JP4624104B2 - オリゴヌクレオチド結合体 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は共有結合したオリゴヌクレオチド結合体に関する。特に本発明は、癌細胞において優先的に発現され、癌細胞の増殖に必要とされる酵素、テロメラーゼの活性を阻害するよう設計されたオリゴヌクレオチド共有結合体を目的とする。
関連出願の参照
本出願は、2002年9月25日に出願された米国特許出願第10/255,535号の優先権を主張するものである。この優先権出願は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
発明の背景
オリゴヌクレオチド化学
核酸ポリマー化学は製薬、診断、および分析分野、特にアンチセンスおよび抗遺伝子療法、コンビナトリアルケミストリー、分枝DNAシグナル増幅、ならびにアレイ技術を用いた(array-based)DNA診断学および分析の下位分野における多くの発展中の科学技術において重大な役割を果たしている。この化学の多くは結合強度、特異性、およびDNAなどの天然核酸ポリマーのヌクレアーゼ耐性の改善を目的としている。残念ながら、ヌクレアーゼ耐性などの一つの性質を改善すると、結合強度などの他の性質に対するトレードオフを伴うことが多い。そのようなトレードオフの例は多数ある:ペプチド核酸(PNA)は良好なヌクレアーゼ耐性および結合強度を示すが、試験培養中の細胞取り込みは低い(例えば、Hanveyら、Science, 258:1481-1485, 1992);ホスホロチオエートは良好なヌクレアーゼ耐性および溶解性を示すが、典型的にP-キラル混合物として合成され、いくつかの配列非特異的な生物学的作用を示す(例えば、Steinら、Science, 261:1004-1012, 1993);ホスホン酸メチルは良好なヌクレアーゼ耐性および細胞取り込みを示すが、これも典型的にP-キラル混合物として合成され、二本鎖の安定性が低いなど。
最近、いわゆるN3'→P5'ホスホロアミデートヌクレオシド間結合を有する新しいクラスのオリゴヌクレオチド類似体が開発され、好ましい核酸結合性、ヌクレアーゼ耐性、および水溶性を示す(GryaznovおよびLetsinger、Nucleic Acids Research, 20:3403-3409, 1992;Chenら、Nucleic Acids Research, 23:2661-2668, 1995;Gryaznovら、Proc. Natl. Acad. Sci., 92:5798-5802, 1995;およびGryaznov et alら、J. Am. Chem. Soc., 116:3143-3144, 1994)。均一に修飾されたホスホロアミデート化合物は2'-デオキシフラノースヌクレオシド残基のそれぞれで、3'-酸素原子に代わり3'-アミノ基を含む。オリゴヌクレオチドN3'→P5'ホスホロアミデートの合成および性質は米国特許第5,591,607号、5,599,922号、5,726,297号、および5,824,793号にも記載されている。
蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)などの診断適用における道具として、シグナル生成系に結合したオリゴヌクレオチドが用いられている。例えば、特定の微生物(米国特許第5,776,694号)またはテロメラーゼ発現細胞(米国特許第5,891,639号)をそれぞれ、標的生物またはテロメラーゼ酵素に特有の配列に相補的な核酸を標識し、次いでプローブを標的と接触させることによって同定した。プローブが標的とハイブリッドを形成した後、プローブに結合したシグナル生成系を活性化することにより、ハイブリッドを検出した。別の使用では、標識プローブをDNAマイクロアレイ実験で用いている(米国特許第6,040,138号参照)。典型的には、生体試料由来のプローブを蛍光標識などのレポーター基に結合したヌクレオチド存在下で増幅し、それによって標識プローブを製造した。次いで、標識プローブをマイクロアレイと共にインキュベートし、プローブ配列をマイクロアレイ上に固定した相補的配列にハイブリダイズさせた。次いで、スキャナを用いて蛍光のレベルおよびパターンを調べた。
本発明は、テロメラーゼ阻害活性を有する新しいクラスのオリゴヌクレオチド結合体に関する。
テロメラーゼ
テロメラーゼはテロメア反復配列の染色体末端への付加を触媒するリボ核蛋白質である。Blackburn, 1992, Annu. Rev. Biochem., 61:113-129を参照されたい。テロメア、テロメラーゼ、細胞老化、および癌の間のつながりを記載している文献は大量にある(総説としては、Oncogene、第21巻、2002年1月のテロメラーゼを特集した号を参照されたい)。したがって、テロメラーゼは癌治療薬の優れた標的として認められている(Lichsteinerら、Annals New York Acad. Sci. 886:1-11, 1999参照)。
ヒトテロメラーゼの蛋白質およびRNA成分の両方をコードする遺伝子がクローニングおよび配列決定されており(それぞれ米国特許第6,261,836号および5,583,016号参照)、テロメラーゼ阻害剤の探索に多大な努力が費やされている。これまでに同定されたテロメラーゼ阻害剤には小分子化合物およびオリゴヌクレオチドが含まれる。例として、国際公開公報第01/18015号は、N3'→P5'チオホスホロアミデートヌクレオシド間結合を含み、ヒトテロメラーゼRNA成分の配列に相補的なオリゴヌクレオチドの、テロメラーゼ活性を阻害するための使用を記載している。
発明の概要
本発明の組成物および方法は、オリゴヌクレオチドおよび少なくとも一つの共有結合した基、好ましくは芳香族系を含む化合物に関する。オリゴヌクレオチドの配列はテロメラーゼのRNA成分に相補的となるように選択され、共有結合した芳香族系は、例えば多芳香族炭化水素、単環式もしくは複素環式芳香族系、または核酸塩基(修飾された核酸塩基および核酸塩基類似体を含む)である。芳香族基は、必須ではないとしても典型的に、オリゴヌクレオチドの3'-位または5'-位のいずれかに共有結合し、特定の態様において、芳香族基は3'-および5'-位のそれぞれに結合していてもよい。最も単純な形において、本発明の化合物は下記の式で表すことができる:
(A-L-)n-O
(式中、Aは芳香族基を含み、Lは選択的なリンカー基であり(すなわち、リンカーまたは直接結合)、Oはオリゴヌクレオチドであり、nは1から1+m(mはオリゴヌクレオチドを構成するヌクレオシドの総数)の間の整数である)。この式において結合とは、従来通り、結合の各端の部分間における共有結合を示すよう用いられる。好ましい態様において、n=1または2であり、A部分は3'末端および5'末端の一つまたはそれぞれにおいてオリゴヌクレオチド成分と結合している。
化合物のオリゴヌクレオチド成分は、典型的には、2〜50ヌクレオシドを含み(すなわち、m=2〜50)、ヌクレオシドの間のサブユニット間結合は、ホスホジエステル;ホスホトリエステル;ホスホン酸メチル;P3'→N5'ホスホロアミデート;N3'→P5'ホスホロアミデート;N3'→P5'チオホスホロアミデート;およびホスホロチオエート結合を含むが、これらに限定されることはない、任意の適合化学を用いて形成することができる。特定の態様において、オリゴヌクレオチドOの配列は、テロメラーゼのRNA成分の鋳型領域に相補的となるように選択される。
特定の態様において、共有結合した芳香族部分Aはピリミジンもしくはプリン核酸塩基またはその類縁体もしくは誘導体である。特定の例には、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルおよびアデニンが含まれる。他の態様において、共有結合した芳香族部分Aは、インターカレーター、レポーター分子、発色団または蛍光体などの多芳香族置換または無置換炭化水素である。特定の例には、トリチルを基本にする基、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、アクリジン、およびアントラキノンが含まれる。一つまたは複数のA部分は、オリゴヌクレオチド上の3'-もしくは5'-末端、または中間の位置でオリゴヌクレオチドに結合することができる。A部分は、糖環、ヌクレオシド間結合、および塩基を含む、オリゴヌクレオチド上のいかなる適合性の基に(リンカーにより、またはリンカーなしで)結合してもよい。オリゴヌクレオチドに結合した複数のA部分を有する結合体において、それぞれのA部分、それぞれのリンカー、およびそれぞれの結合部位を独立に選択することができる。複数のA部分を有する結合体を含む特定の態様において、第1のA部分はオリゴヌクレオチドOに共有結合しており、他のA基は第1のA部分に、任意にリンカー基を通じて、共有結合している。
本明細書に記載のとおり、様々なリンカー(L)を用いて、A部分をオリゴヌクレオチドOに共有結合するか、またはA部分を連続的に結合することができる。Aを核酸塩基であるよう選択した場合、リンカーLは、オリゴヌクレオチドOまたは連続的に結合した他のA部分に対するA部分の動きを可能にするよう、比較的柔軟なリンカーであることが好ましい。リンカーの必要がない場合、LはAとOとの間の直接結合である。
本発明のオリゴヌクレオチド結合体化合物は、テロメラーゼ酵素活性を阻害する方法において用いることができる。そのような方法は、テロメラーゼ酵素を本発明の化合物と接触させる段階を含む。本発明のオリゴヌクレオチド結合体化合物は、テロメラーゼを発現する細胞内のテロメラーゼを阻害し、それによりそのような細胞の増殖を阻害するために用いることもできる。そのような方法は、テロメラーゼ活性を有する一つまたは複数の細胞を本発明の化合物と接触させる段階を含む。この様式で処理した細胞は、インビトロの細胞でもインビボの細胞でもよいが、テロメラーゼの短縮が起こり、増殖を停止することになる。癌細胞は増殖するためにテロメラーゼ活性を必要とするため、本発明の化合物は癌細胞の増殖を阻害するために特に有用で、癌を治療するための治療的適用において用いることができる。
したがって、本発明の局面は、医薬品における使用、特に癌治療における使用のための、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド結合体化合物を含む。
薬学的に許容される賦形剤中で製剤化した本発明のオリゴヌクレオチド結合体を含む薬学的組成物も、本明細書において提供される。
本発明の化合物の実例となる二つのオリゴヌクレオチド結合体を、三つの成分A、LおよびOを括弧でくくって、以下に模式的に示す。図Aでは、オリゴヌクレオチド(O)の二つの3'-ヌクレオシドを示し、芳香族基(A)フルオレセインが、3'末端ヌクレオシドの糖環に結合されたリンカー(L、チオ尿素基)を通じてオリゴヌクレオチドの3'-末端に結合されている。図Bでは、オリゴヌクレオチド(O)の二つの3'-ヌクレオシドを示し、芳香族基(A)グアニンが、3'末端ヌクレオシドのヌクレオシド間チオホスホラミデート結合に結合されたリンカー(L、開環糖)を通じてオリゴヌクレオチドの3'-末端に結合されている。それぞれの図において、Bはオリゴヌクレオチドのヌクレオシド塩基を表し、示したオリゴヌクレオシド骨格結合はN3'→P5'チオホスホラミデート結合である。
Figure 0004624104
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詳細な説明
A. 定義
「アルキル基」とは、メチル、エチル、プロピルなどの1から20個の炭素原子を有するアルキルまたは置換アルキル基を意味する。低級アルキルは典型的にはC1からC5を意味する。中級アルキルは典型的にはC6からC10を意味する。「アシル基」とは、Rがアルキルである構造RCOを有する基を意味する。低級アシルはRが低級アルキルであるアシルである。
「アルキルアミン」基とは、窒素が結合しているアルキル基、例えば、1-メチル1-ブチルアミン(CH3CHNH2CH2CH2CH3)を意味する。
「アリール基」とは、フェニル、ナフチル、アントリル、または置換アリール基(トリル、エチルフェニル、ビフェニリルなどのようなアルキル-もしくはアリール-置換など)などの5〜20炭素原子を有する芳香環基を意味する。環内に一つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を有する芳香族複素環基も含まれる。
「オリゴヌクレオチド」とは、約2から約50の間の近接サブユニットを有するヌクレオシドサブユニットポリマーを意味する。ヌクレオシドサブユニットは、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、ホスホン酸メチル、P3'→N5'ホスホロアミデート、N3'→P5'ホスホロアミデート、N3'→P5'チオホスホロアミデート、およびホスホロチオエート結合を含むが、これらに限定されることはない、様々なサブユニット間結合によって連結することができる。さらに、「オリゴヌクレオチド」は、糖骨格(例えば、リボースまたはデオキシリボースサブユニット)、糖(例えば、2'置換)、塩基、ならびに3'および5'末端への、当業者には公知の修飾を含む。オリゴヌクレオチド部分が複数のサブユニット間結合を含む態様において、それぞれの結合は同じ化学を用いて形成することもでき、または複数の結合化学を混合して用いることもできる。本明細書において用いられる「ポリヌクレオチド」なる用語は「オリゴヌクレオチド」と同じ意味を有し、「オリゴヌクレオチド」と交換可能に用いられる。
オリゴヌクレオチドが「ATGUCCTG」などの文字の配列で表される場合はいつでも、ヌクレオチドが左から右へ5'→3'の順であることが理解されると思われる。この様式でのオリゴヌクレオチド塩基配列の表示は、オリゴヌクレオチド内でいかなる特定の種類のヌクレオシド間サブユニットも用いることを意味していない。
本明細書において用いられる「ヌクレオシド」には、2'-デオキシおよび2'-ヒドロキシル体、例えばKombergおよびBaker、DNA Replication、第2版(Freeman, San Francisco, 1992)に記載のもの、ならびに類似体を含む天然ヌクレオシドが含まれる。ヌクレオシドに関しての「類似体」には、例えば、Scheit、Nucleotide Analogs (John Wiley, New York, 1980)によって一般に記載されている修飾塩基部分および/または修飾糖部分を有する合成ヌクレオシドが含まれる。そのような類似体には、UhlmannおよびPeyman(Chemical Reviews, 90:543-584, 1990)いよって開示されているものなどの、結合特性、例えば安定性、特異性などを増強するために設計された合成ヌクレオシドが含まれる。
本明細書において「核酸塩基」には(i)典型的なDNAおよびRNA塩基(ウラシル、チミン、アデニン、グアニン、およびシトシン)、(ii)修飾核酸塩基または核酸塩基類似体(例えば、5-メチル-シトシン、5-ブロモウラシル、またはイノシン)、ならびに(iii)核酸塩基類似体が含まれると定義される。核酸塩基類似体は、分子構造が典型的なDNAまたはRNA塩基のものに類似している化学物質である。
本明細書において用いられる「ピリミジン」とは、シトシン、チミン、およびウラシル、ならびにオキシ、メチル、プロピニル、メトキシ、ヒドロキシル、アミノ、チオ、ハロなどの置換基を含むものなどの、その類似体を含む天然ヌクレオシドにおいて出現するピリミジンを意味する。本明細書において用いられる用語はさらに、N4-ベンゾイルシトシンなどの保護基が結合しているピリミジンも含む。他のピリミジン保護基は、BeaucageおよびIyer(Tetrahedron 48:223-2311, 1992)によって開示されている。
本明細書において用いられる「プリン」とは、アデニン、グアニン、およびヒポキサンチン、ならびにオキシ、メチル、プロピニル、メトキシ、ヒドロキシル、アミノ、チオ、ハロなどの置換基を含むものなどの、その類似体を含む天然ヌクレオシドにおいて出現するプリンを意味する。本明細書において用いられる用語はさらに、N2-ベンゾイルグアニン、N2-イソブチリルグアニン、N6-ベンゾイルアデニン、などの保護基が結合しているプリンも含む。他のプリン保護基は、BeaucageおよびIyer(上に引用)によって開示されている。
本明細書において用いられる化学物質名の成分としての「保護(された)」なる用語は、化合物の特定の部分のための当技術分野において認められている保護基を意味し、例えば、ヌクレオシドに関しての「5'-保護ヒドロキシル」にはトリフェニルメチル(すなわちトリチル)、p-アニシルジフェニルメチル(すなわちモノメトキシトリチルつまりMMT)、ジ-p-アニシルフェニルメチル(すなわちジメトキシトリチルつまりDMT)などが含まれる。当技術分野において認められている保護基には、下記の引用文献に記載のものが含まれる:Gait編、Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach (IRL Press, Oxford, 1984);AmarnathおよびBroom、Chemical Reviews, 77:183-217, 1977;Ponら、Biotechniques, 6:768-775, 1988;Ohtsukaら、Nucleic Acids Research, 10:6553-6570, 1982;Eckstein編、Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach (IRL Press, Oxford, 1991)、GreeneおよびWuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第二版、(John Wiley & Sons, New York, 1991)、Narang編、Synthesis and Applications of DNA and RNA (Academic Press, New York, 1987)、BeaucageおよびIyer(上に引用)、および類似の文献。
「ハロゲン」または「ハロ」なる用語はクロロ、ブロモ、フルオロまたはヨード置換基を意味するための、その通常の意味で用いられる。本明細書において記載され、特許請求される化合物において、ハロゲン置換基は一般にフルオロ、ブロモ、またはクロロであり、好ましくはフルオロまたはクロロである。
B. オリゴヌクレオチド結合体の設計および合成
本発明は一般に下記の式を有する化合物を目的とする:
(A-L-)n-O
(式中、Aは芳香族基であり、Lは選択的なリンカー(すなわち、リンカーまたは直接結合)であり、Oはオリゴヌクレオチドであり、nは1から1+m(mはオリゴヌクレオチドを構成するヌクレオシドの総数)の間の整数である)。したがって、化合物の設計には三つの実体A、LおよびOの選択、ならびにこれらの実体の間の構造結合の決定が必要である。
Oの選択
Oのオリゴヌクレオチド配列は、標的テロメラーゼ、例えばヒトテロメラーゼのRNA配列に相補的となるように選択する。ヒトテロメラーゼのRNA成分は配列決定されている(Fengら、Science 269 (5228), 1236-1241, 1995参照、配列データはGenBankアクセッション番号U86046でも入手可能である)。ヒトテロメラーゼRNA(「hTR」)配列内はテロメラーゼが染色体末端に付加するテロメア反復配列の配列を特定する機能を果たす「鋳型領域」として同定されている領域であり、この鋳型領域はテロメラーゼ酵素の活性にとって必須である(Chenら、Cell 100:503-514, 2000;Kimら、Proc. Nat'l. Acad. Sci, USA 98(14): 7982-7987, 2001参照)。鋳型領域は、したがって阻害オリゴヌクレオチドに特に適した標的として同定されている、配列5'-CUAACCCUAAC-3'(配列番号:2)の11ヌクレオチド領域である。したがって、オリゴヌクレオチド結合体のO成分のオリゴヌクレオチド配列はhTR配列のいかなる領域からも選択することができるが、この鋳型および/またはhTR配列の隣接領域に相補的な配列を選択することが好ましい。選択した配列は好ましくは対応するhTR配列に厳密に相補的である。特定の場合にミスマッチが耐容されることもあるが、得られたオリゴヌクレオチド結合体の特異性および活性を低下させると予想される。したがって特定の態様において、オリゴヌクレオチドOの塩基配列は、ヒトテロメラーゼRNAの鋳型領域に正確に相補的な2〜11ヌクレオチドの配列を含むよう選択される。最適なテロメラーゼ阻害活性は、オリゴヌクレオチドOの全長がhTR鋳型領域配列の一部に相補的となるように選択される場合に得られる。
オリゴヌクレオチドOの長さは2から約50ヌクレオシドまで変動しうる。しかし、より短い分子は(a)より容易に合成され、より低費用で製造されると考えられ、かつ(b)生物がより利用しやすいと思われるため、より短いオリゴヌクレオチドが好ましい。したがって、好ましい態様において、オリゴヌクレオチドO成分の長さは4〜15ヌクレオシドであり、特定の態様においては4〜8ヌクレオシドである。下記のオリゴヌクレオチド結合体の例は、Oの長さが4〜8ヌクレオシドの場合に強力なテロメラーゼ阻害活性を有することを示している。本発明のオリゴヌクレオチド結合体には、2、3、4、5、6、7、8、9、および10またはそれ以上のヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチド(O)成分を有するものが含まれる。当業者であれば、O成分の配列および長さの選択は、結合体のLおよびA成分の選択によっても影響を受けうることを理解すると思われる。本明細書に記載の標準的テロメラーゼ活性アッセイ法を用いた単純な実験により、最適な組み合わせの選択が容易になると思われる。好ましくは、オリゴヌクレオチド結合体は、ヒトテロメラーゼRNAの鋳型領域の全体または一部に相補的な配列を有する、2から11の連続する塩基の領域を含有する。本発明の結合体において用いることができる例示的オリゴヌクレオチド配列には下記が含まれる:
Figure 0004624104
O成分の合成において用いるヌクレオシド間結合の種類は、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、ホスホン酸メチル、P3'→N5'ホスホロアミデート、N3'→P5'ホスホロアミデート、N3'→P5'チオホスホロアミデート、およびホスホロチオエート結合を含むが、これらに限定されることはない、利用可能なオリゴヌクレオチド化学のいずれからも選択することができる。少なくとも一つのN3'→P5'ホスホロアミデートまたはN3'→P5'チオホスホロアミデート結合を有するオリゴヌクレオチドは、治療上有利となる特徴を有すると考えられる。例示的オリゴヌクレオチド結合は下記の式で表すことができる:
3'-[-Z6-P(=O)(-Z7R)-O-]-5'
(式中、Z6はOまたはNHであり;Z7はOまたはSであり;かつRは水素、アルキル、アリールおよびその塩からなる群より選択される)。
本明細書に記載の結合体に組み込むのに適したオリゴヌクレオチドの合成法は当技術分野において公知である。例として、本発明において用いるためのオリゴヌクレオチドN3'→P5'チオホスホロアミデートをPongraczら、Tet. Let. 40: 7661-7664, 1999のホスホロアミダイト転移法を用いて合成することができる。この合成戦略は、1)脱トリチル化、2)カップリング;3)キャッピング;4)硫化の段階を通じて加工する3'-NH-トリチル保護3'-アミノヌクレオシド5'-O-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノホスホロアミダイトを用いる。カップリング段階の後に生成したヌクレオシド間ホスホロアミダイト基の段階的硫化を達成するために、元素硫黄S8もしくはPADS(二硫化ジフェニルアセチル)または一般的に用いられるBeaucage試薬-3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン1,1ジオキシド(Iyerら、J. Organic Chemistry 55:4693-4699, 1990)などの硫化剤を用いることができる。オリゴヌクレオチド合成(1μモル合成スケール)は、硫化剤として無水アセトニトリル中のBeaucage試薬またはCS2/Et3N(99/1、vol/vol)中の15%S8により実施することができる。
キメラN3'→P5'ホスホロアミデート-ホスホロチオアミデートオリゴヌクレオチドは、ヌクレオシド間ホスホロアミデート基を生成することになるカップリング段階の後の一つまたは複数の酸化段階を用いて製造することができる。同様に、ホスホジエステル-ホスホロチオアミデートは、構築ブロックモノマーとして5'-ホスホロアミダイト-3'-O-DMTr-保護ヌクレオチドを用いて製造することができる。これらの合成アプローチは当技術分野において公知である。
Aの選択
本発明の結合体は二つの局面でテロメラーゼに結合し、それによって酵素の機能を阻害すると考えられている。結合の第一の局面は、hTRのヌクレオシドと結合体のオリゴヌクレオチド(O)成分のヌクレオシドとの間の塩基対相補性である。結合の第二の局面は、テロメラーゼ蛋白質成分と結合体のA成分との間の相互作用である。広範な置換基が、本明細書において便宜上「芳香族」部分と称されるA成分によって提供されるこの第二の結合局面に役立つ可能性がある。この文脈において、「芳香族」なる用語は広く用いられ、例えば、多芳香族炭化水素、一および多環式ヘテロ芳香族系ならびに核酸塩基(修飾核酸塩基および核酸塩基類縁体を含む)を含む。
一連の適当な芳香族系には、インターカレーター、レポーター分子、発色団、蛍光体および核酸塩基(核酸塩基誘導体および核酸塩基類縁体を含む)が含まれる。適当なA置換基の特定の例には、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、アクリジン、トリフェニル炭素、アントラキノンならびにプリンおよびピリミジン核酸塩基が含まれる。A部分を核酸塩基であるよう選択した場合、水素結合はA部分とテロメラーゼの蛋白質成分との間の相互作用の安定性を高めると予想されるため、水素結合が可能な核酸塩基が好ましい。水素結合が可能な核酸塩基の例には、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが含まれる。
例示的蛍光体を以下に示す:
Figure 0004624104
(式中、X、X1およびX2はO、S、およびNからなる群より独立に選択され;X3は水素、ハロゲン、またはアルキルであり;X4はC、N、O、またはSであり;R1およびR2はH、メチル、エチル、およびプロピルからなる群より独立に選択され;かつR3、R4およびR5はH、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、アリール、カルボキシル、およびX-アルキルからなる群より独立に選択され、かつ
Figure 0004624104
は一重または二重結合である)。
適当な芳香族系の特定の例は、下記の式を有するフルオレセイン:
Figure 0004624104
下記の式を有するN,N'-テトラメチルローダミン:
Figure 0004624104
下記の式を有するトリチル:
Figure 0004624104
および下記の式を有するピレン-酪酸:
Figure 0004624104
である。
A置換基の核酸塩基類に入る適当なA部分の例には、DNAおよびRNAにおいて見られる核酸塩基、特にピリミジンのシトシン、チミンおよびウラシル、ならびにプリンのアデニンおよびグアニンが含まれ、これらの構造はよく知られている。広範な修飾核酸塩基および核酸塩基類縁体が当技術分野において公知であり、広く利用可能な形には、好ましくは2-クロロアデニン、6-チオグアニン、6-クロログアニン、8-ブロモアデニン、8-ヨードアデニン、8-ヒドロキシグアニンおよび8-ニトログアニンなどの2-、6-または8-位で置換されたハロゲン-、ニトロ-およびヒドロキシ-置換核酸塩基、ならびに複素環中の一つまたは複数の窒素原子が炭素の代わりをしているデアザ核酸塩基などの環置換を有する核酸塩基が含まれる。環置換核酸塩基誘導体の例には、2,6-ジアミノプリン、7-アルキルプリン、7-アルキニルプリンおよび7-デアザプリンが含まれる。A置換基を核酸塩基、核酸塩基類縁体または核酸塩基誘導体であるよう選択した場合、核酸塩基は水素結合が可能であり、それによりA部分とテロメラーゼの蛋白質成分との間の相互作用の安定性を高めることが好ましい。
他の芳香族置換基(リンカー(L)基と結合したものを示している)を図3に示す。本発明のオリゴヌクレオチド結合体において用いることができる「A」置換基は、化学試薬供給会社から購入するか、または標準的化学合成法を用いて合成することができる。オリゴヌクレオチド(O)成分の選択と同じく、様々なA部分を有するオリゴヌクレオチド結合体の活性は、標準的テロメラーゼ活性アッセイ法を用いて容易に評価することができる。
Lの選択
OおよびA成分の間の結合は、リンカー配列を組み込むことによって促進することができる。そのような配列は、二つの部分の化学結合を促進するのに役立ちうるだけでなく、柔軟性を付与し、それにより各部分がテロメラーゼ酵素上の標的に結合する可能性を増大させることによって、結合体の活性を高めるのにも役立つと考えられる。リンカーはオリゴヌクレオチドOの糖環、またはヌクレオシド間ホスホジエステルもしくはホスホラミデート結合などのヌクレオシド間骨格、またはオリゴヌクレオチドの核酸塩基に直接結合してもよい。A成分の選択に応じて、様々なリンカー基を用いることができる。例示的リンカーは下記の構造である:
Figure 0004624104
(式中、
Z1、Z2、およびZ3はO、S、およびNR4からなる群より独立に選択され(R4はHまたは低級アルキルである)、かつZ1およびZ3は直接結合であってもよく;
Z4はOまたはNHであり;
Z5はOR'、SR'、またはメチルであり(R'は水素、アルキル、アリールおよびその塩からなる群より選択される);
R9はH、ハロゲンまたは低級アルキルであり、かつm2は0から10までの整数である)。
リンカー基がまったく望まれない場合、LはAとOとの間の直接結合である。
1型リンカーの一例は、Z1=NH;Z2=S;Z3=NH;およびm2=0(すなわちZ3=N置換基とA部分との間に炭素がない)であるチオ尿素リンカーである。1型チオ尿素リンカーは、前述の概要の項において図Aに記載の構造中に示している。
2型リンカーを有するオリゴヌクレオチド結合体の構造の典型例は下記のとおりである:
Figure 0004624104
(式中、各Bはプリンもしくはピリミジン、またはウラシル、チミン、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチルシトシン、5-ブロモウラシルおよびイノシンなどのその類似体となるよう独立に選択された塩基であり、Aは芳香族部分であり、かつOの3'糖環からA部分に結合している示されているリンカーは2型リンカーである)。この配置から、2型リンカー構造の定義がヌクレオシド間結合の成分を組み込むことは明らかである。「C5」または「C6」リンカーと言う場合、m2=5または6の1型または2型リンカーを意味する。
A部分が核酸塩基である場合、好ましいリンカーの型は3型リンカーで、これはオリゴヌクレオチドOの3'糖環の3'位に直接結合することができる:
Figure 0004624104
(式中:
X=NまたはO
Y=OまたはS
Z=OまたはS
W=N、O、Sまたは低級アルキル(好ましくはCH2
Vは低級アルキルであり
Q=O、SまたはNR'''(R'''はH、低級アルキルまたは低級アシルである)
R'およびR''=独立にH、OH、アルキル(置換アルキルを含み、好ましくは低級アルキル)またはアルキルアミンである)。
典型的には、3型リンカーはオリゴヌクレオチドOの3'核酸塩基の糖環に結合している。
3型リンカーの特に好ましい形は、開環糖に結合したリン酸基を含み、したがって修飾オリゴヌクレオチドリン酸エステル-糖骨格に類似のリンカーである。開環糖基を組み込んでいる3型リンカーの例は、下記に図示する開環糖リンカー1および2で、下記の表2に示す例である:
Figure 0004624104
(前述のとおり、Y置換基は酸素または硫黄であってもよく、この置換基がオリゴヌクレオチドOのヌクレオシド間結合における等価の置換基と矛盾しないよう選択することができる。したがって、Oをホスホラミデートオリゴヌクレオチドであるよう選択した場合、Yは酸素であるよう選択することができ、Oをチオホスホラミデートオリゴヌクレオチドであるよう選択した場合、Yは硫黄であるよう選択することができる。)
特に、A部分をグアニンであるよう選択し、L部分が開環糖リンカー1または2である場合、この組み合わせはそれぞれ、オリゴヌクレオチドOの3'糖環に結合したリン酸基に結合したアシクロビルまたはガンシクロビルを生じる。
核酸塩基をオリゴヌクレオチドOの3'糖に3型リンカーを用いて連結することにより生じる結合を表すもう一つの方法は、リン酸基を3型リンカーの一部としてでなく、オリゴヌクレオチドの3'ヌクレオシド間結合として表すことであることは明らかであると思われる。この場合、構造を下記のとおり表すことができ、修飾3型リンカーをここでは4型リンカーと呼び、置換基は前述の3型リンカーに対して記載したとおりである:
Figure 0004624104
(式中、X=OまたはS)
式(A-L-)n-Oで表される本発明のオリゴヌクレオチド結合体において、Aを核酸塩基であるよう選択した場合、式はA-Lが単にオリゴヌクレオチドOの一部である別の通常のヌクレオシドまたはヌクレオチドを表す可能性を含むことを意図するものではない。それよりも、A-Lは本発明のオリゴヌクレオチド結合体を通常の公知のオリゴヌクレオチドから、構造および機能の両方において区別する部分を表す。
したがって、特定の態様において、Aが核酸塩基である場合、Lは、通常のオリゴヌクレオチドの核酸塩基結合で見られる型の閉環糖基を含むべきではない。部分的に、これはAが核酸塩基である結合体におけるリンカーLは柔軟なリンカーであるべきという好みを反映しており、通常のオリゴヌクレオチドにおいて用いられる閉環糖基を用いた核酸塩基結合は、柔軟なリンカーを生じないと考えられる。本明細書において用いられる「閉環糖基」なる句には、リボース、デオキシリボース、2'-Oメチルリボースおよび2'-Oフルオロリボースなどの5または6員閉環を含む、リボースおよびアラビノースならびにこれらの糖の公知の誘導体を含む、オリゴヌクレオチドにおける核酸塩基結合として用いるための、当技術分野において記載されている複素環5および6員閉環糖基が含まれる。
他の態様において、本発明のオリゴヌクレオチド結合体は通常のオリゴヌクレオチドから、リンカーLがオリゴヌクレオチドOにおいて見られる一つまたは複数の核酸塩基間結合と同じでないように選択されることで区別される。この文脈において、オリゴヌクレオチドOにおいて見られる核酸塩基間結合についての言及は、糖部分、およびオリゴヌクレオチドの核酸塩基を結合する、関連するリン酸系の部分の両方を含むことが理解されると思われる。したがって、この態様において、本発明のオリゴヌクレオチド結合体は
(A-L-)n-O(式中、Aは核酸塩基であり、nは1からm+1の間の整数であり、mはO内のヌクレオシドの総数であり、Oはm個の核酸塩基およびm−1個の核酸塩基間結合L'を含むオリゴヌクレオチドであり、かつLはオリゴヌクレオチドOにおいて見られるいかなるL'とも同じでないリンカーである)で表すことができる。m=4のそのような結合体の例は次のとおりである:A-L-B1-L'-B2-L'-B3-L'-B4(式中、Aは核酸塩基であり、B1、B2、B3、およびB4は核酸塩基から独立に選択され、LおよびL'はリンカーであり、ただしLはL'と同じではない)。
本発明において、芳香族A基をオリゴヌクレオチド基Oに結合するために、多くの異なるリンカーを用いうることに留意することが重要である。前述のリンカーは例示にすぎない。
成分の配置
構造(A-L-)n-O(式中、Aは芳香族基であり、Lは任意のリンカーであり、Oはオリゴヌクレオチドであり、nは1から1+m(mはオリゴヌクレオチドを構成するヌクレオシドの総数である)の間の整数である)で示すとおり、複数のA置換基をオリゴヌクレオチドに結合することができる。さらに、A置換基は3'-位、5'-位、サブユニット間結合上、糖環上、塩基上、またはその組み合わせで、任意にリンカーLを通じてオリゴヌクレオチドに結合することもできる。しかし、典型的態様において、一つまたは二つのA置換基を用い(すなわち、n=1または2)、これらは一般にオリゴヌクレオチドOの末端糖残基の3'-位もしくは5'-位、またはその点で糖に結合しているサブユニット間結合に結合(Lを通じて)する。Aを核酸塩基であるよう選択した場合、これは好ましくはテロメラーゼ活性を増強するために、オリゴヌクレオチドOの3'末端に結合し、最も好ましくは、リンカーLを介して、3'末端ヌクレオシドの糖の3'位に結合する。
図1は、A置換基がオリゴヌクレオチドの3'-位にチオ尿素リンカーLを介して結合したフルオレセインである例を示している。図2は、A置換基がオリゴヌクレオチドの3'末端サブユニット間結合に開環糖リンカーLを介して結合したグアニンである例を示している。二つ以上のA置換基を用いる場合、A置換基は独立に選択する。全ての成分の選択と同様に、結合体の設計は下記の標準的テロメラーゼ活性アッセイ法を行うことによって容易に試験することができる。
特定の態様において、オリゴヌクレオチド結合体の構造が
A-L-O
(式中、Oは好ましくは、ヒトテロメラーゼRNAの鋳型領域内の配列に厳密に相補的な2から11ヌクレオチドの配列を含むオリゴヌクレオチドである)で表すことができるように、整数nは1であるよう選択する。
そのような態様において、Aを核酸塩基であるよう選択した場合、これは好ましくはオリゴヌクレオチドOの3'末端糖の3'位に結合する。O内のヌクレオシド間結合のために様々な化学を用いることができるが、ホスホロチオエート、ホスホラミデート、およびチオホスホラミデート結合が特に望ましい。テロメラーゼ阻害活性は、オリゴヌクレオチドOの配列を、それがGGGの3'末端を持つよう選択した場合、この型のオリゴヌクレオチドはテロメラーゼ酵素と非常に安定な相互作用を形成しうるため、特に良好である。例示的オリゴヌクレオチド配列には、TTAGGG(SEQ ID: 8)およびAGGG(SEQ ID: 10)が含まれる。A部分として3型リンカー、好ましくは開環糖リンカー1または開環糖リンカー2などの柔軟なリンカーを選択しても、プリン核酸塩基、特にグアニンを選択した場合と同様、テロメラーゼ阻害活性を増強することができる。
本発明のもう一つの態様において、オリゴヌクレオチド結合体(A-L)n-Oをn>1であるよう設計した場合、最初に選択したA置換基をオリゴヌクレオチドOに共有結合し、他のA置換基を第1のA置換基に、任意にリンカーを通じて、連続的に結合する。そのような結合体の例は、表2に示すTAA-ORS2-G*G*G*で、第1のグアニン核酸塩基は3型リンカー(特に開環糖リンカー2)を通じてオリゴヌクレオチドOの3'末端糖環の3'位に結合している。次いで、第2のグアニン核酸塩基を、同じく開環糖リンカー2を通じて第1の核酸塩基に結合し、第3の核酸塩基を同様の様式で第2の核酸塩基に結合する。
オリゴヌクレオチド結合体の合成
芳香族置換基は標準的化学合成を用いてオリゴヌクレオチドに共有結合することができる。典型的には、まずオリゴヌクレオチドの求核部位を保護し、所望の結合部位を選択的に脱保護する。次いで、下記のスキームに示すとおり、オリゴヌクレオチドを、例えば芳香族置換基がフルオレセインの場合、イソチオシアネート、イソシアネート、モノクロロトリアジン、ジクロロトリアジン、モノまたはジハロゲン置換ピリジン、モノまたはジハロゲン置換ジアジン、マレイミド、アジリジン、ハロゲン化スルホニル、酸ハロゲン化物、ヒドロキシスクシンイミドエステル、ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、イミドエステル、ヒドラジン、アジドニトロフェニル、アジド、3-(2-ピリジルジチオ)-プロプリオンアミド、グリオキサールまたはアルデヒドなどの反応性基を含むフルオレセインと反応させて、フルオレセインがオリゴヌクレオチドに、好ましくはチオ尿素またはアミド基を通じて結合した修飾オリゴヌクレオチドを得る。
Figure 0004624104
リンカーLは芳香族系Aに1、2、3、または4位で連結することができる。好ましくは、LはAに3位で連結する。
または、Brushの米国特許第5,583,236号に記載のとおり、リンカーをまずホスホロアミダイトに変換した後、オリゴヌクレオチドに結合することもできる。典型的には、芳香族系がフルオレセインの場合、市販のフルオレセイン3-イソチオシアネートジアセテートをアミノペンタ-6-オールおよびホスフィチル化試薬と順次反応させて、下記に示す5炭素鎖およびチオ尿素基を介してフルオレセインに結合したホスホロアミダイトを得る。
Figure 0004624104
適当な芳香族系Aに連結したリンカーLのいくつかの例を図3に示す。
A部分が核酸塩基である場合、同じ一般合成アプローチを用いる。核酸塩基は、リンカーとして適当であるか、または容易に修飾して適当なリンカーを生成することができる基がすでに結合しているものを購入することができる。例えば、グアニンはアシクロビルまたはガンシクロビルの形で開環糖が結合しているものを都合よく購入することができ、この化合物では結合した開環糖が前述の4型リンカーを形成している。次いで、開環糖をホスフィチル化してホスホラミデートを生成する(リンカーに存在する他の反応性基は適当な保護基で保護されている)。次いで、得られたホスホラミデートを前述のとおり自動DNA合成機により標準的方法を用いてオリゴヌクレオチドに結合する。続いてリンカーの修飾(例えば、硫化してチオホスホラミデート部分を生成する)を標準的化学を用いて行う。
テロメラーゼ阻害アッセイ法
テロメラーゼ酵素活性および/またはテロメラーゼ活性を有する細胞の増殖を阻害または低減するために、本発明の結合体を用いることができる。これらの状況において、酵素活性または細胞増殖の阻害または低減は、酵素または細胞を結合体で処理していない対照実験と比較して、測定した活性のレベルが低いことを意味する。特定の態様において、測定した活性の阻害または低減は、少なくとも10%の低減または阻害である。当業者であれば、特定の適用のためには少なくとも20%、50%、75%、90%または100%の測定活性の低減または阻害が好ましいことを理解すると思われる。
テロメラーゼ活性の測定法、および化合物のテロメラーゼ阻害活性を調べるためのそのような方法の使用は公知である。例えば、TRAPアッセイ法は細胞抽出物系におけるテロメラーゼ活性を測定する標準的アッセイ法であり、テロメラーゼ阻害化合物の探索において広く用いられている(Kimら、Science 266:2011, 1997;Weinrichら、Nature Genetics 17:498, 1997)。TRAPアッセイ法は、テロメラーゼ基質またはプライマーへのヌクレオチド付加によって生じる伸長生成物(ポリヌクレオチド)中に取り込まれた放射性ヌクレオチドの量を測定する。取り込まれた放射能は、その上で放射性生成物を分離するゲルに曝露した検出スクリーン(例えば、Phosphorimagerスクリーン)上のバンドの強度として測定することができる。TRAPアッセイ法は米国特許第5,629,154、5,837,453および5,863,726号にも詳細に記載されており、テロメラーゼ阻害化合物の活性試験におけるその使用は国際公開公報第01/18015号を含む様々な出版物に記載されている。加えて、テロメラーゼ活性を測定する研究のために下記のキットが市販されている:商標TRAPeze XKテロメラーゼ検出キット(Cat. s7707; Intergen Co.、ニューヨーク州パーチェース);およびTeloTAGGG テロメラーゼPCR ELISAプラス(2,013,89; Roche Diagnostics、インディアナ州インディアナポリス)。
典型的には、本発明の結合体のテロメラーゼ活性を阻害する能力をまず、TRAPアッセイ法などの生化学的テロメラーゼ活性アッセイ法を行い、結合体存在下で得た結果を結合体なしで行った対照実験から得た結果と比較することにより確認することになる。そのようなデータにより、結合体のIC50値(試料調製物で観察された活性がその元の値または対照値の二分の一に低下するのが認められる、試験化合物の濃度)の計算が可能になる。そのような方法を用いて、本発明のオリゴヌクレオチド結合体のいくつかのIC50値を調べ、10μM未満であることが判明した。
加えて、オリゴヌクレオチド結合体のテロメラーゼRNAに対する特異性は、テロメラーゼおよびリボヌクレアーゼPなどの必須のRNA成分を有することが知られている他の酵素とのハイブリダイゼーション試験を実施し、これらの酵素に対してのオリゴヌクレオチド結合体の活性(IC50)を比較することにより、調べることができる。テロメラーゼに対するIC50がスクリーニングしている他の酵素に対するIC50値に比べて低い化合物を、テロメラーゼに対する特異性を有しているとする。
生化学的アッセイ法を用いて特定の結合体が有効なテロメラーゼ阻害物質であることを確認した後、結合体が細胞内でテロメラーゼ活性を阻害する能力を確かめることが望ましいと考えられる。細胞内でテロメラーゼ活性を有効に阻害するオリゴヌクレオチド結合体は、他の公知のテロメラーゼ阻害化合物と同様に、テロメラーゼ陽性細胞株において危機を誘導することになる。そのようなアッセイ法に適した細胞株にはHME50-5Eヒト胸部上皮細胞、および卵巣腫瘍細胞株OVCAR-5およびSK-OV-3が含まれる。しかし、重要なことに、線維芽細胞由来のBJ細胞などの、対照として用いる正常なヒト細胞では、観察されるテロメアの長さ縮小は未処理の細胞と変わりがないと予想される。治療適用のために本発明のオリゴヌクレオチド結合体を選択する際には、典型的に、正常細胞において約20μM未満の濃度で著しい細胞毒性効果を生じない結合体を選択することになる。細胞を用いたアッセイ法で候補化合物のテロメラーゼ阻害能力を試験することも常法であり、国際公開公報第01/18015号、Herbertら、Oncogene, 21:638-642, 2002;Gryaznovら、Nucleosides, Nucleotides and Nucleic Acids, 20: 401-410, 2001;Izbikaら、Cancer Res., 59:639-644, 1999;Shammas & Corey Oncogene 18: 6191-6200, 1999;およびPitts & Corey、Porc. Nat'l. Acad. Sci. USA, 95:11549-11554, 1998に記載されている。
オリゴヌクレオチド結合体がインビボで腫瘍細胞の増殖を阻害する能力の確認は、ヒト腫瘍の確立された異種移植モデルを用いて行うことができ、ここで試験結合体を腫瘍部位に直接投与、または全身投与し、腫瘍の増殖を物理的測定によって追跡する。本発明のオリゴヌクレオチド結合体で処理した動物では、腫瘍塊は、概して、最初の投与後しばらくは増大することもあるが、継続治療によって質量が減少し始めると予想される。これに対して、未処理対照マウスでは、腫瘍塊は増大し続けると考えられる。癌治療法のためのスクリーニングにおけるそのような異種移植モデルの例は、Scorskiら、Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA, 94: 3966-3971, 1997;およびDammら、EMBO J., 20:6958-6968, 2001に記載されている。
C. オリゴヌクレオチド結合体の製剤
本発明は、テロメラーゼ活性を特異的かつ強力に阻害することができ、したがって腫瘍細胞などのテロメラーゼ陽性細胞の増殖を阻害するために用いることもできる、オリゴヌクレオチド結合体を提供する。皮膚、結合組織、脂肪、乳房、肺、胃、膵臓、卵巣、頚部、子宮、腎、膀胱、結腸、前立腺、中枢神経系(CNS)、網膜の癌および循環腫瘍(白血病およびリンパ腫など)由来の細胞を含む、非常に多様な癌細胞がテロメラーゼ陽性であることが明らかにされている。したがって、本明細書において提供されるオリゴヌクレオチド結合体は、広範な悪性腫瘍の治療において広く有用性を提供することができる。より重要なことに、本発明のオリゴヌクレオチド結合体は、悪性および正常細胞を高度に識別する治療を提供し、分裂細胞を無差別に死滅させる物質に頼るほとんどの現行の化学療法に伴う有害副作用の多くを避ける上で有効でありうる。したがって、本発明の一つの局面は患者における癌の治療法であって、患者に本発明のオリゴヌクレオチド結合体の治療上有効な用量を投与する段階を含む方法である。本発明のオリゴヌクレオチド結合体を含むテロメラーゼ阻害剤を、原発性腫瘍の外科的切除、化学療法剤および放射線治療を含む他の癌治療アプローチと共に用いてもよい。
治療適用のために、本発明のオリゴヌクレオチド結合体を治療上有効な量で、薬学的に許容される担体と共に製剤することになる。一つまたは複数のオリゴヌクレオチド結合体(異なる塩基配列または結合を有する)を任意の所与の製剤に含むことができる。薬学的担体は固体でも液体でもよい。液体担体は液剤、乳剤、懸濁剤および加圧組成物の調製において用いることができる。修飾オリゴヌクレオチドを薬学的に許容される液体賦形剤に溶解または懸濁する。オリゴヌクレオチド製剤を非経口投与するための液体担体の適当な例には、水(部分的に添加剤、例えば、セルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を含む)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、例えば、グリコールを含む)およびそれらの誘導体、ならびに油(例えば、やし油および落花生油)が含まれる。液体担体は下記を含むが、これらに限定されることはない、他の適当な薬学的添加剤を含むことができる:可溶化剤、懸濁化剤、乳化剤、緩衝剤、増粘剤、色素、粘性調節剤、保存剤、安定化剤および浸透圧調節剤。
オリゴヌクレオチドの非経口投与のために、担体はオレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルなどの油性エステルであってもよい。無菌担体は非経口投与用の無菌液体組成物において有用である。
無菌液体薬学的組成物、液剤または懸濁剤は、例えば、腹腔内注射、皮下注射、静脈内、または局所で用いることができる。オリゴヌクレオチドは血管内または血管ステントを介して投与することもできる。
加圧組成物用の液体担体は、ハロゲン化炭化水素または他の薬学的に許容される噴射剤であってもよい。そのような加圧組成物は、吸入による送達のために脂質カプセル化することもできる。鼻内または気管支内吸入または通気による投与のために、オリゴヌクレオチドを水性または部分的水性溶液中で製剤してもよく、これをエアロゾルの形で用いることもできる。
オリゴヌクレオチド結合体を、活性化合物を含む薬学的に許容される媒体と共に製剤することにより、液剤、クリーム、またはローション剤として局所投与することもできる。
本発明の薬学的組成物は、カプセル剤、錠剤、散剤または顆粒剤中の製剤、および水または非水性媒質中の懸濁剤または液剤としての製剤を含むが、これらに限定されることはない、許容されるいかなる剤形でも経口投与することができる。本発明のオリゴヌクレオチドを含む薬学的組成物および/または製剤は、担体、滑沢剤、希釈剤、増粘剤、着香剤、乳化剤、分散補助剤または結合剤を含むことができる。経口で用いるための錠剤の場合、一般的に用いられる担体には乳糖およびトウモロコシデンプンが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も典型的に加えられる。カプセル剤形で経口投与するために有用な希釈剤には乳糖および乾燥トウモロコシデンプンが含まれる。経口使用のために水性懸濁液が必要とされる場合には、活性成分を乳化剤および懸濁化剤と混合する。望まれるならば、特定の甘味料、着香剤または着色剤も加えることができる。
本発明のオリゴヌクレオチドを含む薬学的組成物および/または製剤は、細胞および組織浸透促進剤を含むこともできる。用いられうる浸透促進剤には、例えば、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート化剤、界面活性剤および非界面活性剤が含まれうる(Leeら、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, 8, 91192;Muranishi, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1990, 7, 1-33)。リポソーム担体も浸透剤として用いられうる。細胞の取り込みを容易にするためのリポソームの使用は、例えば米国特許第4,897,355号および米国特許第4,394,448号に記載されている。数多くの出版物にリポソームの製剤化および調製が記載されている。浸透促進剤として作用する脂肪酸およびそれらの誘導体には、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプリン酸塩、トリカプリン酸塩、リシノール酸塩、モノオレイン(1-モノオレオイル-rac-グリセロールとしても知られている)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、1-モノカプリン酸グリセリル、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、モノおよびジグリセリドならびにその生理学的に許容される塩(すなわち、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、カプリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、リノール酸塩など)が含まれる。そのような浸透促進剤は単に製剤に加えてもよく、または本明細書に記載のオリゴヌクレオチド結合体に共有結合させてもよい。オリゴヌクレオチドを脂質部分に結合させる方法は、例えば、Mishra et al., (1995) Biochemica et Biophysica Acta, 1264: 229-237)に記載されている。治療用オリゴヌクレオチドを送達するための合成ポリマーの使用はChirila et al. (2002) Biomaterials 23: 321-342に記載されている。したがって、本発明のオリゴヌクレオチド結合体は、細胞およびまたは組織浸透を促進するよう設計された部分(一般用語では、浸透促進剤)と共に製剤することにより、さらに修飾することができる。特定の態様において、本発明のオリゴヌクレオチド結合体は共有結合した浸透促進剤をさらに含んでいてもよい。
一つまたは複数の浸透促進剤を含む複合製剤を用いることもできる。例えば、胆汁酸塩を脂肪酸と組み合わせて用いて、複合組成物を作ることができる。組み合わせの例には、カプリン酸ナトリウムまたはラウリン酸ナトリウム(一般に約0.5から5%の濃度で用いる)と組み合わせたケノデオキシコール酸(CDCA)(一般に0.5%から2%の濃度で用いる)が含まれる。
本発明のオリゴヌクレオチドを含む薬学的組成物および/または製剤は、キレート化剤、界面活性剤および非界面活性剤を含むこともできる。キレート化剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、クエン酸、サリチル酸塩(例えば、サリチル酸、5-メトキシサリチル酸およびホモバニリン酸ナトリウム)、コラーゲンのN-アシル誘導体、ラウレス-9およびベータ-ジケトンのN-アミノアシル誘導体(エナミン)が含まれるが、これらに限定されることはない。界面活性剤には、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン-20-セチルエーテル;ならびにFC-43などの過フルオロ化合物乳剤が含まれる。非界面活性剤には、例えば、不飽和環状尿素、1-アルキル-および1-アルケニルアザシクロアルカノン誘導体、ならびにジクロフェナクナトリウム、インドメタシンおよびフェニルブタゾンなどの非ステロイド系抗炎症剤が含まれる。
したがって、本発明のもう一つの局面において、薬学的組成物の製剤法であって、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド結合体化合物を提供する段階と、化合物を薬学的に許容される賦形剤と混合する段階とを含む方法が提供される。好ましくは、オリゴヌクレオチド結合体は下記の薬学的純度で提供される。この方法は、賦形剤添加の前または後のいずれかに、オリゴヌクレオチド結合体化合物に浸透促進剤を加える段階をさらに含んでいてもよい。例示的浸透促進剤は上に挙げている。特定の態様において、浸透促進剤はオリゴヌクレオチド結合体に共有結合していてもよい。
薬学的組成物は典型的には薬学的純度基準に適合することになる。薬学的製剤における活性成分として用いるために、本発明のオリゴヌクレオチドは一般に、それらが調製される混合物中の他の反応性成分または免疫原となりうる成分から精製する。典型的に、薬学的純度を達成するために、各活性成分は、機能アッセイ、クロマトグラフィ、またはゲル電気泳動で評価して、少なくとも約90%の均質性、より好ましくは95%または99%の均質性で提供する。次いで、活性成分を、薬学的製剤の調製のために一般に認められた方法に従い、医薬品に調合する。したがって、本発明において、オリゴヌクレオチド結合体化合物を薬学的純度で提供するには、化合物を少なくとも90%の均質性、より好ましくは少なくとも95%または99%の均質性で提供する必要がある。
薬学的組成物はまた典型的には一定量に分割し、単回用量または複数回用量単位のいずれかで包装することになる。オリゴヌクレオチド結合体による治療のための必要用量は、用いる特定の組成物、投与経路、提示症状の重症度、オリゴヌクレオチドの形態および治療中の特定の被検者に応じて変動する。
本発明の薬学的組成物は、臨床上望ましい結果を得るために有効な製剤および量で被検者に投与することができる。癌の治療については、望ましい結果には腫瘍質量の減少(触診または画像法、例えば、X線撮影、CATスキャン、またはMRIにより判定)、腫瘍増殖速度の低下、転移形成速度の低下(例えば、生検試料の組織化学分析により判定)、生化学マーカーの減少(ESRなどの一般的マーカー、および血清PSAなどの腫瘍特異的マーカーを含む)、および生活の質の改善(臨床評価、例えば、Karnofskyスコアにより判定)が含まれる。
そのような効果を得るために必要とされる用量あたりのオリゴヌクレオチドの量および投与回数は、インビトロ試験および動物モデルを用いて経験的に決定することができる。試験のための適当な範囲は、単離テロメラーゼまたは培養細胞で求めた50%阻害濃度から推定することができる。単離テロメラーゼ試料は米国特許第5,968,506号に従って得ることができる。典型的には、製剤および投与経路は患部でオリゴヌクレオチド結合体1μMから1nMの間の局所濃度を提供することになる。
一般に、オリゴヌクレオチド結合体は、いかなる害のある、または有害副作用も生じることなく、有効な結果を提供する濃度で投与する。そのような濃度は単位用量の投与でも、または1日を通じて適当な間隔で都合のよいサブユニットに分割した用量の投与でも達成可能である。
実施例1
一般法
31P NMRスペクトルはVarian 400 Mhz分光計で得た。31P NMRスペクトルは85%リン酸水溶液を基準にした。アニオン交換HPLCをDionex DX 500クロマトグラフィ装置で、Pharmacia Biotech Mono Q HR 5/5または10/16イオン交換カラムを用いて実施した。質量分析はMass Consortium、カリフォルニア州サンディエゴで実施した。オリゴヌクレオチドのMALDI-TOF分析は、PerSpective Biosystems Voyager Elite質量分析計を用いて遅延引き出しを行って得た。熱解離実験をCary Bio 100 UV-Vis分光計で実施した。
すべての反応は、特に記載がない限り、窒素雰囲気下、乾燥器で乾燥したガラス器具内で行った。市販のDNA合成試薬はGlen Research(ヴァージニア州スターリング)から購入した。無水ピリジン、トルエン、ジクロロメタン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、無水酢酸、1,2-ジクロロエタン、およびジオキサンはAldrich(ウィスコンシン州ミルウォーキー)から購入した。
すべての非チオ-ホスホロアミデートオリゴヌクレオチドはABI 392または394 DNA合成機で、ホスホロアミダイト法によるカップリングアプローチのための標準的プロトコルを用いて合成した(Caruthers、Acc. Chem. Res., 24:278-284, 1991)。オリゴヌクレオチドホスホロアミデート合成のための鎖構築サイクルは下記のとおりであった:(i)脱トリチル化、ジクロロメタン中3%トリクロロ酢酸、1分間;(ii)カップリング、アセトニトリル中0.1Mホスホロアミダイトおよび0.45Mテトラゾール、10分間;(iii)キャッピング、THF/ルチジン(1/1、v/v)中0.5M無水イソ酪酸、15秒間;ならびに(iv)酸化、THF/ピリジン/水(10/10/1、v/v/v)中0.1Mヨウ素、30秒間。
サイクル内の化学的段階の後、アセトニトリルで洗浄し、乾燥アルゴンを0.2〜0.4分間流した。アンモニア/EtOH(3/1、v/v)により55℃で6時間処理して、支持体からの切断ならびに塩基およびホスホロアミデート保護基の除去を行った。オリゴヌクレオチドを減圧下で濃縮乾固し、その後2'-t-ブチルジメチルシリル基があればTHF中1M TBAFにより25℃で4〜16時間処理して除去した。反応混合物を水で希釈し、0.45ナイロンアクロディスク(Gelman Sciences、ミシガン州アンアーバー)を通してろ過した。次いで、オリゴヌクレオチドをIE HPLCで分析および精製し、最後にPharmacia NAP-5またはNAP-25カラムでゲルろ過を用いて脱塩した。IE HPLCの勾配条件:溶媒A(10mM NaOH)、溶媒B(10mM NaOHおよび1.5M NaCl);溶媒Aを3分間、次いで50分以内に0〜80%溶媒Bの直線勾配。
実施例2
オリゴリボヌクレオチドN3'→P5'ホスホロアミデートの合成
ホモプリンおよびホモピリミジンオリゴリボヌクレオチドN3'→P5'ホスホロアミデートはホスホロアミダイト転移反応を用いて固相支持体上で効率よく構築しうることが以前に報告されている(Gryaznovら、(1998) Nucleic Acids Res., 26:4160-4167)。発明者らは、この方法が4種の天然塩基すべて、ならびにチミジンおよび2,4-ジアミノプリン(D)を含む異種ホスホロアミデートオリゴリボヌクレオチドの合成にも、同じようにうまくはたらくことを見いだした。調製したオリゴリボヌクレオチドN3'→P5'ホスホロアミダイトはそれぞれ、5'-末端残基として支持体に結合した2'-デオキシ-3'-アミノヌクレオシドを用いて5'-末端から出発して合成した。カップリング段階は、接近する5'-O-ホスホロアミダイトのジイソプロピルアミノ基と、支持体に結合したヌクレオシドの3'-アミノ基との交換を含む。標準的RNA合成のカップリング時間(10分間)および活性化剤(1H-テトラゾール)を各合成サイクルに用いた。次いで、未反応の3'-アミノ基を無水イソ酪酸でキャッピングし、その後ヌクレオチド間ホスホロアミダイトジエステル結合のホスホロアミデート基への酸化を水性ヨウ素により実施した。続いて、付加した残基の3'-アミノ基を脱トリチル化することにより、所望のオリゴリボヌクレオチドホスホロアミデート構築のために、さらに鎖伸長段階を繰り返すことが可能となった。次いで、アンモニア/エタノール溶液で処理して、樹脂に結合した化合物を脱保護し、支持体から切断した。2'-O-ブチルジメチルシリル基の除去は、THF中1M TBAFを用いて行い、その後、完全に脱保護したオリゴリボヌクレオチドホスホロアミデートをIEを用いて分析し、単離した。混合塩基の9〜13量体オリゴリボヌクレオチドホスホロアミデートを、MMTrアッセイ法により判断して約96〜98%の段階的カップリング収率で合成した。オリゴヌクレオチドは31P NMRおよびMALDI-TOF質量分析の両方で特徴分析した。
実施例3
オリゴヌクレオチドN3'→P5'チオホスホロアミデートの合成
オリゴヌクレオチドN3'→P5'チオホスホロアミデートを、ABI 394合成機でアミダイト転移反応により調製した。完全に保護した構築ブロックモノマーは、ヌクレオシドが3'-デオキシチミジン、2',3'-ジデオキシ-N2-イソブチリル-グアノシン、2',3'-ジデオキシ-N6-ベンゾイル-アデノシンまたは2',3'-ジデオキシ-N4-ベンゾイル-シチジンである3'-アミノトリチルヌクレオシド-5'-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピル)ホスホロアミダイトであった。5'-スクシニル-3'-アミノトリチル-2',3'-ジデオキシヌクレオシドをアミノ基含有長鎖細孔性ガラス(LCAA-CPG)とカップリングさせ、固体支持体として用いた。合成は、5'から3'の方向に行った。オリゴヌクレオチドN3'→P5'チオホスホロアミデートの構築のために下記のプロトコルを用いた:(i)脱トリチル化、ジクロロメタン中3%トリクロロ酢酸;(ii)カップリング、アセトニトリル中0.1Mホスホロアミダイトおよび0.45Mテトラゾール、25秒間;(iii)キャッピング、Cap Aおよび標準Cap B溶液として無水イソ酪酸/2,6-ルチジン/THF(1/1/8、v/v/v);(iv)硫化、アセトニトリル:2,6-ルチジンの1:1混合物に溶解したフェニルアセチルジスルフィド(PADS)の0.1M溶液、5分。オリゴヌクレオチドチオホスホロアミデートを固体支持体から切断し、濃アンモニア水で脱保護した。化合物をHPLCで分析し、精製した。イオン交換(IE)HPLCを商標DIONEX DNAPacイオン交換カラムを用いて、pH12(10mM NaOH)で、10mM NaOH/1.5M NaClの1%/分直線勾配、流速1ml/分により行った。生成物をSephadex NAP-5ゲルろ過カラム(Pharmacia)で脱塩し、減圧下で凍結乾燥した。硫化分析の程度を解析するために、31P NMR実験を重水中で実施した(31P NMR δ、ppm 58、Rp-、Sp-異性体の60の幅広いシグナル)。
オリゴヌクレオチドチオホスホロアミデート
Figure 0004624104
を下記のとおりに合成した:ABI Model 394合成機を3'-トリチルアミノ-2',3'-ジデオキシ-N6-ベンゾイル-アデノシン(N2-イソブチリル-グアノシン、およびチミジン)5'-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピル)ホスホロアミダイトの0.1M溶液で調整した。ステーション#10の試薬ビンにニート二硫化炭素を充填し、ステーション#15の試薬ビンに1%トリエチルアミンを含む15%S8/二硫化炭素を充填した。活性化剤として、市販の0.45Mテトラゾール/アセトニトリル溶液を用いた。Cap A溶液(ステーション#11)をテトラヒドロフラン/無水イソ酪酸/2,6-ルチジン(8/1/1、v/v/v)溶液で置き換えた。Cap Bも市販の試薬であった。ステーション#10からカラムに二硫化炭素を送るために新しい機能を作成した。デフォルトの硫黄合成サイクルを下記のとおりに変更した:硫化時間を5分に設定した。合成カラムに1μモルの固体支持体、N2-イソブチリル-3'-(トリチル)アミノ-2',3'-ジデオキシグアノシン-5'-スクシニル装填CPG(細孔性ガラス)を充填した。化合物の配列は
Figure 0004624104
とプログラムした。トリチル基を合成の最後に除去した。固体支持体をカラムから取り出し、密封したガラスバイアル中、濃アンモニア水(1ml)により55℃で6時間処理した。ろ過後、ほとんどのアンモニアを蒸発させ、残った溶液を商標Sephadex NAP-5ゲルろ過カラム(Pharmacia)を用いて脱塩した後、減圧下で凍結乾燥した。生成物を前述のとおりに分析し、精製した。
実施例4
フルオレセインの3'-アミノまたは5'-アミノオリゴヌクレオチドへの結合
反応は、1.5mLのエッペンドルフ試験管内で、遊離アミノ基を有するオリゴヌクレオチド約10〜20 ODを0.1重炭酸ナトリウム緩衝液(pH8、100uL)およびDMSO(50uL)に溶解して行った。次いでFITC(Aldrichより、約1mg)を溶液に加え、反応混合物をボルテックスで1〜2分間撹拌した。反応混合物を55℃で30分間加熱し、次いで室温の暗所で終夜放置した。同じ試験管内でEtOH(1.2mL)を加え、-18℃で1時間置いて、オリゴヌクレオチド生成物を沈殿させた。沈殿を上清から分離し、1M NaCl(100uL)からEtOHで二回再沈殿させた。
次いで必要があれば得られたオリゴヌクレオチド結合体をRP HPLCで分析し、精製した。オリゴヌクレオチドのFITCとの結合体の収率は85〜95%であった。
実施例5
ガンシクロビルの3'-アミノまたは5'-アミノオリゴヌクレオチドへの結合
無水アセトニトリル中のモノ-O-ジメトキシトリチルガンシクロビル-O-CE-ホスホラミダイトの0.1M溶液を、ABI Model 394合成機内に、ホスホラミダイト用の追加ステーションの一つを用いてセットした。合成とその後の後処理は実施例2および3に記載したものと同様に実施した。結合したオリゴヌクレオチドの純度をイオン交換HPLCで評価した。
実施例6
テロメラーゼ活性を有するアフィニティ精製抽出物の調製
テロメラーゼ阻害剤をスクリーニングするために用いる抽出物を、テロメラーゼの蛋白質触媒サブユニット(hTERT)を過剰発現する293細胞から常法により調製した。これらの細胞は親293細胞の2〜5倍のテロメラーゼ活性を有することが判明した。パック細胞(培養物約100リットルから回収、200ml)を等量の低張緩衝液(10mM Hepes pH7.9、1mM MgCl2、1mM DTT、20mM KCl、1mM PMSF)に再懸濁し、ダンス型ホモジェナイザーを用いて溶解した。グリセロール濃度を10%に調節し、NaClをゆっくり加えて最終濃度最終濃度0.3Mとした。溶解した細胞を30分間撹拌し、次いで100,000×gで1時間ペレット化した。固体硫化アンモニウムをS100上清に42%飽和に達するまで加えた。この材料を遠心分離し、ペレットを元の量の5分の1に再懸濁し、50mM NaClを含む緩衝液「A」に対して透析した。透析後、抽出物を25,000×gで30分間遠心分離した。アフィニティクロマトグラフィの前に、商標Triton X-lOO(0.5%)、KCI(0.3M)およびtRNA(50μg/ml)を加えた。親和性オリゴヌクレオチド(
Figure 0004624104
;下の場合は2'O-メチルリボヌクレオチド、上の場合はデオキシヌクレオチドを表す)を抽出物に加えた(抽出物10mlあたり1nmol)。30℃で10分間インキュベートした後、Neutravidinビーズ(Pierce;50%懸濁液を250μl)を加え、混合物を4℃で終夜回転させた。ビーズをペレット化し、0.3M KClを含む緩衝液「B」で三回、0.6M KClを含む緩衝液「B」で二回、0.3M KClを含む緩衝液「B」でさらに二回洗浄した。テロメラーゼを、0.3M KCl、0.15%商標Triton X-100および2.5モル過剰の置換オリゴヌクレオチド(
Figure 0004624104
充填Neutravidinビーズ125μlあたり0.5ml)を含む緩衝液「B」中、室温で30分間溶出した。二回目の溶出を行い、一回目のものと合わせた。精製した抽出物は典型的に、抽出物1μlあたり1分間に取り込まれたヌクレオチド10fmol、または全蛋白質1mgあたり1分間に200ヌクレオチドの比活性を有していた。
Figure 0004624104
実施例7
オリゴヌクレオチド結合体によるテロメラーゼ阻害
Bio-Tel FlashPlateアッセイ法
テロメラーゼ活性の検出および/または測定に適したアッセイ法はTTAGGG(配列番号:8)テロメア反復配列のビオチン化テロメラーゼ基質プライマーへの付加、すなわちテロメラーゼによって触媒される反応の測定に基づいている。ビオチン化生成物をストレプトアビジンでコーティングしたマイクロタイタープレート中で捕捉する。下記のとおり、テロメラーゼ生成物を測定するために、33Pで標識した3.5テロメア反復配列に相補的なオリゴヌクレオチドプローブを用いる。未結合のプローブを洗浄によって除去し、捕捉テロメラーゼ生成物にアニールしたプローブの量をシンチレーション計数により定量する。
下記の表1および2に示すデータは、アッセイ法を下記のとおりに実施することによって得た:
1. オリゴヌクレオチド結合体を濃縮保存液として保存し、PBS中に溶解した。
2. 試験のために、オリゴヌクレオチド結合体をPBS中で希釈して15倍標準保存液とし、96穴マイクロタイタープレートの二つのウェルに2μlを分配した(二回ずつアッセイした)。
3. テロメラーゼ抽出物を、テロメラーゼ希釈緩衝液1μlあたり1分間に取り込まれたdNTPの比活性0.04〜0.09fmolに希釈し、18μlを各試料のウェルに加えて、化合物と共に室温で30分間予備インキュベートした。
4. テロメラーゼ抽出物および試験するオリゴヌクレオチド化合物を含むウェルに混合原液10μlを加えることにより、テロメラーゼ反応を開始した。プレートを密封し、37℃で90分間インキュベートした。
5. 10μlのHCSを加えて反応を停止した。
6. 反応混合物25μlを96穴のストレプトアビジンでコーティングした商標FlashPlate(NEN)に移し、ゆっくり撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。
7. ウェルを180μlの2×SSCでインキュベートせずに洗浄した。
8. ビオチン化テロメラーゼ生成物にアニールしたプローブの量をシンチレーション計数器で検出した。
緩衝液:
テロメラーゼ希釈緩衝液
50mMトリス-アセテート、pH8.2
1mM DTT
1mM EGTA
1mM MgCl2
830nM BSA
混合原液(MM)
50mM トリス-アセテート、pH8.2
1mM DTT
1mM EGTA
1mM MgCl2
150mM 酢酸K
10μM dATP
20μM dGTP
120μM dTTP
100nM ビオチン化プライマー
Figure 0004624104
5.4nM 標識プローブ
Figure 0004624104
;比活性約109cpm/μg以上
ハイブリダイゼーション捕捉溶液(HCS)
12×SSC(1×=150mM NaCI/30mM クエン酸Na3
40mM EDTA
40mM トリス-HCI、pH7.0
前述のアッセイ法を用いて、様々なオリゴヌクレオチド結合体を試験し、データを表1および2に示している。表1から明らかなとおり、オリゴヌクレオチドに結合型A基を付加すると、典型的にオリゴヌクレオチドの阻害活性が増強され、数桁高くなることもあった。
(表1)オリゴヌクレオチド結合体のテロメラーゼ阻害剤としての評価
Figure 0004624104
略語表:
表1に示した結合体はすべて、1型または2型リンカーによりオリゴヌクレオチド配列の5'または3'糖環に結合されており、それぞれオリゴヌクレオチド配列の左(5')または右(3')に結合芳香族基を置いて表している。
NPはオリゴヌクレオチドがN3'→P5'ヌクレオシド間ホスホラミデート結合を有することを示す。
NPSはオリゴヌクレオチドがN3'→P5'ヌクレオシド間チオホスホラミデート結合を有することを示す。
L1:1型リンカー(チオ尿素)
L2:2型リンカー(C5またはC6)
結合芳香族基:
F:フルオレセイン
Tr:N,N'-テトラメチルローダミン
A:アクリジン
(表2)オリゴヌクレオチド結合体のテロメラーゼ阻害剤としての評価
Figure 0004624104
略語表:
表2に示した結合体はすべて、3型リンカー(ORS1またはORS2)によりオリゴヌクレオチド配列の3'糖環に結合されており、オリゴヌクレオチド配列の右(3')に結合芳香族基を置いて表している。
NPはオリゴヌクレオチドがN3'→P5'ヌクレオシド間ホスホラミデート結合を有することを示す。
NPSはオリゴヌクレオチドがN3'→P5'ヌクレオシド間チオホスホラミデート結合を有することを示す。
G*は結合芳香族基グアニンである。
ORS1およびORS2はそれぞれ開環糖リンカー1および2である。
TAA-ORS2-G*G*G*は、第1のグアニン核酸塩基がオリゴヌクレオチド配列TAAの3'糖にORS2リンカーを通じて結合し、二つの別のグアニン核酸塩基が第1のグアニン核酸塩基にORS2開環糖リンカーを通じて連続的に結合している、結合オリゴヌクレオチドである。
実施例8
オリゴヌクレオチド結合体の抗腫瘍活性
細胞アッセイ法
a. 細胞におけるテロメラーゼ活性の阻害および腫瘍細胞増殖の阻害
下記は試験結合体の腫瘍細胞増殖に対する効果を調べるために用いることができる、一般的細胞アッセイ法の説明である。ヒト胸部上皮細胞のコロニー(自発的に不死化)を、標準的方法および材料を用いて調製する。コロニーを、15センチメートルのプレートに各プレート約106細胞を播種することにより調製する。プレートをインキュベートして、細胞コロニーを約80%コンフルエンスまで増殖させ、その時点で各コロニーを2群に分ける。分割し、播種した後、1群は実験9のチオホスホロアミデートポリヌクレオチド結合体の亜急性用量に、所定の濃度(例えば、約100nMから約20μMの間)で、約4〜8時間暴露した。第2細胞群は未結合の対照オリゴヌクレオチドに同様に曝露する。
各細胞群に分裂を続けさせ、群を再度均等に分割する(ほぼコンフルエンス)。連続増殖のために、同じ数の細胞を播種する。試験チオホスホロアミデートオリゴヌクレオチド結合体または対照オリゴヌクレオチドを試料に、最初に加えた濃度と同じ濃度で4日ごとに加える。特定の実験において、細胞を商標FuGENE6(Roche)などのオリゴヌクレオチド取り込み促進剤で処理してもよい。オリゴヌクレオチド処理に関連してのテロメラーゼ活性の低下をTRAPアッセイ法で測定する。
加えて、処理細胞中のテロメアの長さを、ヒトテロメアの反復T2AG3配列以外の配列に特異的な制限酵素を用いて細胞試料のDNAを消化することにより求めることができる(TRF分析)。消化したDNAをゲル電気泳動の標準の技法を用いてサイズにより分離し、テロメアDNAプローブで調べた後、ゲル上で高分子量DNA(約2Kb〜15Kb)のスメアとして現れるテロメア反復配列の長さを求める。
これらのアプローチを用いて、結合体TTAGGG-L1-Fによる処理のHME50およびCaki-1細胞に対する効果を調べた。取り込み促進剤非存在下では約5μモルの範囲(1〜20μモルの範囲)のIC50値が得られた。 細胞をこの結合体とFuGENE6存在下でインキュベートした場合、約15日間の処理後に細胞は危機およびアポトーシスを起こした。対照細胞の増殖は影響を受けなかった。
b. 特異性
本発明の短いオリゴヌクレオチド結合体を、標準の技法を用いてハイブリダイゼーション試験または酵素阻害アッセイ法を行うことにより、テロメラーゼおよびRNA成分を有することが知られている他の酵素に対する活性(IC50)についてスクリーニングする。テロメラーゼに対するIC50値がスクリーニングにかけた他の酵素に対するIC50値に比べて低いオリゴヌクレオチドを、テロメラーゼに対する特異性を有するとする。
c. 細胞毒性
細胞毒性についての細胞死(XTT)アッセイ法を、HME50-5E、Caki-1、A431、ACHN、およびA549細胞タイプを用いて実施する。アッセイ法に用いる細胞株を、短いオリゴヌクレオチド結合体の一つに、約1μMから約100μMの範囲の濃度で、脂質存在下および非存在下、72時間暴露する。この期間中に、試料の光学密度(OD)を540ナノメートル(nm)の光線について求める。様々な細胞タイプで得られるIC50値は一般に1μM未満である。したがって、約100μM未満の濃度では有意な細胞毒性効果は観察されないと予想される。細胞毒性を調べるために、正常ヒトBJ細胞などの対照細胞株に加えて、卵巣腫瘍細胞株OVCAR-5およびSK-OV-3などの他の腫瘍細胞株を用いることもできることが理解されると思われる。MTTアッセイ法(Berridgeら、Biochemica 4:14-19, 1996)および商標alamarBlueアッセイ法(米国特許第5,501,959号)などの他の細胞毒性についてのアッセイ法も同様に用いることができる。
好ましくは、いかなるテロメラーゼ阻害効果も観察するために、オリゴヌクレオチド結合体は細胞毒性レベルよりも低い濃度で投与するべきである。それにもかかわらず、多くの癌化学療法剤の有効性はそれらの細胞毒性効果に由来するものであるため、本発明のオリゴヌクレオチド結合体を化学療法効果が観察されるいかなる用量で投与することも、本発明の範囲内である。
インビボ動物試験
OVCAR-5腫瘍細胞をヌードマウスに移植するヒト腫瘍異種移植モデルを、標準の技法および材料を用いて構築することができる。マウスを2群に分ける。1群は本発明の短いオリゴヌクレオチド結合体で腹腔内処理する。他の群はリン酸緩衝液(PBS)およびテロメラーゼRNAに相補的であるが、テロメラーゼRNAの配列との少なくとも一塩基ミスマッチを有するオリゴヌクレオチドの混合物を含む対照で処理する。各群のマウスの平均腫瘍質量を、標準の方法および材料を用いて異種移植後定期的に測定する。
本発明のオリゴヌクレオチド結合体で処理した群において、平均腫瘍質量は最初の処理後しばらくの間増加すると予想され、その後腫瘍質量は安定化し、次いで低下すると考えられる。対照群の腫瘍質量は試験期間中を通して増加すると予想される。したがって、本発明のオリゴヌクレオチド結合体は腫瘍の増殖速度を劇的に低下させ、最終的には腫瘍サイズの縮小および腫瘍の消失を誘導すると考えられる。
したがって本発明は、テロメラーゼ活性を阻害し、テロメラーゼ活性が有害な影響を有する疾患状態、特に癌を治療するための、新規オリゴヌクレオチド結合体および方法を提供する。本発明のオリゴヌクレオチド結合体は、不死のまま生存するためにテロメラーゼ活性を必要とする悪性細胞に対する高度に選択的かつ有効であるが、非悪性細胞には影響をおよぼさない治療を提供する。
本発明の好ましい態様を例示し、記載してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その中で様々な変更を加えうることが理解されると思われる。
ヌクレオシド間ホスホラミデート結合を有するポリヌクレオチドAGG(配列番号: 1)がチオ尿素基を介してフルオレセインに結合している、本発明の例示的オリゴヌクレオチド結合体の構造を示す図である。 ヌクレオシド間チオホスホラミデート結合を有するポリヌクレオチドAGG(配列番号: 1)が3型リンカー(特に、開環糖リンカー、ORS2)を介してグアニンに結合している、本発明の例示的オリゴヌクレオチド結合体の構造を示す図である。 リンカー基が結合している例示的芳香族系の構造を示す図である。

Claims (13)

  1. 下記の構造:
    (A-L-)n-O
    (式中、Aは核酸塩基であり;
    nは1または2であり、Lは柔軟なリンカー基であり;
    OはヒトテロメラーゼRNAの鋳型領域内の配列に厳密に相補的な2から11ヌクレオチドの配列を含むオリゴヌクレオチドであり;
    Lは下記の構造:
    Figure 0004624104
    (式中:
    X=NまたはO;
    Y=OまたはS;
    Z=OまたはS;
    W=N、O、Sまたは低級アルキル;
    V=低級アルキル;
    Q=O、SまたはNR'''(R'''はH、低級アルキルまたは低級アシルである);かつ
    R'およびR''=独立にH、OH、アルキルまたはアルキルアミンである)
    のリンカーである)
    を有する化合物。
  2. n=1であり、かつXがオリゴヌクレオチドOの3'核酸塩基の糖環に結合している、請求項1記載の化合物。
  3. リンカーLが
    Figure 0004624104
    (式中、Y=OまたはS)
    からなる群より選択される、請求項1または2のいずれか一項記載の化合物。
  4. Aがグアニンである、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
  5. A-Lが下記の構造:
    Figure 0004624104
    または
    Figure 0004624104
    を有する、請求項4記載の化合物。
  6. Oが、
    Figure 0004624104
    からなる群から選択される配列を含むオリゴヌクレオチドである、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物。
  7. イン・ビトロでテロメラーゼ酵素の活性を阻害する方法であって、テロメラーゼ酵素を請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物とイン・ビトロで接触させる段階を含む方法。
  8. イン・ビトロで細胞の増殖を阻害する方法であって、細胞を請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物とイン・ビトロで接触させる段階を含む方法。
  9. 薬学的組成物の製剤化法であって、
    (a)請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物を提供する段階と;
    (b)化合物を薬学的に許容される賦形剤と混合する段階とを含む方法。
  10. 薬学的に許容される賦形剤中で製剤化された請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物を含む薬学的組成物。
  11. 薬品における請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物の使用。
  12. テロメラーゼ酵素の活性を阻害するため、または癌を治療するための薬剤の調製における請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物の使用。
  13. テロメラーゼ酵素の活性を阻害するため、または癌を治療するための請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
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