JP4488352B2 - 分子構造を決定するためのタンデム飛行時間型質量分析計 - Google Patents

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Description

(発明の分野)
本発明は、一般に、質量分析計および質量分析の実施方法に関する。特に、本発明は、タンデム飛行時間型質量分析計およびタンデム飛行時間型質量分析計を使用する質量分析の実施方法に関する。
(発明の背景)
質量分析計は、目的のサンプルを気化およびイオン化し、そして生じたイオンの質量対電荷比を決定する。飛行時間型(TOF)質量分析計は、電場の影響下で、与えられたイオンが、イオン源から検出器へ移動するのに要する時間を測定することによって、イオンの質量対電荷比を決定する。電場の与えられた磁場強度に関して、イオンが検出器に到達するのに要する時間は、イオンの質量についての一次関数であり、そしてイオンの電荷についての逆関数である。
最近では、TOF質量分析計は広く受け入れられてきており、特に、相対的に不揮発性の生体分子の分析について、および高速、高感度、および/または広範な質量範囲を必要とする他の適用について受け入れられてきた。新規のイオン化技術(例えば、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)およびエレクトロスプレーイオン化(ESI))は、質量分析計によって分析し得る分子の質量範囲を劇的に広げてきた。
TOF質量分析計は、これらの適用についての独特の利点を有する。例えば、米国特許第5,625,184号、同第5,627,369号、および同第6,057,543号に記載されるように、遅延イオン抽出に関する最近の開発は、高分解能および正確な質量測定をMALDI−TOF質量分析計で日常的に利用可能にしてきた。米国特許第5,625,184号、同第5,627,369号、および同第6,057,543号の全体の開示は、本明細書中で参考として援用される。パルス化抽出物の垂直注入は、ESI−TOFについて同様の性能強化を提供してきた。これらの技術は、サンプルの分子量について正確なデータを提供する。しかし、これらの技術は、分子構造について情報をほとんど提供しない。
いくつかの先行技術のMALDI−TOF質量分析計は、ポストソース分解(PSD)として公知の技術を使用して、イオンをフラグメント化する。しかし、PSDによって生成されるフラグメント化スペクトルは、多くの場合、相対的に弱く、そして解釈するのが困難である。他の先行技術のMALDI−TOF質量分析計は、衝突室を備える。その衝突室は、いくつかのイオンを中性気体分子との高エネルギー衝突を引き起こし、低質量のフラグメントイオンの生成を促進し、そしていくつかの追加のフラグメント化を生じる。しかし、これらの先行技術の質量分析は、あらゆる適用に対して有用ではない。
他の先行技術の技術(例えば、イオン捕獲およびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(FT−ICR−MS))は、一次イオンのフラグメント化についての複数の工程を観察することを可能にする。これらの技術は、フラグメント化についてのより詳細な図を提供し、そしていくつかの事例において、より構造的な情報を得ることを可能にし得る。しかし、これらのデバイスは、高エネルギー衝突性解離によって提供される特異性のうちのいくつかを提供しないような、低エネルギー衝突性プロセスに限定される。
なお他の先行技術の質量分析計は、大気圧のエレクトロスプレーと真空の質量分析計との間の界面において、エネルギー性衝突の発生を引き起こすことによってフラグメント化を生じるような、ESI−TOFを使用する。しかし、これらの先行分野の質量分析計は、特定の一次イオンを選択するための手段を全く有さない。
いくつかの先行技術のタンデム質量分析計が存在し、それらは一般に、MS−MS機器と呼ばれる。MS−MS機器は、一次イオンを選択するために、および/またはフラグメントイオンを検出しかつ分析するために、質量分析技術を使用する。タンデム質量分析計の最も一般的な形態は、三重四極子質量分析計である。第1の四極子は、一次イオンを選択する。第2の四極子は、代表的には、十分に高圧かつ高電圧にて維持され、そのため、複数の低エネルギー衝突が発生し、いくつかのイオンのフラグメント化が引き起こされる。第3の四極子は、フラグメントイオンスペクトルを分析するために走査される。得られるスペクトルは、代表的には、解釈が容易であり、多数の分析技術が開発されてきた。例えば、そのようなスペクトルから、ペプチドのアミノ酸配列を決定するための技術が開発されてきた。
別の先行技術のタンデム質量分析計は、2つの四極子質量フィルタおよび1台のTOF質量分析計を使用する。第1の四極子は、一次イオンを選択する。第2の四極子は、十分に高圧かつ高電圧にて維持され、そのため、複数の低エネルギー衝突が発生し、いくつかのイオンのフラグメント化が引き起こされる。TOF質量分析計は、フラグメントイオンスペクトルを検出しかつ分析する。
米国特許第5,202,563号は、1つの接地真空ハウジング、フラグメント化チャンバにより連結される2つの反射型質量分析器、そして上記接地真空ハウジングに関して電気的に浮遊される飛行チャネル(flight channel)を備える、タンデム飛行時間型質量分析計を記載する。これらの質量分析計は、一般に、相対的に小さい分子を分析することに限定され、そして生物学的な適用(例えば、ペプチドまたはオリゴヌクレオチドの配列決定)のために必要とされる感度および分解能を提供しない。
タンデム質量分析計によるペプチドの配列決定および構造決定のために、質量分析器の両方が、対象の質量範囲にわたって、適切な質量分解能および良好なイオン伝達を有する必要がある。MS−MS系は、代表的には、分子量が1000以上のペプチド配列決定のために使用される。これらの系は、大きい質量範囲を有する2台の二重集束磁気偏向質量分析計を備え得る。これらの機器は、大きい質量範囲かつ高い質量精度を提供するが、飛行時間型質量分析計と比較した場合、感度が限定されており、そして現代的なイオン化技術(例えば、MALDIおよびエレクトロスプレー)を用いる使用のために、すぐには適合できない。これらの機器はまた、非常に複雑かつ高価である。
飛行時間型質量分析技術を使用する別の先行技術のタンデム質量分析計は、表面誘起解離(SID)を使用する2台の直列な飛行時間型質量分析器を備える。そのようなある質量分析計は、イオン鏡を備える。米国特許第5,206,508号は、線形分析器または反射分析器のいずれかを使用するタンデム質量分析計を記載し、このタンデム質量分析計は、互いに異なる質量の親イオンの分離を必要とすることなく、各々の親イオンについてタンデム質量スペクトルを得る能力がある。
飛行時間型を使用するタンデム質量分析計(MS−MS)は、構造的な情報を提供し得る。そのようなタンデムMS−MS機器は、米国特許第6,348,688号に記載され、その全体の開示は本明細書中で参考として援用される。このMS−MS機器において、第1の質量分析器は、目的の一次イオン(例えば、特定のサンプルの分子イオン)を選択するために使用される。その後、その目的のイオンは、イオンの内部エネルギーを増加させることによってフラグメント化される。例えば、目的のイオンは、そのイオンと中性気体分子との衝突を引き起こすことによってフラグメント化され得る。その後、フラグメントイオンの質量スペクトルが、第2の質量分析器によって分析される。一次イオンの構造は、そのフラグメント化パターンを解釈することによって決定され得る。
(発明の要旨)
本発明は、質量分析計の性能を改善することに関する。1つの実施形態において、本発明に従う質量分析計は、1台のTOF質量分析計において直列に作動する複数のTOF質量分離器を備える。本発明の質量分離器は、前の質量分離器によって発生されるイオン種を分離し得、かつフラグメント化し得る。それにより、各々の連続する段階で、化学的サンプルについてのますます詳細な分析が提供される。本発明の質量分析計の1つの局面は、質量分析測定の段階の動作モードが電気的に選択され得ることである。
従って、本発明のタンデム飛行時間型質量分析計(TOF−MS)は、複数のイオンを発生させるパルスイオン源を備える。1つの実施形態において、パルスイオン源は、イオンを第1のフィールドフリー領域中に注入するインジェクタ−、および注入の方向に対して垂直方向にイオンを加速することによって、注入されたイオンから複数のイオンを抽出するパルスイオン加速器を備える。別の実施形態において、パルスイオン源は、レーザー脱離/イオン化イオン源である。1つの実施形態において、パルスイオン源は、時間遅延後にイオンを抽出し、その後イオン化する、遅延抽出イオン源である。1つの実施形態において、パルスイオン源は、空気支援エレクトロスプレーオン源、化学イオン化イオン源、またはICPイオン源である。
本発明のタンデムTOF−MSはまた、パルスイオン源によって発生される複数のイオンの経路に沿って配置される第1のTOF質量分離器、第2の質量分離器、および第3の質量分離器を備える。第1の質量分離器は、パルスイオン源によって発生される複数のイオンを受け取るように配置される。第1の質量分離器は、パルスイオン源によって発生される複数のイオンを加速し、その複数のイオンをそれらの質量対電荷比に従って分離し、そしてその複数のイオンからそれらの質量対電荷比に基づいて第1群のイオンを選択する。第1の質量分離器はまた、その第1群のイオンのうちの少なくとも一部分をフラグメント化する。
第2の質量分離器は、第1の質量分離器によって発生される第1群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取るように配置される。第2の質量分離器は、第1群のイオンおよびイオンフラグメントを加速し、第1群のイオンおよびイオンフラグメントをそれらの質量対電荷比に従って分離し、そして第1群のイオンおよびイオンフラグメントからそれらの質量対電荷比に基づいて第2群のイオンを選択する。第2の質量分離器はまた、その第2群のイオンのうちの少なくとも一部分をフラグメント化する。第1の質量分離器および/または第2の質量分離器はまた、イオンガイド、イオン集束エレメント、および/またはイオンステアリングエレメントを備え得る。
第3の質量分離器は、第2の質量分離器によって発生される第2群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取るように配置される。第3の質量分離器は、第2群のイオンおよびイオンフラグメントを加速し、第2群のイオンおよびイオンフラグメントをそれらの質量対電荷比に従って分離する。1つの実施形態において、第3の質量分離器は、パルス加速度を使用して第2群のイオンおよびイオンフラグメントを加速する。
タンデムTOF−MSはまた、第2群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取るように配置されるイオン検出器を備える。1つの実施形態において、タンデムTOF−MSはまた、フィールドフリー領域中に配置されるイオンリフレクターを備える。そのイオンリフレクターは、第1群のイオンおよびイオンフラグメントまたは第2群がイオン検出器に到達する前に、それらのうちの少なくとも1つのエネルギーを補正する。1つの実施形態において、タンデムTOF−MSはまた、イオン検出器によって検出されたイオンの質量対電荷比を決定するプロセッサを備える。1つの実施形態において、そのプロセッサは、データ加工エレメント(例えば、内蔵型マイクロプロセッサまたはスタンドアロンコンピュータ)を備える。
本発明のタンデムTOF−MSは、種々の方法で構成され得る。1つの実施形態において、第2のTOF質量分離器は、負の加速度によって第1群のイオンおよびイオンフラグメントを加速する。負の加速度はまた、減速度と呼ばれる。1つの実施形態において、第1のTOF質量分離器は、実質的に第1の所定の範囲内である質量対電荷比を有するイオンを選択するイオン選択器を、フィールドフリー領域中に備える。
1つの実施形態において、第2のTOF質量分離器は、フィールドフリー領域および実質的に第2の所定の範囲内である質量対電荷比を有するイオンを選択するイオン選択器を備える。1つの実施形態において、第1のTOF質量分離器および第2のTOF質量分離器のうちの少なくとも1つは、フラグメントイオンを選択する定時イオン選択器を備える。
1つの実施形態において、第1のT質量分離器および第2のTOF質量分離器のうちの少なくとも1つは、イオンフラグメント化器を備える。多数の型のイオンフラグメント化器が、当該分野で公知である。例えば、1つの実施形態において、イオンフラグメント化器は、イオンが中性気体分子との衝突を引き起こされることによってフラグメント化される衝突室を備える。別の実施形態において、イオンフラグメント化器は、イオンに光子線を照射することによってイオンをフラグメント化する光解離室を備える。なお別の実施形態において、イオンフラグメント化器は、イオンを固体表面または液体表面と衝突させることによってイオンをフラグメント化する表面解離フラグメント化器を備える。
本発明はまた、構造的情報の増加を提供するフラグメントイオンの高分解能TOF質量分析のための方法を特徴とする。その方法は、目的のサンプルからイオンパルスを発生させる工程を包含する。1つの実施形態において、イオンパルスは、エレクトロスプレー、空気支援エレクトロスプレー、化学イオン化、MALDI、およびICPのうちの1つを含む方法を使用することによって発生される。
次いで、ある時間間隔中に、イオンパルスから前駆イオンが選択され、所定の質量対電荷比を有する選択された前駆イオンを形成する。1つの実施形態において、その前駆イオンは、選択された前駆イオンを定時イオン選択器を通して伝達すること、そして実質的に他のすべてのイオンをブロックすることによって選択される。次いで、その選択された前駆イオンは、フラグメント化される。1つの実施形態において、その選択された前駆イオンは、選択された前駆イオンと中性気体分子とを衝突させ、それにより選択された前駆イオンを励起することによってフラグメント化される。1つの実施形態において、その選択された前駆イオンは、選択された前駆イオンをほぼフィールドフリーの領域を通過させ、それにより選択された前駆イオンの実質的に完全なフラグメント化を可能にすることによって、フラグメント化される。
次いで、ある時間間隔中に、フラグメント化された選択された前駆イオンから、一次イオンフラグメントが選択され、選択された一次イオンフラグメントを形成する。1つの実施形態において、その選択された一次イオンフラグメントの運動エネルギーが調整される。次いで、その選択された一次イオンフラグメントは、フラグメント化され、二次イオンフラグメントを形成する。1つの実施形態において、その選択された一次イオンフラグメントは、ほぼフィールドフリーの領域を通過され、それにより選択された一次イオンフラグメントの実質的に完全なフラグメント化が可能になる。
次いで、その二次フラグメントイオンは、適当な時間に、選択された一次イオンフラグメントから分離される。1つの実施形態において、その二次イオンフラグメントは、集束される。選択された一次イオンフラグメントおよび二次イオンフラグメントのうちの少なくとも1つは、時間の関数として検出され、質量スペクトルを作成する。
その方法はまた、選択された一次イオンフラグメントの運動エネルギーを調整する工程を包含し得る。1つの実施形態において、その一次イオンフラグメントのエネルギーは、本発明に従うタンデムTOF MSの操作モードにおける変更についての補正をするために調整される。1つの実施形態において、この方法は二次イオンフラグメントを集束させる工程を包含する。
本発明は、特に、添付の特許請求の範囲において記載される。本発明の上記の局面およびさらなる局面は、添付の図面に関連して以下の記述を参照することによって、より理解され得る。その図面において、同じ数字は、種々の図における同じ構造的要素および特徴を示す。図面は必ずしも拡大縮小されたり、強調されることはなく、代わりに本発明の原理が図示される。
(詳細な説明)
代表的な飛行時間型質量分析計は、パルスイオン源、飛行時間型質量分離器、および検出器を備える。代表的な飛行時間型質量分析計はまた、イオン加速器、フィールドフリードリフト空間を備え、そしてイオンフラグメント化器および定時イオン選択器を備え得る。イオン加速器においてイオンによって得られる運動エネルギーは、イオン加速器において電位差によって乗算されるイオン電荷の積に等しい。従って、運動エネルギーゲインは、イオン質量に非依存性である。
運動エネルギーは、運動エネルギーがイオン速度の二乗により乗算されるイオン質量の2分の1に等しいという、周知の関係を通してイオン速度と関連付けられる。加速前の運動エネルギーが小さい場合、または質量に非依存性の場合、フィールドフリードリフト空間におけるイオン速度は、そのイオンの質量対電荷比の平方根に比例する。より小さい質量のイオンは、より大きい質量のイオンよりも速く飛行する;従って、より小さい質量のイオンは、より大きい質量のイオンよりも、より速い時間でフィールドフリー領域における任意の選択された地点に到達する。飛行時間型質量分析計において、イオン検出器は、イオンの経路に配置される。イオンが検出器に衝突すると、電気パルスを生じる。イオンパルスの生成とイオンに応答して検出器によって生成される電気パルスとの間の時間間隔が、飛行時間型質量分析計によって記録され、そしてこの時間間隔は、そのイオンの質量対電荷比の測定値を提供するために較正され得る。
フィールドフリードリフト空間中に存在するいくつかのイオンは、より低い質量のイオンおよび中性のフラグメントを生成するために、フラグメント化され得る。フラグメント化は、イオン源におけるイオン形成中にイオンに与えられる過剰な内部エネルギーの結果として自発的に起こり得るか、あるいはイオンが質量分離器中に配置されるイオンフラグメント化器を通過することの結果として起こり得る。これらのフラグメントを分離するそのエネルギーは、元のイオンの運動エネルギーと比較して非常に小さくあり得る。従って、フラグメントイオンは、非フラグメントイオンと実質的に同じ速度でフィールドフリードリフト空間を通して動き続け、そしてフラグメントイオンと非フラグメントイオンの両方が、実質的に同じ時間に検出器に到達する。フラグメントイオンは、中性のフラグメントの運動エネルギーに相当する量で、非フラグメントイオンより小さい運動エネルギーを有する。
質量分析器は、定時イオン選択器を備え得る。定時イオン選択器は、イオンパルスの形成後、選択された時間間隔内にその選択器に到達するイオンを伝達し、かつ他のすべての時間に到達するイオンを排除するように動作する。従って、選択された時間間隔内に定時イオン選択器に到達する質量対電荷比内のイオンおよびイオンフラグメントのみが伝達され、他のすべてのイオンは排除される。
より詳しく図を参照すると、図1は、本発明に従うタンデムTOF質量分析計100の一般的なブロック図を示す。TOF質量分析計100は、短い時間の期間にイオンパケットを生じるパルスイオン源102を備える。そのイオンパケットは、分析のためにTOF質量分析計100中に導入される化学サンプル由来の複数のイオンを含む。
化学サンプルは、その化学サンプルからパルスイオン源102がイオンパケットを発生し得る任意の化学サンプルであり得る。例えば、化学サンプルは、タンパク質の酵素的消化により生成されるペプチド混合物を含む生物学的サンプルであり得る。化学サンプルはまた、無機化学サンプルまたは有機化学サンプル、あるいは有機化合物および無機化合物の混合物であり得る。
パルスイオン源102は、任意の型のパルスイオン源であり得、かつ任意のイオン化技術を使用し得る。例えば、パルスイオン源102は、ESI、化学イオン化、電子衝撃、誘導結合プラズマ(ICP)、またはMALDIを含み得る。1つの実施形態において、パルスイオン源102は、遅延イオン抽出を有するMALDI源である。
別の実施形態において、パルスイオン源102は、イオンをフィールドフリー領域中に注入するESI源、および注入の方向に対して垂直な方向にイオンを引き出すパルスイオン加速器を含む。フィールドフリー領域によって、本発明者らは、飛行経路に沿ってイオンを加速または減速する目的のための実質的な電場または磁場がない空間の容積を意味する。減速はまた、負の加速として引用される。フィールドフリー領域は、イオン集束レンズ、イオンガイド、ビームステアリング電極を含み得る。
本発明に従うタンデムTOF質量分析計は、パルスイオン源102によって発生されるイオンの飛行経路に沿って配置される、複数の飛行時間型(TOF)質量分離器を備える。複数のTOF質量分離器の各々は、イオンパケットからのイオンのさらなる選択およびフラグメント化によって、化学サンプルを分析するためのさらなる能力を提供する。図1に示されるTOF質量分析計100は、第1のTOF質量分離器104、第2のTOF質量分離器106、および第3の質量分離器108を備える。
第1のTOF質量分離器104は、パルスイオン源102によって発生される複数のイオンを受け取るように、イオンの飛行経路に沿って配置される。第1のTOF質量分離器104は、複数のイオンのうちの少なくとも一部分を加速する。さらに、第1のTOF質量分離器104は、複数のイオンを分離し、そして第1群のイオンおよびイオンフラグメントを選択する。
第2のTOF質量分離器106は、第1の質量分離器104を離れる第1群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取るように配置される。第2のTOF質量分離器106は、第1群のイオンおよびイオンフラグメントのうちの少なくとも一部分を加速する。さらに、第2のTOF質量分離器106は、第2群のイオンおよびイオンフラグメントを選択する。
第3のTOF質量分離器108は、第2のTOF質量分離器106を離れる第2群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取るように配置される。第3のTOF質量分離器108は、第2群のイオンおよびイオンフラグメントのうちの少なくとも一部分を加速する。さらに、第3のTOF質量分離器108は、第3群のイオンおよびイオンフラグメントを選択し得る。質量対電荷比に従って分離されたイオンを検出するためのイオン検出器110は、第3のTOF質量分離器108を離れる第2群のイオンおよびイオンフラグメントまたは第3群のうちの少なくとも1つを受け取るように配置される。
1つの実施形態において、質量分析器112は、イオン検出器110から電気的シグナルを受け取る。質量分析器112は、少なくとも部分的にはイオン検出器110から受け取られる電気的シグナルに基づいて、質量分析を生じる。別の実施形態(示さず)において、第3のTOF質量分離器108は、イオン検出器110と一緒になって、質量分析器を構成する。
1つの実施形態において、質量分析器112は、イオン検出器110の前にイオンの飛行経路に沿って配置される、フィールドフリードリフト領域(示さず)およびイオンリフレクター(示さず)を含む。イオンリフレクターはまた、イオンミラーまたはリフレクトロンとして呼ばれる。
作動中、イオンパケットは、パルスイオン源102から発生される。第1のTOF
質量分離器104は、パルスイオン源102からイオンパケットを受け取り、そのイオンパケットを加速し、そしてイオンパケットから所定の質量対電荷比範囲を有する第1群のイオンを選択する。第1のTOF質量分離器104は、第1群のイオンにおけるイオンの画分をフラグメント化し、そして第1群のイオンおよびイオンフラグメントを、飛行経路に沿って配置される第2のTOF質量分離器106中に伝達する。
第2のTOF質量分離器106は、第1のTOF質量分離器104から第1群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取り、そしてその第1群のイオンおよびイオンフラグメントを加速する。第2のTOF質量分離器106は、第1群のイオンおよびイオンフラグメントの質量対電荷比に従ってそれらを分離し、そして第1群のイオンおよびイオンフラグメントから所定の質量対電荷比範囲を有する第2群のイオンを選択する。第2のTOF質量分離器106は、第2群のイオンにおけるイオンの画分をフラグメント化し、そして第2群のイオンおよびイオンフラグメントを、第3のTOF質量分離器108中に伝達する。
第3のTOF質量分離器108は、第2のTOF質量分離器106から第2群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取り、そしてその第2群のイオンおよびイオンフラグメントを加速する。第3のTOF質量分離器108は、第2群のイオンおよびイオンフラグメントの質量対電荷比に従ってそれらを分離し、そして第2群のイオンおよびイオンフラグメントから所定の質量対電荷比範囲を有する第3群のイオンを選択する。
第3の質量分離器108は、第3群のイオンにおけるイオンの画分をフラグメント化し、第3群のイオンおよびイオンフラグメントの質量対電荷比に従ってそれらを分離し、その第3群のイオンおよびイオンフラグメントをイオン検出器110に伝達する。1つの実施形態において、第3群のイオンおよびイオンフラグメントの分離は、イオンリフレクター(示さず)において生じ、そしてイオンリフレクターに適用される電圧は、イオン検出器110でのフラグメントイオンのうちの少なくとも一部分に集中するようにプログラム化され得る。
第1のTOF質量分離器104、第2のTOF質量分離器106、および第3のTOF質量分離器108におけるイオンの加速、分離、選択、およびフラグメント化の動作は、特定の質量分析の分析またはTOF質量分析計100の動作モードに関する特定の要求を満たすように、電子的に制御され得る。1つの実施形態において、第1のTOF質量分離器104、第2のTOF質量分離器106、および第3のTOF質量分離器108のうちの1つにおける、選択、フラグメント化、および加速のうちの少なくとも1つが、動作を停止する。
本発明の1つの実施形態において、TOF質量分析計100の動作モードは、第1のTOF質量分離器104、第2のTOF質量分離器106、および第3のTOF質量分離器108のうちの1つを作動させるまたは停止させることによって変更され得る。1つの実施形態において、TOF質量分析計100の動作モードは、第1のTOF質量分離器104、第2のTOF質量分離器106、および第3のTOF質量分離器108のうちの1つにおけるイオン選択器、イオンフラグメント化器またはイオン加速器を作動させるまたは停止させることによって変更され得る。
1つの実施形態において、TOF質量分析計100の動作モードは、化学サンプルの分析中に変更される。1つの実施形態において、化学サンプルについて補完的な分析情報を提供するために、異なる動作モードが使用される。1つの実施形態において、TOF質量分析計100の動作モードは、コンピュータ制御の下で自動的に変更される。
図2は、本発明のタンデムTOF質量分析計150の1つの実施形態に関するブロック図を示す。タンデムTOF質量分析計150は、イオンパケットを発生するイオン発生器154を有するパルスイオン源152を備える。イオン発生器154は、任意の型のイオン発生器であり得る。例えば、イオン発生器154は、MALDIまたはESIを使用してイオンパケットを発生し得る。
パルスイオン源152からのイオンパケットは、第1のTOF質量分離器158に伝達される。第1のTOF質量分離器158は、任意の型のイオン加速器であり得る第1のイオン加速器156を備える。1つの実施形態において、第1のイオン加速器156は、パルスイオン加速器である。パルスイオン加速器は、そのイオン加速器において飛行経路に沿って制御される様式で時間依存性電場がイオンを加速するイオン加速器である。1つの実施形態において、第1のイオン加速器156は、イオンパケットが発生された後、所定の遅延時間でイオン発生器からイオンパケットを抽出する。第1のイオン加速器156は、第1のTOF質量分離器158内の飛行経路に沿ってイオンパケットを加速する。
第1のイオン選択器160は、第1のイオン加速器156によって加速されるイオンを受け取る。第1のイオン選択器160は、イオンパケットから実質的に第1の所定の質量対電荷比範囲内のイオンを選択し、そして実質的に他のすべてのイオンを排除する。第1のイオン選択器160は、任意の型のイオン選択器であり得る。1つの実施形態において、第1のイオン選択器160は、実質的に所定の質量対電荷比範囲を有するイオンを伝達し、かつすべての他のイオンを実質的にブロックすることによって、イオンパケットからイオン(第1群のイオン)を選択する。
1つの実施形態において、第1のイオン選択器160は、ドリフト管および定時イオンデフレクターを備える。ドリフト管は、既に加速されたイオンが、異なる質量対電荷比に従って飛行経路に沿って空間分離に蓄積するフィールドフリー領域である。いくつかの適用および動作モードにおいて、第1のイオン検出器160は動作を停止され、そして第1のTOF質量分離器158においてイオン選択は起こらない。
第1のイオンフラグメント化器162は、第1のイオン選択器160に続いて、第1群のイオンの飛行経路に沿ってフィールドフリー領域中に配置される。1つの実施形態において、第1のイオンフラグメント化器162および第1のイオン選択器160は、同一のフィールドフリー領域中に配置される。第1のイオンフラグメント化器162は、第1群のイオンの画分をフラグメント化する。
第1のイオンフラグメント化器162は、任意の型のイオンフラグメント化器であり得る。例えば、第1のイオンフラグメント化器162は、イオンパケットが中性気体分子と衝突することを引き起こし、それによりイオンパケットのイオンが十分にイオンフラグメントおよび中性のフラグメントにフラグメント化するようエネルギーを与える衝突室であり得る。第1のイオンフラグメント化器162はまた、イオンが光子ビームで照射される光解離室であり得る。さらに、第1のイオンフラグメント化器162は、イオンが固体表面または液体表面と衝突することを引き起こす表面解離イオンフラグメント化器であり得る。いくつかの適用および動作モードにおいて、第1のイオンフラグメント化器162は動作を停止され、そしてイオン源における励起の結果として複数のイオンのうちの一部分がフラグメント化する場合にのみ、第1のTOF質量分離器158においてイオンフラグメント化が起こる。
第2のTOF質量分離器166は、第1のTOF質量分離器158に続いて、第1群のイオンおよびイオンフラグメントの飛行経路に沿って配置される。第2のTOF質量分離器166は、第2のイオン加速器164を備える。第2のイオン加速器164は、任意の型のイオン加速器であり得る。いくつかの適用およびいくつかの動作モードにおいて、第2のイオン加速器164は動作を停止され、そして第2のTOF質量分離器166においてイオン加速は起こらない。
1つの実施形態において、第2のイオン加速器164は、TOF質量分析計150の質量分解能を向上させるフラグメントエネルギー補正デバイスを備える、パルスイオン加速器である。例えば、第2のイオン加速器164は、インタクトな前駆イオンのエネルギーと相対的にフラグメントイオンのエネルギーを増加させる時間可変加速場を適用し、フラグメント化プロセスにおいて失われるエネルギーについて補正することによって、TOF質量分析計150の分解能を向上させるフラグメントエネルギー補正デバイスを、備え得る。
第2のイオン加速器164は、飛行経路に沿って配置される第2のTOF質量分離器166における、第1群のイオンおよびイオンフラグメントを加速する。第2のTOF質量分離器166は、第2のイオン選択器168を備える。その第2のイオン選択器168は、任意の型のイオン選択器であり得る。第2のイオン選択器168は、第1のイオン選択器160と同一であり得るか、または異なる型のイオン選択器であり得る。第2のイオン選択器168は、第1群のイオンおよびイオンフラグメントから、実質的に第2の所定の質量対電荷比範囲(第2群のイオン)内のイオンを選択し、そして実質的に他のすべてのイオンを排除する。いくつかの適用およびいくつかの動作モードにおいて、第2のイオン選択器168は動作を停止され、そして第2のTOF質量分離器166においてイオン選択は起こらない。
第2のイオンフラグメント化器170は、第2のイオン選択器168に続いてまたは第2のイオン選択器168の前に、飛行経路に沿って配置される。第2のイオンフラグメント化器170は、第2群のイオンの画分をフラグメント化する。第2のイオンフラグメント化器170は、任意の型のイオンフラグメント化器であり得る。第2のイオンフラグメント化器170は、第1のイオンフラグメント化器162と同一であり得るか、または異なる型のイオンフラグメント化器であり得る。いくつかの適用および動作モードにおいて、第2のイオンフラグメント化器170は動作を停止され、そしてイオン源または第1のイオンフラグメント化器162のうちの少なくとも1つにおける励起の結果として、第1群のイオンのうちの一部分がフラグメント化する場合にのみ、第2のTOF質量分離器166においてイオンフラグメント化が起こる。
第3のTOF質量分離器174は、第2のイオンフラグメント化器170に続いて、第2群のイオンおよびイオンフラグメントの飛行経路に沿って配置される。第3のTOF質量分離器174は、第3のイオン加速器172を備える。第3のイオン加速器172は、任意の型のイオン加速器であり得る。第3のイオン加速器172は、第2のイオン加速器164と同一であり得るか、または異なる型のイオン加速器であり得る。第3のイオン加速器172は、飛行経路に沿って配置される第3のTOF質量分離器174において、第2群のイオンおよびイオンフラグメントを加速する。いくつかの適用および動作モードにおいて、第3のイオン加速器172は動作を停止され、そして第3のTOF質量分離器174においてイオン加速は起こらない。
第3のTOF質量分離器174は、飛行経路に沿って配置される第3のイオン選択器176を備える。第3のイオン選択器176は、任意の型のイオン選択器であり得る。第3のイオン選択器176は、第1のイオン選択器160および/または第2のイオン選択器168と同一であり得るか、または異なる型のイオン選択器であり得る。第3のイオン選択器176は、第2群のイオンおよびイオンフラグメントから実質的に第3の所定の質量対電荷比範囲(第3群のイオン)内のイオンを選択し、かつ実質的にすべての他のイオンを排除する。いくつかの適用および動作モードにおいて、第3のイオン選択器176は動作を停止され、そして第3のTOF質量分離器174においてイオン選択が起こらない。
第3のイオンフラグメント化器178は、第3のイオン選択器176に続いて、飛行経路に沿って配置される。第3のイオンフラグメント化器178は、第3群のイオンの画分をフラグメント化する。第3のイオンフラグメント化器178は、任意の型のイオンフラグメント化器であり得る。第3のイオンフラグメント化器178は、第1のイオンフラグメント化器162および/または第2のイオンフラグメント化器170と同一であり得るか、または異なる型のイオンフラグメント化器であり得る。いくつかの適用および動作モードにおいて、第3のイオンフラグメント化器178は動作を停止され、そしてイオン源、第1のイオンフラグメント化器162、または第2のイオンフラグメント化器170のうちの少なくとも1つにおける励起の結果として、第2群のイオンのうちの一部分がフラグメント化する場合にのみ、第3のTOF質量分離器174においてイオンフラグメント化が起こる。
第3群のイオンおよびイオンフラグメントは、質量分析器180中を飛行経路に沿って飛行する。質量分析器180は、第3群のイオンおよびイオンフラグメントの飛行経路中に配置されるイオン検出器182を備える。イオン検出器182は、時間の関数として選択されたイオンおよびイオンフラグメントを検出する。
1つの実施形態において、質量分析器180はまた、イオン検出器182の前に飛行経路に沿って配置されるフィールドフリードリフト領域(示さず)およびイオンリフレクター184を備える。イオンリフレクター184は、1つ以上の遅延静電場を発生する。イオンリフレクター184は、イオンの初期運動エネルギー分布の影響について補正するために使用される。1つの実施形態において、イオンリフレクターに適用される電圧は調整され、少なくとも1つの第3群のイオンおよびイオンフラグメントの画分が、イオン検出器182に集束される。
静電場に関してイオンがイオンリフレクター184に進入すると、そのイオンは場の方向における速度成分がゼロになるまで減速される。その後、イオンは逆方向にされ、イオンリフレクター184を通って後方に加速される。イオンは、それらの進入エネルギーと実質的に同一であるが、速度は逆方向であるエネルギーを有してイオンリフレクター184を抜け出る。より大きいエネルギーを有するイオンは、より深く進入し、その結果、イオンリフレクター184中により長い時間の間残存する。厳密に設計されたイオンリフレクターにおいて、イオンの飛行経路を改変するためにポテンシャルが選択され、同様の質量および電荷のイオンが、初期エネルギーに関係なく同一の時間にイオン検出器182に到達する。
TOF質量分析計150が、真空ハウジング(示さず)に囲まれる。真空ハウジングは、真空ポンプ(示さず)と流動的に連絡される。真空ポンプは、真空ハウジング中の中性気体のバックグラウンドの圧力を十分に低く維持するため、イオンと中性気体分子との衝突は起こり得ない。
本発明のTOF質量分析計150は、複数の動作モードで使用され得る。例えば、TOF質量分析計150は、質量分析計(MS)モードで作動され得る。MSモードにおいて、第1のイオンフラグメント化器162、第2のイオンフラグメント化器170、および第3のイオンフラグメント化器178は、動作を停止される。第1のイオン選択器160、第2のイオン選択器168、および第3のイオン選択器176のうちの1つ以上は、質量分析器180に伝達されるまでにイオン質量の範囲を限定するために作動され得る。例えば、低質量のイオン(例えば、MALDIにおいてマトリックス物質から生成されるイオン)を除去し、イオン検出器182の飽和状態を回避するためにしばしば有利である。
MSモードにおいて、パルスイオン源152とイオンリフレクター184との間の飛行経路に沿う全範囲は、イオンを飛行経路中に方向付けるために使用される任意のイオンレンズまたはイオンステアリング要素(示さず)に適用されるポテンシャルを除いては、フィールドフリーである。MSモードにおいて、選択される質量範囲内にあるイオンパケット中の実質的にすべてのイオンは、第1のTOF質量分離器158、第2のTOF質量分離器166、および第3のTOF質量分離器174を通って質量分析器180に伝達される。その後、イオンパケット中のイオンは、イオンレフレクター184によって反射され、次いで、イオン検出器182によって時間の関数として検出される。この様式で生成される飛行時間型質量スペクトルは、イオン検出器182によって検出されるイオンの質量対電荷比を決定するために校正され得る。
1つの実施形態において、第1の追加のイオン検出器(示さず)が、イオンの飛行経路に沿って第1のTOF質量分離器158のフィールドフリードリフト空間内に配置される。この実施形態において、第1のイオン選択器160が調整され、第1群のイオンおよびイオンフラグメントのうちの少なくとも一部分が、第1の追加のイオン検出器によって受け取られ、そして残りのイオンが第2のTOF質量分離器166によって受け取られる。
1つの実施形態において、第2の追加のイオン検出器(示さず)が、イオンの飛行経路に沿って第2のTOF質量分離器166のフィールドフリードリフト空間内に配置される。この実施形態において、第2のイオン選択器168が調整され、第2群のイオンおよびイオンフラグメントのうちの少なくとも一部分が、第2の追加のイオン検出器によって受け取られ、そして残りのイオンが第3のTOF質量分離器174によって受け取られる。他の実施形態において、追加のイオン検出器(示さず)が、イオンの飛行経路に沿って第1のTOF質量分離器158および第2のTOF質量分離器166の両方のフィールドフリードリフト空間内に配置される。
第2のイオン選択器168は、第1群のイオンおよびイオンフラグメントから実質的に第2の所定の質量対電荷比範囲(第2群のイオン)内のイオンを選択し、かつ実質的に他のすべてのイオンを排除する。いくつかの適用およびいくつかの動作モードにおいて、第2のイオン選択器168は動作を停止され、第2のTOF質量分離器166においてイオン選択は起こらない。
TOF質量分析計150はまた、タンデム質量分析計−質量分析計(MS−MS)モードで作動され得る。MS−MSモードにおいて、MSモード質量スペクトルで検出される限定的な質量対電荷比範囲内のイオン(第1群のイオン)は、第1のTOF質量分離器158、第2のTOF質量分離器166、または第3のTOF質量分離器174のうちの1つにおいて選択され、かつフラグメント化される。第1群のイオンの選択およびフラグメント化は、これらの3つのTOF質量分離器のいずれかにおいて行われ得る。3つのTOF質量分離器のうちのどの1つが使用され、第1群のイオンの選択およびフラグメント化が実施されるかという決定は、特定の質量分析の要求に基づく。
1つの実施形態において、第2のTOF質量分離器166は、第1のTOF質量分離器158または第3のTOF質量分離器174よりも高い分解能を提供する。1つの実施形態において、TOF質量分析計150の分解能は、選択される質量対電荷比範囲を、個々に荷電されたイオンについて1原子質量単位よりも低く限定する。1つの実施形態において、イオンリフレクター(示さず)は、質量選択の分解能を向上させるために、第1のTOF質量分離器158および第2のTOF質量分離器166のうちの少なくとも1つに配置される。別の実施形態において、イオンリフレクターは、TOF質量分離器の各々に配置される。この実施形態において、第1群のイオンおよび/または第2群のイオンは、単一のイオン種のみを含み得る。個々に荷電されたイオンについての1つの原子質量単位分解能はまた、単位質量分解能と称される。
1つの実施形態において、イオンパケットからの第1群のイオンの選択およびフラグメント化は、第2のTOF質量分析器166で実施される。第2のTOF質量分離器166における加速後のイオンの運動エネルギーは、第1のイオン加速器156に適用される電圧と、第2のイオン加速器164に適用される電圧との間の差によって決定される。第1群のイオンおよびイオンフラグメントが、第3のイオン加速器172に到達すると、第3のイオン加速器172が作動され、第1群のイオンおよびイオンフラグメントが飛行経路に沿って加速される。第1群のイオンおよびイオンフラグメントは、第3のTOF質量分離器174を通って飛行経路に沿って飛行し、そして質量分析のために質量分析器180によって受け取られる。
1つの実施形態において、第3のイオン加速器172によって第1群のイオンおよびイオンフラグメントに伝えられるエネルギーは、イオンが第2のイオン選択器168に到達する場合のイオンパケット中のイオンのエネルギーと比較して大きい。フラグメントイオンは、第1群のイオン中のそれらの親イオンよりも低い運動エネルギーを有し、このことは、第2のイオンフラグメント化器170において中性のフラグメントの損失に起因する。しかし、第3のイオン加速器172による加速後、フラグメントイオンとそれらの親イオンとの間のエネルギーの広がりは、十分に小さく、フラグメントイオンおよび親イオンの両方が、同時に集束され得、そして質量分析器180において検出され得る。この実施形態において、フラグメントイオンの全体の質量範囲以上に、高い質量分解能が提供され得る。
TOF質量分析計150はまた、タンデム質量分析計−質量分析計−質量分析計(MS−MS−MS)モードで作動され得る。MS−MS−MSモードにおいて、MS−MS質量スペクトルにおいて検出される限定的な質量対電荷比内のフラグメントイオン(第2群のイオン)は、さらなるフラグメント化のために選択される。第2のTOF質量分離器166または第3のTOF質量分離器174は、第2群のイオンを選択しかつフラグメント化するために使用され得る。
1つの実施形態において、第2群のイオン中の選択される(単一に荷電される)イオンの質量が、第1群のイオン中のイオンの質量の約3分の1より大きい場合、第2のTOF質量分離器166が、第2群のイオンを選択しかつフラグメント化するために使用される。第2群のイオン中の選択される(単一に荷電される)イオンの質量が、第1群のイオン中のイオンの質量の約3分の1未満である場合、第3のTOF質量分離器174が、第2群のイオンを選択しかつフラグメント化するために使用される。
1つの実施形態において、第2のTOF質量分離器166は、第1群のイオンを選択しかつフラグメント化し、そして第3のTOF質量分離器174は、第2群のイオンを選択しかつフラグメント化する。この実施形態において、イオンリフレクター電圧が調整され、質量分析器180に進入するように実質的に単一の速度で運動する第2群のイオンおよびイオンフラグメントが集束される。
他の実施形態において、第1のTOF質量分離器158は、第1群のイオンを選択しかつフラグメント化し、そして第2のTOF質量分離器166は、第2群のイオンを選択しかつフラグメント化する。この実施形態において、パルスイオン源152に適用される電圧が増加され、第2群のイオンとして選択されるべき所望のフラグメントイオンが、第2のイオンフラグメント化器170におけるフラグメント化のために所望の運動エネルギーを有する。例えば、(単一に荷電されるイオンについて)第2群のイオンにおいて選択されるフラグメント質量対、第1群のイオンにおいて選択される質量の比がRである場合、MS−MSモードで使用される係数と比較して、実質的に1/Rの係数によってパルスイオン源152での電圧が増加される。
第2群のイオンおよびイオンフラグメントが、第3のイオン加速器172に到達すると、第3のイオン加速器172が作動され、飛行経路に沿って第2群のイオンおよびイオンフラグメントが加速される。第2群のイオンおよびイオンフラグメントは、第3のTOF質量分離器174を通って飛行経路に沿って飛行し、そして質量分析のために質量分析器180によって受け取られる。
TOF質量分析計150はまた、タンデム質量分析計−質量分析計−質量分析計−質量分析計(MS−MS−MS−MS)モードで作動され得る。MS−MS−MS−MSモードは、3つのすべてのTOF質量分離器において、イオンを選択することおよびフラグメント化することを必要とする。第1群のイオンは、第1のTOF質量分離器158で選択されかつフラグメント化され、第2群のイオンは、第2のTOF質量分離器166で選択されかつフラグメント化され、そして第3群のイオンは、第3のTOF質量分離器174で選択されかつフラグメント化される。
図3は、図2のタンデム質量分析計150の操作に関連するポテンシャルダイアグラム200を示す。図2および図3の両方を参照して、ポテンシャルダイアグラム200が図示され、図2のタンデム質量分析計150のうちの種々の部分に関連するポテンシャルが示される。イオン発生器154によって生成されるイオンパケットは、ポテンシャルV202を有する。その後、イオンパケットは、第1のイオン加速器156において、ポテンシャル勾配204に曝露され、このことがイオンパケットを加速する。
イオンパケットは、第1のTOF質量分離器158に伝達され、そこではイオンパケットは、一定のポテンシャル206で第1のイオン選択器160およびイオンフラグメント化器162を通過する。第1のイオン選択器160は、第1群のイオンおよびイオンフラグメントを選択する。第1群のイオンおよびイオンフラグメントは、第2のTOF質量分離器166に伝達され、そこでは第1群のイオンおよびイオンフラグメントが、第2のイオン加速器164からのポテンシャル勾配208に曝露される。ポテンシャル勾配は、ポテンシャルV210で終了する。
第1群のイオンのエネルギーは、イオン発生器154によって生成されるイオンの初期運動エネルギーと、第1のイオン加速器156においてポテンシャルV202から生じる運動エネルギーとの和である。従って、第1群のイオンの運動エネルギーTは、
=zV+T
であり、ここでTは、イオン発生器154によって生成されるイオンの初期運動エネルギーであり、そしてzは、イオンの電荷である。初期運動エネルギーTが小さいまたはイオンの質量に関して非依存性である場合、運動エネルギーTは、イオンの質量に関して実質的に非依存性である。特定の質量mのイオンの速度は以下:
v=(2T/m1/2
のとおりである。
これらのイオンがフラグメント化し、質量mより中性フラグメントの質量に相当する量mだけ小さい質量mのイオンを形成し、かつフラグメント化工程に伴う運動エネルギーが小さい場合、フラグメントイオンは、イオン経路に沿って速度vを持続する。フラグメントイオンの運動エネルギーは:
(m)=T
であり、ここでR=m/mである。
第1のイオン選択器162の励起が計時され、所定の速度vに関して微増のイオンが伝達される場合、mのうちの所定の質量範囲内のイオンがそのフラグメントと共に伝達され、そして他のすべてのイオンおよびフラグメントが排除される。
図3中のポテンシャルダイアグラムは、第2のイオン加速器164によって引き起こされるイオン加速を、負の加速または減速として示す。第1のTOF質量分離器158を通り、その後、第2の加速器164を通り(ここでイオンは減速場に曝露される)フラグメント化なしに飛行するイオンの運動エネルギーTは、以下:
=T−zV=zV+T
の等式によって表され得、ここで、Tは、第1のTOF質量分離器158におけるイオンの運動エネルギーを表し、Tは、イオン発生器154によって生成されるイオンの初期運動エネルギーを表し、zは、イオンの電荷を表し、そしてV212は、ポテンシャルV202とポテンシャルV210との間のポテンシャル差である。
質量mの前駆イオンから形成される質量mのフラグメントイオンについて、減速後の運動エネルギーは、以下:
(m)=TR−zV
のとおりであり、ここでRは質量比である。質量mのフラグメントの運動エネルギーが、ゼロ未満またはゼロに等しい場合、これらのイオンフラグメントは、第2のTOF質量分離器166中にさらには伝達されない。特定のフラグメント質量mのエネルギーは、ポテンシャルV202およびポテンシャルV210の相対的な大きさを調整することによって、任意の所定の値に調整され得る。
イオンおよびフラグメントの第1群は、一定のポテンシャルV210で、第2のイオン選択器168および第2のイオンフラグメント化器170を通過する。第2のTOF質量分離器166のフィールドフリー領域を通って飛行する際に第1のTOF質量分離器158において選択される、第1群のイオンからの質量mのフラグメントイオンの速度は:
v(m)=[2T(m)/m1/2
である。
第2のイオン選択器168の励起が計時され、所定の速度v(m)関して微増のイオンが伝達される場合、mのうちの所定の質量範囲内のイオンを含む第2群のイオンが、そのフラグメントと共に伝達され、そして他のすべてが排除される。伝達されるイオンは、第3のイオン加速器172によって加速される。1つの実施形態において、これは、選択されるイオンが加速器に進入した所定の時間後に、振幅V215の加速パルスを適用することによって、イオンを加速するために計時されるパルス加速器である。
1つの実施形態において、勾配214の総加速器ポテンシャルV+Vは、ポテンシャル差V−Vよりもはるかに大きくあるように選択される。この選択は、質量分析器180におけるイオンの総運動エネルギーに対して、フラグメントイオンのエネルギーの広がりを減少させ、そしてイオンリフレクター184に適用されるポテンシャルV220の単一の設定を有するすべてのイオンについて、高い分解能の達成を可能にする。
第3の質量分離器174を通って飛行するイオンは、第3のイオンフラグメント化器178によってフラグメント化が引き起こされ得、そして第3のイオン選択器176によって、特定の範囲の質量およびそのフラグメントが選択され得る。選択されるイオンは、選択される速度の狭い範囲内で飛行し、そしてそのフラグメントは、類似の速度を有するが、本明細書中で考察される中性フラグメントによって運ばれるエネルギーに起因して、異なる運動エネルギーを有する。
フラグメントイオンは、イオンリフレクター184における減速および加速の効果によって、前駆体から分離される。より低いエネルギーのイオンは、イオンリフレクター184中に、より短い距離で進入し、従って、より高いエネルギーのイオンよりも早くイオン検出器182に到達する。従って、フラグメントは、適当な時間に前駆体から分離される。イオンリフレクター184のポテンシャルV220は、通常は、イオン検出器182に前駆イオンを集束させるように設定されるが、ポテンシャルV220が減少される場合には、選択される範囲またはフラグメントイオンが集束され得る。
第1の加速器156、第2の加速器164、および第3の加速器172、ならびにリフレクター184における加速場は、簡単にするために同質の静電場として示される。しかし、本発明のいくつかの実施形態において、これらの静電場は、パルス静電場であり、非同質な静電場であり、または1つ以上の同質な場のセグメントに分割される静電場である。
本発明のタンデム質量分析計は、多数のモードで作動し得る。例えば、MS−MSモードにおいて、ポテンシャルが本明細書中に記載されるように調整され、そして第1のイオンフラグメント化器162は動作を停止される。前駆イオンは、第1のイオン選択器160および第2のイオン選択器168のうちの少なくとも1つによって選択され得る。その後、選択されるイオンは、第2のTOF質量分離器166中で第2のフラグメント化器170によってフラグメント化される。その後、生じるフラグメントスペクトルが、第3のTOF質量分離器174において分離され、その後、質量分析器180によって分析される。
例えば、タンデムMS−MS−MS動作モードにおいて、ポテンシャルは、本明細書中で記載されるMS−MSでの動作のために使用されるポテンシャルと類似である。しかし、ポテンシャルV202とポテンシャルV210との間の差は、第2のTOF質量分離器166において選択される一次フラグメントイオンについて、所定の運動エネルギーを提供するように調整される。このモードにおいて、第1のイオン選択器160は、名目上の前駆質量を選択する。
その後、生じるイオンは、第1のTOF質量分離器158のフィールドフリー領域において、第1のイオンフラグメント化器162によってフラグメント化される。その後、所定の一次フラグメントイオンは、第2のイオン選択器168によって選択される。その後、これらの選択されるイオンは、第2のフラグメント化器170によってさらにフラグメント化される。その後、そのイオンは、第3のTOF質量分離器174において分離され、そして質量分析器180によって分析される。
例えば、タンデムMS−MS−MS−MS動作モードにおいて、第3のフラグメント化器178および第3のイオン選択器176が作動され、第2のフラグメント化器170からの二次フラグメントから、所定の質量を選択しかつフラグメント化する。
1つの実施形態において、本発明のタンデムTOF質量分析計150の動作モードは、化学サンプルの分析中に、コンピュータ制御下で自動的に変化される。この実施形態において、本発明に従うタンデムTOF質量分析計の動作モードは、単独のMSモード、MS−MSモード、MS−MS−MSモード、またはMS−MS−MS−MSモード(および当然、より高次なモード(MS))に変化され得る。
例えば、タンデムTOF質量分析計の動作モードは、ポテンシャルV212およびV215をゼロまで減少させ、かつイオンフラグメント化器162、170、および178を停止させることによって、単独のMSモードに変化され得る。イオン選択器160、168、および178のうちの1つ以上が、スペクトルから不要なイオンを除去するために使用され得る。例えば、分析中のサンプルと無関係なMALDIマトリックス由来のイオン、または他のバックグラウンドの物質を除去するために、イオン選択器160、168、または178が使用され得る。
本明細書は、質量分析の4つの段階に関する記載を含む。しかし、本発明は、使用される段階の数において限定されない。本明細書中に記載されるように追加のTOF質量分離器を備えることによって、さらなる段階が追加され得る。さらなる段階は、さらなる構造的情報を提供するために必須のものとして、必要とされる。また、さらなる段階は、さらなる機能性を提供するために使用され得る。多数の段階を含む実用的なデバイスが、構築され得る。
本発明のタンデム質量分析計の1つの実施形態において、分析計は、多数の段階(4つの段階より多い)を含み、そして必要とされる質量分離は、正の加速のみを使用することによって達成される。しかし、このような系が、各々の段階でのイオンエネルギーにおける増加を伴うため、適用される電圧についての実施上の制限内で、フラグメントスペクトルについて高い分解能を達成するのは困難である。本発明のタンデム質量分析計の別の実施形態において、分析計は、多数の段階(4つの段階より多い)の質量分析を含み、そして必要とされる質量分離は、各々の連続的な段階で加速および減速を交互にすることによって達成される。
タンデム質量分析計に関して多数の重要な適用が存在する。特定の関心についての1つの適用は、生物学的サンプル中のタンパク質の同定および特徴付けである。このようなタンパク質は、通常は、比較的に複雑な混合物である。サンプル中に存在する可能な限り多くのタンパク質を同定し、定量し、そして特徴付けすることが所望される多くの適用が存在する。
タンパク質を同定しかつ特徴付けるために公知の技術の1つは、タンパク質サンプルを適切なタンパク質分解酵素(例えば、タンパク質をペプチドフラグメントに切断するトリプシン)を使用して消化することである。例えば、トリプシンは、タンパク質中のアルギニンおよびリシン残基のC末端側を切断する。この技術を使用して、サンプル中の各々のタンパク質は、より低い分子量の多数のペプチドに変換され、そしてそのペプチドの分子量が、質量分析法によって正確に決定される。MALDI−TOFは、タンパク質消化によって生成されるペプチドの分子量を正確に決定するための、好ましい方法である。
図4は、タンパク質サンプルのトリプシン消化から得られる、MALDI質量スペクトルの例250を示す。このような質量スペクトルは、ペプチド質量フィンガープリントとして、当該分野で公知である。この例において、分子量は、検出されるすべてのペプチドについて、10ppm未満と推定される誤差を有して決定される。観察される質量は、市販のデータベース中の公知のタンパク質の消化から予期される質量と、比較され得る。
観察される質量とデータベース中の特定のタンパク質について予期される質量との間に十分な数の一致が観察される場合、そのタンパク質がサンプル中に存在することが、高い信頼度で結論付けられ得る。図4において示される例において、20個以上の観察される質量が、10ppm未満の誤差で、E.coli由来のタンパク質βガラクトシダーゼから予期される質量と一致する。従って、図4において示される例から、βガラクトシダーゼタンパク質がサンプル中に存在することが、明らかである。
図4において観察される多くの質量は、E.coli由来のβガラクトシダーゼの予期されるトリプシンフラグメントと一致するが、スペクトル中のいくつかの顕著なピークは一致しない。スペクトル中のこれらのピークは、サンプル中の他のタンパク質の存在、あるいはそれらのピークが、同定されるタンパク質の構造がデータベース中の構造と同一でないことを示し得ることのいずれかに起因し得る。例えば、そのタンパク質は変異を含み得、または別の種由来の相同タンパク質であり得る。このような場合において、ペプチド質量フィンガープリント単独では不十分であり得、さらなるタンデム質量分析が必要とされ得る。このような場合の1つは、図4における名目上のm/z3001でのスペクトルピーク252である。
図5は、図4において示されるスペクトル250の高質量部分300の拡大図を示す。このスペクトルの高質量部分は、名目上のm/z3001でのスペクトルピーク252以外のピーク(例えば、質量2847でのスペクトルピーク(302として示す)、質量2866でのスペクトルピーク(304として示す)、質量2883でのスペクトルピーク(306として示す))を示す。これらのピークは、βガラクトシダーゼ由来のトリプシンペプチドピークとして同定される。しかし、名目上のm/z3001で示されるスペクトルピークは、任意のトリプシンペプチドと同一であるとはされない。
図6aは、タンパク質消化から名目上のm/z3001イオンを選択しかつMS−MS分析を実施することよって得られた、MALDI−TOF MS−MSスペクトル350を示す。名目上のm/z3001イオンは、第1のイオン分離器158において選択される。その後、選択されるイオンは、第2のイオン分離器166においてフラグメント化される。その後、そのフラグメントは、TOF質量分析器180において分析される。
フラグメントスペクトルにおいて観察される質量は、データベース中のタンパク質のトリプシン消化によって生成されるペプチドから予期されるフラグメントと、比較され得る。ペプチドフラグメント化についての原則は周知であり、所定の分子量およびアミノ酸配列の任意のペプチドのフラグメント化から予期される質量が、予測可能である。
図6aにおいて示される例において、測定値に関して10ppm以内の分子量を有するペプチドがないことは、観察されるフラグメント質量スペクトルと一致するフラグメントスペクトルを生成することを見出した。しかし、14ダルトンより高い質量を有するペプチドは、トリプシンフラグメントと予測された。この質量は、図4および図5において示されるスペクトルにおいては観察されなかった。名目上の分子量3015のペプチドについて予測されたフラグメントスペクトルの低質量部分は、図6aにおいて示されるフラグメントスペクトルと良く一致したが、いくつかのより高い質量イオン(分子イオンを含む)は、14ダルトン異なった。
名目上の前駆体m/z3001について得られるMS−MSスペクトルの解釈は、図6bに示される。アミノ酸についての標準的な一文字コードを使用する配列360は、N末端第15番目のアミノ酸である370位にグルタミン酸(E)を有する名目上のm/z3015のタンパク質について、商業用データベースから検索される配列に相当する。慣習的に、配列はN末端を左に、そしてC末端を右にして書かれる。慣習的な表記において、C末端に電荷を有するフラグメントイオンは、アルファベットの終わりの文字(例えば、x、y、z)で標識され、そしてN末端に電荷を有するフラグメントイオンは、アルファベットの始めの文字(例えば、a、b、c)で標識される。特に、アミノ酸間のペプチド結合の単一の切断に起因するイオンは、電荷がC末端上である場合はyイオンとして標識され、電荷がN末端上である場合はbイオンとして標識される。従って、370位のC末端側でのペプチドのフラグメント化は、y12イオンおよびb15イオンを生じる。図6aにおいて示されるスペクトルにおいて、顕著なピークが、配列360由来のy12イオンについて予期されるm/zに相当するm/z1297.53にて観察されるが、m/z1704.76でのピークは、370位にグルタミン酸(E)ではなくアスパラギン酸(D)を有するb15イオンについて予期されるm/zに相当する。図6bにおける他の標識化ピークによって示されるように、完全なフラグメントスペクトルは、370位にアスパラギン酸(D)を有する配列360の予期されるフラグメント化と良く一致するが、より高い質量イオンは、370位にグルタミン酸(E)を有する配列360について予期されるイオンと、14質量単位だけ異なる。
予期されるスペクトルと測定されるスペクトルとの比較は、分析されるサンプルにおいて、ペプチド中の370位のアミノ酸が、図6bにおいて示されるようにデータベースから検索される配列において与えられるグルタミン酸(E)ではなく、アスパラギン酸(D)であることを示す。この補正によって、観察されるスペクトルは、予期されるスペクトルと一致する。得られるスペクトルは、示されたグルタミン酸(E)がアスパラギン酸(D)により置換された、E.coli由来のβガラクトシダーゼのタンパク質の変異体と一致する。
測定されるMS−MSスペクトルは、観察されるペプチドがβガラクトシダーゼ由来であり、そして示されるアミノ酸がグルタミン酸ではなくアスパラギン酸であると確信を持って主張するのに十分である。しかし、測定されるMS−MSスペクトルは、測定されるペプチドとデータベース中の配列との間に、他の未検出の相違がないことを確信するのに不十分であり得る。
例えば、y6とy12(図6bを参照のこと)との間の領域に相当するピークの強度は、やや弱い。測定される質量は、このタンパク質のアミノ酸組成がおそらく正しいことを示す。しかし、この領域における配列が正しいことを確信を持って主張するのは不可能である。また、名目上のm/z304でのピークは、示される配列から予期されるフラグメントとは一致しない。1つの可能性は、このフラグメントが理論的なモデルに含まれないフラグメント化プロセスの結果である、またはそのことがこの配列中の誤差を示し得るということである。これらの問題は、タンデム質量分析をさらなるMS段階の使用を通して拡張するすることによって対処され得る。
例えば、MS−MS−MSモードにおいて、名目上のm/z3001前駆体は、第1の質量分離器158において選択されかつフラグメント化され、y12フラグメント(m/z1297.5)は、第2の質量分離器166において選択されかつフラグメント化され、そしてy12のフラグメントが分析され、タンパク質のこの部分の配列におけるより確定的なデータが提供される。同様に、名目上のm/z3001前駆体は、第1の質量分離器158において選択され、第2の質量分離器166においてフラグメント化され、そして名目上のm/z304でのフラグメントが第3の質量分離器174において選択されかつフラグメント化される。名目上のm/z304のフラグメントは、質量分析器180において分離されかつ分析され、このイオンの構造における情報が提供される。
(等価物)
本発明は、特定の好ましい実施形態に関して、詳細に示しかつ記載したが、形態および詳細における種々の変化が、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなしになされ得ることが、当業者により理解されるべきである。
図1は、本発明に従うタンデム質量分析計の一般的なブロック図を示す。 図2は、本発明に従うタンデム質量分析計のより詳細なブロック図を示す。 図3は、図2の質量分析計150の操作に関連するポテンシャルダイアグラムを示す。 図4は、タンパク質サンプルのトリプシン消化から得られるMALDI質量スペクトルの一例を示す。 図5は、図4で示されるトリプシン消化から得られる質量スペクトルの、高質量部の拡大図を示す。 図6aは、タンパク質消化からm/z 3001フラグメントイオンを選択し、MS−MS分析を実施することによって得られた、MALDI−TOF MS−MSスペクトルを示す。 図6bは、タンパク質消化からm/z 3001フラグメントイオンを選択し、MS−MS分析を実施することによって得られた、図6aのMALDI−TOF MS−MSスペクトルの解釈を示す。

Claims (27)

  1. タンデム飛行時間型質量分析計であって、以下;
    a)複数のイオンを発生させるパルスイオン源;
    b)該パルスイオン源によって発生された該複数のイオンを受け取るように配置される第1の飛行時間型質量分離器であって、該第1の飛行時間型質量分離器は、該複数のイオンを加速し、該加速された複数のイオンのうちの少なくとも一部分をフラグメント化し、そして第1群のイオンおよびイオンフラグメントを選択する、第1の飛行時間型質量分離器であって、該フラグメント化工程は、イオンをフィールドフリーの領域を通過させて、フラグメント化を増強させる工程を包含する、第1の飛行時間型質量分離器
    c)該第1群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取るように配置される第2の飛行時間型質量分離器であって、該第2の飛行時間型質量分離器は、該第1群のイオンおよびイオンフラグメントを加速し、該加速された第1群のイオンおよびイオンフラグメントのうちの少なくとも一部分をフラグメント化し、そして第2群のイオンおよびイオンフラグメントを選択する、第2の飛行時間型質量分離器であって、該フラグメント化工程は、イオンをフィールドフリーの領域を通過させて、フラグメント化を増強させる工程を包含する、第2の飛行時間型質量分離器
    d)該第2群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取るように配置される第3の飛行時間型質量分離器であって、該第3の飛行時間型質量分離器は、該第2群のイオンおよびイオンフラグメントを加速する、第3の飛行時間型質量分離器;そして
    e)該第3の飛行時間型質量分離器から該第2群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取るように配置されるイオン検出器
    を備える、タンデム飛行時間型質量分析計。
  2. 前記パルスイオン源が、レーザー脱離/イオン化イオン源を備える、請求項1に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  3. 前記パルスイオン源が、遅延抽出イオン源を備える、請求項1に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  4. 前記パルスイオン源が、イオンを第1のフィールドフリー領域中に注入するインジェクター、および注入の方向に対して垂直方向に該イオンを引き出すパルスイオン加速器を備える、請求項1に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  5. 前記イオン検出器によって検出されたイオンの質量対電荷比を決定するプロセッサをさらに備える、請求項1に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  6. 前記第2群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取るように配置されるイオンリフレクターをさらに備え、該イオンリフレクターは、該第2群のイオンおよびイオンフラグメントのエネルギーを補正する、請求項1に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  7. 前記第3の飛行時間型質量分離器が、パルス加速により前記第2群のイオンおよびイオンフラグメントを加速する、請求項1に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  8. 前記第2の飛行時間型質量分離器が、負の加速により前記第1群のイオンおよびイオンフラグメントを加速する、請求項1に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  9. 前記第1の飛行時間型質量分離器が、フィールドフリー領域に配置されるイオン選択器を備え、該イオン選択器は、実質的に第1の所定の質量対電荷比の範囲内にある質量対電荷比を有するイオンを選択する、請求項1に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  10. 前記第2の飛行時間型質量分離器が、フィールドフリー領域に配置されるイオン選択器を備え、該イオン選択器は、実質的に第2の所定の質量対電荷比の範囲内にある質量対電荷比を有するイオンを選択する、請求項1に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  11. 前記第1の飛行時間型質量分離器および前記第2の飛行時間型質量分離器のうちの少なくとも1つが、フラグメントイオンを選択する定時イオン選択器を備える、請求項1に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  12. 前記第1の飛行時間型質量分離器および前記第2の飛行時間型質量分離器のうちの少なくとも1つが、イオンフラグメント化器を備える、請求項1に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  13. 前記イオンフラグメント化器が、イオンが中性気体分子と衝突するのを引き起こすことによってイオンをフラグメント化する衝突室を備える、請求項12に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  14. 前記イオンフラグメント化器が、イオンに光子線を照射することによってフラグメントイオンを形成する光解離室を備える、請求項12に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  15. 前記イオンフラグメント化器が、イオンを固体表面または液体表面と衝突させることによってフラグメントイオンを形成する表面解離フラグメント化器を備える、請求項12に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  16. 前記第1の飛行時間型質量分離器および前記第2の飛行時間型質量分離器のうちの少なくとも1つが、イオン集束エレメントを備える、請求項1に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  17. 前記第1の飛行時間型質量分離器および前記第2の飛行時間型質量分離器のうちの少なくとも1つが、イオンステアリングエレメントを備える、請求項1に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  18. 前記第1の飛行時間型質量分離器および前記第2の飛行時間型質量分離器のうちの少なくとも1つが、イオンガイドを備える、請求項1に記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
  19. フラグメントイオンの高分解能な飛行時間型質量分析のための方法であって、該方法は以下:
    a)目的のサンプルからイオンパルスを発生させる工程;
    b)ある時間間隔中に該イオンパルスから前駆イオンを選択して、選択された前駆イオンを形成する工程であって、該選択された前駆イオンは、所定の質量対電荷比を有する、工程;
    c)該選択された前駆イオンをフラグメント化する工程であって、該工程は、イオンをフィールドフリーの領域を通過させて、フラグメント化を増強させる工程を包含する、工程
    d)ある時間間隔中に該フラグメント化された選択された前駆イオンから一次イオンフラグメントを選択して、選択された一次イオンフラグメントを形成する工程;
    e)該選択された一次イオンフラグメントをフラグメント化して、二次イオンフラグメントを形成する工程であって、該工程は、イオンをフィールドフリーの領域を通過させて、フラグメント化を増強させる工程を包含する、工程
    f)フラグメント化されていない選択された一次イオンフラグメントから、二次イオンフラグメントを分離する工程;ならびに
    g)該選択された一次イオンフラグメントおよび該二次イオンフラグメントのうちの少なくとも1つを時間の関数として検出して、質量スペクトルを作成する工程
    を包含する、方法。
  20. 前記選択された一次イオンフラグメントの運動エネルギーを調整する工程をさらに包含する、請求項19に記載の方法。
  21. 前記二次イオンフラグメントを集束する工程をさらに包含する、請求項19に記載の方法。
  22. 前記イオンパルスを発生させる工程が、エレクトロスプレー、空気支援エレクトロスプレー、化学イオン化、MALDI、およびICPのうちの1種を使用することによって該イオンパルスを発生させる工程を包含する、請求項19に記載の方法。
  23. 前記選択された前駆イオンをフラグメント化する工程が、該選択された前駆イオンを中性気体分子と衝突させることによって、該選択された前駆イオンを励起する工程を包含する、請求項19に記載の方法。
  24. 前記前駆イオンを選択する工程が、前記選択された前駆イオンを定時イオン選択器を通して伝達する工程、および他のすべてのイオンを実質的にブロックする工程を包含する、請求項19に記載の方法。
  25. 前記一次イオンフラグメントを選択する工程が、該一次イオンフラグメントを定時イオン選択器を通して伝達する工程、および他のすべてのイオンを実質的にブロックする工程を包含する、請求項19に記載の方法。
  26. タンデム飛行時間型質量分析計であって、以下;
    a)複数のイオンを発生させるパルスイオン源;
    b)該パルスイオン源によって発生された該複数のイオンを受け取るように配置される第1の飛行時間型質量分離器であって、該第1の飛行時間型質量分離器は、該複数のイオンを加速し、該加速された複数のイオンのうちの少なくとも一部分をフラグメント化し、そして第1群のイオンおよびイオンフラグメントを選択する、第1の飛行時間型質量分離器であって、該フラグメント化工程は、イオンをフィールドフリーの領域を通過させて、フラグメント化を増強させる工程を包含する、第1の飛行時間型質量分離器
    c)該第1群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取るように配置される第2の飛行時間型質量分離器であって、該第2の飛行時間型質量分離器は、該第1群のイオンおよびイオンフラグメントを加速し、該加速された第1群のイオンおよびイオンフラグメントのうちの少なくとも一部分をフラグメント化し、そして第2群のイオンおよびイオンフラグメントを選択する、第2の飛行時間型質量分離器であって、該フラグメント化工程は、イオンをフィールドフリーの領域を通過させて、フラグメント化を増強させる工程を包含する、第2の飛行時間型質量分離器
    d)該第2群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取るように配置される第3の飛行時間型質量分離器であって、該第3の飛行時間型質量分離器は、該第2群のイオンおよびイオンフラグメントを加速し、該加速された第2群のイオンおよびイオンフラグメントのうちの少なくとも一部分をフラグメント化し、そしてそして第3群のイオンおよびイオンフラグメントを選択する、第3の飛行時間型質量分離器であって、該フラグメント化工程は、イオンをフィールドフリーの領域を通過させて、フラグメント化を増強させる工程を包含する、第3の飛行時間型質量分離器
    e)該第3群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取るように配置される第4の飛行時間型質量分離器であって、該第4の飛行時間型質量分離器は、該第3群のイオンおよびイオンフラグメントを加速する、第3の飛行時間型質量分離器;そして
    f)該第4の飛行時間型質量分離器から該第3群のイオンおよびイオンフラグメントを受け取るように配置されるイオン検出器
    を備える、タンデム飛行時間型質量分析計。
  27. タンデム飛行時間型質量分析計であって、以下;
    a)目的のサンプルからイオンパルスを発生させるための手段;
    b)ある時間間隔中に該イオンパルスから前駆イオンを選択して、選択された前駆イオンを形成するための手段;
    c)該選択された前駆イオンをフラグメント化するための手段であって、該フラグメント化工程は、イオンをフィールドフリーの領域を通過させて、フラグメント化を増強させる工程を包含する、手段
    d)ある時間間隔中に該フラグメント化された選択された前駆イオンから一次イオンフラグメントを選択して、選択された一次イオンフラグメントを形成するための手段;
    e)該選択された一次イオンフラグメントをフラグメント化して、二次イオンフラグメントを形成するための手段であって、該フラグメント化工程は、イオンをフィールドフリーの領域を通過させて、フラグメント化を増強させる工程を包含する、手段
    f)フラグメント化されていない選択された一次イオンフラグメントから、該二次イオンフラグメントを分離するための手段;ならびに
    g)該選択された一次イオンフラグメントおよび該二次イオンフラグメントのうちの少なくとも1つを時間の関数として検出して、質量スペクトルを作成するための手段
    を含む、タンデム飛行時間型質量分析計。
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