JP4780845B2 - Antireflection film and optical component - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外、可視或いは赤外領域で使用される光学機器の光学部品に施される反射防止膜及び反射防止膜が施された光学部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、レンズやプリズムなどの光学部品の表面には反射防止膜が施される。反射防止膜を形成することにより、数多くの光学部品により構成される光学機器全体の透過率が向上し、特に可視域の反射を抑えて像の明るさや鮮明さ(見え易さ)が向上するためである。
【0003】
これまでの光学機器の多くは、可視域やそれよりも狭い光の波長域で使用されるため、反射防止膜も可視域やそれよりも狭い光の波長域の反射を十分に落とすことにより、その目的に十分供することができた。しかし近年は、より広い波長域で使用する光学機器が必要となり、それに対応した光学部品および反射防止膜が必要となっている。
【0004】
従来の反射防止膜としては、特許第2711697号に記載されている。この反射防止膜は、蒸着材料としてTiO2、SiO2,MgF2の3種類の材料を用いた8層構成とすることにより、400nm〜900nmの広い波長域で低い反射率を可能としている。
【0005】
一方、反射防止膜を成膜する際のゴミ、異物付着、シミなどは成膜不良となり、このような成膜不良の光学部品は、十分な光学特性が得られないため、製品として使用できない。このような場合、レンズ、フィルター、プリズム等の光学部品の基板が高価であるため、成膜不良の光学部品から反射防止膜を剥離して再生利用することにより、不良率、損金を減らすことができる。このような基板を再生するための反射防止膜の剥離には、アルカリ溶液や酸溶液による浸漬溶解方法や再研磨による物理的剥離方法が用いられている。
【0006】
基板からの反射防止膜の除去方法として、従来では特公平1−57323号公報が知られている。この方法は、屈折率が基板の屈折率と等しく、且つ酸や弱アルカリの溶液に溶解する薄膜を基板表面に設けるものであり、基板を酸や弱アルカリヘ浸漬することによって基板から反射防止膜を分離することを可能としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、近年の光学機器は、可視、赤外域に加え、紫外域でも使用するものがあり、それに対応した光学部品及び反射防止膜が必要となっている。例えば、顕微鏡においては、可視域(400nm〜700nm)における透過率を高くすることはもちろん、様々な紫外域や赤外域の光をプローブとして用いる観察を並列して行うために、近紫外域(340nm〜400nm)、赤外域(700nm〜900nm)においても透過率を高くする必要がある。このためには、近紫外域から赤外域までの広い波長域で高い透過率を有した光学部品および近紫外域から赤外域までの広い波長域で反射率を抑えることのできる反射防止膜が必要となる。
【0008】
上述した特許第2711697号の反射防止膜では、400nm以下の波長域で強い吸収を示すTiO2を使用しているため、この反射防止膜を施した光学部品は紫外域において高い透過率を確保できないという問題がある。また、同様の膜設計において400nm以下で吸収を持たない材料を使用したとしても、十分に広い波長帯域において反射を落とすことが困難である問題がある。
【0009】
また、特公平1−57322号公報に記載された方法では、高い屈折率の物質と低い屈折率の物質をそれぞれの蒸発源から制御良く蒸発させて基板と同じ屈折率の剥離層を形成する必要がある。しかしながら、真空蒸着では、2種類の材料を混合して屈折率を高精度に制御することが非常に難しく、現実的でなく、しかも、対象となる材料が限定される問題を有している。また、目的とする屈折率によっては、剥離層の屈折率が安定しないため、反射防止膜の光学特性が不安定ともなっている。さらに、目的とする屈折率によって成膜に用いる材料の量が異なるため、溶解性に差が生じて剥離性能が変動する問題も有している。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、紫外域から赤外域まで反射防止性能を有することにより、紫外域から赤外域まで高い透過率を備え、また、条件出しが容易で、屈折率が安定し、剥離が容易な反射防止膜及びこの反射防止膜を備えた光学部品を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の反射防止膜は、基板側から数えて第1層目は基板と比べて屈折率が小さい材料を、第2,4,6,8層目に高屈折率材料を、第3,5,7,9層目に低屈折率材料をそれぞれ形成したものであり、設計波長をλとしたときの各層の光学的膜厚が、第1層は(2.1〜2.7)×λ/4、第2層は(0.12〜0.3)×λ/4、第3層は(0.5〜0.7)×λ/4、第4層は(0.4〜0.56)×λ/4、第5層は(0.1〜0.3)×λ/4、第6層は(1.3〜2.5)×λ/4、第7層は(0.15〜0.28)×λ/4、第8層は(0.36〜0.52)×λ/4、第9層は(1.0〜1.2)×λ/4となっていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の反射防止膜において、前記高屈折率材料が、HfO 2 、ZrO 2 、Ta 2 O 5 、LaTi x O y 、Y 2 O 3 のいずれか又はこれらの混合物であることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、基板側から数えて1、3、5、7層目にHfO 2 、ZrO 2 、Ta 2 O 5 、LaTi x O y 、Y 2 O 3 のいずれか又はこれらの混合物からなる高屈折率材料を、第2、4、6、8層目に低屈折率材料をそれぞれ形成したものであり、設計波長をλとしたときの各層の光学的膜厚が、第1層は(0.1〜0.6)×λ/4、第2層は(0.15〜0.7)×λ/4、第3層は(0.4〜0.7)×λ/4、第4層は0.05〜0.3)×λ/4、第5層は(1.4〜2.0)×λ/4、第6層は(0.1〜0.9)×λ/4、第7層は0.35〜0.55)×λ/4、第8層は(0.9〜1.2)×λ/4となっていることを特徴とする。
【0015】
請求項1及び3の発明では、高屈折率材料と低屈折率材料とを順次、所定の光学膜厚で積層することにより、紫外域、赤外域の反射を防止することが可能となり、広域の波長に対して反射防止することができる。
【0016】
これらの発明の反射防止膜は、設計波長を変えることにより異なった波長域においても、広い波長域の反射防止能を有している。例えば、設計波長を400nmとすれば、300nm〜800nm程度の波長域で反射防止能を有した反射防止膜とすることができる。また、例えば、設計波長を480nmとすれば、340nm〜1000nm程度の波長域で、560nmとすれば400nm〜1150nm程度の波長域で反射防止能を有した広帯域反射防止膜とすることができ、目的に応じて有効な広帯域反射防止膜となる。このような反射防止膜は、従来の反射防止帯域が400nm〜900nmであることと比較した場合、より広い反射防止帯域となっている。このため、この反射防止膜を用いた光学部品や光学機器は従来の反射防止膜を用いたものと比較して、より広い波長域において高い透過率を有したものとなる。
【0017】
請求項1及び3の発明の反射防止膜では、様々な波長帯域において使用することができるが、最終的な透過率を保証するため、反射防止帯域において吸収がないことが必要である。また、紫外域においても吸収のない材料であるSiO2、MgF2、Al2O3、HfO2、ZrO2、Ta2O5、LaTixOy、Y2O3を使用することにより、紫外域から赤外域まで高い反射防止効果効果を得ることができる。ここで、SiO2は透過帯域が200nm〜2000nm、MgF2は200nm〜7000nm、Al2O3は200nm〜5000nm、HfO2は230nm〜2500nm2、ZrO2は320nm〜7000nm、Ta2O5は350nm〜7000nm、LaTixOyは350nm〜7000nm、Y2O3は250nm〜8000nmである。
【0018】
請求項1及び3の発明における低屈折率材料としては、紫外域においても吸収のない材料の中でも特に屈折率の低いSiO2、MgF2を用いることができる。請求項1の発明では、第9層として最も屈折率の低いMgF2を用いることが好ましい。また、請求項3の発明においても、第8層としてMgF2を用いることが好ましい。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の反射防止膜において、前記基板と1層目の間にA1 2 O 3 の層が配置されていることを特徴とする。
【0020】
高屈折率材料としてHfO2を用いた場合、230nm程度以上の波長域から反射防止が可能であり、特に高い効果を有している。また、高屈折率材料としてZrO2を用いた場合、ZrO2がHfO2よりも価格が安いために、320nm以上で使用する反射防止膜においては製造コストを抑えることができる。高屈折率材料としてTa2O5もしくはLaTixOyを用いた場合、これらは蒸発温度よりも低い温度で溶ける材料のため、成膜が安定する。また、材料を繰り返し使用できることからコスト的により有利であり、屈折率もHfO2、ZrO2に比べて高く、より良好な光学特性を得やすいものとすることができる。これらの材料は、必要な反射防止域が360nm程度以上の場合において非常に効果が高い。
【0021】
以上の高屈折率材料を混合した材料を用いる場合でも、それぞれ効果を得ることができる。
【0022】
請求項5の発明は、基板側から数えて1、3、5、7層目に高屈折率材料を、第2、4、6、8層目に低屈折率材料をそれぞれ形成したものであり、設計波長をλとしたときの各層の光学的膜厚が、第1層は(0.1〜0.6)×λ/4、第2層は(0.15〜0.7)×λ/4、第3層は(0.4〜0.7)×λ/4、第4層は0.05〜0.3)×λ/4、第5層は(1.4〜2.0)×λ/4、第6層は(0.1〜0.9)×λ/4、第7層は0.35〜0.55)×λ/4、第8層は(0.9〜1.2)×λ/4となっており、前記基板と、この基板と比べ屈折率が小さい材料からなる1層目の間にA1 2 O 3 の層が配置されていることを特徴とする。
【0023】
A12O3はアルカリ溶液に容易に溶解する。本発明では、基板と第1層の材料との間にアルカリ溶液に容易に溶解する層を配置することにより、基板をアルカリ溶液に浸漬することによって、その上に成膜されている反射防止膜を剥離することができる。従って、様々な屈折率を有した基板であっても、反射防止膜の剥離性能を低下させることがなくなる。
【0024】
アルカリ溶液に容易に溶解、剥離する層としては、MgF2,Al2O3等を用いることができるが、アルカリ溶液に対する溶解性のより良好なA12O3が好適である。
【0025】
アルカリ溶液に容易に溶解、剥離する層は、剥離層がAl2O3の場合、物理的膜厚dが10nm以上で有れば剥灘可能である。また、反射防止効果を考慮したとき、剥離する層の光学的膜厚は1.0×λ/4以下とすることが望ましい。
【0026】
請求項6の発明の光学部品は、請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止膜が光学面に形成されていることを特徴とする。
【0027】
このように請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止膜を用いることにより、広い波長域において高い透過率を有した光学部品となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1〜4)
実施の形態1〜4では、成膜に用いる使用材料がMgF2、SiO2、HfO2であり、基板の屈折率が1.44、1.50、1.52、1.56の場合について説明する。
【0029】
表1は屈折率が1.44、1.50、1.52、1.56の基板上に形成した反射防止膜を示す。表1の項目において光学的膜厚の値は、設計波長λとしたときのλ/4の倍数で記載している。ここでの設計波長は480nmである。
【0030】
表1に実施の形態1〜4における膜設計値を記載してある。また、図1〜図4は実施の形態1〜4のそれぞれにおける反射防止膜の分光反射率特性である。表2は実施の形態1〜4における反射防止膜の特性を示す代表値である。図1〜図4及び表2から明らかなように、各実施の形態における反射防止膜は、340nm〜1000nmにわたる非常に広い帯域において反射防止効果を有しており、請求項1の反射防止膜となっている。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
実施の形態1〜4を比較して判るように、ガラスからなる基板と、基板の屈折率よりも屈折率が小さい材料との屈折率差が大きいほど、分光反射率特性の波うちがより大きくなる。これは反射防止帯域を広げるのには役立つが、波うちにより可視域において色づきが発生しやすくなる。実施の形態4では、基板と第1層目の屈折率差が0.1程度となっているが、これよりも屈折率差が大きくなると、波うちによる弊害が大きくなって好ましくない。従って、基板と第1層目の屈折率差は0.1以内程度であることが好ましい。
【0034】
実施の形態1〜4では、膜材料としてMgF2、SiO2、HfO2を使用しているが、これに留まらず、これらの材料と同様の屈折率を有した材料であれば、同様の実施は可能である。特に、Ta2O5、ZrO2、LaTixOy,Y2O3またはこれらの混合物やこれらを主成分とする材料は、反射防止帯域において有意な吸収を持たない膜を形成することが可能である。これに加えて、蒸着条件によって実施の形態におけるHfO2に近い屈折率の膜を形成できるため、HfO2の代替の材料として使用することができる。
【0035】
これらの実施の形態においては、基板を250℃程度に加熱して行う真空蒸著法により反射防止膜の形成を行った結果を示しているが、反射防止膜の形成方法はこれに限定されるものではなく、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンアシスト蒸着などの他の手法によっても同等の光学特性を有する反射防止膜を得ることができる。
【0036】
また、これらの実施の形態においては、屈折率が1.44〜1.56の範囲の基板を用いたが、設計上は1.40〜1.60の範囲の基板に対して高い反射防止性能を有した反射防止膜を得ることができる。但し、入手性が良い中で最も低い屈折率を有する光学ガラス(基板)の屈折率が約1.44であり、また上述したように基板と第1層目との屈折率差が0.1以下が好ましいことから、屈折率1.44〜1.56の範囲の基板に対して高い効果を得ることができる。すなわち1.44〜1.56の範囲の基板を用いた場合には、安定した屈折率を得やすいMgF2、SiO2を第1層目の成膜材料として用いることができるため、反射防止膜の特性をより安定させることができる.
【0037】
このような実施の形態では、紫外波長域から赤外波長域にわたる非常に広い帯域で高い反射防止効果を有する反射防止膜とすることができる。この反射防止膜をその光学面に形成することにより、非常に広い帯域で高い透過率を有する光学部品とすることができる。
【0038】
(実施の形態5〜7)
実施の形態5〜7では、成膜に用いる使用材料がMgF2,SiO2,Ta2O5であり、基板の屈折率が1.52の場合について説明する。
【0039】
表3は屈折率が1.52の基板上に設けた反射防止膜を示す。表3の項目において光学的膜厚の値は設計波長λとしたときのλ/4の倍数で記載してある。
【0040】
表3に実施の形態5〜7における膜設計値を記載してある。また、図5〜図7は実施の形態5〜7のそれぞれにおける反射防止膜の分光反射率特性である。表4は実施の形態5〜7における反射防止膜の特性を示す代表値である。図5〜図7及び表4から明らかなように、各実施の形態における反射防止膜は、340nm〜1000nmにわたる非常に広い帯域において反射防止効果を有している。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
実施の形態5は、近紫外域及び可視域での反射が特に低くなっており、目的により有用性が高いが、900nm付近で反射率が2%を越えるなど、請求項1の反射防止膜とはなっていない。実施の形態6,7はより広帯域な特性を有し、特に赤外域における反射率が低く、請求項1の反射防止膜となっている。これから明らかなように、各実施の形態における反射防止膜は、それぞれ紫外波長域から赤外波長域にわたる非常に広い帯域において反射防止効果を有しており、目的により使い分けることができ、それぞれ高い効果を有している。
【0044】
これらの実施の形態においては、膜材料としてMgF2,SiO2,Ta2O5を使用しているが、これに留まらず、これらの材料と同様の屈折率を有する材料で有れば、同様に実施することができる。特に、ZrO2,LaTixOyまたはこれらの混合物やこれらを主成分とする材料は、反射防止帯域において有意な吸収を持たない膜を形成することが可能である。これに加えて、蒸着条件によって実施の形態におけるTa2O5に近い屈折率の膜を形成できるため、Ta2O5の代替の材料として使用することにより、同等の光学特性を有する広帯域の反射防止膜とすることができる。
【0045】
これらの実施の形態においては、基板を250℃程度に加熱して行う真空蒸著法により反射防止膜の形成を行つた結果を示しているが、反射防止膜の形成方法はこれに限定されるものではなく、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンアシスト蒸着などの他の手法によっても同等の光学特性を有する反射防止膜を得ることができる。
【0046】
これらの実施の形態では、紫外波長域から赤外波長域にわたる非常に広い帯域で高い反射防止効果を有する反射防止膜とすることができる。そして、この反射防止膜をその光学面に形成することにより、非常に広い帯域で高い透過率を有する光学部品とすることができる。
【0047】
(実施の形態8〜10)
実施の形態8〜10では、成膜に用いる使用材料がMgF2及びZrO2とTa2O5との混合物であり、基板の屈折率が1.44の場合について説明する。
【0048】
表5は屈折率が1.44の基板上に設けた反射防止膜を示す。表5の項目において光学的膜厚の値は設計波長λとしたときのλ/4の倍数で記載してある。
【0049】
表5に実施の形態8〜10における膜設計値を記載してある。また、図8〜図10は実施の形態8〜10のそれぞれにおける反射防止膜の分光反射率特性である。表6は実施の形態8〜10における反射防止膜の特性を示す代表値である。図8〜図10及び表6から明らかなように、各実施の形態における反射防止膜は、340nm〜1000nmにわたる非常に広い帯域において反射防止効果を有している。また、使用している材料がMgF2とZrO2及びTa2O5の混合物との2種類であり、生産管理上有利となっている。
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
実施の形態8では、各層の膜厚が最適化されており、請求項1の反射防止膜となっている。実施の形態9,10は実施の形態8の各層の膜厚に対して、意図杓に第1層の膜厚を変えているが、それぞれ広帯域の反射防止膜となっている。これから明らかなように、第1層の膜厚は反射防止膜の光学特性に比較的大きい影響を与えにくい。
【0053】
これらの実施の形態においては、膜材料としてMgF2及びZrO2とTa2O5との混合物を使用しているが、これに留まらず、これらの材料と同様の屈折率を有する材料であれば、同様に実施することができる。特に、HfO2、ZrO2、Ta2O5,LaTixOy、Y2O3またはこれらの混合物やこれらを主成分とする材料は、反射防止帯域において有意な吸収を持たない膜を形成することが可能である。これに加えて、蒸着条件によって、実施の形態におけるZrO2とTa2O5の混合物に近い屈折率の膜を成膜できるため、ZrO2とTa2O5の混合物の代替の材料として使用することにより、同等の光学特性を有した広帯域反射防止膜とすることができる。
【0054】
これらの実施の形態においては、基板を250℃程度に加熱して行う真空蒸著法により反射防止膜の形成を行つた結果を示しているが、反射防止膜の形成方法はこれに限定されるものではなく、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンアシスト蒸着などの他の手法によっても同等の光学特性を有する反射防止膜を得ることができる。
【0055】
これらの実施の形態では、紫外波長域から赤外波長域にわたる非常に広い帯域で高い反射防止効果を有する反射防止膜とすることができる。そして、この反射防止膜をその光学面に形成することにより、非常に広い帯域で高い透過率を有する光学部品とすることができる。
【0056】
(実施の形態11)
この実施の形態では、成膜に用いる使用材料がAl2O3、MgF2、SiO2、HfO2であり、基板の屈折率が1.52の場合について説明する。また、この実施の形態では、Al2O3からなる剥離層を有している。
【0057】
表7は屈折率が1.52の基板上に設けた反射防止膜を示す。表7の項目において光学的膜厚の値は設計波長λとしたときのλ/4の倍数で記載してある。
【0058】
表7にこの実施の形態における膜設計値を記載してある。また、図11はこの実施の形態における反射防止膜の分光反射率特性である。表8は反射防止膜の特性を示す代表値である。図11及び表8から明らかなように、この実施の形態における反射防止膜は、340nm〜1000nmにわたる非常に広い帯域において反射防止効果を有しており、請求項1の反射防止膜となっている。
【0059】
【表7】
【0060】
【表8】
【0061】
本実施の形態の反射防止膜を施した基板を3分間アルカリ溶液に浸漬したところ、基板への影響なく反射防止膜を基板から剥離することができた。これはAl2O3層がアルカリ溶液に対し、容易に溶解するため、その上に積層された反射防止層と基板との解離が容易となるためである.ここでは、アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液(90wt%)を用いた。また、剥離層として用いたAl2O3は、使い勝手が良く、耐環境性も高いため、反射防止膜の材料として使用することができる。さらに、成膜にあたっての条件設定が容易であり、得られる反射防止膜の特性も安定しやすい。なお、この剥離層の物理膜厚は約11nmである。
【0062】
この実施の形態では、膜材料として、Al2O3、MgF2、SiO2、HfO2を使用しているが、これに留まらず、これらの材料と同様の屈折率を有する材料で有れば、同様に実施することができる。特に、Ta2O5、ZrO2、LaTixOy、Y2O3またはこれらの混合物やこれらを主成分とする材料は、反射防止帯域において有意な吸収を持たない膜を形成することが可能である。これに加えて、蒸着条件によって、この実施の形態におけるHfO2に近い屈折率の膜を形成できるため、HfO2の代替の材料として使用することにより、同等の光学特性を有する反射防止膜とすることができる。
【0063】
この実施の形態においては、基板を250℃程度に加熱して行う真空蒸著法により反射防止膜の形成を行つた結果を示しているが、反射防止膜の形成方法はこれに限定されるものではなく、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンアシスト蒸着などの他の手法によっても同等の光学特性を有する反射防止膜を得ることができる。
【0064】
この実施の形態では、紫外波長域から赤外波長域にわたる非常に広い帯域で高い反射防止効果を有し、しかもアルカリ溶液への浸漬によって容易に基板から剥離することの可能な反射防止膜とすることができる。そして、この反射防止膜をその光学面に形成することにより、非常に広い帯域で高い透過率を有する光学部品とすることができる。
【0065】
(実施の形態12〜14)
表9に実施の形態12〜14の膜設計値を記載してある。表10は実施の形態12〜14における反射防止膜の特性を示す代表値である。反射防止膜は、10−4〜10−6Torrの真空域内での真空蒸着により薄膜を形成した。反射防止膜の形成方法は、これに限定されるものでなく、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンアシスト蒸着によっても形成することができる。
【0066】
これらの実施の形態では、低屈折率材料としてMgF2及びSiO2を用い、高屈折率材料としてHfO2を用いたが、これに限定されるものではなく、これらの材料と同様な屈折率を有する材料であれば、同様な反射防止膜を得ることができる。
【0067】
【表9】
【0068】
【表10】
【0069】
図12〜図14は実施の形態12〜14の分光反射率特性をそれぞれ示している。および表10から明らかなように、各種屈折率を有する基板に対し、波長340nm〜1000nmにわたる非常に広い帯域において反射防止効果を有している。
【0070】
また、これらの実施の形態では、低屈折率材料としてMgF2とSiO2を用いているが、このように中間層(2、4、6層)にSiO2を用いることで、膜による光の散乱を減らし、全体の透過率を増やすことが可能となる。
【0071】
これらに実施の形態では、紫外域から赤外域にわたる広い波長帯域において、有効な反射防止効果を有したものとなっている。そして、この反射防止膜を光学面に設けた光学部品とすることにより、非常に広い帯域で高い透過率を有する光学部品とすることができる。
【0072】
(実施の形態15〜17)
表11に実施の形態15〜17の膜設計値を記載してある。表12は実施の形態15〜17における反射防止膜の特性を示す代表値である。反射防止膜は、10−4〜10−6Torrの真空域内での真空蒸着イオンアシストにより薄膜を形成した。反射防止膜の形成方法は、これに限定されるものでなく、スパッタリング、イオンプレーティングによっても形成することができる。
【0073】
これらの実施の形態では、低屈折率材料としてMgF2を用い、高屈折率材料としてTa2O5を用いたが、これに限定されるものではなく、これらの材料と同様な屈折率を有する材料であれば、同様な反射防止膜を得ることができる。
【0074】
【表11】
【0075】
【表12】
【0076】
図15〜図17は実施の形態15〜17の分光反射率特性をそれぞれ示している。および表12から明らかなように、各種屈折率を有する基板に対し、波長340nm〜1000nmにわたる広い帯域において反射防止効果を有している。
【0077】
また、これらの実施の形態では、高屈折率材料として高い屈折率を有するTa2O5を用いることにより、各波長域帯で反射率を更に低下させることができる。
【0078】
これらの実施の形態では、より高い屈折率を有する高屈折率材料を用いることにより、紫外域から赤外域にわたる広い波長帯域において、より高い反射防止効果を有したものとなっている。そして、この反射防止膜を光学面に設けた光学部品とすることにより、非常に広い帯域で高い透過率を有する光学部品とするこてとができる。
【0079】
(実施の形態18〜20)
表13に実施の形態18〜20の設計値を記載してある。表14は実施の形態18〜20における反射防止膜の特性を示す代表値である。反射防止膜は、10−4〜10−6Torrの真空域内での真空蒸着薄膜を形成した。また、基板と第1層との間に、Al2O3層を光学的膜厚で(0.19〜0.21)×λ/4形成した。
【0080】
【表13】
【0081】
【表14】
【0082】
図18〜図20は実施の形態18〜20の分光反射率特性をそれぞれ示している。および表14から明らかなように、各種屈折率を有する基板に対し、波長340nm〜1000nmにわたる広い帯域において反射防止効果を有している。
【0083】
表15に反射防止膜のアルカリ溶液浸漬時の剥離性を示す。アルカリ溶液としては水酸化ナトリウム水溶液(90wt%)を用いた。
【0084】
膜の剥離は基板をアルカリ溶液に浸漬し、反射防止膜の剥離までの時間を計測した。その結果、実施の形態18〜20の剥離時間がもっとも短く、剥離性が高いことが分かる。また、屈折率の異なる基板に対しても、同様の剥離時間となっている。これは、A12O3層がアルカリ溶液に対し、容易に溶解するため、その上に積層された反射防止膜と基板の解離が容易となるためである。
【0085】
【表15】
【0086】
これらの実施の形態では、紫外域から赤外域にわたる広い波長帯域において、有効な反射防止効果を有すると共に、アルカリ浸漬により容易に剥離することができる。このため、高価な光学部品の再生が可能となる。
【0087】
【発明の効果】
本発明の反射防止膜によれば、紫外域から赤外域までの広い波長域において反射防止能を有し、特に可視域において反射率が著しく低くなる。従って、広い波長帯域において高い透過率が要求される光学部品、光学機器に適用することができる。
【0089】
本発明の光学部品によれば、広い波長帯域において高い透過率を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の分光反射特性図である。
【図2】実施の形態2の分光反射特性図である。
【図3】実施の形態3の分光反射特性図である。
【図4】実施の形態4の分光反射特性図である。
【図5】実施の形態5の分光反射特性図である。
【図6】実施の形態6の分光反射特性図である。
【図7】実施の形態7の分光反射特性図である。
【図8】実施の形態8の分光反射特性図である。
【図9】実施の形態9の分光反射特性図である。
【図10】実施の形態10の分光反射特性図である。
【図11】実施の形態11の分光反射特性図である。
【図12】実施の形態12の分光反射特性図である。
【図13】実施の形態13の分光反射特性図である。
【図14】実施の形態14の分光反射特性図である。
【図15】実施の形態15の分光反射特性図である。
【図16】実施の形態16の分光反射特性図である。
【図17】実施の形態17の分光反射特性図である。
【図18】実施の形態18の分光反射特性図である。
【図19】実施の形態19の分光反射特性図である。
【図20】実施の形態20の分光反射特性図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an antireflection film applied to an optical component of an optical device used in the ultraviolet, visible, or infrared region, and an optical component provided with the antireflection film.
[0002]
[Prior art]
In general, an antireflection film is provided on the surface of an optical component such as a lens or a prism. By forming an anti-reflection film, the transmittance of the entire optical device composed of many optical components is improved, and in particular, the reflection and visibility of the image are improved by suppressing reflection in the visible range. It is.
[0003]
Since many of the optical devices used so far are used in the visible wavelength range or narrower wavelength range, the anti-reflection film can sufficiently reduce the reflection in the visible wavelength range or narrower wavelength range. I was able to fully serve that purpose. However, in recent years, optical devices used in a wider wavelength range are required, and corresponding optical parts and antireflection films are required.
[0004]
A conventional antireflection film is described in Japanese Patent No. 2711697. This antireflective film is made of TiO2, SiO2, MgF2By adopting an eight-layer configuration using these three types of materials, a low reflectance is possible in a wide wavelength range of 400 nm to 900 nm.
[0005]
On the other hand, dust, foreign matter adhesion, stains, and the like when forming the antireflection film cause poor film formation, and such optical components with poor film formation cannot be used as products because sufficient optical characteristics cannot be obtained. In such a case, since substrates of optical components such as lenses, filters, and prisms are expensive, the defect rate and loss can be reduced by peeling off the antireflection film from the defective optical components and recycling them. it can. For peeling off the antireflection film for regenerating such a substrate, an immersion dissolution method using an alkali solution or an acid solution or a physical peeling method by repolishing is used.
[0006]
As a method for removing the antireflection film from the substrate, Japanese Patent Publication No. 1-57323 is conventionally known. In this method, a thin film that has a refractive index equal to the refractive index of the substrate and is dissolved in an acid or weak alkali solution is provided on the surface of the substrate, and the antireflection film is removed from the substrate by immersing the substrate in acid or weak alkali. It is possible to separate.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, some recent optical devices are used in the ultraviolet region in addition to the visible and infrared regions, and corresponding optical parts and antireflection films are required. For example, in the microscope, not only the transmittance in the visible region (400 nm to 700 nm) is increased, but also the near ultraviolet region (340 nm) is used in order to perform observation using various ultraviolet and infrared light as a probe in parallel. It is necessary to increase the transmittance even in the infrared region (700 nm to 900 nm). For this purpose, an optical component having a high transmittance in a wide wavelength region from the near ultraviolet region to the infrared region and an antireflection film capable of suppressing the reflectance in a wide wavelength region from the near ultraviolet region to the infrared region are necessary. It becomes.
[0008]
In the above-described antireflection film of Japanese Patent No. 2711697, TiO exhibiting strong absorption in a wavelength region of 400 nm or less.2Therefore, there is a problem that the optical component provided with the antireflection film cannot secure a high transmittance in the ultraviolet region. Further, even if a material having no absorption at 400 nm or less is used in the same film design, there is a problem that it is difficult to reduce reflection in a sufficiently wide wavelength band.
[0009]
In the method described in Japanese Patent Publication No. 1-57322, it is necessary to form a release layer having the same refractive index as that of the substrate by evaporating a substance having a high refractive index and a substance having a low refractive index from each evaporation source in a controlled manner. There is. However, in vacuum vapor deposition, it is very difficult to mix two kinds of materials and control the refractive index with high accuracy, which is not practical and has a problem that the target material is limited. Further, depending on the target refractive index, the refractive index of the release layer is not stable, so that the optical characteristics of the antireflection film are unstable. In addition, since the amount of material used for film formation varies depending on the target refractive index, there is a problem that the separation performance varies due to a difference in solubility.
[0010]
The present invention has been made in consideration of such conventional problems, and has anti-reflection performance from the ultraviolet region to the infrared region, thereby providing a high transmittance from the ultraviolet region to the infrared region, and conditions. An object of the present invention is to provide an antireflection film that can be easily put out, has a stable refractive index, and can be easily peeled off, and an optical component including the antireflection film.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
The antireflection film of the invention of claim 1The first layer, counted from the substrate side, has a lower refractive index than the substrate, the second, fourth, sixth and eighth layers have a high refractive index material, and the third, fifth, seventh and ninth layers have a lower refractive index. Each of the refractive index materials is formed. When the design wavelength is λ, the optical film thickness of each layer is (2.1 to 2.7) × λ / 4, and the second layer is ( 0.12-0.3) × λ / 4, the third layer is (0.5-0.7) × λ / 4, the fourth layer is (0.4-0.56) × λ / 4, 5 layers are (0.1-0.3) × λ / 4, 6th layer is (1.3-2.5) × λ / 4, 7th layer is (0.15-0.28) × λ / 4, the eighth layer is (0.36-0.52) × λ / 4, and the ninth layer is (1.0-1.2) × λ / 4.It is characterized by that.
[0012]
According to a second aspect of the present invention, in the antireflection film according to the first aspect, the high refractive index material is HfO. 2 , ZrO 2 , Ta 2 O 5 , LaTi x O y , Y 2 O 3 Or a mixture thereof.
[0013]
According to the third aspect of the present invention, HfO is formed in the first, third, fifth and seventh layers from the substrate side. 2 , ZrO 2 , Ta 2 O 5 , LaTi x O y , Y 2 O 3 A high refractive index material made of any one of these or a mixture of these is formed by forming a low refractive index material in the second, fourth, sixth, and eighth layers, and the optical wavelength of each layer when the design wavelength is λ. The film thickness is (0.1 to 0.6) × λ / 4 for the first layer, (0.15 to 0.7) × λ / 4 for the second layer, and (0.4 to 0) for the third layer. 7) × λ / 4, the fourth layer is 0.05 to 0.3) × λ / 4, the fifth layer is (1.4 to 2.0) × λ / 4, and the sixth layer is (0. 1 to 0.9) × λ / 4, the seventh layer is 0.35 to 0.55) × λ / 4, and the eighth layer is (0.9 to 1.2) × λ / 4.It is characterized by that.
[0015]
Claim1In the
[0016]
The antireflection films of these inventions have antireflection capabilities in a wide wavelength region even in different wavelength regions by changing the design wavelength. For example, if the design wavelength is 400 nm, an antireflection film having antireflection ability in a wavelength region of about 300 nm to 800 nm can be obtained. Further, for example, when the design wavelength is 480 nm, a broadband antireflection film having antireflection performance can be obtained in a wavelength region of about 340 nm to 1000 nm, and if it is 560 nm, a wavelength region of about 400 nm to 1150 nm. Accordingly, an effective broadband antireflection film is obtained. Such an antireflection film has a wider antireflection band when compared with the conventional antireflection band of 400 nm to 900 nm. For this reason, the optical component and optical apparatus using this antireflection film have a high transmittance in a wider wavelength range as compared with those using the conventional antireflection film.
[0017]
Claim1The antireflection films of the
[0018]
Claim1As the low refractive index material in the inventions of No. 3 and No. 3,
[0019]
The invention of claim 4The antireflection film according to any one of
[0020]
HfO as a high refractive index material2Is used, it is possible to prevent reflection from a wavelength range of about 230 nm or more, which has a particularly high effect. In addition, as a high refractive index material, ZrO2When ZrO is used,2Is HfO2Since the price is lower than that of the antireflection film used at 320 nm or more, the manufacturing cost can be suppressed. Ta as a high refractive index material2O5Or LaTixOyWhen these are used, since these are materials that melt at a temperature lower than the evaporation temperature, the film formation is stable. Further, since the material can be used repeatedly, it is more advantageous in terms of cost, and the refractive index is also HfO.2, ZrO2Compared to the above, it is easy to obtain better optical characteristics. These materials are very effective when the necessary antireflection area is about 360 nm or more.
[0021]
Even in the case of using a material in which the above high refractive index materials are mixed, the effect can be obtained.
[0022]
The invention of claim 5A high refractive index material is formed on the first, third, fifth, and seventh layers from the substrate side, and a lower refractive index material is formed on the second, fourth, sixth, and eighth layers, and the design wavelength is λ. The optical thickness of each layer is (0.1 to 0.6) × λ / 4 for the first layer, (0.15 to 0.7) × λ / 4 for the second layer, (0.4 to 0.7) × λ / 4, the fourth layer is 0.05 to 0.3) × λ / 4, the fifth layer is (1.4 to 2.0) × λ / 4, 6 layers are (0.1-0.9) × λ / 4, 7th layer is 0.35-0.55) × λ / 4, and 8th layer is (0.9-1.2) × λ / A1 between the substrate and the first layer made of a material having a refractive index smaller than that of the substrate. 2 O 3 Layers are arrangedIt is characterized by that.
[0023]
A12O3Dissolves easily in alkaline solutions. In the present invention, the antireflection film formed on the substrate by immersing the substrate in the alkaline solution by disposing a layer that is easily dissolved in the alkaline solution between the substrate and the material of the first layer. Can be peeled off. Therefore, even if it is a board | substrate with various refractive indexes, the peeling performance of an anti-reflective film will not fall.
[0024]
As a layer that easily dissolves and peels in an alkaline solution, MgF2, Al2O3A1 having better solubility in an alkali solution can be used.2O3Is preferred.
[0025]
The layer that dissolves and peels easily in an alkaline solution is2O3In this case, the film can be peeled off if the physical film thickness d is 10 nm or more. In consideration of the antireflection effect, the optical thickness of the layer to be peeled is preferably 1.0 × λ / 4 or less.
[0026]
An optical component according to a sixth aspect of the invention is characterized in that the antireflection film according to any one of the first to fifth aspects is formed on an optical surface.
[0027]
Thus, by using the antireflection film according to any one of
[0028]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
(
In
[0029]
Table 1 shows antireflection films formed on substrates having refractive indexes of 1.44, 1.50, 1.52, and 1.56. In the items of Table 1, the value of the optical film thickness is described as a multiple of λ / 4 when the design wavelength is λ. The design wavelength here is 480 nm.
[0030]
Table 1 lists the film design values in the first to fourth embodiments. 1 to 4 show spectral reflectance characteristics of the antireflection film in each of the first to fourth embodiments. Table 2 shows typical values indicating the characteristics of the antireflection film in the first to fourth embodiments. As is apparent from FIGS. 1 to 4 and Table 2, the antireflection film in each embodiment has an antireflection effect in a very wide band ranging from 340 nm to 1000 nm. It has become.
[0031]
[Table 1]
[0032]
[Table 2]
[0033]
As can be seen by comparing the first to fourth embodiments, the larger the refractive index difference between the glass substrate and the material having a refractive index smaller than that of the substrate, the larger the wave of spectral reflectance characteristics. Become. This is useful for widening the antireflection band, but coloration tends to occur in the visible region due to the wave. In the fourth embodiment, the refractive index difference between the substrate and the first layer is about 0.1. However, if the refractive index difference is larger than this, the adverse effect due to the wave becomes large, which is not preferable. Therefore, the difference in refractive index between the substrate and the first layer is preferably within 0.1.
[0034]
In
[0035]
In these embodiments, the result of forming the antireflection film by the vacuum evaporation method in which the substrate is heated to about 250 ° C. is shown, but the method of forming the antireflection film is limited to this. However, an antireflection film having equivalent optical characteristics can be obtained by other methods such as sputtering, ion plating, and ion-assisted vapor deposition.
[0036]
In these embodiments, a substrate having a refractive index in the range of 1.44 to 1.56 is used. However, high antireflection performance is provided for a substrate in the range of 1.40 to 1.60 in terms of design. It is possible to obtain an antireflection film having However, the refractive index of the optical glass (substrate) having the lowest refractive index among the good availability is about 1.44, and the refractive index difference between the substrate and the first layer is 0.1 as described above. Since the following is preferable, a high effect can be obtained for a substrate having a refractive index of 1.44 to 1.56. That is, when a substrate in the range of 1.44 to 1.56 is used, MgF that can easily obtain a stable refractive index.2, SiO2Can be used as a film-forming material for the first layer, so that the characteristics of the antireflection film can be further stabilized.
[0037]
In such an embodiment, an antireflection film having a high antireflection effect in a very wide band from the ultraviolet wavelength region to the infrared wavelength region can be obtained. By forming this antireflection film on the optical surface, an optical component having a high transmittance in a very wide band can be obtained.
[0038]
(
In
[0039]
Table 3 shows an antireflection film provided on a substrate having a refractive index of 1.52. In the items of Table 3, the value of the optical film thickness is described as a multiple of λ / 4 when the design wavelength is λ.
[0040]
Table 3 lists the film design values in the fifth to seventh embodiments. 5 to 7 show spectral reflectance characteristics of the antireflection film in each of
[0041]
[Table 3]
[0042]
[Table 4]
[0043]
The fifth embodiment has particularly low reflection in the near ultraviolet region and visible region, and is highly useful depending on the purpose. However, the reflectance exceeds 2% at around 900 nm. It is not. The sixth and seventh embodiments have a wider band characteristic, and particularly have a low reflectance in the infrared region, which is the antireflection film according to
[0044]
In these embodiments, the film material is MgF.2, SiO2, Ta2O5However, the present invention is not limited to this, and the present invention can be carried out in the same manner as long as the material has a refractive index similar to those of these materials. In particular, ZrO2, LaTixOyAlternatively, a mixture thereof or a material containing these as a main component can form a film having no significant absorption in the antireflection band. In addition to this, Ta in the embodiment depends on the deposition conditions.2O5Can be formed with a refractive index close to that of Ta.2O5By using as an alternative material, a broadband antireflection film having equivalent optical characteristics can be obtained.
[0045]
In these embodiments, the results of forming the antireflection film by a vacuum evaporation method in which the substrate is heated to about 250 ° C. are shown, but the method of forming the antireflection film is limited to this. However, an antireflection film having equivalent optical characteristics can be obtained by other methods such as sputtering, ion plating, and ion-assisted vapor deposition.
[0046]
In these embodiments, an antireflection film having a high antireflection effect in a very wide band ranging from the ultraviolet wavelength region to the infrared wavelength region can be obtained. Then, by forming this antireflection film on the optical surface, an optical component having a high transmittance in a very wide band can be obtained.
[0047]
(Embodiments 8 to 10)
In Embodiments 8 to 10, the material used for film formation is MgF.2And ZrO2And Ta2O5A case where the refractive index of the substrate is 1.44 will be described.
[0048]
Table 5 shows an antireflection film provided on a substrate having a refractive index of 1.44. In the items of Table 5, the value of the optical film thickness is described as a multiple of λ / 4 when the design wavelength is λ.
[0049]
Table 5 lists the film design values in the eighth to tenth embodiments. 8 to 10 show spectral reflectance characteristics of the antireflection film in each of Embodiments 8 to 10. Table 6 shows typical values indicating the characteristics of the antireflection film in the eighth to tenth embodiments. As is apparent from FIGS. 8 to 10 and Table 6, the antireflection film in each embodiment has an antireflection effect in a very wide band ranging from 340 nm to 1000 nm. The material used is MgF2And ZrO2And Ta2O5It is two types, and the mixture is advantageous in production management.
[0050]
[Table 5]
[0051]
[Table 6]
[0052]
In the eighth embodiment, the thickness of each layer is optimized, and the antireflection film of
[0053]
In these embodiments, the film material is MgF.2And ZrO2And Ta2O5However, the present invention is not limited to this, and any material having the same refractive index as these materials can be used. In particular, HfO2, ZrO2, Ta2O5, LaTixOy, Y2O3Alternatively, a mixture thereof or a material containing these as a main component can form a film having no significant absorption in the antireflection band. In addition to this, ZrO in the embodiment depends on the deposition conditions.2And Ta2O5Since a film having a refractive index close to that of the mixture can be formed, ZrO2And Ta2O5By using it as an alternative material for the mixture, it is possible to obtain a broadband antireflection film having equivalent optical characteristics.
[0054]
In these embodiments, the results of forming the antireflection film by a vacuum evaporation method in which the substrate is heated to about 250 ° C. are shown, but the method of forming the antireflection film is limited to this. However, an antireflection film having equivalent optical characteristics can be obtained by other methods such as sputtering, ion plating, and ion-assisted vapor deposition.
[0055]
In these embodiments, an antireflection film having a high antireflection effect in a very wide band ranging from the ultraviolet wavelength region to the infrared wavelength region can be obtained. Then, by forming this antireflection film on the optical surface, an optical component having a high transmittance in a very wide band can be obtained.
[0056]
(Embodiment 11)
In this embodiment, the material used for film formation is Al.2O3, MgF2, SiO2, HfO2A case where the refractive index of the substrate is 1.52 will be described. In this embodiment, Al2O3It has a release layer consisting of
[0057]
Table 7 shows an antireflection film provided on a substrate having a refractive index of 1.52. In the items of Table 7, the value of the optical film thickness is described as a multiple of λ / 4 when the design wavelength is λ.
[0058]
Table 7 lists the film design values in this embodiment. FIG. 11 shows spectral reflectance characteristics of the antireflection film in this embodiment. Table 8 shows typical values indicating the characteristics of the antireflection film. As apparent from FIG. 11 and Table 8, the antireflection film in this embodiment has an antireflection effect in a very wide band ranging from 340 nm to 1000 nm, and is the antireflection film according to
[0059]
[Table 7]
[0060]
[Table 8]
[0061]
When the substrate provided with the antireflection film of this embodiment was immersed in an alkaline solution for 3 minutes, the antireflection film could be peeled off from the substrate without affecting the substrate. This is Al2O3This is because the layer is easily dissolved in an alkaline solution, so that the antireflection layer laminated thereon and the substrate are easily dissociated. Here, a sodium hydroxide aqueous solution (90 wt%) was used as the alkaline solution. Also, Al used as a release layer2O3Can be used as a material for an antireflection film because it is easy to use and has high environmental resistance. Furthermore, it is easy to set conditions for film formation, and the characteristics of the obtained antireflection film are likely to be stable. In addition, the physical film thickness of this peeling layer is about 11 nm.
[0062]
In this embodiment, Al is used as the film material.2O3, MgF2, SiO2, HfO2However, the present invention is not limited to this, and the present invention can be carried out in the same manner as long as the material has a refractive index similar to those of these materials. In particular, Ta2O5, ZrO2, LaTixOy, Y2O3Alternatively, a mixture thereof or a material containing these as a main component can form a film having no significant absorption in the antireflection band. In addition to this, HfO in this embodiment depends on the deposition conditions.2Can form a film having a refractive index close to that of HfO.2By using as an alternative material, an antireflection film having equivalent optical characteristics can be obtained.
[0063]
In this embodiment, the result of forming the antireflection film by the vacuum evaporation method in which the substrate is heated to about 250 ° C. is shown, but the method of forming the antireflection film is limited to this. Instead, an antireflection film having equivalent optical characteristics can be obtained by other methods such as sputtering, ion plating, and ion-assisted vapor deposition.
[0064]
In this embodiment, the antireflection film has a high antireflection effect in a very wide band from the ultraviolet wavelength region to the infrared wavelength region, and can be easily peeled off from the substrate by immersion in an alkaline solution. be able to. Then, by forming this antireflection film on the optical surface, an optical component having a high transmittance in a very wide band can be obtained.
[0065]
(Embodiments 12 to 14)
Table 9 lists the film design values of Embodiments 12-14. Table 10 shows typical values indicating the characteristics of the antireflection films in the twelfth to fourteenth embodiments. The antireflection film is 10-4-10-6A thin film was formed by vacuum deposition in a vacuum region of Torr. The method for forming the antireflection film is not limited to this, and it can be formed by sputtering, ion plating, or ion-assisted deposition.
[0066]
In these embodiments, MgF is used as the low refractive index material.2And SiO2HfO as a high refractive index material2However, the present invention is not limited to this, and a similar antireflection film can be obtained as long as it has a refractive index similar to those of these materials.
[0067]
[Table 9]
[0068]
[Table 10]
[0069]
12 to 14 show the spectral reflectance characteristics of Embodiments 12 to 14, respectively. As is clear from Table 10, the substrate having various refractive indexes has an antireflection effect in a very wide band ranging from 340 nm to 1000 nm.
[0070]
In these embodiments, MgF is used as the low refractive index material.2And SiO2In this way, the intermediate layer (2, 4, 6 layers) is made of SiO.2By using, it is possible to reduce light scattering by the film and increase the overall transmittance.
[0071]
In these embodiments, the antireflection effect is effective in a wide wavelength band extending from the ultraviolet region to the infrared region. And by using this antireflection film as an optical component provided on the optical surface, an optical component having a high transmittance in a very wide band can be obtained.
[0072]
(Embodiments 15 to 17)
Table 11 lists the film design values of Embodiments 15 to 17. Table 12 shows typical values indicating the characteristics of the antireflection films in the fifteenth to seventeenth embodiments. The antireflection film is 10-4-10-6A thin film was formed by vacuum deposition ion assist in a vacuum region of Torr. The method for forming the antireflection film is not limited to this, and it can also be formed by sputtering or ion plating.
[0073]
In these embodiments, MgF is used as the low refractive index material.2And Ta as a high refractive index material2O5However, the present invention is not limited to this, and a similar antireflection film can be obtained as long as it has a refractive index similar to those of these materials.
[0074]
[Table 11]
[0075]
[Table 12]
[0076]
15 to 17 show the spectral reflectance characteristics of Embodiments 15 to 17, respectively. As is clear from Table 12, the substrate having various refractive indexes has an antireflection effect in a wide band ranging from 340 nm to 1000 nm.
[0077]
In these embodiments, Ta having a high refractive index as a high refractive index material is used.2O5By using, the reflectance can be further reduced in each wavelength band.
[0078]
In these embodiments, by using a high refractive index material having a higher refractive index, it has a higher antireflection effect in a wide wavelength band from the ultraviolet region to the infrared region. And by using this antireflection film as an optical part provided on the optical surface, it is possible to make an optical part having a high transmittance in a very wide band.
[0079]
(Embodiments 18 to 20)
Table 13 shows design values of the eighteenth to twentieth embodiments. Table 14 shows typical values indicating the characteristics of the antireflection film in the eighteenth to twentieth embodiments. The antireflection film is 10-4-10-6A vacuum deposited thin film was formed in the vacuum region of Torr. Also, between the substrate and the first layer, Al2O3The layer was formed with an optical film thickness of (0.19 to 0.21) × λ / 4.
[0080]
[Table 13]
[0081]
[Table 14]
[0082]
18 to 20 show the spectral reflectance characteristics of Embodiments 18 to 20, respectively. As is apparent from Table 14, the substrate having various refractive indexes has an antireflection effect in a wide band ranging from 340 nm to 1000 nm.
[0083]
Table 15 shows the peelability when the antireflection film is immersed in an alkaline solution. As the alkaline solution, an aqueous sodium hydroxide solution (90 wt%) was used.
[0084]
For film peeling, the substrate was immersed in an alkaline solution, and the time until peeling of the antireflection film was measured. As a result, it can be seen that the peeling time of Embodiments 18 to 20 is the shortest and the peelability is high. Further, the same peeling time is obtained for substrates having different refractive indexes. This is A12O3This is because the layer easily dissolves in the alkaline solution, so that the antireflection film laminated thereon and the substrate can be easily dissociated.
[0085]
[Table 15]
[0086]
These embodiments have an effective antireflection effect in a wide wavelength band ranging from the ultraviolet region to the infrared region, and can be easily peeled off by alkaline immersion. For this reason, it becomes possible to reproduce expensive optical components.
[0087]
【The invention's effect】
BookThe antireflection film of the invention has antireflection performance in a wide wavelength range from the ultraviolet region to the infrared region, and the reflectance is particularly low in the visible region.KunaThe Therefore, the present invention can be applied to optical components and optical equipment that require high transmittance in a wide wavelength band.
[0089]
According to the optical component of the present invention,High transmittance over a wide wavelength bandHave.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a spectral reflection characteristic diagram of
FIG. 2 is a spectral reflection characteristic diagram of the second embodiment.
3 is a spectral reflection characteristic diagram of Embodiment 3. FIG.
4 is a spectral reflection characteristic diagram of
5 is a spectral reflection characteristic diagram of
6 is a spectral reflection characteristic diagram of Embodiment 6. FIG.
7 is a spectral reflection characteristic diagram of Embodiment 7. FIG.
8 is a spectral reflection characteristic diagram of Embodiment 8. FIG.
9 is a spectral reflection characteristic diagram of Embodiment 9. FIG.
10 is a spectral reflection characteristic diagram of
11 is a spectral reflection characteristic diagram of Embodiment 11. FIG.
12 is a spectral reflection characteristic diagram of Embodiment 12. FIG.
13 is a spectral reflection characteristic diagram of Embodiment 13. FIG.
14 is a spectral reflection characteristic diagram of Embodiment 14. FIG.
15 is a spectral reflection characteristic diagram of Embodiment 15. FIG.
FIG. 16 is a spectral reflection characteristic diagram of the sixteenth embodiment.
FIG. 17 is a spectral reflection characteristic diagram of the seventeenth embodiment.
FIG. 18 is a spectral reflection characteristic diagram of the eighteenth embodiment.
19 is a spectral reflection characteristic diagram according to the nineteenth embodiment. FIG.
20 is a spectral reflection characteristic diagram of Embodiment 20. FIG.
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