以下、本発明に係るプラントモデル作成システムの実施例について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1に本発明の第1の実施形態に係るプラントモデル作成システムの一実施例であるプラントモデル作成システム1の構成を概略的に表した構成概略図を示す。
図1に示すプラントモデル作成システム1は、例えば、プラントモデル作成用プログラム(以下、プログラムをPGと省略する)をコンピュータに読み込ませて実行させることで実現される。つまり、プラントモデル作成用PGおよびコンピュータ(いずれも図を省略)が協働することで、コンピュータは、プラントモデル作成システムとして機能する。
図1によれば、プラントモデル作成システム1は、入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、制御手段5、インターフェイス(以下、I/Fとする)手段6、機器モデル作成手段11、プラントモデル作成手段12、モデルシミュレーション手段13、モデルソース出力手段14およびソースインストール手段15を具備する。
入力手段2は、いわゆる、マン−マシンインターフェイスであり、ユーザが入力した情報を制御手段5に送る機能を有する。
表示手段3は、制御手段5から画面表示情報を受け取り、画面表示情報に基づく画像を表示する機能を有する。
データ記録手段4は、例えば、電子ファイルやデータベース等の電子データを保存可能な領域である。データ記録手段4に保存される電子データは、制御手段5が読み込むことができる。また、データ記録手段4の空き部分(電子データの保存に使用されていない領域)には、制御手段5が電子データを書き込むことができる。
制御手段5は、演算処理を行い、プラントモデル作成システム1内の各処理手段、すなわち、入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、I/F手段6、機器モデル作成手段11、プラントモデル作成手段12、モデルシミュレーション手段13、モデルソース出力手段14およびソースインストール手段15を制御することができる。
I/F手段6は、外部機器(図外)とのインターフェイスとしての役割を担う。すなわち、プラントモデル作成システム1は、I/F手段6を介して外部機器から情報を受け取ることができる。また、I/F手段6を介して外部機器へ情報を送ることもできる。
機器モデル作成手段11は、プラントを構成する各機器を模擬したモデル(機器モデル)24(後述する図2に示す)を作成する機能(以下、機器モデル作成機能とする)を有する。尚、機器モデル作成機能には、複数の機器モデル24を組合せて、さらに上位の新たな機器モデル24を作成する機能も含まれている。
従って、機器モデル作成手段11は、複数の機器モデル24を組合せてさらに上位の新たな機器モデル24を作成することができ、機器モデル24を階層化して作成することができる。
また、機器モデル作成手段11は、作成した機器モデル24をデータ記録手段4に格納される機器モデルデータベース(以下、データベースをDBと省略する)17に記録し格納することができる。さらに、機器モデル作成手段11は、ユーザの読み出し要求があれば、機器モデルDB17に格納される機器モデル24を事後的に読み出すこともできる。
尚、機器モデル24は、機器モデルDB17に格納されるとしたが、必ずしも機器モデル24をデータベース化して保存しなくても良い。つまり、単に電子データとしてデータ記録手段4に保存しても構わない。この点は、後述する他のモデルについても同様である。
さらにまた、機器モデル作成手段11は、機器モデル24の入力側および出力側の境界条件を決定したり、初期値を設定することができる。
プラントモデル作成手段12は、少なくとも2個以上の機器を有するプラント全体または一部分を模擬するモデル(以下、プラントモデルとする)33(後述する図2に示す)を作成する機能(以下、プラントモデル作成機能とする)を有する。より具体的には、複数の機器モデル24を配置したり接続する機能を有する。
また、プラントモデル作成手段12は、機器モデル作成手段11と同様に、作成したプラントモデル33をデータ記録手段4に格納されるプラントモデルDB18に記録し蓄積することができ、ユーザの読み出し要求があれば、プラントモデルDB18に蓄積されるプラントモデル33を事後的に読み出すこともできる。さらに、プラントモデル33の入力側および出力側の境界条件を決定したり、初期値を設定することができる。
モデルシミュレーション手段13は、プラントモデル33について、シミュレーションを実行する機能(以下、モデルシミュレーション機能とする)を有する。従って、モデルシミュレーション手段13では、プラントモデル作成手段12が作成したプラントモデル33を実際のプラント制御システムや、実際のプラント運転訓練システム等の実際のシステム(以下、実システムと省略する)20へインストールすることなく、作成したプラントモデル33についてシミュレーションが可能である。
また、モデルシミュレーション手段13は、シミュレーション結果を表示手段3に表示することができる。すなわち、シミュレーション結果を画面表示するための画面表示情報を制御手段5に与えることができる。
さらに、モデルシミュレーション手段13は、シミュレーション結果をデータ記録手段4等の書き込み可能なデータ記録手段に、データファイル(図1において省略)として記録し保存することもできる。
モデルソース出力手段14は、作成されたプラントモデル33から、実システム20へプラントモデル33をインストールするべく汎用言語で記述されたプラントモデルのソースを出力する機能を有する。ここで、出力されるプラントモデルのソースは、記述された汎用言語のコンパイル環境によりコンパイルすることができる。
ソースインストール手段15は、モデルソース出力手段14から出力されたソースの変数並びを実システム20の変数並びに変換してインストールする。変換を行うにあたってソースインストール手段15は、例えばデータ記録手段4等の読み出し可能なデータ記録手段に予め格納される実システム変数表(電子データ)22およびプラントモデル作成システム変数表(電子データ)23が参照される。
尚、プラントモデル作成システム1は、I/F手段6を具備しているが、外部機器との情報の授受が不要であれば、必ずしも具備している必要はない。また、データ記録手段4は、制御手段5が読み出しおよび書き込み可能な外部機器(図外)に具備されていても構わない。
さらに、データ記録手段4に格納される電子データ、すなわち、図1に示すプラントモデル作成システム1の場合、機器モデルDB17、プラントモデルDB18、実システム変数表22およびプラントモデル作成システム変数表23は、制御手段5が読み出しおよび書き込み可能な外部のデータ記録手段に格納してあっても構わない。
次に、プラントモデル作成システム1を使用して行うプラントモデルの作成について説明する。
図2は、ユーザがプラントモデル作成システム1を使用してプラントモデルを作成するために必要とされる作業(以下、第1のプラントモデル作成作業とする)の一連の流れを説明する作業フロー図である。
プラントモデルを作成する一連の作業としては、図2に示すように、ユーザは、まず、機器モデル作成作業を行い(作業S1)、プラントを構成する各機器を模擬するモデル(機器モデル)24の作成を行う。
機器モデル24は、図2に示すように、モデルの対象となる機器をイメージ(画像)化したグラフィック部26と、機器の特性や動作を記述した機器モデル定義27とを備える。
機器モデル24のグラフィック部26は、グラフィック部26が表す機器の入力情報および出力情報を表す入出力情報格納部28を有する。ここで、入力情報とは、機器モデル24の対象となる機器の入力側に入力される物質や、流量、流速、圧力、その他の物性値(初期値および境界条件を含む)等の入力側の必要なインターフェイス情報である。また、出力情報とは、機器モデル24の対象となる機器における出力側の必要なインターフェイス情報である。
また、機器モデル24の機器モデル定義27は、汎用言語で記述されたプログラムコード30を有し、さらに、必要な場合には、プログラムコード30に加え、プログラムコード30の入出力および動作の仕様を記載したプログラム仕様31を有する。
つまり、機器モデル24の作成とは、グラフィック部26の作成および機器モデル定義27を作成することを意味し、より詳細には、グラフィック部26および機器モデル24の入出力情報を記述した入出力情報格納部28の作成と、プログラムコード30の作成(必要な場合にはプログラム仕様31の作成)とを行うことを意味する。
必要な機器モデル24の作成が終わると、次に、プラントモデル案作成作業としてプラントモデル案33の作成作業を行う(作業S2)。そして、プラントモデル案33の作成が終わると、次に、プラントモデル案検証作業として、プラントモデル案33の検証作業を行い、必要な設計要求を満足するかを検証する(作業S3)。
この時、シミュレーションの結果、必要な設計要求を満足しない場合には、作業S1または作業S2に戻り、機器モデル24およびプラントモデル案33の少なくとも一方の修正作業を行い、新たなプラントモデル案33を作成する(作業S1または作業S2)。そして、最終的には、必要な設計要求を満足したプラントモデル案33、すなわち、プラントモデル33を作成する。
そして、必要な設計要求を満足したプラントモデル案33、すなわち、プラントモデル33が完成すると(作業S3が完了)、実システム20へインストール可能なように、モデルソース出力作業を行い、汎用言語で記述されたプラントモデル33のソース(以下、プラントモデルソースとする)35を出力する(作業S4)。プラントモデルソース35は、図2に示すように、汎用言語で記述されたプログラムコード37のみならず、プログラムコード37で使用される変数リスト38および定数リスト39を併せて有する。
モデルソース35の出力が完了すると、続いて、ソースインストール作業を行い、出力したプラントモデルソース35の変数並びを実システム20の変数並びに変換してインストールする(作業S5)。
これら第1のプラントモデル作成作業(作業S1〜作業S5)の一連の作業は、ユーザが必要な入力要求をプラントモデル作成システム1に与え、プラントモデル作成システム1にプラントモデル作成手順(以下、第1のプラントモデル作成手順とする)を実行させることで行うことできる。
図3は、プラントモデル作成システム1が実行する第1のプラントモデル作成手順について、処理ステップの順を追って表した処理フロー図である。尚、第1のプラントモデル作成手順を説明する前提として、ユーザは、全く機器モデル24の作成を行っていない状態(初期状態)であるものとする。
図3によれば、第1のプラントモデル作成手順は、機器モデル作成ステップ(ステップSS1)と、プラントモデル作成ステップ(ステップSS2)と、プラントモデルシミュレーションステップ(ステップSS3)と、モデルソース出力ステップ(ステップSS5)と、ソースインストールステップ(ステップSS6)とを具備する。
機器モデル作成ステップ(ステップSS1)とは、機器モデル作成手段11が、プラントを構成する各機器を模擬する機器モデル24を作成する処理ステップである。また、機器モデル作成ステップには、機器モデル24の入力側および出力側の境界条件を決定したり、初期値を設定することも含まれる。
プラントモデル作成ステップ(ステップSS2)とは、プラントモデル作成手段12が、複数の機器モデル24を配置したり接続することで、プラントモデル(プラントモデル案)33を作成する処理ステップである。尚、プラントモデル33とは、シミュレーションの結果、必要な設計要求を満足する結果を得たプラントモデル案33をいう。
また、機器モデル作成ステップと同様にプラントモデル作成ステップについても、プラントモデルの入力側および出力側の境界条件を決定したり、初期値を設定することも含まれる。
プラントモデルシミュレーションステップ(ステップSS3)とは、モデルシミュレーション手段13が、プラントモデルについてシミュレーションを実行する処理ステップである。
モデルソース出力ステップ(ステップSS5)とは、モデルソース出力手段14が実システム20へプラントモデル33をインストールするべく汎用言語で記述されたプラントモデルソース35を出力する処理ステップである。
ソースインストールステップ(ステップSS6)とは、ソースインストール手段15が、モデルソース出力ステップで出力されたプラントモデルソース35の変数並びを実システム20の変数並びに変換してインストールする処理ステップである。
このような処理ステップを具備する第1のプラントモデル作成手順は、プラントモデル作成システム1の入力手段2からユーザが入力した実行要求を制御手段5が受け取り、制御手段5が実行要求のあった処理ステップを実行するのに必要な処理手段を機能させることでなされる(START)。
第1のプラントモデル作成手順では、まず、ステップSS1で機器モデル作成ステップがなされる。機器モデル作成ステップは、入力手段2から入力された機器モデル作成ステップの実行要求を制御手段5が受け取り、制御手段5が機器モデル作成手段11を機能させることでなされる。
機器モデル作成処理ステップ(ステップSS1)では、プラントを構成する機器のモデル作成に必要なデータの入力を受けて、機器モデル作成手段11が、図2に示すような機器モデル24を作成する。機器のモデル作成に必要なデータの入力操作は、プラントの仕様等を考慮してユーザが行う。
必要な機器モデル24の作成が終了、すなわち、図2に示す作業S1が終了すると、ユーザは、次の作業(作業S2)を行うべく、プラントモデル作成ステップの実行要求を入力手段2を操作して入力する。すると、制御手段5は、入力手段2から入力されたプラントモデル作成ステップの実行要求を受け取り、プラントモデル作成手段12を機能させてプラントモデル作成手段12にプラントモデル作成ステップ(ステップSS2)を実行させる。
プラントモデル作成ステップでは、プラントモデル作成手段12が、ユーザの入力操作の内容に応じて、複数の機器モデル24を配置したり接続して図2に示すようなプラントモデル案33を作成する。必要があれば、プラントモデル案33の入力側および出力側の境界条件を決定したり初期値を設定したりする。
尚、プラントモデル作成手段12はグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)をユーザに提供しており、ユーザは、表示される機器モデル24を画面上で配置・接続することで、プラントモデル案33を構築できる。従って、ユーザはプログラムコード等を記述する必要が無いため、ヒューマンエラーの防止やユーザの作業量削減の効果がある。
プラントモデル案33の作成、すなわち、図2に示す作業S2が終了すると、ユーザは、次の作業(作業S3)を行うべく、プラントモデルシミュレーションステップの実行要求を入力手段2を操作して入力する。すると、制御手段5は、入力手段2から入力されたプラントモデルシミュレーションステップの実行要求を受け取り、モデルシミュレーション手段13を機能させ、モデルシミュレーション手段13にプラントモデルシミュレーションステップ(ステップSS3)を実行させる。
プラントモデルシミュレーションステップでは、モデルシミュレーション手段13が、プラントモデル案33についてシミュレーションを実行する。シミュレーションの実行により求められたプラント状態等のシミュレーション結果は、グラフ等のグラフィックスやデータ列とし表示手段3に表示される。また、シミュレーション結果は、必要があれば、図外のプリンタと接続してプリントアウトしたり、データ記録手段4に電子データとして保存することもできる。
プラントモデルシミュレーションステップが完了して得られたシミュレーションの結果をユーザが検証し、必要な設計要求を満足する場合(ステップSS4でYESの場合)、図2に示す作業S3を終了する。そして、作業(作業S4)を行うべく、モデルソース出力ステップの実行要求を入力手段2を操作して入力する。
モデルソース出力ステップの実行要求が入力されると、制御手段5は、入力されたモデルソース出力ステップの実行要求を受け取る。そして、制御手段5は、モデルソース出力ステップを実行可能なモデルソース出力手段14を機能させて、モデルソース出力手段14にモデルソース出力ステップ(ステップSS5)を実行させる。
モデルソース出力ステップでは、モデルソース出力手段14が実システム20へプラントモデル33をインストールするべく汎用言語で記述されたプラントモデルソース35を出力する。つまり、プラントモデルソース35を表示手段3に表示したり、必要があれば、図外のプリンタと接続してプリントアウトしたり、データ記録手段4に電子データとして書き込んで保存することもできる。
プラントモデルソース35の出力が終了、すなわち、図2に示す作業S4が終了すると、ユーザは、次の作業(作業S5)を行うべく、ソースインストールステップの実行要求を入力手段2を操作して入力する。すると、制御手段5は、入力手段2から入力されたソースインストールステップの実行要求を受け取り、ソースインストール手段15を機能させてソースインストール手段15にソースインストールステップ(ステップSS6)を実行させる。
ソースインストールステップでは、ソースインストール手段15が、実システム変数表データ22およびプラントモデル作成システム変数表データ23を参照し、モデルソース出力ステップで出力されたプラントモデルソース35の変数並びを実システム20の変数並びに変換し、実システム20へのインストールを行う。
実システム20へのインストールが終了、すなわち、図2に示す作業S5が終了すると、第1のプラントモデル作成手順は終了する(END)。
一方、プラントモデルシミュレーションステップが完了して得られたシミュレーションの結果をユーザが検証し、必要な設計要求を満足しない場合(ステップSS4でNOの場合)、ステップSS7に進み、機器モデル24のパラメータチューニングを行なったり、作成したプラントモデル案33のデバックを行う等の修正を施して新しいプラントモデル案33を作成する。そして、ステップSS3に進み、ステップSS3以降の処理ステップを行う。
尚、第1のプラントモデル作成手順の機器モデル作成ステップ(ステップSS1)、プラントモデル作成ステップ(ステップSS2)、プラントモデルシミュレーションステップ(ステップSS3)、モデルソース出力ステップ(ステップSS5)およびソースインストールステップ(ステップSS6)は、ユーザがプラントモデル作成システム1において、各処理要求を入力することで独立に実行することもできる。
但し、機器モデルが一切ない初期状態においては、プラントモデル作成ステップ(ステップSS2)、プラントモデルシミュレーションステップ(ステップSS3)、モデルソース出力ステップ(ステップSS5)およびソースインストールステップ(ステップSS6)を実行することは、処理対象となる機器モデル24が一つも存在しないため事実上無理である。
このように、プラントモデル作成システム1によれば、GUIによるプラントモデルの作成から、作成したプラントモデル33のシミュレーションおよび訓練システム等の実システム20へのプラントモデル33のインストールまでの一連の作業を一貫して行うことが可能となる。
[第2の実施形態]
図4に本発明の第2の実施形態に係るプラントモデル作成システムの一実施例であるプラントモデル作成システム1Aの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
プラントモデル作成システム1Aは、プラントモデル作成システム1に対して、プラントモデル案33の作成作業をユーザがより簡単に行い得ることを目的としたシステムであり、CADデータ取込変換手段41をさらに具備する点で相違するが、その他の点は実質的に相違しないので、既に説明済みの箇所と実質的に相違しない箇所には、同じ符号を付して説明を省略する。
図4によれば、プラントモデル作成システム1Aは、プラントモデル作成システム1、すなわち、入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、制御手段5、I/F手段6、機器モデル作成手段11、プラントモデル作成手段12、モデルシミュレーション手段13、モデルソース出力手段14およびソースインストール手段15に加えて、CADデータ取込変換手段41をさらに具備する。
CADデータ取込変換手段41は、実際のプラントを設計する際に作成されるCADデータ45(後述する図5において示す)を読み込んで、プラントの概形のみを取り出したプラントモデル(以下、ホワイトボックスプラントモデルとする)を作成する機能を有する。
また、CADデータ取込変換手段41は、機器モデル作成手段11と同様に、作成したホワイトボックスプラントモデルをデータ記録手段4に格納されるホワイトボックスプラントモデルDB43に記録し蓄積することができ、ユーザの読み出し要求があれば、ホワイトボックスプラントモデルDB43に蓄積されるホワイトボックスプラントモデルを事後的に読み出すこともできる。
ホワイトボックスプラントモデルをより具体的に説明すれば、ホワイトボックスプラントモデルとは、いわば、プラントモデル案33のひな型である。つまり、ホワイトボックスプラントモデルは、プラントモデル案33を構成する機器モデル24の個数と、プラントモデル案33の構成要素となる機器モデル24間の接続情報とを有しており、機器モデル24が具体的に何であるかについては未定の状態にある。
次に、プラントモデル作成システム1Aを使用して行うプラントモデル33の作成作業(以下、第2のプラントモデル作成作業とする)について説明する。
第2のプラントモデル作成作業における一連の作業の流れは、図2において、プラントモデル案作成作業(作業S2)を、第2のプラントモデル案作成作業(作業S2A)と読み替えれば良い(図は省略)。つまり、第2のプラントモデル作成作業では、ユーザは、まず、機器モデル作成作業(作業S1)を行い、続いて、第2のプラントモデル案作成作業(作業S2A)を行う。そして、第2のプラントモデル案作成作業以降は、プラントモデル案33の検証作業(作業S3)、モデルソース出力作業(作業S4)およびソースインストール作業(作業S5)を行う。
第2のプラントモデル案作成作業(作業S2A)は、作成するプラントモデル33の対象となる実際のプラントのCADデータ45を用いてホワイトボックスプラントモデルを作成するCADデータ取込変換作業と、CADデータ取込変換作業で作成したホワイトボックスプラントモデルに機器モデル24を挿入する機器モデル挿入作業とを備える。
従って、第2のプラントモデル案作成作業では、実際のプラントのCADデータ45を用いて、まず、ホワイトボックスプラントモデルを作成し、続いて、作成したホワイトボックスプラントモデルを構成する機器モデル24の箇所に全ての機器モデル24を挿入(配置)することでプラントモデル案33を作成する。プラントモデル案作成作業と比較すると、第2のプラントモデル案作成作業機器モデル24間を接続する作業の代わりにホワイトボックスプラントモデルを作成する作業を行う。
また、これらの第2のプラントモデル作成作業(作業S1、作業S2A、作業S3〜作業S5)における一連の作業については、ユーザが必要な入力要求をプラントモデル作成システム1Aに与え、プラントモデル作成システム1Aに第2のプラントモデル作成手順を実行させることで行うことできる。
図5は、プラントモデル作成システム1Aが実行する第2のプラントモデル作成手順について、処理ステップの順を追って表した処理フロー図である。
尚、図5に示す第2のプラントモデル作成手順おいては、図3と同様にユーザが全く機器モデル24の作成を行っていない状態(初期状態)であるものとし、第1のプラントモデル作成手順と重複する箇所については説明を省略する。
図5によれば、第2のプラントモデル作成手順は、機器モデル作成ステップ(ステップSS1)と、第2のプラントモデル作成ステップ(ステップSS11〜ステップSS12)と、プラントモデルシミュレーションステップ(ステップSS3)と、モデルソース出力ステップ(ステップSS5)と、ソースインストールステップ(ステップSS6)とを具備する。
第2のプラントモデル作成ステップとは、プラントモデル作成ステップ(ステップSS2)と同様に最終的にはプラントモデル(プラントモデル案)33を作成する処理ステップである点では共通するが、その処理内容は異なる。より具体的に説明すれば、第2のプラントモデル作成ステップは、CADデータ取込変換ステップ(ステップSS11)と、機器モデル挿入ステップ(ステップSS12)とを備える。
CADデータ取込変換ステップ(ステップSS11)とは、CADデータ取込変換手段41が、作成するプラントモデル33の対象となる実際のプラントのCADデータ45を取り込んで、ホワイトボックスプラントモデルを作成する処理ステップである。
機器モデル挿入ステップ(ステップSS12)とは、プラントモデル作成手段12が、CADデータ取込変換ステップで作成されたホワイトボックスプラントモデルに機器モデル24を挿入(配置)する処理ステップである。
このような処理ステップを具備する第2のプラントモデル作成手順は、第1のプラントモデル作成手順と同様に、制御手段5が実行要求のあった処理ステップを実行するのに必要な処理手段を機能させることでなされる(START)。
第2のプラントモデル作成手順では、まず、ステップSS1で機器モデル作成ステップがなされ、機器モデル作成ステップが完了すると、続いて、ステップSS11に進み、ステップSS11〜ステップSS12で第2のプラントモデル作成ステップがなされる。
第2のプラントモデル作成ステップでは、まず、ステップSS11で、CADデータ取込変換ステップがなされ、CADデータ取込変換手段41が、ユーザのCADデータ取込変換要求を受けて、CADデータ45を取り込みホワイトボックスプラントモデルを作成する。
より具体的には、実際のプラントを設計する際に作成されるPFD(プロセスフローダイアグラム)やEFD(エンジニアリングフローダイアグラム)などのCADデータ45をプラントモデル作成システム1Aが読み出し可能な状態にしておく。そして、ユーザから入力されたCADデータ取込変換要求を受けて、CADデータ45から機器の特性や動作を示すデータが含まれていないホワイトボックスプラントモデルを作成する。
ホワイトボックスプラントモデルが作成されると、CADデータ取込変換ステップを完了し、続いて、ステップSS12で機器モデル挿入ステップがなされる。
機器モデル挿入ステップでは、プラントモデル作成手段12が、ユーザの機器モデル挿入(配置)要求を受けて、CADデータ取込変換ステップで作成されたホワイトボックスプラントモデルに機器モデル24を挿入(配置)する。尚、ユーザは、機器モデル24を挿入(配置)する入力操作を表示される機器モデル24を画面上で配置することで行うことができる。
ホワイトボックスプラントモデルに全て機器モデル24を配置すると、取り込んだCADデータ45が表すプラントを模擬したプラントモデル案33が完成する。プラントモデル案33が完成すると、第2のプラントモデル作成ステップを完了し、ステップSS3に進む。ステップSS3以降の処理ステップについては、図3に示す第1のプラントモデル作成手順と同様である(END)。
尚、図5に示す第2のプラントモデル作成手順において、第2のプラントモデル作成ステップ(ステップSS2A)は、CADデータ取込変換ステップと、機器モデル挿入ステップとを備えるとしたが、図3に示すプラントモデル作成ステップ(ステップSS2)をさらに備えていても良い。
つまり、第2のプラントモデル作成ステップが実行されることで作成されるプラントモデル案33は、ホワイトボックスプラントモデルに機器モデル24を挿入することで作成されたプラントモデル案33に限定されず、必要に応じて、新たな機器モデル24をさらに付加して作成されるプラントモデル案33でも良い。
プラントモデル作成システム1Aでは、プラントモデル作成システム1の効果に加え、CADデータ取込変換手段41が既存のCADデータ45を取り込んでプラントモデル案33の作成に使用可能なホワイトボックスプラントモデルを作成することができるので、ユーザがプラントモデル33を作成する際に要する作成時間を削減できる。
また、既存のCADデータ45を取り込むため、プラントモデル33を構成する機器モデル24の接続を間違えるといったプラントモデル33の作成段階でのミスを低減することができる。
[第3の実施形態]
図6に本発明の第3の実施形態に係るプラントモデル作成システムの一実施例であるプラントモデル作成システム1Bの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
プラントモデル作成システム1Bは、プラントモデル作成システム1に対して、よりシミュレーションの精度を高めつつユーザの作業量の削減を図ったシステムであり、実測データ取込手段48をさらに具備する点で相違するが、その他の点は実質的に相違しないので、既に説明済みの箇所と実質的に相違しない箇所には、同じ符号を付して説明を省略する。
図6によれば、プラントモデル作成システム1Bは、プラントモデル作成システム1、すなわち、入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、制御手段5、I/F手段6、機器モデル作成手段11、プラントモデル作成手段12、モデルシミュレーション手段13、モデルソース出力手段14およびソースインストール手段15に加えて、実測データ取込手段48をさらに具備する。
また、実測データ取込手段48は、データ変換処理部49と、代入処理部50とを備え、プラントモデル案33のシミュレーション実行に必要なプラント状態を表すデータ(以下、プラント状態データとする)を実測データ53(後述する図7に示す)から取り込む機能を有する。
実測データ取込手段48のデータ変換処理部49は、プラント状態データとしてプラントモデル案33に設定される当該プラント状態へ直接代入することができないデータ(以下、間接データとする)を代入可能なデータ(以下、直接データとする)に変換する機能を有する。また、代入処理部50は、プラント状態データ(直接データ)をプラントモデル案33に設定される当該プラント状態へ代入する機能を有する。
このように、実測データ取込手段48がデータ変換処理部49および代入処理部50を備えるのは、モデルシミュレーション手段13がプラントモデル案33に基づき計算して算出するプラント状態データの種類には、直接計算される直接データと、得られた計算結果をさらに変換して得られる間接データとがあるためである。
取込対象となる実測データ53が、間接データであれば、データ変換処理部49がデータ変換テーブル52を参照して直接データに変換し、変換して得られた直接データを代入処理部50がプラントモデル案33の当該箇所へ代入する。取込対象となる実測データ53が、直接データであれば、データの変換をすることなく、代入処理部50がプラントモデル案33の当該箇所へ直接代入する。
次に、プラントモデル作成システム1Bを使用して行うプラントモデル33の作成作業(以下、第3のプラントモデル作成作業とする)について説明する。
第3のプラントモデル作成作業における一連の作業の流れは、図2において、プラントモデル案作成作業(作業S2)とプラントモデル案33の検証作業(作業S3)との間に実測データ取込作業(作業S6)を追加したものとなる(図は省略)。
また、これら第3のプラントモデル作成作業(作業S1〜作業S2,作業S6,作業S3〜作業S5)の一連の作業は、ユーザが必要な入力要求をプラントモデル作成システム1に与え、プラントモデル作成システム1Bにプラントモデル作成手順(以下、第3のプラントモデル作成手順とする)を実行させることで行うことできる。
図7は、プラントモデル作成システム1Bが実行する第3のプラントモデル作成手順について、処理ステップの順を追って表した処理フロー図である。
尚、図7に示す第3のプラントモデル作成手順においては、図3と同様にユーザが全く機器モデル24の作成を行っていない状態(初期状態)であるものとし、第1のプラントモデル作成手順と重複する箇所については説明を省略する。
図7によれば、第3のプラントモデル作成手順は、機器モデル作成ステップ(ステップSS1)と、プラントモデル作成ステップ(ステップSS2)と、実測データ取込ステップ(ステップSS20)と、プラントモデルシミュレーションステップ(ステップSS3)と、モデルソース出力ステップ(ステップSS5)と、ソースインストールステップ(ステップSS6)とを具備する。
実測データ取込ステップ(ステップSS20)とは、プラントモデル案33のシミュレーション実行に必要なプラント状態データを実測データ53から取り込む処理ステップであり、取り込むプラント状態データが間接データである場合(ステップSS21でYESの場合)に直接データに変換するデータ変換処理ステップ(ステップS22)と、取り込むプラント状態データが直接データである場合(ステップSS21でNOの場合)にプラントモデル案33の当該プラント状態へ代入する代入処理ステップ(ステップS23)とを備える。
このような処理ステップを具備する第3のプラントモデル作成手順は、第1のプラントモデル作成手順と同様に、制御手段5が実行要求のあった処理ステップを実行するのに必要な処理手段を機能させることでなされる(START)。
第3のプラントモデル作成手順では、まず、ステップSS1で機器モデル作成ステップがなされ、続いて、ステップSS2でプラントモデル作成ステップがなされる。そして、プラントモデル作成ステップが完了すると、ステップSS20に進み、ステップSS20(ステップSS21〜ステップSS23)で実測データ取込ステップがなされる。
実測データ取込ステップでは、取り込むプラント状態データが間接データである場合(ステップSS21でYESの場合)、データ変換処理部49がデータ変換処理ステップを行い、間接データを直接データに変換する(ステップSS22)。そして、データ変換処理ステップで得られた直接データを代入処理部50が代入処理ステップを行い、プラントモデル案33の当該プラント状態へ代入する(ステップSS23)。
一方、取り込むプラント状態データが直接データである場合(ステップSS21でNOの場合)には、ステップSS23に進み、代入処理部50が代入処理ステップを行い、プラントモデル案33の当該プラント状態へ代入する。
プラントモデル案33の当該プラント状態へ実測データ(変換処理後のデータも含む)53が代入されると、代入処理ステップが完了し、実測データ取込ステップの全処理ステップを完了する。実測データ取込ステップが完了すると、ステップSS3に進む。ステップSS3以降の処理ステップは、図3に示す第1のプラントモデル作成手順と同様である(END)。
プラントモデル作成システム1Bによれは、プラントモデル作成システム1の効果に加え、実測データ取込手段48が実際のプラントで実測された実測データ53を取り込むことができるので、実測データ53を使用したシミュレーションが可能となり、測定されない機器のモデル修正や機器パラメータのチューニングを効率的に行うことが可能となる。
[第4の実施形態]
図8に本発明の第4の実施形態に係るプラントモデル作成システムの一実施例であるプラントモデル作成システム1Cの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
プラントモデル作成システム1Cは、プラントモデル作成システム1に対して、よりシミュレーションの精度を高めつつユーザの作業量の削減を図ったシステムであり、第2の実測データ取込手段48Aをさらに具備する点で相違するが、その他の点は実質的に相違しないので、既に説明済みの箇所と実質的に相違しない箇所には、同じ符号を付して説明を省略する。
図8によれば、プラントモデル作成システム1Cは、プラントモデル作成システム1、すなわち、入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、制御手段5、I/F手段6、機器モデル作成手段11、プラントモデル作成手段12、モデルシミュレーション手段13、モデルソース出力手段14およびソースインストール手段15に加えて、第2の実測データ取込手段48Aをさらに具備する。
第2の実測データ取込手段48Aは、実測データ取込手段48に対して、取り込んだ実測データ53に対してパラメータチューニングを行う機能を付加したものである。具体的には、代入処理部50と、フィッティング判定処理部55と、パラメータ変更処理部56とを備える。
フィッティング判定処理部55は、プラントモデル案33の一部または全部の範囲からユーザにより指定された範囲およびパラメータの種類(以下、フィッティング対象とする)について実測データ53とシミュレーション結果が一致しているか否かを確認するべく、モデルシミュレーション手段13が行ったシミュレーション結果と実測データ53との比較を行う。簡潔に言えば、フィッティング対象について、実測データ53とシミュレーション結果とのフィッティング状況を調べる(フィッティング判定処理ステップ)。
また、フィッティング判定処理部55は、フィッティング対象について、実測データ53とシミュレーション結果とが一致する場合に代入処理部50へフィッティング対象となった実測データ53を与えることができる。逆に、フィッティング対象について、実測データ53とシミュレーション結果とが一致しない場合には、フィッティング対象の情報をパラメータ変更処理部56に与えることができる。
パラメータ変更処理部56は、フィッティング判定処理部55が行ったフィッティング判定処理ステップの結果、ユーザの指定した範囲について、実測データ53とシミュレーション結果とが一致していない場合に、ユーザにより指定されたパラメータの変更を行うことができる。また、変更後のパラメータを代入処理部50に与えることができる。
パラメータの変更処理には様々な変更処理方法があるが、例えば、プラントモデル作成システム1Cでは、探索処理および最適化処理によるパラメータ変更処理を行うことができる。より具体的に説明すれば、パラメータ変更処理部56は、探索処理によるパラメータ変更処理を行うための探索処理機能58と、最適化処理によるパラメータ変更処理を行うための最適化処理機能59を有する。
ここで、探索処理とは、シミュレーション結果と実測データ53とのずれに対するパラメータの感度から有効なパラメータを順次変更する処理をいう。最適化処理とは、非線形の目的解を求解することにより最適解を求めパラメータを変更する処理をいう。
次に、プラントモデル作成システム1Cを使用して行うプラントモデル33の作成作業(以下、第4のプラントモデル作成作業とする)について説明する。
第4のプラントモデル作成作業における一連の作業の流れは、図2において、プラントモデル案作成作業(作業S2)とプラントモデル案33の検証作業(作業S3)との間に第2の実測データ取込作業(作業S6A)を追加したものとなる。尚、図は省略する。
また、これら第4のプラントモデル作成作業(作業S1〜作業S2,作業S6,作業S3〜作業S5)の一連の作業は、ユーザが必要な入力要求をプラントモデル作成システム1に与え、プラントモデル作成システム1Cにプラントモデル作成手順(以下、第4のプラントモデル作成手順とする)を実行させることで行うことできる。
図9は、プラントモデル作成システム1Cが実行する第4のプラントモデル作成手順について、処理ステップの順を追って表した処理フロー図である。
尚、図9に示す第4のプラントモデル作成手順においては、図3と同様にユーザが全く機器モデル24の作成を行っていない状態(初期状態)であるものとし、第1のプラントモデル作成手順と重複する箇所については説明を省略する。
図9によれば、第4のプラントモデル作成手順は、機器モデル作成ステップ(ステップSS1)と、プラントモデル作成ステップ(ステップSS2)と、プラントモデルシミュレーションステップ(ステップSS3)と、第2の実測データ取込ステップ(ステップSS25)と、モデルソース出力ステップ(ステップSS5)と、ソースインストールステップ(ステップSS6)とを具備し、第1のプラントモデル作成手順におけるステップSS7に相当する処理ステップを第2の実測データ取込ステップとして行う。
第2の実測データ取込ステップ(ステップSS25)とは、フィッティング対象についてシミュレーション結果と実測データ53との比較を行い一致するか否かを判定するフィッティング判定処理ステップ(ステップSS27)と、フィッティング対象についてシミュレーション結果と実測データ53とが一致しない場合に指定されたパラメータの変更処理を行うパラメータ変更処理ステップ(ステップSS28)と、代入処理ステップ(ステップSS23)とを備える。
このような処理ステップを具備する第4のプラントモデル作成手順は、第1のプラントモデル作成手順と同様に、制御手段5が実行要求のあった処理ステップを実行するのに必要な処理手段を機能させることでなされる(START)。
第4のプラントモデル作成手順では、まず、ステップSS1で機器モデル作成ステップがなされ、続いて、ステップSS2でプラントモデル作成ステップがなされる。そして、プラントモデル作成ステップが完了すると、プラントモデルシミュレーションステップがなされる。
プラントモデルシミュレーションステップが完了して得られたシミュレーションの結果をユーザが検証し、必要な設計要求を満足する場合(ステップSS4でYESの場合)、第1のプラントモデル作成手順と同様にステップSS5およびステップSS6の処理ステップがなされる(END)。
一方、プラントモデルシミュレーションステップが完了して得られたシミュレーションの結果をユーザが検証し、必要な設計要求を満足する場合(ステップSS4でNOの場合)、ステップSS25に進み、ステップSS25(ステップSS27〜ステップSS28、ステップSS23)で第2の実測データ取込ステップがなされる。
第2の実測データ取込ステップでは、まず、ステップSS27に進み、ステップSS27でフィッティング判定処理部55が、フィッティング対象についてシミュレーション結果と実測データ53との比較を行い一致するか否かを判定する(フィッティング判定処理ステップ)。フィッティング対象についてシミュレーション結果と実測データ53とが一致する場合(ステップSS27でYESの場合)、ステップSS23に進み、代入処理部50が代入処理ステップを行い、プラントモデル案33の当該プラント状態へ代入する。
実測データ53がプラントモデル案33の当該プラント状態へ代入されると代入処理ステップが完了する。そして、代入処理ステップが完了すると、第2の実測データ取込ステップも完了し、ステップSS3以降の処理ステップを行う。
また、フィッティング対象についてシミュレーション結果と実測データ53とが一致しない場合(ステップSS27でNOの場合)、ステップSS28に進み、ステップSS28で、パラメータ変更処理部56がフィッティング対象のパラメータについてパラメータ変更処理を行う(パラメータ変更処理ステップ)。
パラメータ変更処理部56は、探索処理および最適化処理によるパラメータ変更処理を行うことができる。探索処理および最適化処理のうち、どちらの方法を採用するかは、ユーザが入力手段2を入力操作することで指定できる。パラメータの変更がなされると、パラメータ変更処理ステップを完了し、ステップSS23に進み、代入処理部50が代入処理ステップを行う。
代入処理部50が代入処理ステップを行い、変更後のパラメータをプラントモデル案33の当該プラント状態へ代入すると、ステップSS3に進み、ステップSS3以降の処理ステップを行う。
尚、図9に示す第4のプラントモデル作成手順では、プラントモデルシミュレーションステップを行った後に、第2の実測データ取込ステップを行っているが、プラントモデルシミュレーションステップを行う前に、プラントモデル作成ステップに続き、第2の実測データ取込ステップを行っても構わない。この場合は、フィッティング対象についてシミュレーション結果と実測データ53とが一致しない場合(ステップSS27でNOの場合)に該当する。
プラントモデル作成システム1Cでは、プラントモデル作成システム1の効果に加え、第2の実測データ取込手段48Aが取り込んだ実測データ53に対してパラメータチューニングを行うことができるので、ユーザのパラメータチューニング作業量を削減することができる。
[第5の実施形態]
図10に本発明の第5の実施形態に係るプラントモデル作成システムの一実施例であるプラントモデル作成システム1Dの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
プラントモデル作成システム1Dは、プラントモデル作成システム1に対して、複数の作業者(ユーザ)による作業の効率化を図ったシステムであり、データ管理手段61をさらに具備する点で相違するが、その他の点は実質的に相違しないので、既に説明済みの箇所と実質的に相違しない箇所には、同じ符号を付して説明を省略する。
図10によれば、プラントモデル作成システム1Dは、プラントモデル作成システム1、すなわち、入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、制御手段5、I/F手段6、機器モデル作成手段11、プラントモデル作成手段12、モデルシミュレーション手段13、モデルソース出力手段14およびソースインストール手段15に加えて、データ管理手段61をさらに具備する。
データ管理手段61は、プラントモデル作成システム1Dの機器モデル作成手段11、プラントモデル作成手段12、モデルシミュレーション手段13、モデルソース出力手段14およびソースインストール手段15が作成したデータを管理する機能(データ管理機能)を有する。すなわち、データ管理手段61は、機器モデル24、プラントモデル33、シミュレーション結果、プラントモデルソース35の出力状況および実システム20へのインストール状況等のデータ(以下、共有化データとする)64について作成(出力またはインストール)者や作成(出力またはインストール)日時と共に管理することができる。
このように構成されるプラントモデル作成システム1Dは、図11に示すように、例えば、3つ等の複数のプラントモデル作成システム(第1のプラントモデル作成システム1D1、第2のプラントモデル作成システム1D2、第3のプラントモデル作成システム1D3)をLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク65で作業する場合に、データの共有化および共有化されたデータの管理を行うべく構築されたシステムである。
また、図11に示すシステムにおいては、全てのプラントモデル作成システム1D1,1D2,1D3からアクセス可能なデータサーバ66に、例えば、機器モデル24、プラントモデル33、シミュレーション結果、プラントモデルソース35の出力状況および実システム20へのインストール状況等の共有化データ64を保管して管理している。
さらに、プラントモデル作成システム1D1,1D2,1D3では、共有化された機器モデル24やプラントモデル33の使用状況などの確認も行うことができる。例えば、プラントモデル作成システム1D1において、作業(削除や修正)を行う場合には、他のプラントモデル作成システム1D2,1D3における当該データ使用状況を確認することができる。
尚、共有化データ64をデータサーバ66に保管して管理しているが、いずれのプラントモデル作成システム1D1,1D2,1D3からもアクセスが可能であれば、共有化されたデータを各プラントモデル作成システム1D1,1D2,1D3におけるデータ記録手段4で保管して管理しても構わない。
プラントモデル作成システム1Dでは、プラントモデル作成システム1の効果に加え、例えば、図11に示すような複数のプラントモデル作成システム1Dを接続して構成されたシステムのように複数の作業者が作業を行い得る環境下にある場合でも、データ共有およびデータ管理を行うことができ、複数の作業者が並行して作業を行う場合の作業効率を向上することができる。
[第6の実施形態]
図12に本発明の第6の実施形態に係るプラントモデル作成システムの一実施例であるプラントモデル作成システム1Eの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
プラントモデル作成システム1Eは、プラントモデル作成システム1に対して、機器モデル作成手段11の代わりに、機器モデル作成手段11Aを具備する点で相違するが、その他の点は実質的に相違しないので、既に説明済みの箇所と実質的に相違しない箇所には、同じ符号を付して説明を省略する。
図12によれば、プラントモデル作成システム1Eは、入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、制御手段5、I/F手段6、機器モデル作成手段11A、プラントモデル作成手段12、モデルシミュレーション手段13、モデルソース出力手段14およびソースインストール手段15を具備する。
プラントモデル作成システム1Eの機器モデル作成手段11Aは、機器モデル作成手段11が有する機器モデル作成機能71に加えて、機器モデル24の作成を支援する機器モデル作成支援手段としての機器モデル作成支援機能72を備え、機器モデル作成支援機能72は、機器モデル定義ひな型自動作成機能74と、機器モデル入出力自動作成機能75と、プログラムコードチェック処理機能76と、プログラム仕様チェック処理機能77とを有する。
機器モデル定義ひな型自動作成機能74とは、機器モデル24のグラフィック部26および入出力情報格納部28に格納された入出力情報が作成された場合において、機器モデル24のグラフィック部26および入出力情報格納部28に格納された入出力情報から機器モデル定義27のひな型を自動的に作成する機能である。
機器モデル入出力自動作成機能75とは、機器モデル定義27のプログラム仕様31が作成された場合において、作成されたプログラム仕様31から機器モデル24のグラフィック部26が有する入出力格納部28に格納される入出力情報を自動作成する機能である。
プログラムコードチェック処理機能76とは、機器モデル定義27のプログラムコード30と、機器モデル24のグラフィック部26に添付された入出力情報格納部28に格納された入出力情報を比較し、一致しない場合はエラー表示を表示手段3に出力してユーザにエラーを知らせる機能である。
プログラム仕様チェック処理機能77とは、機器モデル定義27のプログラム仕様31と機器モデル24のグラフィック部26に添付された入出力情報格納部28に格納された入出力情報を比較し、一致しない場合はエラー表示を表示手段3に出力してユーザにエラーを知らせる機能である。
つまり、機器モデル作成支援機能72は、機器モデル定義ひな型自動作成機能74、機器モデル入出力自動作成機能75、プログラムコードチェック処理機能76およびプログラム仕様チェック処理機能77を有するように構成されることから、機器モデル作成支援機能72を、機器モデル定義ひな型自動作成手段、機器モデル入出力自動作成手段、プログラムコードチェック処理手段およびプログラム仕様チェック処理手段を有する機器モデル作成支援手段とすることができる。
一方、プラントモデル作成システム1Eを使用して行うプラントモデル33を作成するために必要とされる作業(以下、第6のプラントモデル作成作業とする)については、基本的に第1のプラントモデル作成作業と同様であるが、モデル機器作成作業時にモデル機器作成支援機能72がモデル機器24の作成を支援する点で相違する。また、第6のプラントモデル作成作業の一連の作業についても、ユーザが必要な入力要求をプラントモデル作成システム1Eに与え、プラントモデル作成システム1Eにプラントモデル作成手順(以下、第6のプラントモデル作成手順とする)を実行させることで行うことできる。
第6のプラントモデル作成手順は、図3に示す第1のプラントモデル作成手順における機器モデル作成ステップ(ステップSS1)の代わりに第2の機器モデル作成ステップを具備する。つまり、図3に示す第1のプラントモデル作成手順における機器モデル作成ステップを第2の機器モデル作成ステップと読み替えれば第6のプラントモデル作成手順の処理フロー図となるので、図3の読み替えをもって第6のプラントモデル作成手順の処理フロー図を省略する。
ここで、第6のプラントモデル作成手順における第2の機器モデル作成ステップとは、機器モデル作成手段11Aが、機器モデル24を作成する処理ステップであり、機器モデル作成処理ステップとの相違は、機器モデル作成処理ステップに加え、ユーザが機器モデル24を作成する支援を行う機器モデル作成支援処理ステップをさらに有する点にある。
また、機器モデル作成支援処理ステップは、より詳細には、機器モデル入出力情報自動作成処理ステップと、機器モデル定義自動作成処理ステップと、プログラムコードチェック処理ステップと、プログラム仕様チェック処理ステップとを備え、機器モデル24の作成の手順により実行される処理ステップが相違する。
例えば、機器モデル定義27のプログラム仕様31が先に作成された場合、機器モデル入出力自動作成機能75が、残りの機器モデル24のグラフィック部26および入出力情報格納部28に格納された入出力情報の作成を支援するべく、作成されたプログラム仕様31から機器モデル24のグラフィック部26が有する入出力格納部28に格納される入出力情報を自動作成する。
一方、機器モデル24のグラフィック部26および入出力情報格納部28に格納された入出力情報が先に作成された場合には、機器モデル定義ひな型自動作成機能74が、残りの機器モデル定義27の作成を支援するべく、作成された機器モデル24のグラフィック部26および入出力情報格納部28に格納された入出力情報から機器モデル定義27のひな型を自動的に作成する。
さらに、機器モデル定義27のプログラムコード30と機器モデル24のグラフィック部26に添付された入出力情報格納部28に格納された入出力情報とを比較して一致しない場合にはエラー表示を表示手段3に出力する。同様に、機器モデル定義27のプログラム仕様31と機器モデル24のグラフィック部26に添付された入出力情報格納部28に格納された入出力情報とを比較して一致しない場合にもエラー表示を表示手段3に出力する。
機器モデル作成手段11Aが、機器モデル作成ステップを行い、機器モデル作成ステップが完了すると、ステップSS2に進み、ステップSS2以降の処理ステップがなされる。ステップSS2以降の処理ステップについては、図3に示す第1のプラントモデル作成手順と同様である(END)。
プラントモデル作成システム1Eでは、プラントモデル作成システム1の効果に加え、機器モデル作成手段11Aが機器モデル作成支援機能72を備え、ユーザの機器モデル24の作成を支援するので、機器モデル24の作成時や修正時のヒューマンエラーを低減することができる。
[第7の実施形態]
図13に本発明の第7の実施形態に係るプラントモデル作成システムの一実施例であるプラントモデル作成システム1Fの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
プラントモデル作成システム1Fは、プラントモデル作成システム1に対して、モデルシミュレーション手段13の代わりにモデルシミュレーション手段13Aを具備し、データ記録手段4に表示色テーブル79を格納する点で相違するが、その他の点は実質的に相違しないので、既に説明済みの箇所と実質的に相違しない箇所には、同じ符号を付して説明を省略する。
図13によれば、プラントモデル作成システム1Fは、入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、制御手段5、I/F手段6、機器モデル作成手段11、プラントモデル作成手段12、モデルシミュレーション手段13A、モデルソース出力手段14およびソースインストール手段15を具備する。
モデルシミュレーション手段13Aは、モデルシミュレーション手段13が有するモデルシミュレーション機能に加え、シミュレーション結果を表示手段3に表示する際に、機器モデル24と機器モデル24との間を流れる成分に応じて機器間結線を色分け表示する色分け表示機能を有する。すなわち、モデルシミュレーション手段13Aは、機器間結線識別手段としても作用することができる。
モデルシミュレーション手段13Aの色分け表示機能は、プラントモデル作成手段12が作成したプラントモデル33から機器モデル24間の結線情報を受け取る一方で、表示色テーブル79を参照し、機器モデル24間を流れる物質と色との対応関係についての情報を取得する。ここで、結線情報とは、どの機器モデル24と機器モデル24が結線されるかについての情報とその結線にどのような物質が流れるについての情報とを有する情報である。
従って、モデルシミュレーション手段13Aは、プラントモデル作成手段12が作成したプラントモデル33から機器モデル24間の結線情報を受け取る一方で、表示色テーブル79を参照し、機器モデル24間を流れる物質と色との対応関係についての情報を取得することで、表示手段3に表示するシミュレーション結果の画像において、機器モデル24間の結線を色別けして表示することができる。また、同一の結線に複数の成分を含む場合は、複数色の表示を行うことができる。
尚、表示色テーブル79では、物質を色で識別するように物質とこの物質に対応する色を定義しているが、色の代わりに模様を物質に対応させても良い。
プラントモデル作成システム1Fによれば、機器モデル24と機器モデル24との間を流れる成分をグラフィカルに表示することができるので、ユーザの作業効率の向上に寄与することができる。特に、燃料再処理プラントのように、対象となる物質が多種に及び多数の成分を含んだ物質を取り扱うプラントのプラントモデル33のシミュレーション時にはより有効である。
[第8の実施形態]
図14に本発明の第8の実施形態に係るプラントモデル作成システムの一実施例であるプラントモデル作成システム1Gの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
プラントモデル作成システム1Gは、プラントモデル作成システム1に対して、簡易模擬機器モデル作成手段81をさらに具備し、データ記録手段4に簡易模擬機器モデルDB82を格納する点で相違するが、その他の点は実質的に相違しないので、既に説明済みの箇所と実質的に相違しない箇所には、同じ符号を付して説明を省略する。
図14によれば、プラントモデル作成システム1Gは、プラントモデル作成システム1、すなわち、入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、制御手段5、I/F手段6、機器モデル作成手段11、プラントモデル作成手段12、モデルシミュレーション手段13、モデルソース出力手段14およびソースインストール手段15に加えて、簡易模擬機器モデル作成手段81をさらに具備する。
簡易模擬機器モデル作成手段81は、詳細な模擬が必要ない機器を模擬したモデル(以下、簡易模擬機器モデルとする)を作成する機能(以下、簡易模擬機器モデル作成機能とする)を有する。つまり、簡易模擬機器モデル作成手段81は、機器モデル作成手段11とともにプラントモデル案33を作成するための機能を拡張する手段であり、詳細な模擬が必要ない機器について、機器モデル24を作成するか簡易模擬機器モデルを作成するかの選択肢をユーザに提供することができる。
詳細な模擬が必要ない機器には、例えば、燃料再処理プラントの場合、コンベアやクレーンなどの移送機器が該当する。燃料再処理プラントでは、コンベアやクレーンなどの移送機器が多数使用されているが、これらの移送機器を詳細に模擬するには、モーターのトルクや移送物の重量、速度、位置、機器の摩擦抵抗などをモデル化することになり、非常に手間がかかる。
しかし、プラント全体のモデルを作成する場合、移送機器のモデルは、移送開始後から適当な時間が経過後に移送物が所定の位置へ到着する役割を果たせば十分なことが多く、詳細なモデルは必要ないと考えられる場合が多い。
このような事情を考慮して、プラントモデル作成システム1Gでは、簡易模擬機器モデル作成手段81を、移送開始後から適当な時間が経過後に移送物が所定の位置へ到着したことを示す信号を返すタイムディレイモデル(簡易模擬機器の一種)を作成するタイムディレイモデル作成部84と、タイムディレイモデルを複数有するシーケンスモデルを作成するシーケンスモデル作成部85とを備えるように構成している。
簡易模擬機器モデル作成手段81が作成した簡易模擬機器モデルは、データ記録手段4に格納される簡易模擬機器モデルDB82に格納される。
尚、図14に示す簡易模擬機器モデル作成手段81では、タイムディレイモデル作成部84と、シーケンスモデル作成部85とを備えているが、必ずしも両者を備えている必要はなくいずれか一方を備える構成であっても良い。
一方、プラントモデル作成システム1Gを使用して行うプラントモデル33を作成するために必要とされる作業(以下、第8のプラントモデル作成作業とする)については、基本的に第1のプラントモデル作成作業と同様であるが、モデル機器作成作業時に簡易模擬機器モデルの作成を行うか否かの点で相違する。
また、第8のプラントモデル作成作業の一連の作業についても、ユーザが必要な入力要求をプラントモデル作成システム1Gに与え、プラントモデル作成システム1Gにプラントモデル作成手順(以下、第8のプラントモデル作成手順とする)を実行させることで行うことできる。
図15は、プラントモデル作成システム1Gが実行する第8のプラントモデル作成手順について、処理ステップの順を追って表した処理フロー図である。尚、図15に示す第8のプラントモデル作成手順おいては、図3と同様にユーザが全く機器モデル24の作成を行っていない状態(初期状態)であるものとし、第1のプラントモデル作成手順と重複する箇所については説明を省略する。
第8のプラントモデル作成手順は、図3に示す第1のプラントモデル作成手順に加え、簡易模擬機器モデルを作成する必要がある場合(ステップSS31においてYESの場合)において簡易模擬機器モデルを作成する簡易模擬機器モデル作成ステップ(ステップSS32)をさらに具備する。
このような処理ステップを具備する第8のプラントモデル作成手順は、第1のプラントモデル作成手順と同様に、制御手段5が実行要求のあった処理ステップを実行するのに必要な処理手段を機能させることでなされる(START)。
第8のプラントモデル作成手順では、まず、ステップSS1で機器モデル作成ステップがなされ、機器モデル作成ステップが完了する。そして、簡易模擬機器モデル作成の作成が必要な場合(ステップSS31でYESの場合)、ステップSS32に進み、ステップSS32で簡易模擬機器モデル作成手段81が簡易模擬機器モデルの作成を行う(簡易模擬機器モデル作成ステップ)。
簡易模擬機器モデル作成ステップが完了し、機器モデル24および簡易模擬機器モデルの作成が完了している場合(ステップSS33およびステップSS34でともにYESの場合)、ステップSS2に進み、ステップSS2以降の処理ステップを行う。ステップSS2以降の処理ステップについては、第1のプラントモデル作成手順と同様である(END)。
一方、簡易模擬機器モデル作成の作成が不要な場合(ステップSS31でNOの場合)、ステップSS2に進み、ステップSS2以降の処理ステップを行う。ステップSS2以降の処理ステップについては、第1のプラントモデル作成手順と同様である(END)。
他方、簡易模擬機器モデル作成ステップが完了し、簡易模擬機器モデルしていない場合(ステップSS33でNOの場合)、ステップSS33に進み、ステップSS33以降の処理ステップを行う。また、機器モデル24の作成が完了していない場合(ステップSS34でNOの場合)、ステップSS1に進み、ステップSS1以降の処理ステップがなされる。
プラントモデル作成システム1Gによれば、簡易模擬機器モデル作成手段81を具備するので、プラントモデル作成システム1の効果に加え、プラントを構成する機器のうち、詳細な模擬が不要な機器については、機器モデル24ではなく、簡易模擬機器モデルを作成することができるので、ユーザは、機器モデル24を作成する作業量を削減できる。
また、簡易模擬機器モデルを用いてプラントモデルを作成した場合、プラントモデル33自体の構成も簡潔になるので、シミュレーションの計算時間を短縮することができる。
[第9の実施形態]
図16に本発明の第9の実施形態に係るプラントモデル作成システムの一実施例であるプラントモデル作成システム1Hの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
プラントモデル作成システム1Hは、プラントモデル作成システム1に対して、プラントモデル間接続手段55をさらに具備する点で相違するが、その他の点は実質的に相違しないので、既に説明済みの箇所と実質的に相違しない箇所には、同じ符号を付して説明を省略する。
図16によれば、プラントモデル作成システム1Hは、プラントモデル作成システム1、すなわち、入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、制御手段5、I/F手段6、機器モデル作成手段11、プラントモデル作成手段12、モデルシミュレーション手段13、モデルソース出力手段14およびソースインストール手段15に加えて、接続モデル作成手段91およびプラントモデル間接続手段92をさらに具備し、データ記録手段4に接続モデルDB94を格納する。
接続モデル作成手段91は、プラントモデル33と他のプラントモデル33とを接続するためのインターフェイスとなるモデル(以下、接続モデルとする)96(後述する図17に示す)を作成する機能(接続モデル作成機能)を有する。また、接続モデル作成手段91が作成した接続モデル96は、接続モデルDB94に格納され、必要な時に利用することができる。
プラントモデル間接続手段92は、プラントモデル33とプラントモデル33とを接続モデルを使用して接続し、ひとつの新たなプラントモデル33を作成する機能(プラントモデル間接続機能)を有する。
図17は、プラントモデル間接続手段92のプラントモデル間接続機能を説明する説明図である。
尚、図17においては、一例として、プラントモデル33を、第1の分割モデル97a、第2の分割モデル97bおよび第3の分割モデル97cの3つに分割して作成した場合を示し、第1の分割モデル97aと第2の分割モデル97bとの接続に使用する接続モデル96を第1の接続モデル96aとし、第2の分割モデル97bと第3の分割モデル97cとの接続に使用する接続モデル96を第2の接続モデル96bとする。
図17に示すように、プラントモデル間接続手段92は、分割モデル97と分割モデル97とを接続モデル96を用いて接続することができ、全ての分割モデル97a,97b,97cを接続してプラント全体のプラントモデル33を作成することができる。
また、プラントモデル間接続手段92は、プラントモデル33の一部を接続(例えば、第1の分割モデル97aと第2の分割モデル97bとを第1の接続モデル96aで接続)して構成される部分プラントモデル98を作成することもできる。
プラントモデル間接続手段92が作成したプラントモデル33および部分プラントモデル98は、プラントモデルDB18に保存したり、シミュレーションを実行したり、プラントモデルソースコードを出力したり、実システム20へインストールしたりすることができる。
一方、プラントモデル作成システム1Hを使用して行うプラントモデル33を作成するために必要とされる作業(以下、第9のプラントモデル作成作業とする)は、第1のプラントモデル作成作業に加え、接続モデル作成作業(作業S8)とプラントモデル間接続作業(作業S9)がさらに必要となる。
より具体的には、第9のプラントモデル作成作業では、ユーザは、まず、機器モデル作成作業(作業S1)を行い、続いて、プラントモデル案作成作業(作業S2)を行う。そして、接続モデル作成作業(作業S8)およびプラントモデル間接続作業(作業S9)を行う。その後は、プラントモデル案33(または部分プラントモデル98)の検証作業(作業S3)、モデルソース出力作業(作業S4)およびソースインストール作業(作業S5)を行う。
尚、接続モデル作成作業は、機器モデル作成作業の前からプラントモデル間接続作業の前までに行えばどこで行っても構わない。
これらの第9のプラントモデル作成作業(作業S1〜作業S2、作業S8および作業S9、作業S3〜作業S5)における一連の作業については、ユーザが必要な入力要求をプラントモデル作成システム1Hに与え、プラントモデル作成システム1Hに第9のプラントモデル作成手順を実行させることで行うことできる。
図18は、プラントモデル作成システム1Hが実行する第9のプラントモデル作成手順について、処理ステップの順を追って表した処理フロー図である。尚、図18に示す第9のプラントモデル作成手順おいては、図3と同様にユーザが全く機器モデル24の作成を行っていない状態(初期状態)であるものとし、第1のプラントモデル作成手順と重複する箇所については説明を省略する。
第9のプラントモデル作成手順は、図3に示す第1のプラントモデル作成手順におけるに加え、接続モデル作成手段91が接続モデル96を作成する接続モデル作成ステップ(ステップSS41)と、プラントモデル間接続手段92がプラントモデル間を接続するプラントモデル間接続ステップ(ステップSS42)とをさらに具備する。
このような処理ステップを具備する第9のプラントモデル作成手順は、第1のプラントモデル作成手順と同様に、制御手段5が実行要求のあった処理ステップを実行するのに必要な処理手段を機能させることでなされる(START)。
第9のプラントモデル作成手順では、まず、ステップSS1で機器モデル作成ステップがなされ、機器モデル作成ステップが完了すると、続いて、ステップSS41に進み、ステップSS41で接続モデル作成手段91が接続モデル96を作成する(接続モデル作成ステップ)。
接続モデル作成手段91が接続モデル96を作成すると、接続モデル作成ステップを完了し、続いて、ステップSS2に進み、プラントモデル作成ステップがなされる。プラントモデル作成ステップで接続対象のプラントモデル33の作成が完了すると、続いて、ステップS42に進み、ステップS42でプラントモデル間接続手段92がプラントモデル間を接続する(プラントモデル間接続ステップ)。
プラントモデル間接続手段92がプラントモデル間を接続すると、プラントモデル間接続ステップを完了し、続いて、ステップSS3に進み、ステップSS3以降の処理ステップを行う。ステップSS3以降の処理ステップについては、第1のプラントモデル作成手順と同様である(END)。
尚、第9のプラントモデル作成手順における接続モデル作成ステップ(ステップSS41)は、機器モデル作成ステップが兼ねても良い。
また、接続モデル作成ステップは、第9のプラントモデル作成手順がスタートして以降、プラントモデル間接続ステップ(ステップSS42)以前の間であれば、どの順番でなされても構わない。
プラントモデル作成システム1Hによれば、接続モデル作成手段91およびプラントモデル間接続手段92を具備するので、プラントモデル作成システム1の効果に加え、モデル作成対象となるプラントが大規模な場合であっても、別々のユーザがそれぞれプラントの一部分を作成することができる。従って、一人のユーザが一度にプラント全体のモデルを作成するのではなく、複数のユーザがそれぞれプラントの一部分を作成することができるので、ユーザの作業効率を向上させることができる。
尚、プラントモデル作成システム1Hは、接続モデル作成手段91を具備しているが、接続モデル作成手段91を具備する代わりに、機器モデル作成手段11が接続モデル作成手段91を兼ねるように構成されていても構わない。つまり、機器モデル作成手段11が接続モデル作成機能を有するように構成されても構わない。
[第10の実施形態]
図19に本発明の第10の実施形態に係るプラントモデル作成システムの一実施例であるプラントモデル作成システム1Iの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
プラントモデル作成システム1Iは、プラントモデル作成システム1に対して、機能モデル作成手段101をさらに具備し、データ記録手段4に機能モデルDB102を格納する点で相違するが、その他の点は実質的に相違しないので、既に説明済みの箇所と実質的に相違しない箇所には、同じ符号を付して説明を省略する。
図19によれば、プラントモデル作成システム1Iは、プラントモデル作成システム1、すなわち、入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、制御手段5、I/F手段6、機器モデル作成手段11、プラントモデル作成手段12、モデルシミュレーション手段13、モデルソース出力手段14およびソースインストール手段15に加えて、機能モデル作成手段101をさらに具備する。
機能モデル作成手段101は、機器等の特定の機能を模擬するモデル(以下、機能モデルとする)を作成する機能(機能モデル作成機能)を有する。つまり、機能モデル作成手段101が作成した機能モデル104(後述する図20に示す)は、機器モデル24よりも小さな単位のモデルとなる。また、機能モデル104は、データ記録手段4に格納される機能モデルDB102に格納され、必要な時(例えば、機器モデルの作成時)に利用することができる。
図20は、機能モデル作成手段101の機能モデル作成機能を説明する説明図である。尚、図20においては、機能モデル104の一例として、エネルギーバランス計算機能104a、物質バランス計算機能104bおよび密度計算機能104cを機能モデルDB102に格納しているものとする。
機能モデル作成手段101は、機能モデル104を作成し、作成した機能モデル104を機能モデルDB102に格納することができる。機能モデル104は、機器モデル24と同様の構成であり、より具体的には、機能をイメージ化したグラフィック部26と、機能の特徴や動作を定義した機能モデル定義106とを備える。また、グラフィック部26は、機器モデル24と同様に入力情報および出力情報を表す入出力情報格納部28を有する。
機器モデル24を構成するうえで必要な機能モデル104がそろうと、機器モデル作成手段11は、機能モデル104を複数組合せて機器モデル24を作成することができる。例えば、図20に示す例では、機器モデル作成手段11が、エネルギーバランス計算機能104a、物質バランス計算機能104bおよび密度計算機能104cを組合せて一つの機器モデル24を作成している。
尚、機能モデル104の配置および接続は、プラントモデル作成手段12と同様に、機器モデル作成手段11がGUIをユーザに提供しており、作成された機能モデル104を配置したり接続することで、機器モデル24を作成できる。
一方、プラントモデル作成システム1Iを使用して行うプラントモデル33を作成するために必要とされる作業(以下、第10のプラントモデル作成作業とする)は、第1のプラントモデル作成作業に加え、機能モデル作成作業(作業S10)がさらに必要となる。
より具体的には、第10のプラントモデル作成作業では、ユーザは、まず、機能モデル作成作業を行い、機器モデル24の作成に必要な機能モデル104を作成する。そして、その後は、機器モデル作成作業(作業S1)、プラントモデル案作成作業(作業S2)、プラントモデル案33の検証作業(作業S3)、モデルソース出力作業(作業S4)およびソースインストール作業(作業S5)を行う。
これらの第10のプラントモデル作成作業(作業S10、作業S1〜作業S5)における一連の作業については、ユーザが必要な入力要求をプラントモデル作成システム1Iに与え、プラントモデル作成システム1Iに第10のプラントモデル作成手順を実行させることで行うことできる。
図21は、プラントモデル作成システム1Iが実行する第10のプラントモデル作成手順について、処理ステップの順を追って表した処理フロー図である。尚、図21に示す第10のプラントモデル作成手順おいては、図3と同様にユーザが全く機能モデル104および機器モデル24の作成を行っていない状態(初期状態)であるものとし、第1のプラントモデル作成手順と重複する箇所については説明を省略する。
第10のプラントモデル作成手順は、図3に示す第1のプラントモデル作成手順におけるに加え、機能モデル作成手段101が機能モデル104を作成する機能モデル作成ステップ(ステップSS51)をさらに具備する。
このような処理ステップを具備する第10のプラントモデル作成手順は、第1のプラントモデル作成手順と同様に、制御手段5が実行要求のあった処理ステップを実行するのに必要な処理手段を機能させることでなされる(START)。
第10のプラントモデル作成手順では、まず、ステップSS51に進み、ステップSS51で機能モデル作成ステップがなされる。機能モデル作成ステップでは、ユーザの機能モデル作成要求を受けて機能モデル作成手段101が、例えば、図20に示すようなエネルギーバランス計算機能104a、物質バランス計算機能104bおよび密度計算機能104c等の機器モデル24の作成に必要な機能モデル104を作成する。
機器モデル24の作成に必要な機能モデル104の作成が完了すると、機能モデル作成ステップを完了し、続いて、ステップSS1に進み、ステップSS1以降の処理ステップを行う。ステップSS1以降の処理ステップについては、第1のプラントモデル作成手順と同様である(END)。
プラントモデル作成システム1Iによれば、機能モデル作成手段101を具備するので、プラントモデル作成システム1の効果に加え、異なる機器でも機能単位で同じであれば、同じ機能モデルを使用して機器モデル24を作成することができるため、機器モデル24を作成する際のプログラムコード作成等やヒューマンエラーを削減に寄与することができる。
以上、本発明の実施形態に係るプラントモデル作成システム1〜1Iによれば、GUIによるプラントモデルの作成から、作成したプラントモデル33のシミュレーションおよび訓練システム等の実システム20へのプラントモデル33のインストールまでの一連の作業を一貫して行うことが可能となる。
また、CADデータ取込変換手段41が既存のCADデータ45を取り込んでプラントモデル案33の作成に使用可能なホワイトボックスプラントモデルを作成することができるので、ユーザがプラントモデル33を作成する際に要する作成時間を削減できるとともに、プラントモデル33を構成する機器モデル24の接続を間違えるといったプラントモデル33の作成段階でのミスを低減することができる。
さらに、実測データ取込手段48が実際のプラントで実測された実測データ53を取り込むことができるので、実測データ53を使用したシミュレーションが可能となり、測定されない機器のモデル修正や機器パラメータのチューニングを効率的に行うことが可能となる。
さらにまた、第2の実測データ取込手段48Aが取り込んだ実測データ53に対してパラメータチューニングを行うことができるので、ユーザのパラメータチューニング作業量を削減することができる。
一方、複数の作業者が作業を行い得る環境下にある場合でも、データ共有およびデータ管理を行うことができ、複数の作業者が並行して作業を行う場合の作業効率を向上することができる。
また、機器モデル作成手段11Aは、機器モデル作成支援機能72を備え、ユーザの機器モデル24の作成を支援するので、機器モデル24の作成時や修正時のヒューマンエラーを低減することができる。
さらに、機器モデル24と機器モデル24との間を流れる成分をグラフィカルに表示することができるので、ユーザの作業効率の向上に寄与することができる。
他方、簡易模擬機器モデルを作成できるので、プラントを構成する機器のうち、詳細な模擬が不要な機器については、機器モデル24ではなく簡易模擬機器モデルを作成することができ、その結果、ユーザは、機器モデル24を作成する作業量を削減することができる。
また、簡易模擬機器モデルを用いてプラントモデルを作成した場合、プラントモデル33自体の構成も簡潔になるので、シミュレーションの計算時間を短縮することができる。
さらに、モデル作成対象となるプラントが大規模な場合であっても、別々のユーザがそれぞれプラントの一部分を作成することができる。従って、一人のユーザが一度にプラント全体のモデルを作成するのではなく、複数のユーザがそれぞれプラントの一部分を作成することができるので、ユーザの作業効率を向上させることができる。
さらにまた、異なる機器でも機能単位で同じであれば、同じ機能モデルを使用して機器モデル24を作成することができるため、機器モデル24を作成する際のプログラムコード作成等やヒューマンエラーを削減に寄与することができる。