手段1.遊技球を貯留可能な貯留タンクと、
前記貯留タンクから導出される遊技球を誘導する誘導部材と、
前記誘導部材より下流側において遊技球の払出しを行う払出装置とを有する払出機構部を備えた遊技機であって、
前記誘導部材は、所定方向に沿って延在する少なくとも1つの仕切部を備えることによって、所定方向に並行して延在する複数列の球通路を備え、
前記各球通路は、通路幅が遊技球1つ分(遊技球の直径)より広く遊技球2つ分(遊技球の直径の2倍)より狭くなるよう構成されることによって、遊技球を整列させつつ流下させることができるよう構成され、
少なくとも1つの前記仕切部の長手方向所定区間において、当該仕切部と面した両球通路の一方から他方へ及び他方から一方へ遊技球が通行可能なように形成された連通部と、
前記連通部の形成区間において前記仕切部の一部を構成するように設けられた可動片とを備え、
前記可動片は、当該可動片が面した両球通路側双方へ回動可能なように上流側端部が軸支され、前記両球通路のうちの一方の球通路上にある遊技球に押されることによって他方の球通路側へ回動されるよう構成されていることを特徴とする遊技機。
上記手段1によれば、球通路の通路幅、つまり通路幅方向への遊技球の動きを規制する一対の通路側壁部の間隔(相対向する仕切部間の間隔又は仕切部と誘導部材本体の側壁部との間隔)が、遊技球1つ分より広く遊技球2つ分より狭くなるよう構成されている。そのため、球通路においては、通路幅方向に対し、遊技球と仕切部等との間に若干の隙間が生じる。従って、当該球通路に停留される遊技球は、自身より上流側に並んだ遊技球(又はタンクから導出される遊技球)から圧力を受けると、当該圧力に基づいて通路幅方向へも力が作用し、他の遊技球とは通路幅方向へ若干位置ずれした状態で停留される。多くの場合、球通路に並ぶ複数の遊技球は、若干ではあるが、ほぼ交互に通路幅方向にずれた状態で略ジグザグ状に並ぶこととなる。そして、球詰まりの発生していない正常時には、可動片が面した両球通路双方において遊技球が停留されており、払出装置により払出しが行われる毎に各球通路において遊技球が流下されていく。そのため、正常時における遊技球停留時には、仕切部及び可動片は両球通路に停留された遊技球によって両球通路側から略均等に圧力を受けた状態となり、可動片は仕切部の長手方向に沿った基準位置に維持される。これに対し、連通部(可動片)が設けられた区間より上流側において球詰まりが発生した場合には、所定の球通路へは遊技球が流れていかないため、所定の仕切部(可動片)に面した両球通路のうちの一方の球通路(以下、第1球通路という)には遊技球が停留されず、他方の球通路(以下、第2球通路という)においては正常に遊技球が停留されている状況も起こり得る。この場合、第2球通路に停留し可動片に接している遊技球は、自身より上流側に並んだ遊技球から圧力を受けることによって、可動片を第1球通路側へ押すこととなる。その結果、可動片が第1球通路側へ回動し、可動片を押した遊技球は第1球通路へ移動する。このような動きが繰り返されることにより、球詰まりによって上流側より遊技球が流れて来ない第1球通路にも遊技球が補給されることとなる。さらに、このような遊技球の流れがあることによって誘導部材が振動したり、球詰まりした部分の遊技球の重なりが崩れたりして、球詰まりが解消される場合もある。そして、球詰まりが解消され、第1球通路に上流側から遊技球が再び流下してきた場合には、可動片は再び基準位置に戻り、以後その状態を維持する。上記構成によれば、誘導部材において1つの球通路が球詰まりしたとしても、他の球通路を介して遊技球を補給できる。結果として、球通路において遊技球が停留されていない空状態が発生することを抑制し、遊技球の払出しをより安定させることができる。さらに、球通路等における遊技球の有無をセンサ等により検知し、これに基づきバイブレータ等を作動させ、球詰まりの解消を図るような機構を備える必要性も少なくなるため、当該機構を省略し、部品点数及び製造コストの増加抑制を図ることも可能となる。なお、遊技球を略直線状に整列させる球通路の整列性能をより高めるためには、球通路の通路幅は、「遊技球1つ分(遊技球の直径)より広く遊技球1つ分半(遊技球の直径の1.5倍)より狭くなるよう構成されている」ことがより好ましい(以下の手段においても同様)。以下の手段においても同様であるが「遊技球1つ分」とは「遊技球の直径」を意味し、「遊技球2つ分」とは「遊技球の直径の2倍」を意味している。
手段2.遊技球を貯留可能な貯留タンクと、
前記貯留タンクから導出される遊技球を誘導する誘導部材と、
前記誘導部材より下流側において遊技球の払出しを行う払出装置とを有する払出機構部を備えた遊技機であって、
前記誘導部材は、所定方向に沿って延在する複数の仕切部を備えることによって、所定方向に並行して延在する複数列の球通路を備え、
前記各球通路は、通路幅が遊技球1つ分より広く遊技球2つ分より狭くなるよう構成されることによって、遊技球を整列させつつ流下させることができるよう構成され、
前記複数の仕切部のうち相対向する2つの仕切部それぞれの長手方向所定区間において、当該仕切部と面した両球通路の一方から他方へ及び他方から一方へ遊技球が通行可能なように形成された連通部と、
前記連通部の形成区間において前記仕切部の一部を構成するように設けられた可動片とを備え、
前記可動片は、当該可動片が面した両球通路側双方へ回動可能なように上流側端部が軸支され、前記両球通路のうちの一方の球通路上にある遊技球に押されることによって他方の球通路側へ回動されるよう構成され、
前記相対向する2つの仕切部にそれぞれ形成される前記連通部の位置(形成区間)を前記各仕切部の長手方向に対し異ならせたことを特徴とする遊技機。
上記手段2によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。但し、相対向する2つの仕切部にそれぞれ形成される連通部の位置が各仕切部の長手方向に対し同じである場合には、前記両連通部に設けられる両可動片の動作が互いに影響を及ぼし、スムーズに遊技球を誘導できなくなるおそれがある。例えば相対向する2つの仕切部間の球通路に遊技球が停留されなくなった場合においては、両可動片が互いに近づくように回動してしまい、両可動片が干渉して前記仕切部間の球通路へ遊技球を誘導できなくなる。また、相対向する2つの仕切部それぞれより誘導部材外側寄りの球通路が双方同時に遊技球の停留されていない空状態となった場合においては、両可動片が互いに離間するように回動するため、相対向する2つの仕切部間の球通路を流下してくる遊技球の流下方向が定まらなくなる。ひいては、前後両者の場合とも、両可動片(両連通部)の形成区間において球詰まりが発生してしまうおそれがある。結果として、遊技球の円滑な誘導及び払出しが妨げられるおそれがある。これに対し、上記手段2では、両連通部(両可動片)の形成位置を各仕切部の長手方向に対しずらしているため、そのような不具合を抑制することができる。中でも、「前記相対向する2つの仕切部にそれぞれ形成される前記連通部の形成区間が、前記各仕切部の長手方向に対し重ならないように設定され」ていれば、上記作用効果をより高めることができる。
手段3.前記仕切部の長手方向の複数箇所に前記連通部及び前記可動片を設けたことを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
上記手段3によれば、上記各手段の作用効果をさらに高めることができる。
手段4.遊技球を貯留可能な貯留タンクと、
前記貯留タンクから導出される遊技球を誘導する誘導部材と、
前記誘導部材より下流側において遊技球の払出しを行う払出装置とを有する払出機構部を備えた遊技機であって、
前記誘導部材は、所定方向に沿って延在する複数の仕切部を備えることによって、所定方向に並行して延在する複数列の球通路を備え、
前記各球通路は、通路幅が遊技球1つ分より広く遊技球2つ分より狭くなるよう構成されることによって、遊技球を整列させつつ流下させることができるよう構成され、
前記複数の仕切部のうちの相対向する2つの仕切部の一方に少なくとも一箇所、他方に複数箇所、それぞれ当該仕切部と面した両球通路の一方から他方へ及び他方から一方へ遊技球が通行可能なように形成された連通部と、
前記連通部の形成区間において前記仕切部の一部を構成するように設けられた可動片とを備え、
前記可動片は、当該可動片が面した両球通路側双方へ回動可能なように上流側端部が軸支され、前記両球通路のうちの一方の球通路上にある遊技球に押されることによって他方の球通路側へ回動されるよう構成され、
前記各仕切部の長手方向において、前記他方の仕切部に形成される所定の連通部と当該連通部の隣に設けられた連通部との間の区間に、前記一方の仕切部に形成される1つの連通部の形成区間が位置するよう構成したことを特徴とする遊技機。
上記手段4によれば、上記手段2,3と同様の作用効果が奏される。さらに、前記両仕切部に面した球通路に満遍なく遊技球を行き渡らせることができる。前記一方の仕切部に複数の連通部を形成した場合には、仕切部の長手方向に沿って、相対向する2つの仕切部に連通部が交互に設けられた構成となる。また、例えば前記一方の仕切部に形成される1つの連通部の形成区間が、前記他方の仕切部に形成される所定の連通部と当該連通部の隣に設けられた連通部との間の区間ではなく当該区間より下流側に設けられ、前記他方の仕切部には当該区間より下流側に連通部が設けられていない場合には、前記他方の仕切部が面した両球通路へ遊技球が流れていかなくなると、前記他方の仕切部を挟んで前記一方の仕切部とは反対側に位置する球通路へ遊技球を補給できないといった不具合も起こり得るが、本手段ではそのような不具合を低減することができる。
手段5.遊技球を貯留可能な貯留タンクと、
前記貯留タンクの底部に開口した導出口から落下する遊技球を受け、当該遊技球を誘導する誘導部材と、
前記誘導部材より下流側において遊技球の払出しを行う払出装置とを有する払出機構部を備えた遊技機であって、
前記誘導部材は、
当該誘導部材の前後方向略中央部において左右方向(自身の長手方向)に沿って延在し、当該誘導部材を前後に仕切る中央仕切部と、
前記中央仕切部によって仕切られた当該誘導部材の前後各領域の前後方向略中央部において左右方向に沿って延在する一般仕切部を備えることによって、
左右方向に並行して延在する2列1組の球通路を前後に2組(4列の球通路)備え、
前記各仕切部(中央仕切部及び一般仕切部)はそれぞれ前記誘導部材の底部から突設され、
前記一般仕切部の上流側端部が前記中央仕切部の上流側端部より下流側に位置するよう構成され、
前記各球通路は、通路幅(前後幅)が遊技球1つ分より広く遊技球2つ分より狭くなるよう構成されることによって、遊技球を整列させつつ流下させることができるよう構成され、
前記各仕切部(中央仕切部及び一般仕切部)それぞれの左右方向所定区間において、当該仕切部と面した両球通路の一方から他方へ及び他方から一方へ遊技球が通行可能なように形成された連通部と、
前記連通部の形成区間において前記各仕切部の一部を構成するように設けられた可動片とを備え、
前記可動片は、当該可動片が面した両球通路側双方へ回動可能なように上流側端部が軸支され、前記両球通路のうちの一方の球通路上にある遊技球に押されることによって他方の球通路側へ回動されるよう構成され、
前記各一般仕切部における連通部の形成区間を、前記中央仕切部における連通部の形成区間よりも下流側に設定したことを特徴とする遊技機。
上記手段5によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。さらに、上記手段5では、貯留タンクの導出口から導出される遊技球を先ず中央仕切部によって前後に振分けた後、一般仕切部により振分け各球通路に整列させていくといったように、遊技球を段階的に各球通路に振分けることが可能となる。つまり、貯留タンクから導出される遊技球が向かう先を前後に分散させ、導出口付近において各遊技球が受ける圧力を低減させることができる。結果として、遊技球同士が重なり合って球詰まりが発生することを抑制できる。さらに、上記手段5の中央仕切部及び一般仕切部の関連構成では、仮に貯留タンクの導出口近傍(誘導部材の上流側端部付近)において球詰まりが発生した場合、中央仕切部より前領域又は後領域の2つの球通路に同時に遊技球が流れていかない状況が発生しやすい。これに対し、連通部(可動片)の配置構成を上記手段5のようにすることで、以下の態様例のように空状態の球通路へ遊技球を順次補給し停留させていくことができる。例えば前領域の2つの球通路に同時に遊技球が流れていかない状況が発生した場合には、まず、中央仕切部に形成された連通部(可動片)を介して、後領域の球通路から、前領域の2つの球通路のうちの中央仕切部寄りの球通路へ遊技球が補給される。そして当該中央仕切部寄りの球通路において遊技球が停留されてくると、当該球通路から一般仕切部に形成された連通部(可動片)を介して、最前の球通路へ遊技球が補給されるといったように、順次、遊技球を補給し停留させていくことができる。加えて、前記中央仕切部における連通部の形成区間と、前記各一般仕切部における連通部の形成区間とが、前記各仕切部の長手方向に対し重ならないように設定されているため、上記手段2と同様の作用効果も奏される。
上記「前記一般仕切部の上流側端部が前記中央仕切部の上流側端部より下流側に位置するよう構成され」ていることに代えて又は加えて、以下の(1)〜(4)の各種構成を組み合わせて採用してもよい。例えば上記構成に代えて又は加えて、(1)のみ、(2)のみ、(3)のみ、(4)のみ、(1)と(2)、(1)と(3)、(1)と(4)、(2)と(3)、(2)と(4)、(3)と(4)、(1)と(2)と(3)、(1)と(2)と(4)、(1)と(3)と(4)、(2)と(3)と(4)を採用できる。
(1)「前記中央仕切部の上流側端部が、前記貯留タンクの導出口の左端部に対応する位置から右端部に対応する位置までの左右幅域内に位置するよう構成されるとともに、前記一般仕切部の上流側端部が、前記導出口の左右幅域より下流側に位置するよう構成されている」こととしてもよい。このようにすれば、貯留タンクの導出口から導出される遊技球がより確実に先ず中央仕切部によって前後に振分けられるため、上記作用効果がより確実に奏されることとなる。もちろん、上記手段においては、前記中央仕切部及び前記一般仕切部の上流側端部が共に、前記導出口の左右幅域内、又は、前記導出口の左右幅域より下流側に位置するようにしてもよい。
(2)「前記一般仕切部の仕切始部が前記中央仕切部の仕切始部より下流側に位置するよう構成されている」こととしてもよい。なお、上記「仕切始部」とは仕切部において「所定の突出長に達している最上流側部位」を指す。各仕切部が有効に機能するためにはある程度の突出長が必要であり、仕切部の上流側端部近傍の形状によっては当該上流側端部の突出長が低く、上流側端部近傍が実質的には仕切部としての機能を果たさない場合もあるため、上記作用効果を得るためには上流側端部よりも「仕切始部」の位置が重要になってくる。例えば「突出長が遊技球の半分に達している最上流側部位」が「仕切始部」に相当する。また、仕切部の上流側端部近傍の形状によっては「上流側端部」が「仕切始部」に相当する。
(3)「前記中央仕切部の仕切始部が、前記貯留タンクの導出口の左端部に対応する位置から右端部に対応する位置までの左右幅域内に位置するよう構成されるとともに、前記一般仕切部の仕切始部が、前記導出口の左右幅域より下流側に位置するよう構成されている」こととしてもよい。このようにすれば、貯留タンクの導出口から導出される遊技球がより確実に先ず中央仕切部によって前後に振分けられるため、上記作用効果がより確実に奏されることとなる。もちろん、上記(2)の構成では、前記中央仕切部及び前記一般仕切部の仕切始部が共に、前記導出口の左右幅域内、又は、前記導出口の左右幅域より下流側に位置するようにしてもよい。
(4)「前記中央仕切部は、その突出長が最長となる部位の最上流側部位である頂部が、前記貯留タンクの導出口の左端部に対応する位置から右端部に対応する位置までの左右幅域内に位置するよう構成され、前記一般仕切部は、その突出長が最長となる部位の最上流側部位である頂部が、前記導出口の左右幅域より下流側に位置するよう構成されている」こととしてもよい。このようにすれば、上記作用効果をさらに高めることができる。なお、「前記中央仕切部及び前記一般仕切部の少なくとも一つは、その上流側端部から前記頂部まで突出長が徐変するよう構成されている」こととすれば、遊技球の振分けをよりスムーズに行うことができる。
手段6.遊技球を貯留可能な貯留タンクと、
前記貯留タンクの底部に開口した導出口から落下する遊技球を受け、当該遊技球を誘導する誘導部材と、
前記誘導部材より下流側において遊技球の払出しを行う払出装置とを有する払出機構部を備えた遊技機であって、
前記誘導部材は、
当該誘導部材の前後方向略中央部において左右方向(自身の長手方向)に沿って延在し、当該誘導部材を前後に仕切る中央仕切部と、
前記中央仕切部によって仕切られた当該誘導部材の前後各領域において、左右方向に沿って延在する複数の一般仕切部を備えることによって、
左右方向に並行して延在する複数列1組の球通路を前後に2組備え、
前記各仕切部(中央仕切部及び一般仕切部)はそれぞれ前記誘導部材の底部から突設され、
前記一般仕切部の上流側端部が前記中央仕切部の上流側端部より下流側に位置するよう構成され、
前記各球通路は、通路幅(前後幅)が遊技球1つ分より広く遊技球2つ分より狭くなるよう構成されることによって、遊技球を整列させつつ流下させることができるよう構成され、
前記各仕切部(中央仕切部及び一般仕切部)それぞれの左右方向所定区間において、当該仕切部と面した両球通路の一方から他方へ及び他方から一方へ遊技球が通行可能なように形成された連通部と、
前記連通部の形成区間において前記各仕切部の一部を構成するように設けられた可動片とを備え、
前記可動片は、当該可動片が面した両球通路側双方へ回動可能なように上流側端部が軸支され、前記両球通路のうちの一方の球通路上にある遊技球に押されることによって他方の球通路側へ回動されるよう構成され、
前記中央仕切部における連通部の形成区間よりも、前記各一般仕切部における連通部の形成区間を下流側に設定するとともに、
相対向する2つの前記一般仕切部のうちの中央仕切部寄りの一般仕切部における連通部の形成区間よりも、誘導部材外側寄りの一般仕切部における連通部の形成区間を下流側に設定したことを特徴とする遊技機。
上記手段6によれば、「各仕切部に形成される連通部の位置(形成区間)が、中央仕切部から誘導部材外側に向かうにつれ、段階的により下流側位置となるように構成されている」。結果として、上記手段5と同様の作用効果が奏される。中でも、「前記誘導部材の前後各領域において、前記各一般仕切部の連通部の形成区間が、前記各仕切部の長手方向に対し重ならないように設定され」ていれば、上記手段2と同様の作用効果が奏される。また、上記「前記一般仕切部の上流側端部が前記中央仕切部の上流側端部より下流側に位置するよう構成され」ていることに代えて又は加えて、上記同様に、上記(1)〜(4)の各種構成を組み合わせて採用してもよい。
手段7.遊技球を貯留可能な貯留タンクと、
前記貯留タンクの底部に開口した導出口から落下する遊技球を受け、当該遊技球を誘導する誘導部材と、
前記誘導部材より下流側において遊技球の払出しを行う払出装置とを有する払出機構部を備えた遊技機であって、
前記誘導部材は、
当該誘導部材の前後方向略中央部において左右方向(自身の長手方向)に沿って延在し、当該誘導部材を前後に仕切る中央仕切部と、
前記中央仕切部によって仕切られた当該誘導部材の前後各領域の前後方向略中央部において左右方向に沿って延在する一般仕切部を備えることによって、
左右方向に並行して延在する2列1組の球通路を前後に2組(4列の球通路)備え、
前記各仕切部(中央仕切部及び一般仕切部)はそれぞれ前記誘導部材の底部から突設され、
前記一般仕切部の上流側端部が前記中央仕切部の上流側端部より下流側に位置するよう構成され、
前記各球通路は、通路幅(前後幅)が遊技球1つ分より広く遊技球2つ分より狭くなるよう構成されることによって、遊技球を整列させつつ流下させることができるよう構成され、
前記各仕切部(中央仕切部及び一般仕切部)それぞれの左右方向少なくとも一区間において、当該仕切部と面した両球通路の一方から他方へ及び他方から一方へ遊技球が通行可能なように形成された連通部と、
前記連通部の形成区間において前記各仕切部の一部を構成するように設けられた可動片とを備え、
前記可動片は、当該可動片が面した両球通路側双方へ回動可能なように上流側端部が軸支され、前記両球通路のうちの一方の球通路上にある遊技球に押されることによって他方の球通路側へ回動されるよう構成され、
少なくとも前記中央仕切部に形成される最上流側の連通部の形成区間よりも、前記各一般仕切部に形成される全ての連通部の形成区間を下流側に設定したことを特徴とする遊技機。
上記手段7によれば、上記手段5と同様の作用効果が奏される。また、上記同様に、上記「前記一般仕切部の上流側端部が前記中央仕切部の上流側端部より下流側に位置するよう構成され」ていることに代えて又は加えて、上記(1)〜(4)の各種構成を組み合わせて採用してもよい。
手段8.遊技球を貯留可能な貯留タンクと、
前記貯留タンクの底部に開口した導出口から落下する遊技球を受け、当該遊技球を誘導する誘導部材と、
前記誘導部材より下流側において遊技球の払出しを行う払出装置とを有する払出機構部を備えた遊技機であって、
前記誘導部材は、
当該誘導部材の前後方向略中央部において左右方向(自身の長手方向)に沿って延在し、当該誘導部材を前後に仕切る中央仕切部と、
前記中央仕切部によって仕切られた当該誘導部材の前後各領域において、左右方向に沿って延在する複数の一般仕切部を備えることによって、
左右方向に並行して延在する複数列1組の球通路を前後に2組備え、
前記各仕切部(中央仕切部及び一般仕切部)はそれぞれ前記誘導部材の底部から突設され、
前記一般仕切部の上流側端部が前記中央仕切部の上流側端部より下流側に位置するよう構成され、
前記各球通路は、通路幅(前後幅)が遊技球1つ分より広く遊技球2つ分より狭くなるよう構成されることによって、遊技球を整列させつつ流下させることができるよう構成され、
前記各仕切部(中央仕切部及び一般仕切部)それぞれの左右方向少なくとも一区間において、当該仕切部と面した両球通路の一方から他方へ及び他方から一方へ遊技球が通行可能なように形成された連通部と、
前記連通部の形成区間において前記各仕切部の一部を構成するように設けられた可動片とを備え、
前記可動片は、当該可動片が面した両球通路側双方へ回動可能なように上流側端部が軸支され、前記両球通路のうちの一方の球通路上にある遊技球に押されることによって他方の球通路側へ回動されるよう構成され、
少なくとも前記中央仕切部に形成される最上流側の連通部の形成区間よりも、前記各一般仕切部に形成される全ての連通部の形成区間を下流側に設定するとともに、
少なくとも相対向する2つの前記一般仕切部のうちの中央仕切部寄りの一般仕切部における最上流側の連通部の形成区間よりも、誘導部材外側寄りの一般仕切部における連通部の形成区間を下流側に設定したことを特徴とする遊技機。
上記手段8によれば、上記手段6と同様の作用効果が奏される。また、上記同様に、上記「前記一般仕切部の上流側端部が前記中央仕切部の上流側端部より下流側に位置するよう構成され」ていることに代えて又は加えて、上記(1)〜(4)の各種構成を組み合わせて採用してもよい。
手段9.前記誘導部材は、自身の底部が下流側に向け下方傾斜するように配設され、
前記可動片は、自身の回動軸の軸線方向が前記誘導部材の底部の略垂線方向に沿うように軸支されることにより、前記仕切部の長手方向に沿って配される基準位置に自重により復帰可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載の遊技機。
上記手段9によれば、可動片は、自身の回動軸の軸線方向が誘導部材の底部の略垂線方向に沿うように軸支されている。つまり、可動片の軸線方向は鉛直方向に対し傾いているため、可動片に対し何ら力が加わっていない状態においては、当該可動片は自重によりその下流側端部が遊技球の流下方向へ向いた状態となる。すなわち可動片は仕切部の長手方向に沿った基準位置に配される。従って、可動片を制御する機構を設ける必要もなく、構成の簡素化及び製造コストの増加抑制を図ることができる。
手段10.前記可動片は、遊動(揺動)自在に軸支されていることを特徴とする手段1乃至9のいずれかに記載の遊技機。
上記手段10によれば、可動片は、遊動(揺動)自在なように、ある程度ゆとりをもって軸支されることにより、遊技球に押されることによって容易に回動され、又、基準位置に容易に復帰することができる。
手段11.前記可動片は、前記仕切部の長手方向に対する長さが遊技球2つ分より長くなっていることを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載の遊技機。
上記手段11によれば、球通路上に遊技球がジグザグ状に並んでいる場合においても、いずれか1つの遊技球が可動片に接した状態となる可能性が高くなる。その結果、正常時においては可動片が基準位置に維持されやすくなるとともに、一方の球通路に遊技球が停留されていない状況においては、可動片が他方の球通路から遊技球に押されることによって容易に回動されるようになる。従って、上記各手段の作用効果がより確実に奏されることとなる。
手段12.前記各球通路は、通路幅が遊技球1つ分より広く遊技球2つ分より狭くなった上流側の幅広区間と、
通路幅が遊技球1つ分より広く前記幅広区間の通路幅より狭くなった下流側の幅狭区間とから構成され、
前記連通部及び前記可動片は前記幅広区間において設けられていることを特徴とする手段1乃至11のいずれかに記載の遊技機。
上記手段12によれば、上記幅狭区間を備えることにより、遊技球の整列性能を高め、よりスムーズな遊技球の誘導及び払出しを実現することができる。球通路上の遊技球から可動片により大きな力がかかり、当該可動片が上記動作を行いやすい状況を作るためには、通路幅を比較的幅広にした方が良い。一方、払出装置におけるスムーズな払出しを行うためには、通路幅を比較的幅狭とした方が良い。従って、上記手段の構成のように、連通部及び可動片が設けられる幅広区間の下流側において、遊技球をより直線状に整列させることのできる幅狭区間を設けることによって、幅広及び幅狭の前記両作用効果を同時に得ることができる。
手段13.前記各球通路は、前記幅広区間から前記幅狭区間にかけて通路幅が徐変した徐変区間を備えていることを特徴とする手段12に記載の遊技機。
上記手段13によれば、遊技球の流れがスムーズになり、幅広区間と幅狭区間との境界部分において球詰まりが発生するおそれを低減することができる。
手段14.前記可動片が前記仕切部の長手方向に沿って配される基準位置にある場合において、前記可動片の上流側端部と当該上流側端部に相対向する前記仕切部との距離、及び、前記可動片の下流側端部と当該下流側端部に相対向する前記仕切部との距離が、少なくとも遊技球1つ分より狭くなっていることを特徴とする手段1乃至13のいずれかに記載の遊技機。
上記手段14によれば、可動片が基準位置にある場合において遊技球が通過可能な隙間をなくし、遊技球を各球通路に沿ってスムーズに流下させることができる。
手段15.少なくとも前記可動片が面した両球通路のうちの一方の球通路における前記可動片が面した区間に遊技球が停留されていない状況において、他方の球通路側から前記可動片が遊技球に押された場合には当該可動片が前記一方の球通路側へ回動され、遊技球が前記一方の球通路へ移動可能となるよう構成されていることを特徴とする手段1乃至14のいずれかに記載の遊技機。
手段16.少なくとも前記可動片が面した両球通路のうちの一方の球通路における前記可動片が面した区間に遊技球が停留されている状況において、他方の球通路側から前記可動片が遊技球に押された場合には一方の球通路に停留した遊技球により当該可動片の回動が規制されるよう構成されていることを特徴とする手段1乃至15のいずれかに記載の遊技機。
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する球発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(レールユニットの球案内通路)と、前記遊技領域内に配置された入賞手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記入賞手段への遊技球の入賞が検知されることに基づいて賞球(遊技球)の払出しが行われる弾球遊技機」が挙げられる。
B.上記各手段における前記遊技機は略鉛直方向に延びる遊技領域を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する球発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球を略鉛直方向に延びる所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤面等により構成される)に導く球通路(レールユニットの球案内通路)と、前記遊技領域内に配置された入賞手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の前記入賞手段への入賞が検知されることに基づいて賞球(遊技球)の払出しが行われる弾球遊技機」が挙げられる。
C.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。
D.上記各手段における遊技機は、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機(特に遊技球を遊技媒体として使用するスロットマシン仕様の遊技機)であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を確定停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して又は所定時間経過することにより識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成し、さらに球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入手段と、前記球受皿に遊技球の払出しを行う払出手段とを備え、前記投入手段により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機」が挙げられる。
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、後述する外枠11と内枠12とに対して、前面枠セット14を開放し、下皿ユニット13を取り外した状態を示す斜視図である。但し、図2では便宜上、後述する遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している。
図1,2に示すように、遊技機としてのパチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に、内枠12が開閉可能に支持されている。外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。従って、釘やリベットを使って各板材を組み付けていた従来構造と比べて構成部材の再利用が容易な構成となっている。本実施形態では、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。
また、内枠12及び前面枠セット14は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂により構成されている。両者の成形に合成樹脂を用いることにより、金属製素材を用いた場合と比較してより複雑な形状に対応できるとともに、生産コストの増大を抑制することもできる。また、ABSを用いる利点としては、ポリカーボネイト等の樹脂素材と比較して、生産コストが低い、粘性が強く衝撃に強い等が挙げられる。加えて、例えば前面枠セット14の前面側等の意匠面にメッキ等のコーティング処理を施す場合において、その処理を比較的容易に行いやすく、外観品質のより高いものが製造できるというメリットがある。
さて、内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて左側(後述するハンドル18の設置箇所の反対側)に上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に開放できるようになっている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。
内枠12には、その最下部に下皿ユニット13が取り付けられると共に、下皿ユニット13を除く範囲に対応して前面枠セット14が取り付けられている。下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。また、前面枠セット14は、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。図3は、パチンコ機10より前面枠セット14を取り外した状態を示す正面図である(但し、図3では便宜上、遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している)。なお、内枠12の前面側には、その周囲(前面枠セット14に対応する部分)においてリブR1が突設されている。そして、前面枠セット14の閉時には、前面枠セット14がリブR1の内側に嵌まり込んだ状態となる。この構成により、前面枠セット14と内枠12との間の隙間から針金等を進入させることが困難となり、不正防止の役割を果たす。
下皿ユニット13には、ほぼ中央部に球受皿としての下皿15が設けられ、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されているが、その中でも特に下皿15を形成する表面層と下皿奥方の前面パネル23とは難燃性のABS樹脂にて成形されている。このため、この部分は燃え難くなっている。なお、符号24はスピーカ249(図2参照)からの音出力口であり、符号25は下皿15内から遊技球を下方へと排出するための球抜きレバーである。
下皿15よりも右方には、手前側に突出して遊技球発射ハンドル(以下単に「ハンドル」という)18が配設されている。つまり、ハンドル18は、内枠12の開閉軸線とは反対側にあたるパチンコ機10の正面からみて右側に位置しており、ハンドル18の突出に関わりなく内枠12の開放時における所定の開放量を確保できる。また、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。なお、灰皿26は、下皿15の左側辺部より左方へ突出した図示しない軸棒によって回動可能に支持された、いわゆる片持ち構造となっている。
一方、下皿15の上方において球受皿としての上皿19が設けられている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置の方へ導出するための球受皿である。なお、上皿19は、前面枠セット14において、ガラスを支持するガラス枠部と一体的に形成されている。従来のパチンコ機ではガラス枠の下方の内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本実施形態では前面枠セット14に対し直接的かつ一体的に上皿19が設けられているため、後述するように前面枠セット14のフレーム部分の幅が従来に比べ比較的細いものであっても、前面枠セット14(ガラス枠部)の所定の強度を確保することができる。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。
また、図3において、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。樹脂ベース20の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、遊技盤30の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは452mmとなっている(従来と同等サイズ)。なお、樹脂ベース20には、前面枠セット14の開放を検知する開放検知センサ22が設けられている。また、図示しないが内枠12の開放を検知する開放検知スイッチも設けられている。
次に、遊技盤30の構成を、図4を用いて説明する。遊技盤30には、入球手段(入賞手段)としての一般入賞口31、入球手段(入賞手段)としての可変入賞装置32、入球手段(入賞手段)としての第1契機対応口(始動口)33、第2契機対応口(スルーゲート)34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33に遊技球が入球し、後述する検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(入賞装置、入賞口、第1契機対応口33等)に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車27等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過を契機として第2図柄を変動表示する第2図柄表示装置41と、第1契機対応口33への入賞を契機として識別情報としての第1図柄(特別図柄)を変動表示する図柄表示装置としての第1図柄表示装置42(特別図柄表示装置)とが設けられている。第2図柄表示装置41(普通図柄表示装置)は、第2図柄(普通図柄)用の表示部43と保留ランプ44とを有し、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に例えば表示部43による表示図柄(第2図柄)が変動し、その変動表示が所定図柄で停止した場合に第1契機対応口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。第2図柄表示装置41の表示部43における第2図柄の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の第2図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。しかし、かかる最大保留回数は、これに限定されるものではない。例えば、8回分の第2図柄の変動表示を待機させるべく、最大保留回数を8回に設定することとしてもよい。なお、表示部43は、複数のランプの点灯を切り換えることにより変動表示される構成の他、第1図柄表示装置42(液晶表示装置)の一部で変動表示される構成等であっても良い。保留ランプ44も同様に、第1図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
第1図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置45により表示内容が制御される。第1図柄表示装置42には、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして第1図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本実施形態では、第1図柄表示装置42(液晶表示装置)は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備える。可変表示装置ユニット35には、第1図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっている。より詳しくは、第1契機対応口33に対し遊技球が入賞すると第1図柄表示装置42で図柄が変動表示され、その停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組合せとなったことを必要条件に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32の大入賞口が所定の開放状態となり、遊技球が入賞しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数繰り返し開放される。第1図柄表示装置42の図柄変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合には、その分の図柄変動表示は、その時点で行われている図柄変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、図柄変動表示が待機(保留、記憶)されることとなる(記憶手段)。この保留される図柄変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。しかし、最大保留回数は、これに限定されるものではない。例えば、8回分の図柄変動表示を待機させるべく、最大保留回数を8回に設定することとしてもよい。なお、保留ランプ46は、第1図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成形品にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール構成部(内レール部)51と外レール構成部(外レール取付け部)52とを有する。内レール構成部51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成されている。また、一部(主に左側部)が内レール構成部51に向かい合うようにして外レール構成部52が形成されている。かかる場合、内レール構成部51と外レール構成部52とにより主として誘導レールが構成され、これら各レール構成部51,52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール構成部51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール構成部51及び外レール構成部52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール構成部52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図4の右上部:外レール構成部52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって例えば遊技盤30の略中央部側へ戻される。外レール構成部52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、長尺状をなすステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。なお、本実施形態では、外レール構成部52及び摺動プレート55によって、いわゆる従来の外レールに相当するものが構成されている。そして、内外レール構成部51,52及び摺動プレート55をレールユニット50としてユニット化することにより、従来の内外レールを別々に設けた構成に比べて、取付け作業が容易となり作業性が向上する。
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジNJ等の固定手段が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなれるようになっている。さらに本実施形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。なお、左下のフランジ56においては他の部分(左上部,右上部及び右下部のフランジ56)と比較して、より多く固定手段が使用されている。これは、上記誘導レール及び球案内通路の位置をより適正な位置に固定するためであり、これにより遊技球発射装置から発射された遊技球がより安定して遊技盤30上部へ案内される。加えて、固定手段の数を増やすことでレールユニット50をより強固に固定でき、仮にレールユニット50の成形時において歪みが生じたとしても、その歪みを吸収する効果がある。
内レール構成部51及び外レール構成部52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール構成部51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路63(図3参照)に導くための役目をなす。なお、遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙等のシールやプレート(図のS1,S2)を貼着するためのスペースとなっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール構成部51,52)により略円形状に区画形成されており、特に本実施形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施形態では、外レール構成部52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール構成部52の極左位置から内レール構成部51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール構成部51の極左位置から内レール構成部51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
本実施形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール構成部51及び外レール構成部52によって囲まれる領域のうち、内外レール構成部51,52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域と言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール構成部52によってではなく内レール構成部51によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール構成部51によって特定される。また、遊技領域の下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール構成部52によって特定される。
従って、本実施形態では、遊技領域の幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域の高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
ここで、前記遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは390mm以上、400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらに460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上であってもよい。すなわち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらには460mm以上であることがより望ましい。もちろん、470mm以上、480mm以上、490mm以上としてもよい。すなわち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。なお、上記幅及び高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとしてもよい。
本実施形態では、遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、遊技盤30面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤30を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。尚、パチンコ機10の外形は遊技場への設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤30の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。さらに好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。さらには、80%以上であってもよい。
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
なお、可変表示装置ユニット35の両側に位置する第2契機対応口34は、該第2契機対応口34を通過した遊技球が中央の方へ寄せられるような案内機構を有している。これにより、遊技領域が左右方向に拡張されている場合であっても、遊技球を中央の第1契機対応口33や可変入賞装置32の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域が拡張されることにより遊技球が入賞しにくくなることによる興趣の低下が抑制されるようになっている。さらには、遊技領域が左右方向に拡張されていることによって、第2契機対応口34、風車27、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための誘導釘)、他の役物を種々配設することができ、可変表示装置ユニット35の左右両側の遊技領域での遊技球の挙動を一層面白くすることができるようになっている。また、遊技領域が上下方向にも拡張されていることから、さらに第2契機対応口34、風車27、複数の釘、他の役物を種々配設することができ、遊技領域での上下方向の遊技球の挙動をより一層面白くすることができるようになっている。
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース20において、窓孔21(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置より発射された直後に遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62と一体的に樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されることは既に述べたが、かかる構成下では、誘導レールの曲率を小さくせざるを得ないことから、打出球を安定化させるための工夫を要する。そこで本実施形態では、遊技球の発射位置を低くするとともに発射レール61の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくし(すなわち発射レール61を立ち上げるようにし)、さらに発射レール61の長さを既存のものよりも長くして十分な長さの球誘導距離を確保するようにしている。これにより、遊技球発射装置から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合特に、発射レール61を、遊技球発射装置の発射位置から遊技領域の左右方向の中央位置(アウト口36)を越える位置まで延びるよう形成している。また、発射レール61を上記構成とするため、本実施形態では金属板62も従来のものより比較的大きなものとし、それを固定する固定手段の数も従来に比べ多くしている。
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15に排出される。因みに、本実施形態の場合、発射レール61の長さは約240mm、発射レール先端部の隙間の長さ(発射レール61の延長線上の長さ)は約40mmである。
ファール球が誘導レール内を逆流してくる際、その多くは外レール構成部52に沿って流れ、外レール構成部52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は誘導レール内で暴れ、内レール構成部51側へ跳ね上がるものもある。この際、跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路63に誘導される。これにより、ファール球の全てがファール球通路63に確実に案内されるようになる。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。この際、本実施形態では遊技球の発射位置を低くしたため、前面枠セット14側の球出口から前記発射位置への落差が大きくなるが、発射レール61の基端部付近にはその右側と手前側にそれぞれガイド部材65,66を設置している。これにより、前面枠セット14側の球出口から供給される遊技球が常に所定の発射位置にセットされ、安定した発射動作が実現できる。また、遊技球発射装置には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射されるが、打球槌に関して軽量化が望まれている。それ故、アルミニウム等の軽金属への材料変更や軸部寸法の縮小化により打球槌の軽量化を図る一方で、十分な発射力を確保すべく、打球槌のヘッド部(軸部と反対側の端部)に重り部を設けている。これにより、十分でかつ安定した遊技球の発射が実現できる。打球槌の重り部を上方に突出して設けることにより、打球槌を容易に摘んだりひっかけたりすることができ、槌先の打球強さの調整等がし易くなるという効果がある。
なお、図3中の符号67は上皿19に通ずる排出口であり、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される。排出口67には開閉式のシャッタ68が取り付けられている。詳しい図面の開示は省略するが、シャッタ68は、その下辺部に沿って設けられた軸部を軸心として回動可能となるとともに、前面枠セット14を開放した状態(図3の状態)ではバネ等の付勢力によりシャッタ68が排出口67をほぼ閉鎖するようになっている。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられるようになっている。なお、前面枠セット14の開放状態においては、遊技球は下皿15へ排出されるようになっている。従って、上述したように、前面枠セット14に対して上皿19が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
樹脂ベース20には、窓孔21の右下部に略四角形状の小窓71が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部に張られたシール等(図4のS1)は、この小窓71を通じて視認できるようになっている。また、この小窓71から上記シール等を貼り付けることも可能である。
また、樹脂ベース20には窓孔21の左上方において略四角形状の小窓72が設けられ、小窓72に対応して遊技盤30の左上部にも略四角形状の孔部73(図4参照)が設けられている。そして、後述する前面枠セット14の電飾部102、103等と接続される各種電気配線(図示略)が小窓72及び孔部73を通して本パチンコ機10の背面側から導かれている。
また、内枠12の図3の左端部には、前面枠セット14の支持機構として、支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には図の手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には鉛直方向に突出した突起軸84が設けられている。
また、内枠12にはアース用金具E1,E2が設けられている(図3参照)。アース用金具E1,E2は、内枠12の背面側において所定の金属部品と接続されている。そして、前面枠セット14が閉じられた状態において、アース用金具E1,E2が後述する補強板131,132と当接することにより短絡するようになっている。
次に、前面枠セット14について図1,図5を参照しつつ説明する。図5は、前面枠セット14の背面図である。前面枠セット14には前記遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になるようにしてもよい。本実施形態において、窓部101の上端(外レール構成部52の最上部、遊技領域の上端)と、前面枠セット14の上端との間の距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は61mmとなっており、85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べて著しく短くなっている。これにより、遊技領域の上部領域が確保されやすくなるとともに、大型の可変表示装置ユニット35も比較的上方に配置することができるようになっている。前面枠セット14の上端との間の距離は80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、さらに望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
また、パチンコ機10の正面から見て窓部101の左端と前面枠セット14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図5では右側に示されている)、すなわち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠セット14自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。この場合、図1及び図3を相互に比較すると明らかなように、前面枠セット14が閉じられた状態において、外レール構成部52の左端部はもちろん、内レール構成部51の左端部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。つまり、誘導レールの少なくとも一部が、パチンコ機10の正面からみて前面枠セット14の左側部フレーム部分と重複し覆い隠される。このように遊技球が一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球が遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、前面枠セット14の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。ちなみに、パチンコ機10の正面から見て外レール構成部52の左端位置と外枠11の左端位置との左右方向の距離は21mm、遊技領域の右端位置(内レール構成部51の右端位置)と外枠11の右端位置との左右方向の距離は44mmとなっている。
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂が取り付けられた小窓107が設けられている。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されたカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球(貸球)が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図られる。
前面枠セット14の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、図5に示すように、前面枠セット14の裏側にあって窓部101の上下左右の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図の左側及び上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。つまり、補強板131〜134において、樹脂パーツ135の絶縁効果により電気が環状に通ることを防止している。これにより、補強板131〜134におけるノイズのループや環状通電による磁界の発生を抑制することができる。
図5の右側の補強板131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前面枠セット14を閉じた状態で内枠12の孔部12a(図3等参照)に係合されるように構成されている。この構成により、上皿19を含む形態で前面枠セット14が構成され、その上下の軸支位置が延長されたとしても、中間位置における前面枠セット14の浮き上がりが防止できる。それ故、前面枠セット14を浮かしての不正行為等が抑制されるようになっている。
また、下側の補強板134には、前記発射レール61(図3参照)に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材136が設けられている。このレール側壁部材136は、前面枠セット14を閉じた際に発射レール61の側壁となる。故に、発射レール61から遊技球がこぼれ落ちないようになっている。
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の一部が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。このガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されるようになっている。
前述の通り本実施形態のパチンコ機10では遊技領域の拡張を図っていることから、前面枠セット14を閉じた状態にあっては、内外のレール構成部51,52により構成された誘導レールの一部が前面枠セット14により覆い隠される構成となっている。それ故、当該誘導レールでは手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射装置より発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らず戻ってくると、当該遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール構成部52とガラス137との間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施形態では、前面枠セット14に、誘導レールの手前側開放部を被覆するためのレールカバー140を取り付けている。
レールカバー140は略円弧状をなす略平板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記誘導レールの形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、誘導レールの基端部から先端部近傍までの区間を覆うようにして前面枠セット14の裏側に取着されている。特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール構成部51のそれにほぼ一致する。レールカバー140が取着された状態では、その表面側がガラス137に当接した状態となる。前面枠セット14が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が誘導レールのほぼ全域を覆うこととなる。これにより、誘導レールのほとんどの区間において遊技球のガラス137への衝突を防止できる。従って、ガラス137への接触による破損等の悪影響を抑制することができる。
また、レールカバー140の右端部(すなわち、レールカバー140を前面枠セット14に取着した図5の状態で右端となる部位)には、誘導レールがガラス137の側縁部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。これにより、遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール構成部52とガラス137との間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
さらに、レールカバー140の裏側には、その内側縁に沿って円弧状に延び且つ図5の手前側に突出した突条142が形成されている。突条142は、前面枠セット14が閉じられた状態において、誘導レール内に入り込んだ状態で内レール構成部51にほぼ一体的に重なり合うよう構成されている。従って、例えば前面枠セット14と内枠12との隙間から針金等を侵入させて不正行為を行おうとしても、誘導レールの内側にある遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良く、かかる構成によれば、より広い範囲で針金等を侵入させにくくなり、針金等を利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
また、前面枠セット14の図5の右端部(パチンコ機10正面から見ると左端部)には、内枠12の支持機構として、支持金具151,152が取り付けられている。従って、内枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前面枠セット14側の支持金具151,152を組み付けることで、内枠12に対して前面枠セット14が開閉可能に装着されるようになる。ここで、前記支持機構について支持金具81,82及び支持金具151,152の関連性をふまえてより詳しく説明する。支持金具151は略棒状をなし、その上部の径が下部の径より太くなっている。上記支持孔83の切欠の幅は、前記支持金具151の上部の太さより狭く、下部の太さより広くなっている。前面枠セット14の装着手順としては、まず前記支持金具151の下部を前記切欠を介して支持孔83に挿入し、次に支持金具82の突起軸84に支持金具152を差込む。そして、前記切欠位置に対応して前記支持金具151の上部を位置させることで、支持金具151が支持孔83から外れなくなり、前面枠セット14の装着が完了する。
なお、前面枠セット14の施錠機構は、内枠12の施錠機構と一体的となっており、当該一体となった施錠機構G1(図6参照)の本体部は内枠12の背面側に設けられている。そのため、図3では、施錠機構G1から内枠12の前面側に突出した係止爪T1,T2のみが示されている。そして、係止爪T1,T2が前面枠セット14の背面側に係止されることにより、前面枠セット14が施錠された状態となる。
次に、パチンコ機10の背面の構成を詳しく説明する。図6はパチンコ機10の背面図である。
先ずはじめに、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための払出機構部や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
また、払出機構部及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、さらにこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
実際には、図7の概略図に示すように各ユニット201〜203が配置され、取り付けられている。なお図7において、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重なる領域に、裏パックユニット203が配置されている。
詳しくは、第1制御基板ユニット201には、パチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1による軸線Aを中心に当該第1制御基板ユニット201が開閉可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201が機体に対して固定保持されるようになっている。
また、第2制御基板ユニット202には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4による軸線Bを中心に当該第2制御基板ユニット202が開閉可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202が機体に対して固定保持されるようになっている。
さらに、裏パックユニット203には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に当該裏パックユニット203が開閉可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられると共に上端部及び下端部に対応してそれぞれ回動式の係止部M8,M9が(機体側に)設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット203が機体に対して固定保持されるようになっている。
この場合、各ユニット201〜203の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット201は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、同右開きになるよう構成されている。
一方、図8は、内枠12に遊技盤30を組み付けた状態でその構成を示す背面図である。また、図9は内枠12を後方より見た斜視図である。ここでは図8及び図9を用いて内枠12及び遊技盤30の裏面構成を説明する。
遊技盤30は、樹脂ベース20に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠12に設けられた複数(本実施形態では4カ所)の係止固定具211,212によって脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り替えることができるよう構成されており、図8にはロック状態を示す。遊技盤30の左右3カ所の係止固定具211は金属片を折り曲げ形成したL型の金具であり、遊技盤30の固定状態で内枠12外方へ張り出さないよう構成されている。なお、遊技盤30の下部1カ所の係止固定具212は樹脂製のI型の留め具である。
遊技盤30の中央には可変表示装置ユニット35が配置されている。可変表示装置ユニット35においては、センターフレーム47(図3参照)を背後から覆う樹脂製(例えばABS製)のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる第1図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして裏枠セット215が取り付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品(例えばABS製)であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット215の下方には、前述した一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33(それぞれ図3参照)の遊技盤開口部に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、内枠12にやはり樹脂製(例えばポリカーボネイト樹脂製)の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10外部へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、図8に仮想線で例示するように、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36(図3参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。
上記構成では、遊技盤30の下端面を境界にして、上方に裏枠セット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤30に対して前後方向に重複(オーバーラップ)せずに設けられている。従って、遊技盤30を内枠12から取り外す際において、排出通路盤217が遊技盤取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
なお、排出通路盤217は、パチンコ機前面の上皿19の丁度裏側辺りに設けられており、上皿19に至る球排出口(図2の球通路樋69)より針金等を差し込み、さらにその針金等を内枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10では、排出通路盤217の上皿19の丁度裏側辺りに、内枠12にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機前方に延びるプレート219が設けられている。従って、内枠12と排出通路盤217との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して可変入賞装置32(大入賞口)を強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出するための入球検出手段としての入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤30表側の一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32には、特定領域スイッチ222とカウントスイッチ223とが設けられている。特定領域スイッチ222は、大当たり状態で可変入賞装置32に入賞した遊技球が特定領域(大当たり状態継続を判定するための領域)に入ったことを判定するスイッチであり、カウントスイッチ223は入賞球をカウントするスイッチである。また、第1契機対応口33に対応する位置には特定入球検出手段としての第1契機対応口(始動口)スイッチ224が設けられ、第2契機対応口34に対応する位置には第2契機対応口(ゲート)スイッチ225が設けられている。これら各スイッチ221〜225は入球検出手段として機能しうる。
入賞口スイッチ221及び第2契機対応口(ゲート)スイッチ225は、後述する電気配線(ケーブルコネクタ)を介して盤面中継基板226に接続され、さらにこの盤面中継基板226が後述する主基板(主制御装置261)に電気配線を介して接続されている。また、特定領域スイッチ222及びカウントスイッチ223は電気配線を介して大入賞口中継基板227に接続され、さらにこの大入賞口中継基板227がやはり電気配線を介して主基板に接続されている。これに対し、第1契機対応口(始動口)スイッチ224は中継基板を経ることなく直接主基板に電気配線を介して接続されている。これらの詳細については後述する。
その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口を開放するための大入賞口ソレノイド(駆動手段、電気部品を構成する)と、入賞球を特定領域に導くための入賞球振分板ソレノイドが設けられ、第1契機対応口33には、電動役物を開放するための第1契機対応口(始動口)ソレノイドが設けられている。なお、図8,9において符号228は打球槌等を備えるセットハンドルであり、符号229は発射モータである。
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(すなわち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。
また、裏枠セット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤30の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる支持金具231が設けられ、この支持金具231には同一軸線上に上下一対の支持孔が形成されている。その他、遊技盤30の右下部において符号232は上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)であり、同左上部において符号233は係止爪片である。
また、内枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、内枠12にはその右端部に長尺状の支持金具235が取り付けられており、その構成を図10に示す。図10に示すように、支持金具235は長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット用の支持孔部237が形成されると共に、上方2カ所に裏パックユニット用の支持孔部238が形成されている。それら支持孔部237,238にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。その他、図8,9に示すように、第2制御基板ユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)239が設けられている。また、裏パックユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)240が設けられている。但し、第2制御基板ユニット用の支持金具と裏パックユニット用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。符号241,242,243は、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挟み込んで支持するための回動式の固定具である。
その他、内枠12の背面構成において、遊技盤30の右下部には、後述する払出機構より払い出される遊技球を上皿19、下皿15、又は排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。すなわち、遊技球分配部245の開口部245aは上皿19に通じ、開口部245bは下皿15に通じ、開口部245cは排出通路218に通じる構成となっている(図9参照)。なお、従来、遊技球分配部245に相当する部分が裏パックユニット203側に設けられていたため、上皿19に至る球排出口(図2の球通路樋69)を通じて裏パックユニット203を押すことにより、内枠12と遊技球分配部245に相当する部分との間に隙間が生じ、その隙間を通じて針金等を差し込み、内部機器を操作するといった不正行為が考えられた。そこで本パチンコ機10では、遊技球分配部245として内枠12側に設け、なおかつ固定手段によって固定することにより、そのような不正行為を防止している。さらに、遊技球分配部245の上端面は遊技盤30の下端面が設置される高さ位置に合わせて形成されており、遊技盤30の取外しの妨げとならないように工夫されている。
また、内枠12の下端部には、下皿15に向けて設置された上記スピーカ249の背後を囲むための樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、このスピーカボックス246により低音域の音質改善が図られている。
次に、第1制御基板ユニット201の基本構成を図11〜図14を用いて説明する。図11は第1制御基板ユニット201の正面図、図12は同ユニット201の斜視図、図13は同ユニット201の分解斜視図、図14は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。但し、これらの図においては、説明の便宜上いずれも後述するコネクタ部等については図示を省略している。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、この取付台251に制御装置としての主制御装置261と音声ランプ制御装置262とが搭載されている。ここで、主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板(本実施形態における制御基板に相当する)を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容(被包)されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット264によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
封印ユニット264はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図11等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結されるようになっている。封印ユニット264による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、封印ユニット264を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨を容易に発見できる。
但し、略矩形状をなす主基板には、その所定縁部近傍において各ケーブルコネクタのコネクタを接続するための端子部が設けられており、該端子部は、基板ボックス263から露出状態となっている。かかる端子部の露出は、他の基板及び基板ボックスについても同様である。
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261(主基板)又は表示制御装置45からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス265に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して表示制御装置45及び音声ランプ制御装置262に出力されるようになっている。
取付台251は、有色(例えば緑、青等)の樹脂材料(例えばポリカーボネイト樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。但し、取付台251は無色透明又は半透明の樹脂成形品であっても良い。
そして、一方の基板搭載面252上に主制御装置261(主基板)が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面253上に音声ランプ制御装置262(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置されるようになっている。特に、主制御装置261は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置262はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているため、これら基板搭載面252,253に主制御装置261及び音声ランプ制御装置262を搭載した状態において各制御装置261,262はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、図12等にも見られるように、主制御装置261はその一部(本実施形態では1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。故に、主制御装置261に重なる領域まで音声ランプ制御装置262を拡張することが可能となり、当該制御基板の大型化にも良好に対処できる。また、各制御装置が効率良く設置できるようになる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、可変入賞装置32やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
図13及び図14に示すように、主基板用の基板搭載面252には、左右2カ所に横長形状の貫通孔254が形成されている。これに対応して、主制御装置261の基板ボックス263には、その裏面の左右2カ所に回動式の固定具267が設けられている。主制御装置261を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔254に固定具267が通され、その状態で固定具267が回動されて主制御装置261がロックされる。従って、上述の通り主制御装置261はその一部が浮いた状態で配置されるとしても、当該主制御装置261の脱落等の不都合が回避できる。また、主制御装置261は第1制御基板ユニット201(基板搭載面252)の裏面側から固定具267をロック解除しなければ、取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。主基板用の基板搭載面252にはその裏面に格子状のリブ255が設けられている。
取付台251には、図11等の左端面に上下一対の支軸256が設けられており、この支軸256を図9等に示す支持金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して開閉可能に支持される。また、取付台251には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ257が設けられると共に上端部に長孔258が設けられており、ナイラッチ257を図8等に示す被締結孔232にはめ込むと共に、長孔258に図8等に示す係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定されるようになる。なお、支持金具231及び支軸256が前記図7の支軸部M1に、被締結孔232及びナイラッチ257が締結部M2に、係止/爪片233及び長孔258が係止爪部M3に、それぞれ相当する。
次に、第2制御基板ユニット202を図15〜図17を用いて説明する。図15は第2制御基板ユニット202の正面図、図16は同ユニット202の斜視図、図17は同ユニット202の分解斜視図である。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、この取付台301に払出制御手段としての払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球(賞球)や貸出球(貸球)の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314を省略することも可能である。払出制御装置311は、遊技球を賞球として遊技者に払出す賞球払出処理機能と、遊技球を貸球として遊技者に払出す貸球払出処理機能とを有した制御手段を構成する。
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス315を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット319(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。
また、払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、正常状態への復帰が図られるようになっている。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入することとしている。
取付台301は例えば無色透明な樹脂成形品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。この場合、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は取付台301の基板搭載面302に横並びの状態で直接搭載され、電源装置313の基板ボックス317上に払出制御装置311が取付台303を介して搭載されている。
また、取付台301には、図15等の右端部に上下一対の支軸305が設けられており、この支軸305を図8等に示す支持孔部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、取付台301には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を図8等に示す被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。なお、支持孔部237及び支軸305が前記図7の支軸部M4に、被締結孔239及びナイラッチ306が締結部M5に、それぞれ相当する。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、パチンコ機10の背面から見た背面図を図18に示す。図19は、払出機構部352の斜視図である。但し、払出機構部352は、当該払出機構部352を構成する後述の各種構成部材がベース部353に個別に組み付けられている。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する(但し本実施形態では、前述の音声ランプ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置45等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口した貯留タンクとしてのタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備(遊技機設置島)に設けられた遊技球供給機構から供給される遊技球が逐次補給される。
タンク355の下方には、複数の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜する誘導部材としてのタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きに中継手段としてのケースレール357が連結されている。
ケースレール357の最下流部には払出装置358が連設され、この払出装置358により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。なお、本実施形態おける払出装置358は、後述するように、略同一構成で着脱自在な2つの球払出ユニット400を接続した構成となっている。そして、払出装置358より払い出された遊技球は払出樋359を介して上記遊技球分配部245へ導かれる。
払出樋359は、第1導出通路359aと第2導出通路359bとを備えている。ここで、第1導出通路359aは、上記遊技球分配部245の開口部245a,245bと、後述する払出装置358(球払出ユニット400)の払出通路部419,420とを連通するよう構成されている。第2導出通路359bは、上記遊技球分配部245の開口部245cと、払出装置358(球払出ユニット400)の球抜き通路部421,422とを連通するよう構成されている。これにより、払出通路部419,420から導出される遊技球は、第1導出通路359aを介して球受皿としての上皿19や下皿15へと導かれ、球抜き通路部421,422から導出される遊技球は、第2導出通路359bを介して排出通路218へ、ひいては遊技ホールの島設備の所定の排出部へと導かれる。従って、第1導出通路359a及び当該第1導出通路359aに連通する遊技球分配部245内の通路部は本実施形態における導出通路を構成し、第2導出通路359b及び当該第2導出通路359bに連通する遊技球分配部245内の通路部は本実施形態における排出通路を構成する。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板W1(図25等参照)が設置されると共に、詳細な図示は省略するが、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板が設置されている。電源スイッチ基板には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
また、タンク355から払出樋359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネイト樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
次に、タンク355、タンクレール356、及びケースレール357について図18〜図23を参照して詳細に説明する。図20は払出機構部352の部分平面図であり、図21はタンクレール356の平面図であり、図22は図20のZ−Z線部分断面図であり、図23は図18のY−Y線部分断面図である。
タンク355は、前後方向よりも左右方向に長く、上方に開口した略箱状に構成されており、その内部に遊技球を貯留するように構成されている。タンク355の底部355bには、その左右一側部(本実施形態ではパチンコ機10の背面側から見て左側)において、遊技球をタンクレール356へ導出するための略矩形状の導出口355aが形成されており、当該タンク355の底部355bは導出口355aへ(図18の左方向へ)向けて下方傾斜している。つまり、本実施形態においては、底部355bの傾斜部分が、タンクレール356における遊技球の流下方向と逆方向へ下方傾斜した傾斜部を構成する。
また、本実施形態では、タンク355とタンクレール356の前後幅(奥行き)が略同一幅に構成されている。さらに、導出口355aの前後幅も、タンク355自身の前後幅と略同一幅となっており、タンクレール356の前後幅と略同一となっている。つまり、導出口355aの前辺がタンク355の底部355bの前辺と略同一位置に位置し、導出口355aの後辺がタンク355の底部355bの後辺と略同一位置に位置している。
従来は、一般的にタンクレールの前後幅がタンク自身の前後幅よりも幅狭に形成されており、導出口の前後幅がタンクレールの前後幅に合わせて設定されていたため、導出口近傍においてはタンク底部(遊技球の流路)の前後幅を導出口に向かって次第に狭めていくような誘導部が設けられている。従って、従来では、導出口近傍において球詰まりを起こしやすくなっていた。その点、本実施形態では、導出口355a近傍においてタンク355の底部355b(遊技球の流路)の前後幅を狭めていくような誘導部を設ける必要もないため、導出口355a近傍において球詰まりを起こしにくい構成となっている。
なお、図示は省略するが、タンク355の上流側には、遊技球の貯留量を検出する貯留検出スイッチが取着されるようになっている。貯留検出スイッチは、タンク355の上流側まで貯留されているか否か(タンク355がほぼ満タンであるか否か)を遊技球の接触により検知するよう構成されている。そして、貯留検出スイッチにより遊技球が検知されない場合には、上記設置島側の供給機構からタンク355に遊技球が供給され、貯留検出スイッチにより遊技球が検知されると、遊技球の供給が停止するようになっている。
次にタンクレール356の構成について説明する。タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有しており、当該レール本体361の底部が下流側に向け下方傾斜するように配設されている。これにより、タンク355の導出口355aから落下する遊技球を受け、当該遊技球を整列させつつ左右方向に沿って図18の右方向へ流下させるよう構成されている。
レール本体361の始端部(図18の左側)には略円弧状の球受部361aが設けられ、この球受部361aによりタンク355より落下してきた遊技球が円滑にレール本体361内に取り込まれるような構成となっている。
図21,22を参照してより詳しく説明すると、レール本体361には、当該レール本体361の前後方向略中央部において長手方向(左右方向)に沿って延在し、当該レール本体361を前後に仕切る中央仕切部362と、当該中央仕切部362によって仕切られた当該レール本体361の前後各領域の前後方向略中央部において長手方向(左右方向)に沿って延在する一般仕切部363a,363bとがレール本体361の底部から突設されている。これにより、長手方向(左右方向)に並行して延在する2列1組の球通路が前後に2組、すなわち4列の球通路364a,364b,365a,365bが形成されている。なお、ここで「前」及び「後」といっているのは、パチンコ機10の背面側から見て「前」及び「後」という意味である。
各球通路364a等は、その長手方向全域において、流下及び停留する遊技球と所要の隙間が出来るように通路幅が遊技球1つ分(遊技球の直径)より広く遊技球1つ分半(遊技球の直径の1.5倍)より狭くなるよう構成されている(図47等参照)。より詳しくは、各球通路364a等は、上流側の幅広区間J1、下流側の幅狭区間J2、及び、幅広区間J1から幅狭区間J2にかけて通路幅が徐変した徐変区間J3から構成されている。本実施形態では、一般的な遊技球の直径が約11mmであることから、各球通路364a等の幅広区間J1の通路幅X1は約14mmに設定され、幅狭区間J2の通路幅X2は約12mmに設定されている。
また、各球通路364a等の底面には、球詰まりを解消するための開口部361bが形成されている。加えて、各球通路364a等の底面に、遊技球の誘導性を高めたり球詰まりの抑制を図るための突条を形成した構成としてもよい。
図22に示すように、中央仕切部362は、その突出長が最長となる部位の最上流側部位である頂部362aが少なくともタンク355の導出口355aの左端部に対応する位置から右端部に対応する位置までの左右幅域L1内に位置するよう構成されている。また、中央仕切部362は、その上流側端部362bから頂部362aまで突出長が徐変するように傾斜した構成となっている。さらに本実施形態では、中央仕切部362の上流側端部362bひいては突出長U1が遊技球Bの半分に達している最上流側部位である仕切始部362jが、導出口355aの左右幅域L1内に位置している。
一方、一般仕切部363a,363bは、その突出長が最長となる部位の最上流側部位である頂部363c,363dが中央仕切部362の頂部362aよりタンクレール356の下流側に位置するよう構成されている。また、一般仕切部363a,363bは、その上流側端部363h,363iから頂部363c,363dまで突出長が徐変するように傾斜した構成となっている。さらに、一般仕切部363a,363bの頂部363c,363dは、タンク355の底部355b(傾斜部)と導出口355aとの境界部355d(導出口355aの右端部)に対応する位置よりも、タンクレール356の下流側に位置している。さらに本実施形態では、一般仕切部363a,363bの上流側端部363h,363iひいては突出長U2が遊技球Bの半分に達している最上流側部位である仕切始部363j,363kが、中央仕切部362の頂部362aより下流側で、導出口355aの左右幅域L1外に位置している。
上記構成により、タンク355の導出口355aから導出される遊技球を先ず中央仕切部362によって前後に振分けた後、一般仕切部363a,363bにより振分け各球通路364a等に整列させていくといったように、遊技球を段階的に各球通路364a等に振分けることが可能となる。つまり、タンク355から導出される遊技球が向かう先を前後に分散させ、導出口355a付近において各遊技球が受ける圧力を低減させることができる。結果として、遊技球同士が重なり合って球詰まりが発生することを抑制できる。また、上述したように導出口355aの前後幅をタンク355自身の前後幅と同じくした場合においては、導出口355aから同時期に導出される遊技球数が増えるため、その効果は絶大となる。
さらに、中央仕切部362及び一般仕切部363a,363bには、それぞれ幅広区間J1内の左右方向所定位置(所定区間)において、自身と面した両球通路の一方から他方へ及び他方から一方へ双方向に遊技球が通行可能な連通部381,382a,382bがそれぞれ形成されている。本実施形態では、連通部381,382a,382bの形成区間の長さが、遊技球2つ分より長く遊技球3つ分より短い約30mmに設定されている。
両一般仕切部363a,363bにおける連通部382a,382bの形成区間は左右方向に対し略同一位置に設定されている。さらに、両連通部382a,382bの形成区間が中央仕切部362における連通部381の形成区間よりも下流側に設定され、連通部381の形成区間と連通部382a,382bの形成区間とが左右方向に対し重ならないようになっている。
また、各連通部381,382a,382bには、当該連通部381等の形成区間において各仕切部362等の一部を構成するように(仕切部の機能を果たすように)略平板状の可動片383,384a,384bが設けられている。本実施形態における各可動片383等の左右方向の長さは、連通部381等の形成区間の長さより若干短いが、当該形成区間とほぼ同じ長さに設定されている。つまり、遊技球2つ分より長く遊技球3つ分より短く設定されている。
図22,46に示すように、各可動片383,384a,384bには、それぞれ上流側端部近傍において軸孔392,393a,393bが上流側縦辺部に沿って貫通形成されている。一方、各連通部381,382a,382bの上流側端部近傍には、前記軸孔392,393a,393bに挿通可能な軸ピンP1がレール本体361の底部に突設されている。そして、軸ピンP1を軸孔392,393a,393bに挿通するようにして、各可動片383,384a,384bを各軸ピンP1に取り付けることによって、各可動片383,384a,384bが回動可能に軸支された状態となる。各可動片383等は、自身が面した両球通路側双方へ回動可能となり、後述するように自身が面した両球通路のうちの一方の球通路上にある遊技球に押されることによって他方の球通路側へ回動される。
また、図22に示すように、各軸ピンP1は、レール本体361の底部の略垂線方向に沿って突設されており、これにより各可動片383等は、自身の回動軸の軸線方向K1がレール本体361の底部の略垂線方向に沿った状態になる。つまり、各可動片383等の軸線方向K1は鉛直方向に対し傾いている。さらに、各軸孔392等へ各軸ピンP1が挿通された状態で、両者間に若干の隙間ができるように設計されている。上記構成により、各可動片383等は遊動(揺動)自在になっており、各可動片383等に対し何ら力が加わっていない状態においては、各可動片383等は自重により各仕切部362等の長手方向に沿った基準位置をとる。もちろん、回動した可動片383等がバネ等の弾性部材により基準位置に戻されるような構成としてもよい。
また、各可動片383等が前記基準位置にある場合においては、各可動片383等の上流側端部と当該上流側端部に相対向する各仕切部362等とが略当接し、かつ、各可動片383等の下流側端部と当該下流側端部に相対向する各仕切部362等とが略当接した状態となる。従って、この状態では、各仕切部362等に面した両球通路のうちの一方の球通路にある遊技球が、連通部381等を介して他方の球通路へ移動することができないようになっている。
上記連通部381等の配置構成からも分かるように、各可動片383等に対向する各仕切部362等の所定部位は、連通部381等や可動片383等が設けられておらず、遊技球が圧接した場合でも不動の固定壁部となっている。これに対し、相対向する2つの仕切部にそれぞれ形成される連通部の位置が左右方向に対し同じである場合には、両連通部に設けられる両可動片の動作が互いに影響を及ぼし、スムーズに遊技球を誘導できなくなるおそれがある。例えば相対向する2つの仕切部間の球通路に遊技球が停留されなくなった場合においては、両可動片が互いに近づくように回動してしまい、両可動片が干渉して前記仕切部間の球通路へ遊技球を誘導できなくなる。また、相対向する2つの仕切部それぞれよりタンクレール356外側寄りの球通路が双方同時に遊技球の停留されていない空状態となった場合においては、両可動片が互いに離間するように回動するため、相対向する2つの仕切部間の球通路を流下してくる遊技球の流下方向が定まらなくなる。また、一方の可動片が回動して他方の可動片を押し当該可動片を回動させてしまった場合には、一方の可動片と、他の可動片が設けられた側の仕切部との間に遊技球が球噛みしてしまい、他方の可動片により遊技球の流下が遮られる。ひいては、前記三者の場合とも、両可動片(両連通部)の形成区間において球詰まりが発生してしまうおそれがある。結果として、遊技球の円滑な誘導及び払出しが妨げられるおそれがある。上記構成によれば、このような不具合を抑制することもできる。
また、レール本体361には、その下流側端部の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。整流板367の下面には長手方向に延びる図示しない凸部が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。従って、タンクレール356に多量の遊技球群が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが抑制され、タンクレール356内における球詰まりが解消されるようになっている。なお、レール本体361が黒色の導電性ポリカーボネイト樹脂により成形されるのに対し、整流板367は透明のポリカーボネイト樹脂により成形されている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。また、整流板367は透明樹脂で形成されているため、わざわざ整流板367を取り外さなくとも、タンクレール356内の状況を確認することができ、メンテナンス時等において整流板367を取り外す手間を省くことができる。
次に、タンクレール356における遊技球の流れについて図46〜図51を参照して説明する。なお、図46〜図51では、便宜上、タンクレール356の下流側が図面下側となるように図示されている。
図47等に示すように、上記各球通路364a等に停留される遊技球Bは、自身より上流側に並んだ遊技球B(又はタンク355から導出される遊技球B)から圧力を受けると、当該圧力に基づいて通路幅方向(図47等の左右方向)へも力が作用し、他の遊技球Bとは通路幅方向へ若干位置ずれした状態で停留される。多くの場合、各球通路364a等に並ぶ複数の遊技球Bは、若干ではあるが、ほぼ交互に通路幅方向にずれた状態で略ジグザグ状に並ぶこととなる。
そして、球詰まりの発生していない正常時には、図47に示すように各可動片383等が面した両球通路双方において遊技球Bが停留されており、後述する払出装置358により払出しが行われる毎に各球通路364a等において遊技球Bが流下されていく。そのため、正常時における遊技球停留時には、各可動片383等は自身に面した両球通路に停留された遊技球Bによって両球通路側から略均等に圧力を受けた状態となり、各可動片383等は上記基準位置に維持される。つまり、一方の球通路側から各可動片383等が遊技球Bに押されたとしても、他方の球通路に停留した遊技球Bにより当該可動片383等の回動が規制されることとなる。
これに対し、仮にタンク355の導出口355a近傍(タンクレール356の上流側端部付近)において球詰まりが発生した場合、上述した中央仕切部362及び一般仕切部363a,363bの関連構成では、中央仕切部362より前領域又は後領域の2列の球通路364a,364b(又は球通路365a,365b)に同時に遊技球Bが流れていかない状況が発生しやすい。
例えば、図48に示すように後側2列の球通路365a,365bへ遊技球が流れていかない場合には、中央仕切部362に面した両球通路364a,365bのうちの一方の球通路である球通路365bには遊技球Bが停留されず、他方の球通路である球通路364aにおいては正常に遊技球Bが停留されている状況が発生する。
この場合、球通路364aに停留し可動片383に接している遊技球Bは、自身より上流側に並んだ遊技球Bから圧力を受けることによって、可動片383を球通路365b側へ押すこととなる。その結果、図49に示すように、可動片383が球通路365b側へ回動し、可動片383を押した遊技球は球通路365bへ移動する。このような動きが繰り返されることにより、球詰まりによって上流側より遊技球Bが流れて来ない球通路365bにも遊技球が補給されることとなる。
さらに、図50に示すように球通路365bにおいて遊技球Bが停留されてくると、上記同様に、球通路365bに停留し可動片384aに接した遊技球Bは、自身より上流側に並んだ遊技球Bから圧力を受けることによって、可動片384aを球通路365a側へ回動させ、球通路365aへ移動する。このような動きが繰り返されることにより、図51に示すように球通路365aにも遊技球が補給されることとなる。このように、各連通部381等(各可動片383)を上記配置構成とすることで、空状態の球通路へ遊技球Bを順次補給し停留させていくことができる。
加えて、上述したような遊技球Bの流れができることによってタンクレール356が振動したり、球詰まりした部分の遊技球Bの重なりが崩れたりして、球詰まりが解消される場合もある。そして、球詰まりが解消された場合には、図47に示すように各可動片383等は再び基準位置に戻り、以後その状態を維持する。
さて、本実施形態では、図23に示すように、タンクレール356の前側(図23の左側)2列の球通路364a,364bの前後方向の配置位置より、後述する前側の球払出ユニット400の2列の球通路(第1球通路407及び第2球通路409)の前後方向の配置位置が前方向にずれるとともに、タンクレール356の後側(図23の右側)2列の球通路365a,365bの前後方向の配置位置より、後側の球払出ユニット400の2列の球通路(第1球通路407及び第2球通路409)の前後方向の配置位置が後方向にずれた構成となっている。なお、タンクレール356より下流側に配置されるケースレール357等の各部材における球通路の通路幅は、上記幅狭区間J2の通路幅X2と同じ約12mmに設定されている。これにより、遊技球の整列性能を高め、よりスムーズな遊技球の誘導及び払出しを実現することができる。但し、ケースレール357の下流側部分(停留球通路373a等,373b,374a,374bが上下方向に沿って延びる区間)においては、各通路を仕切る仕切部の間隔が比較的幅広に設定されているため、リブ900が形成されることにより、通路幅約12mmが確保されている。
次に、ケースレール357について説明する。ケースレール357は、タンクレール356の4列の球通路364a等と、後述する払出装置358の4列の球通路407等とを連通する4列の球通路を備えている。これら球通路は、後述する2つの球払出ユニット400に対応するように、2列1組の球通路組が前後に2組配設された構成となっている。これら球通路により、タンクレール356から流下してくる遊技球を待機(停留)させ、払出装置358へと個別に導くことができる。
より詳しくは、図23に示すように、ケースレール357は、タンクレール356の球通路364a,364b,365a,365bと同じ前後方向(図23の左右方向)の配置位置において当該球通路364a〜364dと連通する4列の上流球通路371a,371b,372a,372bを備えている。
また、ケースレール357は、前側(図23の左側)に配設される球払出ユニット400の第1球通路407及び第2球通路409と同じ前後方向の配置位置において当該各球通路407,409と連通する2列の停留球通路373a,373bを備えている。
また、ケースレール357は、後側(図23の右側)に配設される球払出ユニット400の第1球通路407及び第2球通路409と同じ前後方向の配置位置において当該各球通路407,409と連通する2列の停留球通路374a,374bを備えている。
さらに、ケースレール357は、前側2列の上流球通路371a,371bと前側2列の停留球通路373a,373bとを連通するように、前後方向の配置位置が上流側から下流側にかけて前方向へ徐変する2列の前側徐変球通路375a,375bと、後側2列の上流球通路372a,372bと後側2列の停留球通路374a,374bとを連通するように、前後方向の配置位置が上流側から下流側にかけて後方向へ徐変する2列の後側徐変球通路376a,376bを備えている。
また、各停留球通路373a,373b,374a,374bは、予め設定された払出個数以上の遊技球を停留可能に構成されている。本実施形態では上記可変入賞装置32への遊技球の一入賞に対応して払出される払出個数(例えば15個)以上の遊技球(賞球)が停留可能に構成されている。
次に、払出装置358について図24〜図29を参照して詳細に説明する。図24は払出装置358の正面斜視図であり、図25は球払出ユニット400の背面斜視図であり、図26〜28は球払出ユニット400内の構成を説明するための断面図であり、図29は球払出ユニット400の分解斜視図である。
本実施形態における払出装置358は、前後方向に沿って一列に接続された2つの球払出ユニット400により構成されている。各球払出ユニット400は、例えば透明又は半透明樹脂等よりなるケース体401によって覆われ、略直方体形状をなしている。
ケース体401は、前後方向に重ね合わされる複数のケース構成部材の連結により構成されている。本実施の形態では、ケース体401は、第1ベース部403と、当該第1ベース部403の前面側(図24の手前側)を覆う第2ベース部404と、当該第2ベース部404の前面側を覆うカバー部405とからなる3層構造となっている。これらケース構成部材403,404,405はネジ等の締結手段により一体に組付けられている。本実施形態では、前後方向が接続方向に相当する。
ケース構成部材403,404,405が組付けられることによって、ケース構成部材403,404,405間には、遊技球が流下する球通路や、停留機構が配設される空間部が形成されている。つまり、ケース構成部材403,404,405間において、払出部が設けられることとなる。また、これら球通路や空間部は、ケース構成部材403,404,405から突設されたリブ等が連接されることで形成されている。
より詳しくは、第1ベース部403と第2ベース部404との間にはケース体401内の上下両側に通じる第1球通路407が形成され、当該第1球通路407の側方において払出手段としての第1停留機構408が配設される。同様に、第2ベース部404とカバー部405との間には第2球通路409が形成され、当該第2球通路409の側方に払出手段としての第2停留機構410が配設される。第1球通路407及び第2球通路409は略同一形状をなし、第1停留機構408及び第2停留機構410は略同一構成となっている。つまり、各球通路407,409及び各停留機構408,410がそれぞれ前後方向に重なるように配置されている。従って、各球払出ユニット400は、第1球通路407及び第1停留機構408等よりなる払出部と、第2球通路409及び第2停留機構410等よりなる払出部といった、略同一構成の2つの払出部を備えていることとなる。なお、本実施形態では、第1球通路407及び第2球通路409は、断面略四角形の筒状に形成されており、一般的な遊技球の直径が約11mmであることから、所要の隙間が出来るように球通路407,409の一辺の長さは約12mmに設定されている。
また、第1ベース部403及び第2ベース部404間の第1層と、第2ベース部404及びカバー部405間の第2層とにそれぞれ収容された2つの払出部の各構成部材(球通路407,409や停留機構408,410)の配置構成が略同一の配置構成となっている(図26等参照)。つまり、前後方向と直交する断面である前記第1層の断面形状(直交断面における配置構成)と、前記第2層の断面形状とが略同一となっている。また、前記各払出部は、前後方向と直交する断面に沿って球通路407,409が形成されるとともに、当該断面における球通路407,409の非形成領域に停留機構408,410を配置した配置構成となっている。このようにすれば、例えば球通路及び停留機構が前後方向に交互に並んだ構成よりも、よりコンパクトに集約された構成にできるため、球払出ユニット400の薄型化(前後方向への薄型化)を図ることができる。
第1球通路407及び第2球通路409は、それぞれケース体401上面に開口した開口部415,416から左右方向の一方(本実施形態では図26の左方向)に向けて比較的緩やかに下方傾斜した停留通路部417,418と、停留通路部417,418の下流側に連通し略鉛直方向に沿って延びる払出通路部419,420と、当該払出通路部419,420の途中から分岐し下方傾斜した球抜き通路部421,422とから構成されている。そして、ケース体401下面には、払出通路部419,420の開口部419a,420aが形成されるとともに、球抜き通路部421,422の開口部421a,422aが形成されている。なお、停留通路部417,418及び払出通路部419,420によって本実施形態における球払出通路が構成され、球抜き通路部421,422により本実施形態における分岐通路が構成されている。
両球払出ユニット400の第1球通路407及び第2球通路409は、それぞれ対応する上記ケースレール357の停留球通路373a,373b,374a,374bと連通するように配置される。より詳しくは、手前側の球払出ユニット400の第1球通路407は球通路373aと連通し、第2球通路409は球通路373bと連通するようになっている。また、奥側の球払出ユニット400の第1球通路407は球通路374aと連通し、第2球通路409は球通路374bと連通するようになっている。
一方、両球払出ユニット400の下部においては、両球払出ユニット400の払出通路部419,420が払出樋359の第1導出通路359aに連通し、両球払出ユニット400の球抜き通路部421,422が払出樋359の第2導出通路359bと連通するようになっている。
次に、払出手段としての第1停留機構408及び第2停留機構410について詳細に説明する。停留機構408,410は、それぞれ停留通路部417,418の下方、払出通路部419,420の側方(図26の右側)、球抜き通路部421,422の上方に形成される空間部431,432に配設されている。そして、第1停留機構408及び第2停留機構410は、それぞれ独立して駆動可能なように構成されている。
停留機構408,410は、それぞれ制止手段(爪部材)としてのフリッカー433,434と、駆動手段(電気的駆動手段)としてのソレノイド435,436と、両者を連動させるための駆動伝達手段としての駆動伝達部材437,438とから構成されている。
また、ソレノイド435,436は、下方に向けて突出する摺動手段としてのプランジャ441,442を備えている。プランジャ441,442の先端部には、プランジャ441,442と一体的に上下にスライドするスライド部材443,444が取着されている。なお、プランジャ441,442には図示しない弾性部材としてのコイルばねが取着されており、通常時つまりソレノイド435,436の非励磁状態においては、プランジャ441,442が下方へ押下げられている。そして、ソレノイド435,436が励磁状態となると、プランジャ441,442が上方へ引き上げられる(図26参照)。従って、プランジャ441,442が下方へ押下げられた当該プランジャ441,442の摺動位置が、本実施形態における第1摺動位置に相当する。一方、プランジャ441,442が上方へ引き上げられた当該プランジャ441,442の摺動位置が、本実施形態における第2摺動位置に相当する。
フリッカー433,434は、自身に挿通された支軸447により、それぞれ空間部431,432内の払出通路部419,420近傍において回動自在に軸支されている。支軸447は、第2ベース部404を貫通し、両フリッカー433,434に挿通され、第1ベース部403とカバー部405との間に取着されている。
フリッカー433,434は略円弧形状をなし、支軸447より上に位置する先端部は先細りしている。一方、払出通路部419,420の上端部近傍における空間部431,432側の壁部には、開口部451,452が設けられている。そして、フリッカー433,434が回動することにより、フリッカー433,434の先端部が開口部451,452を介して払出通路部419,420内外へ出没する。そして、フリッカー433,434の先端部が払出通路部419,420内へ突出している状態においては遊技球が通過不能となり、それより上流において遊技球が停留されることとなる。フリッカー433,434により遊技球の流下が制止される位置が、本実施形態における流下制止位置に相当する。つまり、フリッカー433,434の先端部が開口部451,452を介して払出通路部419,420内へ突出したフリッカー433,434の変位位置が、本実施形態における規制位置に相当する。また、フリッカー433,434の先端部が払出通路部419,420外へ没したフリッカー433,434の変位位置が、本実施形態における規制解除位置に相当する。
また、フリッカー433,434の下方には、略く字形状をなす駆動伝達部材437,438が配設されている。駆動伝達部材437,438は、自身に挿通された支軸448により、回動自在に軸支されている。支軸448は、上記支軸447と同様に、第2ベース部404を貫通し、両駆動伝達部材437,438に挿通され、第1ベース部403とカバー部405との間に取着されている。
フリッカー433,434の下端部には、係合凹部453,454が形成されており、当該係合凹部453,454に、駆動伝達部材437,438の先端部が係合(遊嵌)される。さらに、係合凹部453,454の奥側(図26の奥側)に設けられた壁部455,456には、図示しない長孔が形成されており、当該長孔に、駆動伝達部材437,438の先端部から奥方へ突出する図示しない係合ピンが挿入されている。これら構成により、駆動伝達部材437,438の動きに連動してフリッカー433,434が回動する。
一方、駆動伝達部材437,438の下後端には係合凹部461が形成されている。係合凹部461には、上記プランジャ441,442に取着されたスライド部材443,444の端部が差し込まれている。このような構成によって、プランジャ441,442の上下動に連動して、駆動伝達部材437,438、ひいてはフリッカー433,434が回動することとなる。
さて、ケース体401の側部には、フリッカー433,434の先端部近傍において、球検出センサ464が取着されている。より詳しくは、球検出センサ464は、フリッカー433,434の先端部によって停留される最下流側の遊技球の位置(流下制止位置)よりも僅かに下流位置において遊技球を検出できるように配置されている。
図30に示すように、球検出センサ464は、基板465等を内包する略直方体形状の本体部466と、当該本体部466の長手方向略中央部から突設され発光素子467aを内包する発光部467と、当該発光部467と対峙するように本体部466の長手方向の両端部にそれぞれ突設され、受光素子469a,470aを内包する第1受光部469及び第2受光部470とから構成された透過型フォトセンサである。また、受光部469,470と対峙する発光部467の両側にはそれぞれ発光素子467aが発する光を透過させる透孔471a,471bが形成されている。これに対応して、第1受光部469及び第2受光部470には、それぞれ発光部467と対峙する側において発光素子467aからの光を受光するための透孔472,473が設けられている。払出通路部419に対応する発光部467及び第1受光部469、払出通路部420に対応する発光部467及び第2受光部470が、それぞれ本実施形態における検出手段を構成する。
上記構成とすれば、2つの受光部469,470に対応する発光部が1つの発光部467だけですみ、さらには2つの受光部469,470に対応する発光素子も1つの発光素子467aだけですむ。そのため、例えば2つの受光部469,470に対応して2つの発光部を備えた構成や、1つの発光部内に2つの発光素子を備えた構成に比べて、球検出センサ464がよりコンパクトに集約された構成とでき、球検出センサ464のさらなる小型化を図ることができる。
一方、ケース体401の側部には、球検出センサ464が嵌合される取付凹部475と、球検出センサ464を係止するための上下一対の係止爪475a,475bとが設けられている。また、第2ベース部404には、払出通路部419,420間の境界部において、発光部467が嵌め込まれる係合凹部476が設けられている。さらに、第1ベース部403の背面側には、第1受光部469が嵌め込まれる係合凹部477が設けられ、カバー部405の前面側には、第2受光部470が嵌め込まれる係合凹部478が設けられている。そして、各係合凹部476,477,478には、上記球検出センサ464の各透孔471a,471b,472,473に対応して、透孔476a,476b,477a,478aが設けられている。但し、球検出センサ464としては、フォトセンサの中でも、上記各透孔471a,471b,472,473が省略された構成のものを採用することができる。もちろん、これに対応してケース体401の透孔476a,476b,477a,478aも省略できる。
上記構成により、球払出ユニット400は、球検出センサ464の取着状態においても、略直方体形状が維持されるような、突出部分が極力抑えられた構造となっている。また、球検出センサ464の取着状態においては、当該球検出センサ464によって、ケース体401(第1ベース部403からカバー部405まで)が前後方向に挟持されるようになっており、仮にネジ等の締結部材を用いなくとも、ケース体401が略直方体形状の組付け状態を維持できるようなっている。
また、ケース体401の側部には、球検出センサ464の下方において払出中継基板W1が設けられている。払出中継基板W1は、球検出センサ464とコネクタW1aを介して電気的に接続され、2つのソレノイド435,436とコネクタW1bを介して電気的に接続され、払出制御装置311とコネクタW1cを介して電気的に接続されている。但し、便宜上、各図面において電気配線は省略されている。これにより、球払出ユニット400(ソレノイド435,436)が払出制御装置311からの出力信号に基づいて駆動制御されるようになっている。また、払出制御装置311は、球検出センサ464からの入力信号に基づいて払出個数を計数するように構成されている。
さて、第1球通路407及び第2球通路409における払出通路部419,420と球抜き通路部421,422との分岐点(境界部)には通路切換え手段としての切換え部材479,480が設けられている。切換え部材479,480は、払出通路部419,420又は球抜き通路部421,422の流路側壁の機能を果たす切換え弁部479a,480aと、当該切換え弁部479a,480aの下端部に一体形成された回動軸部としての支軸部479b,480bと、切換え弁部479a,480aの先端側において支軸部479b,480bに平行して設けられた操作部479c,480cとから構成されている。
支軸部479b,480bは、それぞれ第1ベース部403と第2ベース部404との間、第2ベース部404とカバー部405との間に回動可能に軸支されており、当該構成により、切換え部材479,480は支軸部479b,480bを軸心として回動変位するよう構成されている。そして、切換え部材479,480の停止位置によって払出通路部419,420又は球抜き通路部421,422が連通状態となる。
より詳しくは、図26〜図28に示すように、切換え部材479,480は、遊技球を払出通路部419,420に沿って流下させる払出通路開放位置と、遊技球が通過不能なように払出通路部419,420を閉じた状態とするとともに、遊技球を球抜き通路部421,422へ導き当該球抜き通路部421,422に沿って流下させる球抜き通路開放位置とに回動変位する。ここで、球抜き通路開放位置が本実施形態における分岐通路開放位置に相当する。また、切換え部材479,480が払出通路開放位置にある状態が、本実施形態おける払出通路開放状態に相当し、切換え部材479,480が球抜き通路開放位置にある状態が球抜き通路開放状態(分岐通路開放状態)に相当する。
また、支軸部479b,480bは、当該支軸部479b,480bが軸支されるために第2ベース部404に設けられた軸孔481を介して接続されるよう構成されている。より詳しくは、支軸部479b,480bの対向する各端部が対称的な断面略半円状となるよう切欠かれており、支軸部479b,480bの取着状態において軸孔481内で前記切欠き部同士が当接した状態となる。このような構成により、一方の切換え部材479(480)を回動させることで、他方の切換え部材480(479)が連動して回動する。本実施形態では、このような接続構成を採用しているが、もちろん異なる接続構成を採用してもよい。例えば、一方の支軸部479b(480b)に係合凸部を設け、他方の支軸部480b(479b)に前記係合凸部に対応する係合凹部を設け、両者を係合させて接続する構成を採用してもよい。
一方、操作部479c,480cには、それぞれ奥端部において突起部482aが形成され、前端部において前記突起部482aが係合可能な凹部482bが形成されている。そして、第2ベース部404に設けられた長孔483を介して、操作部480c側の突起部482aが、操作部479c側の凹部482bに係合されることにより、操作部479c,480cが接続されている。このような構成により、切換え部材479,480は一体的に回動変位するようになっている。操作部479c,480cの接続構成は、上記支軸部479b,480bの接続構成と同様に、本実施形態の構成に限らず、異なる接続構成を採用することができる。なお、本実施形態に限らず、支軸部479b,480b及び操作部479c,480cの少なくとも一方が接続されていれば、切換え部材479,480は連動することができる。
さらに、操作部479cの突起部482aは、第1ベース部403に設けられた長孔484を介して外部に突出している。一方、操作部480cの前端部は、カバー部405に設けられた長孔485を介して外部に突出している。このような構成により、2つの球払出ユニット400を接続する際には、一方の球払出ユニット400の操作部479cの突起部482aが、他方の球払出ユニット400の操作部480cの凹部482bに係合され、2つの球払出ユニット400の切換え部材479,480が一体的に回動変位できるように構成されている。
さて、カバー部405の前面側には、切換え部材479,480の切換え操作及び上記停留機構408,410の停留解除操作を行うための球抜き操作手段としての操作レバー488が手動操作可能に設けられている。操作レバー488は、ケース体401を前後方向に貫通するように取着された軸棒489に固定されることより、後述する第1操作位置と第2操作位置との間で回動自在となっている。操作レバー488は、その先端部側が略円弧状となった略扇形状となっている。また、先端部側の回動方向一端部には、上記切換え部材480の操作部480cの前端部が挿入される長孔488aが形成されている。これにより、操作レバー488を回動操作することにより、操作レバー488に連動して切換え部材479,480が回動するようになっている。なお、操作レバー488が第1操作位置にある場合には、切換え部材479,480が上記払出通路開放位置に位置し、操作レバー488が第2操作位置にある場合には、切換え部材479,480が上記球抜き通路開放位置に位置する。なお、本実施形態では、球払出ユニット400の前面側が接続方向一側部に相当し、背面側が接続方向他側部に相当する。
また、操作レバー488の先端部側の回動方向略中央部には、操作レバー488の軸心からの放射方向に沿って延びる略平板状の操作部488bが突設されている。また、図31(a)に示すように、操作レバー488のカバー部405側には略半球状の係止凸部488cが形成されている。これに対応して、カバー部405の表面には、前記係止凸部488cが係合(嵌入)可能な第1係止凹部490aと第2係止凹部490bが設けられている。そして、操作レバー488が第1操作位置(実線部分)にある場合において、係止凸部488cが第1係止凹部490aに係合し、操作レバー488が第2操作位置(二点鎖線部分)にある場合において、係止凸部488cが第2係止凹部490bに係合するようになっている。これにより、操作レバー488を第1操作位置及び第2操作位置においてそれぞれ係止することができる。ひいては、切換え部材479,480や停留機構408,410等の遊動を規制し、各位置においてより確実に停止させ、位置決めすることができる。係止凸部488c及び第1係止凹部490a、又は、係止凸部488c及び第2係止凹部490bにより本実施形態における係止手段が構成される。
さて、上記軸棒489の奥端部には、第1ベース部403の背面側において、上記操作部488bと略平行するように軸棒489の軸心からの放射方向に沿って延びる特定接続手段としての接続バー491が取着されている。接続バー491の先端部には、球払出ユニット400が接続される際に、他の球払出ユニット400の上記操作部488bが嵌め込まれる接続孔491aが形成されている。操作部488bが本実施形態における係合部(凸部)に相当し、接続孔491aが被係合部(孔部)に相当する。
また、操作レバー488の軸近傍には、一対の規制突片としての規制リブ488d,488eが突設されている。これにより、球払出ユニット400を接続する際には、2つの球払出ユニット400の操作レバー488が同じ回動位置(第1操作位置や第2操作位置等)にある場合、図31(b)に示すように、一方の球払出ユニット400の接続バー491が、他方の球払出ユニット400の一対の規制リブ488d,488e間に嵌り込んだ状態となる。一方、2つの球払出ユニット400の操作レバー488が同じ回動位置(第1操作位置や第2操作位置等)にない場合、つまり上記操作部488bが接続孔491aに挿入されない状態で、両球払出ユニット400が接続されてしまうといった不具合が防止される。すなわち、一方の球払出ユニット400の接続バー491の回動位置と、他方の球払出ユニット400の操作レバー488の回動位置とが、上記操作部488bを接続孔491aに挿入可能な対応位置関係にある場合において、2つの球払出ユニット400が接続可能となるよう構成されるとともに、一方の球払出ユニット400の接続バー491の回動位置と、他方の球払出ユニット400の操作レバー488の回動位置とが、上記操作部488bを接続孔491aに挿入不能な非対応位置関係にある場合においては、2つの球払出ユニット400を接続する際に、接続バー491が規制リブ488d,488eに当接し、2つの球払出ユニット400が接続不能となるよう構成されている。より詳しくは、図31(a),(b)を参照しても分かるように、操作部488b及び一対の規制リブ488d,488eの配置構成は、接続バー491を一対の規制リブ488d,488e間に差し込もうとした場合、操作部488bが接続孔491aに挿入される場合を除いては、接続バー491を一対の規制リブ488d,488e間に差し込めないような配置構成となっている。換言すれば、接続バー491を一対の規制リブ488d,488e間に差し込みつつ、操作部488bと規制リブ488dとの間、又は、操作部488bと規制リブ488eとの間へ差し込もうとした場合には、規制リブ488d又は規制リブ488eが邪魔となり、接続バー491を一対の規制リブ488d,488e間に差し込めないような配置構成になっている。
さて、ケース体401内には、各ソレノイド435,436(プランジャ441,442)の下方において、空間部431,432に跨るように作用伝達手段としての作用伝達部材492が配設されている。作用伝達部材492は、上記操作レバー488の動作に連動してプランジャ441,442を動かすための部材である。作用伝達部材492は、第1ベース部403とカバー部405との間に回動可能に軸支される本体部492aと、各プランジャ441,442に対応して本体部492aから突設された操作子492b,492cと、本体部492aのカバー部405側端部近傍において操作子492b,492cと略直交するように突設された突出部492dとから構成されている。
さらに、突出部492dの先端部近傍には、前面側に突出した操作部492eが設けられている。これに対応して、上記カバー部405には、前記操作部492eの移動範囲に対応した長孔493が設けられており、当該長孔493を介して操作部492eがカバー部405の前面側へ突出している。さらに、これに対応して、操作レバー488には、上記長孔488aと反対側の端部近傍において、操作部492eが挿通される長孔488fが形成されている。そして、操作レバー488を回動操作することにより、作用伝達部材492が回動するようになっている。より詳しくは、操作レバー488を第1操作位置から第2操作位置へと回動操作し、作用伝達部材492を回動させることにより、操作子492b,492cがプランジャ441,442を押し上げることとなる。その結果、ソレノイド435,436が励磁された場合と同様に、フリッカー433,434の先端部が払出通路部419,420外へ没した状態となり、遊技球が流下可能な状態となる。
また、操作レバー488は、前後方向と直交する払出部の断面で見て、停留機構408,410(フリッカー433,434及びソレノイド435,436)や、球検出センサ464に重ならない位置に配置されている。球検出センサ464を設ける場合には、払出通路部419,420を前後方向に挟むように発光部467、第1受光部469及び第2受光部470が配置されるため、球払出ユニット400のこの部分は前後方向に対し比較的厚くなってしまうおそれがあるが、上記のように、この部分を避けるようにして操作レバー488を配置すれば、この部分が余計に厚くなってしまうといった不具合を抑制することができる。もちろん、停留機構408,410が設けられた部分についても同様に前後方向への球払出ユニット400の膨張を抑制することができる。
さて、カバー部405の四隅には、それぞれ前方に向けて突出した第1接続手段としてのボス部494が設けられている。さらに、ボス部494の先端には突起部494aが設けられている。一方、第1ベース部403の背面側には、前記ボス部494の突起部494aが嵌入可能な第2接続手段としての孔部499が第1ベース部403の四隅に設けられている。上記構成により、各球払出ユニット400を図24に示すように接続することができる。また、2つの球払出ユニット400の接続の際には、上述したように、前方の球払出ユニット400の接続バー491が、後方の球払出ユニット400の操作レバー488の一対の規制リブ488d,488e間に嵌り込んだ状態となるとともに、操作部488bが接続孔491aに挿入された状態となる。つまり、2つの球払出ユニット400の接続状態において、2つの操作レバー488同士が接続され、当該2つの操作レバー488を連動させて一体的に操作できるようになる。さらに、前方の球払出ユニット400に設けられた切換え部材479の操作部479cの突起部482aが、後方の球払出ユニット400に設けられた切換え部材480の操作部480cの凹部482bに係合された状態となる。なお、2つの球払出ユニット400の接続順序は順不同に入換可能となっている。つまり、両球払出ユニット400を前後どちらに配置しても接続することができる。
また、図25を見ても分かるとおり、取付部位496(図29参照)に取付けられる取付面側となる第1ベース部403の背面側には、ボス部494や操作レバー488等の取付けの妨げとなる突出部分がないため、球払出ユニット400をしっかりと取付部位496に取付けることができる。
次に、2つの球払出ユニット400が接続された払出装置358の上記ベース部353への取付構造について説明する。各球払出ユニット400のケース体401には前後方向(取付方向)に貫通した挿通孔495が複数設けられている。これに対応して上記ベース部353側の取付部としての取付部位496(図29参照)には金属棒497が突設されている。取付けの際には、まず一体となった2つの球払出ユニット400の各挿通孔495に各金属棒497を挿入する。そして、金属棒497の先端にネジ498を螺着することにより、2つの球払出ユニット400が接続された払出装置358が上記ベース部353に固定される。
次に、払出装置358(球払出ユニット400)の払出動作及び球抜き動作について説明する。
通常時、各球払出ユニット400では、操作レバー488が第1操作位置において係止された状態となっている。また、各停留機構408,410は遊技球の流下を規制する規制状態となっている。つまり、ソレノイド435,436はプランジャ441,442が下方へ押下げられた状態となっており、フリッカー433,434の先端部が払出通路部419,420内へ突出した状態となっている。一方、切換え部材479,480は払出通路開放位置にあり、遊技球が払出通路部419,420に沿って流下可能な状態となっている。
そして、払出制御装置311からの払出指令に基づき、ソレノイド435,436が励磁されると、プランジャ441,442が引き上げられる。これに連動して、駆動伝達部材437,438は、パチンコ機10の背面側から見て反時計回りに回動し、フリッカー433,434が時計回りに回動する。そして、フリッカー433,434の先端部が払出通路部419,420外へ没した状態となり、フリッカー433,434により制止されていた遊技球が払出通路部419,420に沿って流下し、上皿19や下皿15へと導かれる。このような状態が本実施形態における各停留機構408,410の規制解除状態に相当する。また、球検出センサ464が所定数の遊技球を検出すると、払出制御装置311から停止指令が出て、再びソレノイド435,436が非励磁状態となり、各停留機構408,410は上記通常時の状態(規制状態)に戻る。
次に、球払出ユニット400内(フリッカー433,434より上流側)に停留された遊技球の球抜き作業について説明する。球抜き作業は、出荷時における検査終了後やエラー発生時(故障時)等に行われる。本実施形態では、球払出ユニット400が無通電状態でも実行可能である。
遊技球を球抜きするためには、まず、操作レバー488を反時計回り方向へ回動操作する。このように操作すると、係止凸部488cが第1係止凹部490aから外れ、操作レバー488は第1操作位置より反時計回りに回動する。
この操作レバー488の動きに連動して、図27に示すように、切換え部材479,480が球抜き通路開放位置へと反時計回りに回動変位するとともに、作用伝達部材492が時計回りに回動変位する。その結果、作用伝達部材492の操作子492b,492cによりプランジャ441,442を押し上げられる。そして、図28に示すように、ソレノイド435,436が励磁された場合と同様に、フリッカー433,434の先端部が払出通路部419,420外へ没した状態となると、遊技球が流下可能な状態となる。これにより、図26,27に2点鎖線で示した遊技球Bのように、フリッカー433,434により制止されていた遊技球は、図28に示した遊技球Bのように、払出通路部419,420に沿って流下し、切換え部材479,480によって球抜き通路部421,422へ導かれ、当該球抜き通路部421,422及び第2導出通路359bを介して排出通路218へ、ひいては遊技ホールの島設備の所定の排出部などへと導かれる。そして、操作レバー488が第2操作位置に達したところで、係止凸部488cが第2係止凹部490bに係合し、操作レバー488は第2操作位置において係止された状態となる。
なお、図27に示すように、操作レバー488が僅かに回動した状態では、切換え部材479,480の先端部がわずかに払出通路部419,420に突出した状態となるとともに、フリッカー433,434の先端部が払出通路部419,420外へやや没した状態となる。その後、フリッカー433,434の先端部と、当該先端部と対向する払出通路部419,420の壁面との距離H1が、遊技球の直径に相当する距離を越えたところで、遊技球が流下可能な状態となる。また、本実施形態では、前記距離H1が遊技球の直径に相当する距離に達する前(遊技球が流下可能な状態となる前)に、切換え部材479,480の先端部と、当該先端部と対向する払出通路部419,420の壁面との距離H2が遊技球の半径より短い距離に達するように、フリッカー433,434及び切換え部材479,480が連動するようになっている。なお、本実施形態では、切換え部材479,480が球抜き通路開放位置にある場合に上側となる先端部の上角部と払出通路部419,420の壁面との距離を距離H2としている。上記構成により、遊技球の制止が解除されたタイミングでは、すでに遊技球が通路の分岐部分を払出通路部419,420に沿って通過できない状態となる。結果として、切換え部材479,480による遊技球の球噛みを防止することができる。
また、裏パック351には、図18等の右端部に上下一対の支軸385が設けられており、この支軸385を図8等に示す支持孔部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を図8等に示す被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に図8等に示す固定具242を係止させることで、裏パックユニット203が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。また、本実施形態では、多くの遊技球が貯留され比較的負荷のかかるタンク355の近傍の係止部M8として、回動式のI型の留め具が採用されている。このため、ナイラッチ等の固定具を用いた場合に比べてより確実に裏パックユニット203(タンク355)の係止を行うことができる。このとき、図8等に示す固定具241,243によっても裏パックユニット203が内枠12に固定される。なお、支持孔部238及び支軸385が前記図7の支軸部M6に、被締結孔240及びナイラッチ386が締結部M7に、固定具242及び係止孔387が係止部M8に、それぞれ相当する。また、固定具243が係止部M9に相当する(図7参照)。
また、裏パックユニット203のベース部353には、外部中継端子板230用の開口部391が設けられており、裏パックユニット203の固定された状態でも、外部中継端子板230の取外し及び操作が可能となっている。
なお、上述してきた構成により、主制御装置261(基板ボックス263)の取外しを行おうとした場合には、まず裏パックユニット203を開け(又は取外し)、次に第1制御基板ユニット201を開け(又は取外し)、そして、固定具267を解除操作するという複雑な過程をふむことにより、ようやく行うことができる。このため、主制御装置261(基板ボックス263)の取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できるようになっている。
さて、図32は、本パチンコ機10の電気的構造を示したブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI割込み処理(図41参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理(図34参照)において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、図41の停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスパス及びデータパスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、表示制御装置45や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
また、払出制御装置311は、上記球払出ユニット400(ソレノイド435,436)により賞球や貸球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理(図41参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理(図42参照)において実行される。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、球払出ユニット400などがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射モータ229による遊技機の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータ229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータ229が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される(図9参照)。
表示制御装置45は、第1図柄表示装置42における第1図柄の変動表示と、第2図柄表示装置41における第2図柄の変動表示とを制御するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、2つの出力ポート528,529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527の入力には主制御装置261の出力が接続され、入力ポート527の出力には、CPU521、ROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されると共にバスライン530を介して一方の出力ポート528が接続されている。出力ポート528の出力には第2図柄表示装置41(表示部43)や、音声ランプ制御装置262が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529の出力には液晶表示装置たる第1図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、主制御装置261から送信される表示コマンドに基づいて第1図柄表示装置42及び第2図柄表示装置41の表示を制御する。ROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
ビデオRAM524は、第1図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、第1図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、第1図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して第1図柄表示装置42に表示させるものである。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給するための電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、払出装置358(球払出ユニット400)や発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(図41のNMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアするための回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
なお、第1図柄表示装置(液晶表示装置)42には、図示は省略するが、左・中・右の3つの図柄列が設定されており、図柄列毎に図柄(第1図柄)が変動表示される。本実施形態では、例えば第1図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付すよう構成されており、数字の昇順又は降順に第1図柄が表示されて一連の図柄列が構成されている。そして、周期性をもって第1図柄が上から下へと変動表示されるようになっている。
この場合において、左図柄列においては、第1図柄が降順(付された数字が減る順)に表示され、中図柄列及び右図柄列においては、同じく第1図柄が昇順(付された数字が増える順)に表示される。そして、左図柄列→右図柄列→中図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時に第1図柄表示装置42上で第1図柄が大当たり図柄の組合せ(本実施形態では、同一の第1図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして特別遊技動画が表示されるようになっている(大当たり状態が開始される)。
さて次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
本実施形態では、主制御装置261内のCPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて第1図柄表示装置42の抽選(大当たり抽選)や図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図33に示すように、第1図柄表示装置42の大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、第1図柄表示装置42の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、第1図柄表示装置42が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、第1図柄表示装置42の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2と、左列、中列及び右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、CPU501内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは定期的に更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。また、RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜保留第4エリア)とからなる記憶エリアとしての保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、第1契機対応口33への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しく説明すると、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタであり(値=0〜676)、タイマ割込み毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が第1契機対応口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、本実施形態では、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「337,673」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は10で、その値は「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」である。なお、高確率時とは、予め定められた確率変動図柄によって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変状態のときをいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でないときをいう。
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、第1図柄表示装置42の変動停止時の図柄を決定するものであり、本実施形態では、第1図柄表示装置42において第1図柄が10通り設定されていることから、10個(0〜9)のカウンタ値が用意されている。すなわち、大当たり図柄カウンタC2は、0〜9の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり9)に達した後0に戻る構成となっている。大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が第1契機対応口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
また、リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしており、例えば、C3=0,1が前後外れリーチに該当し、C3=2〜21が前後外れ以外リーチに該当し、C3=22〜238が完全外れに該当する。なお、リーチの抽選は、第1図柄表示装置42の抽選確率の状態や変動開始時の始動保留球数等に応じて各々個別に設定されるものであってもよい。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が第1契機対応口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
また、2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また、第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄とを組み合わせて同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。
変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1図柄表示装置42による第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してCS1,CS2のバッファ値が取得される。
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、第1図柄表示装置42の大当たり抽選が外れとなった時に左列第1図柄、中列第1図柄、右列第1図柄の停止図柄(外れ図柄)を決定するためのものであり、各列では10の第1図柄の何れかが表示されることから、各々に10個(0〜9)のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の停止図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の停止図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の停止図柄が決定される。
本実施形態では、CPU501に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する構成としている。すなわち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に10減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、変動種別カウンタCS1,CS2の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
また図示は省略するが、第2図柄表示装置41の抽選には第2図柄乱数カウンタC4が用いられる。第2図柄乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2図柄乱数カウンタC4は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が左右何れかの第2契機対応口34を通過した時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」である。
次いで、主制御装置261内のCPU501により実行される各制御処理を図34〜図41のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上ここでは、先ずはじめにタイマ割込み処理とNMI割込み処理とを説明し、その後でメイン処理を説明する。
図39は、タイマ割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は主制御装置261のCPU501により例えば2msec毎に実行される。
図39において、先ずステップS601では、各種スイッチ221〜225等の読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置261に接続されている各種スイッチ221〜225等(但し、RAM消去スイッチ323を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチ221〜225等の状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
その後、ステップS602では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。また、続くステップS603では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態ではそれぞれ、676,49,238)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
その後、ステップS604では、第1契機対応口33への入賞に伴う始動入賞処理を実行する。この始動入賞処理を図40のフローチャートにより説明すると、ステップS701では、遊技球が第1契機対応口33(始動口)に入賞したか否かを第1契機対応口(始動口)スイッチ224の検出情報により判別する。遊技球が第1契機対応口33に入賞したと判別されると、続くステップS702では、第1図柄表示装置42の始動保留球数Nが上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判別する。第1契機対応口33への入賞があり、且つ始動保留球数N<4であることを条件にステップS703に進み、始動保留球数Nを1インクリメントする。
また、続くステップS704では、第1図柄の当落に関わる乱数を取得する。具体的には、前記ステップS603で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM503の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。そして、始動入賞処理の後、CPU501は本タイマ割込処理を一旦終了する。
図41は、NMI割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は、主制御装置261のCPU501により停電の発生等によるパチンコ機10の電源断時に実行される。このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。
すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SK1が停電監視回路542から主制御装置261内のCPU501のNMI端子に出力される。すると、CPU501は実行中の制御を中断して図41のNMI割込み処理を開始する。図41のNMI割込み処理は、主制御装置261のROM502に記憶されている。停電信号SK1が出力された後所定時間は、主制御装置261の処理が実行可能となるように電源部541から電流供給がなされており、この所定時間内にNMI割込み処理が実行される。
図41のNMI割込み処理において、先ずステップS801では、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aに退避し、続くステップS802では、スタックポインタの値を同バックアップエリア503aに記憶する。さらに、ステップS803では、電源断の発生情報をバックアップエリア503aに設定し、ステップS804では、電源が遮断されたことを示す電源断通知コマンドを他の制御装置に対して送信する。
ステップS805ではRAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。ステップS806では、RAMアクセスを禁止する。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
なお、上記のNMI割込み処理は払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込みにより、停電の発生等による電源断時の払出制御装置311の状態がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。停電信号SK1が出力された後所定時間は、払出制御装置311の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされるのも同様である。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SK1が停電監視回路542から払出制御装置311内のCPU511のNMI端子に出力され、CPU511は実行中の制御を中断して図41のNMI割込み処理を開始する。その内容は図41に関して説明した通りである(但し、ステップS804の電源断通知コマンドの送信は除く)。
また、図34は、主制御装置261内のCPU501により実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
先ずはじめに、ステップS101では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置262,払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。また、ステップS102では、払出制御装置311に対して払出許可コマンドを送信し、続くステップS103では、RAMアクセスを許可する。
その後、CPU501内のRAM503に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS104では、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押下(ON)されているか否かを判別し、続くステップS105では、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。また、ステップS106ではRAM判定値を算出し、続くステップS107では、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時に初期状態に戻したい場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323がONされていれば、RAMの初期化処理(ステップS114等)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(ステップS114等)に移行する。つまり、ステップS114ではRAM503の使用領域を0にクリアし、続くステップS115ではRAM503の初期化処理を実行する。また、ステップS116では割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、電源断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS108では、電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS109では、電源断の発生情報をクリアする。ステップS110では、サブ側の制御装置を電源断時の遊技状態に復帰させるためのコマンドを送信し、ステップS111では、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる。さらに、ステップS112,S113では、割込み許可/不許可を電源断前の状態に復帰させた後、電源断前の番地へ戻る。
次に、通常処理の流れを図35のフローチャートを参照しながら説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS201〜S207の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS209,S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
図35において、先ずステップS201では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置311に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。また、第1図柄表示装置42による第1図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等を表示制御装置45に送信する。なお、第1図柄の変動開始後において、変動パターンコマンド→左図柄列の停止図柄コマンド→右図柄列の停止図柄コマンド→中図柄列の停止図柄コマンドの順で通常処理の都度1つずつ(すなわち、4msec毎に1つずつ)コマンドが送出され、変動時間経過のタイミングで確定コマンドが送出されるようになっている。また、停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等を入力した表示制御装置45は、かかる各種コマンドに基づいて、第1図柄表示装置42及び第2図柄表示装置41の表示態様を決定し、該表示態様を第1図柄表示装置42及び第2図柄表示装置41において表示するようになっている。
次に、ステップS202では、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。続くステップS203では、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する。
各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理を詳しく説明すると、図36に示すように、ステップS301では、左図柄列の外れ図柄カウンタCLの更新時期か否かを判別し、ステップS302では、中図柄列の外れ図柄カウンタCMの更新時期か否かを判別する。そして、左図柄列の更新時期(ステップS301がYES)であればステップS303に進み、左図柄列の外れ図柄カウンタCLを更新する。また、中図柄列の更新時期(ステップS302がYES)であればステップS304に進み、中図柄列の外れ図柄カウンタCMを更新する。さらに、右図柄列の更新時期(ステップS301、S302が共にNO)であればステップS305に進み、右図柄列の外れ図柄カウンタCRを更新する。ステップS303〜S305の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位3ビットの値を加算すると共にその加算結果が最大値を超えた場合に10を減算し、その演算結果を外れ図柄カウンタCL,CM,CRの今回値とする。
上記CL,CM,CRの更新処理によれば、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の通常処理で1つずつ順に更新され、各カウンタ値の更新時期が重なることはない。これにより、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新されるようになっている。
その後、ステップS306では、上記更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせがリーチ図柄の組み合わせになっているか否かを判別し、リーチ図柄の組み合わせである場合、さらにステップS307では、それが前後外れリーチであるか否かを判別する。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れリーチの組み合わせである場合、ステップS308に進み、そのときの外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の前後外れリーチ図柄バッファに格納する。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れ以外リーチの組み合わせである場合には、ステップS309に進み、そのときの外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納する。
また、リーチ図柄以外の組み合わせである場合、ステップS310では、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが外れ図柄の組み合わせになっているか否かを判別し、外れ図柄の組み合わせになっていれば、ステップS311に進み、そのときの外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の外れ図柄バッファに格納する。なお、ステップS306、S310が共にNOの場合は、左・中・右で図柄が揃っている、すなわち大当たりの状態に相当するが、かかる場合、外れ図柄カウンタCL,CM,CRをバッファに格納することなくそのまま本処理を終了する。
外れ図柄カウンタの更新処理の後、図35のステップS204では、払出制御装置311より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込む。その後、ステップS205では、第1図柄表示装置42による第1図柄の変動表示を行うための第1図柄変動処理を実行する。この第1図柄変動処理により、大当たり判定や第1図柄の変動パターンの設定などが行われる。但し、第1図柄変動処理の詳細は後述する。
その後、ステップS206では、大当たり状態となる場合において可変入賞装置32の大入賞口を開放又は閉鎖するための大入賞口開閉処理を実行する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。このとき、遊技球が特定領域を通過したことを条件に大入賞口の連続開放を許容し、これを所定ラウンド数繰り返し実行する。
また、ステップS207では、第2図柄表示装置41による第2図柄の表示制御を実行する。簡単に説明すると、遊技球が第2契機対応口34を通過したことを条件に、その都度の第2図柄乱数カウンタC4が取得されると共に第2図柄表示装置41の表示部43にて第2図柄の抽選が実施され、第2図柄の当たり状態になると第1契機対応口33が所定時間開放される。なお説明は省略したが、第2図柄乱数カウンタC4も、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3と同様に、図39に示すタイマ割込処理にて更新されるようになっている。
その後、ステップS208では、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施形態では4msec)が経過したか否かを判別する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(ステップS209,S210)。つまり、ステップS209では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
また、ステップS210では、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する(前記ステップS202と同様)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の変更値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
ここで、ステップS201〜S207の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができるようになる。
次に、前記ステップS205の第1図柄変動処理を図37のフローチャートを参照して説明する。
図37において、ステップS401では、今現在大当たり中であるか否かを判別する。なお、大当たり中には、大当たりの際に第1図柄表示装置42で表示される特別遊技の最中と特別遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。続くステップS402では、第1図柄表示装置42による第1図柄の変動表示中であるか否かを判別する。そして、大当たり中でなくさらに第1図柄の変動表示中でもない場合、ステップS403に進み、第1図柄表示装置42の始動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する。このとき、大当たり中であるか、又は始動保留球数Nが0である場合、そのまま本処理を終了する。
また、大当たり中、第1図柄の変動表示中の何れでもなく且つ始動保留球数N>0であれば、ステップS404に進む。ステップS404では、始動保留球数Nを1減算する。ステップS405では、保留球格納エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
その後、ステップS406では、変動開始処理を実行する。ここで、図38のフローチャートを用いて変動開始処理の詳細を説明すると、ステップS501では、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する。具体的には、大当たりか否かは大当たり乱数カウンタ値とその時々のモードとの関係に基づいて判別され、前述した通り通常の低確率時には大当たり乱数カウンタC1の数値0〜676のうち「337,673」が当たり値であり、高確率時には「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」が当たり値である。
大当たりであると判別された場合、ステップS502では、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり図柄カウンタC2の値に対応する図柄、すなわち大当たり図柄を図示しないテーブル(大当たり図柄カウンタC2の値と図柄との対応関係を表すテーブル)に基づいて求め、その図柄を停止図柄コマンドに設定する。このとき、停止図柄コマンドには大当たり図柄カウンタC2の数値0〜9に対応する10通りの大当たり図柄の何れかが設定される。これら大当たり図柄のうち予め定められた特定図柄で揃った場合には以後確変状態に移行するが、特定図柄でない図柄(非特定図柄)でそろった場合には確変状態に移行しない。
次に、ステップS503で、大当たり時における変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。なお、第1変動種別カウンタCS1の数値とリーチパターンとの関係、第2変動種別カウンタCS2の数値と停止図柄時間との関係は、それぞれにテーブル等により予め規定されている。
一方、ステップS501で大当たりではないと判定された場合には、ステップS504で、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値に基づいてリーチ発生か否かを判別し、リーチ発生の場合、さらにステップS505で、同じくリーチ乱数カウンタC3の値に基づいて前後外れリーチであるか否かを判別する。本実施形態では、リーチ乱数カウンタC3の値は0〜238の何れかであり、そのうち「0,1」が前後外れリーチに該当し、「2〜21」が前後外れ以外リーチに該当し、「22〜238」がリーチなし(完全外れ)に該当する。
前後外れリーチ発生の場合、ステップS506に進み、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する。また、ステップS507では、前後外れリーチ時における変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、前記ステップS503と同様に、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1、CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。
また、前後外れ以外リーチ発生の場合、ステップS508に進み、RAM503の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する。また、ステップS509では、前後外れ以外リーチ時における変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのは前記ステップS503等と同様である。
大当たりでなくリーチでもない場合、ステップS510に進み、RAM503の完全外れ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する。また、ステップS511では、完全外れ時における変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、リーチ発生しないことで、遊技者の興味は薄れ、多様な図柄変動態様は要求されない。そこで本実施形態では、ステップS511において、第1変動種別カウンタCS1だけを用いて(すなわち第2変動種別カウンタCS2を使わずに)図柄変動態様を決定する。上記の通り大当たり時、リーチ発生時、リーチ非発生時のそれぞれで図柄停止コマンド及び変動パターンコマンドの設定が完了すると、本処理を終了する。
図37の説明に戻り、ステップS402がYES、すなわち第1図柄の変動表示中である場合には、ステップS407に進み、変動時間が経過したか否かを判別する。このとき、第1図柄の変動パターンに応じて当該第1図柄の変動時間が決められており、この変動時間が経過した時にステップS407が肯定判別される。そして、ステップS408では、変動の停止と確認のために設定されている停止図柄を確定コマンドとして設定し、その後本処理を終了する。
次に、払出制御装置311内のCPU511により実行される払出制御について説明する。図42は、払出制御装置311のメイン処理を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
先ず始めに、ステップS901では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。また、ステップS902では、主制御装置261から送信される払出許可コマンドを受信するまで待機する。そして、払出許可コマンドを受信した時点でステップS903に進んでRAMアクセスを許可すると共に、ステップS904で外部割込みベクタの設定を行う。
その後、CPU511内のRAM513に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS905では、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押下(ON)されているか否かを判別し、続くステップS906では、RAM513のバックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。また、ステップS907ではRAM判定値を算出し、続くステップS908では、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
RAM消去スイッチ323がONされていれば、RAMの初期化処理(ステップS915等)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM513の初期化処理(ステップS915等)に移行する。つまり、ステップS915ではRAM513の全領域を0にクリアし、続くステップS916ではRAM513の初期化処理を実行する。また、ステップS917ではCPU周辺デバイスの初期設定を行うと共に、ステップS918では割込み許可を設定し、後述する払出制御処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、電源断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS909では、電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS910では、電源断の発生情報をクリアする。また、ステップS911では、CPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS912では、使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる。さらに、ステップS913,S914では、割込み許可/不許可を電源断前の状態に復帰させた後、電源断前の番地へ戻る。
次に、払出制御処理の流れを図43のフローチャートを参照しながら説明する。
図43において、ステップS1001では、主制御装置261からのコマンドを取得し、賞球の総賞球個数を記憶する。ステップS1002では、発射制御装置312に対して発射許可の設定を行う。また、ステップS1003では、状態復帰スイッチ321をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。
その後、ステップS1004では、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する。すなわち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿15の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、ステップS1005では、上記タンク355のタンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、上記貯留検出スイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時、タンク球無し解除状態の設定を実行する。
その後、ステップS1006では、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する。
ステップS1007〜S1009では、賞球払出の処理を実行する。この場合、賞球の払出不可状態でなく、且つ前記ステップS1001で記憶した総賞球個数が0でなければ(ステップS1007,S1008が共にNO)、ステップS1009に進み、賞球制御処理(後述する図44)を開始する。また、賞球の払出不可状態、又は総賞球個数が0であれば(ステップS1007、S1008の何れかがYES)、貸球払出の処理に移行する。
その後、ステップS1010〜S1012では、貸球払出の処理を実行する。この場合、貸球の払出不可状態でなく、且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(ステップS1010がNO、S1011がYES)、ステップS1012に進み、貸球制御処理(後述する図45)を開始する。また、貸球の払出不可状態、又は貸球払出要求を受信していなければ(ステップS1010がYES又はS1011がNO)、後続の球抜きの処理を実行する。その後、本払出制御処理の先頭に戻る。
ここで、図44に示す賞球制御処理において、ステップS1101では、ソレノイド435,436を駆動させて賞球の払出を実行する。続くステップS1102では、ソレノイド435,436が正常であるかを判別する。ソレノイド435,436が正常でなければ、ステップS1103に進み、ソレノイド435,436を駆動させてリトライ処理を実行すると共にソレノイド435,436の停止処理を実行し、その後、図43の払出制御処理に戻る。なお、ここでのリトライ処理では、まずソレノイド435,436を1回だけ駆動させる処理が行われる。そして、それでも正常状態に回復しない場合には、他の払出機構を利用して球の払出しが行われる。つまり一方の払出機構(例えばソレノイド435)が不調の場合は他方の払出機構(例えばソレノイド436)を駆動させ払出しを行う。また、この際、他方の払出機構において払出しが行われることにより、その振動によって、球詰まり等で払い出しが行えなかった一方の払出機構の球詰まりを解消させることも可能となる。
また、ソレノイド435,436が正常であれば、ステップS1104に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを球検出センサ464(払出カウントスイッチ)チの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1105に進み、ソレノイド435,436を駆動させてリトライ処理を実行すると共にソレノイド435,436の停止処理を実行し、その後、図43の払出制御処理に戻る。
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1106に進み、球検出センサ464(払出カウントスイッチ)による遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS1107でソレノイド435,436の停止処理を実行し、その後、図43の払出制御処理に戻る。
また、図45に示す貸球制御処理において、ステップS1201では、ソレノイド435,436を駆動させて貸球の払出を実行する。続くステップS1202では、ソレノイド435,436が正常であるかを判別する。ソレノイド435,436が正常でなければ、ステップS1203に進み、ソレノイド435,436を駆動させてリトライ処理を実行すると共にソレノイド435,436の停止処理を実行し、その後、図43の払出制御処理に戻る。
また、ソレノイド435,436が正常であれば、ステップS1204に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを球検出センサ464(払出カウントスイッチ)の検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1205に進み、ソレノイド435,436を駆動させてリトライ処理を実行すると共にソレノイド435,436の停止処理を実行し、その後、図43の払出制御処理に戻る。
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1206に進み、球検出センサ464(払出カウントスイッチ)による遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS1207でソレノイド435,436の停止処理を実行し、その後、図43の払出制御処理に戻る。
以上詳述したように、本実施形態では仕切部362等に連通部381等及び可動片383等を設けることによって、所定の球通路が球詰まりしたとしても、他の球通路を介して遊技球を補給できる。結果として、球通路において遊技球の停留されていない空状態が発生することを抑制し、遊技球の払出しをより安定させることができる。さらに、球通路等における遊技球の有無をセンサ等により検知し、これに基づきバイブレータ等を作動させ、球詰まりの解消を図るような機構を備える必要性も少なくなるため、当該機構を省略し、部品点数及び製造コストの増加抑制を図ることも可能となる。
また、本実施形態では、タンクレール356の各球通路364a等に、従来の通路幅(約12mm)に比べ比較的幅の広い幅広区間J1(約14mm)を設けることによって、可動片383等へ遊技球からより力がかかりやすいように構成されている。加えて、幅広区間J1の下流側に幅狭区間J2を備えることによって、遊技球の整列性能を高め、よりスムーズな遊技球の誘導及び払出しを可能としている。各球通路364a等上の遊技球から可動片383等により大きな力がかかり、当該可動片383等が上記動作を行いやすい状況を作るためには、通路幅を比較的幅広にした方が良いが、払出装置358におけるスムーズな払出しを行うためには、通路幅を比較的幅狭とした方が良い。このような両作用効果を本実施形態によれば同時に得ることができる。
さらに、本実施形態では、両連通部382a,382bの形成区間が中央仕切部362における連通部381の形成区間よりも下流側に設定され、連通部381の形成区間と連通部382a,382bの形成区間とが左右方向に対し重ならないようになっている。これにより、上述したように空状態の球通路へ遊技球を順次補給し停留させていくことができる。これに対し、相対向する2つの仕切部にそれぞれ形成される連通部の位置が左右方向に対し同じである場合には、両連通部に設けられる両可動片の動作が互いに影響を及ぼし、スムーズに遊技球を誘導できなくなるおそれがある。例えば相対向する2つの仕切部間の球通路に遊技球が停留されなくなった場合においては、両可動片が互いに近づくように回動してしまい、両可動片が干渉して前記仕切部間の球通路へ遊技球を誘導できなくなる。また、相対向する2つの仕切部それぞれよりタンクレール356外側寄りの球通路が双方同時に遊技球の停留されていない空状態となった場合においては、両可動片が互いに離間するように回動するため、相対向する2つの仕切部間の球通路を流下してくる遊技球の流下方向が定まらなくなる。ひいては、前後両者の場合とも、両可動片(両連通部)の形成区間において球詰まりが発生してしまうおそれがある。結果として、遊技球の円滑な誘導及び払出しが妨げられるおそれがある。本実施形態によれば、このような不具合を抑制することもできる。
また、可動片383等の左右方向の長さが遊技球2つ分より長くなっている。従って、各球通路364a等上に遊技球がジグザグ状に並んでいる場合においても、いずれか1つの遊技球が可動片383等に接した状態となる可能性が高くなる。その結果、正常時においては可動片383等が基準位置に維持されやすくなるとともに、球詰まり発生時等においては可動片383等が遊技球に押されることによって容易に回動されるようになる。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施形態では、払出機構部352(タンクレール356、ケースレール357及び払出装置358)が4列の球通路を備えているが、球通路の数はこれに限られるものではない。例えば、4列未満又は5列以上の球通路を備えた構成としてもよい。
一態様例としては、図52に示すように、レール本体700には、一対の仕切部701,702が設けられ、3列の球通路703,704,705が形成されている。仕切部701には2つの連通路701a,701b及び可動片701c,701dが設けられ、仕切部702には2つの連通路702a,702b及び可動片702c,702dが設けられている。そして、連通路701a,701b,702a,702bの形成区間が左右方向(図52の上下方向)に対し重ならないようになっている。このようにすれば、両仕切部701,702に面した球通路703,704,705に満遍なく遊技球を行き渡らせることができる。
(b)上記タンク355とは異なり、導出口の前後幅がタンク自身の前後幅と略同一幅となっていない従来タイプのタンクや、上記ケースレール357とは異なり、上記徐変球通路375a等を有しない従来タイプのケースレール等を備えた遊技機において、上記タンクレール356又はこれと同様の構成のタンクレールを採用した構成としてもよい。
(c)上記タンクレール356には、当該タンクレール356を前後に仕切る中央仕切部362と、当該中央仕切部362によって仕切られた当該タンクレール356の前後各領域の前後方向略中央部において長手方向(左右方向)に沿って延在する一般仕切部363a,363bとがレール本体361の底部から突設されることにより、2列1組の球通路が前後に2組、すなわち4列の球通路364a,364b,365a,365bが形成されている。しかし、タンクレールの構成はこれに限られるものではない。例えば、中央仕切部362によって仕切られたタンクレール356の前後各領域において、長手方向(左右方向)に沿って延在する複数の一般仕切部を備えることによって、複数列(3列以上)1組の球通路が前後に2組、すなわち6列以上の球通路が形成された構成としてもよい。
一態様例としては、図53に示すように、レール本体800は、中央仕切部801と、当該中央仕切部801の前領域(図53の左側)に設けられた2つの仕切部803,804と、当該中央仕切部801の後領域(図53の右側)に設けれた2つの仕切部805,806とを備えることによって、3列1組の球通路が前後に2組、すなわち6列の球通路811,812,813,816,817,818を備えている。各仕切部801,803,804,805,806には、それぞれ連通路801a,803a,804a,805a,806a及び可動片801b,803b,804b,805b,806bが設けられている。そして、中央仕切部801における連通部801aの形成区間よりも、各一般仕切部803,804,805,806における連通部803a,804a,805a,806aの形成区間を下流側に設定するとともに、相対向する2つの一般仕切部803,804又は一般仕切部805,806のうちの中央仕切部801寄りの一般仕切部803,806における連通部803a,806aの形成区間よりも、レール本体800外側寄りの一般仕切部804,805における連通部804a,805aの形成区間が下流側に設定されている。つまり、各仕切部801,803,804,805,806に形成される連通部801a,803a,804a,805a,806aの位置(形成区間)が、中央仕切部801からレール本体800外側に向かうにつれ、段階的により下流側位置となるように構成されている。このような構成により、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
また、中央仕切部362や一般仕切部363a,363bの配置構成や形状も上記実施形態に限られるものではない。
例えば、中央仕切部362や一般仕切部363a,363bの突出長を長手方向全域において略同一長とした構成としてもよい。
中央仕切部362及び一般仕切部363a,363bの上流側端部又は仕切始部が共に、導出口355aの左右幅域L1内、又は、導出口355aの左右幅域L1より下流側に位置するようにしてもよい。
また、特に、中央仕切部362や一般仕切部363a,363bの上流側端部近傍においては、遊技球をより円滑に誘導するために多様な態様例が考えられる。
例えば、一般仕切部363a,363bの上流側端部363h,363iが中央仕切部362の上流側端部362bよりも上流側に位置しているが、一般仕切部363a,363bの仕切始部363j,363kや頂部363c,363dが中央仕切部362の仕切始部362jや頂部362aより下流側に位置するような構成としてもよい。
(d)タンクレール356の各球通路364a等の通路幅は、上記実施形態に限られるものではなく、少なくとも遊技球1つ分(遊技球の直径11mm)より広く遊技球2つ分(遊技球の直径の2倍である22mm)より狭くなるよう構成されていればよい。また、幅狭区間J2を省略し、タンクレール356の各球通路364a等略全域において通路幅が同じ(例えば13mmや17mmなど)になるように構成してもよい。
(e)連通部381等の区間長や、可動片383等の長さは、上記実施形態に限られるものではなく、少なくとも遊技球1つ分(遊技球の直径11mm)より長くなっていればよい。
(f)上記実施形態では、各可動片383等が前記基準位置にある場合においては、各可動片383等の上流側端部と当該上流側端部に相対向する各仕切部362等とが略当接し、かつ、各可動片383等の下流側端部と当該下流側端部に相対向する各仕切部362等とが略当接した状態となる。これに限らず、各可動片383等と各仕切部362等との間に隙間ができてもよい。但し、遊技球の流れをより円滑にするためには、各可動片383等の上流側端部と当該上流側端部に相対向する各仕切部362等との距離、及び、各可動片383等の下流側端部と当該下流側端部に相対向する各仕切部362等との距離が、少なくとも遊技球1つ分より狭くなることが好ましい。
(g)払出機構部352の取付位置や向きは、遊技機の構成や機種等に応じて変化するため、例えばタンクレール356上における遊技球の流下方向が前後方向に沿ったものとなる場合もある。
(h)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機や、それに類する雀球等の各種遊技機として実施することも可能である。
さらに、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機(特に遊技球を遊技媒体として使用するスロットマシン仕様の遊技機)として実施してもよい。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を確定停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して又は所定時間経過することにより識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成し、さらに球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入手段と、前記球受皿に遊技球の払出しを行う払出手段とを備え、前記投入手段により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機」が挙げられる。
(i)上記実施形態においては、誘導部材としてのタンクレール356の仕切部362等に連通部381等及び可動片383等が設けられている。これに限らず、例えば誘導部材を構成するケースレール357において、上記同様の構成を採用してもよい。
例えば、図54に示すように、ケースレール357の下流側部分(停留球通路373a,373b,374a,374bが上下方向に沿って延びる区間)において、上記リブ900が省略されている。これにより、当該ケースレール357は、前後方向略中央部において上下方向に沿って延在する中央仕切部901と、当該中央仕切部901によって仕切られた当該ケースレール357の前後各領域の前後方向略中央部において上下方向に沿って延在する一般仕切部902,903とによって、比較的通路幅の広い区間が停留球通路373a等に形成された構成となる。本実施形態では、この区間の通路幅は、流下及び停留する遊技球と所要の隙間が出来るように遊技球1つ分(遊技球の直径)より広く遊技球2つ分(遊技球の直径の2倍)より狭く設定されている。より詳しくは、停留球通路373aで約20.0mm、停留球通路373bで約17.5mm、停留球通路374aで約17.5mm、停留球通路374bで約16.5mmに設定されている。
さらに、中央仕切部901及び一般仕切部902,903には、それぞれ上下方向所定位置(所定区間)において、自身と面した両球通路の一方から他方へ及び他方から一方へ双方向に遊技球が通行可能な連通部911,912,913がそれぞれ形成されている。
両一般仕切部902,903における連通部912,913の形成区間は上下方向に対し略同一位置に設定されている。さらに、両連通部912,913の形成区間が中央仕切部901における連通部911の形成区間よりも下流側に設定され、連通部911の形成区間と連通部912,913の形成区間とが上下方向に対し重ならないようになっている。
また、各連通部911,912,913には、当該連通部911等の形成区間において各仕切部901等の一部を構成するように(仕切部の機能を果たすように)略平板状の可動片921,922,923が設けられている。
各可動片921等は、それぞれ上流側端部近傍において回動可能に軸支されている。各可動片921等は、自身が面した両球通路側双方へ回動可能となり、自身が面した両球通路のうちの一方の球通路上にある遊技球に押されることによって他方の球通路側へ回動される。そして、各可動片921等は遊動(揺動)自在になっており、各可動片921等に対し何ら力が加わっていない状態においては、各可動片921等は自重により各仕切部901等の長手方向(上下方向)に沿った基準位置をとる。
また、各停留球通路373a等の下流側端部においては、それぞれ通路幅を下流側に向けて狭めていくリブ930が形成されている。つまり、リブ930が形成された区間が徐変区間となる。
上記構成により、球詰まりの発生していない正常時には、各停留球通路373a等の幅広区間において、図55に示すように遊技球が略ジグザグ状に停留され、払出装置358により払出しが行われる毎に流下されていく。そして、上記実施形態と同様に球詰まりが発生した場合には、各可動片921等が上記実施形態の可動片383等と同様に作用し、図46〜図51に示した上記実施形態における遊技球の流れと同様の流れが生じる。但し、このような上下方向に沿った球通路部分に連通部911等及び可動片921等を形成した場合には、傾斜した底部に沿って遊技球が流下するタンクレール356に比べて、各遊技球に上流側からの圧力がよりかかりやすいため、連通部911等及び可動片921等はより効果的に作用する。
上記態様例に基づき、上記構成を備えた遊技機は以下のような遊技機ということができる。
「遊技球を貯留可能な貯留タンクと、
前記貯留タンクから導出された遊技球を誘導する誘導部材(ケースレール357)と、
前記誘導部材より下流側において遊技球の払出しを行う払出装置とを有する払出機構部を備えた遊技機であって、
前記誘導部材は、
当該誘導部材の前後方向略中央部において上下方向に沿って延在し、当該誘導部材を前後に仕切る中央仕切部と、
前記中央仕切部によって仕切られた当該誘導部材の前後各領域の前後方向略中央部において上下方向に沿って延在する一般仕切部を備えることによって、
上下方向に並行して延在する2列1組の球通路を前後に2組(4列の球通路)備え、
前記各球通路は、通路幅(前後幅)が遊技球1つ分より広く遊技球2つ分より狭くなるよう構成されることによって、遊技球を整列させつつ流下させることができるよう構成され、
前記各仕切部(中央仕切部及び一般仕切部)それぞれの上下方向所定区間において、当該仕切部と面した両球通路の一方から他方へ及び他方から一方へ遊技球が通行可能なように形成された連通部と、
前記連通部の形成区間において前記各仕切部の一部を構成するように設けられた可動片とを備え、
前記可動片は、当該可動片が面した両球通路側双方へ回動可能なように上流側略端部が軸支され、前記両球通路のうちの一方の球通路上にある遊技球に押されることによって他方の球通路側へ回動されるよう構成され、
前記各一般仕切部における連通部の形成区間を、前記中央仕切部における連通部の形成区間よりも下流側に設定したことを特徴とする遊技機。」
もちろん、上記構成において、前記各仕切部(中央仕切部及び一般仕切部)それぞれの左右方向の少なくとも一区間において連通部及び可動片を設けた場合には、少なくとも前記中央仕切部に形成される最上流側の連通部の形成区間よりも、前記各一般仕切部に形成される全ての連通部の形成区間を下流側に設定した構成とすれば、上記同様の作用効果が奏される。
また、中央仕切部901によって仕切られたケースレール357の前後各領域において、上下方向に沿って延在する複数の一般仕切部を備えることによって、複数列(3列以上)1組の球通路が前後に2組、すなわち6列以上の球通路が形成された構成としてもよい。このような構成とともに連通部及び可動片を備えた遊技機としては、以下のような遊技機を挙げることができる。
「遊技球を貯留可能な貯留タンクと、
前記貯留タンクから導出された遊技球を誘導する誘導部材(ケースレール357)と、
前記誘導部材より下流側において遊技球の払出しを行う払出装置とを有する払出機構部を備えた遊技機であって、
前記誘導部材は、
当該誘導部材の前後方向略中央部において上下方向に沿って延在し、当該誘導部材を前後に仕切る中央仕切部と、
前記中央仕切部によって仕切られた当該誘導部材の前後各領域において、上下方向に沿って延在する複数の一般仕切部を備えることによって、
上下方向に並行して延在する複数列1組の球通路を前後に2組備え、
前記各球通路は、前後幅が遊技球1つ分より広く遊技球2つ分より狭くなるよう構成されることによって、遊技球を整列させつつ流下させることができるよう構成され、
前記各仕切部(中央仕切部及び一般仕切部)それぞれの上下方向所定区間において、当該仕切部と面した両球通路の一方から他方へ及び他方から一方へ遊技球が通行可能なように形成された連通部と、
前記連通部の形成区間において前記各仕切部の一部を構成するように設けられた可動片とを備え、
前記可動片は、当該可動片が面した両球通路側双方へ回動可能なように上流側略端部が軸支され、前記両球通路のうちの一方の球通路上にある遊技球に押されることによって他方の球通路側へ回動されるよう構成され、
前記中央仕切部における連通部の形成区間よりも、前記各一般仕切部における連通部の形成区間を下流側に設定するとともに、
相対向する2つの前記一般仕切部のうちの中央仕切部寄りの一般仕切部における連通部の形成区間よりも、誘導部材外側寄りの一般仕切部における連通部の形成区間を下流側に設定したことを特徴とする遊技機。」
もちろん、上記構成において、前記各仕切部(中央仕切部及び一般仕切部)それぞれの左右方向の少なくとも一区間において連通部及び可動片を設けた場合には、少なくとも前記中央仕切部に形成される最上流側の連通部の形成区間よりも、前記各一般仕切部に形成される全ての連通部の形成区間を下流側に設定するとともに、少なくとも相対向する2つの前記一般仕切部のうちの中央仕切部寄りの一般仕切部における最上流側の連通部の形成区間よりも、誘導部材外側寄りの一般仕切部における連通部の形成区間を下流側に設定した構成とすれば、上記同様の作用効果が奏される。