JP4498390B2 - 溶融ガラス搬送装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内部を溶融ガラスが流動する白金又は白金合金製の中空管に、その管壁が外方に膨出する膨出部を前記中空管の長手方向に間隔を隔てて形成してある溶融ガラス搬送装置に関する。
かかる溶融ガラス搬送装置は、白金又は白金合金製の中空管の内部を溶融ガラスが流動することにより、溶融ガラスを搬送できるようにしたものである。そして、搬送された溶融ガラスは攪拌装置にて攪拌されたり、減圧槽にて溶融ガラスに含まれる気泡が取り除かれたり、成形装置で所定形状に成形されることになる。
従来、この種の溶融ガラス搬送装置では、膨出部は、中空管の周部にリング状(コルゲート状)に形成されているものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−315894号公報
中空管は一般に1100℃〜1500℃の高温環境下で使用されるものであり、中空管の両端に攪拌装置や減圧槽や成形装置等が接続された状態すなわち中空管の両端の位置が固定された状態で中空管が熱膨張すると、中空管に長手方向の圧縮応力が掛かることになる。
従来の溶融ガラス搬送装置においては、中空管の熱膨張により中空管に長手方向の圧縮応力が掛かる箇所では、中空管の破損を防止できるように、複数のリング状の膨出部を中空管の長手方向に間隔を隔てて形成してあるものを配管して対応していた。
つまり、中空管に長手方向の圧縮応力が掛かると、複数のリング状の膨出部が折り畳まれて、それら膨出部同士の間隔が小さくなることにより、中空管の破損を防止できるものとなる。
ところで、中空管が熱膨張するときにおいて、中空管に長手方向の圧縮応力が掛かるだけでなく、中空管に周方向のねじれが発生することがある。例えば、中空管の途中に屈曲部等が存在すると、熱膨張に基づく中空部の屈曲変形と共に、中空部に周方向のねじれが発生することがある。このように、中空管に周方向のねじれが発生したときにおいて、中空管が破損する虞があった。
加えて、流動する溶融ガラスが隣り合う膨出部同士の間に形成された凹入部を通過するときに、溶融ガラスに気泡が生じることがある。このように溶融ガラスに気泡が生じる原因としては、流動する溶融ガラスが隣り合う膨出部同士の間に形成された凹入部を通過するときに、凹入部の下流方向付近に乱流が発生して、特に、中空管が白金又は白金合金にて形成された場合において、中空管の白金成分が触媒の役割を果たすことにより、溶融ガラス中に溶け込んだ水分子が水素原子と酸素原子とに分解して酸素の気泡が発生し易いものとなる。そして、発生した酸素の気泡が溶融ガラスに含まれる炭酸ガスや窒素ガスや亜硫酸ガスを取込んで気泡が更に大きくなるものと考えられる。
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、中空管に長手方向の圧縮応力が掛かったときに加えて、中空管に周方向のねじれが発生したときにおいても、中空管の破損する虞を抑制でき、加えて、中空管を流動する溶融ガラスに大きな気泡が生じることを抑制できる溶融ガラス搬送装置を提供する点にある。
本発明の溶融ガラス搬送装置の特徴構成は、内部を溶融ガラスが流動する白金又は白金合金製の中空管に、その管外壁及び管内壁において、径方向に膨出する膨出部を前記中空管の長手方向に間隔を隔てると共に、前記中空管の周部に螺旋状に形成し、
前記中空管の円周を底辺とした場合におけるその円周に対する前記螺旋状の膨出部の傾斜角度が0度より大きく45度以下の範囲になるように形成してある点にある。
すなわち、管外壁及び管内壁において、径方向に膨出する膨出部は、中空管の周部に螺旋状に形成されているので、中空管に中空管の長手方向の圧縮応力が掛かったときに、螺旋状の膨出部の間隔いわゆるピッチが小さくなることにより、中空管の破損を防止できる。しかも、中空管に周方向のねじれが発生したときにおいて、螺旋状の膨出部のねじれ具合が変化することにより、中空管の破損を防止できる。
加えて、螺旋状の膨出部のピッチに形成された凹入部が中空管の円周を底辺とした場合におけるその円周から連続して傾斜しているので、流動する溶融ガラスの一部が凹入部に沿うように流動することにより、凹入部の下流方向付近に乱流が発生することを抑制して、溶融ガラスに溶け込んだ水が分解して酸素の気泡が発生するという現象を抑制できる。
螺旋状の膨出部の傾斜角度が45度を超えると、中空管に長手方向の圧縮応力が掛かったときに、螺旋状の膨出部のピッチが小さくなり難く、中空管に剪断応力が働いて、中空管が破損する虞がある。螺旋状の膨出部の傾斜角度が0度より大きく45度以下の範囲内であると、中空管が破損する虞が無く好適に使用できる。
〔第1実施の形態〕
以下、本発明に係る溶融ガラス搬送装置について説明する。
図1に示すように、白金製の中空管1の一端が攪拌装置2に接続されるとともに、その中空管1の他端が別の中空管1とフランジ接合されている。攪拌装置2に2つの中空管1が接続されており、それら中空管1のなす角が平面視において90度になっている。
尚、詳述しないが、中空管1は、樋部の内部に充填されたアルミナ粉末に埋設された状態で敷設してある。
前記中空管1について説明を加えると、図2に示すように、内部を溶融ガラスが流動する中空管1に、その管壁が外方に膨出する膨出部1aを中空管1の長手方向に間隔を隔てて形成してあり、膨出部1aは、中空管1の周部に螺旋状に形成されている。説明を加えると、内部を溶融ガラスが流動する中空管1に、その管壁が外方に膨出する1本の長尺状で横断面形状が円弧状の膨出部1a及びその管壁が内方に凹入する1本の長尺状で横断面形状が円弧状の凹入部1bが、中空管1の長手方向に交互に並ぶ形態で中空管1の円周を底辺とした場合におけるその円周から中空管1の長手方向側に傾斜する螺旋状に形成されている。
これにより、中空管1に中空管1の長手方向の圧縮応力が掛かったときに、螺旋状の膨出部1a及び凹入部1bの幅が小さくなることにより、中空管1の破損を防止できる。しかも、中空管1に周方向のねじれが発生したときにおいて、螺旋状の膨出部1a及び凹入部1bのねじれ具合が変化することにより、中空管1の破損を防止できる。 加えて、螺旋状の凹入部1bが中空管1の円周を底辺とした場合におけるその円周から傾斜しているので、流動する溶融ガラスの一部が凹入部1bに沿うように流動することにより、凹入部1bの下流方向付近に乱流が発生することを抑制して、溶融ガラスに溶け込んだ水分子が分解して酸素の気泡が発生するという現象を抑制できる。
そして、中空管1の円周を底辺とした場合におけるその円周に対する螺旋状の膨出部1aの傾斜角度が45度である。この傾斜角度とは、中空管1の円周を底辺とし、膨出部1aに沿って一周した場合に中空管1の長手方向に進む距離を高さとした直角三角形における斜辺と底辺とのなす角を意味する。
〔別実施の形態〕
(1)上記実施の形態では、白金製の中空管を例示したが、このような構成に代えて、白金合金製の中空管1としてもよい。
ちなみに、白金合金とは、白金とロジウムの合金、又は、白金とパラジウムの合金、又は、白金と金の合金、又は、白金とそれら金属との合金である。又、酸化物分散強化した白金や白金合金も含まれる。
(2)上記実施の形態では、中空管1に、その管壁が外方に膨出する長尺状の膨出部1a及びその管壁が内方に凹入する長尺状の凹入部1bが、中空管1の長手方向に交互に並ぶ形態で中空管1の円周を底辺とした場合におけるその円周から中空管1の長手方向側に傾斜する螺旋状に形成されている構成を例示したが、これに限られるものではなく、図3に示すように、中空管1に、その管壁が外方に膨出する長尺状の膨出部1aが、中空管1の長手方向に間隔を隔てる形態で中空管1の円周を底辺とした場合におけるその円周から中空管1の長手方向側に傾斜する螺旋状に形成されている構成としてもよい。この場合において、膨出部1aの間の平坦部が凹入部1bを構成することになる。
又、図4に示すように、中空管1に、その管壁が内方に凹入する長尺状の凹入部1bが、中空管1の長手方向に間隔を隔てる形態で中空管1の円周を底辺とした場合におけるその円周から中空管1の長手方向側に傾斜する螺旋状に形成されている構成としてもよい。この場合において、凹入部1bの間の平坦部が膨出部1aを構成することになる。
(3)上記実施の形態では、攪拌装置2に2つの中空管1が接続されており、それら中空管1同士のなす角が平面視において90度になっている構成を例示したが、それら中空管1同士のなす角が90度に限られるものではなく、例えば、それら中空管1同士のなす角が180度になっているものでもよい。又、攪拌装置2に2つ以上の中空管1が接続されている構成でもよい。そして、中空管1が接続される装置は攪拌装置2に限られるものではない。
(4)上記実施の形態では、中空管1の円周を底辺とした場合におけるその円周に対する螺旋状の膨出部1aの傾斜角度が45度である構成を例示したが、これに限られるものではなく、螺旋状の膨出部1aの傾斜角度が45度以下でもよく、螺旋状の膨出部1aの傾斜角度が0度より大きく45度以下の範囲内であればよい。
(5)上記実施の形態では、1本の膨出部1aが中空管1の周部に螺旋状に形成されている構成を例示したが、このような構成に代えて、2本の膨出部1aが中空管1の周部に2重螺旋状に形成されている構成や、複数本の膨出部1aが中空管1の周部に2より多い多重螺旋状に形成されている構成でもよい。
溶融ガラス搬送装置の全体平面図 中空管を示す図 別実施形態における中空管を示す図 別実施形態における中空管を示す図
1 白金又は白金合金製の中空管
1a 膨出部

Claims (1)

  1. 内部を溶融ガラスが流動する白金又は白金合金製の中空管に、その管外壁及び管内壁において、径方向に膨出する膨出部を前記中空管の長手方向に間隔を隔てると共に、前記中空管の周部に螺旋状に形成し、
    前記中空管の円周を底辺とした場合におけるその円周に対する前記螺旋状の膨出部の傾斜角度が0度より大きく45度以下の範囲になるように形成してある溶融ガラス搬送装置。
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