JP4487466B2 - 火花点火式直噴エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた火花点火式直噴エンジンの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、火花点火式エンジンにおいて、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を設け、エンジンの低負荷低回転側の運転領域で空燃比をリーンとするとともに、燃料噴射弁から圧縮行程で燃料を噴射することにより、点火プラグの周りに混合気を偏在させて成層燃焼を行わせることにより、燃費を改善することが行われている。
【0003】
例えば特開平2000−204954号公報に示されるように、燃焼室内にタンブル流を生成し、このタンブル流の強度を調整する空気流動調整弁(TCV:タンブル調節弁)を吸気通路に設けるとともに、燃焼室内に対してタンブル流と逆行するように燃料を噴射する燃料噴射弁を配設することにより、この燃料噴射弁からの燃料噴霧をタンブル流と衝突させて点火プラグ付近へ搬送するように構成されたエンジンの制御装置が知られている。
【0004】
さらに、上記公報に示されたエンジンの制御装置では、エンジン回転数の変化に伴ってタンブル流の強度が変化したときに、燃料噴霧のエネルギーとタンブル流のエネルギーとのバランスが崩れて燃料噴霧が点火プラグ付近に適正に搬送されなくなるという問題を解決するため、空気流動調整弁の開度と、燃料噴射弁から噴射される燃料の燃圧とをエンジンの回転数に応じて変化させるように制御している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように燃料噴射量の少ない成層燃焼運転時に、燃焼室内に燃料を直接噴射することにより、上記点火プラグ周りに混合気を成層化させるように構成されたエンジンでは、上記混合気を点火プラグ周りに滞留させ得る時間が短い傾向がある。したがって、例えば上記公報に開示されているように、エンジン回転数の変化に伴ってタンブル流の強度が変化した場合に、これに対応させて混合気の成層化を調整すべく、空気流動調整弁の開度と燃圧とをエンジンの回転数に応じて制御するように構成した場合においても、エンジンの運転状態に対応した成層化の調整を行う面で、以下のような課題が残されていた。
【0006】
すなわち、排気還流手段により排気が吸気系に還流され、あるいは高負荷高回転の運転状態が所定時間継続される等により、気筒内の温度が高くなっている場合には、燃料噴霧が気化し易い状態にあるため、気筒内の温度が低い場合に比べて燃料の噴霧貫徹力が低下する傾向がある。したがって、例えば成層燃焼運転時に、気筒内の温度が低い状態で、点火プラグの周りに混合気が適正に成層化されるように、空気流動調整弁の開度と燃圧とが調整されていても、気筒内の温度が高い場合には、上記噴霧貫徹力の低下により燃料の噴霧貫徹力とタンブル流の強度とのバランスが崩れ、このタンブル流によって燃料噴霧が燃焼室の周辺部側に押し流され、点火プラグ周りに混合気を適正に成層化することができなくなって燃焼安定性が損なわれるという問題があった。
【0007】
また、燃料噴射弁に燃料を供給する燃料供給系の製造コストを安価にするとともに、燃料供給系における蒸発燃料の発生量を低減することを目的として、上記燃料噴射弁に供給された燃料の一部を燃料タンクに戻すリターン通路を省略したエンジンでは、均一燃焼領域から燃料カット領域を経て成層燃焼領域に移行した場合に、燃料噴射を行わなければ燃圧を低下させることができないので、制御応答性が悪いという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、均一燃料領域から燃料カット領域を経た成層燃焼領域への移行時に、燃料噴射制御を適正に実行することができる火花点火式直噴エンジンの制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、燃焼室内に燃料を直接噴射するとともに、燃料噴射に応じて燃圧の低下を実現する燃料噴射弁を備え、燃料の特定運転領域で燃料のカット制御を実行するように構成された火花点火式直噴エンジンの制御装置において、エンジン回転数に対応した基本燃圧を設定するとともに、エンジンが均一燃焼領域から燃料カット領域を経て成層燃焼領域に移行した場合に、筒内温度状態に応じて上記基本燃圧を補正することにより、燃圧の制御目標値を設定する燃圧制御手段を備えたものである。
【0010】
上記構成によれば、均一燃焼領域から燃料カット領域を経た成層燃焼領域への移行時に、気筒内の温度が高く、燃料噴霧が気化し易い状態にあることが確認された場合には、基本燃圧が筒内温度状態に応じて補正されることにより、燃焼安定性を確保しつつ、上記制御目標値に燃圧を早期に低下させて、エンジンを燃料カット状態から成層燃焼状態に移行させる制御が迅速に実行されることになる。
【0011】
請求項2に係る発明は、上記請求項1記載の火花点式直噴エンジンの制御装置において、均一燃焼領域から燃料カット領域を経た成層燃焼領域への移行時に、均一燃焼領域から燃料カット領域に移行する直前における燃圧と、上記燃圧制御手段により設定された燃圧の制御目標値との偏差が、予め設定された基準値よりも大きい場合には、均一燃焼状態を介して成層燃焼状態に移行させるものである。
【0012】
上記構成によれば、均一燃焼領域から燃料カット領域を経た成層燃焼領域への移行時に、上記偏差が、基準値よりも大きいことが確認された場合には、燃料噴射量が多い均一燃焼状態を介して成層燃焼状態に移行させる制御が実行されることにより、燃焼安定性が確保されるとともに、上記制御目標値に燃圧を一致させる制御が迅速に実行されることになる。
【0013】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置において、エンジンの均一燃焼領域から燃料カット領域への移行時におけるエンジン回転数が、燃料カット領域から成層燃焼領域への移行時におけるエンジン回転数よりも高い場合に、気筒内温度状態に応じて上記燃圧の制御目標値を基本燃圧よりも高い値に補正する制御を実行するものである。
【0014】
上記構成によれば、燃料供給系に保持された燃圧が低いにも拘わらず、上記制御目標値が通常時よりも高い値に設定されるという事態の発生が防止されるとともに、上記燃料供給系に保持された燃圧が高い状態で、燃料カット領域から成層燃焼領域に移行した場合に、上記燃圧の制御目標値を基本燃圧よりも高い値に補正する制御が適正に実行されることになる。
【0015】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3の何れかに記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置において、エンジンが均一燃焼領域から燃料カット領域に移行した後、エンジン回転数が燃料カット領域の下限値未満に低下した場合には、均一燃焼状態に移行させるとともに、燃圧が上記制御目標値まで低下したことが確認された時点で、成層燃焼状態に移行させるものである。
【0016】
上記構成によれば、エンジンが均一燃焼領域から燃料カット領域に移行した後、エンジン回転数が燃料カット領域の下限値未満に低下することにより成層燃焼領域に移行したことが確認された場合には、均一燃焼状態を介して成層燃焼状態に移行させる制御が実行されることにより、燃焼安定性が確保されるとともに、上記制御目標値に燃圧を一致させる制御が迅速に実行されることになる。
【0017】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4の何れかに記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置において、均一燃焼領域から燃料カット領域への移行時におけるエンジン回転数と、燃料カット領域から成層燃焼領域への移行時におけるエンジン回転数との偏差が、予め設定された所定値以上である場合には、均一燃焼状態を経て成層燃焼状態に移行させ、上記所定値未満である場合には、均一燃焼状態を経ることなく成層燃焼状態に移行させるものである。
【0018】
上記構成によれば、均一燃焼領域から燃料カット領域を経た成層燃焼領域への移行時に、上記偏差が大きいことが確認された場合には、均一燃焼状態を介して成層燃焼状態に移行させることにより、燃焼安定性を確保しつつ、上記制御目標値に燃圧を一致させる制御が迅速に実行され、上記偏差が小さいことが確認された場合には、燃圧の制御目標値が基本燃圧よりも高めに設定された状態で成層燃焼状態に移行させる制御が実行されることになる。
【0019】
請求項6に係る発明は、上記請求項1〜5の何れかに記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置において、エンジンが均一燃焼領域から燃料カット領域に移行した後、少なくともエンジンの低速回転の高温状態で、燃料カット領域から成層燃焼領域に移行した場合には、この時点で成層燃焼状態に移行させるとともに、エンジンの高速回転の低温状態で、均一燃焼領域から燃料カット領域に移行した場合には、均一燃焼状態を介して成層燃焼状態に移行させるものである。
【0020】
上記構成によれば、少なくともエンジンの低速回転の高温状態で、上記燃料カット領域から成層燃焼領域に移行したことが確認された場合には、筒内温度状態に応じて燃圧の制御目標値が高い値に補正されることにより、この制御目標値に燃圧を早期に低下させて、エンジンを燃料カット状態から成層燃焼状態に移行させる制御が迅速に実行されることになる。また、エンジンの高速回転の低温状態で、上記燃料カット領域から成層燃焼領域に移行したことが確認された場合には、燃料噴射量の多い均一燃焼状態を介して成層燃焼状態に移行させる制御が実行されることにより、燃焼安定性が確保されるとともに、上記制御目標値に燃圧を一致させる制御が迅速に実行されることになる。
【0021】
請求項7に係る発明は、上記請求項1〜6の何れかに記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置において、燃焼室内にタンブル流を生成するタンブル生成手段を備え、エンジンの成層燃焼運転時に、燃焼室内で生成されたタンブル流に対向させるように燃料噴射弁から燃料を噴射することにより、点火プラグ周りに混合気を成層化させた状態で点火するように構成したものである。
【0022】
上記構成によれば、均一燃焼領域から燃料カット領域を経た成層燃焼領域への移行時に、気筒内の温度が高く、燃料噴霧が気化し易い状態にあることが確認された場合には、基本燃圧が筒内温度状態に応じて補正されることにより、燃圧を制御目標値に低下させる制御が迅速に実行されるとともに、燃料の噴霧貫徹力とタンブル流の強度とを適正にバランスさせることが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置を備えた火花点火式直噴エンジンの全体的な構成を示している。この図において、上記エンジン本体1は、複数の気筒2が配設されたシリンダブロック3と、このシリンダブロック3上に配設されたシリンダヘッド4とを有し、各気筒2内には、ピストン5が上下方向に往復動可能に嵌装され、このピストン5とシリンダヘッド4との間に燃焼室6が形成されている。上記ピストン5は、シリンダブロック3の下方に配設されたクランク軸7に、コネクティングロッド8を介して連結されている。上記クランク軸7の一端部側には、クランク角(クランク軸7の回転角度)を検出する電磁式のクランク角センサ9が配設されている。
【0024】
上記各気筒2の燃焼室6は、その天井部が中央部分からシリンダヘッド4の下端まで延びる二つの傾斜面で構成された所謂ペントルーフ型となっている。この燃焼室6の天井部を構成する二つの傾斜面には、吸気ポート10および排気ポート11がそれぞれ二つずつ開口し(図6参照)、各ポート10,11の開口端には、吸気弁12および排気弁13がそれぞれ設けられている。これらの吸気弁12および排気弁13は、シリンダヘッド4の上部に軸支された二本のカム軸等からなる動弁機構14により、それぞれ各気筒2毎に所定のタイミングで開閉作動されるようになっている。
【0025】
上記燃焼室6の中央部上方には、上記四つの吸気弁12および排気弁13により取り囲まれるように点火プラグ16が配設され、この点火プラグ16の先端部が上記天井部から燃焼室6内に突出している。上記点火プラグ16には点火回路17が接続され、この点火回路17から各気筒2毎に所定のタイミングで点火プラグ16に通電されるようになっている。
【0026】
また、燃焼室6の周縁部には、二つの吸気ポート10に挟まれるように燃料噴射弁18が配置され、この燃料噴射弁18から燃焼室6内に直接燃料が噴射されるようになっている(図7参照)。上記燃料噴射弁18の基端部には、全気筒2に共通の燃料分配管19が接続され、燃料供給系20から供給される高圧の燃料が上記燃料分配管19を介して各気筒2に分配されるようになっている。
【0027】
上記燃料供給系20は、図2に示すように、燃料分配管19と燃料タンク21とを連通させる燃料通路22の上流側から下流側に向かって、低圧ポンプ23、低圧レギュレータ24、燃料フィルタ25および高圧ポンプ26が順に配設されている。そして、上記低圧ポンプ23により燃料タンク21から吸い上げられた燃料が、低圧レギュレータ24により調圧された後、燃料フィルタ25により濾過された状態で高圧ポンプ26に圧送されるようになっている。
【0028】
上記高圧ポンプ26は、燃料の吐出量を広い範囲に亘って調節可能な電磁ポンプ等からなり、燃料分配管19への燃料の吐出量を調節することにより、燃料の噴射圧力を適正値(例えば略3MPa〜略13MPa、好ましくは4MPa〜7MPa程度)に制御するように構成されている。このように構成された燃料供給系20は、高圧ポンプ26によって昇圧された燃料の一部を燃料タンク21に戻すことにより、燃圧を調節する高圧レギュレータを備えたものに比べ、構造が簡単であるとともに、蒸発燃料の発生量を低減することが可能であり、かつ燃料噴射を行わなければ燃圧を低下させることができないという特性がある。
【0029】
また、上記燃料噴射弁18は、燃料噴霧の拡がり角度が70°以下、例えば30°に設定された噴射ノズルを有している。上記燃料噴霧の拡がり角度は、燃焼室6内の圧力状態に応じて変化するものであるが、この実施形態では、図3(a)に示すように、燃料噴射弁の噴孔部A点から20mmだけ下流の位置において、噴霧中心線Fが通る仮想平面と、燃料噴霧の輪郭とが交差する2点B,Cを決定し、∠BACをもって燃料の噴霧拡がり角度θを定義する。
【0030】
なお、図3(b)に示すように、噴霧中心線Fが通る仮想平面状において、燃料噴霧の先端側で、所謂先走り噴霧(初期噴霧)を除いた主噴霧(燃料液滴のエリア)の最先端部を、それぞれB1,C1とし、燃料噴射弁18の噴孔部Aから上記B1点までの噴霧中心線Fに沿った距離をL1とし、同じくA点からC1点までの距離をL2として、これらの平均値をもって噴霧貫徹力Lを定義する(L=(L1+L2)/2)。
【0031】
上記噴霧拡がり角度θおよび噴霧貫徹力Lの実際の計測方法としては、例えばレーザシート法を用いればよい。すなわち、燃料噴射弁18から噴射される流体として燃料性状相当のドライソルベントなる試料を使用し、この試料の圧力を常温下において所定値(例えば7MPa)に設定する。また、雰囲気圧力としては、噴霧の撮影が可能なレーザ通過窓と観測用窓とを備えた圧力容器内を、例えば0.25MPaに加圧する。そして、常温下において、1パルス当たりの噴射量が9mm3/strokeとなるように、燃料噴射弁18に所定パルス幅の駆動パルスを入力して上記試料を噴射する。
【0032】
そして、上記噴霧の軸中心線Fを通る厚さ約5mmのレーザシート光を照射しつつ、このレーザシート光面に対して直交する方向から高速度カメラにより噴霧画像を撮影し、上記駆動パルスの入力時点から1.56msec後の撮影画面に基づき、上記定義にしたがって、噴霧拡がり角度θおよび貫徹力Lを決定する。なお、上記撮像画面における噴霧の輪郭は、液滴状試料粒子の噴霧エリアであり、この噴霧エリアはレーザシート光によって明るくなるため、撮像画面において輝度の変化している部分から噴霧の輪郭を割り出すようにしている。
【0033】
上記エンジン本体1の構造を、図4に示す拡大断面図を参照しつつ、さらに詳しく説明すると、上記吸気ポート10が燃焼室6から斜め上方に向かって直線的に延びるとともに、エンジン本体1の一側面(図4の左側面)に開口しており、二つの吸気ポート10(その一方は図示せず)が互いに独立して形成されている。これらの吸気ポート10によりタンブル生成手段が構成され、吸気ポート10を通って燃焼室6内に流入する吸気により、タンブル流Tが生成されるようになっている。図4に示すように、燃焼室6内の左側に吸気ポート10、右側に排気ポート11が位置する断面においては、時計方向(図4中の矢印方向)に旋回するタンブル流Tが生成されることになる。
【0034】
また、上記燃料噴射弁18からの燃料の噴射方向は、燃焼室6内のタンブル流Tに逆行するように設定されている。すなわち、図4に示す断面において、燃焼室6の左側に位置する燃料噴射弁18から斜め右下方に向けて燃料が噴射されることにより、噴射された燃料がピストン5の冠面上でタンブル流Tと逆行するように、燃料の噴射方向が設定されている。
【0035】
さらに、上記燃焼室6の天井部を形成する二つの傾斜面は、この傾斜面と略直交するように設置される吸気弁12および排気弁13の設置角度(挟み角度)αが、比較的大きな値、例えば35°以上となるように、上記傾斜面の角度が設定されている。このように傾斜面の角度が大きな値に設定されることにより、上記吸気ポート10および排気ポート11が大きく屈曲することが防止され、吸気および排気の流動抵抗が小さな値に設定されるようになっている。
【0036】
上記燃焼室6の天井部に沿った流れをタンブル順流Ts、燃焼室6の底部に沿った流れをタンブル正流Tmと定義すると、上記ピストン5の冠面には、上記断面において、図5に示すように、タンブル正流Tmが沿うように、水平方向に延びる底面を有するとともに、シリンダ軸線Zを挟んで左右に開口する凹部27が形成されている。そして、上記凹部27のシリンダ軸線Zよりも左側にオフセットした位置には、タンブル正流Tmを上方に偏向させる段部28が形成され、この段部28の上端には、上記凹部27の底面と略平行、つまり略水平方向に延びる棚部29が形成されている。この棚部29の高さは、上記凹部27の開口縁よりも下方に位置するとともに、ピストン5の圧縮トップにおいて上記シリンダブロック3とシリンダヘッド4との合わせ面よりも下方に位置するように設定されている。
【0037】
また、上記段部28は、その上端位置が、成層燃焼運転時における噴射開始時点のピストン位置で、燃料の噴霧エリアよりも下側に位置するようになっている。さらに、上記燃焼室6の天井部に配設された点火プラグ16の下端部に位置する電極までの距離hが、上記天井部の最上位置から、圧縮トップにおけるピストン5の凹部27の底面までの距離dの1/2以下となり、点火プラグ16の電極が上記燃料の噴霧エリアの上方に位置するように、上記点火プラグ16の突出量および燃料噴射弁18の設置角度γ等が設定されている。
【0038】
上記ピストン5の冠面に形成された凹部27は、図4および図5に示す断面(タンブル流Tが時計方向に回る方向から見た断面)において、右側に位置する開口縁27aとピストン外周との距離Raが、同左側に位置する開口縁27bとピストン外周との距離Rbよりも大きくなるように構成されている。さらに、平面視において図6および図7に示すように、上記凹部27の開口部が、燃料の噴射方向を長軸とし、これと直交する方向を短軸とする略楕円状に形成されている。そして、上記凹部27内に、タンブル正流Tmと燃料噴霧Faとが互いに逆方向から導入されることにより、この凹部27内で上記タンブル流Tと燃料噴霧Faとが正面衝突するようになっている。
【0039】
上記凹部27の設置部を除いたピストン5の冠面の外周部分5aは、これに対向する燃焼室6の天井部の傾斜面に略沿うように形成され、気筒2の圧縮上死点前の所定期間、例えばBTDC40°CA〜TDCの期間においてピストン5の冠面の外周部分5aと、燃焼室6の天井部とにより挟まれる隙間がスキッシュエリアとなるように構成されている。なお、TDCおよびBTDCは、それぞれ上死点および上死点前を意味し、CAは、クランク角を意味する。
【0040】
また、図1に示すように、各気筒2の吸気ポート10にそれぞれ連通するように吸気通路31がエンジン本体1の一側面部に接続されるとともに、各気筒2の排気ポート11にそれぞれ連通するように排気通路32がエンジン本体1の他側面部に接続されている。
【0041】
上記吸気通路31は、エンジン本体1の各気筒2の燃焼室6に対して図外のエアクリーナで濾過した吸気を供給するものであり、その上流側から順に、吸気量を検出するホットワイヤ式のエアフローセンサ33と、電動モータ35により駆動されて開閉する電気式スロットル弁34と、サージタンク36とが配設されている。また、上記サージタンク36よりも下流側の吸気通路31は、各気筒2毎に分岐する独立吸気通路とされ、各独立吸気通路の下流側部は、さらに二つに分岐して上記両吸気ポート10にそれぞれ連通している。
【0042】
上記各吸気ポート10の上流側には、燃焼室6内におけるタンブル流の強度を調節するタンブル調節弁37が配設され、このタンブル調節弁37が、例えばステッピングモータからなるアクチュエータ38により開閉駆動されるようになっている。上記タンブル調節弁37は、円形のバタフライ弁の一部、例えば弁軸よりも下側の部分を切り欠くことによって形成され、タンブル調節弁37が閉じられているときに、上記切欠き部分を介して吸気を下流側に流動させることにより、燃焼室6内に強いタンブル流を形成し、上記タンブル調節弁37が開かれるのに応じてタンブル流を徐々に弱めるように構成されている。
【0043】
なお、上記吸気ポート10やタンブル調節弁37の形状は、上記形状に限定されるものではなく、例えば吸気ポート10を、上流側で一つに合流する所謂コモンポートタイプに構成してもよい。この場合、上記タンブル調節弁37は、コモンポートの断面形状に対応する形状のものをベースとして、その一部分を切り欠いた形状とすればよい。
【0044】
一方、上記排気通路32は、燃焼室6の外部に既燃ガスを導出するものであり、その上流側には各気筒2の排気ポート11に連通する排気マニフォールド39を備えている。この排気マニフォールド39の集合部には、排気中の酸素濃度を検出するリニアO2センサ40が配設されている。このリニアO2センサ40は、排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出するために用いられ、理論空燃比を含む所定の空燃比範囲で酸素濃度に対してリニアな出力が得られるものである。
【0045】
上記排気マニフォールド39の集合部には、排気管41の上流端が接続され、この排気管41の下流側には排気を浄化するためのNOx浄化触媒42および三元触媒43が設けられるとともに、両触媒42,43の間に、排気温度を検出する排気温センサ44が配設されている。
【0046】
また、上記排気管41の上流側には、排気通路32を流れる排気の一部を吸気通路31に還流させるEGR通路45の上流端が接続されている。このEGR通路45の下流端は、上記電気スロットル弁34とサージタンク36との間の吸気通路31に接続され、上記EGR通路45の途中には、開閉駆動されることにより排気の還流量を調節する電気式EGR弁46と、排気を冷却するEGRクーラ47とが配設され、これらよって排気還流手段が構成されている。
【0047】
上記点火回路17、燃料噴射弁18、燃料供給系20、電気式スロットル弁34を駆動する電動モータ35、タンブル調節弁37のアクチュエータ38および上記電気式EGR弁46等は、エンジンコントロールユニット(以下、ECUという)50によって制御されるように構成されている。一方、上記ECU50には、クランク角センサ9、エアフローセンサ33、リニアO2センサ40および排気温センサ44等の検出信号が入力され、さらにアクセル開度(アクセルペダルの操作量)を検出するアクセル開度センサ48の検出信号と、エンジンの回転速度を検出する回転速度センサ49の検出信号と、エンジンの冷却水温度を検出する水温センサ56の検出信号とが入力されるようになっている。
【0048】
そして、上記ECU50には、図8に示すように、各センサから入力された信号に基づいてエンジンの運転状態を判別する運転状態判別手段51と、上記燃料噴射弁18に制御信号を出力して燃料の噴射量および噴射時期を制御する燃料噴射制御手段52と、高圧ポンプ26に制御信号を出力して燃料の噴射圧力を制御する燃圧制御手段53と、上記スロットル弁34を開閉駆動する電動モータ35に制御信号を出力して吸入空気量を制御する吸入空気量制御手段54と、上記排気温度センサ44の検出値に基づいて気筒2内の温度を推定する筒内温度推定手段55とが設けられている。なお、上記筒内温度推定手段55により、エンジンの負荷および回転数と、外気温度と、燃料噴射量およびエンジンの運転時間等とに基づいて気筒2内の温度を推定するように構成してもよい。
【0049】
具体的には、上記運転状態判別手段51において、エンジンが温間状態で、例えば図9に一例を示すように、低負荷かつ低回転の成層燃焼領域(イ)にあると判別された場合には、気筒2の圧縮行程における所定時期(例えば圧縮上死点前(BTDC)40°〜140°の範囲)に燃料噴射弁18から燃料を噴射して点火プラグ16の近傍に混合気が層状に偏在する状態で燃焼させる成層燃焼モードの燃料噴射制御が、上記燃料噴射制御手段52および吸入空気量制御手段54により実行される。この成層燃焼モードでは、空燃比のリーン化および吸気損失の低減化のためにスロットル弁34の開度を相対的に大きくするようにしており、このときの燃焼室6の平均的な空燃比は理論空燃比よりもリーンな状態(例えばA/F>25)に設定される。
【0050】
一方、エンジンが温間状態で、上記成層燃焼領域(イ)よりも高負荷高回転の均一燃焼領域(ロ)にあることが確認された場合には、気筒2の吸気行程で燃料を噴射して吸気と充分に混合し、燃焼室6に均一な混合気を形成した上で燃焼させる均一燃焼モードの燃料噴射制御が、上記燃料噴射制御手段52および吸入空気量制御手段54により実行される。この均一燃焼モードでは、大部分の運転領域において混合気の空燃比が略理論空燃比(A/F=14.7)になるように、燃料噴射量やスロットル弁34の開度が制御されるが、特に全負荷運転状態では、空燃比を理論空燃比よりもリッチな状態(例えばA/F=13程度)に制御して、高負荷に対応した大出力が得られるようにしている。
【0051】
また、上記運転状態判別手段51において、エンジンの温間運転状態で、負荷が略0となる燃料カット領域(ハ)にあることが確認された場合には、上記燃料噴射弁18からの燃料噴射を停止する燃料カット制御が実行されるように構成されている。一方、エンジンの冷間運転時には、燃焼安定性の確保を最優先とし、エンジンの全ての運転領域で均一燃焼状態とする制御が実行されるようになっている。
【0052】
また、上記燃圧制御手段53は、エンジン回転数に略比例した値に、基本燃圧を設定することにより、エンジン回転数の上昇に対応して増大するスワール流の強度と、上記燃圧に対応して変化する燃料の噴霧貫徹力とをバランスさせるように構成されている。
【0053】
そして、上記運転状態判別手段51において、エンジンが均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)を経て成層燃焼領域(イ)に移行したことが確認された場合には、筒内温度推定手段55により推定された筒内温度に基づいて上記基本燃圧を高める方向に補正する補正値が上記燃圧制御手段53において算出されるとともに、この補正値に基づいて燃圧の制御目標値が設定されるようになっている。
【0054】
また、上記均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)を経た成層燃焼領域(イ)への移行時に、燃料カット領域(ロ)に移行する直前の燃圧と、上記燃圧の制御目標値との偏差が、上記運転状態判別手段51において算出されるとともに、上記偏差が、予め設定された基準値よりも大きいか否かが判別され、上記偏差が基準値よりも大きいことが確認された場合には、均一燃焼モードの燃料噴射制御を所定時間に亘って実行した後、成層燃焼モードの燃料噴射制御状態に移行するように制御される。上記均一燃焼モードの噴射制御時間は、燃料噴射によって燃圧が上記制御目標値まで低下する時間に対応した値に設定されるようになっている。
【0055】
なお、上記補正値に基づいて燃圧の制御目標値を設定する制御を実行する際に、エンジンの均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)への移行時におけるエンジン回転数と、燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)への移行時におけるエンジン回転数とが比較され、上記均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)への移行時のエンジン回転数が、燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)への移行時のエンジン回転数よりも高いことが確認された場合に、上記燃圧の制御目標値を基本燃圧よりも高い値に補正する制御が実行されるようになっている。
【0056】
そして、エンジンが均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)に移行した後、エンジン回転数が、燃料カット領域(ハ)の下限値(図9のNoで示す値)未満に低下することにより、成層燃焼領域(イ)に移行したことが確認された場合には、均一燃焼状態に移行させるとともに、燃圧が上記制御目標値まで低下したことが確認された時点で、成層燃焼状態に移行させる制御が実行されるようになっている。
【0057】
また、上記均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)への移行時におけるエンジン回転数と、この燃料カット領域(ロ)から成層燃焼領域(イ)への移行時におけるエンジン回転数との偏差が算出されるとともに、この偏差が予め設定された所定値以上であるか否かが、上記運転状態判別手段51において判別される。そして、上記偏差が所定値以上であることが確認された場合には、均一燃焼状態を経て成層燃焼状態に移行させ、上記所定値未満である場合には、均一燃焼状態を経ることなく成層燃焼状態に移行させる制御が実行されるように構成されている。
【0058】
上記ECU50において実行される燃圧の制御動作を、図10および図11に示すフローチャートに基づいて説明する。上記制御動作がスタートすると、まずエンジン回転数とアクセル開度とをパラメータとしたマップから、エンジンの目標負荷Piを読み出すとともに(ステップS1)、この目標負荷Piとエンジン回転数とをパラメータとしたマップからエンジンの運転領域を読み出した後(ステップS2)、エンジン回転数に対応した基本燃圧Pbを図外のマップから読み出して設定する(ステップS3)。
【0059】
次いで、上記ステップS2で読み出されたエンジンの運転領域が、成層燃焼領域(イ)、均一燃焼領域(ロ)または燃料カット領域のいずれであるか否かを判定し(ステップS4)、均一燃焼領域(ロ)にあることが確認された場合には、後述するステップS12に移行して均一燃焼モードの燃料噴射制御を実行する。
【0060】
一方、上記ステップS4で、エンジンの運転領域が成層燃焼領域(イ)であると判定された場合には、現時点が燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)への移行直後であるか否かを判定し(ステップS5)、YESと判定された場合には、上記排気温センサ44の検出値等に基づいて筒内温度を推定するとともに(ステップS6)、この筒内温度の推定値に基づいて燃圧の制御目標値Prを算出する(ステップS7)。すなわち、上記ステップS3においてエンジン回転数に応じて設定された基本燃圧Pbと、筒内温度に応じて設定された補正値Pcとを加算することにより、燃圧の制御目標値Prを算出する。
【0061】
次いで、燃料カット領域(ハ)に移行する直前の燃圧Pkと、上記燃圧の制御目標値Prとの偏差(Pk−Pr)が、予め設定された基準値P1よりも大きいか否かを判定する(ステップS8)。このステップS8でYESと判定され、エンジン負荷が高く、燃圧Pkが高い値に設定された均一燃焼モードの制御状態から燃料カットモードに制御状態に移行した後、燃料供給系20の燃圧が高い値に保持された状態で、エンジンの負荷および回転が低い成層燃焼モード制御状態に移行したことが確認された場合には、下記ステップS12に移行して均一燃焼モードの燃料噴射制御を実行する。
【0062】
一方、上記ステップS8でNOと判定され、上記偏差(Pk−Pr)が基準値P1以下であることが確認された場合には、均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)への移行時におけるエンジン回転数Ncが、燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)への移行時におけるエンジン回転数Nsよりも大きいか否かを判定する(ステップS9)。このステップS9でYESと判定され、エンジン回転数が低下した状態で、上記燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)に移行したことが確認された場合には、上記補正値Pcを気筒内温度に対応した値に設定する(ステップS10)。
【0063】
その後、燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)への移行時におけるエンジン回転数Nsが、燃料カット領域(ハ)の下限値No未満であるか否かを判定する(ステップS11)。このステップS11でYESと判定され、図9の矢印aに示すように、エンジン回転数が下限値No未満に低下して上記燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)に移行したことが確認された場合には、上記補正値Pcを0にリセットするとともに(ステップS12)、均一燃焼モードの燃料噴射制御を実行する(ステップS13)。この場合、上記均一燃焼モードの燃料噴射制御が実行されることにより、燃圧が上記制御目標値Prまで低下したことが確認された時点で、成層燃焼状態に移行させるように上記均一燃焼モードの噴射制御時間を設定する。
【0064】
これに対して上記ステップS11でNOと判定され、図9の矢印bに示すように、エンジン回転数が燃料カット領域(ハ)の下限値No未満に低下する前に、アクセルペダルが踏み込まれる等により成層燃焼領域(イ)に移行したことが確認された場合には、上記均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)への移行時におけるエンジン回転数Ncと、この燃料カット領域(ロ)から成層燃焼領域(イ)への移行時におけるエンジン回転数Nsとの偏差(Nc−Ns)が、予め設定された所定値N1以上であるか否かが判別され(ステップS14)、YESと判定された場合には、上記ステップS12に移行して均一燃焼モードの燃料噴射制御を所定時間に亘って実行する。
【0065】
また、上記ステップS14でNOと判定され、上記偏差(Nc−Ns)が所定値N1未満であることが確認された場合には、均一燃焼状態を経ることなく成層燃焼モードの燃料噴射制御状態に移行し(ステップS15)、上記基本燃圧Pbと燃圧の補正値Pcとに基づき、燃料の制御目標値Pr(=Pb+Pc)、つまり最終燃圧を設定して燃料噴射制御を実行する(ステップS16)。
【0066】
なお、上記ステップS5でNOと判定されて現時点が燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)への移行直後ではないことが確認された場合、または上記ステップS9でNOと判定されて均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)への移行時におけるエンジン回転数Ncが、燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)への移行時におけるエンジン回転数Ns未満であることが確認された場合には、上記補正値Pcを0にリセットした後(ステップS17)、ステップS15に移行して成層燃焼モードの燃料噴射制御を実行する。
【0067】
さらに、上記ステップS4でエンジンの運転領域が燃料カット領域(ハ)であることが確認された場合には、燃圧の制御目標値Prを0にセットすることにより(ステップS18)、燃料のカット制御を実行する。
【0068】
以上のように、燃焼室内6に燃料を直接噴射するとともに、燃料噴射に応じて燃圧の低下を実現する燃料噴射弁18を備え、燃料の特定運転領域(ハ)で燃料のカット制御を実行するように構成された火花点火式直噴エンジンの制御装置において、エンジン回転数に対応した基本燃圧Pbを設定するとともに、エンジンが均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)を経て成層燃焼領域(イ)に移行した場合に、筒内温度状態に応じて上記基本燃圧Pbを補正することにより、燃圧の制御目標値Prを設定する燃圧制御手段53を設けたため、上記均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)を経た成層燃焼領域(イ)への移行時に、燃焼安定性を確保しつつ、燃圧を上記制御目標値Prに早期に一致させて、エンジンを燃料カット状態から成層燃焼状態に移行させる制御を迅速に実行できるという利点がある。
【0069】
すなわち、気筒内の温度が高く、燃料噴霧が気化し易い状態で、上記燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)に移行した場合には、燃料噴射量が少ないことと相まって上記燃料の噴霧貫徹力が極端に低下する傾向があるが、このような場合に、筒内温度状態に対応して上記燃圧の制御目標値Prを基本燃圧Pbよりも高い値に補正することにより、上記燃料の噴霧貫徹力が低下するのを効果的に防止し、点火プラグ周りに混合気を適正に成層化して、燃焼安定性を常に良好に維持することができる。
【0070】
しかも、上記のように燃圧の高い均一燃焼領域(ロ)から、燃料カット領域(ハ)を経て、燃圧の低い成層燃焼領域(イ)に移行する際に、この成層燃焼モードにおける制御目標値Prが低い場合には、燃料噴射を行って燃圧を制御目標値Prまで低下させるのに所定時間を要するが、上記のように補正値Pcに基づいて制御目標値Prを通常時よりも高い値に設定することにより、燃圧を制御目標値Prまで低下させるのに要する時間を短くして制御応答性を向上させることができ、早期に成層燃焼状態に移行させることができる。
【0071】
また、上記実施形態では、燃圧の高い均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)を経た成層燃焼領域(イ)への移行時に、上記燃料カット領域(ハ)に移行する直前における燃圧Pkと、燃圧制御手段53により設定された燃圧の制御目標値Prとの偏差(Pk−Pr)が、予め設定された基準値P1よりも大きい場合に、燃料噴射量の多い均一燃焼状態を介して成層燃焼状態に移行させるように構成したため、上記均一燃焼モードの燃料噴射制御を実行することにより、燃料供給系20に保持された燃圧を迅速かつ確実に低下させた後に、上記成層燃焼状態に移行させることができる。
【0072】
したがって、上記燃料供給系20に高い燃圧が保持された状態で成層燃焼モードの燃料噴射制御が実行されることに起因して燃焼安定性が阻害されたり、適正な成層燃焼モードの燃料噴射制御が実行されるまでの時間が長くなったりする等の弊害が生じるのを効果的に防止し、燃焼安定性を良好状態に維持しつつ、上記制御目標値Prに燃圧を一致させる制御を迅速に実行することができる。
【0073】
さらに、上記実施形態では、エンジンの均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)への移行時におけるエンジン回転数Ncが、燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)への移行時におけるエンジン回転数Nsよりも高い場合に、上記燃圧の制御目標値Prを基本燃圧Pbよりも高い値に補正する制御を実行するように構成したため、燃料供給系20に保持された燃圧が低いにも拘わらず、上記制御目標値Prが通常時よりも高い値に設定されるという事態の発生を防止できるとともに、上記燃料供給系20に保持された燃圧が高い場合に、上記燃圧の制御目標値を基本燃圧よりも高い値に補正して燃焼安定性を確保しつつ、上記制御目標値Prに燃圧を一致させる制御を迅速に実行できるという利点がある。
【0074】
また、エンジンが均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)に移行した後、エンジン回転数が燃料カット領域(ハ)の下限値No未満に低下することにより、成層燃焼領域(イ)に移行した場合には、この移行時における燃圧の制御目標値Prが極めて低い値に設定される傾向がある。したがって、このような場合には、エンジンを一旦、均一燃焼状態に移行させるとともに、燃圧が上記制御目標値Prまで低下したことが確認された時点で、成層燃焼状態に移行させることにより、燃焼安定性を確保しつつ、上記制御目標値Prに燃圧を一致させる制御を迅速に実行することができる。
【0075】
さらに、上記実施形態では、均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)への移行時におけるエンジン回転数Ncと、燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)への移行時におけるエンジン回転数Nsとの偏差(Nc−Ns)を、予め設定された所定値N1と比較し、上記偏差(Nc−Ns)が大きいこと、つまり燃料供給系20に保持された燃圧と、上記制御目標値Prとの差が大きいことが確認された場合に、均一燃焼状態を経て成層燃焼状態に移行させるように構成したため、燃焼安定性を確保しつつ、上記制御目標値Prに燃圧を一致させる制御を迅速に実行することができる。
【0076】
そして、上記偏差(Nc−Ns)が所定値N1未満であること、つまり燃料供給系20に保持された燃圧と、上記制御目標値Prとの差が比較的小さいことが確認された場合には、均一燃焼状態を経ることなく成層燃焼状態に移行させることにより、上記のように燃圧の制御目標値Prを基本燃圧Pbよりも高めに設定して、成層燃焼状態に移行させる制御を適正に実行することができる。
【0077】
なお、上記運転状態判別手段51および筒内温度推定手段55において、エンジンの均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)に移行した後、少なくとも低速回転の高温状態で、上記燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)に移行したことが確認された場合に、この時点で成層燃焼状態に移行させるとともに、エンジンの高速回転の低温状態で、上記燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)に移行したことが確認された場合に、均一燃焼状態を介して成層燃焼状態に移行させるように構成してもよい。
【0078】
上記構成によれば、少なくともエンジンの低速回転の高温状態で、上記燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)に移行したことが確認された場合には、基本燃圧Pbが筒内温度状態に応じて補正されることにより、上記制御目標値Prに燃圧を早期に低下させて、エンジンを燃料カット状態から成層燃焼状態に移行させる制御を迅速に実行することができる。また、エンジンの高速回転の低温状態で、上記燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)に移行したことが確認された場合には、燃料噴射量の多い均一燃焼状態を介して成層燃焼状態に移行させることにより、燃焼安定性を確保しつつ、上記制御目標値Prに燃圧を一致させる制御を迅速に実行できるという利点がある。
【0079】
また、上記実施形態に示すように、燃焼室6内にタンブル流を生成するタンブル生成手段を備えるとともに、エンジンの成層燃焼運転時に、燃焼室6内で生成されたタンブル流Tに対向させるように燃料噴射弁18から燃料を噴射することにより、点火プラグ周りに混合気を成層化させた状態で点火するように構成されたエンジンに本発明を適用した場合には、上記均一燃焼領域(ロ)から燃料カット領域(ハ)を経た成層燃焼領域(イ)への移行時に、基本燃圧Pbを筒内温度状態に応じて補正することにより、筒内温度が高いことに起因して燃料の噴霧貫徹力が低下するのを効果的に防止して、この噴霧貫徹力と上記タンブル流の強度とを適正にバランスさせることができる。したがって、燃料の噴霧貫徹力とタンブル流の強度とのバランスが崩れ易い成層燃焼運転状態で、燃料の噴霧貫徹力とタンブル流の強度とを適正にバランスさせて、点火プラグ周りに混合気を適正に成層化する制御を、容易かつ迅速に実行することができる。
【0080】
さらに、上記実施形態では、タンブル流Tが時計方向に回る方向から見た断面で、上記凹部27のシリンダ軸線Zよりも左側にオフセットした位置に、タンブル正流Tmを上方に偏向する段部28を形成したため、上記燃料噴霧Faとタンブル正流Tmとが衝突することにより生成された混合気を上方に巻き上げて点火プラグ16の周りに漂わせ、この点火プラグ16の周りに混合気を適正に成層化することができ、これによって燃料の噴射圧力が低いとともに、タンブル強度が比較的小さい傾向にある成層燃焼運転時に、ピストン5の冠面に燃料噴霧を衝突させる等の構成を採用することなく、混合気の着火性を良好状態に維持しつつ、燃費を向上させることができるという利点がある。
【0081】
すなわち、エンジンの低負荷低回転の領域で実行される上記成層燃焼運転時には、燃料噴射量が少ないことに起因して燃料の噴射圧力が低くなるとともに、吸入空気量が少ないことに起因してタンブル比で表されるタンブル強度が小さくなるため、上記凹部27内で燃料噴霧Faと、タンブル正流Tmとを略正対する方向から衝突させるように構成した場合においても、点火プラグ16により着火可能な燃料濃度を有する混合気のエリアが小さく、かつ上記燃料濃度を有する混合気層の滞在時間が短くなる傾向がある。なお、上記タンブル比とは、気筒2内における吸気流動の縦方向の変化速度を、吸気弁12のバルブリフト毎に測定して積分し、その上で、この積分値をクランク軸7の角速度で除した値として定義される値である。
【0082】
このため、従来は、燃費ベストのタイミングよりも燃料の噴射時期をリタードさせたり、成層燃焼運転時に点火プラグ16の突出量を大きくしたりすることにより、着火性を維持することが行われていたが、上記のように燃料の噴射時期をリタードさせた場合には、燃費が悪化し、かつ点火プラグ16の突出量を大きくした場合には、その電極部分に液滴燃料が付着することに起因して、点火プラグ16の信頼性が低下するという欠点がある。
【0083】
これに対して上記のようにタンブル流Tが時計方向に回る方向から見た断面で、ピストン冠面にタンブル流が沿う底面を有するとともに、シリンダ軸線Zを挟んで左右に開口する凹部27を形成し、凹部27のシリンダ軸線よりも左側にオフセットした位置に、タンブル流Tを上方に偏向する段部28を形成することにより、上記燃料噴霧Faとタンブル正流Tmとが衝突することにより生成された混合気を上方に巻き上げて点火プラグ16周りに漂わせるように構成した場合には、点火プラグ16の突出量を大きくすることなく、点火プラグ周りに混合気を適正に成層化することができるとともに、その状態を長く維持することができる。したがって、燃料の噴射時期をリタードさせことに起因して燃費が悪化したり、点火プラグ16の突出量を大きくすることに起因して点火プラグ16の電極部分に液滴燃料が付着したりする等の問題を生じることなく、混合気の着火性を良好状態に維持しつつ、燃費を向上させることができる。
【0084】
上記断面において、凹部27のシリンダ軸線Zよりも左側にオフセットした位置に、タンブル流Tを上方に偏向する段部28を形成することによる上記作用、効果を確認するため、ピストン冠面に略全体に凹部27のみを形成した比較例と、ピストン冠面に上記段部28を形成した本発明例とで、燃費率および燃焼安定性にどのような差があるかを確認するために行った実験の結果を図12および図13に示す。
【0085】
図12は、上死点前(BTDC)の所定期間において、横軸に点火時期のクランク角(CA)をとって、燃費率の変化状態を比較したものであり、破線は上記比較例のデータを示し、実線は本発明例のデータを示すものである。このデータから、本発明例によれば、点火時期を燃費ベストのタイミングに近づけることにより、上記比較例に比べ、燃費率が向上することが確認された。
【0086】
また、図13は、点火時期を種々変化させて燃焼安定性を調べたものであり、このデータから、点火プラグ16の近傍に混合気層を適正に形成し得るようにした本発明例では、実線で示すように、燃焼安定性を良好に保ち得る期間、つまり燃焼安定基準を満足する点火時期可変範囲a1が、破線で示す比較例の点火時期可変範囲a2に比べて、大幅に広くなることが確認された。
【0087】
特に、上記吸気ポート10および排気ポート11の屈曲量を小さくして吸気抵抗および排気抵抗を低減すること等を目的として、上記吸気弁12および排気弁13の設置角度(挟み角度)θが35°以上となるように、燃焼室6の天井部を形成する二つの傾斜面の傾斜角度を比較的大きくした場合には、上記点火プラグ16の電極が燃焼室6の上方に配設されて、この電極の近傍に混合気層を適正に形成して燃焼安定性を良好に保ち得る期間が短くなる傾向があるため、上記構成を採用することの利点が顕著に得られる。
【0088】
すなわち、上記断面で、凹部27のシリンダ軸線Tよりも左側にオフセットした位置に、タンブル流Tを上方に偏向する段部28を形成し、上記燃料噴霧Faとタンブル正流Tmとが衝突することにより生成された混合気を上方に巻き上げるようにした構成によると、上記点火プラグ16の電極が燃焼室6の上方に位置している場合においても、燃焼安定性を良好に保ち得る期間が短くなるのを効果的に防止できるという顕著な作用、効果が得られることになる。
【0089】
また、上記実施形態では、タンブル流Tが時計方向に回る方向から見た断面で、ピストン冠面に形成された上記段部28の上端に、上記凹部27の底面と略平行に延びる棚部29を形成するとともに、この棚部29を、上記凹部27の開口縁よりも下方に位置させたため、ピストン冠面に上記段部28を設けることによるタンブル流Tの偏向作用を損なうことなく、成層燃焼運転時に、圧縮行程で燃料噴射弁18から噴射された燃料が、ピストン冠面に形成された上記段部28および棚部29に付着するのを防止することができる。したがって、上記のように燃焼安定性が低下するのを防止しつつ、ピストン冠面に液滴燃料が付着することに起因して、燃費が悪化したり、エミッションが悪化したりするのを防止することができる。
【0090】
さらに、上記実施形態に示すように、上記断面における段部28の上端位置を、成層燃焼運転時の噴射開始時点のピストン位置で、燃料の噴霧エリアよりも下方側に位置させた場合には、ピストン冠面に上記段部28を設けることによるタンブル流Tの偏向作用を損なうことなく、成層燃焼運転時に、圧縮行程で燃料噴射弁から噴射された燃料がピストン冠面に付着するのを防止し、これによって燃焼安定性が低下するのを防止しつつ、燃費が悪化したり、エミッションが悪化したりするのを効果的に防止できるという利点がある。
【0091】
なお、エンジンの成層燃焼運転時に、燃焼室6内で生成されたタンブル流Tに対向させるように燃料噴射弁18から燃料を噴射することにより、点火プラグ周りに混合気を成層化させるように構成された上記実施形態に代え、例えば特開平10−54246号に示されるように、燃焼室の略周縁部に配設された燃料噴射弁の先端部から、この先端部が対向する燃焼室端までの距離を、圧縮行程後期噴射における噴射開始時期から点火時期までの間の噴霧到達距離よりも大きく設定するとともに、燃料噴射弁からの噴霧エリア内に点火ギャップが介在するように点火プラグを配設することにより、燃料噴霧とタンブル流とを衝突させることなく、点火プラグ周りに燃料噴霧を滞在させた状態で成層燃焼させるように構成されたエンジンついても、本発明を適用可能である。
【0092】
すなわち、上記のように燃料噴霧とタンブル流とを衝突させることなく、点火プラグ周りに燃料噴霧を滞在させた状態で成層燃焼させるように構成されたエンジンにおいて、気筒内の温度が高く、燃料噴霧が気化し易い状態で、上記燃料カット領域(ハ)から成層燃焼領域(イ)に移行した場合に、筒内温度状態に対応して上記燃圧の制御目標値Prを基本燃圧Pbよりも高い値に補正する等により、燃料噴射量が少ないことと相まって上記燃料の噴霧貫徹力が極端に低下するのを効果的に防止し、点火プラグ周りに混合気を適正に成層化して燃焼安定性を良好に維持できる等の利点がある。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、燃焼室内に燃料を直接噴射するとともに、燃料噴射に応じて燃圧の低下を実現する燃料噴射弁を備え、燃料の特定運転領域で燃料のカット制御を実行するように構成された火花点火式直噴エンジンの制御装置において、エンジン回転数に対応した基本燃圧を設定するとともに、エンジンが均一燃焼領域から燃料カット領域を経て成層燃焼領域に移行した場合に、筒内温度状態に応じて上記基本燃圧を補正することにより、燃圧の制御目標値を設定する燃圧制御手段を設けたため、上記均一燃焼領域から燃料カット領域を経た成層燃焼領域への移行時に、燃焼安定性を確保しつつ、燃圧を上記制御目標値に早期に低下させて、エンジンを燃料カット状態から成層燃焼状態に移行させる制御を迅速に実行できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る火花点火式直噴エンジンの制御装置の実施形態を示す説明図である。
【図2】燃料供給系の具体的構造を示すブロック図である。
【図3】燃料噴霧の拡がり角および噴霧貫徹力を示す説明図である。
【図4】エンジン本体の要部の具体的構成を示す断面図である。
【図5】ピストンの具体的形状を示す断面図である。
【図6】ピストンの具体的形状を示す平面図である。
【図7】燃料の噴射状態を示す平面図である。
【図8】ECUの具体的構成を示すブロック図である。
【図9】エンジンの運転領域を示す制御マップの一例を示す説明図である。
【図10】燃料噴射制御の前半部を示すフローチャートである。
【図11】燃料噴射制御の後半部を示すフローチャートである。
【図12】点火時期の変化と燃費率の変化との対応関係を示すグラフである。
【図13】点火時期の変化と燃焼安定性の変化との対応関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 エンジン本体
6 燃焼室内
16 点火プラグ
18 燃料噴射弁
50 運転状態判別手段
53 燃圧制御手段
55 筒内温度推定手段
Claims (7)
- 燃焼室内に燃料を直接噴射するとともに、燃料噴射に応じて燃圧の低下を実現する燃料噴射弁を備え、燃料の特定運転領域で燃料のカット制御を実行するように構成された火花点火式直噴エンジンの制御装置において、エンジン回転数に対応した基本燃圧を設定するとともに、エンジンが均一燃焼領域から燃料カット領域を経て成層燃焼領域に移行した場合に、筒内温度状態に応じて上記基本燃圧を補正することにより、燃圧の制御目標値を設定する燃圧制御手段を備えたことを特徴とする火花点火式直噴エンジンの制御装置。
- 均一燃焼領域から燃料カット領域を経た成層燃焼領域への移行時に、均一燃焼領域から燃料カット領域に移行する直前における燃圧と、上記燃圧制御手段により設定された燃圧の制御目標値との偏差が、予め設定された基準値よりも大きい場合には、均一燃焼状態を介して成層燃焼状態に移行させることを特徴とする請求項1記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置。
- エンジンの均一燃焼領域から燃料カット領域への移行時におけるエンジン回転数が、燃料カット領域から成層燃焼領域への移行時におけるエンジン回転数よりも高い場合に、気筒内温度状態に応じて上記燃圧の制御目標値を基本燃圧よりも高い値に補正する制御を実行することを特徴とする請求項1または2記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置。
- エンジンが均一燃焼領域から燃料カット領域に移行した後、エンジン回転数が燃料カット領域の下限値未満に低下することにより成層燃焼領域に移行した場合には、均一燃焼状態に移行させるとともに、燃圧が上記制御目標値まで低下したことが確認された時点で、成層燃焼状態に移行させることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置。
- エンジンが均一燃焼領域から燃料カット領域への移行時におけるエンジン回転数と、燃料カット領域から成層燃焼領域への移行時におけるエンジン回転数との偏差が、予め設定された所定値以上である場合には、均一燃焼状態を経て成層燃焼状態に移行させ、上記所定値未満である場合には、均一燃焼状態を経ることなく成層燃焼状態に移行させることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置。
- エンジンが均一燃焼領域から燃料カット領域に移行した後、少なくともエンジンの低速回転の高温状態で、燃料カット領域から成層燃焼領域に移行した場合には、この時点で成層燃焼状態に移行させるとともに、エンジンの高速回転の低温状態で、均一燃焼領域から燃料カット領域に移行した場合には、均一燃焼状態を介して成層燃焼状態に移行させることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置。
- 燃焼室内にタンブル流を生成するタンブル生成手段を備え、エンジンの成層燃焼運転時に、燃焼室内で生成されたタンブル流に対向させるように燃料噴射弁から燃料を噴射することにより、点火プラグ周りに混合気を成層化させた状態で点火するように構成したことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置。
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