JP4682581B2 - 回折格子を用いたバックライトユニット - Google Patents

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本発明は、光射出手段として回折格子を用いた導光板を有する液晶表示装置用バックライトユニットに関する。
近年、液晶表示装置のバックライトユニットは、高輝度化、薄型化と改良されてきており、以前の白色ドット印刷による導光板は姿を消しつつあり、代わって、数十μm程度のV字溝が配置されている導光板が主流になってきている。
しかし、高輝度・薄型化の要求は未だ強く、特に小型液晶表示装置(携帯電話・PDA等)においては、導光板自体をクサビ状にすることや、導光板の上にプリズムシートを重ねることで高輝度化し、また、射出成形技術の改良で0.5mm厚の導光板まで開発されてきている。
また、新しい技術として、下記特許文献1にて開示される技術は、光射出手段として回折格子を用いる導光板である。回折格子を使用した導光板は、V字溝やドットパターンの射出手段よりも、導光板からの光射出角度を自由に制御できるため、従来から使用されているプリズムシートを省くことが出来る。このため、バックライトユニット全体が薄型化し、さらに回折格子によって光の取出し効率を自在に調整できるため、バックライトユニットの高輝度化及び輝度ムラの低減が達成される。
特開平7−248496号公報
ところが、回折格子を用いた導光板においては、回折格子は光を曲げると同時に分光も伴うため、フルカラー液晶表示装置では、色再現性やマッチングが困難になりがちである。この弊害に対しては、導光板の上に拡散シートを配置して該分光を緩和し、表示画像の品質の悪化を防止してきた。
しかし、拡散シートで光の分光を防ぐには、拡散性の強い拡散シートを使用する必要があり、その結果、光の指向性が減少し、正面方向の輝度低下を招くことになる。また、導光板に施した回折格子が、導光した光を液晶パネル側(正面方向)にすべて射出させるわけではなく、裏面方向にも数十%の光を射出させる。
この裏面方向に射出された光は、導光板の裏面に設置された反射板によって、正面方向へ反射させる。この裏面方向に射出された光も分光を伴っている。
本発明は、回折格子を配置する導光板を用いた液晶表示装置用バックライトユニットにおいて、導光板の上に配置する拡散シートを用いずに、光の射出の際に発生する分光を緩和し、フルカラー液晶表示装置の色再現性を向上させ、また、回折格子を利用した導光板の本来の特徴である高輝度化、薄型化を実現したバックライトユニット提供することを課題とする。
本発明は、光の射出手段として回折格子を配置する導光板を用いた液晶表示装置用バックライトユニットにおいて、導光板と液晶パネルとの間に複数のシリンドリカルレンズを回折格子の配列と平行に配置したことを特徴とする回折格子を用いたバックライトユニットである。
また、本発明は、光の射出手段として回折格子を配置する導光板を用いた液晶表示装置用バックライトユニットにおいて、導光板と液晶パネルとの間にアッベ数30以下の材料からなる複数のプリズムを回折格子の配列と平行に配置したことを特徴とする回折格子を用いたバックライトユニットである。
また、本発明は、光の射出手段として回折格子を配置する導光板を用いた液晶表示装置用バックライトユニットにおいて、導光板の裏面に設置する反射板が、導光板側の表面に複数のシリンドリカルレンズを回折格子の配列と平行に有し、該裏面に光反射層を有する反射板であることを特徴とする回折格子を用いたバックライトユニットである。
また、本発明は、光の射出手段として回折格子を配置する導光板を用いた液晶表示装置用バックライトユニットにおいて、導光板の裏面に設置する反射板が、導光板側の表面にアッベ数30以下の材料からなる複数のプリズムを回折格子の配列と平行に有し、該裏面に光反射層を有する反射板であることを特徴とする回折格子を用いたバックライトユニットである。
また、本発明は、上記発明による回折格子を用いたバックライトユニットにおいて、前記光反射層が、金、銀、アルミニウム、又は誘電多層膜であることを特徴とする回折格子を用いたバックライトユニットである。
また、本発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の回折格子を用いたバックライトユニットにおいて、前記回折格子がブレーズド形状の回折格子であることを特徴とする回折格子を用いたバックライトユニットである。
上記のように、本発明においては、回折格子を配置する導光板を使用する際に生じる問題である分光を、導光板の上に配置する拡散シートを用いずに緩和又は解消することができ、その結果、液晶表示装置の色再現性が向上し、また、回折格子を用いた導光板の本来の特徴である高輝度で薄型のバックライトユニットを提供することができる。
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、回折格子を配置した導光板から液晶パネル方向に射出する光は、分光し単色光(導光板の垂線と射出する単色光がなす角が小さい方から赤色光、緑色光、青色光の順)となる。しかし、導光板と液晶パネルとの間に配置した複数のシリンドリカルレンズによって分光し広がった光は、ほぼ平行光となり、白色光に近くなる。
また、上記請求項2に係る発明によれば、プリズムによって分光する場合、単色光の配列順序は、回折格子の分光とは逆の配列順序をとるので、回折格子を用いた導光板の上にアッベ数の小さい材料からなるプリズムを配置すれば、回折格子による分光は解消される。また、プリズムにアッベ数の小さい(特に30以下)の材料を用いることで、回折格子による分光を解消する効果が大きくなる。
また、上記請求項3、4に係る発明によれば、導光板の端面から発光素子の光を入射させ、導光板内の回折格子によって、光を取り出す場合、液晶パネル側だけに射出するわけでなく、反射板側にも数十%ほどの光が射出するのが一般的である。当然、反射板側に射出する光も分光してしまうため、反射層を裏面に有するシリンドリカルレンズ及びアッベ数の小さい材料で構成されたプリズムを用いることで、白色光に近い光として液晶パネルの正面方向へ反射させることが可能となる。
また、上記請求項6に係る発明によれば、導光板の回折格子をブレーズド状にすることで、導光板から高効率で特定方向に光を取り出すことが可能で、バックライトユニットの高輝度化を実現できる。また、1次回折光に対し、該格子をブレーズ化した場合、1次光以外の多次光が射出されないため、輝度ムラや色ムラの低減にもなる。
以下、本発明が開示する、回折格子を用いたバックライトユニットにおける分光の緩和について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による回折格子を用いたバックライトユニットにおける、回折格子を配置する導光板を説明する断面図である。図1に示すように、回折格子を配置する導光板2の左端面部には、白色LED光源1が配されている。白色LED光源1から導光した光3は、回折格子4によって液晶パネル側(正面方向)に射出され(5)、一部は裏面方向に射出される(6)。図1においては、導光板の一部のみに回折格子を示したが、実際は輝度分布が均一になるように導光板全面に回折格子が配置されている。
図2は、請求項1に係わる発明を説明する断面図である。図2に示すように、回折格子を配置する導光板2の左端面部には、白色LED光源1が配置されている。導光板2の裏面には、ブレーズド型回折格子が複数設けられている。ここで、異なった波長の光が回折格子4に入射したとき、回折角βがどのくらい変化するかということは、白色光を射出する導光板を設計する上で重要な要因である。
下記数式(1)を用いると、回折角度変化dβを求めることが可能である。
Figure 0004682581
例えば、空間周波数1500本/mmのブレーズド型回折格子を使用し、導光板2内を導波する光3を液晶パネルの正面方向に射出する場合、400nmから650nmの波長では、数式(1)より、約21度の角度変化dβがある。そこで回折格子4上で焦点距離が合うようなシリンドリカルレンズ7を配置すると異なった波長での角度変化は解消し、白色光8として扱うことが可能となる。
図3は、請求項2に係わる発明を説明する断面図である。図3に示すように、導光板2の回折格子パターンとして空間周波数500本/mmのブレーズド型回折格子を配置した導光板を用意し、該導光板と液晶パネル間に、表面に底辺となす角θbが60度で、約50μmの大きさのプリズム10が形成されているシートを設置すると、回折格子4によって分光された光は、プリズム10によって分光を解消することができる。
下記数式(2)より、回折格子から射出されるときのRGBの各波長での射出方向が計算でき、赤色光のなす角θcは約22度、青色光のなす角θdは約28度であり、その角度差は6度である。ここで導光板2と液晶パネルとの間に設置するプリズムの材料は、色分散の大きい(アッベ数30以下)材料がよく、フリントガラス(鉛ガラス)、ポリスチレン、ポリカーボネイト、O−PET(鐘紡(株)製の非晶性ポリエステル樹脂の商品名)がある。
ここでアッベ数24のO−PETを使用し、プリズム10を導光板の液晶パネル側に配置すると、各色光に対する屈折率の違いで材料特有の色分散がおこり、回折格子4の分光が解消され白色光9となる。尚、光の屈折方向は、数式(3)で計算できる。
Figure 0004682581
Figure 0004682581
ここで、アッベ数とは、色分散の逆数であり、眼鏡等のレンズにはアッベ数40以上の透明材料が使用されている。アッベ数35以下の透明材料では色収差が発生してしまい、
レンズとしての用途は限られてしまう。一般に、この材料特有の分光と回折格子による分光では分光時の色配列が逆である。
また、下記数式(4)には、アッベ数(ν)を求める計算式を示した。アッベ数の低い材料は、長波長の光(赤色光)に対する屈折率が低く、短波長(青色光)に対する屈折率が高い。
Figure 0004682581
図4、及び図5は、各々請求項3、及び請求項4に係わる発明を説明する断面図である。図4では回折格子4を配置する導光板2において、液晶パネルの方向と反対の裏面方向に射出される分光した光の分光を、その裏面に光反射層13を有する複数のシリンドリカルレンズ11で解消した形態を図示したものである。
また、同様に図5では、回折格子4を配置する導光板2において、液晶パネルの方向と反対の裏面方向に射出される分光した光の分光を、その裏面に光反射層13を有する複数のプリズムで解消した形態を図示した。該光反射層の材質はアルミの他に、金、銀、誘電多層膜であってもよい。
また、回折格子を配置する導光板において、効率良く液晶パネル方向に射出させるためには、矩形型回折格子やサイン形状回折格子ではなく、ブレーズド型回折格子を使用するのがよい。
また、回折格子を配置する導光板の作製方法は、感光材料を使用した2光束干渉法、又は電子線(エレクトロン・ビーム=EB)を用いて、EBレジスト基板の表面に回折格子を直接描画する方法、金属等に直接、機械切削する方法などがある。これらの方法で描かれた回折格子パターンを電鋳法で金属原版として、射出成形、熱エンボス成形又はUV樹脂成形によって導光板とする。
本発明による回折格子を用いたバックライトユニットにおける、回折格子を配置する導光板を説明する断面図である。 請求項1に係わる発明を説明する断面図である。 請求項2に係わる発明を説明する断面図である。 請求項3に係わる発明を説明する断面図である。 請求項4に係わる発明を説明する断面図である。 複数のシリンドリカルレンズを配置したシートの斜視図である。 複数のプリズムを配置したシートの斜視図である。
符号の説明
1・・・白色LED光源
2・・・回折格子を配置する導光板
3・・・導光板内を導波する光
4・・・回折格子
5・・・回折格子にて正面方向に射出・分光した光
6・・・回折格子にて裏面方向に射出・分光した光
7、11・・・複数のシリンドリカルレンズ
8・・・シリンドリカルレンズから射出される白色光
9・・・プリズムから射出される白色光
10、15・・・色分散の大きい材料で形成されたプリズム
12、14・・・反射された白色光
13、16・・・光反射層

Claims (4)

  1. 光の射出手段として回折格子を配置する導光板を用いた液晶表示装置用バックライトユニットにおいて、導光板と液晶パネルとの間にアッベ数30以下の材料からなる複数のプリズムを回折格子の配列と平行に配置したことを特徴とする回折格子を用いたバックライトユニット。
  2. 光の射出手段として回折格子を配置する導光板を用いた液晶表示装置用バックライトユニットにおいて、導光板の裏面に設置する反射板が、導光板側の表面にアッベ数30以下の材料からなる複数のプリズムを回折格子の配列と平行に有し、該裏面に光反射層を有する反射板であることを特徴とする回折格子を用いたバックライトユニット。
  3. 前記光反射層が、金、銀、アルミニウム、又は誘電多層膜であることを特徴とする請求項2に記載の回折格子を用いたバックライトユニット。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の回折格子を用いたバックライトユニットにおいて、前記回折格子がブレーズド形状の回折格子であることを特徴とする回折格子を用いたバックライトユニット。
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