JP4535686B2 - Pharmaceutical composition - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリコサミノグリカンの1種であるヘパラン硫酸又は薬理学的に許容されうるその塩とアミノ糖であるグルコサミン又は薬理学的に許容されうるその塩とからなる組成物を有効成分として含有する医薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
創傷治癒作用を促進する手段としては、治癒に関わる細胞の増殖または移動を促進する方法や創傷治癒に必要とされる成分を体外から補給する方法が考えられる。
【0003】
前者の方法に関連して、従来より、創傷部位の細胞増殖を促進する物質として線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、肝細胞成長因子(HGF)等が、更に、細胞移動を促進する物質としてはフィブロネクチン等がそれぞれ報告され、創傷治癒治療への利用が検討されている。
【0004】
後者の方法としては、創傷治癒に必要とされる主要な細胞外基質成分であるコラーゲンやプロテオグリカン、及びそれらの生合成原料である各種アミノ酸やグリコサミノグリカン鎖の原料の供給が考えられる。しかし、外的に生合成原料を供給するには、考慮しなければならない種々の問題がある。
【0005】
例えば、プロテオグリカンを構成するグリコサミノグリカン鎖の構成糖であるグルクロン酸やイズロン酸などのウロン酸類とN-アセチルグルコサミンやN-アセチルガラクトサミンなどのアミノ糖類は、それぞれ、生合成経路においてグルコースからウリジン二リン酸―糖に変換された後、グリコサミノグリカンの構成糖として利用されている。ウリジン二リン酸―アミノ糖の生合成経路中にはウリジン二リン酸―N―アセチルグルコサミンの生合成量により調節を受ける律速酵素が存在し、生合成量の増加に従い生合成経路中の反応に抑制がかかり、アミノ糖類が不足する事態が発生する可能性があると推察されている。
【0006】
この様に、外的に生合成原料を供給する場合には、この様な律速酵素の存在を考慮し、また、外的に供給した物質の生合成反応への利用率などを検討する必要がある。
【0007】
なお、グリコサミノグリカンの一種であるヘパラン硫酸に関しては、種々の成長因子の効果を増強する作用が知られており、角膜上皮障害の治癒において、ヘパラン硫酸ナトリウム、N-アセチルグルコサミンがその治癒を促進させることが報告されている(特許文献)。
【0008】
【特許文献】
特開平10−287570号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、ヘパラン硫酸の単独投与による創傷治癒促進作用を既に見出していたが、更により効果的で、且つ、医薬品として有用な創傷治癒促進作用を示す物質及びその様な物質を利用した医薬を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ヘパラン硫酸の投与と同時にグルコサミンを投与することにより、ヘパラン硫酸単独投与では得られない相乗的な創傷治癒効果を奏することを見出し、これに基づいて本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ヘパラン硫酸又は薬理学的に許容されうるその塩とグルコサミン又は薬理学的に許容されうるその塩とからなる組成物を有効成分として含有することを特徴とする医薬。
(2)組成物が、ヘパラン硫酸グルコサミン塩を含むものである上記(1)記載の医薬。
(3)ヘパラン硫酸グルコサミン塩が、ヘパラン硫酸塩を陰イオン交換樹脂に吸着させ、グルコサミン塩溶液で溶出することにより得られるヘパラン硫酸グルコサミン塩である、上記(2)記載の医薬。
(4)ヘパラン硫酸グルコサミン塩が、ヘパラン硫酸とグルコサミンとの中和反応により得られるヘパラン硫酸グルコサミン塩である、上記(2)記載の医薬。
(5)創傷治癒効果を有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の医薬。
(6)粘膜の損傷に対する創傷治癒効果を有する上記(5)に記載の医薬。
(7)角膜上皮障害症治療剤である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の医薬組成物。
(8)ヘパラン硫酸グルコサミン塩。
(9)グルコサミン又は薬理学的に許容されるその塩を有効成分とする、ヘパラン硫酸の創傷治癒効果の促進剤。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、ヘパラン硫酸又は薬理学的に許容されうるその塩とグルコサミン又は薬理学的に許容されうるその塩とからなる組成物(以下、本発明組成物ともいう)を有効成分として含有する医薬(以下、本発明医薬ともいう)を提供する。
【0013】
本発明医薬▲1▼
本発明医薬の有効成分である本発明組成物を構成するヘパラン硫酸(以下、HSとも記載する)は、ウロン酸(D-グルクロン酸又はL-イズロン酸)とD-グルコサミンとから成る二糖単位の繰り返し構造を基本骨格とするグリコサミノグリカンの1種である。ヘパラン硫酸は、通常のグリコサミノグリカンと同様にウロン酸のO-2位、O-3位及びD-グルコサミンのN-2位、O-3位、O-6位は、硫酸基(-SO3 −)により硫酸化されている事もあり、D-グルコサミンのN-2位は、アセチル化(-COCH3)されている事もある。本発明に用いるHSは、ヘパリンと類似の構成を有するが、ヘパリンに比べてN-アセチル基が多く、N-硫酸含量及びO-硫酸含量が少ないグリコサミノグリカンである。その起源や由来によって特に限定されるものではなく、天然資源から得られるもの以外に、人工的に化学合成したもの、遺伝子工学的に動物細胞や微生物などにより合成させたもの、及び、化学的に又は硫酸基転移酵素などにより作成したヘパラン硫酸なども用いることが出来、市販されているヘパラン硫酸も用いることが可能である。
【0014】
天然資源から得られるヘパラン硫酸は、グリコサミノグリカンを含む生物体(例えば動物組織)から通常用いられている方法(物理的抽出法、酵素抽出法、有機溶媒分画法、イオン交換樹脂などを用いるクロマトグラフィー分画法などの単独又は組み合わせ)により抽出、精製して得られるものであれば特に限定されず、例えば、ブタ、ウシ等の哺乳動物の臓器(例えば腸、肺、肝、腎及び血液等)から抽出、精製されたヘパラン硫酸を用いることが出来る。
また、微生物によって生産されたN-アセチルヘパロサンを酵素的又は化学的に硫酸化するなど化学修飾することによってヘパラン硫酸を合成することも出来る。
【0015】
HSの重量平均分子量は特に限定されないが、1,000Da〜100,000Daが好ましく、より好ましくは10,000Da〜50,000Daである。しかし、グリコサミノグリカンの平均分子量は同一試料でも測定方法や測定条件等によって多少異なることが一般的に知られており、本発明においても上記平均分子量の範囲に厳密に限定されるべきものではない。
【0016】
HSの薬理学的に許容されうる塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩が挙げられ、中でもナトリウム塩が好ましい。また、本発明医薬の有効成分である本発明組成物は、HSとグルコサミンとによって形成された塩でも良い。当該塩に関しては後述する。
【0017】
本発明医薬の有効成分である本発明組成物を構成するグルコサミンは特に限定されず、市販のグルコサミンを用いることも可能である。また、グルコサミンは、キチンを酸加水分解することにより容易に得る事が可能であり、精製等により純度を高めて本発明組成物に用いる事も可能である。本発明組成物に用いるグルコサミンをキチンの酸加水分解により得る場合は、特に塩酸加水分解を利用すると好ましい。
【0018】
また、本発明のグルコサミンの薬理学的に許容されうる塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩等が挙げられ、中でも、塩酸塩がより好ましい。
【0019】
本発明組成物は、HS(又はその薬理学的に許容されうる塩)とグルコサミン(又はその薬理学的に許容されうる塩)との単なる混合物であっても、後述のHSグルコサミン塩であっても、更に、これら両者の混合物であっても良い。
【0020】
本発明医薬▲2▼
本発明医薬の有効成分である本発明組成物において、HSとグルコサミンとは塩を形成していても良く、この塩を特に、ヘパラン硫酸グルコサミン塩という(以下、本発明塩ともいう。)。
【0021】
本発明塩の作成方法としては、グリコサミノグリカンの塩の形成に通常用いられている方法に準じた方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、原料として用いるヘパラン硫酸塩を形成している陽イオンとグルコサミンイオンとの塩交換によって形成する事が出来る。
【0022】
具体例として、ヘパラン硫酸ナトリウムを出発物質(原料)として用いた場合の一例を以下に挙げて説明する。
【0023】
陰イオン交換体(例えば、ジメチルアミノ基結合シリカゲルやジメチルアミノエチル基結合シリカゲル等の弱塩基性アミンを交換基とする陰イオン交換体)とヘパラン硫酸ナトリウム水溶液とを接触させ、ヘパラン硫酸を陰イオン交換体に吸着させ、その後グルコサミン塩酸塩水溶液で溶出することにより本発明塩を生成させることが出来る。得られた溶出液にエタノール等の親水性の有機溶媒を加え、本発明塩を沈殿させ、濾過、洗浄し、凍結乾燥して本発明塩を得る方法が挙げられる。
【0024】
また、ヘパラン硫酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂(例えばスルホン酸結合ポリスチレン樹脂等のAG50WX8(バイオラッド製)やCK08S(三菱化学製)等)と接触させてナトリウムイオンを吸着除去して、ヘパラン硫酸を遊離酸型とし、同様にグルコサミン塩酸塩水溶液を陰イオン交換樹脂(第4級アミン結合ポリスチレン樹脂等のAG1X8(バイオラッド製)やCA08S(三菱化学製))と接触させ塩酸イオンを吸着除去して、グルコサミンを遊離塩基型とする。次いで、上記の遊離酸型のヘパラン硫酸と上記遊離塩基型のグルコサミンとを攪拌しながらpH6.9〜7.0に達する迄混和させる。このようにして得られた中和した溶液を濃縮、凍結乾燥することにより本発明塩が得られる。
【0025】
ヘパラン硫酸分子には、プラス電荷を有する分子とイオン結合により塩を形成しうる箇所が同一分子内に複数存在しており、ヘパラン硫酸グルコサミン塩を作成するに際し、グルコサミンイオンと同様にプラス電荷を有する他の分子(以下、カチオンカウンターイオンとも言う)が存在する場合、生成するヘパラン硫酸塩は、グルコサミンイオンとカチオンカウンターイオンの両者との塩を形成している場合が想定される。
【0026】
本発明塩であるヘパラン硫酸グルコサミン塩としては、ヘパラン硫酸1分子中にイオン結合により塩を形成しているグルコサミンが一つ以上存在していれば良く、同一のヘパラン硫酸分子内で、カチオンカウンターイオンともイオン結合により塩を形成した塩であっても構わない。
【0027】
本発明塩としてはヘパラン硫酸1分子に於けるカチオンカウンターイオンとグルコサミンイオンとの比率は特に限定されない。例えばヘパラン硫酸1分子中に存在する、プラス電荷を有する分子とイオン結合により塩を形成する部分を100%とした場合、グルコサミンイオンと塩を形成している部分が60%以上であり、カチオンカウンターイオンと塩を形成している部分が40%以下であるものが好ましく、また、グルコサミンイオンと塩を形成している部分が80%以上であり、カチオンカウンターイオンと塩を形成している部分が20%以下であるものがより好ましく、更には、グルコサミンイオンと塩を形成している部分が90%以上であり、カチオンカウンターイオンと塩を形成している部分が10%以下であるものが一層好ましい。尚、最も好ましい本発明塩は、ヘパラン硫酸1分子中に存在する、プラス電荷を有する分子とイオン結合により塩を形成している部分全てが、グルコサミンイオンと塩を形成しているものである。
【0028】
本発明塩におけるカチオンカウンターイオンとしては、ヘパラン硫酸グルコサミン塩が有する物性に特別な影響を与えないもので、且つ、薬理学的に許容されるものであれば構わないが、ナトリウムイオンやカリウムイオン等があげられる。
【0029】
本発明医薬は、有効成分としてHSとグルコサミンを含有していることが重要であり、HSとグルコサミンの混合物であっても良く、又は、本発明塩であるヘパラン硫酸グルコサミン塩単独であっても良く、更に、HSとグルコサミンの混合物と本発明塩とが混在していても構わない。
【0030】
本発明医薬は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ等の哺乳動物の上皮組織、内皮組織臓器などの損傷に対して、顕著な治癒促進作用を有し、褥瘡、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、膀胱炎、点状表層角膜炎(SPK)、角膜上皮欠損、角膜潰瘍、結膜の潰瘍、口内炎、口腔創傷など皮膚や粘膜等における損傷を伴う疾患の治療に適用可能であり、特に、ドライアイやシェーグレン症候群の一症状として、及び、コンタクトレンズの普及に伴い患者数が増加している遷延性角膜上皮障害症に対する有用な治療薬として使用可能である。なお、本発明医薬が有するこれら効果は、主に細胞増殖促進作用を有するヘパラン硫酸による創傷治癒効果と創傷部位修復に用いられる細胞外基質の生合成原料であるグルコサミンの外的投与による円滑な細胞外基質成分の生合成に基づく効果との相乗作用によると推測される。
【0031】
また、本発明医薬の投与は損傷部位の修復に用いる細胞外基質の生合成原料と治癒促進作用を有するHSとを同時に外的に供給するので、創傷治癒に必要なこれらの生合成原料を血液以外の体液からの浸透により供給を受けている無血管組織や代謝が早い組織における創傷治癒に用いるのにも特に有用である。
【0032】
例えば、無血管組織である角膜は、傷害部位修復に必要となる物質を涙液や房水等からの浸透により得ている為、大量の物質が必要となった場合には、浸透による補給では間にあわず、必要な物質を得る為に血管新生が起り角膜中へ毛細血管を引き込む現象がみられる。角膜での血管新生後の視力を回復させるには、現在では角膜移植しか方法は無く、非常に重大な障害となる。一方、本発明医薬の投与は、治癒を促進する物質の供給と同時に、創傷治癒時に不足する可能性が高いグルコサミンを外的に十分に供給する為、角膜組織が物質を求めて起こす血管新生は起こりにくく、角膜炎、角膜潰瘍等の角膜障害の治療に非常に有用である。
【0033】
また、後述の実施例4に記載の通り、本発明医薬の投与により、HSと同時にグルコサミンを供給することで、グルコサミン単独投与と比べてグルコサミンの保持時間が延長され、徐放性となることが判明した。一般的にグルコサミンの様な低分子量物質は代謝を受けやすく投与部位からの消失が早い為、生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)は低いと言われている。しかし、本発明医薬を用いる事により、グルコサミンの投与部位への保持時間が延長され、グルコサミンの生物学的利用能が高まり、より有用な創傷治癒効果が得られることが、この結果から予測される。
【0034】
更には、ヘパラン硫酸グルコサミン塩の方がよりグルコサミンが保持されたという結果を鑑みると、本発明医薬の有効成分として本発明塩を用いる方が、ヘパラン硫酸とグルコサミンとの混合物を用いるよりもより顕著な創傷治癒効果が得られる可能性が推測される。
【0035】
本発明医薬を生体に投与する際の剤型や投与経路に関しては、本発明医薬が有する創傷治癒促進作用が損なわれない限り特に限定されない。対象となる疾患の性質や重篤度に応じて適宜選択可能であり、創傷部位に投与可能な外用剤であることが好ましい。例えば、遷延性角膜上皮傷害症に用いる場合には、点眼液や眼軟膏が考えられ、特に点眼液が好ましい。点眼液としては、下記製剤例が例示される。
【0036】
上記を注射用蒸留水に溶解する。
1日1〜10回、1回あたり1〜3滴(約0.05〜0.15mL)点眼する。
【0037】
本発明医薬の製剤化に際しては、本発明医薬が有する創傷治癒促進作用を本発明医薬との相互作用等により損なわず、適用対象に対し許容を越える悪影響を示さない限り、通常の製剤化に用いられる保存剤、等張化剤(電解質を除く)、安定化剤、賦形剤、溶解化剤などの公知の製剤補助剤や種々の薬効成分を配合することも可能である。
【0038】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ヘパラン硫酸グルコサミン塩の調製法(溶出法)
ヘパラン硫酸ナトリウム150mg(生化学工業(株)製)を150mLの蒸留水に溶解後、0.45μmのフィルターで濾過し、陰イオン交換シリカゲル(センシュウパック(CH3)2N(センシュウ科学社製)、内径8mm × 長さ15cm、3本直列に連結)に負荷した。該カラムを蒸留水100mL(流速1mL/分)で洗浄後、1mol/Lグルコサミン塩酸塩(生化学工業(株)製)水溶液(流速1mL/分)で溶出した。
【0039】
ヘパラン硫酸グルコサミン塩の溶出画分を回収し、当該画分に回収した溶出画分と同量のエタノールを撹拌しながら加え、0.45μmのフィルター(ワットマンGx3、ワットマン社製)で沈殿を濾集し、濾集した沈殿物を80%エタノール50mL、続いて、100%エタノール50mLで洗浄した。次いで、蒸留水50mLでフィルター上の沈殿を溶出し、得られた溶出液を凍結乾燥して凍結乾燥物を得た。
【0040】
得られた凍結乾燥物の重量を測定した結果、収量は201.54mgであった。一部を溶解して、イオン電極法により残存ナトリウムイオン濃度を測定し、ヘパラン硫酸ナトリウム塩のヘパラン硫酸グルコサミン塩への交換率を残存ナトリウムイオン濃度から算出した。その結果、交換率は70.8%であった。
【0041】
[実施例2]
ヘパラン硫酸グルコサミン塩の調製法(中和法)
ヘパラン硫酸ナトリウム80mg(生化学工業(株)製)を80mLの蒸留水に溶解後、0.45μmのフィルターで濾過し、濾過液全量を流速1mL/分で陽イオン交換樹脂(AG50Wx8、H+型(バイオラッド社製)、内径2.5cm×長さ25cm)を通過させ、ナトリウムイオンを水素イオンで交換して、ヘパラン硫酸(遊離酸型)水溶液を得た。なお、溶出液のpHは約3であった。
【0042】
グルコサミン塩酸塩(生化学工業(株)製)を1mg/mLの濃度になるように蒸留水に溶解し(約500mL)、0.45μmのフィルターで濾過した。濾過したグルコサミン塩酸塩を流速1mL/分で陰イオン交換樹脂(AG1x8、OH-型(バイオラッド社製)、内径2.5cm×長さ25cm)を通過させ、塩素イオンを樹脂に吸着させて、グルコサミン(遊離アミン型)水溶液を得た。
【0043】
得られたグルコサミン水溶液を、先に得られたヘパラン硫酸水溶液に撹拌しながら加え中和した。pHメーターでpHが6.9〜7の間を示した時点でグルコサミン水溶液の添加を停止し、溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥して、凍結乾燥物を得た。
【0044】
得られた凍結乾燥物の重量を測定した結果、収量は111mgであった。一部を溶解して、イオン電極法により残存ナトリウムイオン濃度を測定し、ヘパラン硫酸ナトリウム塩のヘパラン硫酸グルコサミン塩への交換率を残存ナトリウムイオン濃度から算出した。その結果、交換率は64.2%であった。
【0045】
[実施例3]
ヘパラン硫酸グルコサミン塩による角膜上皮治癒促進作用
中和法にて製造したヘパラン硫酸グルコサミン塩(本発明塩)及びヘパラン硫酸ナトリウム塩(生化学工業(株)製)(対照)をそれぞれ蒸留水に溶解して、0.1%、0.3%、1.0%の各濃度の水溶液を作成し、これらを被験液とした。
【0046】
白色ウサギ(JW種、雌)を麻酔後、両眼の角膜上皮をトレパンとミクロ剪刀を用いて直径8mmの大きさで剥離した。この手技により、角膜上皮、基底膜並びに角膜実質層の一部が剥離される。剥離から3時間後に角膜上皮欠損部位の面積を測定し、面積測定直後、及び面積測定から3時間後に、各被験液約150μLを点眼した。
【0047】
その後更に、剥離翌日(2日目)及び3日目は3時間間隔(9時、12時、15時、18時)で4回、各被験液を約150μL点眼し、4日目は3時間間隔(9時、12時)で2回点眼し、最終点眼から3時間後に角膜上皮欠損部位の面積を測定した。
【0048】
尚、被験液を点眼しない方の眼には対照として被験液の溶媒である蒸留水を点眼した。
剥離当日と実験4日目の角膜上皮欠損部位面積から上皮治癒面積を算出し、次いで、対照による上皮治癒面積(C)に対する被験液による上皮治癒面積(T)の比(T/C)(以下、上皮治癒促進率(修復面積対照眼比値)とも言う。)を算出した(図1、図2)。
上記実験の結果、ヘパラン硫酸グルコサミン塩水溶液もヘパラン硫酸ナトリウム水溶液もほぼ同等の角膜上皮治癒作用を示した。
【0049】
しかし、グルコサミンとナトリウムの分子量の差を考慮して、ヘパラン硫酸グルコサミン塩とヘパラン硫酸ナトリウム塩を同重量計量した場合、ヘパラン硫酸含量としては、本発明塩であるヘパラン硫酸グルコサミン塩の方が少ない。つまり、本実験結果によると、本発明塩を用いると、ヘパラン硫酸ナトリウムを用いた場合に比べ、創傷治癒作用を有するヘパラン硫酸量自体は減少するにも拘わらず、同等の効果が得られる事を示している。つまり、グルコサミンを同時に投与する事が創傷治癒に有効であるということが出来る。また、ヘパラン硫酸が共存することにより、グルコサミンのバイオアベイラビリティも改善されたと考えられる。
【0050】
また、ヘパラン硫酸ナトリウム水溶液を点眼した場合は、上皮治癒促進率の大きな標準偏差(図1)から明らかなように、治癒促進効果に個体差が認められている。一方、ヘパラン硫酸グルコサミン塩水溶液を点眼した場合は、ヘパラン硫酸ナトリウム水溶液の場合に比べて、明らかに個体間の変動は少なく、常に一定の効果を示す事が判明した。
【0051】
[実施例4]
ヘパラン硫酸ナトリウムとグルコサミン塩酸塩との混合物による角膜上皮治癒促進作用
終濃度0.5%ヘパラン硫酸ナトリウム(ウシ腎由来、重量平均分子量11,000、生化学工業(株)製)と終濃度0.5%グルコサミン塩酸塩(生化学工業(株)製)を含む混合水溶液を作成し、被験液とした。実施例3と同様の手順に従い、被験液を点眼し、角膜上皮欠損部位の面積を測定した。尚、被験液を点眼しない方の眼には対照として被験液の溶媒である蒸留水を点眼した。剥離当日と実験4日目の角膜上皮欠損部位面積から上皮治癒面積を算出し、次いで、対照による上皮治癒面積(C)に対する被験液による上皮治癒面積(T)の比(T/C)(上皮治癒促進率)を算出した結果、終濃度0.5%ヘパラン硫酸ナトリウムと終濃度0.5%グルコサミン塩酸塩との混合水溶液による上皮治癒面積率は1.15であった。
【0052】
実施例3の結果と比較すると、ヘパラン硫酸ナトリウム水溶液、ヘパラン硫酸グルコサミン塩水溶液及びヘパラン硫酸ナトリウムとグルコサミン塩酸塩との混合物の何れも角膜上皮治癒作用を示したが、中でもヘパラン硫酸グルコサミン塩水溶液による角膜上皮治癒作用がより強くみられた。つまり、水溶液中にヘパラン硫酸とグルコサミンが共存しているだけの状態よりも、塩を形成している方が治癒促進にはより有効であると示唆される。
【0053】
[実施例5]
ヘパラン硫酸グルコサミン塩及びヘパラン硫酸ナトリウム塩とグルコサミン塩酸塩との混合物におけるグルコサミンの保持効果
(1)物理化学的検討
ヘパラン硫酸ナトリウム塩(ウシ腎由来 重量平均分子量11,000、生化学工業(株)製)、グルコサミン塩酸塩(生化学工業(株)製)及びヘパラン硫酸グルコサミン塩(上述の「[実施例2]に基づき作成、グルコサミン塩への交換率は96.3%)を用い、1mg/mLのグルコサミン塩酸塩水溶液、終濃度1mg/mLのグルコサミン塩酸塩と終濃度1mg/mLのヘパラン硫酸ナトリウム塩を含む混合液、2mg/mLのヘパラン硫酸グルコサミン塩水溶液をそれぞれ被験液として作成し、下記▲1▼、▲2▼の実験に用いた。
【0054】
▲1▼拡散チャンバーを用いた検討
Becton Dickinson社製FALCON Cell Culture Inserts、24ウェル用(Pore Size8μm)を拡散チャンバーとして用いた。
【0055】
Bectton Dickinson社製FALCON MULTIWELL、24ウェルのウェル内に蒸留水800μL入れ、拡散チャンバーをセットし、チャンバー内に各被験液500μL添加し、室温で3時間、6時間又は15時間放置した。各放置時間毎に、各被験液につき3ウェルずつ設定した。
【0056】
設定時間に、チャンバー内液並びに外液から60μLずつガラス試験管に採取し、蒸留水を添加し全量を1.5mLにし、ニンヒドリン試液(L8500用セット、和光純薬工業(株)製)を1.5mL加え、攪拌し、100℃で10分間処理し、室温にまで冷却後、波長570nmにおける吸光度を測定することによりグルコサミン量を測定した。
【0057】
吸光度から、外液中のグルコサミン濃度に対する内液中のグルコサミン濃度のグルコサミン濃度比(内液/外液)を算出し、図3に示した。尚、グルコサミンの保持が強いと、チャンバー内液から外液への拡散が抑制されるため、グルコサミン濃度比は高くなる。
【0058】
結果、いずれの被験液においても経時的にグルコサミン濃度比は減少し、混合液とヘパラン硫酸グルコサミン塩は各測定時間毎、ほぼ同じ値を示したが、グルコサミン塩酸塩と比較すると顕著に高い値を示した。
【0059】
▲2▼限外濾過膜を用いた検討
Millipore社製限外濾過装置モルカットII、分画分子量5,000(型番:UFP1LCCBK)を用い、グルコサミン保持効果を検討した。尚、モルカットIIは、所定の限外濾過膜が予めセットされている1回使い捨て型であり、試料は空気圧により限外濾過される。
【0060】
各被験液の1mLを限外濾過装置内に入れ、限外濾過を行った。内液が完全に濾過された後、濾液の30μLをガラス試験管に採取し、蒸留水を加え、全量を1.5mLにした。同様に濾過前の被験液30μLを蒸留水で希釈し、全量1.5mLにした。希釈した濾液及び希釈した濾過前の被験液に、ニンヒドリン試液(L8500用セット、和光純薬工業(株)製)を1.5mL添加し、攪拌後、100℃で10分間処理し、室温にまで冷却後、波長570nmにおける吸光度を測定した。
【0061】
測定した吸光度から、濾過前の被験液中のグルコサミン濃度に対する、濾液中のグルコサミン濃度の百分率、すなわち、グルコサミンの濾過率、つまり(濾液中のグルコサミン濃度/濾過前の被験液中のグルコサミン濃度)x100(%)を算出した(図4)。グルコサミンの保持が強いと、グルコサミンの濾過率は低くなる。
【0062】
結果、被験液としてグルコサミン塩酸塩を用いた場合、グルコサミンの濾過率は96%であり、被験液としてグルコサミン塩酸塩とヘパラン硫酸ナトリウムの混合物、及び、ヘパラン硫酸グルコサミン塩を用いた場合の濾過率は、各々66%と29%であった。
【0063】
これらの結果より、グルコサミンは、グルコサミン単独では分画分子量5,000の限外ろ過膜上には保持されないが、ヘパラン硫酸ナトリウムと共存させることにより、保持効果が増強されることが見出され、グルコサミン分子とヘパラン硫酸分子との間に親和性若しくは相互分子間力が存在する可能性が推測される。つまり、ヘパラン硫酸とグルコサミンを同時に投与する事が、グルコサミンのバイオアベイラビリティの改善及び本発明医薬が示す創傷治癒効果の増強に有効であると推測され、更には、水溶液中での親和性若しくは相互分子間力よりもイオン結合による結合の方がより分子間結合が強いことより、本発明塩でのグルコサミンの保持効果は更に増強されており、本発明医薬の有効成分として本発明塩を用いる場合、混合物を用いた場合よりも、より有効な効果を示すと考えられる。また、このことは前述の実施例3の結果とも一致する。
【0064】
また、上記混合物を用いた場合のグルコサミンの濾過率66%とヘパラン硫酸グルコサミン塩を用いた場合のグルコサミンの濾過率29%の差である約40%は、グルコサミン分子とヘパラン硫酸分子との間の親和性若しくは相互分子間力より強い結合、つまりイオン結合が関与してグルコサミンの保持が増強されたと考えられる。
【0065】
(2)ウサギ眼での効果
被験液として、実施例2(中和法)にて作成したヘパラン硫酸グルコサミン塩を蒸留水に溶解し、1.0%ヘパラン硫酸グルコサミン塩水溶液を作成し、更に、終濃度として0.5%のグルコサミン塩酸塩と0.5%のヘパラン硫酸ナトリウム塩を含む水溶液(混合液)を作成した。
【0066】
白色ウサギ(JW種、雌)を麻酔後、両眼の角膜上皮を外科的にトレパンとミクロ剪刀を用いて直径8mmの大きさで剥離した。
【0067】
右眼に混合液150μLを、左目にヘパラン硫酸グルコサミン塩水溶液150μLを点眼し、点眼後30分、40分、50分、60分に、涙液を採取した。涙液は、5mm×10mmの濾紙を眼瞼内に挿入し、1分間放置することにより採取した。
【0068】
涙液を採取した濾紙を蒸留水1mL中に入れ、十分に攪拌し、濾紙に吸収された涙液を抽出し、抽出液中のグルコサミン濃度を高速液体クロマトグラフィーにて定量した(図5)。
【0069】
ヘパラン硫酸ナトリウムとグルコサミン塩酸塩の混合液を投与した場合よりもヘパラン硫酸グルコサミン塩水溶液を投与した場合の方が、採取した涙液中のグルコサミン濃度が高く、グルコサミンが投与部位に長く保持されていると推察される。
【0070】
一般的にグリコサミノグリカン類は、分子が帯びている負電荷や親和性によりコラーゲンに保持されやすい事が知られている。本結果は、イオン結合によりヘパラン硫酸と塩を形成しているグルコサミンが、角膜上皮剥離部位に露出したコラーゲンとヘパラン硫酸による親和性を介して投与部位に保持されたと推察され、塩の形成が投与部位への保持を助長するのに重要であると思われる。
【0071】
【発明の効果】
本発明医薬を用いることにより、HSによる創傷治癒作用に加え、創傷部位修復の際に用いられる細胞外基質の生合成原料であるグルコサミンの外的投与による創傷治癒の促進及び当該グリコサミンのバイオアベイラビリティの改善がみられ、より効果的な創傷治癒作用が得られる。更に、本発明塩を用いることにより、グルコサミンの更なるバイオアベイラビリティの改善がみられ、より有用な医薬品となりうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 0.1%、0.3%及び1.0%のヘパラン硫酸ナトリウム水溶液による白色ウサギの角膜上皮治癒促進率を示す図。
【図2】 0.1%、0.3%及び1.0%のヘパラン硫酸グルコサミン塩水溶液による白色ウサギの角膜上皮治癒促進率を示す図。
【図3】 拡散チャンバーを用いた1mg/mLのグルコサミン塩酸塩水溶液、終濃度各1mg/mLのグルコサミン塩酸塩水溶液とヘパラン硫酸ナトリウム水溶液との混合液、及び、2mg/mLのヘパラン硫酸グルコサミン塩水溶液によるチャンバー内液中のグルコサミン濃度とチャンバー外液中のグルコサミン濃度の比を示す図。縦軸は、[内液グルコサミン濃度/外液グルコサミン濃度]、横軸は、拡散時間。菱形は1mg/mLのグルコサミン塩酸塩水溶液を示す。四角は終濃度1mg/mLのグルコサミン塩酸塩と終濃度1mg/mLのヘパラン硫酸ナトリウム塩を含む混合液を示す。三角は2mg/mLのヘパラン硫酸グルコサミン塩水溶液を示す。
【図4】 限外ろ過膜を用いた1mg/mLのグルコサミン塩酸塩水溶液、終濃度各1mg/mLのグルコサミン塩酸塩水溶液とヘパラン硫酸ナトリウム水溶液との混合液、及び、2mg/mLのヘパラン硫酸グルコサミン塩水溶液によるグルコサミンの濾過率(%)を示す図。
【図5】 1.0%のヘパラン硫酸グルコサミン塩水溶液、及び、終濃度各0.5%のグルコサミン塩酸塩水溶液とヘパラン硫酸ナトリウム水溶液との混合液の投与後における、ウサギ涙液中のグルコサミン濃度の変化を示す図。縦軸は、濾紙抽出液中のグルコサミン濃度(ng/mg)、横軸は、投与後経過時間を示す。また実線は終濃度0.5のグルコサミン塩酸塩と終濃度0.5のヘパラン硫酸ナトリウム塩を含む混合液を示し、波線は1ヘパラン硫酸グルコサミン塩酸塩水溶液を示す。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention comprises, as an active ingredient, a composition comprising heparan sulfate, which is a kind of glycosaminoglycan, or a pharmacologically acceptable salt thereof, and glucosamine, which is an amino sugar, or a pharmacologically acceptable salt thereof. It relates to the contained medicine.
[0002]
[Prior art]
As a means for promoting the wound healing action, a method for promoting the proliferation or migration of cells involved in healing, and a method for supplying components necessary for wound healing from outside the body can be considered.
[0003]
In relation to the former method, conventionally, fibroblast growth factor (FGF), epithelial cell growth factor (EGF), hepatocyte growth factor (HGF) and the like as substances that promote cell proliferation at the wound site, Fibronectin and the like have been reported as substances that promote cell migration, and their use for wound healing treatment has been studied.
[0004]
As the latter method, supply of collagen and proteoglycans, which are main extracellular matrix components required for wound healing, and various amino acids and glycosaminoglycan chains, which are raw materials for biosynthesis thereof, can be considered. However, in order to supply biosynthetic raw materials externally, there are various problems that must be considered.
[0005]
For example, uronic acids such as glucuronic acid and iduronic acid and amino sugars such as N-acetylglucosamine and N-acetylgalactosamine, which are constituent sugars of the glycosaminoglycan chain constituting proteoglycan, are converted from glucose to uridine in the biosynthetic pathway, respectively. After being converted to diphosphate-sugar, it is used as a constituent sugar of glycosaminoglycan. In the biosynthesis pathway of uridine diphosphate-amino sugar, there is a rate-limiting enzyme that is regulated by the biosynthesis amount of uridine diphosphate-N-acetylglucosamine, and the reaction in the biosynthesis pathway increases as the biosynthesis amount increases. It is speculated that there is a possibility that a situation occurs in which amino sugars are insufficient due to suppression.
[0006]
Thus, when supplying biosynthetic raw materials externally, it is necessary to consider the existence of such rate-limiting enzymes and to examine the utilization rate of the externally supplied substances for biosynthetic reactions. is there.
[0007]
It should be noted that heparan sulfate, a type of glycosaminoglycan, is known to enhance the effects of various growth factors. In healing corneal epithelial disorders, heparan sulfate sodium and N-acetylglucosamine are cured. It has been reported to promote (patent document).
[0008]
[Patent Literature]
JP-A-10-287570
[0009]
[Problems to be solved by the invention]
The present inventors have already found a wound healing promoting action by single administration of heparan sulfate. However, the present inventors have used a substance that exhibits a wound healing promoting action that is more effective and useful as a pharmaceutical, and such a substance. It is an object to provide a medicine.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies to solve the above-mentioned problems, the present inventors have demonstrated that by administering glucosamine simultaneously with the administration of heparan sulfate, there is a synergistic wound healing effect that cannot be obtained by administration of heparan sulfate alone. The present invention has been completed based on the headings.
[0011]
That is, the present invention is as follows.
(1) A medicament comprising as an active ingredient a composition comprising heparan sulfate or a pharmacologically acceptable salt thereof and glucosamine or a pharmacologically acceptable salt thereof.
(2) The medicament according to (1) above, wherein the composition comprises heparan sulfate glucosamine salt.
(3) The pharmaceutical according to (2) above, wherein the heparan sulfate glucosamine salt is a heparan sulfate glucosamine salt obtained by adsorbing heparan sulfate to an anion exchange resin and eluting with a glucosamine salt solution.
(4) The medicament according to (2) above, wherein the heparan sulfate glucosamine salt is a heparan sulfate glucosamine salt obtained by a neutralization reaction between heparan sulfate and glucosamine.
(5) The medicament according to any one of (1) to (4), which has a wound healing effect.
(6) The medicament according to (5) above, which has a wound healing effect on mucosal damage.
(7) The pharmaceutical composition according to any one of (1) to (6) above, which is a therapeutic agent for corneal epithelial disorder.
(8) Heparan sulfate glucosamine salt.
(9) An accelerator for wound healing effect of heparan sulfate comprising glucosamine or a pharmacologically acceptable salt thereof as an active ingredient.
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present invention relates to a medicament comprising as an active ingredient a composition comprising heparan sulfate or a pharmacologically acceptable salt thereof and glucosamine or a pharmacologically acceptable salt thereof (hereinafter also referred to as the present composition). (Hereinafter also referred to as the pharmaceutical of the present invention).
[0013]
The pharmaceutical of the present invention (1)
Heparan sulfate (hereinafter also referred to as HS) constituting the composition of the present invention which is an active ingredient of the medicament of the present invention is a disaccharide unit comprising uronic acid (D-glucuronic acid or L-iduronic acid) and D-glucosamine. It is a kind of glycosaminoglycan having a repeating structure of As with normal glycosaminoglycans, heparan sulfate has a sulfate group (-) at the O-2 and O-3 positions of uronic acid and the N-2, O-3 and O-6 positions of D-glucosamine. SOThree −), The N-2 position of D-glucosamine is acetylated (-COCHThree) Is sometimes done. HS used in the present invention is a glycosaminoglycan having a structure similar to that of heparin, but having more N-acetyl groups and less N-sulfate content and O-sulfate content than heparin. It is not particularly limited by its origin and origin, and other than those obtained from natural resources, artificially synthesized, genetically synthesized animal cells, microorganisms, etc., and chemically Alternatively, heparan sulfate or the like prepared by sulfate group transferase can be used, and commercially available heparan sulfate can also be used.
[0014]
Heparan sulfate obtained from natural resources can be obtained by methods commonly used from organisms containing glycosaminoglycans (eg animal tissues) (physical extraction methods, enzyme extraction methods, organic solvent fractionation methods, ion exchange resins, etc.). It is not particularly limited as long as it is obtained by extraction and purification by a chromatography fractionation method used alone or in combination, for example, mammalian organs such as pigs and cows (eg intestine, lung, liver, kidney and Heparan sulfate extracted and purified from blood and the like can be used.
In addition, heparan sulfate can be synthesized by chemically modifying N-acetylheparosan produced by microorganisms by enzymatic or chemical sulfation.
[0015]
The weight average molecular weight of HS is not particularly limited, but is preferably 1,000 Da to 100,000 Da, and more preferably 10,000 Da to 50,000 Da. However, it is generally known that the average molecular weight of glycosaminoglycan varies somewhat depending on the measurement method, measurement conditions, etc. even in the same sample, and in the present invention, it should not be strictly limited to the above average molecular weight range. Absent.
[0016]
Examples of pharmacologically acceptable salts of HS include alkali metal salts such as sodium salt and potassium salt, and alkaline earth metal salts such as calcium salt, barium salt and magnesium salt, among which sodium salt is preferable. . The composition of the present invention which is an active ingredient of the medicament of the present invention may be a salt formed with HS and glucosamine. The salt will be described later.
[0017]
The glucosamine that constitutes the composition of the present invention which is an active ingredient of the medicament of the present invention is not particularly limited, and commercially available glucosamine can also be used. In addition, glucosamine can be easily obtained by acid hydrolysis of chitin, and can also be used in the composition of the present invention with its purity increased by purification or the like. When glucosamine used in the composition of the present invention is obtained by acid hydrolysis of chitin, it is particularly preferable to utilize hydrochloric acid hydrolysis.
[0018]
Examples of the pharmacologically acceptable salt of glucosamine of the present invention include hydrochloride, sulfate, acetate, phosphate, etc. Among them, hydrochloride is more preferable.
[0019]
Even if the composition of the present invention is a simple mixture of HS (or a pharmacologically acceptable salt thereof) and glucosamine (or a pharmacologically acceptable salt thereof), it is an HS glucosamine salt described later. Further, it may be a mixture of both.
[0020]
The pharmaceutical of the present invention (2)
In the composition of the present invention which is an active ingredient of the medicament of the present invention, HS and glucosamine may form a salt, and this salt is particularly referred to as a heparan sulfate glucosamine salt (hereinafter also referred to as the salt of the present invention).
[0021]
The method for producing the salt of the present invention is not particularly limited, and a method according to a method usually used for forming a salt of glycosaminoglycan can be used. For example, it can be formed by salt exchange between a cation forming a heparan sulfate used as a raw material and a glucosamine ion.
[0022]
As a specific example, an example where sodium heparan sulfate is used as a starting material (raw material) will be described below.
[0023]
An anion exchanger (for example, an anion exchanger having a weakly basic amine as an exchange group such as dimethylamino group-bonded silica gel or dimethylaminoethyl group-bonded silica gel) is contacted with an aqueous solution of sodium heparan sulfate, and heparan sulfate is converted into an anion. The salt of the present invention can be produced by adsorbing to the exchanger and then eluting with an aqueous glucosamine hydrochloride solution. Examples include a method in which a hydrophilic organic solvent such as ethanol is added to the obtained eluate to precipitate the salt of the present invention, which is filtered, washed, and lyophilized to obtain the salt of the present invention.
[0024]
In addition, heparan sulfate aqueous solution is brought into contact with a cation exchange resin (for example, AG50WX8 (manufactured by Bio-Rad) such as sulfonic acid-bonded polystyrene resin or CK08S (manufactured by Mitsubishi Chemical)) to adsorb and remove sodium ions, In the same way, the glucosamine hydrochloride aqueous solution is brought into contact with an anion exchange resin (AG1X8 (manufactured by Bio-Rad) such as quaternary amine-bonded polystyrene resin or CA08S (manufactured by Mitsubishi Chemical)) to remove hydrochloric acid ions by adsorption. Glucosamine is the free base type. Next, the free acid type heparan sulfate and the free base type glucosamine are mixed with stirring until the pH reaches 6.9 to 7.0. The salt of the present invention is obtained by concentrating and lyophilizing the neutralized solution thus obtained.
[0025]
In the heparan sulfate molecule, there are multiple sites in the same molecule that can form a salt due to ionic bonds with a molecule having a positive charge, and when creating a heparan sulfate glucosamine salt, it has a positive charge in the same way as a glucosamine ion. When other molecules (hereinafter also referred to as cation counter ions) are present, it is assumed that the heparan sulfate to be formed forms a salt with both glucosamine ions and cation counter ions.
[0026]
As the heparan sulfate glucosamine salt which is the salt of the present invention, it is sufficient that one or more glucosamines forming a salt by ionic bond exist in one molecule of heparan sulfate. Both may be salts in which a salt is formed by ionic bonding.
[0027]
In the salt of the present invention, the ratio of the cation counter ion to the glucosamine ion in one molecule of heparan sulfate is not particularly limited. For example, when the portion that forms a salt by ionic bond with a molecule having a positive charge existing in one molecule of heparan sulfate is 100%, the portion that forms a salt with glucosamine ion is 60% or more, and the cation counter The portion that forms a salt with an ion is preferably 40% or less, the portion that forms a salt with a glucosamine ion is 80% or more, and the portion that forms a salt with a cation counter ion What is 20% or less is more preferable, and further, the part which forms a salt with a glucosamine ion is 90% or more, and the part which forms a salt with a cation counter ion is 10% or less. preferable. The most preferred salt of the present invention is one in which all of the portion that forms a salt by ionic bond with a molecule having a positive charge in one molecule of heparan sulfate forms a salt with a glucosamine ion.
[0028]
The cation counter ion in the salt of the present invention may be any ion that does not have a special effect on the physical properties of the heparan sulfate glucosamine salt and is pharmacologically acceptable, such as sodium ion or potassium ion. Can be given.
[0029]
It is important that the pharmaceutical of the present invention contains HS and glucosamine as active ingredients, and may be a mixture of HS and glucosamine, or may be a heparan sulfate glucosamine salt that is the salt of the present invention alone. Furthermore, a mixture of HS and glucosamine and the salt of the present invention may be mixed.
[0030]
The medicament of the present invention has a remarkable healing promoting effect on damage to epithelial tissues and endothelial tissue organs of mammals such as humans, dogs, cats, horses, rabbits, etc., and is used for pressure ulcers, gastric ulcers, duodenal ulcers, ulceratives It is applicable to the treatment of diseases accompanied by damage in the skin and mucous membranes such as colitis, cystitis, punctate superficial keratitis (SPK), corneal epithelial defect, corneal ulcer, conjunctival ulcer, stomatitis, oral wound, As a symptom of dry eye and Sjogren's syndrome, it can be used as a useful therapeutic agent for persistent corneal epithelial disorder whose number of patients is increasing with the spread of contact lenses. The effects of the medicament of the present invention include smooth cells by external administration of glucosamine, which is a raw material for biosynthesis of extracellular matrix used for wound repair and wound healing effect mainly by heparan sulfate having cell growth promoting action. It is presumed to be due to a synergistic effect with an effect based on biosynthesis of the outer matrix component.
[0031]
In addition, since the administration of the medicament of the present invention supplies externally the biosynthetic raw material of the extracellular matrix used for repairing the damaged site and HS having healing promoting action simultaneously, these biosynthetic raw materials necessary for wound healing are supplied to the blood It is also particularly useful for wound healing in avascular tissue that is supplied by penetration from other body fluids or tissue that is rapidly metabolized.
[0032]
For example, the cornea, which is an avascular tissue, obtains the substances necessary for repairing the damaged site by infiltration from tears or aqueous humor. In a short time, angiogenesis occurs to obtain the necessary substances, and a phenomenon of drawing capillaries into the cornea is observed. The only way to restore vision after angiogenesis in the cornea is currently corneal transplantation, which is a very serious obstacle. On the other hand, the administration of the pharmaceutical of the present invention provides an adequate supply of glucosamine that is likely to be deficient during wound healing simultaneously with the supply of a substance that promotes healing. It is unlikely to occur and is very useful for the treatment of corneal disorders such as keratitis and corneal ulcers.
[0033]
In addition, as described in Example 4 described later, by supplying glucosamine simultaneously with HS by administration of the medicament of the present invention, the retention time of glucosamine may be extended compared with glucosamine single administration, and it may be sustained release. found. In general, low molecular weight substances such as glucosamine are said to be low in bioavailability because they are easily metabolized and rapidly disappear from the administration site. However, the use of the pharmaceutical of the present invention predicts that the retention time of glucosamine at the administration site is extended, the bioavailability of glucosamine is increased, and a more useful wound healing effect can be obtained. .
[0034]
Furthermore, in view of the result that heparan sulfate glucosamine is more retained in glucosamine, the use of the salt of the present invention as an active ingredient of the pharmaceutical of the present invention is more prominent than the use of a mixture of heparan sulfate and glucosamine. It is speculated that a good wound healing effect can be obtained.
[0035]
The dosage form and administration route for administering the pharmaceutical agent of the present invention to a living body are not particularly limited as long as the wound healing promoting action of the pharmaceutical agent of the present invention is not impaired. It can be appropriately selected depending on the nature and severity of the target disease, and is preferably an external preparation that can be administered to a wound site. For example, when used for prolonged corneal epithelial injury, eye drops and eye ointments are conceivable, and eye drops are particularly preferable. Examples of eye drops include the following formulation examples.
[0036]
The above is dissolved in distilled water for injection.
Instill 1 to 3 drops (about 0.05 to 0.15 mL) at a time, 1 to 10 times a day.
[0037]
When the pharmaceutical of the present invention is formulated, the wound healing promoting action of the pharmaceutical of the present invention is not impaired by the interaction with the pharmaceutical of the present invention, etc. It is also possible to add known formulation adjuvants such as preservatives, tonicity agents (excluding electrolytes), stabilizers, excipients, solubilizers, and various medicinal ingredients.
[0038]
【Example】
EXAMPLES Next, although an Example demonstrates this invention still in detail, this invention is not limited to a following example, unless the summary is exceeded.
[Example 1]
Preparation method (elution method) of heparan sulfate glucosamine salt
Sodium heparan sulfate 150 mg (manufactured by Seikagaku Corporation) was dissolved in 150 mL of distilled water, filtered through a 0.45 μm filter, and anion exchange silica gel (senshupack (CHThree)2N (made by Senshu Kagaku Co., Ltd.),
[0039]
The elution fraction of heparan sulfate glucosamine salt is recovered, and the same amount of ethanol as the recovered elution fraction is added with stirring, and the precipitate is collected by a 0.45 μm filter (Whatman Gx3, manufactured by Whatman). The precipitate collected by filtration was washed with 50 mL of 80% ethanol and subsequently with 50 mL of 100% ethanol. Next, the precipitate on the filter was eluted with 50 mL of distilled water, and the resulting eluate was freeze-dried to obtain a freeze-dried product.
[0040]
As a result of measuring the weight of the obtained freeze-dried product, the yield was 201.54 mg. A part was dissolved, the residual sodium ion concentration was measured by an ion electrode method, and the exchange rate of heparan sulfate sodium salt to heparan sulfate glucosamine salt was calculated from the residual sodium ion concentration. As a result, the exchange rate was 70.8%.
[0041]
[Example 2]
Preparation of heparan sulfate glucosamine salt (neutralization method)
[0042]
Glucosamine hydrochloride (manufactured by Seikagaku Corporation) was dissolved in distilled water to a concentration of 1 mg / mL (about 500 mL) and filtered through a 0.45 μm filter. Filtered glucosamine hydrochloride at a flow rate of 1 mL / min at an anion exchange resin (AG1 × 8, OH-Type (manufactured by Biorad Co., Ltd., inner diameter 2.5 cm × length 25 cm) was passed through, and chlorine ions were adsorbed on the resin to obtain an aqueous glucosamine (free amine type) solution.
[0043]
The obtained aqueous glucosamine solution was neutralized by adding to the previously obtained aqueous heparan sulfate solution while stirring. When the pH meter showed a pH between 6.9 and 7, addition of the glucosamine aqueous solution was stopped, and the solution was concentrated by a rotary evaporator and then freeze-dried to obtain a freeze-dried product.
[0044]
As a result of measuring the weight of the obtained freeze-dried product, the yield was 111 mg. A part was dissolved, the residual sodium ion concentration was measured by an ion electrode method, and the exchange rate of heparan sulfate sodium salt to heparan sulfate glucosamine salt was calculated from the residual sodium ion concentration. As a result, the exchange rate was 64.2%.
[0045]
[Example 3]
Heparan sulfate glucosamine salt promotes corneal epithelial healing
Heparan sulfate glucosamine salt (present invention salt) and heparan sulfate sodium salt (manufactured by Seikagaku Corporation) (control) prepared by the neutralization method were dissolved in distilled water, respectively, to give 0.1%, 0.3 % And 1.0% aqueous solutions were prepared and used as test solutions.
[0046]
After anesthetizing a white rabbit (JW species, female), the corneal epithelium of both eyes was exfoliated with a diameter of 8 mm using trepan and a micro scissors. By this procedure, the corneal epithelium, basement membrane, and part of the corneal stroma are exfoliated. The area of the corneal epithelial defect site was measured 3 hours after peeling, and about 150 μL of each test solution was instilled immediately after the area measurement and 3 hours after the area measurement.
[0047]
Thereafter, about 150 μL of each test solution was instilled four times at 3 hour intervals (9:00, 12:00, 15:00, 18:00) on the next day (2nd day) and 3rd day, and 3 hours on the 4th day. Two drops were applied at intervals (9 o'clock and 12 o'clock), and the area of the corneal epithelial defect site was measured 3 hours after the final instillation.
[0048]
In addition, distilled water which is the solvent of a test liquid was instilled as a control | contrast to the eye which does not instill a test liquid.
The epithelial healing area was calculated from the area of the corneal epithelial defect site on the day of exfoliation and the experiment day 4, and then the ratio (T / C) of the epithelial healing area (T) by the test liquid to the epithelial healing area (C) by the control The rate of acceleration of epithelial healing (also referred to as repair area control eye ratio) was calculated (FIGS. 1 and 2).
As a result of the above experiment, the heparan sulfate glucosamine salt aqueous solution and the heparan sodium sulfate aqueous solution showed almost the same corneal epithelial healing action.
[0049]
However, in consideration of the difference in molecular weight between glucosamine and sodium, when heparan sulfate glucosamine salt and heparan sulfate sodium salt are weighed in the same weight, the heparan sulfate glucosamine salt, which is the salt of the present invention, is less in the heparan sulfate content. That is, according to the results of this experiment, the use of the salt of the present invention shows that the equivalent effect can be obtained even though the amount of heparan sulfate having a wound healing action itself is reduced as compared with the case of using heparan sulfate sodium. Show. That is, it can be said that administering glucosamine simultaneously is effective for wound healing. In addition, coexistence of heparan sulfate is considered to have improved the bioavailability of glucosamine.
[0050]
Moreover, when an aqueous solution of sodium heparan sulfate is instilled, individual differences are observed in the healing promotion effect, as is apparent from the large standard deviation of the epithelial healing promotion rate (FIG. 1). On the other hand, when the heparan sulfate glucosamine aqueous solution was instilled, it was clearly found that there was little variation between individuals compared to the case of the sodium heparan sulfate aqueous solution, and a constant effect was always exhibited.
[0051]
[Example 4]
Corneal epithelial healing promoting effect by a mixture of sodium heparan sulfate and glucosamine hydrochloride
Final concentration 0.5% sodium heparan sulfate (derived from bovine kidney, weight average molecular weight 11,000, manufactured by Seikagaku Corporation) and final concentration 0.5% glucosamine hydrochloride (produced by Seikagaku Corporation) A mixed aqueous solution was prepared and used as a test solution. Following the same procedure as in Example 3, the test solution was instilled and the area of the corneal epithelial defect site was measured. In addition, distilled water which is the solvent of a test liquid was instilled as a control | contrast to the eye which does not instill a test liquid. The epithelial healing area was calculated from the corneal epithelial defect site area on the day of exfoliation and the fourth day of the experiment, and then the ratio (T / C) of the epithelial healing area (T) by the test solution to the epithelial healing area (C) by the control As a result of calculating (healing promotion rate), the epithelial healing area rate by a mixed aqueous solution of 0.5% final concentration sodium heparan sulfate and 0.5% final concentration glucosamine hydrochloride was 1.15.
[0052]
As compared with the results of Example 3, all of the aqueous solution of sodium heparan sulfate, the aqueous solution of heparan sulfate glucosamine, and the mixture of sodium heparan sulfate and glucosamine hydrochloride showed a corneal epithelial healing action. The epithelial healing effect was stronger. That is, it is suggested that the salt formation is more effective in promoting healing than the state where heparan sulfate and glucosamine coexist in the aqueous solution.
[0053]
[Example 5]
Retention effect of glucosamine in heparan sulfate glucosamine salt and a mixture of heparan sulfate sodium salt and glucosamine hydrochloride
(1) Physicochemical examination
Heparan sulfate sodium salt (derived from bovine kidney, weight average molecular weight 11,000, manufactured by Seikagaku Corporation), glucosamine hydrochloride (produced by Seikagaku Corporation) and heparan sulfate glucosamine salt (the above-mentioned “[Example 2]”) 1 mg / mL glucosamine hydrochloride aqueous solution,
[0054]
(1) Examination using diffusion chamber
FALCON Cell Culture Inserts manufactured by Becton Dickinson, for 24 wells (Pore
[0055]
FALCON MULTIWELL manufactured by Bectton Dickinson, 800 μL of distilled water was placed in a well of 24 wells, a diffusion chamber was set, 500 μL of each test solution was added to the chamber, and left at room temperature for 3 hours, 6 hours, or 15 hours. Three wells were set for each test solution for each standing time.
[0056]
At a set time, 60 μL each from the solution in the chamber and from the external solution is collected in a glass test tube, distilled water is added to make the total volume 1.5 mL, and ninhydrin test solution (set for L8500, manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) is 1 .5 mL was added, stirred, treated at 100 ° C. for 10 minutes, cooled to room temperature, and then the absorbance at a wavelength of 570 nm was measured to determine the amount of glucosamine.
[0057]
From the absorbance, the glucosamine concentration ratio of the glucosamine concentration in the internal solution to the glucosamine concentration in the external solution (internal solution / external solution) was calculated and shown in FIG. In addition, since the spreading | diffusion from the liquid in a chamber to an external liquid will be suppressed when holding | maintenance of glucosamine is strong, a glucosamine concentration ratio will become high.
[0058]
As a result, the glucosamine concentration ratio decreased with time in any test solution, and the mixed solution and heparan sulfate glucosamine salt showed almost the same value at each measurement time, but the value was significantly higher than glucosamine hydrochloride. Indicated.
[0059]
(2) Examination using ultrafiltration membrane
The glucosamine retention effect was examined using Millipore's ultrafiltration device MOLCAT II and a molecular weight cut-off of 5,000 (model number: UFP1LCCBK). Molecut II is a one-time disposable type in which a predetermined ultrafiltration membrane is previously set, and the sample is ultrafiltered by air pressure.
[0060]
1 mL of each test solution was placed in an ultrafiltration device, and ultrafiltration was performed. After the internal solution was completely filtered, 30 μL of the filtrate was collected in a glass test tube, and distilled water was added to make the total volume 1.5 mL. Similarly, 30 μL of the test solution before filtration was diluted with distilled water to make a total volume of 1.5 mL. To the diluted filtrate and diluted test solution before filtration, 1.5 mL of ninhydrin test solution (set for L8500, manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) is added, and after stirring, treated at 100 ° C. for 10 minutes and brought to room temperature. After cooling, the absorbance at a wavelength of 570 nm was measured.
[0061]
From the measured absorbance, the percentage of the glucosamine concentration in the filtrate with respect to the glucosamine concentration in the test solution before filtration, that is, the filtration rate of glucosamine, that is, (glucosamine concentration in the filtrate / glucosamine concentration in the test solution before filtration) × 100 (%) Was calculated (FIG. 4). When the retention of glucosamine is strong, the filtration rate of glucosamine decreases.
[0062]
As a result, when glucosamine hydrochloride is used as the test solution, the filtration rate of glucosamine is 96%, and when glucosamine hydrochloride and sodium heparan sulfate are used as the test solution, the filtration rate when glucosamine salt of heparan sulfate is used. , 66% and 29%, respectively.
[0063]
From these results, it is found that glucosamine is not retained on an ultrafiltration membrane having a molecular weight cut off of 5,000 by itself, but coexistence with sodium heparan sulfate enhances the retention effect. The possibility that affinity or mutual intermolecular force exists between the glucosamine molecule and the heparan sulfate molecule is presumed. That is, it is presumed that simultaneous administration of heparan sulfate and glucosamine is effective in improving the bioavailability of glucosamine and enhancing the wound healing effect exhibited by the pharmaceutical of the present invention. Since the intermolecular bond is stronger than the intermolecular force, the retention effect of glucosamine in the salt of the present invention is further enhanced, and when the salt of the present invention is used as an active ingredient of the pharmaceutical of the present invention, It is considered that a more effective effect is exhibited than when the mixture is used. This also coincides with the result of Example 3 described above.
[0064]
In addition, about 40%, which is the difference between the filtration rate of 66% when using the above mixture and the 29% filtration rate of glucosamine when using a heparan sulfate glucosamine salt, is between the glucosamine molecule and the heparan sulfate molecule. It is thought that the retention of glucosamine was enhanced by the involvement of bonds stronger than affinity or intermolecular forces, that is, ionic bonds.
[0065]
(2) Effects on rabbit eyes
As a test solution, the heparan sulfate glucosamine salt prepared in Example 2 (neutralization method) was dissolved in distilled water to prepare a 1.0% heparan sulfate glucosamine salt aqueous solution, and the final concentration was 0.5%. An aqueous solution (mixed solution) containing glucosamine hydrochloride and 0.5% heparan sulfate sodium salt was prepared.
[0066]
After anesthesia of a white rabbit (JW species, female), the corneal epithelium of both eyes was surgically detached with a diameter of 8 mm using trepan and a micro scissors.
[0067]
150 μL of the mixed solution was applied to the right eye, and 150 μL of an aqueous heparan sulfate glucosamine salt solution was applied to the left eye, and tears were collected 30 minutes, 40 minutes, 50 minutes, and 60 minutes after the instillation. Tear was collected by inserting a 5 mm × 10 mm filter paper into the eyelid and leaving it for 1 minute.
[0068]
The filter paper from which the tears were collected was placed in 1 mL of distilled water, stirred sufficiently, the tears absorbed by the filter paper were extracted, and the glucosamine concentration in the extract was quantified by high performance liquid chromatography (FIG. 5).
[0069]
The glucosamine concentration in the collected tears is higher when the aqueous solution of heparan sulfate glucosamine salt is administered than when the mixed solution of sodium heparan sulfate and glucosamine hydrochloride is administered, and glucosamine is retained longer at the administration site. It is guessed.
[0070]
In general, glycosaminoglycans are known to be easily retained in collagen due to the negative charge and affinity of the molecule. This result suggests that glucosamine, which forms a salt with heparan sulfate by ionic bonding, was retained at the administration site via the affinity of collagen and heparan sulfate exposed at the corneal epithelial detachment site, and the salt formation was administered. It seems to be important to promote retention on the site.
[0071]
【The invention's effect】
By using the medicament of the present invention, in addition to the wound healing action by HS, the promotion of wound healing by the external administration of glucosamine, which is a biosynthetic raw material of the extracellular matrix used in wound site repair, and the bioavailability of the glycosamine Improvement is seen and a more effective wound healing action is obtained. Furthermore, by using the salt of the present invention, the bioavailability of glucosamine is further improved, and it can be a more useful pharmaceutical product.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a graph showing the rate of acceleration of corneal epithelial healing in white rabbits with 0.1%, 0.3% and 1.0% aqueous heparan sulfate solutions.
FIG. 2 is a graph showing the corneal epithelial healing promotion rate of white rabbits with 0.1%, 0.3% and 1.0% aqueous heparan sulfate glucosamine salts.
[Fig. 3] 1 mg / mL glucosamine hydrochloride aqueous solution using a diffusion chamber, a mixture of 1 mg / mL glucosamine hydrochloride aqueous solution and heparan sodium sulfate aqueous solution each in final concentration, and 2 mg / mL heparan sulfate glucosamine aqueous solution. The figure which shows ratio of the glucosamine density | concentration in the liquid in a chamber, and the glucosamine density | concentration in a liquid outside a chamber by A. The vertical axis is [inner liquid glucosamine concentration / outer liquid glucosamine concentration], and the horizontal axis is the diffusion time. Diamonds indicate 1 mg / mL glucosamine hydrochloride aqueous solution. Squares indicate a mixed solution containing glucosamine hydrochloride having a final concentration of 1 mg / mL and heparan sulfate sodium salt having a final concentration of 1 mg / mL. A triangle indicates a 2 mg / mL heparan sulfate glucosamine aqueous solution.
[Fig. 4] 1 mg / mL glucosamine hydrochloride aqueous solution using an ultrafiltration membrane, a mixture of 1 mg / mL glucosamine hydrochloride aqueous solution and heparan sodium sulfate aqueous solution each in final concentration, and 2 mg / mL heparan sulfate glucosamine The figure which shows the filtration rate (%) of glucosamine by salt aqueous solution.
FIG. 5: Glucosamine concentration in rabbit tears after administration of 1.0% heparan sulfate glucosamine aqueous solution and a mixture of 0.5% final glucosamine hydrochloride aqueous solution and heparan sodium sulfate aqueous solution each FIG. The vertical axis represents the glucosamine concentration (ng / mg) in the filter paper extract, and the horizontal axis represents the elapsed time after administration. The solid line indicates a mixed solution containing glucosamine hydrochloride having a final concentration of 0.5 and heparan sulfate sodium salt having a final concentration of 0.5, and the wavy line indicates a 1-heparan sulfate glucosamine hydrochloride aqueous solution.
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