JP4578067B2 - Topical pharmaceutical composition - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、局所医薬組成物に関する。さらに詳しくは、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)および生分解性材料を含有する局所医薬組成物に関する。
また本発明は、局所医薬組成物を含む創傷保護ドレッシング剤に関する。
本発明の局所医薬組成物およびドレッシング剤は、MIFを徐放することにより、創傷の治療に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
皮膚や粘膜の損傷や欠損、すなわち創傷、熱傷、凍傷、紫外線照射、外傷、皮膚潰瘍、水疱性皮膚疾患ならびに、長期入院患者ケアの問題である「床ずれ」等による受診患者数は、6万5000人を数える。これらには、手術による創傷、切除による創傷、真皮および表皮の損傷を伴う深い創傷、眼組織の創傷、歯組織の創傷、口腔の創傷、糖尿病性潰瘍、皮膚潰瘍、肘潰瘍、動脈潰瘍、静脈うっ血潰瘍、熱曝露または化学薬品から生ずる熱傷等があり、また、尿毒症、栄養失調、ビタミン欠乏症に関連するものや、ステロイド、放射線療法、抗腫瘍性薬物および代謝拮抗物質による全身処置と関連する合併症といったような、異常な創傷治癒状態も含まれる。また、「床ずれ」は、上皮細胞の更新速度が老齢化により基礎的に低下していることを背景に起こる症状である。
【0003】
創傷治癒は、負傷した組織が修復され、特定の組織が再生され、そして新たな組織が再編成されることによる、一連の過程からなる。創傷治癒は3つの主要期、即ち、a)炎症期(0〜3日)、b)細胞増殖期(3〜12日)、及びc)再成形期(3日〜6か月)からなる。創傷治癒過程は、複雑な現象が次々に起こることで成立している。創面では次のような生理反応が起こっている。(1)血管が破綻し、血小板が集まり止血する。また、血管収縮により止血する。(2)同時に、血小板より血小板由来成長因子、上皮成長因子が放出される。(3)収縮していた血管が拡張して毛細血管の透過性が亢進し、白血球が組織内に遊走し細菌を排除する。(4)マクロファージが創傷内に進入し、壊死組織などを除去する。(5)マクロファージが各種成長因子(血管新生、線維芽細胞活性化、コラーゲン生成などを助ける因子)を放出する。(6)上皮細胞により創面を被覆する。(7)線維芽細胞によりコラーゲンなどの足場物質を産生する。(8)毛細血管が増殖する。
【0004】
皮膚組織の再生・再構築という生命現象は、以上の複雑な生理反応が順を追って規律正しく進行しなければうまく行かない。皮膚の真皮や皮下組織の再生および再構築現象において、線維芽細胞が果たす役割は極めて重要であり、線維芽細胞の分裂・増殖・移動・分化を抑制すること、及び線維芽細胞におけるコラーゲン線維・弾性線維・細網線維・各種細胞外基質の足場物質の生産を阻害することは、皮膚組織の再生・再構築を円滑に進めるために避けなければならない。従って創傷治癒の過程で中心的な役割を果たすのが、線維芽細胞と血管である。線維芽細胞も表皮細胞と同様に分裂・増殖・移動・分化という過程を経て、コラーゲン線維、弾性線維、細網線維、各種細胞外基質成分が真皮や皮下組織において健常組織に近い状態にまで規則正しく整然と再構築され、すなわち上記細胞外基質成分のすべてが確実に速やかに再生・再構築しなければ皮膚組織の再生および再構築はうまくゆかない。
【0005】
従来、創傷治療においては、抗生物質等により患部の細菌の増殖を抑制し自然治癒を待つ方法、コラーゲン、キチン、キトサンなどの生体適合性の高い細胞外マトリックスまたは人工皮膚を生着する方法、天然物抽出物により肉芽、表皮形成促進物質を投与する方法などが用いられてきた。
【0006】
抗生物質等を用いる方法としては、2次感染症の防止のために抗生物質、抗菌剤、抗ウィルス剤、消炎鎮痛剤等が創面に対して局所的に適用されている。
【0007】
皮膚のモデルである人工皮膚を生着する方法しては、例えば、表皮角化細胞を多層状のシート上に培養したもの(非特許文献1)、線維芽細胞をコラーゲンゲル内で培養し、ゲルが収縮した後に、そのゲルの上に表皮角化細胞を播種、培養したもの(特許文献1)、ナイロンメッシュに線維芽細胞を播種、培養してメッシュ空孔が線維芽細胞の分泌物により埋まった時点でその上に表皮角化細胞を播種、培養したもの(非特許文献2)、あるいはコラーゲンスポンジに線維芽細胞を播種、培養した後、フィルム状のコラーゲンスポンジを重ね、さらに表皮角化細胞を播種、培養したもの(特許文献2)、を用いる方法などがある。
【0008】
また、哺乳類由来の線維化アテロコラーゲンとヘリックス含量が0〜80%である哺乳類由来の変性アテロコラーゲンとの複合マトリックスからなる創傷接触層および水分透過調節層からなる自家抜去毛包移植用の人工真皮(特許文献3)、皮膚組織を入れる凹部もしくは孔部を有するコラーゲンスポンジ層の一方面にシリコーン層が積層されてなる人工真皮の、全層皮膚欠損創を一期的に治療する組織含有人工真皮(特許文献4)、中和キトサン/コラーゲン混合スポンジを含有することを特徴とする人工真皮構造物(特許文献5)、が知られている。
【0009】
しかしながら、このような人工皮膚の調製は製造過程が長くなるため、微生物汚染のコントロール等、製剤を作製するために高価な施設を必要としていた。
【0010】
一方、創面の保護方法である消毒とガーゼ被覆などによる伝統的な創傷処置に関して治療効果の根拠に議論の余地があるといわれている(非特許文献3)。このような創傷処置の臨床上の課題を解決するために、創面全体を覆い、酸素透過を維持し、細菌侵入を防ぐ被覆(ドレッシング)剤として、親水性のハイドロコロイド材料などの閉鎖性ドレッシング剤がある。
【0011】
しかし、このタイプの創傷被覆剤は、組織の一部が被覆剤と密着し、剤を引き剥がす際に、組織に大きな傷をつくるおそれがある。また逆に疎水性のポリウレタンフィルムで造られ、酸素と水蒸気を通す半透過性の透明フィルムを利用したフィルムドレッシング剤がある。しかし、このタイプの創傷被覆剤には創傷滲出物を吸収管理できない欠点がある。このため海藻から抽出された成分で造られた、創傷管理、特に滲出液の管理を目的として使われる被覆材であるアルギン酸塩ドレッシング剤がある。一例をあげると、吸湿性パッドと非固着性フィルムからなるスポンジ状パッドと防水性絆創膏を組合せたドレッシング(AirstripR、Smith & Nephew Limited)や高水蒸気透過性を有するポリウレタンフィルムと接着剤層からなる接着性ドレッシング(Op-SiteR、Smith & Nephew Limited; BioclusiveR、Johnson & Johnson;TegadermR3M)、最近では創面と接触する部位には非粘着性多孔フィルム(MelolinR、Smith &Nephew Limited)を使用したドレッシングが市販されている。これらの創傷ドレッシング剤に共通する性能は、内側微孔質膜の微孔を通して創傷滲出物を吸収または貯留し、創傷をより回復しやすい環境にして、かつ従来の創傷ドレッシングに比べ、剥離時に傷を残さないという点にある。これらの従来技術は、自然の皮膚再生または再構築能力を消極的に利用することに特徴がある。
【0012】
肉芽、表皮形成促進物質を投与する方法としては、皮膚組織の再生・再構築賦活作用を有する促進物質として、ホルモン類、ビタミン類、α−ヒドロキシカルボン酸、γ−オリザノール、サポニン等の生薬抽出物、胎盤抽出物、植物レクチン、キノコ抽出物、動物由来タンパク質、特に塩基性及び酸性線維芽細胞増殖因子といった種々の物質が使用されてきたが、皮膚組織の再生・再構築過程に有用な、細胞賦活作用を有するポリペプチドの局所における必要濃度は充分に研究されてこなかった。
そして、上皮様組織を再生することが可能でも、完全な皮膚を再構築するために、創傷局所において上皮細胞を再生する増殖因子等ポリペプチドの最適条件をあらかじめ決定し、制御することは困難であった。
【0013】
ポリペプチドからなる薬物及び製剤の局所適用として、rIL−2等の低用量局所製剤で、放出される物質の量が約1〜100nmole/m2体表面積/day(体表面積1.5m2換算で42μg〜4mg/day)であるポリペプチド製剤が公開され、種々のポリペプチド(IL-2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、および15、TNF-α、TNF-β、神経成長因子、CD40、Fas、CD27、およびCD30リガンド、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-8、マクロファージ阻害蛋白質、およびランティス、その活性断片、および薬学的に許容される類似体および誘導体、ならびにそれらの混合物からなる群より選択されるサイトカイン活性を有する物質)が例示されているが(特許文献6)、微量の細胞増殖因子等を放出制御する局所製剤は知られていない。またポリペプチドの有効濃度の維持おいて、充分な製剤も知られていない。
【0014】
創傷を積極的に治癒するために、増殖因子を利用して表皮組織の再生または再構築による創傷回復のメカニズムを利用する方法として、再生および再構築の生理反応に関わる分子群が知られている。例示すると、EGF、TGF−β1、TGF−α、FGF、VEGF、PDGF−BB、TGF−β1、PDGF−AB、IGF、KGF、PDGF、TGF−β2、TGF−β3、FGF−2塩基性線維芽細胞成長因子(塩基性線維芽細胞増殖因子ともいう。以下、「bFGF」という。)、U−PA、t−PA、インテグリン、接着因子等があげられている(非特許文献4)。近年では創傷治療におけるbFGFの臨床応用や(医療用医薬品「フィブラストスプレー」が2001年発売され、人体の組織や細胞を増殖させる世界初の再生医療分野の医薬品である。)、血管新生作用を用いた血管修復等へのbFGFの応用も行なわれているが(非特許文献5)、これらはbFGFを投与して線維芽細胞の創傷集積と血管新生を促し、上皮再構築の足場となる上皮様組織を再生することを目的としている。
【0015】
また、創傷部位に適用して表皮再生を促進するための再上皮化促進剤を提供することを目的として、ペクチンを有効成分とするもの(特許文献7)、植物抽出物を含有する線維芽細胞増殖促進剤(特許文献8)、ヒト皮膚角質層の再生促進に寄与すると考えられているケラチノサイト増殖促進剤、火傷や創傷などによって損傷されたヒトや動物の皮膚に適用される損傷治癒剤(特許文献9)、が知られている。また上皮細胞の増殖因子として、EGF(上皮増殖因子)について、実用化に向けて臨床効果が確認されている(非特許文献6)。EGFの作用効果の特徴は上皮細胞と共に線維芽細胞が増殖する点であり、このため、結合組織におよぶ深い外傷治療に適している。しかしながらEGFはガン化誘導作用を持つので、実用化にはむかない。EGFと構造的に近縁であるTGF−αもまた上皮細胞の増殖を促進させる活性を有するが、ガン化誘導作用を持つためこの性質が実用化の障害になる。その他の上皮細胞の増殖促進因子として、GM−CSF(Granular Macrophage- Colony Stimulating Factor)等の因子が発見されている(非特許文献7〜9)。
【0016】
ところで、皮膚の表皮は、最下層から最上層にむけて基底層、有棘細胞層、顆粒層、透明層、角質層の5層から構成されている。そして、基底膜上に存在する角化細胞が増殖と分化を繰り返して最上層へと移動する。それゆえ、角化細胞は表皮の再生には必要不可欠な細胞である。従って、ケラチノサイト増殖促進剤の提供は、皮膚再生に有効な手段である。このようなことを狙った技術として、中村らのHGF(肝実質細胞増殖因子)を有効成分とする上皮細胞増殖促進剤の発明がある(特許文献10)。しかしながら、効果の実証は培養上皮細胞の増殖と運動性に限られていて不十分であるともに、HGFが上皮細胞に作用する濃度範囲は7.5ng/mlまでと極めて低濃度であり、ヘパラン硫酸等の細胞外の酸性ムコ多糖類と強く結合するため、HGFの有効量を局所でコントロールすることが難しいという欠点を持つ。
【0017】
また、FGF(線維芽細胞成長因子)も主に線維芽細胞の増殖を促進するものであって、このため上皮細胞のみを選択的に増殖することは不可能であった。
【0018】
VEGF(血管内皮細胞増殖因子:vascular endothelial growth factor)は血管内皮細胞特異的増殖因子であり(非特許文献10)、皮膚由来の血管内皮細胞に対しても作用することが知られている(非特許文献11)。一般に、VEGFの産生は、血管内皮において虚血などの環境因子で誘導され、生理的に重要な意義を有するものとみなされている。皮膚におけるVEGF産生細胞は、表皮角化細胞であることが知られている(非特許文献11)。しかしながら、VEGFは、創傷治癒の初期に血管造成とマクロファージの遊走を伴う炎症期(0〜3日)に必要とされるが、VEGFはまた血管に作用してその透過性を亢進させることも知られているため(非特許文献12)、再成形期(3日〜6か月)にVEGFを投与すると、浮腫がおさまらず逆効果となりうる。
【0019】
また特許文献11には、組織器官をin vivoで再生させるための材料技術として、未分化間葉系細胞、骨髄細胞、末梢血幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞(小肝細胞、oval細胞)、胚性幹細胞(ES細胞)、EG細胞、筋衛星細胞、骨芽、ゾウゲ芽、軟骨芽、上皮系胚芽細胞、胆管芽細胞などの芽細胞等の細胞と塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血小板分化増殖因子(PDGF)、インスリン、インスリン様増殖因子(IGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、グリア誘導神経栄養因子(GDNF)、神経栄養因子(NF)、ホルモン、サイトカイン、骨形成因子(BMP)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)等の細胞増殖因子からなる組織器官のインビボ再生のための材料が開示されているが、これらの細胞とMIFとの組合せからなる局所治療製剤に関する言及はない。
【0020】
マクロファージ遊走阻害因子(macropharge migration inhibitory factor:MIF)は、抗原で感作し、活性化したモルモット・リンパ球の培養上清が、インビトロで毛細血管からのモルモット・マクロファージの遊走を阻止し得ることから遊走阻止因子と命名された(非特許文献13、14)。
【0021】
ヒト-MIFも、マクロファージの遊走能力を阻害するポリペプチドであることが知られている。従来からヒト細胞由来のMIFは知られているが、混合物として生物学的液体中の他のタンパク質と一緒に記載されているに過ぎない。MIFはリンフォカイン群に属し、このリンフォカインは生物学的に活性な可溶性ポリペプチドを含んで成り、リンパ球および単球またはマクロファージが抗原、マイトジェン等により刺激された場合にこれらの細胞から分泌される。リンフォカインは、タンパク質仲介物質として、細胞免疫の免疫調節、炎症およびエフェクター機構において重要な役割を演じる。リンフォカインの他の例として、免疫インターフェロン(γ−インターフェロン)、インターロイキン1および2、並びにマクロファージ活性化因子(MAF)を挙げることができる。これらのリンフォカインは、免疫系の種々細胞タイプの分化、活性化および増殖を制御する。
【0022】
現在では、MIFは、γ−インターフェロンマクロファージ活性化因子(MAF)および他のリンフォカインから明確に区別されている単一の物質である。ヒトMIFcDNAによりコードされるタンパク質の分子量が12.3kDであり、116個のアミノ酸残基から構成されていることが明らかとされた (非特許文献15)。グルタチオン(GSH)を固定化したアフィニティーゲルにMIF様の一次構造を持つタンパク質が結合することが発表され(非特許文献16)、そしてグルタチオンへの特異的結合能を利用してヒトMIFを高純度に精製し、世界で初めて結晶化に成功し、そのヒトMIFが12.5kDの分子量およびpH5.0の等電点を有するホモ2量体であることが明らかとされた(非特許文献17)。さらに最近の研究によって、マクロファージの遊走能力を阻害するMIFは、ラット上皮細胞に対して濃度依存的に走化性を示し、その遊走を促進するということが発見された(非特許文献18)。
【0023】
ヒト-MIFは、単球および無活動組織マクロファージが炎症性マクロファージに分化するのを誘導し、炎症反応(遅延型過敏症反応)の初期において決定的な役割を演ずる。エンドトキシンショックが下垂体より放出されるMIFにより増悪する一方、抗MIF抗体により症状が軽減することが認められる(非特許文献19)。
このMIF活性が最初に観察されて以来、多数の刊行物が推定的MIF分子の単離および同定を報告している(例えば、非特許文献20〜32を参照)。
【0024】
MIFと近縁のポリペプチドと考えられるMIF-3を利用した薬物組成が、特許文献11に開示されている。しかし、開示されたMIF−3は、皮膚で強く発現していないため、近縁のポリペプチドであっても、皮膚に投与する生理学的合理性がない。さらに彼らの提唱はマクロファージの数を増加させて、創傷治癒速度が増加するという仮説にとどまり、その実証がなされていない。その投与量も全身投与量として体重1Kgあたり10μgと規定しているだけであり、具体的に創傷局所でどの程度の量のMIF-3が必要であるかということを実証していない。更に最も重要な濃度範囲について言及さえしていない。また、上皮細胞の遊走が創傷治癒過程で重要な現象であることを全く示唆していない。
【0025】
また、非特許文献33には、MIF欠損マウスにおいて、創傷の治癒が遅くなることが記載されている。しかし、どの程度の量のMIFを投与することにより、創傷治癒が促進されるかについては、言及されていない。
【0026】
材料を複合して皮膚代替物を提供する技術として、創傷治癒に有効な物質を産生しているヒト線維芽細胞を用い、さらに創傷治療に有効な物質の有効な産生量を特定することにより、安定な創傷治癒力を有する培養皮膚代替物が知られている(特許文献12)。創傷治癒に有効な産生物質の具体例としては、たとえば血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、インターロイキン−6(IL−6)またはI型コラーゲン、フィブロネクチン、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)およびインターロイキン−1(IL−1)などが挙げられているが、MIFを利用する可能性は示されていない。
【0027】
創傷部位への増殖因子の徐放性投薬を目的に、ポリペプチド増殖因子の徐放性送達のためのヒドロゲル組成物の利用が開示されている(特許文献13、14)。特許文献13には、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびポリアクリル酸、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー等から選択されるヒドロゲルが血管形成性増殖因子(例えば、bFGFまたはVEGF)を含有する組成物を使用して、虚血によって特徴付けられる状態を処置することに有用であることが開示されている。特許文献14には、架橋ゼラチンゲルにポリアニオンを少量付加することにより、塩基性線維芽細胞増殖因子の放出を抑制し、より長期にわたる塩基性線維芽細胞増殖因子の徐放化を達成することができるポリアニオン付加架橋ゼラチンゲル製剤が開示されている。しかしながら、これらはMIFに関して言及されていない。
【0028】
特許文献15においてサイトカイン、細胞増殖因子又は刺激剤を含有することを特徴とする生分解性マトリックスを用いた創傷治癒促進剤が公開され、インターフェロン−γ、腫瘍壊死因子−α、インターロイキン−1α、インターロイキン−1β、酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、表皮細胞増殖因子、血管内皮細胞増殖因子、刺激剤としては、トロンビン、血小板活性化因子などがあげられているが、MIFに関しては言及されていない。
【0029】
その他の増殖因子の徐放用担体としては、生体内で分解吸収されていく性質をもつもの、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグルコール酸との共重合体がある。特許文献16には、新生血管誘導因子が、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、bFGF、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β) 、オステオネクチン(Osteonectin) 、アンギオポイエチン1(Ang1)およびアンギオポイエチン2(Ang2)からなる群から選ばれた少なくとも1種類の新生血管誘導因子であり、用具基体がハイドロゲル(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリ-2- ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ-2- ヒドロキシエチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などの合成高分子の化学架橋体や放射照射による架橋体等)からなっている、新生血管床形成用用具が開示されている。この他にも、ポリ-ε-カプロラクトン、ε-カプロラクトンと乳酸あるいはグリコール酸との共重合体、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリ-α-シアノアクリレート、ポリ-β-ヒドロキシ酪酸、ポリトリメチレンオキサレート、ポリテトラメチレンオキサレート、ポリオルソエステル、ポリオルソカーボネート、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタメート、ポリ-γ-メチル-L-グルタメート、ポリ-L-アラニンなどの合成高分子、デンプン、アルギン酸、ヒアルロン酸、キチン、ペクチン酸およびその誘導体などの多糖、あるいはゼラチン、コラーゲン、アルブミン、フィブリンなどのタンパク質などが担体として知られている。
【0030】
【特許文献1】
米国特許第4,485,096号公報
【特許文献2】
特開平6−292568号公報
【特許文献3】
特開2000−262610号公報
【特許文献4】
特開平10−80438号公報
【特許文献5】
特表2002−526204号公報
【特許文献6】
特表2000−510122号公報
【特許文献7】
特開2002−226378号公報
【特許文献8】
特開平10−36279号公報
【特許文献9】
特開2003−52366号公報
【特許文献10】
特開平7−179356号公報
【特許文献11】
特表平10−500301号公報
【特許文献12】
特開2002−200161号公報
【特許文献13】
特表2002−524425号公報
【特許文献14】
特開平8−325160号公報
【特許文献15】
特開平11−246420号公報
【特許文献16】
特開2000−178180号公報
【非特許文献1】
G.G.ガリコ等、「イングリッシュ・ジャーナル・オブ・メディスン」、311:448(1984)
【非特許文献2】
S.R.スリブカ等、「ジャーナル・オブ・インベスティゲート・ダーマトロジー」、96:544A(1991)
【非特許文献3】
エキスパートナース(0911-0194)17巻3号 P84-89(2001.03)
【非特許文献4】
A.J.シンガー、R.A.F.クラーク、「ニューイングリッシュ・ジャーナル・オブ・メディスン」、341:738-746(1999)
【非特許文献5】
K. カワイ等、「バイオマテリアルズ」、21:489-499(2000)
【非特許文献6】
L.B.ナネイ、「ジャーナル・オブ・インベスティゲート・ダーマトロジー」、95:624-629(1990)
【非特許文献7】
C.マーチーズ等、「ジャーナル・オブ・セル・フィジオロジー」、144(2) :326-332(1990)
【非特許文献8】
S.ブラウスタイン等、 「ジャーナル・オブ・インベスティゲート・ダーマトロジー」、103 (4):601-604(1994)
【非特許文献9】
R.パウス、「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ダーマトロジー」、130 (2):174-180(1994)
【非特許文献10】
コノリー、「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション」、84:1470(1989)
【非特許文献11】
デトマー、「ジャーナル・オブ・インベスティゲート・ダーマトロジー」、105:44(1995)
【非特許文献12】
ドボラック、「ジャーナル・オブ・イムノロジー」、122:166(1979)
【非特許文献13】
B.R.ブルーム等、「サイエンス」、153:80-82(1966)
【非特許文献14】
J.R.デビッド、「プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ」、153:72-77(1966)
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【非特許文献16】
F.A.ブロッキ、「ネイチュアー」、360:269-270(1992)
【非特許文献17】
西平等、「バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー・インターナショナル」、31:841-850(1993)
【非特許文献18】
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P.S.パパゲオルジョウ等、「ジャーナル・オブ・イムノロジー」、108:494-504(1972)
【非特許文献21】
R.E.ロックリン等、 「セルラー・イムノロジー」、5:435(1972)
【非特許文献22】
T.吉田等、「ジャーナル・オブ・イムノロジー」、117:548-554(1976)
【非特許文献23】
H.G.リモールド等、「ジャーナル・オブ・イムノロジー」118:2015-2019(1977)
【非特許文献24】
L.H.ブロック等、「ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン」、 147:541-553(1978)
【非特許文献25】
G.ポッツアンツア等、「サイエンス」、205:300-301(1979)
【非特許文献26】
P.N.ディン等「ジャーナル・オブ・インターフェロン・リサーチ」、1:23 (1981)
【非特許文献27】
W.Y.ワイザー等、「ジャーナル・オブ・イムノロジー」、126:1958-1962(1981)
【非特許文献28】
S.Z.サラフディン等、「サイエンス」、223:703-707(1984)
【非特許文献29】
W.Y.ワイザー等、「セルラー・イムノロジー」、88:109-122(1984)
【非特許文献30】
W.Y.ワイザー等、 「セルラー・イムノロジー」、93:532-540(1985)
【非特許文献31】
D.T.ウメツ等、「ジャーナル・オブ・イムノロジー」、140:4211-4216(1988)
【非特許文献32】
G.ツバドロ等、「クリニカル・アンド・エクスペリメンタル・イムノロジ」、72:510-515(1988)
【非特許文献33】
G.S. アシュクロフト等、「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション」、111:1309-1318(2003)
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、生体に対して安全であり、創傷に対して効果的に薬物を放出し、しかも薬物を安定に含有する局所医薬組成物を提供することである。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、浮腫も癌化誘導作用も起こさない増殖因子としてマクロファージ遊走阻害因子に着目し、これを局所医薬に用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、マクロファージ遊走阻害因子および生分解性材料を含有する局所医薬組成物である。
また、本発明は、上記医薬組成物を含む創傷保護ドレッシング剤である。
【0033】
ここで、発明者らは、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)が他の組織に比べヒト上皮細胞において特に強く発現していること(Shimidzu T et al. FEBS Letter, 381:199-202,1996)、皮膚損傷や紫外線照射によって皮膚におけるMIFの生産が亢進し、MIFが細胞遊走促進因子(Shimidzu T et al.J Invest Dermatol.112:210-215,1999; BBA 1500(2000)1-9)、細胞増殖因子、血管新生因子であることと同時に調節因子であること(Shimidzu T et al.BBRC. 264:751-758,1999)、に着目した。他方、本発明者らはMIFがエンドトキシンショックの際にLPSに応答して、下垂体前葉細胞から特異的に放出されることが知られているメディエーターであることから(Bernhagen ら,1993,J.Cell.Biochem.Supplement 17B,Abstract E306)、全身循環するMIFは可能な限り低濃度にコントロールすることが極めて重要であるということを認識している。また最近の研究によって、グルココルチコイド(内因性で放出されたものと治療的に投与されたものの両者)の抗炎症作用の対立制御因子としてのMIFの活性が明らかになった。強い抗炎症反応を示すグルココルチコイドの本来の活性がMIFによって阻害されるという事実から、内因性のMIF反応は、様々な炎症疾患および症状の原因または憎悪因子であるということを認識している(Donnelly and Bucala, Molecular Medicine Today 3 : 502-507, 1997)。
【0034】
従って、MIFを局所徐放剤として利用することで、局所の組織再生を促すという発想は、これまでのMIFの薬理を直接利用する発想の延長から断絶した本発明者らの独自の発想である。
【0035】
【発明の実施の形態】
一般に疾病や外傷などによって皮膚組織の一部が脱落もしくは欠損すると、脱落組織周辺に生存している表皮細胞及び線維芽細胞が分裂・増殖して欠損部に移動してくるが、本明細書ではこの現象を表皮細胞もしくは表皮組織の再生と定義する。
その後、欠損部に移動、移動中の再生表皮細胞は互いに接着し始めて分裂・増殖を中止し、表皮組織を再び形成するようになる。この現象を本明細書では表皮細胞もしくは表皮組織(表皮)の再構築と定義する。
本明細書で上皮細胞は、体の内外の分離面をおおっている細胞の総称で、線維芽細胞以外の細胞を意味する。上皮細胞には、例えば表皮細胞、角化細胞、粘膜上皮細胞が含まれる。また、上皮細胞もしくは表皮組織の再生及び再構築が起きる生命現象を一般に上皮化という。
【0036】
本発明に用いられるMIFとしては、ヒト−MIF、マウス−MIF等を挙げることができ、ヒト−MIFがより好ましい。なお、ヒト−MIF、マウス−MIFは、それぞれ312334、312221のアクセッション番号を有するタンパク質として特定されている。
【0037】
本発明に用いるMIFの製造方法としては、例えば、ヒト−MIFでは、ヒト-MIFcDNAでコードされた領域を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によるインビトロでの遺伝子増幅を行い、遺伝子を挿入した発現ベクターを宿主細胞に導入して生産するものが挙げられる(非特許文献17)。増幅したDNAはT7プロモーター発現プラスミドpET3のNdeIとBamHI断片中へ挿入し、このプラスミドで変換したトランスフェクションされたE.ColiのBL21(DE3)LysSを培養し、その培養上清からヒト-MIFを単離することができる(J.西平等、「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・レサーチ・コミュニケーション」、185:1069-1077(1992))。
【0038】
MIFの単離方法としては、MIFまたは組換え体MIF含有溶液、例えばヒト細胞の細胞抽出液、細胞培養上清液養液を、所望により除菌ろ過工程(0.45μm)を経た後、以下の2つの段階、a)および/またはb)により、単離することができる。
即ち、段階a)としては、ヒト-MIFのグルタチオンへの特異的結合を利用して、グルタチオンを有する担体としてのアフィニティーゲル、例えばS-ヘキシルグルタチオンアフィニティーカラムR上に通し、その担体と接触させ、非結合タンパク質および他の外来性物質を除去し、抗体に結合したヒト-MIFを選択的に切り離すものである。
また、段階b)は、ヒト-MIFに特異的なモノクローナル抗体を有する担体と接触させ、非結合タンパク質および他の外来性物質を除去し、抗体に結合したヒト-MIFを選択的に切り離し、単離するものである。
【0039】
即ち、ヒト-MIFを含有する溶液は、細胞または細胞培養上清液から、例えば抽出液、濾過および/またはプロテアーゼ阻害剤の添加により安定化される。
このようなヒト-MIF溶液を、段階a)および/または段階b)において、担体に結合したグルタチオン(GSH)および/または抗体と直接接触せしめることができ、しかし好ましくは約6kDまたはこれより小分子量の分離限界を有する膜上での限外濾過によりあらかじめ前精製し、濃縮し、場合によっては透析し、そして所望によりクロマトグラフィー、例えばDEAE-セルロースまたはセファデックスによりさらに精製する。
【0040】
段階a)および/または段階b)においては、ヒト-MIFが溶液に含有されている他のタンパク質および外来性物質から分離され、この場合、ヒト-MIFのグルタチオンへの特異的結合および/またはヒト-MIFに対して特異的な抗体とヒト-MIF上の認識される抗原決定基との間の強制的な相互作用に基づく分離作用が用いられる。このために、MIF含有液を、それ自体公知のイムノアフィニティークロマトグラフィー法に従って、グルタチオン(GSH)および/またはヒト−MIFに特異的なモノクローナル抗体を有する担体と接触せしめ、非結合タンパク質および他の外来性物質を除去し、グルタチオン(GSH)および/または抗体の結合したヒト-MIFを選択的に切り離し、そして単離する(C.P.D.ツ等、「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」、258:4659-4662(1983))。グルタチオン(GSH)を有する担体としてのアフィニティーゲル、例えばS-ヘキシルグルタチオンアフィニティーカラムを用いるか、および/または無機物または有機物を基礎とする適当な担体、例えば珪酸塩、架橋アガロース、デキストラン、または適当に官能化された形のポリアクリルアミドに、ヒト−MIFに特異的なモノクローナル抗体またはその誘導体を付加する。例えば、活性化されたエステル官能基、例えばN-ヒドロキシサクシンイミドエステル基を含有する担体を水性緩衝液に懸濁し、モノクローナル抗体の溶液と混合し、そして担体のふさがれていない反応性部位を例えば第一級アミン 、例えばエタノールアミンによりブロックする。担体を、適当な水性溶剤、例えば塩溶液、例えばNaCl溶液、または緩衝液、例えば燐酸緩衝化NaCl溶液、NaHCO3溶液または3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸溶液に懸濁し、そしてヒト-MIFを含有する溶液と接触する。クロマトグラムカラムに充填し、そしてヒト-MIF含有液を導入し、そして所望により加圧を伴って、担体中にポンプ通過する。未結合タンパク質および他の汚染物を、水性液、例えば約5〜約9のpHを有する緩衝液および/または塩溶液、例えばNaCl溶液で洗浄除去する。担体上の抗体に結合したヒト-MIFを、適当な水性液、例えば約2〜約5のpH範囲の緩衝液、例えばグリシン緩衝液、または種々の混合物もしくは塩溶液、例えば濃NH4 SCN溶液のpHグラジエントにより溶出する。得られた精製ヒト-MIF含有溶液を場合によっては中和し、そしてそれ自体公知の方法により、例えばセファデックス上でのクロマトグラフィー、電気透析、電気泳動濃縮および/または真空濃縮により、精製されたヒト-MIFを単離できる。
また、マウス−MIF等の他のMIFも、上記ヒト−MIFと同様の方法を用いて製造、単利することができる。
【0041】
本発明に用いられる生分解材料としては、細胞または微生物、生体の本来の生命活動の働きで溶解、分解、代謝または吸収される材料であれば特に制限はなく、具体的にはポリビニルアルコール、でん粉又はでん粉系高分子、セルロース、プルラン、カードラン、ザンタンガム等の多糖類、ポリグルタミン酸、ポリリグニン等のポリアミノ酸、ゼラチン、コラーゲン、セルロース、リグニン、アルギン酸、ヒアルロン酸、キチン、キチンキトサン、脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸、ポリエチレングリコール、ポリ-ε-カプロラクトン、ε-カプロラクトンと乳酸あるいはグリコール酸との共重合体、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリ-α-シアノアクリレート、ポリ-β-ヒドロキシ酪酸、ポリトリメチレンオキサレート、ポリテトラメチレンオキサレート、ポリオルソエステル、ポリオルソカーボネート、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタメート、ポリ-γ-メチル-L-グルタメート、ポリ-L-アラニンゼラチン、コラーゲン、アルブミン、フィブリンなどのタンパク質などの単独または組成物があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
これらの中で、水への曝露後、エステル結合の加水分解により分解されて、非毒性の乳酸およびグリコール酸のモノマーを生成する、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体(「PLGA」)が好ましい例として挙げることができる。PLGAは、乳酸とグリコール酸とでの重縮合反応により調製される共重合体である。PLGAポリマーの結晶性および疎水性を調節するために、種々の割合のモノマー比が使用され得る。ポリマーのより高度な結晶性は、結果としてより緩徐な溶解をもたらす。PLGAの調製とその性質については、D.K.GildingおよびA.M.Reed、「Biodegradable polymers for use in surgery-poly(glycolic)/poly(lactic acid) homo and copolymers:1」Polymer 第20巻、1459-1464頁(1981)に、記載されている。
【0043】
また、生分解性材料の他の好ましい例としては、ゼラチンを挙げることができ、この中でもより好ましいものとして、架橋化ゼラチンを挙げることができる。
架橋化ゼラチンは、ゼラチン溶液を油脂等に滴下した油水中エマルジョンをグルタルアルデヒド等の架橋剤により架橋することにより作成することができる。そして、この架橋化ゼラチンを洗浄し、ふるいにかけることにより、生分解性材料として特に好ましい、架橋化ゼラチンマイクロスフェアを作成することができる(K. Kawai et al ;Biomaterials 21(2000),489-499を参照)。この場合、生分解性材料は微小な粒子(湿潤時の平均直径32μm未満)となるため、局所医薬組成物に用いた場合に、創傷周辺の皮下及び皮内に注射可能となる。
【0044】
本発明の局所医薬組成物を製造する方法としては、MIFおよび生分解性材料を含有する組成物が得られるものであれば特に制限はないが、MIFを溶解した溶液を生分解性材料に含浸させる方法が好ましい。例えば、生分解性材料として架橋化ゼラチンマイクロスフェアを用いる場合は、これとMIF溶液とを接触させて、MIFを安定に含有する本発明の局所医薬組成物を調製することができる。また、MIF徐放製剤の安定化のために凍結乾燥が利用可能である(Carpenter,J.F.,Pical,M.J.,Chang,B.S.及びRandolph,T.W.,Pharm.Res.,14:(8)969(1997))。
【0045】
本発明の局所医薬組成物は、MIFが溶出または生分解性材料とともに溶解、崩壊または体液と交換反応することによりMIFが微量ずつ放出され、創傷に効果的な量のMIFを放出し、しかもMIFを安定に含有することができる。このため、本発明の局所医薬組成物は、注射剤やドレッシング剤の他に、軟膏、クリーム、液剤等の外用製剤の配合成分としても利用可能である。
【0046】
本発明の局所医薬組成物の投与量は、創傷の治癒に効果を生ずる量であれば特に制限はないが、創傷1cm2あたり1〜100μg、より好ましくは5〜50μg、さらに好ましくは10〜30μgのMIF量となるように投与されることが好ましい。また、MIFの1日の放出量としては、創傷の治癒に効果を生ずる量であれば特に制限はないが、創傷1cm2に対して1日あたり10〜5000ng、より好ましくは100〜1000ng、さらに好ましくは300〜700ng放出されるように調整して使用されることが好ましい。
MIFの局所濃度および/またはMIFの1日の放出量を制御する方法としては、生分解性材料の分解性を制御することが挙げられ、例えば架橋化ゼラチンの場合には、グルタルアルデヒド等の架橋剤の配合比率を変化さえること、および架橋化ゼラチンの含水率を変化させること等により放出量を制御することができる。
【0047】
本発明の局所医薬組成物の適用部位としては、例えば創傷した皮膚および/または創傷近傍の皮膚を挙げることができる。この場合、創傷近傍とは、本発明の局所医薬組成物から放出されるMIFが創傷に作用して、創傷治癒に効果を示す範囲であれば特に制限はないが、例えば創傷部位から1〜30mm離れた部位を挙げることができる。
【0048】
本発明の創傷保護ドレッシング剤としては、本発明の局所医薬組成物を含むドレッシング剤であれば特に制限はないが、例えば人工皮膚に本発明の局所医薬組成物を注入して作成したもの等を挙げることができる。
本発明のドレッシング剤に用いる人工皮膚としては、例えばキチンキトサンベースの被覆布(例えば、アベンティスファルマ社製、ベスキチンWRまたはベスキチンFR)や、キトサン誘導体(サクシニルキトサン)を主原料とする創傷被覆剤(例えば、片倉チッカリン社製、ウレザックCR)、またはコラーゲンスポンジとシリコンポリマー等の複合体(例えば、グンゼ社製、PelnacR)等を挙げることができる。
本発明のドレッシング剤は、例えば上記の人工皮膚の表面積1cm2あたり、0.5〜500μgのMIFを含有するように本発明の局所医薬組成物溶液を含浸させ、乾燥することにより作成することができる。
本発明のドレッシング剤の使用方法としては、通常のドレッシング剤と同様に用いることができるが、例えば、上記のMIFを含浸させて乾燥した人工皮膚を1次ドレッシング剤として創傷面に添付し、その上から2次ドレッシング剤としてガーゼ等をあてて包帯にて固定し、2次ドレッシング剤を毎日交換することが挙げられる。
【0049】
本発明の局所医薬組成物には、その他の補助成分として、以下に挙げるものを配合してもよい。
色素沈着の予防を目的に、アルブチン、ビタミンCおよびその誘導体、コウジ酸胎盤抽出物、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、紫外線遮断剤として、酸化チタン(TiO2)、タルク(MgSiO2)、カルミン(FeO2)、ベントナイト、カオリン、酸化亜鉛(ZnO)等を配合することができる。
抗炎症の目的から、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等の消炎剤を配合することができる。
血行促進の目的から、ノニル酸ワレニルアミド、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤を配合することができる。
コンプライアンスの目的から、オクバク抽出成分、オウレン抽出成分、シコン抽出成分、シャクヤク抽出成分、センブリ抽出成分、バーチ抽出成分、セージ抽出成分、ビワ抽出成分、ニンジン抽出成分、アロエ抽出成分、ゼニアオイ抽出成分、アイリス抽出成分、ブドウ抽出成分、ヨクイニン抽出成分、ヘチマ抽出成分、ユリ抽出成分、サフラン抽出成分、センキュウ抽出成分、ショウキョウ抽出成分、オトギリソウ抽出成分、オノニス抽出成分、ローズマリー抽出成分、ニンニク抽出成分、トウガラシ抽出成分、チンピ、トウキ等を配合することができる。
【0050】
配合されるMIFなどのポリペプチドの安定性を向上させるために、生理学的に許容される蛋白分解阻害剤を添加しても良い。蛋白分解阻害剤としては、タンパク性のトリプシン・インヒビターである大豆トリプシンインヒビター (SBTI)、膵臓分泌型トリプシンインヒビター (PSTI) やアプロチニン (BPTI)を配合することができる。
【0051】
また、他の添加剤として、水溶性高分子、保存剤、抗酸化剤、緩衝化剤、キレート剤、乳化剤、可溶化剤、軟膏基剤、溶媒、硬化剤、懸濁剤、増粘剤、可逆性架橋剤、ビタミン類等を配合することができる。
【0052】
増粘剤として利用可能な天然の水溶性高分子としては、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、タマリンドガム、キサンタンガム、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子等が挙げられる。半合成の水溶性高分子としては、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、硫酸セルロースジメチルジアルキル(12〜20)アンモニウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等が挙げられる。完全合成の水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール2000、4000、6000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。無機の水溶性高分子としては、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0053】
保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム溶液、塩化ベンゼルトニウム(benzelthonium)、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン(butylparaben)、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、デヒドロ酢酸、エチルパラベン、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、フェノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、プロピルパラベンナトリウム、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール、チモール等を挙げることができる。
【0054】
抗酸化剤としては、アスコルビン酸、パルミチン酸アコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、トコフェロール、トコフェロール賦形剤等を挙げることができる。
【0055】
緩衝化剤としては、酢酸、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、ホウ酸、クエン酸、酪酸、亜リン酸、クエン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム一塩基、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム溶液、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0056】
キレート剤としては、エデト酸二ナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸およびその塩、エデト酸等を挙げることができる。
【0057】
乳化剤または可溶化剤としては、アカシア、コレステロール、ジエタノールアミン(隣接型(adjunct))、モノステアリン酸グリセリル、ラノリンアルコール、レシチン、モノ−およびジ−グリセリド、モノエタノールアミン(隣接型)、オレイン酸(隣接型)、オレイルアルコール(安定化剤)、ポロキサマー、ポリオキシエチレン50ステアレート、ポリオキシ35ヒマシ油、ポリオキシ40水素化ヒマシ油、ポリオキシ10オレイルエーテル、ポリオキシ20セトステアリルエステル、ポリオキシ40ステアレート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸、トロールアミン、乳化ロウ等を挙げることができる。
【0058】
軟膏基剤としては、ラノリン、無水ラノリン、親水性軟膏、白色軟膏、黄色軟膏、ポリエチレングリコール軟膏、ペトロラタム、親水性ペトロラタム、白色ペトロラタム、ローズ水軟膏、スクワラン等を挙げることができる。
【0059】
溶媒としては、オレイン酸エチル、ミリスチル酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、軽鉱油、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、アーモンド油、オリーブ油、ピーナッツ油、キョウニン油、ゴマ油、ダイズ油、スクアレン、グリセリン、ピーナッツ油、ポリエチレングリコール、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、ゴマ油、注射用水、注射用滅菌水、精製水等を挙げることができる。
【0060】
硬化剤としては、硬化ヒマシ油、セトステアリル(cetostearyl)アルコール、セチルアルコール、セチルエステルワックス、硬化脂肪(hardfat)、パラフィン、ポリエチレン賦形剤、ステアリルアルコール、乳化ワックス、白蝋、黄蝋(yellow wax)等を挙げることができる。
【0061】
懸濁剤および/または増粘剤としては、アラビアゴム、寒天、アルギン酸、モノステアリン酸アルミニウム、ベントナイト、精製ベントナイト、マグマベントナイト、カルボマー(carbomer)934p、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラゲーナン、微晶性およびカルボキシメチルセルロースナトリウムセルロース、デキストリン、ゼラチン、グアーゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポビドン、アルギン酸プロピレングリコール、二酸化ケイ素、二酸化ケイ素コロイド、アルギン酸ナトリウム、トラガカントゴム、キサンタンガム等を挙げることができる。
【0062】
可逆性架橋剤としては、通常用いられるものが挙げられ、例えばT.W.Green、Protective Groups in Organic Synthesis、John WileyおよびSons(編)(1981)に記載されたものを用いることができる。また、種々のアプローチが、Waldmannの総説(Angewante Chemie Inl.Ed.Engl.35、2056頁(1996))に列挙される。
【0063】
さらに、本発明の局所医薬組成物と組み合わせ可能な細胞賦活効果を有するビタミン類の具体例としては、ビタミンA油、酢酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン等のビタミンB2類、塩酸ピリドキシン等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビルリン酸マグネシウム、L−アスコルビン酸ナトリウム等のビタミンC類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル等のニコチン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP類及びビオチン等のビタミンH類、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出物等の賦活剤等を挙げることができる。
【0064】
【実施例】
以下実施例を参照して、本発明をさらに説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【0065】
<製造例1:ヒト−MIFの製造>
ヒト−MIFは、ヒト-MIFcDNAでコードされた領域を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によるインビトロでの遺伝子増幅を行い、遺伝子を挿入した発現ベクターを宿主細胞に導入して生産した。増幅したDNAはT7プロモーター発現プラスミドpET3のNdeIとBamHI断片中へ挿入し、このプラスミドで変換したトランスフェクションされたE.ColiのBL21(DE3)LysSを培養し、その培養上清からヒト-MIFを単離した。
【0066】
<製造例2:生分解性材料の作製>
徐放剤の担体としての生分解性材料は、40℃で1時間あらかじめ加熱したゼラチン溶液濃度10重量%10mlを、毎分450回転で攪拌した350mlのオリーブオイルに滴下し、油中水エマルジョンをグルタルアルデヒド存在下で架橋することにより架橋化ゼラチンを作製した。次いで、100mlのアセトンを加え、更に毎分300回転で1時間攪拌した。この結果生じたマイクロスフェアをアセトンで5回洗浄後、イソプロピルアルコールで2回洗浄して、遠心分離(4℃で毎分5000回転、5分処理)して沈殿をイソプロピルアルコールで分散した。この液からマイクロスフェアを32ミクロンのふるいで回収し、遠心分離を繰り返して、4℃で風乾して、架橋化ゼラチンマイクロスフェアを得た。
得られた架橋化ゼラチンマイクロスフェアは、等電点が5.0、平均粒子径が約70μmであり、含水率が約95%であった。
【0067】
<製造例3:MIFノックアウトマウスの作製>
MIF遺伝子にネオマイシン耐性遺伝子を挿入したベクターをマウス遺伝子と相同組み換えすることにより、MIFノックアウトマウス(MIF KOマウス)を作成した(Homma N et al. Immunology, 2000, 100: 84-90を参照)。そして、免疫ブロット法により、MIFタンパク質を発現していないことを確認した。
次に、作成したMIF KOマウスと、野生型BALB/cマウスの創傷治癒効果を確認した。
具体的には、生後6-8週 MIF KOマウス及び野生型(WT) BALB/cマウスの背部皮膚に4mmX4mmサイズの潰瘍を作り、潰瘍の縮小を経時的に観察してBALB/cマウスと比較検討した。結果を図1に示す。
これより、MIF KOマウスでは、創傷治癒が遅延することが確認された。
さらに、生後1日のMIF KOマウス及びWTマウスから皮膚を剥離し線維芽細胞を培養し、継代2代目のそれぞれの培養線維芽細胞についてMTS アッセイ法を行い、リポ多糖(LPS) の刺激の有無による細胞増殖効果の違いを調べた。結果を図2に示す。
これより、MIF KOマウスでは3、5日ではLPS刺激で線維芽細胞の増殖はあまりみられず、一方野生型(対照)マウスのBALB/cの線維芽細胞ではLPS刺激で細胞増殖がみられることがわかる。
また、MIF KOマウス及びWTマウスからの培養線維芽細胞の遊走能の評価を、培養細胞シャーレに傷を作り、そこに遊走する線維芽細胞を経時的に観察することにより行った。結果を図3に示す。
これより、MIF KOマウスでは、繊維芽細胞の遊走能が低いことがわかる。
【0068】
<実施例1:局所医薬組成物(MIF徐放剤)の製造>
製造例1で得たヒト−MIF(以下単に「MIF」という)36μgをPBS溶液20μlに溶解し、これに製造例2で得た架橋化ゼラチンマイクロスフェア2mgを加えてMIFを含浸させた。その後、2000rpmで遠心分離して回収したペレットを室温で30分間放置し、MIFを含む架橋化ゼラチンマイクロスフェアを得た。
【0069】
<実施例2:MIF徐放剤溶液の製造>
実施例1で製造したMIFを含む架橋化ゼラチンマイクロスフェアに6mlのPBSを添加して、1ml中に6μgのMIFを含む、MIF徐放剤溶液を得た。
次に、上記のMIF徐放剤溶液について、吸光度測定によりMIF放出量を測定し、in vitro において48時間を経過しても、MIFがほとんど放出されていないことを確認した(図4)。
【0070】
<実施例3:MIF徐放剤溶液を用いた創傷治癒実験>
製造例3で得たMIF KOマウスに潰瘍を作成し、その潰瘍周辺部にMIF徐放剤を注入することによる創傷治癒効果を検討した。
具体的には、5匹のMIF KOマウスの背部に、それぞれ5×5mmの大きさでメスを用いて皮下まで潰瘍を作成して、創傷とした(0日目)。翌日(1日目)、実施例2で製造したMIF徐放剤溶液を、潰瘍の周囲の10カ所に、潰瘍から約3mm離して、それぞれ50μlずつ注射した(全量で3μgのMIFを注射した)。従って、創傷1cm2あたり12μgを注射したこととなる。
比較例として、架橋化ゼラチンマイクロスフェアと組み合わせていないMIFのみの6μg/mlPBS溶液を10カ所に50μlづつ注射したもの、および注射を行わないもの(対照)についても、同様に実験を行った。
創傷の治癒効果は、潰瘍の最大径を測定することによる、潰瘍の縮小率を観察して行った。結果を図5Aに示す。
これより、創傷作成から6日目において、本発明の局所医薬組成物を注射したものが、MIFのみを注射したものおよび注射をしないものに比べて、有意な治癒効果を有することが明らかとなった。
また、本発明の局所医薬組成物を注射したマウスおよびMIFのみを注射したマウスにつき、創傷作成から10日後に注射部近傍の皮膚を採取し、ウエスタンブロットによりMIFタンパク質の存在を確認した。結果を図5Bに示す。
これより、MIFのみを注射したマウスでは、MIFタンパク質の存在を確認できないのに対して、本発明の局所医薬組成物を注射したマウスでは、創傷近傍にMIFが残留し、徐放効果が持続していることが確認できる。
さらに、この徐放剤は約21日間でMIFを全量放出することを確認した。従って、1日あたり約143ngのMIFが徐放されたこととなり(全量3μgのMIF/21日間)、創傷1cm2に対して1日あたり572ngのMIFが徐放されたこととなる。
【0071】
<実施例4:創傷保護ドレッシング剤の作製>
人工真皮(PelnacR グンゼ社製、外層がシリコンポリマー層、内層が細孔サイズ70―110μmのコラーゲンスポンジ層からなる)を準備し、MIF含量が最終的に2.5μg/cm2になるように、MIFを含む架橋化ゼラチンマイクロスフェア溶液を人工真皮に均等になるように注入して、創傷保護ドレッシング剤を作製した。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、MIFが微量ずつ放出され、創傷に効果的なMIF放出を実現し、しかもMIFを安定に含有する局所医薬組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、MIF KOマウスの創傷治癒を示す図である。
【図2】図2は、線維芽細胞増殖の評価を示す図である。
【図3】図3は、線維芽細胞遊走能の評価を示す図である。
【図4】図4は、in vitroにおける徐放効果を示す図である。
【図5】図5は、MIF KOマウスを用いたMIF徐放剤を注入することによる創傷治癒効果を示す図である。
[0001]
[Technical field to which the invention belongs]
The present invention relates to topical pharmaceutical compositions. More specifically, the present invention relates to a topical pharmaceutical composition containing macrophage migration inhibitory factor (MIF) and a biodegradable material.
The invention also relates to a wound protection dressing comprising a topical pharmaceutical composition.
The topical pharmaceutical composition and dressing of the present invention can be used for treatment of wounds by sustained release of MIF.
[0002]
[Prior art]
There are 65,000 patients who have undergone skin and mucous membrane damage or loss, such as wounds, burns, frostbite, UV irradiation, trauma, skin ulcers, bullous skin diseases, and “bed sores”, which is a problem of long-term inpatient care. Count people. These include surgical wounds, resection wounds, deep wounds with dermal and epidermal damage, ocular tissue wounds, dental tissue wounds, oral wounds, diabetic ulcers, skin ulcers, elbow ulcers, arterial ulcers, veins Congestion ulcers, heat exposure, or burns resulting from chemicals, etc., associated with uremia, malnutrition, vitamin deficiencies, and associated with systemic treatment with steroids, radiation therapy, antitumor drugs and antimetabolites Also included are abnormal wound healing conditions such as complications. In addition, “bed slip” is a symptom caused by the fact that the renewal rate of epithelial cells is basically decreased due to aging.
[0003]
Wound healing consists of a series of processes in which injured tissue is repaired, specific tissue is regenerated, and new tissue is reorganized. Wound healing consists of three main phases: a) inflammatory phase (0-3 days), b) cell growth phase (3-12 days), and c) remodeling phase (3-6 months). The wound healing process is established by a series of complicated phenomena. The following physiological reactions occur on the wound surface. (1) The blood vessel breaks down and platelets collect and stop bleeding. In addition, hemostasis is caused by vasoconstriction. (2) Simultaneously, platelet-derived growth factor and epidermal growth factor are released from platelets. (3) The contracted blood vessels expand and the permeability of the capillaries increases, and leukocytes migrate into the tissue to eliminate bacteria. (4) Macrophages enter the wound and remove necrotic tissue. (5) Macrophages release various growth factors (factors that help angiogenesis, fibroblast activation, collagen production, etc.). (6) Cover the wound surface with epithelial cells. (7) Produce scaffolds such as collagen by fibroblasts. (8) Capillaries grow.
[0004]
The vital phenomenon of skin tissue regeneration / reconstruction will not be successful unless the above complex physiological reactions progress in a regular manner. The role played by fibroblasts in the regeneration and remodeling of the dermis and subcutaneous tissue of the skin is extremely important, and it suppresses fibroblast division, proliferation, migration, and differentiation, and the collagen fibers in fibroblasts Inhibiting the production of elastic fibers, reticulated fibers, and various extracellular matrix scaffolds must be avoided in order to facilitate the regeneration and reconstruction of skin tissue. Thus, fibroblasts and blood vessels play a central role in the wound healing process. Like epidermal cells, fibroblasts undergo a process of division, proliferation, migration, and differentiation, and the collagen fibers, elastic fibers, reticulofibers, and various extracellular matrix components are regularly ordered to a state close to that of healthy tissues in the dermis and subcutaneous tissues. Regeneration and remodeling of the skin tissue will not be successful unless it is neatly reconstructed, that is, if all of the extracellular matrix components are reliably regenerated and reconstructed quickly.
[0005]
Conventionally, in wound treatment, antibiotics and the like suppress the bacterial growth in the affected area and wait for natural healing, collagen, chitin, chitosan and other highly biocompatible extracellular matrix or artificial skin engraftment, natural For example, a method of administering a granulation or epidermal formation-promoting substance by a product extract has been used.
[0006]
As a method using antibiotics, antibiotics, antibacterial agents, antiviral agents, anti-inflammatory analgesics and the like are locally applied to the wound surface in order to prevent secondary infections.
[0007]
As a method for engrafting artificial skin as a model of skin, for example, keratinocytes cultured on a multilayer sheet (Non-patent Document 1), fibroblasts are cultured in a collagen gel, After gel contraction, epidermis keratinocytes were seeded and cultured on the gel (Patent Document 1), nylon mesh was seeded with fibroblasts and cultured, and mesh pores were caused by fibroblast secretion. When seeded, seeded and cultured with epidermal keratinocytes (Non-patent Document 2), or seeded and cultured fibroblasts on collagen sponge, then layered film-like collagen sponge, and further keratinized There is a method using seeded and cultured cells (Patent Document 2).
[0008]
In addition, artificial dermis for self-extracted hair follicle transplantation consisting of a wound contact layer composed of a composite matrix of a mammal-derived fibrotic atelocollagen and a modified atelocollagen derived from a mammal having a helix content of 0 to 80% and a moisture permeation regulating layer (patent Reference 3) Tissue-containing artificial dermis that treats all-layer skin defect wounds temporarily (patented) with artificial dermis in which a silicone layer is laminated on one side of a collagen sponge layer having a recess or hole for receiving skin tissue Document 4), an artificial dermis structure characterized by containing a neutralized chitosan / collagen mixed sponge (Patent Document 5) is known.
[0009]
However, since the preparation of such artificial skin requires a long manufacturing process, an expensive facility is required to prepare the preparation, such as control of microbial contamination.
[0010]
On the other hand, it is said that there is room for debate on the grounds for therapeutic effects regarding traditional wound treatments such as disinfection and gauze coating, which are methods for protecting the wound surface (Non-patent Document 3). In order to solve the clinical problems of such wound treatment, occlusive dressing agents such as hydrophilic hydrocolloid materials are used as coating agents that cover the entire wound surface, maintain oxygen permeation, and prevent bacterial invasion. is there.
[0011]
However, this type of wound dressing may cause a large wound on the tissue when a part of the tissue is in close contact with the coating and the agent is peeled off. Conversely, there is a film dressing agent that is made of a hydrophobic polyurethane film and uses a translucent transparent film that allows oxygen and water vapor to pass through. However, this type of wound dressing has the disadvantage that it cannot manage the absorption of wound exudates. For this reason, there is an alginate dressing, which is a dressing made of components extracted from seaweed and used for wound management, particularly for exudate management. For example, dressing (Airstrip®, Smith & Nephew Limited) that combines a hygroscopic pad and a non-adhesive film with a sponge-like pad and a waterproof adhesive bandage, or an adhesive layer consisting of a polyurethane film with high water vapor permeability and an adhesive layer Sex dressing (Op-SiteR, Smith & Nephew Limited; BioclusiveR, Johnson &Johnson; TegadermR3M), and recently dressing using non-adhesive porous film (MelolinR, Smith & Nephew Limited) is in contact with the wound surface. Yes. The common performance of these wound dressings is that they absorb or store wound exudate through the micropores in the inner microporous membrane, making the wound more recoverable and scratching when peeled compared to conventional wound dressings. The point is not to leave. These prior arts are characterized by passive use of natural skin regeneration or remodeling capabilities.
[0012]
As a method for administering granulation and epidermal formation promoting substances, as herbal tissue regeneration / reconstruction stimulating substances, hormones, vitamins, α-hydroxycarboxylic acid, γ-oryzanol, saponins and other herbal extracts Various substances such as placenta extract, plant lectin, mushroom extract, animal-derived protein, especially basic and acidic fibroblast growth factor have been used, but cells useful for the process of skin tissue regeneration and remodeling The required local concentration of the polypeptide having an activating action has not been fully studied.
Even if it is possible to regenerate epithelial tissue, it is difficult to predetermine and control optimal conditions for polypeptides such as growth factors that regenerate epithelial cells in the wound site in order to reconstruct complete skin. there were.
[0013]
For topical application of polypeptides and drugs consisting of polypeptides, the amount of substance released in a low dose topical formulation such as rIL-2 is about 1-100 nmole / m 2 Body surface area / day (Body surface area 1.5m 2 Polypeptide formulations that are 42 μg to 4 mg / day in terms of conversion have been published and various polypeptides (IL-2, 3, 4, 5, 6, 7, 9, 10, 11, 12, 13, 14, and 15 , TNF-α, TNF-β, nerve growth factor, CD40, Fas, CD27, and CD30 ligand, IFN-α, IFN-β, IFN-γ, IL-8, macrophage inhibitory protein, and Lantis, active fragments thereof, And pharmaceutically acceptable analogs and derivatives, and substances having cytokine activity selected from the group consisting of mixtures thereof (Patent Document 6), but controlled release of trace amounts of cell growth factors, etc. No topical formulation is known. Also, no sufficient formulation is known for maintaining an effective polypeptide concentration.
[0014]
In order to actively heal wounds, a group of molecules involved in the physiological reaction of regeneration and remodeling is known as a method of utilizing wound healing mechanism by regeneration or remodeling of epidermal tissue using growth factors . For example, EGF, TGF-β1, TGF-α, FGF, VEGF, PDGF-BB, TGF-β1, PDGF-AB, IGF, KGF, PDGF, TGF-β2, TGF-β3, FGF-2 basic fibroblast Examples include cell growth factor (also referred to as basic fibroblast growth factor; hereinafter referred to as “bFGF”), U-PA, t-PA, integrin, adhesion factor and the like (Non-patent Document 4). In recent years, clinical application of bFGF in the treatment of wounds (the medical drug “Fiblast Spray” was launched in 2001 and is the world's first regenerative medicine in the field of regenerative medicine that proliferates human tissues and cells) and has an angiogenic effect. Application of bFGF to the used blood vessel repair or the like has also been carried out (Non-patent Document 5). These are administered with bFGF to promote wound accumulation and angiogenesis of fibroblasts, and epithelium as a scaffold for epithelial reconstruction. The purpose is to regenerate the organization.
[0015]
In addition, for the purpose of providing a re-epithelialization promoter for application to a wound site to promote epidermis regeneration, a pectin as an active ingredient (Patent Document 7), a fibroblast containing a plant extract Growth promoter (patent document 8), keratinocyte growth promoter thought to contribute to promoting regeneration of human skin stratum corneum, injury healing agent applied to human or animal skin damaged by burns or wounds (patent Document 9) is known. Further, EGF (epidermal growth factor) as a growth factor of epithelial cells has been confirmed to have a clinical effect for practical use (Non-patent Document 6). A feature of the effect of EGF is that fibroblasts proliferate together with epithelial cells, and is therefore suitable for treatment of deep trauma to connective tissues. However, since EGF has a canceration-inducing action, it cannot be put to practical use. TGF-α, which is structurally related to EGF, also has the activity of promoting the proliferation of epithelial cells, but this property is an obstacle to practical use because it has a canceration-inducing action. Factors such as GM-CSF (Granular Macrophage-Colony Stimulating Factor) have been discovered as other epithelial cell growth promoting factors (Non-Patent Documents 7 to 9).
[0016]
By the way, the epidermis of the skin is composed of five layers of a basal layer, a spinous cell layer, a granular layer, a transparent layer, and a stratum corneum from the lowermost layer to the uppermost layer. Then, keratinocytes existing on the basement membrane repeat proliferation and differentiation and move to the uppermost layer. Therefore, keratinocytes are essential cells for epidermal regeneration. Therefore, the provision of a keratinocyte growth promoter is an effective means for skin regeneration. As a technique aiming at such a thing, there is an invention of an epithelial cell growth promoter comprising HGF (hepatocyte growth factor) of Nakamura et al. (Patent Document 10). However, the demonstration of the effect is limited to the proliferation and motility of cultured epithelial cells and is insufficient, and the concentration range in which HGF acts on epithelial cells is very low, up to 7.5 ng / ml. It has a drawback that it is difficult to control the effective amount of HGF locally because it binds strongly with extracellular acidic mucopolysaccharides such as.
[0017]
In addition, FGF (fibroblast growth factor) mainly promotes the proliferation of fibroblasts, and therefore, it was impossible to selectively propagate only epithelial cells.
[0018]
VEGF (vascular endothelial growth factor) is a vascular endothelial cell-specific growth factor (Non-patent Document 10) and is known to act on skin-derived vascular endothelial cells (non-patent document 10). Patent Document 11). In general, VEGF production is induced by environmental factors such as ischemia in the vascular endothelium and is considered to have physiologically significant significance. It is known that VEGF-producing cells in the skin are epidermal keratinocytes (Non-patent Document 11). However, VEGF is required during the inflammatory phase (0-3 days) with angiogenesis and macrophage migration early in wound healing, but VEGF is also known to act on blood vessels to increase its permeability. Therefore, when VEGF is administered during the remodeling period (3 days to 6 months), edema does not subside and can be counterproductive.
[0019]
In Patent Document 11, as a material technique for regenerating a tissue organ in vivo, undifferentiated mesenchymal cells, bone marrow cells, peripheral blood stem cells, neural stem cells, hepatic stem cells (small hepatocytes, oval cells), embryos Cells such as sex stem cells (ES cells), EG cells, muscle satellite cells, osteoblasts, elephant buds, chondroblasts, epithelial germ cells, cholangioblasts, and basic fibroblast growth factor (bFGF), Platelet differentiation growth factor (PDGF), insulin, insulin-like growth factor (IGF), hepatocyte growth factor (HGF), glial-induced neurotrophic factor (GDNF), neurotrophic factor (NF), hormone, cytokine, bone morphogenetic factor ( BMP), a material for in vivo regeneration of tissue organs composed of cell growth factors such as transforming growth factor (TGF) has been disclosed, and a combination of these cells and MIF There is no mention of topical treatment formulations consisting of
[0020]
Macrophage migration inhibitory factor (MIF) is a culture supernatant of guinea pig lymphocytes that has been sensitized and activated with antigen, and can prevent migration of guinea pig macrophages from capillaries in vitro. It was named as a migration inhibitory factor (Non-patent Documents 13 and 14).
[0021]
Human-MIF is also known to be a polypeptide that inhibits the migration ability of macrophages. Conventionally, MIF derived from human cells is known, but is only described as a mixture with other proteins in biological fluids. MIF belongs to the lymphokine group, which comprises a biologically active soluble polypeptide and is secreted from these cells when lymphocytes and monocytes or macrophages are stimulated by antigens, mitogens, and the like. Lymphokines, as protein mediators, play an important role in the immune regulation of cellular immunity, inflammation and effector mechanisms. Other examples of lymphokines include immune interferon (γ-interferon), interleukins 1 and 2, and macrophage activating factor (MAF). These lymphokines control the differentiation, activation and proliferation of various cell types of the immune system.
[0022]
Currently, MIF is a single substance that is clearly distinguished from γ-interferon macrophage activator (MAF) and other lymphokines. It was revealed that the protein encoded by human MIF cDNA has a molecular weight of 12.3 kD and is composed of 116 amino acid residues (Non-patent Document 15). It was announced that a protein having a primary structure of MIF binds to an affinity gel in which glutathione (GSH) is immobilized (Non-patent Document 16), and high-purity human MIF is utilized by utilizing the specific binding ability to glutathione. It was revealed that the human MIF was a homodimer having a molecular weight of 12.5 kD and an isoelectric point of pH 5.0 (Non-patent Document 17). Further, it has been discovered by recent research that MIF, which inhibits the migration ability of macrophages, shows chemotaxis in a rat epithelial cell in a concentration-dependent manner and promotes its migration (Non-patent Document 18).
[0023]
Human-MIF induces monocytes and inactive tissue macrophages to differentiate into inflammatory macrophages and plays a critical role in the early stages of the inflammatory response (delayed type hypersensitivity response). While endotoxin shock is exacerbated by MIF released from the pituitary gland, it is recognized that symptoms are reduced by anti-MIF antibody (Non-patent Document 19).
Since this MIF activity was first observed, numerous publications have reported the isolation and identification of putative MIF molecules (see, eg, Non-Patent Documents 20-32).
[0024]
A drug composition using MIF-3, which is considered to be a polypeptide closely related to MIF, is disclosed in Patent Document 11. However, since the disclosed MIF-3 is not strongly expressed in the skin, even related polypeptides have no physiological rationality for administration to the skin. In addition, their proposal has been limited to the hypothesis that increasing the number of macrophages and increasing the wound healing rate has not been demonstrated. The dose is only defined as 10 μg / kg body weight as a systemic dose, and it does not demonstrate how much MIF-3 is specifically required in the wound local area. Furthermore, it does not even mention the most important concentration range. Moreover, there is no suggestion that epithelial cell migration is an important phenomenon in the wound healing process.
[0025]
Non-Patent Document 33 describes that wound healing is delayed in MIF-deficient mice. However, there is no mention of how much MIF is administered to promote wound healing.
[0026]
As a technology to provide a skin substitute by combining materials, human fibroblasts producing substances effective for wound healing are used, and by identifying the effective production amount of substances effective for wound treatment, A cultured skin substitute having stable wound healing power is known (Patent Document 12). Specific examples of the product effective for wound healing include, for example, vascular endothelial growth factor (VEGF), interleukin-6 (IL-6) or type I collagen, fibronectin, platelet-derived growth factor (PDGF), epidermal growth factor (EGF), fibroblast growth factor (FGF), interleukin-1 (IL-1) and the like are mentioned, but the possibility of utilizing MIF has not been shown.
[0027]
The use of a hydrogel composition for sustained-release delivery of a polypeptide growth factor has been disclosed for the purpose of sustained-release administration of a growth factor to a wound site (Patent Documents 13 and 14). Patent Document 13 uses a composition in which a hydrogel selected from sodium carboxymethylcellulose and polyacrylic acid, a polyoxyethylene-polyoxypropylene block copolymer and the like contains an angiogenic growth factor (for example, bFGF or VEGF). Have been disclosed to be useful in treating conditions characterized by ischemia. Patent Document 14 discloses that by adding a small amount of polyanion to a crosslinked gelatin gel, release of basic fibroblast growth factor can be suppressed, and sustained release of basic fibroblast growth factor can be achieved over a longer period of time. Possible polyanion addition crosslinked gelatin gel formulations are disclosed. However, these are not mentioned with respect to MIF.
[0028]
Patent Document 15 discloses a wound healing promoter using a biodegradable matrix characterized by containing a cytokine, a cell growth factor or a stimulant, and includes interferon-γ, tumor necrosis factor-α, interleukin-1α, Examples of interleukin-1β, acidic fibroblast growth factor, basic fibroblast growth factor, epidermal cell growth factor, vascular endothelial growth factor, and stimulators include thrombin and platelet activating factor. There is no mention of MIF.
[0029]
Other carriers for sustained release of growth factors include those having the property of being decomposed and absorbed in vivo, such as polylactic acid, polyglycolic acid, and a copolymer of lactic acid and glycolic acid. In Patent Document 16, neovascular inducers are vascular endothelial growth factor (VEGF), bFGF, acidic fibroblast growth factor (aFGF), platelet-derived growth factor (PDGF), transforming growth factor-β (TGF- β), at least one kind of neovascular inducer selected from the group consisting of osteonectin, angiopoietin 1 (Ang1) and angiopoietin 2 (Ang2), and the device substrate is a hydrogel (polyvinyl alcohol) , Polyvinyl pyrrolidone, polyethylene glycol, poly-2-hydroxyethyl methacrylate, poly-2-hydroxyethyl acrylate, polyacrylamide, polyacrylic acid, polymethacrylic acid, etc. A neovascular bed forming device is disclosed. In addition, poly-ε-caprolactone, copolymers of ε-caprolactone and lactic acid or glycolic acid, polycitric acid, polymalic acid, poly-α-cyanoacrylate, poly-β-hydroxybutyric acid, polytrimethylene oxalate , Polytetramethylene oxalate, polyorthoester, polyorthocarbonate, polyethylene carbonate, polypropylene carbonate, poly-γ-benzyl-L-glutamate, poly-γ-methyl-L-glutamate, poly-L-alanine, etc. Molecules, polysaccharides such as starch, alginic acid, hyaluronic acid, chitin, pectic acid and derivatives thereof, or proteins such as gelatin, collagen, albumin and fibrin are known as carriers.
[0030]
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WY Weiser et al., `` Cellular Immunology '', 93: 532-540 (1985)
[Non-Patent Document 31]
DT Umetsu et al., "Journal of Immunology", 140: 4211-4216 (1988)
[Non-Patent Document 32]
G. Tubadro et al., "Clinical and Experimental Immunology", 72: 510-515 (1988)
[Non-Patent Document 33]
GS Ashcroft et al., “Journal of Clinical Investment”, 111: 1309-1318 (2003)
[0031]
[Problems to be solved by the invention]
The problem to be solved by the present invention is to provide a topical pharmaceutical composition that is safe for a living body, effectively releases a drug to a wound, and stably contains the drug.
[0032]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have focused on a macrophage migration inhibitory factor as a growth factor that causes neither edema nor canceration-inducing action, and have found that the above-mentioned problems can be solved by using this as a local medicine, resulting in the completion of the present invention. .
That is, the present invention is a topical pharmaceutical composition containing a macrophage migration inhibitory factor and a biodegradable material.
Moreover, this invention is a wound protection dressing containing the said pharmaceutical composition.
[0033]
Here, the inventors have shown that macrophage migration inhibitory factor (MIF) is particularly strongly expressed in human epithelial cells compared to other tissues (Shimidzu T et al. FEBS Letter, 381: 199-202, 1996), MIF production in the skin is increased by skin damage and ultraviolet irradiation, and MIF is a cell migration promoting factor (Shimidzu T et al. J Invest Dermatol. 112: 210-215,1999; BBA 1500 (2000) 1-9), cells We focused on growth factors and angiogenic factors as well as regulatory factors (Shimidzu T et al. BBRC. 264: 751-758, 1999). On the other hand, we are a mediator known to be specifically released from anterior pituitary cells in response to LPS during endotoxin shock (Bernhagen et al., 1993, J. et al. Cell. Biochem. Supplement 17B, Abstract E306), recognizing that MIF circulating in the whole body is extremely important to control at the lowest possible concentration. Recent studies have also revealed the activity of MIF as an antiregulator of anti-inflammatory effects of glucocorticoids (both endogenously released and therapeutically administered). The fact that the intrinsic activity of glucocorticoids that exhibit a strong anti-inflammatory response is inhibited by MIF recognizes that the endogenous MIF response is the cause or aversion factor of various inflammatory diseases and symptoms ( Donnelly and Bucala, Molecular Medicine Today 3: 502-507, 1997).
[0034]
Therefore, the idea of promoting local tissue regeneration by using MIF as a local sustained release agent is an original idea of the present inventors that has been cut off from the extension of the idea of directly using the pharmacology of MIF so far. .
[0035]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
In general, when a part of skin tissue falls off or is lost due to disease or trauma, epidermal cells and fibroblasts that live around the fallen tissue divide and proliferate and move to the defective part. This phenomenon is defined as regeneration of epidermal cells or epidermal tissue.
Thereafter, the regenerated epidermal cells that have migrated to and moved to the defect part start to adhere to each other, stop dividing and proliferating, and form epidermal tissue again. This phenomenon is defined herein as the reconstruction of epidermal cells or epidermal tissue (epidermis).
In the present specification, epithelial cells are a general term for cells covering the internal and external separation surfaces, and mean cells other than fibroblasts. Epithelial cells include, for example, epidermal cells, keratinocytes, and mucosal epithelial cells. In addition, a life phenomenon in which regeneration and remodeling of epithelial cells or epidermal tissue occurs is generally called epithelialization.
[0036]
Examples of the MIF used in the present invention include human-MIF and mouse-MIF, and human-MIF is more preferable. Note that human-MIF and mouse-MIF are specified as proteins having accession numbers of 31334 and 31221, respectively.
[0037]
As a method for producing MIF used in the present invention, for example, in human-MIF, an expression vector in which a region encoded by human-MIF cDNA is amplified in vitro by the polymerase chain reaction (PCR) method and the gene is inserted. Can be produced by introducing the protein into a host cell (Non-patent Document 17). The amplified DNA was inserted into the NdeI and BamHI fragments of T7 promoter expression plasmid pET3, and transfected E. Coli BL21 (DE3) LysS transformed with this plasmid was cultured, and human-MIF was cultured from the culture supernatant. (J. Nishihira et al., “Biochemical and Biophysical Research Communication”, 185: 1069-1077 (1992)).
[0038]
As a method for isolating MIF, MIF or a recombinant MIF-containing solution, for example, a cell extract of a human cell or a cell culture supernatant nutrient solution is optionally subjected to a sterilization filtration step (0.45 μm), followed by Can be isolated by two steps: a) and / or b).
That is, as step a), using specific binding of human-MIF to glutathione, it is passed through an affinity gel as a carrier having glutathione, for example, S-hexyl glutathione affinity column R, and contacted with the carrier. It removes unbound proteins and other foreign substances and selectively cleaves human-MIF bound to the antibody.
In step b), contact is made with a carrier having a monoclonal antibody specific for human-MIF, unbound proteins and other foreign substances are removed, and human-MIF bound to the antibody is selectively separated. To separate.
[0039]
That is, the solution containing human-MIF is stabilized from the cells or cell culture supernatant by, for example, extraction, filtration and / or addition of protease inhibitors.
Such a human-MIF solution can be contacted directly in step a) and / or step b) with glutathione (GSH) and / or antibody bound to the carrier, but preferably about 6 kD or smaller molecular weight Pre-purified by ultrafiltration on a membrane with a separation limit of, concentrated, optionally dialyzed and optionally further purified by chromatography, for example DEAE-cellulose or Sephadex.
[0040]
In step a) and / or step b) human-MIF is separated from other proteins and foreign substances contained in the solution, in this case specific binding of human-MIF to glutathione and / or human A separation action based on forced interactions between antibodies specific for -MIF and recognized antigenic determinants on human-MIF is used. For this purpose, the MIF-containing liquid is brought into contact with a carrier having monoclonal antibodies specific for glutathione (GSH) and / or human-MIF according to immunoaffinity chromatography methods known per se, and unbound proteins and other foreign substances are contacted. Remove the sexual substance and selectively cleave and isolate glutathione (GSH) and / or antibody-bound human-MIF (CPD et al., “Journal of Biological Chemistry”, 258: 4659- 4662 (1983)). Use an affinity gel as a carrier with glutathione (GSH), such as an S-hexyl glutathione affinity column, and / or a suitable carrier based on minerals or organics, such as silicates, cross-linked agarose, dextran, or suitably functional A monoclonal antibody specific for human-MIF or a derivative thereof is added to a polyacrylamide in a purified form. For example, a carrier containing an activated ester functional group, such as an N-hydroxysuccinimide ester group, is suspended in an aqueous buffer, mixed with a solution of a monoclonal antibody, and unreacted reactive sites on the carrier are Block with primary amine, eg ethanolamine. The carrier is suspended in a suitable aqueous solvent, such as a salt solution, such as a NaCl solution, or a buffer, such as a phosphate buffered NaCl solution, NaHCO 3 solution or 3- (N-morpholino) propane sulfonic acid solution, and human-MIF is suspended. Contact with the contained solution. The chromatogram column is packed and the human-MIF containing liquid is introduced and pumped through the carrier, optionally with pressure. Unbound proteins and other contaminants are washed away with an aqueous solution, such as a buffer and / or salt solution having a pH of about 5 to about 9, such as a NaCl solution. Human-MIF bound to the antibody on the carrier is mixed with a suitable aqueous solution, such as a buffer in the pH range of about 2 to about 5, such as a glycine buffer, or various mixtures or salt solutions, such as the pH of a concentrated NH4 SCN solution. Elute by gradient. The resulting purified human-MIF-containing solution was optionally neutralized and purified by methods known per se, for example by chromatography on Sephadex, electrodialysis, electrophoretic concentration and / or vacuum concentration. Human-MIF can be isolated.
In addition, other MIFs such as mouse-MIF can be produced and used in a simple manner using the same method as human-MIF.
[0041]
The biodegradable material used in the present invention is not particularly limited as long as it is a material that can be dissolved, decomposed, metabolized, or absorbed by the action of cells, microorganisms, or living organisms, and specifically, polyvinyl alcohol, starch. Or starch-based polymers, polysaccharides such as cellulose, pullulan, curdlan and xanthan gum, polyamino acids such as polyglutamic acid and polylignin, gelatin, collagen, cellulose, lignin, alginic acid, hyaluronic acid, chitin, chitin chitosan, aliphatic polyester, Polylactic acid, polyethylene glycol, poly-ε-caprolactone, copolymer of ε-caprolactone and lactic acid or glycolic acid, polycitric acid, polymalic acid, poly-α-cyanoacrylate, poly-β-hydroxybutyric acid, polytrimethylene oxa Rate, polytetramethylene oxalate Salts, polyorthoesters, polyorthocarbonates, polyethylene carbonate, polypropylene carbonate, poly-γ-benzyl-L-glutamate, poly-γ-methyl-L-glutamate, poly-L-alanine gelatin, collagen, albumin, fibrin, etc. However, the present invention is not limited thereto.
[0042]
Among these, polylactic acid / glycolic acid copolymer (“PLGA”), which is decomposed by hydrolysis of ester bond after exposure to water to produce non-toxic lactic acid and glycolic acid monomers, is a preferred example. Can be mentioned. PLGA is a copolymer prepared by a polycondensation reaction between lactic acid and glycolic acid. Various ratios of monomer ratios can be used to adjust the crystallinity and hydrophobicity of the PLGA polymer. The higher crystallinity of the polymer results in slower dissolution. For the preparation and properties of PLGA, see DKGilding and AMReed, `` Biodegradable polymers for use in surgery-poly (glycolic) / poly (lactic acid) homo and copolymers: 1 '' Polymer Volume 20, pages 1459-1464 (1981). ,Are listed.
[0043]
As another preferred example of the biodegradable material, gelatin can be mentioned, and among these, a crosslinked gelatin can be more preferred.
Cross-linked gelatin can be prepared by cross-linking an oil-in-water emulsion obtained by dropping a gelatin solution into oil or fat with a cross-linking agent such as glutaraldehyde. The crosslinked gelatin is washed and sieved to produce crosslinked gelatin microspheres that are particularly preferable as a biodegradable material (K. Kawai et al; Biomaterials 21 (2000), 489- 499). In this case, since the biodegradable material becomes fine particles (average diameter when wet is less than 32 μm), it can be injected subcutaneously and intracutaneously around the wound when used in a topical pharmaceutical composition.
[0044]
The method for producing the topical pharmaceutical composition of the present invention is not particularly limited as long as a composition containing MIF and a biodegradable material can be obtained, but the biodegradable material is impregnated with a solution in which MIF is dissolved. The method of making it preferable is. For example, when cross-linked gelatin microspheres are used as the biodegradable material, the topical pharmaceutical composition of the present invention containing MIF stably can be prepared by contacting this with a MIF solution. Also, lyophilization is available for stabilization of MIF sustained release formulations (Carpenter, JF, Pical, MJ, Chang, BS, and Randolph, TW, Pharm. Res., 14: (8) 969 (1997)).
[0045]
According to the topical pharmaceutical composition of the present invention, MIF is dissolved, disintegrated, or exchanged with a body fluid together with an elution or biodegradable material, so that MIF is released in small amounts, and an effective amount of MIF is released to the wound. Can be contained stably. Therefore, the topical pharmaceutical composition of the present invention can be used as a compounding component for external preparations such as ointments, creams, liquids, etc. in addition to injections and dressings.
[0046]
The dosage of the topical pharmaceutical composition of the present invention is not particularly limited as long as it is an amount that produces an effect on wound healing. 2 It is preferably administered so that the amount of MIF is 1 to 100 μg, more preferably 5 to 50 μg, more preferably 10 to 30 μg. Further, the daily release amount of MIF is not particularly limited as long as it is effective in healing the wound. 2 In contrast, it is preferably used by adjusting so as to release 10 to 5000 ng per day, more preferably 100 to 1000 ng, still more preferably 300 to 700 ng.
A method for controlling the local concentration of MIF and / or the daily release amount of MIF includes controlling the degradability of the biodegradable material. For example, in the case of cross-linked gelatin, cross-linking such as glutaraldehyde is performed. The release amount can be controlled by changing the blending ratio of the agent and changing the water content of the crosslinked gelatin.
[0047]
Examples of the application site of the topical pharmaceutical composition of the present invention include wounded skin and / or skin near the wound. In this case, the vicinity of the wound is not particularly limited as long as the MIF released from the topical pharmaceutical composition of the present invention acts on the wound and exhibits an effect on wound healing, but for example, 1-30 mm from the wound site. List remote sites.
[0048]
The wound protective dressing of the present invention is not particularly limited as long as it is a dressing containing the topical pharmaceutical composition of the present invention. For example, a dressing prepared by injecting the topical pharmaceutical composition of the present invention into artificial skin, etc. Can be mentioned.
Examples of the artificial skin used in the dressing of the present invention include a chitin chitosan-based covering fabric (for example, Beschitin WR or Besquitin FR manufactured by Aventis Pharma) or a wound dressing mainly composed of a chitosan derivative (succinyl chitosan) ( Examples thereof include Urezac CR manufactured by Katakura Chikkarin Co., Ltd., or a composite of collagen sponge and silicone polymer (for example, Pelnac® manufactured by Gunze Co., Ltd.).
The dressing of the present invention is, for example, a surface area of 1 cm of the above artificial skin. 2 It can be prepared by impregnating the topical pharmaceutical composition solution of the present invention so as to contain 0.5 to 500 μg of MIF and drying.
As a method of using the dressing of the present invention, it can be used in the same manner as a normal dressing. For example, artificial skin dried by impregnating the above MIF is attached to a wound surface as a primary dressing, It is possible to apply gauze or the like as a secondary dressing from the top and fix it with a bandage, and replace the secondary dressing daily.
[0049]
The topical pharmaceutical composition of the present invention may contain the following ingredients as other auxiliary ingredients.
For the purpose of preventing pigmentation, whitening agents such as arbutin, vitamin C and its derivatives, kojic acid placenta extract, glutathione, and yukinoshita extract, UV blocking agents such as titanium oxide (TiO2), talc (MgSiO2), carmine ( FeO2), bentonite, kaolin, zinc oxide (ZnO) and the like can be blended.
For the purpose of anti-inflammation, anti-inflammatory agents such as glycyrrhizic acid derivatives, glycyrrhetinic acid derivatives, salicylic acid derivatives, hinokitiol, zinc oxide and allantoin can be blended.
For the purpose of promoting blood circulation, nonyl acid wallenylamide, capsaicin, gingerone, cantalis tincture, ictamol, caffeine, tannic acid, α-borneol, tocopherol nicotinate, inositol hexanicotinate, cyclandrate, cinnarizine, trazoline, acetylcholine, verapamil , Blood circulation promoters such as cephalanthin and γ-oryzanol can be blended.
For compliance purposes, alum extract, auren extract, sicon extract, peony extract, assembly extract, birch extract, sage extract, loquat extract, carrot extract, aloe extract, mallow extract, iris Extraction component, grape extract component, Yokuinin extract component, loofah extract component, lily extract component, saffron extract component, nematode extract component, ginger extract component, hypericum extract component, onionis extract component, rosemary extract component, garlic extract component, capsicum Extract components, chimpi, touki and the like can be blended.
[0050]
In order to improve the stability of a polypeptide such as MIF to be blended, a physiologically acceptable protein degradation inhibitor may be added. As a protein degradation inhibitor, soybean trypsin inhibitor (SBTI), pancreatic secretory trypsin inhibitor (PSTI) and aprotinin (BPTI), which are proteinaceous trypsin inhibitors, can be added.
[0051]
Other additives include water-soluble polymers, preservatives, antioxidants, buffering agents, chelating agents, emulsifiers, solubilizers, ointment bases, solvents, curing agents, suspending agents, thickeners, A reversible crosslinking agent, vitamins and the like can be blended.
[0052]
Natural water-soluble polymers that can be used as thickeners include gum arabic, gum tragacanth, galactan, guar gum, carob gum, caraya gum, carrageenan, tamarind gum, xanthan gum, pectin, agar, quince seed (malmello), alge colloid (gypsum extract) ), Starch (rice, corn, potato, wheat), plant polymer such as glycyrrhizic acid, microbial polymer such as xanthan gum, dextran, succinoglucan, pullulan, animal system such as collagen, casein, albumin, gelatin Molecule and the like. Semi-synthetic water-soluble polymers include starch polymers such as dextrin, carboxymethyl starch, methylhydroxypropyl starch, methylcellulose, nitrocellulose, ethylcellulose, methylhydroxypropylcellulose, hydroxyethylcellulose, cellulose dimethyldialkyl sulfate (12-20). ) Cellulose polymers such as ammonium, hydroxypropylcellulose, sodium carboxymethylcellulose (CMC), crystalline cellulose, cellulose powder, and alginic acid polymers such as sodium alginate and propylene glycol alginate. Examples of fully-synthesized water-soluble polymers include polyvinyl polymers such as polyvinyl alcohol, polyvinyl methyl ether, polyvinyl pyrrolidone, carboxyvinyl polymer, alkyl-modified carboxyvinyl polymer, and polyoxyethylene polymers such as polyethylene glycol 2000, 4000, and 6000. Examples include molecules, polyoxyethylene polyoxypropylene copolymer-based polymers, acrylic polymers such as sodium polyacrylate, polyethylene acrylate, and polyacrylamide, polyethyleneimine, and cationic polymers. Examples of inorganic water-soluble polymers include bentonite, aluminum magnesium silicate, laponite, hectorite, and anhydrous silicic acid.
[0053]
As preservatives, benzalkonium chloride, benzalkonium chloride solution, benzethonium chloride, benzoic acid, benzyl alcohol, butylparaben, cetylpyridinium chloride, chlorobutanol, chlorocresol, cresol, dehydroacetic acid, Ethylparaben, methylparaben, methylparaben sodium, phenol, phenylethyl alcohol, phenylmercuric acetate, phenylmercuric nitrate, potassium benzoate, potassium sorbate, propylparaben, sodium propylparaben, sodium benzoate, sodium dehydroacetate, sodium propionate, sorbine An acid, thimerosal, thymol, etc. can be mentioned.
[0054]
Antioxidants include ascorbic acid, acorbyl palmitate, butylated hydroxyanisole, butylated hydroxytoluene, hypophosphorous acid, monothioglycerol, propyl gallate, sodium formaldehyde sulfoxylate, sodium metabisulfite, sodium thiosulfate , Sulfur dioxide, tocopherol, tocopherol excipient and the like.
[0055]
Buffering agents include acetic acid, ammonium carbonate, ammonium phosphate, boric acid, citric acid, butyric acid, phosphorous acid, potassium citrate, potassium metaphosphate, potassium phosphate monobasic, sodium acetate, sodium citrate, sodium butyrate Examples thereof include a solution, dibasic sodium phosphate, and monobasic sodium phosphate.
[0056]
Examples of chelating agents include disodium edetate, ethylenediaminetetraacetic acid and salts thereof, and edetic acid.
[0057]
Emulsifiers or solubilizers include acacia, cholesterol, diethanolamine (adjunct), glyceryl monostearate, lanolin alcohol, lecithin, mono- and di-glycerides, monoethanolamine (adjacent), oleic acid (adjacent) Type), oleyl alcohol (stabilizer), poloxamer, polyoxyethylene 50 stearate, polyoxy 35 castor oil, polyoxy 40 hydrogenated castor oil, polyoxy 10 oleyl ether, polyoxy 20 cetostearyl ester, polyoxy 40 stearate, polysorbate 20 , Polysorbate 40, polysorbate 60, polysorbate 80, propylene glycol diacetate, propylene glycol monostearate, sodium lauryl sulfate, stearic acid Thorium, sorbitan monolaurate, sorbitan monooleate, sorbitan monopalmitate, sorbitan monostearate, stearic acid, and trolamine, emulsifying wax, and the like.
[0058]
Examples of the ointment base include lanolin, anhydrous lanolin, hydrophilic ointment, white ointment, yellow ointment, polyethylene glycol ointment, petrolatum, hydrophilic petrolatum, white petrolatum, rose water ointment, squalane and the like.
[0059]
Solvents include ethyl oleate, isopropyl myristate, isopropyl palmitate, mineral oil, light mineral oil, myristyl alcohol, octyldodecanol, almond oil, olive oil, peanut oil, kyounin oil, sesame oil, soybean oil, squalene, glycerin, peanut oil Polyethylene glycol, propylene carbonate, propylene glycol, sesame oil, water for injection, sterile water for injection, purified water, and the like.
[0060]
Curing agents include hardened castor oil, cetostearyl alcohol, cetyl alcohol, cetyl ester wax, hardened fat, paraffin, polyethylene excipient, stearyl alcohol, emulsifying wax, white wax, yellow wax. And the like.
[0061]
Suspensions and / or thickeners include gum arabic, agar, alginic acid, aluminum monostearate, bentonite, purified bentonite, magma bentonite, carbomer 934p, carboxymethylcellulose calcium, carboxymethylcellulose sodium, carboxymethylcellulose sodium, Carrageenan, microcrystalline and carboxymethylcellulose sodium cellulose, dextrin, gelatin, guar gum, hydroxyethylcellulose, hydroxypropylcellulose, hydroxypropylmethylcellulose, magnesium aluminum silicate, methylcellulose, pectin, polyethylene oxide, polyvinyl alcohol, povidone, propylene glycol alginate, dioxide Silicon It can be mentioned silicon colloidal dioxide, sodium alginate, tragacanth, xanthan gum and the like.
[0062]
Examples of the reversible crosslinking agent include those usually used. W. Those described in Green, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley, and Sons (ed.) (1981) can be used. Various approaches are also listed in a review by Waldmann (Angewante Chemie Inl. Ed. Engl. 35, page 2056 (1996)).
[0063]
Furthermore, specific examples of vitamins having a cell activation effect that can be combined with the topical pharmaceutical composition of the present invention include vitamin A oil, vitamin A such as retinol acetate, vitamin B2 such as riboflavin and riboflavin butyrate, pyridoxine hydrochloride Such as vitamin B6 such as L-ascorbic acid, magnesium L-ascorbyl phosphate, sodium L-ascorbate, nicotinic acid, nicotinic acid amide, nicotinic acid benzyl ester, nicotinic acid β-butoxyethyl ester, etc. Vitamin D such as nicotinic acid, ergocalciferol, cholecalciferol, vitamin E such as α-tocopherol and tocopherol acetate, vitamin H such as vitamin P and biotin, royal jelly, photosensitizer, cholesterol derivative, calf blood Activation of extracts, etc. And the like can be given.
[0064]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be further described with reference to examples. However, the present invention is not limited to the examples.
[0065]
<Production Example 1: Production of human-MIF>
Human-MIF was produced by in vitro gene amplification of the region encoded by human-MIF cDNA by polymerase chain reaction (PCR) method, and introducing the expression vector into which the gene was inserted into the host cell. The amplified DNA was inserted into the NdeI and BamHI fragments of T7 promoter expression plasmid pET3, and transfected E. Coli BL21 (DE3) LysS transformed with this plasmid was cultured, and human-MIF was cultured from the culture supernatant. Isolated.
[0066]
<Production Example 2: Production of biodegradable material>
The biodegradable material as a carrier for sustained release was prepared by dropping 10 ml of a gelatin solution concentration of 10% by weight preheated at 40 ° C. for 1 hour into 350 ml of olive oil stirred at 450 revolutions per minute to form a water-in-oil emulsion. Cross-linked gelatin was prepared by cross-linking in the presence of glutaraldehyde. Next, 100 ml of acetone was added, and the mixture was further stirred at 300 rpm for 1 hour. The resulting microspheres were washed 5 times with acetone, then twice with isopropyl alcohol, and centrifuged (treatment at 5000 rpm for 5 minutes at 4 ° C.) to disperse the precipitate with isopropyl alcohol. Microspheres were collected from this solution with a 32 micron sieve, centrifuged repeatedly, and air dried at 4 ° C. to obtain crosslinked gelatin microspheres.
The obtained crosslinked gelatin microspheres had an isoelectric point of 5.0, an average particle size of about 70 μm, and a water content of about 95%.
[0067]
<Production Example 3: Production of MIF knockout mouse>
MIF knockout mice (MIF KO mice) were prepared by homologous recombination with a mouse gene in a vector in which a neomycin resistance gene was inserted into the MIF gene (see Homma N et al. Immunology, 2000, 100: 84-90). Then, it was confirmed by immunoblotting that no MIF protein was expressed.
Next, the wound healing effect of the prepared MIF KO mice and wild type BALB / c mice was confirmed.
Specifically, 6-8 weeks old MIF KO mice and wild-type (WT) BALB / c mice made ulcers of 4 mm x 4 mm size on the back skin, and ulcers were observed over time and compared with BALB / c mice. investigated. The results are shown in FIG.
This confirmed that wound healing was delayed in MIF KO mice.
In addition, the skin was peeled from 1-day-old MIF KO mice and WT mice, and fibroblasts were cultured.The MTS assay was performed on each of the second-generation cultured fibroblasts to stimulate lipopolysaccharide (LPS). The difference of the cell proliferation effect by the presence or absence was investigated. The results are shown in FIG.
Thus, in MIF KO mice, fibroblasts were not proliferated by LPS stimulation on days 3 and 5, whereas in BALB / c fibroblasts of wild type (control) mice, cell proliferation was observed by LPS stimulation. I understand that.
In addition, the migration ability of cultured fibroblasts from MIF KO mice and WT mice was evaluated by making a wound on the cultured cell petri dish and observing the fibroblasts migrating there over time. The results are shown in FIG.
This shows that the migration ability of fibroblasts is low in the MIF KO mouse.
[0068]
<Example 1: Production of topical pharmaceutical composition (MIF sustained release agent)>
36 μg of human-MIF obtained in Production Example 1 (hereinafter simply referred to as “MIF”) was dissolved in 20 μl of PBS solution, and 2 mg of the crosslinked gelatin microspheres obtained in Production Example 2 was added to impregnate MIF. Thereafter, the pellet collected by centrifugation at 2000 rpm was allowed to stand at room temperature for 30 minutes to obtain a crosslinked gelatin microsphere containing MIF.
[0069]
<Example 2: Production of MIF sustained-release solution>
6 ml of PBS was added to the cross-linked gelatin microspheres containing MIF prepared in Example 1 to obtain a MIF sustained-release solution containing 6 μg of MIF in 1 ml.
Next, the MIF release amount of the MIF sustained-release agent solution was measured by measuring the absorbance, and it was confirmed that MIF was hardly released even after 48 hours in vitro (FIG. 4).
[0070]
<Example 3: Wound healing experiment using MIF sustained-release solution>
An ulcer was created in the MIF KO mouse obtained in Production Example 3, and the wound healing effect by injecting a MIF sustained-release agent into the periphery of the ulcer was examined.
Specifically, ulcers were created on the backs of 5 MIF KO mice, each with a size of 5 × 5 mm, using a scalpel to form a wound (Day 0). On the next day (Day 1), the MIF sustained-release agent solution produced in Example 2 was injected at 10 sites around the ulcer approximately 3 mm away from the ulcer by 50 μl each (total amount of 3 μg MIF was injected). . Therefore, wound 1cm 2 This means that 12 μg was injected.
As comparative examples, the same experiment was carried out on 50 μl of MIF-only 6 μg / ml PBS solution not combined with cross-linked gelatin microspheres injected at 10 locations and no injection (control).
The wound healing effect was determined by observing the reduction rate of the ulcer by measuring the maximum diameter of the ulcer. The result is shown in FIG. 5A.
From this, it was clarified that, on the 6th day after wound creation, those injected with the topical pharmaceutical composition of the present invention had a significant healing effect compared to those injected with MIF alone and those without injection. It was.
Moreover, about the mouse | mouth which injected the topical pharmaceutical composition of this invention, and the mouse | mouth which injected only MIF, the skin of the injection part vicinity was extract | collected 10 days after wound preparation, and presence of MIF protein was confirmed by the Western blot. The result is shown in FIG. 5B.
Thus, in mice injected with MIF alone, the presence of MIF protein cannot be confirmed, whereas in mice injected with the topical pharmaceutical composition of the present invention, MIF remains in the vicinity of the wound, and the sustained release effect continues. Can be confirmed.
Furthermore, it was confirmed that this sustained-release agent releases the entire amount of MIF in about 21 days. Therefore, about 143 ng of MIF was gradually released per day (total amount of 3 μg of MIF / 21 days), and the wound was 1 cm. 2 In contrast, 572 ng of MIF was gradually released per day.
[0071]
<Example 4: Production of wound protective dressing>
Artificial dermis (manufactured by Pelnac® Gunze Co., Ltd., outer layer consisting of a silicone polymer layer and inner layer consisting of a collagen sponge layer with a pore size of 70-110 μm) was prepared, and the final MIF content was 2.5 μg / cm 2 Then, a cross-linked gelatin microsphere solution containing MIF was injected evenly into the artificial dermis to prepare a wound protective dressing.
[0072]
【The invention's effect】
According to the present invention, it is possible to obtain a topical pharmaceutical composition that releases MIF little by little, realizes effective MIF release to a wound, and stably contains MIF.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing wound healing in MIF KO mice.
FIG. 2 shows an evaluation of fibroblast proliferation.
FIG. 3 is a diagram showing an evaluation of fibroblast migration ability.
FIG. 4 is a diagram showing an in vitro sustained release effect.
FIG. 5 is a diagram showing the wound healing effect by injecting a MIF sustained-release agent using MIF KO mice.

Claims (4)

マクロファージ遊走阻害因子および架橋化ゼラチンマイクロスフェアを含有する、創傷治癒のための局所医薬組成物。 A topical pharmaceutical composition for wound healing comprising macrophage migration inhibitory factor and cross-linked gelatin microspheres . マクロファージ遊走阻害因子が創傷1cm2あたり1〜100μgとなるように投与される、請求項1に記載の局所医薬組成物。The topical pharmaceutical composition according to claim 1, wherein the macrophage migration inhibitory factor is administered so as to be 1 to 100 µg per 1 cm 2 of wound. マクロファージ遊走阻害因子が創傷1cm2に対して1日あたり10〜5000ng放出される、請求項1または2に記載の局所医薬組成物。The topical pharmaceutical composition according to claim 1 or 2, wherein 10 to 5000 ng of macrophage migration inhibitory factor is released per day per 1 cm 2 of wound. 請求項1ないし3のいずれかに記載の局所医薬組成物を含む創傷保護ドレッシング剤。A wound protective dressing comprising the topical pharmaceutical composition according to any one of claims 1 to 3.
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