JP4699301B2 - 金属ナノ微粒子複合体およびその製造方法 - Google Patents

金属ナノ微粒子複合体およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、ナノ化学技術に関するものであり、金属ナノロッドなどの金属ナノ微粒子が化学修飾された金属ナノ微粒子複合体およびその製造方法に関する。
金属ナノ微粒子は、入射光の振動電場と金属ナノ微粒子内の自由電子とが共鳴的に振動することにより、表面近傍に、紫外から可視領域にかけて局在表面プラズモン吸収が発現するという性質を有する。例えば、金ナノ微粒子の場合、520nm付近に単一な吸収ピークを示し、赤色に着色することから、古くから色材として利用されてきた。
また、金属ナノ微粒子の一種である金属ナノロッドは、アスペクト比(長軸/短軸の長さ比)を調節することにより、可視から近赤外領域までの任意の波長での局在表面プラズモン吸収特性を変化させることができる。しかも、長軸方向と短軸方向とでプラズモン共鳴周波数が異なるため、それぞれの軸方向に対応する2つの吸収ピークが現れる。具体的には、長軸方向の吸収帯が長波長側、短軸方向が短波長側に観測される(非特許文献1を参照)。
近年、これらの金属ナノ微粒子から構成される金属ナノ微粒子薄膜が、有用な機能性材料として着目されており、バイオセンシング、触媒、電子材料、光学材料などの幅広い分野での応用が期待されている。特に、金属ナノ微粒子から発現する光学特性では、光の波長程度の粒径をもつ金属ナノ微粒子を規則正しく配列することにより、光の伝播や発生を制御できるフォトニック結晶が形成されることが知られている。
また、金属ナノ微粒子をガラスやセラミックスなどの誘電体中に分散した複合薄膜は、三次非線形光学特性を示し、その非線形応答速度は1.0〜1.8ピコ秒と、超高速に動作することが知られている(非特許文献2を参照)。
また、金属ナノ微粒子を組織化した薄膜では、近接した微粒子と微粒子との間の電場強度が非常に大きくなり、微粒子の間隙に吸着した分子のラマン分光や蛍光分光などのスペクトル強度が飛躍的に増強する表面増強効果が見出されている。この性質を利用して、金属ナノ微粒子薄膜を用いた高感度センシング材料などの開発が試みられている。
上述した金属ナノ微粒子薄膜の物性は、一般に、薄膜中の金属ナノ微粒子のサイズや配列、粒子間隔などの構造に依存している。金属ナノ微粒子を基板表面で組織化した構造では、1次構造体では得られない組織体としての新たな機能が発現する。このため、金属ナノ微粒子薄膜中のナノ微粒子の集積構造を精密に制御する技術が求められている。
近年、自己組織化に基づいたボトムアップの方法により、粒子あるいは基板側に化学的または物理的な細工を施し、特異的に起こる分子認識現象や分子・粒子間相互作用を巧みに利用することにより、金属ナノ微粒子を基板表面に組織的に配列させたナノ構造体を構築する方法が提案されている。この方法は、短時間で多くの金属ナノ微粒子を空間的に配列できるため、ナノ加工の根幹を成す技術として注目されている。
このような方法の代表として、生体を構成する材料をテンプレートに用いたナノ微粒子を集積化する方法がある。この方法では、DNAやタンパク質、ペプチド、バクテリアなどを、金属ナノ微粒子を自己組織化させるためのテンプレートとして利用し、例えば、チオコリンブロミドを表面修飾剤に用いたカチオン性の金ナノ微粒子を、負に帯電したλ−DNA上へ静電的相互作用によって付着させ、DNA鎖に沿って集積した1次元の金ワイヤを構築している(非特許文献3を参照)。DNAをテンプレートに用いることにより、理想的には約2nm幅の細線が作製でき、現状のリソグラフィ技術では未到達である極限のナノデバイス配線として用いることができる。
また、生体内の球殻状の鉄保存タンパク質であるフェリチンタンパク質を利用し、その内部に鉄やコバルト、ニッケル、マンガンなどの直径7nmの金属ナノ微粒子を作製した例が報告されている。このフェリチンをシリコン基板上で2次元結晶化させた後、500℃窒素中で熱処理することにより、テンプレートに用いたフェリチンを除去し、直径7nmの金属ドットをシリコン基板上に2次元配列化させることができる(非特許文献4を参照)。この方法を応用し、量子ドットを配列化したフローティングゲート型メモリの作製がなされている。
一方、金属ナノロッドにおいても、生体分子の分子間相互作用を利用した、いくつかの組織化方法の方法が提案されている。例えば、金ナノロッドの末端にチオール基を有するアミノ酸誘導体(システイン、グルタチオン)を混合すると、アミノ酸同士の静電的相互作用により、金ナノロッドの短軸面同士が縦列に連結した構造体が構築されることが報告されている(非特許文献5を参照)。金ナノロッドの集合体形成によって局在表面プラズモンカップリング現象が起こり、吸収特性の顕著な変化が観測されるため、この構造体形成を利用した特定のアミノ酸検出方法が提案されている。
また、他の組織化方法として、金ナノロッドの短軸側表面に、スルフィド化したビオチン誘導体を固定化させ、ビオチンを吸着するアビジンタンパクを介して、選択的に金ナノロッドを組織化させる方法が提案されている(非特許文献6を参照)。
エス・リンク(S.Link)ら、「ジャーナルオブフィジカルケミストリービー(Journal of Physical Chemistry B)」、第103巻、1999年、p.3073 アイ・タナハシ(I.Tanahashi)ら、「ジャパニーズジャーナルオブアプライドフィジックス(Japanese Journal of Applied Physics)」、第42巻、2003年、p.3467 ティ・ヨネザワ(T.Yonezawa)ら、「ケミストリーオブレターズ(Chemistry of Letters)」、2002年、P.1172 アイ・ヤマシタ(I.Yamashita)ら、「シンソリッドフィルムズ(Thin Solid Films)」、第393巻、2001年、P.12 ピー・ケイ・スディープ(P.K.Sudeep)ら、「ジャーナルオブアメリカンケミカルソサイエティ(Journal of American Chemical Society)」、第127巻、2005年、p.6516 ケイ・ケイ・キャスウェル(K.K.Caswell)ら、「ジャーナルオブアメリカンケミカルソサイエティ(Journal of American Chemical Society)」、第125巻、2003年、p.13914
近年、上述のような金属ナノ微粒子の性質を利用して、金属ナノ微粒子またはその集合体を固体基板上に規則的に配置し、これによって形成される組織化構造が精密に制御された金属ナノ微粒子薄膜の開発が試みられている。このような金属ナノ微粒子薄膜は、分子レベルの高感度センサーや、新たな機能及び物性を発揮するナノ光電子デバイスの開発へ向けた基盤材料となり得る。特に、金属ナノロッドでは、その構造アスペクト比に応じて吸収波長の可変性を有するため、所望のターゲット分子に応じて計測するセンシング波長の選択性が発現する。また金属ナノロッドでは、球状の金属ナノ微粒子と比べ、局在表面プラズモンカップリングによる各種分光特性の増幅効果が増大するため、より高感度なセンシング機能が期待できる。
しかしながら、上述した従来の技術では、生体テンプレートを利用した球状の金属ナノ微粒子の構造配列化に関する報告は数例あるものの、金属ナノロッドに関しては、微粒子から構成されるナノ構造体が、基板表面で局所的に孤立して存在する程度の粒子組織化方法が報告されているのみであり、固体基板表面上において、金属ナノロッド粒子の並び方や配列構造の次元性、及び粒子間隔を、ナノメーターサイズで制御するのは、従来の金属ナノ微粒子薄膜やナノ超格子構造では困難であった。
また、従来から合成されている金属ナノロッドでは、通常、生体毒性を有する界面活性剤が表面修飾されているため、バイオセンサーなどの生体適合性材料として用いる場合、不適であるという問題点があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、生体適合性が高く、また、固体基板表面で金属ナノ微粒子の規則的な配列構造や微粒子間隔などを精密に制御することが可能な金属ナノ微粒子複合体およびその製造方法を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、本発明の金属ナノ微粒子複合体は、表面修飾剤としてカチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドが添加された金属ナノ微粒子の表面に、親水部のリン酸基末端に含硫黄有機置換基を有し、該含硫黄有機置換基が、チオール基、チオアセチル基、スルフィド基、ジスルフィド基から選ばれる少なくとも1種であるリン脂質分子が化学修飾されており、水溶液中において、前記金属ナノ微粒子と前記リン脂質分子とを混合し、前記カチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを、前記リン脂質分子に配位子交換することによって得られたものであることを特徴とする。
また、本発明の金属ナノ微粒子複合体は、表面修飾剤としてカチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドが添加された金属ナノ微粒子の表面に、親水部のリン酸基末端に含硫黄有機置換基を有し、該含硫黄有機置換基が、チオール基、チオアセチル基、スルフィド基、ジスルフィド基から選ばれる少なくとも1種であるリン脂質分子が化学修飾されており、水溶液中に分散された前記金属ナノ微粒子と、有機溶媒中に分散された前記リン脂質分子とを混合し、前記カチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを、前記リン脂質分子に配位子交換することによって得られたものであることを特徴とする。
た、本発明の金属ナノ微粒子複合体においては、前記金属ナノ微粒子が、アスペクト比が1より大きい金属ナノロッドであることが好ましい。
本発明の金属ナノ微粒子複合体の製造方法は、水溶液中において、表面修飾剤としてカチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドが添加された金属ナノ微粒子と、親水部のリン酸基末端に、含硫黄有機置換基として、チオール基、チオアセチル基、スルフィド基、ジスルフィド基から選ばれる少なくとも1種を有するリン脂質分子とを混合し、前記カチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを、前記リン脂質分子に配位子交換することにより、生体適合性を有し、且つ、水溶液中において分散安定性を保持する金属ナノ微粒子複合体が得られることを特徴とする。
また、本発明の金属ナノ微粒子複合体の製造方法は、水溶液中に分散されるとともに表面修飾剤としてカチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドが添加された金属ナノ微粒子と、有機溶媒中に分散され、親水部のリン酸基末端に、含硫黄有機置換基として、チオール基、チオアセチル基、スルフィド基、ジスルフィド基から選ばれる少なくとも1種を有するリン脂質分子とを混合し、前記カチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを前記リン脂質分子に配位子交換して金属ナノ微粒子複合体を有機溶媒中に抽出することにより、有機溶媒中で分散安定性を保持する金属ナノ微粒子複合体が得られることを特徴とする
本発明の金属ナノ微粒子複合体は、生体適合性の高いリン脂質分子により被覆されているため、細胞膜中に導入可能なラベリング材料として適用することができる。
また、本発明の金属ナノ微粒子複合体薄膜の製造方法によれば、リン脂質分子の自己組織化や熱アニール処理による分子の再配列化を利用し、固体基板上における金属ナノ微粒子の組織化構造を精密に制御することができ、さらに、金属ナノ微粒子薄膜内での微粒子間隔を自在に制御することが可能となる。
また、本発明の製造方法によって得られる金属ナノ微粒子薄膜は、各種分光特性の表面増強効果を発現することができ、分子レベルでの分解能を有する高感度バイオセンサーなどに応用できる材料を提供することができる。また、固体基板上で金属ナノ微粒子の配列構造(配列方向や次元性)を制御した金属ナノ微粒子薄膜を用いることにより、新たな機能・物性を発現するナノ光学材料を提供することが可能となる。
以下、本発明の金属ナノ微粒子複合体およびその製造方法、金属ナノ微粒子複合体薄膜およびその製造方法の実施の形態について、図1〜12を適宜参照しながら説明する。
(金属ナノ微粒子複合体)
本発明の金属ナノ微粒子複合体の一実施形態例について説明する。
本実施形態例では、金属ナノ微粒子を構成する金属が金であり、金属ナノ微粒子は、アスペクト比が1より大きい金属ナノロッドである例である。すなわち、図1(a)に示すように、本実施形態例の金ナノロッド複合体(金属ナノ微粒子複合体)10は、金ナノロッド(金属ナノ微粒子)11の表面に、リン脂質分子12(図1(b)に示す化学構造式を参照)が化学修飾されてなるものである。
なお、本発明における金属ナノロッドの「ナノ」とは、直径が数nm〜数十nm、長さが数nm〜数百nmのことである。
また、本発明で説明する化学修飾とは、化学吸着、または直接的な結合(共有結合、イオン結合)を意味する。
[金ナノロッド]
金ナノロッド11は、例えば、化学還元と光反応を組み合わせた方法により合成することができる(非特許文献:ワイ・ニイドメ(Y.Niidome)ら、「ケミカルコミュニケーションズ(Chemical Communications)」、2003年、P.2376を参照)。
この方法によれば、極めて短時間で、比較的均一な形状の金ナノロッドが合成でき、しかも、アスペクト比の異なる金ナノロッド11が容易に得られ、また同一な合成条件では極めて高い再現性が得られる。
[リン脂質分子]
リン脂質分子12としては、金ナノロッド11に容易に化学修飾できることから、末端に置換基を有しているものが好ましく、また、末端に含硫黄有機置換基を有していることがより好ましい(図1(b)に示す化学構造式を参照)。
ここで、含硫黄有機置換基としては、金ナノロッド11に容易に化学修飾できることから、チオール基、チオアセチル基、スルフィド基、ジスルフィド基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
[水溶液中に分散する金ナノロッド複合体の合成]
金ナノロッド複合体10は、上記金ナノロッド11を含む水溶液と、任意の濃度で水に分散したリン脂質分子12を混合、撹絆することにより合成できる。硫黄有機置換基を有するリン脂質分子12は、水に難溶であるが、水溶液中で超音波処理を15〜20分間程度施し、水中に分散した状態のものを用いることが好ましい。金ナノロッド11表面には、調製時に添加したカチオン性の界面活性剤(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド)が静電的に配位しているが、金との化学吸着力がより高い硫黄有機置換基を有するリン脂質分子12を加えることにより、表面での配位子交換反応が起こる。このため、金ナノロッド11の表面を、容易にリン脂質分子12に置換することができる。ここでの結合は共有結合であり、金ナノロッド11の表面はリン脂質分子12により強固に化学結合される。金ナノロッド複合体10の合成後、速やかに溶液の色が若干変化し、表面修飾剤の配位子交換反応が進行したことが確認できる。ここで、得られた金ナノロッド複合体10は、水溶液中で分散安定性を保持したままである。
[有機溶媒中に分散する金ナノロッド複合体の合成]
金ナノロッド複合体10は、上記金ナノロッド11を含む水溶液と、任意の濃度で有機溶媒中に溶解したリン脂質分子12を混合、撹絆することにより合成できる。ここで用いる有機溶媒としては、水と混和しない極性有機溶媒、例えば、クロロホルムや塩化メチレンなどのハロゲン系溶媒を用いることが好ましい。硫黄有機置換基を有するリン脂質分子12は、この種の有機溶媒中に容易に溶解する。
上記と同様に、金ナノロッド11表面の界面活性剤を、リン脂質分子12に配位子交換することで、金ナノロッド複合体10が得られる。この合成方法では、金ナノロッド11が溶解した水溶液とリン脂質分子12が溶解した有機溶媒とを混合、撹拝した後、静置すると、有機相と水相に分かれ、リン脂質分子で表面修飾された金ナノロッド11は有機相に移行し、有機相で金ナノロッド複合体10の生成が確認される。得られた金ナノロッド複合体10は、有機溶媒中で分散安定性を保持している。その後、有機相のみを抽出し、金ナノロッド複合体10を遠心分離により沈降させ、上澄み液を除去した後、再度有機溶媒を添加すると、金ナノロッド複合体10を有機溶媒中に再分散させることができる。このような操作を繰り返すことにより、過剰に存在する界面活性剤や、未反応のリン脂質分子を除去することができる。
(金属ナノロッド複合体薄膜の製造方法)
金ナノロッド複合体薄膜の製法に関しては、特に限定されず、公知の製法が適用可能である。例えば、金ナノロッド複合体10溶液を基板上に配する方法としては、キャスト法、スピンコート法、ラングミュアー・ブロジェット(LB)法などを用いることができる。
基板としては、シリコン、ガラス、石英、サファイヤ、マイカ、ITO、金、白金、銅、シリコン窒化物、インジウムリンなど、様々な材質の固体基板を何ら制限なく利用することができる。また、基板は、直径約十nm程度の金ナノロッド複合体10を基板表面で精密に配向制御するため、ナノメートルスケールでの平坦性を有するものが好ましい。
さらに、金ナノロッド複合体10に関して、水または有機溶媒中へ溶解する材料を作り分けることができるため、薄膜を作製する場合、(1)展開する基板の表面特性(親水的または疎水的)、(2)基板に対する溶媒の化学的親和性や表面張力、(3)試料溶液の基板への展開方法、(4)試料溶液の展開回数や展開方向、(5)薄膜作製時の乾燥温度・速度などの要素に応じて、薄膜中の金ナノロッド複合体10のナノ集積構造(配列方向や構造次元性)を精密に制御することができる。例えば、スピンコート法を用いて作製した金ナノロッド複合体薄膜では、比較的疎な環境で金ナノロッド複合体10を基板表面に展開させることができるため、図2(a)に示すような1次元で縦列、あるいは横列に配向したナノ構造体を構築することができる。このような構造体において、金ナノロッド粒子同士はリン脂質分子の自己組織化(分子間相互作用)により連結して集積化される。また、縦あるいは横の配列化は、金ナノロッド11の長軸面または短軸面のいずれかに、選択的にリン脂質分子12を導入ことにより、金ナノロッド粒子の連結方向を変化させることができる。
また、キャスト法により作製した金ナノロッド複合体薄膜では、乾燥過程で金ナノロッド複合体10が高濃度に集合するため、リン脂質分子12の自己組織化機能を介して、図2(b)、(c)に示すような2次元配向構造を構築することができる。基板に対して垂直または平行である配向構造は、主に基板の表面特性と溶媒との化学的親和性や表面張力の要素や、熱アニール処理による金ナノロッド複合体10の再配列化処理の要素が主に影響するので、これらの要素を精密に制御することにより、所望の配向構造を選択的に作製することができる。
また、2次元配向構造を有する金ナノロッド複合体薄膜上に、さらに金ナノロッド複合体10溶液を繰り返し展開することで、図3(a)、(b)、(c)に示すような3次元配向構造体が構築できる。この際、より精密に配向構造を制御するために、マイクロ流路またはナノ流路を用い、試料溶液を一定方向から流して堆積していくことが好ましい。図3(c)に示すように、流路の方向を交互に90度変化させて試料を堆積することで、1層毎に縦列横列が交互に変化した3次元いかだ構造体を構築することができる。
一方、水溶液中で合成した金ナノロッド複合体10は生体適合性が高いため、図4に示すように、リン脂質二分子膜(細胞膜)に導入し、それをテンプレートに用いて金ナノロッド複合体薄膜を構築することができる。例えば、金ナノロッド11の長軸面のみを選択的にリン脂質分子12で修飾すれば、図4中の(a)に示すように、リン脂質二分子膜表面と平行に金ナノロッド複合体10を配置させることができる。また、金ナノロッド11の短軸面のみをリン脂質分子12で修飾した場合は、図4中の(b)に示すように、リン脂質二分子膜表面で金ナノロッド複合体10が直立して配向する薄膜体が構築できる。さらには、リン脂質二分子膜は非常に流動的であるため、二分子膜が破壊されない程度の熱処理によって、図4中の(c)に示すような金ナノロッド複合体10が膜内に内包された金属ナノロッド複合体薄膜を作製することができる。
上記方法によって、ナノ微粒子の配向構造(配向方向および構造次元性)が精密に制御された金ナノロッド複合体薄膜では、顕著な光学異方性を発現することが期待される。近接する金ナノロッド粒子同士は、局在表面プラズモンカップリング現象を引き起こすため、同方向に配向した金ナノロッドではプラズモン共鳴効果が飛躍的に増大し、金ナノロッドの長軸側、短軸側に対応する吸収特性に顕著な偏光特性が発現すると考えられる。この金属ナノロッド薄膜の偏光特性は、情報記録メモリ材料や、新規な光学材料等に応用することが可能である。
なお、本発明は、上述した実施形態例に限定されない。例えば、金属ナノ微粒子を構成する金属としては、金以外に、例えば、銀、銅、および金、銀、銅のうちの2種以上を含む合金などが利用できる。また、金属ナノ微粒子の形状としては、ロッド状に限定されず、略球状などであっても構わない。金ナノロッド以外の金属ナノ微粒子を用いた場合でも、上記実施形態例と同様の効果を発揮する。但し、金属ナノ微粒子としては、金属ナノロッドを用いることが好ましい。金属ナノロッドでは、アスペクト比に応じて吸収特性が変化するため、波長選択性が発現する。さらに、金属ナノロッドの長軸面、あるいは短軸面の吸収特性の違いを利用した偏光特性を発現させることもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
<合成例1> 金ナノロッド(A−1)の合成
塩化金(III)酸(2mM)、及び界面活性剤であるヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(80mM)を溶解させた3mLの水溶液中に、アセトン(65μL)、シクロヘキサン(45μL)、及び成長促進物質である硝酸銀(10mM水溶液)を5μL滴下した。さらに、塩化金酸の還元剤であるアスコルビン酸(40mM水溶液)を200μL添加し、10分間室温で撹搾して透明な金塩溶液を得た。
次いで、この金塩溶液を、1cm石英セルに移し、撹拝しながらUV光源(UV LIGHT SOURCE,HOYA−SCHOTT,HLS 100UM)を用い10分間光照射した。その際、紫外透過フィルター(シグマ光機、UTVAF−50S−33U)を用いて可視領域の光をカットし、254nm付近の特定波長のみ照射して、金ナノロッド(A−1)を合成した。
なお、合成した金ナノロッド表面は界面活性剤(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド)で被覆されているため、数日経過後も凝集することなく安定に水に分散していた。
<合成例2〜7> 金ナノロッド(A−2〜7)の合成
硝酸銀の添加量を10μL(A−2)、20μL(A−3)、30μL(A−4)、50μL(A−5)、100μL(A−6)、200μL(A−7)のいずれかに変化させた点以外は、上記合成例1と同様にして金ナノロッドを合成した。
得られた金ナノロッドは、硝酸銀の添加量に応じて、粒子形状に顕著な差が見られた。すなわち、硝酸銀滴下量が5μLの試料では、平均直径28.6nmの球状に近い金ナノ微粒子のみが生成した。これに対し、硝酸銀滴下量100μL以上では、ロッド径10nm程度、ロッド長40nm程度(平均アスペクト比4.0)の金ナノロッドが得られた。
また、金ナノロッドのアスペクト比増大に伴って、長波長側の吸収スペクトル特性が顕著に変化した。具体的には、硝酸銀溶液の滴下量に伴い、金ナノロッドの長波長側の吸収帯が524nmから704nmまで変化した。
<実施例1> 水溶液中に溶解する金属ナノロッド複合体(B−1)の合成
1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−フォスフォチオエタノール(ナトリウム塩)に純水を添加し、1.0mM溶液を調製した。この溶液に、超音波処理(室温、10−15分)を施し、リン脂質分子が分散した水溶液を得た。この溶液100μLを、金ナノロッド水溶液100μL中に滴下し、10−15分間室温で撹絆して、金ナノロッド複合体(B−1)を得た。なお、ここで使用した金ナノロッド含溶液は、金表面を極力露出させて複合化反応の効率を高めるため、あらかじめ遠心分離(10000回転/分、15分、10℃)、上澄み液除去、純水中への再分散の処理を2度繰り返し行い、過剰な界面活性剤を除去・精製したものである。
<実施例2> 水溶液中に溶解する金属ナノロッド複合体(B−2〜8)の合成
1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−フォスフォチオエタノール(ナトリウム塩)水溶液の濃度を、0.7mM(B−2)・0.5mM(B−3)・0.3mM(B−4)・0.2mM(B−5)、0.1mM(B−6)、0.01mM(B−7)、0.001mM(B−8)に変更した点以外は、実施例1と同様にして金ナノロッド複合体(B−2〜8)を得た。
上記、金ナノロッド複合体(B−1)〜(B−8)の吸収スペクトルを測定した。その結果、図5のグラフに示すように、リン脂質分子を0.1mM添加して合成した金ナノロッド複合体水溶液では、金ナノロッド11原液溶液と比較して、金ナノロッドの局在表面プラズモン吸収に対応するスペクトルが大きく長波長シフトした。さらに、凝集体形成に特有に見られる長波長領域のピークが上昇したスペクトル形状が観測された。これは、金ナノロッド表面に結合したリン脂質分子の自己組織化により、隣接する金ナノロッド複合体同士が大きな凝集粒子を形成し、このために光散乱の影響を受け、スペクトル形状の変化が観測されたものあると考えられる(図7(a)の模式図を参照)。
一方、リン脂質分子を1.0mM含む金ナノロッド複合体水溶液中では、凝集体由来の成分が減少し、吸収スペクトルの長波長シフトが低減する傾向が見られた(図5のグラフを参照)。これは、溶液中に添加したリン脂質分子濃度が高いため、単体の金ナノロッド表面でリン脂質分子が二分子膜を形成し、金ナノロッド複合体が溶液中で分散する成分が増加したことが考えられる(図7(b)の模式図を参照)。
また、0.01mMや0.001mMのリン脂質濃度では、金ナノロッド表面のリン脂質分子の被覆率が低く、原液の金ナノロッド溶液と類似のスペクトル形状を示した。
さらに、図6のグラフに示すように、リン脂質分子含有量を1.0mM、0.7mM、0.5mM、0.3mM、0.2mM、0.1mM含む金ナノロッド複合体水溶液の長波長側の吸収スペクトル特性を詳細に比較すると、リン脂質分子濃度が増加するにつれ、スペクトルの長波長成分が減少する傾向があり、上記理由と対応するように溶液中での金ナノロッド複合体の凝集成分が減少していくことが系統的に確認された。
なお、図5および図6のグラフにおける吸光度は、長波長側のピークトップで規格化した値である。
<実施例3> 有機溶媒中に溶解する金属ナノロッド複合体(C−1)の合成
1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−フォスフォチオエタノール(ナトリウム塩)をクロロホルム中に溶解し、1.0mM溶液を調製した。この溶液100μLを金ナノロッド水溶液100μL中に滴下し、10−15分間室温で撹拝した。その後、室温で30分程度静置すると、溶液は有機相と水相とに相分離した。ここで、水相に存在していた金ナノロッドは、表面をリン脂質分子で置換することにより有機相へ移行した。次いで、金ナノロッド複合体が溶解した有機相のみを抽出し、得られた溶液にクロロホルムを加え、遠心分離(10000回転/分、10分、10℃)、上澄み液除去、クロロホルム中への再分散の処理を3度繰り返し行った。この操作により、過剰に存在する界面活性剤およびリン脂質分子を除去・精製し、有機溶媒中に溶解する金属ナノロッド複合体(C−1)を得た。
<実施例4> 有機溶媒中に溶解する金属ナノロッド複合体(C−2〜6)の合成
クロロホルム溶液中に存在する1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−フォスフォチオエタノール(ナトリウム塩)の濃度を、10.0mM(C−2)・5.0mM(C−3)、0.5mM(C−4)、0.3mM(C−5)、0.1mM(C−6)に変更した点以外は、実施例1と同様にして金ナノロッド複合体(C−2〜6)を得た。
上記、クロロホルム中に溶解した金ナノロッド複合体(C−1)〜(C−6)の吸収スペクトルを測定した。その結果、図8のグラフに示すように、10mM〜0.1mMの範囲では、添加したリン脂質分子の濃度に関係なく、金ナノロッド複合体(C−1)〜(C−6)は同様な吸収スペクトル形状を示した。これは、表面修飾剤のリン脂質分子がクロロホルムに可溶なため、金ナノロッド複合体自体もクロロホルム中に分子レベルで良く溶解するためと考えられる。クロロホルム中の金ナノロッド複合体10の吸収特性が、金ナノロッド原液(水溶液中に分散)と比較し、若干長波長シフトしている原因は、溶媒の誘電率変化が金ナノロッドの局在表面プラズモン特性に変化をもたらしたものと考えられる。
<実施例5> リン脂質二分子膜中に埋包された金ナノロッド複合体薄膜(D−1)の製造
実施例2に示した金ナノロッド複合体(B−1、リン脂質濃度:0.1mM)水溶液1μLを、ピラニア溶液(過酸化水素水=硫酸=1:4)で親水処理したシリコン基板上にキャストした。さらに室温・大気中にて乾燥処理を施して溶媒を除去することにより、金ナノロッド複合体薄膜(D−1)を得た。
図9(a)、(b)は、シリコン基板上に展開した金ナノロッド複合体薄膜(D−1)の走査型電子顕微鏡写真である。この金ナノロッド複合体薄膜では、金ナノロッド複合体(B−1)がリン脂質二分子膜中に埋包され、基板と平行に配置している様子が観測された。また、隣接する金ナノロッド複合体同士は5−7nm程度の距離に存在し、これは金ナノロッド粒子間の間隙で、リン脂質分子が自己組織化により二分子膜構造を形成した分子間距離に概ね相当する。金ナノロッド複合体薄膜中の粒子間隔は、粒子間隙で形成するリン脂質分子膜の膜厚構造により、精密に制御可能である。
<実施例6> 1次元配列構造を有する金ナノロッド複合体薄膜(D−2)の製造
実施例3に示した金ナノロッド複合体(C−1、リン脂質濃度1.0mM)のクロロホルム溶液5μLを、ピラニア溶液(過酸化水素水:硫酸=1:4)、およびフッ化アンモニウム溶液を用いて疎水処理したシリコン基板上にスピンコートした(スピンコート条件:室温、100回転/分、90秒)。さらに、室温・大気中にて乾燥処理を施して溶媒を完全に除去することにより、金ナノロッド複合体薄膜(D−2)を得た。
図10は、シリコン基板上にスピンコート法により展開した金ナノロッド複合体薄膜(D−2)の走査型電子顕微鏡写真である。この図から、金ナノロッド複合体が、長軸方向を隣接させ、横配列化している1次元配列構造が観測された。この配列構造体中において、金ナノロッド複合体は、約5.0nmの等間隔距離で規則正しく配列している。上述したように、リン脂質分子の自己組織化により、金ナノロッドのナノ配列構造が形成され、その粒子間距離はリン脂質分子の二分子膜構造に相当することが示唆される。
<実施例7> 親水性基板上で2次元平面配列構造を有する金ナノロッド複合体薄膜(D−3)の製造
実施例3に示した金ナノロッド複合体(C−1、リン脂質濃度11.0mM)のクロロホルム溶液5μLを、ピラニア溶液(過酸化水素水:硫酸=1:4)を用いて親水処理したシリコン基板上にキャスト展開した。さらに室温・大気中にて乾燥処理を施して溶媒を完全に除去した後、クロロホルムを5μL再滴下し、60℃で熱アニール処理を行いながら再度乾燥処理を行った。同様な溶媒滴下〜熱アニール〜乾燥処理過程を3度繰り返し行い、金ナノロッド複合体薄膜(D−3)を得た。
図11(a)、(b)は、親水性シリコン基板上にキャスト展開した金ナノロッド複合体薄膜(D−3)の走査型電子顕微鏡写真である。この図から、金ナノロッド複合体が、基板表面に2次元平面的に規則正しく配列した構造が観測された。ここでも、リン脂質分子の自己組織化により、金ナノロッド複合体の集積配列化構造が構築され、さらに熱処理を行うことで金ナノロッド複合体の再配列化がおこり、2次元的な集積配列構造が形成されたものと思われる。また金ナノロッド粒子は、リン脂質二分子の膜厚に相当する等間隔距離に配置されている。
<実施例8> 疎水性基板上で2次元垂直配列構造を有する金ナノロッド複合体薄膜(D−4)の製造
実施例3に示した金ナノロッド複合体(C−1、リン脂質濃度:1.0mM)のクロロホルム溶液5μLを、ピラニア溶液(過酸化水素水:硫酸=1:4)、およびフッ化アンモニウム溶液を用いて疎水処理したシリコン基板上にキャスト展開した。さらに、室温・大気中にて乾燥処理を施して溶媒を完全に除去した後、クロロホルムを5μL再滴下し、600℃で熱アニール処理を行いながら再度乾燥処理を行った。同様な溶媒滴下〜熱アニール〜乾燥処理過程を3度繰り返し行い、金ナノロッド複合体薄膜(D−4)を得た。
図12(a)〜(d)は、疎水性シリコン基板上にキャスト展開した金ナノロッド複合体薄膜(D−4)の走査型電子顕微鏡写真である。この図から、金ナノロッド複合体が、基板表面に対して垂直に直立した2次元集積構造が観測された。金ナノロッド複合体の粒子間隔は、同様にリン脂質二分子の膜厚に相当する等間隔距離に存在する。
ここで、図12(a)は、金ナノロッド複合体薄膜(D−4)を基板の垂直方向から観測した走査型電子顕微鏡像であり、球状に見えているのはロッド短軸側の底面である。また、図12(b)〜(d)は、基板を45度傾け、斜め方向から観測した像である。これらの像から、金ナノロッド複合体が基板に対して直立している様子が明確に分かる。
本発明の金属ナノ微粒子複合体を生体内に導入した場合、流動的なリン脂質分子の分子間相互作用により、金属ナノ微粒子複合体を細胞膜内に取り込ませることができるので、特定の細胞を非破壊で染色できる細胞ラベリング材料(生体マーカー)として利用できる。しかも、本発明の金属ナノ微粒子複合体は、安定なナノ微粒子であるため、耐久性に優れ、また、レーザー照射後の退色が抑制される。したがって、生体分子の細胞内動態を長時間観察できる高感度バイオイメージング解析が可能となる。
さらに、本発明の金属ナノ微粒子薄膜の製造方法は、金属ナノ微粒子薄膜のナノ構造・物性の制御方法として有用である他、シリコン基板以外にも、ガラスや金属薄膜表面、高分子ゲルなどのソフトマトリックス中に混在させた薄膜を作製することにより、生体検査チップとしての応用が期待できる。この場合、ラマン分光、蛍光分光、表面プラズモン共鳴など、各分光特性の表面シグナル増強効果を利用した高感度バイオセンシング技術を用いることができる。
さらに、本発明の金属ナノ微粒子複合体薄膜中のナノ粒子の配向構造(配向方向および構造次元性)を自在に制御することにより、金属ナノロッドを用いた新規な光学材料や偏光特性を利用した情報記録メモリ材料としても応用できる。
本発明の金属ナノ微粒子複合体の一実施形態例を示す模式図である。 本発明の金属ナノ微粒子複合体薄膜の一実施形態例であって、金属ナノロッドが1次元、2次元に配列化した構造の例を示す模式図である。 本発明の金属ナノ微粒子複合体薄膜の一実施形態例であって、金属ナノロッドが3次元に配列化した構造の例を示す模式図である。 本発明の金属ナノ微粒子複合体薄膜の一実施形態例であって、金属ナノロッドがリン脂質二分子膜表面、あるいはリン脂質二分子膜内に取り込まれて配列化した構造の例を示す模式図である。 実施例1および実施例2の金属ナノロッド複合体(金属ナノ微粒子複合体)において、表面修飾するリン脂質分子の濃度を変えた際の吸収スペクトルを示すグラフである。 実施例1および実施例2の金属ナノロッド複合体(金属ナノ微粒子複合体)において、表面修飾するリン脂質分子の濃度を変えた際の吸収スペクトル(長波長成分のみ)を示すグラフである。 実施例1および実施例2の金属ナノロッド複合体(金属ナノ微粒子複合体)において、表面修飾するリン脂質分子の濃度を変えた際の金属ナノロッドの構造変化の一実施例を示す模式図ある。 実施例3および実施例4の金属ナノロッド複合体(金属ナノ微粒子複合体)において、表面修飾するリン脂質分子の濃度を変えた際の吸収スペクトルを示すグラフである。 実施例5の金属ナノロッド複合体薄膜(金属ナノ微粒子複合体薄膜)を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例6の金属ナノロッド複合体薄膜(金属ナノ微粒子複合体薄膜)を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例7の金属ナノロッド複合体薄膜(金属ナノ微粒子複合体薄膜)を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例8の金属ナノロッド複合体薄膜(金属ナノ微粒子複合体薄膜)を示す走査型電子顕微鏡写真である。
符号の説明
10…金ナノロッド複合体(金属ナノ微粒子複合体)、11…金ナノロッド(金属ナノ微粒子)、12…リン脂質分子

Claims (6)

  1. 表面修飾剤としてカチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドが添加された金属ナノ微粒子の表面に、親水部のリン酸基末端に含硫黄有機置換基を有し、該含硫黄有機置換基が、チオール基、チオアセチル基、スルフィド基、ジスルフィド基から選ばれる少なくとも1種であるリン脂質分子が化学修飾されており、
    水溶液中において、前記金属ナノ微粒子と前記リン脂質分子とを混合し、前記カチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを、前記リン脂質分子に配位子交換することによって得られたものであることを特徴とする金属ナノ微粒子複合体。
  2. 前記金属ナノ微粒子が、アスペクト比が1より大きい金属ナノロッドであることを特徴とする請求項1に記載の金属ナノ微粒子複合体。
  3. 表面修飾剤としてカチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドが添加された金属ナノ微粒子の表面に、親水部のリン酸基末端に含硫黄有機置換基を有し、該含硫黄有機置換基が、チオール基、チオアセチル基、スルフィド基、ジスルフィド基から選ばれる少なくとも1種であるリン脂質分子が化学修飾されており、
    水溶液中に分散された前記金属ナノ微粒子と、有機溶媒中に分散された前記リン脂質分子とを混合し、前記カチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを、前記リン脂質分子に配位子交換することによって得られたものであることを特徴とする金属ナノ微粒子複合体。
  4. 前記金属ナノ微粒子が、アスペクト比が1より大きい金属ナノロッドであることを特徴とする請求項3に記載の金属ナノ微粒子複合体。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の金属ナノ微粒子複合体が得られる製造方法であって、
    水溶液中において、表面修飾剤としてカチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドが添加された金属ナノ微粒子と、親水部のリン酸基末端に、含硫黄有機置換基として、チオール基、チオアセチル基、スルフィド基、ジスルフィド基から選ばれる少なくとも1種を有するリン脂質分子とを混合し、
    前記カチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを、前記リン脂質分子に配位子交換することにより、生体適合性を有し、且つ、水溶液中において分散安定性を保持する金属ナノ微粒子複合体が得られることを特徴とする金属ナノ微粒子複合体の製造方法。
  6. 請求項3又は請求項4に記載の金属ナノ微粒子複合体が得られる製造方法であって、
    水溶液中に分散されるとともに表面修飾剤としてカチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドが添加された金属ナノ微粒子と、有機溶媒中に分散され、親水部のリン酸基末端に、含硫黄有機置換基として、チオール基、チオアセチル基、スルフィド基、ジスルフィド基から選ばれる少なくとも1種を有するリン脂質分子とを混合し、
    前記カチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを前記リン脂質分子に配位子交換して金属ナノ微粒子複合体を有機溶媒中に抽出することにより、有機溶媒中で分散安定性を保持する金属ナノ微粒子複合体が得られることを特徴とする金属ナノ微粒子複合体の製造方法。
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