JP4554623B2 - 関節継手を有する人工椎間板 - Google Patents

Description

関連出願の相互参照

本出願は、２００４年２月１９日に出願された米国仮特許出願第６０／５４６，０２７号の出願日の利得を主張するものであり、この仮特許出願の開示は、参照することによってここに含まれるものとする。

本発明は、一般的に、安定化と継続的柔軟性及び適切な解剖学的運動を同時にもたらすために、隣接椎骨間の椎間空間内に移植される脊椎移植組立体に関し、さらに詳細には、大きな半径と実質的に連続的な曲率を有する部分的なボールを有する捕捉されないボール／ソケット継手を用いて、回転を制限するような装置に関する。

成人脊柱の骨と結合組織は、１つの前方円板と２つの後方椎間関節から成る３継手複合体によって互いに連続的に連結された２０以上の分離した骨から成っている。隣接骨の前方円板は、椎間板と呼ばれる軟骨スペーサによって衝撃が緩和されるようになっている。これらの２０以上の骨は、４つの分類、すなわち、頚椎、胸椎、腰椎、又は仙椎の１つの部材として解剖学的に類別されている。頭蓋骨の基部に至る脊椎の上部を構成する脊椎の頚椎部分は、最初の７つの椎骨を備えている。中間の１２の骨は、胸椎であり、５つの腰椎から成る下側脊椎に接続されている。脊椎の基部は、（尾骨を含む）仙骨である。頚椎の構成骨は、一般的に、胸椎の構成骨よりも小さく、胸椎の構成骨は、腰椎領域の構成骨よりも小さい。仙骨領域は、骨盤の側方に接続している。仙骨領域は、脊椎の一体部分であるが、融合手術の目的及びこの開示では、脊椎という用語は、頚椎、胸椎、及び腰椎領域のみを指すものとする。

脊柱は、互いに連結されたこれらの２０以上の骨を備え、無数の末梢神経とその近傍の循環体を有する神経システムの重大な要素を収容かつ保護する点において、極めて複雑である。これらの複雑さにもかかわらず、脊椎は、大きな屈曲性とほぼあらゆる方向における捩じれを可能にする高柔軟性構造である。

外科的介入を必要とする脊椎病変をもたらすいくつかの原因として、遺伝的又は発育的な異常、外傷、慢性ストレス、腫瘍、及び変性損耗が挙げられる。人工組立体を脊柱内又は脊柱上に移植することによって、隣接骨の固定化及び／又は融合を達成する種々のシステムが、当技術分野において開示されている。固定される必要のある背中の領域と生体構造の個々の異なる箇所が、適切な外科プロトコルと移植組立体を決定することになる。椎間板の損傷に関して、体内融合ケージへの関心が高まっているが、その理由は、このケージが腹腔鏡を用いて脊椎の前部内に移植され、これによって、手術室時間、患者の回復時間、及び乱切を低減することができるからである。

椎間体ケージの側斜視図と移植後の脊柱の前方斜視図がそれぞれ示されている図１及び図２を参照して、先行技術のこれらの装置をここでより詳しく説明する。これらのケージ１は、一般的に、外面ネジ３を有する管状金属体２を備えている。これらのケージは、脊椎４の軸を横切って、隣接椎体の接合部に予め形成された円筒孔内に挿入されている（図１４では、１対のケージ１が、第５腰椎（Ｌ５）と仙椎（Ｓ１）の上部との間に挿入されている）。２つのケージ１は、一般的に、外ネジ４を上側の椎骨（Ｌ５）の下面と下側の椎骨（Ｓ１）の第１面内にねじ込み、並んで挿入されている。ケージ１は、隣接骨が成長することになる孔５を備えている。ケージ内への骨の成長を刺激又は促進するために、付随的な材料、例えば、自家骨移植材料がケージ１の中空内部６内に挿入されてもよい。端末キャップ（図示せず）を利用して、骨移植材料をケージ１内に保持することが多い。

先行技術のこれらのケージは、融合を促進し、かつ適切な椎間板高さに著しく近づける点において、医学的な成功を得ている。しかし、隣接骨の融合は、疾患を治療せず、むしろ骨の安定した橋架けによって内在する病変を単純に覆うことになるので、この病変に対して不完全な解決策しかもたらさないことに注意することが重要である。この骨融合は、脊柱の全体的な柔軟性を制限し、患者の正常な運動を人工的に拘束するものである。この拘束は、融合された直後の継手によって通常生じる運動による付加的なストレスがすぐ隣の脊椎関節と椎間板に伝達されるので、患者の脊椎に付随的な損傷をもたらすことがある。従って、融合を促進せず、むしろ自然の椎間軟骨の生体力学的な挙動を模倣し、これによって、正常な運動と応力分布の継続を可能とする移植組立体をもたらすことになれば、当技術分野において、著しい進展が得られるだろう。

従って、本発明の目的は、椎間空間の全体にわたって、骨融合を促進することなく、骨を安定化させる椎間スペーサを提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、正常な運動を依然として可能としながら、脊椎を安定化させる移植装置を提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、患者の脊椎への生体力学的な応力の異常な分布を促進せずに、椎間空間に移植される装置を提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、基板の互いに対する自由な回転をもたらす人工椎間板を提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、圧縮負荷を支持する人工椎間板を提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、基板が圧縮負荷によって互いに向かって軸方向に圧縮することを可能とする人工椎間板を提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、基板が圧縮負荷によって互いに向かって軸方向に圧縮し、圧縮負荷が取除かれたとき、元の圧縮されていない相対位置に回復することを可能とする人工椎間板を提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、基板の互いに対する横方向の平行移動を阻止する人工椎間板を提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、椎間空間内の中央に運動の重心を有する人工椎間板を提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、隣接椎体の凹面と一致する外向き面を有する人工椎間板基板を提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、上側椎体の下側終板面に着座する第１要素と、下側椎体の第１終板面に着座する第２要素とを有する椎間板置換装置であって、前記基板は、それらの間に、前記基板が互いに対して関節運動することが可能であるように相補的凹面内に配置される大きな半径を有する部分球部材を配置させているような椎間板置換装置を提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、一点負荷と疲労損傷に耐性を有する椎間板置換装置を提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、部分球部材を用いるボール／ソケット式関節であって、前記部分球部材が捕捉されていないようなボール／ソケット式関節を採用する椎間板置換装置を提供することにある。

明示的には述べられていない本発明の他の目的は、以下に開示される好ましい実施形態の説明と関連して述べるが、これによってさらに明瞭に理解されるだろう。

前述の目的は、外向き面を各々が有する１対の支持部材（例えば、離間した基板）を備える人工椎間板又は椎間スペーサ装置である本発明によって、達成されることになる。この人工椎間板は、隣接椎体の対向する終板間に配置されることになるので、基板は、外向き面が互いに外方を向いた実質的に平行な平面配向で（又は適切な前弯角に従って互いにいくらかずれて）配置されている。基板は、椎体に対して回転せず、むしろ脊椎分節がそれらの自然の運動を模倣する態様で互いに対して屈曲し、（及びいくつかの実施形態では、互いに対して軸方向に圧縮する）ことを可能とするように、椎体と嵌合するようになっている。この自然の運動は、固定された基板間に配置された部分球部材を用いるボール／ソケット式継手の動作によって可能とされ、椎骨への基板の固定は、各基板の外向き面に取り付けられた椎体接触要素の使用によって、達成されることになる。

好ましい椎体接触要素は、制限はされないが、以下のもの、すなわち、凸状メッシュ、凸状中実ドーム、及び１つ以上のスパイクの１つ以上を含んでいる。凸状メッシュは、好ましくは、その周囲が各基板の外向き面に固定されている。これは、どのような有効な方法によっても達成することができるが、メッシュが金属から構成される場合は、レーザ溶接とプラズマ被膜の埋設が２つの好ましい方法である。メッシュは、その初期の撓んでいない形態ではドーム状であるが、人工椎間板の椎体間への挿入中は必要に応じて撓み、人工椎間板が椎体間に着座した時点で、身体構造的な負荷によって必要に応じて変形し、それ自体を椎体の終板の凹面に合せて再整形する。すなわち、メッシュは、身体構造的な負荷によって、凹面に対して一致するように撓み、椎体の終板に確実に係合するように、再整形することが可能である。換言すれば、メッシュは、凸状に形作られ、その周囲が基板に固定されているので、基板から離れるように付勢されているが、（付勢力を上回る負荷、例えば、椎間空間における身体構造的な負荷として存在するような負荷によって）、基板の方に移動することが可能であり、これによって、椎間空間内に配置されると、椎体終板に確実に係合することになる。これは、他の人工椎間板製品と比較して、初期の移植時に、メッシュを有する基板に、充分に優れた把持力を与えるものである。凸状メッシュは、さらに骨伝導面をもたらし、この骨伝導面を通して、骨が最終的に成長することができる。メッシュは、好ましくは、チタニウムから成るが、他の金属及び／又は非金属から形成されることがあってもよい。ドーム状なので、メッシュは、人工椎間板が移植される角度を制限することがない。柔軟性のあるドームは、好ましくは、ワイヤメッシュとしてここでは記載されているが、他のメッシュ状要素又は中実の柔軟性要素、例えば、非金属及び／又は他の金属から成る柔軟性要素が用いられることがあってもよい。さらに、柔軟性、撓み性、及び／又は変形性は、柔軟性材料によってもたらされる必要はなく、付随的又は代替的に、機械的又は他の手段によってもたらされることがあってもよい。

ここに記載される凸状メッシュ取付け装置及び方法は、ここに記載される又はここで参照される人工椎間板及び人工椎間板基板と共に用いることができるのみならず、制限はされないが、当技術分野において現在知られているものを含む他の人工椎間板及び人工椎間板基板と共に用いることもできることが、理解されるべきである。従って、ここに記載される又はここで参照される人工椎間板及び人工椎間板基板と共に用いられるメッシュ取付け装置及び方法の説明は、メッシュ取付け装置の用途及び／又は実用性を制限すると解釈されるべきではない。

椎骨への基板の固定を向上させるために、各基板は、各外向き面の横方向リムの周囲にリング状に少なくとも延在する多孔性領域をさらに備えている。この多孔性領域は、例えば、溶射堆積層、接着剤塗布ビード金属層、又は当技術分野において知られている他の適切な多孔性被膜であるとよい。多孔性リングは、基板内への椎骨の長期にわたる内部成長を可能とし、これによって、プロテーゼを椎間空間内に永久的に固定することになる。多孔層は、ドーム状メッシュの下方にさらに延在してもよいが、より重要なことは、椎体に直接的に着座する基板の外向き面の横方向リムに施されることである。

ここに記載される実施形態のいくつかでは、２つの基板であって、各々がその外向き面に前述の凸状メッシュを有する基板を用いているが、他の実施形態では、２つの基板であって、各々が基板の外向き面の横方向リムにおける複数のスパイクと組合せて凸状の中実ドームを有する基板を用いている。しかし、ここに記載される種々の取り付け装置又は方法（及び他のどのような取付け装置又は方法、例えば、竜骨など）は、本発明の範囲から逸脱することなく、個々に又は任意の並び換えの組み合わせで用いられ得ることが理解されるべきである。

基板間に配置された捕捉されていない部分球部材を用いるボール／ソケット継手は、基板間の中央に位置する移動の重心を中心とする２つの基板の互いに対する回転と角移動を可能としている。種々の実施形態が考えられる。いくつかの実施形態では、継手は、２つの基板が互いに軸方向に圧縮することを付随的に可能にする弾性部材と関連して、用いられている。さらに、これらの実施形態の各々において、組立体は、回転及び角移動中の基板の横方向における平行移動を妨げるようになっている。

前述の実施形態及び実施形態の群は、本発明の態様及び特徴を例示する単なる実例にすぎないこと、及び他の実施形態及び実施形態の群が、本発明の範囲から逸脱することなく可能であることが、理解されるべきである。

ここで検討される実施形態の各々は、同一の基本的な要素を共有しているが、これらの基本的な要素のいくつかは、実施形態の全体にわたって同一の機能性と構成を維持し、またこれらの基本的な要素のいくつかは、機械的及び／又は製造上の必要性に適合するために、実施形態の全体にわたって機能性及び／又は構成を生かすか又は失うようになっている。さらに具体的には、実施形態の各々は、内向き関節面を各々が有する２つの基板を備え、それらの間に配置されたボール／ソケット継手を有し、このボール／ソケット継手は、基板間の中央に設置された捕捉されていない部分球部材を用いている。この部分球部材は、一点負荷を最小限に抑制し、疲労損傷の危険性とその発生を低減させるために、大きな半径と実質的に連続的な湾曲弧を有している。実施形態の各々は、この明細書における実施形態の更なる説明に照らして、さらに理解されるだろう。

第１基板の内向き関節面は、遠位端に部分球部材を有する部材がそこから延在するように適合されている。部分球部材は、第２基板の凹状関節面と相補関係にある関節面を形成する凸状弧によって、画成されている。

好ましい実施形態において、第１基板の縦方向において内向きの関節面は、本質的に、細長部材を収容及び／又は保持するための中心孔を有する中央に配置された突起を備えている。この突起は、第２基板の内向き凹状関節面の直径よりも小さい直径を有するように寸法決めされている。突起は、好ましくは、円筒状又は切頭円錐状の断面を有している。

好ましい実施形態において、細長部材は、本質的に、細長部とヘッド部とを有するキノコ状ピンから構成され、細長部は、第１基板の中心孔内に着座し、遠位側に位置するヘッド部は、実質的に一定の曲率半径Ａを有する凸状弧を有している。ピン状部材は、孔内に固定して係合されていてもよいし、孔内に摺動自在に係合されていてもよい。ピンが孔内に摺動自在に係合される実施形態では、好ましい実施形態として、弾性ワッシャーなどのような弾性環状部材が、任意選択的に、衝撃吸収体として、第１基板の突起を超えて配置されている。ここで、弾性環状部材は、その片側が第１部材の突起に隣接する面の方を向き、反対側がピン状部材のヘッドの内側の方を向いて、配置されている。

ピン部材の細長部は、好ましくは、連続的な円筒状の断面を備えているが、この断面は、例えば、細長部材とヘッド部の接合部の近くを徐々に又は急激に厚くすることによって、その遠位端に向かって変化させ、これによって、構造的な強度をもたらすようにしてもよい。

第２基板の縦方向において内向きの関節面は、湾曲ソケットを形成する実質的に一定の半径の凹状の関節面である。

一定半径の関節面は、互いに入れ子にされ、かつ互いに関節運動することが可能であり、これによって、（椎間空間において、第１及び第２基板がそれぞれ配置される）隣接椎骨が、屈曲、伸張、及び横曲げの形態で関節運動することができるように構成され、かつ寸法決めされている。さらに具体的には、本発明の人工椎間板移植片は、椎体接触面が互いに外向きに配置され、かつ凹状弧が凸状弧と適合すべく関節面が互いに入れ子にされるように、第１及び第２基板を配置することによって、組み立てられている。

湾曲ソケットは、部分球部材を回転かつ角移動可能に緊密に収容する球状の輪郭を画成している。従って、湾曲ソケット内に着座されると、部分球部材は、ある角度範囲内において、湾曲ソケットに対して自在に回転かつ角移動することができ、これによって、対向する２つの基板が、正常な人体の脊椎の回転と角移動の一部に相当する対応する角度範囲内において、（正常な椎間板の回転と角移動を模倣するように）、互いに自在に回転かつ角移動することが可能となる。基板は、湾曲したソケット内に回転可能かつ角移動可能に連結された部分球部材によって、互いに関節運動することが可能とされているので、椎間板組立体は、運動の重心を部分球部材によって画成された球内に定めていることになる。従って、椎間板組立体の運動の重心は、健康な自然な椎間板における運動の重心と同じように、椎体間の中央に位置して維持されている。

任意選択的に、キノコ状ピンの基板の近くに位置する端部とそのピンが配置されている孔は、基板の外面に配置されるか又は基板の外面として配置される椎体接触要素によって、覆われているとよい。このような実施形態では、対称性を得るために、反対側の基板に配置されるか又は反対側の基板として配置される椎体接触要素を備えていると好ましい。このような接触要素は、好ましくは、椎間空間内において、それが接触する面の輪郭と一致するような輪郭を有している。

本発明の他の好ましい実施形態において、椎間板装置は、外面と内面とを有する第１板と、第１板と並列に配置された第２板であって、外面と、第１板と向き合う内面と、第１板と向き合う凹面とを有する第２板とを備えている。この装置は、好ましくは、第１板から第２板に延在する細長部材を備えている。細長部材は、第２板の凹面と係合可能である球面付きの遠位端を有し、第１及び第２板間に関節継手をもたらすようになっている。また、この装置は、望ましくは、細長部材と接触して板への圧縮負荷に対して反作用する弾性部材を備え、この弾性部材は、第２板の凹面によって取り囲まれている。

本発明の他の好ましい実施形態において、椎間板装置は、外面と内面とを有する第１板と、第１板と並列に配置された第２板であって、外面と、第１板と向き合う内面とを有する第２板と、第１及び第２板間に配置されたボール／ソケット関節継手とを備えている。また、この装置は、好ましくは、ボール／ソケット関節継手のボール部と接触して板への圧縮負荷に対して反作用する弾性部材を備え、この弾性部材は、第１及び第２板間に延在し、関節継手のソケット部によって取り囲まれている。

本発明のさらに他の実施形態において、椎間装置は、外面と内面とを有する第１板と、第１板と並列に配置された第２板であって、外面と、第１板と向き合う内面とを有し、この内面が凹面を有するような第２板と、第１板の内面から第２板の方に延在する細長部材であって、第１板に摺動自在に取り付けられ、第１及び第２板間にボール／ソケット関節継手を形成する球面付きの遠位端を有する細長部材とを備えている。また、この装置は、細長部材の遠位端と接触して板への圧縮負荷に対して反作用する弾性部材を備えている。第２板の凹面は、望ましくは、弾性部材を取り囲んでいる。細長部材は、その遠位端にキノコ状のヘッドを有しているとよい。

以下、本発明のこれら及び他の好ましい実施形態について、さらに詳細に説明する。

以下、具体的な実施形態と移植の方法が示されている添付の図面に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、最初に、当業者であれば、ここに記載される本発明の機能と結果を達成しながら、本発明を修正し得ることが理解されるべきである。従って、以下の説明は、本発明の広い範囲内における具体的な構造、態様、及び特徴を説明するための典型例として理解され、このような広い範囲を制限するものと理解されるべきではない。全体を通して、同じ番号は、同じ要素の同様の特徴を指すものとする。

以下、本発明の好ましい一実施形態について、説明する。

図３を参照すると、第１基板１０と、第２基板３０と、ピン５０とを有する本発明が示されている。各基板１０，３０は、外向き面１２，３２を有している。本発明の人工椎間板は、隣接椎体の対向面間に配置されることになるので、この人工椎間板に用いられる２つの基板１０，３０は、外向き面１２，３２が互いに外方を向くように、配置されている。２つの基板１０，３０は、椎体に対して回転せず、むしろ脊椎分節がそれらの自然な運動を模倣する態様で互いに対して屈曲可能とすべく、椎体と嵌合するようになっている。この運動は、固定された基板１０，３０間に配置されたボール／ソケット継手の動作によって可能とされている。以下、椎体への基板１０，３０の嵌合とボール／ソケット継手の構造について、説明する。

さらに具体的には、各基板１０，３０は、それが嵌合することになる椎体の各終板の全体的な形状と一致する全体的な形状を有する（好ましくは、例えば、コバルト−クロム又はチタンのような金属又は金属合金から作製される）板である。さらに、各基板１０，３０は、椎体接触面をもたらすために、基板１０，３０の外向き面１２，３２に取り付けられた椎体接触要素８０，８２（例えば、好ましくは楕円形状の凸状メッシュ）を備えている。メッシュ８０，８２は、その周辺が基板１０，３０の外向き面１２，３２に固定されている。メッシュ８０，８２は、その初期の撓んでいない形態ではドーム状になっているが、椎体間への人工椎間板の挿入中は、必要に応じて撓み、人工椎間板が椎体間に着座した時点で、身体構造的な負荷によって必要に応じて変形し、それ自体を脊椎終板の凹面に合せて再整形するようになっている。これは、他の人工椎間板製品と比較して、初期の挿入時において、メッシュ８０，８２を有する基板１０，３０に充分に優れた把持力を与える。メッシュ８０，８２は、骨伝導面をさらにもたらし、この骨伝導面を通して、骨が最終的に成長することになる。メッシュ８０，８２は、好ましくは、チタニウムから成るが、本発明の範囲から逸脱することなく、他の金属及び／又は非金属から形成されることがあってもよい。

各基板１０，３０は、骨伝導性である少なくとも横方向リング（図示せず）をさらに備えていてもよい。この横方向リングは、例えば、溶射堆積層、接着剤塗布ビード金属面、又は他の適切な多孔性被膜であるとよい。この多孔性リングは、基板１０，３０内への椎骨の長期にわたる内部成長を可能とし、これによって、プロテーゼを椎間空間内に永久的に固定することが可能となる。この多孔層は、ドーム状メッシュ８０，８２の下方にさらに延在してもよいが、より重要なことは、椎体に直接的に着座する基板１０，３０の外向き面１２，３２の横方向リムに施されることであるということが、理解されるだろう。

基板１０，３０の各々は、以下に述べる他の部品と連動してボール／ソケット継手を形成する特徴部を備えている。第１基板１０は、内向き関節面１８を備え、この内向き面１８は、周領域２０と、内向き面１８から突出する突起２２とを備えている。突起２２は、好ましくは、円筒状又は切頭円錐状の断面を有している。突起２２は、キノコ状ピン５０（又はリベット、プラグ、ドエル、又はネジ）を受ける軸方向孔２６をさらに備えている。

第２基板３０は、周面３６と湾曲ソケット３８とを有する内向き関節面３４を備え、ソケット３８は、実質的に一定の半径の凹状関節面を有している。

ピン５０は、細長部５２とヘッド５４とをさらに備え、ヘッド５４は、実質的に一定の曲率半径を有する凸状弧を有している。ヘッド５４の弧は、その弧が画成する球が大きな半径を有し、これによって、一点負荷と疲労損傷のおそれを最小限に抑制するようになっている。

基板１０の突起２２は、ソケット３８の直径よりも小さい直径を少なくとも部分的に有するように寸法決めされている。突起２２は、好ましくは、円筒状又は切頭円錐状の断面を有している。

第１実施形態では、キノコ状ピン５０の細長部５２が基板１０の孔２６内に配置され、ヘッド５４がソケット３８内に入れ子になっている。ピン５０は、圧入、溶接などによって、孔２６内に固定して係合されている。ヘッド５４は、ソケット３８内に捕捉されていない。基板１０，３０は、本発明のボール／ソケット継手内において、決して互いに接続されることがないようになっている。

任意選択的に、ピン５０の基板１０の近くに位置する端部と孔２６は、基板１０の外面１２の上方に配置された椎体接触要素８０によって、覆われている。このような実施形態では、対称性を得るために、基板３０に椎体接触要素８２を備えていると好ましい。このような接触要素８０，８２は、好ましくは、椎間空間内においてそれが接触する面の輪郭と一致するような形状を有している。

図４を参照すると、好ましい実施形態において、ピン５０は、孔２６内に摺動自在に係合されている。この実施形態では、好ましい実施形態として、弾性ワッシャーなどのような弾性環状部材６０が、衝撃吸収体として、第１基板１０の（この実施形態では、好ましくは、円筒状の）突起２２を超えて配置され、この弾性環状部材６０は、圧縮負荷によって撓み、その負荷が取除かれたときに回復することによって、装置に軸方向クッションをもたらす力回復要素（例えば、バネ）として機能するように、寸法決めされ、かつ配置されている。

図５及び図６を参照すると、他の実施形態において、ピン５０の細長部５２は、好ましくは、連続的な円筒状の断面を有しているが、この断面は、例えば、細長部材５２とヘッド５４の接合部の近くを徐々に又は急激に厚くすることによって、その遠位端に向かって変化させ、これによって、構造的な強度をもたらし、及び／又は弾性部材６０の位置を異ならせるようにしてもよい。図５を参照すると、好ましい実施形態において、弾性部材６０は、円筒状の断面を有するバネから成る連続的なカラーである。不可欠ではないが、バネは、圧縮力を受けたときに、その直径を維持する能力を有しているので、弾性部材６０として、バネを用いるのが望ましい。最も好ましい実施形態において、弾性部材６０は、リテーナ６２内に保持されている。リテーナ６２は、制限はされないが、エラストマー材料のような弾性材料から形成されている。この実施形態において、細長部材５２は、近位側のヘッド５４に隣接する切頭円錐部５６を有し、これによって、弾性部材６０とリテーナ６２は、細長部５２の切頭円錐部５６と突起２２の端２８との間に形成されるシート内に緊密に係合可能である。力がリテーナ６２に作用すると、弾性部材６０を構成するバネは、外方に変形し、その直径が増大することになる。

他の実施形態において、図６を参照すると、弾性部材６０は、好ましくはエラストマー材料から形成されるＯリングである。リテーナ６２は、弾性部材６０の確実な取付けに適合する外部溝６４を有する半割りカラーのようなカラーである。この実施形態において、細長部材５２は、近位側ヘッド５４に隣接する切頭円錐部５６を有し、これによって、弾性部材６０とリテーナ６２は、細長部５２の切頭円錐部５６と突起２２の端２８との間に確実に係合可能となっている。力がリテーナ６２に作用すると、弾性部材６０を構成するＯリングは、外方に変形し、その直径が増大することになる。

ヘッド５４とソケット３８の実質的に一定半径の関節面は、互いに入れ子になり、かつ互いに関節運動することができ、これによって、（椎間空間内において、基板１０，３０がそれぞれ配置される）隣接椎体が屈曲、伸張、及び横曲げの形態で関節運動することができるように構成され、かつ寸法決めされている。さらに具体的には、本発明の人工椎間板移植片は、椎体接触面８０，８２が互いに外方を向き、かつソケット３８の凹状弧がヘッド５４の凸状弧と適合するように関節面（ヘッド５４とソケット３８）が互いに入れ子になるように、基板１０，３０を配置することによって、組み立てられている。

人工椎間板の具体的な実施形態を説明かつ図示したが、本発明の広い精神及び原理から逸脱することなく、変更及び修正が可能であることは、当業者には明らかだろう。従って、本発明は、ここに検討した具体的な実施形態に制限されるものではない。

本発明は、整形外科業界に利用可能性を有している。

先行技術による体内融合装置の側斜視図である。 図１の１対の体内融合装置が移植されている人の脊椎の腰椎−仙椎領域の前部の正面図である。 第１基板が内向き関節面を有し、遠位端に部分球要素を有するキノコ状ピンがその内向き関節面から延在し、第２基板が円状凹部を有し、第１基板の部分球要素の凸状構造がその円状凹部内に着座している本発明の第１実施形態の断面図である。 ピン要素が第１基板の中心孔内に摺動自在に係合し、第１及び第２板間に配置された弾性部材をさらに備えている本発明の第２実施形態の断面図である。 本発明の好ましい実施形態の断面図である。 本発明の好ましい実施形態の断面図である。

Claims (4)

1. 外面と内面とを有する第１板と、
   前記第１板と並列に配置された第２板であって、外面と、前記第１板と向き合う内面とを有し、前記内面がソケット状の関節継手をなす凹面を有するような第２板と、
   前記第１板の前記内面から前記第２板の方に延在する細長部材であって、前記第１板に取り付けられ、前記第１及び第２板間に、前記ソケット状の関節継手をなす凹面に係合するボール状の関節継手を形成する球面付きの遠位端を有する細長部材と、
   前記細長部材の周囲に少なくとも部分的に半径方向に延在し前記細長部材に接触して、前記板への圧縮負荷に対して反作用するためのリング状弾性部材であって、前記第２板の前記ソケット状の関節継手をなす凹面によって取り囲まれているリング状弾性部材と、
   を備え、前記リング状弾性部材が前記ボール状の関節継手に対して前記第１板側に配置されていることを特徴とする椎間装置。
2. 前記細長部材は、第１板に摺動自在に取り付けられていることを特徴とする、請求項１に記載の椎間装置。
3. 前記細長部材は、その前記遠位端にキノコ状ヘッドを有していることを特徴とする、請求項１に記載の椎間装置。
4. 外面と内面とを有する第１板と、
   前記第１板と並列に配置された第２板であって、外面と、前記第１板と向き合う内面と、前記第１板と向き合う凹面とを有する第２板と、
   前記第１板から前記第２板の方に延在する細長部材であって、前記第２板の前記凹面と係合可能である球面付きの遠位端を有し、前記第１及び前記第２板間に関節継手をもたらすための細長部材と、
   前記細長部材の周囲に少なくとも部分的に半径方向に延在し前記細長部材と接触して、前記板への圧縮負荷に対して反作用するためのリング状弾性部材であって、前記第２板の前記凹面によって取り囲まれているリング状弾性部材と、
   を備えていることを特徴とする椎間装置。

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