JP4635183B2 - 傾斜ポーラスセラミックス複合材を用いた気流浸出冷却による広域熱防御技術 - Google Patents

傾斜ポーラスセラミックス複合材を用いた気流浸出冷却による広域熱防御技術 Download PDF

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本発明は、耐熱材料、耐熱システムー般に関するものであり、特に航空宇宙分野における耐熱、熱防御要素技術、熱防御システムに関する。
高温となる構造物の壁面を高エンタルピガスから防御する技術として、壁面からの気流吹き出しを実行するという発想は新規なものではなく、現在でもフィルム冷却、浸出(トランスピレーション)冷却として、ガスタービンのブレード、燃焼器側壁の冷却などとして検討されている。しかしこれら従来の技術はガス温度がたかだか4,000K程度までの応用を目指したものであり、特殊な燃焼ガスを除いては壁面が著しく酸化または還元雰囲気にさらされることはない。従って技術的には、純粋に気流吹き出しによる熱流束のブロッキングを想定したものに過ぎない。これに対し、例えば極超音速機の飛行環境など、機体周囲の気体温度が8,000〜12,000Kとなる高い熱負荷環境では、大気中の酸素原子はほぼ完全に解離し、壁面は著しい酸化雰囲気にさらされることになる。このような状況では、壁面は熱的な負荷による溶損のみならず強い酸化をうけることになり、耐熱性と耐酸化性を兼ね備えた熱防御技術を用いなければならない。現在、この要求を完全に満足させる耐熱材料や熱防御技術は存在せず、例えばスペースシャトルの耐熱タイルにおいては再使用性と信頼性向上の面で大きな障害となっている。
気流吹き出し冷却を行う際には、気流吹き出しに伴う主流の乱れを可能な限り抑制することが望ましく、気孔率が高いポーラスセラミックスを耐熱材料としてガスを一様に吹き出す方法は有効であり、これを用いた熱防御技術(例えば特許文献1参照)が提案されているところである。一般にポーラスセラミックスは数ミクロン〜数十ミクロンの微小粒径セラミックを焼結することで形成されるもので、内部構造として微小空洞を有するセラミック材である。材質としてアルミナ、窒化珪素、ジルコニア、炭化珪素など、耐熱性の高いものの開発も可能であり、一般にフィルターなどとして利用されているものである。しかしこのポーラスセラミックスを耐熱材料として用い、表面からガスを一様に吹き出す従来の技術では、例えば極超音速機のノーズコーン周りや翼前縁など、外部壁面圧力と熱流束の分布が局所的に変化する場合に効率よい冷却を行わせることが困難である。この理由は、外部圧力が高く(同時に熱流束も大きい)部分はガスの吹き出しが阻害され、逆に外部圧力が低い(熱流束が小さい)部分では過剰のガスが漏れ出てしまうため、冷却効果にムラが生じてしまうことになる。これを克服するために、ポーラスセラミックス背面の圧力を外部圧力に応じて調整しようというアイデアもあるが、熱防御システムとしては複雑となり重量も増加するため現実的とはいえない。
耐熱材としてセラミックスを使用する場合の問題点は、セラミックスの靭性が低く、熱衝撃に弱いという点であり、有孔率の高いポーラスセラミックスでは特に問題となる。これを克服するために繊維強化セラミックス(FRC)を用いることが有効と考えられ、スペースシャトルの耐熱タイルではガラス繊維強化セラミックスが使用されているが、吹き出し冷却を行うためのポーラスセラミックス複合材としての製造法は確立されていない。
特開2005−42721号公報 「冷却媒体および多孔質部材で表面を有する機器を冷却する方法、浸出冷却装置、ならびに構造を冷却する方法」 平成17年2月17日公開
本発明の課題は、ポーラスセラミックスからなる耐熱材料の表面からガスを一様に吹き出す方式の熱防御システムにおいて、熱流束が極めて高く、雰囲気ガスが酸化/還元性を有し、雰囲気ガス圧力と熱流束が空間的に変化する環境においても適正なガスの吹き出しを実現できる高耐熱、簡易かつ軽量の気流浸出冷却システムを提供することにある。
本発明の傾斜ポーラスセラミックス複合材を用いた気流浸出広域熱防御システムは、外部気流圧力と熱流束分布に対応させて適切な冷媒の浸出分布が与えられるように気孔率及び/または厚みを傾斜的に調整した繊維強化ポーラスセラミックス複合材をべース材と接合して耐熱壁を構築し、背面より加圧冷媒を供給して前記耐熱壁から外気中へ浸出させることにより冷却システム要素を形成するようにした。そして、繊維強化によりポーラスセラミックスの靭性を向上させる繊維材は、壁厚み方向に繊維含有率を傾斜させて配合し外部壁面表面での浸出ガス分布の乱れを低減させたものとするようにした。
本発明の傾斜ポーラスセラミックス複合材を用いた広域熱防御システムは、耐熱壁背面がハニカム構造を介して圧力隔壁に結合され、前記ハニカム構造の圧力隔壁側には圧力室を形成するようにし、前記圧力隔壁には冷媒を供給する供給ポートが配置されたものとした。
本発明の傾斜ポーラスセラミックス複合材を用いた広域熱防御システムは、1形態として傾斜ポーラスセラミックス複合材を用いた本発明に係る広域熱防御システムでは広域の耐熱壁が複数のセグメントで分割形成されるようにし、供給ポートへ冷媒を供給する供給管はセグメント面を巡るように配管されるようにした。
本発明に係る広域熱防御システム用の傾斜ポーラスセラミックス複合材を得る製造方法は、炭化珪素ファイバー繊維織り込み時にSi粉末とフェノール樹脂の配合を面内で傾斜させたマトリックスを配し、乾燥、成形後、反応焼結させることにより製造するものとした。
また、他の製造方法として、繊維プリフォームにSiC前駆体の有機ケイ素ポリマーを含浸・熱分解させるPIP法において、含浸工程の回数を領域毎に調整することで面内有孔率分布を調整する広域熱防御システム用の傾斜ポーラスセラミックス複合材を得る方法を提示した。
本発明に係る広域熱防御システムの使用方法として、酸化/還元雰囲気での耐熱壁面の耐酸化/還元性を向上させることを目的として、冷媒として3,000Kまで不活性かつ低熱伝導のガスを採用し浸出させることを提示した。更に具体的には冷媒として液体窒素を採用し、貯蔵時の比体積が抑制し、各耐熱セグメントヘの配管により構造パネルをも冷却とガスの気化を促進させる広域熱防御システムの使用方法を提示した。
本発明の傾斜ポーラスセラミックス複合材を用いた気流浸出広域熱防御システムは、外部気流圧力と熱流束分布に対応させて適切な冷媒の浸出分布が与えられるように気孔率及び/または厚みを傾斜的に調整した繊維強化ポーラスセラミックス複合材をべース材と接合して耐熱壁を構築し、背面より加圧冷媒を供給して前記耐熱壁から外気中へ浸出させることにより冷却システム要素を形成するようにしたものであるから、領域毎に圧力を調整するシステムを備えることなく、背面より一定圧の加圧冷媒を供給するだけで、外部気流圧力と熱流束分布に対応した冷却ガスの浸出を実現し、好適な冷却システムを提供できる。そして、繊維強化によりポーラスセラミックスの靭性を向上させる繊維材は、壁厚み方向に繊維含有率を傾斜させて配合したことにより、耐熱衝撃性を向上させると共に外部壁面表面での浸出ガス分布の乱れを低減させ面方向に傾斜させた気孔率を繊維材が外表面近傍で妨げない気流浸出広域熱防御システムを実現できた。
本発明の傾斜ポーラスセラミックス複合材を用いた広域熱防御システムは、耐熱壁背面がハニカム構造を介して圧力隔壁に結合され、前記ハニカム構造の圧力隔壁側には圧力室を形成するようにし、前記圧力隔壁には冷媒を供給する供給ポートが配置されたものとしたことにより、ハニカム構造を流路として冷媒を傾斜ポーラスセラミックス複合材へ供給し、外表面から浸出させるように冷却ガスの流れを方向づけることができる。
また、本発明の1形態として傾斜ポーラスセラミックス複合材を用いた本発明に係る広域熱防御システムでは広域の耐熱壁が複数のセグメントで分割形成されるようにしたので、単純構造でない複雑な曲面形状の構造体であっても区分領域毎にパネル形成することができる。また、供給ポートへ冷媒を供給する供給管はセグメント面を巡るように配管したときは、その構成により構造パネルの冷却とガスの気化を促進させる作用効果を奏する。
本発明の傾斜ポーラスセラミックス複合材を用いた気流浸出冷却による広域熱防御技術は、傾斜ポーラスセラミックスを用いることにより、外部気流への擾乱を最小限に抑制しながら外部気流圧力と熱流束分布に対して適切なガス浸出分布を与えることが可能で、広域の壁面を単一の熱防御壁、単一圧力の気密室により熱防御することが可能である。これにより、システムを簡易かつ軽量で構築することができる。
本発明に係る広域熱防御システム用の傾斜ポーラスセラミックス複合材を得る製造方法は、マトリックスであるセラミックスの有孔率を面内方向に傾斜させる製造手法により、任意のガス浸出分布を実現することが可能である。そして、反応焼結法により上記仕様の傾斜ポーラスセラミックス複合材を製造する場合は、成型体の収縮は他の手法と比較して小さく抑えることが可能で、製造工程も簡略化される。また、PIP法による含浸工程を調整する手法では、繊維含有率を面垂直方向に傾斜させるのが困難であるが、面内方向の有孔率傾斜をより細かく正確に調整することが可能である。
酸化/還元雰囲気に曝される中で、冷媒として3,000Kまで不活性かつ低熱伝導のガスを採用し浸出させることとした本発明に係る広域熱防御システムの使用方法は、高温の厳しい環境下でも安定した不活性ガスの浸出がなされるため、耐熱壁面の耐酸化/還元性を向上させることができた。更に冷媒として液体窒素を採用し、貯蔵時の比体積が抑制し、各耐熱セグメントヘの配管により構造パネルをも冷却とガスの気化を促進させる広域熱防御システムの使用方法においては、貯蔵時の比体積が抑制され、各耐熱セグメントヘの配管が構造パネルをも冷却できるなど副次的な効果も奏する。
本発明の傾斜ポーラスセラミックス複合材を用いた気流浸出冷却システムは、対象構造物についての外部気流圧力と熱流束分布特性を求め、その分布特性を示す環境下において一定の背圧によって適正量のガスに代表される冷媒がパージされるようにするものである。それを実現させる1つの形態を図1に示す。これは、所望のガス流出が得られるように気孔率を傾斜的に調整した繊維強化ポーラスセラミックス複合材1を機械的強度を備えるためべ一ス材2と接合して耐熱壁を構築する。このベース材2は冷媒を繊維強化ポーラスセラミックス複合材1へ通過させる必要があるため、板状体ではなく網形状のような構造物が用いられる。また、外部気流圧力と熱流束分布に対して適切なガス浸出分布が与えられるように、この耐熱壁と構造壁を兼ねる圧力隔壁4の間を、冷媒の横方向の移動を可能とするハニカム構造3で接続し、冷却システム要素を形成する。冷媒の横方向の移動を可能とするハニカム構造とは、ハニカムを形成する壁に貫通孔を設けたり、ハニカム構造3と圧力隔壁4との間を要所でブリッジ接続する等の設計が可能である。また、これの派生型の形態として、気孔率を傾斜的に調整する代わりにポーラスセラミックス1の厚みを調整することで冷媒透過率分布を変化させる手法を提示する。図2に示したものがそれである。また、上記2つの形態を併用してガス浸出分布を与える手法も本発明に採用できる。冷媒透過率に傾斜特性を持たせたポーラスセラミックスを利用することで、外部気流圧力と熱流束分布が変化する広域の壁面を、単一の熱防御壁、単一圧力の気密室により熱防御することが可能となり、システムを簡易かつ軽量で構築することができる。
しかし、ポーラスセラミックスという素材には機械的歪みにもろいという弱点がある。そこで、ポーラスセラミックスの靭性を強化するために、本発明では繊維強化セラミックス複合材を用いるようにした。外部壁面表面での浸出ガス分布の乱れを低減させるため、図3に示すように、繊維含有率が外表面に近づくに従い漸次減少するように傾斜させて形成し、表面ではほぼポーラスセラミックスのみで構成されるようにする。面に垂直方向の傾斜分布は、熱応力分布の急激な変化による破壊を抑制する効果も有する。傾斜ポーラスセラミックス複合材1の製造法として、第1に提示するものはSiCマトリクスを用いたSiC/SiC複合材料を用いるもので、この場合は、図4に模式的に示すようにSiC繊維5織り込み時にSi粉末6とフェノール樹脂7の配合を面内で傾斜させたマトリックスを配し、乾燥、成形してプリプレグ8を作成する。SiC繊維5の密度を変えて同様にSi粉末6とフェノール樹脂7の配合を面内で傾斜させたマトリックスを配し、乾燥、成形する。この工程を順次積層して行い、厚み方向にはSiC繊維密度が傾斜した素材を形成する。これを反応焼結法により焼結することで、図3に示したような面内に気孔率を傾斜させると共に、繊維含有率が外表面に近づくに従い漸次減少するように傾斜するように形成したポーラスマトリックス複合材1を得ることができる。
第2の製造方法として、繊維プリフォームにSiC前駆体の有機ケイ素ポリマーを含浸・熱分解させるPIP(Polymer Infiltration and Pyrolysis)法を応用したものを提示する。この製造法は図5に模式的に示したように、SiC繊維5で形成された繊維プリフォームにフェノール樹脂を塗布して加熱し、まずポーラス炭素マトリックスを形成する。この素材にSiC前駆体の有機ケイ素ポリマー9を含浸・熱分解させ、炭化珪素を形成させるのであるが、気孔率を低く抑えたい部位では気孔率を高くしたい部位に比べ、有機ケイ素ポリマーの含浸工程の回数を増加させることにより、SiCの密度を高くし、結果的に面内有孔率を任意の分布に調整したプリプレグ8を生成する。この素材の上にSiC繊維5の密度を変えた織物を重ね、同様の手法で面内有孔率を任意の分布に調整したプリプレグ8を形成し、順次SiC繊維5の密度が密のものから粗のプリプレグ8を順次積層し、これを加熱工程を加えることで、図3に示したような面内に気孔率を傾斜させると共に、繊維含有率が外表面に近づくに従い漸次減少するように傾斜するように形成したポーラスマトリックス複合材1を得ることができる。
酸化/還元雰囲気にさらされる構造体の耐熱壁面の耐酸化/還元性を向上させるためには、浸出ガスとして熱伝導性が低く3,000K程度まで不活性の特性を持つガスを用いることが必要である。冷媒は貯蔵状態で気体であっても差し支えないが、貯蔵時の比体積を考慮すると液体であるほうが望ましい。例えば、図6に示すように冷媒熱防御壁をセグメントに分割し、各セグメントに備えられる供給ポート10へ冷媒を供給源から供給する供給管11がセグメント面を巡るように配管する。このように配管することにより構造パネルを冷却すると共に冷媒の気化を促進するという作用効果を奏する。代表的な冷媒としては窒素が用いられる。
第1実施例として単一翼全体の冷却システムの一例を図7に示す。これはガスタービン翼列や、極超音速機カナードなど、小型翼全体を冷却するものに適用できる。小型翼12の場合、その構造を中空の傾斜ポーラスセラミックス複合材1で形成することができる。その中空の部分を冷媒の流路、あるいは気密室とすることで前述した圧力隔壁4などが不要となり、システムの簡素化と軽量化を図ることができる。ただし、この場合、セラミックス複合材1が構造強度を担うこととなるため、強度設計においては注意が必要となる。
やや中規模の翼について等、セラミックス複合材1単体での翼構造を構成することが強度的に無理なときは、この派生型として、図8に示すように多孔を有する補強プレート13を中空内面に接着し、補強プレート間に梁14を設ける方法で構造強度を増加する手法を提示する。
次に、燃焼器スロートや、ノズル壁面の冷却システムに本発明を適用した実施例を示す。この場合は、高温のガスに曝される面が構造体の外周面ではなく内周面となる。図9に示すものは燃焼器スロートやノズル壁面を冷却するシステムの一例であり、外部隔壁15と仕切り構造により形成される縦溝16により、冷媒は傾斜ポーラスセラミックス複合材1の背面に供給される。大規模ノズルでは傾斜ポーラスセラミックス複合材の一体成型・焼結が困難となるが、小〜中規模ノズルの場合スロート一体化の製造が可能である。浸出冷却の場合、内燃ガス圧力分布は浸出圧力分布とバランスするか後者よりやや低めとなるため、ポーラスセラミック表面は燃焼圧を受けず、構造強度は外部圧力隔壁15が担うことになる。このため、燃焼圧を壁面で直接受ける受動的耐熱システムと比較して、壁面セラミックスの応力は低減される。
次に、極超音速機の翼前縁の冷却システムに本発明を適用した実施例を示す。図10に示したものは極超音速機など、やや大規模の翼前縁の冷却システムの一例である。この場合、冷却部位が広域かつ大規模となるため、幾つかの傾斜ポーラスセラミックス複合材1を冷却セグメントに分割して、全体として一つの冷却システムを構成する。因みにこの例では翼前縁を長手方向に複数ブロックに分割すると共に、各分割ブロックを上部と中間部そして下部のセグメントに分割している。翼全体としては外部流の圧力と熱流速分布に最適なガス浸出が連続的に接続するように、各セグメントのガス透過率を設計して製造する。各セグメントにおいて気孔率あるいはガス透過率を適切に傾斜させることにより、浸出ガス量は翼各部の圧力及び熱流束に対応したものとされるため、冷媒を流入する供給ポート10へは一定の冷媒圧力で供給すればよく、隔壁内では供給源と供給ポート10をつなぐように単純に供給管11を配管すればよい。各セグメントの隔壁内圧を個別に調整する場合には、冷媒はそれぞれの調圧システムを通して各セグメントヘ供給される必要があるが、本実施例のようにすべてのセグメントで同一の隔壁内圧を用いる場合、(冗長系を除けば)調圧システムは単一のものでよく、また配管も共通でよい。従って従来の手法のように、浸出ガス分布を与えるために多くの調圧システムを準備する必要がなく、システムは簡素化され重量も低減される。
最後に、極超音速機のノーズ部に本発明を適用した実施例を示す。図11に示したものは極超音速機のノーズ部の冷却システムの一例であり、基本的な設計思想は大規模翼前縁の場合に準じ、幾つかの傾斜ポーラスセラミックス複合材冷却セグメントに分割して全体として一つの冷却システムを構成し、それぞれのセグメントへは一定の冷媒圧力で供給する。因みにここに示した例では機体軸方向に複数ブロックに分割し、機首先端部を1つのセグメントに、次のブロックからは周方向に複数のセグメントに分割して極超音速機のノーズ部を構成している。それぞれのセグメントは、極超音速飛行時におけるノーズ部の外壁の圧力及び熱流束分布に対応させてその部分の気孔率を傾斜させた傾斜ポーラスセラミックス複合材1となる。
航空宇宙分野における耐熱、熱防御システムー般として利用できることは当然として、他の具体的な応用例として、ガスタービン翼、燃焼室壁面、燃焼器スロート壁面、ノズル壁面、極超音速機の外部壁面などが想定できる。
本発明に係る傾斜ポーラスセラミックスによる熱防御壁の概念図である。 本発明の他の傾斜ポーラスセラミックスによる熱防御壁の概念図である。 繊維強化された傾斜ポーラスセラミックス複合体の概念図である。 反応焼結法による傾斜ポーラスセラミックス複合体製造方法を説明する図である。 PIP法を用いた傾斜ポーラスセラミックス複合体製造方法を説明する図である。 配管系の再生冷却による構造パネル冷却形態を説明する図である。 小型翼を本発明の傾斜ポーラスセラミックス複合体で一体成形した実施例を示す図である。 小〜中型翼の強度補強を施した実施例を説明する図である。 スロート及び小規模ノズルを本発明の傾斜ポーラスセラミックス複合体で構成した実施例を示す図である。 大規模翼前縁を本発明の傾斜ポーラスセラミックス複合体で構成した実施例を示す図である。 極超音速機ノーズ部を本発明の傾斜ポーラスセラミックス複合体で構成した実施例を示す図である。
符号の説明
1 傾斜ポーラスセラミックス複合体 2 ベース材
3 ハニカム構造 4 圧力隔壁
5 SiC繊維 6 Si粉末
7 フェノール樹脂 8 プリプレグ
9 有機ケイ素ポリマー 10 供給ポート
11 供給管 12 小型翼
13 補強プレート 14 梁
15 外部圧力隔壁 16 縦溝

Claims (10)

  1. 外部気流圧力と熱流束分布に対応させて適切な冷媒の浸出分布が与えられるように気孔率及び/または厚みを傾斜的に調整した繊維強化ポーラスセラミックス複合材をべース材と接合して耐熱壁を構築し、背面より加圧冷媒を供給して前記耐熱壁から外気中へ浸出させることにより冷却システム要素を形成したものである広域熱防御システム。
  2. 繊維強化によりポーラスセラミックスの靭性を向上させる繊維材は、壁厚み方向に繊維含有率を傾斜させて配合したものとすることにより、耐熱衝撃性を向上させると共に外部壁面表面での浸出ガス分布の乱れを低減させ、面方向に傾斜させた気孔率を妨げないものとしたことを特徴とする請求項1に記載の広域熱防御システム。
  3. 耐熱壁背面はハニカム構造を介して圧力隔壁に結合され、前記ハニカム構造の圧力隔壁側には圧力室を形成するようにし、前記圧力隔壁には冷媒を供給する供給ポートが配置されたものであって、前記ハニカム構造は供給された冷媒が耐熱壁厚み方向へ移動するように形成したものである請求項1または2に記載の広域熱防御システム。
  4. 中空構造体を傾斜ポーラスセラミックス複合材で一体形成したものであって、その表面が熱防御壁となる請求項1または2に記載の広域熱防御システム。
  5. 傾斜ポーラスセラミックス複合材を用いた広域の耐熱壁は、複数のセグメントで分割形成されたものである請求項1乃至3のいずれかに記載の広域熱防御システム。
  6. 供給ポートへ冷媒を供給する供給管はセグメント面を巡るように配管されることを特徴とする請求項5に記載の広域熱防御システム。
  7. 炭化珪素ファイバー繊維織り込み時にSi粉末とフェノール樹脂の配合を面内で傾斜させたマトリックスを配し、乾燥、成形後、反応焼結させることにより請求項1に記載の広域熱防御システム用の傾斜ポーラスセラミックス複合材を得る製造方法。
  8. 繊維プリフォームにSiC前駆体の有機ケイ素ポリマーを含浸・熱分解させるPIP法において、含浸工程の回数を領域毎に調整することで面内有孔率分布を調整する請求項1に記載の広域熱防御システム用の傾斜ポーラスセラミックス複合材を得る製造方法。
  9. 酸化/還元雰囲気での耐熱壁面の耐酸化/還元性を向上させることを目的として、冷媒として3,000Kまで不活性かつ低熱伝導のガスを採用し浸出させる請求項1乃至6のいずれかに記載の広域熱防御システムの使用方法。
  10. 冷媒として液体窒素を採用し、貯蔵時の比体積が抑制し、各耐熱セグメントヘの配管により構造パネルをも冷却とガスの気化を促進させることを特徴とする請求項6に記載の広域熱防御システムの使用方法。
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