JP4598351B2 - Sheet-like sliding material - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摺動部分に用いられるシート状摺動材に関し、特に、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像定着装置に組込んで用いるのに好適なシート状摺動材に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像定着装置としては、一対の加熱された定着ロールと加圧ロールを用いるロール定着法が一般に用いられてきた。しかし、この方法では、定着ロール及び／又は加圧ロールの弾性層を変形させてニップ部を形成しているため、ニップ幅を大きくとるには、弾性層の厚みをある程度厚くする必要があり、定着ロールに吸収される熱量の増大を招いてきた。定着ロールに吸収される熱量が大きいほど、定着ロールを室温から定着可能温度に上昇させるまでの時間（立ち上げ時間）が長くかかるため、効率が悪いという問題点があった。ニップ幅を大きくすれば、記録紙の搬送速度を大きくしたり、トナーに十分な熱を与えることが可能になり、複写機の高速化や高画質化に利点がある。
【０００３】
そこで、前記問題を解決するために、特開平８−２６２９０３号公報では、表面が弾性変形する回転可能な加熱定着ロールと、前記加熱定着ロールに接触したまま走行可能なエンドレスベルトと、前記エンドレスベルトの内側に非回転状態で配置されて、前記エンドレスベルトを前記加熱定着ロールに圧接させ、前記エンドレスベルトと前記加熱定着ロールとの間に記録紙が通過させられるベルトニップを設けると共に、前記加熱定着ロールの表面を弾性変形させる加圧パッドとを具備してなるベルトニップ方式の画像定着装置が提案されている。また、圧力パッドの表層には、低摩擦シート（シート状摺動材）としてポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）を含浸させたガラス繊維シート（ＰＴＦＥ含浸ガラスクロス）を用いる方法が開示されている。この方法によれば、エンドレスベルトを用いることにより所定のニップ幅を得ることが容易であり、従来のロール定着法と比較して熱損失を低減し、立ち上げ時間を短縮することが可能であるが、圧力パッドとエンドレスベルトとの間の耐摩耗性が不十分であり、長時間運転するとシート状摺動材と連続摩擦を繰り返すエンドレスベルトの表面が荒れて摩擦抵抗が増大し、記録紙のスリップによる画像のずれが発生したり、加熱定着ロールのギア受け部にかかる応力が増大し、ギアの破損を引き起こすという技術課題があらたに発生した。この現象は、ＰＴＦＥ含浸ガラスクロスを用いた場合、長時間の使用によりＰＴＦＥが摩耗してガラスクロスが露出し、エンドレスベルトの表面を荒らして摩擦抵抗が急激に増大することが原因となっていた。
【０００４】
特開平１０−２１３９８４号公報では、かかる問題を解決するために、前記圧力パッドと前記エンドレスベルトとの間に潤滑剤としてシリコーンオイルを介在させる方法が提案されている。この方法によれば、圧力パッドとエンドレスベルトとの間の摩擦抵抗をある程度低減することが可能であるが、ＰＴＦＥ含浸ガラスクロスを用いた場合、ＰＴＦＥの表面エネルギーが低いため、シリコーンオイルをはじいてしまい、エンドレスベルトとシート状摺動材との界面にシリコーンオイルを保持することが困難であり、シリコーンオイルを用いる効果が十分に得られず、前記のガラスクロスが露出する現象を完全に防止することができないという問題があった。
特開２００１−２４９５５８号公報では、ガラスクロスにＰＴＦＥ水分散液を塗布・焼成した摺動材に、親油性処理を施したフッ素樹脂を塗布するか、もしくは親油化剤をフッ素樹脂と併用するという方法により、オイル保持性の改善が提案された。しかしながら、この方法においても、エンドレスベルトとの連続摩擦を繰り返すことにより生ずるガラスクロスの露出は抑えることができず、結果的にベルト摺動面が傷つけられ、摺動抵抗の増加は抑えることができなかった。
また、特開２００１−２２８７３１号公報では、前記オイル保持性、耐磨耗性を解決するために、ＰＴＦＥ多孔質樹脂繊維織布と多孔質フィルムから成る摺動シートが提案されている。このシートによれば、該ＰＴＦＥ多孔質樹脂部内に潤滑材を保持させることが可能になり、更にガラスクロスの代わりにＰＴＦＥ織布を使用することでエンドレスベルトを傷つけるという問題は解決することができた。しかしながら、この摺動シートは経時安定性に欠け、エンドレスベルトの連続回転を長時間続けると、織布の変形（目ズレ）が発生し、その寄れた目が原因でニップ圧の不均一化や摺動抵抗の増加が引き起こされ、紙ジワ、紙詰まり、画像への悪影響が発生するという問題を生じることが確認された。更に、多孔質樹脂部材内に保持された潤滑剤が、摺動シート下部に設けてある加圧パッド部まで透過し、パッドを形成するシリコーンゴムを膨潤させることで加圧パッドを変形させるという問題を生じることも確認された。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐久性に優れたシート状摺動材を提供することをその課題とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のよれば、以下に示すシート状摺動材が提供される。
（１）多孔質組織材を摺動面部材とするシート状摺動材であって、該多孔質組織材の非摺動面側に該多孔質組織材の変形防止フィルムを積層接着させたことを特徴とするシート状摺動材。
（２）該多孔質組織材の摺動面側に多孔質膜が積層接着されていることを特徴とする前記（１）に記載のシート状摺動材。
（３）該多孔質組織材が織布であることを特徴とする前記（１）又は（２）に記載のシート状摺動材。
（４）該織布がフッ素樹脂繊維織布であることを特徴とする（３）に記載のシート状摺動材。
（５）該フッ素樹脂繊維が多孔質ポリテトラフルオロエチレン繊維であることを特徴とする（４）に記載のシート状摺動材。
（６）該変形防止フィルムが非多孔質フィルムであることを特徴とする前記（１）〜（５）のいずれかに記載のシート状摺動材。
（７）該非多孔質フィルムの融点が１００℃以上であることを特徴とする（６）に記載のシート状摺動材。
（８）該非多孔質フィルムが、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体又はテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体であることを特徴とする前記（６）又は（７）に記載のシート状摺動材。
（９）該非多孔質フィルムがポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする前記（６）又は（７）に記載のシート状摺動材。
（１０）多孔質膜が多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムであることを特徴とする前記（２）〜（９）のいずれかに記載のシート状摺動材。
（１１）厚さが５０〜５００μｍで、摺動面の表面粗さ（算術平均粗さ）が３０μｍ以下であることを特徴とする請求項１〜１０のいずれかに記載のシート状摺動材。
（１２）該多孔質組織材及び／又は該多孔質組織材の摺動面側表面上の該多孔質膜に潤滑剤が保持されていることを特徴とする前記（１）〜（１１）のいずれかに記載のシート状摺動材。
（１３）該潤滑剤が、シリコーンオイルであることを特徴とする前記（１２）に記載のシート状摺動材。
【０００７】
【発明の実施の形態】
本発明のシート状摺動材は、その摺動面部材として多孔質組織材を用いるとともに、該多孔質組織材の非摺動面側に該多孔質組織材の変形防止フィルムを積層接着させた構造を有するものである。この場合、該多孔質組織材の摺動面側には、多孔質膜を配設させることができる。
【０００８】
本発明で用いる多孔質組織材は摺動面部材として用いられるものであればよく、不織布、織布、編布等の布帛、ネット等の従来公知の多孔質組織材を用いることができるが、構造的に摺動抵抗が低く、オイル保持性に優れた布帛が好ましく用いられる。布帛の中でも、伸びにくく、強度の高い織布が好ましい。布帛を形成する繊維は、多孔質又は非多孔質のものであることができるが、多孔質のものが潤滑剤保持性に優れているため好ましい。また、繊維の材質は、摺動材としての強度を有するものであれば特に制約されないが、複写機のトナー定着部等、耐熱性を要求される用途では、耐熱性に優れ、摩擦係数の低いフッ素樹脂が好ましく用いられる。好ましい繊維の具体例を示すと、例えば、多孔質ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）繊維、非多孔質ＰＴＦＥ繊維、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル（ＰＦＡ）繊維、テトラフルオロエチレン／ヘキサフルオロプロピレン（ＦＥＰ）繊維、ポリエチレン／テトラフルオロエチレン（ＥＴＦＥ）繊維等のフッ素樹脂繊維及び、これらのフッ素樹脂繊維同士、又はこれらのフッ素樹脂繊維と他の有機繊維、無機繊維を適宜組み合わせたもの等が挙げられる。本発明の場合、その耐熱性、低摩擦係数、高強度、潤滑剤保持性等の点から、延伸法による多孔質ＰＴＦＥ繊維が特に好ましい。延伸法による多孔質ＰＴＦＥ繊維の製造方法は、特開平０７−１０２４１３号公報等に開示されている、従来公知の方法を用いることができる。繊維は糸状のものであればよく、熱成形法等の成形方法により製造されたものや、フィルムを糸状に細断したもの等が包含される。
【０００９】
本発明で用いる布帛において、その繊維太さは５〜５０００デニールであり、摺動性、生産性の点から５０〜２０００デニールが好ましい。その布帛の厚みは２０μｍ〜２ｍｍであり、強度、取扱い性の点から５０μｍ〜１ｍｍが好ましい。
【００１０】
前記多孔質組織材の摺動面側には、摺動抵抗の低減、耐摩耗性の向上の点から、多孔質膜（多孔質フィルム）を積層接着させてもよい。この多孔質フィルムとしては、潤滑剤を保持することが可能で、摺動材の使用温度に耐えるものであれば特に制約されないが、摺動性に優れた各種のフッ素樹脂多孔質フィルムが好ましく用いられる。本発明の場合、耐熱性、耐摩耗性、摺動性、オイル保持性の点から、特に、多孔質ＰＴＦＥフィルムが好ましい。多孔質フィルムの厚みは１〜１０００μｍであるが、そのフィルムとしての取扱い性、強度、コストの点から、５〜１５０μｍが好ましい。その多孔質フィルムの最大孔径は、耐摩耗性、摺動性、潤滑剤保持性の点から、０．０１μｍ以上が好ましい。その最大孔径が０．０１μｍより小さくなると、そのフィルムの潤滑剤保持性が低下してしまう。
最大孔径の上限値については、潤滑剤保持性、耐摩耗性、摺動性が損なわれなければよく、特に制約されない。
前記多孔質ＰＴＦＥフィルムは、延伸法、溶剤抽出法、キャスティング法等、従来公知の方法により製造することができる。延伸法によって製造される延伸多孔質ＰＴＦＥフィルムは、高強度で耐摩耗性に優れており、特に好ましく用いられる。延伸法による多孔質ＰＴＦＥフィルムの製造方法は、特開昭４６−７２８４号、特開昭５０−２２８８１号、特表平０３−５０４８７６号等の各公報に開示されている、従来公知の方法を用いることができる。
【００１１】
本発明で用いる多孔質組織材として織布を用いる場合、その織り方は特に制約されないが、平織、朱子織、綾織、からみ織、模紗織等であることができる。本発明の場合、耐摩耗性、摺動性の点から、平織又は朱子織が好ましい。
【００１２】
多孔質組織材に対して、多孔質フィルムを積層接着させる場合、その接着方法としては、熱融着法、接着剤を用いる従来公知の各種の方法を用いることができるが、多孔質ＰＴＦＥ繊維を用いた布帛と多孔質ＰＴＦＥフィルムを接着する場合には、フッ素樹脂、特に、ＦＥＰのディスパージョンを介して接着する方法が、接着が容易で、しかも多孔質ＰＴＦＥの特性を損なわないため好ましい。具体的には、多孔質ＰＴＦＥ繊維を用いた布帛をＦＥＰ水分散系に浸漬し、引き上げた後、２００度の乾燥機で乾燥させる。これを多孔質ＰＴＦＥフィルムと積層させ、ＦＥＰ水分散系を軟化させるに十分な熱、圧力、時間を加えて接着する。
【００１３】
本発明のシート状摺動材は、前記多孔質組織材の非摺動面側に、多孔質組織材の変形防止フィルムを積層接着させる。前記したように、本発明者らの研究によれば、この変形防止フィルムを用いない場合には、多孔質組織材は長時間の使用により変形し、各種の不都合を生じるが、前記変形防止フィルムの使用により、このような不都合の発生を防止することができる。
多孔質組織材の変形量は、多孔質組織材の材質、組織構造によって異なるが、変形の大きいものほど本発明の効果が顕著であり、前記変形防止フィルムを用いることにより、変形量の比較的大きい多孔質組織材であっても、優れた経時安定性を実現できる。
【００１４】
本発明で用いる変形防止フィルムとしては、多孔質及び非多孔質の各種の樹脂フィルム、金属フィルム等が用いられるが、本発明の場合、潤滑剤遮断性、加工性、コストの点から、非多孔質樹脂フィルムを用いるのが好ましい。非多孔質樹脂フィルムを用いれば、本発明で用いる多孔質組織材及び／又は多孔質組織材の摺動面側表面上の多孔質膜に潤滑剤が保持された場合、シート状摺動材の下部にシリコーンゴム製等の加圧パッドが用いられても、変形防止フィルムが潤滑剤のバリア層として機能し、潤滑剤が加圧パッドを濡らし、加圧パッドの膨潤、劣化を引き起こす現象を防止できる。
前記変形防止フィルム用樹脂の具体例を示すと、例えば、ＰＴＦＥ、ＰＦＡ、ＦＥＰ、ＥＴＦＥ等のフッ素樹脂の他、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリイミド（ＰＩ）、ポリエーテルイミド（ＰＥＩ）、ポリエーテルサルホン（ＰＥＳ）、ポリフェニレンサルファイド（ＰＰＳ）、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）、ポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）、液晶ポリマー（ＬＣＰ）等が挙げられる。
【００１５】
本発明で用いる変形防止フィルムにおいて、樹脂フィルムを用いる場合、その融点は、摺動材の使用温度より高い融点を有するものであれば特に制約されない。摺動材は、摩擦熱の発生により高温条件下で使用される場合が多く、定着装置の場合は、加熱ロールの影響により、１００〜２２０℃という高温環境下で使用される。従って、定着装置に組込んで用いる場合には、変形防止フィルムの融点は、１００℃以上、好ましくは１８０℃以上である。その上限値は特に制約されないが、通常、３５０℃程度である。そのフィルムの厚みは、通常１〜１０００μｍであるが、ハンドリング性、強度、柔軟性、コスト等の点から、５〜１００μｍのものが好ましく、１０〜５０μｍのものがより好ましい。
【００１６】
多孔質組織材と変形防止フィルムとの接着方法としては、加熱ラミネート法、層間に接着剤を塗布しての接着法、フッ素樹脂ディスパージョンを塗布しての接着法、接着テープを使用しての接着法等、従来公知の方法が適宜用いられるが、加工性、接着力、生産性の点から、加熱ラミネート法が特に好ましい。加熱ラミネート法としては、加熱された一対のロール（通常、加熱ロールとニップロール）の間に、多孔質組織材と変形防止フィルムを積層した状態で通し、ロール間で熱圧着する方法が一般的である。
【００１７】
本発明のシート状摺動材において、その全体の厚みは５０μｍ〜４ｍｍ、好ましくは８０〜５００μｍである。厚みが５０μｍ未満では十分な強度と潤滑剤保持性が得られず、厚みが４ｍｍを超えると嵩張るため、小型部品には使用しにくくなる。
【００１８】
本発明のシート状摺動材を定着装置に組み込んで使用する際には、その厚みは５０μｍ〜５００μｍが好ましい。５０μｍ未満では強度と耐摩耗性において不十分であり、５００μｍ超では画像不良が発生する。特に好ましくは５０μｍ〜２５０μｍであり、この範囲内の厚みでは更に良好な画像を得ることができる。
また、定着装置内で使用する際には、その摺動面の表面粗さ（算術平均粗さ）も重要な因子となり、３０μｍ以下が好ましい。３０μｍを超えると画像不良が発生する。好ましくは１５μｍ以下が良く、より好ましくは５μｍ以下にすることで、画像は更に高画質化する。
厚みと表面粗さを低減させる方法としては、繊維径を細くする方法、圧延又はプレス工程を加える方法等が考えられ、適宜選択可能である。
【００１９】
このシート状摺動材には、必要に応じ、その摺動性を高めるために、その多孔質組織材及び／又は多孔質組織材の摺動面側表面上の多孔質膜に、潤滑剤を含浸させることができる。この潤滑剤には、オイルやグリースが包含されるが、潤滑性の点からオイルを用いるのが好ましい。オイルの場合、シリコーンオイルやフッ素オイル等が用いられるが、安全性の点からシリコーンオイルが好ましく用いられる。シリコーンオイルとしては、アミノ変性シリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、ヒンダードアミンオイル等の変性シリコーンオイルが摺動性、耐久性に優れ好ましい。この場合のシリコーンオイルにおいて、その粘度（常温）は、５０〜３０００ｃｐｓであることが好ましい。粘度が５０ｃｐｓ未満では、シリコーンオイルの蒸発が大きくなり、粘度が３０００ｃｐｓを超えると摺動抵抗が増大し、潤滑剤を用いる効果が得られない。
【００２０】
本発明のシート状摺動材に対する潤滑剤の含浸は、潤滑剤を含浸させたフェルトやスポンジあるいはオイルロールを用いて行うことができる他、潤滑剤をあらかじめ摺動材の多孔質組織材や、その表面に多孔質膜を積層した場合には、その多孔質膜に、あらかじめ含浸しておくこともできる。
【００２１】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【００２２】
実施例１
延伸多孔質ＰＴＦＥフィルムと、多孔質ＰＴＦＥ繊維から成る織布との積層品（ジャパンゴアテックス製、品番♯８１８１、繊維の太さ４００Ｄ、空孔率５８．８％、朱子織り）の織布面に、１２μｍ厚のＦＥＰフィルム（ダイキン工業製ネオフロンＮＦ−００１２）と２０μｍ厚の延伸多孔質ＰＴＦＥフィルム（ジャパンゴアテックス製、平均孔径３μｍ、空孔率９４％）を重ね、３５０℃の加熱ロールとニップロールの間に１．８ＭＰａの圧力をかけ、２．５ｍ／ｍｉｎのスピードで通すことにより層間を接着し、厚み２８０μｍ、摺動面（延伸多孔質ＰＴＦＥフィルム面）の表面粗さ（算術平均粗さ）１８μｍのシート状摺動材を作製した。尚、最下層の延伸多孔質ＰＴＦＥフィルムは、ＦＥＰフィルムが加熱ロールに接着するのを防止するために使用したものである。
前記繊維の空孔率は、下記方法により算出した。
電子顕微鏡で繊維の平均直径を測定して、長さ４５０ｍの繊維体積を算出し（繊維断面を真円形と仮定）、これとＰＴＦＥの比重（２．２）から、前記繊維の空孔率が０％であった場合の長さ４５０ｍの繊維重量（充実ＰＴＦＥ繊維重量）をもとめた。４００Ｄの繊維の重量は４５０ｍで２０ｇであるから、下記式により、繊維太さ４００Ｄの多孔質ＰＴＦＥ繊維の空孔率がもとめられる。
【数１】
多孔質ＰＴＦＥ繊維の空孔率（％）
＝(充実ＰＴＦＥ繊維重量−３０)／(充実ＰＴＦＥ繊維重量) （１）
【００２３】
実施例２
実施例１で用いた多孔質ＰＴＦＥフィルムと、多孔質ＰＴＦＥ繊維からなる織布との積層品の多孔質ＰＴＦＥ繊維織布面に、２５μｍ厚のＰＥＴフィルム（ユニチカ製エンブレットＰＥＴ−２５）と２０μｍ厚の延伸多孔質ＰＴＦＥフィルム（ジャパンゴアテックス製、平均孔径３μｍ、空孔率９４％）を重ねて、３５０℃の加熱ロールとニップロールの間に１．８ＭＰａの圧力をかけ、２．０ｍ／ｍｉｎの加工速度で通すことにより、層間を接着し、厚み２７０μｍ、摺動面（延伸多孔質ＰＴＦＥフィルム面）の表面粗さ（算術平均粗さ）１８μｍのシート状摺動材を作製した。尚、最下層の延伸多孔質ＰＴＦＥフィルムは、ＰＥＴフィルムが加熱ロールに接着するのを防止するために使用したものである。
【００２４】
実施例３
実施例１で作製したシートを１００℃の温度をかけた1対の油圧式圧延ロール間に速度１．０ｍ／ｍｉｎ、コッター値５１５０の設定で通すことにより、厚み２８０μｍ、摺動面表面粗さ（算術平均粗さ）１８μｍのシートを、厚み１８５μｍ、摺動面表面粗さ（算術平均粗さ）３μｍに圧延した。
【００２５】
尚、表面粗さ（算術平均粗さ）の測定（ＪＩＳ Ｂ０６０１、評価長さ１２．５ｍｍ）は、ミツトヨ製表面粗さ測定器（サーフテスト ＳＶ６００）にて実施した。
【００２６】
比較例１
実施例１において用いた多孔質ＰＴＦＥフィルムと、多孔質ＰＴＦＥ繊維からなる織布との積層品（厚み２５０μｍ、摺動面表面粗さ（算術平均粗さ）１８μｍ、変形防止フィルムなし）。
【００２７】
比較例２
特開平８−２６２９０３号公報の第１実施例で開示されているＰＴＦＥ含浸ガラス繊維シート（中興化成工業製、ＦＧＦ−４００−４）（厚み１００μｍ、摺動面表面粗さ（算術平均粗さ）４μｍ）。
【００２８】
前記で得られる各シート状摺動材について、その性能を以下の試験により評価した。
【００２９】
（１）オイル透過試験
１０ｃｍ角のシート状摺動材を切り出し、その下に延伸多孔質ＰＴＦＥフィルムを重ねて置いておく。シート状摺動材の上に１ｇのオイル（信越化学工業株式会社製ＫＦ−９６ＳＳ−１００ｃｓ）を滴下し、１０分間放置する。１０分後、下に敷いてある延伸多孔質ＰＴＦＥフィルムの重量増加を測定することでオイル透過量を測定した。尚、下側の延伸多孔質ＰＴＦＥフィルムは、少しずつ動かしてオイルが過飽和状態にならないようにした。この測定では、実施例１のシートは重量増加が０ｇであったのに対し、比較例１のシートでは０．８ｇのオイル増加が観測された。
【００３０】
（２）目ズレ試験（ＪＩＳ１０９６、縫目滑脱法Ｂ法、荷重１１７．７Ｎ）
ＪＩＳに規格されている方法により繊維の滑脱抵抗力を測定したところ、実施例１のシート状摺動材で、縦０．４ｍｍ以下（ｎ＝３、０．４以下、０．４以下、０．４以下）、横０．７ｍｍ（ｎ＝３、０．８、０．７、０．６）、比較例１のシートで縦０．８ｍｍ（ｎ＝３、１．０、１．０、０．６）、横２．１ｍｍ（ｎ＝３、１．６、２．６、２．２）という結果になった。この結果から、本発明によるシート状摺動材が、目ズレ（変形）を防止する効果に優れていることを証明できた。
【００３１】
(３）引張り強度について以下に示す。（ＪＩＳ Ｌ１０９６ Ａ法、ラベルドストリップ法、引張り速度１０ｃｍ／ｍｉｎ、つかみ間隔１０ｃｍ、試験片幅５ｃｍ、雰囲気温度１６０℃）
実施例１のシート状摺動材の引張り強度：縦６６８Ｎ（ｎ＝３、６６９、６６５、６６９）、横５８７Ｎ（ｎ＝３、５９１、５８９、５８１）
比較例１のシート状摺動材の引張り強度：縦６５６Ｎ（ｎ＝３、６４５、６６８、６５４）、横５３１Ｎ（ｎ＝３、５２８、５４０、５２６）
以上の結果から、変形防止フィルムを積層することで引張り強度が増加することが確認できた。
【００３２】
（４）定着装置評価
Ｊａｐａｎ Ｈａｒｄｃｏｐｙ ２００１論文集Ｐ５７〜Ｐ６０「省エネルギー・カラー定着技術」(２００１)の中で開示されている、ベルト式定着システムを採用したフルカラーレーザービームプリンター（富士ゼロックス製ＤＣ−Ｃ２２２０）を用いて、そのベルト内面と加熱ロールに押し当てられる加圧パッドに挟まれる場所に設置されている摺動部に、本発明による実施例１、３、比較例１、２のシート状摺動材を設置するとともに、ジメチルシリコーンオイル（信越化学工業製、ＫＦ−９６、粘度３００ｃｓ）をシート状摺動材表面に１ｃｃ供給し、Ａ４紙に面積比５％で覆う４色文字を配置した画像を毎分５枚のスピードで連続印刷出力する通紙試験を各７０，０００枚行った。
前記通紙試験前後で、被摺動面側のベルト内面をミツトヨ製表面粗さ測定器（サーフテスト ＳＶ６００）にて表面粗さ（Ｒａ）を測定すると共に、該ベルト内面の傷の発生状態を目視観察した。また、加圧パッドの外観、シート状摺動材の織目の外観、出力画像の画質状態を前記通紙試験前後で目視観察した。
また、上記の通紙評価前及び通紙評価後に、ＯＨＰを用いてマゼンタ色のベタ画像を出力し、画像ムラの評価を実施した。その結果を表１に示す。
この結果より、比較例１でシート状摺動材からの繊維脱落が起こり、画像欠点を生じる結果となった。また、ジメチルシリコーンオイルがシート状摺動材の非摺動面側まで浸透している形跡が認められ、試験後の加圧パッドがシート状摺動材を透過したジメチルシリコーンオイルにより膨潤し、体積増加を起こしていた。尚、通紙前後のＯＨＰ評価では若干の色ムラが見られた。
また、比較例２のＰＴＦＥ含浸ガラス繊維シートでは、含浸ＰＴＦＥの摩耗により、ガラス繊維が露地し、ベルト内面へ傷を生じさせ、更に２０，０００枚、同様の通紙を行った時点で、安定した画像得ることができなくなった。但し、通紙前後のＯＨＰ評価では特に色ムラ等は見られなかった。
一方、実施例１に例示した本発明のものは、被摺動面側へ傷を付ける事なく、安定した画像が得られ、更に２０，０００枚、同様の通紙を行っても、安定した画像を得ることができた。但し、通紙前後のＯＨＰ評価では若干ではあるが色ムラが観測された。
実施例３のシートを用いた場合には、実施例１のシートと同様に通紙評価での問題は見られなかった。更に通紙前後のＯＨＰ評価でも色ムラは観測されなかった。
【００３３】
【表１】
【発明の効果】
本発明によれば、多孔質組織材から構成されるシート状摺動材の裏面に、多孔質組織材の変形防止フィルムを設けることで、多孔質組織材の変形（織布の場合は目ズレ）を抑制することができる。本発明のシート状摺動材を使用する定着装置においては、この変形防止フィルムがオイルバリアフィルムとしても働き、シート状摺動材下部に設ける加圧パッドの変形を抑制することで、高品質の画像を安定して得ることができる。
【００３５】
本発明のシート状摺動材は、面接触する２つの固体表面間に介在させることにより、その摩擦抵抗を低減させることができる。本発明のシート状摺動材は、このような２つの固体表面が接触する機構を有する各種の装置に対して適用することができる。このような装置には、例えば、複写機、プリンター、ファクシミリ等に配置されている画像定着装置や、センサーカバー、様々な軸受けやベアリングに使用される摺動材等が包含される。
【００３６】
定着装置としては、加熱源を有する回転可能な加熱定着ロールと、この加熱定着ロールに圧接し、従動走行するエンドレスベルトと、このエンドレスベルトの内側に配設されて、前記エンドレスベルトを加熱定着ロールに向けて押圧してそのエンドレスベルトと加熱定着ロールとの間にニップ部を形成する加圧パッドとを備え、この加圧パッド表面を低摩擦シートで被覆した構造のものが知られている（特開２００１−２２８７３１号公報等）。本発明のシート状摺動材は、その加圧パッド表面被覆用の低摩擦シートとして好適に用いることができる。
【００３７】
センサーカバーとしては、定着ロールに接する温度検知部をポリイミドテープやテフロンテープで被覆したものが用いられている。本発明のシート状摺動材は、そのテープに代えて、その温度検知部を被覆するためのテープとして好ましく適用することができる。
【００３８】
本発明のシート状の摺動材は、その他、各種機械や建築物等の滑り支承、ベアリング、軸受け等への適用も可能である。例えば建造物の免震滑り支承は、地震により高面圧で高速の摺動が起こるため、低摩擦係数で且つ耐久性があることが要求されるが、金属板上に本発明のシート状摺動材を被覆することで長期に安定して良好な摺動特性を得ることができる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a sheet-like sliding material used for a sliding portion, and particularly to a sheet-like sliding material suitable for use in an image fixing apparatus such as a copying machine, a printer, and a facsimile machine.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a roll fixing method using a pair of heated fixing rolls and a pressure roll has been generally used as an image fixing apparatus such as a copying machine, a printer, and a facsimile machine. However, in this method, since the nip portion is formed by deforming the elastic layer of the fixing roll and / or the pressure roll, it is necessary to increase the thickness of the elastic layer to some extent in order to increase the nip width. The amount of heat absorbed by the fixing roll has been increased. The greater the amount of heat absorbed by the fixing roll, the longer it takes to raise the fixing roll from room temperature to the fixable temperature (start-up time). Increasing the nip width makes it possible to increase the conveyance speed of the recording paper and to apply sufficient heat to the toner, which is advantageous in increasing the speed and image quality of the copying machine.
[0003]
In order to solve the above problem, Japanese Patent Laid-Open No. 8-262903 discloses a rotatable heating and fixing roll whose surface is elastically deformed, an endless belt that can run while being in contact with the heating and fixing roll, and the endless belt. A belt nip that is disposed in a non-rotating state, presses the endless belt against the heat fixing roll, and allows recording paper to pass between the endless belt and the heat fixing roll, and the heat fixing. A belt nip type image fixing apparatus having a pressure pad for elastically deforming the surface of a roll has been proposed. Further, a method of using a glass fiber sheet (PTFE-impregnated glass cloth) impregnated with polytetrafluoroethylene (PTFE) as a low friction sheet (sheet-like sliding material) is disclosed for the surface layer of the pressure pad. According to this method, it is easy to obtain a predetermined nip width by using an endless belt, and it is possible to reduce heat loss and shorten the start-up time as compared with the conventional roll fixing method. However, the wear resistance between the pressure pad and the endless belt is inadequate, and the surface of the endless belt that repeats continuous friction with the sheet-like sliding material is roughened when operated for a long time, and the frictional resistance increases. The technical problem that the image shift | displacement by the slip generate | occur | produced or the stress concerning the gear receiving part of a heat fixing roll increased, and caused the gear breakage occurred anew. This phenomenon was caused when PTFE-impregnated glass cloth was used, and PTFE was worn away by prolonged use and the glass cloth was exposed, roughening the surface of the endless belt, and the frictional resistance increased rapidly. .
[0004]
Japanese Laid-Open Patent Publication No. 10-213984 proposes a method of interposing silicone oil as a lubricant between the pressure pad and the endless belt in order to solve such a problem. According to this method, the frictional resistance between the pressure pad and the endless belt can be reduced to some extent. However, when PTFE-impregnated glass cloth is used, the surface energy of PTFE is low, so that the silicone oil is repelled. Therefore, it is difficult to hold the silicone oil at the interface between the endless belt and the sheet-like sliding material, the effect of using the silicone oil is not sufficiently obtained, and the phenomenon that the glass cloth is exposed is completely prevented. There was a problem that I could not.
In JP 2001-249558 A, a fluororesin that has been subjected to lipophilic treatment is applied to a sliding material obtained by applying and firing a PTFE aqueous dispersion on a glass cloth, or a lipophilic agent is used in combination with a fluororesin. In this way, improvement of oil retention was proposed. However, even in this method, the exposure of the glass cloth caused by repeated continuous friction with the endless belt cannot be suppressed, and as a result, the belt sliding surface is damaged and the increase in sliding resistance can be suppressed. There wasn't.
Japanese Patent Application Laid-Open No. 2001-228731 proposes a sliding sheet made of a PTFE porous resin fiber woven fabric and a porous film in order to solve the oil retention and wear resistance. According to this sheet, it becomes possible to hold the lubricant in the PTFE porous resin portion, and further, the problem of damaging the endless belt can be solved by using a PTFE woven cloth instead of the glass cloth. It was. However, this sliding sheet lacks stability over time, and if the endless belt is continuously rotated for a long time, deformation of the woven fabric (displacement) occurs, and the uneven eyes cause uneven nip pressure. It was confirmed that an increase in sliding resistance was caused, causing problems such as paper wrinkles, paper jams, and adverse effects on images. Further, the lubricant held in the porous resin member permeates to the pressure pad portion provided at the lower part of the sliding sheet, and the pressure pad is deformed by swelling the silicone rubber forming the pad. It was also confirmed that
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
This invention makes it the subject to provide the sheet-like sliding material excellent in durability.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies to solve the above problems, the present inventors have completed the present invention.
That is, according to the present invention, the following sheet-like sliding material is provided.
(1) A sheet-like sliding material having a porous tissue material as a sliding surface member, wherein the deformation preventing film of the porous tissue material is laminated and adhered to the non-sliding surface side of the porous tissue material A sheet-like sliding material characterized by
(2) The sheet-like sliding material according to (1), wherein a porous film is laminated and adhered to the sliding surface side of the porous tissue material.
(3) The sheet-like sliding material according to (1) or (2), wherein the porous tissue material is a woven fabric.
(4) The sheet-like sliding material according to (3), wherein the woven fabric is a fluororesin fiber woven fabric.
(5) The sheet-like sliding material according to (4), wherein the fluororesin fiber is a porous polytetrafluoroethylene fiber.
(6) The sheet-like sliding material according to any one of (1) to (5), wherein the deformation preventing film is a non-porous film.
(7) The sheet-like sliding material according to (6), wherein the non-porous film has a melting point of 100 ° C. or higher.
(8) The sheet according to (6) or (7), wherein the non-porous film is a tetrafluoroethylene-hexafluoropropylene copolymer or a tetrafluoroethylene-perfluoroalkyl vinyl ether copolymer. Sliding material.
(9) The sheet-like sliding material according to (6) or (7), wherein the non-porous film is polyethylene terephthalate.
(10) The sheet-like sliding material according to any one of (2) to (9), wherein the porous film is a porous polytetrafluoroethylene film.
(11) The sheet-like sliding material according to any one of claims 1 to 10, wherein the thickness is 50 to 500 µm, and the surface roughness (arithmetic average roughness) of the sliding surface is 30 µm or less. .
(12) The lubricant according to (1) to (11) above, wherein a lubricant is held in the porous film and / or the porous film on the sliding surface side surface of the porous structure material. The sheet-like sliding material according to any one of the above.
(13) The sheet-like sliding material according to (12), wherein the lubricant is silicone oil.
[0007]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The sheet-like sliding material of the present invention uses a porous tissue material as the sliding surface member, and a laminated anti-deformation film of the porous tissue material is laminated and bonded to the non-sliding surface side of the porous tissue material. It has a structure. In this case, a porous film can be disposed on the sliding surface side of the porous tissue material.
[0008]
The porous tissue material used in the present invention may be any material as long as it can be used as a sliding surface member. Etc. Conventionally known porous tissue materials can be used, but fabrics that are structurally low in sliding resistance and excellent in oil retention are preferably used. Among the fabrics, woven fabrics that are difficult to stretch and have high strength are preferable. The fibers forming the fabric can be porous or non-porous, but porous fibers are preferred because they are excellent in lubricant retention. The material of the fiber is not particularly limited as long as it has strength as a sliding material, but it is excellent in heat resistance and has a low friction coefficient in applications requiring heat resistance such as a toner fixing portion of a copying machine. A fluororesin is preferably used. Specific examples of preferable fibers include, for example, porous polytetrafluoroethylene (PTFE) fibers, non-porous PTFE fibers, tetrafluoroethylene-perfluoroalkyl vinyl ether (PFA) fibers, tetrafluoroethylene / hexafluoropropylene (FEP). ), Fluororesin fibers such as polyethylene / tetrafluoroethylene (ETFE) fibers, and these fluororesin fibers, or combinations of these fluororesin fibers and other organic fibers and inorganic fibers as appropriate. In the case of the present invention, porous PTFE fibers obtained by a stretching method are particularly preferable from the viewpoints of heat resistance, low friction coefficient, high strength, lubricant retention, and the like. As a method for producing porous PTFE fiber by the stretching method, a conventionally known method disclosed in JP-A-07-102413 and the like can be used. The fiber may be in the form of a thread, and includes those manufactured by a molding method such as a thermoforming method, and those obtained by chopping a film into a thread.
[0009]
In the fabric used in the present invention, the fiber thickness is 5 to 5000 denier, and 50 to 2000 denier is preferable from the viewpoint of slidability and productivity. The thickness of the fabric is 20 μm to 2 mm, and 50 μm to 1 mm is preferable from the viewpoint of strength and handleability.
[0010]
A porous film (porous film) may be laminated and adhered to the sliding surface side of the porous tissue material from the viewpoint of reducing sliding resistance and improving wear resistance. The porous film is not particularly limited as long as it can retain a lubricant and can withstand the operating temperature of the sliding material, but various fluororesin porous films having excellent sliding properties are preferably used. It is done. In the case of the present invention, a porous PTFE film is particularly preferable from the viewpoints of heat resistance, wear resistance, slidability, and oil retention. Although the thickness of a porous film is 1-1000 micrometers, 5-150 micrometers is preferable from the point of the handleability as the film, intensity | strength, and cost. The maximum pore diameter of the porous film is preferably 0.01 μm or more from the viewpoint of wear resistance, slidability, and lubricant retention. When the maximum pore diameter is smaller than 0.01 μm, the lubricant retention of the film is lowered.
The upper limit of the maximum pore diameter is not particularly limited as long as the lubricant retention, wear resistance, and slidability are not impaired.
The porous PTFE film can be produced by a conventionally known method such as a stretching method, a solvent extraction method, or a casting method. A stretched porous PTFE film produced by a stretching method has high strength and excellent wear resistance, and is particularly preferably used. As a method for producing a porous PTFE film by a stretching method, a conventionally known method disclosed in JP-A No. 46-7284, JP-A No. 50-22881, JP-T No. 03-504876, or the like is used. Can be used.
[0011]
When a woven fabric is used as the porous tissue material used in the present invention, the weaving method is not particularly limited, but may be plain weaving, satin weaving, twill weaving, tangle weaving, imitation weaving or the like. In the present invention, plain weave or satin weave is preferred from the viewpoint of wear resistance and slidability.
[0012]
In the case of laminating and bonding a porous film to a porous tissue material, as a bonding method thereof, various conventionally known methods using a heat fusion method and an adhesive can be used. When adhering the used fabric and the porous PTFE film, a method of adhering via a fluororesin, in particular, an FEP dispersion is preferable because adhesion is easy and the characteristics of the porous PTFE are not impaired. Specifically, a fabric using porous PTFE fibers is immersed in an FEP water dispersion, pulled up, and then dried with a 200 ° dryer. This is laminated with a porous PTFE film and bonded by applying heat, pressure and time sufficient to soften the FEP water dispersion.
[0013]
In the sheet-like sliding material of the present invention, the deformation preventing film of the porous tissue material is laminated and adhered to the non-sliding surface side of the porous tissue material. As described above, according to the researches of the present inventors, when this deformation prevention film is not used, the porous tissue material is deformed by long-term use, causing various disadvantages. The occurrence of such inconveniences can be prevented by using.
The amount of deformation of the porous tissue material varies depending on the material and structure of the porous tissue material, but the larger the deformation, the more remarkable the effect of the present invention. By using the deformation preventing film, the amount of deformation is relatively high. Even with a large porous tissue material, excellent temporal stability can be realized.
[0014]
As the deformation preventing film used in the present invention, various porous and non-porous resin films, metal films and the like are used. In the case of the present invention, it is non-porous from the viewpoint of lubricant blocking property, workability, and cost. It is preferable to use a quality resin film. If a non-porous resin film is used, when the lubricant is held on the porous structure material and / or the porous film on the sliding surface side surface of the porous structure material used in the present invention, the sheet-shaped sliding material Even when a pressure pad made of silicone rubber or the like is used at the bottom, the deformation prevention film functions as a barrier layer for the lubricant, preventing the lubricant from wetting the pressure pad and causing the swelling and deterioration of the pressure pad. it can.
Specific examples of the resin for deformation prevention film include, for example, fluororesin such as PTFE, PFA, FEP, ETFE, polyethylene terephthalate (PET), polyimide (PI), polyetherimide (PEI), polyethersal. Hong (PES), polyphenylene sulfide (PPS), polyetheretherketone (PEEK), polyethylene naphthalate (PEN), liquid crystal polymer (LCP) and the like can be mentioned.
[0015]
In the deformation preventing film used in the present invention, when a resin film is used, its melting point is not particularly limited as long as it has a melting point higher than the operating temperature of the sliding material. The sliding material is often used under a high temperature condition due to generation of frictional heat, and in the case of a fixing device, it is used in a high temperature environment of 100 to 220 ° C. due to the influence of a heating roll. Therefore, when used in a fixing device, the melting point of the deformation preventing film is 100 ° C. or higher, preferably 180 ° C. or higher. The upper limit is not particularly limited, but is usually about 350 ° C. The thickness of the film is usually 1-1000 μm, but from the viewpoint of handling properties, strength, flexibility, cost, etc., the thickness is preferably 5-100 μm, more preferably 10-50 μm.
[0016]
The bonding method between the porous tissue material and the deformation preventing film includes a heat laminating method, an adhesive method in which an adhesive is applied between layers, an adhesive method in which a fluororesin dispersion is applied, and an adhesive tape. Conventionally known methods such as an adhesion method are appropriately used, but the heat laminating method is particularly preferable from the viewpoint of processability, adhesive strength, and productivity. As a heat laminating method, a method in which a porous tissue material and a deformation prevention film are laminated between a pair of heated rolls (usually a heating roll and a nip roll) and thermocompression bonding between the rolls is generally used. is there.
[0017]
In the sheet-like sliding material of the present invention, the total thickness is 50 μm to 4 mm, preferably 80 to 500 μm. If the thickness is less than 50 μm, sufficient strength and lubricant retention cannot be obtained, and if the thickness exceeds 4 mm, it is bulky and thus difficult to use for small parts.
[0018]
When the sheet-like sliding material of the present invention is incorporated in a fixing device and used, the thickness is preferably 50 μm to 500 μm. If the thickness is less than 50 μm, the strength and wear resistance are insufficient, and if it exceeds 500 μm, an image defect occurs. The thickness is particularly preferably 50 μm to 250 μm, and a better image can be obtained with a thickness within this range.
When used in the fixing device, the surface roughness (arithmetic average roughness) of the sliding surface is also an important factor, and is preferably 30 μm or less. When it exceeds 30 μm, an image defect occurs. The image is preferably 15 μm or less, and more preferably 5 μm or less, thereby further improving the image quality.
As a method for reducing the thickness and the surface roughness, a method of reducing the fiber diameter, a method of adding a rolling or pressing step, and the like can be considered and can be appropriately selected.
[0019]
In order to improve the slidability of the sheet-like sliding material, if necessary, a lubricant is applied to the porous structure material and / or the porous film on the sliding surface side surface of the porous structure material. Can be impregnated. The lubricant includes oil and grease, but it is preferable to use oil from the viewpoint of lubricity. In the case of oil, silicone oil, fluorine oil or the like is used, but silicone oil is preferably used from the viewpoint of safety. As the silicone oil, modified silicone oils such as amino-modified silicone oil, dimethyl silicone oil, mercapto-modified silicone oil, hindered amine oil and the like are preferable because of excellent slidability and durability. In this case, the viscosity (normal temperature) of the silicone oil is preferably 50 to 3000 cps. When the viscosity is less than 50 cps, the silicone oil evaporates, and when the viscosity exceeds 3000 cps, the sliding resistance increases and the effect of using the lubricant cannot be obtained.
[0020]
The impregnation of the lubricant with respect to the sheet-like sliding material of the present invention can be performed using felt, sponge or oil roll impregnated with the lubricant, the porous structure material of the sliding material in advance, When a porous film is laminated on the surface, the porous film can be impregnated in advance.
[0021]
【Example】
Next, the present invention will be described in more detail with reference to examples.
[0022]
Example 1
Laminated fabric surface of stretched porous PTFE film and woven fabric made of porous PTFE fibers (Japan Gore-Tex, product number # 8181, fiber thickness 400D, porosity 58.8%, satin weave) A 12 μm-thick FEP film (Necron NF-0012, manufactured by Daikin Industries) and a 20 μm-thick stretched porous PTFE film (manufactured by Japan Gore-Tex, average pore diameter of 3 μm, porosity 94%) are overlaid on a 350 ° C. heating roll, A pressure of 1.8 MPa is applied between the nip rolls, and the layers are bonded by passing at a speed of 2.5 m / min, and the surface roughness (arithmetic mean roughness) of the thickness of 280 μm and the sliding surface (stretched porous PTFE film surface) A) An 18 μm sheet-like sliding material was produced. The lowermost stretched porous PTFE film was used to prevent the FEP film from adhering to the heating roll.
The porosity of the fiber was calculated by the following method.
The average diameter of the fiber is measured with an electron microscope, and the fiber volume of 450 m in length is calculated (assuming the fiber cross section is a true circle). From this and the specific gravity of PTFE (2.2), the porosity of the fiber is calculated. The fiber weight (solid PTFE fiber weight) of 450 m in length when 0% was obtained. Since the weight of the 400D fiber is 450 g and 20 g, the porosity of the porous PTFE fiber having a fiber thickness of 400D can be obtained by the following formula.
[Expression 1]
Porosity of porous PTFE fiber (%)
= (Full PTFE fiber weight -30) / (Full PTFE fiber weight) (1)
[0023]
Example 2
On the porous PTFE fiber woven fabric surface of the laminate of the porous PTFE film used in Example 1 and a woven fabric made of porous PTFE fibers, a PET film (emblicated PET-25 made by Unitika) and 20 μm are laminated. Thick stretched porous PTFE film (manufactured by Japan Gore-Tex, average pore size 3 μm, porosity 94%) is overlaid and a pressure of 1.8 MPa is applied between a heating roll and a nip roll at 350 ° C., and 2.0 m / min. Then, the layers were bonded to each other to prepare a sheet-like sliding material having a thickness of 270 μm and a sliding surface (stretched porous PTFE film surface) surface roughness (arithmetic average roughness) of 18 μm. The lowermost stretched porous PTFE film is used for preventing the PET film from adhering to the heating roll.
[0024]
Example 3
By passing the sheet produced in Example 1 between a pair of hydraulic rolling rolls at a temperature of 100 ° C. at a speed of 1.0 m / min and a cotter value of 5150, the thickness was 280 μm and the sliding surface was rough. (Arithmetic mean roughness) A sheet of 18 μm was rolled to a thickness of 185 μm and a sliding surface roughness (arithmetic mean roughness) of 3 μm.
[0025]
The measurement of surface roughness (arithmetic average roughness) (JIS B0601, evaluation length 12.5 mm) was carried out with a Mitutoyo surface roughness measuring instrument (Surf Test SV600).
[0026]
Comparative Example 1
Laminated product of porous PTFE film used in Example 1 and woven fabric made of porous PTFE fibers (thickness 250 μm, sliding surface surface roughness (arithmetic mean roughness) 18 μm, no deformation prevention film).
[0027]
Comparative Example 2
PTFE-impregnated glass fiber sheet (manufactured by Chukoh Chemical Industry Co., Ltd., FGF-400-4) disclosed in the first example of JP-A-8-262903 (thickness 100 μm, sliding surface roughness (arithmetic mean roughness)) 4 μm).
[0028]
About each sheet-like sliding material obtained above, the performance was evaluated by the following tests.
[0029]
(1) Oil permeation test
A 10 cm square sheet-shaped sliding material is cut out, and a stretched porous PTFE film is placed under it. 1 g of oil (manufactured by Shin-Etsu Chemical Co., Ltd., KF-96SS-100cs) is dropped on the sheet-like sliding material and left for 10 minutes. Ten minutes later, the amount of oil permeation was measured by measuring the weight increase of the stretched porous PTFE film laid underneath. The lower stretched porous PTFE film was moved little by little so that the oil was not oversaturated. In this measurement, the weight increase of the sheet of Example 1 was 0 g, while the oil increase of 0.8 g was observed in the sheet of Comparative Example 1.
[0030]
(2) Eye misalignment test (JIS1096, seam slip-off method B, load 117.7N)
When the sliding resistance of the fiber was measured by a method specified in JIS, the sheet-like sliding material of Example 1 was 0.4 mm or less in length (n = 3, 0.4 or less, 0.4 or less, 0 .4 or less), 0.7 mm in width (n = 3, 0.8, 0.7, 0.6), 0.8 mm in length in the sheet of Comparative Example 1 (n = 3, 1.0, 1.0, 0.6) and 2.1 mm in width (n = 3, 1.6, 2.6, 2.2). From this result, it was proved that the sheet-like sliding material according to the present invention was excellent in the effect of preventing misalignment (deformation).
[0031]
(3) The tensile strength is shown below. (JIS L1096 A method, labeled strip method, tensile speed 10 cm / min, gripping interval 10 cm, specimen width 5 cm, ambient temperature 160 ° C.)
Tensile strength of the sheet-like sliding material of Example 1: 668 N in length (n = 3, 669, 665, 669), 587 N in width (n = 3, 591, 589, 581)
Tensile strength of the sheet-like sliding material of Comparative Example 1: longitudinal 656N (n = 3, 645, 668, 654), lateral 531N (n = 3, 528, 540, 526)
From the above results, it was confirmed that the tensile strength was increased by laminating the deformation preventing film.
[0032]
(4) Evaluation of fixing device
Using a full-color laser beam printer (Fuji Xerox DC-C2220) employing a belt-type fixing system disclosed in Japan Hardcopy 2001 Proceedings P57-P60 “Energy Saving Color Fixing Technology” (2001) While installing the sheet-like sliding material of Examples 1 and 3 and Comparative Examples 1 and 2 according to the present invention in the sliding part installed in the place between the belt inner surface and the pressure pad pressed against the heating roll , Dimethyl silicone oil (manufactured by Shin-Etsu Chemical Co., Ltd., KF-96, viscosity 300 cs) is supplied to the surface of the sheet-like sliding material at 1 cc, and 5 images per minute are arranged with 4 color characters covering A4 paper with an area ratio of 5%. 70,000 sheets were tested each for continuous printing and output at a speed of 5 mm.
Before and after the paper passing test, the inner surface of the belt on the sliding surface side was measured for surface roughness (Ra) with a Mitutoyo surface roughness measuring instrument (Surf Test SV600), and the state of scratches on the inner surface of the belt was checked. Visual observation was performed. Further, the appearance of the pressure pad, the texture of the sheet-like sliding material, and the image quality of the output image were visually observed before and after the paper passing test.
In addition, a magenta solid image was output using OHP before and after the above paper evaluation, and image unevenness was evaluated. The results are shown in Table 1.
From this result, fiber dropout from the sheet-like sliding material occurred in Comparative Example 1, resulting in an image defect. In addition, it was observed that dimethyl silicone oil penetrated to the non-sliding surface side of the sheet-like sliding material, and the pressure pad after the test was swollen by the dimethyl silicone oil that permeated the sheet-like sliding material, and the volume Increased. In addition, in the OHP evaluation before and after passing paper, some color unevenness was observed.
In addition, in the PTFE-impregnated glass fiber sheet of Comparative Example 2, the glass fiber was exposed due to wear of the impregnated PTFE, and the inner surface of the belt was damaged, and when 20,000 sheets were similarly passed, I can no longer get the image. However, no color unevenness or the like was found in the OHP evaluation before and after the paper was passed.
On the other hand, the thing of this invention illustrated in Example 1 obtained the stable image, without giving a damage | wound to the sliding surface side, and also stable even if it performed the same 20,000 sheets. I was able to get an image. However, slight color unevenness was observed in the OHP evaluation before and after passing the paper.
When the sheet of Example 3 was used, no problem in paper passing evaluation was found as in the case of the sheet of Example 1. Further, no color unevenness was observed in the OHP evaluation before and after the paper was passed.
[0033]
[Table 1]
【The invention's effect】
According to the present invention, the deformation of the porous tissue material (in the case of a woven fabric, misalignment) is provided by providing a deformation preventing film for the porous tissue material on the back surface of the sheet-like sliding material composed of the porous tissue material. ) Can be suppressed. In the fixing device using the sheet-like sliding material of the present invention, this deformation prevention film also functions as an oil barrier film, and by suppressing the deformation of the pressure pad provided at the lower part of the sheet-like sliding material, high quality An image can be obtained stably.
[0035]
The sheet-like sliding material of the present invention can reduce its frictional resistance by being interposed between two solid surfaces in surface contact. The sheet-like sliding material of the present invention can be applied to various devices having such a mechanism that two solid surfaces come into contact with each other. Such devices include, for example, image fixing devices arranged in copying machines, printers, facsimiles, etc., sensor covers, sliding materials used for various bearings and bearings, and the like.
[0036]
The fixing device includes a rotatable heat-fixing roll having a heating source, an endless belt that is in pressure contact with the heat-fixing roll and is driven inside, and the endless belt is disposed inside the endless belt. There is known a structure having a pressure pad that is pressed toward the end of the belt and forming a nip portion between the endless belt and the heat fixing roll, and the surface of the pressure pad is covered with a low friction sheet ( JP 2001-228731 A, etc.). The sheet-like sliding material of the present invention can be suitably used as a low friction sheet for covering the pressure pad surface.
[0037]
As the sensor cover, a temperature detection unit that is in contact with the fixing roll is covered with a polyimide tape or a Teflon tape. The sheet-like sliding material of the present invention can be preferably applied as a tape for covering the temperature detection portion instead of the tape.
[0038]
The sheet-like sliding material of the present invention can also be applied to sliding bearings, bearings, bearings and the like of various machines and buildings. For example, a base-isolated sliding bearing of a building is required to have a low coefficient of friction and durability because a high-speed sliding occurs at a high surface pressure due to an earthquake. By covering the moving material, good sliding characteristics can be obtained stably over a long period of time.
Claims (13)
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