JP4796252B2 - ポリヌクレオチド増幅方法 - Google Patents

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、分子遺伝学研究室で普通に行われるポリヌクレオチド増幅反応の精度および定量能を改善するのに有用な方法および組成物に関する。
【0002】
発明の背景
ポリヌクレオチド増幅のための酵素ベースの方法は、現在では診断、環境および法医学検査のための確立された手段である。臨床検査室でのDNAプローブ診断薬の市場は、現在では年間数億ドルとなっている。臨床診断−プローブビジネスは、活発な市場開拓の主な領域であるウイルススクリーニングおよびウイルス負荷測定に伴って生長すると予測される。この技術の商業的価値のため、改良された増幅法の探査および開発に多大な努力が払われてきた(Genetics Engineering News,17:6(1997)参照)。
【0003】
被分析体ポリヌクレオチド増幅のために最近開発された方法は、当初のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコルに基づく方法に対する有用な代替法を提供する。1方法によれば、代わりにガラス、プラスチック、半導体チップまたはファイバーオプティックスアレイにより作製された固相支持体上でDNA増幅反応を実施する。標識したターゲットDNAを固体支持体上でオリゴヌクレオチドプライマー対間の分子橋として合成し、したがって増幅生成物は固体表面に結合したままである。USP5,399,491には、ターゲットポリヌクレオチドを実質的に一定の温度、イオン強度およびpHの条件下で自触媒増幅させる別法が開示されている。転写仲介増幅(Transcription Mediated Amplification,TMA)と呼ばれるこの方法では、ターゲット配列の多重RNAコピーを合成できる。将来出現すると思われる新たな方法により、ポリヌクレオチド増幅法により対処できる適用範囲は拡大し続けるであろう。
【0004】
定量増幅アッセイ法は、鋳型の単離および増幅効率の標準化を含めて、操作のあらゆる観点に厳しい要求を課する一連のアッセイ法のひとつである。増幅反応に関与する内標準を用いる方法は反応効率を基準化するためのものであるが、反応に装入される被分析体ポリヌクレオチドレベルの変動を評価することはできない。被分析体ポリヌクレオチドと構成性発現するハウスキーピング遺伝子に由来する対照ポリヌクレオチドとを同時増幅する関連方法も、増幅反応の実施に複数のプライマーセットが必要であるため完璧ではない。
【0005】
定量PCR増幅に際して内標準の使用に基づく方法の一例がUSP5,219,727に開示されている。この特許に開示される方法によれば、内標準を増幅反応に含有させてターゲットポリヌクレオチドと同様な効率で増幅するように設計する。内標準として使用するための構成性発現遺伝子生成物を共増幅する方法と同様に、USP5,219,727に開示された方法は被分析体ポリヌクレオチドを定量するために内標準由来のアンプリコンを検出および増幅することを必要とする。したがって、内標準を検出および定量しなければならない場合、被分析体ポリヌクレオチドの定量のためにさらに数工程が必要である。
【0006】
通常のPCR法およびTMA法では増幅ポリヌクレオチド(”アンプリコン(amplicon)”)が溶液中に自由な分子として合成されるという事実は、被分析体検出の不正確さのもうひとつの原因である。これらのアンプリコンは試料間で移動しやすく、汚染反応で偽陽性結果をもたらす可能性がある。キャリーオーバーDNA鋳型による汚染が原因となる偽陽性結果を減らすための標準的注意事項には、分注器具を紫外線照射すること、使い捨てガラス器具やプラスチック器具を使用すること、増幅反応実施用の隔離された研究室や研究室領域を使用すること、エーロゾル発生を避けることが含まれる。PCR生成物が後続反応で再増幅し得ないことを保証するための周到な方法のひとつは、前のPCR増幅からの生成物を分解する特殊な試薬を用いる一連の工程を伴う。しかしこの方法は若干複雑であり、まずPCR混合物中のdTTPをdUTPに置換し、次いで後続PCR混合物すべてをPCR増幅前にウラシルN−グリコシラーゼ(UNG)酵素で前処理する。こうしてウラシル残基をUNGで切除し、生成した無塩基ポリヌクレオチドを分解することにより、前のPCR増幅の生成物を除去する(Longo,et al.,Gene,93:125(1990))。これらの方法が高処理能アッセイ法とならないのは明らかである。
【0007】
したがって、ポリヌクレオチド増幅法の精度を高めるのに使用できる技術が絶えず求められている。さらに、陽性キャリーオーバー汚染により生じる偽陽性結果を減らすために使用できる技術が求められている。本発明はこれらの要望に応じるものである。
【0008】
発明の概要
本発明の第1態様は、被験試料中に存在する被分析体ポリヌクレオチドを定量するための方法に関する。本方法は、下記の工程を含む:(1)未知量の被分析体ポリヌクレオチドを含有する被験試料を入手し;(2)予め定めた量のこの被験試料を予め定めた量の擬似ターゲットと混和し;(3)ポリヌクレオチド増幅反応において、被分析体ポリヌクレオチドと擬似ターゲットを共増幅して、試料が被分析体ポリヌクレオチドを含有する場合は被分析体アンプリコンと擬似ターゲットアンプリコンの両方を含む増幅生成物集合体を調製し;そして(4)反応において生成した擬似ターゲットアンプリコンの量に関する情報に依存せずに被分析体アンプリコンを定量し、これにより被分析体アンプリコンの量は当初の被験試料中に存在していた被分析体ポリヌクレオチドの未知量と用量依存関係にある。所望により、擬似ターゲットアンプリコンを検出する工程を追加してもよい。この任意工程は、たとえば増幅反応に対する陽性対照として役立ちうる。本発明の特定の好ましい態様において、定量工程は、まず共増幅工程からの増幅生成物集合体を、被分析体アンプリコンに特異的であるが擬似ターゲットアンプリコンには特異的でない標識プローブとハイブリダイズさせ、次いで被分析体アンプリコンと特異的にハイブリダイズした標識プローブがあればそれを検出することを含む。もちろん、被分析体アンプリコン特異的プローブはそれに相補的な被分析体ポリヌクレオチドまたは核酸鎖に結合しうるプローブであってもよいことを理解すべきである。他の態様において、共増幅工程のポリヌクレオチド増幅反応は、転写仲介増幅反応(TMA)、NASBA反応およびポリメラーゼ連鎖反応のいずれであってもよく、TMA反応が本発明のきわめて好ましい態様である。用いる増幅反応のタイプに関係なく、入手工程は、まず生物検体を採集し、次いで検体に含有される核酸を放出させて、未知量の被分析体ポリヌクレオチドを含有する被験試料を得ることを伴ってもよい。あらゆるタイプの増幅反応について、混和工程における擬似ターゲットの量は好ましくは1×103〜2×108分子、より好ましくは1×104〜2×108分子、さらに好ましくは1×105〜2×108分子である。所望により、共増幅工程の前に被分析体ポリヌクレオチドを固体支持体に捕獲する追加工程を含むことができる。追加の捕獲工程を用いる本発明方法の態様において、混和工程に用いる擬似ターゲットの量は好ましくは1×103〜2×108分子、より好ましくは1×104〜2×108分子、さらに好ましくは1×105〜2×108分子である。固体支持体の例は、合成ポリヌクレオチドで誘導体化したビーズである。本方法に使用する生物検体は血液試料または血漿試料であってもよく、検体に含有される核酸にはウイルス核酸を含めることができる。本発明の1態様において、本方法に使用する被分析体ポリヌクレオチドはHIVウイルス粒子(virion)から放出される核酸である。本発明方法に用いるポリヌクレオチド増幅反応がTMA反応である場合、本方法には、混和工程の後であって共増幅工程の前に、被分析体ポリヌクレオチドおよび擬似ターゲットを単離する追加工程が含まれてもよい。転写仲介増幅反応を用いる本発明方法の態様において、本反応に用いる擬似ターゲットの量は好ましくは1×103〜2×108分子、より好ましくは1×104〜2×108分子、さらに好ましくは1×105〜2×108分子である。定量検出工程が被分析体アンプリコンに特異的な標識プローブのハイブリダイゼーションを伴う場合、標識プローブをアクリジニウムエステルで標識することができ、この場合、定量検出工程はルミノメトリーの実施を伴うことができる。入手工程が生物検体を採集してそれに含有される核酸を放出させることを伴う本発明の態様において、被分析体ポリヌクレオチドはウイルスポリヌクレオチドであってもよい。一般に本発明は、増幅前の被分析体ポリヌクレオチド量と増幅後の被分析体アンプリコン量を関連づける標準曲線を参照する追加工程を含むことができる。標準曲線を参照するこの工程は、アクリジニウムエステルで標識したプローブのハイブリダイゼーションを測定するためにルミノメトリーを用いる場合、または増幅反応が特に転写仲介増幅反応である場合にも適用できる。転写仲介増幅反応を用いるさらに他の好ましい態様においては、配列番号:1および配列番号:2の配列を有する一対のオリゴヌクレオチドプライマーセットを反応の実施に使用することができ、擬似ターゲットは、配列番号:4および配列番号:9よりなる群から選択されるポリヌクレオチド配列をもつことができる。
【0009】
本発明の他の態様は、増幅前の被分析体ポリヌクレオチド量と増幅後の被分析体アンプリコン量を関連づけるための方法に関する。本方法は下記の工程を含む:(1)予め定めた異なる量の被分析体ポリヌクレオチドを含有する複数の対照試料を入手し;(2)複数の対照試料をそれぞれ一定量の擬似ターゲットと混和して、複数の混合試料を調製し;(3)複数の増幅反応において、擬似ターゲットと複数の混合試料それぞれに存在する被分析体ポリヌクレオチドの両方を共増幅して増幅生成物を調製し、増幅生成物は、複数の混合試料それぞれについての擬似ターゲットアンプリコンおよび被分析体ポリヌクレオチドを含有していた複数の混合試料それぞれについての被分析体アンプリコンを含有し;(4)増幅生成物集合体中に存在する擬似ターゲットアンプリコンの量と関係なく、複数の増幅反応それぞれについて被分析体アンプリコンを定量し;そして(5)予め定めた異なる被分析体ポリヌクレオチド量を複数の増幅反応それぞれについての定量された被分析体アンプリコン量に対してプロットした標準曲線を作成し、これにより複数の対照試料それぞれに存在していた増幅前の被分析体ポリヌクレオチドの量とそれぞれの増幅反応で合成された増幅後の被分析体アンプリコン量を関連づける。所望により、擬似ターゲットアンプリコンを検出する工程を追加してもよい。この任意工程は、たとえば増幅反応の陽性対照として役立つ。好ましい態様において、被分析体ポリヌクレオチドはウイルスポリヌクレオチド、たとえばHIVポリヌクレオチドである。一般に、予め定めた一定の擬似ターゲット量は好ましくは1×103〜2×108分子、より好ましくは1×104〜2×108分子、さらに好ましくは1×105〜2×108分子である。本発明の他の態様によれば、共増幅工程における複数の増幅反応は、複数の転写仲介増幅反応、複数のNASBA反応および複数のPCR反応のいずれかであってよい。一連のきわめて好ましい態様において、共増幅工程における増幅反応は複数の転写仲介増幅反応である。用いる増幅反応のタイプに関係なく、定量工程は、共増幅工程からの増幅生成物をまず被分析体アンプリコンに特異的であるが擬似ターゲットアンプリコンには特異的でない標識プローブとハイブリダイズさせ、次いで特異的にハイブリダイズした標識プローブがあればそれを定量検出することを伴うことができる。ある場合には、標識プローブをアクリジニウムエステルで標識する。増幅工程が被分析体アンプリコン特異的な標識プローブとのハイブリダイゼーションを伴うさらに他の好ましい態様においては、共増幅工程の前に被分析体ポリヌクレオチドを固体支持体に捕獲する追加工程があってもよい。
【0010】
本発明のさらに他の態様は、被分析体ポリヌクレオチド鋳型を用いてポリヌクレオチド増幅反応を実施するためのキットに関する。キットの例は下記を含むことができる:擬似ターゲット;擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドを共増幅するための、少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー;ポリヌクレオチド増幅反応を実施するための試薬であって、デオキシヌクレオチド三リン酸およびDNA重合酵素を含む試薬;ならびにまず増幅反応を実施し、次いで増幅反応において生成した被分析体アンプリコンのみを検出するための指示を含む印刷した説明書。1態様において本発明のキットは、増幅反応において生成した被分析体アンプリコンを検出するための標識プローブを含むことができる。他の態様によれば、本発明のキットはさらに、ヌクレオチド三リン酸およびRNA重合酵素を含む。キットに含まれるDNA重合酵素は逆転写酵素であってもよい。きわめて好ましい態様においては、逆転写酵素により供給されるもの以外にRNase Hをキットに使用しない。
【0011】
さらに他の本発明の態様は、生物試料が被分析体ポリヌクレオチドを含有するかを判定するための定量方法に関する。この方法は下記の工程を含む:(1)被分析体ポリヌクレオチドの存在について検査する生物試料を入手し;(2)生物試料を擬似ターゲットと混和して混合試料を調製し;(3)混合試料から核酸を単離し、これにより擬似ターゲットおよび生物試料中に存在する被分析体ポリヌクレオチドがあればそれを含む分子集合体が得られ;(4)ポリヌクレオチド増幅反応を実施し、分子集合体に含有される擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドがあればそれを共増幅して増幅生成物を調製し、これにより擬似ターゲットアンプリコンが形成され、かつ分子集合体が被分析体ポリヌクレオチドを含有する場合は被分析体アンプリコンが形成され;(5)増幅生成物中において、擬似ターゲットアンプリコンを検出せずに被分析体アンプリコンがあればそれを検出し;そして(6)増幅生成物中に被分析体アンプリコンが検出された場合は、生物試料が被分析体ポリヌクレオチドを含有すると判定する。ある態様において、増幅反応は転写仲介増幅反応、NASBA反応およびPCR反応のいずれかである。あるきわめて好ましい態様において、増幅反は転写仲介増幅反応である。転写仲介増幅反応を用いる場合、入手工程は採血を含むことができる。用いる増幅反応のタイプに関係なく、検出工程は、まず被分析体アンプリコンに対する結合特異性を有する標識ポリヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、次いで標識ポリヌクレオチドプローブの特異的結合度を測定することを伴ってもよい。検出工程が被分析体アンプリコン特異的な標識プローブとのハイブリダイゼーションを伴う場合、単離工程は擬似ターゲットおよび被分析体ポリヌクレオチドを固体支持体に固定化することを伴ってもよい。他の好ましい態様によれば、検出工程はルミノメトリーによる検出を含む。さらに他の好ましい態様において、被分析体ポリヌクレオチドはHIVウイルス粒子に由来する。この場合、擬似ターゲットは配列番号:4または配列番号:9のいずれかの配列をもつことができる。
【0012】
定義
本明細書中で用いる下記の用語は、特に別途記載しない限り下記の意味をもつ:
”ポリヌクレオチド”は、別途記載しない限りRNAまたはDNAである。
【0013】
”オリゴヌクレオチド”は、10〜100ヌクレオチド、より好ましくは10〜50ヌクレオチドの長さをもつポリヌクレオチド分子である。通常、オリゴヌクレオチドは化学的方法で合成され、別途記載しない限り一本鎖である。オリゴヌクレオチドは検出可能な標識で標識されていてもよい。
【0014】
”アンプリコン”は増幅反応において生成したポリヌクレオチド生成物である。
”被分析体アンプリコン”は、被分析体ポリヌクレオチドをポリヌクレオチドコピーまたは増幅生成物の合成の鋳型として用いる増幅反応のポリヌクレオチド生成物である。
【0015】
”被分析体ポリヌクレオチド”は、TMAプロトコルなどの核酸増幅プロセスで複製すべきターゲットポリヌクレオチドであるが、擬似ターゲットポリヌクレオチドとは構造的に識別できる。これら2ポリヌクレオチドは、たとえば制限酵素開裂部位の存否またはハイブリダイゼーションプローブが識別できる内部配列差により識別できる。
【0016】
”ターゲットポリヌクレオチド”は、複製すべきターゲット配列をもち、一本鎖または二本鎖であってよく、ターゲット配列のほかに配列を含むことができ、これらの追加配列は増幅されなくてもよい。
【0017】
”ターゲット配列”は、ターゲットポリヌクレオチドの増幅すべき特定のヌクレオチド配列を表す。ターゲット配列には、増幅反応に有用なオリゴヌクレオチドプライマーがDNAポリメラーゼによる延長の前にハイブリダイズしうる複合体形成性配列も含まれる。ターゲットポリヌクレオチドが当初一本鎖である場合、”ターゲット配列”という用語はターゲットポリヌクレオチドに相補的な配列をも表す。ターゲットポリヌクレオチドが当初二本鎖である場合、”ターゲット配列”という用語は互いに相補的な(+)および(−)鎖の両方を表す。
【0018】
”擬似ターゲット”は、単一の増幅反応で被分析体ポリヌクレオチドと共増幅しうるポリヌクレオチドである。擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドは同一のオリゴヌクレオチドプライマーセットを用いて増幅できる。しかし、擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドは独立したプライマーセットを用いて増幅させることもできる。擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドは同一分子ではなく、したがって。擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドは互いに識別できる。
【0019】
”擬似ターゲットアンプリコン”は、擬似ターゲットをポリヌクレオチドコピーまたは増幅生成物の合成の鋳型として用いる増幅反応のポリヌクレオチド生成物である。
【0020】
”ポリヌクレオチド増幅反応”は、ターゲットポリヌクレオチド数を増加させるための鋳型依存性インビトロ酵素触媒反応である。
本発明に関して”定量的に検出する”または”定量する”とは、ポリヌクレオチドまたはアンプリコン生成度を測定するプロセスを表す。
【0021】
”標識プローブ”は、検出可能な部分を含み、かつ相補的な一本鎖ターゲット核酸配列と結合して二本鎖ハイブリッドを形成しうるヌクレオチドポリマーである。この用語には、天然ヌクレオチドの類似体も含まれ、特にリボースの2’位にメトキシ基をもつ類似体(OMe)が含まれる。検出可能な部分はプローブ末端(1以上)に結合していてもよく、プローブ配列内部に位置していてもよい。一般に標識プローブは、約10〜約100ヌクレオチドの長さであるが、100ヌクレオチドより長いか、または10ヌクレオチドより短くてもよい。
【0022】
”検出可能な部分”は、標識プローブに結合しているか、あるいはその一部として合成されてもよい分子である。この分子は特異的に検出されなければならず、結果的にプローブを検出できる。これらの検出可能な部分は、しばしば放射性同位体、化学発光分子、酵素、ハプテン、またはユニークオリゴヌクレオチド配列である。
【0023】
”被分析体アンプリコンに特異的な標識プローブ”は、被分析体ポリヌクレオチドを増幅生成物合成の鋳型として用いる増幅反応で合成されたポリヌクレオチド生成物に相補的なポリヌクレオチド配列を有する標識プローブである。アンプリコンは増幅反応において生成するポリヌクレオチド生成物であるので、被分析体アンプリコンに特異的な標識プローブは反応において生成するいずれのポリヌクレオチド鎖に対しても相補的となりうる。したがって、被分析体ポリヌクレオチドがターゲット配列を含む一本鎖分子である場合、かつ増幅反応においてターゲット配列のコピーおよびその相補配列が生成する場合、被分析体アンプリコンに特異的な標識プローブはターゲット配列またはその相補配列に相補的となりうる。
【0024】
本明細書中で用いる”共増幅”は、ポリヌクレオチド増幅反応において1より多いターゲットポリヌクレオチド種が増幅されるプロセスを表す。たとえば”被分析体ポリヌクレオチドおよび擬似ターゲットを共増幅させる”は、これら2ポリヌクレオチド種を同時に増幅させて、それぞれ被分析体アンプリコンと擬似ターゲットアンプリコンを形成するプロセスを表すものとする。
【0025】
本明細書中で用いる、被分析体ポリヌクレオチドを含有する、または含有する可能性がある試料を”入手する”とは、ヒトなどの生物対象から得ること、または業者などの試薬貯蔵所から入手することを意味する。動物またはヒトから試料を入手する場合、当業者に周知の適切な任意数の手段を用いてもよいことは理解されるであろう。たとえば血液試料を入手する場合、血管穿刺による採血により得るか、あるいは法医学試料として得られる可能性もある。
【0026】
本明細書中で用いる”擬似ターゲットアンプリコンの量と関係なく”という句は、増幅系内の他のパラメーターに関して決定を行うために、増幅反応で合成された擬似ターゲットアンプリコンの量に関する量的情報が必要ないことを意味する。たとえば、増幅系内で合成された被分析体アンプリコンの量またはその量のアンプリコンを形成した被分析体ポリヌクレオチドの量は、本明細書に開示する方法によれば、同じ反応での擬似ターゲットアンプリコンの形成に関する量的情報なしに測定できる。実際に、本明細書に記載する定量法の達成のために擬似ターゲットアンプリコンを検出する必要すらない。本発明は、増幅前の被分析体ポリヌクレオチド量と増幅後の被分析体アンプリコン量を関連づけるための方法をも提供する。この関係は、増幅反応で被分析体アンプリコンと共増幅した擬似ターゲットアンプリコンの量に依存することなく、あるいはそれを知らなくても確立できる。したがって、実験操作で擬似ターゲットアンプリコンを検出または定量したとしても、増幅前の被分析体ポリヌクレオチド量と増幅後の対応する被分析体アンプリコン量を関連づける際に、その情報を採用する必要はない。
【0027】
本明細書中で用いる”標準曲線”は、増幅前のポリヌクレオチド量と増幅後の対応するアンプリコン量を関連づける表示である。たとえば標準曲線は装入鋳型分子の既知数をx軸、アンプリコン生成物のRLU値またはpmolをy軸にプロットしたグラフであってもよい。標準曲線は一般に、既知数のポリヌクレオチド鋳型を含む対照ポリヌクレオチド標準を用いて作成される。標準曲線は電子形態で記憶させておくか、またはグラフで表示することができる。
【0028】
”生物検体”は、生物由来の材料の試料である。
好ましい態様の詳細な説明
本明細書には、擬似ターゲットを含むポリヌクレオチド増幅反応は、合成される被分析体アンプリコンの量に関して精度が改善されるという利点をもつことを開示する。さらに、擬似ターゲットを反応に含有させ、次いで合成された被分析体アンプリコンの量を定量測定することにより、定性増幅反応を定量アッセイに変換できる。検体から核酸を単離する効率に関係なく、後続の増幅反応において予め定めた比率の擬似ターゲットアンプリコンと被分析体アンプリコンの生成を保証するという利点をもつ新規な検体処理方法をも開示する。この方法によれば、検体から核酸を単離する前に、擬似ターゲットを生物検体に添加する。擬似ターゲット増幅を利用して定性方式で実施され、被験試料中の被分析体ポリヌクレオチドの量についての準定量情報を提供するアッセイ法をも記載する。
【0029】
序論と概説
本発明を開発するに至った所見は、標準TMA反応に固有の特性に関するものであった。より具体的には、きわめて低い量のターゲットポリヌクレオチドのみを用いて反応を開始した場合、非特異的増幅生成物の酵素合成が実質的割合を占めることが認められた。電気泳動により視覚化すると、非特異的増幅生成物は広いサイズ範囲にわたってスミアとして現われた。この結果を図1に示す。
【0030】
重要な点は、ターゲットポリヌクレオチド鋳型の使用量を漸増させて実施したTMA反応で非特異的生成物の相対割合が漸減することが認められた点である。この結果も図1に示される。高濃度のターゲットポリヌクレオチドを用いて開始した反応ほど、多量の特異的生成物が形成され、非特異的生成物は少量にすぎなかった。この逆関係から、反応開始時に反応混合物中に増幅可能な鋳型を含有させることにより非特異的反応生成物の形成を抑制しうると推測した。
【0031】
特定の理論に拘束されたくはないが、この逆関係はTMA反応のような自己触媒反応に特に顕著となる可能性があった。この反応の性質は、早期に中断しない限り利用可能な反応体の供給が枯渇してそれ以上の合成が起き得ない終末点まで進行するものだからである。ターゲットポリヌクレオチドの不存在下で無制限に進行するTMA反応は、反応体が枯渇してそれ以上の合成が起きない時点まで非特異的生成物を生成するであろう。無制限に実施したPCR反応も、反応体が枯渇してアンプリコン生成が止む時点まで進行し、同様に非特異的生成物を生成する可能性がある(たとえばD.Persing,Diagnostic Molecular Microbiology;Ch 3,p.58(1993)参照)。
【0032】
本明細書に開示する方法は常法により実施されるので、核酸分子集団中における被分析体ポリヌクレオチドの存在を指示するために被分析体アンプリコンの検出を利用する。たとえばヒト免疫不全ウイルス(HIV)ウイルス粒子の血清中濃度をモニターするための方法は、HIVゲノムの一部を増幅し、次いでその増幅生成物を検出および定量することを伴う。その方法がさらに擬似ターゲットの増幅を含む場合、擬似ターゲットアンプリコンの検出は任意工程であり、アッセイの達成に必要ではない。擬似ターゲットアンプリコンの検出は、増幅反応が起きたことを指示する陽性対照操作として利用できる(すなわち内部増幅対照)。しかし、増幅反応で合成された被分析体アンプリコンの量、すなわちその被分析体アンプリコン量の形成をもたらした被分析体ポリヌクレオチド鋳型の量の定量解析は、増幅反応で合成された擬似ターゲットアンプリコンの量を知ることには依存しない。したがって、本明細書に開示する方法によれば、増幅反応で合成された擬似ターゲットアンプリコンの量に関係なく被分析体アンプリコンを定量できる。本明細書に開示する方法の重大な特色は、被分析体アンプリコンを擬似ターゲットアンプリコンから識別できなければならないことである。より具体的には、擬似アンプリコンをも検出することなく、被分析体アンプリコンを検出できなければならない。好ましい態様において、被分析体アンプリコンと擬似ターゲットは少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブに異なる状態で結合し、したがって2つのアンプリコン種を独立して検出できる。
【0033】
増幅プロトコルを用いる臨床操作に特に関連のある1つの点は、異なる生物検体からのポリヌクレオチド鋳型採集の変動性に関係する。たとえば異なる組織から採集したあるポリヌクレオチドの分子数が、試料サイズの変動性や異なる試料取扱い方法の複雑さのため変動することは、一般にみられる。核酸はガラス、プラスチックおよびクロマトグラフィー媒体(たとえば架橋ポリアクリルアミドおよびデキストラン)に非特異的に結合して、その後の処理中に試料回収効率を低下させる可能性がある。さらに、生物検体から回収したRNAは、化学的または酵素による加水分解の結果、種々の程度に分解している可能性がある。酵素による加水分解は高濃度のリボヌクレアーゼを含有する生物試料においては特に著しい。
【0034】
定量ポリヌクレオチド増幅アッセイ
擬似ターゲットをポリヌクレオチド増幅反応に取り込ませると、試料間の増幅変動性を少なくすることができるだけでなく、十分に最適化された定性アッセイですら定量アッセイに変換することもできる。特異的増幅生成物のみを合成するポリヌクレオチド増幅系の場合(ターゲット非特異的生成物は形成されないことを意味する)、当初のターゲットポリヌクレオチドから増幅される最終生成物の量は、反応に含有されていたターゲットポリヌクレオチドの出発量に関係なく一定であろう。これは、反応体の1つが反応停止に十分なほど枯渇する時点まで進行する自己触媒型増幅反応、たとえばTMA反応の場合に当てはまる。この状況で合成される生成物の全量は、大部分は反応に含まれる反応体の初期濃度により決まる。そのような最適化ポリヌクレオチド増幅系は、反応体の1つの濃度が制限となる時点まで反応を実施する場合には、定性的ではあるが定量的ではない。これは、反応中に生成する最終生成物の量がポリヌクレオチドターゲットの出発量ではなく出発反応体濃度に依存するからである。
【0035】
TMAなどの増幅反応に擬似ターゲットを含有させる場合、好ましくは擬似ターゲットはターゲットポリヌクレオチドと比較して高いコピー数で存在するであろう。増幅反応は、ターゲットポリヌクレオチドおよび擬似ターゲットから増幅する生成物の量が反応体の1つが枯渇するのに十分な量に達した時点で停止する。擬似ターゲットは通常は優勢増幅種であろうから、ターゲットポリヌクレオチドの増幅度はターゲットポリヌクレオチドの出発量ではなく擬似ターゲットの出発量により決まる。したがって、増幅反応における擬似ターゲットの量を制御することにより、ターゲットポリヌクレオチドの増幅度を反応におけるターゲットポリヌクレオチドの出発量に関係なく制御できる。反応体濃度を一定に維持すれば増幅生成物の総量は一定であるが、反応中に生成する被分析体アンプリコンの量は擬似ターゲットの出発濃度に対する被分析体ポリヌクレオチドの出発割合を実質的に反映する。ターゲットポリヌクレオチドは予め定めた程度に増幅するので、こうしてポリヌクレオチド増幅アッセイを定量アッセイにすることができる。これを図2〜4に模式的に示す。
【0036】
一般に、擬似ターゲットポリヌクレオチドを反応に含有させることにより定性ポリヌクレオチド増幅反応を定量反応に変換する方法は、PCR、NASBA(核酸配列ベース増幅)、SDA(標準置換増幅)、ならびに自己複製型ポリヌクレオチド分子および複製酵素(MDV−1 RNAおよびQ−ベータ酵素など)を用いる増幅方法を含めたすべての既知ポリヌクレオチド増幅系に適用できる。これらの各種増幅方法を実施するための方法は、それぞれUSP4,965,188;EP A0 525 882;USP5,455,166;USP5,472,840;およびLizardi et al.,BioTechnology,6:1197(1988)中にみられる。
【0037】
擬似ターゲットを含む増幅反応の定量態様
ポリヌクレオチド増幅は指数的プロセスであり、反応速度に影響する変数のいずれかがわずかに異なっても被分析体特異的アンプリコンの収量が著しく異なることは、核酸検査の分野で認識されている。本明細書には、増幅反応において生成した非特異的増幅生成物がアンプリコン生成物の総量に著しく関与し、被分析体特異的増幅生成物に用いられるはずの反応体を消費する可能性があるという新規所見を提示する。増幅生成物のプールに対する非特異的生成物の関与は、非特異的増幅生成物量のわずかな変化が被分析体アンプリコン生成量に強い影響を及ぼす可能性をもつのに十分なほど著しい。したがって、増幅反応で形成される非特異的生成物の量を減らすと被分析体アンプリコン生成の精度が改善され、定性増幅アッセイが定量アッセイに変換されるという利点のあることが、本発明の開発に際して見いだされた。
【0038】
非特異的生成物の形成を減らすための好ましい方法は、擬似ターゲットを増幅反応に含有させ、次いでこの反応で合成された被分析体アンプリコンを定量検出することを伴う。こうして被分析体アンプリコンの生成を、増幅反応開始時に存在する被分析体ポリヌクレオチドの量と用量依存的に関連づけることができる。さらに本発明方法によれば、被験試料中に存在する被分析体ポリヌクレオチド数を定量するために擬似ターゲットアンプリコンを検出する必要がない。
【0039】
したがって本明細書には、内標準に由来する増幅生成物の検出によらない被分析体ポリヌクレオチドの定量方法が開示される。この方法の開発は、被分析体アンプリコン生成の変動性の原因となる問題の根源を認識し、増幅反応に擬似ターゲットを含有させてこれを制御することにより可能となった。擬似ターゲットは増幅反応の鋳型として作用するが、被分析体ポリヌクレオチドの定量のために擬似ターゲットアンプリコンの検出は必要ない。アンプリコン合成に必要な反応体に対して被分析体ポリヌクレオチドと競合する鋳型を反応に添加することにより増幅反応の精度が改善されるというのは直観に反するが、以下に提示する結果がこの方法の有用性を明らかに証明する。同様に、本明細書に開示する方法は、増幅はされるが検出または定量の必要はない鋳型ポリヌクレオチドを系に導入することにより、通常は変動性の高い非特異的増幅生成物の生成を制御する方法を提供する。
【0040】
増幅反応の精度および定量能の改善の原理
図3a〜3bは、擬似ターゲットが定性的ポリヌクレオチド増幅反応を定量アッセイに変換しうる様子を示す。図3aは、最適化反応によりターゲット被分析体(TA)ポリヌクレオチドを鋳型として用いて反応体プール(図中に八角形で表す)を特異的増幅生成物(SP)に変換する様子を示す。擬似ターゲットの不存在下では反応において生成する被分析体アンプリコンの量はターゲット被分析体ポリヌクレオチドの出発濃度に対して定量関係にはないので、アッセイは定性的である。被分析体ポリヌクレオチドの出発レベルが多量であっても少量であっても、反応において合成される被分析体アンプリコンの量には変化しない。反応において生成する可能性のある被分析体アンプリコンの量は、被分析体ポリヌクレオチドの出発レベではなく出発反応体プールにより決まる。したがって、反応体が枯渇する時点まで増幅反応を実施すると、一定量のアンプリコンが生成する。逆に、図3bは、擬似ターゲットの存在下で実施した増幅反応により、並行する反応が擬似ターゲットを含有する場合、出発被分析体ポリヌクレオチドの量に比例して被分析体特異的生成物が合成される様子を示す。より具体的には、ポリヌクレオチド増幅反応に擬似ターゲットが含有される場合、被分析体アンプリコンの最終量は反応において鋳型として作用する被分析体ポリヌクレオチドの出発レベルと用量依存関係にある。したがって、反応における被分析体ポリヌクレオチドの出発レベルについての情報を得るためには、被分析体アンプリコン(擬似ターゲットアンプリコンではなく)のみを定量すればよい。このポリヌクレオチド定量方法は、被分析体アンプリコン以外のアンプリコンを検出する必要性、または異なるアンプリコン種の識別のために異なるプローブ用いる必要性がないという利点をもつ。したがって、被分析体ポリヌクレオチドと擬似ターゲットの両方を増幅するために同一対のオリゴヌクレオチドプライマーセットを使用できる。これら2種類の増幅反応生成物は、被分析体特異的ハイブリダイゼーションプローブを用いて識別できるからである。
【0041】
図4a〜4dは、2つの競合する増幅反応が同時に起きた場合に、被分析体アンプリコン合成が被分析体ポリヌクレオチドの出発レベルを広範囲にわたって定量的に反映する様子を示す。図4aは、非特異的生成物の形成がない状態で起きる理想化した増幅反応について予想される結果を示す。被分析体ポリヌクレオチドのすべての装入レベルで一定レベルの被分析体アンプリコン形成が予想される。この例は図3aに示した反応を反映する。図4bは、低レベルの非特異的増幅生成物を自然生成する増幅反応について予想される結果を示す。きわめて低いレベルの装入被分析体ポリヌクレオチドにおいてのみ、狭い範囲の用量依存性がある。図4cは、高レベルの非特異的増幅生成物を自然生成する増幅反応について予想される結果を示す。この例では、任意レベルの被分析体ポリヌクレオチドにおいて実施した増幅反応で、グラフのY軸上に示すある範囲に入る量のアンプリコンが生成する。非特異的生成物の形成が関与する程度により、図4bと4cに示す結果が区別される。被分析体ポリヌクレオチドの装入レベルと被分析体アンプリコン合成に関連する線が幅広いのは、被分析体アンプリコン形成の精度が低いことを反映し、非特異的増幅生成物の自然形成の変動性が高いという事実に起因する。図4dは、擬似ターゲットを含有する理想化した増幅反応について予想される結果を示す。反応において生成する被分析体アンプリコンの量は、広範な被分析体ポリヌクレオチド装入レベルにわたって改善された精度および用量依存関係を共に示す。この例は図3bに示した理想化した反応を反映する。
【0042】
このように、本発明方法に従って実施した増幅反応の精度と定量性の観点は、被分析体と被分析体でないポリヌクレオチドが共増幅し、反応体に対して競合する、競合反応の存在および制御性により相関性をもつ。第2の増幅反応が反応体に対して被分析体特異的反応と競合する場合、動的範囲が改善される。典型的反応が100μlの容量をもつとして、増幅反応に反応当たり1×103〜2×108分子のレベルで擬似ターゲットを含有させることにより第2反応の制御性を高めると、被分析体アンプリコン合成量の精度が改善される。
【0043】
標準曲線の使用−増幅前被分析体ポリヌクレオチドの定量
擬似ターゲットを含有する増幅反応は、反応に装入した被分析体ポリヌクレオチド数と合成された被分析体アンプリコンの数の間に定量関係を示すという利点をもつので、被験試料中に存在する被分析体ポリヌクレオチドの数を標準曲線により判定できる。より具体的には、一定量の擬似ターゲットおよび既知量の被分析体ポリヌクレオチドを含有する複数の増幅反応を、未知数の被分析体ポリヌクレオチドを含有する被験試料を用いて行う増幅反応と並行して実施することができる。あるいは、分析操作を実施する度に曲線を作成する必要がないように、予め標準曲線を作成しておくこともできる。予め作成したそのような曲線を、試験機の記憶デバイスに電子的に蓄積しておくこともできる。好ましい増幅反応には、転写仲介増幅反応、NASBA反応およびポリメラーゼ連鎖反応が含まれる。転写仲介増幅反応がきわめて好ましい。擬似ターゲットの使用量は各反応について同一であり、好ましくは反応当たり103〜2×108、104〜2×108、105〜2×108、または107〜2×108の擬似ターゲット分子である。擬似ターゲットを含有する反応は、本明細書に記載する方法に従って実施でき、各反応で合成される被分析体アンプリコンの数は標準的なハイブリダイゼーション法および検出法により定量される。増幅前の被験試料中の被分析体ポリヌクレオチドを定量するために擬似ターゲットアンプリコンを検出する必要はないが、所望により擬似ターゲットアンプリコンの検出を増幅反応達成の確認に用いることもできる。この方法では擬似ターゲットアンプリコンが内部増幅対照として作用する。次いで、第1軸上に増幅前の被分析体ポリヌクレオチド標準の量、第2軸上に対応する増幅後の被分析体アンプリコンの量をもつ標準曲線を作成する。次いで、被験反応について測定した増幅後の被分析体アンプリコンの量を、標準曲線の増幅後軸上に配置する。他方の軸上の対応する数値が、被験反応に存在していた被分析体ポリヌクレオチドの増幅前の量を表す。こうして、標準曲線を参照することにより、より具体的には被験試料について得られた定量結果と標準曲線を比較することにより、被験試料中に存在する被分析体ポリヌクレオチドの分子数を判定できる。これは当業者に周知の方法である。
【0044】
本明細書に記載する方法は、被験試料中に存在する被分析体ポリヌクレオチドを定量するために容易に使用できる。実際に、既知数の被分析体ポリヌクレオチド標準を用いて擬似ターゲットを含有する複数の対照増幅反応を開始し、かつ未知数の被分析体ポリヌクレオチド分子を用いて擬似ターゲットを含有する被験反応を開始すると、各反応の被分析体アンプリコン数の定量により被験試料中に存在していたはずの被分析体ポリヌクレオチド分子数を判定することができる。たとえば500、1,000および1,500分子の被分析体ポリヌクレオチド標準を含有する標準反応が被分析体特異的プローブベースのハイブリダイゼーション操作によりそれぞれ1×、2×および3×の被分析体アンプリコン信号を発し、かつ被験試料が1.5×に対応する被分析体アンプリコン信号を発した場合、被験試料は750の被分析体ポリヌクレオチド分子を含有していたにちがいない。この例では、500〜1,500分子の被分析体ポリヌクレオチド標準から生成するアンプリコンが発する信号間に直線関係がある。標準増幅反応に装入した被分析体ポリヌクレオチド分子数とアンプリコン特異的信号強度の関係は、グラフを用いて確立するのが簡便である。被験試料中に存在する被分析体ポリヌクレオチド分子数の判定は、測定した被分析体アンプリコン信号強度に対応する被分析体ポリヌクレオチド分子数を標準グラフから容易に判定できる。これは、ポリヌクレオチド増幅反応に被分析体ポリヌクレオチド標準を擬似ターゲットと共に用いて、被験試料に含有されていた増幅前の被分析体ポリヌクレオチドを定量する方法を説明する。
【0045】
有用な擬似ターゲットポリヌクレオチドの構造特性
本明細書に開示する方法に用いる擬似ターゲットポリヌクレオチドの設計には下記の情報を採用できる。この情報があれば、検出および定量すべき任意数の被分析体ポリヌクレオチドに対応する有用な擬似ターゲットを作製できる。擬似ターゲットをポリヌクレオチド増幅操作に関して使用できる用途例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:(1)細菌性またはウイルス性病原体の検出;(2)疾病プロセスの指示体として定量が役立つ場合のポリヌクレオチド定量;および(3)法医学分析、環境検査および食品検査を含めた他の多数の用途。
【0046】
本発明の好ましい1態様において、擬似ターゲットおよび被分析体ポリヌクレオチドは同一セットの2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅できる。この例においては、擬似ターゲット上に相補的結合部位をもつ単一オリゴヌクレオチドプライマーが被分析体ポリヌクレオチド上にも相補的結合部位をもつ。
【0047】
他の好ましい態様において、増幅反応に際して鋳型として作用する擬似ターゲットおよび被分析体ポリヌクレオチドは実質的に同様な効率で増幅する。したがって、増幅をTMA、PCR、または他の何らかの方法、たとえばSDA(標準置換増幅)、もしくは自己複製性ポリヌクレオチド分子および複製酵素(MDV−1 RNAおよびQ−ベータ酵素など)を用いる方法のいずれにより実施しても、擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドは同様な増幅効率をもつことが好ましい。
【0048】
擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチド鋳型が同様な増幅効率をもつことを保証するための1方法では、2鋳型は近似するが、操作中に増幅される配列全体においては同一でないポリヌクレオチド配列を示す必要がある。たとえば、被分析体ポリヌクレオチド配列の内部の部分を乱すことにより擬似ターゲットポリヌクレオチドを作製でき、その際、乱された配列は被分析体ポリヌクレオチド特異的プローブによりハイブリダイズする分子の部分として作用する部分の被分析体ポリヌクレオチドに対応する。擬似ターゲットポリヌクレオチドの長さは、本明細書に開示する方法の実施操作にとって重大ではない。
【0049】
擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドが単一反応で共増幅できること、および得られる2つのアンプリコン種を独立して検出できることが必須である。より具体的には、擬似ターゲット増幅生成物と被分析体ポリヌクレオチド増幅生成物が互いに異なる配列をもち、したがって、長さ、検出プローブとハイブリダイズする能力その他の方法により識別できることが必須である。増幅反応において増幅したポリヌクレオチド鋳型は、通常は増幅反応の実施に用いるプライマー結合部位と相同または相補的な領域間に挿入された実質数のヌクレオチド塩基を含むであろうから、これらの挿入配列は選択したハイブリダイゼーションプローブがここに結合しうる領域として作用することができる。ハイブリダイゼーションプローブおよび検出プローブの選択に有用な基準は、当業者に周知であろう。本発明に関して有用なプローブには、標識ポリヌクレオチド、および後続の増幅反応においてプライマーとして有用なオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0050】
被分析体ポリヌクレオチドを生物検体から単離する前の時点で、たとえば試料処理の補助として検体に擬似ターゲットを添加する場合、擬似ターゲットおよび被分析体ポリヌクレオチドを同じ試料処理操作により検体から回収できることが重要である。たとえば、DNAを変性させ、RNAを加水分解するような強アルカリ性条件下で被分析体ポリヌクレオチドを回収できる場合、擬似ターゲットも同じ条件下で構造的に無傷の分子として回収できなければならない。たとえばアルカリ性緩衝液条件を用いて、添加した擬似ターゲットポリヌクレオチドの存在下で被分析体ポリヌクレオチドを単離する場合は、被分析体も擬似ターゲットもRNA分子ではない。これはこの単離操作中に分解するであろう。同様に、擬似ターゲットおよび被分析体ポリヌクレオチドをたとえばエタノールなどのアルコール類の添加により沈殿させる場合、擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドは実質的に同様な効率で沈殿しなければならない。
【0051】
擬似ターゲット配列と被分析体ポリヌクレオチド配列の関係
擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドを同一セットの2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて共増幅できることが好ましいが、必須でないことは明らかである。より具体的には、一対の被分析体特異的プライマーセットを用いて被分析体ポリヌクレオチドを検出するための定性ポリヌクレオチド増幅アッセイを、さらに擬似ターゲット、および擬似ターゲット増幅のためのプライマーセットを反応に含有させることにより、定量アッセイに変換できる。本発明方法の1態様においては、被分析体ポリヌクレオチドと擬似ターゲットを同一の2種類のプライマーにより共増幅させる。
【0052】
”普遍(universal)擬似ターゲット”および擬似ターゲット特異的プライマーセットを用いて定量増幅反応を実施することもできる。本発明方法の1態様においては、普遍擬似ターゲットの増幅に用いるプライマーは被分析体ポリヌクレオチドの増幅に用いるプライマーと同一であってもよい。普遍擬似ターゲットは被分析体ポリヌクレオチドと構造関係がある必要はなく、被分析体ポリヌクレオチドと同様な増幅効率で共増幅する必要もない。低い、または高い出発レベルの被分析体ポリヌクレオチドを用いて実施した増幅反応で、増幅反応開始時に存在する被分析体ポリヌクレオチドの出発量に依存性の様式で被分析体アンプリコンが合成されるであろう。この方法を用いると、2種類以上の増幅反応を被分析体アンプリコンの生成について評価でき、被分析体アンプリコンレベルは各試料中の被分析体ポリヌクレオチドの出発レベルに用量依存関係にある。
【0053】
被分析体ポリヌクレオチドに関連のない擬似ターゲットおよびそれに付随するプライマーを用いても良好な結果を達成できるが、同一のプライマーセットにより被分析体ポリヌクレオチドと共増幅する擬似ターゲットを用いることが好ましい。この好ましい方法は、増幅反応にアンプリコン合成のための供給源として用いる試薬プールの組成の多様性が少なくなるという利点をもつ。本発明を説明するために本明細書に提示した具体例では、共通のオリゴヌクレオチドプライマーセットを用いて共増幅する擬似ターゲットおよび被分析体ポリヌクレオチド例を用いる。
【0054】
増幅反応に含有させる擬似ターゲット量の選択
一般にポリヌクレオチド増幅反応に擬似ターゲットを含有させることにより得られる利点は、きわめて広範な擬似ターゲット濃度にわたって得られる。より具体的には、TMA反応などの増幅反応に1×103〜2×108分子の量で擬似ターゲットを含有させると、(1)より高い増幅精度、(2)陽性キャリーオーバーの可能性の低下、および(3)ターゲット回収変動性の基準化が達成される。これらについてはすべて本明細書に開示されている。実施上の制限内で、増幅反応における擬似ターゲットの出発レベルが高いほど、上記3つのパラメーターがより改善されるであろう。
【0055】
通常は被分析体アンプリコンの合成に使用できないヌクレオチド三リン酸反応体を用いても擬似ターゲットアンプリコンが合成されるので、増幅反応に擬似ターゲットが存在すると被分析体アンプリコン合成が低下するであろう。これが、限定された反応体プールから被分析体アンプリコンと擬似ターゲットアンプリコンの両方が合成される理由である。したがって、擬似ターゲットの出発レベルが漸増すると、増幅反応において生成する被分析体アンプリコン量が漸減する。このため、増幅反応における擬似ターゲットの出発濃度の上限は、実際には被分析体アンプリコンの検出に用いる方法の感度に依存する。
【0056】
増幅反応に含有させることができ、かつ検出に適したレベルの被分析体アンプリコンを生成する擬似アンプリコンの上限量または上限濃度は、ルーティン実験できわめて容易に決定できる。この場合も、反応体枯渇時点まで実施した増幅反応における擬似ターゲットのレベルが高いほど反応において生成する被分析体アンプリコン量が低くなることは、当業者に自明であろう。これは、増幅反応において擬似ターゲットアンプリコンが被分析体アンプリコンの犠牲において合成されるからである。したがって、きわめて高いレベルの擬似ターゲットを含有する増幅反応では、生成する被分析体アンプリコンのレベルは低くなる。被分析体アンプリコン検出のための高感度アッセイ法は、これら低レベルの被分析体アンプリコンの検出に特に有用である。これに対し、陽性の検出信号を得るために多量の被分析体アンプリコンを必要とする低感度アッセイ法は、多量の被分析体アンプリコンの検出には有用であろう。これはごく低い出発レベルの擬似ターゲットを含有し、かつ高レベルの被分析体アンプリコンを生成する増幅反応から得られる。このように、増幅反応の実施に使用できる擬似ターゲット量の上限は、増幅反応自体ではなく、被分析体アンプリコン検出のために最終的に採用するアッセイの感度に依存する。
【0057】
TMA反応などの反応では擬似ターゲット装入レベルが高いほど非特異的増幅生成物が少ないというのは一般に当てはまるので、増幅反応に含有される擬似ターゲットの量は好ましくは可能な限り高くすべきであるということになる。後記実施例に開示した最高擬似ターゲットレベルは、100μlの反応物中、2×108分子であった。もちろん、被分析体アンプリコンの検出に用いる検出系は、出発試料中に被分析体ポリヌクレオチドが存在し、したがって増幅反応において被分析体アンプリコンが合成される場合は、陽性信号を発するのに十分な感度をもたなければならない。実際には、ある範囲の擬似ターゲット濃度を試験し、被分析体アンプリコンに対する与えられた感度をもつ検出系を用いる被分析体アンプリコン検出性により測定して、良好な結果が増幅反応において得られる最適量を判定することができる。通常は、被分析体ポリヌクレオチドを含有する増幅反応および含有しない増幅反応についてそれぞれ予想される結果を指示するために、陽性および陰性対照がこの操作に含まれる。
【0058】
増幅反応の実施のために選択する擬似ターゲットの量は、増幅の規模、反応における被分析体ポリヌクレオチドの出発数、および被分析体アンプリコンを検出するために用いる検出系の感度により影響される可能性がある。標準的TMA反応は、一般に出発ポリヌクレオチドレベルを1012〜1013倍増幅する。ポリヌクレオチド検出系の一例は、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて約6×107分子を検出できる。増幅反応において鋳型供給源として作用する試料中の被分析体ポリヌクレオチド100分子を検出するためには、約6×105倍(約6×107を100で割ったもの)の増幅を達成する必要があろう。被分析体ポリヌクレオチド100分子を少なくとも6×105倍増幅するためには、増幅反応には1×107を超える擬似ターゲット分子が含まれてはならない。これは、6×1012(前記1012〜1013倍の範囲内の一例)を1×107で割ると、6×105倍となるからである。含有される擬似ターゲット数が多いほど、増幅倍率は許容できる6×105の数値より低下するであろう。代わりに1×109倍にまで達するPCRプロトコルを用いると、増幅反応における擬似ターゲットの最大許容量は1×109を6×105で割ったもの、すなわち1.7×103分子となる。したがって下記のことが明らかである:(1)本明細書に開示する方法の実施には広範な擬似ターゲット濃度を採用できる;(2)増幅プロトコルにおいて検査する試料中の被分析体ポリヌクレオチド数が未知である場合、擬似ターゲットの最適量を経験的に判定できる。
【0059】
増幅反応の実施に採用できる好ましい擬似ターゲット量は、典型的反応を100μlの容量で実施する場合、一般に反応当たり103〜109分子である。たとえばHIV感染ヒトから採取した血清試料中のHIVポリヌクレオチドを検出するためのアッセイは、反応当たり103〜2×108、104〜2×108、105〜2×108、または107〜2×108分子の擬似ターゲットを用いて実施できる。きわめて好ましい態様において、増幅反応はTMA反応であり、これらの擬似ターゲット量を用いて実施した増幅反応において生成した被分析体アンプリコンの検出にはHPA(”均質保護アッセイ”)法を採用する。後記実施例に示すように、広範な擬似ターゲット濃度を試験し、良好な結果が得られることが示された。
【0060】
本発明のポリヌクレオチド増幅方法を実施するためのキット
本明細書に記載するポリヌクレオチド増幅方法の実施に有用なキットは、下記のものを含む:(1)擬似ターゲット;(2)擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドを共増幅するための、少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー;(3)ポリヌクレオチド増幅反応を実施するための試薬;ならびに(4)増幅反応を実施し、反応において生成した被分析体アンプリコンのみを検出するための指示を含む印刷した説明書。所望により、キットは被分析体アンプリコンを検出するための標識プローブを含むことができる。キットと共に含まれる試薬は、デオキシヌクレオチド三リン酸およびDNA重合酵素を含み、逆転写酵素であってもよい。ヌクレオチド三リン酸およびRNA重合酵素は、キットに含まれてもよい任意試薬である。
【0061】
この背景において、本発明の3つの具体的態様を以下に詳述する。
I.被分析体ポリヌクレオチド増幅の感度向上
増幅方法は、定量および定性のいずれも、痕跡量の特異的ターゲットポリヌクレオチドですら検出および測定するための有力な手段となる。しかし異なる反応間で均一な増幅効率を得るのが困難なことは、増幅度の変動性が精確な定量および少量のターゲットを検出する可能性の妨害となることを意味する。本発明者は、非特異的生成物の形成を最小限に抑え、被分析体アンプリコン合成量の精度を高め、かつ定量増幅反応の実施しやすさを最大限に高めることができる方法の開発を試みた。
【0062】
増幅度の変動性は、一部は酵素による非特異的反応生成物の合成に起因すると思われる。これらの非特異的生成物の形成は、増幅鋳型として作用するターゲットポリヌクレオチドがきわめて低い出発レベルで反応に含まれるにすぎない場合に、最も顕著であった。ターゲットポリヌクレオチドレベルが高いほど、非特異的生成物の形成は少なくなり、反応の全生成物のうちごく小さな割合になる。したがって本発明の目的は、反応混合物中の被分析体ポリヌクレオチドの出発レベルがきわめて低い場合ですら、高いターゲットポリヌクレオチド濃度に特徴的な反応条件を模倣することであった。より具体的には、図2に示すように、非特異的生成物の形成を最小限に抑える好ましい反応条件を模倣することが望ましい。
【0063】
被分析体ポリヌクレオチドと共増幅する擬似ターゲットポリヌクレオチドを補給した増幅反応により、これらの目的を達成するために望ましい反応条件が得られた。これにより増幅反応は、増幅反応における真の被分析体レベルが低い場合ですら、高レベルの被分析体が存在するかのような挙動を示した。後記の実験結果が示すように、105コピーを超える擬似ターゲットポリヌクレオチドの添加により、相対光単位(RLU)の変動係数(CV%)の改善により測定した増幅精度が改善された。ここでRLUはハイブリダイズしたプローブの量の測定可能な指標である。これに関してCV%は、データコレクションについての標準偏差(SD)をそのコレクションについての正味平均で割り、次いでその商を100倍することにより計算した統計値である。低いCV%値はデータのばらつきが少ないことを反映し、実験精度がより高いことの指標と受け取れる。したがって本明細書に記載する方法は、被分析体ポリヌクレオチド増幅の精度を改善し、一方では規模の変動する非特異的反応生成物の形成を少なくする手段を提供する。
【0064】
本明細書に開示する方法はさらに、被分析体ポリヌクレオチドが擬似ターゲットのコピー数より低いコピー数で存在する限り、被分析体ポリヌクレオチドの出発レベルに関係なくポリヌクレオチド増幅反応の結果を基準化する機序を提供する。後記に例示する方法では、被分析体ポリヌクレオチドが101〜105分子の出発レベルで一連の増幅反応混合物中に存在し、一方では擬似ターゲットがすべての混合物中に106分子のレベルで存在した。これは、すべての増幅反応が実質的に106のポリヌクレオチド鋳型から開始したことを意味する。鋳型の総数に対する被分析体ポリヌクレオチドの寄与は、いずれの混合物においてもきわめて低かったからである。したがって、被分析体ポリヌクレオチド数は広く変動したにもかかわらず、すべての増幅反応がほぼ106の鋳型を含有するかのような挙動を示した。これにより、実際の被分析体レベルに関係なく、増幅反応は106の鋳型ポリヌクレオチドに基準化された。
【0065】
II.アンプリコン生成の制御
さらに、高い装入レベルのターゲットポリヌクレオチドの定量を不正確にする可能性のある被分析体アンプリコンの”過剰生成”に伴う障害を克服するために、擬似ターゲットを使用しうることが見いだされた。増幅反応において過剰量のアンプリコンが生成し、検出プローブを飽和するまでハイブリダイズさせることによりこれらのアンプリコンを定量すると、必然的にアッセイの検出工程で多量の検出プローブが消費される。逆に、低レベルのアンプリコンが生成する場合、検出工程の実施に必要な検出プローブは少なくなるであろう。増幅反応において生成するアンプリコンの量を少なくすることの他の利点は、アンプリコンの検出に用いる検出装置という他の観点に関係する。ルミノメトリーなどの検出手段はしばしば直線的応答範囲をもち、これを高い信号レベルで飽和させることができるので、検出工程で発せられる信号は検出装置の直線応答範囲内に含まれる。このように、アンプリコン合成を制御しうることは後続の検出工程に関して有益である。
【0066】
増幅反応において生成する被分析体アンプリコンの量は、増幅反応に擬似ターゲットを含有させてアンプリコン合成に対しターゲットポリヌクレオチドと競合させることにより制御できる。擬似ターゲットが存在する場合、増幅反応混合物中の反応体は被分析体アンプリコンと擬似ターゲットアンプリコンの両方の合成に用いられるであろう。試薬が消費されるまで増幅反応が進行し、かつ被分析体アンプリコンを犠牲にしてより多数の擬似ターゲットアンプリコンが生成すれば、増幅反応における擬似ターゲットの出発量の増加により被分析体アンプリコンの相対割合を低下させることができる。増幅反応に含有させるのに適切な擬似ターゲットレベルは、ルーティン実験程度で判定できる。
【0067】
TMA反応などのポリヌクレオチド増幅反応における被分析体アンプリコン生成を少なくするための別法は、準最適条件で反応を実施するもの、たとえばUSP5,705,365および5,710,029に記載される方法である。この別法は、検出すべき異なる被分析体を”脱最適化”するために異なる条件を必要とするので、前記方法より望ましくないことがある。これに対し、擬似ターゲットを含有させることにより反応において生成する被分析体アンプリコン量を少なくすると、すべての反応を最適条件下で実施できる。
【0068】
このように、増幅反応に擬似ターゲットを含有させると、高レベルのターゲットとより高いレベルの擬似ターゲットを競合させることにより、定量増幅反応を”調整”する手段が得られる。
【0069】
III.添加した擬似ターゲットの存在下での検体処理
多くの定量アッセイについて、異なる生物試料からターゲットポリヌクレオチドを均一に回収することはきわめて重要である。たとえば血漿中HIVウイルス粒子濃度を測定するためのアッセイ法は、ターゲットポリヌクレオチド回収精度が低いと、血漿中ウイルス粒子濃度の推定が不正確になりやすい。本明細書には、被分析体ポリヌクレオチドレベルの変動性に比較的耐容性である別法を記載する。
【0070】
本発明の1態様は、増幅反応において鋳型として作用するポリヌクレオチドの定量的回収を試みるのではなく、検体処理工程でのターゲットポリヌクレオチド回収の変動性を基準化する方法に関する。この方法によれば、擬似ターゲット増幅が真のターゲット増幅と競合するのに十分なほど高い場合、かつ擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドが同様な増幅効率で共増幅する場合、ターゲットポリヌクレオチド増幅生成物の最終量を容易に制御できる。この範囲で、被分析体アンプリコンの量は擬似ターゲットの装入レベルに反比例する。たとえば擬似ターゲットの装入レベルをX倍高めると、被分析体アンプリコンは1/Xに減少する。検体処理工程中に擬似ターゲットが存在する場合、擬似ターゲットと真のターゲットは同様な効率で回収される。したがって被分析体ポリヌクレオチドの回収効率がK%であれば、擬似ターゲットもK%の効率で回収される。
【0071】
他の点で等しい条件下では、反応により生成するアンプリコンの量は比較的一定である。したがって擬似ターゲットを添加すると、反応成分は非特異的アンプリコン形成から外れ、反応において生成するアンプリコンはすべて効率的に擬似ターゲットアンプリコンであるか、または被分析体ポリヌクレオチドの増幅生成物の被分析体アンプリコンであることが保証される。擬似ターゲットアンプリコンおよび被分析体アンプリコンは、増幅反応開始時の擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドの比率と等しい比率で生成する。
【0072】
被分析体ポリヌクレオチドと擬似ターゲットを同時に単離し、次いで増幅反応に添加して反応体が枯渇するまで進行させると、生成する被分析体アンプリコンと擬似ターゲットアンプリコンの相対割合は生物検体から単離した試料中の被分析体と擬似ターゲットの相対割合と等しいであろう。これは、検体処理におけるポリヌクレオチド回収効率に関係なく、増幅反応で合成された被分析体アンプリコンの量は100%の被分析体ポリヌクレオチドおよび擬似ターゲットが検体処理工程で回収された場合に合成されたであろう量と同一であることを意味する。したがって、後続の増幅のためにポリヌクレオチドを単離する処理の時点で生物検体に擬似ターゲットを添加することにより、後続の増幅工程におけるターゲット回収効率は基準化される。
【0073】
擬似ターゲットを含有する増幅反応
後記実施例で用いたTMA反応の実施には2つの好都合な方式を採用できる。第1方式では、すべての材料がすべての時点で液体である。たとえば試薬、鋳型および酵素の溶液を反応器内で混和し、増幅を進行させる。これは、ターゲットポリヌクレオチドが精製または準精製状態で得られる場合に最も好都合である。第2方式では、TMA反応で増幅すべきポリヌクレオチド鋳型をまず固相(たとえばビーズ)上に採集し、固相と鋳型を含むこの複合体を増幅反応における他の試薬と混和する。有用な固相には、ニトロセルロース、ナイロン、ガラス、被覆磁性粒子、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、および誘導体化したポリマー、たとえばエポキシ樹脂が含まれるが、これらに限定されない。この第2方式は、入手できる鋳型ポリヌクレオチドの量が限定される場合に特に好都合である。少量のポリヌクレオチド試料の操作をより多量の、より取扱いやすいビーズの懸濁液の操作に置き換えることが容易であるのは、当業者に自明であろう。さらに、ビーズは鋳型精製工程の1成分であってもよい。たとえばオリゴ(dT)ポリヌクレオチドを配置したビーズを細胞溶解物と混合すると、ポリ(A)+mRNAがビーズに固定化される。次いで、ビーズおよび固定化mRNAを含有するこの複合体を試薬および酵素と混和すると、ビーズに結合したRNAを増幅のための鋳型として用いてTMA反応を実施できる。この場合、ビーズを反応器に直接添加できる。オリゴ(dT)ポリヌクレオチドの代わりに、配列の異なるポリヌクレオチドをビーズに固定化すると、ポリヌクレオチド集合体から相補的被分析体ポリヌクレオチドまたは擬似ターゲットを捕獲するためにその異なる配列を使用できる。特定のポリヌクレオチドを固体支持体に固定化するこの方法は、特定のポリヌクレオチドをポリヌクレオチドの複合体混合物から単離する手段を提供できる。ポリヌクレオチドを単離するための他の方法は、標準法、たとえばフェノールとクロロホルムの混合物などの有機試薬による抽出を伴うものであり、所望によりアルコール沈殿工程を含む。
【0074】
後記実施例は、擬似ターゲットの存在により、オリゴ(dT)誘導体化磁性ビーズを含むTMA反応におけるアンプリコン生成の変動性が低下することを証明した。この変動性の低下は、増幅”精度”の向上と表現することもできる。より具体的には、後記の結果は、実質的に同一量の出発鋳型ポリヌクレオチドを用いて実施した異なる反応が試料間変動性の低下した再現性の高い結果を与える利点をもつことを証明する。
【0075】
本発明に関しては増幅ポリヌクレオチド検出のための多様な方法を採用できるが、USP5,639,604(その開示内容を本明細書に援用する)に開示される”ハイブリダイゼーション保護アッセイ(HPA)”が特に有用な方法である。1態様においてHPA検出法は、増幅ポリヌクレオチドと化学発光性アクリジニウムエステルで標識した相補的ポリヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションを伴う。二重らせん構造とハイブリダイズした場合、アクリジニウムエステルは緩和な加水分解条件下での分解から保護される。ハイブリダイズしていないプローブ中のアクリジニウムエステルはそのような分解を受けやすく、適宜な化学処理で選択的に分解される。分解していないアクリジニウムエステル量の測定により、相補的ポリヌクレオチドとハイブリダイズしたプローブの量が指示される。この測定工程は、過酸化水素を混合物に添加し、後続の塩基触媒−化学発光反応において発する光の量を測定することを伴う。アンプリコン合成を定量するHPA法は、除去しなければ高レベルのバックグラウンドハイブリダイゼーションを生じるハイブリダイズしていない過剰のプローブを除去するための時間のかかる冗長な工程を必要としないので、好ましい。しかしアンプリコンを検出および定量するための他の方法、たとえば放射性、蛍光性もしくは酵素標識プローブを用いる方法、または分離法を採用する他の検出法(固相支持体方式、HPLCおよび電気泳動を含むが、これらに限定されない)を本発明の実施に用いても、同様に良好な結果が得られる。実際に、アンプリコンの検出に用いる方法が下記の方法で得られる結果の質に影響を与えるとは考えられない。
【0076】
好ましい被分析体ポリヌクレオチド
本明細書に記載するように、擬似ターゲットを用いる定量法は被分析体ポリヌクレオチドの由来に関係なく増幅反応を実施するために利用である。好ましい被分析体ポリヌクレオチドには、ウイルス、細菌、真菌および原虫を含めた病原性微生物に由来する核酸が含まれる。ウイルス由来のきわめて好ましい被分析体ポリヌクレオチドの例は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1およびHIV−2)、B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)である。本明細書に開示する方法で定量できる細菌、真菌および原虫に由来する好ましい被分析体ポリヌクレオチドにはリボソームRNA(rRNA)が含まれる。被分析体ポリヌクレオチド源としてきわめて好ましい細菌の例には、下記のものが含まれる:クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)(細胞内偏性生物であるグラム陰性菌)、カンピロバクター属(Campylobacter)のメンバー(カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)、カンピロバクター・コリ(C.coli)、カンピロバクター・ラリディス(C.laridis))、エンテロコッカス属(Enterococcus)のメンバー(エンテロコッカス・アビウム(E.avium)、エンテロコッカス・カセリフラブス(E.casseliflavus)、エンテロコッカス・デュランス(E.durans)、エンテロコッカス・フェーカリス(E.faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(E.faecium)、エンテロコッカス・ガリナラム(E.gallinarum)、エンテロコッカス・ハイレ(E.hirae)、エンテロコッカス・ムンチイ(E.mundtii)、エンテロコッカス・シュードアビウム(E.pseudoavium)、エンテロコッカス・マロドラタス(E.malodoratus)およびエンテロコッカス・ラフィノーサス(E.rafinosus))、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、リステリア・モノサイトゲネス(Lysteria monocytogenes)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、B群ストレプトコッカス属(Streptococcus)菌、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ(M.intracellulare)、マイコバクテリウム・ゴルドネ(M.gordonae)、マイコバクテリウム・カンサシイ(M.kansasii)。被分析体ポリヌクレオチド源としてきわめて好ましい真菌の例には、下記のものが含まれる:ブラストセス・デルマチジス(Blastomyces dermatidis)、カンジダ属(Candida)のメンバー(カンジダ・アルビカンス(C.albicans)、カンジダ・グラブラタ(C.glabrata)、カンジダ・パラプシローシス(C.parapsilosis)、カンジダ・ダイバーサス(C.diversus)、カンジダ・トロピカリス(C.tropicalis)、カンジダ・ギリエルモンディ(C.guilliermondii)、カンジダ・デュブリニエンシス(C.dubliniensis))、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、コクシディオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)。被分析体ポリヌクレオチド源としてきわめて好ましい原虫の例には、血液性および組織性原虫、たとえばプラスモジウム属(Plasmodium)のメンバー(四日熱マラリア原虫(P.malariae)、熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)、三日熱マラリア原虫(P.vivax))、ならびに消化管に感染する原虫、たとえばランブル鞭毛虫(Guardia lamblia)およびクリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)が含まれる。
【0077】
本発明方法は、ヒト由来の核酸、たとえば癌を含めた疾病状態で過剰発現または過少発現するmRNAの定量にも利用できる。胸部腺癌および卵巣腺癌においてコピー数の増加した状態で存在する遺伝子の一例はHER−2/neu癌遺伝子であり、これは上皮成長因子受容体(EGFR)と共通なある特色をもつチロシンキナーゼをコードする。USP4,968,603には、増加したHER−2/neu遺伝子またはHER−2/neu mRNAのコピー数測定が癌性疾病状態の判定のための手段として有用であると記載されている。たとえば、本明細書に記載する方法を定量核酸増幅プロトコルに利用し、これにより細胞のHER−2/neuポリヌクレオチド含量を測定することができる。
【0078】
実際に、本明細書に記載するポリヌクレオチド増幅法は多数の核酸ターゲットに広範囲に適用でき、被験試料中のいずれか任意の被分析体ポリヌクレオチドの増幅方法にまで容易に拡張される。
【0079】
本明細書に記載するものと類似または均等な他の材料および方法を本発明方法の実施または試験に使用できるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。種々の核酸の操作および処理を実施するために使用できる方法についての全般的参考は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrookら編,Cold Spring Harbor Lab社,1989)およびCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubelら編,Green Publishing Associates and Wiley−Interscience,1987)中にみられる。TMA反応を実施するための方法は、USP5,399,491に開示されている。TMA反応プロトコルの改善、たとえばUSP5,786,183に開示されている方法は、本発明の目的に関して転写仲介増幅の範囲に含まれる。アクリジニウムエステル標識プローブの調製および使用のための方法は、ArnoldによりUSP5,639,604に挙げられている。これら3特許の開示内容を本明細書に援用する。本発明に至った実験および結果について以下に記載する。
【0080】
実施例1には、擬似ターゲットを含有するポリヌクレオチド増幅反応がアンプリコン生成の変動性を低下させることを証明した方法を記載する。
実施例1
擬似ターゲットアンプリコンはTMAにおいて生成するアンプリコン量の変動性を低下させる
HIV pol転写体のセグメントに特異的なプライマーを用いて、一連のTMA反応物を調製した。すべての反応を8回反復実施した。各反応に、10mMのHEPES(pH7.5)および1mMのEDTAよりなる検体緩衝液中に希釈した、完全HIVゲノムのRNA転写体60コピーを含有する50μlを装入した。プラスミドBH10を鋳型として用いてRNA転写体を合成した。この操作では、このBH10 RNAを被分析体ポリヌクレオチドの一例として用いた。BH10 RNAのポリヌクレオチド配列は配列番号:3の配列により示される。反応には、反応番号:4のIAC−Ascr擬似ターゲットRNA 0、105、106または107コピーをも含有させた。これに下記のものを含有する増幅試薬25μlを添加した:
下記配列のT7A(−)4190プライマー10pmol:
【0081】
【化1】
Figure 0004796252
【0082】
(配列番号:1);
下記配列の同(+)4108プライマー10pmol:
【0083】
【化2】
Figure 0004796252
【0084】
(配列番号:2);
160mMのトリス緩衝液(pH7.5);各16mMのATP、CTP、GTPおよびUTP;各4mMのdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP;10mMのMgCl2;70mMのKCl;20%のグリセロール;0.6mMの酢酸亜鉛;ならびに20%ポリビニルピロリドン。次いで試料に200μlの鉱油を積層し、まず65℃で10分間インキュベートしてプライマー−ターゲットをアニーリングさせ、次いで42℃で5分間インキュベートした。次いで各反応に下記のものを含有する25μlアリコートの酵素混合物を添加した:2,000GP単位のMMLV逆転写酵素;2,000GP単位のT7 RNAポリメラーゼ;140mMのトリス緩衝液(pH8.0);100mMのN−アセチルシステイン(還元剤);20%のグリセロール;70mMのKCl;70mMのトレハロース;8mMのHEPES;1.04mMのEDTA;10%のTRITON X−102および0.01%のフェノールレッド。1GP単位の逆転写酵素は、RNA鋳型から37℃、15分で5.75fmolのcDNAを合成する酵素量に相当する。1GP単位のRNAポリメラーゼは、プロモーター配列を含む二本鎖DNA鋳型から37℃、20分で5fmolのRNA転写体を合成する酵素量と定義される。反応物を42℃でさらに60分間インキュベートした。次いで100μlの反応混合物試料を、等容量のHIV特異的AE(+)4134プローブと混和した。このプローブは標識としてのアクリジニウムエステル部分を保有し、下記の配列をもつ:
【0085】
【化3】
Figure 0004796252
【0086】
(配列番号:5)。
この標識ポリヌクレオチドプローブは、本質的にUSP5,639,604に開示される方法に従って調製および使用され、100mMのコハク酸リチウム緩衝液(pH4.7)、2%(w/v)のラウリル硫酸リチウム、1.2Mの塩化リチウム、15mMのアルドリチオール−2(ardrithiol−2)、20mMのEDTA、20mMのEGTAおよび3%のエタノールを含有する溶液に分散された。ハイブリダイゼーション反応を促進するイオン強度は実質的にすべて、最終ハイブリダイゼーション溶液中の600mMの塩化リチウム成分および1%のラウリル硫酸リチウム成分により供給された。重要なことは、AE(+)4134プローブの配列は相補的塩基対合により被分析体アンプリコンとのみハイブリダイズでき、擬似ターゲットアンプリコンとはハイブリダイズできないことである。混合物を60℃で15分間ハイブリダイズした後、600mMのホウ酸ナトリウム(pH8.5)および1%のTRITON X−100を含有する選択試薬300μlを添加し、混合物を60℃でインキュベートして、ハイブリダイズしていないプローブを不活性化した。最後に、混合物を室温に冷却し、ルミノメーターに装入し、化学発光反応で発せられた光を測定することにより(RLUで)被分析体アンプリコンを定量した。検出試薬Iは、0.001N硝酸中に過酸化水素溶液を含有していた。検出試薬IIは、1N NaOH溶液を含有していた。発光を促進するために、各反応試験管にまず検出試薬I、次いで検出試薬IIを注入した。被分析体アンプリコンの検出および定量に用いたプローブは下記のものであった:擬似ターゲットを装入していない反応は100fmolの標識AE(+)4134プローブ(配列番号:5)および3.9pmolの非標識2’−メトキシリボヌクレオチド(2’OMe)(+)4134を用いて調べられた;105コピーの擬似ターゲットを含有する反応は100fmolの標識プローブおよび3.9pmolの非標識2’OMe(+)4134を用いて調べられた;106コピーの擬似ターゲットを含有する反応は100fmolの標識プローブおよび0.2pmolの非標識2’OMe(+)4134を用いて調べられた;107コピーの擬似ターゲットを含有する反応は100fmolの標識プローブのみを用いて調べられた。2’OMeはRNA中のリボースの2’位のヒドロキシ部分をメトキシ部分で置換したものである。(+)4134ポリヌクレオチドはAE(+)4134ポリヌクレオチドと同一塩基配列をもつが、N−アクリジニウムエステル標識をもたないことを留意すべきである。直線的検出範囲でルミノメトリーの読みを容易にするために、異なるプローブ比活性を用いた。
【0087】
表1に提示する結果は、擬似ターゲットを含有する増幅反応が試料コレクション間の変動性が低い、より均一な結果を与えるという利点をもつことを示す。表1には、各反応に含有されていたIAC−Ascr擬似ターゲットおよびBH10 RNA被分析体ポリヌクレオチドのコピー数を示す。反応からの発光を表す粗データ(RLUで)、および陰性対照反応において測定したバックグラウンド発光を差し引いて補正した正味発光をも示す。”均一比活性に補正”と表示した欄は、すべてのHPAアッセイが同一比活性のプローブを用いて実施された場合に得られるであろう正味RLU値を示す。異なる反応を直接比較できるように、この数値を分析に含めた。一定の反応条件についてのすべての測定値の正味平均値も、標準偏差(SD)および変動係数(CV%)の計算値と共に示す。この表の最後の欄は、CV%値が反応中における擬似ターゲットのコピー数増加と共に低下したことを示す。この結果は、異なる反応において生成したアンプリコン量の変動性が擬似ターゲット量の増加に伴って低下したことを定量的に示す。
【0088】
【表1】
Figure 0004796252
【0089】
実施例2には、アンプリコン生成の精度の向上が擬似ターゲットを含有する反応の一般的特色であることを証明するために用いた方法を記載する。より具体的には、下記の操作によりIAC−Bscrと呼ばれる第2例の擬似ターゲットもTMA反応の一例においてアンプリコン生成の変動性を低下させた。
【0090】
実施例2
TMAによる被分析体アンプリコン生成の変動性低下は擬似ターゲットを含有する反応の一般的特色である
検体緩衝液(1mMのEDTA、10mMのHEPES)中に希釈した60分子のBH10 RNAを含有する30μlを、一連の反応試験管に添加した。検体緩衝液中に0、105、106、107または106のIAC−Bscr擬似ターゲットRNA分子(配列番号:9)を含有する20μlを適宜な試験管に添加した。ボルテックス撹拌後、各試験管に実施例1に記載した増幅試薬25μlアリコートを装入した。ただしT7A(−)4190および(+)4108プライマーを10pmolではなく、それぞれ5pmolの濃度で用いた。次いで、蒸発を防ぐために200μlの油を各試験管の液体内容物に積層した。試験管を65℃で10分間、次いで42℃で5分間インキュベートした。次いで各試験管に実施例1に記載した酵素試薬25μlアリコートを添加した。すべての試験管の内容物を混合し、反応物を42℃で1時間インキュベートした。反応期間が終了した時点ですべての試料を標準HPAにより分析した。したがって、100μlの標識2’−メトキシAE(+)4134プローブ溶液を各試験管に添加した。異なる量のIAC−Bscr擬似ターゲットを用いて試料中に生成した被分析体アンプリコンの検出のために、異なる比活性のプローブを用いた。これにより、検出操作における発光の読みが、被分析体アンプリコンの定量に用いたルミノメーターの直線範囲に確実に入るようにした。被分析体アンプリコンの検出および定量に用いたプローブは下記のものであった:擬似ターゲットを装入していない反応は100fmolの標識2’OMe(+)4134および20.0pmolの非標識プローブを用いて調べられた;105コピーの擬似ターゲットを含有する反応は100fmolの標識プローブおよび3.0pmolの非標識プローブを用いて調べられた;106コピーの擬似ターゲットを含有する反応は100fmolの標識プローブおよび0.4pmolの非標識プローブを用いて調べられた;107または108コピーの擬似ターゲットを含有する反応は100fmolの標識プローブのみを用いて調べられた。増幅生成物とプローブの混合物を60℃で15分間インキュベートし、選択試薬300μlと混合し、次いで60℃でさらに10分間インキュベートした。混合物を室温に冷却し、検出試薬IおよびIIを添加した後、化学発光を読み取った。
【0091】
表2に示す結果から、擬似ターゲットを含有する増幅反応は試料の読みのコレクション間で変動性が少なく、より均一な量の被分析体アンプリコンを有利に生成することが確認された。表2には、各レベルの装入擬似ターゲットについて実施した8回の反復増幅反応それぞれに含有されていたIAC−Bscr擬似ターゲットおよびBH10 RNA被分析体ポリヌクレオチドのコピー数を示す。すべてのHPA反応からの平均正味発光の読みを表す結果も示される。擬似ターゲットを含有するがモデル被分析体ポリヌクレオチドを含有しない反応について測定したバックグラウンド発光値を差し引いて、正味結果を求めた。プローブとハイブリダイズした異なるHPA反応の生成物を異なる比活性のプローブと直接比較できるように、各反応条件について生成した被分析体アンプリコンの平均量(”アンプリコン”)を示した。その反応条件についてのすべてのルミノメトリー測定値について計算した標準偏差(SD)および変動係数(CV%)の値も示す。この結果から、擬似ターゲットを含有する反応において合成された被分析体アンプリコンの量は擬似ターゲットを含有しない反応の場合より高い精度で生成したことが確認された。より具体的には、1×105を超える擬似ターゲット分子を用いて実施した反応では、擬似ターゲットの不存在下で実施した反応から得られたデータセットについて得たCV%値より低いCV%値が得られた。実際に、本発明のデータセットでは少なくとも106分子の擬似ターゲットを用いて実施した反応についての統計的”p”値は0.05未満であった。これにより、擬似ターゲットが存在する場合は異なる反応において生成するアンプリコン量の変動性が低下することが定量的に確認された。
【0092】
【表2】
Figure 0004796252
【0093】
実施例3には、誘導体化した磁性ビーズの存在下でも増幅精度が向上するかを調べるために用いた方法を記載する。この方法では、合成”ターゲット捕獲用ポリヌクレオチド”を含有する検体の標準処理方法に従ってビーズを処理した。
【0094】
実施例3
処理した磁性ビーズの存在下で実施した反応について改善されたアンプリコン合成の精度
100μlのターゲット捕獲試薬を等容量のHIV血清陰性血漿と混和した。ターゲット捕獲試薬は下記のものを含有していた:17%のラウリル硫酸リチウム;190mMのコハク酸;250mMの水酸化リチウム;3mMのEDTA;3mMのEGTA;下記配列のデオキシ(−)3737捕獲プローブ3.5nM:
【0095】
【化4】
Figure 0004796252
【0096】
(配列番号:6);
および下記配列の2’−メトキシ(−)4258 A30捕獲プローブ3.5nM:
【0097】
【化5】
Figure 0004796252
【0098】
(配列番号:7)。
混合物を60℃で20分間インキュベートし、次いでオリゴ(dT)(Novagen;ワイオミング州マディソン)で誘導体化した磁性ビーズ120μgを含有するビーズ懸濁液20μlと混和した。次いで反応物を15分かけて室温に冷却し、捕獲プローブと固定化オリゴ(dT)をハイブリダイズさせた。磁性ホルダー内に15分間配置することによりビーズを容器側壁に集め、上清を吸引した。洗浄液1mlアリコートを用いてビーズを3回洗浄し、実施例1に記載したTMA反応に用いた。ただし100コピーのBH10 RNA、および0、103、104または105コピーのIAC−Ascr擬似ターゲットを用いた。100fmolの標識AE(+)4134プローブおよび200fmolの非標識(+)4134を用いて、前記方法に従ってHPAを実施した。
【0099】
表3に示した結果から、擬似ターゲットを含有する増幅反応はより均一な被分析体アンプリコンを生成する利点をもつことが確認された。より具体的には、各レベルの装入擬似ターゲットについて実施した8回の反復増幅反応に基づくこれらの結果からも、擬似ターゲットの存在量を漸増させて実施した試験についてCV%が低下したことを示した。明らかに、104コピーより高いレベルの擬似ターゲットが被分析体アンプリコン合成の精度を統計的に有意に改善した。
【0100】
【表3】
Figure 0004796252
【0101】
下記の実施例に示す結果から、擬似ターゲットを含有し、固定化支持体に捕獲した被分析体ポリヌクレオチドを用いたTMA反応が、増幅反応で合成した被分析体アンプリコンの量に関して精度の向上を示したことが確認された。実施例3に記載した方法は固相捕獲基質の存在がTMA反応に不都合な影響を与えないことを証明するが、下記の方法は本発明に従って診断検査を実施する様式とさらに密接に関連する。より具体的には、下記の実施例に用いた方法では捕獲されたHIV RNAを増幅鋳型として使用した。増幅精度を個別に試験しうるように、これらの方法におけるターゲット回収率の不一致により生じる変動性を基準化した。より具体的には、標準的な検体処理プロトコルに従ってHIV RNAをまず磁性ビーズ上に採取し、次いでプールし、そしてすべての増幅反応を等量のHIV RNAにより開始できるように個々の試験管に再分配し、ただし異なる量の擬似ターゲットを用いた。
【0102】
実施例4には、擬似ターゲットおよび固体支持体に捕獲した被分析体ポリヌクレオチド鋳型を用いて実施したTMA反応が増幅反応におけるアンプリコン生成の精度を向上させることを証明するために用いた方法を記載する。
【0103】
実施例4
擬似ターゲットは捕獲された被分析体ポリヌクレオチドを鋳型として用いる増幅反応の精度を向上させる
血清陰性血漿中に希釈したターゲット捕獲試薬およびHIVウイルス粒子の懸濁液100μlアリコート(0または200コピー当量のHIV RNAを血漿100μl中に含有)を、個々の試験管内で混和した。ターゲット捕獲試薬は下記の試薬を記載濃度で含有していた:3mMのEDTA二ナトリウム;3mMのEGTA;17%のラウリル硫酸リチウム;190mMのコハク酸(最終pH5.1に調整);250mMの水酸化リチウム;3.5nMのデオキシHIV(−)3837(配列番号:6);および3.5nMの2’−メトキシHIV(−)4258 A30(配列番号:7)。試料を60℃で20分間インキュベートしてウイルス粒子からHIV RNAを遊離させ、すべてのポリヌクレオチドを変性させ、捕獲プローブをターゲットpol配列とハイブリダイズさせた。次いでオリゴ(dT)で誘導体化したビーズ120μgを含有するオリゴ(dT)ビーズ懸濁液20μlアリコートを各反応試験管に添加した。十分に混合した後、試料を15分かけて室温に冷却し、捕獲プローブのオリゴ(dA)テイルとビーズ固定化オリゴ(dT)をハイブリダイズさせた。これにより被分析体ポリヌクレオチドは架橋性ポリヌクレオチドにより磁性ビーズに結合した。試験管を磁性ラックに5分間乗せてビーズを各試験管の内面に集めることにより、ビーズおよびそれに固定化されたポリヌクレオチドを血漿および遊離ポリヌクレオチドから単離した。上清を吸引し、単離したビーズを1mlアリコートの洗浄試薬(0.1%のSDS、10mMのHEPES(pH7.5)、150mMのNaCl)で3回洗浄し、各工程間でビーズを磁気単離した。次いでビーズを40μlの検体緩衝液(1mMのEDTA、10mMのHEPES)と混和し、混合し、プールした。次いで、プールしたビーズ懸濁液40μlアリコートを、すべての試料が実質的に等量のビーズ捕獲被分析体ポリヌクレオチドを含有するように、新たな反応試験管に分配した。検体緩衝液(1mMのEDTA、10mMのHEPES)に希釈した10μlアリコートの擬似ターゲットを適宜な試験管に分配した。各アリコートは0、2×106、2×107または2×108分子のIAC−AscrまたはIAC−Bscr擬似ターゲットRNAを含有していた。前記実施例2の記載に従ってTMA増幅反応を実施した。”付加物促進型加水分解”(APH)と呼ばれるHPA法の変法を用いて被分析体アンプリコンを検出した。増幅反応後、各試験管に100μlアリコートのアクリジニウム標識2’OMe(+)4134プローブを装入した。異なる量の擬似ターゲット(IAC−AscrまたはIAC−Bscr)を用いて実施した増幅反応がルミノメトリーについて直線応答範囲に入る読みを与えるように、異なる比活性をもつプローブをこの操作に用いた。これらの異なる比活性は、標識プローブと非標識プローブの混合により達成された。被分析体アンプリコンの検出および定量に用いたプローブは下記のものであった:擬似ターゲットを装入していない反応は1.0pmolの標識2’OMe(+)4134および100.0pmolの非標識プローブを用いて調べられた;106、107または108コピーの擬似ターゲットを含有する反応は1.0pmolの標識プローブおよび1.0pmolの非標識プローブを用いて調べられた。反応物を60℃で15分間インキュベートし、メタ亜ヒ酸ナトリウムを含有する選択試薬300μlと混合し、60℃で20分間インキュベートした。混合物を室温に冷却し、検出試薬IおよびIIを添加した後、化学発光を読み取った。
【0104】
表4および5の結果から、擬似ターゲットを含有する増幅反応は試料の読みのコレクション間で変動性が少なく、より均一な量の被分析体アンプリコンを生成する利点をもつことが確認された。これらの表は、0または200 RNA当量のHIVウイルス粒子(株HIV IIIb)を被分析体ポリヌクレオチドとして用い、7中1の擬似ターゲット条件で各反応を開始したことを示す。第1条件は、擬似ターゲットの不存在下で反応を実施した陰性対照である。残りの条件は、IAC−Ascr(表4)またはIAC−Bscr(表5)擬似ターゲットを3種類の量のいずれかで用いた。両表にまとめたデータは、各レベルの装入擬似ターゲットについて8回の反復実験結果を示す。擬似ターゲットを含有するがモデル被分析体ポリヌクレオチドを含有しない反応において生じたバックグラウンド発光値を差し引いて、正味結果を求めた。予想どおり、これらの結果は反応中の擬似ターゲット数が増加するのに伴って反応において生成するアンプリコン量が減少することを明らかに示した。擬似ターゲットを含有するすべての増幅反応において、より均一な量の被分析体アンプリコンが生成した。より具体的には、擬似ターゲットの不存在下で実施した陰性対照と比較して、擬似ターゲットを含有する反応から得られたすべてのデータセットにおいてCV%値が低かった。これらの結果は、反応に擬似ターゲットを含有させることにより、増幅反応において生成する被分析体アンプリコン量の精度を向上させることができるという結論を支持した。2種類の異なる擬似ターゲットが同様に良好な結果を与えたという結果は、精度の向上が特定の配列の擬似ターゲットによるものではないことを示した。これらの結果からさらに、固体支持体(たとえば磁性ビーズ)に捕獲した被分析体ポリヌクレオチドを増幅反応の鋳型として用いる反応に擬似ターゲットを含有させることにより、増幅反応において生成する被分析体アンプリコン量の精度を向上させうることが示された。
【0105】
【表4】
Figure 0004796252
【0106】
【表5】
Figure 0004796252
【0107】
増幅反応を擬似ターゲットの存在下で実施することのさらに他の利点は、装入する被分析体ポリヌクレオチドが生物試料から定量的収率未満で回収された場合に、生成アンプリコン量を基準化することに関連する。図5に示すこの利点の原理は、前記に述べた。下記実施例は、生物試料からの被分析体ポリヌクレオチド回収量が実質的に異なる状態をモデル化するために採用された。より具体的には、試験した条件は回収率100%から25%までに相当した。被分析体ポリヌクレオチド回収効率のこのような差は、フェノール抽出法、エタノール沈殿法、検体採集の難易度もしくは抽出条件、または実験中のこぼれによる試料損失による回収率変動などの理由で生じうる。それぞれの場合、被分析体ポリヌクレオチドの回収量は定量的収率より低い。
【0108】
下記のように、3種類の異なる条件下で増幅反応を実施することにより、被分析体ポリヌクレオチド回収効率の変動性をモデル化した。第1条件下では、3種類の異なる量の装入被分析体ポリヌクレオチドを用い、擬似ターゲットを用いずに反応を実施した。第2条件は、同じく3種類の異なる量の装入被分析体ポリヌクレオチドおよび一定量の擬似ターゲットを用いて反応を実施した。最後に、第3の反応条件では、同じく3種類の異なる量の装入被分析体ポリヌクレオチドを用い、その際、被分析体ポリヌクレオチドと擬似ターゲットの量の比率が一定であった。この第3条件が、被分析体を含有する生物試料に、試料から核酸を単離する前の時点で擬似ターゲットを添加した際に得られる例を表すことは明らかであろう。この状態で、処理工程中の試料の一部が失われると被分析体ポリヌクレオチドと擬似ターゲットの両方が等しい%で失われ、これら2種の比率は一定のままである。下記の結果から明らかなように、一定比率の擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドを含有する増幅反応では被分析体アンプリコンの合成が向上する。したがって、被分析体ポリヌクレオチドの装入数が限られている反応ですら、鋳型の出発数がより多いかのような挙動を示す。
【0109】
下記の実施例で得られた結果は、核酸の単離前の検体に擬似ターゲットを添加することを含む改良された生物検体処理方法の原理を示す。増幅反応において生成する被分析体アンプリコンレベルを基準化する1方法は、まず生物検体に擬似ターゲットを添加し、次いで検体からポリヌクレオチドを単離した後、こうして単離したポリヌクレオチドを用いて増幅反応を実施することを伴う。
【0110】
実施例5には、異なる量の被分析体ポリヌクレオチドを用いて開始する増幅反応を示すために採用した方法を記載する。より具体的には、被分析体ポリヌクレオチドが”100%”、”50%”および”25%”の値となるように反応を実施した。
【0111】
実施例5
異なる量の被分析体ポリヌクレオチドを用いて開始した増幅反応におけるアンプリコン合成の基準化
実施例1の方法に従い、下記の点を変更して増幅反応物を調製した。第1に、8回ではなく10回の反復試験反応物を調製した。第2に、反応に用いたプライマー量を各10pmolではなく各5pmolに減らした。第3に、20%ポリビニルピロリドンの代わりに10%トレハロースを用いた。第4に、被分析体ポリヌクレオチドおよび擬似ターゲットの量は表6に示すとおりであった。本発明方法においては、この表に示すポリヌクレオチド混合物をまず混和し、次いで反応混合物中の他の試薬と混合し、最後に2種類のポリメラーゼ酵素と混合してTMA反応を開始した。
【0112】
【表6】
Figure 0004796252
【0113】
増幅反応が終了した時点で、すべての反応混合物を前記実施例4に記載したAPHプロトコルに従って検査し、被分析体アンプリコンを検出および定量した。異なる量の擬似ターゲット(IAC−AscrまたはIAC−Bscr)を用いて実施した増幅反応がルミノメトリーについて直線応答範囲に入る読みを与えるように、異なる比活性をもつAE標識した配列CCACAATTTTAAAAGAAAAGGG(配列番号:8)のHIV(+)4134プローブをこの操作に用いた。この場合もこれらの異なる比活性は、異なる量の標識プローブと非標識プローブの混合により達成された。被分析体アンプリコンの検出および定量に用いたプローブは下記のものであった:擬似ターゲットを装入していない反応は1.3pmolの標識プローブおよび400pmolの非標識プローブを用いて調べられた;1.5×106、3×106または6×106コピーの擬似ターゲットを含有する反応は1.3pmolの標識プローブおよび8.7pmolの非標識プローブを用いて調べられた。
【0114】
表7〜9および図6に示す定量結果は、擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドの比率を一定に維持した反応では、異なる装入量の被分析体ポリヌクレオチドから合成した被分析体アンプリコンの量の差が実質的に小さかったことを明らかに示す。結果はすべて、各装入レベルの被分析体ポリヌクレオチド鋳型について10回の反復実験に基づいた。図6に、100%の装入被分析体ポリヌクレオチドを2000コピーのBH10 RNAにより表す。擬似ターゲットの不存在下では、被分析体ポリヌクレオチド装入レベルの低下に伴う被分析体アンプリコン量を表す直線の傾きは、これらの鋳型数が2000から500に低下するのに伴って急激に下降している。一定レベルの擬似ターゲットを含有する実験においても同様な結果が得られた。したがって、低い装入レベルの被分析体ポリヌクレオチドを含む試料に擬似ターゲットを添加するだけの方法は、合成される被分析体アンプリコン量の増加に実質的に影響を与えなかった。しかし一定モル比の擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドを用いて実施した増幅反応では、異なる装入量の被分析体ポリヌクレオチドから合成された被分析体アンプリコン量の差が小さかった。たとえばこの図に示す結果は、500コピーの装入BH10 RNAでは被分析体アンプリコンの収率(RLUで測定)が2000コピーの鋳型を用いて得た数値の約68%であり、一方、擬似ターゲットの不存在下、または擬似ターゲットを一定に維持した場合に得られた対応する結果は約22%であったことを示す。一定比率の擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドを用いて増幅反応を実施すると、増幅反応で合成される被分析体アンプリコンの量が基準化される傾向を示した。この比率は、装入レベルおよび目的とする定量精度に応じて若干変更することもできる。磁性ビーズおよび捕獲試薬の存在下で反応を実施した場合も、実施例3および4に記載するように明らかに実質的に類似の結果が得られた。さらに表7〜9に示すデータは、増幅反応に擬似ターゲットを含有させることにより増幅反応の精度が向上したことを示す。
【0115】
【表7】
Figure 0004796252
【0116】
【表8】
Figure 0004796252
【0117】
【表9】
Figure 0004796252
【0118】
下記の実施例は、増幅反応への擬似ターゲットの装入により反応において生成するアンプリコンの量を制御できることを示すために実施した実験を記載する。前記のように、反応において生成するアンプリコンの量を減らすことにより下記の利点が得られる:(1)陽性キャリーオーバー汚染の可能性が少なくなる;(2)標識プローブをより効率的に使用できる;(3)ルミノメーターなどの検出装置の直線範囲内に入るように信号強度を”調整”するために利用できる。この第2点に関して、反応において生成する生成物アンプリコン数の減少により、プローブ過剰となるのに十分な量のきわめて高い比活性のプローブの使用が可能になる。ハイブリダイゼーションプローブの比活性がプローブ分子当たりの検出可能な標識量を表すことは、当業者に自明であろう。高比活性プローブは、少量の相補的ポリヌクレオチドを検出するために有用である。プローブの調製に経費がかかる場合、あるいは特殊な取扱いおよび廃棄対策を必要とする放射性標識で標識する場合、プローブ過剰条件で定量ハイブリダイゼーションを実施する必要がある高比活性プローブを多量に使用するのは望ましくない。したがって、増幅反応において生成する被分析体アンプリコンの量を減らすと、アンプリコン検出に使用するプローブを効率的に利用できる利点がある。
【0119】
実施例6には、増幅反応において生成する被分析体アンプリコン量の制御に擬似ターゲットを使用できることを示すために用いた方法を記載する。
実施例6
被分析体アンプリコンの生成を制御するための擬似ターゲットの使用
100μlのターゲット捕獲試薬(17%のラウリル硫酸リチウム;190mMのコハク酸;250mMの水酸化リチウム;3mMのEDTA;3mMのEGTA;3.5nMの2’−メトキシ(−)3837捕獲プローブ(配列番号:6);および3.5nMの2’−メトキシ(−)4258 A30捕獲プローブ(配列番号:7))を、HIV血清陰性血漿中に希釈したHIVウイルス粒子100μlと混和した。試料はHIV RNA 0;200;2,000;20,000;200,000;2,000,000 RNA当量/血漿mlを含有していた。混合物を60℃で20分間インキュベートして、捕獲プローブをターゲットポリヌクレオチド中に存在するpol遺伝子配列とハイブリダイズさせ、次いで20μlのオリゴ(dT)ビーズ懸濁液(オリゴ(dT)ビーズ120μg/20μl)と混和した。十分に混合した後、試料を15分かけて室温に冷却し、捕獲プローブのオリゴ(dA)とビーズ固定化オリゴ(dT)をハイブリダイズさせた。これによりpol遺伝子配列と磁性ビーズが結合した。磁性ラックによりビーズを試験管の側面に集め、上清を吸引した。ビーズを容量1mlの洗浄試薬(0.1%のSDS;10mMのHEPES(pH7.5);150mMのNaCl)で3回洗浄した。擬似ターゲットを添加しなかった試験管に、50μlアリコートの検体緩衝液(10mMのHEPES;1mMのEDTA)を添加した。擬似ターゲットを添加した試験管には、検体緩衝液中に希釈した擬似ターゲット50μlアリコートを添加した。混合後、各試料に下記のものを含有する増幅試薬25μlアリコートを添加した:5pmolのT7A(−)4190プライマー;5pmolの同(+)4108プライマー;160mMのトリス緩衝液(pH7.5);各16mMのATP、CTP、GTPおよびUTP;各4mMのdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP;100mMのMgCl2;70mMのKCl;20%のグリセロール;0.6mMの酢酸亜鉛;ならびに10%トレハロース。試料に200μlの鉱油を積層し、次いで42℃で10分間インキュベートした。下記のものを含有する25μlアリコートの酵素試薬を添加して増幅反応を開始した:2000GP単位のMMLV逆転写酵素;2000GP単位のT7 RNAポリメラーゼ;140mMのトリス緩衝液(pH8.0);100mMのN−アセチルシステイン(還元剤);20%のグリセロール;70mMのKCl;80mMのトレハロース;8mMのHEPES;1.04mMのEDTA;10%のTRITON X−102および0.01%のフェノールレッド。すべての反応体を混合し、42℃で1時間インキュベートした。
【0120】
反応期間が終了した時点で、前記APH法により被分析体アンプリコンを定量した。100μlアリコートのアクリジニウム標識プローブAE(+)4134bを各試料に添加した。擬似ターゲットを含有する反応に相当する試料に1.3pmolの標識プローブおよび38.7pmolの非標識プローブを添加し、一方、擬似ターゲットを含有しない反応に相当する試料には1.3pmolの標識プローブおよび400pmolの非標識プローブを添加した。混合物を60℃で15分間インキュベートし、次いでメタ亜ヒ酸ナトリウムを含有するAPH選択試薬300μlと混合した。反応混合物を60℃で20分間インキュベートし、次いで室温に冷却した。検出試薬IおよびIIを添加した後、化学発光を読み取った。
【0121】
本発明の実験に用いたルミノメーターの直線検出範囲内に入る結果を与える条件を確認するために、ある範囲の比活性を用いてルーティンAPH操作を実施する予備実験を行った。信号強度と信号発生物質量が直線関係または指数関係にある範囲をもつ検出装置はルミノメーターまたはX線フィルムなど多数あることは、当業者に自明であろう。この範囲より上では、この対応性が維持されない。したがって、そのような直線範囲を判定することは当業者が容易になしうる。
【0122】
本発明方法で被分析体アンプリコンの検出に用いたプローブ混合物は下記のものであった:擬似ターゲットの不存在下で実施する反応については1.3pmolの標識プローブおよび400pmolの非標識プローブからなる401.3pmolのプローブ;擬似ターゲットを含有する反応については1.3pmolの標識プローブおよび38.7pmolの非標識プローブからなる40pmolのプローブ。アッセイ結果を基準化するために、光強度の読み(RLUで測定)を、平均正味RLU値に換算係数を掛けることにより、ハイブリダイゼーション工程におけるアンプリコンのpmolに換算した。この換算係数は、並行反応において既知量のターゲットポリヌクレオチドと過剰量の標識プローブをハイブリダイズし、次いでこの既知量のターゲットが発する光出力を測定することにより決定された。これにより、光出力とプローブにハイブリダイズしたアンプリコンの量との相関が得られた。
【0123】
表10および11ならびに図7に示す結果は、増幅反応に擬似ターゲットが存在しても被分析体ポリヌクレオチド装入量と増幅反応において生成した被分析体アンプリコン量との相関は損なわれないことを示した。結果はすべて、操作に用いた装入HIV IIIb RNAの各装入レベルについて5回の反復実験に基づいた。図7に示した対数プロットは、反応に装入したHIV IIIb RNA当量と生成した被分析体アンプリコン量の強い関係を明らかに示す。増幅反応が擬似ターゲットをさらに含有する場合もこれと同じ強い直線関係が支配することは明らかである。擬似ターゲット含有反応において生成した被分析体アンプリコンを表す線についてみられた下方シフトは、擬似ターゲットを含有しない反応と比較して少ない分子が生成したことを示す。たとえば表10に示す結果は、200,000 HIV RNA当量を含有する反応において約520pmolの被分析体アンプリコンが生成し、擬似ターゲットを反応に含有させるとこの数値が約10倍低下したことを示す。このように、反応に擬似ターゲットを含有させることにより、増幅反応において生成する被分析体アンプリコン数は減少した。
【0124】
【表10】
Figure 0004796252
【0125】
【表11】
Figure 0004796252
【0126】
定性方式アッセイ
以上の記載は定量アッセイに関するが、擬似ターゲットを増幅反応に使用する他の有用な方法は、被験試料中の被分析体ポリヌクレオチドの存否についての情報を提供する定性アッセイに関する。定性試験は、被験試料中に被分析体ポリヌクレオチドが特定範囲のレベルで存在するか否かを指示するためにも利用できる。これらのアッセイ法は、たとえば薬物療法に対する患者の反応をモニターするために利用できる。たとえば血液性ウイルスに感染した患者は薬物療法により血漿力価が変化する可能性がある。医師は、擬似ターゲット増幅を採用した定性アッセイにより、その閾値に関して患者のウイルス力価の増大または低下をモニターすることができる。定性試験方式は信号の検出を伴うだけであり、診断アッセイ法の末端利用者が必ずしも信号の定量または標準曲線の作成および使用を行う必要はないことを理解すべきである。
【0127】
本発明のある好ましい態様においては、生物試料が被分析体ポリヌクレオチドを含有するかを指示するために定性アッセイを行う。本発明の他の好ましい態様においては、定性結果のみ(すなわち結果は陽性か陰性か)が得られるが、試料中の被分析体ポリヌクレオチドについて準定量情報も得ることができる。
【0128】
被分析体ポリヌクレオチドと擬似ターゲットを共増幅する定性アッセイは、特定の検出閾値をもつ検出プロトコルと組み合わせた場合に特に有用である。これらの閾値は、ハイブリダイゼーションプローブの比活性を調整するか、あるいはある数値未満では陰性結果を特定し、または特定の数値より上では陽性結果を特定するように検出装置を目盛定めすることにより操作できる。たとえばある閾値レベルより大きいRLU値については陽性結果を指示するようにルミノメーターを設定できる。あるいは、あるレベルの被分析体アンプリコンがその装置の検出限界より上または下で検出可能な信号を発するように、増幅反応に含有させる擬似ターゲット量を増減してもよい。たとえば診断アッセイのための増幅反応に装入する擬似ターゲット量は、目的範囲に入る検出信号を発するようにルーティン実験で調節または”調整”できる。
【0129】
前記方法で被分析体ポリヌクレオチドと擬似ターゲットを共増幅する場合、反応において合成される被分析体アンプリコン量はもちろん反応に装入した被分析体ポリヌクレオチドの量に関連する。ハイブリダイゼーション信号の大きさは前記方法のいずれかにより調整でき、擬似ターゲットを含有する増幅反応は精度向上を特色とする利点をもち、かつあるレベルの装入被分析体ポリヌクレオチドが検査機器の検出閾値より上または下のハイブリダイゼーション信号を発するように診断反応を調整できるので、定量情報をも提供する定性アッセイ法を得ることができる。
【0130】
下記の実施例は、陽性または陰性の結果のみを示す定性アッセイ法を用いて被験試料中の被分析体ポリヌクレオチド量についての準定量情報を得る方法を示す。例示にすぎないが、HIVポリヌクレオチドを被分析体ポリヌクレオチドとして用い、示した力価範囲は前記の実施例に示した結果に基づく。もちろん他の被分析体ポリヌクレオチドおよび異なる閾値範囲もこの定性試験方式に使用できる。ルミノメトリーによる検出の代わりに蛍光その他の光学的または電気化学的検出法も採用できる。擬似ターゲットを生物試料と混和した後に核酸を分離するか、あるいは予め単離した被分析体ポリヌクレオチドを共増幅前に単に混和することができる。この実施例において、検出系は検出装置(ルミノメーター)、この検出装置で検出できる標識したハイブリダイゼーションプローブを含む。前記の記載によれば、標識プローブの比活性、および共増幅工程に含有される擬似ターゲット量は両方とも、検出系の検出閾値を制御するために操作できる変数であることは明らかである。
【0131】
実施例7には、擬似ターゲットを含有する増幅反応を増幅前の被分析体ポリヌクレオチド量についての準定量情報を得るための定性アッセイに利用する方法を記載する。
【0132】
実施例7
定性アッセイ方式
HIV感染患者を治療する医師は、薬物療法プロトコルの有効性をモニターすることを望む。医師は、特に患者の血漿力価が高い出発レベルから約200 RNA当量/血漿100μl未満に相当する低いレベルにまで低下した時点を知りたいと望む。
【0133】
患者から薬物療法開始前と後の第1および第2血漿試料を得る。本質的には実施例6に記載した増幅反応用に試料を調製および使用する。各100μlアリコートの血漿試料を100μlアリコートのターゲット捕獲試薬と混合し、混合物をインキュベートし、オリゴ(dT)ビーズ懸濁液と混和し、再び混合し、次いで室温に冷却する。ビーズを採集して洗浄し、検体緩衝液中に希釈した2×106コピーの擬似ターゲットを含有する50μlアリコートと混和する。混合後、各試料にプライマーおよびヌクレオチド反応体を含有する増幅試薬25μlアリコートを添加する。試料に200μlの鉱油を積層し、次いで42℃で10分間インキュベートする。2000GP単位のMMLV逆転写酵素および2000GP単位のT7 RNAポリメラーゼを緩衝液に含有する25μlアリコートの酵素試薬を添加して増幅反応を開始する。すべての反応体を混合し、42℃で1時間インキュベートする。増幅した試料について次いでAPH検出操作を実施する。アクリジニウム標識プローブAE(+)4134bの溶液を各試料に添加する。各試料に1.3pmolの標識プローブおよび38.7pmolの非標識プローブを添加する。その際、各プローブは標準HIVアンプリコンには特異的であるが擬似ターゲットには特異的でない。これらの量のプローブは、被分析体アンプリコンを定量検出する飽和ハイブリダイゼーション量である。混合物を60℃で15分間インキュベートし、次いでメタ亜ヒ酸ナトリウムを含有するAPH選択試薬300μlと混合する。反応混合物を60℃で20分間インキュベートし、次いで室温に冷却する。検出試薬IおよびIIを添加した後、10,000以上のRLU値について陽性結果を指示し、10,000未満のRLU値について陰性結果を指示するようにプログラミングしたルミノメーターを用いて化学発光を読み取る。処理前の血漿試料は陽性結果を与え、これにより少なくとも約200 RNA当量のレベルが指示される。これに対し処理後の血漿試料は陰性結果を与え、これにより100μlの試料中200 RNA当量未満のレベルが指示される。医師はその薬物療法がウイルス負荷の低下に有効であると判断する。
【0134】
本発明をその多数の具体例および態様に関して記載した。もちろん、以上の詳細な記述を考慮すると本発明の多数の異なる態様が当業者に自明であろう。したがって本発明の真の範囲は特許請求の範囲に基づいて判断すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 異なる量の装入ターゲットポリヌクレオチド鋳型を用いて合成したTMA反応生成物を電気泳動により分離したものを模式的に示す。”Neg”と表示した列は装入鋳型を含有しなかった反応を表す。残りの列は装入ターゲットポリヌクレオチド量を漸増させて実施した反応を表す。ゲル上においてターゲットポリヌクレオチド由来の特異的増幅生成物の位置を矢印で示した。
【図2】 図2a〜2cは、TMAについて3つの異なる反応条件を模式的に示す。他の変量、たとえば酵素、プライマーおよびNTP濃度を一定に維持すると、低い被分析体ポリヌクレオチド装入レベル条件下では(図2a)、反応生成物の主要部分は鋳型非依存性の非特異的生成物(NP)であり、被分析体アンプリコンまたは特異的生成物(SP)は全反応生成物の副成分であるにすぎない。高い被分析体ポリヌクレオチド装入レベル条件下では(図2b)、被分析体アンプリコン(SP)が全反応生成物の主要部分であり、鋳型非依存性の非特異的生成物(NP)は副成分である。装入被分析体ポリヌクレオチドレベルは低いが擬似ターゲットレベルは高い条件下では(図2c)、擬似ターゲット特異的生成物(PTSP)形成は非特異的生成物の犠牲においてなされる。
【図3】 図3a〜3bは、非特異的増幅生成物を生成しない理想化した反応において擬似ターゲットの含有が定性アッセイを定量アッセイに変換する様子を模式的に示す。図3aは、低い、または高い出発レベルの被分析体ポリヌクレオチド(TA)が反応体(R)を同様な量の被分析体特異的生成物(SP)に変換するための鋳型として作用する様子を示す。図3bは、低い、または高い出発レベルの被分析体ポリヌクレオチドを含む増幅反応に擬似ターゲット(PsT)を含有させると、反応で合成された被分析体特異的生成物のレベルと鋳型の装入レベルとの間に定量関係が得られることを示す。この図は、擬似ターゲットが擬似ターゲット特異的生成物(PTSP)合成反応の鋳型として作用し、一方、被分析体ポリヌクレオチドは被分析体特異的生成物合成の鋳型として作用することを示す。
【図4】 図4a〜4dは、反応に擬似ターゲットを含有させるとポリヌクレオチド増幅反応の動的範囲および精度が改善される様子を説明する理想化したグラフである。図4aは、被分析体特異的アンプリコンのみを生成する理想化した増幅反応について予想される結果を示す。図4bは、被分析体ポリヌクレオチドと無関係な低レベルの非特異的増幅生成物を自然に生成する増幅反応について予想される結果を示す。図4cは、被分析体ポリヌクレオチドと無関係な高レベルの非特異的増幅生成物を自然に生成する増幅反応について予想される結果を示す。図4dは、擬似ターゲットを含有する反応について予想される理想化した結果を示す。
【図5】 被分析体ポリヌクレオチドおよび擬似ターゲットを含有するポリヌクレオチド集合体の回収効率が変動しても、増幅反応によって同様な量のアンプリコンを得るのが可能であることを示す模式図である。被分析体ポリヌクレオチドと擬似ターゲットを図の上方に一定の出発比率で示す。増幅反応に装入されるポリヌクレオチド試料が100%であっても50%であっても、アンプリコン生成物の最終量は同様である。
【図6】 異なる量の被分析体ポリヌクレオチドを装入した増幅反応において、擬似ターゲットを用いるとアンプリコン合成を基準化しうることを示す線グラフである。グラフに示した3つの状態は、擬似ターゲットなし(黒菱形);一定量の擬似ターゲット(黒四角);一定比率の擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチド(白四角)である。
【図7】 擬似ターゲットを用いると被分析体アンプリコンの生成を制御しうることを示す線グラフである。グラフに示した2つの状態は、擬似ターゲットなし(黒丸);反応当たり2×106コピーの擬似ターゲット(黒四角)である。
【配列表】
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Claims (18)

  1. 被験試料中に存在する被分析体ポリヌクレオチドを定量するための、下記の工程を含む方法:
    被験試料と予め定めた量の擬似ターゲットとを混和し、ここで該擬似ターゲットは単一の増幅反応で被分析体ポリヌクレオチドと共増幅しうるポリヌクレオチドであってそして内標準ではなく、そしてここで該被検試料は未知量の被分析体ポリヌクレオチドを含有し
    ポリヌクレオチド増幅反応において、擬似ターゲットと前記被験試料に含有される被分析体ポリヌクレオチドがあればそれを共増幅して増幅生成物集合体を調製し、前記集合体は前記被験試料が被分析体ポリヌクレオチドを含有する場合は被分析体アンプリコンと擬似ターゲットアンプリコンの両方を含み;そして
    擬似ターゲットアンプリコンの量と関係なく被分析体アンプリコンを定量し、これにより被分析体アンプリコンの量は前記被験試料に含有されていた未知量の被分析体ポリヌクレオチドと用量依存関係にある。
  2. 混和工程の後であって共増幅工程の前に、さらに、前記被分析体ポリヌクレオチドおよび前記擬似ターゲットを単離する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  3. さらに、増幅前の被分析体ポリヌクレオチド量と増幅後の被分析体アンプリコン量を関連づける標準曲線を参照する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 共増幅工程が、配列番号:1および配列番号:2の配列を有する一対のオリゴヌクレオチドプライマーセットを使用する転写仲介増幅反応である、請求項3に記載の方法。
  5. 擬似ターゲットが、配列番号:4および配列番号:9よりなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を有する、請求項4に記載の方法。
  6. 増幅前の被分析体ポリヌクレオチド量と増幅後の被分析体アンプリコン量を関連づけるための、下記の工程を含む方法:
    複数のそれぞれ異なる量の被分析体ポリヌクレオチドを有する対照試料をそれぞれ、予め定めた一定量の擬似ターゲットと混和して、複数の混合対照試料を調製し、ここで該擬似ターゲットは単一の増幅反応で被分析体ポリヌクレオチドと共増幅しうるポリヌクレオチドであってそして内標準ではなく
    複数のポリヌクレオチド増幅反応において、擬似ターゲットと複数の混合対照試料それぞれに存在する被分析体ポリヌクレオチドの両方を共増幅して、擬似ターゲットアンプリコンおよび被分析体アンプリコンを含有する増幅生成物集合体を調製し;
    前記増幅生成物集合体中に存在する擬似ターゲットアンプリコンの量と関係なく、前記複数の増幅反応それぞれについての被分析体アンプリコンを定量し;そして
    予め定めた異なる前記被分析体ポリヌクレオチド量を、前記複数の増幅反応それぞれにおいて生成した定量された前記被分析体アンプリコン量に対してプロットした標準曲線を作成し、これにより前記複数の対照試料中の増幅前の前記被分析体ポリヌクレオチド量と複数の増幅反応で合成された増幅後の被分析体アンプリコン量を関連づける。
  7. 前記擬似ターゲットの前記予め定めたが1×10〜2×10分子、好ましくは1.0×10〜2×10分子、さらに好ましくは、1.0×10〜2×10分子である、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 前記共増幅工程の前にさらに、前記被分析体ポリヌクレオチドを固体支持体に捕獲する工程を含む、請求項1〜7いずれか1項記載の方法。
  9. 定量工程が、共増幅工程からの前記増幅生成物集合体を、被分析体アンプリコンに特異的であるが擬似ターゲットアンプリコンには特異的でない標識プローブとハイブリダイズさせ、次いで被分析体アンプリコンと特異的にハイブリダイズした標識プローブがあればそれを定量検出することを含む、請求項1〜8いずれか1項記載の方法。
  10. 生物試料が被分析体ポリヌクレオチドを含有するかを判定するための、下記の工程を含む方法:
    生物試料を擬似ターゲットと混和して混合試料を調製し、ここで該擬似ターゲットは単一の増幅反応で被分析体ポリヌクレオチドと共増幅しうるポリヌクレオチドであってそして内標準ではなく
    混合試料から核酸を単離し、これにより擬似ターゲットおよび生物試料中に存在する前記被分析体ポリヌクレオチドがあればそれを含む分子集合体が得られ;
    ポリヌクレオチド増幅反応を実施し、前記分子集合体に含有される擬似ターゲットと前記被分析体ポリヌクレオチドがあればそれを共増幅して増幅生成物を調製し、これにより擬似ターゲットアンプリコンが形成され、かつ前記分子集合体が前記被分析体ポリヌクレオチドを含有する場合は被分析体アンプリコンが形成され;
    前記増幅生成物中において、擬似ターゲットアンプリコンを検出せずに前記被分析体アンプリコンがあればそれを検出し;そして
    増幅生成物中に前記被分析体アンプリコンが検出された場合は、生物試料が前記被分析体ポリヌクレオチドを含有すると判定する。
  11. 単離工程が、前記擬似ターゲットおよび前記被分析体ポリヌクレオチドを固体支持体に固定化することを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 増幅反応が転写仲介増幅反応である、請求項11に記載の方法。
  13. 検出工程が、まず被分析体アンプリコンに対する結合特異性を有する標識ポリヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、次いで標識ポリヌクレオチドプローブと被分析体アンプリコンの特異的結合度を測定することを含む、請求項10または請求項12記載の方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項記載の方法により、ポリヌクレオチド増幅反応を実施するための、下記を含むキット:
    擬似ターゲット、ここで該擬似ターゲットは単一の増幅反応で被分析体ポリヌクレオチドと共増幅しうるポリヌクレオチドであってそして内標準ではなく
    擬似ターゲットと被分析体ポリヌクレオチドを共増幅するための、少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマー;ならびに
    ポリヌクレオチド増幅反応を実施するための試薬であって、デオキシヌクレオチド三リン酸およびDNA重合酵素を含む前記試薬。
  15. さらに、増幅反応において生成した被分析体アンプリコンがあればそれを検出するための標識プローブを含む、請求項14に記載のキット。
  16. 試薬がさらに、ヌクレオチド三リン酸およびRNA重合酵素を含む、請求項14に記載のキット。
  17. DNA重合酵素が逆転写酵素である、請求項16に記載のキット。
  18. 逆転写酵素により供給されるもの以外にRNase Hを使用しない、請求項17に記載のキット。
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