JP4834906B2 - 風砕スラグ粒子の製造方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄所や電気炉、焼却灰溶融炉等の溶融炉から発生する溶融状のスラグを風砕処理する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート用細骨材の約半量は海砂が使用されているが、近年、環境保全の観点から海砂の採取が禁止されつつある。また、建築物の高層化、大型化に伴い、高強度、長寿命、高流動性のコンクリートが開発されているが、コンクリート用細骨材として海砂を使用した場合には、塩害によるコンクリート構造物の経年劣化問題など、コンクリート骨材に起因する問題が発生する。
【0003】
ところで、製鉄所や電気炉、焼却灰溶融炉等の溶融炉から発生する液状の鉄鋼スラグは、鉄製品1トン当たり約450kgも発生し、これを例えば風砕処理することで、セメント原料、路盤材、コンクリート用細骨材、ロックウール原料として再利用している。
【0004】
しかしながら、従来の鉄鋼スラグから得られた製品は、溶融したスラグの性質を十分に利用したスラグ製品とはなっていないのが実情である。
例えば液状の鉄鋼スラグを風砕して有益なコンクリート用細骨材とするためには、スラグ粒子を微小の球形で、かつ、緻密にする事が求められる。また、製造上の技術的な問題としては、歩留り向上のため、溶融状のスラグを効率よく吹き飛ばすことが必要である。
【0005】
微小の球形スラグ粒子を得るためには、溶融状態で微小液滴に分散しなければならず、例えば実開昭59−37337号では、樋から放物線を描いて流出する溶融スラグが、上部ノズルと下部ノズルからの噴出流が交差する点に位置するようにした風砕スラグ製造用樋装置が提案されているが、この場合、風力のみのエネルギーで溶融スラグを分散させていることになるので、溶融スラグの持つ重力エネルギーが有効に活用されておらず、その分風力を大きくしなければならないという問題があった。
【0006】
また、特開昭59−107949号では、溶融スラグ噴出用ノズル内に設けたスプレーノズルから所定量の水を添加する方法が、また、特開昭57−156346号では、スラグに吹き付ける空気中に水を混入する事により、ガラス化率を高くする方法が提案されている。これらは、溶融スラグ中に水を添加しその気化エネルギーで微小液滴に分散させる原理であり、気化するためのエネルギーを溶融スラグから奪うため、溶融スラグの温度が下がることになって分散されにくくなるのみならず、分散された粒子が球形とならないものがあったり、粒子径のばらつきが大きくなる傾向がある。加えて、特開昭57−156346号の場合、ガラス化率が高くなるとホッパーなどに貯留した際に、粒子表面のガラス質が活性化していることから接触している隣の粒子と結合されて大きな固まりとなる固結の問題が発生する。
【0007】
また、特開昭59−107950号では、溶融スラグ中に核となる風砕スラグを添加する方法が、また、特開昭60−215558号では、石炭灰やガラスを添加して風砕を行う方法が提案されている。これらの場合は、溶融スラグ中に核となる風砕スラグ、石炭灰やガラスを添加するため、溶融スラグの温度が低下し、それに伴って溶融スラグの粘度が高くなる。従って、分散された液滴粒子径が大きくなったり、粘度が高くなった分と添加した風砕スラグ粒子、石炭灰やガラスを飛翔させるための余分な運動エネルギーを風力で与える必要があり、供給する風力エネルギーを大きくする必要があった。加えて、特開昭60−215558号では、ガラス化率を高くするとともに、分散時に核粒子の役目を担うものとなり、特開昭57−156346号と同様に固結の問題と風力エネルギーの増大の問題が発生する。
【0008】
また、実開昭59−64930号では、空気ノズルを幅方向に末広がりとすることで、大量の溶融スラグを風砕処理できる装置が提案されているが、ノズルを末広がりとすると広い落下幅で大量に流下する溶融スラグを処理できるものの、溶融スラグの単位質量に対する風力エネルギーは、幅方向に広がった分だけ小さくなっているため、分散される液滴粒子径が大きくなるという問題がある。
【0009】
また、特開平5−124842号では、溶融スラグに吹き付けるガス中の酸素濃度を高くして、未滓化石灰を滓化させる方法が提案されているが、この方法は鉄等の酸化熱を利用して滓化させるものと考えられ、被酸化物がなければ滓化することは不可能である。
【0010】
加えて、製造技術上、歩留り向上は大きな要素であり、溶融スラグのボタ落ちは歩留りを左右する大きな要因であるが、前記した実開昭59−37337号で提案された装置では、先に説明したように構成することで未凝固のボタ落ちスラグがなくなるとしているが、空気などのガス体で溶融スラグ流の流れ方向を変える場合、溶融スラグ流れの揺らぎによってガス体の流れは容易に変化することから、ボタ落ちを完全になくすことができない。例えば、溶融スラグ中に樋付着物の破片や半凝固の固まりが流れてきた場合、これらの凝固物はガス噴流では破砕できないので、その周りのガスは凝固物の周囲に押し寄せられて流れ、凝固物が流下した直後はガス流れに澱みができて未凝固スラグのボタ落ちが発生する。
【0011】
歩留り低下のもう一つの要因は、スラグウールの生成である。スラグウールは、溶融スラグと気体噴流とが衝突し、冷却されながら分散、飛翔してゆくとき、スラグの流下方向から飛翔方向へ流れが変わっている場所で溶融スラグが引っ張られながら冷却軟化した後凝固し、繊維状となってウールが飛翔することにより生成されるが、このスラグウールの生成を効果的に防止する手段は、特になく風力エネルギーを大きくする等で対応するしかなかった。
【0012】
また、溶融スラグは、凝固過程で内包する成分のガス化により気泡を含んでいることから、コンクリート用細骨材などの用途においては前記気泡が水分やセメントを吸収し、生コンクリートの配合調整が比較的難しいという問題もあった。
【0013】
また、風砕した場合の凝固過程では、スラグが液滴になるため、スラグの単位重量あたりの表面積が大きくなって、冷却速度が速くガラス化率が高くなる。水硬性を必要とする用途に対してはこの状態が好ましいが、取り扱い上でホッパー内に貯留すると固結するなどの問題が発生する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した各種の問題点に鑑みてなされたものであり、ボタ落ちとスラグウールの生成を極力小さくなしつつ、溶融スラグを極力少ない風力エネルギーにより溶融状態で5mm以下の微小液滴に分散、飛翔させ、自己表面張力で球形にして凝固処理する風砕処理方法及び装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、鉛直下方に流下する溶融スラグを衝突させる回転ドラムと、前記鉛直下方に流下する溶融スラグと鋭角を存して傾斜配置した1つ以上の傾斜ノズルと、前記鉛直下方に流下する溶融スラグと概略直角交差すべく水平配置した水平ノズルと、この水平ノズルの回転ドラム幅方向両端から垂直な面に沿って概略水平な噴流面を形成するように配置した側面ノズルと、回転ドラムに対しスラグ飛翔方向の下方に、スラグを上方に飛翔させるべく配置した吹上ノズルを用いて、傾斜ノズル、水平ノズル、側面ノズルを介して冷媒粉を混合したガス体を、前記溶融スラグと回転ドラムとの衝突点又は衝突点近傍に吹き付けた後、スラグに吹上ノズルを介し冷媒粉を混合したガス体を吹き付けることとしている。そして、このようにすることで、液滴粒子の再結合を防止可能な、溶融又は半溶融状態のスラグ液滴の表面に、固体状態の冷媒粉を付着、溶着させた粒子径が5mm以下のスラグ粒子を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る溶融スラグからの風砕スラグ粒子製造方法は、鉛直下方に流下する溶融スラグを衝突させる回転ドラムと、前記鉛直下方に流下する溶融スラグと鋭角を存して傾斜配置した1つ以上の傾斜ノズルと、前記鉛直下方に流下する溶融スラグと概略直角交差すべく水平配置した水平ノズルと、この水平ノズルの回転ドラム幅方向両端から垂直な面に沿って概略水平な噴流面を形成するように配置した側面ノズルと、回転ドラムに対しスラグ飛翔方向の下方に、スラグを上方に飛翔させるべく配置した吹上ノズルを備えた本発明に係る溶融スラグからの風砕スラグ粒子の製造装置を用いて、傾斜ノズル、水平ノズル、側面ノズルを介して冷媒粉を混合したガス体を、前記溶融スラグと回転ドラムとの衝突点又は衝突点近傍に吹き付けた後、スラグに吹上ノズルを介し冷媒粉を混合したガス体を吹き付けることで粒子径が5mm以下の細かい液滴に分散させるものである。
【0017】
本発明に係る溶融スラグからの風砕スラグ粒子製造方法により製造した風砕スラグ粒子、溶融又は半溶融状態のスラグ液滴の表面に、固体状態の冷媒粉を付着、溶着させて1つのスラグ粒子を構成しているので、液滴粒子の再結合を防止することができる。
【0019】
上記した本発明では、溶融スラグを微小液滴に分散する位置に、重力エネルギー、風力エネルギー、冷媒粉の運動エネルギー、回転ドラムの運動エネルギー等が集中するので、溶融スラグを細かい液滴に分散させることができると共に、その飛翔方向を制御調整し、生成しようとするスラグウールの微小繊維を分散用ガス体に混合している冷媒粉によって細かく裁断し、微小に分散された溶融スラグ液滴粒子の表面に付着させることができる。
【0020】
また、本発明に係る溶融スラグからの風砕スラグ粒子製造方法において、冷媒粉に加えて石炭粉又は炭素分を含む製鉄ダストを前記ガス体に混合した場合には、前記分散位置に集中させる、重力エネルギー、風力エネルギー、冷媒粉の運動エネルギー、回転ドラムの運動エネルギーの他に熱エネルギーが付加され、スラグの温度を上げ粘性を下げ液滴に分散しやすくなる。
【0021】
また、本発明に係る溶融スラグからの風砕スラグ粒子製造方法において、冷媒粉としてステンレススラグ粉を用いた場合には、従来、粉化性故スラグの一般的用途のセメント原料や路盤材、コンクリート用細骨材等に利用できず、廃棄処分をしていたものが、コンクリート用細骨材等の製品として利用することが可能になる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を図1〜図3に示す1実施例に基づいて説明する。
図1は本発明に係る溶融スラグからの風砕スラグ粒子の製造装置の概略構成図、図2は図1を側面から見た図、図3はステンレススラグ粉を付着した溶融スラグ液滴のイメージを示した図である。
【0023】
図1及び図2において、1は例えば高炉スラグや製鋼スラグなどの溶融したスラグ(以下、単に「溶融スラグ」という)であり、この溶融スラグ1を受け取って案内する樋2の流下末端部に設けたノズル3のノズル孔から鉛直下方に流下するようになされている。
【0024】
4は前記したように鉛直下方に流下する溶融スラグ1を衝突させる回転ドラムであり、例えば、流下する溶融スラグ1の落下高さHが1.5m以上となるように、前記ノズル3の鉛直下方に配置されている。そして、この回転ドラム4は、概ねその周速が5m/秒以上で、溶融スラグ1との衝突点8の接線速度方向が後述する水平ノズル6の噴射方向と同じ方向となるように回転され、衝突する溶融スラグ1を一方向に飛翔させる。このように構成することで、樋2のノズル3から鉛直下方に流下した溶融スラグ1は確実に回転ドラム3に衝突し、ボタ落ちなどの固まりを形成することがなくなる。
【0025】
5は前記鉛直下方に流下する溶融スラグと鋭角、例えば45°以内の角度を存して回転ドラム4の上方位置に傾斜配置した例えば2つの傾斜ノズルであり、これらの傾斜ノズル5から噴射される例えば冷媒粉12を混合した蒸気13が、前記溶融スラグ1と回転ドラム4との衝突点8(回転ドラム4の頂部)又は衝突点8の近傍(図1において9で示す円で囲んだ範囲)に吹き付けられるようになっている。
【0026】
この傾斜ノズル5は、1つの場合には、傾斜ノズル5から噴射する例えば冷媒粉12を混合した蒸気13の分力が、後述する水平ノズル6から噴射される例えば冷媒粉12を混合した圧縮空気14の噴射方向と同じ方向からスラグに作用するように傾斜配置させ、複数の場合には、溶融スラグ1が鉛直下方に流下するように、溶融スラグ流下体に対し対称的に配置して、溶融スラグ1を回転ドラム4に衝突させることが好ましい。
【0027】
なお、この傾斜ノズル5は、前記したように、回転ドラム4の頂部で溶融スラグ1と交差するものでなくても、交差後の流下が鉛直下方に制御できるものであれば、回転ドラム4と溶融スラグ1の衝突点8の鉛直上方位置で傾斜ノズル5から噴射される例えば冷媒粉12を混合した蒸気13と交差するものであっても良い。
【0028】
6は回転ドラム4の長手方向の一方側方に水平配置した水平ノズルであり、この水平ノズル6から噴射される例えば冷媒粉12を混合した圧縮空気14が、例えば回転ドラム4の上端線位置の溶融スラグ1と回転ドラム4との衝突点8又はその近傍9において、鉛直下方に流下してきた溶融スラグ1と概略直角交差するように吹き付けられるようになっている。
【0029】
7は前記水平ノズル6の回転ドラム4幅方向両端から垂直な面に沿って概略水平な噴流面を形成するように、回転ドラム4の長手方向の一方側方に配置した側面ノズルであり、この側面ノズル7から噴射される例えば冷媒粉12を混合した圧縮空気14も、回転ドラム3の上端線位置を含む上方において、鉛直下方に流下してきた溶融スラグ1と概略直角交差するように吹き付けられるようになっている。
【0030】
すなわち、これら水平ノズル6と側面ノズル7は、溶融スラグ1と回転ドラム4との衝突点8又はその近傍9における回転ドラム4の上端線と概略直角交差した水平方向に、例えば冷媒粉12を混合した圧縮空気14を吹き付けることで、前記傾斜ノズル5との落下衝突によって回転ドラム4上で水平面の全方向に飛翔しようとする溶融スラグ液滴11(図3参照)を一方向に飛翔させるためのものである。
【0031】
なお、前記した水平ノズル6と側面ノズル7は一体構成としたものでも、また、別々に構成して所定位置に配置したものでも良い。また、水平ノズル6と側面ノズル7の噴射方向は、概略水平であれば、スラグの飛翔方向によってはやや上向きにしても構わない。
【0032】
10は回転ドラム4に対しスラグ飛翔方向の下方、すなわち、回転ドラム4の長手方向における他方側方の下方位置に配置した吹上ノズルであり、この吹上ノズル10から噴射される例えば冷媒粉12を混合した圧縮空気14によって、スラグを上方に飛翔させる。
【0033】
すなわち、吹上ノズル10は、微小な溶融スラグ液滴11に分散された溶融スラグ1が、自己の表面張力で球形に変形し、かつ、凝固する時間を空気又は雰囲気ガス中で確保するために、上方に向けて例えば冷媒粉12を混合した圧縮空気14を噴射するものであり、水平ノズル6、側面ノズル7、傾斜ノズル5から噴射された例えば冷媒粉12を混合した圧縮空気14や蒸気13及び溶融スラグ1の概略水平流れと交差し、冷媒粉12を混合した圧縮空気14や蒸気13及び溶融スラグ1の流れを上向きに変え、放物線を描きながら一旦上昇した後落下するような軌跡を描くように流量、方向を調整する。
【0034】
本発明に係る溶融スラグからの風砕スラグ粒子の製造装置は上記した構成であり、傾斜ノズル5、水平ノズル6、側面ノズル7を介して例えば冷媒粉12を混合した蒸気13と、冷媒粉12を混合した圧縮空気14を、ノズル3から鉛直下方に流下してくる溶融スラグ1と回転ドラム4との衝突点8又はその近傍9に吹き付けた後、スラグに吹上ノズル10を介して例えば冷媒粉12を混合した圧縮空気14を吹き付けるのである。
【0035】
このような本発明によれば、溶融スラグ1を微小な溶融スラグ液滴11に分散する位置に、重力エネルギー、風力エネルギー、冷媒粉の運動エネルギー、回転ドラムの運動エネルギー等が集中することになるので、溶融スラグ1を粒子径が5mm以下の細かい液滴に分散させることができるようになる。
【0036】
また、本発明によれば、吹上ノズル10から吹き付ける冷媒粉12を混合した圧縮空気14によって前記分散した細かい液滴の飛翔方向を制御調整し、ノズル噴流と周囲雰囲気又は比較的飛翔速度の遅い溶融スラグとの境界層で生成しようとするスラグウールの微小繊維に、蒸気13や圧縮空気14に混合させた冷媒粉12が高速で衝突することによって、スラグ繊維が細かく裁断されるため、綿状の物体を形成することがなくなる。
【0037】
また、分散時や飛翔時に溶融スラグ液滴11と冷媒粉12が衝突することによって、図3に示したように、溶融スラグ液滴11の表面に冷媒粉12が付着し、溶融スラグ液滴表面の冷却速度が小さくなることにより、ガラス化率が低下して結晶化が進み、飛翔中又は落下後の溶融スラグ液滴11粒子同士の接触による再結合を防止できるようになる。
【0038】
また、本発明によれば、回転ドラム4の表面は、冷媒粉12の衝突によって常に清浄に研磨されると共に、搬送ガス体によって冷却されており、スラグの溶着及び付着による分散時における衝突反力の減少等の悪影響を防止できることになる。
【0039】
本発明に使用する例えば蒸気13や圧縮空気14に混合する冷媒粉12は、傾斜ノズル5、水平ノズル6、側面ノズル7、吹上ノズル10等の噴出ノズル内でガス流速により加速されて溶融スラグ1に衝突するため、その運動エネルギーは高く、溶融スラグ流下体を微小な溶融スラグ液滴11に分散させるために有効に働く。また、溶融スラグ1と接触する衝突点8或いはその近傍9が溶融スラグ液滴11に分散する位置のため、溶融スラグ1の温度を低下させずに瞬時に作用するので、粘性を上げて分散を弱める現象を起すことがない。
【0040】
また、本発明に使用するガス体の種類としては、空気又は水蒸気或いは酸化性の気体が好ましい。空気の場合、空気中の酸素と溶融スラグ1中の未酸化成分、例えば硫黄成分と反応し、SOx としてガス化し、溶融スラグ液滴11の形成時にスラグから抽出することができ、緻密なスラグ粒子を得ることができる。また、水蒸気の場合、スラグ中のN分をN2 とH2 Oガスとして抽出し、かつ、H2 SとSOx のガスとして溶融スラグ液滴11の形成時にスラグから抽出することができる。さらに、他の酸化性のガスを用いても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0041】
また、本発明ではガス体に冷媒粉12を混合するため、ガスのみの風力で分散が不十分な場合や、スラグ粒子の固結の問題が起こりやすいスラグも効果的に分散でき、また、ガラス化率を高くしたい場合や風力のみでも十分に分散できる。なお、スラグウールの生成を問題にしなければ冷媒粉12を使用しなくても良い。
【0042】
ところで、本発明に使用する冷媒粉12には、製鉄所内で発生するステンレススラグを用いることも可能である。ステンレススラグは、凝固後冷却過程で結晶構造が変わる変態点があり、粉化してしまうものがある。この粉化スラグは、数十μmであり水硬性も殆どなくスラグの一般的用途のセメント原料や路盤材、コンクリート骨材等に利用できないことから、従来は廃棄処分をしていたが、本発明の冷媒粉12として使用することにより、細骨材等の製品として利用することが可能となる。
【0043】
また、冷媒粉12の中に石炭粉又は炭素分を含んだ製鉄ダストを混合して使用することも可能である。この石炭粉又は炭素分を含んだ製鉄ダストは、分散位置に集中させる重力エネルギー、風力エネルギー、冷媒粉12の運動エネルギー、回転ドラム4の運動エネルギーの他に熱エネルギーを付加するものであり、溶融スラグ1の温度を上げて粘性を下げ、溶融スラグ液滴11に分散しやすくするものである。石炭粉又は炭素分を含んだ製鉄ダストを冷媒粉12中にある配合割合で混合しノズルで吹き付けることにより、搬送空気や周囲の酸素分と反応して石炭が燃焼しガス化すると共に熱を発生する。よって、石炭のガス化による体積膨張力付与と燃焼熱を付与する事によって溶融スラグ1の微小な溶融スラグ液滴11への分散を強化することができる。
【0044】
以上の本発明装置を用いた本発明方法によって、5mm以下の溶融又は半溶融状態のスラグ液滴11の表面に、図3に示したように、固体状態の冷媒粉12を付着、溶着させたスラグ粒子を、大きな風力を用いずに、しかも、ボタ落ちやスラグウールの生成なく、品質の安定性を確保しつつ高い歩留りで製造することができる。
【0045】
ちなみに、図1及び図2に示した構成の本発明装置を用い、温度が1623〜1673Kの高炉溶融スラグを、10〜30T/Hの流量で、周速が5.0〜10m/secで回転している回転ドラム上に1.5mの高さから落下させ、この回転ドラム上の衝突位置に傾斜ノズルから1〜5t/hのステンレススラグ粉を混合した0.6〜0.2MPaの飽和蒸気を1〜3t/h、また、水平ノズルと側面ノズルから夫々1〜5t/hのステンレススラグ粉を混合した10〜30KPaの圧縮空気を5m3 /min吹き付け、その後、吹上ノズルから1〜5t/hのステンレススラグ粉を混合した10〜30KPaの圧縮空気を20m3 /min吹き付けて風砕スラグを製造したところ、製造した風砕スラグは粒子径が5mm以下のものが95%で、その際の歩留りは95%以上であった。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
▲1▼ 風力のみを用いた液滴への分散では、気体とスラグの重量比が0.25〜0.4必要であったが、本発明によれば、気体とスラグの重量比が0.2程度で、歩留りは95%以上を確保することができ、更に、ガス体として蒸気を使用する場合には、必要な蒸気については、風砕時に同伴するガス体の冷却にボイラーを用いて廃熱回収して得ることができ、一層の用役費の低減が図れる。
【0047】
▲2▼ 本発明によれば、使用する冷媒粉の種類を変更することによって、球状スラグの品質を変更することができる。
▲3▼ ガス体として、空気、水蒸気、または酸化性ガスを用いた場合には、内包するガス化成分を積極的に抽出し、緻密なスラグ粒子を得ることができるようになる。
【0048】
▲4▼ ステンレススラグ等再利用不可能だった廃棄物の粉状物を冷媒として使用した場合には、これらの再利用を図ることができると共に処分量を低減でき、環境負荷を低減することができる。
▲5▼ 高温炉近傍で滓鍋にスラグを受け、広範な面に排滓し徐冷、破砕する滓処理場での作業の内、溶融スラグを直接平面に排滓したり、ショベルで粗破砕したり、移動するなどの危険な作業を不要とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る溶融スラグからの風砕スラグ粒子の製造装置の概略構成図である。
【図2】図1を側面から見た図である。
【図3】ステンレススラグ粉を付着した溶融スラグ液滴のイメージを示した図である。
【符号の説明】
1 溶融スラグ
4 回転ドラム
5 傾斜ノズル
6 水平ノズル
7 側面ノズル
8 衝突点
9 衝突点の近傍
10 吹上ノズル
11 溶融ノズル液滴
12 冷媒粉
13 蒸気
14 圧縮空気

Claims (4)

  1. 直下方に流下する溶融スラグを回転体に衝突させると共に、前記鉛直下方に流下する溶融スラグに対し鋭角を存した位置と、前記鉛直下方に流下する溶融スラグと概略直角交差する水平位置と、この水平位置の回転体幅方向両端から垂直な面に沿って概略水平な噴流面を形成する位置とから、冷媒粉を混合したガス体を前記溶融スラグと回転体との衝突点又は衝突点近傍に吹き付け、その後、回転体に対しスラグ飛翔方向の下方からスラグを上方に飛翔させる方向に、冷媒粉を混合したガス体を吹き付けることで、前記溶融スラグを粒子径が5mm以下の細かい液滴に分散させると共に、その飛翔方向を制御調整し、生成しようとするスラグウールの微小繊維を前記ガス体に混合している冷媒粉によって細かく裁断し、微小に分散された溶融スラグ液滴粒子の表面に該冷媒粉を付着させることを特徴とする溶融スラグからの風砕スラグ粒子製造方法。
  2. 請求項1に記載の溶融スラグからの風砕スラグ粒子製造方法を実施する装置であって、鉛直下方に流下する溶融スラグを衝突させる回転ドラムと、前記鉛直下方に流下する溶融スラグと鋭角を存して傾斜配置した1つ以上の傾斜ノズルと、前記鉛直下方に流下する溶融スラグと概略直角交差すべく水平配置した水平ノズルと、この水平ノズルの回転ドラム幅方向両端から垂直な面に沿って概略水平な噴流面を形成するように配置した側面ノズルと、回転ドラムに対しスラグ飛翔方向の下方に、スラグを上方に飛翔させるべく配置した吹上ノズルを備え、前記傾斜ノズル、水平ノズル、側面ノズルを介して冷媒粉を混合したガス体を、前記溶融スラグと回転ドラムとの衝突点又は衝突点近傍に吹き付けた後、スラグに吹上ノズルを介し冷媒粉を混合したガス体を吹き付け、粒子径が5mm以下の細かい液滴に分散させるようにしたことを特徴とする溶融スラグからの風砕スラグ粒子の製造装置。
  3. 冷媒粉に加えて石炭粉又は炭素分を含む製鉄ダストを前記ガス体に混合することを特徴とする請求項1に記載の風砕処理方法。
  4. 冷媒粉としてステンレススラグ粉を用いることを特徴とする請求項1に記載の風砕処理方法。
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