JP4527839B2 - Pneumatic tire - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、トロイド状をしたタイヤ内部の円管長さに起因して生じ、不快な車室内騒音発生の一因となる空洞共鳴音を、他の性能を犠牲にすることなく、有効に低減することができる空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤは、内部に空気を張った弾性体であり、その構造上、外部から加振力を与えると、この加振力によってタイヤのトレッド部とサイドウォール部、さらには内部の空気が振動するが、この空気の振動が共鳴(共振)を起こすと、いわゆる空洞共鳴音を発し、これが車軸を通じて車室内に伝達されて不快な車室内騒音発生の一因となっている。
【0003】
また、空洞共鳴音を発する周波数(以下「共鳴周波数」という。)は、タイヤ内部の空気の音速と円管長さとから一義的に定まるものであるため、タイヤサイズを変更しない限り、タイヤの共鳴周波数は一定である。例えば、通常の乗用車用タイヤの場合、その円管長さから共鳴周波数は概ね200〜270Hzである。
【0004】
空洞共鳴音は、その発生要因が空気の共鳴であることから、空気入りタイヤにおいては不可避的に発生する現象であり、故に、従来は、タイヤ構造を改良しても空洞共鳴音を低減することは難しいと考えられていた。
【0005】
そのため、従来は、例えば特開昭62−050203号公報等に記載されているように、タイヤ内部にスポンジを挿入することによって、タイヤ内部の音場を改良する方法のようにタイヤ構造の改良以外の方法によって空洞共鳴音を低減するしか術がなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上掲公報に記載された方法は、空洞共鳴音を低減する効果は認められるものの、タイヤが製品になった後に装着する手法であるため、装着するのに手間がかかるとともに、コストの点でも好ましくない。
【0007】
そこで、発明者は、タイヤ構造を改良することによって空洞共鳴音を低減する手段を開発するため種々の検討を行った。
【0008】
まず、発明者は、タイヤの振動モードと空洞共鳴音との関係について詳細に調査した。
【0009】
その結果、タイヤの振動モードは、タイヤ幅方向で見た場合、初期には、図3に示すように両ビードを固定端として断面高さがタイヤ幅方向で一様に変化し、振動前のタイヤ(破線)を基準(定常波)とすると、2節を有するように変形する振動モード(以下「2節モード」という。)が主であり、その後、図4に示すように、4節を有するように変形する振動モード(以下「4節モード」という。)に移行し、さらに、6節、8節、--を有するように変形する種々の振動モードに順次移行することが判明した。
【0010】
そして、2節モードの周波数帯域は、乗用車用タイヤの場合、通常は、図5に示すように、およそ30〜300Hzの範囲であり、よって、共鳴周波数(200〜270Hz)は2節モードの周波数帯域に位置しており、これが空洞共鳴音を大きくしている原因であることを突き止めた。
【0011】
次に、発明者は、各振動モードの周波数帯域をシフトさせ、このときの空洞共鳴音の変化を詳細に調査したところ、共鳴周波数が4節モードの周波数帯域に位置する場合に、空洞共鳴音が小さくなることを見出した。
【0012】
この発明の目的は、4節モードの周波数帯域を低周波数側にシフトさせて共鳴周波数を4節モードの周波数帯域に位置させることによって、トロイド状をしたタイヤ内部の円管長さに起因して生じ、不快な車室内騒音発生の一因となる空洞共鳴音を、他の性能を犠牲にすることなく有効に低減された空気入りタイヤを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明は、タイヤ周方向を含む平面に対し70〜90°の角度で傾斜配列されたコードをゴム引きしてなる少なくとも1プライのカーカスと、このカーカスのクラウン部外周に、前記平面に対し比較的小さな角度で傾斜して延びるコードのゴム引き層の少なくとも2層からなり、かつそのうちの2層のゴム引き層はコードが前記平面を挟んで互いに交差する配置関係になる交差ベルト層を形成してなるベルトと、前記平面に対して平行に延びる少なくとも1本の周方向溝を配設して複数の陸部列を形成したトレッド部とを有する空気入りタイヤにおいて、カーカスの剛性を、中央プライ部に位置するコード部分の撚り数を、前記中央プライ部以外のプライ部に位置するコード部分の撚り数よりも多くして、中央プライ部と他のプライ部分とで異ならせることを特徴とする空気入りタイヤである。
【0014】
ここで、カーカスクラウン部の「幅中央域」とは、具体的にはタイヤ赤道面を中心としてトレッド幅の0.2〜0.5倍の範囲をいい、また、「中央プライ部」とは、具体的にはタイヤ赤道面を中心とし、ベルトを構成するコードゴム引き層のうち、下層のコードゴム引き層の幅の0.2〜0.6倍の範囲をいう。
【0016】
さらに、中央プライ部に位置するコード部分の撚り数と他のプライ部に位置するコード部分の撚り数との差は20%以上であることがより好適である。
【0017】
さらにまた、プライのコードは、1本又は2本以上の有機繊維フィラメントを引きそろえて、S方向またはZ方向に加撚した片撚りコードであるか、又は、1本又は2本以上の有機繊維フィラメントを引きそろえて下撚りを加え、これを2本以上引きそろえて下撚りとは反対方向に上撚りを加えたもろ撚りコードであることが好ましい。尚、プライのコードがもろ撚りコードである場合には、カーカスコードの剛性は、中央プライ部と他のプライ部とで上撚りでの撚り数を変えることによって異ならせることがより好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に従う空気入りタイヤの代表的な幅方向断面を示したものであり、図中1は空気入りタイヤ、2はタイヤ赤道面、3はカーカス、4はカーカスのクラウン部、5及び6はゴム引き層、7は交差ベルト層、8はベルト、9a〜9dは周方向溝、10a〜10eは区画陸部、11はトレッド部である。
【0019】
図1に示すタイヤ1は、タイヤ赤道面2に対し70〜90°の角度で傾斜配列されたコードをゴム引きしてなる少なくとも1プライ(図1では1プライ)のカーカス3と、このカーカス3のクラウン部4の外周に、前記平面2に対し比較的小さな角度で傾斜して延びるコードのゴム引き層の少なくとも2層(図1では2層)からなり、かつそのうちの2層のゴム引き層5,6はコードがタイヤ赤道面2を挟んで互いに交差する配置関係になる交差ベルト層7を形成してなるベルト8と、タイヤ赤道面2に対して平行に延びる少なくとも1本の周方向溝9a〜9d(図1では4本)を配設して複数の区画陸部10a〜10eを形成したトレッド部11とを有している。
【0020】
そして、この発明の構成上の主な特徴は、カーカス3の剛性を、クラウン部4の幅中央域13に位置するプライ部分12aと、それ以外のプライ部分12b,12cとで異ならせることにある。
【0021】
以下、この発明を完成させるに至ったプロセスをこの発明の作用とともに説明する。
図6に示すように、タイヤに外部から加振力Finputを与えると、タイヤ内部の空気が振動し、これが共鳴したときに空洞共鳴音を発するが、この空洞共鳴音を発する共鳴周波数では、タイヤ周上に1次の圧力分布が発生し、この圧力分布が周上で不均一となり、圧力差が生じることによってタイヤ軸力Fspindleが発生し、これが車軸加振力として車輌を加振し、車室内騒音の原因となっている。
【0022】
共鳴周波数fは、タイヤ内部の空気の音速をV、円管長さをLとすると、f=V/Lの式から一義的に定まることから、タイヤサイズを変更しない限り共鳴周波数は常に一定である。
【0023】
また、タイヤ内部における圧力と体積の関係を理想的な断熱変化で考えると、以下に示す関係式が成り立つ。
ΔP=−γ(ΔV/V)P
但し、γは比熱比
【0024】
この関係式からタイヤ内部の圧力変化(ΔP)を小さくするには、タイヤの体積変化(ΔV)、換言すれば、単位長さ当たりの体積変化である断面積変化(ΔS)を小さくすればよいことがわかる。
【0025】
発明者は、タイヤ内部の圧力変化を小さくすれば、この圧力変化に比例して車軸に伝達される加振力も小さくなり、これに伴って、空洞共鳴音が小さくなると考え、タイヤ内部の圧力変化を小さくするための検討を行った。
【0026】
通常のタイヤの場合、共鳴周波数が位置する振動モードは2節モードである。つまり、圧力変化が最大となる内部空気の共鳴の腹の部分(図6の+、−の部分)においても2節モードであり、このモード形態によって周方向単位長さあたりの断面積(体積)変化が決まるとすれば、結局モード形態による断面積変化と対応して圧力変化が生じていると考えることができる。
【0027】
図7は、加振力を与える前のタイヤ輪郭(実線)に、2節モードのときのタイヤ輪郭(破線)と4節モードのときのタイヤ輪郭(一点鎖線)を重ねて描いたものである。
【0028】
この図から、タイヤ断面積の変化量を画像処理することによって求めると、2節モード及び4節モードでのタイヤ断面積は、いずれも加振力を与える前のタイヤの断面積と比べると減少しており、また、2節モードのときの断面積の変化量を100としたとき、4節モードのときのそれは45と小さく、4節モードのときのタイヤ内部の圧力変化は2節モードのときのそれよりも小さいことが判明した。
【0029】
また、乗用車用タイヤの場合、2節モードの周波数帯域は、図5に示すように、通常はおよそ30〜300Hzの範囲であって、共鳴周波数(200〜270Hz)は、タイヤ内部の圧力変化の大きな2節モードの周波数帯域に位置するため、発明者は、これが空洞共鳴音を大きくしている原因であると考えた。
【0030】
そこで、発明者は、さらに検討を進めたところ、4節モードの周波数帯域を低周波数側にシフトさせて、共鳴周波数を4節モードの周波数帯域に位置するように設定すれば、空洞共鳴音は小さくなることを見出した。
【0031】
また、4節モードの周波数帯域を低周波数側にシフトさせる手段としては、トレッド部の幅方向剛性を低減させることが有用であることも見出した。
【0032】
トレッド部の幅方向剛性に対して寄与するタイヤの構成部分としては、カーカスクラウン部の外周に配置した交差ベルト層がある。例えば、タイヤに内圧を適用したとき、交差ベルト層を構成する各ゴム引き層のコードは、タイヤ赤道面に対する傾斜角度が小さくなる方向に移動して内圧保持に寄与するものの、カーカスプライのコードにはほとんど引張応力が作用しない。これは、カーカスのクラウン部に位置するプライ部分は、タイヤ内圧を保持するためには寄与していないことを意味している。
【0033】
しかしながら、トレッドセンター部が局所的に変形する場合、即ち、図4に示すようにタイヤが4節モードの変形をする場合には、カーカスプライの有機繊維コードにタイヤ幅方向への引張力が作用し、本来、引張力に対しては非常に強い物性を有する有機繊維コードがこの引張力に対抗して剛性を発揮することになり、これは、タイヤ幅方向剛性を低減させる上で好ましくない。
【0034】
そこで、発明者は、カーカスの剛性を、クラウン部の幅中央域に位置する中央プライ部と、それ以外のプライ部分とで異ならせるように構成されていれば、内圧保持には特に影響を与えることなく、トレッドセンター部が局所的に変形する場合のタイヤ幅方向剛性を有効に低減でき、この結果、4節モードの周波数帯域が低周波数側にシフトして、共鳴周波数をこの帯域に位置させることができ、これによって、空洞共鳴音を低減することができると考えた。
【0035】
尚、上記構成だと、タイヤのばね定数やブロック剛性に影響を与えないのでその他のタイヤ性能が低下することはない。
【0036】
勿論、4節モードの周波数帯域を低下させる手段として、それ以外の部分の剛性を変化させる手段や、タイヤ重量を増やす手段も考えられる。
【0037】
しかし、トレッド部以外の部分で剛性を低下させる手段を用いる場合は、タイヤのばね定数も変化することになるため、操縦性などのその他の性能に与える影響が大きいため、好ましくない。
【0038】
また、タイヤ重量を増加する手段を用いる場合は、剛性を増加させずに局所的に大きく重量を増加させることは困難である。例えば、サイドのゴム層の厚さを大きくすることで重量増を行っても、ゴム層の厚さが大きくなるため、断面2次モーメントが大きくなり、曲げ剛性も増加するため、重量増の効果を効率よく得ることができない。さらに、車両の燃費の面からも重量増加は望ましくない。
【0039】
よって、タイヤの基本特性に対する影響が小さく、かつ4節モードの周波数帯域を低下させる適正な手段としては、カーカス3の剛性を、クラウン部4の幅中央域13に位置する中央プライ部12aと、それ以外のプライ部分12b,12cの剛性とで異ならせるように構成されていることにあるといえる。
【0040】
また、カーカスプライ12の剛性、特に幅方向剛性を、中央プライ部12aと他のプライ部12b,12cとで異ならせる手段としては、プライ12に埋設したコード14の剛性を、各プライ部分12a、12b又は12cごとに調整すること、より具体的には、中央プライ部12aと他のプライ部12b,12cとに埋設されたコード14の撚り数を変えることによって異ならせることができるが、他の手段を用いてもよい。
【0041】
さらに、中央プライ部12aに位置するコード部分14aの撚り数は、他のプライ部12b,12cに位置するコード部分14a,14bの撚り数よりも多いことが幅方向剛性低下の点で好ましく、より好適には、中央プライ部12aに位置するコード部分14aの撚り数は、他のプライ部12b,12cに位置するコード部分14b,14cの撚り数よりも20%以上多くする。
【0042】
加えて、プライ12のコード14は、1本又は2本以上の有機繊維フィラメントを引きそろえて、S方向またはZ方向に加撚した片撚りコードであるか、または、1本又は2本以上の有機繊維フィラメントを引きそろえて下撚りを加え、これを2本以上引きそろえて下撚りとは反対方向に上撚りを加えたもろ撚りコードのいずれであってもよい。
【0043】
尚、プライ12のコード14がもろ撚りコードである場合には、カーカスプライ12の剛性は、上撚り時の撚り数を、中央プライ部12aに位置するコード部分14aと、他のプライ部12b,12cに位置するコード部分14b,14cとで変えることによって異ならせることが剛性低下の点でより好ましい。
【0044】
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。例えば、図1では、カーカス3を1プライで構成した場合について示したが、2プライ以上で構成することもでき、この場合には、全てのプライとも、剛性変化させるプライ部分の配設位置を一致させることが好ましい。
【0045】
【実施例】
次に、この発明に従う空気入りタイヤを試作し、性能評価を行ったので、以下で説明する。
・実施例1
実施例1のタイヤは、図1に示すタイヤ幅方向断面を有し、タイヤサイズが195/65R14であり、トレッド部11に、タイヤ周方向に沿って延びる4本の周方向溝9a〜9d(幅:8mm、深さ:8mm)を配設し、ベルト8は、2層のコードゴム引き層5,6をコードが交差するように積層した交差ベルト7(コード材質:スチール、コード配設角度:±24 °)であり、カーカス3は、コードをゴム引きした1プライ(コード材質:PET、コード角度:90°)で構成し、そのプライ12の中央プライ部12aの幅を、タイヤ赤道面2を中心とする60mmの範囲とし、中央プライ部12aに位置するコード部分14aの撚り数を、それ以外のプライ部分12b,12cに位置するコード部分14b,14cの撚り数の1.28倍とした。尚、その他のタイヤ構造については、通常の乗用車用タイヤとほぼ同様に構成した。
【0046】
・実施例2
実施例2のタイヤは、カーカスプライ12の中央プライ部12aの幅を、タイヤ赤道面2を中心とする80mmの範囲とし、中央プライ部12aに位置するコード部分14aの撚り数を、それ以外のプライ部分12b,12cに位置するコード部分14b,14cの撚り数の1.20倍としたこと以外は実施例1のタイヤとほぼ同様な構造を有する。
【0047】
・実施例3
実施例3のタイヤは、カーカスプライ12の中央プライ部12aの幅を、タイヤ赤道面2を中心とする80mmの範囲としたこと以外は実施例1のタイヤとほぼ同様な構造を有する。
【0048】
・実施例4
実施例4のタイヤは、カーカスプライ12の中央プライ部12aの幅を、タイヤ赤道面2を中心とする80mmの範囲とし、中央プライ部12aに位置するコード部分14aの撚り数を、それ以外のプライ部分12b,12cに位置するコード部分14b,14cの撚り数の1.52倍としたこと以外は実施例1のタイヤとほぼ同様な構造を有する。
【0049】
・従来例
従来例のタイヤは、カーカスプライ12のコードの撚り数を、中央プライ部12aと、それ以外のプライ部分12b,12cの撚り数と同じにしたこと以外は実施例1のタイヤとほぼ同様な構造を有する。
【0050】
(性能評価)
上記各供試タイヤについて、タイヤモードの周波数及び車室内騒音を測定したので以下で説明する。
タイヤモードの周波数は、上記各供試タイヤをアルミニウム製の標準リム(14−6JJ)に組み付け、空気圧を200kPaとしたタイヤ車輪をインパクト試験機にセットし、このタイヤ車輪のトレッド部に加振力を与えることによって測定した。
【0051】
車室内騒音は、上記タイヤ車輪を2000ccクラスの乗用車(タイヤ荷重:2名乗車相当)に装着し、この車両を通常よりも荒れたアスファルト路(テストコース)を車速50km/hで走行させ、このとき、ドライバーの耳元の位置に設置した測定器によって測定した。
【0052】
表1にこれらの測定結果を示す。尚、表1中のタイヤモードの周波数は、従来例に対する低下量(Hz)で示してあり、また、車室内騒音は、従来例に対する騒音レベルの低下量(dB)で示してある。
【0053】
【表1】
【0054】
表1の結果から、実施例1〜4はいずれも、従来例よりも騒音レベルが低減されていた。また、実施例1〜4を比較すると、タイヤモード周波数と車室内騒音とが比例関係にあることがわかる。
【0055】
【発明の効果】
この発明は、トロイド状をしたタイヤ内部の円管長さに起因して生じ、不快な車室内騒音発生の一因となる空洞共鳴音を、他の性能を犠牲にすることなく有効に低減された空気入りタイヤの提供が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に従う空気入りタイヤの幅方向断面図である。
【図2】 図1のカーカスプライ12に埋設したコードのうち1本のコードの一部のみを抜き出したときの平面図である。
【図3】 2節モードのタイヤの変形状態を説明するための図である。
【図4】 4節モードのタイヤの変形状態を説明するための図である。
【図5】 周波数に対する力の伝達率をプロットしたときの一例を示す図である。
【図6】 インパクト試験機によってタイヤトレッド部に加振力Finputを与えたときの車軸力に伝達される力Fspindleを説明するための図である。
【図7】 加振前のタイヤの輪郭線(実線)に対し、2節モードで変形したときのタイヤの輪郭線(破線)と4節モードで変形したときのタイヤの輪郭線(一点鎖線)とを重ねた描いたときの図である。
【符号の説明】
1 空気入りタイヤ
2 タイヤ赤道面
3 カーカス
4 カーカス3のクラウン部
5,6 ゴム引き層
7 交差ベルト層
8 ベルト
9a〜9d 周方向溝
10a〜10d 陸部列
11 トレッド部
12 カーカス3のプライ
12a プライ12の中央プライ部
12b,12c プライ12の他のプライ部
13 カーカスクラウン部4の幅中央域
14 プライ12に埋設されたコード[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention effectively reduces the cavity resonance that occurs due to the length of the circular tube inside the toroidal tire and contributes to the generation of unpleasant vehicle interior noise without sacrificing other performance. The present invention relates to a pneumatic tire.
[0002]
[Prior art]
A pneumatic tire is an elastic body with air inside. When a vibration force is applied from the outside due to its structure, the tread and sidewalls of the tire and the air inside vibrate due to this vibration force. However, when the vibration of the air causes resonance (resonance), a so-called cavity resonance sound is emitted, which is transmitted to the vehicle interior through the axle and contributes to generation of unpleasant vehicle interior noise.
[0003]
Further, the frequency at which the cavity resonance sound is generated (hereinafter referred to as “resonance frequency”) is uniquely determined from the sound velocity of the air inside the tire and the length of the circular pipe. Therefore, unless the tire size is changed, the resonance frequency of the tire Is constant. For example, in the case of a normal passenger car tire, the resonance frequency is approximately 200 to 270 Hz due to the length of the circular pipe.
[0004]
Cavity resonance is a phenomenon that is unavoidably generated in pneumatic tires because the cause of this is air resonance. Therefore, conventionally, cavity resonance is reduced even if the tire structure is improved. Was considered difficult.
[0005]
Therefore, conventionally, as described in, for example, Japanese Patent Application Laid-Open No. Sho 62-050203, a method of improving the sound field inside the tire by inserting a sponge inside the tire, other than improvement of the tire structure. The only way to do this is to reduce the cavity resonance.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
Although the method described in the above publication is effective in reducing the cavity resonance noise, it is a method to be mounted after the tire becomes a product. Absent.
[0007]
Therefore, the inventor conducted various studies in order to develop means for reducing the cavity resonance noise by improving the tire structure.
[0008]
First, the inventor investigated in detail the relationship between the vibration mode of the tire and the cavity resonance sound.
[0009]
As a result, when the tire vibration mode is viewed in the tire width direction, initially, the cross-sectional height changes uniformly in the tire width direction with both beads as fixed ends as shown in FIG. When the tire (broken line) is a reference (standing wave), a vibration mode that deforms to have two nodes (hereinafter referred to as “two-node mode”) is mainly used, and then has four nodes as shown in FIG. It has been found that the mode is shifted to a vibration mode that deforms in this manner (hereinafter referred to as “four-bar mode”), and further shifts to various vibration modes that are deformed to have sixth, eighth, and −.
[0010]
In the case of a tire for a passenger car, the frequency band of the two-bar mode is usually in the range of about 30 to 300 Hz as shown in FIG. 5, and therefore the resonance frequency (200 to 270 Hz) is the frequency of the two-bar mode. It was located in the band, and it was found that this was the cause of increasing the cavity resonance.
[0011]
Next, the inventor shifted the frequency band of each vibration mode and examined the change of the cavity resonance sound in detail, and when the resonance frequency was located in the frequency band of the four-bar mode, the cavity resonance sound was Was found to be smaller.
[0012]
The object of the present invention is caused by the length of the circular tube inside the toroidal tire by shifting the frequency band of the 4-bar mode to the lower frequency side and positioning the resonance frequency in the frequency band of the 4-bar mode. An object of the present invention is to provide a pneumatic tire in which cavity resonance noise that causes unpleasant vehicle interior noise generation is effectively reduced without sacrificing other performance.
[0013]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the present invention provides at least one ply carcass formed by rubber-drawing cords arranged at an angle of 70 to 90 ° with respect to a plane including a tire circumferential direction, and an outer periphery of a crown portion of the carcass Further, the rubberized layer of the cord extends at a relatively small angle with respect to the plane, and the two rubberized layers of the cord are arranged so that the cords cross each other across the plane. In a pneumatic tire having a belt formed of an intersecting belt layer and a tread portion in which at least one circumferential groove extending parallel to the plane is disposed to form a plurality of land portion rows, the rigidity of the carcass, the twist of the code portions located at the center ply portion, the then greater than the number of twists code portion located ply portion other than the central ply portion, the central ply portion A pneumatic tire, which comprises causing different between other ply portion.
[0014]
Here, the “width central region” of the carcass crown portion specifically means a range of 0.2 to 0.5 times the tread width centering on the tire equator plane, and the “center ply portion” specifically means Refers to a range of 0.2 to 0.6 times the width of the lower cord rubberized layer of the cord rubberized layer constituting the belt, centering on the tire equator plane.
[0016]
Furthermore, it is more preferable that the difference between the number of twists of the cord portion located in the central ply portion and the number of twists of the cord portion located in the other ply portion is 20% or more.
[0017]
Furthermore, the cord of the ply is a single twisted cord in which one or two or more organic fiber filaments are aligned and twisted in the S direction or the Z direction, or one or more organic fibers. It is preferable to use a twisted cord in which the filaments are aligned and a twist is added, and two or more filaments are aligned and the twist is applied in the opposite direction to the twisting. In the case where the cord of the ply is a stranded cord, it is more preferable that the rigidity of the carcass cord is made different by changing the number of twists in the upper twist between the central ply portion and the other ply portion.
[0018]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
FIG. 1 shows a typical cross section in the width direction of a pneumatic tire according to the present invention, in which 1 is a pneumatic tire, 2 is a tire equatorial plane, 3 is a carcass, 4 is a crown portion of a carcass, 5 And 6 are rubberized layers, 7 is a cross belt layer, 8 is a belt, 9a to 9d are circumferential grooves, 10a to 10e are division land portions, and 11 is a tread portion.
[0019]
A tire 1 shown in FIG. 1 includes at least one ply (1 ply in FIG. 1)
[0020]
The main structural feature of the present invention is that the rigidity of the
[0021]
Hereinafter, the process that led to the completion of the present invention will be described together with the operation of the present invention.
As shown in FIG. 6, when an excitation force F input is applied to the tire from the outside, the air inside the tire vibrates and emits a cavity resonance sound when it resonates, but at a resonance frequency that emits this cavity resonance sound, A primary pressure distribution is generated on the tire circumference. This pressure distribution is non-uniform on the circumference, and a pressure difference is generated to generate a tire axial force F spindle , which vibrates the vehicle as an axle excitation force. This is the cause of vehicle interior noise.
[0022]
The resonance frequency f is uniquely determined from the equation f = V / L, where V is the sound velocity of the air inside the tire and L is the length of the circular tube. Therefore, the resonance frequency is always constant unless the tire size is changed. .
[0023]
Further, when the relationship between the pressure and the volume inside the tire is considered as an ideal adiabatic change, the following relational expression is established.
ΔP = −γ (ΔV / V) P
Where γ is the specific heat ratio.
In order to reduce the pressure change (ΔP) inside the tire from this relational expression, the volume change (ΔV) of the tire, in other words, the cross-sectional area change (ΔS) that is the volume change per unit length may be reduced. I understand that.
[0025]
The inventor believes that if the pressure change inside the tire is reduced, the excitation force transmitted to the axle is also reduced in proportion to this pressure change, and accordingly, the cavity resonance noise is reduced, and the pressure change inside the tire is reduced. We studied to make it smaller.
[0026]
In the case of a normal tire, the vibration mode where the resonance frequency is located is the two-barrel mode. That is, the two-node mode is also used in the antinode portion (+ and − portions in FIG. 6) of the resonance of the internal air where the pressure change is maximum, and the cross-sectional area (volume) per unit length in the circumferential direction depends on the mode form. If the change is determined, it can be considered that a pressure change is generated corresponding to the cross-sectional area change due to the mode form.
[0027]
FIG. 7 shows the tire outline (broken line) in the 2-node mode and the tire outline (dashed line) in the 4-bar mode superimposed on the tire outline (solid line) before applying the excitation force. .
[0028]
From this figure, when the amount of change in the tire cross-sectional area is obtained by image processing, the tire cross-sectional area in the 2-bar mode and the 4-bar mode is reduced compared to the cross-sectional area of the tire before applying the excitation force. In addition, when the amount of change in the cross-sectional area in the 2-bar mode is 100, that in the 4-bar mode is 45, and the pressure change inside the tire in the 4-bar mode is that of the 2-bar mode. It turned out to be smaller than that of time.
[0029]
In the case of tires for passenger cars, the frequency band of the two-bar mode is usually in the range of about 30 to 300 Hz, as shown in FIG. 5, and the resonance frequency (200 to 270 Hz) is the change in pressure inside the tire. Since it is located in a large frequency band of the two-node mode, the inventor considered that this is a cause of increasing the cavity resonance sound.
[0030]
Therefore, the inventor further studied and if the resonance frequency is set to be located in the frequency band of the four-barrel mode by shifting the frequency band of the four-barrel mode to the low frequency side, the cavity resonance sound is I found it smaller.
[0031]
It has also been found that reducing the rigidity in the width direction of the tread portion is useful as means for shifting the frequency band of the 4-bar mode to the low frequency side.
[0032]
As a component part of the tire that contributes to the rigidity in the width direction of the tread portion, there is a cross belt layer disposed on the outer periphery of the carcass crown portion. For example, when internal pressure is applied to the tire, the cords of the rubberized layers constituting the cross belt layer move in a direction in which the inclination angle with respect to the tire equatorial plane becomes smaller and contribute to maintaining the internal pressure. Is hardly affected by tensile stress. This means that the ply portion located at the crown portion of the carcass does not contribute to maintaining the tire internal pressure.
[0033]
However, when the tread center portion is locally deformed, that is, when the tire is deformed in the 4-bar mode as shown in FIG. 4, a tensile force in the tire width direction acts on the organic fiber cord of the carcass ply. However, organic fiber cords that have very strong physical properties against tensile force exhibit rigidity against this tensile force, which is not preferable in reducing tire width direction rigidity.
[0034]
Therefore, the inventor particularly affects the internal pressure retention if the rigidity of the carcass is configured to be different between the central ply portion located in the central width region of the crown portion and the other ply portions. Therefore, the rigidity in the tire width direction when the tread center part deforms locally can be effectively reduced. As a result, the frequency band of the 4-bar mode is shifted to the low frequency side, and the resonance frequency is positioned in this band. It was thought that this could reduce the cavity resonance.
[0035]
In addition, since it does not affect the spring constant and block rigidity of a tire with the said structure, other tire performances do not fall.
[0036]
Of course, as means for reducing the frequency band of the 4-bar mode, means for changing the rigidity of the other parts and means for increasing the tire weight are conceivable.
[0037]
However, using a means for reducing the rigidity in a portion other than the tread portion is not preferable because the spring constant of the tire also changes, which greatly affects other performance such as maneuverability.
[0038]
Further, when using means for increasing the tire weight, it is difficult to increase the weight locally without increasing the rigidity. For example, even if the weight is increased by increasing the thickness of the rubber layer on the side, the thickness of the rubber layer increases, so the moment of inertia increases, and the bending rigidity increases. Cannot be obtained efficiently. Furthermore, an increase in weight is not desirable from the viewpoint of vehicle fuel consumption.
[0039]
Therefore, as a suitable means for reducing the frequency band of the four-bar mode with a small influence on the basic characteristics of the tire, the rigidity of the
[0040]
Further, as a means for making the rigidity of the carcass ply 12 different in particular in the width direction rigidity between the
[0041]
Further, the number of twists of the
[0042]
In addition, the
[0043]
When the
[0044]
The above description is merely an example of the embodiment of the present invention, and various modifications can be made within the scope of the claims. For example, FIG. 1 shows the case where the
[0045]
【Example】
Next, a pneumatic tire according to the present invention was prototyped and performance evaluation was performed, which will be described below.
Example 1
The tire of Example 1 has a tire width direction cross section shown in FIG. 1, has a tire size of 195 / 65R14, and has four circumferential grooves 9a to 9d (in the tread portion 11 extending along the tire circumferential direction). The belt 8 is a cross belt 7 (cord material: steel, cord installation angle) in which two cord rubberized
[0046]
Example 2
In the tire of Example 2, the width of the
[0047]
Example 3
The tire of Example 3 has substantially the same structure as the tire of Example 1 except that the width of the
[0048]
Example 4
In the tire of Example 4, the width of the
[0049]
Conventional Example The tire of the conventional example is almost the same as the tire of Example 1 except that the number of twists of the cord of the carcass ply 12 is the same as the number of twists of the
[0050]
(Performance evaluation)
About each said test tire, since the frequency of the tire mode and the vehicle interior noise were measured, it demonstrates below.
The frequency of the tire mode is as follows. Each test tire is assembled on an aluminum standard rim (14-6JJ), a tire wheel with an air pressure of 200 kPa is set in an impact tester, and an excitation force is applied to the tread portion of the tire wheel. Was measured by giving
[0051]
Vehicle interior noise is measured by attaching the above tire wheels to a 2000cc class passenger car (tire load: equivalent to two passengers) and running this vehicle on a rougher asphalt road (test course) at a vehicle speed of 50km / h. When measured by a measuring instrument installed at the position of the driver's ear.
[0052]
Table 1 shows the measurement results. In addition, the frequency of the tire mode in Table 1 is indicated by a reduction amount (Hz) with respect to the conventional example, and the vehicle interior noise is indicated by a reduction amount (dB) of the noise level with respect to the conventional example.
[0053]
[Table 1]
[0054]
From the results of Table 1, in each of Examples 1 to 4, the noise level was reduced as compared with the conventional example. Moreover, when Examples 1-4 are compared, it turns out that a tire mode frequency and vehicle interior noise have a proportional relationship.
[0055]
【The invention's effect】
According to the present invention, the cavity resonance generated due to the length of the circular tube inside the toroidal tire and causing unpleasant vehicle interior noise is effectively reduced without sacrificing other performance. It became possible to provide pneumatic tires.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view in the width direction of a pneumatic tire according to the present invention.
FIG. 2 is a plan view when only a part of one cord is extracted from the cords embedded in the carcass ply 12 of FIG. 1;
FIG. 3 is a view for explaining a deformed state of a two-barrel mode tire.
FIG. 4 is a view for explaining a deformation state of a tire in a four-barrel mode.
FIG. 5 is a diagram illustrating an example when force transmissibility with respect to frequency is plotted.
FIG. 6 is a diagram for explaining a force F spindle transmitted to an axle force when an excitation force F input is applied to a tire tread portion by an impact tester.
FIG. 7 shows a tire contour line (dashed line) when deformed in 2-bar mode and a tire contour line (dashed line) when deformed in 4-bar mode relative to the tire contour line (solid line) before vibration. FIG.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Pneumatic tire 2 Tire
9a to 9d circumferential groove
10a ~ 10d land section
11 Tread
12
12a Central ply part of
12b, 12c Other ply part of
13 Central width of carcass crown 4
14 Cord embedded in
Claims (4)
カーカスの剛性を、中央プライ部に位置するコード部分の撚り数を、前記中央プライ部以外のプライ部に位置するコード部分の撚り数よりも多くして、中央プライ部と他のプライ部分とで異ならせることを特徴とする空気入りタイヤ。At least one ply carcass formed by rubber-drawing a cord arranged at an angle of 70 to 90 ° with respect to a plane including the tire circumferential direction, and a crown portion outer periphery of the carcass at a relatively small angle with respect to the plane A belt formed of at least two layers of cord rubberized layers extending at an inclination, and the two rubberized layers of which form a cross belt layer in which the cords are arranged to cross each other across the plane. In a pneumatic tire having a tread portion in which at least one circumferential groove extending in parallel to the plane is disposed to form a plurality of land portion rows,
The rigidity of the carcass is set so that the number of twists of the cord portion located in the central ply portion is larger than the number of twists of the cord portion located in the ply portion other than the central ply portion, and Pneumatic tire characterized by making it different .
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