JP4846163B2 - 疎な刺激により神経機能を評価するための方法および装置 - Google Patents

疎な刺激により神経機能を評価するための方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
技術分野
本発明は全体として神経機能の評価に関する。本発明は特に、時間的に疎な刺激により神経機能の評価を行うための方法および装置に関し、緑内障など感覚神経系が冒される疾患または多発性硬化症など神経伝導が冒される疾患に対して特に用途を有する。
【0002】
発明の背景
神経系機能を測定するための従来の方法としては、刺激に反応して生じる誘発電位(EP)を記録する方法があり、この刺激は通常反復して呈示される。EPは、記録電極付近に存在する多数のニューロンの電気的活動の和を表す電圧である。より近年では、神経活動により生じる磁場または光学信号の変化などの刺激誘発反応(SER)の測定も用いられるようになっている。この他、神経系により生成される反応で有用性があると考えられるものの1つは瞳孔反応である。同様に、眼球電図または他の方法で測定した眼球運動も使用することができる。このような非侵襲性の測定法は臨床状況において望ましく、したがって、神経活動は通常、体表記録と称しうる方法で、皮膚からまたは皮膚を介して記録される。例えば、脳の活動を反映する誘発電位は頭皮に置かれた電極を通じて容易に記録される。神経活動に関係する磁気信号および赤外線信号も同様に皮膚を介して記録できる。体表測定、眼球運動、または瞳孔反応で生じうる欠点の1つは、どのように測定しても、これらの誘発反応は、通常、刺激に反応した多数のニューロンの活動の和を表したものであるという点にある。
【0003】
神経系を冒す疾患は、神経系の部位によって異なる影響を与えることがある。例えば、眼疾患である緑内障では網膜の各部位によって冒され方が異なり、視野の特定の部位で局所的な視力低下を生じる。多発性硬化症のように、疾患により引き起こされる障害は、神経および脳内の神経系路に沿った小さな部位に限定される。したがってこのような症例では、神経機能を検査するために、複数の刺激を同時に与えてそれぞれ神経系の異なる部位を検査することが有用であり、これは多刺激誘発反応(MSER)と称しうる。MSERの測定により、誘発反応の記録における困難さがある程度抑制される。したがって、例えば、視野内の複数の部位に同時刺激を呈示することにより、原理上は、眼球または頭皮の上または近傍に単一の記録センサーを置いた場合であっても、効率的に視野をマッピングすることが可能となる。このように、神経系の複数の部位に与えた刺激に対する反応を記録できれば、誘発電位の記録に伴う問題が軽減される。
【0004】
MSER法はいくつか提案されているが、これまでに使用されている刺激系列の設計では、反応を推定する上での計算の負荷を軽減すること、および/または、刺激との相関の程度を軽減することに重点が置かれている。例えば、ウィーナー, N(Wiener, N)(「ランダム理論における非線形問題(Nonlinear problems in random theory)」, ニューヨーク, Wiley, 1958)は、原理上MSERに使用することのできる、ガウス分布した連続白色雑音を刺激系列として使用することを提唱している。より近年では、シュッター, E(Sutter, E)(米国特許第4,846,567号)が、厳格に規定された方式で刺激系列が2つのレベルの間を変動する、m-系列と呼ばれる空間刺激系列を使用することを提案している。2つレベルをもつこれらのm-系列は、二値であると言われる系列のクラスの部分集合である。これらの二値系列はほぼ等しい同様の2つの刺激状態の間を変動し、したがって、本明細書で以下に提案する刺激と異なりヌル状態を一切含まず、かつ、本明細書で意味するところの疎な刺激ではない。ウィーナーおよびシュッターの刺激はいずれも、神経系の任意の特定部位からの反応を最適化するようには設計されていない。MSERの測定を可能にし、かつ、臨床的に意味のある神経系の部位を評価するために最適化された刺激は、より有用である可能性がある。
【0005】
神経機能の評価において特に関心が高いのは、いわゆる利得制御機構を用いて優性な刺激状態に動的に順応する、神経系の部位であるとも考えられる。これらの利得制御システムは複雑でかつ厳密に調節されていることが多いため、神経の機能を研究するという観点からこれらの神経系は興味深い。したがって、利得制御機構を示す神経系では神経機能不全を容易に観察できる可能性がある。同時に、刺激系列を適切に設計することによって、利得制御システムを有する神経系に、より大きくかつ信頼性の高い反応を生じさせることができる可能性がある。
【0006】
発明の概要
本発明の一部は、本明細書で後に定義する疎な刺激系列では、ベースライン刺激状態またはヌル刺激状態とは異なる刺激に遭遇する確率が低く、このことにより、神経系の利得制御機構によって神経反応の大きさが増大されることになり、かつ、測定される反応はそのような利得制御を持つ神経母集団に偏ることになる、という発見に基づく。疎な刺激は、ベースラインであるヌル(null)刺激状態と対照して呈示される刺激状態の時間系列で構成され、この非ヌル(non-null)刺激状態は比較的低頻度で呈示される。その結果、反応振幅が増大することによって、疎でない刺激を用いた場合よりも信頼性の高い反応が記録される。本発明者らは、利得制御を有するこれらの神経系に反応を偏らせることにより、疾患において異常を生じる可能性が高い動的神経系に神経の評価を偏らせることができると考える。
【0007】
本発明者らはまた、かなり短い擬似ランダムの疎な刺激系列であっても、これを用いて、ウィーナー核(Wiener kernel)またはヴォルテラ核(Volterra kernel)といった線形加重関数および非線形加重関数を推定することにより神経系の反応の特徴付けが可能であることを発見した。このような核を推定することにより、複数の刺激系列を同時に神経系に呈示すること、および、刺激系列ごとに個別の核を推定することが可能となる。反応を同時推定することにより、評価過程全体の統計学的パワーが向上する。また、驚くべきことに、例えば非刺激状態と2つの非ヌル刺激状態とを含む三値刺激などの複数の刺激でも、三値系列の中の各非ヌル刺激状態に対する反応を特徴付ける核の分離および同時推定が可能であることが見出されている。バックグラウンドヌルの明るさレベルからの明側および暗側への逸脱であって稀に呈示される逸脱から構成される疎な三値系列など、このような複数の刺激は、例えば、平均より暗いまたは明るい像点に対して別々に反応する視覚ニューロンの母集団に対する損傷の検査などに有用であると本発明者らは考える。
【0008】
したがって、本発明の主たる目的は、神経系の利得制御機構に働きかける刺激を同時に複数呈示し、刺激に対する反応を測定することによって神経系への損傷を調べる迅速かつ信頼性の高い検査を提供することであり、利得制御機構によって神経系における刺激への反応が増強され、したがって記録される反応の信頼性が高くなる。好ましい目的の1つは、例えば視野の中で平均より明るいまたは暗い部分に関する情報をコード化する視覚ニューロンの集合のうち、感覚域の約半分をコード化するニューロンからの反応を分離させる刺激を使用することである。左側および右側の感覚野(例:視野の左半分および右半分)への刺激の場合、神経の利得制御機構に働きかけることの別の目的は、左右の感覚野から生じる神経反応の対称性を増強することである。これらの目的はすべて特定のクラスの刺激を用いることによって達することが可能であり、この刺激を疎な刺激系列と呼ぶ。
【0009】
したがって、本発明はその最も広範な形式において、以下の段階を含む、被験者の神経系構成部位の機能状態を同時評価するための方法を提供する:
(a)被験者の感覚神経の1つ以上の部位に刺激系列を呈示する段階であって、刺激系列が感覚神経系の各刺激部位に適した刺激モダリティーの種々の時間変調系列を有し、かつ刺激が刺激部位ごとに異なる系列を有する、段階;
(b)ヌル刺激条件と、ヌル刺激条件に比べて増大の刺激条件および減衰の刺激条件からなる群より選択される少なくとも1つの非ヌル刺激条件との間の刺激を時間変調する段階であって、刺激系列中のヌル刺激条件に遭遇する確率が、少なくとも1つの非ヌル刺激条件に遭遇する確率と比較して高く、かつ神経系の各部位に呈示した各刺激に対する反応測定結果が、時間変調刺激により推定される線形加重関数および非線形加重関数によって特徴付けられる、段階;
(c)刺激に対する反応測定結果から、各刺激系列について線形加重関数および非線形加重関数の係数の一部または全部を推定し、別々にかつ同時に刺激した神経系構成部位から、得られた個別の反応を分離する段階;ならびに
(d)他の刺激条件に対する反応の個別の係数を推定し、他の刺激条件の別個のメンバーに反応する神経系構成部位から得られた個別の反応を分離する段階。
【0010】
非ヌル刺激条件は感覚モダリティーの刺激を含む。この種の好ましい態様において、刺激は、触覚刺激、聴覚刺激、および視覚刺激、またはそれらの組合せからなる群より選択される。
【0011】
聴覚刺激は種々の音圧レベルまたは種々の音(tone)を含んでいてもよい。触覚刺激は、種々の圧レベル、および皮膚または他の組織に対して加圧される種々の頻度の刺激を含めて、任意の適した体性感覚刺激を含む。視覚刺激は、種々の明るさ、実際の像または架空の像、種々の輝度、コントラストレベルまたは変調、種々の色または色コントラスト、種々のパターン、テクスチャ密度または種類、種々のパターンの向きまたは動きの方向、種々の画像サイズを含んでいてよく、すなわち、視神経系の任意の有効な変調を含んでいてよい。
【0012】
好ましい態様において、刺激系列はヌル刺激条件と1つ以上の非ヌル刺激条件とを含み、非ヌル刺激条件はヌル刺激条件と比較して低頻度で呈示される。
【0013】
別の好ましい態様において、刺激系列は疎な二極性刺激系列を特徴とし、好ましくは、ベースライン条件により表されるヌル条件と、ベースライン条件に関するパラメータの増加および減少でありかつ比較的低い頻度で呈示される2つの非ヌル刺激条件との、3つの刺激条件または刺激レベルを含む、疎な二極性の視覚刺激系列を特徴とする。この態様において、ベースライン条件は適宜バックグラウンド刺激レベルを指す。例えば視覚刺激の場合、ベースライン条件はバックグラウンドの(または平均の)輝度または明るさレベルに対応していてもよい。
【0014】
別の好ましい態様において、刺激系列は、ヌル刺激条件と、比較的低い頻度で発生する非ヌル刺激条件とを含む疎な単極性刺激系列を特徴とする。例えばこのような刺激系列は、ベースラインの明るさレベルに比べて比較的低頻度で呈示される明るい閃光のみを特徴とする、疎な単極性視覚刺激系列を含んでいてもよい。
【0015】
好ましくは、呈示の段階(段階(a))は以下の段階を含む:
−視神経、視放線、および視覚皮質中で合流するストリームを網膜上の配置に従って大まかに分離するため、ならびに/または、脳の視覚に関与する領域の種々の部位を刺激するため、各眼の視野を複数の刺激領域に分割する段階;ならびに
−両眼に、各眼の各視野の見え方を種々に時間変調した刺激を呈示する段階であって、刺激が各眼の視野内の各対応領域ごとに異なる、段階。
【0016】
好ましくは、視野は、側頭視野、鼻側視野、下方視野、および上方視野からなる群より選択される要素の少なくとも1つを規定する軸に沿って視野を分ける四分円と、これら四分円を同心円状に分ける区画とに分割し、これによって、視野の中央部と周辺部とを別々に刺激することができる。
【0017】
好ましくは、前述の好ましい態様において、刺激は、各刺激領域内の要素の明るさまたはコントラストを2段階もしくは3段階の明るさレベル間または2段階もしくは3段階のコントラストレベル間で変調することを含む。
【0018】
適宜、時間変調刺激は、神経系の各部位に呈示した各刺激に対する反応測定結果を特徴付ける線形加重関数および非線形加重関数を推定するための、十分な複雑度をもつ。
【0019】
好ましくは、刺激系列は、非周期刺激系列または擬似ランダム刺激系列を含む。
【0020】
好ましくは、線形加重関数および非線形加重関数はウィーナー核またはヴォルテラ核である。
【0021】
適宜、線形核の経時過程内で選択されたピークまでの潜時、および/または、核の形状もしくは振幅を、神経系構成部位の機能状態の測定値として用いる。
【0022】
刺激系列中の非ヌル刺激条件は、好ましくは1秒につき平均約0.25〜約25回の頻度で生じ、より好ましくは1秒につき平均約1〜約6回の頻度で生じる。フレーム率50ヘルツのビデオ刺激の例では、非ヌル刺激に遭遇する確率は約1/2〜約1/50になる。
【0023】
別の局面において、本発明は、以下の手段を含む、神経系構成部位の機能状態を評価するための装置を提供する:
−被験者の感覚神経系に刺激系列を呈示するための刺激手段であって、刺激系列が感覚神経系の各刺激部位に適した刺激モダリティーの種々の時間変調系列を有し、かつ刺激が刺激部位ごとに異なる系列を有し、刺激手段が、ヌル刺激条件に比べて増大の刺激条件および減衰の刺激条件からなる群より選択される少なくとも 1 つの非ヌル刺激条件と、ヌル刺激条件との間で時間変調した刺激を変動させるための手段を含む刺激手段であって、刺激系列中のヌル刺激条件に遭遇する確率が、少なくとも 1 つの非ヌル刺激条件に遭遇する確率と比較して高く、かつ神経系の各部位に呈示した各刺激に対する反応測定結果が、時間変調した刺激により推定される線形加重関数および非線形加重関数によって特徴付けられる、刺激手段;
−被験者における刺激系列に対する反応をモニターするためのモニタリング手段;ならびに
−刺激に対する反応測定結果から、各刺激系列について線形加重関数および非線形加重関数の係数を決定するための処理手段。
【0024】
刺激手段は適宜、各眼に呈示する個別の視認画像のストリームを呈示する手段を含む。
【0025】
適宜、異なる視認画像は異なるコントラストレベルの画像を含む。
【0026】
モニタリング手段は、好ましくは、被験者における刺激系列に対する反応を記録するための記録手段を含む。
【0027】
好ましくは、記録手段は、反応の客観的指標を提供するための視覚誘発電位を記録する。
【0028】
処理手段は、適宜、タイミング手段、および反応の指標である記録手段からの信号を受け取るための手段を含む。
【0029】
発明の詳細な説明
特に断りがない限り、本明細書中の技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する分野の当業者に一般的に理解されているのと同じ意味を持つ。本発明の実施または検証においては本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法および物質が使用可能であるが、以下に好ましい方法および物質を説明する。本発明のため以下の語句を以下のとおり定義する。
【0030】
本明細書において、「1つの(aおよびan)」という前置詞は、1つまたは1つ以上の(すなわち、少なくとも1つの)前置詞の文法上の目的語を意味する。例を示すと、「要素(an element)」は1つの要素または1つ以上の要素を意味する。
【0031】
本明細書において、「約(about)」という語は、参照される頻度または確率に対して30%、好ましくは20%、より好ましくは10%変動する頻度または確率を意味する。
【0032】
本明細書全文を通して、特に文脈上の必然性がない限り、「含む(comprise、comprises、およびcomprising)」という語は、記載された段階もしくは要素または段階の群もしくは要素の群を含むが、他のいかなる段階もしくは要素または段階の群もしくは要素の群をも除外しないという意図であると理解される。
【0033】
本発明の一部は、神経系の部位がその部位の感受性を調節する機構によって制御されているという発見、ならびに、これら神経系の一部が、ベースラインのヌル刺激条件と比較して低い頻度で刺激が発生する場合に、神経系により調節されるニューロンの反応を増加させるという発見に基づいている。この面において本発明者らは驚くべきことに、疎な刺激系列ではベースライン条件とは異なる刺激に遭遇する確率が低く、このことにより、神経系の利得制御機構によって神経反応の大きさが増大されることになり、かつ、測定される反応はそのような利得制御を持つニューロン母集団に偏ることになる、ということを見出した。本発明者らはまた、ウィーナー核またはヴォルテラ核などの線形時間加重関数および非線形時間加重関数を計算する手段により、疎な非周期刺激系列を用いてこれらの増大した反応の特徴付けができることを見出した。結果として反応振幅が増大することにより、疎でない刺激を用いた場合と比較してより信頼性の高い反応が記録される。利得制御をもつ神経系に反応を偏らせることにより、神経系の評価は、疾患により異常をきたす可能性が高い動的な神経系に偏る。例えば、両眼を同時に刺激する場合、利得制御に支配される神経系に反応を偏らせることにより、二値刺激系列など従来の密な刺激で観察される反応と比較して、左右の視野の反応の対称性が向上する。したがって、疎な刺激系列を用いることにより、利得制御の支配下にある神経系をより高い信頼度で評価できる。この点に関連して、網膜ニューロンが冒されることが知られる疾患の緑内障では、強力かつ迅速なコントラスト利得制御が具現化される。より一般的には、本発明により提供される神経反応の時間発生の正確な測定法によって、神経機能の評価がさらに向上すると考えられる。
【0034】
本発明者らは、後に詳述する神経系構成部位の機能状態を同時に評価するための方法および装置の実践に本発明者らの発見を限定した。簡潔には、本発明の方法は、神経系構成部位の線形刺激誘発反応および非線形刺激誘発反応を特徴付ける核として知られる線形時間加重関数および非線形時間加重関数を測定することに関する。方法は、必要な核の計算を可能にするだけの十分な複雑度をもつ時間構造を有するのみならず、より大きくかつ信頼度の高い神経反応を生じさせるため神経系内で利得制御機構を惹起する特性をも有する、特定の刺激系列を使用する。また、これらの刺激により、平均刺激レベルまたは平均刺激強度を上回る増大の刺激および/または下回る減衰の刺激を含む刺激系列のそれらの部分に対して神経系で生じた反応を、個別に測定することが可能になる。
【0035】
方法は、触覚刺激または聴覚刺激など任意の感覚モダリティーをコード化している神経系の領域からの刺激を分離するため、これら種々のモダリティーの刺激に適用できるが、好ましくは視覚刺激である。これは、視覚系路には多数のニューロンが存在することと、これら多数のニューロンが眼球への画像呈示により刺激できるという相対的なケースとによる。さらに、視覚系では、観察可能な刺激誘発反応は瞳孔の大きさおよび眼球運動活動の形式で生じる。
【0036】
以下に本発明の開発に至った根拠を説明するが、本発明者らは、以下の説明がいかなる特定の理論に拘束されることを望むものではない。
【0037】
前述のとおり、使用される刺激が利得制御機構を惹起し、記録される反応の信頼性が向上すれば、多刺激誘発反応(MSER)は向上していると考えられる。また、神経疾患はこれらの利得制御システムを冒す可能性が高いため、記録される反応をこのような利得制御機構を有する神経系に偏らせれば、記録される信号の臨床的関連性が高まると考えられる。
【0038】
視覚神経系は、各視神経が約100万の神経線維を有しかつ脳の大部分が視覚入力の処理に関与していることから、特に関心が高い。ベナーデート, E.A.(Benardete, E.A.)ら, 1992, Vis Neurosci. 8(5): 483〜486の「霊長類の網膜におけるコントラスト利得制御:P細胞はX様でなく、一部のM細胞はX様である(Contrast gain control in the primate retina: P cells are not X-like, some M cells are)」で述べられているように、網膜像の各部位における輝度コントラストに関する情報を伝える視覚入力は強力かつ迅速作動性の利得制御システムを有する。同著者らが論じているように、この利得制御システムは外側膝状体背側核(dLGN)の大型細胞層(magnocellular layers)に投影する網膜神経節細胞で発現し、したがってこれら網膜神経節細胞はM細胞と呼ばれる。M細胞には少なくとも2つの種類がある。すなわち、相対的により線形の反応を示すMX細胞と、より非線形の反応を示すMY細胞とである。網膜の利得制御システムは、新しくかつ視覚的に大規模な刺激が増強されるように作用する。したがって、J.D. ヴィクター(J. D. Victor)の論文「ネコ網膜Y細胞サブユニットの動力学(The dynamics of the cat retinal Y cell subunit)」(1988, J Physiol. (Lond). 405: 289〜320)および「ネコ網膜Y細胞中心の動力学(The dynamics of the cat retinal. X cell centre)」(1987, J Physiol (Lond). 386: 219〜246)で示されているように、コントラストの経時的な段階変化に対する反応において、初期の過渡的な変化に対するM細胞の神経反応は増幅され、コントラストの段階変化における長いプラトー部に対する反応は時間の経過とともに急速に減少する。単一の短いコントラスト変化に対する反応も同様に増強される。高速すぎるため刺激の全時間積分エネルギー以上のものにはシステムが反応できないような、このような単一の短いコントラスト変化は、時として衝撃刺激(impulsive stimulus)と呼ばれる。クリコフスキー, J.J.(Kulikowski, J.J)が述べているように(「電気生理学と精神物理学との関係(Relation of psychophysics to, electrophysiology)」, Trace (Paris), 6: 64〜69)、低頻度だが定期的に呈示される格子パターンに反応して生じる、視覚的に観察される画像コントラストの強調および誘発電位においては振幅の強調を、このような機構により説明できる可能性がある。しかし、このような定期的な刺激はウィーナー核またはヴォルテラ核の推定には使用できない。
【0039】
他の感覚モダリティーで機能する、これとある程度類似した利得制御機構に関する証拠が報告されており、例えば体性感覚系ではブルック, J.D.(Brooke, J.D.)らの報告(1995, 「ヒト脊髄中の機構の高速反射抑制による下肢運動制御(Mechanisms within the human spinal cord suppress fast reflexes to control the movement of the legs)」Brain Research 679: 255〜260)があり、聴覚神経系ではボードマン, I.(Boardman, I.)らの報告(1999, 「種々の速さの会話音節に関する知覚順序および文脈効果の神経動力学(Neural dynamics of perceptual order and context effects for variable-rate speech syllables.)」Percept Psychophys. 61(8): 1477〜1500)がある。
【0040】
視覚系において、Mタイプの網膜神経節細胞は、短い刺激の周波数領域等価物、コントラストの連続高周波数変調により相対的に高い利得状態にすることができる。このような例の1つは、ジェームズ, A.C.(James, A. C.)およびマッデス, T(Maddess, T)のオーストラリア特許第667,702号「非線形システム同定技術を用いた緑内障検査(Glaucoma testing using nonlinear systems identification techniques)」、マッデス, T(Maddess, T)のオーストラリア特許第611,585号「緑内障診断に使用するための方法および装置(Method and apparatus for use in diagnosis of glaucoma)」、および、マッデス, T.L.(Maddess, T.L.)のオーストラリア特許第701,075号「緑内障の早期発見(Early detection of glaucoma)」に記載されているように、緑内障診断用の空間周波数倍加錯視(spatial frequency doubling illusion)を使用するものである。空間周波数倍加錯視は、空間周波数の低い規則的な格子パターンのコントラストが典型的には15 Hzを超える固定高周波数で高速に時間変調される場合にみられる視覚的な錯覚である。これらの条件下において被験者は規則格子パターンの縞の数が実際の2倍であると報告することから、この現象は空間周波数倍加(FD)錯視と呼ばれる。前述の特許では、錯視は、前述の非線形MY網膜神経節細胞で発現する、高度に興奮した利得制御機構の産物であると仮定している。これらの方法には、このような周波数領域法で得られる情報は単一の周波数に対する神経系の反応に関するものであるという欠点がある。また、視覚皮質レベルに存在する視覚機構が、網膜で生じる真のFD効果を観察する能力に干渉する可能性がある(マッデス T(Maddess T)およびクリコフスキー, J.J.(Kulikowski, J. J.)1999, 「静止成分格子の見かけ上の細かさ(Apparent fineness of stationary compound gratings)」 Vision Res. 39(20): 3404〜16)。そのような刺激により同時に多数の周波数で神経系が効果的に刺激され、かつ刺激から反応までの遅延インターバルが推定されることが当業者に理解されると思われ、したがって理論上は時間領域検査により神経系のより広い評価が可能になると考えられる。本方法は、前述のFD法と同様、増強した神経反応を得るために利得制御機構を惹起させる時間領域刺激を用いてMSERを測定する方法を提供する。さらに、本明細書で提案する刺激および方法は、誘発反応のばらつきの減少および神経系の臨床評価への応用可能性の強化の面でその他の利点をもたらす。
【0041】
いかなる種類の感覚刺激についても、頭皮からSERを測定する場合は大脳皮質および脳の他の領域の回旋状の表面が問題となる。これらの脳構造が折り畳まれていることは、脳活動により生じる電流が空間的に合算されしたがって表面電位として測定できる信号は空間的に歪んでいるまたは一様でないという可能性があることを意味する。このことは、視覚系においては、クリストマー, A.(Klistomer, A.)らの論文(1988, 「多焦点トモグラフィー視覚誘発電位:局所視野欠損の客観的検出の向上(Multifocal topographic visual evoked potential: improving objective detection of local visual field defects)」Invest Ophthalmol Vis Sci. 39(6): 937〜950)で論じられているように、網膜の種々の部位における反応レベルを正確に反映していない不正に歪んだMSERを意味する。同著者らは、特定の空間構成で頭皮上に複数の電極を置くことによって、大脳皮質の折り畳みに起因する問題の改善を試みた。
【0042】
脳の左半分および右半分は典型的にはその反対側の体側からの感覚信号を処理するが、ある程度の重複は生じ、特に視覚皮質では左右の眼球からのニューロンが集束して両眼視を実現している。この集束が、左側の視覚皮質で処理される視野の右半分に関する両眼視情報と、同様に右側の視覚皮質で処理される視野の左半分に関する両眼視情報とを有することにのみ寄与していることは留意する価値がある。同様に、体からの体性感覚入力のマップおよび外界からの聴覚入力のマップは脳の異なる領域に存在している。感覚入力の詳細をこれらの領域の表面記録から識別する能力も、同様に脳の折り畳みによる影響を受ける。脳の左半分および右半分の折り畳まれ方は同じでない場合がほとんどであり、かつ、脳の鼻尾中線(naso-caudal mid-line)は頭部の中線と常に正確に一致しているとは限らない。したがって、視野、耳、または体側の各半分へのすべての感覚入力を表面記録する場合、脳の折り畳みおよび頭部内での脳の位置により左右の非対称性が生じる可能性がある。明らかに、表面記録の価値、特に神経系の種々の構成部位からの反応を識別しようとするMSERの価値はこのようなすべての歪みにより制限される。
【0043】
これらの非対称性および歪みを部分的に解決しうる方法は利得制御機構の研究から生じる可能性がある。本発明に繋がる研究の中で、マッデス, T.(Maddess, T.)ら(1998, 「大型細胞視覚系路のY様細胞における空間エイリアシング効果の証拠(Evidence for spatial aliasing effects in the Y-like cells of the magnocellular visual pathway)」Vision Res. 38(12): 1843〜1859)は、網膜の利得制御機構に関する信号を脳に中継しているニューロンは、その機能を損なうことなく比較的疎でありうることを示した。MX網膜神経節細胞およびMY網膜神経節細胞の場合は、単一の利得制御機構が両種類の細胞の活動を調節するが、利得制御プロセスに関する情報を脳に伝えるのはより数の少ないMY細胞のみである。より数の多いMX細胞は網膜像を密にサンプリングし、MY細胞はそれより少ない密度で網膜像をサンプリングする。同著者らはMY細胞の方が数は少ないものの、これによって、より数が多いMX細胞の利得に何が起こっているかを理解する脳の能力が損なわれることはないという可能性を示した。利得制御機構が、技術者がパワーと呼ぶものに関連する神経活動の測定に基づいているならば、利得制御をコード化しているニューロンのこの節約が可能となる。各神経線維は体に対して代謝というコストを生じさせるため、最少の神経線維で神経系を正確に機能させることのできる機構が進化の過程で獲得されたと考えられる。したがって、多くの感覚機構では、利得制御に関する情報を伝えるニューロンの数について同様の経済的側面が働いている可能性が高い。
【0044】
神経系周囲で利得制御情報を伝えている神経細胞が疎である可能性があるということの重要性は、外界からの感覚入力の大きく隣接したマップとして感覚情報が呈示される大きな脳領域上において、利得制御ニューロンがこれらマップの全域に疎に分布していると考えられる点にある。この点について、マッデス, T.(Maddess, T.)ら(1998, Vision Res. 38(12): 1843〜1859)は、ヒトの視覚皮質表面の単位部分であり約1平方ミリメートルを占めるシトクロムオキシダーゼ小塊1つにつき、MY細胞入力は恐らく1つまたは2つしかないという証拠を示した。本用途においてはMX細胞のほうがより直接的な関心対象である可能性もあるが、これらニューロンもMY細胞より5〜10倍多いにすぎない。各MY細胞は複数のMX細胞の利得に関する情報を伝えており、したがってMX細胞の利得変化に関する皮質の解釈はMY細胞密度と同等のまばらさで構成されている可能性がある。皮質に投影されるこの疎なニューロンのアレイは、定義上は、複雑な脳の折り畳みの正確な空間表現を提供できない。前述の著者らが示しているとおり、基本的なサンプリング理論によれば、利得制御の影響を受けるニューロンの位置が脳全体で空間的にランダムであると想定すると、脳の折り畳みの詳細から得られる情報のマッピングは散乱して広範な帯域雑音となり、したがって神経活動の総和の位置に対して平均的な影響を与えないことになる。この結果、このような細胞から測定されたSERに対して脳の折り畳みが与える影響は小さくなると考えられる。同様に、脳の左半分と右半分とで折り畳みが異なることの影響が小さくなる可能性があるため、左右の非対称性も低減する可能性がある。
【0045】
神経系の臨床評価のための刺激の適用可能性を高める別の手段は、連続ヌル刺激を上回る増大刺激と下回る減衰刺激とに対する神経系の反応を別々に評価する能力であると思われる。これは、神経系のニューロンの個々のクラスは刺激の増大または減衰のいずれかに反応することが知られているためである。視覚神経系では、エンロート-クーゲル, C.(Enroth-Cugell C.)ら(1980,「ネコの網膜神経節細胞のコントラスト感受性(The contrast sensitivity of retinal ganglion cells of the cat)」J Physiol (Lond). 304: 59〜81)が例証しているように、像の明るさの増大または減衰のいずれかに別々に反応するニューロンの群がよく知られている。明るさの増大に反応する細胞はONユニット、明るさの減衰に反応する細胞はOFFユニットと呼ばれる。前述のMX網膜神経節細胞およびMY網膜神経節細胞もONクラスおよびOFFクラスとなる。
【0046】
MY細胞では、その特徴的な非線形反応成分のため、部分的に増大にも減衰にもほぼ等しく反応し、このような反応特質はON-OFFと呼ばれる。ヴィクター, J.D.(1988, 前述)が論じているようにこのON-OFF特性はこれらのニューロンが伝える利得制御信号に関係しており、したがって一般的にON-OFF反応は同様の利得制御機構が存在することを反映している可能性がある。このON-OFF反応特質は、二次のウィーナー核、ヴォルテラ核、または同様の核による定量化に適しており、したがって神経利得制御システムの作動条件のより直接的な評価が可能となる可能性がある。刺激強度の増大および減衰に対するON反応、OFF反応、およびON-OFF反応は感覚神経のニューロンに共通した特徴であり、例えば聴覚神経系のニューロンについてはケイン, D(Cain, D)ら(1999, 「マウス下丘ニューロンにおける周波数チューニングに対する音の方向の影響(The effect of sound direction on frequency tuning in mouse inferior collicular neurones)」, Chin J Physiol. 42(1): 1〜8)およびビーサー, A(Bieser, A.)ら(1996, 「リスザルの聴覚反応性皮質:振幅変調音に対する神経の反応(Auditory responsive cortex in the squirrel monkey: neural responses to amplitude-modulated sounds)」, Exp Brain Res. 108(2): 273〜84)、体性感覚脳についてはライノーネン, L.(Leinonen, L.)(1980, 「覚醒中のサルの頭頂部後島皮質におけるニューロンの機能特性(Functional properties of neurones in the parietal retroinsular cortex in awake monkey)」, Acta Physiol Scand. 108(4): 381〜4)の報告がある。
【0047】
ニューロンの反応を特徴付ける効率的な方法の1つは、核として知られる線形加重時間関数および非線形加重時間関数の推定を通じて行う方法である。これらの核は、試験下の系の線形反応と反応中の非線形相互作用とを要約できる。複数の刺激を同時に呈示し、各刺激に関する個別の核により各刺激に対する反応を特徴付けることができる。例えば、本発明者らは国際公開公報第99/49776号において両眼相互作用の核を推定する方法と、多発性硬化症などの疾患の診断およびモニタリングへのその利用可能性とについて説明している。
【0048】
以上より、本発明者らは、核の推定に同時に使用でき、神経利得制御プロセスを生じさせて反応を増強させる刺激であって、かつ、優勢なベースライン刺激に対する増大および/または減衰の刺激を含む刺激に対する反応が個別に評価される刺激であって、かつ、脳の折り畳みの影響を最小限に押さえる可能性のある刺激により、神経系の広範囲な区画の効率的かつ非侵襲的な評価が行えると考えた。
【0049】
以上を前提に本発明者らは、ヌル刺激条件と、ヌル刺激条件からの増大または減衰を呈示する他の刺激条件とからなり、かつ、ベースラインヌル刺激条件以外の刺激のレベルまたは質には比較的遭遇する確率が低い、擬似ランダム時間系列からなる刺激によって、以下が提供されると仮定した:
(a)増大および/または減衰の刺激の時間的に疎な性質は、神経利得制御機構にそのような制御機構をもつ神経系の反応を増強させ、その程度は単一の衝撃刺激または段階刺激がこれらの機構を興奮させるのと同程度である;
(b)神経活動から生じた反応の記録結果はそのような利得制御機構に偏り、したがって、観察される反応は疾患により損なわれる可能性が高い機構に偏る;
(c)増大および減衰が擬似ランダムに生じることにより、刺激は、非常に短い刺激系列であっても、複数の刺激に対する反応の核の推定を可能にするだけ統計学的に十分に豊富となり、したがってMSERを可能にする;ならびに
(d)優勢なベースライン刺激条件を上回るおよび下回る増大および減衰が存在することにより、増大および減衰の刺激について個別の核を推定することが可能となり、かつ、増大および減衰に別々に反応する神経機構の個別の反応を分離することが可能となる。
【0050】
本発明が容易に理解されかつ実用上の効果が発揮されるよう、以下に、本発明を限定しない実施例により特定の好ましい態様を説明する。
【0051】
実施例
実施例1
装置
本発明の装置の態様を形成する基本的なシステム構成物の略図を図1に示す。主要な構成物は、非限定的実施例においては液晶シャッターの手段による、2眼を離眼的(dichoptic)に刺激するための装置と、本実施例では電極である、皮質の神経反応を評価するための手段と、視覚誘発電位を記録するための増幅器と、各係数の推定値を計算するための手段とである。細い矢印は名称と対象とを関連付けるものであり、中抜きの太い矢印は情報の流れまたは制御の方向を示す。
【0052】
各被験者に対する試験刺激を1秒あたり101枚の画像でビデオモニタに呈示した。刺激をビデオモニタ上に呈示したことから、この呈示画像の系列は特定のフレーム速度で呈示したフレームの系列と呼ぶことが一般的であり、フレーム速度はこの場合は1秒あたり101フレームである。刺激系列は、液晶シャッターを使用して1秒あたり50.5フレームで各眼に交互に呈示した、個別のしかし時間的にインターリーブした画像のストリームからなるものとした。2眼に別々の像を呈示することは離眼的呈示と呼ばれる。2眼に対して刺激の離眼的呈示を行うため、左または右に円偏光した光を液晶シャッターにより1フレームおきに透過させ、偏光の変化は1秒あたり101フレームの画像呈示速度と同調させた。被験者は、シャッターを透過する光の2つの偏光状態のうち1つしか透過させない素子によって各眼が覆われるようになっている眼鏡を装用した。このようにして、各眼はインターリーブされた2つのビデオ系列のうち1つのみを見ることになり、各眼に入った像は1秒あたり50.5フレームである。また、被験者は、必要に応じて通常の矯正用レンズを装用した。試験系列の総時間は40秒間であり、各被験者に対して最高8つの系列を呈示した。
【0053】
被験者には視覚刺激の中央に呈示される点を固視するよう指示した。当業者には、目の位置をモニタリングするなど固視を維持する他の手段で代替しても、本発明の実証に影響することはないことが認識されるものと考えられる。ビデオ刺激の呈示速度と同期させたサンプリングで誘発電位を記録した。より速いサンプリング速度を使用してもよいが、本発明の実証においては1フレームにつき4サンプルとした。誘発電位を記録するため標準的な金のカップ電極を頭皮に置いた。離眼的刺激の生成の概要およびVEP記録装置を図1に示す。しかし、本発明には、誘発されたニューロンの反応を記録するための手段についていかなる特定の手段の使用も想定していないことを注意すべきである。この面において、当業者には、磁気放射または電磁放射の変化、もしくは音声信号を記録するなど、電位測定以外の手段によって、誘発されたニューロンの反応を記録してもよいことが認識されるものと考えられる。
【0054】
実施例2
擬似ランダム刺激系列
擬似ランダム刺激系列の疎な性質の関連する特徴は、4種類の擬似ランダム刺激系列を示した図2の検討によって、よりよく理解されるものと思われる。最上段のパネル(A)は、刺激が2つのレベルの間で変化する二値系列を示す。刺激は、分布を一様とし、かつ、刺激がある時間ステップにいずれかの刺激条件になる確率を1/2に設定して、擬似乱数発生器で発生させた。第二のパネル(B)は、三値または二極性のバージョンの疎な擬似ランダム刺激系列を示す。この場合、刺激は、刺激レベルが中央である、より頻度の高いヌル刺激条件と、レベルがヌル刺激条件を上回るおよび下回る、より頻度の低い2つの刺激条件とからなる、3つのレベルを有する。この場合は、ヌル条件に遭遇する確率を1/2、他の2つの状態に遭遇する確率を1/4に設定した。第三のパネル(C)は、ヌル条件に遭遇する確率を14/16、他の2つの状態に遭遇する確率を1/16に設定した、より疎な三値擬似ランダム刺激系列を示す。特定の例では、実際は40秒間である刺激のうちの8秒間の部分であることと、したがって表示されている確率は生成のランダム過程を反映していない可能性があることに注意を要する。第四のパネル(D)は非常に疎な単極性の擬似ランダム刺激系列を示したものであり、この系列において、単一の種類の非ヌル刺激条件は低い頻度で呈示され、刺激間インターバルは刺激条件に対する反応の持続時間を上回るように選択された最小値を常に上回る。最下段のパネル(D)は疎な系列の好ましく且つ非限定的な態様である。刺激系列は、刺激条件が音圧または周波数の変化に対応する聴覚刺激を記述したものであってもよい。同様に、刺激系列は、圧レベルの変化、もしくは皮膚または他の組織に対して加圧される刺激の頻度変化など、体性感覚刺激を記述したものであってもよい。刺激系列のまばらさは刺激のモダリティーに適したものとする。刺激系列は、図2に示したような鋭い矩形の遷移を必ずしも有していなくともよく、種々の方法で平滑化してよく、かつ、ヌル刺激からの逸脱の時間的進展は、異なる非ヌル刺激ごとに異なっていてもよい。
【0055】
実施例3
視覚刺激
図3は、ビデオモニタ前面が太線で8つの部分に分けられた、特定の非限定的態様のための視覚刺激を示す。以後の図で示す試験において、被験者はこの8つの各領域に呈示される視覚刺激を観察し、誘発電位が記録される。8つの各領域に示された番号は、以後の3枚の図で各領域を参照するために使用する。黒と白のチェッカーボードパターンが各領域内に呈示される。図中の細線はチェックの境界線を示す。各領域のコントラストはそれぞれ長さ40秒間の種々の擬似ランダム系列により時間変調した。図2の二値系列において、白のチェックはコントラスト1、黒のチェックはコントラスト-1とみなされる。したがって、時間変調系列により、8つの各領域内のチェックは、ある時間ステップにおける二値系列の状態1もしくは-1に応じてコントラストの符号が逆転するかまたは同じコントラストが維持される。三値刺激については、各領域のヌル刺激条件は一様な中間レベルの灰色の輝度とし、これをコントラスト0と定義した。非ヌル条件のうち1つはチェッカーボードのような交互の黒および白とし、これをコントラスト1と定義した。もう1つの非ヌル条件はチェックのコントラストを反転して白と黒とを入れ替え、これをコントラストレベル-1と定義した。左右各眼に対する8つの領域のコントラストをそれぞれ独立の刺激系列により同時に変調した。図2に示した3種類の刺激系列を使用して別々に記録を行い、それぞれの場合について誘発電位からウィーナー核を推定した。
【0056】
実施例4
擬似ランダム二値系列A
図4において、刺激は図2のパネルAに示した擬似ランダムの二値系列とした。左側のコラムは図3の8領域を左眼に呈示した場合の核を表す。右側のコラムはこの刺激を右眼に呈示した場合の核を表す。8つの各曲線は、二次の自己二次(self-quadratic)ウィーナー核の第一の非対角線である。スケールバーが示しているとおり、すべての核のすべての点の値は電圧反応として表示されており、単位はマイクロボルトである。それぞれの核について示した横方向の点線の組は、核の推定標準誤差の+1.96倍および-1.96倍を表しており、信頼レベル±95%で核の値の有意性を検定する場合の棄却域を示す。したがって、これらの点線より上または下の核の部分は95%以上のレベルで有意である。被験者は20歳の女性であった。核は40秒間の刺激を8回繰り返して算出した。二次核の多くは有意でないこと、および、左眼の核と右眼の核とにかなりの相違があることに注意を要する。
【0057】
実施例5
擬似ランダム二極性系列B
図5は図4と同様の情報を示しているが、刺激系列は、ヌル刺激条件の発生する確率が1/2であり、かつ他の2つの各条件の発生する確率がそれぞれ1/4である、図2のパネルBで示した種類の疎な系列である。それ以外の条件は図4と同じである。データは、同じ被験者で、図3および図5を生成したものの間にインターリーブした記録から得たものである。図4と比較してより多くの核が有意となったこと、および、図3と比較して両眼の核がよりよく類似していることに注意を要する。
【0058】
実施例6
擬似ランダム二極性系列C
図6は図3および図4と同様の情報を示しているが、刺激系列は、ヌル刺激条件の発生する確率が14/16であり、かつ他の2つの各条件の発生する確率がそれぞれ1/16である、図2のパネルCで示した種類の疎な系列である。それ以外の条件は図4と同じである。データは、同じ被験者で、図4および図5を生成したものの間にインターリーブした記録から得たものである。図4および図5のいずれと比較してもより多くの二次核が有意となったこと、ならびに、図4および図5のいずれと比較しても両眼の核がよりよく類似していることに注意を要する。このように、刺激系列が着実により疎になるにつれて、核の信頼性が向上する。
【0059】
実施例7
擬似ランダム単極性系列D
図7は図4、図5および図6と同様の情報を示しているが、刺激系列は、0.4〜0.6秒でランダムに分布した刺激間インターバルとともに1つの非ヌル刺激が繰り返し呈示される、図2のパネルDで示した種類の非常に疎な単極性の系列である。プロットされた核は推定された一次ウィーナー核であり、スケールバーが示しているとおり単位はマイクロボルトである。横方向の破線は核の推定標準誤差の+1.96倍および-1.96倍を表しており、したがって信頼レベル95%での有意性検定の棄却域を示す。データは45歳の女性から得たものであり、核は40秒間の刺激系列を4回繰り返して算出した。この図において、左右のパネルはそれぞれ左眼および右眼に呈示した刺激に対する核を示したものである。中央のパネルは、両方の眼への呈示、すなわち両眼呈示に対する核を示す。左眼、右眼、および両眼への呈示時間はすべて40秒間×4回すなわち総記録時間160秒間であり、このすべての場合において、かつ、全領域において、振幅の大きい非常に有意な核が得られたことに注意を要する。
【0060】
本明細書で引用したすべての特許、特許出願、および公表物の開示は参照として完全に本明細書に組み入れられる。
【0061】
本明細書中のいかなる参照の引用も、そうした参照が本願に対する「先行技術」として利用可能であることを認めるものと解釈すべきではない。
【0062】
本明細書全体にわたり、その目的は本発明の好ましい態様を説明することにあり、本発明をいかなる態様にも、または特徴の特定の収集物にも限定するものではない。したがって当業者には、本開示に照らして、本発明の範囲から逸脱することなく本明細書に例示の特定の態様に対して種々の改変および変更を行いうることが理解されるものと思われる。そのような改変および変更はすべて添付の特許請求の範囲に含まれるものと意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 神経系構成部位の機能状態を評価するための本発明の装置の非限定的な態様を構成する基本システム構成要素の機能ブロック図である。
【図2】 4種類の擬似ランダム刺激系列を示す。最上段のパネルは、刺激が2つのレベルの間で変化する二値系列を示す。中段のパネルは、三値または二極性のバージョンの疎な擬似ランダム刺激系列を示す。この場合、刺激は、刺激レベルが中央である、より頻度の高いヌル刺激条件と、レベルがヌル刺激条件を上回るおよび下回る、より頻度の低い2つの刺激条件とからなる、3つのレベルを有する。第三のパネルは、より疎な三値擬似ランダム刺激系列を示す。第四のパネルは、ランダムに分布した刺激間インターバルとともに呈示される単極性非ヌル刺激条件からなる、非常に疎な単極性の擬似ランダム刺激系列を示す。
【図3】 本発明の装置の非限定的な態様で使用される視覚刺激の空間配置を表す略図である。
【図4】 図3の8つの各領域について推定したウィーナー核係数を示す。左側のパネルは図3の8領域を左眼に呈示した場合の核を表す。右側のパネルはこの刺激を右眼に呈示した場合の核を表す。
【図5】 図5は、刺激系列が、ヌル刺激条件を生成する確率が1/2であり、かつ他の2つの各条件を生成する確率がそれぞれ1/4である、図2の中段のパネルに示した種類の疎な系列である点を除いて、図4と類似している。それ以外の条件は図4と同じである。
【図6】 図6は、刺激系列が、ヌル刺激条件を生成する確率が14/16であり、かつ他の2つの各条件を生成する確率がそれぞれ1/16である、図2の第三のパネルに示した種類の疎な系列である点を除いて、図4と類似している。それ以外の条件は図4と同じである。
【図7】 図6は、刺激系列が、刺激間インターバルが0.4秒から0.6秒までの間でランダムに分布する、図2の最下段のパネルに示した種類の非常に疎な単極性の系列である点を除いて、図3、図4、および図5と類似している。それ以外には、左側および右側のパネルの条件は図4と同じである。すなわち、それぞれ左眼および右眼への非ヌル刺激の呈示を表す。中央のパネルは、両方の眼への非ヌル刺激条件の呈示すなわち両眼呈示のウィーナー核を表す。

Claims (38)

  1. 被験者の神経系構成部位の機能状態を同時に評価するための方法であって、該方法が
    被験者の感覚神経複数の構成部位に、感覚神経の各刺激部位に適した刺激モダリティーの、異なる時間変調系列を有する刺激系列を同時に呈示する段階であって、刺激が各刺激部位ごとに異なる系列を有する、段階;
    ヌル(null)刺激条件と、ヌル刺激条件に比べて増大の刺激条件および減衰の刺激条件からなる群より選択される少なくとも1つの非ヌル(non-null)刺激条件との間で刺激を時間変調する段階であって、刺激系列中のヌル刺激条件に遭遇する確率が、少なくとも1つの非ヌル刺激条件に遭遇する確率と比較して高く、かつ神経系の各構成部位に呈示した各刺激に対する反応測定結果が、時間変調した刺激により推定される線形加重関数および非線形加重関数によって特徴付けられる、段階;
    前記被験者において前記刺激系列に対する反応を測定する段階;
    各刺激系列に関する線形加重関数および非線形加重関数の係数の一部または全部を、該刺激に対する反応測定結果から推定し、個別にかつ同時に刺激された神経系構成部位からの個別の反応を分離する、段階;ならびに
    他の刺激条件に対する反応に関して個別の係数を推定し、該他の刺激条件の別個のメンバーに反応する神経系構成部位から個別の反応を分離する段階、
    を含み、前記刺激系列が、非周期なヌル刺激条件を含む擬似乱数の刺激系列であり、少なくとも1つの疎な非ヌル刺激条件が、刺激系列内で1秒あたり約0.25〜約6回の平均頻度で生じる、方法
  2. 刺激系列が、ヌル刺激条件と、ヌル刺激条件を基準とするパラメータの増大を特徴とする増大刺激条件およびヌル刺激条件を基準とするパラメータの減衰を特徴とする減衰刺激条件を含む2つの非ヌル刺激条件とを含む刺激系列であって、該非ヌル刺激条件を該ヌル刺激条件に比べて低頻度で呈示する、請求項1に記載の方法。
  3. 刺激系列がヌル刺激条件と単一の非ヌル刺激条件とを含む刺激系列であって、該非ヌル刺激条件を該ヌル刺激条件に比べて低頻度で呈示する、請求項1に記載の方法。
  4. 刺激系列がヌル刺激条件と複数の非ヌル刺激条件とを含む刺激系列であって、該非ヌル刺激条件を該ヌル刺激条件に比べて低頻度で呈示する、請求項1に記載の方法。
  5. 1秒あたり約1〜約6回の平均頻度で少なくとも1つの非ヌル条件が生じる、請求項1に記載の方法。
  6. 刺激が触覚刺激、聴覚刺激、視覚刺激、またはその組合せより選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 少なくとも1つの非ヌル条件が視覚刺激による刺激を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 視覚刺激が種々の輝度レベルまたはコントラストレベルから選択される、請求項7に記載の方法。
  9. 刺激系列が、ヌル刺激条件と、ヌル刺激条件に比べてパラメータの増大を特徴とする増大刺激条件とヌル刺激条件に比べてパラメータの減衰を特徴とする減衰刺激条件とを含む2つの非ヌル刺激条件とを含む刺激系列であって、該非ヌル刺激条件を該ヌル刺激条件に比べて低頻度で呈示する、請求項7に記載の方法。
  10. パラメータが相対的な刺激コントラストである、請求項9に記載の方法。
  11. 刺激系列がヌル刺激条件と単一の非ヌル刺激条件とを含む刺激系列であって、該非ヌル刺激条件を該ヌル刺激条件に比べて低頻度で呈示する、請求項7に記載の方法。
  12. パラメータが輝度である、請求項11に記載の方法。
  13. 呈示する段階が以下の段階を含む、請求項7に記載の方法:
    視神経、視放線、および視覚皮質中で合流するストリームをそれらの網膜上の配置に従って大まかに分離するため、ならびに/または、脳の視覚に関与する領域の異なる部位を刺激するため、被験者の各眼の視野を複数の刺激領域に分割する段階;ならびに、
    各眼の各視野の見え方の時間変調が異なる刺激を両眼に呈示する段階であって、刺激が各眼の視野内の各対応領域ごとに異なる、段階。
  14. 視野が、側頭視野、鼻側視野、下方視野、および上方視野からなる群より選択される部分の少なくとも1つを規定する軸に沿って視野を分ける四分円と、これら四分円を同心円状に分ける区画とに分割され、これにより視野の中央部と周辺部とを別々に刺激することが可能になる、請求項13に記載の方法。
  15. 刺激が、各刺激領域内の要素の輝度またはコントラストを2段階もしくは3段階の輝度レベル間または2段階もしくは3段階のコントラストレベル間で変調することを含む、請求項13に記載の方法。
  16. レベル間の変更を支配する関数が、ほぼ均一に分布した雑音である、請求項15に記載の方法。
  17. 刺激が、群または位置より選択される追加のパラメータまたは刺激帯の要素の見かけ上の色深度を2段階または3段階のレベル間で変調することを含み、かつ、レベル間の変更を支配する関数が、ほぼ均一に分布した雑音である、請求項15に記載の方法。
  18. 時間変調した刺激が、神経系の各部位に呈示した各刺激に対する反応測定結果を特徴付ける線形加重関数および非線形加重関数を推定するための、十分な複雑度をもつ、請求項1に記載の方法。
  19. 線形加重関数および非線形加重関数がウィーナー核またはヴォルテラ核である、請求項1に記載の方法。
  20. 線形核の経時過程内で選択されたピークまでの潜時、および/または、核の形状もしくは振幅を、神経系構成部位の機能状態の測定値として用いる、請求項19に記載の方法。
  21. 被験者の神経系構成部位の機能状態を評価するための装置であって、該装置が、
    被験者の感覚神経系の複数の構成部位に、感覚神経の各刺激部位に適した刺激モダリティーの、異なる時間変調系列を有する刺激系列を同時に呈示するための刺激手段であって、刺激は各刺激部位ごとに異なる系列を有し、刺激手段が、ヌル刺激条件と、ヌル刺激条件に比べて増大の刺激条件および減衰の刺激条件からなる群より選択される少なくとも1つの非ヌル刺激条件との間で刺激を時間変調させるための手段を含み、ここで、刺激系列中のヌル刺激条件に遭遇する確率が、少なくとも1つの非ヌル刺激条件に遭遇する確率と比較して高く、かつ神経系の各構成部位に呈示した各刺激に対する反応測定結果が、時間変調した刺激により推定される線形加重関数および非線形加重関数によって特徴付けられる、刺激手段;
    該刺激系列に対する該被験者の反応をモニタリングするためのモニタリング手段;
    該刺激に対する反応測定結果から各刺激系列に関する線形加重関数および非線形加重関数の係数の一部または全部を推定し、個別にかつ同時に刺激された神経系構成部位からの個別の反応を分離するための手段;ならびに
    他の刺激条件に対する反応に関して個別の係数を推定し、該他の刺激条件の別個のメンバーに反応する神経系構成部位から個別の反応を分離するための手段
    を含み、前記刺激系列が、非周期なヌル刺激条件を含む擬似乱数の刺激系列であり、前記刺激手段が、刺激系列内で1秒あたり約0.25〜約6回の平均頻度で少なくとも1つの疎な非ヌル刺激条件を呈示するための手段を含む、装置。
  22. 前記線形加重関数および非線形加重関数の係数が、処理手段により、前記刺激に対する反応測定結果から各刺激系列について評価される、請求項21記載の装置。
  23. 刺激手段が、ヌル刺激条件と、ベースライン刺激条件に比べてパラメータの増大を特徴とする増大刺激条件およびヌル刺激条件に比べてパラメータの減衰を特徴とする減衰分刺激条件を含む2つの非ヌル刺激条件とを含む刺激系列を呈示するための手段を含み、ここで、該非ヌル刺激条件該ヌル刺激条件に比べて低頻度で呈示される請求項21に記載の装置。
  24. 刺激手段が、ヌル刺激条件と単一の非ヌル刺激条件とを含む刺激系列を呈示するための手段を含み、ここで、該非ヌル刺激条件該ヌル刺激条件に比べて低頻度で呈示される請求項21に記載の装置。
  25. 刺激手段が、1秒あたり約1〜約6回の平均頻度で少なくとも1つの非ヌル条件を呈示するための手段を含む、請求項21に記載の装置。
  26. 刺激手段が、感覚様相を刺激するための手段を含む、請求項21に記載の装置。
  27. 刺激手段が、視覚を刺激するための手段を含む、請求項21に記載の装置。
  28. 刺激手段が、異なる輝度レベルを呈示するための手段を含む、請求項21に記載の装置。
  29. 刺激手段が、異なるコントラストレベルを呈示するための手段を含む、請求項21に記載の装置。
  30. 刺激手段が、各眼に提示される個別の視認画像のストリームを呈示するための手段を含む、請求項21に記載の装置。
  31. 個別の視認画像が異なるコントラストレベルの画像を含む、請求項30に記載の装置。
  32. 個別の視認画像が異なる輝度レベルの画像を含む、請求項30に記載の装置。
  33. 刺激手段が、視神経、視放線、および視覚皮質中で合流するストリームをそれらの網膜上の配置に従って大まかに分離するため、ならびに/または、脳の視覚に関与する領域の異なる部位を刺激するために、各眼に複数の刺激領域を呈示するための手段を含む、請求項30に記載の装置。
  34. 刺激手段が、各眼の各視野の見え方の時間変調が異なる刺激を両眼に呈示するための手段をさらに含み、ここで、刺激が各眼の視野内の各対応領域ごとに異なる、請求項30に記載の装置。
  35. 視野が、側頭視野、鼻側視野、下方視野、および上方視野からなる群より選択される部分の少なくとも1つを規定する軸に沿って視野を分ける四分円と、これら四分円を同心円状に分ける区画とに分割され、これにより視野の中央部と周辺部とを別々に刺激することが可能になる、請求項34に記載の装置。
  36. モニタリング手段が、刺激系列に対する被験者の反応を記録するための記録手段を含む、請求項21に記載の装置。
  37. 記録手段が、反応の客観的指標を提供するための視覚誘発電位を記録する、請求項36に記載の装置。
  38. 処理手段が、タイミング手段と、反応の指標である記録手段からの信号を受け取るための手段とを含む、請求項21に記載の装置。
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