JP4614495B2 - Double resonance absorption microscope - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、二重共鳴吸収過程を用いて超解像性を実現する二重共鳴吸収顕微鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、レーザー技術や電子画像技術をはじめとする周辺技術の進歩にともない、様々なタイプの高性能かつ多機能な顕微鏡が開発されてきている。本願発明の発明者も、その一つとして、複数波長の光を試料に照明することによって発生する二重共鳴吸収過程を用いて、得られる画像のコントラスト制御および試料の化学分析を可能とする顕微鏡(以下、二重共鳴吸収顕微鏡と呼ぶ)をすでに提案している(特願平6−329165参照)。
【0003】
この二重共鳴吸収顕微鏡では、二重共鳴吸収過程を用いて特定の分子を選択し、特定の光学遷移に起因する吸収および蛍光を観測することができる。その原理を説明すると、まず、基底状態(S0状態:図1)の試料分子(つまり、試料を構成する分子)が持つ価電子軌道の電子を、レーザー光などの共鳴波長λ1光により第一電子励起状態へ励起させ(S1状態:図2)、続いて共鳴波長λ2光により第二電子励起状態またはさらに高位の励起状態へ励起させる(S2状態:図3)。分子は、この励起状態から蛍光あるいは燐光を発光したりして基底状態に戻る(図4)。そして、図2に示した吸収や図4に示した蛍光や燐光の発光を用いて吸収像や発光像を観察する。
【0004】
S1状態への励起過程においては、単位体積内のS1状態の分子数は照射する光の強度が増加するにしたがって増加する。線吸収係数は、分子一個当たりの吸収断面積と単位体積当たりの分子数の積で与えられるので、S2状態への励起過程においては続いて照射する共鳴波長λ2に対する線吸収係数は最初に照射した共鳴波長λ1の光の強度に依存する。すなわち、共鳴波長λ2(以下、波長λ2と略称)に対する線吸収係数は共鳴波長λ1(以下、波長λ1と略称)の光の強度で制御できる。このことは、波長λ1および波長λ2の2波長の光で試料を照射し、波長λ2による透過像を撮影すれば、透過像のコントラストを波長λ1の光で完全に制御できることを示している。また、S2状態からの蛍光または燐光による脱励起過程が可能である場合には、その発光強度はS1状態にある分子数に比例する。したがって、蛍光顕微鏡として利用する場合にも画像コントラストの制御が可能となる。
【0005】
また、この二重共鳴吸収顕微鏡は、コントラストの制御のみならず、化学分析も可能にする。図1に示される最外穀価電子軌道は個々の分子に固有なエネルギー準位をもつので、波長λ1は分子によって異なる。同時に波長λ2も分子固有のものとなる。単一波長で照明・観察を行う従来の顕微鏡においても、ある程度は特定の分子の吸収像あるいは蛍光像を観察することが可能ではあるが、一般にはいくつかの分子の吸収帯の波長領域は重複するため、試料の化学組成の正確な同定までは不可能である。これに対し、二重共鳴吸収顕微鏡では波長λ1および波長λ2の2波長により吸収あるいは発光する分子を限定するので、従来技術よりも正確な試料の化学組成の同定が可能となる。また、価電子を励起する場合、分子軸に対して特定の電場ベクトルを持つ光のみが強く吸収されるので、波長λ1および波長λ2の偏光方向を決めて、吸収像または蛍光像を撮影すれば、同じ分子でも配向方向の同定をも行うことができる。
【0006】
本願発明の発明者はさらに、回折限界を越える高い空間分解能の二重共鳴吸収顕微鏡をも提案している(特願平8−302232参照)。二重共鳴吸収過程については、図5に例示したようにS2状態からの蛍光が極めて弱くなるある種の分子が存在する。このような光学的性質を持つ分子に対しては、以下のような極めて興味深い現象が起きる。図6は、図5と同じく二重共鳴吸収過程の概念図であるが、横紬にX軸を設けて空間的距離の広がりを表現しており、波長λ1光および波長λ2光が照射されている空間領域A1(=蛍光抑制領域)と、波長λ1光のみが照射されて波長λ2光が照射されていない空間領域A0(=蛍光領域)について示している。空間領域A0では波長λ1光による励起によってS1状態の分子が多数生成される。このとき空間領域A0からは波長λ3で発光する蛍光が見られる。しかし空間領域A1では、波長λ2光が照射されるので、S1状態の分子が即座に高位のS2状態へと励起され、S1状態の分子は存在しなくなる。このため空間領域A1においては、波長λ3の蛍光は全く発生せず、しかもS2状態からの蛍光はもともとないので、完全に蛍光自体が抑制されることとなる。すなわち蛍光が発生するのは空間領域A0のみとなる。このような現象の発生が数種類の分子において確認されている。
【0007】
したがって、従来の走査型レーザー顕微鏡などでは、レーザー光を集光して観察試料上に形成されるマイクロビームのサイズが集光レンズの開口数と波長による回折限界で決まるので、それ以上の空間分解能が原理的に期待できないにの対し、図6で示した現象によれば波長λ1光と波長λ2光を空間的に一部分重ね合わせることで、波長λ2光の照射で蛍光領域が抑制されるため、たとえば波長λ1光の照射領域に着目すると、蛍光領域は集光レンズの開口数と波長とで決まるビームのサイズよりも狭くなっており、実質的に空間分解能の向上が図られている。本願発明者による二重共鳴吸収顕微鏡(特願平8−302232参照)は、この原理を用いて、回折限界を越える超解像顕微鏡を実現しているのである。
【0008】
そして本願発明の発明者は、この二重共鳴吸収顕微鏡の超解像性をさらに高めるべく、その機能を十分に活かすための試料の調整や波長λ1光・波長λ2光の試料への照射タイミングなどをもすでに提案している(特願平9−255444参照)。より具体的には、試料を染色分子により染色する。この染色分子として、基底状態を含め少なくとも3つの量子状態(S0状態,S1状態,S2状態・・・)を有し、且つS1状態を除く高位の量子状態から基底状態へ脱励起するときの遷移において蛍光による緩和過程よりも熱緩和過程が支配的である各種分子(以下、蛍光ラベラー分子と呼ぶ)を用いるのである。このような蛍光ラベラー分子と生化学的な染色技術を施した生体分子とを化学結合させてなる試料に、波長λ1光を照射して蛍光ラベラー分子をS1状態に励起させ、続いて即座に波長λ2光を照射して蛍光ラベラー分子をより高位の量子準位に励起させることで、S1状態からの蛍光を効果的に抑制できるようになる。この際に、上述したような空間的な蛍光領域の人為的な抑制を行うことにより、空間分解能のさらなる向上が実現される。
【0009】
上記の蛍光ラベラー分子の光学的性質は、以下のように量子化学的な見地から説明できる。一般に、分子はそれを構成する各原子のσまたはπ結合によって結ばれている。言い換えると、分子の分子軌道はσ分子軌道またはπ分子軌道をもっていて、これらの分子軌道に存在する電子が各原子を結合する重要な役割を担っている。そのなかでも、σ分子軌道の電子は、各原子を強く結合し、分子の骨格である分子内の原子間距離を決める。これに対して、π分子軌道の電子は、各原子の結合にほとんど寄与しないで、むしろ分子全体に極めて弱い力で束縛される。
【0010】
多くの場合、σ分子軌道にいる電子を光で励起させると、分子の原子間隔が大きく変化し、分子の解離を含む大きな構造変化が起こる。その結果として、原子の運動エネルギーや構造変化するために光が分子に与えたエネルギーのほとんどが熱エネルギーに形を変える。したがって、励起エネルギーは蛍光という光の形態で消費されない。また、分子の構造変化は極めて高速におこるので(たとえばピコ秒より短い)、その過程で仮に蛍光が起きても極めて蛍光寿命が短い。しかしそれに対して、π分子軌道の電子が励起しても、分子の構造自体はほとんど変化せず、高位の量子的な離散準位に長時間とどまり、ナノ秒のオーダーで蛍光を放出して脱励起する性質を持つ。
【0011】
量子化学よれば、分子がπ分子軌道を持つことと、二重結合を持つこととは同等であり、用いる蛍光ラベラー分子には、二重結合を豊富に持つ分子を選定することが必要条件となる。そして、二重結合を持つ分子でもベンゼンやビラジンなどの6員環分子においては、S2状態からの蛍光が極めて弱いことが確かめられている(例えば、M..Fujii et.al., Chem. Phys. Lett. 171 (1990) 341)。したがって、ベンゼンやビラジンなどの6員環分子を含む分子を蛍光ラベラー分子として選定すればS1状態からの蛍光寿命が長くなり、しかも光照射によりS1状態からS2状態に励起させることで分子からの蛍光を容易に抑制でき、上述の二重共鳴吸収顕微鏡の超解像性を効果的に利用することができるようになる。
【0012】
すなわち、これらの蛍光ラベラー分子により試料を染色して観察を行えば、高空間分解能の蛍光像を取得することができるだけでなく、その蛍光ラベラー分子の側鎖の化学基を調整することにより生体試料の特定の化学組織のみを選択的に染色でき、試料の詳細な化学組成までも分析可能となる。
【0013】
一般に、二重共鳴吸収過程は二つの光の波長や偏光状態等が特定の条件を満たす場合のみに起こるので、これを用いることで非常に詳細な分子の構造を知ることが可能となる。すなわち、光の偏光方向と分子の配向方向とは強い相関関係があり、二波長光それぞれの偏光方向と分子の配向方向とが特定の角度をなすとき二重共鳴吸収過程が強く起こる。したがって、二波長光を試料に照射して、各光の偏光方向を回転することにより、蛍光の消失の程度が変化するので、その様子から観察しようとする組織の空間配向の情報も得られる。さらに、二つの波長の光を調整させることでもこのことが可能である。
【0014】
他方、波長λ1光と波長λ2光の照射タイミングを適当なものに調整することにより(特願平9−255444参照)、蛍光像のS/Nを改善し、且つ蛍光抑制をさらに効果的に起こすことも可能となっている。
【0015】
また、本願発明の発明者により、波長λ1光と波長λ2光の照射タイミングのさらなる工夫により、S/Nおよび蛍光抑制のさらなる向上を実現することも提案されている(特願平10―97924参照)
ところで、前述した波長λ1光の照射領域の一部分への波長λ2光の照射領域の重ね合わせは、波長λ2光を中空ビーム化して、つまり中央部(軸近傍領域)がゼロ強度であり、且つ軸対象な強度分布を有する中空ビーム光にして、波長λ1光の一部分と空間的に重ね合わせ、試料上に集光することで実現できる。図7は、この重合せおよびそれによる蛍光抑制を例示した概念図である。波長λ2光は、図8にも例示したような位相板により中空ビーム化されており、この中空ビーム化された波長λ2光と波長λ1光の重ね合わせにより、波長λ2光の強度がゼロとなる光軸近傍の領域以外では蛍光は抑制され、波長λ1光の広がりよりも狭い領域に存在する蛍光ラベラー分子(または試料分子)の蛍光のみが観察される。その結果、超解像性が発現する。
【0016】
図8の位相板は、波長λ2光にその光軸を中心対象としてπだけ位相差を与えるものである。この位相板に波長λ2光を通すことで、波長λ2光の光軸近傍領域(光軸を含む)の位相が反転するため、その光軸近傍領域の電場強度はゼロとなり、蛍光抑制による超解像性の発現に理想的な中空ビーム形状をもつ波長λ2光が得られるのである。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
さて、以上のように本願発明の発明者によってこれまで開発されてきた二重共鳴吸収顕微鏡は、その超解像性と分析能力において際立った有用性と技術的優位性を示しているものの、未だに以下に示すような改良すべき点が残されているのが実情である。なおここからは、試料分子(=試料を構成する分子)をS0状態からS1状態へ励起させる波長λ1光をポンプ光、S1状態の分子をS2状態へ励起させる波長λ2光をイレース光と呼び、中空ビーム形状を有するイレース光を中空イレース光と呼ぶこととする。また、S0状態からS1状態への励起はS0→S1励起、S1状態からS2状態への励起はS1→S2励起と略称する。また、超解像性の実現をより効果的なものとすべく、蛍光ラベラー分子を用いて試料を染色する場合には、試料分子とはこの蛍光ラベラー分子のこととなる。
【0018】
二重共鳴吸収顕微鏡において、ポンプ光およびイレース光の照射領域の一部重合せによる蛍光領域の抑制によって理論通りの超解像度を実現するためには、中空イレース光が期待どおりの中空ビーム形状となっている必要がある。この中空ビーム形状の乱れ、つまり強度分布の乱れはそのまま顕微鏡画像の劣化を招いてしまう。
【0019】
イレース光の光源としてはレーザーがしばしば用いられるが、光源からのイレース光を期待通りの中空ビームに成形するためには、その大前提としてレーザ光のビームプロファイルが整っている必要がある。すなわち、ビームの強度分布が光軸軸対称であることが必要となる。しかしながら、たとえば色素レーザーでは、そのビーム形状が三角形に近く、強度分布も一様でないことから、期待する中空ビームを得ることが難しい場合がある。このため、試料上で集光したビーム形状が崩れたビームパターンとなり、顕微鏡画像の解像度劣化や画質低下の原因となっている。
【0020】
また、輪帯アパーチャーを介して中空イレース光を取得することが提案されてはいる。しかしながら、輪体アパーチャーを利用すると、光紬合わせや焦点合わせなどが難しく、良好な画像を得るまでの調整時間や手間が非常に多くなり、且つそのための熟達技能も必要となる。実用上好ましいものではない。
【0021】
さらにまた、中空イレース光として理想的なビームプロファイルを持つ一次のベッセルビームも提案されてはいる。一次ベッセルビームは、たとえば図9に例示したように、光紬を中心にして1周すると位相が2π変化する。理論上は、光軸に関して軸対称な点ではお互いの位相がπずれることから、軸上では電場が完全に相殺されてゼロとなる。しかしながら、実際にはレーザー光は、そのビーム面内で完全に位相面が揃っているわけではなく、ビーム中央部から外れるに従って位相面が乱れてくるため、一次ベッセルビームを形成する際、この位相面の乱れに起因して、電場の相殺が不完全となり、ビーム中央部の強度が完全にゼロとならない不完全な一次ベッセルビームができてしまう。これでは二重共鳴吸収顕微鏡にとって理想的な中空イレース光とはいえない。
【0022】
この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来の二重共鳴吸収顕微鏡を改良し、超解像性に理想的な中空イレース光を発生させることのできる、新しい二重共鳴吸収顕微鏡を提供することを課題としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、試料分子を基底状態から第一電子励起状態へ励起させる波長λ1のポンプ光の光源と、第一電子励起状態の試料分子を第二電子励起状態またはより高い励起状態へ励起させる波長λ2のイレース光の光源と、ポンプ光およびイレース光の照射領域を一部分重ね合わせる重ね手段とを備えており、重ね手段を介してポンプ光およびイレース光を試料に照射することにより、第一電子励起状態の試料分子が基底状態へ脱励起する際の発光領域を一部分抑制する二重共鳴吸収顕微鏡において、集光レンズおよびコリメートレンズとその間に設けられたピンホールとを有し、イレース光を集光レンズによりピンホールに集光し、且つピンホールを通過したイレース光のみをコリメートレンズにより平行光にコリメートする空間フィルターが、イレース光の光路に備えられ、さらに、前記空間フィルターを通過したイレース光にその光軸を中心としてπだけ位相差を与える位相変調素子が備えられていることを特徴とする二重共鳴吸収顕微鏡(請求項1)を提供する。
【0024】
また、この二重共鳴吸収顕微鏡において、ピンホールの半径aが、
【0025】
【数3】
【0026】
の条件または
【0027】
【数4】
【0028】
の条件を満たしていること(請求項2)や、前記位相変調素子は、イレース光に対して透明かつオプティカルフラットな平行基板の上に、イレース光に光軸を中心としてπだけ位相差を与え得る厚み分布を持つ光学薄膜が被膜されてなること(請求項3)や、前記位相変調素子は、イレース光に対して透明かつオプティカルフラットな平行基板に、イレース光に光軸を中心としてπだけ位相差を与え得るエッチングが施されてなること(請求項4)や、試料は、基底状態を含め少なくとも三つの電子状態を有する蛍光ラベラー分子により染色されており、前記試料分子はこの蛍光ラベラー分子であること(請求項5)をその態様として提供する。
【0029】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴を持つものであり、ポンプ光光源、イレース光光源、および重ね手段を基本構成として備え持つ二重共鳴吸収顕微鏡において、超解像性をより効果的に発現させるべく、空間フィルターを用いてイレース光の中空ビーム化について改善している。
【0030】
図10は、この空間フィルター(100)の一例を示した概略図である。この図10に例示したように、空間フィルター(100)は、集光レンズ(101)およびコリメートレンズ(103)とその間に設けられたピンホール(102)とを有しており、入射したイレース光を集光レンズ(101)で集光して、ピンホール(102)を照明した後、ピンホール(102)を通過したイレース光をコリメートレンズ(103)により平行光にコリメートするように構成されている。この場合、位相が乱れた、すなわち波面が乱れたレーザー光はピンホール(102)を通過できず、結果的に波面の揃ったレーザー光のみがピンホール(102)を通過することになる。
【0031】
この原理を図11を用いて説明する。図11は、半径hの入射ビームを、焦点距離fのレンズによりその焦平面に置かれた半径aのピンホールに照射した場合を例示したものである。
【0032】
まず、たとえば、レンズ位置(あるいは瞳位置)ξ1で点光源とする波面を考える。点ξ1からピンホールの縁Zu(点ξ1に近い側)までの光路長l1uは、光路の屈折率をnとして、次式で与えられる。
【0033】
【数5】
【0034】
また、点ξ1からピンホールの縁Zd(点ξ1に遠い側)までの光路長l1dは、同様に次式で与えられる。
【0035】
【数6】
【0036】
したがって、これらの光路差Δlは、次式で与えられる。
【0037】
【数7】
【0038】
この数7をテーラー展開して、1までの微小量をとると、
【0039】
【数8】
【0040】
となる。このΔ1が、点ξ1から出た光がピンホールを通り抜けたときの波面の最大のズレを表す。このとき、光の波長をλとすると、位相差δ1は、
【0041】
【数9】
【0042】
で与えられる。これは、波面収差であり、これ以上の位相差がでるものはピンホールを通る抜けることができないということを示している。
【0043】
また、光軸上の点ξ0からピンホールの縁Zuまでの光路長l0uは、次式で与えられる。
【0044】
【数10】
【0045】
この場合、最大の位相差は光軸上を通る光との光路差であるから、同様な計算をすると、位相差δ0は、
【0046】
【数11】
【0047】
である。すなわち、図11のようなレーザービームがピンホールを通り抜けるとき、各瞳面において発した光が持つ最大位相差はδ1〜δ0の間の値をとり、結果として全ビームがピンホールを通る時には、δ1以下の位相差をもって通過することになる。したがって、仮にレーザービームの波面が乱れていても、図10に例示した空間フィルター(100)を設けることで、δ1以下の位相ズレを持つレーザー光だけを通すことができる。
【0048】
このことを二重共鳴吸収顕微鏡における中空イレース光の形成の場合で説明すると、中空イレース光として、光軸近傍領域で電場強度がゼロとなる一次ベッセルビームを、図8に例示した位相板を用いて形成する場合、少なくとも位相板に入射されるイレース光の位相差が光軸に関して対称な位置でπ/2でないと、光軸で電場強度が相殺せず、良好な中空ビーム形状とならない。しかし、図10の空間フィルター(100)をイレース光(波長λ2)の光路上に設ければ、イレース光の位相差をδ1以下にすることができる。具体的には、
【0049】
【数12】
【0050】
の条件を満たす位相板を利用すれば、イレース光の位相差が光軸に関して対称な位置で電場強度の符号が反転し、光軸上で電場強度が弱くなる。すなわち、超解像性を実現できる最低限のビームプロファイルを持った中空イレース光を発生することができる。数12を変形して、空間フィルター(100)を構成するピンホール(102)についての条件とすると、
【0051】
【数13】
【0052】
となる。これは、ピンホール(102)のサイズを与える条件である。さらに、この数13を、イレース光のビーム径すなわち瞳面で制限される実効的な開口数NAで書けば、次式が得られる。
【0053】
【数14】
【0054】
したがって、この発明の二重共鳴吸収顕微鏡における空間フィルター(100)には、数13あるいは数14で与えられる条件を満たすピンホール(102)を用いることが好ましく、この空間フィルター(100)を通すことによって、位相差δ1以下のビームプロファイルのイレース光のみを取り出すことができ、このイレース光をもって超解像性の発現に好適な中空イレース光を位相板を介して生成できるようになる。
【0055】
なお、数13および数14は、ピンホール(102)の条件ではあるが、集光レンズの焦点距離fや開口数NAなどの数値をも用いているので、ピンホール(102)と集光レンズ(101)との条件、あるいは空間フィルター(100)自体の条件とも言うことができる。
【0056】
この出願の発明は、以上のとおりの特徴を持つものであるが、以下に実施例を示し、さらに具体的に説明する。
【0057】
【実施例】
図12は、この発明の二重共鳴吸収顕微鏡の一実施例を示した概略図である。この図12に例示した二重共鳴吸収顕微鏡は、レーザー走査型蛍光顕微鏡を構成しており、ポンプ光およびイレース光を集光してスポット化し、試料(523)をそのスポットと相対的に走査させながら蛍光を検出し、蛍光信号をコンピュータ(501)を用いて画像化するシステムとなっている。
【0058】
このシステム全体は、コンピュータ(501)により制御される。コンピュータ(501)は、レーザーコントローラー(502)を介して、基本光源であるNd:YAGレーザー(505)の発振のタイミングを制御する。それと同時に、試料ステージコントローラー(503)を介して、試料ステージ(524)の移動をレーザー発振のタイミングと同期させながら制御し、試料(523)を二次元走査する。また、同様にレーザー発振と同期させてカメラコントローラー(504)を介して、ICCDカメラ(540)から試料(523)の蛍光信号を取得する。
【0059】
本実施例では、試料(523)は蛍光ラベラー分子により染色されたものとし、その蛍光ラベラー分子としてはローダミン系分子を想定する。図13は、ローダミン系分子の一つであるローダミン6Gの分光データを例示したものである。この図13に例示したように、S0→S1励起に相当する吸収バンドが530nm前後に存在し、S1→S2励起および蛍光発光帯域が600nm前後に存在する。したがって、波長λ1=532nmのポンプ光でS0→S1励起させ、波長λ2=599nmのイレース光でS1→S2励起させることで、二重共鳴吸収過程と誘導放出過程により、599nm以外の波長の蛍光は消失する。
【0060】
波長532nm光は、Nd:YAGレーザー(505)の基本波(波長1064nm)をBBO結晶やKTP結晶などからなる波長変調素子(507)により2倍波変調することで生成できる。波長599nm光は、Ba(NO3)2等のラマンシフター(512)で波長532nmを599nmに変換することで生成できる。波長変調素子(507)からの波長532nm光は、ハーフミラー(508)により分光され、その透過光は、テレスコープ(509)により適正サイズの平行光に拡大されて、ポンプ光として利用される。他方、反射光は、ラマンシフター(512)によって波長599nm光に変調されて、イレース光として利用される。
【0061】
一般にNd:YAGレーザー(505)は、共振器にガウシアンミラーを用いているため、ビームの光軸近傍の中央部の波面は比較的揃っているが、ビーム周縁部は波面の乱れが多くなり、中央部と比較すると位相差が生じる。この波面すなわち位相面の歪みのために、レーザービームの全径を利用して中空イレース光としての一次ベッセルビームを形成しようとすると、超解像性の実現に良好な中空ビームとならない。
【0062】
そこで、本実施例では、前述した空間フィルター(100)を、ラマンシフター(512)後のイレース光の光路上に設けており、この空間フィルター(100)を通過させて、波面の乱れを少なくともλ2/4以下に抑制したビームプロファイルのイレース光のみを取り出すことができる。具体的には、まず、ラマンシフター(512)から出力されるイレース光のビーム径を2mmとして、焦点距離f=50cmの集光レンズ(101)でピンホール(102)に集光する。この場合、イレース光の光路の屈折率n、つまり空気の屈折率nを1.0として、前記数13によりピンホール(102)の半径aを求めると、半径a=38μmとなる。このピンホール(102)を通過したイレース光は、集光レンズ(101)と同じ焦点距離fを持つコリメータレンズ(103)により2mmのビーム径に戻される。
【0063】
このようにして得られた良好なビームプロファイルのイレース光から、完全な一次ベッセルビームを生成することができる。具体的には、空間フィルター(100)を出たイレース光は、テレスコープ(513)で適正サイズの平行光に拡大された後、位相板(514)によって一次ベッセルビームとなる。
【0064】
本実施例では、イレース光の波長λ2は599nmであるので、位相板(514)として、図14に例示したようにガラス基板をエッチングしたものを利用した。ガラスの屈折率は1.46(波長599nm)であるため、イレース光の1/4波長はガラス基板の厚み325.5nmに対応する。したがって、図14に例示したように、位相板(514)の領域を4分割し、隣接する各領域で位相差が1/4波長ずつになるように厚さを設定してエッチングしておけば、イレース光を理想的に中空ビーム化させることができる。すなわち、イレース光を、その光軸と位相板(514)の中心とを一致させるようにして位相板(514)を通過させることで、位相板(514)の中心部分で対向した各領域を通るイレース光の光軸付近領域の位相が反転するため、その光軸付近領域の電場強度はゼロとなる。これにより、蛍光抑制による超解像性の発現に理想的な中空ビーム形状をもつイレース光が得られるのである。このように中空ビーム化されたイレース光は、一次ベッセルビームとなっている。
【0065】
なお、位相板(514)としては、エッチングの代わりに弗化マグネシウム等の薄膜を位相差を与えるものとして基板上に蒸著したものを用いてもよい。また、理想的な中空ビーム・イレース光が得られる限り、ラマンシフター(512)、テレスコープ(513)、位相板(514)の順序は変更してもよいことは言うまでもない。
【0066】
ポンプ光および中空ビーム化されたイレース光は、各々、反射ミラー(510)および反射ミラー(515)を介してビームコンバイナー(511)に入射され、同軸光となる。もちろん両光はテレスコープ(509)(513)によって同一サイズとされている。同軸光とされたポンプ光およびイレース光は、一種のテレスコープ光学系であるビームリデューサー(520)によって、集光対物レンズ(522)の開口一杯に両光を取り込むべく、集光対物レンズ(522)の口径と等しいサイズに調整される。そして、集光対物レンズ(522)により試料(523)面上に集光される。
【0067】
また、本実施例では、ポンプ光とイレース光の試料面への到達時刻を調整するため、イレース光の光路長を調整できるようになっている。具体的には、直線移動ステージ(518)およびそれに搭載されたプリズム(519)からなる遅延光学系が、反射ミラー(516)による反射光路側に備えられている。テレスコープ(513)からのイレース光は、反射ミラー(515)(516)を介して遅延光学系のプリズム(519)に入射される。このとき、直線移動ステージ(518)を、イレース光のポンプ光に対する遅延距離だけ移動させ、プリズム(519)を介したイレース光の折り返し距離を調整する。遅延距離は、到達時間差1nsecに対して30cmとなる。この遅延距離は、たとえばマイクロメーター等を用いて測定でき、その測定結果を直線移動ステージ(518)の移動距離に反映させればよい。これにより、完全にポンプ光の照射時間がイレース光のそれとオーバーラップする、蛍光抑制の発現に最適な照射が可能となる。なお、ポンプ光の光源およびイレース光の光源として、独立したレーザー、たとえば二台のNd:YAGパルスレーザーを用いた場合には、時間差を持つ二つのトリガーパルスを与えることにより、独立に各光源のQスイッチシグナルを電気的制御しても、ポンプ光およびイレース光の試料(523)への到達時刻を調整することできる。
【0068】
さて、このようにしてポンプ光およびイレース光が試料(523)に照射されると、ポンプ光の照射領域の一部に中空イレース光が重なっていることで、両光が重なり合っている照射領域は蛍光抑制領域A1となり、中空イレース光の中空部分であるポンプ光のみの照射領域は蛍光領域A0となり(図6参照)、この蛍光領域A0(=観察領域)のみからローダミン系分子の蛍光が発生する。
【0069】
この蛍光は、再び集光対物レンズ(522)を通過し、接眼レンズ(538)から分光器(539)へ入射する。分光器(539)は、たとえば図15に例示したように、コリメータ球面鏡(5391)、フォーカシング球面鏡(5392)、および機械的に切り替え可能な回折格子(5393)を基本光学系として備えている。入射スリット(5395)を通過した蛍光は、反射ミラー(5394)でコリメータ球面鏡(5391)に入射され、コリメータ球面鏡(5391)で回折格子(5393)上へ集光される。そして、回折格子(5393)上で波長分解された蛍光は、フォーカシング球面鏡(5392)でICCDカメラ(540)のCCD素子上に結像される。
【0070】
このときのICCDカメラ(540)で得られる信号は、レーザー1ショット当りの蛍光スペクトルである。レーザー1ショットに同期させて試料ステージ(524)を二次元移動させて、そのときの蛍光スペクトルをコンピュータ(501)により積算画像化することで、試料(523)の二次元蛍光像を構築することができる。また、蛍光信号にポンプ光およびイレース光が混在してしまっている場合には、コンピュータ(501)による画像生成において、ポンプ光およびイレース光の波長成分の信号を取り除き、本来の蛍光波長成分のみの信号を用いて画像化すれば、十分な超解像性が発現し、且つ高いS/Nの蛍光像を得ることができる。
【0071】
また、超解像性をさらに向上すべく、分光器(539)の前に、ポンプ光波長をカットするノッチフィルター(536)およびイレース光波長をカットするノッチフィルター(537)を挿入しておいてもよい(図15中では、分光器(539)への接眼レンズ(538)の前に挿入されている)。これにより、分光器(539)に入射する前にポンプ光およびイレース光を蛍光信号から分離して、本来の蛍光成分のみをスペクトル分析することができ、蛍光信号のいわゆる純度を高め、より効果的に超解像性を発現させることができる。もちろん、ノッチフィルター(536)(537)以外にも、必要に応じてバンドパスフィルターやシャープカットフィルターを挿入し、蛍光ラベラー分子からの蛍光以外の不要な波長成分をカットするようにしてもよい。
【0072】
なお、仮に分光器(539)の入射スリット(5395)を開いて、回折格子(5393)のゼロ次光をICCDカメラ(540)のCCD素子上に結像すれば、試料(523)面からの蛍光像そのものとなる。特にこの場合では、S/N向上のため、上記のノッチフィルター(536)(537)や、バンドパスフィルターあるいはシャープカットフィルターを挿入しておくことが好ましい。
【0073】
次に、本実施例の試料移動機構について説明する。前記のようにコンピュータ制御される試料ステージ(524)は、XYZφθ方向への5次元移動ステージとなっている。
【0074】
まず、光軸方向であるZ方向への移動には、たとえば、ピエゾ圧電素子の一種を用いたインチワームステージ機構を用いることができ、ローターリーエンコーダーでその絶対位置をモニターできるように構成されていることが好ましい。
【0075】
一般に、開口数の大きい対物レンズで集光すると、焦点深度は非常に浅くなり、その焦点位置の探索が非常に困難である。たとえば、開口数NAのレンズで集光したときの、焦点からδzだけ離れた点における集光ビームの広がりdは、以下の式で与えられる。
【0076】
【数15】
【0077】
ここで仮にδzが600nmであるとすると、dは約400nm程度となる。これは、ポンプ光を回折限界まで絞ったサイズと同等であり、基本的には1μm以下の精度で位置制御を行なう必要があることを意味している。そのため、ピエソ圧電素子の一種を用いたインチワームステージは、サブμmでの位置制御が可能なために、超解像性を発現するこの発明の二重共鳴吸収顕微鏡に適したステージである。また、絶対位置をモニターすることで、試料(523)を交換したとしても、迅速に観察領域を発見できる。
【0078】
図16は、試料ステージ(524)のXY方向の二次元移動機構の一例を示したものである。この図16に例示したXY二次元移動機構は、板バネ(601)および二つの積層型ピエゾ圧電素子(602)(603)から構成されており、積層型ピエゾ圧電素子(602)(603)で板バネ(601)を駆動し、一方の積層型ピエゾ圧電素子(602)でX軸方向へ、他方の積層型ピエゾ圧電素子(603)でY軸方向へ、試料ステージ(524)を光軸と直交する面内において二次元移動させる。また、図17に例示したように、直接、積層型ピエゾ圧電(602)(603)を試料ステージ(524)に取り付けた移動機構を用いることもできるが、図16のように板バネ(601)を介した機構の方が、走査面の歪みによる画質劣化の発生をより効果的に抑制することができる。
【0079】
また、試料ステージ(524)にはθφ方向の駆動機構をも設けているが、これらは試料(523)表面とポンプ光およびイレース光の光軸とを正確に直交させるために付加されたものである。
【0080】
以上の五次元移動機構による試料ステージ(524)は、試料(523)に対するメカニカルスキャンを前提としている場合のものであるが、たとえば、揺動するガルバノミラーを光路上に設けて、レーザービーム自体を走査することもできる。
【0081】
さてここで、ポンプ光およびイレース光の光軸調整の一例について説明する。光軸調整用の標準試料としては、ポンプ光およびイレース光の両光に対して透明な薄膜にローダミンBを分散させてなるものを用いる。ローダミンBは、ポンプ光およびイレース光の両光によって高い確率でS0→S1励起が起きるため、十分な量の蛍光を観測することが可能となる。この標準試料としての薄膜は、たとえば、溶液状態のPMMAにローダミンBを分散させて、スライドガラスの上に厚さ数μmでスピンコートすることで製作される。
【0082】
光軸調整の手順としては、上記標準試料にポンプ光およびイレース光を同時照射し、発生される蛍光をICCDカメラ(540)を介してコンピュータ(501)で観察しながら、ポンプ光の集光点とイレース光の集光点が一致するように、ポンプ光の光路上にある反射ミラー(510)またはイレース光の光路上にある反射ミラー(515)の傾きなどを調節して集光点の位置を移動させる。このとき、ポンプ光およびイレース光の集光点が一致するときの蛍光像は、発光面積が最小となり、且つ、発光輝度が最大となるので、そのような蛍光像が得られるように光学系を調整すれば、ポンプ光およびイレース光の光軸一致が実現される。
【0083】
なお、図12において、(533)はハーフミラー、(534)は照明光用レンズ、(535)は照明光源であり、これらは光軸調整のために用いられる光学系である。
【0084】
また、図12に例示したように、光軸調整のための別の顕微鏡光学系を、試料(523)の後側に設けておいてもよい。図12において、(525)は透過光用レンズ、(526)はハーフミラー、(527)は照明光用レンズ、(528)は照明光源、(529)(530)はポンプ光およびイレース光をカットするノッチフィルター、(531)は接眼レンズ、(532)はICCDカメラであり、これらによって光軸調整用の顕微鏡光学系が構成されている。
【0085】
以下に、上述したシステム全体の制御について説明する。
【0086】
本実施例の顕微鏡システムは、電気的制御を行うユニットとして、ICCDカメラ(540)(上記光軸用顕微鏡光学系を併せ備えた場合にはICCD(532)も)を制御するカメラコントローラー(504)と、試料ステージ(524)を制御する試料ステージコントローラー(503)と、Nd:YAGレーザー(505)を制御するレーザーコントローラー(502)とを有しており、これらのコントローラーはコンピュータ(501)により集中管理される。
【0087】
ICCDカメラ(540)に対しては蛍光信号の検出時間を決めるゲートパルスの発生と取得された蛍光信号のコンピュータ(501)ヘの送信、試料ステージ(524)に対してはピエゾ圧電素子(602)(603)(図16、図17参照)のステップ移動、Nd:YAGレーザー(505)に対してはQスイッチ信号の制御がそれぞれ行われる。システムの処理シーケンスとしては、
1.Nd:YAGレーザーの発振
2.ICCDカメラのゲートパルス発生
3.データ取り込み
4.ピエゾ圧電素子のステップ移動
というサイクルを、取得する画像の画素数分だけ繰り返すことになる。ICCDカメラ(540)からの各画素毎の蛍光スペクトルは、コンピュータ(501)にて数値データとして取り込まれ、全画素分のデータを取得後、数値演算処理によって、バックグラウンド信号として混在しているポンプ光およびイレース光の波長成分を除去し、その他の波長成分の積分値を1画素の画像信号とする。このようにして得られた画像データは必要に応じて、CRTやプリンター等の外部出力装置に出力されたり、HDDやFDD等の記憶装置に記憶される。
【0088】
この発明は以上の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0089】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、この出願の発明によって、超解像性に理想的な中空イレース光を発生させることができ、超解像性をより確実に実現できる、新しい二重共鳴吸収顕微鏡が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】基底状態の試料分子の電子配置を例示した図である。
【図2】S1状態に励起された試料分子の電子配置を例示した図である。
【図3】S2状態に励起された試料分子の電子配置を例示した図である。
【図4】脱励起した試料分子の電子配置を例示した図である。
【図5】二重共鳴吸収過程を例示した概念図である。
【図6】二重共鳴吸収過程を空間的に例示した概念図である。
【図7】ポンプ光およびイレース光の一部重合せおよびそれによる蛍光抑制を例示した概念図である。
【図8】イレース光の中空ビーム化のための位相板の一例を示した図である。
【図9】光紬を原点とした一次ベッセルビームの断面の位相分布を例示した概念図である。
【図10】この発明の二重共鳴吸収顕微鏡にて用いられる空間フィルターの一例を示した概略図である。
【図11】空間フィルターによる良好なビームプロファイルのイレース光形成の原理を説明する図である。
【図12】この発明の一実施例である二重共鳴吸収顕微鏡を用いたレーザー走査型蛍光顕微鏡システムを例示した概略図である。
【図13】ローダミン6Gの吸収特性(実線)および蛍光特性(点線)を例示した図である。
【図14】ガラス基板のエッチングによる位相板の一例を示した概略図である。
【図15】図12の顕微鏡システムにおける分光器の内部構造を例示した概略図である。
【図16】図12の顕微鏡システムにおける試料ステージのXY二次元移動機構の一例を示した概略図である。
【図17】試料ステージのXY二次元移動機構の別の一例を示した概略図である。
【符号の説明】
100 空間フィルター
101 集光レンズ
102 ピンホール
103 コリメートレンズ
501 コンピュータ
502 レーザーコントローラー
503 試料ステージコントローラー
504 カメラコントローラー
505 Nd:YAGレーザー
507 波長変調素子
508 ハーフミラー
509 テレスコープ
510 反射ミラー
511 ビームコンバイナー
512 ラマンシフター
513 テレスコープ
514 位相板
515,516,517 反射ミラー
518 直線移動ステージ
519 プリズム
520 ビームリデューサー
521 ハーフミラー
522 集光対物レンズ
523 試料
524 試料ステージ
525 透過光用レンズ
526 ハーフミラー
527 照明光用レンズ
528 照明光源
529,530 ノッチフィルター
531 接眼レンズ
532 ICCDカメラ
533 ハーフミラー
534 照明光用レンズ
535 照明光源
536,537 ノッチフィルター
538 接眼レンズ
539 分光器
5391 コリメータ球面鏡
5392 フォーカシング球面鏡
5393 回折格子
5394 反射ミラー
5395 スリット
540 ICCDカメラ
601 板バネ
602,603 積層型エピゾ圧電素子[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The invention of this application relates to a double resonance absorption microscope that achieves super-resolution using a double resonance absorption process.
[0002]
[Prior art]
In recent years, various types of high-performance and multifunctional microscopes have been developed with the progress of peripheral technologies such as laser technology and electronic image technology. The inventor of the present invention also includes, as one of them, a microscope that enables contrast control of an image obtained and chemical analysis of the sample using a double resonance absorption process generated by illuminating the sample with light of multiple wavelengths. (Hereinafter referred to as a double resonance absorption microscope) has been proposed (see Japanese Patent Application No. 6-329165).
[0003]
In this double resonance absorption microscope, a specific molecule is selected using a double resonance absorption process, and absorption and fluorescence resulting from a specific optical transition can be observed. The principle will be explained. First, the ground state (S0State: The electrons in the valence orbit of the sample molecule (that is, the molecule constituting the sample) in FIG.1Excited to the first electronic excited state by light (S1State: Fig. 2), followed by resonance wavelength λ2Excitation to the second electron excited state or higher excited state by light (S2State: Fig. 3). The molecule returns to the ground state by emitting fluorescence or phosphorescence from this excited state (FIG. 4). Then, an absorption image and a light emission image are observed using the absorption shown in FIG. 2 and the fluorescence and phosphorescence emission shown in FIG.
[0004]
S1In the excitation process to the state, S within the unit volume1The number of molecules in the state increases as the intensity of the irradiated light increases. The linear absorption coefficient is given by the product of the absorption cross section per molecule and the number of molecules per unit volume.2In the excitation process to the state, the resonance wavelength λ2The linear absorption coefficient for is the first irradiated resonance wavelength λ1Depends on the light intensity. That is, the resonance wavelength λ2(Hereafter, wavelength λ2Is the resonance wavelength λ.1(Hereafter, wavelength λ1Can be controlled by the intensity of light. This means that the wavelength λ1And wavelength λ2The sample is irradiated with two wavelengths of light, and the wavelength λ2If the transmission image by the1It is shown that it can be completely controlled by the light of. S2If a deexcitation process by fluorescence or phosphorescence from the state is possible, the emission intensity is S1It is proportional to the number of molecules in the state. Therefore, image contrast can be controlled even when used as a fluorescence microscope.
[0005]
This double resonance absorption microscope allows not only contrast control but also chemical analysis. Since the outermost grain valence electron orbit shown in FIG. 1 has energy levels unique to individual molecules, the wavelength λ1Depends on the molecule. Simultaneously wavelength λ2Is also unique to the molecule. Even with conventional microscopes that illuminate and observe at a single wavelength, it is possible to observe the absorption image or fluorescence image of a specific molecule to some extent, but generally the wavelength regions of the absorption bands of several molecules overlap. Therefore, it is impossible to accurately identify the chemical composition of the sample. In contrast, in the double resonance absorption microscope, the wavelength λ1And wavelength λ2Therefore, the chemical composition of the sample can be identified more accurately than in the prior art. Also, when valence electrons are excited, only light having a specific electric field vector with respect to the molecular axis is strongly absorbed, so the wavelength λ1And wavelength λ2The orientation direction of the same molecule can also be identified by determining the polarization direction and taking an absorption image or a fluorescence image.
[0006]
The inventor of the present invention has also proposed a double resonance absorption microscope having a high spatial resolution exceeding the diffraction limit (see Japanese Patent Application No. 8-302232). As for the double resonance absorption process, as illustrated in FIG.2There are certain molecules in which the fluorescence from the state is very weak. The following very interesting phenomenon occurs for molecules with such optical properties. FIG. 6 is a conceptual diagram of the double resonance absorption process similar to FIG. 5, but expresses the spread of the spatial distance by providing the X-axis on the recumbent, and the wavelength λ1Light and wavelength λ2Spatial area A irradiated with light1(= Fluorescence suppression region) and wavelength λ1Wavelength λ2Space area A where no light is irradiated0(= Fluorescence region). Spatial area A0Then wavelength λ1S by light excitation1Many molecules of state are generated. At this time, space area A0From λThreeFluorescence emitted at is seen. But space area A1Then, wavelength λ2Because light is irradiated, S1The state molecule is immediately high S2Excited to a state, S1The state molecule no longer exists. For this reason, space area A1At wavelength λThreeNo fluorescence occurs at all, and S2Since the fluorescence from the state is not originally present, the fluorescence itself is completely suppressed. That is, the fluorescence is generated in the spatial region A.0It becomes only. The occurrence of such a phenomenon has been confirmed in several types of molecules.
[0007]
Therefore, in conventional scanning laser microscopes and the like, the size of the microbeam formed on the observation sample by condensing the laser light is determined by the diffraction limit depending on the numerical aperture and wavelength of the condensing lens. However, according to the phenomenon shown in FIG.1Light and wavelength λ2By overlapping light partially in space, the wavelength λ2Since the fluorescent region is suppressed by light irradiation, for example, the wavelength λ1Focusing on the light irradiation region, the fluorescent region is narrower than the beam size determined by the numerical aperture and wavelength of the condenser lens, and the spatial resolution is substantially improved. The double resonance absorption microscope (see Japanese Patent Application No. 8-302232) by the present inventor uses this principle to realize a super-resolution microscope exceeding the diffraction limit.
[0008]
The inventor of the present invention then adjusted the sample and wavelength λ to make full use of its function in order to further enhance the super-resolution of the double resonance absorption microscope.1Light / wavelength λ2The timing of irradiating the sample with light has already been proposed (see Japanese Patent Application No. 9-255444). More specifically, the sample is stained with a staining molecule. As the stained molecule, at least three quantum states (S0State, S1State, S2State ...) and S1Various molecules (hereinafter referred to as fluorescent labeler molecules) in which the thermal relaxation process is dominant over the relaxation process due to fluorescence in the transition when deexcitation from the higher quantum state excluding the state to the ground state are used. A sample obtained by chemically bonding such a fluorescent labeler molecule and a biomolecule subjected to biochemical staining technology to a wavelength λ1Fluorescent labeler molecules are irradiated with light1Excited to the state, followed immediately by the wavelength λ2By irradiating light and exciting fluorescent labeler molecules to higher quantum levels, S1The fluorescence from the state can be effectively suppressed. At this time, the spatial resolution is further improved by artificially suppressing the spatial fluorescent region as described above.
[0009]
The optical properties of the above fluorescent labeler molecule can be explained from the viewpoint of quantum chemistry as follows. In general, a molecule is connected by σ or π bonds of each atom constituting the molecule. In other words, the molecular orbital of the molecule has a σ molecular orbital or π molecular orbital, and the electrons existing in these molecular orbitals play an important role in bonding each atom. Among them, the electrons in the σ molecular orbital strongly bond each atom and determine the interatomic distance in the molecule that is the skeleton of the molecule. On the other hand, the electrons in the π molecular orbital hardly contribute to the bonding of each atom, but rather are bound to the whole molecule by a very weak force.
[0010]
In many cases, when an electron in the σ molecular orbital is excited by light, the atomic spacing of the molecule changes greatly, and a large structural change including molecular dissociation occurs. As a result, most of the energy that light gives to molecules due to changes in the kinetic energy and structure of atoms changes its shape into thermal energy. Therefore, the excitation energy is not consumed in the form of light called fluorescence. In addition, since the molecular structure changes very rapidly (for example, shorter than picoseconds), even if fluorescence occurs in the process, the fluorescence lifetime is extremely short. However, even when electrons in the π molecular orbital are excited, the structure of the molecule itself hardly changes, stays at a high quantum discrete level for a long time, emits fluorescence in the order of nanoseconds, and desorbs. Exciting properties.
[0011]
According to quantum chemistry, having a π molecular orbital is equivalent to having a double bond, and it is necessary to select a molecule with abundant double bonds as the fluorescent labeler molecule to be used. Become. It has been confirmed that the fluorescence from the S2 state is very weak in 6-membered ring molecules such as benzene and virazine even with a double bond (for example, M .. Fujii et.al., Chem. Phys Lett. 171 (1990) 341). Therefore, if a molecule containing a six-membered ring molecule such as benzene or virazine is selected as the fluorescent labeler molecule, the fluorescence lifetime from the S1 state is prolonged, and further, the S irradiation is caused by light irradiation.1S from state2By exciting to the state, the fluorescence from the molecule can be easily suppressed, and the super-resolution of the double resonance absorption microscope described above can be used effectively.
[0012]
That is, if a sample is stained with these fluorescent labeler molecules and observed, not only a high spatial resolution fluorescent image can be obtained, but also a biological sample can be prepared by adjusting the chemical group of the side chain of the fluorescent labeler molecule. Only a specific chemical structure can be selectively stained, and even a detailed chemical composition of a sample can be analyzed.
[0013]
In general, the double resonance absorption process occurs only when two light wavelengths, polarization states, and the like satisfy specific conditions. By using this, it becomes possible to know a very detailed molecular structure. That is, there is a strong correlation between the polarization direction of light and the orientation direction of molecules, and a double resonance absorption process occurs strongly when the polarization direction of each of two-wavelength light and the orientation direction of molecules form a specific angle. Therefore, by irradiating the sample with two-wavelength light and rotating the polarization direction of each light, the degree of disappearance of the fluorescence changes, so that information on the spatial orientation of the tissue to be observed can be obtained from the state. Furthermore, this can be achieved by adjusting light of two wavelengths.
[0014]
On the other hand, wavelength λ1Light and wavelength λ2By adjusting the light irradiation timing to an appropriate one (see Japanese Patent Application No. 9-255444), it is possible to improve the S / N of the fluorescent image and to further effectively suppress the fluorescence.
[0015]
Further, the inventor of the present invention applied the wavelength λ1Light and wavelength λ2It has also been proposed to further improve S / N and fluorescence suppression by further improving the light irradiation timing (see Japanese Patent Application No. 10-97924).
By the way, the wavelength λ described above1Wavelength λ to a part of the light irradiation area2The overlap of the light irradiation area is the wavelength λ2The light is converted into a hollow beam, that is, the central portion (region near the axis) has zero intensity, and the beam has a target intensity distribution.1This can be realized by spatially overlapping a part of the light and condensing it on the sample. FIG. 7 is a conceptual diagram illustrating this polymerization and the fluorescence suppression caused thereby. Wavelength λ2The light is formed into a hollow beam by a phase plate as illustrated in FIG.2Light and wavelength λ1Wavelength λ by superimposing light2Fluorescence is suppressed outside the region near the optical axis where the light intensity is zero, and the wavelength λ1Only the fluorescence of fluorescent labeler molecules (or sample molecules) present in a region narrower than the spread of light is observed. As a result, super-resolution is developed.
[0016]
The phase plate of FIG.2The light is given a phase difference of π around the optical axis. This phase plate has a wavelength λ2By passing light, wavelength λ2Since the phase of the region near the optical axis (including the optical axis) of the light is inverted, the electric field intensity in the region near the optical axis becomes zero, and the wavelength has a hollow beam shape that is ideal for the development of super-resolution by suppressing fluorescence. λ2Light is obtained.
[0017]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, although the double resonance absorption microscope developed so far by the inventors of the present invention has shown outstanding utility and technical superiority in its super-resolution and analytical ability, it has not yet been developed. In fact, the following points to be improved remain. From here on, the sample molecules (= molecules constituting the sample) are S0S from state1Wavelength λ excited to the state1Light pumps light, S1The molecule in the state S2Wavelength λ excited to the state2The light is referred to as erase light, and the erase light having a hollow beam shape is referred to as hollow erase light. S0S from state1The excitation to the state is S0→ S1Excitation, S1S from state2The excitation to the state is S1→ S2Abbreviated as excitation. In addition, when a sample is stained with a fluorescent labeler molecule in order to make the realization of super-resolution more effective, the sample molecule is the fluorescent labeler molecule.
[0018]
In a double resonance absorption microscope, in order to achieve the super-resolution as expected by suppressing the fluorescent region by partially overlapping the irradiation region of the pump light and erase light, the hollow erase light has the expected hollow beam shape. Need to be. This disturbance in the shape of the hollow beam, that is, the disturbance in the intensity distribution causes the microscope image to deteriorate as it is.
[0019]
A laser is often used as a light source for erase light, but in order to form the erase light from the light source into a hollow beam as expected, it is necessary to have a beam profile of the laser light as a major premise. That is, the intensity distribution of the beam needs to be symmetric with respect to the optical axis. However, with a dye laser, for example, the beam shape is close to a triangle and the intensity distribution is not uniform, so it may be difficult to obtain the expected hollow beam. For this reason, the shape of the beam collected on the sample becomes a collapsed beam pattern, which causes deterioration in resolution and image quality of the microscope image.
[0020]
It has also been proposed to obtain hollow erase light via an annular aperture. However, when a ring-shaped aperture is used, it is difficult to perform light focusing and focusing, so that adjustment time and labor for obtaining a good image are very long, and skill for that purpose is also required. It is not preferable for practical use.
[0021]
Furthermore, a primary Bessel beam having an ideal beam profile as hollow erase light has been proposed. For example, as illustrated in FIG. 9, the phase of the primary Bessel beam changes by 2π when it makes a round around the light beam. Theoretically, the phase of each other is shifted by π at a point that is axisymmetric with respect to the optical axis, so that the electric field is completely canceled on the axis and becomes zero. In reality, however, the phase plane of the laser beam is not completely aligned within the beam plane, and the phase plane is disturbed as it moves away from the center of the beam. Due to the disturbance of the surface, the electric field canceling is incomplete, and an incomplete primary Bessel beam in which the intensity at the center of the beam is not completely zero is formed. This is not an ideal hollow erase light for a double resonance absorption microscope.
[0022]
The invention of this application has been made in view of the circumstances as described above, and is a new one that can improve the conventional double resonance absorption microscope and generate hollow erase light ideal for super-resolution. An object is to provide a double resonance absorption microscope.
[0023]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problems, the invention of this application proposes a wavelength λ for exciting a sample molecule from the ground state to the first electronically excited state.1And a wavelength λ that excites the sample molecule in the first electron excited state to the second electron excited state or a higher excited state.2The first electron excited state is obtained by irradiating the sample with the pump light and the erase light through the overlapping means. In a double resonance absorption microscope that partially suppresses the emission region when the sample molecules of the sample are deexcited to the ground state,Condensing lens and collimating lens and pinhole provided between them, Erase light is condensed into the pinhole by the condensing lens, and only the erased light passing through the pinhole is collimated into parallel light by the collimating lens A spatial filter is provided in the optical path of the erase light, and further, a phase modulation element is provided that gives a phase difference of π around the optical axis to the erase light that has passed through the spatial filter.A double resonance absorption microscope (Claim 1) is provided.
[0024]
In this double resonance absorption microscope,The radius a of the pinhole is
[0025]
[Equation 3]
[0026]
Condition or
[0027]
[Expression 4]
[0028]
The conditions are met (claims)2), Or an optical thin film having a thickness distribution capable of giving a phase difference of π around the optical axis to the erase light on a parallel substrate that is transparent and optically flat with respect to the erase light. (Claims)3In addition, the phase modulation element is formed by etching a parallel substrate that is transparent and optical flat with respect to the erase light so that the phase difference can be given to the erase light by π around the optical axis.4And the sample is stained with a fluorescent labeler molecule having at least three electronic states including a ground state, and the sample molecule is the fluorescent labeler molecule (claim).5) As an aspect thereof.
[0029]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The invention of this application has the features as described above, and more effectively exhibits super-resolution in a double resonance absorption microscope having a pump light source, an erase light source, and a superimposing means as basic components. Therefore, the spatial filter is used to improve the hollow beam of erase light.
[0030]
FIG. 10 is a schematic view showing an example of the spatial filter (100). As illustrated in FIG. 10, the spatial filter (100) includes a condenser lens (101) and a collimator lens (103) and a pinhole (102) provided therebetween, and the incident erase light. Is condensed with a condenser lens (101), illuminates the pinhole (102), and then the erase light that has passed through the pinhole (102) is collimated into parallel light by the collimator lens (103). Yes. In this case, the laser beam whose phase is disturbed, that is, the wavefront is disturbed, cannot pass through the pinhole (102), and as a result, only the laser beam with the uniform wavefront passes through the pinhole (102).
[0031]
This principle will be described with reference to FIG. FIG. 11 illustrates a case where an incident beam having a radius h is irradiated to a pinhole having a radius a placed on the focal plane by a lens having a focal length f.
[0032]
First, for example, lens position (or pupil position) ξ1Let us consider the wavefront as a point light source. Point ξ1To pinhole edge Zu(Point ξ1Optical path length to the side close to1uIs given by the following equation, where n is the refractive index of the optical path.
[0033]
[Equation 5]
[0034]
Also, the point ξ1To pinhole edge Zd(Point ξ1Optical path length to the far side)1dIs similarly given by
[0035]
[Formula 6]
[0036]
Therefore, these optical path differences ΔlIs given by:
[0037]
[Expression 7]
[0038]
When this number 7 is tailored and a minute amount up to 1 is taken,
[0039]
[Equation 8]
[0040]
It becomes. This Δ1Is the point ξ1This represents the maximum deviation of the wavefront when light from the light passes through the pinhole. At this time, if the wavelength of light is λ, the phase difference δ1Is
[0041]
[Equation 9]
[0042]
Given in. This is a wavefront aberration and indicates that a phase difference larger than this cannot pass through the pinhole.
[0043]
Also, the point ξ on the optical axis0To pinhole edge ZuOptical path length to0uIs given by:
[0044]
[Expression 10]
[0045]
In this case, since the maximum phase difference is the optical path difference with the light passing through the optical axis, if the same calculation is performed, the phase difference δ0Is
[0046]
[Expression 11]
[0047]
It is. That is, when the laser beam as shown in FIG. 11 passes through the pinhole, the maximum phase difference of the light emitted from each pupil plane is δ.1~ Δ0And when the entire beam passes through the pinhole,1It passes with the following phase difference. Therefore, even if the wave front of the laser beam is disturbed, by providing the spatial filter (100) illustrated in FIG.1Only laser light with the following phase shift can be passed.
[0048]
This will be described in the case of formation of hollow erase light in a double resonance absorption microscope. As the hollow erase light, a primary Bessel beam having an electric field intensity of zero in a region near the optical axis is used as a phase plate illustrated in FIG. If the phase difference of the erase light incident on the phase plate is not π / 2 at a symmetric position with respect to the optical axis, the electric field strength does not cancel out on the optical axis, and a good hollow beam shape is not obtained. However, the spatial filter (100) of FIG.2) On the optical path of1It can be: In particular,
[0049]
[Expression 12]
[0050]
If the phase plate satisfying the above condition is used, the sign of the electric field strength is reversed at a position where the phase difference of the erase light is symmetric with respect to the optical axis, and the electric field strength becomes weak on the optical axis. That is, it is possible to generate hollow erase light having a minimum beam profile that can realize super-resolution. By transforming Equation 12 into a condition for the pinhole (102) constituting the spatial filter (100),
[0051]
[Formula 13]
[0052]
It becomes. This is a condition that gives the size of the pinhole (102). Further, if the number 13 is written by an effective numerical aperture NA limited by the beam diameter of the erase light, that is, the pupil plane, the following equation is obtained.
[0053]
[Expression 14]
[0054]
Therefore, it is preferable to use a pinhole (102) that satisfies the condition given by Equation (13) or (14) for the spatial filter (100) in the double resonance absorption microscope of the present invention. By the phase difference δ1Only erase light having the following beam profile can be taken out, and hollow erase light suitable for the expression of super-resolution can be generated through the phase plate.
[0055]
Although Equations (13) and (14) are conditions for the pinhole (102), numerical values such as the focal length f and the numerical aperture NA of the condenser lens are also used. Therefore, the pinhole (102) and the condenser lens are used. It can also be said to be a condition with (101) or a condition with the spatial filter (100) itself.
[0056]
The invention of this application has the features as described above, and will be described more specifically with reference to the following examples.
[0057]
【Example】
FIG. 12 is a schematic view showing one embodiment of the double resonance absorption microscope of the present invention. The double resonance absorption microscope illustrated in FIG. 12 constitutes a laser scanning fluorescence microscope, which condenses the pump light and erase light into a spot and scans the sample (523) relative to the spot. In this system, fluorescence is detected and the fluorescence signal is imaged using a computer (501).
[0058]
The entire system is controlled by a computer (501). The computer (501) controls the oscillation timing of the Nd: YAG laser (505), which is a basic light source, via the laser controller (502). At the same time, the movement of the sample stage (524) is controlled via the sample stage controller (503) in synchronization with the timing of laser oscillation, and the sample (523) is two-dimensionally scanned. Similarly, the fluorescence signal of the sample (523) is acquired from the ICCD camera (540) via the camera controller (504) in synchronization with the laser oscillation.
[0059]
In this example, the sample (523) is assumed to be stained with a fluorescent labeler molecule, and a rhodamine-based molecule is assumed as the fluorescent labeler molecule. FIG. 13 illustrates spectral data of rhodamine 6G, which is one of rhodamine-based molecules. As illustrated in FIG.0→ S1An absorption band corresponding to excitation exists around 530 nm, and S1→ S2Excitation and fluorescence emission bands exist around 600 nm. Therefore, the wavelength λ1= S with 532 nm pump light0→ S1Excited, wavelength λ2= S with 599 nm erase light1→ S2When excited, fluorescence having a wavelength other than 599 nm disappears due to the double resonance absorption process and the stimulated emission process.
[0060]
Light having a wavelength of 532 nm can be generated by subjecting the fundamental wave (wavelength 1064 nm) of the Nd: YAG laser (505) to double wave modulation by a wavelength modulation element (507) made of BBO crystal, KTP crystal, or the like. Light with a wavelength of 599 nm is Ba (NOThree)2The wavelength can be generated by converting the wavelength of 532 nm to 599 nm using a Raman shifter (512). Light having a wavelength of 532 nm from the wavelength modulation element (507) is split by the half mirror (508), and the transmitted light is expanded into parallel light of an appropriate size by the telescope (509) and used as pump light. On the other hand, the reflected light is modulated into light having a wavelength of 599 nm by the Raman shifter (512) and used as erase light.
[0061]
In general, the Nd: YAG laser (505) uses a Gaussian mirror as a resonator, so that the wavefront in the center near the optical axis of the beam is relatively uniform, but the wave periphery is more disturbed, A phase difference occurs when compared with the central portion. Due to the distortion of the wave front, that is, the phase front, if the primary Bessel beam is formed as the hollow erase light by using the entire diameter of the laser beam, the hollow beam is not satisfactory for realizing the super-resolution.
[0062]
Therefore, in this embodiment, the spatial filter (100) described above is provided on the optical path of the erase light after the Raman shifter (512), and the spatial filter (100) is allowed to pass therethrough so that the wavefront disturbance is at least λ.2Only erase light with a beam profile suppressed to / 4 or less can be extracted. Specifically, first, the beam diameter of the erase light output from the Raman shifter (512) is set to 2 mm, and the light is condensed on the pinhole (102) by the condenser lens (101) having a focal length f = 50 cm. In this case, when the refractive index n of the optical path of the erase light, that is, the refractive index n of air is 1.0, and the radius a of the pinhole (102) is obtained by the above equation 13, the radius a = 38 μm. The erase light that has passed through the pinhole (102) is returned to a beam diameter of 2 mm by the collimator lens (103) having the same focal length f as that of the condenser lens (101).
[0063]
A complete primary Bessel beam can be generated from erase light having a good beam profile obtained in this manner. Specifically, the erase light exiting the spatial filter (100) is expanded into parallel light of an appropriate size by the telescope (513), and then becomes a primary Bessel beam by the phase plate (514).
[0064]
In this embodiment, the wavelength λ of the erase light2Since 599 nm, a phase plate (514) obtained by etching a glass substrate as illustrated in FIG. 14 was used. Since the refractive index of glass is 1.46 (wavelength 599 nm), the quarter wavelength of the erase light corresponds to the thickness of the glass substrate of 325.5 nm. Therefore, as illustrated in FIG. 14, if the region of the phase plate (514) is divided into four parts, the thickness is set so that the phase difference is ¼ wavelength in each adjacent region, and etching is performed. The erase light can be ideally turned into a hollow beam. That is, the erase light passes through each region facing the central portion of the phase plate (514) by passing the phase plate (514) so that its optical axis coincides with the center of the phase plate (514). Since the phase of the area near the optical axis of the erase light is inverted, the electric field strength in the area near the optical axis becomes zero. As a result, erase light having a hollow beam shape that is ideal for exhibiting super-resolution by suppressing fluorescence can be obtained. The erase light thus formed into a hollow beam is a primary Bessel beam.
[0065]
As the phase plate (514), instead of etching, a thin film of magnesium fluoride or the like vaporized on the substrate as a phase difference may be used. Needless to say, the order of the Raman shifter (512), the telescope (513), and the phase plate (514) may be changed as long as ideal hollow beam erase light is obtained.
[0066]
The pump light and the erase beam converted into a hollow beam are incident on the beam combiner (511) via the reflection mirror (510) and the reflection mirror (515), respectively, and become coaxial light. Of course, both lights are made the same size by the telescope (509) (513). The condensing objective lens (522) uses the pump light and the erase light that have been converted into coaxial light so as to capture both lights through the aperture of the condensing objective lens (522) by a beam reducer (520) that is a kind of telescope optical system. ) Is adjusted to a size equal to the aperture. And it is condensed on the sample (523) surface by the condensing objective lens (522).
[0067]
In this embodiment, the optical path length of the erase light can be adjusted in order to adjust the arrival time of the pump light and the erase light to the sample surface. Specifically, a delay optical system including a linear movement stage (518) and a prism (519) mounted thereon is provided on the side of the reflection optical path by the reflection mirror (516). The erase light from the telescope (513) is incident on the prism (519) of the delay optical system via the reflection mirrors (515) and (516). At this time, the linear movement stage (518) is moved by a delay distance with respect to the pump light of the erase light, and the return distance of the erase light through the prism (519) is adjusted. The delay distance is 30 cm with respect to the arrival time difference of 1 nsec. This delay distance can be measured using, for example, a micrometer, and the measurement result may be reflected in the movement distance of the linear movement stage (518). This makes it possible to perform irradiation optimal for the expression of fluorescence suppression, where the irradiation time of the pump light completely overlaps that of the erase light. In addition, when an independent laser, for example, two Nd: YAG pulse lasers, is used as a pump light source and an erase light source, by providing two trigger pulses having a time difference, Even when the Q switch signal is electrically controlled, the arrival times of the pump light and the erase light to the sample (523) can be adjusted.
[0068]
Now, when the sample (523) is irradiated with the pump light and the erase light in this way, the hollow erase light overlaps a part of the irradiation area of the pump light, so that the irradiation area where both lights overlap is Fluorescence suppression area A1The irradiation area of only the pump light, which is the hollow part of the hollow erase light, is the fluorescent area A.0(See FIG. 6), this fluorescent region A0Fluorescence of rhodamine-based molecules is generated only from (= observation region).
[0069]
This fluorescence again passes through the condenser objective lens (522) and enters the spectroscope (539) from the eyepiece lens (538). For example, as shown in FIG. 15, the spectroscope (539) includes a collimator spherical mirror (5391), a focusing spherical mirror (5392), and a mechanically switchable diffraction grating (5393) as a basic optical system. The fluorescence that has passed through the entrance slit (5395) is incident on the collimator spherical mirror (5391) by the reflection mirror (5394), and is condensed on the diffraction grating (5393) by the collimator spherical mirror (5391). The fluorescence wavelength-resolved on the diffraction grating (5393) is imaged on the CCD element of the ICCD camera (540) by the focusing spherical mirror (5392).
[0070]
The signal obtained by the ICCD camera (540) at this time is a fluorescence spectrum per one shot of the laser. The sample stage (524) is two-dimensionally moved in synchronization with one shot of the laser, and the two-dimensional fluorescence image of the sample (523) is constructed by integrating the fluorescence spectrum at that time by the computer (501). Can do. If pump light and erase light are mixed in the fluorescence signal, the signal of the wavelength component of the pump light and erase light is removed in the image generation by the computer (501), and only the original fluorescence wavelength component is removed. If imaging is performed using a signal, a sufficient super-resolution can be developed and a high S / N fluorescence image can be obtained.
[0071]
In order to further improve the super-resolution, a notch filter (536) for cutting the pump light wavelength and a notch filter (537) for cutting the erase light wavelength are inserted in front of the spectroscope (539). (In FIG. 15, it is inserted in front of the eyepiece lens (538) to the spectroscope (539)). As a result, the pump light and erase light can be separated from the fluorescence signal before entering the spectroscope (539), and only the original fluorescence component can be spectrally analyzed, so that the so-called purity of the fluorescence signal is increased and more effective. Can exhibit super-resolution. Of course, in addition to the notch filters (536) and (537), a bandpass filter or a sharp cut filter may be inserted as necessary to cut off unnecessary wavelength components other than the fluorescence from the fluorescent labeler molecules.
[0072]
If the incident slit (5395) of the spectroscope (539) is opened and the zero-order light of the diffraction grating (5393) is imaged on the CCD element of the ICCD camera (540), the light from the surface of the sample (523) It becomes a fluorescent image itself. Particularly in this case, in order to improve the S / N, it is preferable to insert the notch filters (536) and (537), the band pass filter or the sharp cut filter.
[0073]
Next, the sample moving mechanism of the present embodiment will be described. The sample stage (524) controlled by the computer as described above is a five-dimensional moving stage in the XYZφθ direction.
[0074]
First, for movement in the Z direction, which is the optical axis direction, for example, an inch worm stage mechanism using a kind of piezoelectric element can be used, and its absolute position can be monitored by a rotary encoder. Preferably it is.
[0075]
In general, when focusing with an objective lens having a large numerical aperture, the depth of focus becomes very shallow, and it is very difficult to search for the focal position. For example, when the light is condensed by a lens having a numerical aperture NA, the spread d of the condensed beam at a point away from the focal point by δz is given by the following expression.
[0076]
[Expression 15]
[0077]
If δz is 600 nm, d is about 400 nm. This is equivalent to a size in which the pump light is narrowed down to the diffraction limit, and basically means that position control must be performed with an accuracy of 1 μm or less. Therefore, an inchworm stage using a kind of piezo piezoelectric element is suitable for the double resonance absorption microscope of the present invention that exhibits super-resolution because position control at sub-μm is possible. Further, by monitoring the absolute position, the observation region can be quickly found even if the sample (523) is replaced.
[0078]
FIG. 16 shows an example of a two-dimensional movement mechanism in the X and Y directions of the sample stage (524). The XY two-dimensional movement mechanism illustrated in FIG. 16 includes a leaf spring (601) and two stacked piezoelectric elements (602) and (603), and the stacked piezoelectric elements (602) and (603). The leaf spring (601) is driven, and one laminated piezoelectric element (602) is moved in the X-axis direction, the other laminated piezoelectric element (603) is moved in the Y-axis direction, and the sample stage (524) is moved to the optical axis. It is moved two-dimensionally in an orthogonal plane. In addition, as illustrated in FIG. 17, a moving mechanism in which the stacked piezoelectric elements (602) and (603) are directly attached to the sample stage (524) can be used. However, as shown in FIG. 16, the leaf spring (601) is used. The mechanism via the can more effectively suppress the occurrence of image quality degradation due to the distortion of the scanning plane.
[0079]
The sample stage (524) is also provided with a drive mechanism in the θφ direction, which is added to make the surface of the sample (523) and the optical axes of the pump light and erase light accurately orthogonal to each other. is there.
[0080]
The sample stage (524) by the above five-dimensional moving mechanism is a case where the mechanical scan with respect to the sample (523) is assumed. For example, a oscillating galvanometer mirror is provided on the optical path, and the laser beam itself is It can also be scanned.
[0081]
Now, an example of optical axis adjustment of pump light and erase light will be described. As a standard sample for adjusting the optical axis, a sample in which rhodamine B is dispersed in a thin film transparent to both pump light and erase light is used. Rhodamine B is highly probable due to both pump light and erase light.0→ S1Since excitation occurs, a sufficient amount of fluorescence can be observed. The thin film as the standard sample is manufactured, for example, by dispersing rhodamine B in PMMA in a solution state and spin-coating it on a slide glass with a thickness of several μm.
[0082]
The procedure for adjusting the optical axis is to simultaneously irradiate the standard sample with pump light and erase light, and observe the generated fluorescence with a computer (501) via the ICCD camera (540), while condensing the pump light. The position of the condensing point is adjusted by adjusting the inclination of the reflecting mirror (510) on the optical path of the pump light or the reflecting mirror (515) on the optical path of the erase light so that the condensing point of the erase light and the erase light coincide with each other. Move. At this time, the fluorescence image when the condensing points of the pump light and the erase light coincide with each other has a minimum light emission area and a maximum light emission luminance. Therefore, an optical system is used so that such a fluorescence image can be obtained. By adjusting, the optical axis coincidence of the pump light and the erase light is realized.
[0083]
In FIG. 12, (533) is a half mirror, (534) is a lens for illumination light, and (535) is an illumination light source. These are optical systems used for optical axis adjustment.
[0084]
Further, as illustrated in FIG. 12, another microscope optical system for adjusting the optical axis may be provided on the rear side of the sample (523). In FIG. 12, (525) is a transmitted light lens, (526) is a half mirror, (527) is an illumination light lens, (528) is an illumination light source, and (529) and (530) are pump light and erase light. A notch filter, (531) is an eyepiece, and (532) is an ICCD camera, and these constitute a microscope optical system for adjusting the optical axis.
[0085]
Below, control of the whole system mentioned above is explained.
[0086]
The microscope system of the present embodiment is a camera controller (504) that controls an ICCD camera (540) (or the ICCD (532) when the optical axis microscope optical system is also provided) as a unit that performs electrical control. And a sample stage controller (503) for controlling the sample stage (524) and a laser controller (502) for controlling the Nd: YAG laser (505). These controllers are concentrated by a computer (501). Managed.
[0087]
For the ICCD camera (540), generation of a gate pulse that determines the detection time of the fluorescence signal and transmission of the acquired fluorescence signal to the computer (501), and for the sample stage (524), a piezoelectric element (602) (603) The Q switch signal is controlled for the step movement (see FIGS. 16 and 17) and the Nd: YAG laser (505). As a processing sequence of the system,
1. Nd: YAG laser oscillation
2. ICCD camera gate pulse generation
3. Data capture
4). Step movement of piezoelectric element
This cycle is repeated for the number of pixels of the acquired image. The fluorescence spectrum for each pixel from the ICCD camera (540) is taken in as numerical data by the computer (501), and after obtaining the data for all the pixels, it is mixed as a background signal by numerical calculation processing. The wavelength components of light and erase light are removed, and the integrated value of the other wavelength components is used as an image signal for one pixel. The image data obtained in this way is output to an external output device such as a CRT or a printer or stored in a storage device such as an HDD or FDD as necessary.
[0088]
The present invention is not limited to the above examples, and it goes without saying that various modes are possible for details.
[0089]
【The invention's effect】
As described in detail above, the invention of this application provides a new double resonance absorption microscope that can generate hollow erase light that is ideal for super-resolution and can realize super-resolution more reliably. Is done.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram illustrating an electron configuration of a sample molecule in a ground state.
FIG. 2 S1It is the figure which illustrated the electronic arrangement | positioning of the sample molecule excited to the state.
FIG. 3 S2It is the figure which illustrated the electronic arrangement | positioning of the sample molecule excited to the state.
FIG. 4 is a diagram illustrating an electron configuration of a deexcited sample molecule.
FIG. 5 is a conceptual diagram illustrating a double resonance absorption process.
FIG. 6 is a conceptual diagram spatially illustrating a double resonance absorption process.
FIG. 7 is a conceptual diagram exemplifying partial polymerization of pump light and erase light and fluorescence suppression thereby.
FIG. 8 is a diagram showing an example of a phase plate for forming a hollow beam of erase light.
FIG. 9 is a conceptual diagram illustrating the phase distribution of the cross section of a primary Bessel beam with the light beam as the origin.
FIG. 10 is a schematic view showing an example of a spatial filter used in the double resonance absorption microscope of the present invention.
FIG. 11 is a diagram illustrating the principle of forming erase light with a good beam profile by a spatial filter.
FIG. 12 is a schematic view illustrating a laser scanning fluorescence microscope system using a double resonance absorption microscope according to an embodiment of the present invention.
FIG. 13 is a diagram illustrating an absorption characteristic (solid line) and a fluorescence characteristic (dotted line) of rhodamine 6G.
FIG. 14 is a schematic view showing an example of a phase plate obtained by etching a glass substrate.
15 is a schematic view illustrating the internal structure of a spectrometer in the microscope system of FIG.
16 is a schematic view showing an example of an XY two-dimensional movement mechanism of a sample stage in the microscope system of FIG.
FIG. 17 is a schematic view showing another example of the XY two-dimensional movement mechanism of the sample stage.
[Explanation of symbols]
100 spatial filter
101 condenser lens
102 pinhole
103 collimating lens
501 computer
502 Laser controller
503 Sample stage controller
504 Camera controller
505 Nd: YAG laser
507 Wavelength modulation element
508 half mirror
509 Telescope
510 Reflection mirror
511 Beam combiner
512 Raman Shifter
513 Telescope
514 Phase plate
515, 516, 517 Reflective mirror
518 Linear moving stage
519 prism
520 beam reducer
521 half mirror
522 Condensing objective lens
523 samples
524 Sample stage
525 Lens for transmitted light
526 half mirror
527 Lens for illumination light
528 Illumination light source
529,530 Notch filter
531 Eyepiece
532 ICCD camera
533 half mirror
534 Lens for illumination light
535 Illumination light source
536, 537 Notch filter
538 Eyepiece
539 Spectroscope
5391 Collimator Spherical Mirror
5392 Focusing spherical mirror
5393 diffraction grating
5394 Reflection mirror
5395 slit
540 ICCD camera
601 leaf spring
602, 603 Multilayer type epizo piezoelectric element
Claims (5)
集光レンズおよびコリメートレンズとその間に設けられたピンホールとを有し、イレース光を集光レンズによりピンホールに集光し、且つピンホールを通過したイレース光のみをコリメートレンズにより平行光にコリメートする空間フィルターが、イレース光の光路に備えられ、さらに、前記空間フィルターを通過したイレース光にその光軸を中心としてπだけ位相差を与える位相変調素子が備えられていることを特徴とする二重共鳴吸収顕微鏡。A light source wavelength lambda 1 of the pump light for exciting the sample molecules from the ground state to the first electronic excited state, the wavelength lambda 2 that excites the sample molecules of the first electronic excited state to the second excited states or higher excited state An erase light source and a superimposing unit that partially superimposes the irradiation area of the pump light and the erase light are provided. By irradiating the sample with the pump light and the erase light through the superimposing unit, In a double resonance absorption microscope that partially suppresses the emission region when sample molecules are deexcited to the ground state,
Condensing lens and collimating lens and pinhole provided between them, Erase light is condensed into the pinhole by the condensing lens, and only the erased light passing through the pinhole is collimated into parallel light by the collimating lens The spatial filter is provided in the optical path of the erase light, and further includes a phase modulation element that gives the erase light that has passed through the spatial filter a phase difference of π around its optical axis. Double resonance absorption microscope.
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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