JP4500658B2 - 電動機の劣化診断方法 - Google Patents
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Description
特に、各部所おいて稼働中の多数の交流低圧電動機の劣化診断手法については、重要視されている。
一方、低圧電動機においては、絶縁抵抗測定による傾向管理手法のみに診断を委ねており、劣化の程度を経時的に把握できる的確な診断手法は未確立であるのが実情である。
加湿したときの巻線絶縁抵抗値の低下度合い(湿度依存性)を表す数値として、次の式に示すm値を用いる。
m値=Loge(R70/R90)/Loge(H90/H70)
R70:湿度70%時の絶縁抵抗値(MΩ)
R90:湿度90%時の絶縁抵抗値(MΩ)
H70:相対湿度70%
H90:相対湿度90%
%Mg=(湿度90%時の実測絶縁抵抗値(MΩ))/(JEC2137基準(MΩ))
JEC2137基準(MΩ)=(定格電圧(V))/(定格出力(KW)+1,000)
表示対象機は図5と同一である。
(a) 湿度70%での%Mg=1.0
これは、国内における平均湿度と考えられる70%(曇りの天気)で、%Mg=1.0を下回るかどうかで判定する。
(b) m値=15
これは、湿度50%と70%、すなわち、晴れと曇りの間で、ちょうど100倍(2桁)の絶縁抵抗変化がある状態に達したかどうかで判定する。
(c) 湿度90%時に、%Mg=1.0となる機器の70%時の%Mg
これは、湿度90%、すなわち雨天での%Mgが1.0を下回るかどうかで判定する。
(I)劣化度判別領域が、m値閾値より下方で、かつ%Mg値閾値より上方にあり、その両閾値からの隔たりが大きいほど、残存性能を大なるものとして維持しているものと判別する。
(II)劣化度判別領域が、m値閾値より上方で、かつ%Mg値閾値より上方にあり、その両閾値からの隔たりの大きさにより、巻線洗浄処理とその順を判別する。
(III)劣化度判別領域が、m値閾値より下方で、かつ%Mg値閾値より下方にあり、その両閾値からの隔たりの大きさにより、巻線洗浄もしくは巻替え処理すべきものかを判別する。
(IV)劣化度判別領域が、m値閾値より上方で、かつ%Mg値閾値より下方にあり、その両閾値からの隔たりの大きさにより、巻線巻替えあるいは更新処理すべきものかを判別する。
よって、被管理電動機群の高湿度雰囲気における絶縁抵抗測定試験による、%Mg−値管理図に、m値閾値と%Mg値閾値を適用して、被管理電動機群を定量的に残留寿命の大きさに応じて弁別することができるとともに、その残留寿命の延命処理を、どの様に施せばよいのかの、延命対処手段の定量的判別が可能となる。
尚、サンプル電動機の数は多い程、より信頼性の高い閾値を求めることが可能である。
図1及び図2において、下式に示す絶縁性能基準を基に、相間絶縁破壊基準電圧(E=2000V)のライン(5)(6)を設定する。
相間絶縁破壊基準電圧(E)
=定格電圧(440V)×2+1000(JEC基準)+α
このm値劣化特性曲線(7)は、(7b)〜(7c)間で決定しても良いが、安全を重視して、特に下限を結ぶ直線(7c)を採用することが好ましい。
この%Mg値劣化特性曲線(8)は、上記(8a)〜(8b)間で決定してもよいが、一般に近似直線(8a)を採用することが好ましい。
絶縁機能上は、問題なく使用可能な領域。
傾向管理ロジックに基づく管理を実施する。
絶縁抵抗値のレベルは維持されているが、加湿したときの低下幅は大きい。
巻線表面に親水性ダスト(塩分、亜硫酸、硫酸イオン等の湿度の増加によってイオン化しやすいダスト)の付着が想定される。
巻線表面の洗浄処理を実施する。
m値(湿度依存性)は、管理レベル範囲内であるが、絶縁抵抗値は低い。
巻線表面に保水性ダストの付着或いは、絶縁物の吸湿劣化が想定される。
巻線洗浄処理後の再診断で改善が無ければ、巻替え、絶縁強化処理或いは更新を実施する。
m値及び%Mgが、共に管理レベルを超過している。
絶縁物の経年的な加水分解の進行と共に、吸湿劣化が進行している。
巻替え或いは更新を実施する。
(1a) 直入れ始動型電動機
(1b) スター・デルタ始動型電動機
(2) 巻線接続端部
(3) 巻線
(4) 試験電圧
(5)(6)ライン
(7) m値劣化特性曲線
(7a) 折れ線
(7b) 直線
(7c) 直線
(8) %Mg値劣化特性曲線
(8a) 折れ線
(8b) 直線
(V1)(V2)(V5) 相間絶縁破壊電圧
(A) m値閾値
(B) %Mg値閾値
(Ym) 増加量
(YM) 減少量
(ma)(mb) 増加曲線
(mx) 増加曲線
(Mb) 減少曲線
(Ma) 減少曲線
Claims (11)
- 低電圧交流電動機の劣化診断を行うに際し、この交流電動機に対する破壊試験用の複数のサンプル群を準備し、このサンプル群における各電動機を、高湿度雰囲気を上位の測定ポイントで、絶縁抵抗を測定することにより、各電動機のm値を算出し、また高湿度雰囲気において、交流電動機における巻線接続端部を分離絶縁して、相間絶縁破壊試験を行い、その際、各サンプル電動機における相間印加電圧値とm値の関係において、各サンプル電動機における相間絶縁破壊電圧値により、m値劣化特性曲線を求め、このm値劣化特性曲線と、被管理電動機群に要求される高湿度雰囲気における絶縁性能の下限値との交点から、m値の閾値を求め、かつ、各サンプル電動機の相間印加電圧値と高湿度雰囲気における%Mg値の関係において、各サンプル電動機における相間絶縁破壊電圧値により、%Mg劣化特性曲線を求め、この%Mg値劣化特性曲線と、被管理電動機群に要求される高湿度雰囲気における絶縁性能の下限値との交点から、%Mg値閾値を求め、さらに、被管理電動機群における各電動機の高湿度絶縁特性を、前記高湿度雰囲気において、m値と%Mg値とにより計測するとともに、計測された両値をもって、被管理電動機群それぞれを、m値と%Mg値の直交座標にプロットするとともに、この直交座標において、前記m値閾値と%Mg値閾値とにより4つに区分される管理ゾーン毎に、そのm値と%Mg値の両閾値からの隔たりの大きさにより、今後の対応処置の種類と、処置の順と、耐久使用限界とを弁別するようにして、被管理電動機群の劣化度合いを診断することを特徴とする電動機の劣化診断方法。
- サンプル電動機群における巻線の絶縁被覆特性と被管理電動機群における巻線の絶縁被覆特性、もしくはサンプル電動機群における被覆絶縁材料と被管理電動機群における巻線の被覆絶縁材料が、互いに近似してる請求項1記載の電動機の劣化診断方法。
- サンプル電動機群における電機子の構造と被管理電動機群における電機子の構造が、互いに近似している請求項1記載の電動機の劣化診断方法。
- 高湿度雰囲気が、相対湿度90%である請求項1〜3のいずれかに記載の電動機の劣化診断方法。
- m値劣化特性曲線が、経年数の異なるサンプル電動機群における最も小さいm値と、最も大きいm値を結ぶ直線である、請求項1〜4のいずれかに記載の電動機の劣化診断方法。
- m値劣化特性曲線が、経年数の異なるサンプル電動機群における各m値の最下値を結ぶ各線の変化傾向と、変化傾向を近似させた直線である、請求項1〜4のいずれかに記載の電動機の劣化診断方法。
- m値劣化特性曲線が、サンプル電動機群における最も大きいm値と、サンプル電動機群の電動機が湿度に依存しないとした場合のm値を結ぶ直線である請求項1〜4のいずれかに記載の電動機の劣化診断方法。
- %Mg劣化特性曲線が、経年数の異なるサンプル電動機群における最も大きい%Mg値と、最も小さい%Mg値を結ぶ直線である、請求項1〜7のいずれかに記載の電動機の劣化診断方法。
- %Mg劣化特性曲線が、経年数の異なるサンプル電動機群における各%Mg値の最下値を結ぶ各線の変化傾向と変化傾向を近似させた直線である、請求項1〜7のいずれかに記載の電動機の劣化診断方法。
- %Mg劣化特性曲線が、サンプル電動機群におけ最も大きい%Mg値と、サンプル電動機群の電動機が湿度に依存しないとした場合の%Mg値を結ぶ直線である請求項1〜7のいずれかに記載の電動機の劣化診断方法。
- 被管理電動機群における各電動機の高湿度絶縁特性が、m値閾値と%Mg値閾値と、その両閾値からの隔たりの大きさに基づいて、下記の(1)〜(4)よりなる4つの劣化度判別領域に分割して分類されている、請求項1〜10のいずれかに記載の電動機の劣化診断方法。
(1) 劣化度判別領域が、m値閾値より下方で、かつ%Mg値閾値より上方にあり、その両閾値からの隔たりが大きいほど、残存性能を大なるものとして維持しているものと判別する。
(2) 劣化度判別領域が、m値閾値より上方で、かつ%Mg値閾値より上方にあり、その両閾値からの隔たりの大きさにより、巻線洗浄処理とその処理の順序を判別する。
(3) 劣化度判別領域が、m値閾値より下方で、かつ%Mg値閾値より下方にあり、その両閾値からの隔たりの大きさにより、巻線洗浄もしくは巻替え処理すべきものかを判別する。
(4) 劣化度判別領域が、m値閾値より上方で、かつ%Mg値閾値より下方にあり、その両閾値からの隔たりの大きさにより、巻線巻替えあるいは更新処理すべきものかを判別する。
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