JP4486699B1 - 水素ガスの発生を伴う有機性廃棄物の改質方法および有機性廃棄物改質用装置 - Google Patents

水素ガスの発生を伴う有機性廃棄物の改質方法および有機性廃棄物改質用装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
高濃度水素ガスの発生を伴う有機性廃棄物の改質方法、およびその改質方法を実現するための、有機性廃棄物改質用装置を提供する。
【解決手段】
有機性廃棄物の改質方法において、有機性廃棄物を改質容器内に供給し、反応開始剤を用いて有機性廃棄物の一部において改質を開始する反応開始工程と、気体導入管による改質容器内への通気と、水による燃焼反応を行うための給水により反応を拡大させる反応拡大工程と、燃焼核の大きさを維持することにより改質を定常的に行う反応定常工程とを有し、高濃度水素ガスの発生を伴うことを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、水素ガスの発生を伴う有機性廃棄物の改質方法、およびその改質方法を実現するための、有機性廃棄物改質用装置を提供する。
従来より、草木、穀物、生ゴミ、農作物あるいは廃棄材等のバイオマス系廃棄物およびプラスチックなどの化成品廃棄物の一般的な廃棄処理方法として、可燃物を焼却施設にて焼却する処理方法が普及している。しかしながら、この処理方法は、大量の二酸化炭素と有害物質とを含む煤煙を放出し大気汚染と地球温暖化の原因となっており、また、焼却処分のために多量の燃料を必要としエネルギー消費等の環境問題を引き起こしている。一方、これら有機性廃棄物は大量のエネルギーを内蔵しており、それを有効利用することで地球環境保全に多大の貢献をなすことは自明である。
近年、バイオマスの高効率エネルギー転換に関する研究が注目されており、クリーンなエネルギーとして水素ガスを回収するために、水蒸気改質が利用されている。水蒸気改質とは、炭化水素を1000℃前後の高温水蒸気と嫌気的に反応させ、水素ガス、メタン、一酸化炭素その他の低分子ガスに変換する方法である。その代表的なものとしてメタンの水蒸気改質があり、燃料電池やハーバーボッシュ法によるアンモニア生産などで需要の大きい水素ガスを大量に生産する唯一の方法として、工業的に極めて重要となっている(下式)。
(1):CH+HO→CO+3H
(2):CO+HO→CO+H
(1)+(2):CH+2HO→CO+4H
一方、この方法の問題点として原料としてメタンを用いることや超高温水蒸気発生のための化石燃料の大量消費、および白金など高価な触媒の必要性、等が挙げられる。これらの問題を解決するものとして様々な有機性廃棄物改質方法が提案されている。
例えば、特許文献1は、都市ごみや産業廃棄物などの廃棄物をガス化し、得られる生成ガスを燃料用ガスなどとして回収する廃棄物のガス化改質方法を開示する。
また、特許文献2には、産業廃棄物および一般廃棄物を有効利用することにより新たなエネルギーを得るための、廃棄物の処理方法と熱分解ガスの回収方法及び装置が提案されている。
また、特許文献3は400℃以下の比較的低温条件でもガソリンや軽油などの炭化水素系燃料を素早く且つ十分に改質でき、一酸化炭素やメタンの副生が少なく、窒素希釈を受けずコンパクトな燃料電池用燃料改質システム及び水素リッチガス製造方法を開示する。
特開2006−188574号公報 特開平11−290810号公報 特開2004−281227号公報
しかしながら、特許文献1では、水素回収までには、ピットに集積された都市ごみや産業廃棄物等の廃棄物をプレス機で圧縮し、乾燥熱分解工程で加熱還流する上に、1200℃もの高温で改質を行なうなどの過程において、大量のエネルギーを消費しつつ、煩雑なプロセスを経る必要がある。
また、特許文献2は、廃棄物をエネルギー化するために、熱分解炉で発生した熱分解ガスの一部を部分燃焼し1000℃以上の高温とする等、多量のエネルギーを必要とする。
また、熱分解ガスを1000℃以上にするために改質炉の耐熱構造化が不可欠となり、装置自体のコストがかかるという問題点がある。
更に、特許文献3においては、燃料電池用燃料改質システムの配備が容易ではないことや、改質触媒、超臨界水又は亜臨界水等、必要な材料を備えるためのコスト、またシステム稼働時のエネルギー消費等の問題がある。
本発明は、前記の問題点を解決することを課題とし、有機性廃棄物の内蔵するエネルギーを簡便な方法で取り出し、水素ガスなどの有用性の高い形に変換する技術に関する。本発明による改質反応は外部からの給水のみで足り、1000℃もの高温水蒸気および高価な貴金属触媒は不要である。さらに、外部からのエネルギーを用いることなく、有機性廃棄物を極めて環境に優しい方法で改質することが可能である。本発明は、外部からのエネルギーを使用することなく有機性廃棄物を改質する方法、およびその改質方法を実現するための、有機性廃棄物改質用装置を提供する。また、有機性廃棄物の改質によって発生する水素ガスを回収し、利用することができる。
請求項1に記載の有機性廃棄物の改質方法は、改質容器内に供給された有機性廃棄物の改質により水素ガスを発生させる方法であって、改質容器内の有機性廃棄物の一部に着火して酸素による燃焼を開始させ、前記燃焼を開始した有機性廃棄物に外部より通気及び給水を行い、有機性廃棄物の酸素による燃焼熱により水の温度を上昇させ、温度の上昇した水と有機性廃棄物とを反応させて有機性廃棄物の改質反応を生ぜさせ、有機性廃棄物の供給、通気及び給水を継続することにより、有機性廃棄物の中心部に形成される高温部である燃焼核の温度を400℃以下にするとともにその大きさを一定の大きさに維持して、有機性廃棄物の改質反応を定常的に行い、有機性廃棄物から水素ガスを発生させることを特徴とする。
請求項2に記載の有機性廃棄物の改質方法は、請求項1において、前記有機性廃棄物の酸素による燃焼の開始は、カーバイドと水の反応により発生するアセチレンガスに着火して行うことを特徴とする。
請求項3に記載の有機性廃棄物の改質方法は、請求項1又は2において、前記燃焼核の大きさの維持は、温度センサーを用いて燃焼核の温度を測定するともに、燃焼核が収縮した場合は、気体導入管先端部を改質容器中心部から周辺部へ移動させて気体導入管から改質容器内へ通気して酸素燃焼によって燃焼核を拡大させ、燃焼核が拡大した場合は、気体導入管からの通気量を減少させ酸素による燃焼反応を縮小させることを特徴とする。
請求項4に記載の有機性廃棄物の改質方法は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記改質容器内の圧力を計測し、改質容器を吸引して改質容器内を減圧状態に保持することを特徴とする。
請求項5に記載の有機性廃棄物改質用装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の有機性廃棄物の改質方法に用いる改質用装置であって、有機性廃棄物の燃焼及び改質を行うための改質容器と、改質容器に有機性廃棄物を供給するための供給手段と、改質容器において燃焼中の有機性廃棄物の温度を把握するための温度センサーと、改質容器の周壁部に穿設された孔を通して改質容器内へ外気を導入するための気体導入管と、前記燃焼を開始した有機性廃棄物に水を給水するための給水手段と、改質が行われた改質残渣を改質容器から外部に排出する排出手段と、前記改質容器のガスを外部に排出するための排出ガス処理手段と、を有し、水素ガスの発生を伴うことを特徴とする。
請求項6に記載の有機性廃棄物改質用装置は、請求項5において、前記気体導入管は、改質容器の中心部と周辺部とを移動可能に設置されていることを特徴とする。
本発明によれば、反応定常工程において外部からのエネルギーを使用することなく継続的に改質を行うことができる。また、改質によって生成するガスは高濃度水素を含有しており、これを回収し水素ガスとして利用することができる。
本発明によれば、反応開始剤として少量のカーバイドと水とを用いて有機性廃棄物の一部を着火させる工程を有することを特徴とするため、最小限のエネルギーで改質を開始することができる。
本発明によれば、反応拡大工程における改質容器内への通気は、気体導入管による改質容器内への外気の導入を調整することを特徴とするため、改質における連続反応を停止させることなく、極めて容易に行うことができる。
本発明によれば、反応拡大工程における給水は、給水手段により外部より水を連続的に補充することを特徴とするため、燃焼剤などの外部からのエネルギーを用いることなく、改質を行うことができる。
本発明によれば、反応定常工程における燃焼核の大きさの維持は、温度センサーを用いた温度検知を基に、前記気体導入管による改質容器内への通気と、前記改質容器内への前記給水の調整により行うことを特徴とするため、燃焼核の大きさの変化を的確に感知し、維持することが可能である。
また本発明の有機性廃棄物改質用装置は、改質工程において密閉状態を保持可能であり、排出ガス処理手段を有しているため、臭気やその他の有害ガスが外部に漏れることなく、大量の有機性廃棄物を簡易な設備で改質することができるという利点がある。さらに、有機性廃棄物の種類によっては、生成した改質残渣、つまり灰を肥料として利用することが可能であるため、極めて環境に優しい有機性廃棄物改質方法および有機性廃棄物改質用装置を提供することができる。
有機性廃棄物改質工程のフローチャートである。 有機性廃棄物改質用装置の概略図である。 有機性廃棄物改質用装置の外観図である。 温度センサーおよび燃焼核を説明する改質容器の断面図である。 気体導入管を説明する改質容器の断面図である。 排出口を説明する改質容器の断面図である。 水による改質反応の化学反応式の説明図である。 実験例2において気相での水素量を示すグラフである。 実験例2において気相での一酸化炭素量を示すグラフである。 実験例2において気相での二酸化炭素量を示すグラフである。 実験例2において気相での酸素量を示すグラフである。 実験例2において気相での窒素量を示すグラフである。 実験例3において気相での水素量を示すグラフである。 実験例4において気相での水素量を示すグラフである。
本発明の有機性廃棄物の改質方法について説明する。改質工程については、3段階の工程に分けられる。すなわち、有機性廃棄物を改質容器内に供給し、反応開始剤を用いて有機性廃棄物の一部において改質を開始する反応開始工程、気体導入管による改質容器内への通気と、水による反応(改質)を行うための給水により反応を拡大させる反応拡大工程、燃焼核の大きさを維持することにより改質を定常的に行う反応定常工程である。
まず、反応開始工程においては、所定量の有機性廃棄物を改質容器内に供給し、反応開始剤を用いて有機性廃棄物の一部を着火させることで反応を開始させる。反応開始剤としては、少量のカーバイドと水を用いることで、有機性廃棄物を着火させる。反応開始時には改質容器内には酸素を含む空気が充満し、カーバイドと水の反応によりアセチレンガスが発生するため、このアセチレンに着火することにより有機性廃棄物も瞬時に着火する。なお、有機性廃棄物の含水状態にもよるが、有機性廃棄物が初期段階で乾燥状態である場合は反応開始前に所定量の水を加えておく。
反応開始後、反応拡大工程においては、投入した有機性廃棄物における反応箇所を気体導入管による改質容器内への通気と、水による反応(改質)を行うための給水により拡大させる。気体導入管による改質容器内への通気により改質容器内には外気が絶えず導入されているため、酸素を使用した燃焼反応は継続的に起こっている。酸素を使用した燃焼反応によって、周辺の有機性廃棄物およびそこに含まれる水の温度が上昇し、有機性廃棄物と水との反応、すなわち水による改質反応が起こる。さらに、気体導入管による改質容器内への通気は、気体導入管先端部を改質容器中心部から周辺部へ移動させることで、通気状態を変化させることが可能であり、酸素を使用した燃焼反応は、有機性廃棄物中心部から周辺部へ拡大する。この酸素を使用した燃焼反応によって熱がさらに発生し、有機性廃棄物内の水による改質反応が拡大する。この一連の反応により、反応拡大工程においては、有機性廃棄物内における反応を拡大させることができる。
一方、反応開始時に有機性廃棄物に水を加えておくことで、酸素による燃焼反応は有機性廃棄物全体には広がらない程度に抑制される。また、改質容器内の有機性廃棄物および酸素による燃焼反応で発生した燃焼物の存在により、有機性廃棄物における反応箇所では通気状態が少なからず妨げられているため、これによっても酸素による燃焼反応は有機性廃棄物全体には広がらない程度に抑制されている。
ここで、有機性廃棄物内の水による改質反応について説明する。通常、狭義の燃焼反応とは、酸素による熱と光を伴う激しい酸化反応のことをいう。例えば、これを化学反応式で表すと、図7(a)(b)のようになる。即ち、バイオマス等の有機性廃棄物を炭水化物(図7(a))又は炭化水素(図7(b))とすると、酸素との反応後、二酸化炭素おび水を生成する反応となる。
一方、本発明における水による改質反応とは、水を酸化剤として使用し、炭水化物または炭化水素から水素を発生させる反応である。これを化学反応式で表すと、図7(c)(d)のようになる。即ち、上記同様にバイオマス等の有機性廃棄物を炭水化物(図7(c))又は炭化水素(図7(d))とすると、二酸化炭素および水素、または一酸化炭素および水素を生成する反応となる。この反応は水蒸気改質と類似する反応であるが、一般的な水蒸気改質において必要な、1000℃もの高温水蒸気および触媒は不要である。本発明において、酸素による反応を燃焼反応といい、水による反応を改質反応という。
改質反応が有機性廃棄物内に拡大すると、有機性廃棄物中心部では温度が300〜400℃付近まで上昇する。改質容器に設置された複数本の温度センサー全てが温度上昇を検知した時点で気体導入管を改質容器内周辺部から中心部へ戻すことで、反応定常状態が形成される。この際の有機性廃棄物中心部の高温部を燃焼核と称し、またこの状態を反応定常工程と称する。燃焼核周辺部の温度は約150〜200℃付近であり、また、改質容器内の気相では80℃付近、改質容器外部では40℃付近である。改質反応が進行することで、有機性廃棄物の改質が進むと、更に有機性廃棄物を改質容器内に供給する。また、有機性廃棄物には水を連続的に供給することで、水分不足による改質反応の停止を防止する。
燃焼核が収縮した場合には、上記反応拡大工程と同様、改質容器周壁部に設置された気体導入管の気体導入管先端部を改質容器中心部から周辺部へ移動させることで、酸素による燃焼反応を拡大させ、再度反応拡大工程から改質工程を繰り返すことが可能である。この際にも特に外部からのエネルギーを用いる必要はなく、気体導入管による改質容器内への通気と、水による改質反応を行うための給水により反応を拡大させ、反応定常工程へと至らしめることが可能である。また、燃焼核が拡大し過ぎた場合には、気体導入管による通気量を減少させることで酸素による燃焼反応を調節することが可能である。以上、3段階の改質工程により、外部からのエネルギーを使用せずに有機性廃棄物を改質することが可能となる。
なお、本発明でいう有機性廃棄物とは、生ゴミ、廃紙材、草等のバイオマス、ゴム・プラスチック類等の天然および合成有機性廃棄物を含む有機性廃棄物を想定しているが、これらに限定されるものではない。
次に、本発明の有機性廃棄物の改質方法に用いられる有機性廃棄物の改質用装置について説明する。有機性廃棄物の改質用装置は、有機性廃棄物の供給手段と、供給手段から供給された有機性廃棄物の改質を行う改質容器と、有機性廃棄物の燃焼中における温度状態を把握するための温度センサーと、改質容器内への通気を行うための気体導入管と、改質を行うため水を補充する給水手段と、改質が行われた改質残渣を外部に排出する排出手段と、前記改質容器から排出するガスを処理する排出ガス処理手段とを有する。
本発明の有機性廃棄物の改質用装置における有機性廃棄物の供給手段は、供給口と供給口蓋体からなる。供給口は、改質容器天井部に開口する形で形成され、有機性廃棄物の供給が行われる。天井部に供給口を設置することで改質容器内に均一に有機性廃棄物を供給することが可能となる。
改質容器は、容器壁と、脚部とからなる。
容器壁は、平面正六角形状の天井部と、天井部の外周縁部から下方に周設された周壁部と、天井部と同様平面正六角形状の底部からなる。なお、周壁部は、耐火性壁部と、耐火性壁部を被覆する外壁部とから構成する構造が好ましいが、簡易的には通常用いられる鋼板によって形成される。鋼板は約10cm程度の厚みを有することが好ましい。
脚部は、周壁部の下端部に複数本取り付けられ、約50cm程度の同一の長さからなることで改質容器を地上から一定の高さに設置できる。また、設置地点に傾斜がある場合には、脚部の長さを調節することで、改質容器を水平に保持することができる。
改質容器は、約1000リットルの容量を有する、底部および天井部の1辺が約60cmの正六角形、底部から天井部までの高さ約1mの正六角柱形状の容器であるが、容量、サイズはこれに限定されるものではない。また、形状も正六角柱形状に限定されるものではなく、円筒形状等でもよい。
有機性廃棄物の燃焼中における温度状態を把握するための温度センサーは、改質容器内に複数本設置されており、温度検知部位が改質容器の外壁部から改質容器内部に突出され、改質容器内の燃焼中の有機性廃棄物の温度を検知する。温度センサーは、燃焼中の有機性廃棄物中の燃焼核の大きさを測定する役割を果たす。具体的には、温度センサーは、直径約1〜5cm、全長約50cmの円筒形状のもので、温度検知部位、本体、表示部からなり、正六角柱の各側面中央部に穿設された孔から改質容器内に突出しており、温度検知部位が燃焼中の有機性廃棄物の温度を検知できる。穿設孔は、改質容器底部から約50cmの高さに位置しており、改質容器が正六角柱形状を有する場合には、改質容器の6側面部から各々1本ずつ、計6本の温度センサーが改質容器内の温度検知に使用され、各々の温度センサーの温度検知部位は改質容器内で容器中心部から半径15cm程度の大きさの円を描くように配置される。反応定常工程においては、温度センサーのうち少なくとも1本が3分間以上200℃を下回る温度を計測した時点で、気体導入管の気体導入管先端部を改質容器中心部から周辺部へ移動させることで、有機性廃棄物内の燃焼核の大きさを拡大させ、加えて給水手段より改質容器内に給水を行うことで、改質反応を継続的に行うことが可能である。温度検知部位が検知する温度は表示部で確認することができる。
改質容器内への通気を行うための気体導入管は、直径約3cm、全長約60cm程度の金属製管であり、改質容器周壁部に設置される。常時気体導入管先端部から外気が導入されているため、改質容器内では酸素による燃焼反応が一定の割合で絶えず起こっている。
気体導入管は、改質容器の下端部から高さ約20cmに位置し、改質容器周壁部の各側面中央部に穿設された孔を通して、改質容器外部より改質容器内へ外気を導入する。気体導入管は移動させることが可能であり、位置を固定されることなく、改質容器内において通気位置を調節することが可能である。また、改質容器内への通気量を増やすため、気体導入管の管側面に小孔を穿設することもできる。
改質を行うため水を補充する給水手段は、給水タンクと改質容器内で燃焼中の有機性廃棄物に給水を行うシャワー部からなる。給水タンクは、前記改質容器天井部の中央部に設けられており、給水タンク内に常時貯水しておくことができる。給水タンクとシャワー部とは給水タンク下部蓋体で仕切られており、必要に応じて水を給水タンク内からシャワー部に送ることができる。シャワー部のシャワーヘッドには多数の孔が開いており、水が噴霧されることで、改質容器内部の燃焼中の有機性廃棄物全体に満遍なく水が行き渡るような構造となっている。シャワーヘッドは球体形状をしているが、これに限定されるものではない。1回の給水量は、有機性廃棄物の含水量と給水量の合計量が、有機性廃棄物の重量を超えないよう調整することが好ましい。また、簡便的に給水を行うにあたっては、有機性廃棄物の供給口を開口して給水することも可能である。
改質が行われた改質残渣を外部に排出する排出手段は、改質容器周壁部に設置された排出口から、内部に蓄積した改質残渣を取り出す。有機性廃棄物は改質され、生成した改質残渣は排出口付近に集積する。排出口は改質容器周壁部に複数設置することが可能である。改質残渣の回収については、有機性廃棄物から改質残渣の生成において減容率が大きいため、およそ2日に1回の割合で改質残渣を取り出す。取り出した改質残渣は、有機性廃棄物の種類によっては、肥料として利用することが可能である。また、排出口の位置はこれに限定されるものではなく、排出口を改質容器底部に設置することも可能である。なお、排出口付近には改質容器内の過剰な水を取り出すための排水口を設けることが好ましい。
改質容器から排出するガスを処理する排出ガス処理手段は、通気筒体、ガス捕集部、タール除去部、吸引ファンからなる。通気筒体は改質容器周壁部に外設されており、改質により発生したガスが吸引ファンによって強制的に吸引されることで通気筒体内に流入し、通気筒体を通過した後、ガス捕集部で有用なガスが捕集される。本発明に係る有機性廃棄物改質用装置では、改質工程において有用な水素ガスが発生するため、ガス捕集部において水素ガスを捕集するが、本発明はこれに限定するものではなく、ガス捕集部では適宜必要なガスに応じて捕集手段を変更することが可能である。また、ガス捕集部は、改質容器天井部に貫通孔を穿設することで設置し、改質容器内から直接水素を捕集することも可能である。タール除去部では、おが屑等からなる木質ペレット等や、活性炭を敷設することで、フィルターの役割を担うことができ、最終的に排出するガスを浄化することが可能である。
改質によって発生する水素ガスは、例えばガス捕集部において水素吸蔵合金により捕集されるが、水素の回収方法はこれに限られるものではなく、公知の水素回収手段を用いることができる。
また、改質容器内には圧力計を設置し、改質工程における改質容器内の圧力を計測することで、容器内の減圧状態を保持できるよう吸引ファンによる吸引を調整することが好ましい。
さらに、改質容器内には酸素濃度計を設置し、改質工程における改質容器内の酸素濃度を測定することで、容器内の酸素状態を保持することが好ましい。
上記の通り、有機性廃棄物の供給、水の補充、改質容器内への通気および改質残渣の排出を連続的に行うことによって、外部からのエネルギーを用いることなく、半永久的に有機性廃棄物改質用装置の運転を継続することが可能となる。以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の有機性廃棄物改質工程のフローチャートである。改質工程については、3段階の工程に分けられる。すなわち、有機性廃棄物を改質容器内に供給し、反応開始剤を用いて有機性廃棄物の一部において改質を開始する反応開始工程S1、気体導入管による改質容器内の改質容器内への通気と、水による改質反応を行うための給水により反応を拡大させる反応拡大工程S2、燃焼核の大きさを維持することにより改質を定常的に行う反応定常工程S3である。有機性廃棄物の種類、含水量等の条件によるが、反応拡大工程S2は約600分程度継続し、その後反応定常工程S3へと至る。
図2、図3はそれぞれ有機性廃棄物改質用装置10の概略図、外観図である。図において、有機性廃棄物改質用装置10は、供給手段13から供給された有機性廃棄物15の改質を行う改質容器11と、有機性廃棄物15の燃焼中における温度状態を把握するための温度センサー22と、改質容器内18への通気を行うための気体導入管23と、改質を行うため水を補充する給水手段20と、改質が行われた改質残渣17を外部に排出する排出口19と、前記改質容器11から排出するガスを処理する排出ガス処理手段21とを有する。
供給手段13は、有機性廃棄物を受け入れて改質容器11の容器内18へ供給する供給口13aと、供給口13aに嵌合する供給口蓋体13bから構成される。
有機性廃棄物の改質を行う改質容器11は、天井部12a、周壁部12b、底部12cからなる容器壁12、脚部16から構成される。改質容器11は正六角柱形状の容器であり、1辺が約60cmの正六角形、全体の高さが約1mの、1000リットルの容量を有する容器である。
脚部16は、底部12cに6本設置され、約50cm程度の同一の長さからなることで、改質容器11を地上から一定の高さに設置できる。また、設置地点に傾斜がある場合には、脚部16の長さを調節することで、改質容器11を水平に保持することができる。
本実施例においては、約30kgの有機性廃棄物15として籾殻を用い、有機性廃棄物15が供給手段13から改質容器11に供給された後、少量のカーバイドと水を用いて反応させることで、有機性廃棄物15を着火させる。この際、有機性廃棄物15が乾燥状態である場合は、約20リットルの水を着火前に有機性廃棄物15に加え、よく撹拌しておく。反応開始後は、気体導入管23による改質容器内18への通気と、水による改質反応を行うための給水により反応箇所を拡大させる。この際には、気体導入管23先端部を改質容器11中心部から周辺部へ移動させることで、酸素を使用した燃焼反応を有機性廃棄物15中心部から周辺部へと拡大させる。酸素を使用した燃焼反応によって有機性廃棄物15中には熱が蓄積しており、供給された水は潜熱によって有機性廃棄物15中の温度を上昇させ、有機性廃棄物15内で水による改質反応が起こる。反応拡大工程S2では、有機性廃棄物15中心部の温度上昇を伴うが、中心部の温度が400℃に到達した際に、5リットルの給水を1回行い、反応箇所を拡大させる。
改質反応が有機性廃棄物15内に拡大すると、有機性廃棄物15中心部では温度が400℃付近まで上昇し、定常状態が形成される。この際には、気体導入管23先端部を改質容器11内周辺部から中心部に戻すことで、反応定常状態が形成される。図4に示すように、この際には有機性廃棄物15中心部の高温部に燃焼核24が形成される。燃焼核24は有機性廃棄物15中心部に約直径30cm程度の球体状に形成され、反応定常工程S3ではほぼ一定の大きさを保持する。燃焼核周辺部25の温度は約180℃付近であり、また、改質容器内18では80℃付近、改質容器11外部では40℃付近である。改質反応が進行することにより、有機性廃棄物15の改質が進んだ段階で、有機性廃棄物を改質容器内18に追加的に5kg程度供給する。また、有機性廃棄物15には給水手段20により水を連続的に供給することで、水分不足による改質反応の停止を防止する。この際には1回の給水量が、投入した有機性廃棄物の乾燥重量を超えないように給水量を調整する。
温度センサー22は、図4の通り、直径5cm、全長約50cmの円筒形状のもので、温度検知部位22a、本体22b、表示部22cからなり、改質容器周壁部12bの各側面中央部に穿設された穿設孔14から改質容器内18に突出しており、温度検知部位22aが燃焼中の有機性廃棄物15の温度を検知する。温度検知部位22aは温度センサー22の先端から約5cmの範囲であれば温度を検知することが可能である。穿設孔14は、改質容器底部12cから約50cmの高さに位置しており、各々の温度センサー22の温度検知部位22aは、改質容器内18で改質容器11中心部から半径15cmの円を描くように配置されている。温度センサー22のうち少なくとも1本が3分間以上200℃を下回る温度を計測した時点で、改質容器周壁部12bに設置された気体導入管23先端部を再度改質容器11内中心部から周辺部へ移動させ、酸素による燃焼反応を拡大させてから給水を行うことで、水による改質反応を改質容器内18で起こし、燃焼核24の大きさを拡大させ、改質反応を継続的に行うことが可能である。また、簡便的には、温度センサー22の代わりに温度計を用いて定期的に燃焼中の有機性廃棄物15の温度を計測することもできる。
図5は気体導入管23の詳細を示す説明図である。気体導入管23は、直径約3cm、全長約60cm程度の金属製管であり、改質容器周壁部12bに設置される。常時気体導入管23から外気が導入されているため、改質容器内18では酸素による燃焼反応が一定の割合で起こっている。気体導入管23は、排出口19から高さ20cmに位置し、各側面中央部に穿設された孔を通して改質容器11外部より改質容器内18へ外気を導入する。なお、気体導入口23aは図5の通り、直径15mm、8mm、5mmの3種類の空気口を選択することができ、有機性廃棄物の種類、通気条件等により使い分けることが可能である。
図6は排出口19を説明する改質容器11の断面図である。改質が行われた改質残渣17を外部に排出する排出手段は、改質容器周壁部12bの3方向に設置された排出口19から改質容器11の内部に蓄積した改質残渣17を取り出す。改質残渣17の回収については、2日に1回程度、改質残渣17を排出口19から取り出すが、定常反応工程S3においては、定常反応状態の燃焼核を維持するために改質残渣17を全て取出さないように注意する。
容器内18から排出するガスを処理する排出ガス処理手段21は、通気筒体21a、ガス捕集部21b、タール除去部21c、吸引ファン21dからなる。通気筒体21aは改質容器周壁部12bに外設されており、改質により発生したガスが吸引ファン21dによって強制的に吸引されることで通気筒体21a内に流入し、通気筒体21aを通過した後、ガス捕集部21bで有用なガスが捕集される。本実施例では、改質工程において有用な水素ガスが発生するため、ガス捕集部21bにおいて水素ガスを捕集する。改質によって発生する水素ガスは、ガス捕集部21bにおいて水素吸蔵合金により捕集される。タール除去部21cは、おが屑等からなる木質ペレットや、活性炭を複数層にわたり敷設することで、フィルターの役割を担うことができ、最終的に排出するガスを浄化する。
以上、本発明に係る実施の形態であるが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、上記実施の形態に、多種多様な技術的変更を加えることによる実施の形態もまた、本発明の技術的範囲に属することは当業者に明らかである。
次に、本実施形態による有機性廃棄物改質用装置の運転例を以下の実験例1〜4に示す。
(実験例1)
本発明は、水による改質反応という、酸素を使用した燃焼反応とは異なる反応を利用し、改質を行うものである。本実験例1は、改質容器内で水による改質反応が発生することを明らかにする目的のため、実験途中においては有機性廃棄物、水を追加的に改質容器内に供給せず、改質容器内の気相部分において気体の発生状態を測定した。なお、本実験は既に反応定常工程に至った状態において、実験を開始したものである。
有機性廃棄物として、籾殻20kgを使用し、改質容器に供給後、0.5リットルの水を籾殻に加えることで反応を開始した。本実験例における水には、安定同位体として酸素(18O)を含む同位体水H 18Oを10%濃度で用い、燃焼反応により生成する二酸化炭素量を測定する。なお、籾殻は約10重量%の含水量であった。
Figure 0004486699

表1は、改質容器内の二酸化炭素、酸素および窒素の測定結果をまとめたものである。0分、20分、41分、70分、180分と反応時間を設定し、改質容器内気相部分において気体の発生状態を、測定装置としてガスクロマトグラフおよびガスクロマトグラフ・マススペクトルを用いて測定した。反応開始から20分後には、18O を含む二酸化炭素(46CO)が発生することが示されている。同位体水H 18Oは、10%濃度で用いられており、反応開始から20分後には全二酸化炭素の内、約5.7%の 46COが発生している。ここから、発生した全二酸化炭素の約57%が加えた水0.5リットルの改質反応によって発生したことは明らかである。また、酸素は燃焼核の維持のための燃焼反応と、発生する水素が燃焼する際の反応に使用されたものと推察される。
さらに、注目すべきは、CO発生量がO減少量を上回っている点である。これは、酸素を使用した燃焼反応(図7(a)(b))のみでは起こり得ない現象であることから、この点からも水による改質反応が起こることが示された。
(実験例2)
次に、別の有機性廃棄物を用いて、本実施形態で行った別実験を以下に示す。本実験例2は、加水条件と非加水条件の違いによって改質容器内に発生する気体に与える影響を明らかにすることを目的とする。本実験は、実験例1同様、有機性廃棄物、水を追加的に改質容器内に供給せず、改質容器内の気相部分の状態を測定したものである。なお、本実験は、反応開始工程から実験を開始した。
有機性廃棄物として、塩化ビニル製のクロス紙10kgを使用し、改質容器に供給後、反応開始前に2リットルの水をクロス紙に加え、少量のカーバイドと水の反応により有機性廃棄物を着火させることで反応を開始させる。比較例として、水を供給しない非加水条件で同様に実験した例を示す。なお、クロス紙は約15重量%の含水量であった。
図8〜図12は、0分、10分、30分、60分、90分、120分、150分、180分と反応時間を設定し、改質容器内気相部分において気体の発生状態を測定した測定結果を示すグラフである。測定装置としてガスクロマトグラフおよびガスクロマトグラフ・マススペクトルを用いて、気相部分に含まれる水素、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、窒素の量を測定した。グラフ縦軸は改質容器内気相部分の体積全体に対する割合を示したものである。
図8は実験例2において気相での水素の発生量を示すグラフである。非加水条件の比較例に比べ、加水状態のクロス紙からは水による改質反応により多量の水素ガスが容器内において発生していることを示している。なお、非加水条件の比較例においても、クロス紙に含まれる水、また酸素を使用した燃焼によって発生した水により、水による改質反応が起こることが推察される。
図9は実験例2において気相での一酸化炭素の発生量を示すグラフである。非加水条件の比較例に比べ、加水状態のクロス紙からは水による改質反応により多量の一酸化炭素ガスが容器内において発生していることを示している。
図10は実験例2において気相での二酸化炭素の発生量を示すグラフである。非加水条件の比較例では、酸素を使用した燃焼反応によって二酸化炭素が発生するため、図9における非加水条件での一酸化炭素の発生割合と比べて、二酸化炭素の発生量が多いことが示されている。
図11、12は実験例2において気相での酸素、窒素の量を示すグラフである。非加水条件に比べ、加水条件では、酸素、窒素とも減少していることが確認できる。これは、加水条件において発生する気体により、これらの割合が減少したものと推察される。
(実験例3)
本実験例3は、水素発生に最適な水分量を調べたものである。本実験は、実験例1および2同様、有機性廃棄物、水を追加的に改質容器内に供給せず、改質容器内の気相部分の状態を測定したものである。なお、本実験は、反応開始工程から実験を開始した。
有機性廃棄物として、籾殻30kgを使用し、改質容器に供給後、反応開始前に4.5リットル、6.0リットル、12.0リットル、20.0リットル、30.0リットルと水分量を変え、それぞれ籾殻に加えておく。その後、少量のカーバイドと水の反応により有機性廃棄物を着火させ、反応を開始させる。なお、籾殻は約10重量%の含水量であった。
図13は、実験例3において気相での水素の発生量を示すグラフである。水素発生においては、籾殻30kgに対して水分量として20.0リットルの状態が最適であることが示された。
(実験例4)
本実験例4は、有機性廃棄物の着火後から水素発生がなくなるまでの反応時間を測定した。本実験は、実験例1〜3同様、有機性廃棄物、水を追加的に改質容器内に供給せず、改質容器内の気相部分の状態を測定したものである。なお、本実験は、反応開始工程から実験を開始した。
有機性廃棄物として、籾殻30kgを使用し、改質容器に供給後、反応開始前に20リットルの水を籾殻に加えた後、少量のカーバイドと水の反応により有機性廃棄物を着火させ、反応を開始させる。なお、籾殻は約10重量%の含水量であった。
図14は、実験例4において気相での水素の発生量を示すグラフである。630分でピークに達し、900分まで水素発生が継続していることが示されている。ピーク時点では体積比2.5%もの高濃度水素が発生することが示された。なお本実験は、本装置で籾殻30kgを改質させるために要する時間を示したものであり、反応定常工程において有機性廃棄物および水を補給すれば、改質反応が継続することは上述の通りである。本実験では、最終時点(900分)で籾殻はほぼ全て改質され、改質残渣が残るのみであった。
上記実験結果から、本発明における有機性廃棄物を改質する方法では、外部からのエネルギーを使用せずに有機性廃棄物を改質することが可能であることは明らかである。また改質によって生成するガスは高濃度水素を含有するため、これを回収し水素ガスとして利用できること、また有機性廃棄物の種類によっては、生成した改質残渣を肥料として利用することが可能である。
本発明は、外部からのエネルギーを使用せずに有機物を改質する方法、およびその改質方法を実現するための、有機性廃棄物改質用装置に関するものである。改質によって生成するガスは水素を含有しており、これを回収し水素ガスとして利用することができ、有機性廃棄物の種類によっては、生成した改質残渣を肥料として利用することが可能であることから、産業上の利用可能性は極めて高い。
S1 反応開始工程
S2 反応拡大工程
S3 反応定常工程
10 有機性廃棄物改質用装置
11 改質容器
12 容器壁
12a 天井部
12b 周壁部
12c 底部
13 供給手段
13a 供給口
13b 供給口蓋体
14 穿設孔
15 有機性廃棄物
16 脚部
17 改質残渣
18 改質容器内
19 排出口
20 給水手段
20a 給水タンク
20b シャワー部
21 排出ガス処理手段
21a 通気筒体
21b ガス捕集部
21c タール除去部
21d 吸引ファン
22 温度センサー
22a 温度検知部位
22b 本体
22c 表示部
23 気体導入管
23a 気体導入口
24 燃焼核
25 燃焼核周辺部

Claims (6)

  1. 改質容器内に供給された有機性廃棄物の改質により水素ガスを発生させる方法であって、改質容器内の有機性廃棄物の一部に着火して酸素による燃焼を開始させ、
    前記燃焼を開始した有機性廃棄物に外部より通気及び給水を行い、
    有機性廃棄物の酸素による燃焼熱により水の温度を上昇させ、
    温度の上昇した水と有機性廃棄物とを反応させて有機性廃棄物の改質反応を生ぜさせ、
    有機性廃棄物の供給、通気及び給水を継続することにより、
    有機性廃棄物の中心部に形成される高温部である燃焼核の温度を400℃以下にするとともにその大きさを一定の大きさに維持して、有機性廃棄物の改質反応を定常的に行い、
    有機性廃棄物から水素ガスを発生させることを特徴とする有機性廃棄物の改質方法。
  2. 前記有機性廃棄物の酸素による燃焼の開始は、カーバイドと水の反応により発生するアセチレンガスに着火して行うことを特徴とする請求項1に記載の有機性廃棄物の改質方法。
  3. 前記燃焼核の大きさの維持は、
    温度センサーを用いて燃焼核の温度を測定するともに、
    燃焼核が収縮した場合は、
    気体導入管先端部を改質容器中心部から周辺部へ移動させて気体導入管から改質容器内へ通気して酸素燃焼によって燃焼核を拡大させ、
    燃焼核が拡大した場合は、
    気体導入管からの通気量を減少させ酸素による燃焼反応を縮小させることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機性廃棄物の改質方法。
  4. 前記改質容器内の圧力を計測し、改質容器を吸引して改質容器内を減圧状態に保持することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機性廃棄物の改質方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の有機性廃棄物の改質方法に用いる改質用装置であって、有機性廃棄物の燃焼及び改質を行うための改質容器と、
    改質容器に有機性廃棄物を供給するための供給手段と、
    改質容器において燃焼中の有機性廃棄物の温度を把握するための温度センサーと、
    改質容器の周壁部に穿設された孔を通して改質容器内へ外気を導入するための気体導入管と、
    前記燃焼を開始した有機性廃棄物に水を給水するための給水手段と、
    改質が行われた改質残渣を改質容器から外部に排出する排出手段と、
    前記改質容器のガスを外部に排出するための排出ガス処理手段と、
    を有し、
    水素ガスの発生を伴うことを特徴とする有機性廃棄物改質用装置。
  6. 前記気体導入管は、改質容器の中心部と周辺部とを移動可能に設置されていることを特徴とする請求項5に記載の有機性廃棄物改質用装置。
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