JP4733436B2 - 単語・意味表現組データベースの作成方法、音声理解方法、単語・意味表現組データベース作成装置、音声理解装置、プログラムおよび記憶媒体 - Google Patents
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(1)使用する言語コーパスに、単語と意味表現との対応関係を明示的に与える必要がなくなるので、音声理解装置の作成コストを低くすることができる。
(2)音声認識と言語理解との処理を密に統合することにより、単語列と意味表現との組み合わせや、この組み合わせの並びや、共起の関係等、様々な仮説を考慮した音声理解をすることができる。また、このように様々な仮説を考慮した上で確信度を計算することにより、音声理解に関して、より正確な確信度を得ることができる。
(3)単語と意味表現との並びの同時確率を統計モデルとして利用することで、意味表現の共起の関係を表現できる。つまり、この意味表現の共起の関係を用いることで、入力された音声データが曖昧だったり、情報量が少なかったりした場合でも、精度の高い音声理解を行うことができる。
音声理解装置は、後記する言語コーパス10や、音声データ40の入力を受け付ける入力インターフェースと、音声理解部60の演算処理結果を外部に出力するための出力インターフェースとを備える。入力インターフェースは、例えば、ネットワークカード等であり、出力インターフェースは、例えば、ディスプレイ装置への出力インターフェース等である。
図1を用いて音声理解装置100の機能を説明する。
音声理解装置100は、言語コーパス10および音声データ40の入力を受け付けたり、音声理解結果や、音声認識結果を出力したりする入出力部70と、言語コーパス10に基づき単語・意味表現組N−グラムモデルDB(データベース)20を作成する単語・意味組N−グラムモデル作成部30とを備える。また、音声理解装置100は、単語・意味組N−グラムモデルDB20、音響モデルDB(データベース)50および変換辞書80を参照して、入力された音声データ40の音声理解結果等を出力する音声理解部60を備える。なお、単語・意味表現組N−グラムモデルDB20は、請求項における単語・意味表現組データベースに相当する。また、音響モデルDB50は、請求項における音響モデルに相当する。
言語コーパス10は、人間の発話を書き起こした書き起こし文(単語列)と、その文の内容に対応する意味表現の集合とから成る。ここでの意味表現は、発話の意味を意味表現記号の集合で表現できるようなもの(記号間の関係や構造は未定義)とする。
この言語コーパス10に含まれる文は、例えば、
単語列「東京駅から京都駅まで」、
意味表現の集合[from=(station=(東京)),to=(station=(京都))]、
といったものである。
単語・意味組N−グラムモデル作成部30は、言語コーパス10に基づき、単語・意味組N−グラムモデルDB20を作成する。この単語・意味組N−グラムモデル作成部30の機能は、単語・意味表現関連度計算部31と、単語・意味表現対応付け部33と、N−グラムモデル作成部35とに分けられる。
単語・意味表現関連度計算部31は、言語コーパス10内に現れる各単語および意味表現のそれぞれについて、単語と意味表現との関連度を計算し、単語・意味表現関連度DB(データベース)32を作成する。この単語・意味表現関連度DB32は、言語コーパス10の各単語が意味表現とどのくらいの関連度を持っているかを示したデータベースである。作成された単語・意味表現関連度DB32は、いったん記憶部の所定領域に格納され、単語・意味表現対応付け部33の演算処理に用いられる。
単語・意味表現対応付け部33は、言語コーパス10内のそれぞれの文について、単語・意味表現関連度DB32を基に、単語列と意味表現との対応付けを行う。
意味表現の集合[from=(station=(東京)),to=(station=(京都))]
このN−グラムモデル作成部35は、単語・意味表現の対応付きコーパス34の各(t1,t2,…,tl)に基づき、単語・意味表現組N−グラムモデルDB20を作成する。
この単語・意味表現組N−グラムモデルDB20は、音声認識技術で一般的に用いられる単語N−グラムモデルと同様に、単語・意味表現の組み合わせをN-グラムでモデル化したものである。つまり、単語と意味表現との組み合わせNグラムごとに、この組み合わせが生起する確率を示したものである。
from=(station=(東京)):東京 <eps>:から to=(station=(京都)):京都
<eps>:から to=(station=(京都):京都 <eps>:まで
to=(station=(京都):京都 <eps>:まで <文末>
続いて、音声理解部60について説明する。音声理解部60は、入出力部70経由で音声データ40の入力を受けると、記憶部の音響モデルDB50、変換辞書80および単語・意味表現組N−グラムモデルDB20を参照して、音声理解結果(意味表現認識結果および音声認識結果)を出力する。この音声理解部60は、音声理解結果探索部61と、出力整形部63とに分けられる。
音声理解結果探索部61では、音声データ40の入力を受けると、音響モデルDB50および単語・意味表現組N−グラムモデルDB20を参照して、入力された音声データに対応する単語と意味表現とを組にした記号の列を出力する。また、音声理解結果探索部61は、各記号の認識における確信度も併せて出力する。なお、この音声理解結果検索部61は請求項の音声理解処理部に相当する。
Xは音声データから得られる時系列の特徴量、Wは単語列、Cは意味表現列を表す。P(X|W)は音響モデル、P(W)は言語モデルと呼ばれる。従来技術である音声認識装置では、以下の数式(6)の条件付き確率P(W|X)を最大化(あるいは前記特徴量の尤度を最大化)するような単語列W^を探索し、音声認識結果として出力する。
(1)XがCと独立であるという仮定から、P(X|W,C)のP(X|W)への置き換え、
(2)Viterbi近似により、ΣWP(X|W)P(W|C)P(C)の総和型の、最も尤
度の高いX,Wについての確率P(X|W)P(W|C)P(C)への置き換え、
を行っている。
出力整形部63は、確信度付き単語・意味表現組記号列62から、確信度がある水準(閾値)より高い記号を選択する。そして、この記号から単語と意味表現とを抽出し、入力された音声データ40に対応する単語列と意味表現との集合として整形して出力する。
このようにして音声理解装置100は、音声理解結果(意味表現認識結果および音声認識結果)を演算出力する。
/norikae/20030807/000/20030807-000-000.wav:竹橋 から 高崎 まで :from
=(station=(竹橋)) to=(station=(高崎))
/norikae/20030807/000/20030807-000-001.wav:十八 時 二十 分 到着 :
arrivetime(hour=(18),minute=(20))
/norikae/20030807/000/20030807-000-002.wav:お願い し ます:yes
/norikae/20030807/000/20030807-000-003.wav:竹橋 から 高崎 まで
:from=(station=(竹橋)) to=(station=(高崎))
/norikae/20030807/000/20030807-000-006.wav:十八 時 二十 分 高崎 に 到着 :to=(station=(高崎)) arrivetime(hour=(18),minute=(20))
/norikae/20030807/000/20030807-000-007.wav:十八 時 二十 分 高崎 に 到着 :to=(station=(高崎)) arrivetime(hour=(18),minute=(20))
台場
to=(station=(台場)):(0.111038)
station=(台場):(0.110904)
arrivetime(hour=(9),minute=(40)):(0.002822)
from=(station=(赤羽)):(0.002662)
from=(station=(王子)):(0.000966)
backchannel:(0.000039)
まで
to=(station=(横浜)):(0.001614)
no:(0.01138)
to=(station=(蘇我)):(0.001059)
to=(station=(台場)):(0.000002)
単語列:台場まで、
意味表現列:to=(station=(台場))、
という発話からなるとき、可能な対応付けは、
(1)to=(station=(台場)):台場 <eps>:まで、
(2)<eps>:台場 to=(station=(台場)):まで、
の2種類である。
ここで(1)の関連度の積は「0.11038」であり、(2)の関連度の積は「0.000002」であるので、(1)が最適な対応付けとして選択されることになる。
なお、<s>:<s>は文の開始を示す記号であり、</s>:</s>は文の終了を表す記号である。
<s>:<s> from=(station=(横浜)):横浜 <eps>:を <eps>:九 <eps>:時\\
departtime=(hour=(9),minute=(45)):四十五 <eps>:分 <eps>:に <eps>:出発\\
to=(station=(蘇我)):蘇我 <eps>:まで </s>:</s>
<s>:<s> departtime=(hour=(21),minute=(50)):二十一 <eps>:時 <eps>:五十\\
<eps>:分 <eps>:に <eps>:乗車 <eps>:し <eps>:ます </s>:</s>
<s>:<s> departtime=(hour=(14),minute=(30)):十四 <eps>:時 <eps>:三十 \\
<eps>:分 <eps>:に from=(station=(新宿)) <eps>:を <eps>:出発 <eps>:し\\ <eps>:ます </s>:</s>
本実施例においては、単語・意味組N−グラムモデル作成部30としてフリーウェアとして公開されている技術であるCMU-cambridge SLM Toolkit(P.Clarkson and R.Rosenfeld,"Staistica1 1anguage modeling using the CMU-Cambridgetoolkit",in Proc.EUROSPEECH 1997,pp.2707-2710参照)というN−グラム言語モデル作成ソフトウェアを用いた。
-0.5146 to=(station=(川越)):川越 backchannel:や <s>
-1.1167 to=(station=(浅草)):浅草 <eps>:から <s>
-0.5661 to=(station=(浅草)):浅草 <eps>:から from=(station=(新宿)):新宿
-1.1167 to=(station=(浅草)):浅草 <eps>:から from=(station=(大久保)):大久保
-0.2651 to=(station=(浅草)):浅草 <eps>:て <eps>:し
-0.5146 to=(station=(浅草)):浅草 <eps>:発 <eps>:分
from=(station=(高崎)):高崎 from=(station=(高崎)) t a k a s a k i
sentencel:from=(station=(竹橋)) to=(station=(高崎))
wseq1:<s> from=(station=(竹橋)):竹橋 <eps>:から to=(station=(高崎)):高崎 <eps>:まで</s>
phseq1:silB|t a k e b a sh i|k a r a|t a k a s a ki|m a d e|silE
cmscore1:0.984 0.982 0.955 0.898 0.510 1.000
score1:-5849.820801
(1)文の先頭および末尾を表す記号<s>,</s>を取り去る。
(2)あらかじめ設定した確信度の水準(閾値)以下の記号は出力しない(本実施の形態では、確信度の閾値を0.5としている)。
(3)意味表現と単語とを分ける記号「:」で、各記号を分割し、意味表現の記号列と単語列とを分けて出力する。
意味表現認識結果として、
音声認識結果として、
つまり、音声理解装置100の利用者が、より確信度の高い音声理解結果を得たいときには、閾値を高く設定し、確信度の低いものも含めた音声理解結果を得たいときには、閾値を低く設定すればよい。
本発明によって得られる効果を示すための実験として、同じ言語コーパス(約9000文から成る)を利用して作成した単語N−グラムモデル(単語N−グラムモデルDB)および単語・意味表現組N−グラムモデルDB20を利用して、約3000文の音声データ40に対して、以下の各方法を用いて音声理解を行った結果を示す(図2参照)。本実験では以下の(1)〜(4)の4つの方法により音声理解を行い、各方法の性能の比較を行った。ここでは、確信度により音声理解結果の棄却水準を0(一切棄却しない)から1(すべて棄却する)まで変化させて、性能の比較をしている。
(1)単語N-グラムを用いて音声認識を行い、得られた単語列に対して最も尤度の高い意味表現列を、単語・意味表現組N−グラムモデルDB20を用いて探索して出力する方法(baseline)。
(2)単語N-グラムを用いて音声認識を行い、得られた単語列の中で、確信度の高い単語を棄却して未知語を表す記号に置き換えた後、単語列に対して最も尤度の高い意味表現列を、単語・意味表現組N−グラムモデルDB20を用いて探索して出力する方法(単語の確信度を用いて不確かな単語を無視する方法)(WordReject)。
(3)本実施例の音声理解方法(Proposed)。
(4)(比較のため)音声認識がすべて正しく行われた場合を想定し、正しい単語列に対して最も尤度の高い意味表現列を、単語・意味表現組N−グラムモデルDB20を用いて探索して出力する方法(Transcription)。
図2の横軸(Precision)は、音声理解結果として出力された意味表現のうち、正解であったものの割合(適合率)を示す。縦軸(Recall)は、音声データ40に対して得られるべき正解のうち、音声理解結果として出力されたものの割合(再現率)を示す。いずれも単位は%である。
20 意味・表現組N−グラムモデルDB(単語・意味表現組データベース)
30 単語・意味組N−グラムモデル作成部
31 単語・意味表現関連度計算部
32 単語・意味表現関連度DB
33 単語・意味表現対応付け部
34 単語・意味表現の対応付きコーパス
35 N−グラムモデル作成部
40 音声データ
50 音響モデルDB(音響モデル)
60 音声理解部
61 音声理解結果探索部(音声理解処理部)
62 確信度付き単語・意味表現組記号列
63 出力整形部
70 入出力部
80 変換辞書
100 音声理解装置
Claims (7)
- 単語・意味表現組データベース作成装置を用いた単語・意味表現組データベースの作成方法であって、
前記単語・意味表現組データベース作成装置が、
文ごとに、その文を構成する単語列とその文の内容に対応する意味表現の集合とからなり、前記単語列中の各単語と前記意味表現の集合に含まれる意味表現との対応関係が与えられていない言語コーパスの入力を受け付けるステップと、
前記言語コーパスに含まれる各単語と各意味表現との共起頻度をもとに、前記各単語と各意味表現との関連度を計算し、当該関連度を記憶した単語・意味表現関連度データベースを作成するステップと、
前記作成した単語・意味表現関連度データベースを参照して、前記言語コーパスの各文において考えうるすべての単語と意味表現との組み合わせのうち、前記関連度の和または積が最大となる組み合わせを計算するステップと、
前記計算した組み合わせにより、前記言語コーパスの各単語と意味表現とを対応付けた単語・意味表現の対応付きコーパスを作成するステップと、
前記単語・意味表現の対応付きコーパス中の各単語と意味表現の組み合わせの同時確率を、当該組み合わせの前方所定数の単語と意味表現の組み合わせの並びにおける当該組み合わせの条件付確率により計算し、この同時確率を含む単語・意味表現組データベースを作成するステップと、
を実行することを特徴とする単語・意味表現組データベースの作成方法。 - 請求項1に記載の単語・意味表現組データベースの作成方法により作成された単語・意味表現組データベースを用いて、入力された音声データに基づき、前記音声データが意味する単語列および意味表現列の認識を行う音声理解装置を用いた音声理解方法であって、
前記音声理解装置が、
前記音声データの入力を受け付けるステップと、
前記音声データの入力に対し、前記単語・意味表現組データベースと、単語を構成する音素の音響特徴を示した音響モデルとを参照して、前記単語と意味表現の組である単語・意味表現組を認識し、前記認識した単語・意味表現組と、前記認識において当該単語・意味表現組が得られる事後確率である確信度とを出力する音声理解ステップと、
前記確信度付きの単語・意味表現組の列から、前記確信度が所定の閾値より高い単語・意味表現組を選択し、前記選択した単語・意味表現組に含まれる単語と意味表現とを用いて、前記音声データに対応する単語列と意味表現との集合として整形して出力する出力整形ステップと、
を実行することを特徴とする音声理解方法。 - 文ごとに、その文を構成する単語列とその文の内容に対応する意味表現の集合とからなり、前記単語列中の各単語と前記意味表現の集合に含まれる意味表現との対応関係が与えられていない言語コーパスの入力を受け付ける入力部と、
前記言語コーパスに含まれる各単語と各意味表現との共起頻度をもとに、前記各単語と各意味表現との関連度を計算し、当該関連度を記憶した単語・意味表現関連度データベースを作成する単語・意味表現関連度計算部と、
前記作成した単語・意味表現関連度データベースを参照して、前記言語コーパスの各文において考えうるすべての単語と意味表現との組み合わせのうち、前記関連度の和または積が最大となる組み合わせを計算し、前記計算した組み合わせにより、前記言語コーパスの各単語と意味表現とを対応付けた単語・意味表現の対応付きコーパスを作成する単語・意味表現対応付け部と、
前記単語・意味表現の対応付きコーパス中の各単語と意味表現の組み合わせの同時確率を、当該組み合わせの前方所定数の単語と意味表現の組み合わせの並びにおける当該組み合わせの条件付確率により計算し、この同時確率を含む単語・意味表現組データベースを作成するモデル作成部と、
を備える単語・意味表現組データベース作成装置。 - 請求項3に記載の単語・意味表現組データベース作成装置により作成された単語・意味表現組データベースを用いて、入力された音声データに基づき、前記音声データが意味する単語列および意味表現列の認識を行う音声理解装置であって、
前記音声データの入力を受け付ける入力部と、
前記単語・意味表現組データベースと、単語を構成する音素の音響特徴を示した音響モデルとを記憶する記憶部と、
前記音声データの入力に対し、前記単語・意味表現組データベースと、前記音響モデルとを参照して、前記単語と意味表現の組である単語・意味表現組を認識し、前記認識した単語・意味表現組と、前記認識において当該単語・意味表現組が得られる事後確率である確信度とを出力する音声理解処理部と、
前記確信度付きの単語・意味表現組の列から、前記確信度が所定の閾値より高い単語・意味表現組を選択し、前記選択した単語・意味表現組に含まれる単語と意味表現とを用いて、前記音声データに対応する単語列と意味表現との集合として整形して出力する出力整形部と、
を備えることを特徴とする音声理解装置。 - コンピュータに、請求項1に記載の単語・意味表現組データベースの作成方法を実行させるためのプログラム。
- コンピュータに、請求項2に記載の音声理解方法を実行させるためのプログラム。
- 請求項5または請求項6に記載のプログラムを記憶したコンピュータに読み取り可能な記憶媒体。
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