JP4665743B2 - 湿潤路面上のゴム材料の摩擦特性評価方法 - Google Patents

湿潤路面上のゴム材料の摩擦特性評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、タイヤのトレッドゴム材料等が湿潤路面と接触するときの、ゴム材料の湿潤路面における摩擦力を評価する方法に関する。
従来、タイヤのトレッドゴム材料の湿潤路面に対する摩擦力(ウェット摩擦力)の推定には、トレッドゴム材料の粘弾性特性(E’,E’’,tanδ)を用いて予測する方法や、摩擦試験機にてタイヤの摩擦試験を行って実測する方法によって行われてきた。
例えば、ゴム材料の粘弾性特性を用いて予測する場合、指標として0℃におけるtanδが用いられる。この0℃におけるtanδは、全体として良好に予測することができるものの、路面が異なるとき、0℃におけるtanδが同じ値であっても、実際のウェット摩擦力が逆転するといった問題があった。また、トレッドゴム材料に、補強材として用いるカーボンブラックやシリカ等、異なる種類の補強材を混ぜたときのウェット摩擦力の特徴が0℃におけるtanδから説明できないといった問題もあった。
一方、摩擦試験機にて行われるタイヤの摩擦試験では、実路面と同様のレプリカ路面を大規模に準備しなければならず、作業工数がかかるといった問題がある。また、実路面が異なるときのゴム材料のウェット摩擦力の順位付けは、摩擦試験機のレプリカ路面での評価結果と一致しない場合も多く、レプリカ路面での実測結果をどのように実際のウェット摩擦力と対応付ければよいか、その対応付けに膨大な労力を必要とする。このため、ウェット摩擦力の向上したトレッドゴム材料の開発期間を短縮することはできない。
下記非特許文献1では、ゴム材料のウェット摩擦係数について、ゴム材料が路面へ粘着するときの摩擦係数の成分μaと、ゴム材料の変形に伴うヒステリシス損失に基づく成分μhとに分け、成分μaを0.60に固定して成分μhを算出している。
また、下記非特許文献2では、ウェット摩擦係数を、凝着摩擦係数から弾性流体潤滑の寄与分を減算して算出している。
しかし、これらの文献の方法で求められるゴム材料のウェット摩擦係数の評価は、実際の結果を十分に説明できるものではなかった。
「ゴムのウェット摩擦係数と粘弾性値の関係」,河上伸二,平川弘,三澤眞,日本ゴム協会誌,vol.61,pp.722〜727(1988) "Tire Traction vs. Tread Compound Properties - How pavement texture and Test conditions influence the relationship",Alan G. Veith,Rubber Chem. Technol., Vol.69, pp.654〜673(1996)
そこで、本発明の目的は、タイヤ等に用いるゴム材料のウェット摩擦力を、路面の違いを含め、異なるゴム材料を評価することのできるゴム材料の摩擦特性評価方法を提供することにある。
本発明は、ゴム材料の、湿潤路面に対する湿潤摩擦力を評価する方法であって、
ゴム材料の湿潤摩擦力をFとするとき、湿潤摩擦力Fは、第1の摩擦力Fh、第2の摩擦力Fa及び係数Ehlを用いて下記式(1)で表され、ゴム材料が路面に対して滑るときに発生する第1の摩擦力Fhを、湿潤路面のプロファイルから求めるステップと、ゴム材料が路面と粘着するときに発生する第2の摩擦力Faを、湿潤路面のプロファイルから求めるステップと、湿潤摩擦力Fの計測結果から前記第1の摩擦力Fhを減算することにより下記式(1)中の(1−Ehl )・Fa を求め、この値と求めた前記第2の摩擦力Faとを用いて、ゴム材料路面との間に水膜が介在することにより、湿潤摩擦力における前記第2の摩擦力の寄与を低下させる係数Ehlを求めるステップと、を有し、前記第1の摩擦力Fa、前記第2の摩擦力Fh及び前記係数Ehlを用いて、湿潤摩擦力を評価する湿潤路面上のゴム材料の摩擦特性評価方法を提供する。
F = (1− Ehl )・Fa + Fh (1)
その際、前記係数Ehlは、湿潤路面のレプリカ路面上でゴム材料を摺動させて計測された湿潤摩擦力Fの計測結果を用いて求められるものであり、予め設けられた基準凹凸路面の前記係数E hl を0としたときの値であることが好ましい。
さらに、前記第2の摩擦力Faは、湿潤路面のプロファイル形状における突起の平均直径をDとし、ゴム材料の弾性係数をEとしたとき、下記式(2)で算出されることが好ましい。
a = k・(D/E)(2/3) (2)
但し、kは定数である。
また、前記第1の摩擦力Fhは、湿潤路面のプロファイル形状における突起1個に作用する平均荷重をW、ゴム材料の弾性係数をE、ゴム材料の損失正接をtanδ、前記突起の平均先端半径をrとしたとき、下記式(3)で算出されることが好ましい。
h = f(tanδ)・(W/E)(1/4)・r−3/4 (3)
但し、f(tanδ)は、tanδの高次の多項式である。
本発明では、上記式(1)を用いて、湿潤摩擦力Fを、第1の摩擦力Fa、第2の摩擦力Fh及び係数Ehlに分解して求めることができ、ゴム材料の湿潤摩擦力を従来に比べて有効に評価することができる。特に、路面の凹凸形状の違いによる摩擦力の変化を調べることができ、ゴム材料の改良に有効な指針を与える。
本発明の湿潤路面上のゴム材料の摩擦特性評価方法を添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、以下に詳細に説明する。
図1は、湿潤路面上のゴム材料の摩擦特性評価方法を実施するシステムの例を示す図である。図1に示すシステム10は、主にコンピュータ12、サンプル粘弾性測定試験機14及びサンプル摩擦試験機16を有して構成される。コンピュータ12は、ディスプレイ18、マウス・キーボード20及びプリンタ22が接続されている。
サンプル粘弾性測定試験機14は、所定の形状のゴムサンプルについて粘弾性測定を行って、予め定めた温度における粘弾性特性である物性値E’,E’’,tanδを求める装置である。粘弾性測定は、JISK6394(2003)「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの動的性質試験方法」で規定された方法を用いる。試験機は、例えば、上島製作所(株)製 全自動粘弾性アナライザーVR−7110型が用いられる。サンプル粘弾性試験機14で測定された物性値E’,E’’,tanδはコンピュータ12に供給される。
サンプル摩擦試験機16は、回転円筒ドラムの外側表面に湿潤路面を再現したレプリカ路面を設け、このドラム上を円筒形状の保持具に巻き回されたゴムサンプルを転動させてそのとき発生する摩擦力を測定する構成の試験機である。ゴムサンプルの回転前方から一定の温度に制御された水が供給されて、ドラム表面上に水膜を形成して湿潤状態とする。この湿潤状態となったドラム表面をゴムサンプルが転動し、摺動する。
図2は、サンプル摩擦試験機16の一例を示す図である。
所定の速度で回転するアルミ製回転ドラム40と、ゴムサンプルXを周状に巻きつけて配した回転可能な保持具42と、水供給管44と、水深調整皿46とを有して構成される。
回転ドラム40には、レプリカ路面が複数レーン設けられている。例えば、エメリーペーパ等の#240の研磨紙及びこの研磨紙を研削したものが用いられる。
水供給管44から供給される水は、水深調整皿46に溜まり、水深調整皿46の皿底に設けられた開口部を介してゴムサンプルXが回転ドラム40の表面に当接するように構成される。これらの装置は、断熱壁で囲まれて恒温槽内に設けられるように構成されている。保持具42の図示されない回転シャフトにはトルクメータ48が設けられ、ゴムサンプルXに作用する摩擦力を計測するようになっている。トルクメータ48から出力される計測結果は、アンプ50により増幅されてコンピュータ12に供給される。
サンプル摩擦試験機16の例として、本願出願人により出願され公開された特開2000−329687の摩擦試験機が例示される。
コンピュータ12は、サンプル粘弾性測定試験機14及びサンプル摩擦試験機16から供給される計測結果を用いて、ゴム材料の湿潤路面に対する摩擦力を各要因に分解して評価する装置である。
具体的には、サンプル粘弾性測定試験機14から供給された物性値E’,E’’,tanδからゴム材料が路面に対して滑るときに発生する第1の摩擦力Fhを求める。この第1の摩擦力Fhは、路面の凹凸の表面形状に従ってゴム材料が変形することによって生じるヒステリシス損失に基づく摩擦力である。
この第1の摩擦力Fhは、下記式(3)に従って算出される。
h = f(tanδ)・(W/E)(1/4)・r−3/4 (3)
上記式(3)において、Wは路面上の突起1個に係る平均荷重である。Eはゴム材料の弾性係数であり、弾性係数Eとしてゴム材料の物性値E’(20Hz,0℃)が用いられる。rは、路面の突起の先端半径の平均値であり、路面の微小凹凸のプロファイル形状から求められる。平均荷重は、路面の微小凹凸のプロファイル形状から1cm2当たりの突起の個数を計数し、ゴムサンプルの1cm2当たりの負荷荷重を突起の個数で割ったものを用いる。平均荷重W及び平均先端半径rは、路面の種類ごとにコンピュータ12に記録保持されており、路面に応じて定められる。例えば、路面として研磨紙の番号毎に平均荷重W及び平均先端半径rの値を記憶しておき、路面のプロファイル形状がどの研磨紙のプロファイル形状に相当するか、マウス・キーボード20によりその研磨紙の番号を指定することにより、平均荷重W及び平均先端半径rを設定することができる。
一方、f(tanδ)は、tanδの高次多項式であり、例えば、f(tanδ)=0.248・tanδ−0.092・(tanδ)2+0.005・(tanδ)4の式が用いられ、コンピュータ10に記憶される。
なお、上記式(3)による第1の摩擦力Fhの算出方法は、上述の非特許文献1に開示されている。
次に、サンプル摩擦試験機16から供給されるゴム材料の湿潤路面での計測結果である摩擦力Fが取得される。摩擦力は、温度、荷重、スリップ率が制御されて得られた計測値である。この計測値である摩擦力Fは、下記式(1)を満たすものとして、摩擦力Fから第1の摩擦力Fhを減算して(1− Ehl )・Fa の値を求めるために用いられる。
なお、ゴム材料が湿潤路面上を転動するとき、乾燥路面を転動するときゴム材料が路面と粘着する粘着領域には、水膜が進入して部分的に摩擦力の発生しない潤滑領域が生成する。この潤滑領域の、粘着領域に対する比率が、下記式(1)中の係数Ehlに対応する。
F = (1− Ehl )・Fa + Fh (1)
次に、下記式(2)を用いて、第2の摩擦力Faを算出する。
ここで、Dは湿潤路面のプロファイル形状における突起の平均直径である。ゴム材料の弾性係数Eとしてゴム材料の物性値E’(20Hz,0℃)を用いる。また、kは定数である。
a = k・(D/E)(2/3) (2)
平均直径Dは、上述した突起の平均先端半径rの2倍の値が用いられる。また、定数kは、以下のように求められる。
係数Ehlは、図3に示すように、ゴム材料路面との間に水膜が介在することによって、湿潤摩擦力Fにおける第2の摩擦力Faの寄与を低下させる粘着領域に対する潤滑領域の比率である。路面の凹凸の高低が激しく、しかも突起の先端半径の平均値が小さい場合、水膜は路面の凹部にたまり、ゴム材料と接触する凸部に水膜は存在しない。すなわち、このときのゴム材料と路面の凸部との接触部分には潤滑領域は存在せず、したがって係数Ehl=0となる。
例えば、#240の研磨紙の場合、突起の凹凸の高低が激しく、しかも突起の先端半径の平均値が小さいため、係数Ehlは略0といえる。したがって、#240の研磨紙の路面(基準凹凸路面)における係数Ehl=0として、定数kを求めることができる。つまり、サンプル摩擦試験機16にて計測された#240の研磨紙における摩擦力Fから上記式()を用いて算出した第1の摩擦力Fhを減算して得られる差分は、式(1)中の(1− Ehl )・Faであるが、このとき係数Ehlは上述したように0である。このため、上記差分は第2の摩擦力Faそのものとなる。この第2の摩擦力Faは上記式(2)で表されるので、定数kを算出することができる。
上記定数kの値は、コンピュータ12に基準凹凸路面における定数kとして予め記憶しておき、所定の路面における評価しようとするゴム材料の係数Ehlを算出する際、この定数kを用いるとよい。
なお、定数kは、#240の研磨紙に基づいて算出されるが、サンプル摩擦試験機16にて所定の路面におけるゴム材料の湿潤摩擦力を計測する度に、#240の研磨紙のプロファイル形状を基準凹凸路面としたときのゴム材料の湿潤摩擦力を計測して、定数kを算出してもよい。
所定の路面におけるゴム材料において、式(1)中の(1− Ehl )・Faと、定数kを用いて求められた第2の摩擦力Faとから、1− Ehlを求め、これより、係数Ehlを算出する。具体例は後述する。
こうして求められた第1の摩擦力Fh、第2の摩擦力Fa、係数Ehlの値をディスプレイに表示し、ゴム材料における第1の摩擦力 h 、第2の摩擦力 a 、さらには、粘着領域内における潤滑領域の程度を表す係数Ehlを用いて評価することができる。評価結果は、ディスプレイ18又はプリンタ22に出力される。
例えば、評価しようとするゴム材料の第1の摩擦力Fhは、比較対象のゴム材料の第1の摩擦力と同等であるが、第2の摩擦力Faは、比較対象のゴム材料の第2の摩擦力に比べて大きく、さらに係数Ehlは比較対象のゴム材料の係数Ehlに比べて小さく、水膜が突起に進入しにくいゴム材料である旨の評価が、コンピュータ10にて行われる。さらには、上述した#240の研磨紙の表面を路面としたときのゴム材料の第1の摩擦力Fh、第2の摩擦力Fa及び係数Ehlと、#240の研磨紙を研削した後の表面を路面としたときのゴム材料の第1の摩擦力Fh、第2の摩擦力Fa及び係数Ehlと、を用いて、評価しようとするゴム材料においてどの摩擦力又は係数に大きな差異があるかを判別することができ、ゴム材料の路面依存性についても評価することができる。
以下の説明では、0℃におけるtanδが1.00、E’が10(MPa)であるゴム材料において、#240の研磨紙を研削したときのプロファイル形状を有する路面における第1の摩擦力Fh、第2の摩擦力Fa及び係数Ehlの算出について説明する。
このとき、基準凹凸路面として#240の研磨紙の未研削状態(新品時)のプロファイル形状を有する路面を用いて実測される結果から定数kは算出される。
図4(a),(b)は、#240の研磨紙のプロファイル形状(新品時及び研削後)を示す鳥瞰図であり、図4(c),(d)は、#240の研磨紙の新品時、及び研削後のプロファイル形状を示す図である。
#240の研磨紙の新品のプロファイル形状では、突起の平均先端半径rは30μmであり、研削後のプロファイル形状では突起の平均先端半径rは300μmである。平均突起間隔はいずれも330μmであり、突起1個に作用する平均荷重Wは0.028(N)である。
これらの情報を用いて下記表1に示すように第1の摩擦力Fh、第2の摩擦力Fa及び係数Ehlが算出される。
Figure 0004665743
上記表1において、#240研削後の係数Ehlの算出には、#240新品時の定数kを用いた。
上記表1における第1の摩擦力Fh、第2の摩擦力Fa及び係数Ehlから、ゴム材料は比較的凹凸の小さい滑らかな研削後の路面では、粘着摩擦力は増加するが、係数Ehlも増加し、この結果、第2の摩擦力Faの湿潤摩擦力Fに対する寄与が小さくなり、湿潤摩擦力Fが低下したと評価することができる。
次に、3種類のポリマー(A,B,C)に、カーボンブラック又はシリカを補強材とした6種類のゴム材料(サンプル1〜6)を作製し、第1の摩擦力Fh、第2の摩擦力Fa及び係数Ehlを算出し、湿潤路面上での摩擦特性を評価した。サンプル1〜6の粘弾性の物性値を表2に示す。表2中のtanδ(0℃)及びE’(0℃)は、測定温度0℃、静的歪10%、動的歪±2%、及び周波数20Hzの測定条件で、東洋精機製作所製粘弾性スペクトロメーターを用いて得られたものである。
Figure 0004665743
また、#240番の研磨紙の新品時と研削後における湿潤摩擦力Fをそれぞれ計測し、それぞれの第1の摩擦力Fh、第2の摩擦力Fa及び係数Ehlを算出した。サンプル摩擦試験機16は、上述した特開2000−329687の摩擦試験機を用いた。算出結果は、表3に示す。#240番の研磨紙の新品時と研削後におけるプロファイル形状は、図4(a)〜(d)に示すものである。
Figure 0004665743
表3からわかるように、#240新品時と#240研削後のそれぞれにおいて、サンプル1〜6の第1の摩擦力Fh及び第2の摩擦力Faは大きく異なり、#240研削後における係数Ehlもサンプルによって異なる。サンプル1〜6のうちサンプル6は、#240の新品時と研削後との間で、湿潤摩擦力Fの変化は小さく(変化は0.577)、路面によって湿潤摩擦力Fが変化しにくいことがわかる。そのとき、サンプル6は、研削後において第2の摩擦力Faが他のサンプルと比較して大きくない一方、係数Ehlが他のいずれのサンプルよりも小さく0.794である。このことから、サンプル6は、新品時から研削後の変化において潤滑領域が大きく増大しない特徴を有することがわかる。
以上より、サンプル1〜6のうち、サンプル6が、種々の湿潤路面上を走行するタイヤのトレッドゴムとしてウェット摩擦力を向上させるのに好適なゴム材料であると評価することができる。
このような評価は、湿潤摩擦力Fを、第1の摩擦力Fh、第2の摩擦力Fa及び係数Ehlに分解することによりはじめて可能である。
これらサンプル1〜6の評価結果より、係数Ehlが路面によって大きく変化しないゴム材料を設計することが有効であるといえる。
図5(a)〜(c)は、サンプル1〜6について、湿潤摩擦力Fを分解した第1の摩擦力Fh、第2の摩擦力Fa及び係数Ehlと、粘弾性特性の物性値との間の関係を示す図である。
図5(a)は、第1の摩擦力Fhと、ゴム材料の粘弾性特性の物性値を用いた値tanδ/(E’)1/4(0℃)との間で、略直線の関係を有することを示している。図5(c)は、係数Ehlと、ゴム材料の物性値の1つであるハードネスHs(60℃)との間で略直線の関係を有することを示している。ハードネスHs(60℃)は、測定温度60℃におけるJIS6253(1997)に従ったデュロメーター(タイプA)硬さである。これより、湿潤摩擦力Fを増大させるには、tanδ/(E’)1/4を大きくし、ハードネスHsを大きくすることが好ましいことがわかる。一方、図5(b)は、第2の摩擦力Faは直線関係を有する物性値からなる指標を得られないことを示している。図5(b)では、Tb/E’(Tbは引張強さ)を横軸としている。引張強さTbは、JIS K6251(2004)に準拠した値である。これらの結果から、第2の摩擦力Faと相関を有する指標を見出すことが必要であるといった課題(指針)が得られる。
このように、湿潤摩擦力Fを分解して、第1の摩擦力Fh、第2の摩擦力Fa及び係数Ehlを求めることにより、湿潤摩擦力Fを向上させる上で大きな指針を得ることもできる。
なお、本発明の湿潤路面上のゴム材料の摩擦特性評価方法は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
本発明の湿潤路面上のゴム材料の摩擦特性評価方法を実施するシステムの例を示す図である。 図1に示すシステム中のサンプル摩擦試験機の一例を示す図である。 ゴム材料と湿潤路面との接触状態を説明する図である。 (a),(b)は、研磨紙(#240)の表面形状の測定結果を示す鳥瞰図であり、(c),(d)は、(a),(b)のそれぞれに対応するプロファイル形状を示す図である。 (a)〜(c)は、湿潤摩擦力を分解した第1の摩擦力Fh、第2の摩擦力Fa及び係数Ehlと、物性値との間の関係を示す図である。
符号の説明
10 システム
12 コンピュータ
14 サンプル粘弾性測定試験機
16 サンプル摩擦試験機
18 ディスプレイ
20 マウス・キーボード
22 プリンタ
40 アルミ製回転ドラム
42 保持具
44 水供給管
46 水深調整皿
48 トルクメータ

Claims (4)

  1. ゴム材料の、湿潤路面に対する湿潤摩擦力を評価する方法であって、
    ゴム材料の湿潤摩擦力をFとするとき、湿潤摩擦力Fは、第1の摩擦力Fh、第2の摩擦力Fa及び係数Ehlを用いて下記式(1)で表され、
    ゴム材料が路面に対して滑るときに発生する第1の摩擦力Fhを、湿潤路面のプロファイルから求めるステップと、
    ゴム材料が路面と粘着するときに発生する第2の摩擦力Faを、湿潤路面のプロファイルから求めるステップと、
    湿潤摩擦力Fの計測結果から前記第1の摩擦力Fhを減算することにより下記式(1)中の(1−Ehl )・Fa を求め、この値と求めた前記第2の摩擦力Faとを用いて、ゴム材料路面との間に水膜が介在することにより、湿潤摩擦力における前記第2の摩擦力の寄与を低下させる係数Ehlを求めるステップと、を有し、
    前記第1の摩擦力Fa、前記第2の摩擦力Fh及び前記係数Ehlを用いて、湿潤摩擦力を評価する湿潤路面上のゴム材料の摩擦特性評価方法。
    F = (1− Ehl )・Fa + Fh (1)
  2. 前記係数Ehlは、湿潤路面のレプリカ路面上でゴム材料を摺動させて計測された湿潤摩擦力Fの計測結果を用いて求められるものであり、予め設けられた基準凹凸路面における前記係数E hl を0としたときの値である請求項1に記載の湿潤路面上のゴム材料の摩擦特性評価方法。
  3. 前記第2の摩擦力Faは、湿潤路面のプロファイル形状における突起の平均直径をDとし、ゴム材料の弾性係数をEとしたとき、下記式(2)で算出される請求項1又は2に記載の湿潤路面上のゴム材料の摩擦特性評価方法。
    a = k・(D/E)(2/3) (2)
    但し、kは定数である。
  4. 前記第1の摩擦力Fhは、湿潤路面のプロファイル形状における突起1個に作用する平均荷重をW、ゴム材料の弾性係数をE、ゴム材料の損失正接をtanδ、前記突起の平均先端半径をrとしたとき、下記式(3)で算出される請求項1〜3のいずれかに記載の湿潤路面上のゴム材料の摩擦特性評価方法。
    h = f(tanδ)・(W/E)(1/4)・r−3/4 (3)
    但し、f(tanδ)は、tanδの高次の多項式である。
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