JP4654436B2 - 酸化亜鉛特異的認識ペプチド、酸化亜鉛の固定化方法およびその製膜方法 - Google Patents

酸化亜鉛特異的認識ペプチド、酸化亜鉛の固定化方法およびその製膜方法 Download PDF

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本発明は、酸化亜鉛特異的認識ペプチドに関し、さらにその酸化亜鉛特異的認識ペプチドを用いた酸化亜鉛の固定化方法およびその製膜方法に関する。
酸化亜鉛(ZnO)は、透明でありながら電気を流すという性質だけでなく、電場誘導蛍光体ともなる多機能セラミックであり、機能性有機基板への自在な酸化亜鉛パターニングは、次世代デバイス開発の基盤技術として認知されている。
また、酸化亜鉛の製造方法として近年は、蒸気相方法(非特許文献1),水熱作用沈殿(非特許文献2,3,4)及び湿潤化学法(非特許文献5、6)に基づく様々な特殊技術を用いることにより、形態学的及び機能的に異なった酸化亜鉛のナノ構造物を合成させることができるようになっている。
M.H.Huang,S.Mao,H.Feick,H.Yan,Y.Wu,H.Kind,E.Webber,R.Russo P.Yang,Science,2001,292,1897 B.Liu,H.C.Zeng,J.Am.Chem.Soc.,2003,125,4430. Y.Ming,Y.Gu,I.L.Kuskovsky,T.Andelman,Y.Zhu,G.F.Neumark,S.O`Brien,J.Am.Chem.Soc.,2004,126,6206. S.Ohara,M.Umetsu,S.Takami,T.Adsciri,Solid StateIonics,in press. Z.R.Tian,J.A.Voigt,J.Liu,B.Mckenzie,M.J.Mcdermott,J.Am.ChemSoc.,2002,124,12954. Z.R.Tian,J.A.Voigt,J.Liu,B.Mckenzie,M.J.cdermott,M.A.Rodriguez,H.Konishi,H.Xu,NatureMater.2003,2,821
しかし、従来の製膜方法である、スパッタリング法やレーザーアブレーション法などによる製膜プロセスは、高価な真空装置が必要であるだけでなく、加熱処理を要するため、「ナノ粒子の劣化を招く」、「基板は耐熱性の材質に限る」、「有機−無機ハイブリット粒子に対しては適応できない」、等の問題がある。そのため、室温、かつ、温和な条件で、酸化亜鉛粒子をパターニングする方法が求められている。
また、近年開発された様々な特殊技術を用いる酸化亜鉛ナノ構造物の組み立てやパターン化にはさらなる検証が必要であった。
そこで本発明は、ZnO粒子を温和な条件下で自在にパターニングする技術を構築するために、中性水溶液・室温下で特異的に対象物を認識できるペプチド・蛋白質の機能を利用し、基板上へのZnO粒子のパターニングを行った。今回、ファージ提示法により選択されたZnO結合ペプチドはZnO組成のみを選択的に認識し、かつ水酸化亜鉛(Zn(OH)2)からのZnO合成を選択的に触媒することを見出した。
本発明は、酸化亜鉛を特異的に認識するペプチドであって、以下(1)〜(5)のいずれかで表されるアミノ酸配列を少なくとも備えてなることを特徴とする酸化亜鉛特異的認識ペプチドである。
Glu Ala His Val
Met His Lys Val Ala Pro Arg Pro (1)
Gln Asn Thr Ala
Thr Ala Val Ser Arg Leu Ser Pro (2)
Ala Thr His Thr
Asn Gln Thr His Ala Leu Tyr Arg (3)
Val Ser Asn His
Lys Ala Leu Asp Tyr Pro Thr Arg (4)
Asp Ser Gly Arg
Tyr Ser Met Thr Asn His Tyr Ser (5)
本発明によれば、上記の酸化亜鉛特異的認識ペプチドを用いて、基材上に酸化亜鉛を選択的に固定化することを特徴とする酸化亜鉛の固定化方法が提供される。
さらに本発明によれば、酸化亜鉛を特異的に認識し、かつZn(OH)2水溶液から酸化亜鉛を基板上に析出させるペプチドであって、以下(6)〜(10)のいずれかで表されるアミノ酸配列を備えてなることを特徴とする酸化亜鉛特異的認識・析出ペプチドが提供される。
Glu Ala His Val
Met His Lys Val Ala Pro Arg Pro Gly Gly Gly Ser Cys (6)
Gln Asn Thr Ala
Thr Ala Val Ser Arg Leu Ser Pro Gly Gly Gly Ser Cys (7)
Ala Thr His Thr
Asn Gln Thr His Ala Leu Tyr Arg Gly Gly Gly Ser Cys (8)
Val Ser Asn His
Lys Ala Leu Asp Tyr Pro Thr Arg Gly Gly Gly Ser Cys (9)
Asp Ser Gly Arg Tyr
Ser Met Thr Asn His Tyr Ser Gly Gly Gly Ser Cys (10)
また本発明によれば、上記の酸化亜鉛特異的認識・析出ペプチドを用いて、基材上に酸化亜鉛よりなるパターニングされた膜を形成してなることを特徴とする酸化亜鉛の製膜方法が提供される。
本発明によれば、室温、かつ中性水溶液中で酸化亜鉛に特異的に結合し、かつ、同条件下で水酸化亜鉛から酸化亜鉛を形成するペプチドを見出したことにより、このペプチドをパターニングすることにより、加熱処理を要しない酸化亜鉛パターニングを形成することができる。この固定化された酸化亜鉛は、規則的な花形の異方性結晶成長をしたナノ構造の酸化亜鉛である。
本発明の酸化亜鉛特異的認識ペプチドによれば、室温・水溶液下で硫化亜鉛、酸化ユウロピウムよりも酸化亜鉛に選択的に可逆的に結合することができる。この酸化亜鉛特異的認識ペプチドを用いれば、基材上に加熱処理をせずに酸化亜鉛を固定化することができる。
また本発明の酸化亜鉛特異的認識・析出ペプチドによれば、水酸化亜鉛を酸化亜鉛に化学変化させる機能も有するので、このペプチドを有機基板に固定化すれば、加熱処理をせずに酸化亜鉛のパターニングを行うことが可能となる。
様々な合成方法のなかで、室温における穏やかな溶液中での湿潤化学法には関心が向けられつつあり、とりわけ、ナノ構造物から組織されるハイブリット材としての有機構造物上及び中における酸化亜鉛のパターン化に対して関心が向けられている。室温における穏やかな溶液は、ペプチド及びタンパク質の生物分子が高い活性化を示す反応の場である。生物学的システムにおいて、シリカテイン、シラフィン及びフェリテンのようなタンパク質は、核形成や成長が制御されている細胞のなかで無機物の沈殿を生じさせる。また、それらはナノ構造物材の創造のためにインビトロにおいて利用されつつある。最近では、ライブラリー法から、非生物学上の無機物への親和力を持つ人工ペプチドが発見された。それらのなかで、金、銀、亜鉛硫化物などへの親和力を持つペプチドは、対応する金属の結晶状ナノ−マイクロ粒子の合成を行う能力を持っている。酸化亜鉛もしくは酸化亜鉛合成物に親和力を持つペプチドは、酸化亜鉛に基づくハイブリット材料に対しては有利となる。
この研究において、酸化亜鉛に親和力を持ち、酸化亜鉛合成物の機能を持つペプチドをファージディスプレイライブラリーから発見した。選択されたペプチドは、室温における中性溶液中での酸化亜鉛微粒子の合成を可能にし、さらには、酸化亜鉛のナノ構造物の均質で異方性の集合を促進する。
表面に12−merのペプチドを持つファージライブラリーを酸化亜鉛との親和力を持つペプチドの配列の選択に適用した。ファージライブラリー溶液を酸化亜鉛微粒子と混合した後、酸化亜鉛に結合されないペプチド提示ファージは、高濃度な界面活性剤溶液(0.5%ツイーン20水溶液)で取り除いた。結合したファージは、グリシン溶液中に適用された酸化亜鉛粒子を少量溶解することにより酸化亜鉛から分離可能になるため、酸化亜鉛に結合している残留ファージを、PH2.2下で0.2M−グリシン塩化水素により取り除き、取り除いたファージを再増幅させる。その操作を三度繰り返した後、三回目の選択における注入ファージに対する産出ファージの比率が二回目の選択の300倍に急増したので、ファージに提示されたペプチドの配列を分析した。
表1に、選択したプラーク中のファージ上に提示されたペプチドのアミノ酸配列を一覧表にした。35クローンのなかから5種類の配列を見出した。しかしながら、選択したファージの半分以上(18/35)に同じZnO−1ペプチド(表1参照)が見出された。このことは、ZnO−1ペプチドが他の選択されたペプチドのなかで酸化亜鉛(ZnO)に最も強い親和性を持っていることを意味している。
選択ペプチドを比較すると、それらの配列は官能基を側基に有するアミノ酸残基により支配されていた。しかしZnO−1ペプチドは水酸基をもつアミノ残基を持たず、その代わり、ZnO−1ペプチドは、他のペプチドより多くの塩基性もしくは疎水性のアミノ酸残基を保持していることに注目すべきである。最近、酸化亜鉛に親和性を持つペプチド配列は、細胞表面提示方法で報告されている。報告された配列は多くの塩基性アミノ残基を保持しており、とりわけ、アミノ基が多かった。一方、疎水性アミノ酸残基はほとんどなかった。そこで、我々は最も濃縮されたZnO−1ペプチドの機能について焦点を合せることにした。
ZnO−1ペプチドの酸化亜鉛に対する親和性を推定するために、C末端にGGGSのグリセリンリンカーとシステイン残基をもつペプチドを独自に合成した。さらにそのペプチドを、システイン残基中のチオール基と金との結合を介して表面が金であるポリプロピレン板に固定した。図1に、蛍光酸化亜鉛微粒子を含む懸濁液と混合した後のZnO−1ペプチドのない平らなポリプロピレン−金の板(a)と、ペプチドを固定した平らなポリプロピレン−金の板(b)の写真を示す。両方の板は、紫外線放射(図1(a)、(b)の第2番目)のもとでは違いはないが、254nmの紫外線のもとでは、ペプチド固定板(図1(b)の3番、4番目)のみ、強度な酸化亜鉛特有の蛍光発光を示している。より詳細には、図1はプロピルプレン−金板の写真で、(a)はZnO−1ペプチド無し、(b)〜(d)はZnO−1ペプチド有りで、各板は、蛍光発光物である(a)、(b)は酸化亜鉛、(c)は硫化亜鉛、(d)は酸化ユウロピウム微粒子を含む懸濁液と混合されている。Line1の酸化亜鉛、硫化亜鉛及び酸化ユウロピウムの懸濁液は254nmで動きがあり、Line2の板は254nmで動きがなく、Line3の板は254nmで動きがあり、Line4の写真では、515nm切片フィルターを通し、254nmで動きがあった。
本発明者はさらに、酸化亜鉛(ZnO)に対するZnO−1ペプチドの特性を評価するため、ZnO−1ペプチド固定の板を硫化亜鉛(ZnS)微粒子もしくは酸化ユウロピウム(Eu23)微粒子懸濁液に浸した。その結果、硫化亜鉛(ZnS)もしくは酸化ユウロピウム(Eu23)微粒子懸濁液に浸したペプチド固定板では、254nm(図1、(c)、(d)の3番、4番目)で励起された板に何の蛍光発光も見られなかった。それゆえ、ZnO−1ペプチドは、酸化亜鉛の構造を認識することで特異的に酸化亜鉛の表面に結合することになる。さらには、他の選択されたペプチド(表1)も,同じ方法で評価した。その結果、ZnO−2及びZnO−3ペプチド固定の板は、酸化亜鉛特有の蛍光発光を示した。しかし、酸化亜鉛蛍光発光の強度は弱いものであった。
さらに本発明者は、酸化亜鉛識別ペプチドを使い、酸化亜鉛微粒子を水酸化亜鉛(ZnO(OH)2)ゾル溶液から合成する試みを行った。水酸化亜鉛ゾル溶液は安定していて、加熱や乾燥による脱水をしない限り、硬い固形微粒子は数週間観察されなかった。
一方、親和性の評価のために使用したZnO−1ペプチドを添加すると、4℃において1日で沈殿し、より正確にいうと、ゾル状態から固形状態へ変形した。ZnO−1ペプチドによる固形微粒子のX線回折(XRD)を図2に示す。図中、矢は、酸化亜鉛に調和する回折を指摘している。図2から分かるように、固形微粒子には酸化亜鉛の構造が認められ、回折ピークの幅から判断される微粒子の大きさは15〜35ナノメーターであった。これはZnO−1ペプチドがナノサイズでの酸化亜鉛の形成を誘導することを示唆している。さらに、我々はナイキらと同様の方法(R.R.Naik,L.L.Brott,S.J.Clarson,M.O.Stone,J.Nanosci.Nanotech.2002,2,95.)により、ZnO−1ペプチドを使ってオルソ酸溶解液からシリカの合成を試みた。しかしながら、ZnO−1ペプチドを添加しても、シリカの形成は認められなかった。ペプチドは酸化亜鉛の合成にのみ機能するように思われる。
ペプチドにより誘導された酸化亜鉛微粒子の形態を観測するために、固体粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を測定し、その結果を図3に示す。酸化亜鉛固形粉末は、花型異方性結晶の形態成長であり、とても均質なものであった。これは最初に見られる花型酸化亜鉛形態であると考えられる。一方、4〜90℃において水酸化亜鉛(ZnO(OH)2)ゾル溶液を乾燥することにより酸化亜鉛粉末の合成を試みたが、花型異方性結晶の成長は観測されなかった。ZnO−1ペプチドは花型酸化亜鉛形態を引き起こすと思われる。我々は、花型酸化亜鉛粉末のさらなる詳細構造を観測するために、蒸留水での超音波処理後における花型酸化亜鉛形態の透過型電子顕微鏡(TEM)画像を測定した(図4)。TEM画像は、大きさが10〜20ナノメーターのナノ微粒子を示しており、それは花型酸化亜鉛形態が酸化ナノ微粒子から形成されていることを表示している。観測された大きさは、XRD解析(図3)での評価に類似している。
さらに本発明者は、適用されたZnO−1ペプチドに見られる純粋な単量体アミノ酸の導入を試みた。しかしながら、何の沈殿物も観測されず、アミノ酸を含む乾燥水酸化亜鉛(Zn(OH)2)ゾル溶液により形成される固形物は花型形態を示さなかった。これは酸化亜鉛ペプチドの存在が、ナノ構造酸化亜鉛から形成される花型形態の構成を生じさせていることを示している。
金や銀のような無機化金属の基を有するペプチドは、コンビナントリアルライブラリー法から見出された。各イオン溶液におけるペプチドもしくは反復されるペプチドの導入は、多面体結晶体の成長をもたらす。ブラウンらは、結晶化機能をもつペプチドが化学環境、特に特定のpH域での変動を起こさせると示唆している。また、ナイキらは、ペプチドが、最初、水溶性銀イオン溶解液のなかで金属結晶の核と結合し、さらに、ペプチドと金属魂の相互作用が化学的に界面における還元性の環境を提供していると提案している(R.R.Naik,S.J.Stringer,G.Agarwal,S.Jones,M.O.Stone,Nature.,2002,1,169.)。ZnO−1ペプチドのpI(等電点、表1参照)を考慮すると、ZnO−1ペプチドは酸化亜鉛ゾル溶液(溶液のpHは7.0)のなかでは酸性であると考えられる。ZnO−1ペプチドは、おそらく水酸化亜鉛(ZnO(OH)2)からの脱水を誘導する局地的酸性環境を提供する。
脱水を伴う生物鉱物化は、シリカの沈殿で報告された。シリカテインの研究において、ヒスチジンとセリン残基の組み合わせがタンパク質の加水分解活性に必要であることを指摘しており、またコポリペプチド塊によるシリカ合成の生物擬態研究では、求核性と親核性成分の共存により、シリカ形成活性が増加されることを明らかにしている。ZnO−1ペプチドのアミノ酸配列においては、求核性側鎖(表1)を持つ二つのヒスチジン残基がある。それゆえ、ヒスチジン残基は水酸化亜鉛(ZnO(OH)2)からの脱水を惹起し、他の塩基性アミノ残基は親水性成分の役割をすると考えられる。
本発明者は、ZnO−1ペプチドを持つナノ構造酸化亜鉛から造られる独特な花型形態を作り上げた。均質な花型形態の形成には二つの可能性がある。酸化亜鉛ナノ微粒子自身の独自の自己組織化、もしくはペプチドと酸化亜鉛微粒子との相互作用を通しての酸化亜鉛ナノ微粒子の集合によるものである。シリカの場合、シラフィンの利用は球状シリカ微粒子のネットワーク形成を起こし、しかしシリカ微粒子の集合形態は何の規則性も見当たらない。シリカ形成の活性をもつシステインやリシン残基を持つコポリペプチドの二つの塊は、ポリペプチドの自己組織化に役立つシリカ微粒子の形状を制御することができるが、しかし微粒子は明らかに集合させられてはいない。シリカの研究が今回の酸化亜鉛の沈殿に適用されれば、ZnO−1ペプチドが、花型形態に自己組織化する傾向をもつ酸化亜鉛ナノ微粒子の形成を導けるかもしれない。
結論として、我々は、コンビナトリアルライブラリー法から酸化亜鉛への親和性と酸化亜鉛合成機能を持つペプチドを発見した。選択されたペプチドは、酸化亜鉛は認識するが、硫化亜鉛(ZnS)や酸化ユウロピウム(Eu23)は認識しない。ペプチドは、さらに、水酸化亜鉛(Zn(OH)2)ゾル溶液から直径10ナノメーター程の酸化亜鉛ナノ微粒子を合成し、それは均質な花型形態に集合する。この研究で発見されたペプチドは、ことによると酸化亜鉛を基板にしたハイブリット材への利用の可能性を秘めている。
(1)ペプチド提示ファージライブラリーからのクローン選択
表面に12−merペプチドを持つファージライブラリー(Ph.D.−12 Phage Display Peptide Library Kit,New England Biolab)を、酸化亜鉛に親和性を持つペプチド配列の選択に用いた。
バクテリオファージに融合されたペプチドのライブラリースケールは109であり、概ね1011程度のファージを、直径1μmの酸化亜鉛10mgと0.5%Tween20界面活性剤溶液を含む50mM Tris−HCL(pH7.5)1mlのなかで混合した。混合液を10分間、室温にて穏やかに振盪し、結合しないファージをファージ−酸化亜鉛溶液のなかで取り除いた後、酸化亜鉛微粒子と結合するペプチドを持つファージを、材料表面から溶離した。
溶離したファージを1011まで増幅し、酸化亜鉛懸濁液と混合した。この操作は3回行い、ファージに提示されたペプチド配列を35ファージについて分析した。
(2)蛍光酸化亜鉛微粒子を持つZnO−1ペプチドの親和性の計測
GGGSグリシンリンカーとC末端にシステイン残基をもつZnO−1ペプチドを有機的に合成した。ペプチドを有機板に固定するため、金皮膜ポリプロピレン板に沈着させ、C末端のシステイン残基における金とチオール基との結合を介して、ペプチドを固定化した。GGGSリンカーは板に固定されたペプチドの柔軟性を増加させるために追加された。ペプチド固定板を、蛍光酸化亜鉛(KASEI OPTONIX,Ltd,Japan)、硫化亜鉛もしくは酸化ユウロピウムを含む溶液(pH7.5)のなかに浸し、非特異的に結合した酸化亜鉛微粒子を取り除くために、0.5%Tween20水溶液で数回洗浄した。
(3)ZnO−1ペプチドによる酸化亜鉛の沈殿
0.1M硝酸亜鉛を、同量の0.2M水酸化カリウム溶液と混合した。水酸化亜鉛生成物を数回蒸留水ですすぎ、水酸化亜鉛の最終濃縮を0.1Mに調整した。ZnO−1ペプチド(20μlに1mg)20μlを水酸化亜鉛ゾル溶液1mgに添加し、1日、4℃で保存した。形成された固形微粒子は、残留水酸化亜鉛ゾル溶液を取り除いてから蒸留水で洗浄した。
XRD,SEMとTEM実験
XRDパターンは、Cu−Kα放射線を持つRINT−2000分光計(RIGAKU,Japan)に記録した。ペプチドにより沈殿させられた固形微粒子を蒸留水で洗浄し、XRD計測に直接使用した。
SEM画像は、20Kvで作動する日立S−4100Lにより行った。サンプルを真空状態で乾燥し、通常のイオンコーティング器具を使用し白金でコーティングした。
TEM画像は、120Kvで作動するJEOL LEM 3000Fで計測した。サンプル溶液は、炭素で補強されたコロジオンコーティングされた400メッシュ銅製格子の上で乾燥し、計測した。
今回選択されたZnO結合ペプチドは中性水溶液・室温下で選択的にZnO粒子と結合でき、金プレート上への選択的パターニングに成功した。また、そのペプチドはZn(OH)2からのZnO合成を選択的に触媒することが分かった。以上の結果は、ZnOペプチドのパターニングを鋳型にすることによって、ZnO粒子をアセンブリできるだけでなく、温和な条件下でZnOを選択的にパターニング上へ析出させることが可能であることを示唆している。
平らなポリプロピレン−金の板(a)と、蛍光酸化亜鉛微粒子を含む懸濁液と混合した後のZnO−1ペプチドを固定した平らなポリプロピレン−金の板(b)の紫外線照射後の蛍光発光写真である。 ZnO−1ペプチドによる固形微粒子のX線回折(XRD)を示す図である。 ペプチドにより誘導された酸化亜鉛微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す写真である。 花型酸化亜鉛の透過型電子顕微鏡(TEM)画像写真である。

Claims (4)

  1. 酸化亜鉛を特異的に認識するペプチドであって、以下(1)、(3)、及び(4)のいずれかで表されるアミノ酸配列を少なくとも備えてなることを特徴とする酸化亜鉛特異的認識ペプチド。
    Glu Ala His Val Met His Lys Val Ala Pro Arg Pro (1)
    Ala Thr His Thr Asn Gln Thr His Ala Leu Tyr Arg (3)
    Val Ser Asn His Lys Ala Leu Asp Tyr Pro Thr Arg (4)
  2. 請求項1に記載された酸化亜鉛特異的認識ペプチドを用いて、基材上に酸化亜鉛を選択的に固定化することを特徴とする酸化亜鉛の固定化方法。
  3. 酸化亜鉛を特異的に認識し、かつZn(OH)2水溶液から酸化亜鉛を粒子として析出させるペ
    プチドであって、以下(6)、(8)、及び(9)のいずれかで表されるアミノ酸配列を備えてなることを特徴とする酸化亜鉛特異的認識・析出ペプチド。
    Glu Ala His Val Met His Lys Val Ala Pro Arg Pro Gly Gly Gly Ser Cys (6)
    Ala Thr His Thr Asn Gln Thr His Ala Leu Tyr Arg Gly Gly Gly Ser Cys (8)
    Val Ser Asn His Lys Ala Leu Asp Tyr Pro Thr Arg Gly Gly Gly Ser Cys (9)
  4. 請求項3に記載された酸化亜鉛特異的認識・析出ペプチドを用いて、基材上に酸化亜鉛よりなるパターニングされた膜を形成してなることを特徴とする酸化亜鉛の製膜方法。
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