と、電源電圧を出力する電圧制御部と、電圧制御部から出力される電源電圧に基づいて第2の変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、電力増幅部に供給する振幅変調電圧供給部とを備え、電力増幅は、第1の変調信号を振幅変調電圧に基づいて増幅することによって、第1の変調信号が振幅変調された第3の変調信号を出力し、電圧制御部は、トランジスタを定電流領域で動作させるような電源電圧を振幅変調電圧供給部に供給することを特徴とする。
典型的には、トランジスタがバイポーラトランジスタである場合、定電流領域は非飽和領域であり、トランジスタがMOSトランジスタである場合、定電流領域は飽和領域である。
ここで、第2の変調信号の振幅が所定の制限値よりも大きい場合には、所定の制限値を超えた部分が所定の制限値以下の振幅となるように、第2の変調信号の波形を整形した波形整形変調信号を生成する波形整形部をさらに備えて、振幅変調電圧供給部に、第2の変調信号の代りに、波形整形変調信号をトランジスタによって増幅して、増幅された信号を振幅変調電圧として電力増幅部に供給させてもよい。
また、電圧制御部は、所定の制限値にトランジスタの飽和電圧に基づいて決められている一定電圧を加算した電圧を、電源電圧として振幅変調電圧供給部に供給することが好ましい。また、波形整形部は、電力増幅部が発生する歪み電力の要因に従って、電力増幅部で発生するが第1の所定値以下となるように、又は、受信帯域の電力が第2の所定値以下となるように、所定の制限値を調整することが好ましい。
また、電圧制御部に、相異なる複数の電源電圧を出力することができる複数の直流電源を含ませ、振幅変調電圧供給部に、複数の直流電源に対応してそれぞれ設けられており、電源電圧に基づいて第2の変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、電力増幅部に供給する複数のシリーズレギュレータを含ませ、第2の変調信号を複数のシリーズレギュレータのいずれか一つに入力するためのスイッチ部をさらに備えさせて、電圧制御部に、使用されるシリーズレギュレータに含まれるトランジスタから出力される振幅変調電圧の最大値に基づいて、使用する直流電源を選択し、直流電源から出力される電圧を電源電圧として、振幅変調電圧供給部に供給させてもよい。
また、複数の変調方式を用いて信号を出力することができる場合には、スイッチ部は、使用する変調方式に従ってシリーズレギュレータを選択することもできる。
さらに、本発明は、電池を電源とする無線通信機器に向けられている。そして、上記目的を達成させるために、本発明の無線通信機器は、ベースバンド信号を生成及び処理するベースバンド部と、ベースバンド部が生成したベースバンド信号を送信信号に変換する送信部と、受信信号を受信するアンテナ部と、受信信号をベースバンド信号に変換して、ベースバンドをベースバンド部に入力する受信部と、送信信号をアンテナ部に伝送すると共に、受信信号を受信回路に伝送する共用部とを備え、送信部は、ベースバンド信号を送信信号に変換するために、上記第1〜第3の局面のいずれかの極座標変調装置を含むことを特徴とする。
上記本発明の極座標変調装置によれば、電力増幅部から出力される第3の変調信号に含まれる歪み成分を、所定値以下とすることができる。すなわち、極座標変調装置は、第2の変調信号のピーク値を制限することによって、電力増幅部で用いられる増幅素子が広い範囲で線形性を有していなくても、歪み成分が抑制された第3の変調信号を得ることができる。また、本発明の極座標変調装置によれば、無駄な電圧が振幅変調電圧供給部に供給されるのを防止することができ、電力利用の効率を向上させることができる。また、本発明の極座標変調装置によれば、シリーズレギュレータのトランジスタが飽和するのを防止することができ、正確な振幅変調電圧を電力増幅部に供給することができ、かつ正確な変調が可能となる。さらに、本発明の極座標変調装置を送信部に用いることによって、無線通信機器の小型化、低コスト化が図ることができる。
以上のように、本発明によれば、電力利用の高効率化及び/又はダイナミックレンジの拡大を図ることができる極座標変調装置並びにそれを用いた無線通信機器が提供されることとなる。
本発明のこれら及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る極座標変調装置100の機能的構成を示すブロック図である。図1において、極座標変調装置100は、位相変調部101と、電力増幅部102と、振幅信号制御部103と、波形整形部104と、振幅変調電圧供給部105と、電圧制御部106とを備える。
図示しないベースバンド部は、ベースバンド信号を振幅データ(I)と位相データ(Q)とに分解する。たとえば、ベースバンド信号としてQPSK(Quadrature−Phase Shift Keying)信号が用いられる場合、ベースバンド部は、QPSK信号を振幅データと位相データとに分解する。振幅データは、振幅信号制御部103に入力される。位相データは、位相変調部101に入力される。
位相変調部101は、位相データに基づいて、位相情報を含む第1の変調信号Vp(t)を生成して出力し、電力増幅部102に入力する。第1の変調信号Vp(t)は、定包絡の位相変調信号である。
振幅信号制御部103は、振幅データに基づいて、振幅情報を含む第2の変調信号を生成して出力し、波形整形部104に入力する。第2の変調信号は、ベースバンド信号の包絡線成分を表している。
波形整形部104は、第2の変調信号を制限する機能を有している。波形整形部104が設定する制限値をピークリミット値ということにする。ここで、ピークリミット値は、一般にPAPRという指標で規定されるものであり、使用条件に応じて適時調整される。波形整形部104は、振幅信号制御部103から出力された第2の変調信号の振幅が所定のピークリミット値よりも大きい場合、所定のピークリミット値を超えた部分が所定のピークリミット値以下の振幅となるように、第2の変調信号の波形を整形して、波形整形変調信号として出力する。
波形整形部104には、振幅制御信号が入力される。振幅制御信号は、電力増幅部102が発生する歪み電力の変化の要因となる情報を含んでいる。歪み電力の変化の要因として、たとえば、第1の変調信号の電力値の変化、及び第2の変調信号の振幅値の変化がある。また、PAPRを変化させる要因も、歪み成分変化の要因となる。PAPRを変化させる要因として、たとえば、制御チャネル(詳しくは後述)で示されている利得とデータチャネル(詳しくは後述)で示されている利得との組み合わせ、マルチキャリア変調方式において使用するサブキャリアの数、又は使用する変調方式(信号の種類)がある。このように、電力増幅部102における歪み成分変化の要因は、多岐に渡るが、いずれも、極座標変調装置100が内蔵されている無線通信機器内で得ることができる情報である。このような歪み電力の変化の要因となる情報が、振幅制御信号に含まれている。振幅制御信号は、図示しないベースバンド部から波形整形部104に入力される。
波形整形部104は、入力される振幅制御情報に従って、設定されている所定のピークリミット値を調整する。すなわち、波形整形部104は、電力増幅部102における歪み変化の要因に従って、所定のピークリミット値を調整する。ただし、所定のピークリミット値は、どのような値であっても良いわけではない。第2の変調信号をピークリミットする量が大きすぎると、電力増幅部102において、歪み成分(隣接チャネル漏洩電力)が過度に発生してしまい、要求されているスペックをオーバーする可能性がある。従って、波形整形部104は、電力増幅部102で発生する隣接チャネル漏洩電力が第1の所定値(規格値)以下となるように、設定されているピークリミット値を調整する。ピークリミット値調整の具体例については、後述する。
電圧制御部106は、電源電圧を出力して、振幅変調電圧供給部105に電源電圧を供給する。電圧制御部106には、典型的には、図1には図示しない電池から直流電源が供給されているが、本発明は、必ずしも電池を必要とするものではない。好ましくは、電圧制御部106は、スイッチングレギュレータであるとよい。電圧制御部106がスイッチングレギュレータであると、電池から供給される直流電圧を高い効率で電源電圧に変換することができ、極座標変調装置100全体を高効率動作させることができる。
振幅変調電圧供給部105は、電力増幅部102を駆動するためのトランジスタを含む。振幅変調電圧供給部105は、電圧制御部106から入力される電源電圧に基づいて、波形整形部104から入力される波形整形変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧Vm(t)として、電力増幅部102に供給する。
図2は、振幅変調電圧供給部105の回路構成及びその周辺の接続関係を示す図である。図2に示すように、電圧制御部106には、電池107から直流電圧が供給されている。振幅変調電圧供給部105には、電圧制御部106から電源電圧が供給されている。振幅変調電圧供給部105は、トランジスタ1051と、OPアンプ1052と、抵抗1053及び1054とを含む。トランジスタ1051のベースには、OPアンプ1052の出力が接続されている。トランジスタ1051のコレクタには、電圧制御部106からの電源電圧が接続されている。トランジスタ1051のエミッタとOPアンプ1052の一方の入力との間には、抵抗1053が接続されている。OPアンプ1052の一方の入力は、抵抗1054を介して、接地されている。OPアンプ1052の他方の入力には、波形整形部104からの波形整形変調信号が入力される。ただし、振幅変調電圧供給部105は、波形整形変調信号を増幅するのであれば、シリーズレギュレータに限るものではない。また、振幅変調電圧供給部105で用いられるトランジスタは、バイポーラトランジスタに限るものではなく、MOSトランジスタであってもよい。トランジスタ1051によって増幅された波形整形変調信号は、振幅変調電圧Vm(t)として、電力増幅部102に供給される。
電力増幅部102は、位相変調部101から入力される第1の変調信号Vp(t)を、振幅変調電圧供給部105から供給される振幅変調電圧Vm(t)に基づいて増幅する(第1の変調信号Vp(t)と振幅変調電圧Vm(t)とを混合する)ことによって、第1の変調信号Vp(t)が振幅変調された第3の変調信号を出力する。
図3Aは、波形整形部104によってピークリミットが行われなかった場合に電力増幅部102から出力される第3の変調信号の波形を示す図である。図3Bは、波形整形部104によってピークリミットが行われた場合に電力増幅部102から出力される第3の変調信号の波形を示す図である。図3Aに示すように、ピークリミットが行われなかった場合、第3の変調信号の極大値は、時間と共に変動する。従って、極大値の電圧が電力増幅部102において線形性を有しない領域に属することとなってしまった場合、電力増幅部102において歪み成分を抑制することが可能である。なお、極大値の電圧が、電力増幅部102の線形性がある領域に属する場合には、ピークリミットを必ずしも行わなくてもよい。
一方、図3Bに示すように、電力増幅部102において歪み成分が発生しないような所定のピークリミット値で第2の変調信号の振幅を制限した場合、第3の変調信号の最大値は、必ず、電力増幅部102において線形性を有する領域に属することとなる。従って、最大値の電圧が電力増幅部102において線形性を有しない領域に属することがなくなる。結果、ダイナミックレンジが拡大することとなる。
電力増幅部102で発生する歪み電力の量は、様々な要因によって、変化する。この要因を、本明細書では、歪み電力の変化の要因と呼んでいる。歪み電力の変化の要因を具体的に特定することによって、第1の実施形態に係る発明の実施がさらに容易となる。
歪み電力の変化の要因として、第1に、第1の変調信号の電力値がある。たとえば、電力増幅部102の出力電力を変化させるために、第1の変調信号の電力値を変化させる場合がある。第1の変調信号の電力値が大きくなると、電力増幅部102での歪みが発生しやすくなる。歪み電力の発生要因が電力増幅部102の線形性の劣化である場合、波形整形部104は、設定されている所定のピークリミット値を引き下げる。これによって、電力増幅部102で発生する歪み電力を抑制することができる。このように、波形整形部104は、第1の変調信号の電力値に従って所定のピークリミット値を調整するとよい。なお、波形整形部104は、第1の変調信号の電力値を、位相変調部101によって生成された第1の変調信号を検波することによって求めても良いし、図示しないベースバンド部から入力される位相情報に基づいて求めても良い。なお、歪み電力の発生要因が電力増幅部102の線形性の劣化でない場合には、電力増幅部102が出力する歪み電力が規格値を満たすように、第1の変調信号によって適切なPAPRを設定すればよい。
歪み電力の変化の要因として、第2に、第2の変調信号の振幅値がある。たとえば、電力増幅部102の出力電力を変化させるために、第2の変調信号の振幅値を変化させる場合がある。第2の変調信号の振幅値が大きくなると、電力増幅部102での歪み電力が発生しやすくなる。このような場合、波形整形部104は、設定されている所定のピークリミット値を引き下げる。これによって、電力増幅部102で発生する歪み電力を抑制することができる。このように、波形整形部104は、第2の変調信号の振幅値に従って所定の上限値を調整するとよい。なお、波形整形部104は、たとえば、第2の変調信号の振幅値の最大値に基づいて、所定の上限値を調整する。なお、波形整形部104は、第2の変調信号の振幅値を、振幅信号制御部103によって生成された第2の変調信号を検波することによって求めても良いし、図示しないベースバンド部から入力される振幅情報に基づいて求めても良い。なお、歪み電力の発生要因が電力増幅部102の線形性の劣化でない場合には、電力増幅部102が出力する歪み電力が規格値を満たすように、第2の変調信号によって適切なPAPRを設定すればよい。
第3に、PAPRを変化させる要因が歪み電力の変化の要因となる。図4Aは、波形整形部104によってピークリミットを行わなかった場合のPAPRと規格値との関係を示すパワースペクトラムである。図4Aでは、PAPRは、3.5dBであるとしている。図4Bは、波形整形部104によってピークリミットを行った場合のPAPRと規格値との関係を示すパワースペクトラムである。図4Bでは、PAPRは、1.5dBであるとしている。
図4A及び図4Bに示すように、ピークリミットすることによって、所望のチャネルに隣接する隣接チャネルへの漏洩が増加していることが分かる。すなわち、ピークリミットすることによって、PAPRが小さくなると、ACPRが増加することとなる。これによって、図4Bの点線の丸枠で示したように、規格を割り込みかける部分が生じる。このような変調特性の劣化は、ピークリミット(振幅制限)によって、振幅信号の波形が変形することによって引き起こされる。従って、単に、PAPRを小さくすれば良いというものではない。実際には、変調特性の劣化は、電力増幅部102の非線形性等によっても引き起こされる。従って、波形整形部104は、振幅制限以外による変調特性の劣化配分を考慮した上で、適切なPAPRが得られるように、ピークリミット値を設定する必要がある。たとえば、図4A及び4Bに示す例では、電力増幅部102での非線形性も考慮して、規格値に対してマージンを有するように、PAPRが1.5dBよりも大きめの2.0dBとなるように、波形整形部104は、所定のピークリミット値を決定するとよい。
PAPRを変化させる要因が発生した場合、規格値を割らない適切なピークリミット値も変化するので、波形整形部104は、PAPRを変化させる要因に従って、所定のピークリミット値を調整するとよい。
PAPRを変化させる要因として、第1に、使用する変調方式の変化がある。マルチモードの携帯電話のように、複数の変調方式が使用される場合、変調方式に応じて、PAPRは変化する。また、変調方式に応じて、許容されるACPRの規格値も異なる。よって、波形整形部104は、使用する変調方式に従って、所定のピークリミット値を調整するとよい。
図5は、第3の変調信号のスペクトルを示す図である。図5では、規格値が実線で示されている。スペクトルBのようなQPSK信号は、規格内に収まっている。一方、スペクトルAのようなQPSK信号は、規格内に収まっていない。ピークリミット値が適切でないと、スペクトルAのように、規格を割ってしまう場合がある。
従って、波形整形部104は、使用する変調方式に従ってピークリミット値を調整する前提として、使用予定の変調方式に応じた適切なピークリミット値を予め用意しておかなければならない。使用予定の変調方式に応じた適切なピークリミット値が予め用意されているという前提の下、波形整形部104は、使用する変調方式に従って、ピークリミット値を調整する。
電力増幅部102を線形性がない領域で駆動させると、隣接チャネル漏洩電力が増加し、受信帯域における電力も同時に増加する。従って、隣接チャネル漏洩電力が規格値内に収まるようなピークリミット値であったとしても、受信帯域における電力が規格値(第2の所定値)内に収まらないようであれば、ピークリミット値は、受信帯域における電力に基づいて決定されなければならない。すなわち、波形整形部104は、受信帯域における電力が第2の所定値以下となるように、所定のピークリミット値を調整しても良い。
ここで、電力増幅器が発生する隣接チャネル漏洩電力と受信帯域における電力との関係を図4C及び図4Dを用いて説明する。図4A及び図4Bでは、所望のチャネルに隣接した隣接チャネルへの漏洩を説明したが、図4C及び図4Dでは、電力増幅器が発生する受信帯域における電力の影響を説明する。図4Cは、波形整形部104によってピークリミットを行わなかった場合のPAPRと規格値との関係を示すパワースペクトラムである。図4Cでは、PAPRは、3.5dBであるとしている。図4Dは、波形整形部104によりピークリミットを行った場合のPAPRと規格値との関係を示すパワースペクトラムである。図4Dでは、PAPRは3.0dBであるとしている。
図4A及び図4Bでも説明したように、ピークリミットすることによって、PAPRが小さくなるとACPRが増加する。図4C及び図4Dの場合、波形整形部104がPAPRを3.0以上となるようにピークリミット値を設定することにより、隣接チャネル漏洩電力については規格値以下に抑えている。
しかし、ACPRの増加は受信帯域に影響する。図4C、すなわちPAPRを3.5dBに設定した場合には、受信帯域における電力は規格値より小さく抑えることができるが、図4D、ずなわちPAPRを3.0dBに設定した場合には、受信帯域における電力が規格値を超えていることを示している。図4Dの場合のように、受信帯域における電力が規格値を超えると受信特性が劣化してしまう。
ピークリミット値は、隣接チャネル漏洩電力に対する規格値と、受信帯域の電力に対する規格値との、いずれか厳しい方に合わせて設定し、隣接チャネル漏洩電力と受信帯域の電力とを規格値に収めるように調整すればよい。
図6は、変調方式としてHPSK(Hybrid Phase Shift Keying)方式及びEDGE方式を用いた場合のPAPRと変調歪みACPRとの関係を示すグラフである。図6では、HPSK信号の第2の変調信号、及びEDGE信号の第2の変調信号が、波形整形部104によって振幅制限された場合のPAPRとACPRとの関係が示されている。
HPSK方式では、PAPRが1.5dB以下でACPRの規格を割り込む。しかし、EDGE方式では、PAPRが2.5dB以下でACPRの規格を割り込む。従って、使用している変調方式に従ってピークリミット値を調整するに際して、波形整形部104は、使用しているピークリミット値をそれぞれの変調方式に適したピークリミット値に変更してもよいし、全ての変調方式に適したピークリミット値に変更してもよい。すなわち、波形整形部104は、HPSK方式を用いる場合、ACPRが−33dBc以下となるように、すなわち、PAPRが1.5dB以上となるように、ピークリミット値を調整し、EDGE方式を用いる場合、ACPRが−54dBc以下となるように、すなわち、PAPRが2.5dB以上となるように、ピークリミット値を調整するか、又は、HPSK方式及びEDGE方式のいずれを用いる場合でも、ACPRが−54dBc以下となるように、すなわち、PAPRが2.5dB以上となるように、ピークリミット値を調整するとよい。いずれの場合でも、波形整形部104は、使用する変調方式に従ってピークリミット値を調整することとなる。これによって、ダイナミックレンジが拡大することとなる。
PAPRを変化させる要因として、第2に、制御チャネルで使用されている利得とデータチャネルで使用されている利得との組み合わせの変化がある。以下、このような組み合わせをチャネル条件ということにする。HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)信号では、チャネル条件によって振幅信号のPAPRが異なる。詳しくは、チャネルとして、DPCCH(Dedicated Physical Control Channel:個別物理制御チャネル)、DPDCH(Dedicated Physical Data Channel)、及びΔHS−DP
CCHの3つがあり、チャネル条件として、当該3つのチャネルにおける利得の電圧比の組み合わせβd:βc:βhsがある。このチャネル電圧比の組み合わせによって振幅信号のPAPRが異なる。なお、このチャネル電圧比の組み合わせは、携帯電話から出力される変調信号の出力電力によって限定される。
図7は、HSDPA方式において、各チャネルの電圧比βd:βc:βhsを二通りに変化させた場合のPAPRとACPRとの関係を示すグラフである。図7に示すように、HSDPA方式におけるACPRの規格値は、−33dBcであるとする。この場合、携帯電話の出力電力が22dBm以下のときに最も大きなPAPRを示す各チャネルの利得比は、0:1:1である。0:1:1の場合、ACPR規格を割り込むPAPRは、3.1dBである。一方、携帯電話の出力電力が24dBm以下のときに最も大きなPAPRを示す各チャネルの利得比は、15:12:19.2である。15:12:19.2の場合、ACPR規格を割り込むPAPRは、2.5dBである。
このように、HSDPA方式では各チャネルの電圧比の組み合わせによって、変調歪み規格を割り込むPAPRが異なる。つまり、波形整形部104は、各チャネルの電圧比の組み合わせに従って、ピークリミット値を調整して、振幅信号のPAPRを切り替えることによって、電力増幅部102を歪ませることなく、ダイナミックレンジを拡大することができる。
PAPRを変化させる要因として、第3に、OFDM(ortthogonal Frequency Division Multiplexing)等のマルチキャリア変調方式を用いる場合に使用されるサブキャリアの数の変化がある。波形整形部104は、使用されるサブキャリアの数に従ってピークリミット値を調整することによっても、PAPRを変化させることができるので、ダイナミックレンジを拡大することができる。なお、ここでは、サブキャリアの数に従ってピークリミット値が調整されることとしたが、サブキャリアの数だけでなく、サブキャリアに用いられる変調方式によっても、PAPRが変化する。たとえば、伝送品質劣化が大きなサブキャリアでは、誤りが少ない変調方式が用いられ、伝送品質劣化の少ないサブキャリアでは、高速の変調方式が用いられるとよい。すなわち、波形整形部104は、サブキャリアの変調ルールに従って、ピークリミット値を調整するとよい。
図8は、所定のピークリミット値がメモリ部111に記憶されている場合の極座標変調装置100aの機能的構成を示すブロック図である。図8において、図1に示す極座標変調装置100と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。図8において、メモリ部111は、複数のピークリミット値を記憶している。波形整形部112は、振幅制御信号に基づいて、メモリ部111から必要なピークリミット値を読出して、設定されているピークリミット値を調整する。なお、メモリ部111は、波形整形部112と一体であってもよい。なお、波形整形部112は、振幅制御信号に基づいて、所定のピークリミット値を算出するのであれば、メモリ部111は不要である。また、波形整形部112によって算出された所定のピークリミット値をメモリ部111に記憶させておき、同一の条件下では、波形整形部112は、メモリ部111に記憶されているピークリミット値を用いて、波形整形を行っても良い。
考え得るピークリミット値の数が少ない場合、メモリ部111の容量が大きくなくても、メモリ部111は、ピークリミット値を記憶しておくことができる。たとえば、使用する変調方式に従ってピークリミット値を調整する場合、比較的、メモリ部111の容量が小さくても、考え得るピークリミット値をメモリ部111に記憶させておくことができる。しかし、制御チャネルで示されている利得とデータチャネルで示されている利得との組み合わせのように、千通り以上の組み合わせが考え得る場合では、考え得る全てのピークリミット値を記憶させておくためには、メモリ部111の容量が大きくなくてはならなくなり、コスト及びサイズの増大を招くこととなる。そのため、以下のような二つの手法を用いて、メモリ部111のサイズを小型化することができる。
まず、第1に、電力増幅部102からの出力電力に応じて、ピークリミット値を設定する手法が考えられる。波形整形部112は、電力増幅部102からの出力電力を、ベースバンド部(図示せず)からの情報に基づいて認識することができる。波形整形部112は、認識した出力電力が所定の閾値以内であるかを判断する。波形整形部112は、所定の閾値以内であれば、当該閾値となる出力電力に対応する制御チャネルとデータチャネルとの組み合わせにおいて、規格値を割り込まないPAPRを得ることができるピークリミット値を、使用するピークリミット値とすればよい。すなわち、メモリ部111には、電力増幅部102からの出力電力に対応するピークリミット値が段階的に記憶されているとよい。具体的には、段階的に登録された第1〜第nの出力電力に対応するように、ピークリミット値が段階的にメモリ部111に記憶されているとよい。波形整形部112は、電力増幅部102からの出力電力を認識し、認識した出力電力に対応するピークリミット値をメモリ部111から読出して、波形整形を行うとよい。
第1の手法について、図7に示す例を用いて、より具体的に説明する。メモリ部111には、出力電力22dBmに対応するピークリミット値として、PAPRが3.1dBとなるピークリミット値が記憶されている。さらに、メモリ部111には、出力電力24dBmに対応するピークリミット値として、PAPRが2.5dBとなるピークリミット値が記憶されている。波形整形部112は、振幅制御信号から、電力増幅部102からの出力電力を認識する。認識した出力電力が24dBmのときは、波形整形部112は、PAPRとして3.1dBをメモリ部111から読出して、波形整形を行う。一方、認識した出力電力が22dBm以下のときは、波形整形部112は、PAPRとして2.5dBをメモリ部111から読出して、波形整形を行う。このように、電力増幅部102の出力電力に応じて、段階的にピークリミット値をメモリ部111に記憶させておくことによって、メモリ部111の必要な容量を小さくすることができる。結果、コストの削減、サイズの縮小化が期待できる。ただし、各チャネルの電圧比によってはPAPRをさらに小さくできるため、上記のような手法を用いた場合、ダイナミックレンジ拡大の効果は、低減することとなる。従って、使用する電力増幅部102のダイナミックレンジとメモリ容量とを考慮して、メモリ部111に記憶させるべきピークリミット値の数は適切に設計されるべきである。
なお、出力電力に応じてピークリミット値を切り替える手法の長所は、メモリサイズの抑制効果以外にも存在する。同じPAPRの振幅信号であっても、異なる出力電力において電力増幅部102の非線形性が変化する場合は、電力増幅部102から出力される信号の変調特性の劣化度合いが変化する。例えば、電力増幅部102からの出力電力が小さいとき、電力増幅部102の非線形性に起因する変調歪みの劣化が顕著になるような場合においては、ACPRの規格値を割らない範囲で、大きめのPAPRを確保することができるようにピークリミット値を設定しておくとよい。すなわち、出力電力が所定の閾値よりも小さくなる場合、ピークリミット値は、ACPRの規格値以外に変調信号の精度が所定値以上となるように、メモリ部111に記憶されているとよい。たとえば、図7において、出力信号が22dBm以下の場合に、ACPRの規格値−33dBcを確保できるようなPAPR(2.5dB)を得るピークリミット値を設定して変調精度が所定値未満となるようであれば、PAPRが2.5dBよりも大きくなるピークリミット値がメモリ部111に記憶されているとよい。場合によっては、出力電力がある最低閾値以下の場合、ピークリミットしない、すなわち、ピークリミット値無し(無限大)という設定がメモリ部111になされていても良い。このような設定によって、電力増幅部102から出力される変調信号の劣化を抑制することが可能となる。
メモリサイズを小型化するための第二の手法について説明する。第二の手法として、メモリ部111は、HSDPA信号に含まれるDPCCH、DPDCHの電圧比だけの組み合わせに応じて所定のピークリミット値を記憶しておけば、メモリサイズの小型を図ることが可能となる。ただし、第二の手法においても、各チャネルの電圧比によっては、PAPRがもっと小さな値を有する組み合わせが存在する。従って、ダイナミックレンジの拡大効果が低下してしまう。これをできるだけ回避する方法として、例えばDPCCH及びDPDCHの電圧比だけの組み合わせによってのみPAPRを決定するのではなく、DPCCH及びDPDCHの電圧比によっては、ΔHS−DPCCHをパラメータとして、P
APRを保有することができるピークリミット値を記憶しておくこと等が有効である。
なお、メモリサイズを小型化するための手法は、適宜設計することができるので、上記二つの手法に限定されるものではない。
以上、第1の実施形態によれば、波形整形部104は、電力増幅部102が発生する歪み電力の変化の要因に従って、電力増幅部102で発生する隣接チャネル漏洩電力が第1の所定値以下となるように、又は、受信帯域における電力が第2の所定値以下となるように、所定の制限値を調整して、調整された所定の制限値に従って、第2の変調信号の波形を整形して出力する。従って、極座標変調装置100は、電力増幅部102から出力される第3の変調信号に含まれる隣接チャネル漏洩電力を規格値内に抑制したり、受信帯域における電力を規格値内に収めたりすることができる。すなわち、極座標変調装置100は、歪み成分変化の要因が生じたとしても、適切に第2の変調信号のピーク値を制限することによって、電力増幅部102で用いられる増幅素子が広い範囲で線形性を有していなくても、隣接チャネル漏洩電力が抑制された又は受信帯域における電力が維持された第3の変調信号を得ることができる。
第1の変調信号の電力値に応じて、電力増幅部102で発生する歪み成分の量は決定するので、第1の変調信号の電力値に従って、波形整形部104が所定の制限値を調整することによって、電力増幅部102が発生する歪み電力を抑制することができる。
第2の変調信号の振幅値に応じて、電力増幅部102で発生する歪み電力の量は決定するので、第2の変調信号の振幅値に従って、波形整形部104が所定の制限値を調整することによって、電力増幅部102で発生する歪み電力を抑制することができる。
PAPRが変化することによって、隣接チャネルへの歪み成分の漏洩量が変化する。たとえば、PAPRが変化することによって、隣接チャネル漏洩電力比(ACPR)が変化する。従って、隣接チャネル漏洩電力の量の指標として、ACPRを用いることができる。波形整形部104は、PAPRが変化する要因に従って所定の制限値を調整することによって、ACPRを所定値以下とすることができる。これにより、電力増幅部102から出力される第3の変調成分に含まれる隣接チャネル漏洩電力が所定値以下となる。すなわち、極座標変調装置100は、第2の変調信号のピーク値を制限することによって、電力増幅部で用いられる増幅素子が広い範囲で線形性を有していなくても、歪み成分が抑制された第3の変調信号を得ることができる。
制御チャネルで示されている利得とデータチャネルで示されている利得との組み合わせに応じて、PAPRは、変化する。従って、波形整形部104が、制御チャネルで示されている利得とデータチャネルで示されている利得との組み合わせに従って、所定の制限値を調整することによって、第3の変調信号に含まれる隣接チャネル漏洩電力を所定値以下とすることができる。
マルチキャリア変調方式を用いる場合、使用するサブキャリアの変調ルールに応じて、PAPRが変化する。従って、波形整形部104が、使用するサブキャリアの数に従って、所定の制限値を調整することによって、第3の変調信号に含まれる歪み成分を所定値以下とすることができる。
複数の変調方式を用いる場合、使用する変調方式に応じて、PAPRが変化する。従って、波形整形部104が、使用する変調方式に従って、所定の制限値を調整することによって、第3の変調信号に含まれる隣接チャネル漏洩電力を所定値以下とすることができる。なお、HSDPA、HPSKは、3GPPの規格に基づくものである。
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態に係る極座標変調装置200の機能的構成を示すブロック図である。図9において、第1の実施形態に係る極座標変調装置100と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略することとする。極座標変調装置200は、位相変調部101と、電力増幅部102と、振幅信号制御部103と、波形整形部204と、振幅変調電圧供給部205と、電圧制御部206と、スイッチ部207とを備える。
電圧制御部206は、相異なる複数の電源電圧を出力することができる第1〜第3の直流電源206a,206b,206cを含む。
振幅変調電圧供給部205は、第1〜第3の直流電源206a,206b,206cに対応してそれぞれ設けられた第1〜第3のシリーズレギュレータ205a,205b,205cを含む。第1〜第3のシリーズレギュレータ205a,205b,205cは、それぞれ、第1〜第3の直流電源206a,206b,206cから供給される電源電圧に基づいて、波形整形変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧Vm(t)として、電力増幅部102に供給する。第1〜第3のシリーズレギュレータ205a,205b,205cの回路例については、図2を援用する。なお、ここでは、3つの直流電源及びシリーズレギュレータを例示したが、数は、3つに限られない。
スイッチ部207は、波形整形部204によって生成された波形整形変調信号をいずれか一つのシリーズレギュレータに入力する。スイッチ部207は、直流電源から高効率を実現することができる電源電圧が入力されているシリーズレギュレータに対して、波形整形信号を入力するように動作する。具体的には、たとえば、スイッチ部207は、波形整形変調信号のピークリミット値を認識して、当該ピークリミット値に最も近い電源電圧を供給している直流電源に対応するシリーズレギュレータに対して、波形整形変調信号を入力するとよい。これにより、電力利用の効率が向上する。
例えば、最大電圧が2.9V、最低電圧が0.5Vのピークリミットされた振幅変調で夏Vm(t)を出力するための波形整形変調信号がスイッチ部207に入力された場合を想定する。スイッチ部207は、振幅変調信号Vm(t)が2.0V以上から2.9V未満の時間では第1のシリーズレギュレータ205aを選択し、振幅変調信号Vm(t)が1.0V以上から1.9V未満の時間では第2のシリーズレギュレータ205bを選択し、振幅変調信号Vm(t)が0.5V以上から1.0V未満の時間では第3のシリーズレギュレータ205cを選択するとよい。
以上のように、第2の実施形態によれば、複数のシリーズレギュレータとピークリミッタとを組み合わせ、効率を向上させることができる適切なシリーズレギュレータを選択することによって、一つのシリーズレギュレータだけで駆動する場合より、シリーズレギュレータでの損失を低減させることができ、高い効率を実現することが可能となる。
また、極座標変調装置200が複数の変調方式を用いて信号を出力することができる場合を考える。使用する変調方式は、電力増幅部が発生する歪み電力の変化の要因となるので、波形整形部204は、振幅制御信号に基づいて、使用する変調方式を認識し、使用する変調方式に従って、ピークリミット値を調整する。スイッチ部207には、使用する変調方式に関する変調方式情報が入力されているとする。スイッチ部207は、使用する変調方式に従って、波形整形変調信号を入力するシリーズレギュレータを選択する。変調方式が異なれば、ピークリミット値が異なることとなるので、スイッチ部207によって、適切な電源電圧及びシリーズレギュレータが用いられるように切り替えが行われれば、電力利用の効率がさらに向上することとなる。
(第3の実施形態)
図10は、本発明の第3の実施形態に係る極座標変調装置300の機能的構成を示すブロック図である。図10において、第1の実施形態に係る極座標変調装置100と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。極座標変調装置300は、位相変調部101と、電力増幅部102と、振幅信号制御部303と、振幅変調電圧供給部305と、電圧制御部306とを備える。
振幅信号制御部303は、第2の変調信号を電圧制御部306及び振幅変調電圧供給部305に入力する以外は、第1の実施形態における振幅信号制御部103と同様の機能を有する。
振幅変調電圧供給部305は、トランジスタを含む。振幅変調電圧供給部305は、電圧制御部306から入力される電源電圧に基づいて、振幅信号制御部303から入力される第2の波形整形変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧Vm(t)として、電力増幅部102に供給する。
電圧制御部306は、振幅信号制御部303から入力される第2の変調信号に基づいて、振幅変調電圧供給部305のトランジスタから出力される振幅変調電圧の最大値を認識し、当該最大値に基づいて求められる電圧を電源電圧Vdcとして、振幅変調電圧供給部305に入力する。最大値に基づいて求められる電源電圧Vdcについては、後で詳述する。
図11は、振幅変調電圧供給部305の回路構成及びその周辺の接続関係を示す図である。電圧制御部306は、スイッチングレギュレータである。電圧制御部306には、電池307から直流電圧が供給されている。振幅変調電圧供給部305には、電圧制御部306から電源電圧が供給されている。振幅変調電圧供給部305の回路構成は、図2に示す振幅変調電圧供給部105と同様である。ただし、OPアンプ1052には、振幅信号制御部303からの第2の変調信号が入力される。このように、振幅変調電圧供給部305は、シリーズレギュレータとして構成されるのが好ましい。ただし、振幅変調電圧供給部305は、第2の変調信号を増幅するのであれば、シリーズレギュレータに限るものではない。また、振幅変調電圧供給部305で用いられるトランジスタは、バイポーラトランジスタに限るものではなく、MOSトランジスタであってもよい。トランジスタ1051によって増幅された波形整形変調信号は、振幅変調電圧Vm(t)として、電力増幅部102に供給される。
図11に示すように、振幅変調電圧供給部305に含まれるトランジスタ1051には、コレクタ・エミッタ間に飽和電圧(たとえば、0.1V)が存在する。従って、トランジスタ1051のコレクタには、振幅変調電圧Vm(t)の最大値に0.1V以上の電圧を積算した電圧が、電源電圧Vdcとして印加されなければ、トランジスタ1051が飽和して動作しなくなる。従って、好ましくは、電圧制御部306は、第2の変調信号から、振幅変調電圧Vm(t)の最大値を推測し、当該最大値にトランジスタ1051の飽和電圧に基づいて決められている一定電圧(たとえば、0.1V)を加算した電圧を、電源電圧Vdcとして、振幅変調電圧供給部305に供給するとよい。
振幅変調電圧Vm(t)の最大値の求め方は、図10に示すような例に限られるものではない。図12は、電圧測定部308を用いて、振幅変調電圧Vm(t)の最大値を求める場合の極座標変調装置300aの機能的構成を示すブロック図である。図12において、振幅信号制御部303aは、第2の変調信号を電圧制御部306aに入力しない。その代り、電圧測定部308は、振幅変調電圧供給部305から出力される振幅変調電圧Vm(t)の最大値を検出して、検出した最大値を電圧制御部306aに入力する。電圧制御部306aは、電圧測定部308によって検出された振幅変調電圧Vm(t)の最大値に基づいて、電源電圧Vdcを求め、振幅変調電圧供給部305に供給する。このとき、電圧制御部306aは、当該最大値にトランジスタ1051の飽和電圧に基づいて決められている一定電圧(たとえば、0.1V)を加算した電圧を、電源電圧Vdcとして、振幅変調電圧供給部305に供給するとよい。
また、図10に示す電圧制御部306は、第2の変調信号から振幅変調電圧Vm(t)の最大値を求めるのではなく、図示しないベースバンド部から入力される振幅情報に基づいて、当該最大値を求め、電源電圧Vdcを求めても良い。
上記では、電圧制御部306,306aは、振幅変調電圧Vm(t)の最大値に、飽和電圧から求められる一定値を加算して、電源電圧Vdcを求めることとしたが、電源電圧Vdcの値は、これに限られるものではない。
図13は、電源電圧Vdcの範囲を説明するための図である。図13において、Vmaxは、振幅変調電圧Vm(t)の最大値を示す。Voptは、Vmaxに一定電圧を積算したときの電源電圧を示す。Voptが、上記図10及び図12で用いられた電源電圧Vdcに相当する。Voptを電源電圧に用いれば、振幅変調電圧供給部305に含まれるトランジスタ1051を飽和させることなく、かつ最も電力利用の効率を高くすることができる。しかし、トランジスタ1051を飽和させないという目的を達成しつつ、効率を高めることができるのであれば、電源電圧Vdcの値は、Voptに限定されない。つまり、電圧制御部306は、振幅変調電圧の最大値Vmaxにトランジスタ1051の飽和電圧に基づいて決められている一定電圧を加算した電圧Voptよりも大きく、かつ電池307から供給される電池電圧よりも小さい電圧を、電源電圧Vdcとして振幅変調電圧供給部305に供給すればよい。この場合、電源電圧VdcがVoptに近づく程、電力利用の効率が向上することとなる。
図13に示すように、Voptよりも大きな電源電圧Vdcが振幅変調電圧供給部305に印加されれば、動作効率は低下する場合がある。従って、電圧制御部306,306aは、Voptを振幅変調電圧供給部305に印加するのが理想的である。しかし、電力増幅部102からの出力電力を制御する、すなわち、パワーコントロールする際に、振幅変調電圧Vm(t)の最大値も変化するので、電圧制御部306は、当該最大値に基づいて、Voptを変化させるとよい。また、電圧制御部306は、振幅変調電圧Vm(t)の最大値の変化幅を予め認識しておいて、当該変化幅の最大値に基づいて、電源電圧Vdcを求めても良い。この場合、瞬間的には、電源電圧VdcはVoptよりも大きい値になる可能性があるが、電圧制御部306は、電源電圧Vdcを変化させなくてもよくなる。
なお、上記のように、電圧制御部306が電源電圧Vdcの値を決定することは、言い換えれば、以下のようになる。すなわち、電圧制御部306は、振幅変調電圧供給部305に含まれるトランジスタ1051が定電流領域で動作するような電源電圧Vdcを振幅変調電圧供給部305に供給していると言える。ここで定電流領域とは、トランジスタのコレクタ・エミッタ間(ドレイン・ソース間)電圧とコレクタ(ドレイン)電流との関係において、コレクタ(ドレイン)電流が一定範囲の電流値になる領域のことをいう。トランジスタがバイポーラトランジスタである場合、一般に、非飽和領域が定電流領域といえる。トランジスタがMOSトランジスタである場合、一般に、飽和領域が定電流領域といえる。
以上のように、第3の実施形態によれば、極座標変調装置300,300aは、振幅変調電圧の最大値に基づいて電源電圧Vdcを適切な値に制御することができるので、無駄な電圧が振幅変調電圧供給部305に供給されるのを防止することができる。結果、電力利用の効率を向上させることができる。また、振幅変調電圧供給部305に供給される電源電圧Vdcを適切な値にすれば、振幅変調電圧供給部305内のトランジスタが飽和するのを防止することができ、結果、トランジスタが飽和することによって発生する歪みを防止することができる。
また、電圧測定部308を用いて、振幅変調電圧Vm(t)の最大値を検出することによって、電源電圧Vdcをより高精度に制御することができるので、電力利用の効率をより向上させることができる。
(第4の実施形態)
図14は、本発明の第4の実施形態に係る極座標変調装置400の機能的構成を示すブロック図である。図14において、図10に示す極座標変調装置300と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図14において、極座標変調装置400は、位相変調部101と、電力増幅部102と、振幅信号制御部303と、波形整形部104aと、振幅変調電圧供給部305aと、電圧制御部306bとを備える。図14において、図1及び図10に示す機能部と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。極座標変調装置400において、図1に示す極座標変調装置100と異なる点は、波形整形部104aから電圧制御部306bに対して、波形整形変調信号が入力されている点である。
電圧制御部306bは、波形整形変調信号に基づいて、振幅変調電圧Vm(t)の最大値を認識し、当該最大値に基づいて求められる電圧を、電源電圧Vdcとして、振幅変調電圧供給部305aに供給する。電源電圧Vdcの求め方として、第3の実施形態で示したあらゆる方法が適用可能である。なお、波形整形変調信号は、第2の変調信号をピークリミットした信号であるので、振幅変調電圧供給部305aは、第2の変調信号を増幅して、振幅変調電圧Vm(t)を出力していると言える。
波形整形部104aは、第1の実施形態と同様、第2の変調信号の振幅が所定のピークリミット値よりも大きい場合、所定のピークリミット値を超えた部分が所定のピークリミット値以下となるように、第2の変調信号の波形を整形した波形整形変調信号を生成する。第4の実施形態では、電圧制御部306aによって電源電圧Vdcが制御されて高効率化が図られているので、第1の実施形態と異なり、波形整形部104aは、振幅制御信号に基づいて所定のピークリミット値を変更しなくても、高効率化という効果は実現される。
また、波形整形部104aは、第1の実施形態と同様、振幅制御信号によって得られる電力増幅部が発生する歪み電力の変化の要因に従って、電力増幅部で発生する隣接チャネル漏洩電力が第1の所定値以下となるように、及び/又は、受信帯域における電力が第2の所定値以上となるように、ピークリミット値を調整してもよい。これによって、ダイナミックレンジが拡大する。
なお、図12に示すように、電圧測定部308が極座標変調装置400内に設けられていて、電圧制御部306bが電圧測定部308によって検出された最大値に基づいて、電源電圧Vdcを決定してもよい。また、図示しないベースバンド部からの振幅情報に基づいて、電圧制御部306bは、振幅変調電圧Vm(t)の最大値を求め、電源電圧Vdcを決定してもよい。
図15A及び図15Bは、電圧制御部306bでの制御を説明するための図である。図15Aに示すように、好ましくは、電圧制御部306bは、振幅変調電圧Vm(t)の最大値Vmax(ピークリミット値)に対して、振幅変調電圧供給部305aに含まれるトランジスタの飽和電圧に相当する一定電圧を加えた電圧Voptを電源電圧Vdcとして、振幅変調電圧供給部305aに供給するとよい。なお、電源電圧Vdcは、電池電圧未満で、電圧Voptよりも大きい値であってもよい。図15Bに示すように、波形整形部104aによって、ピークリミット値(最大値Vmax)が変更されたら、電圧制御部306bは、電源電圧として最適な電圧Voptも変更するとよい。
図16Aは、PAPRが2.5dBの場合のHPSK信号における振幅変調電圧Vm(t)及び電源電圧Vdcを示す図である。図16Bは、PAPRが1.5dBの場合のHPSK信号における振幅変調電圧Vm(t)及び電源電圧Vdcを示す図である。図16A及び図16Bを比較すると分かるように、PAPRが2.5dBのときの最適な電源電圧Vopt1とPAPRが1.5dBのときの最適な電源電圧Vopt2とでは、図16Bの斜線で示す部分の差がある。すなわち、PAPRが1.5dBのときに、電源電圧Vopt1を用いたのでは、斜線で示す部分の電力が無駄になってしまう。従って、電圧制御部306bから出力される電源電圧Vdcは、一定値ではなく、振幅変調電圧Vm(t)の最大値に基づいて、変化する値であれば、無駄な電力消費を低減することができる。
以上のように、第4の実施形態によれば、第2の変調信号の振幅が所定のピークリミット値よりも大きい場合、第2の変調信号のピーク部分がカットされることとなる。従って、トランジスタから出力される振幅変調電圧の最大値が低くなる。電圧制御部306bは振幅変調電圧の最大値に基づいて電源電圧を決定するので、カットされたピーク部分の電圧と電源電圧との差を最小限にすることができる。よって、電力利用の効率が向上することとなる。
また、ピークリミット値を波形整形部104aが調整することによって、ダイナミックレンジを拡大することができる。
(第5の実施形態)
図17は、本発明の第5の実施形態に係る極座標変調装置500の機能的構成を示すブロック図である。図17において、極座標変調装置500は、位相変調部101と、電力増幅部102と、振幅信号制御部303と、スイッチ部204aと、振幅変調電圧供給部505と、電圧制御部506とを備える。図17において、第1〜第3の実施形態と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。振幅変調電圧供給部505は、第1〜第3のシリーズレギュレータ505a,505b,505cを含む。電圧制御部506は、相異なる複数の電源電圧を出力することができる第1〜第3の直流電源506a,506b,506cを含む。シリーズレギュレータ及び直流電源の数は、図17に示した数に限定されない。
スイッチ部204aは、振幅信号制御部303から出力された第2の変調信号をシリーズレギュレータのいずれか一つに入力する。
第1〜第3のシリーズレギュレータ505a〜505cは、それぞれ、第1〜第3の直流電源506a〜506cに対応して設けられており、各直流電源から供給される電源電圧Vdcに基づいて、第2の変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧Vm(t)として電力増幅部102に供給する。
電圧制御部506は、振幅信号制御部303から入力される第2の変調信号(又は、図示しない電圧測定部の検出結果や図示しないベースバンド部からの振幅情報)に基づいて、振幅変調電圧Vm(t)の最大値に一定電圧を加算した電圧以上の電圧を出力することができる直流電源を選択する。すなわち、電圧制御部506は、振幅変調電圧Vm(t)の最大値に基づいて、使用する直流電源を選択する。電圧制御部506は、選択された直流電源から出力される電圧を電源電圧Vdcとして、振幅変調電圧供給部505における対応するシリーズレギュレータに供給する。これにより、振幅変調電圧Vm(t)の最大値に基づいて制御された電源電圧を、使用するシリーズレギュレータに供給することができるので、無駄な電力が消費されないようにすることができる。
以上のように、第5の実施形態によれば、電圧制御部506は、振幅変調電圧の最大値に基づいて制御された電源電圧を、使用するシリーズレギュレータに供給することとなる。従って、極座標変調装置500は、無駄な電力が消費されないように、直流電源及びシリーズレギュレータを選択することができる。よって、電力利用の効率をより向上させることができる。
なお、極座標変調装置500が複数の変調方式を用いて信号を出力することができる場合、スイッチ部204aは、使用する変調方式に従って、直流電源及びシリーズレギュレータを選択するとよい。変調方式が異なれば、振幅変調電圧Vm(t)の最大値も異なる。従って、極座標変調装置は、変調方式に従って、直流電源及びシリーズレギュレータを選択することによって、効率をより向上させることができる。
(第6の実施形態)
図18は、本発明の第6の実施形態に係る極座標変調装置600の機能的構成を示すブロック図である。図18において、第5の実施形態と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。図18において、極座標変調装置600は、位相変調部101と、電力増幅部102と、振幅信号制御部303と、波形整形部601と、スイッチ部602と、振幅変調電圧供給部605と、電圧制御部606とを備える。振幅変調電圧供給部605は、第1〜第3のシリーズレギュレータ605a,605b,605cを含む。電圧制御部606は、相異なる複数の電源電圧を出力することができる第1〜第3の直流電源606a,606b,606cを含む。シリーズレギュレータ及び直流電源の数は、図18に示した数に限定されない。
第1〜第3のシリーズレギュレータ605a〜605cは、それぞれ、第1〜第3の直流電源506a〜506cに対応して設けられており、各直流電源から供給される電源電圧Vdcに基づいて、第2の変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧Vm(t)として電力増幅部102に供給する。
電圧制御部606は、波形整形部601から入力される波形整形変調信号(又は、図示しない電圧測定部の検出結果)に基づいて、振幅変調電圧Vm(t)の最大値に一定電圧を加算した電圧以上の電圧を出力することができる直流電源を選択する。すなわち、電圧制御部506は、振幅変調電圧Vm(t)の最大値に基づいて、使用する直流電源を選択する。電圧制御部606は、選択された直流電源から出力される電圧を電源電圧Vdcとして、振幅変調電圧供給部605における対応するシリーズレギュレータに供給する。
以上のように、第6の実施形態によれば、振幅変調電圧Vm(t)の最大値に基づいて制御された電源電圧を、使用するシリーズレギュレータに供給することができるので、無駄な電力が消費されないようにすることができる。
なお、極座標変調装置600が複数の変調方式を用いて信号を出力することができる場合、スイッチ部602は、使用する変調方式に従って、直流電源及びシリーズレギュレータを選択するとよい。変調方式が異なれば、振幅変調電圧Vm(t)の最大値も異なる。従って、極座標変調装置は、変調方式に従って、直流電源及びシリーズレギュレータを選択することによって、効率を向上させることができる。
なお、上記第1〜第6の実施形態で示した発明は、様々に組み合わせることができ、組み合わせは上記に示した例に限られるものではない。
(第7の実施形態)
図19は、本発明の第7の実施形態に係る無線通信機器700の機能的構成を示すブロック図である。図19において、無線通信機器700は、ベースバンド部701と、送信部702と、受信部703と、共用部704と、アンテナ部705とを備える。
ベースバンド部701は、ベースバンド信号を生成及び処理する。
送信部702は、ベースバンド部が生成したベースバンド信号を送信信号に変化する。送信部702には、第1〜第6の実施形態で説明した極座標変調装置が含まれている。当該極座標変調装置の位相変調部は、当該ベースバンド信号から、位相情報を含む第1の変調信号を生成する。当該極座標変調装置の振幅信号制御部は、当該ベースバンド信号から、振幅情報を含む第2の変調信号を生成する。当該極座標変調装置の電力増幅部によって生成された第3の変調信号が送信信号となる。
共用部704は、送信部702によって生成された送信信号をアンテナ部705に伝送すると共に、アンテナ部705によって受信された受信信号を受信部703に伝送する。
受信部703は、受信信号をベースバンド信号に変換して、当該ベースバンド信号をベースバンド部に入力する。
これによって、ダイナミックレンジが拡大した無線通信機器及び/又は高効率の無線通信機器が提供されることとなり、限られた電池容量で長時間の通話が可能となる。
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
本発明にかかる極座標変調装置によれば、ダイナミックレンジの拡大及び/又は高効率動作の送信回路を容易に実現することが可能であり、無線通信機器等の長時間通話、小型化、低コスト化等に有用である。
本発明の第1の実施形態に係る極座標変調装置100の機能的構成を示すブロック図 振幅変調電圧供給部105の回路構成及びその周辺の接続関係を示す図 波形整形部104によってピークリミットが行われなかった場合に電力増幅部102から出力される第3の変調信号の波形を示す図 波形整形部104によってピークリミットが行われた場合に電力増幅部102から出力される第3の変調信号の波形を示す図 波形整形部104によってピークリミットを行わなかった場合のPAPRと規格値との関係を示すパワースペクトラム 波形整形部104によってピークリミットを行った場合のPAPRと規格値との関係を示すパワースペクトラム 波形整形部104によってピークリミットを行わなかった場合のPAPRと規格値との関係を示すパワースペクトラム 波形整形部104によりピークリミットを行った場合のPAPRと規格値との関係を示すパワースペクトラム 第3の変調信号のスペクトルを示す図 変調方式としてHPSK(Hybrid Phase Shift Keying)方式及びEDGE方式を用いた場合のPAPRと変調歪みACPRとの関係を示すグラフ HSDPA方式において、各チャネルの電圧比βd:βc:βhsを二通りに変化させた場合のPAPRとACPRとの関係を示すグラフ 所定のピークリミット値がメモリ部111に記憶されている場合の極座標変調装置100aの機能的構成を示すブロック図 本発明の第2の実施形態に係る極座標変調装置200の機能的構成を示すブロック図 本発明の第3の実施形態に係る極座標変調装置300の機能的構成を示すブロック図 振幅変調電圧供給部305の回路構成及びその周辺の接続関係を示す図 電圧測定部308を用いて、振幅変調電圧Vm(t)の最大値を求める場合の極座標変調装置300aの機能的構成を示すブロック図 電源電圧Vdcの範囲を説明するための図 本発明の第4の実施形態に係る極座標変調装置400の機能的構成を示すブロック図 電圧制御部306bでの制御を説明するための図 電圧制御部306bでの制御を説明するための図 PAPRが2.5dBの場合のHPSK信号における振幅変調電圧Vm(t)及び電源電圧Vdcを示す図 PAPRが1.5dBの場合のHPSK信号における振幅変調電圧Vm(t)及び電源電圧Vdcを示す図 本発明の第5の実施形態に係る極座標変調装置500の機能的構成を示すブロック図 本発明の第6の実施形態に係る極座標変調装置600の機能的構成を示すブロック図 本発明の第7の実施形態に係る無線通信機器700の機能的構成を示すブロック図 特許文献1に記載されている極座標変調装置における振幅制御部900の構成を示すブロック図 特許文献2に記載されている極座標変調装置923の構成を示すブロック図 IS95方式を用いる携帯電話の出力における隣接チャネル漏洩電力ACPR(Adjacent Channel Power Ratio)と振幅信号のPAPRとの関係を示すグラフ 特許文献3に記載の極座標変調装置922の構成を示すブロック図

Claims (19)

  1. 極座標変調装置であって、
    電力増幅部と、
    位相情報を含む第1の変調信号を生成する位相変調部と、
    振幅情報を含む第2の変調信号を生成する振幅信号制御部と、
    前記第2の変調信号の振幅が所定の制限値よりも大きい場合、前記所定の制限値を超えた部分が前記所定の制限値以下の振幅となるように、前記第2の変調信号の波形を整形した波形整形変調信号を生成する波形整形部と、
    電源電圧を出力する電圧制御部と、
    前記電圧制御部から出力される前記電源電圧に基づいて前記波形整形変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、前記電力増幅部に供給する振幅変調電圧供給部とを備え、
    前記電力増幅部は、前記第1の変調信号を前記振幅変調電圧に基づいて増幅することによって、前記第1の変調信号が振幅変調された第3の変調信号を出力し、
    前記波形整形部は、前記電力増幅部が発生する歪み電力の変化の要因に従って、前記電力増幅部で発生する隣接チャネル漏洩電力が第1の所定値以下となるように、又は、受信帯域における電力が第2の所定値以下となるように、前記所定の制限値を調整することを特徴とする、極座標変調装置。
  2. 前記第1の変調信号の電力値が、前記電力増幅部が発生する歪み電力の変化の要因となり、
    前記波形整形部は、前記第1の変調信号の電力値に従って前記所定の制限値を調整することを特徴とする、請求項1に記載の極座標変調装置。
  3. 前記第2の変調信号の振幅値が、前記電力増幅部が発生する歪み電力の変化の要因となり、
    前記波形整形部は、前記第2の変調信号の振幅値に従って前記所定の制限値を調整することを特徴とする、請求項1に記載の極座標変調装置。
  4. 前記極座標変調装置は、複数の変調方式を用いて、信号を出力することができ、
    使用する変調方式は、前記ピーク対平均電力比(PAPR:Peak to Average Power Ratio)を変化させる要因となり、
    前記波形整形部は、使用する変調方式に従って、前記所定の制限値を調整することを特徴とする、請求項1に記載の極座標変調装置。
  5. 前記波形整形部で設定される前記所定の制限値を記憶するメモリ部をさらに備え、
    前記波形整形部は、前記メモリ部から前記所定の制限値を読出して、前記所定の制限値を調整することを特徴とする、請求項1に記載の極座標変調装置。
  6. 前記メモリ部には、前記電力増幅部からの出力電力に応じて、制限値が段階的に記憶されていることを特徴とする、請求項に記載の極座標変調装置。
  7. 前記電圧制御部は、相異なる複数の電源電圧を出力することができる複数の直流電源を含み、
    前記振幅変調電圧供給部は、前記複数の直流電源に対応してそれぞれ設けられており、前記電源電圧に基づいて前記波形整形変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、前記電力増幅部に供給する複数のシリーズレギュレータを含み、
    前記極座標変調装置は、前記波形整形部によって生成された前記波形整形変調信号を前記複数のシリーズレギュレータのいずれか一つに入力するためのスイッチ部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の極座標変調装置。
  8. 前記極座標変調装置は、複数の変調方式を用いて、信号を出力することができ、
    使用する変調方式は、前記電力増幅部が発生する歪み電力の変化の要因となり、
    前記波形整形部は、使用する変調方式に従って、前記所定の制限値を調整し、
    前記スイッチ部は、使用する変調方式に従って、前記波形整形変調信号を入力するシリーズレギュレータを選択することを特徴とする、請求項に記載の極座標変調装置。
  9. 電力増幅部と、
    位相情報を含む第1の変調信号を生成する位相変調部と、
    振幅情報を含む第2の変調信号を生成する振幅信号制御部と、
    前記第2の変調信号の振幅が所定の制限値よりも大きい場合、前記所定の制限値を超えた部分が前記所定の制限値以下の振幅となるように、前記第2の変調信号の波形を整形した波形整形変調信号を生成する波形整形部
    電源電圧を出力する電圧制御部と、
    前記電圧制御部から出力される前記電源電圧に基づいて前記波形整形変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、前記電力増幅部に供給する振幅変調電圧供給部とを備え、
    前記電力増幅部は、前記第1の変調信号を前記振幅変調電圧に基づいて増幅することによって、前記第1の変調信号が振幅変調された第3の変調信号を出力し、
    前記電圧制御部は、前記トランジスタから出力される前記振幅変調電圧の最大値に基づいて求められる電圧を、前記電源電圧として、前記振幅変調電圧供給部に供給することを特徴とする、極座標変調装置。
  10. 前記電圧制御部は、前記所定の制限値に前記トランジスタの飽和電圧に基づいて決められている一定電圧を加算した電圧を、前記電源電圧として、前記振幅変調電圧供給部に供給することを特徴とする、請求項に記載の極座標変調装置。
  11. 前記波形整形部は、前記電力増幅部が発生する歪み電力の発生の要因に従って、前記電力増幅部で発生する隣接チャネル漏洩電力が所定値以下となるように、又は、受信帯域における電力が第2の所定値以下となるように、前記所定の制限値を調整することを特徴とする、請求項に記載の極座標変調装置。
  12. 電力増幅部と、
    位相情報を含む第1の変調信号を生成する位相変調部と、
    振幅情報を含む第2の変調信号を生成する振幅信号制御部と、
    電源電圧を出力する電圧制御部と、
    前記電圧制御部から出力される前記電源電圧に基づいて前記第2の変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、前記電力増幅部に供給する振幅変調電圧供給部とを備えた、極座標変調装置であって、
    前記電力増幅部は、前記第1の変調信号を前記振幅変調電圧に基づいて増幅することによって、前記第1の変調信号が振幅変調された第3の変調信号を出力し、
    前記電圧制御部は、相異なる複数の電源電圧を出力することができる複数の直流電源を含み、前記トランジスタから出力される前記振幅変調電圧の最大値に基づいて求められる電圧を、前記電源電圧として、前記振幅変調電圧供給部に供給し、
    前記振幅変調電圧供給部は、前記複数の直流電源に対応してそれぞれ設けられており、前記電源電圧に基づいて前記第2の変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、前記電力増幅部に供給する複数のシリーズレギュレータを含み、
    前記極座標変調装置は、前記第2の変調信号を前記複数のシリーズレギュレータのいずれか一つに入力するためのスイッチ部をさらに備え、
    前記電圧制御部は、使用されるシリーズレギュレータに含まれるトランジスタから出力される前記振幅変調電圧の最大値に基づいて、使用する直流電源を選択し、当該直流電源から出力される電圧を前記電源電圧として、前記振幅変調電圧供給部に供給し、
    前記極座標変調装置は、複数の変調方式を用いて、信号を出力することができ、
    前記スイッチ部は、使用する変調方式に従って、前記シリーズレギュレータを選択することを特徴とする、極座標変調装置。
  13. 電力増幅部と、
    位相情報を含む第1の変調信号を生成する位相変調部と、
    振幅情報を含む第2の変調信号を生成する振幅信号制御部と、
    前記第2の変調信号の振幅が所定の制限値よりも大きい場合、前記所定の制限値を超えた部分が前記所定の制限値以下の振幅となるように、前記第2の変調信号の波形を整形した波形整形変調信号を生成する波形整形部
    電源電圧を出力する電圧制御部と、
    前記電圧制御部から出力される前記電源電圧に基づいて前記波形整形変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、前記電力増幅部に供給する振幅変調電圧供給部とを備え、
    前記電力増幅部は、前記第1の変調信号を前記振幅変調電圧に基づいて増幅することによって、前記第1の変調信号が振幅変調された第3の変調信号を出力し、
    前記電圧制御部は、前記トランジスタを定電流領域で動作させるような前記電源電圧を前記振幅変調電圧供給部に供給することを特徴とする、極座標変調装置。
  14. 前記電圧制御部は、前記所定の制限値に前記トランジスタの飽和電圧に基づいて決められている一定電圧を加算した電圧を、前記電源電圧として、前記振幅変調電圧供給部に供給することを特徴とする、請求項13に記載の極座標変調装置。
  15. 前記波形整形部は、前記電力増幅部が発生する歪み電力の要因に従って、前記電力増幅部で発生するが第1の所定値以下となるように、又は、受信帯域の電力が第2の所定値以下となるように、前記所定の制限値を調整することを特徴とする、請求項13に記載の極座標変調装置。
  16. 電力増幅部と、
    位相情報を含む第1の変調信号を生成する位相変調部と、
    振幅情報を含む第2の変調信号を生成する振幅信号制御部と、
    電源電圧を出力する電圧制御部と、
    前記電圧制御部から出力される前記電源電圧に基づいて前記第2の変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、前記電力増幅部に供給する振幅変調電圧供給部とを備えた、極座標変調装置であって、
    前記電力増幅部は、前記第1の変調信号を前記振幅変調電圧に基づいて増幅することによって、前記第1の変調信号が振幅変調された第3の変調信号を出力し、
    前記電圧制御部は、相異なる複数の電源電圧を出力することができる複数の直流電源を含み、前記トランジスタを定電流領域で動作させるような前記電源電圧を前記振幅変調電圧供給部に供給し、
    前記振幅変調電圧供給部は、前記複数の直流電源に対応してそれぞれ設けられており、前記電源電圧に基づいて前記第2の変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、前記電力増幅部に供給する複数のシリーズレギュレータを含み、
    前記極座標変調装置は、前記第2の変調信号を前記複数のシリーズレギュレータのいずれか一つに入力するためのスイッチ部をさらに備え、
    前記電圧制御部は、使用されるシリーズレギュレータに含まれるトランジスタから出力される前記振幅変調電圧の最大値に基づいて、使用する直流電源を選択し、当該直流電源から出力される電圧を前記電源電圧として、前記振幅変調電圧供給部に供給し、
    前記極座標変調装置は、複数の変調方式を用いて、信号を出力することができ、
    前記スイッチ部は、使用する変調方式に従って、前記シリーズレギュレータを選択することを特徴とする、極座標変調装置。
  17. ベースバンド信号を生成及び処理するベースバンド部と、
    前記ベースバンド部が生成したベースバンド信号を送信信号に変換する送信部と、
    受信信号を受信するアンテナ部と、
    前記受信信号をベースバンド信号に変換して、当該ベースバンドを前記ベースバンド部に入力する受信部と、
    前記送信信号を前記アンテナ部に伝送すると共に、前記受信信号を前記受信回路に伝送する共用部とを備え、
    前記送信部は、前記ベースバンド信号を前記送信信号に変換するための極座標変調装置を含み、
    前記極座標変調装置は、
    電力増幅部と、
    前記ベースバンド信号から、位相情報を含む第1の変調信号を生成する位相変調部と、
    前記ベースバンド信号から、振幅情報を含む第2の変調信号を生成する振幅信号制御部と、
    前記第2の変調信号の振幅が所定の制限値よりも大きい場合、前記所定の制限値を超えた部分が前記所定の制限値以下の振幅となるように、前記第2の変調信号の波形を整形した波形整形変調信号を生成する波形整形部と、
    電源電圧を出力する電圧制御部と、
    前記電圧制御部から出力される前記電源電圧に基づいて前記波形整形変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、前記電力増幅部に供給する振幅変調電圧供給部とを備え、
    前記電力増幅部は、前記第1の変調信号を前記振幅変調電圧に基づいて増幅することによって、前記第1の変調信号が振幅変調された第3の変調信号を出力し、
    前記波形整形部は、前記電力増幅部で発生する歪み電力の変化の要因に従って、前記電力増幅部で発生する隣接チャネル漏洩電力が第1の所定値以下となるように、又は、受信帯域における電力が第2の所定値以下となるように、前記所定の制限値を調整することを特徴とする、無線通信機器。
  18. ベースバンド信号を生成及び処理するベースバンド部と、
    前記ベースバンド部が生成したベースバンド信号を送信信号に変換する送信部と、
    受信信号を受信するアンテナ部と、
    前記受信信号をベースバンド信号に変換して、当該ベースバンドを前記ベースバンド部に入力する受信部と、
    前記送信信号を前記アンテナ部に伝送すると共に、前記受信信号を前記受信回路に伝送する共用部とを備え、
    前記送信部は、前記ベースバンド信号を前記送信信号に変換するための極座標変調装置を含み、
    前記極座標変調装置は、
    電力増幅部と、
    前記ベースバンド信号から、位相情報を含む第1の変調信号を生成する位相変調部と、
    前記ベースバンド信号から、振幅情報を含む第2の変調信号を生成する振幅信号制御部と、
    前記第2の変調信号の振幅が所定の制限値よりも大きい場合、前記所定の制限値を超えた部分が前記所定の制限値以下の振幅となるように、前記第2の変調信号の波形を整形した波形整形変調信号を生成する波形整形部と、
    電源電圧を出力する電圧制御部と、
    前記電圧制御部から出力される前記電源電圧に基づいて前記波形整形変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、前記電力増幅部に供給する振幅変調電圧供給部とを備え、
    前記電力増幅部は、前記第1の変調信号を前記振幅変調電圧に基づいて増幅することによって、前記第1の変調信号が振幅変調された第3の変調信号を出力し、
    前記電圧制御部は、前記トランジスタから出力される前記振幅変調電圧の最大値に基づいて求められる電圧を、前記電源電圧として、前記振幅変調電圧供給部に供給することを特徴とする、無線通信機器。
  19. ベースバンド信号を生成及び処理するベースバンド部と、
    前記ベースバンド部が生成したベースバンド信号を送信信号に変換する送信部と、
    受信信号を受信するアンテナ部と、
    前記受信信号をベースバンド信号に変換して、当該ベースバンドを前記ベースバンド部に入力する受信部と、
    前記送信信号を前記アンテナ部に伝送すると共に、前記受信信号を前記受信回路に伝送する共用部とを備え、
    前記送信部は、前記ベースバンド信号を前記送信信号に変換するための極座標変調装置を含み、
    前記極座標変調装置は、
    電力増幅部と、
    前記ベースバンド信号から、位相情報を含む第1の変調信号を生成する位相変調部と、
    前記ベースバンド信号から、振幅情報を含む第2の変調信号を生成する振幅信号制御部と、
    前記第2の変調信号の振幅が所定の制限値よりも大きい場合、前記所定の制限値を超えた部分が前記所定の制限値以下の振幅となるように、前記第2の変調信号の波形を整形した波形整形変調信号を生成する波形整形部と、
    電源電圧を出力する電圧制御部と、
    前記電圧制御部から出力される前記電源電圧に基づいて前記波形整形変調信号をトランジスタによって増幅し、増幅された信号を振幅変調電圧として、前記電力増幅部に供給する振幅変調電圧供給部とを備え、
    前記電力増幅部は、前記第1の変調信号を前記振幅変調電圧に基づいて増幅することによって、前記第1の変調信号が振幅変調された第3の変調信号を出力し、
    前記電圧制御部は、前記トランジスタを電流領域で動作させるよう前記電源電圧を前記振幅変調電圧供給部に供給することを特徴とする、無線通信機器。
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