JP4823439B2 - Control cable manufacturing method - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操作力の伝達、例えば、自動車におけるシフトレバーに入力された操作力をトランスミッションに伝えるために用いられるコントロールケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
アウターケーブル内をインナーケーブルが軸方向に移動するように構成された押し引きコントロールケーブルは、例えば、自動車等においてセレクトレバーとトランスミッションとを連結する操作索として使用されている。すなわち、セレクトレバーによってパーキング(P)、リバース(R)、ニュートラル(N)、ドライブ(D)等の各レンジを選択すると、選択に応じてアウターケーブル内をインナーケーブルが軸方向に押し引きされ、インナーケーブルの押し引きによりトランスミッションのレンジを切り換える。
【0003】
このような押し引きコントロールケーブルでは、インナーケーブルを押したときにも操作力を伝達する必要があるため、インナーケーブルの芯線を太くして座屈強度を高くする必要がある。一方、近年のコントロールケーブル配索場所の縮小化(例えば、上述した自動車用トランスミッションの変速用コントロールケーブルの場合、自動車のエンジンルームのコンパクト化による配索場所の縮小化)に伴い、コントロールケーブルは曲率半径を小さくして配索する必要がある(以下、小曲げ配索化という)。しかしながら、芯線を太くしたインナーケーブルを小曲げ配索すると、芯線に作用する曲げモーメントが大きく、長期間の使用により疲労して折損するという問題があった。
そこで、小曲げ配索することができ、高い座屈強度や耐久性を満足するために様々な提案がなされている(特開平09−088934号公報(以下、従来技術1という)、特開2000−130427(以下、従来技術2という))。
上記従来技術1には、一本の芯線のまわりに6本の側線を配設し、それらを合成樹脂でコートしたインナーケーブルが開示されている。このインナーケーブルでは、芯線及び側線の周囲に合成樹脂層を設けられているため、芯線及び側線に圧縮荷重が作用した際にちょうちん状に膨らむことが防止される。このため、芯線及び/又は側線を大径化することなく座屈強度の向上が図れ、芯線及び側線が大径化しないため耐久性の向上を図ることができる。
上記従来技術2には、表面に螺旋状の凹凸を設けた金属撚り線からなる芯材と、その芯材上に前記凹凸が表面に現れる状態で合成樹脂をコートしたインナーケーブルが開示されている。このインナーケーブルでも、上記従来技術1と同様に、芯材の周囲に合成樹脂層を設けることで芯線の大径化を抑制し、座屈強度の向上と耐久性を向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術はどちらもインナーケーブルの座屈強度を合成樹脂でコートすることで向上させているため、熱によって樹脂の機械的特性が変化しインナーケーブルの機械的特性が変化する、といった問題を有している。
【0005】
本発明は,上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、充分な座屈強度、耐久性を満足し、小曲げ配索が可能なコントロールケーブルを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段及び効果】
本発明は、アウターケーブルと、アウターケーブル内を軸方向に移動可能に内挿されるインナーケーブルとから構成される押し引きコントロールケーブルの製造方法であって、インナーケーブルは、芯線と、その芯線のまわりを所定の方向に撚られて配設される側線とを有し、前記製造方法は、芯線を構成する素線及び/又は側線を構成する各素線に、ショットピーニングによって、550MPa〜800MPaの表面圧縮残留応力を付与するショットピーニング工程を備え、前記ショットピーニング工程では、(1)ショット粒の粒径が0.10mm〜0.30mmであり、(2)ショット粒の投射速度が毎秒20〜60mであり、(3)ショット投射密度が40〜300kg/m であり、(4)ショットピーニングの対象の加工面積に対するショット粒の投射痕面積の総和の比であるカバレージ値が60%以上である、ことを特徴とする。
本明細書によって開示される一つの形態は、アウターケーブルと、アウターケーブル内を軸方向に移動可能に内挿されるインナーケーブルから構成される押し引きコントロールケーブルであって、インナーケーブルは、芯線と、その芯線のまわりを所定の方向に撚られて配設される側線とを有する。そして、芯線を構成する素線及び/又は側線を構成する各素線に550MPa〜800MPaの表面圧縮残留応力が付与されている。
このようなコントロールケーブルでは、芯線を構成する素線及び/又は側線を構成する各素線に550MPa〜800MPaの表面圧縮残留応力が付与されている。したがって、表面圧縮残留応力を付与することで、芯線、側線の線径が太いままで耐久性の向上を図ることができる。そして、素線径が太いので断面2次モーメントも大きくなることから座屈強度を向上させることができる。また、樹脂層の被覆なしにインナーケーブルの座屈強度、耐久性を向上させることができ、熱によってインナーケーブルの機械的特性が変化するという問題が生じない。
【0007】
上記のコントロールケーブルでは、前記インナーケーブルの芯線及び側線の外周には樹脂層がコートされておらず、前記アウターケーブルの内周面には、樹脂ライナーが配されていることが好ましい。
このようなコントロールケーブルでは、インナーケーブルの芯線及び側線の外周には樹脂層がコートされていないため、樹脂層をコートしない分だけインナーケーブルを細線化することができ、また、芯線及び側線の外周に樹脂層をコートする工程を省くことができる。さらに、インナーケーブルの芯線及び側線の外周に樹脂層をコートしなくても、インナーケーブルと接触するアウターケーブルの内周面が樹脂であることから摺動性に富み、また、接触する部分が異種材料であるため接触によるスティックが発生しない。
【0008】
上記のコントロールケーブルでは、前記芯線と側線の中で最も太い線材に表面圧縮残留応力が付与されていることが好ましい。
芯線と側線の中で最も太い線材に最も大きな曲げ応力が作用し耐久性が最も要求される。したがって、インナーケーブルを構成する線材の中で最も太い線材に表面圧縮残留応力を付与することで耐久性の問題が解決することができる。
【0009】
上記のコントロールケーブルでは、インナーケーブルを構成する最も太い線材の径を1.0mm〜1.8mmとしても良い。
このようなコントロールケーブルでは、インナーケーブルを構成する最も太い線材の径が1.0mm〜1.8mmであるため、インナーケーブルが充分な座屈強度を有し、インナーケーブルを押したときにも大きな操作力を伝達することができる。
【0010】
上記のコントロールケーブルでは、前記芯線又は側線に付与される表面圧縮残留応力は、ショットピーニング処理により付与されることが好ましい。ショットピーニング処理で表面圧縮残留応力を与える場合、窒化処理等の他の処理と比較して、短時間で連続的に表面圧縮残留応力を付与することができる。また、窒化処理は、設備の規模が大きくなり、さらには、有害物質の排出など環境面からも好ましくない。しかし、ショットピーニング処理は、設備の規模を抑え、かつ、環境的にも無害なことから有効な方法である。
前記ショットピーニング処理は、ショット投射密度が40〜300Kg/mの条件で施されていることが好ましい。ショット投射密度が上記範囲の場合は、ショットピーニングにより付与される表面圧縮残留応力を大きくすることができる。
【0011】
また、本明細書によって開示される一つの形態は、操作者の操作力が入力される入力装置と、操作者の操作力が伝達される出入力装置と、入力装置に一端が接続されるとともに他端が出力装置に接続されて、入力装置に入力される操作力を出力装置に伝達するコントロールケーブルとを備えた操作力伝達装置であって、前記コントロールケーブルは、アウターケーブルと、アウターケーブル内を軸方向に移動可能に内挿されるインナーケーブルから構成される。そして、そのインナーケーブルは、芯線と、その芯線のまわりを所定の方向に撚られて配設される側線とで構成されるとともに、芯線を構成する素線及び/又は側線を構成する各素線に550MPa〜800MPaの表面圧縮残留応力が付与されており、前記アウターケーブルが、最小曲げ半径が60mm〜140mmの条件で配索されている。
このような操作力伝達装置では、芯線を構成する素線及び/又は側線を構成する各素線に550MPa〜800MPaの表面圧縮残留応力が付与されているため充分な耐久性を備える。したがって、最小曲率半径が60〜140mmの条件で配索することができるため、操作力伝達装置をコンパクト化でき、小さなスペースに配設することができる。
この場合、芯線を構成する素線及び/又は側線を構成する各素線のうち、最も太い線材の径が1.0mm〜1.8mmとされていることが好ましい。このような構成によると、インナーケーブルが充分な座屈強度を有するため、操作力の伝達を確実に行なうことができる。また、インナーケーブルを構成する最も太い線材の径が1.2〜1.6mmの範囲は、最小曲率半径(70mm〜120mm)を小さくできる効果が大きく、特に、芯線径1.4mm近傍では、飛躍的に最小曲率半径(およそ80mm)を小さくできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のコントロールケーブルは、好ましくは以下のように製造され、以下のように使用され得る。
本発明のコントロールケーブルは、図1に示す形態で好適に実施することができる。すなわち、コントロールケーブルAは、アウターケーブルCと、アウターケーブルC内を軸方向に移動可能に内挿されるインナーケーブルBを備える。
インナーケーブルBは、芯線40と、芯線40の外周に配される複数の側線42により構成することができる。芯線40は、配索経路の長さに応じて適宜の長さに形成される。芯線40の線径は、インナーケーブルBを押すときに伝達される力(伝達力)の大きさに応じて適宜決定することができ、好ましくは1.0mm〜1.8mmの範囲内とすることができる。1.0mm未満では、素線径を1.0mmより小さくすると座屈強度が低下し、安定した座屈強度を有するためには多数の撚り構造が必要となり、インナーケーブルの大径化につながるからである。また、1.8mmを超えると小曲げ配索の際に芯線40に作用する曲げモーメントが大きくなりすぎるためである。
芯線40の素材は、従来からインナーケーブルの芯線として使用されている種々の材料を使用することができ、例えば、硬鋼線、ステンレス線、オイルテンパー線、ブルーイング線等を使用し得る。この芯線40には、表面圧縮残留応力が550MPa〜800MPaの範囲内で付与されていることが好ましい。550MPa未満であると充分な耐久性を得ることができず、800MPaを超えると表面圧縮残留応力を付与するための工程が複雑となって簡易な方法で表面圧縮残留応力を付与することができないためである。
【0013】
芯線40に表面圧縮残留応力を付与するための処理は、ショットピーニング処理とすることが好ましい。ショットピーニング処理によれば、短時間で上述した範囲内の表面圧縮残留応力を付与することができるためである。このショットピーニング処理は、例えば、以下に説明する方法、条件で好適に行うことができる。
図2は、線材6(インナーケーブルBの芯線40に用いられる線材)にショットピーニング処理を施すための一実施の形態に係る方法を模式的に示す図である。図2に示すように、この実施の形態に係る方法では、所定の間隔をあけて設けられた一対のローラー2a,2bが回転することによって、線材6が矢印の方向に連続的に送られる。連続的に送られる線材6には、一対のローラー2a、2b間に設けられたノズル4からショット粒8が投射され、このショット粒8が線材6に衝突し、これにより表面圧縮残留応力が付与される。
上記ショットピーニング処理では、ローラー2a、2bをテンションローラとして、線材6に引張力(テンション)を作用させることが好ましい。これによって、ショット粒8が線材6に衝突しても線材6の直進性が維持され、線材6に連続的にショットピーニング処理を施すことができる。線材6に作用させるテンションは、10N以上のテンションをかけることが好ましい。
また、ノズル4から投射されるショット粒8の硬度は線材6と同等程度の硬度とし、直径0.1〜0.3mmであることが好ましい。ショット粒8の硬度が線材6よりも小さい場合、又は、ショット粒8が0.1mm未満の場合は、線材6に与える負荷が小さく、充分な表面圧縮残留応力を与えることができないからである。線材6より硬度を大きくした場合、又は、ショット粒8が0.3mmよりも大きい場合は、ショット粒8の投射によって線材6を破損、変形させてしまうからである。
線材6にショット粒8を投射するノズル4は、図2に示したように複数設けられることが好ましい。線材6の表面に均一に表面圧縮残留応力を付与するためである。好ましくはノズル4を4個以上設け、線材6に対して4方向以上からショット粒8を投射することが好ましい。また、各ノズル4の間隔は、均等に配置することが好ましい。
また、ショットピーニング処理のカバレージは60%以上に保つことが好ましい。ガバレージを60%以上に保つと、線材6のすべての部分に一定の表面圧縮残留応力を付与することができるためである。ここで、カバレージとは、ショットピーニング加工強度を判定する値であり、加工面積に対する投射材の投射痕面積の総和の比から求められる。ショット粒8を複数の方向(例えば、4方向)から投射すると、線材6のほとんどの部分にショット粒8を当てることができ、カバレージを高くすることができる。
また、ショット粒8の投射速度は毎秒20〜60mの範囲で処理を行うことが好ましく、また、ショットの投射密度は40〜300kg/mであることが好ましい。投射速度が毎秒20m以下の場合や、投射密度が40kg/m以下の場合には充分な表面圧縮残留応力が与えられず、投射速度が毎秒60m以上の場合や、投射密度が300kg/m以上の場合にはショット粒8が衝突したときの衝撃が大きすぎて線材を破損、変形させてしまうからである。
【0014】
インナーケーブルBは、上述した芯線40の外側に配される複数の側線42を有している。側線42は芯線40の周囲を所定の方向に撚られて芯線40を密に覆うように配設されていることが好ましい。側線42の撚り方は、例えば、単撚り、複撚り、Z撚り等を採用することができる。側線42の線径は、芯線40の線径に応じて適宜設計することができ、例えば、0.3〜0.38mm程度のものが好適に用いられ得る。側線42の数は、芯線40の線径及び側線42の線径に応じて当業者が適宜決定することができ、図1に示す例では、側線42が15本配設されている。側線42の素材は、上述した芯線40と同様に、従来から使用されている硬鋼線、ステンレス線、オイルテンパー線、ブルーイング線等を採用し得る。この場合には、上述した芯線40と同様に、ショットピーニング処理等により表面圧縮残留応力が付与されていても良い。また、側線42の素材としては、上記金属素線の他、ガラス繊維や炭素繊維などで強化した、繊維強化樹脂の素線なども使用し得る。
【0015】
アウターケーブルCは、上記インナーケーブルBを内挿可能な円筒状の部材であり、ライナー層46と、ライナー層46の外側に配されたシールド層48とコーティング層50によって構成することができる。ライナー層46は、インナーケーブルBとの摺動抵抗を低くするため樹脂により形成されることが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアセタール、フッ素樹脂、または、それらのエストラマ−等を使用することができる。また、ライナー層46を樹脂とした場合には、ライナー層46内に酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤等の通常の添加剤を添加しても良い。
シールド層48は、樹脂ライナー46の外側に鋼線を所定の方向に撚ることで形成される。この鋼線の撚り方は、単撚り、複撚り、Z撚り等、従来から使用されている撚り方が採用され得る。また、この鋼線には亜鉛メッキした鋼線などを用いることができる。コーティング層50は、ポリエチレン、ポリアミド等が用いられ得る。コーティング層50にも、上記樹脂ライナー46と同様、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤等の添加剤を添加しても良い。
【0016】
以上、本発明の一実施形態に係るコントロールケーブルAについて詳述したが、これは例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
例えば、コントロールケーブルAのインナーケーブルは、目的等に応じて要求される座屈強度、耐久性等を満足するよう、芯線の構成、側線の数、撚り方等を、種々の形態で実施することができる。インナーケーブルの他の構造を図3〜5に示す。図3に示すインナーケーブルGは、細線101を複数本撚り合わせて一本の側線102とし、この側線102をさらに芯線100のまわりに複数本撚り合わせて配設している。詳しくは、1本の芯線100に、7本の細線101を撚り合わせた側線102を7本撚り合わせた(1+6)×7の構造で配設されている。このような場合には、インナーケーブルGを構成する線材の中で最も太い芯線100に上述したショットピーニング処理がなされることが好ましい。
図4に示すインナーケーブルHは、線材105の周りを複数(6本)の線材103を撚り合わせて1本の芯線104が構成され、この芯線104のまわりに側線106が18本撚り合わせて配設されている。このインナーケーブルHでは、芯線104を構成する線材103や線材105の方が側線106よりも線径が大きい。したがって、これらの線材103,105のそれぞれに上述したショットピーニング処理が施されることが好ましい。
図5に示すインナーワイヤIは、上述した図4と同様に、芯線110は7本の線材107を撚り合わせて構成されており、その芯線110の外側に側線108が8本撚り合わされて配設されている。このインナーケーブルIでは、側線108の方が芯線110を構成する線材107よりも線径が大きい。このような場合には、線径の大きな側線108に上述したショットピーニング処理を行うようにすることが好ましい。
【0017】
【実施例】
次に、本発明に係るコントロールケーブルの実施例を説明する。
実施例に係るコントロールケーブルとして、上述した図1に示す断面形状を有するコントロールケーブルAを製作した。インナーケーブルBの芯線40の材料には、硬鋼線材(SWRH−67AorB〜82AorB)を冷間加工後、オイルテンパ−処理を施したばね用炭素鋼オイルテンパー線B種(以下、SWO−Bという)を用いた。芯線40の直径は1.6mmとした。また、側線42は、直径0.38mmの綱素線(SWRH62A)15本を単撚りにして用いた。アウターケーブルCの樹脂ライナー46はポリアミド製のものを用い、シールド層48は直径0.83mmの鋼素線(SWRH62A)18本を単撚りにしたものを用い、コーティング層はポリアミド樹脂を用いた。
上記の構成のコントロールケーブルAについて、その芯線40に種々の条件でショットピーニング処理を施し、ショットピーニング処理の各条件と芯線40に付与される表面圧縮残留応力の関係、及び、芯線40に付与される表面圧縮残留応力と耐久疲労限(MPa)の関係について調べた。さらに、図1の構造を有するインナーケーブルBの芯線40にショットピーニング処理を施したときの芯線径と最小曲率半径の関係を調べた。
【0018】
図6にショット粒の粒径と芯線40に付与される表面圧縮残留応力の関係を示す。なお、芯線40に対するショット粒の投射速度を40m/s、投射密度を100Kg/mでショットピーニング処理を行なった。図6から明らかなように、ショット粒の粒径が0.10mmより小さくなると芯線40に付与される表面圧縮残留応力は低くなり、また、ショット粒の粒径が0.30mmより大きくなっても表面圧縮残留応力は低くなった。特に、ショット粒の粒径が0.30mmより大きくなっても付与される表面圧縮残留応力は上昇せず500MPa程度であった。これにより、表面圧縮残留応力を高くするためには、ショット粒の粒径を0.10mm〜0.30mmの範囲とすることが好ましいことが分かった。
図7に投射密度と芯線40に付与される表面圧縮残留応力の関係を示す。なお、芯線40に対するショット粒の投射速度を40m/s、ショット粒の粒径は0.30mmでショットピーニング処理を行なった。図7から明らかなように、投射密度が40Kg/mより低くなると芯線40に付与される表面圧縮残留応力は500MPa程度と低くなり、投射密度が300Kg/mを越えると芯線40に付与される表面圧縮残留応力は500MPa程度と低くなった。これにより、表面圧縮残留応力を高くするためには、投射密度を40Kg/m〜300Kg/mの範囲とすることが好ましいことが分かった。
【0019】
次に、芯線40に付与する表面圧縮残留応力の大きさを変えて耐久疲労限を測定した。測定した結果を図8に示す。なお、耐久疲労限の測定は図13に示すプーリ耐久機により行なった。図13において、バネ64の一端にはインナーケーブルBを保持する連結部63が取り付けられている。バネ64の他端は、固定端として壁面(図示省略)に取り付けられている。その一端が連結部63に保持されているインナーケーブルBは、ガイドローラー60で押えられて、曲率半径Rのプーリ65に密着している。インナーケーブルBの他端は、保持部67で保持されている。そして、保持部67に図13の矢印左方向に片振り繰り返し荷重Fを作用させてインナーケーブルBを揺動させ、200万回の耐久回数をクリアーする試験応力の最大値をもって耐久疲労限とした。
図8から明らかなように、耐久疲労限は表面圧縮残留応力550MPaを境に急激に変化し、表面圧縮残留応力が550MPaより低くなると耐久疲労限は500MPa程度となり、550MPaを越えると耐久疲労限は650MPaを越える値となった。これにより、耐久疲労限は表面圧縮残留応力が550MPaを境に急激に向上していることが分かった。
また、耐久疲労限とカバレージとの関係を図9に示す。図9から明らかなように、カバレージは60%より低い範囲では耐久疲労限は500MPa程度と低く、カバレージが60%以上となると耐久疲労限が600MPaを越えることが分かった。
【0020】
次に、小曲げ配索時の耐久性と座屈強度を評価した結果について説明する。
まず、耐久性テストの方法と座屈強度の測定方法について説明する。最初に、耐久性テストの方法について図10を参照して説明する。耐久性テストは、図10に示すように、まずアウターケーブルCの両端を取付台80に固定し、その中間に曲管部78を形成することで90度に曲げられた状態とした。次に、取付台80に固定されたアウターケーブル78にインナーケーブルBを挿入し、その1端にスプリング82を連結した。そして、インナーケーブルBの他端に両振り繰り返し荷重F1を加え、曲げ疲労によりインナーケーブルBが切断されるまでの回数を測定した。なお、ここでは、小曲げ配索時の耐久性を評価するため、曲管部78の曲率半径Rを種々に変化させ、繰り返し荷重F1を100万回作用させても切断されなかった最小曲率半径R(以下、単に最小曲げRという)を評価値とした。
次いで、座屈強度の測定方法について図11を参照して説明する。図11に示すように、内径5mmのパイプ86内には、チャック90がインナーケーブルBの一端を保持している。コントロールケーブルAの一端に設けられる金具92はパイプ86に固定されている。インナーケーブルBは、金具92から所定長さL(本実験ではL=40mm)だけ露出させた。コントロールケーブルAの他端には、アウターケーブルCにガイドされながら軸方向に進退動するロッド部材91を連結した。そして、ロッド部材91を徐々に押し込むことで、インナーケーブルBに作用する荷重F2を測定し、荷重F2が最初に大きく落ちこむまでの最大荷重を座屈強度として記録した。
【0021】
上述した方法により測定された最小曲げRと座屈強度の結果を表1に示す。表1において、実施例1には、インナーケーブルBを芯線40(線径φ1.6mm)と、15本の側線42(線径φ0.38mm)で構成し、芯線40に表面圧縮残留応力780MPaを付与したものを用いた。比較例1には、実施例1と同一構成のインナーケーブルBを用い、ただし、芯線40にはショットピーニング処理を施さず表面圧縮残留応力は93MPaのものを使用した。また、実施例2には、インナーケーブルBを芯線40(線径φ1.4mm)と、16本の側線42(線径φ0.30mm)で構成し、芯線40に表面圧縮残留応力780MPaを付与したものを用いた。比較例2には、実施例2と同一構成のインナーケーブルBを用い、芯線40にはショットピーニング処理を施さず表面圧縮残留応力は93MPaのものを使用した。
【0022】
【表1】

Figure 0004823439
【0023】
表1に示したように、芯線40に表面圧縮残留応力780MPaを付与した実施例1、実施例2に係るコントロールケーブルは、それぞれ比較例1、比較例2のものに比較して最小曲げRが小さくなることが確認された。また、実施例1と実施例2の両者とも、芯線40に表面圧縮残留応力を付与することによる座屈強度の低下は確認されず、共に比較例1、比較例2と同一の座屈強度を備えることが確認された。
【0024】
次に、図14に図1に示す構造を有するインナーケーブルBの芯線40にショットピーニング処理を施したときの芯線径と最小曲げRの関係を示す。図14に示すように、芯線径が1.0mm以上の場合、ショットピーニング処理を施すことによって最小曲げRを小さくすることができる。特に、芯線径が1.2mm〜1.6mmの範囲では最小曲げRの改善率が高いことが確認でき、また、1.4mm近傍では最小曲げRを飛躍的に改善することができる。また、芯線径を1.0mm未満にすると最小曲げRに対する効果が少ないことも確認された。
【0025】
上述した説明から明らかなように、インナーケーブルの芯線に550MPa以上の表面圧縮残留応力を付与することで、耐久疲労限を飛躍的に向上させることができた。また、ショットピーニング処理の条件を適切に調節することで、ショットピーニング処理のみによって芯線に550MPa〜800MPaの表面圧縮残留応力を付与することができた。このため、図2に示すようなショットピーニング処理によって連続的に芯線(芯線の材料となる鋼素線)に表面圧縮残留応力を付与することが可能となり、インナーケーブルの芯線を簡易に製造することができる。
【0026】
また、上述した実施例1、実施例2に関する説明から明らかなように、本実施例に係るコントロールケーブルでは、芯線に表面圧縮残留応力を付与することで耐久性が向上されているため、最小曲げR(耐久性;100万回を満足する最小曲率半径)を従来のものと比較して小さくすることができた。特に、安全性が要求される操作力伝達装置(例えば、自動車の変速装置)にコントロールケーブルを使用する場合、耐久性100万回をクリアすることは必須条件である。したがって、本実施例のコントロールケーブルによると、安全性が要求される装置に用いて小曲げ配索を行うことができる。
さらに、本実施例のコントロールケーブルでは、表面圧縮残留応力を付与しても座屈強度は、表面圧縮残留応力を付与しないものと同等の強度を維持した。特に、インナーケーブルは、既に説明した従来技術と異なり、樹脂材料のコーティングによって座屈強度が向上しているわけではないので、熱による温度変化によって座屈強度が変わることはない。また、インナーケーブルに樹脂材料のコーティングを行っていないので、インナーケーブルの径が太くなることはなく、その分配索のスペースをコンパクト化することができる。
また、芯線径が1.0mm以上の場合、ショットピーニング処理によって最小曲げRを小さくできるので、従来不可能だった曲率半径での小曲げ配索が可能である。
【0027】
なお、厳しい耐久性(耐久回数;100万回)が要求される操作力伝達装置の例を、図12を参照して簡単に説明する。図12はコントロールケーブルを利用したカート車両用シフトレバー装置の側面図である。
図12に示すように、車両用シフトレバー装置20は、ステアリングホイール10背面のセンターボス17に揺動可能に取り付けられたシフトレバー21を備える。シフトレバー21にはコントロールケーブル22の一端が取り付けられる。具体的には、コントロールケーブル22のアウターケーブルは、センターボス17から延びるブラケット25に取り付けられたケーブルホルダ26によって保持され、インナーケーブルの先端はケーブルホルダ26にガイドされ進退動するロッド29aの一端に接続される。ロッド29aの他端には、シフトレバー21に接続され、シフトレバー21が揺動するとロッド29aが進退動するようになっている。なお、シフトレバー21のグリップ部21aの位置は、ステアリングホイール10を操作する運転者が通常ホイール部10aに手を掛ける位置に対応する位置であり、そのままの状態で指を伸ばせばグリップ部21aに手が届く位置である。
コントロールケーブル22の他端には、トランスミッション19側のチェンジレバー24が接続される。具体的には、コントロールケーブル22のアウターケーブルは車体マウント部27に取り付けられたケーブルホルダ28によって保持され、インナーケーブルの先端はケーブルホルダ28にガイドされ進退動するロッド29bの一端に接続される。ロッド29bの他端にはボールジョイント23を介してチェンジレバー24が接続され、ロッド29bが進退動するとチェンジレバー24が揺動するようになっている。そして、シフトレバー21側とトランスミッション19側を接続するコントロールケーブル22は、その中間部位を適宜に拘束されることで配索される。
【0028】
上述した装置において、シフトアップする際には、シフトレバー21の右側のグリップ部21aをホイール部10aに近づけるように揺動させる。シフトレバー21が揺動すると、ロッド29aがケーブルホルダ26から突出する方向にストローク移動し、これによりロッド29bがケーブルホルダ28に収容される方向にストローク移動する。これにより、トランスミッション19が順次シフトアップする。また、シフトダウンする際には、シフトレバー21の左側のグリップ部21aをホイール部10aに近づけるように揺動させる。シフトレバー21が揺動すると、シフトアップの際とは逆に、ロッド29aがケーブルホルダ26内に収容する方向にストローク移動し、これによりロッド29bがケーブルホルダ28から突出する方向にストローク移動する。これにより、トランスミッション19が順次シフトダウンする。
【0029】
上述した説明から明らかなように、上記の変速装置では、コントロールケーブル22(詳しくは、インナーケーブル)の押し引きにより、シフトレバー21の操作がトランスミッション19に伝達され、シフトアップ・シフトダウンが行われる。したがって、上記装置のコントロールケーブル22に本実施例に係るコントロールケーブルを用いると、コントロールケーブルが充分な座屈強度を備えるため、シフトレバー21の操作が確実にトランスミッション19に伝達され、確実なシフトアップ・シフトダウンを行うことができる。
また、本実施例のコントロールケーブルは、耐久性が向上していることから小曲げ配索が可能で、さらに、その外径が太くないため、狭いスペースに配設可能となり、トランスミッション19の設置場所の自由度を広げることができる。
【0030】
なお、上述の例は、本発明に係るコントロールケーブルをカート車両用の変速装置に使用した例であったが、本発明に係るコントロールケーブルの応用例はこのような例に限られず、例えば、一般の自家用自動車の変速装置(オートマティック装置、マニュアルトランスミッション装置)に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係るコントロールケーブルの断面図。
【図2】 ショットピーニング処理を模式的に示す斜視図。
【図3】 本発明の他の実施例に係るインナーケーブルの断面図。
【図4】 本発明の他の実施例に係るインナーケーブルの断面図。
【図5】 本発明の他の実施例に係るインナーケーブルの断面図。
【図6】 ショット粒の径と表面圧縮残留応力の関係を示すグラフ。
【図7】 ショット投射密度と表面圧縮残留応力の関係を示すグラフ。
【図8】 表面圧縮残留応力と耐久疲労限の関係を示すグラフ。
【図9】 カバレージと耐久疲労限の関係を示すグラフ。
【図10】 小曲げ配索時の耐久性を試験するための装置を模式的に示す図。
【図11】 座屈強度試験を行うための装置を模式的に示す図。
【図12】 本発明に係るコントロールケーブルが好適に用いることができるカート車両用シフトレバー装置の側面図。
【図13】 耐久疲労限の測定を行なうための装置を模式的に示す図。
【図14】 芯線径と最小曲率半径の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
A ・・コントロールケーブル
B ・・インナーケーブル
C ・・アウターケーブル
2 ・・テンションローラ
4 ・・ノズル
6 ・・線材
8 ・・ショット粒
40 ・・芯線
42 ・・側線
46 ・・樹脂ライナー
48 ・・シールド層
50 ・・コーティング層[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a control cable used for transmitting operating force, for example, operating force input to a shift lever in an automobile to a transmission.
[0002]
[Prior art]
A push-pull control cable configured such that the inner cable moves in the axial direction in the outer cable is used as an operation cord for connecting a select lever and a transmission in, for example, an automobile. That is, when each range such as parking (P), reverse (R), neutral (N), drive (D) is selected by the select lever, the inner cable is pushed and pulled in the axial direction in the outer cable according to the selection, The transmission range is switched by pushing and pulling the inner cable.
[0003]
In such a push-pull control cable, it is necessary to transmit an operating force even when the inner cable is pushed. Therefore, it is necessary to increase the buckling strength by thickening the core wire of the inner cable. On the other hand, with the recent reduction in the location of the control cable (for example, in the case of the above-described transmission control cable for an automobile transmission, the location of the control cable is reduced by downsizing the engine room of the automobile), the curvature of the control cable is increased. It is necessary to route with a small radius (hereinafter referred to as small bending routing). However, when the inner cable with a thick core wire is bent and routed, the bending moment acting on the core wire is large, and there has been a problem that the long-term use causes fatigue and breakage.
Accordingly, various proposals have been made in order to satisfy a high buckling strength and durability (Japanese Patent Laid-Open No. 09-088934 (hereinafter referred to as Prior Art 1)) and Japanese Patent Laid-Open No. 2000-2000. -130427 (hereinafter referred to as Prior Art 2)).
The prior art 1 discloses an inner cable in which six side wires are arranged around one core wire and these are coated with a synthetic resin. In this inner cable, since the synthetic resin layer is provided around the core wire and the side wire, the inner cable is prevented from bulging in a tongue shape when a compressive load is applied to the core wire and the side wire. For this reason, the buckling strength can be improved without increasing the diameter of the core wire and / or the side wire, and the durability can be improved because the core wire and the side wire do not increase in diameter.
The prior art 2 discloses a core material made of a stranded metal wire with spiral irregularities on the surface, and an inner cable coated with a synthetic resin in a state where the irregularities appear on the surface of the core material. . Also in this inner cable, similarly to the prior art 1, by providing a synthetic resin layer around the core material, an increase in the diameter of the core wire is suppressed, and the buckling strength and durability are improved.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
However, since both of the above prior arts improve the buckling strength of the inner cable by coating with a synthetic resin, the problem is that the mechanical characteristics of the resin change due to heat and the mechanical characteristics of the inner cable change. have.
[0005]
The present invention has been made in view of the above-described circumstances, and an object of the present invention is to provide a control cable that satisfies a sufficient buckling strength and durability and is capable of small bend routing.
[0006]
[Means and effects for solving the problems]
The present invention relates to a method of manufacturing a push-pull control cable including an outer cable and an inner cable that is inserted in the outer cable so as to be movable in the axial direction. The inner cable includes a core wire and a wire around the core wire. A side wire arranged in a predetermined direction, and the manufacturing method includes a surface of 550 MPa to 800 MPa by shot peening on the strand constituting the core wire and / or each strand constituting the side wire. A shot peening process for imparting compressive residual stress. In the shot peening process, (1) the grain size of the shot grains is 0.10 mm to 0.30 mm, and (2) the shot speed of the shot grains is 20 to 60 m per second. (3) A shot projection density of 40 to 300 kg / m 2 (4) The coverage value, which is the ratio of the sum total of shot mark projection mark areas to the shot peening target processing area, is 60% or more.
  One form disclosed by this specificationIs a push-pull control cable composed of an outer cable and an inner cable inserted in the outer cable so as to be movable in the axial direction. The inner cable is twisted in a predetermined direction around the core wire. And a side line disposed. And the surface compressive residual stress of 550MPa-800MPa is provided to each strand which comprises the strand which comprises a core wire, and / or a side wire.
  In such a control cable, a surface compressive residual stress of 550 MPa to 800 MPa is applied to each of the strands constituting the core wire and / or the side wires. Therefore, by applying the surface compressive residual stress, it is possible to improve the durability until the diameters of the core wires and the side wires are thick. And since a strand diameter is thick and a cross-sectional secondary moment also becomes large, buckling strength can be improved. Further, the buckling strength and durability of the inner cable can be improved without covering the resin layer, and the problem that the mechanical characteristics of the inner cable change due to heat does not occur.
[0007]
  the aboveIn this control cable, it is preferable that a resin layer is not coated on the outer periphery of the core wire and the side line of the inner cable, and a resin liner is disposed on the inner peripheral surface of the outer cable.
  In such a control cable, since the resin layer is not coated on the outer periphery of the core wire and the side line of the inner cable, the inner cable can be thinned as much as the resin layer is not coated. The step of coating the resin layer can be omitted. In addition, even if the outer cable core and side wires are not coated with a resin layer, the inner surface of the outer cable that comes into contact with the inner cable is made of resin, so that it has excellent slidability, and the parts that come into contact are different. Because it is a material, sticks due to contact do not occur.
[0008]
  the aboveIn the control cable, it is preferable that surface compressive residual stress is applied to the thickest wire rod among the core wire and the side wire.
  The largest bending stress acts on the thickest wire rod among the core wire and the side wire, and the durability is most required. Therefore, the problem of durability can be solved by applying the surface compressive residual stress to the thickest wire among the wires constituting the inner cable.
[0009]
  the aboveIn the control cable, the diameter of the thickest wire constituting the inner cable may be 1.0 mm to 1.8 mm.
  In such a control cable, since the diameter of the thickest wire constituting the inner cable is 1.0 mm to 1.8 mm, the inner cable has sufficient buckling strength and is large even when the inner cable is pushed. The operating force can be transmitted.
[0010]
  the aboveIn the control cable, the surface compressive residual stress applied to the core wire or the side wire is preferably applied by shot peening. When surface compressive residual stress is applied by shot peening treatment, surface compressive residual stress can be continuously applied in a short time compared to other treatments such as nitriding treatment. Further, the nitriding treatment increases the scale of the equipment, and is not preferable from the viewpoint of environment such as emission of harmful substances. However, the shot peening process is an effective method because it suppresses the scale of equipment and is harmless to the environment.
  The shot peening process has a shot projection density of 40 to 300 kg / m.2It is preferable that the treatment is performed under the following conditions. When the shot projection density is in the above range, the surface compressive residual stress applied by shot peening can be increased.
[0011]
  Also,One form disclosed by this specificationThe input device to which the operator's operating force is input, the input / output device to which the operator's operating force is transmitted, one end connected to the input device and the other end connected to the output device. An operation force transmission device comprising a control cable for transmitting an operation force input to the output device, wherein the control cable is an outer cable and an inner cable inserted in the outer cable so as to be movable in the axial direction. Consists of The inner cable is composed of a core wire and side wires that are twisted and arranged around the core wire in a predetermined direction, and each of the strands constituting the core wire and / or the side wires. Surface compressive residual stress of 550 MPa to 800 MPa is applied to the outer cable, and the outer cable is routed under the condition that the minimum bending radius is 60 mm to 140 mm.
  Such an operating force transmission device has sufficient durability because surface compressive residual stress of 550 MPa to 800 MPa is applied to each of the strands constituting the core wire and / or the side wires. Therefore, since the minimum curvature radius can be routed under the condition of 60 to 140 mm, the operating force transmission device can be made compact and disposed in a small space.
  In this case, it is preferable that the diameter of the thickest wire rod is 1.0 mm to 1.8 mm among the strands constituting the core wire and / or the strands constituting the side wire. According to such a configuration, since the inner cable has sufficient buckling strength, the operation force can be reliably transmitted. In addition, when the diameter of the thickest wire constituting the inner cable is in the range of 1.2 to 1.6 mm, the effect of reducing the minimum radius of curvature (70 mm to 120 mm) is significant. In particular, the minimum radius of curvature (approximately 80 mm) can be reduced.
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The control cable of the present invention is preferably manufactured as follows and can be used as follows.
The control cable of the present invention can be suitably implemented in the form shown in FIG. That is, the control cable A includes an outer cable C and an inner cable B that is inserted in the outer cable C so as to be movable in the axial direction.
The inner cable B can be constituted by a core wire 40 and a plurality of side wires 42 arranged on the outer periphery of the core wire 40. The core wire 40 is formed in an appropriate length according to the length of the routing path. The wire diameter of the core wire 40 can be appropriately determined according to the magnitude of the force (transmission force) transmitted when the inner cable B is pressed, and is preferably in the range of 1.0 mm to 1.8 mm. Can do. If the wire diameter is less than 1.0 mm, the buckling strength decreases when the wire diameter is smaller than 1.0 mm. In order to have a stable buckling strength, a large number of twisted structures are required, leading to an increase in the diameter of the inner cable. It is. Moreover, it is because the bending moment which acts on the core wire 40 at the time of a small bending arrangement will become large too much when it exceeds 1.8 mm.
As the material of the core wire 40, various materials conventionally used as the core wire of the inner cable can be used. For example, a hard steel wire, a stainless steel wire, an oil temper wire, a brewing wire, or the like can be used. The core wire 40 is preferably provided with a surface compressive residual stress within a range of 550 MPa to 800 MPa. If the pressure is less than 550 MPa, sufficient durability cannot be obtained, and if it exceeds 800 MPa, the process for applying the surface compressive residual stress becomes complicated, and the surface compressive residual stress cannot be applied by a simple method. It is.
[0013]
The treatment for applying surface compressive residual stress to the core wire 40 is preferably a shot peening treatment. This is because according to the shot peening process, the surface compressive residual stress within the above-described range can be applied in a short time. This shot peening process can be suitably performed, for example, by the method and conditions described below.
FIG. 2 is a diagram schematically showing a method according to an embodiment for performing a shot peening process on the wire 6 (wire used for the core wire 40 of the inner cable B). As shown in FIG. 2, in the method according to this embodiment, the pair of rollers 2a and 2b provided at a predetermined interval are rotated, whereby the wire 6 is continuously fed in the direction of the arrow. A shot particle 8 is projected from the nozzle 4 provided between the pair of rollers 2a and 2b to the wire 6 that is continuously fed, and the shot particle 8 collides with the wire 6, thereby giving a surface compressive residual stress. Is done.
In the shot peening process, it is preferable to apply tension to the wire 6 using the rollers 2a and 2b as tension rollers. Thereby, even if the shot grain 8 collides with the wire 6, the straightness of the wire 6 is maintained, and the wire 6 can be continuously subjected to shot peening treatment. The tension applied to the wire 6 is preferably a tension of 10 N or more.
Moreover, the hardness of the shot grain 8 projected from the nozzle 4 is set to a hardness comparable to that of the wire 6 and is preferably 0.1 to 0.3 mm in diameter. This is because when the hardness of the shot grain 8 is smaller than that of the wire 6 or when the shot grain 8 is less than 0.1 mm, a load applied to the wire 6 is small and sufficient surface compressive residual stress cannot be given. This is because when the hardness is made larger than that of the wire 6 or when the shot grain 8 is larger than 0.3 mm, the wire 6 is damaged and deformed by the projection of the shot grain 8.
A plurality of nozzles 4 for projecting the shot grains 8 on the wire 6 are preferably provided as shown in FIG. This is because the surface compressive residual stress is uniformly applied to the surface of the wire 6. Preferably, four or more nozzles 4 are provided, and the shot grains 8 are projected onto the wire 6 from four or more directions. Moreover, it is preferable to arrange | position the space | interval of each nozzle 4 equally.
Further, the coverage of the shot peening process is preferably kept at 60% or more. This is because if the coverage is kept at 60% or more, a constant surface compressive residual stress can be applied to all portions of the wire 6. Here, the coverage is a value for determining the shot peening processing strength, and is obtained from the ratio of the sum total of the projection mark area of the projection material to the processing area. When the shot grain 8 is projected from a plurality of directions (for example, four directions), the shot grain 8 can be applied to almost the part of the wire 6 and the coverage can be increased.
Moreover, it is preferable to process in the range of the projection speed | rate of the shot grain 8 20-60m / sec, and the projection density of a shot is 40-300 kg / m.2It is preferable that When the projection speed is 20 m or less per second, or the projection density is 40 kg / m2In the following cases, sufficient surface compressive residual stress is not given and the projection speed is 60 m / sec or more, and the projection density is 300 kg / m.2This is because, in the above case, the impact when the shot grains 8 collide is too great, and the wire is damaged or deformed.
[0014]
The inner cable B has a plurality of side wires 42 arranged outside the core wire 40 described above. The side wires 42 are preferably disposed so as to cover the core wires 40 closely by being twisted around the core wires 40 in a predetermined direction. As a method of twisting the side wires 42, for example, single twist, double twist, Z twist or the like can be adopted. The wire diameter of the side wire 42 can be appropriately designed according to the wire diameter of the core wire 40, and for example, a wire having a diameter of about 0.3 to 0.38 mm can be suitably used. The number of the side wires 42 can be appropriately determined by those skilled in the art according to the wire diameter of the core wire 40 and the wire diameter of the side wires 42. In the example shown in FIG. 1, 15 side wires 42 are arranged. As the material of the side wire 42, similarly to the core wire 40 described above, a conventionally used hard steel wire, stainless steel wire, oil temper wire, bluing wire, or the like can be adopted. In this case, similarly to the core wire 40 described above, surface compressive residual stress may be applied by shot peening treatment or the like. Moreover, as a material of the side wire 42, a fiber reinforced resin strand reinforced with glass fiber, carbon fiber, or the like can be used in addition to the above metal strand.
[0015]
The outer cable C is a cylindrical member into which the inner cable B can be inserted, and can be constituted by a liner layer 46, a shield layer 48 disposed outside the liner layer 46, and a coating layer 50. The liner layer 46 is preferably formed of a resin in order to reduce the sliding resistance with the inner cable B. For example, polytetrafluoroethylene, polybutylene terephthalate, polyethylene, polyamide, polyacetal, fluororesin, or their An elastomer or the like can be used. When the liner layer 46 is a resin, usual additives such as an antioxidant, a heat stabilizer, a lubricant, a crystal nucleating agent, an ultraviolet light inhibitor, a colorant, and a flame retardant are added to the liner layer 46. May be.
The shield layer 48 is formed by twisting a steel wire in a predetermined direction outside the resin liner 46. Conventionally used twisting methods such as single twisting, double twisting, Z twisting and the like can be adopted as the twisting method of the steel wire. Moreover, the steel wire etc. which can be used for this steel wire can be used. For the coating layer 50, polyethylene, polyamide, or the like may be used. Similarly to the resin liner 46, additives such as an antioxidant, a heat stabilizer, a lubricant, a crystal nucleating agent, an ultraviolet light inhibitor, a colorant, and a flame retardant may be added to the coating layer 50.
[0016]
The control cable A according to one embodiment of the present invention has been described in detail above, but this is merely an example, and the present invention can be implemented in various modifications and improvements based on the knowledge of those skilled in the art. it can.
For example, the inner cable of the control cable A should be implemented in various forms such as the configuration of the core wire, the number of side wires, and the twisting method so as to satisfy the buckling strength and durability required according to the purpose and the like. Can do. Other structures of the inner cable are shown in FIGS. In the inner cable G shown in FIG. 3, a plurality of thin wires 101 are twisted to form one side wire 102, and the side wires 102 are further twisted around the core wire 100. Specifically, a single core wire 100 is arranged in a (1 + 6) × 7 structure in which seven side wires 102 obtained by twisting seven thin wires 101 are twisted. In such a case, it is preferable that the above-described shot peening treatment is performed on the thickest core wire 100 among the wire materials constituting the inner cable G.
In the inner cable H shown in FIG. 4, a plurality of (six) wires 103 are twisted around a wire 105 to form one core wire 104, and 18 side wires 106 are twisted around the core wire 104 and arranged. It is installed. In the inner cable H, the wire 103 and the wire 105 constituting the core wire 104 have a larger wire diameter than the side wire 106. Therefore, it is preferable that the above-described shot peening process is performed on each of the wires 103 and 105.
In the inner wire I shown in FIG. 5, the core wire 110 is formed by twisting seven wire rods 107, and eight side wires 108 are twisted outside the core wire 110, as in FIG. 4 described above. Has been. In the inner cable I, the side wire 108 has a wire diameter larger than that of the wire 107 constituting the core wire 110. In such a case, it is preferable to perform the above-described shot peening process on the side wire 108 having a large wire diameter.
[0017]
【Example】
Next, embodiments of the control cable according to the present invention will be described.
As the control cable according to the example, the control cable A having the cross-sectional shape shown in FIG. 1 was manufactured. The material of the core wire 40 of the inner cable B is a spring carbon steel oil temper wire type B (hereinafter referred to as SWO-B), which has been subjected to an oil temper treatment after cold working a hard steel wire (SWRH-67AorB to 82AorB) Was used. The diameter of the core wire 40 was 1.6 mm. As the side wire 42, 15 strand wires (SWRH62A) having a diameter of 0.38 mm were used as a single strand. The resin liner 46 of the outer cable C is made of polyamide, the shield layer 48 is a single strand of 18 steel strands (SWRH62A) having a diameter of 0.83 mm, and the coating layer is made of polyamide resin.
With respect to the control cable A having the above-described configuration, the core wire 40 is subjected to shot peening treatment under various conditions, and the relationship between each condition of the shot peening treatment and the surface compressive residual stress applied to the core wire 40 and the core wire 40 are applied. The relationship between the surface compressive residual stress and the endurance fatigue limit (MPa) was investigated. Furthermore, the relationship between the core wire diameter and the minimum radius of curvature when the core wire 40 of the inner cable B having the structure of FIG.
[0018]
FIG. 6 shows the relationship between the grain size of the shot grains and the surface compressive residual stress applied to the core wire 40. In addition, the projection speed of the shot grain with respect to the core wire 40 is 40 m / s, and the projection density is 100 kg / m.2The shot peening process was performed. As is clear from FIG. 6, when the grain size of the shot grains is smaller than 0.10 mm, the surface compressive residual stress applied to the core wire 40 is reduced, and even if the grain diameter of the shot grains is larger than 0.30 mm. The surface compressive residual stress was low. In particular, even when the grain size of the shot grains was larger than 0.30 mm, the surface compressive residual stress applied was not increased and was about 500 MPa. Thereby, in order to make surface compressive residual stress high, it turned out that it is preferable to make the particle size of a shot grain into the range of 0.10 mm-0.30 mm.
FIG. 7 shows the relationship between the projection density and the surface compressive residual stress applied to the core wire 40. The shot peening process was performed at a shot grain projection speed of 40 m / s and a shot grain diameter of 0.30 mm with respect to the core wire 40. As is apparent from FIG. 7, the projection density is 40 kg / m.2When it is lower, the surface compressive residual stress applied to the core wire 40 is as low as about 500 MPa, and the projection density is 300 kg / m.2When the value exceeds 1, the surface compressive residual stress applied to the core wire 40 is as low as about 500 MPa. Thus, in order to increase the surface compressive residual stress, the projection density is 40 kg / m.2~ 300Kg / m2It turned out that it is preferable to set it as the range.
[0019]
Next, the endurance fatigue limit was measured by changing the magnitude of the surface compressive residual stress applied to the core wire 40. The measurement results are shown in FIG. The endurance fatigue limit was measured with a pulley endurance machine shown in FIG. In FIG. 13, a connecting portion 63 that holds the inner cable B is attached to one end of the spring 64. The other end of the spring 64 is attached to a wall surface (not shown) as a fixed end. The inner cable B whose one end is held by the connecting portion 63 is pressed by the guide roller 60 and is in close contact with the pulley 65 having the curvature radius R. The other end of the inner cable B is held by a holding portion 67. Then, a single swing repeated load F is applied to the holding portion 67 in the left direction of the arrow in FIG. 13 to swing the inner cable B, and the maximum value of the test stress that clears the endurance of 2 million times is defined as the endurance fatigue limit. .
As is apparent from FIG. 8, the endurance fatigue limit changes abruptly at the surface compressive residual stress of 550 MPa, and when the surface compressive residual stress is lower than 550 MPa, the endurance fatigue limit is about 500 MPa. The value exceeded 650 MPa. Thus, it was found that the endurance fatigue limit sharply improved with the surface compressive residual stress at 550 MPa as a boundary.
FIG. 9 shows the relationship between the endurance fatigue limit and the coverage. As is clear from FIG. 9, it was found that the durability fatigue limit is as low as about 500 MPa when the coverage is lower than 60%, and the durability fatigue limit exceeds 600 MPa when the coverage is 60% or more.
[0020]
Next, the results of evaluating durability and buckling strength during small bending routing will be described.
First, a durability test method and a buckling strength measurement method will be described. First, the durability test method will be described with reference to FIG. In the durability test, as shown in FIG. 10, first, both ends of the outer cable C were fixed to the mounting base 80, and a bent pipe portion 78 was formed in the middle thereof to be bent at 90 degrees. Next, the inner cable B was inserted into the outer cable 78 fixed to the mounting base 80, and a spring 82 was connected to one end thereof. And the double swing repeated load F1 was applied to the other end of the inner cable B, and the number of times until the inner cable B was cut due to bending fatigue was measured. Here, in order to evaluate the durability at the time of small bend routing, the minimum radius of curvature that was not cut even when the radius of curvature R of the curved pipe portion 78 was variously changed and the repeated load F1 was applied 1 million times. R (hereinafter simply referred to as the minimum bending R) was used as the evaluation value.
Next, a method for measuring the buckling strength will be described with reference to FIG. As shown in FIG. 11, a chuck 90 holds one end of the inner cable B in a pipe 86 having an inner diameter of 5 mm. A metal fitting 92 provided at one end of the control cable A is fixed to the pipe 86. The inner cable B was exposed from the metal fitting 92 by a predetermined length L (L = 40 mm in this experiment). The other end of the control cable A was connected to a rod member 91 that moves forward and backward in the axial direction while being guided by the outer cable C. Then, the load F2 acting on the inner cable B was measured by gradually pushing the rod member 91, and the maximum load until the load F2 first dropped greatly was recorded as the buckling strength.
[0021]
Table 1 shows the results of the minimum bending R and buckling strength measured by the method described above. In Table 1, in Example 1, the inner cable B is composed of a core wire 40 (wire diameter φ1.6 mm) and 15 side wires 42 (wire diameter φ0.38 mm), and surface compression residual stress 780 MPa is applied to the core wire 40. What was given was used. In Comparative Example 1, the inner cable B having the same configuration as that in Example 1 was used, except that the core wire 40 was not subjected to shot peening and had a surface compressive residual stress of 93 MPa. In Example 2, the inner cable B is composed of a core wire 40 (wire diameter φ1.4 mm) and 16 side wires 42 (wire diameter φ0.30 mm), and surface compressive residual stress 780 MPa was applied to the core wire 40. A thing was used. In Comparative Example 2, the inner cable B having the same configuration as that of Example 2 was used, and the core wire 40 was not subjected to shot peening treatment and had a surface compressive residual stress of 93 MPa.
[0022]
[Table 1]
Figure 0004823439
[0023]
As shown in Table 1, the control cables according to Example 1 and Example 2 in which surface compressive residual stress 780 MPa was applied to the core wire 40 had a minimum bending R as compared with those of Comparative Example 1 and Comparative Example 2, respectively. It was confirmed to be smaller. Further, in both Example 1 and Example 2, a decrease in buckling strength due to application of surface compressive residual stress to the core wire 40 was not confirmed, and both had the same buckling strength as in Comparative Example 1 and Comparative Example 2. It was confirmed that it was prepared.
[0024]
Next, FIG. 14 shows the relationship between the core wire diameter and the minimum bending R when the core wire 40 of the inner cable B having the structure shown in FIG. As shown in FIG. 14, when the core wire diameter is 1.0 mm or more, the minimum bending R can be reduced by performing the shot peening process. In particular, it can be confirmed that the improvement rate of the minimum bending R is high when the core wire diameter is in the range of 1.2 mm to 1.6 mm, and the minimum bending R can be dramatically improved near 1.4 mm. It was also confirmed that when the core wire diameter was less than 1.0 mm, the effect on the minimum bending R was small.
[0025]
As apparent from the above description, the endurance fatigue limit could be dramatically improved by applying a surface compressive residual stress of 550 MPa or more to the core wire of the inner cable. In addition, by appropriately adjusting the conditions of the shot peening treatment, a surface compressive residual stress of 550 MPa to 800 MPa could be applied to the core wire only by the shot peening treatment. For this reason, it becomes possible to continuously apply surface compressive residual stress to the core wire (steel wire used as the material of the core wire) by shot peening treatment as shown in FIG. 2, and to easily manufacture the core wire of the inner cable. Can do.
[0026]
In addition, as is clear from the description regarding the first and second embodiments described above, the control cable according to the present embodiment has improved durability by applying surface compressive residual stress to the core wire. R (durability; minimum radius of curvature satisfying 1 million cycles) could be reduced as compared with the conventional one. In particular, when a control cable is used for an operating force transmission device (for example, a transmission of an automobile) that requires safety, it is an essential condition to clear the durability of 1,000,000 times. Therefore, according to the control cable of the present embodiment, it is possible to perform a small bend wiring using an apparatus that requires safety.
Furthermore, in the control cable of this example, the buckling strength was maintained at the same level as that without applying the surface compressive residual stress even when the surface compressive residual stress was applied. In particular, unlike the prior art described above, the buckling strength of the inner cable is not improved by the coating of the resin material, so that the buckling strength does not change due to a temperature change due to heat. Further, since the inner cable is not coated with the resin material, the diameter of the inner cable is not increased, and the space of the distribution cable can be made compact.
Further, when the core wire diameter is 1.0 mm or more, the minimum bend R can be reduced by the shot peening process, so that it is possible to perform a small bend with a radius of curvature that has been impossible in the past.
[0027]
An example of an operating force transmission device that requires strict durability (number of durability times: 1 million times) will be briefly described with reference to FIG. FIG. 12 is a side view of a shift lever device for a cart vehicle using a control cable.
As shown in FIG. 12, the vehicle shift lever device 20 includes a shift lever 21 that is swingably attached to a center boss 17 on the rear surface of the steering wheel 10. One end of a control cable 22 is attached to the shift lever 21. Specifically, the outer cable of the control cable 22 is held by a cable holder 26 attached to a bracket 25 extending from the center boss 17, and the tip of the inner cable is guided by the cable holder 26 to one end of a rod 29a that moves forward and backward. Connected. The other end of the rod 29a is connected to the shift lever 21. When the shift lever 21 swings, the rod 29a moves forward and backward. The position of the grip portion 21a of the shift lever 21 is a position corresponding to the position where the driver who operates the steering wheel 10 normally places his / her hand on the wheel portion 10a, and if the finger is extended as it is, the grip portion 21a is moved. It is a position that can be reached.
A change lever 24 on the transmission 19 side is connected to the other end of the control cable 22. Specifically, the outer cable of the control cable 22 is held by a cable holder 28 attached to the vehicle body mount 27, and the tip of the inner cable is connected to one end of a rod 29b that is guided by the cable holder 28 and moves forward and backward. A change lever 24 is connected to the other end of the rod 29b via a ball joint 23, and the change lever 24 swings when the rod 29b moves forward and backward. And the control cable 22 which connects the shift lever 21 side and the transmission 19 side is routed by restraining the intermediate part appropriately.
[0028]
In the above-described apparatus, when shifting up, the right grip part 21a of the shift lever 21 is swung so as to approach the wheel part 10a. When the shift lever 21 swings, the rod 29a moves in the direction of protruding from the cable holder 26, and thus the rod 29b moves in the direction of being accommodated in the cable holder 28. As a result, the transmission 19 is sequentially shifted up. Further, when shifting down, the left grip part 21a of the shift lever 21 is swung so as to approach the wheel part 10a. When the shift lever 21 swings, the rod 29a moves in a direction to be accommodated in the cable holder 26, and thus the rod 29b moves in a direction in which the rod 29b protrudes from the cable holder 28. As a result, the transmission 19 is sequentially shifted down.
[0029]
As is clear from the above description, in the above transmission, the operation of the shift lever 21 is transmitted to the transmission 19 by pushing and pulling the control cable 22 (specifically, the inner cable), and upshifting and downshifting are performed. . Therefore, when the control cable according to the present embodiment is used as the control cable 22 of the above apparatus, the control cable has sufficient buckling strength, so that the operation of the shift lever 21 is reliably transmitted to the transmission 19 and the upshift is surely performed. -Shift down.
Further, since the control cable of the present embodiment has improved durability, it can be routed in a small bend, and further, since its outer diameter is not thick, it can be arranged in a narrow space, and the installation location of the transmission 19 The degree of freedom can be expanded.
[0030]
The above example is an example in which the control cable according to the present invention is used in a transmission for a cart vehicle. However, the application example of the control cable according to the present invention is not limited to such an example. The present invention can be applied to a transmission (automatic device, manual transmission device) of a private automobile.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of a control cable according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a perspective view schematically showing shot peening processing.
FIG. 3 is a cross-sectional view of an inner cable according to another embodiment of the present invention.
FIG. 4 is a cross-sectional view of an inner cable according to another embodiment of the present invention.
FIG. 5 is a cross-sectional view of an inner cable according to another embodiment of the present invention.
FIG. 6 is a graph showing the relationship between the diameter of shot grains and the surface compressive residual stress.
FIG. 7 is a graph showing the relationship between shot projection density and surface compressive residual stress.
FIG. 8 is a graph showing the relationship between surface compressive residual stress and endurance fatigue limit.
FIG. 9 is a graph showing the relationship between coverage and endurance fatigue limit.
FIG. 10 is a diagram schematically showing an apparatus for testing durability during small bending routing.
FIG. 11 is a diagram schematically showing an apparatus for performing a buckling strength test.
FIG. 12 is a side view of a shift lever device for a cart vehicle to which the control cable according to the present invention can be preferably used.
FIG. 13 is a diagram schematically showing an apparatus for measuring the endurance fatigue limit.
FIG. 14 is a graph showing the relationship between the core wire diameter and the minimum curvature radius.
[Explanation of symbols]
A ·· Control cable
B .. Inner cable
C ·· Outer cable
2 ..Tension roller
4 ..Nozzle
6 ・ ・ Wire
8 ..Shot grain
..Core wire
..Side lines
..Resin liner
..Shield layer
..Coating layer

Claims (4)

アウターケーブルと、アウターケーブル内を軸方向に移動可能に内挿されるインナーケーブルとから構成される押し引きコントロールケーブルの製造方法であって、
インナーケーブルは、芯線と、その芯線のまわりを所定の方向に撚られて配設される側線とを有し、
前記製造方法は、
芯線を構成する素線及び/又は側線を構成する各素線に、ショットピーニングによって、550MPa〜800MPaの表面圧縮残留応力付与するショットピーニング工程を備え、
前記ショットピーニング工程では、
(1)ショット粒の粒径が0.10mm〜0.30mmであり、
(2)ショット粒の投射速度が毎秒20〜60mであり、
(3)ショット投射密度が40〜300kg/m であり、
(4)ショットピーニングの対象の加工面積に対するショット粒の投射痕面積の総和の比であるカバレージ値が60%以上である、ことを特徴とする製造方法
A method of manufacturing a push-pull control cable comprising an outer cable and an inner cable inserted so as to be movable in the axial direction in the outer cable,
The inner cable has a core wire and a side wire disposed around the core wire in a predetermined direction.
The manufacturing method includes:
Each strand constituting the wire and / or the side wire constituting the core wire, the shot peening includes shot peening step of applying a surface compressive residual stress of 550MPa~800MPa,
In the shot peening process,
(1) The particle size of the shot grains is 0.10 mm to 0.30 mm,
(2) The shot grain projection speed is 20 to 60 m per second,
(3) shot projection density of 40~300kg / m 2,
(4) A manufacturing method characterized in that a coverage value, which is a ratio of a total area of shot marks of shot grains to a processing area to be shot peened, is 60% or more .
前記インナーケーブルの芯線及び側線の外周には樹脂層がコートされておらず、前記アウターケーブルの内周面に、樹脂ライナーが配されていることを特徴とする請求項1に記載の製造方法The manufacturing method according to claim 1, wherein a resin layer is not coated on the outer periphery of the core wire and the side line of the inner cable, and a resin liner is disposed on the inner peripheral surface of the outer cable. 前記芯線と側線の中で最も太い線材に、表面圧縮残留応力が付与されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法The manufacturing method according to claim 1 or 2, wherein surface compressive residual stress is given to the thickest wire rod among the core wire and the side wire. 前記インナーケーブルを構成する最も太い線材の径が1.0mm〜1.8mmとなっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法The diameter of the thickest wire which comprises the said inner cable is 1.0 mm-1.8 mm, The manufacturing method as described in any one of Claims 1 thru | or 3 characterized by the above-mentioned.
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