JP4635273B2 - 神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞増殖促進剤 - Google Patents

神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞増殖促進剤 Download PDF

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Description

本発明は、神経疾患の治療に用いることができる神経幹細胞、神経前駆細胞のインビトロでの培養の増殖率を増大させる新規な増殖促進剤、及びこれを有効成分として含む培養培地に関する。
神経疾患の治療として、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を移植し、損傷された中枢神経を再生する再生医療が注目されている。
神経疾患治療用の一定品質の神経幹細胞、神経前駆細胞を、必要量供給し続けるためには、安全性が担保された方式でのインビトロでの大量培養が必要となる。
このような移植用の細胞の培養には、組成が明らかでない血清を含んだ培地より、配合成分の種類と量が判明した無血清培地で培養することが、安全性確保の観点から望まれる。また、血清には、成分の同定できない未知の分化誘導剤が含まれているので、この点からも、無血清培地で培養することが望まれる。
神経幹細胞の無血清培地としては、例えば、特許文献1に開示されているように、細胞の生存に必要な基本培地、すなわち糖類、無機塩類、微量元素、ホルモン、必須アミノ酸、ビタミンを含む培地(例えばIscove改変Dulbecco培地(IMDM)、RPMI、DMEM、Fischer培地、α培地、Leibovitz培地、L−15、NCTC、F−10、F−12、MEM、McCoy培地)に、神経幹細胞の増殖を刺激する増殖因子を含有させたものが用いられる。
増殖因子としては、EGF、FGF2が必要であると認識されており、増殖率の増大のために、例えば、特許文献1に開示されてように、PDGF、NGF、LIF又はこれらの組合わせが添加されることが好ましい。
さらに、近年では、増殖率を上げるための成分として、その他の増殖因子やグリコサミノグリカンを添加した培地で培養することが提案されている。例えば、特表平10−509592(特許文献2)に、インビトロにおける神経幹細胞の増殖調節方法として、上皮増殖因子(EGF)、ヘパラン硫酸を添加することを開示している。また、特許文献1には、EGF、FGF2に加えて、さらに白血球遊走阻止因子(LIF)を添加することが提案されている。さらに、特許文献1には、EGF、FGF2、LIFに加えて、ヘパリンを添加することが提案されている。
特表2002−518990 特表平10−509592
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞の増殖率を増大させることができる新たな増殖促進剤を提供することにある。
本発明者らは、一般に増殖因子として認識されていないMCP−1が、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞(以下、これらを区別することなくいうときは、「神経幹細胞/前駆細胞」という)の増殖促進に寄与することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の神経幹細胞/前駆細胞増殖促進剤は、ヒト由来のMCP−1を有効成分とする。
本発明の神経幹細胞/前駆細胞増殖促進剤は、インビトロでの培養に好適に用いられる。
本発明の神経幹細胞/前駆細胞の培養方法は、インビトロの培養方法であって、1ng/ml以上のMCP−1存在下で培養することを特徴とする。
本発明の神経幹細胞/前駆細胞用培養培地は、細胞の生存に必要な基本培地に、MCP−1が1ng/ml以上、好ましくは1000ng/ml以上添加されているものである。EGF、FGF2及びLIFの少なくともいずれか1つが含有されていなくてもよいし、さらにいずれも含有されていなくてもよい。
本発明の神経幹細胞/前駆細胞増殖促進剤は、基本培地に添加するだけで、神経幹細胞/前駆細胞の増殖率を促進することができる。しかも従来より必要と考えられていた増殖因子であるEGF、FGF2及びLIFのいずれも含有していない培地であっても、本発明の神経幹細胞/前駆細胞増殖促進剤を添加することにより増殖率を増大させることが可能である。
本発明の神経幹細胞/前駆細胞の増殖促進剤は、MCP−1を有効成分とする。インビトロでMCP−1存在下で培養すると、神経幹細胞/前駆細胞の増殖が促進され、特にMCP−1の濃度が1ng/ml以上のときには、従来より増殖促進に必要と考えられている増殖因子(EGF、FGF2、LIF)不在下であっても増殖を促進することができる。
MCP−1(monocyte chemoattractant protein−1)は、塩基性でヘパリン結合性の高い92〜99アミノ酸からなるペプチドタンパク質群であるケモカインの1種で、最初の2つのシステイン残基が隣接してC−C構造をとっているC−Cケモカイン(chemotactic cytokine)に分類される。その受容体であるCCR2(chemokine receptor 2)、CCR11が知られており、これらは、7回膜貫通型G蛋白質共役型受容体として知られている。
このようなMCP−1は、従来より、単球、マクロファージ、繊維芽細胞、血管内皮細胞、上皮細胞、平滑筋細胞から産生されることが知られている。さらに、今回、本発明者らにより、神経幹細胞又は神経前駆細胞から産生されることが見出された。
本発明に用いられるMCP−1は、産生細胞の種類は限定しない。従って、単球、マクロファージといった免疫担当細胞;繊維芽細胞、血管内皮細胞、尿細胞管上皮細胞といった上皮細胞;平滑筋細胞、さらには神経幹細胞/前駆細胞から産生されるMCP−1いずれであってもよい。また、神経幹細胞/前駆細胞から産生されるMCP−1の場合、脳由来であっても、脊髄由来であってもよいが、脊髄由来の神経幹細胞/前駆細胞は少量であるから、脳由来神経幹細胞から産生されるMCP−1が好ましく用いられる。
増殖促進剤に用いられるMCP−1は、従来より公知の遺伝子組み換えの手法を利用して大量生産したものを用いることができる。例えば、プラスミド等のベクターを用いて、これに、ヒトMCP−1に対応するcDNA、このDNAの転写に必要なプロモータを組み入れて発現ベクターを作成し、大腸菌等を宿主細胞として培養、分泌させることにより、本発明に用いるMCP−1を大量生産することができる。尚、培養液からMCP−1を採取するにあたっては、孔サイズ0.22μm程度以下のフィルターを用いて濾過すればよい。
尚、MCP−1が神経系の細胞から分泌されているとの報告としては、脳損傷時、アストロサイトからMCP−1が分泌される(Glabinski AR,Balasingam V,Tani M,Kunkel SL,Strieter RM,Yong VW,Ransohoff RM,Chemokine monocyte chemoattractant protein−1 is expressed by astrocytes after mechanical injury to the brain.J Immunol.156:4363−8,1996)。また、β−アミロイドが脳腫瘍細胞のU373MG細胞を刺激して、MCP−1を発現することが報告されている(Prat E,Baron P,Meda L,Scarpini E,Galimberti D,Ardolino G,Catania A,Scarlato G.The human astrocytoma cell line U373MG produces monocyte chemotactic protein (MCP)−1 upon stimulation with beta−amyloid protein.Neurosci Lett.283:177−80,2000)。ヒト胚性癌細胞(Ntera 2、以下「NT2細胞」と略記)とそれを分化させて作成した神経細胞(NT2−N細胞)、ヒト胎児脳組織から樹立した正常ヒト神経細胞(12−15週齢由来)、正常アストロサイト(10−17週齢由来)を用いて検討した結果、NT2−Nとヒト正常アストロサイトからMCP−1が分泌されるが、未分化のNT2細胞からはMCP−1が分泌されなかったこと、MCP−1のレセプターのCCR2に関してはNT2−2N、ヒト正常神経細胞の両方に発現していることが報告されている(Coughlan CM,McManus CM,Sharron M,Gao Z,Murpy D,Jaffer S,Choe W,Chen W,Hesselgesser J,Gaylord H,Kalyuzhny A,Lee VM,Wolf B,Doms RW,Kolson DL.Expression of multiple functional chemokine receptors and monocyte chemoattractant protein−1 in human neurons.Neuroscience.97:591−600.2000)が、神経幹細胞からの分泌の可能性、およびその増殖との関連は、報告されていない。
一方、ヒト神経幹細胞が分泌するサイトカインについて検討した論文(Klassen HJ,Imfeld KL,Kirov II,Tai L,Gage FH,Young MJ,Berman MA. Expression of cytokines by multipotent neural progenitor cells. Cytokine.2003 May;22(3−4):101−6)において、MCP−1が発現されることは報告されていない。
また、ヒト胎児由来の神経幹細胞/前駆細胞を発現しているケモカインレセプターについては、CCR3(リガンドはeotaxin、RANTES、MCP−4)とCXCR4(リガンドはSDF−1)が報告されており、これらのレセプターのリガンドは、ヒト神経幹細胞/前駆細胞の増殖を抑えて分化を抑制して、ヒト神経幹細胞/前駆細胞の状態維持に貢献することが記載されている(Krathwohl MD、Kaiser JL.Chemokines promote quiescenece and survival of human neural progenitor cells.Stem Cells.22:109−18,2004)。また、CCR2がラットの神経細胞とアストロサイトに発現していること、その発現が脳内に誘起させた炎症反応で上昇すること、脳室内にMCP−1を注入した場合、ラットの運動、行動に対する影響が見られたことが報告されている(Banisadr G,Queraud−Lesaux F,Boutterin MC,Pelaprat D,Zalc B,Rostene W,Haour F,Parsadaniantz SM.Distribution,cellular localization and functional role of CCR2 chemokine receptors in adult rat brain.Journal of Neurochemistry 81巻:257−269,2002)が、神経幹細胞での発現状態やその機能に関する記載はない。また、21−23週齢のヒト胎児脳より樹立したGFAP陽性のアストロサイトにMCP−1のレセプターのCCR2が発現していること、1nMの濃度を最高点として、アストロサイトの走化性(chemotaxis)を促進すること、アストロサイトがMCP−1に反応してカルシウム排泄が変動することが記載されている(Andjelkovic AV.Song L,Dzenko KA,Cong H,Pachter JS. Functional expression of CCR2 by human fetal astrocytes. Journal of Neuroscience Research.70巻、219−231頁,2002)。また、ヒトアストロサイトにCCR2が発現していて、ヒトアストロサイトはMCP−1に反応して増殖することが報告されている(Rezaie P,Trillo−Pazos G,Everall IP,Male DK.,Expression of beta−chemokines and chemokine receptors in human fetal astrocyte and microglial co−cultures:potential role of chemokines in the developing CNS.Glia.37:64−75.2002)。
このように、MCP−1が神経幹細胞又は前駆細胞から分泌されるとの報告はない。また、MCP−1の生理活性としても、単球/マクロファージ浸潤、活性化による炎症選延;Th1/Th2制御;血管内皮細胞の遊走からの血管新生作用;流血中の探求と血管内皮細胞との接着などが報告されている。また、MCP−1発現は動脈硬化の危険因子である高脂血症はじめ動脈硬化が生じやすい動脈分岐部などにおける乱流や層流、ずり応力の変化により亢進すること;in vitroにおいてIL−1、TNF刺激により線維芽細胞様の滑膜細胞がMCP−1を産生することなどが報告されている。しかしながら、神経幹細胞、神経前駆細胞との関係は報告されていない。
本発明の神経幹細胞/前駆細胞の増殖培地は、細胞の生存増殖に必要な成分(無機塩類、糖類、ホルモン、必須アミノ酸、ビタミン、微量元素)を含む基本培地(例えば、Iscove改変ダルベッコ培地(IMDM)、RPMI、DMEM、Fischer培地、α培地、Leibovitz培地、L−15培地、NCTC培地、F−12培地、MEM、McCoy培地)に、本発明の増殖促進剤であるMCP−1を含むものである。
MCP−1は、1ng/ml以上含有することが好ましい。1ng/ml以上含有することで、従来より増殖に必要であると認識されていた増殖因子(塩基性繊維芽細胞増殖因子(FGF2)、上皮増殖因子(EGF)又は白血球遊走阻止因子(LIF))の増殖効果を増強することが可能であり、1000ng/mlの濃度では、これらの増殖因子が不在下であっても、これらが存在するときと同程度に増殖することができる。
尚、本発明の増殖培地には、基本培地に、MCP−1を含有するものであればよいが、塩基性繊維芽細胞増殖因子(FGF2)、上皮増殖因子(EGF)又は白血球遊走阻止因子(LIF)を含有してもよい。これらが共存する場合には、MCP−1の含有濃度を減らすことができる。さらにこれらの増殖因子を併用することにより、MCP−1単独で培養するときよりも増殖率が増大する。
また、増殖率を増大させるために、さらにインスリン、プロゲステロン、プタレッシン、トランスフェリン、セレナイトの添加物、あるいは神経細胞培養用添加物が含まれているB27添加物やN2添加物と、必要に応じて、ヘパリンやヘパラン硫酸又はこれらの脱硫酸化グリコサミノグリカンが含有されていてもよい。また、必要に応じて、抗生物質が含有されていてもよい。
〔神経幹細胞/前駆細胞〕
ヒト神経幹細胞/前駆細胞は、国立病院大阪医療センター倫理委員会及び産業技術総合研究所の倫理委員会承認の下、ヒト胎児前脳ならびに脊髄部より取り出した神経幹細胞及び神経前駆細胞(以下、これらをまとめて「hNSPC」という)を神経幹細胞増殖培地で継代培養して得られたニューロスフェアを測定に用いた。
〔神経幹細胞培養培地〕
下記実施例で使用した培地組成は、以下の通りである。
(a)増殖因子入り神経幹細胞培養培地
DMEM /F12(1:1混合物、シグマ社)
ヒト組換え(以下「hr−」と略記する)EGF(Pepro Tech社)20ng/ml
hr−FGF2(Pepro Tech社)20ng/ml
hr−LIF(ケミコン・インターナショナル社)10ng/ml
ヘパリン(シグマ社)5mg/ml
B27(インビトロジェン社)
HEPES15mM
Antibiotic−antimycotic(インビトロジェン社)
(b)増殖因子無添加神経幹細胞培養培地
DMEM /F12(1:1混合物、シグマ社)
ヘパリン(シグマ社)5mg/ml
B27(インビトロジェン社)
HEPES15mM
Antibiotic−antimycotic(インビトロジェン社)
〔細胞増殖評価法〕
hNSPCの増殖評価は、ATP測定法にて、実施した。hNSPCを1×10細胞/mlの濃度で、96ウェルに播種後、ATP法の発光試薬(celltiter−GLOプロメガ)を加えて、それぞれの発光量を発光プレートリーダーにより測定し、細胞増殖を評価した。
〔hNSPCの培養上清に発現する液性因子の探索〕
脳由来hNSPC(NSC12)を前述の増殖因子入りhNSPC用培養培地(a)で75Tフラスコに1×10細胞/mlの濃度で播種後、1週間培養した後、培養液を回収した。この培養液を、孔サイズが0.22μmのフィルターで濾過、細胞及び細胞くずを除去して、培養上清を得た。この培養上清について、RayBio Human Cytokine Antibody Array(RayBiotech社)を用いて、以下の方法により、培養上清中に発現しているサイトカインを検出した。
各種サイトカインが貼付けられたメンブレンをブロッキングバッファー(RayBiotech社)で1時間、室温でゆるやかに振盪しながら培養した。ブロッキングバッファーの除去後、培養上清サンプルを1ml添加し、4℃でゆるやかに振盪しながら、一晩、インキュベートして、培養上清に含まれるサイトカインをメンブレン上の抗体に結合させた。培養上清サンプルを除去した後、Wash Buffer I(RayBiotech社)を2mlを用いて5分間で3回振盪しながら洗浄し、次いで、Wash Buffer II(RayBiotech社)を2ml用いて、5分間で2回振盪しながら洗浄した。
メンブレン上の抗体に結合したサイトカインの二次抗体として、ビオチン結合抗体を2時間室温でゆるやかに振盪しながら、反応させた。未反応のビオチン結合抗体を除去し、洗浄した後、HRP結合ストレプトアビジンを1時間室温でゆるやかに振盪しながら、インキュベートし、洗浄後、Detection Buffer(RayBiotech社)を1ml添加し、室温で5分間ゆるやかに2回振盪しながら反応させ、水分を軽く除去した後、X−rayフィルムを用いて、シグナルを検出した。
コントロールとして、細胞を培養しなかった培地のみについて、RayBio Human Cytokine Antibody Arrayを用いて、同様に、インキュベートした後、洗浄後、ビオチン結合抗体と反応させ、洗浄後、HRP結合ストレプトアビジンと反応させ、X−rayフィルムを用いて、シグナルを検出した。
コントロール及びNSPC培養上清のX−Rayフィルムのうち、MCP−1部分の結果を図1に示す。コントロール(図1(a))では、何等シグナルが検出されなかったのに対し、hNSPCの培養上清ではシグナルが検出され、MCP−1が存在することが判明した。
〔hNSPCの培養上清によるMCP−1産生の経時変化の測定〕
hNSPCを前述の増殖因子入りhNSPC用培養培地(a)で75Tフラスコに1×10細胞/mlの濃度で播種し、培養開始直後、1日目、3日目、6日目、9日目と経時的に培養液を回収した。回収した培養液を、孔サイズが0.22μmのフィルターで濾過して、細胞及び細胞くずを除去して、各培養時の培養上清を得た。
これらの培養上清10μlづつ、4〜20%ポリアクリルアミドゲル濃度勾配ゲル(第1化学薬品製)を用いたSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を行なった後、セミドライトランスファー法により、ニトロセルロース膜(ADVANTEC社製)にゲル中のタンパク質を転写した。抗体の膜への非特異的吸着を抑止するため、5%スキムミルク、0.1%Tween20、リン酸緩衝液入り生理食塩水(PBS)にて処理した後、抗ヒトMCP−1抗体(rabit anti human MCP−1 polyclonal antibody;PERPROTECH社製)と反応させ、さらにPBSにて洗浄後、二次抗体としてHRP標識抗ウサギ抗体(Amersham Bioscience社製)と反応させた。バンドの検出は、Amersham Pharmacia Biotech社製のECL plus Western blotting detection kitを用いたECL法にて一次抗体が認識結合した蛋白質のバンドを検出した。MCP−1は、8.6kDaのバンドとして現れる。
図2より、hNSPCの培養上清には、8.6kDaの位置に、培養日数が経るにつれて、濃くなっていくことがわかる。つまり、MCP−1が培養によりhNSPCから分泌され、培養上清中に蓄積されたことがわかった。
〔他の細胞の培養上清におけるMCP−1の分泌測定〕
脳由来hNSPC(NSC12)以外で、同じヒト脳由来の2つのhNSPC(NSC5、NSC6)及び脊髄由来hNSPCの3細胞(NSC8、NSC9、NSC13)も、同様にして培養開始直後、1週間後の培養液を回収した。回収した培養液を0.22μmのフィルターで濾過して、細胞及び細胞くずを除去して、培養上清を得た。
この培養上清について、前述と同様にして、アクリルアミドゲル電気泳動を行ない、ニトロセルロース膜に転写させた。非特異吸着をブロックして、抗ヒトMCP−1抗体、続いてHRP標識抗ウサギ抗体と反応させ、MCP−1のバンドを検出した。結果を図3に示す。
図3から、ヒト脳由来の神経幹細胞、神経前駆細胞(NSC5、NSC6、NSC12)の培養上清では、8.6kDaのバンドが穀現れ、MCP−1が分泌されたことが確認できた。一方、脊髄由来の神経幹細胞、前駆細胞(NSC8、NSC9、NSC13)では、あまり濃いバンドは得られなかった。従って、インビトロ培養中におけるMCP−1の分泌は、脳由来のhNSPCからが顕著であると考えられる。
〔神経幹細胞の培養に対するMCP−1添加の影響〕
前述の増殖因子入りhNSPC用培養培地(a)で培養されている脳由来hNSPCに、様々な濃度のヒト組換えMCP−1(rh−MCP−1、PERPROTECH社)を添加し、各濃度における細胞増殖をATP法で評価した。
結果を図4に示す。図4から、MCP−1の添加濃度が高い程、脳由来hNSPCの増殖率が高くなっていた。従って、MCP−1は増殖因子(EGF、FGF2、LIF)の作用を増強させて、脳由来hNSPCの増殖促進に役立つことがわかる。
〔神経幹細胞に対する抗MCP−1抗体の添加の影響〕
増殖因子入りhNSPC用培養培地(a)に、様々な濃度の抗MCP−1抗体(PERPROTECH社製)を添加して、脳由来ヒト神経幹細胞/前駆細胞を培養し、各濃度における細胞増殖をATP法で評価した。結果を図5に示す。
図5より、抗MCP−1抗体の添加濃度に依存して、脳由来hNSPCの増殖が抑制されることがわかった。従って、培養上清中にhNSPCから分泌されたMCP−1が、脳由来hNSPCの増殖に関与していることがわかる。
〔MCP−1のhNSPCの増殖因子としての評価〕
増殖因子無添加の神経幹細胞培地(b)に、種々の濃度でMCP−1を添加して、脳由来hNSPCを6日間培養し、増殖率を測定した。結果を図6に示す。参考のために、前述の増殖因子入りhNSPC用培養培地(a)の増殖率の測定結果を併せて図6に示す。
MCP−1を添加することで、増殖因子を全く含有していないコントロールよりもhNSPCの増殖率は上昇することが判明した。さらに、1000ng/mlを添加した場合には、3つの増殖因子(EGF、FGF2、LIF)のいずれも存在しなくても、増殖因子入りhNSPC用培養培地を用いた培養と同程度の増殖率を示した。従って、MCP−1は、単一で従来の3種類のの増殖因子の配合に匹敵する増殖促進効果を有することがわかる。
〔脊髄由来hNSPCに対するMCP−1添加の効果〕
増殖因子添加の培地(a)に、MCP−1を種々の濃度で添加して、脊髄由来hNSPCを培養し、増殖率を測定した。参考のために、脳由来のhNSPCを増殖因子添加の培地(a)で培養した場合の増殖率の測定結果を、併せて図7に示す。図7中、FBrが脳由来hNSPCの場合であり、縦軸は、MCP−1を含まないときのFBrの増殖率を100%としたときの増殖率を示している。
脊髄由来のhNSPCは、MCP−1を含有しない場合には、脳由来のhNSPCの40%程度の増殖率しか示さないが、MCP−1を添加すると、濃度依存的に増殖率が増大していることがわかる。従って、MCP−1は、増殖率が一般に劣っている脊髄由来hNSPCの増殖促進剤としても有効である。
本発明の神経幹細胞増殖促進剤は、従来より増殖促進に必要と考えられてきた増殖因子EGF、FGF2、及びLIFの同時添加と同等の増殖効率を、単独で得ることができるので、他の増殖因子との作用を考慮することなく、hNSPCの増殖を促進することができる。従って、神経幹細胞のインビトロでの培養を効率よく行なうための増殖促進剤として利用できる。
コントロール及びNSPCの培養上清のMCP−1検出の有無の測定結果を示すXレイフィルムである。 培養hNSPCのMCP−1分泌に関する経時変化をウエスタンブロット法で測定した結果である。 他の細胞のMCP−1分泌についてウエスタンブロット法で測定した結果である。 MCP−1濃度と増殖率との関係を示すグラフである。 抗MCP−1抗体濃度と増殖率との関係を示すグラフである。 増殖因子の存在及び不在下における増殖率を示すグラフである。 脊髄由来の神経幹細胞/前駆細胞におけるMCP−1濃度と増殖率との関係を示すグラフである。

Claims (7)

  1. ヒト由来のMCP−1を有効成分とする神経幹細胞/前駆細胞の増殖促進剤。
  2. インビトロでの培養に用いられる請求項1に記載の神経幹細胞/前駆細胞の増殖促進剤。
  3. 1ng/ml以上のMCP−1存在下で培養する神経幹細胞/前駆細胞のインビトロ培養方法。
  4. 細胞の生存に必要な基本培地に、MCP−1が1ng/ml以上添加されている神経幹細胞/前駆細胞用培養培地。
  5. MCP−1を1000ng/ml以上含有する請求項に記載の神経幹細胞/前駆細胞用培養培地。
  6. EGF、FGF2及びLIFの少なくともいずれか1つを含有しない請求項4又は5に記載の神経幹細胞/前駆細胞用培養培地。
  7. EGF、FGF2及びLIFのいずれも含有しない請求項6に記載の神経幹細胞/前駆細胞用培養培地。
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