JP4689614B2 - 脳梗塞の予防・治療方法 - Google Patents

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Description

本発明は、PAR−2活性化及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進による、脳梗塞の予防・治療方法に関する。詳細には、PAR−2活性化剤及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進剤を用いた、脳梗塞の予防・治療方法に関する。また、本発明は、PAR−2活性化剤及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進剤からなる群から選択される1種又は2種以上の有効成分、並びに薬学上許容される担体を含有してなる、脳梗塞の予防・治療用の医薬組成物に関する。さらに、本発明は、被検物質のPAR−2活性化を指標とした、脳梗塞予防・治療用の有効成分をスクリーニングする方法に関する。
脳がその内部環境を維持し活動するためには大量のエネルギーが必要であり、脳が正常なエネルギー代謝を行うためには、血液によってグルコースと酸素が常に供給されることが必要である。血流の低下によって脳のエネルギー代謝が阻害されれば、脳は活動することが出来なくなり、阻害を受けた脳の部分に対応する器官の機能も阻害される。このような脳の部分的で突発的な障害で始まる身体の機能異常が、脳血管障害(脳卒中)と呼ばれる病態の本質である。脳血管障害は、脳動脈の閉塞による血流遮断で灌流領域の脳組織に虚血性壊死が起きた状態の脳梗塞、脳の血管が裂けて出血する脳出血、脳の血流が一時的に悪くなるが直ぐに回復する一過性脳虚血発作に分類される。脳梗塞はさらに、成因により、脳血栓及び脳塞栓に大別される。
脳血管障害は結核が制圧されて以来、日本人の死因の第1位を占めてきたが、1981年に悪性腫瘍、1985年に心疾患にそれぞれの座を渡し、現在では死因の第3位にまで低下した。平成11年度(1999年度)の日本人の死亡原因における脳血管障害の順位は第3位で、10万人に対して110.8人である(平成11年度厚生労働省統計)。また、脳梗塞による死亡率は人口10万人に対して57.7人であることが報告されている。しかし、慢性期を含めた患者数においては、国民の寿命の延長とともに癌や心疾患をはるかに超えていることが知られている。例えば、非致死的脳梗塞では、比較的病変が小さい脳梗塞が多いが、小脳梗塞の多発は多発梗塞痴呆(脳血管性痴呆)を引き起こすので、人口構成の高齢化に伴い、非致死性の脳梗塞も注目されている。そのため、脳血管障害は治療のみならず、予防戦略の確立と予防薬の創製が望まれているが、良い予防薬はまだ開発されていない。
脳血管障害の診断法として、1970年代のX線CT検査をはじめ、その後相次いで用いられるようになった種々の画像診断法が出現し、脳血管障害の早期発見が可能となったばかりでなく、その病態生理の解明も進んできている。また、脳梗塞の治療には、脳保護薬、抗血小板剤、抗トロンビン剤等が使用されているが、治療効果の満足度は決して高くなく、さらに良い治療法が求められている。
一方、PAR−2は、プロテアーゼ活性化受容体(Protease-activated receptor)ファミリーの一員であり、PARファミリーは現在までに、PAR−1、PAR−2、PAR−3及びPAR−4の4種がクローニングされている。PARファミリーは、細胞膜を7回貫通するGタンパク質共役受容体であるが、その活性化機序は他の7回膜貫通Gタンパク質共役受容体とは大きく異なっている。具体的には、プロテアーゼの作用により、受容体であるPAR分子自身のアミノ末端側の特定部位が切断され、当該切断により分離された切断末端(tethered ligand)が、受容体の結合部位に結合して活性化される(Physiol. Rev., 84, 579-621 (2003)、Pharmacol. Rev., 53, 245-282 (2001))。PAR−1、PAR−3及びPAR−4はいずれもトロンビンにより活性化されるが、PAR−2はトロンビンでは活性化されず、トリプシンやトリプターゼで活性化される。
PAR−2は、Nystedtらにより1994年にクローニングされた(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9208-9212 (1994))。PAR−2は、前記したように活性化するプロテアーゼが他のPARファミリーとは異なり、トリプシンやトリプターゼで活性化される。PAR−2を活性化する他の物質としては、上記した切断末端(tethered ligand)と同様のアミノ酸配列を持つ合成ペプチド、その誘導体のtrans-cinnamoyl-LIGRL-NH2、トリプシン、トリプターゼ、ティッシュファクター/VIIa因子、Xa因子、精子プロテアーゼの一種アクロシン、ラットの脳より同定されたトリプシン様セリンプロテアーゼなどがある(Physiol. Rev., 84, 579-621 (2003)、Pharmacol. Rev., 53, 245-282 (2001))。
PARファミリーは、生体内の多くの臓器・組織で広く発現しており、PAR活性化の生理的意義や病態への関与は、各種細胞、組織、動物モデルで検討されている。これまでPARは、1)血液凝集や血管内皮細胞の活性化の制御、2)消化管の収縮・弛緩運動、唾液や消化液の分泌の制御、3)気道の収縮・弛緩、気管支上皮細胞からのサイトカインやプロテアーゼ分泌の制御、4)炎症反応の制御、5)中枢神経細胞の生存、浮腫や痛覚の制御など、生体内で広く多彩な生理作用を発揮することが明らかになってきている(Physiol. Rev., 84, 579-621 (2003)、Pharmacol. Rev., 53, 245-282 (2001))。
PAR−2は、上記の作用に加え、白血球のローリングと接着、好中球の浸潤、そして炎症性サイトカインの分泌や血漿タンパク質の漏出を引き起こすことや、動脈硬化、皮膚炎、関節炎、急性炎症の発症・増悪作用がin vitro及びin vivoの実験系で報告されている(Physiol. Rev., 84, 579-621 (2003)、Pharmacol. Rev., 53, 245-282 (2001))。
脳においても、PAR−2は各種の細胞に発現するが、培養神経細胞を用いた実験系で、PAR−2活性化ペプチドの培養液中への添加により用量依存的に細胞死が誘導される(J. Neurochem., 69, 1890-1896 (1997))ことや、低酸素状態による神経細胞死とPAR−2の発現亢進が相関する(Eur. J. Neurosci., 14, 595-608 (2001))ことから、PAR−2は脳における神経細胞死を伴う病態を悪化させる因子の一つであると考えられている。しかし、これまで、PAR−2と脳梗塞の関係は明らかにされていない。
本発明は、PAR−2と脳梗塞との関係を明らかにし、脳梗塞の予防・治療方法、そのための予防・治療用の薬剤を提供することを目的としている。
本発明者らは、PAR−2遺伝子欠損マウスに脳梗塞を惹起したモデルにおいて、脳梗塞の予防・治療へのPAR−2阻害の応用を検討していたところ、驚くべきことに、PAR−2の欠損により脳梗塞層が拡大するという予想し得ない現象を見出し、PAR−2活性化及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進による脳梗塞の予防・治療方法の発明に至った。
従って、本発明は、PAR−2活性化及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進による脳梗塞の予防・治療方法を提供するものである。即ち、本発明は、脳梗塞の患者、又は脳梗塞の可能性のある患者に、脳梗塞の予防・治療に有効な量のPAR−2活性化剤及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進剤からなる群から選択される1種又は2種以上の有効成分を投与することからなる、脳梗塞を予防・治療する方法を提供するものである。
また、本発明は、PAR−2活性化剤及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進剤からなる群から選択される1種又は2種以上の有効成分、並びに薬学上許容される担体を含有してなる、脳梗塞の予防・治療用の医薬組成物を提供するものである。
また、本発明は、脳梗塞の予防・治療用製剤製造のための、PAR−2活性化剤及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進剤の使用を提供するものである。
さらに、本発明は、被検物質のPAR−2活性化を指標とした、脳梗塞予防・治療用の有効成分をスクリーニングする方法を提供するものである。さらに詳細には、PAR−2を発現する細胞に被検物質を接触させて、PAR−2の発現又は活性を判定することにより、被検物質のPAR−2に対する活性化作用又はPAR−2遺伝子発現の促進作用をスクリーニングすることからなる、脳梗塞の予防・治療用の有効成分をスクリーニングする方法を提供するものである。
本発明は、脳におけるPAR−2の機能を解明し、PAR−2と脳梗塞の関係を明らかにすることにより、PAR−2の活性化やPAR−2遺伝子の発現の促進が脳梗塞に対する有効な予防や治療になることを明らかにしたものである。また、本発明は、PAR−2の活性化剤及びPAR−2遺伝子の発現促進剤からなる群から選択される1種又は2種以上の成分が、脳梗塞に対する有効な予防剤や治療剤になることを明らかにしたものである。したがって、本発明により、脳梗塞に対する有効な予防や治療方法が提供されるだけでなく、脳梗塞に対する有効な予防剤や治療剤を提供することができる。
図1は、野生型マウス(WT)及びPAR−2−/−マウス(KO)に60分間の一過性中大動脈閉塞(tMCAO)を施した24時間後の、脳梗塞面積(A,B)及び脳梗塞体積(C)を示す図である。病理組織学的(A,B)にも統計学的(C:n=6、p<0.05)にも、梗塞面積と梗塞体積がWTよりKOで有意に拡大していることがわかる。 図2は、野生型マウス(WT)及びPAR−2−/−マウス(KO)に60分間のtMCAOを施した24時間後の、脳梗塞層境界域におけるTUNEL染色(A,B)及びTUNEL陽性細胞数(C)を示す図である。病理組織学的(A,B)にも統計学的(C:n=6、p<0.05)にも、TUNEL陽性細胞数がWTよりKOで有意に増加拡大していることがわかる。
本発明者らは、自家繁殖でC57BL/6マウスに戻し交配を8世代行った、雄性PAR−2遺伝子欠損マウス(ホモ欠損マウス:PAR−2−/−マウス)を用いて、PAR−2と脳梗塞との関係を調べてきた。
まず、脳梗塞モデルにおける梗塞体積の評価を行った。即ち、Connollyらの方法(Neurosurgery, 38, 523-531 (1996))に従い、麻酔下の雄性PAR−2−/−マウス(KOという。以下同じ。)及び野生型マウス(WTという。以下同じ。)の中大脳動脈(MCA)をナイロン栓子の挿入により閉塞、60分後に栓子を除去することで血流を再開通して、一過性中大動脈閉塞(tMCAO)モデルを作成した。血流再開通24時間後に、断頭して摘出した脳の前部より1mmの部分から、600μm間隔に10μmの厚さの縦切脳切片をクライオスタットで切り出し、1匹あたり14枚の切片を作成した。切片をクレシルバイオレットで染色し、脳梗塞面積はSigmaScan Pro 5 (SPSS Inc.)のソフトウエアを用いて画像解析した。脳梗塞体積は各切片における脳梗塞面積と切片間の距離から算出し、平均値±標準偏差で示した。
代表的なクレシルバイオレット染色像及び脳梗塞体積の結果を図1A〜Cに示す。クレシルバイオレットで染色されない脳梗塞の面積は、WT(図1A)よりもKO(図1B)において明らかに拡大しており、その体積(図1C)においても、WTが23.8±7.7mm(n=6)であるのに対し、KOでは38.9±14.4mm(n=6)と有意に(p<0.05, Student's t test)増加した。このことから、PAR−2欠損により脳梗塞が悪化することが判明した。
次に、アポトーシスアッセイを行った。即ち、DNAのフラグメンテーションを検出するために、TUNEL(terminal deoxynucleotidyl dUTP nick-end labeling)染色キット(Trevigen, Gaithers-burg, MD, USA)を用いてtMCAO施術24時間後の脳を調べた。即ち、血流再開通24時間後に断頭、摘出した脳を液体窒素中で急速凍結し、線条体が入るように10μmの厚さの縦切脳切片をクライオスタットで切り出した。4%パラフォルムアルデヒドで固定した凍結脳切片をterminal deoxynucleotidyl transferase (TdT)存在下にジゴキシゲニンでラベルしたdUTPと37℃で1時間インキュベーションし、その後horseradish peroxidaseを結合した抗ジゴキシゲニン抗体と室温で1時間インキュベーションした。ジアミノベンジジンを用いて発色させ、脳梗塞層境界部3ヶ所における1×1mm領域あたりのTUNEL陽性細胞数を数え、平均値±標準偏差を算出した。
結果を図2A〜Cに示す。TUNEL陽性細胞は、WT及びKOのMCAで血液が供給される領域の境界線付近に主に分布しており、TUNEL染色は基本的に細胞核に認められていることがわかる(図2A(WT)、図2B(KO))。また、WT(261.2±41.3、n=6)に比較して、KOにおける陽性細胞数(356.7±71.8、n=6)は有意(p<0.05, Student's t test)に増加していた(図2C参照)。従ってtMCAOモデルにおいて、PAR−2欠損は細胞のアポトーシスを増加させることが判明した。
従って、これらの結果から、PAR−2の欠損が脳梗塞の悪化に重要な役割を担っていることが示された。
本発明におけるPAR−2活性化及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進とは、結果としてPAR−2の機能を発揮すること全てを表すものである。
本発明におけるPAR−2活性化剤及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進剤の例としては、PAR−2を刺激してその機能を活性化することができるPAR−2刺激剤、PAR−2遺伝子の発現を増強させることによりPAR−2の機能を活性化することができるPAR−2遺伝子の発現増強剤等が挙げられる。
本発明のPAR−2活性化剤の具体例としては、例えば、PAR−2リガンド、PAR−2リガンド誘導体、トリプシン、トリプターゼ、ティッシュファクター/VIIa因子、Xa因子、アクロシン、トリプシン様セリンプロテアーゼ等が挙げられる。より詳細には、PAR−2の切断部位の受容体を活性化させるアミノ酸配列を有するペプチドの例として、少なくともLIG(アミノ酸の1文字表記による)のアミノ酸配列を有するペプチド、好ましくはLIG(アミノ酸の1文字表記による)のアミノ酸配列を有する3〜8のアミノ酸からなるペプチド、より好ましくはSLIGKV(アミノ酸の1文字表記による )やSLIGRL(アミノ酸の1文字表記による )などのアミノ酸配列を有するペプチドもしくはその誘導体等が挙げられる。
本発明の脳梗塞の予防・治療用の医薬組成物は、上述のPAR−2活性化剤及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進剤を有効成分とするものであり、経口剤又は非経口剤、例えば、経口剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤などとして、投与形態に適した組成物として、薬学的に許容される担体を配合し、当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。
本発明の医薬組成物として、経口用固形製剤を調製する場合は、例えば、前記PAR−2活性化剤及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進剤に賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。そのような添加剤としては、当該分野で一般的に使用されているものでよく、例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸等を、結合剤としては水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等を、崩壊剤としては乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等を、滑沢剤としては精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等を、矯味剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等を例示できる。
また、経口用液体製剤を調製する場合は、例えば、前記PAR−2活性化剤及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進剤に、必要に応じて矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。この場合矯味剤としては上記に挙げられたものでよく、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
注射剤を調製する場合は、例えば、前記PAR−2活性化剤及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進剤に、必要に応じてpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下、筋肉及び静脈内注射剤を製造することができる。この場合のpH調製剤及び緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としてはピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が例示できる。
他の剤型においても公知の方法に準じて同様に製剤化することができる。
かくして得られる本発明の脳梗塞の予防・治療用の医薬組成物は、脳梗塞の予防・治療に有効である。
本発明の脳梗塞の予防薬及び治療薬の投与量は、患者の体重、年齢、性別、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して、前記PAR−2活性化剤及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進剤として一日0.01〜1000mg、好ましくは0.1〜100mgを1回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与するのが好ましい。
また、本発明は、被検物質のPAR−2活性化を指標とした、脳梗塞予防・治療用の有効成分をスクリーニングする方法を提供するものである。より詳細には、PAR−2を発現する細胞に被検物質を接触させて、PAR−2の発現又は活性を測定し、この結果を判定することにより、被検物質のPAR−2に対する活性化作用又はPAR−2遺伝子発現の促進作用をスクリーニングすることからなる、脳梗塞の予防・治療用の有効成分をスクリーニングする方法を提供するものである。
本発明のスクリーニング方法におけるPAR−2の活性の測定方法としては、特に限定されないが、様々な文献に記載の方法、例えば、ヒト臍帯静脈内皮細胞又はPAR−2遺伝子を導入したCOS−1細胞等のPAR−2を発現している培養細胞等を用いた細胞内Ca2+の濃度の変動を測定する方法(J. Biol. Chem., 272, 11133-11141 (1997))、あるいはリン酸化イノシトールの産生を測定する方法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 8884-8889 (1997))等の細胞アッセイ系によるものや、ラット大動脈における内皮依存性の血管弛緩反応を検出する方法(Can. J. Physiol. Pharmacol., 73, 1203-7 (1995))、あるいはラット唾液腺からのムチン分泌を検出する方法(Biochemical and Biophysical Research Communications, 270, 298-302 (2000))等の機能解析等が挙げられる。
実施例
以下、実施例を挙げてこの発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは、自家繁殖でC57BL/6マウスに戻し交配を8世代行った、雄性PAR−2遺伝子欠損マウス(ホモ欠損マウス:PAR−2−/−マウス)を用いて以下の検討を行った。
まず、脳梗塞モデルにおける梗塞体積の評価を行った。即ち、Connollyらの方法(Neurosurgery, 38, 523-531 (1996))に従い、麻酔下の雄性PAR−2−/−マウス(KO)及び野生型マウス(WT)の中大脳動脈(MCA)をナイロン栓子の挿入により閉塞、60分後に栓子を除去することで血流を再開通して、一過性中大動脈閉塞(tMCAO)モデルを作成した。血流再開通24時間後に、断頭して摘出した脳の前部より1mmの部分から、600μm間隔に10μmの厚さの縦切脳切片をクライオスタットで切り出し、1匹あたり14枚の切片を作成した。切片をクレシルバイオレットで染色し、脳梗塞面積はSigmaScan Pro 5 (SPSS Inc.)のソフトウエアを用いて画像解析した。脳梗塞体積は各切片における脳梗塞面積と切片間の距離から算出し、平均値±標準偏差で示した。
代表的なクレシルバイオレット染色像及び脳梗塞体積の結果を図1A〜Cに示す。クレシルバイオレットで染色されない脳梗塞の面積は、WT(図1A)よりもKO(図1B)において明らかに拡大しており、その体積(図1C)においても、WTが23.8±7.7mm(n=6)であるのに対し、KOでは38.9±14.4mm(n=6)と有意に(p<0.05, Student's t test)増加したことから、PAR−2欠損により脳梗塞が悪化することが判明した。
実施例1に記載のKO及びWTを用いて、アポトーシスアッセイを行った。DNAのフラグメンテーションを検出するために、TUNEL(terminal deoxynucleotidyl dUTP nick-end labeling)染色キット(Trevigen, Gaithers-burg, MD, USA)を用いてtMCAO施術24時間後の脳を調べた。即ち、血流再開通24時間後に断頭、摘出した脳を液体窒素中で急速凍結し、線条体が入るように10μmの厚さの縦切脳切片をクライオスタットで切り出した。4%パラフォルムアルデヒドで固定した凍結脳切片をterminal deoxynucleotidyl transferase (TdT)存在下にジゴキシゲニンでラベルしたdUTPと37℃で1時間インキュベーションし、その後horseradish peroxidaseを結合した抗ジゴキシゲニン抗体と室温で1時間インキュベーションした。ジアミノベンジジンを用いて発色させ、脳梗塞層境界部3ヶ所における1×1mm領域あたりのTUNEL陽性細胞数を数え、平均値±標準偏差を算出した。
結果を図2A〜Cに示す。TUNEL陽性細胞は、WT及びKOのMCAで血液が供給される領域の境界線付近に主に分布しており、TUNEL染色は基本的に細胞核に認められていることがわかる(図2A(WT)、図2B(KO))。また、WT(261.2±41.3、n=6)に比較して、KOにおける陽性細胞数(356.7±71.8、n=6)は有意(p<0.05, Student's t test)に増加していた(図2C参照)。従ってtMCAOモデルにおいて、PAR−2欠損は細胞のアポトーシスを増加させることが判明した。
本発明によれば、PAR−2活性化及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進による、脳梗塞の予防・治療方法を提供することができる。さらに、PAR−2活性化剤及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進剤を用いた、脳梗塞の予防・治療方法を提供することができる。
さらに、本発明は、PAR−2活性化剤及び/又はPAR−2遺伝子発現の促進剤を含有してなる医薬組成物を提供する。また、本発明は、被検物質のPAR−2活性化を指標とした、脳梗塞予防・治療用の有効成分をスクリーニングする方法を提供するものである。このように、本発明は、医薬品の製造及び/又は開発の分野において極めて有用であり、産業上の利用性を有するものである。



Claims (2)

  1. 被検物質のPAR−2活性化を指標とした、脳梗塞予防・治療用の有効成分をスクリーニングする方法。
  2. PAR−2を発現する細胞に被検物質を接触させて、PAR−2の発現又は活性を判定することにより、被検物質のPAR−2に対する活性化作用又はPAR−2遺伝子発現の促進作用をスクリーニングすることからなる、脳梗塞の予防・治療用の有効成分をスクリーニングする方法。
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