JP4524442B2 - 超微小酵素電極 - Google Patents

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本発明は、光ファイバーの端面上に形成された微小な酵素電極に関する。本発明の酵素電極は、例えば細胞のような微小な対象物中の被検物質の測定に有用である。
従来より、グルコースオキシダーゼのような酸化還元酵素をトラップした電極を用いて、該酵素の基質濃度を測定することが行なわれている。例えば、非特許文献1には、オスミウム錯体がメディエーターとして側鎖に結合されたレドックスポリマーとグルコースオキシダーゼ(GOD)との混合物を白金電極上に被着した酵素電極が知られている。
Proc. of International Congress on Analytical Sciences 2001 (Tokyo), pp.89
従来の酵素電極よりも微小な酸化還元酵素電極が形成できれば、例えば細胞内のような微小な領域での測定等が可能になり有利であることは言うまでもない。
したがって、本発明の目的は、公知の酸化還元酵素電極よりも微小な酸化還元酵素電極を提供することである。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、光ファイバーの端面上に形成された突起上に被着された金属層から成る微小電極上に、金属錯体がメディエーターとして側鎖に結合されたレドックスポリマーと酸化還元酵素との混合物から成る被膜を被着することにより、1μm未満の極めて微小な酸化還元酵素電極を形成することができ、この酸化還元酵素電極を用いて、該酵素の基質が測定可能であることを実験的に確認して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、光ファイバーの端面上に形成された突起上に被着された金属層から成る電極上に、下記一般式[I]
Figure 0004524442
(ただし、Mはオスミウム、コバルト、ルテニウム若しくは鉄又はこれらの陽イオン、R1は任意のスペーサー基、R2は親水性基、lは1〜10の整数、mは1〜20の整数、nは1〜10の整数を表し、金属錯体が結合されたピロール単位、R2が結合したピロール単位及びこれら以外のピロール単位はランダム共重合しており、金属錯体を構成するビピリジン中の各炭素原子に結合している各水素原子は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、アミノ基又はカルボキシル基で置換されていてもよく、各ピロールを構成する各炭素原子に結合している各水素原子は、カルボキシル基又はアミノ基で置換されていてもよい)
で表されるレドックスポリマーと酸化還元酵素との混合物の被膜が被着されて成る酵素電極を提供する。
本発明により、公知の酸化還元酵素電極よりも遥かに小さな酸化還元酵素電極が提供された。本発明の酵素電極を用いることにより、細胞内や微小な界面のような微小な領域中の基質を測定することが可能になる。
上記の通り、本発明の酵素電極は、光ファイバーの端面上に形成された突起上に被着された金属層から成る微小電極上に形成されるものである。光ファイバーとしては、突起の形成しやすさの観点からガラスファイバーが好ましく、特にシリカファイバーが好ましい。突起の形状は特に限定されないが、形成する容易さの観点から円錐状の突起が好ましい。また、突起の大きさは、特に限定されないが、突起の基部の直径は、1μm〜6μm程度が好ましく、特に2μm〜3μm程度が好ましい。突起の先端部の頂角は10度〜60度程度が好ましく、15度〜30度程度がさらに好ましい。光ファイバーを用いる場合、市販の光ファイバーを用いることができ、その直径は通常0.1〜1 mm程度である。なお、このような突起は、後で詳しく記載する通り、光ファイバーの端部をエッチングすることにより容易に形成することができる。
前記光ファイバーの端面上の突起上に形成される金属層を構成する金属としては、特に限定されないが、化学的安定性に優れ、導電性の高い金、白金が好ましい。金属層の厚さは特に限定されないが、10〜40nm程度が好ましく、さらに好ましくは15〜30nm程度である。該金属層は、スパッタリング法や真空蒸着法等の蒸着により容易に形成することができる。なお、金属層は、突起を被覆していればよいが、蒸着により形成する場合には、突起部分以外の、光ファイバーの端部上にも形成される。
上記金属層の全面上に酵素電極を形成してもよいが、より微小な電極を得るために、上記金属層を被覆する絶縁性電着塗料層を電着により形成し、前記突起を被覆する金属層の先端部が、前記電着塗料層から露出させたものを電極として用いることが好ましい。この場合、電着塗料層から露出する金属層部分が電極となり、この上に後述する電解重合により酵素電極が形成される。電着塗料層から露出する金属層部分の基部の直径は通常、1μm以下であり、極めて微小な酵素電極を得ることができる。
この場合、絶縁性電着塗料層を構成する電着塗料としては、絶縁性の塗膜を形成するものであれば何ら限定されるものではなく、種々のものが周知であり、市販されている。本発明においては、これらの市販の電着塗料を好ましく用いることができる。塗膜を形成する樹脂成分としては、何ら限定されるものではなく、アニオン性ポリマーもカチオン性ポリマーも使用することができる。例えば、ポリアクリル酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリアミノ酸等を好ましい例として挙げることができる。また、絶縁性電着塗料層の厚さは、特に限定されないが、10〜5000nm程度が好ましく、特には100〜3000nm程度が好ましい。絶縁性電着塗料層は、金属層を一方の電極に用いて電着を行うことにより容易に形成することができる。詳細は後述する。
前記金属層上に酸化還元酵素を含む酵素電極が形成される。酵素電極は、上記一般式[I]で示される、金属錯体が側鎖に結合されたレドックスポリマーと酸化還元酵素との混合物の被膜から成る。このような被膜は、後で詳しく記載するとおり、レドックスポリマーを構成するモノマーと酸化還元酵素との混合物中で、上記光ファイバー電極を電極に用いて電解重合を行なうことにより形成することができる。
本発明に用いられるレドックスポリマーは、上記一般式[I]で示されるものである。一般式[I]中、Mはオスミウム、コバルト、ルテニウム若しくは鉄又はこれらの陽イオンである。通常、これらの金属は陽イオンの形態にある。陽イオンが複数の価数をとる場合には、いずれの価数の陽イオンでもよい。これらのうち、Os2+及びOs3+が特に好ましい。金属又はその陽イオンは単独でも用いることができるし複数種類のものを組み合わせて用いることもできる。
一般式[I]中、R1は任意のスペーサー基を示す。R1は、ポリマーの主鎖に金属錯体を結合する役割を果たしているだけであるから、その構造は特に限定されるものではない。R1の好ましい例として、炭素数1〜6のアルキレン基を挙げることができるがこれに限定されるものではない。
一般式[I]中、R2は親水性基を示す。R2は、ポリマーの水中での溶解度を高めるためのものであるから、親水性であれば特に限定されない。好ましい例として、低級アルキルカルボキシル基(本明細書及び請求の範囲において、「低級」は炭素数1〜4を意味する)を挙げることができるがこれに限定されるものではない。
一般式[I]中、lは1〜10、好ましくは1〜5の整数、mは1〜20、好ましくは10〜20の整数、nは1〜10、好ましくは2〜5の整数を表わす。l、m、nの比率は、特に限定されないが、1:1〜20:1〜10であることが好ましく、1:15〜20:3〜5であることがさらに好ましく、1:20:5であることがさらに好ましい。
金属錯体が結合されたピロール単位、R2が結合したピロール単位及びこれら以外のピロール単位はランダム共重合している。また、金属錯体を構成するビピリジン中の各炭素原子に結合している各水素原子は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、アミノ基又はカルボキシル基で置換されていてもよく、各ピロールを構成する各炭素原子に結合している各水素原子は、カルボキシル基又はアミノ基で置換されていてもよい。特に、後述の一般式[II]のR3の位置に低級アルキル基が置換しているものが好ましい。この位置以外には、特に置換基は不要であるので、製造の簡便さの観点から、置換基がないことが好ましい。
上記一般式[I]で表されるレドックスポリマーのうち、下記一般式[II]で表されるものが好ましい。
Figure 0004524442
ただし、一般式[II]中、R1は炭素数1〜6のアルキレン基、R2は低級アルキルカルボキシル基、R3は低級アルキル基を示し、l、m、nは一般式[I]におけるl、m、nと同義である。なお、Os2+/3+はOs2+又はOs3+を示す。
一般式[II]で表されるレドックスポリマーのうち、特に下記一般式[III]で表されるものが好ましい。
Figure 0004524442
ただし、一般式[III]中、l、m、nは一般式[I]におけるl、m、nと同義で、これらの比が1:1〜20:1〜10、好ましくは1:1〜20:1〜5である。
酸化還元酵素としては、各種オキシダーゼ、レダクターゼ、オキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ及びヒドロペルオキシダーゼを用いることができる。好ましい例として、グルコースオキシダーゼ(GOD)、アミノ酸オキシターゼ、アスコルビン酸オキシターゼ、グルコースハイドロゲナーゼ、乳酸オキシターゼ、乳酸ハイドロゲナーゼ等をあげることができるがこれらに限定されるものではない。
レドックスポリマーと、酸化還元酵素との混合比率は、特に限定されないが、通常、レドックスポリマー100重量部に対して酸化還元酵素が100〜200重量部、好ましくは100〜120重量部である。
本発明の酸化還元酵素電極は、次のようにして製造することができる。先ず、光ファイバーの端面上に突起を形成する。突起はエッチングにより容易に形成することができる。光ファイバーは、横断面で中央部分に位置する、高屈折率のコアと、その周囲にある、低屈折率のクラッドから形成される。エッチングにより、コアの部分に突起が形成される。エッチングは、光ファイバーの端面をエッチング液に浸漬することにより行うことができ、エッチング液との接触時間の長短により、突起が形成される。このように形成される突起は通常、実質的に円錐状である。エッチング液は、基材の材質により適宜選択されるが、例えば基材がシリカファイバーである場合には、40重量%フッ化アンモニウム(NH4F)、50重量%フッ酸(HF)及び水がx:1:1(体積比)の溶媒組成から成るフッ酸緩衝液を好ましく使用することができる。フッ酸緩衝液中のフッ酸の濃度は特に限定されないが、x(NH4F)=0.1〜x=30程度が好ましく、pHは1〜5程度が適当である。エッチング時間は1時間〜5時間程度が好ましい。また、エッチングを2種類のエッチング液を用いて2段階で行い、第1段階では、比較的低濃度のフッ酸緩衝液(濃度は好ましくはx=1〜x=2程度)で30分間〜90分間程度のエッチングを行って主としてクラッド部分をエッチング除去し、次いで、比較的フッ化アンモニウムが高濃度のフッ酸緩衝液(濃度は好ましくはx=1〜x=10程度)で60分間〜180分間程度のエッチングを行ってコア部分に突起を形成することも好ましい。特に、x=1.3〜1.6程度のフッ酸緩衝液(フッ酸濃度に換算すると12〜17重量%)を用いて第1段階のエッチングを行い、次いでx=3.5〜4.5程度のフッ酸緩衝液(フッ酸濃度に換算すると18〜19重量%)を用いて第2段階のエッチングを行うことが、極めて微小な電極(直径0.2〜10nm、特に0.2〜1nm)の作製に有効であることがわかった。この場合、第1段階のエッチング時間は、50〜70分間程度が好ましく、第2段階のエッチング時間は40〜50分間程度が好ましい。なお、エッチングは室温下で行うことができる。突起形成後は、水洗して次の金属層形成工程に移行する。
次に、突起上に金属層を形成する。これはスパッタリング法や真空蒸着法等の金属蒸着により行うことができ、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法は、市販のスパッタリング装置を用いて常法により行うことができる。スパッタリングの条件としては、特に限定されないが、例えば気圧10Pa、電圧0.4kV、電流15mA、スパッタ時間100〜1000秒(実験条件による)。蒸着する金属層の厚さの好ましい範囲は上記した通りである。
絶縁性電着塗料層で前記金属層を被覆し、突起の先端部の金属層のみを露出させて極めて微小な電極を形成する好ましい態様では、次に、上記で得られた金属層上に絶縁性電着塗料層を電着により形成する。この場合、前記金属層を一方の電極として電着を行うことにより、絶縁性電着塗料層を形成する。電着は、金属層と、対電極を電着塗料中に浸漬し、これらの間に直流電圧をかけることにより行うことができる。なお、電着塗料中に含まれるポリマーがアニオン性の場合には金属層を陽極にし、カチオン性の場合には金属層を陰極にする。電着の具体的な方法は特に限定されないが、好ましい方法の例として、直径1〜2cmのコイル状の金属(白金)を対電極として用い、このコイルの中に光ファイバーを挿入し、該コイルと光ファイバーの先端部を電着塗料に浸漬し、直流電圧をかける方法を挙げることができる。この場合、直流電圧の大きさは、適宜選択されるが、2〜3V程度が適当であり、また、電着の時間は0.01〜5秒間程度が適当である。あるいは、電圧を1.8〜2.2V程度(電圧勾配に換算して3.6〜4.4V/cm)と低めにし、電着の時間を8〜12秒程度にすることにより、電着層の厚さを100nm程度に薄くすることが可能であり、このような条件を採用することが、極めて微小な電極(直径0.2〜10nm、特に0.2〜1nm)の作製に有効であることがわかった。また、電着は、室温下で行うことができる。なお、電圧を一定にして電着時間を変えることにより電着層の厚さを調節することができる。好ましい電着層の厚さは上記した通りである。また、金属層には、銀ペースト(銀粉とエポキシ樹脂との混合物)を用いて導線を接着することができ、この導線を介して電圧をかけることができる。
絶縁性電着塗料層を形成した後、水洗し、絶縁性電着塗料層を加熱する。加熱はオーブン内で行うことができる。加熱条件は、特に限定されないが、通常、80℃〜180℃で20分間〜1時間程度が好ましい。あるいは、70℃〜90℃で20分間から40分間加熱し、次いで、130℃〜170℃で10分間〜20分間乾燥させることにより、電着塗料層を乱すことなく安定に乾燥させることができ、これが極めて微小な電極(直径0.2〜10nm、特に0.2〜1nm)の作製に有効であることがわかった。加熱処理により、絶縁性電着塗料層が僅かに収縮し、強度的に最も弱い、突起の先端部が破れて金属層の先端部が露出し、微小電極が形成される。
次に、上記レドックスポリマーを構成する各モノマー及び酸化還元酵素の存在下で、上記のように製造した光ファイバー電極を電極として用いて電解重合を行なう。各モノマーの配合比率は、一般式[I]中の、l、m、nの比率であり、酸化還元酵素の配合比率は、生成するレドックスポリマーに対して上記した範囲の比率である。溶媒としては、リン酸緩衝液のような、水系緩衝液を用いることが好ましい。緩衝液中の酸化還元酵素の濃度は、特に限定されないが、通常、10〜100重量%程度である。電極にかける電圧は、対向極に対して-1V〜+2V程度の範囲内に含まれる範囲で変化する掃引電圧をかけることが好ましい。電解重合の時間は、特に限定されず、通常、10〜300秒間程度である。
なお、金属錯体を結合したピロールモノマーは、金属塩(例えば、オスミウムの場合には、(NH2)2OsCl6)とビピリジンとを反応させて、金属イオンと2個のビピリジンとの錯体を形成し、一方、ピロールにR1を介してビピリジンが結合した化合物をこれと反応させることにより製造することができる。好ましい条件の詳細は、実施例に記述されている。
上記電解重合により、光ファイバー電極上にレドックスポリマーと酸化還元酵素との混合物から成る被膜が被着され、本発明の微小酵素電極が得られる。レドックスポリマーと酸化還元酵素との混合物から成る被膜の厚さは、特に限定されないが、通常、10〜2000nm程度、好ましくは200〜1000nm程度である。
本発明の酸化還元酵素電極を用いて、該酸化還元酵素の基質濃度を測定することができる。これは例えば次のようにして行うことができる。電解重合によりGODを固定し、グルコースが含まれるよう溶液中に浸し、所定電位をかけると、そのグルコース濃度に応じた電流応答を検出することで、グルコース定量が可能となる。
本発明の酵素電極は、公知の酵素電極よりもサイズが微小であるので、従来よりもさらに微小な界面や細胞等の微小な領域における測定のための電極として用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
電極の製造
1. 試薬
以下の試薬を用いた。アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)からのGOD(EC 1.1.3.4; 8 U/mg)は、米国ミズーリ州St. LouisのSigma社から購入した。(NH2)2OsCl6、bpy、ピロール、1-(2-シアノエチル)ピロール及び4,4'-ジメチル-2,2'-ビピリジン(DM-bpy)は、米国ミズーリ州St. LouisのAldrich社から購入した。N-(3-ブロモプロパン-1-イル)ピロールは東京化成社から購入した。4-(4-ピロール-1-イルブチル)4'-メチル-2,2'-ビピリジン(PY-bpy)及び1-ピロールプロピオン酸(PPA)は、公知の方法(文献:J.Am.Chem.Soc.,102(1980)5543)により合成し、精製した。β-D-グルコースは、0.1 mol/LのKClを含む1/15 mol/Lのリン酸緩衝液(PBS)中で予め一夜撹拌した。全ての溶液は、超純水(18 MΩcm)を用いて調製した。
2. 実験操作
全ての電気化学実験は、BAS-CV50W電気化学分析器(米国Bioanalytical Systems社製)を用いて行なった。この分析器は、従来の三電極セル|Ag|AgCl|KCl(飽和)、参照電極及び白金線対電極を有する。光ファイバー電極(後述)を作用電極として用いた。個々の電極表面の状態は、サイクリックボルタモグラムにより1.1mmol/L ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム及び0.1mmol/L KCl中で行なった。試料溶液を定温に維持するために、サーモスタットを用いた。
3. [Os(bpy)2PY-bpy]Cl2の合成
100mLの加熱エタノールに溶解した1.1モル当量のPY-bpyを、50mLの加熱エタノールに溶解した[Os(bpy)2Cl2]に添加した。この溶液をアルゴンで1時間脱気し、8時間還流した。エタノールの大部分は蒸発した。生成物を過剰のNH4PF6に添加すると、暗緑色の沈殿が生成した。粗生成物をろ過により回収し、水及びジエチルエーテルで洗浄し、乾燥し、次いでシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離液:アセトニトリル:トルエン(1:1))により精製した。生成物をアセトニトリル+水(1:1)に溶解し、Sephadex QAE-25(商品名)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィーにより二塩化物塩に変えた。溶媒を蒸発後、沈殿を少量の無水エタノールに溶解し、ろ過した。溶媒を除去し、錯体をエタノール+エーテルから再結晶させた(収率:25.2%)。
4. 光ファイバー電極の製造
コア部にゲルマニウムがドープされた、コア径2.3μm、外径125μm、長さ5 mの市販のシリカファイバーを、x=1.7のフッ酸緩衝液(組成:40重量%NH4F(フッ化アンモニウム):50重量%HF(フッ酸):H2O(水)=x:1:1体積比)で60分間、x=10のフッ酸緩衝液(組成:NH4F:HF:H2O=x:1:1)で90分間エッチングし、コア部に突起を形成した。形成された突起は、円錐状であり、その基部の直径は、コア径と同じであり、頂角は約17度であった。次に、市販のスパッタリング装置を用い、気圧10Pa、電圧0.4kV、電流15mA、スパッタ時間350s前後の条件でスパッタリングを行い、突起を含む光ファイバーの端面全体上に厚さ約20nmの金層を形成した。
銀ペーストを接着剤として用いて、金層に導線を接続した。長さ7 cm の白金線を直径約 1.5 cm のコイル状にして、(株)シミズのアノーディック電着塗料 ELECOAT AE- X(塗膜を形成するポリマーはポリアクリル酸)に浸した。電着は二電極式で行った.すなわち,参照電極、対極用の2本のケーブルで白金線をポテンシオスタットにつないだ。作用電極用ケーブルを、光ファイバーに付けた導線につないだ。コイルの中心に位置するように、金でコーティングした光ファイバーを溶液に浸した。金層を陽極、白金電極を陰極にして、2.5 Vの直流電圧を0.01〜5秒間印加し、金層上に絶縁性電着塗料層を形成した。水洗後、光ファイバーをオーブンに入れ、150℃、30分間の熱処理を行い、電着塗料膜をしっかりと固化、乾燥させた。この際に電着塗料膜が僅かに収縮して突起先端部が破れ、突起先端部の金層が、絶縁性電着塗料膜から露出した。これにより、光ファイバー微小電極が形成された。
作成された微小電極のサイズを、サイクリックボルタモグラムを測定することにより調べた。すなわち、上記した電着の場合と同様に、対電極としての白金コイル中に、作成された電極を端部に具備する光ファイバーを挿入し、10mMのFe(CN)6 3-/4-及び0.1MのKCl溶液中に浸し、電圧をかけ、流れる電流の大きさを調べた。結果を図2に示す。
露出した電極の形状を半球と仮定すると,電流の大きさと下記式1より、電極の半径が決定される。
ID = 2πFDCrapp (式1)
(F : ファラデー定数、D: 電極面の拡散定数、C: Fe(CN)6 3-/4-濃度、rapp : 電極半径)
この実施例の場合には流れる電流は0.46 nAであり、Fe(CN)6 3-/4-の電極への拡散定数は7.20 x 10-10 m2/sで、Fe(CN)6 3-/4-の濃度は10mMであったので、計算される電極の半径は約105 nm ということであった。このように、直径1μm未満の電極が作製できた。
5. 酵素電極の製造
光ファイバー微小電極上での電気誘導重合は、5mmol/Lの[Os(bpy)2PY-bpy]2+錯体、20mmol/L のPPA及び5mmol/Lのピロール及び5mmol/LのGODの存在下、0.1mol/L KCl含有PBS溶液中で、窒素雰囲気下で、-400mV〜1200mV(対Ag|AgCl)の間で100回掃引することにより行なった。得られた電極を蒸留水で洗浄し、PBS中で4℃で保存した。
グルコース存在下での微小GOD電極の応答
実施例1で得られた微小GOD電極のグルコース存在下での応答を次のようにして調べた。実験条件は、pH7.4燐酸緩衝溶液中にて行った。測定にはポテンシオスタットALS660A(BAS社製)を用い、作用極に超微小酵素修飾電極、参照極には銀・塩化銀電極、対極には白金電極を用いる3電極方式により行った。なお、測定電位は500mV vs. Ag|AgClの定電位に設定し行った。その結果、1から60mMの濃度範囲おいてグルコースを添加したところ、あきらかに濃度依存性が確かめられた(図1)。またその応答曲線はミカエリシスメンテン型の酵素反応応答であり、この超微小酵素修飾電極においてグルコースの定量が可能であることが示された。
本発明の実施例で作製されたグルコースオキシダーゼ電極のグルコース存在下での応答を示す図である。 本発明の実施例で作製された光ファイバー微小電極のサイクリックボルタモグラムを示す図である。

Claims (10)

  1. 光ファイバーの端面上に形成された突起上に被着された金属層から成る電極上に、下記一般式[I]
    Figure 0004524442
    (ただし、Mはオスミウム、コバルト、ルテニウム若しくは鉄又はこれらの陽イオン、R1は任意のスペーサー基、R2は親水性基、lは1〜10の整数、mは1〜20の整数、nは1〜10の整数を表し、金属錯体が結合されたピロール単位、R2が結合したピロール単位及びこれら以外のピロール単位はランダム共重合しており、金属錯体を構成するビピリジン中の各炭素原子に結合している各水素原子は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、アミノ基又はカルボキシル基で置換されていてもよく、各ピロールを構成する各炭素原子に結合している各水素原子は、カルボキシル基又はアミノ基で置換されていてもよい)
    で表されるレドックスポリマーと酸化還元酵素との混合物の被膜が被着されて成る酵素電極。
  2. 前記l、m、nの比率が、1:1〜20:1〜10である請求項1記載の酵素電極。
  3. R2が低級アルキルカルボキシル基である請求項1又は2記載の酵素電極。
  4. R1が炭素数1〜6のアルキレン基である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の酵素電極。
  5. 前記酸化還元酵素がオキシダーゼである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の酵素電極。
  6. 前記オキシダーゼがグルコースオキシダーゼである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の酵素電極。
  7. 前記Mがオスミウムイオンである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の酵素電極。
  8. 前記レドックスポリマーが、下記一般式[II]
    Figure 0004524442
    (ただし、R1は炭素数1〜6のアルキレン基、R2は低級アルキルカルボキシル基、R3は低級アルキル基、l、m、nは一般式[I]におけるl、m、nと同義)
    で表される請求項1記載の酵素電極。
  9. 前記レドックスポリマーが、下記一般式[III]
    Figure 0004524442
    (ただし、l、m、nは一般式[I]におけるl、m、nと同義で、これらの比が1:1〜20:1〜10である請求項8記載の酵素電極。
  10. 前記光ファイバー端面上の電極は、前記突起を被覆する前記金属層と、該金属層を被覆する絶縁性電着塗料層とを具備し、前記突起を被覆する金属層の先端部が、前記電着塗料層から露出して電極を形成して成る電極である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の酵素電極。
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