JP4473730B2 - 過剰増殖性細胞を認識する抗体ならびにその作製および使用方法 - Google Patents

過剰増殖性細胞を認識する抗体ならびにその作製および使用方法 Download PDF

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Description

関連出願
本出願は、2002年9月11日付けで出願した米国特許出願第60/410,366号の優先権の恩典を主張するものである。
発明の分野
本発明は、過剰増殖性細胞と関連した抗原に結合する抗体、および過剰増殖性疾患の処置方法に関する。
背景
外科手術、放射線療法、および化学療法のような古典的な抗新生物治療の方針は、新生物の大部分を治療できないばかりか、その利用により、重度のおよび衰弱性の副作用が引き起こされることが多い。がん治療の「特効薬」としての抗体の潜在性が、1世紀近い間、認められている。この過去25年間、さまざまな科学の発展により、無制限の量の臨床用のマウス、キメラ、およびヒト化モノクローナル抗体(MoAb)の産生が可能となった。
第4の抗がん療法としての免疫療法は、かなり有効であることが既に証明されている。無処置の、非複合MoAbは: [1] 抗体のFc部分と補体タンパク質および/または効果細胞との間の相互作用に基づく免疫系を介して、抗がん作用をもたらす; [2] 循環血液中のリガンドを中和するかまたは細胞膜の受容体を遮断し、結果的に、リガンド/受容体の相互作用およびシグナル伝達を阻害することにより、調節作用を誘発する; [3] 抗イディオタイプ・ネットワークのカスケードを介して抗がんワクチンの抗原として機能することができる。複合MoAbは、放射性同位体、天然毒素、化学療法薬物、サイトカイン、および免疫細胞のような他の作用物質の担体としての機能を果たすことができる。抗原となる標的の重要な側面は、それが、発現の密度、および標的細胞に対する抗原の生理的重要性を内在化しているか否かにかかわらず、与えるかどうかにかかわらず、腫瘍特異的であるまたは腫瘍に関連している度合いである。
1980年代に、研究者らは、抗体投与の安全性を樹立し、ある予測可能な抗体を介した毒性を定義し、および抗体が腫瘍標的に到達して、抗腫瘍作用をもたらすことができることを確認した。しかしながら、ヒトでの非ヒト抗体の臨床用途は、宿主での抗グロブリン免疫反応の発現により制限される。この制限は、さまざまな程度のヒト化を伴う抗体の産生により克服されている。例えば、遺伝子工学的に改変されたキメラヒト-マウスMoABは、マウスFc領域をヒト定常領域と置換することにより開発されている。さらに、齧歯類免疫グロブリンの可変ドメインのフレームワーク領域が同様に、そのヒト等価物により置換された。1997年に、リタキシマブ(Rituxan(リツキサン))、つまりマウス-ヒトキメラ抗CD20が、監督官庁により承認された、ヒト悪性腫瘍の処置用の最初のMoAbとなった。
概要
単離されたヒトポリクローナルおよびモノクローナル抗体が提供される。一つの態様として、抗体は、RM4(ATCC寄託番号PTA-5412)と命名され、およびAgRM4と命名された抗原に選択的に結合する。他の態様として、抗体は、RM2(ATCC寄託番号PTA-5411)と命名され、およびAgRM2と命名された抗原に選択的に結合する。
AgRM4およびAgRM2に顕著な結合親和性を有する; RM4およびRM2抗体の結合特異性を有する; RM4またはRM2抗体の、それぞれ、AgRM4およびAgRM2の結合に競合する; ならびにAgRM4または抗体のRM4もしくはRM2が結合するAgRM4およびAgRM2のエピトープに結合する抗体が提供される。RM4およびRM2の結合特異性を有する典型的な抗体は、RM4およびRM2抗体の1000倍の範囲内で、100倍の範囲内で、および10倍の範囲内で、それぞれ、AgRM4およびAgRM2に結合親和性を有する。
RM4およびRM2の置換、付加および欠失のような、修飾抗体が提供される。典型的な修飾抗体は、RM4(ATCC寄託番号PTA-5412)およびRM2(ATCC寄託番号PTA-5411)の軽鎖または重鎖のアミノ酸配列とは、修飾抗体がそれぞれAgRM4およびAgRM2に結合するという条件で、乖離する。典型的な欠失には、Fab、Fab'、Fv、F(ab')2、Fd、および一本鎖Fvが含まれる。
付着したまたは組み込まれた分子的実体を含む修飾抗体がさらに提供される。そのような実体には、細胞傷害性分子(例えば、細菌毒素、植物毒素、α、βもしくはγ放射性核種、細胞毒性薬、またはサイトカイン)、検出可能な標識およびタグ(例えば、放射性同位体、蛍光化合物、コロイド金属、化学発光化合物、生物発光化合物、酵素および常磁性標識)が含まれる。
AgRM2およびAgRM4は、増殖性細胞において、例えば、部分的にその細胞表面に発現されることが見出されているので、本発明には、任意の細胞、組織または臓器のタイプ(例えば、乳、結腸、腸、または肺の細胞)のなかの過剰増殖性細胞に結合する抗体が含まれる。典型的な過剰増殖性細胞には、転移性および非転移性のがん細胞または新生物細胞(例えば、乳、結腸、腸、または肺の)が含まれる。
さらに提供されるのは、RM4(ATCC寄託番号PTA-5412)およびRM2(ATCC寄託番号PTA-5411)の、その完全長と部分配列の双方をコードする核酸、その核酸を含む細胞(例えば、形質転換細胞およびハイブリドーマ細胞)ならびに本発明の抗体を発現する細胞である。
抗体の組合せ組成物も提供される。一つの態様として、組成物には、RM4(ATCC寄託番号PTA-5412)またはRM2(ATCC寄託番号PTA-5411)抗体、および一つまたは複数の抗腫瘍薬または免疫増強剤(例えば、抗原に結合する抗体)が含まれる。他の態様として、組成物には、RM4(ATCC寄託番号PTA-5412)およびRM2(ATCC寄託番号PTA-5411)抗体が含まれる。
本発明の組成物(例えば、組合せ組成物、薬学的組成物)を含むキットがさらに提供される。キットには、インビトロの、エクスビボのまたはインビボの、本発明の方法で用いるための使用説明書を含めることができる。
本発明の抗体(例えば、RM4またはRM2)を含む薬学的組成物、および薬学的に許容される担体も提供される。
本発明の抗体の産生方法が提供される。一つの態様として、本発明の抗体をコードする核酸を宿主細胞または翻訳用抽出物の中に導入し、その宿主細胞または抽出物を、核酸が翻訳産物として発現される条件の下でインキュベートして、その抗体を単離する。
同様に提供されるのは、インビトロのおよびインビボの試料中の(例えば、被検体または被検体から得た生物学的試料中の)、AgRM4およびAgRM2の検出方法である。一つの態様として、この方法は、AgRM4またはAgRM4を含み得る試料をRM4と、その抗体がAgRM4を結合可能とする条件の下で接触させる段階と、AgRM4の存在をアッセイする段階とを含む。他の態様として、この方法は、AgRM2またはAgRM2を含み得る試料をRM2と、その抗体がAgRM2を結合可能とする条件の下で接触させる段階と、AgRM2の存在をアッセイする段階とを含む。
AgRM4およびAgRM2の発現の阻害因子および刺激因子の同定方法が提供される。一つの態様として、この方法は、AgRM4を発現するまたは発現できる細胞を試験化合物と接触させる段階と、前記のAgRM4の発現を検出する段階とを含む。他の態様として、この方法は、AgRM2を発現するまたは発現できる細胞を試験化合物と接触させる段階と、前記のAgRM2の発現を検出する段階とを含む。AgRM4またはAgRM2の発現の変化により、試験化合物がAgRM4またはAgRM2の発現の阻害因子または刺激因子であることが示唆される。
AgRM4またはAgRM2を発現する、インビトロの、エクスビボのおよびインビボの(例えば、ヒトのような哺乳類の被検体の)細胞(例えば、増殖性または過剰増殖性細胞)の増殖を阻害するまたは抑制する方法が提供される。一つの態様として、この方法は、細胞を、細胞の増殖を阻害するまたは抑制するのに十分な量の抗体(例えば、RM4またはRM2)と接触させる段階を含む。典型的な細胞には、脳細胞、皮膚細胞、乳細胞、結腸細胞、腸細胞、肺細胞、および膵臓細胞が含まれる。典型的な過剰増殖性細胞には、転移性および非転移性のがん細胞が含まれる。
腫瘍、がんおよび新生物形成を含む、過剰増殖性細胞疾患の処置方法が提供される。一つの態様として、この方法は、過剰増殖性細胞疾患を処置するのに十分な量の抗体を被検体に投与する段階を含む。他の態様として、この方法は、被検体を処置するのに効果的な量のRM4(ATCC寄託番号PTA-5412)と命名されたヒトモノクローナル抗体を被検体に投与する段階を含む。他の態様として、この方法は、被検体を処置するのに効果的な量のRM2(ATCC寄託番号PTA-5411)と命名されたヒトモノクローナル抗体を被検体に投与する段階を含む。他の態様として、この方法は、被検体を処置するのに効果的な量のRM4(ATCC寄託番号PTA-5412)またはRM2(ATCC寄託番号PTA-5411)と命名されたヒトモノクローナル抗体と免疫増強剤または抗腫瘍薬とを被検体に投与する段階を含む。他の態様として、この方法は、被検体を処置するのに効果的な量のRM4(ATCC寄託番号PTA-5412)と命名されたおよびRM2(ATCC寄託番号PTA-5411)と命名されたヒトモノクローナル抗体を被検体に投与する段階を含む。
本発明により処置される腫瘍には、ステージI期、II期、III期、IV期およびV期の腫瘍; 転移性および非転移性の腫瘍; 固形および液性腫瘍; 少なくとも部分的に脳、皮膚、乳、結腸、腸、肺、および膵臓に位置する腫瘍; 造血器腫瘍; 肉腫、がん腫、黒色腫、骨髄腫、芽細胞腫、リンパ腫および白血病が含まれる。処置被検体の候補には、抗細胞増殖(例えば、抗腫瘍)療法を受けているか、または受けていた被検体が含まれる。
処置には、腫瘍と関連した一つまたは複数の有害症状の軽減が含まれる。処置には同様に、腫瘍容積の減少、腫瘍容積の増加の阻害、腫瘍の進行または悪化の阻害、腫瘍細胞の溶解またはアポトーシスの刺激、および腫瘍転移の減少または阻害が含まれる。処置には、被検体の死亡率の減少がさらに含まれる。
過剰増殖性疾患の存在のスクリーニング方法が提供される。一つの態様として、この方法は、インビトロのまたはインビボの組織をRM4抗体(ATCC寄託番号PTA-5412)またはRM2抗体(ATCC寄託番号PTA-5411)と接触させる段階と、AgRM4またはAgRM2の存在をアッセイする段階とを含む。組織中のAgRM4またはAgRM2の存在により、過剰増殖性疾患の存在が示唆される。
詳細な説明
本発明は、少なくとも部分的には、インビボの腫瘍細胞を含む、過剰増殖性細胞に選択的に結合するヒト抗体の単離および特徴付けに基づく。すなわち、この抗体は、非増殖性細胞と比べて過剰増殖性細胞に選択的に結合する。従って、この抗体は、過剰増殖性細胞および本抗体が結合する抗原の存在の検出およびスクリーニングに有用である。さらに、この抗体は、十分な量で投与した場合、それらが結合する過剰増殖性細胞に対して細胞傷害性である。例えば、本明細書に例示されるように、本発明の抗体、例えば、RM4(ATCC寄託番号PTA-5412)は、腫瘍を持つマウスにおいて腫瘍縮小を誘発する(腫瘍容積を減少させる)ことができる(例えば、図2および3を参照されたい)。従って、本発明の抗体は、例えば、非転移性および転移性の腫瘍を含む、好ましくない、過剰なまたは異常な細胞の増殖を処置するのに有用である。
本発明により、単離された抗体、その抗体の作製方法、ならびに治療方法および診断方法を含む、その抗体の使用方法が提供される。本発明の抗体は、過剰増殖性細胞と関連した抗原に選択的に結合することができる。一つの態様として、本発明の抗体は、AgRM4と命名された抗原に選択的に結合する、RM4と命名された単離ヒトモノクローナル抗体である。
典型的な抗体RM4(ATCC寄託番号PTA-5412)は、標準的な体細胞交雑技術を利用して得られるヒトIgG分泌細胞株により産生される。抗体分泌B細胞は、がん患者の排膿性のがん領域リンパ節のプールから得られ、およびRN15、つまりWIL-2由来のヒト融合パートナーを用いて不死化された。RM4は、細胞表面(細胞外マトリクス)成分(AgRM4)を認識する。AgRM4は、少なくとも部分的には、細胞表面に発現される。AgRM4は、非増殖性細胞におけるよりも増殖性細胞、例えば、過剰増殖性細胞において高発現される。AgRM4は、転移性または非転移性の乳、結腸、腸および肺のがん細胞に存在する。
本明細書では、「抗体」という用語は、重鎖および軽鎖の可変ドメイン、つまりそれぞれVHおよびVLを介して他の分子(抗原)に結合するタンパク質を指す。抗体には、IgG、IgD、IgA、IgMおよびIgE、サブタイプ、ならびにその混合物が含まれる。抗体は、ポリクローナルのもしくはモノクローナルの、無傷の免疫グロブリン分子、つまりジスルフィド結合により2本の完全長の軽鎖に連結された2本の完全長の重鎖、または抗原のエピトープに結合する、定常領域が有るもしくは無い、その部分配列(すなわち、断片)、ならびにその混合物とすることができる。抗体は、重鎖または軽鎖の可変領域、つまりVHまたはVLを個別に、または任意の組合せで含むことができる。
「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」という用語は、アミド結合または等価物を介した、二つまたはそれ以上の共有結合的に連結されたアミノ酸、または「残基」を指すように本明細書で同義的に使用される。ポリペプチドは、無制限の長さのものであり、および例えば、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、ニ官能性マレイミド、またはN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)で形成されるものを含めて、非天然および非アミド化学結合により連結することができる。非アミド結合には、例えば、ケトメチレン、アミノメチレン、オレフィン、エーテル、チオエーテルおよび同様のものが含まれる(例えば、Spatola (1983) in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids, Peptides and Proteins, Vol. 7, pp 267-357, 「Peptide and Backbone Modifications」, Marcel Decker, NYを参照されたい)。
本明細書では、「単離された」という用語は、本発明の組成物(例えば、抗体、修飾型、部分配列、それをコードする核酸、細胞、ベクターなど)の修飾語として使用される場合、その組成物が、ヒトの手により作製されるかまたはその天然に存在するインビボの環境から分離されることを意味する。一般に、そのように単離された組成物には、その組成物が天然において通常結び付く一つまたは複数の物質、例えば、一つまたは複数のタンパク質、核酸、脂質、糖質、細胞膜が実質的にない。従って、単離された抗体には通常、その抗体が天然において通常結び付く一つまたは複数の物質が実質的にない。「単離された」という用語は、他の物理的形状、例えば、ポリペプチド多量体、翻訳後修飾(例えば、リン酸化、グリコシル化)または誘導体化された形状を排除するものではない。
「単離された」抗体は、その抗体が天然において通常結び付く物質のほとんどまたは全てがない場合、「実質的に純粋」とすることもできる。従って、実質的に純粋でもある単離された分子には、例えば、抗体ライブラリーの抗体またはゲノムもしくはcDNAライブラリーの核酸のような、何百万もの他の配列のなかに存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチドは含まれない。勿論、「実質的に純粋」な分子は、一つまたは複数の他の分子と組み合わせることができる。従って、「実質的に純粋」とは、組合せ組成物を排除するものではない。
実質的な純粋とは、質量で、分子の少なくとも約60%またはそれ以上とすることができる。純粋とは、約70%または80%もしくはそれ以上とすることもでき、および、例えば、90%またはそれ以上を超えるとすることができる。純度は、例えば、UV分光法、クロマトグラフィー(例えば、HPLC、気相)法、ゲル電気泳動(例えば、銀およびクマシー染色)法および配列(核酸およびペプチド)解析法を含む、いずれかの適当な方法により決定することができる。
本発明により、本明細書に記載の抗体の結合特異性を有する抗体がさらに提供される。一つの態様として、この抗体は、RM4の結合特異性を有する。一つの局面として、その結合は、AgRM4に特異的である。
本発明により、本明細書に記載の抗体の結合と競合する抗体、および本発明の抗体が結合するAgRM4のエピトープに結合する抗体がさらに提供される。一つの態様として、この抗体は、抗原とのRM4の結合と競合する。他の態様として、この抗体は、本発明の抗体が結合するAgRM4のエピトープに結合する。一つの局面として、この抗体は、AgRM4とのRM4の結合と競合する。
本明細書では、「結合する(bind)」または「結合(する)(binding)」という用語は、組成物が相互に対して親和性を有すると言及されることを意味する。「特異的な」または「選択的な」という用語、およびその文法的変化形は、結合に関して使用される場合、分子間の結合が、ELISA法、免疫沈降法、共沈法、ウエスタンブロッティング法、ツーハイブリッドアッセイおよび同様のもののようなアッセイを利用して、他の分子との非特異的なまたは非選択的な結合から区別できるようなものであることを意味する。適当な対照を使用して、「特異的な」および「非特異的な」結合を区別することができる。例えば、特異的なまたは選択的な結合は、通常、約1×10-5 M未満または約1×10-6 M、1×10-7 M、1×10-8 M、1×10-9 M、もしくは1×10-10 M未満の解離定数(KD)を有する。対照的に、非特異的な結合は、通常、有意に低い親和性、例えば、10-3 Mを超えるKDを有する。従って、選択的な結合は、複合体の解離定数を測定することにより、非選択的な結合と区別することができる。選択的な結合は、結合アッセイのストリンジェンシーを増加させることにより、非選択的な結合と区別することもできる。特異的な結合の特定の例は、抗体と抗原との間で起こるものである。
本明細書では、「エピトープ」という用語は、抗体が結合する抗原決定基を意味する。ポリペプチドのエピトープは、わずか3アミノ酸とすることができる、さらに一般的には、エピトープは、少なくとも5アミノ酸またはそれ以上、例えば、少なくとも8〜12アミノ酸を有する。「立体的なエピトープ」とは、アミノ酸を二次元または三次元に並置してなるエピトープであり; そのアミノ酸は、同じポリペプチド上でまたは一つもしくは複数の異なるポリペプチド上で連続的または非連続的とすることができる。
本明細書に記載の抗体と実質的に同じ(例えば、約10倍の範囲内)結合親和性を有する抗体およびそれとは異なる結合親和性を有する抗体も提供される。一つの態様として、抗体は、基準抗体(例えば、RM4)と比べ、抗原(例えば、AgRM4)に対して増加したまたは低下した親和性を有する。一つの局面として、抗体は、AgRM4に対する結合親和性をRM4抗体の1000倍の範囲内で有する。さらなる局面として、本明細書に記載の抗体とは異なる結合親和性を有する抗体は、RM4抗体の重鎖および軽鎖の配列の2〜5倍、5〜10倍、10〜50倍、50〜100倍、100〜1000倍および1000〜10,000倍の範囲内である。
AgRM4に対して顕著な結合親和性を有する抗体も提供される。本明細書では、「顕著な」または「相当な」という用語は、結合親和性または活性に関して使用される場合、複合体(例えば、抗体-抗原複合体)の解離定数(KD)が10-3 M以上であることを意味する。言い換えれば、顕著な結合親和性または活性の場合、KDは10-3 M未満、例えば、10-4 M、10-5 M、10-6 M、10-7 M、10-8 Mなどでなければならない。通常、抗体-抗原複合体のKDは、約10-5 M〜約10-6 Mまたはそれ以下である。
本発明の抗体には、修飾抗体が未修飾抗体または基準抗体の機能または活性の、少なくとも一部分を保持するという条件で、本明細書に記載の抗体の修飾型が含まれる。例えば、RM4修飾抗体は、抗原結合特異性を保持する、例えば、AgRM4に存在するエピトープを結合することができるが、但し未修飾のRM4と比べ、AgRM4に対して増加したまたは低下した結合親和性を有する。
従って、本発明の抗体には、RM4抗体の重鎖および軽鎖の配列とは異なる配列を有する抗体がさらに含まれる。種々の態様として、この抗体は、RM4の結合特異性を有し、AgRM4とのRM4の結合に競合し、および本発明の抗体が結合するAgRM4のエピトープに結合する。
「修飾する」という用語およびその文法的変化形は、ポリペプチドまたは核酸のような組成物に関して使用される場合、修飾された組成物が基準組成物から乖離することを意味する。ポリペプチドの修飾には、アミノ酸の置換、付加および欠失が含まれ、これらは「変異体」とも呼ばれる。ポリペプチドの修飾には、L-アミノ酸に対して置換された一つまたは複数のD-アミノ酸(およびその混合物)、構造的および機能的類似体、例えば、合成もしくは非天然アミノ酸を有するペプチド模倣体またはアミノ酸類似体ならびに誘導体化型も含まれる。ポリペプチドの修飾には、基準の天然(野生型)配列に通常は存在しない一つまたは複数の分子、例えば、一つまたは複数のアミノ酸が、その配列に共有結合的に結合されたアミノ酸配列である、融合(キメラ)ポリペプチド配列がさらに含まれる。修飾には、分子のアミノ末端とカルボキシ末端との間の両端間アミド結合または分子内もしくは分子間ジスルフィド結合のような環状構造が含まれる。抗体を含むポリペプチドは、インビトロでまたはインビボで修飾する、例えば、糖残基、リン酸基、ユビキチン、脂肪酸または脂質を含むように翻訳後修飾することができる。
従って、本発明により、修飾抗体が基準抗体の活性または機能(例えば、抗原結合活性)を保持するという条件で、一つまたは複数の修飾を有する抗体が提供される。一つの態様として、抗体は、RM4の軽鎖または重鎖のアミノ酸配列から修飾される。一つの局面として、修飾抗体は、可変領域または定常領域、重鎖または軽鎖のアミノ酸の置換、付加または欠失(例えば、1〜3個、3〜5個、5〜10個またはそれ以上)を有する。他の局面として、修飾抗体には、部分配列(例えば、Fab、Fab'、Fv、F(ab')2、Fd、または一本鎖Fv)が含まれる。他の局面として、置換は、ヒトのアミノ酸またはヒトの残基に構造的に類似したヒト以外のアミノ酸によるものである。特定の局面として、置換は、保存性アミノ酸置換である。
「保存性置換」とは、生物学的に、化学的にまたは構造的に類似した残基による或るアミノ酸の置換を意味する。生物学的に類似したとは、置換が生物学的活性、例えば、抗原結合と適合することを意味する。構造的に類似したとは、アミノ酸がアラニン、グリシンおよびセリンのような、類似の長さを持つ側鎖、または類似のサイズを持つ側鎖を有することを意味する。構造的に類似した置換は、未置換の抗体と比べて、抗体の抗原性を変化させる可能性が低い。化学的類似性とは、残基が、同じ電荷を有することまたは親水性でもありもしくは疎水性でもあることを意味する。特定の例には、イソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニンのような或る疎水性残基を他の疎水性残基に換えて用いること、または或る極性残基を他の極性残基に換えて用いること、例えば、アルギニンをリジンに換えて用いること、グルタミン酸をアスパラギン酸に換えて用いること、またはグルタミンをアスパラギンに換えて用いること、セリンをスレオニンに換えて用いること、および同様のものが含まれる。
RM4の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列の配列と同一ではない配列を有する本発明の抗体には、RM4の重鎖または軽鎖のアミノ酸配列と50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、またはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を持つ抗体が含まれる。同一性は、抗体の一定領域、例えば、一つまたは複数の相補性決定領域(CDR)またはフレームワーク領域にわたることができる。
「同一の」または「同一性」という用語は、二つまたはそれ以上の被参照物質が同じであることを意味する。従って、二つのタンパク質の配列が同一である場合、それらは同じアミノ酸配列を有する。「同一性の領域」とは、二つまたはそれ以上の被参照物質の一部分が同じであることを意味する。従って、二つのタンパク質の配列が一箇所またはそれ以上の配列領域にわたって同一である場合、それらの配列はこれらの領域でアミノ酸の同一性を共有する。「実質的な同一性」という用語は、同一性が構造的にまたは機能的に顕著であることを意味する。すなわち、同一性は、分子同士が異なるにせよ、その分子が構造的に同一であるかまたは少なくとも一つの同じ機能(例えば、生物学的機能)を有するようなものである。
構造的におよび機能的に関連するタンパク質の間の配列保存性の量のばらつきに起因して、実質的な同一性に対する配列同一性の量は、タンパク質のタイプ、領域およびその機能に依存するものと思われる。タンパク質の場合、配列同一性が30%しかない可能性があるが、通常は、基準配列に対していっそう高い、例えば、50%、60%、75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%の同一性がある。核酸配列の場合、50%の配列同一性またはそれ以上が、通常、実質的な相同性に相当するが、比較領域に応じて変化する可能性がある。
二つの配列間の同一性の度合いは、当技術分野において知られるコンピュータプログラムおよび数学アルゴリズムを用いて確定することができる。配列同一性(相同性)の割合を計算するそのようなアルゴリズムは、一般的に、比較領域にわたる配列のギャップおよびミスマッチを考慮する。例えば、BLAST(例えば、BLAST 2.0)検索アルゴリズム(例えば、Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10を参照されたい、NCBIを介して公に入手可能)は、次のような典型的な検索パラメータを有する: ミスマッチ -2; ギャップ開始 5; ギャップ伸長 2。ポリペプチド配列の比較の場合、BLASTPアルゴリズムが、通常、PAM100、PAM250、およびBLOSUM 62のようなスコアリング行列と組み合わせて使用される。
本明細書では、「部分配列」または「断片」とは、完全長の分子の一部分を意味する。例えば、抗体の部分配列は、無傷の重鎖および軽鎖の配列を有する完全長の抗体よりも長さが少なくとも1アミノ酸短い(例えば、1個または複数個の内部アミノ酸の欠失またはアミノもしくはカルボキシ末端からの末端アミノ酸の欠失)。従って、部分配列は、完全長の分子までの任意の長さとすることができる。
部分配列には、完全長の抗体または基準抗体の配列の機能または活性の少なくとも一部を保持する部分が含まれる。例えば、抗体の部分配列は、部分配列の結合親和性が完全長の基準抗体の結合親和性よりも高いまたは低いにしても、抗原(例えば、AgRM4)に選択的に結合する能力を保持しているものと思われる。部分配列は、本発明の抗体の配列のうちのいずれかの一部分、例えば、RM4のVHまたはVLドメインの一部分を含むことができる。本発明の抗体の部分配列の具体例には、例えば、Fab、Fab'、Fv、F(ab')2、Fd、または一本鎖抗体(SCA)の断片(例えば、scFv)が含まれる。さらなる断片が、当技術分野において知られており、例えば、Hudson, Curr. Opin. Biotechnol. 9:395 (1998)に記述されている。
抗体全体のペプシンまたはパパイン消化を利用して、部分配列を作り出すことができる。例えば、無傷の軽鎖および一部分の重鎖からなる断片を得るため、酵素パパインで抗体全体を消化することより、Fabを産出することができる。(Fab')2は、酵素ペプシンで抗体全体を処理することにより、続けて還元することなしに産出することができる。Fab'抗体の断片は、チオール還元剤を用いた還元により(Fab')2から産出することができ、これにより、無傷の軽鎖および一部分の重鎖からなる分子が得られる。この方法で処理した抗体1分子について、2個のFab'断片が産出される。
Fv断片は、2本の鎖として発現された、軽鎖の可変領域VLと重鎖の可変領域VHとを含む断片である。その結合は、非共有結合性としてもよくまたは共有結合性、例えば、化学的架橋剤による結合もしくは分子間ジスルフィド結合としてもよい(Inbar et al., (1972) Proc. Natl. Acad Sci. USA 69:2659; Sandhu (1992) Crit. Rev. Biotech. 12:437)。
一本鎖抗体(SCA)は、任意でポリペプチド配列のような柔軟性のあるリンカーにより、VL-リンカー-VHの方向にまたはVH-リンカー-VLの方向に連結された、軽鎖の可変領域VLと重鎖の可変領域とを含む、遺伝子的に組み換えられたまたは酵素的に消化された抗体である。または、一本鎖のFv断片は、2個のシステイン残基の間のジスルフィド結合を介して、2つの可変ドメインを連結することにより産出させることができる。scFv抗体の産出方法は、例えば、Whitlow et al., (1991) In: Methods: A Companion to Methods in Enzvmology 2:97; U.S. Patent No. 4,946,778; およびPack et al., (1993) Bio/Technology 11:1271により報告されている。
抗体の部分配列の他の産出方法、例えば、一価の軽-重鎖断片を形成させるための重鎖の分離、断片のさらなる切断、または他の酵素的な、化学的な、もしくは遺伝子工学的な技術は、その部分配列が機能または活性を有する、例えば、無傷の抗体が結合する抗原に結合するという条件で、利用することもできる。
修飾型には同様に、誘導体化された配列、例えば、遊離アミノ基がアミン塩酸塩、p-トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基を形成する; 遊離カルボキシ基が塩、メチルおよびエチルエステルを形成するアミノ酸; O-アシルまたはO-アルキル誘導体を形成する遊離ヒドロキシ基、ならびに天然に存在するアミノ酸誘導体、例えば、プロリンに対して4-ヒドロキシプロリン、リジンに対して5-ヒドロキシリジン、セリンに対してホモセリン、リジンに対してオルニチンなどが含まれる。修飾は、当技術分野においてよく知られる種々の方法(例えば、PCRに基づく特定部位の、欠失および挿入突然変異誘発法、化学的な修飾および突然変異誘発法、架橋結合法など)のうちのいずれかを利用してもたらすことができる。
本発明の抗体は、多量体を産生させるため、共有結合的なまたは非共有結合的な結合により、例えば、多量体化ドメインを介して直接的にまたは間接的に連結することができる。多量体形成を与えるドメインの具体例には、コイルド-コイル(例えば、ロイシンジッパー構造)およびα-ヘリックスのタンパク質配列が含まれる。ファンデルワールス力、水素結合または電荷-電荷結合を介してタンパク質-タンパク質結合を媒介する配列も多量体化ドメインと考えられる。多量体化ドメインの一つの具体例は、p53の残基319〜360であり、これは四量体形成を媒介する。他の例は、トロンボスポンジン・ファミリーの一員である細胞外タンパク質TSP4であり、これは五量体を形成することができる。さらなる具体例は、jun、fos、および酵母タンパク質GCN4のロイシンジッパーである。
従って、本発明の抗体には、多量体も含まれる。多量体は、二量体、三量体、四量体または他の高次のオリゴマーとすることができる。多量体は、同じ抗体の組合せ(ホモ-オリゴマー)またはヒトのものである、ヒト化されているもしくはヒト以外のものであるような、異なる抗体の組合せ(ヘテロ-オリゴマー)とすることができる。
本発明の抗体は、特定の抗原を結合することに加えて、一つまたは複数の機能または活性を含むように修飾することができる。例えば、抗体は、異なる抗原に結合する領域を含むことができる、または抗原の結合とは異なる機能を有することができる。そのような修飾抗体は、本明細書では「多機能抗体」と呼ばれ、例えば、多重特異性(例えば、二重特異性、三重特異性、四重特異性など)抗体を含む。「多重特異性」という用語は、二つまたはそれ以上の異なる抗原エピトープに結合する抗体を指す。異なるエピトープは、同じ抗原または異なる抗原に存在することができる。例えば、多重特異性抗体のオリゴマーには、それぞれが異なるエピトープ結合特異性を有し且つ多量体を形成する、二つまたはそれ以上の抗体の混合物が含まれる。異なるエピトープは、同じまたは異なる細胞により発現させることができる。
「多機能」という用語は、引用される組成物が二つまたはそれ以上の活性または機能を有することを意味する。特定の非限定的な例には、例えば、抗原結合、酵素活性、リガンドまたは受容体結合(基質、アゴニストおよびアンタゴニスト)、検出、精製、および毒性が含まれる。
「検出可能な標識」という用語は、結合された分子の検出を可能とするように他の分子に結合され得る分子を指す。検出可能な標識の例には、キレート剤、感光剤、放射性核種(α、βおよびγ放射体)、蛍光剤および常磁性イオンが含まれる。「タグ」という用語は、他の分子に結合される分子であって、検出または精製を可能とする分子を指す。タグの具体例には、免疫グロブリン、T7、ポリヒスチジン・タグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、キチン結合タグ、カルモジュリン結合タグ、mycタグ、およびXpressエピトープ(抗-Xpress抗体により検出可能; Invitrogen, Carlsbad, Calif., USA)が含まれる。
酵素活性を有する付着ポリペプチド(例えば、緑色蛍光タンパク質、アセチルトランスフェラーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、ウレアーゼおよびアルカリホスファターゼ)を持つ抗体は、多機能抗体の一つの特定の例である。付着ポリペプチドには、アポトーシス因子、分化因子、ケモカインおよびサイトカイン(インターロイキン、インターフェロン)も含まれる。
多機能抗体に対する抗原結合以外のさらなる候補機能には、例えば、放射性(例えば、3H、14C、32P、33P、35S、125I、131I)および非放射性部分(例えば、金粒子、色ガラスまたはプラスチック製のポリスチレン、ポリプロピレン、もしくはラテックスビーズ)ならびに検出のためのアミノ酸配列(例えば、本明細書に記載されるような、タグ)が含まれる。
検出可能な部分には、蛍光化合物(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルデヒド(o-phthaldehyde)、フルオレスカミン、ならびにMolecular Probes社、Eugene, ORから市販されている、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 647のようなフルオロフォアや、BODIPY 493/503、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY 530/550、BODIPY TMR、BODIPY 558/568、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY TR、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665のようなBODIPY色素、Cascade Blue、Cascade Yellow、Dansyl、リサミンローダミンB、Marina Blue、Oregon Green 488、Oregon Green 514、Pacific Blue、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミンおよびTexas Red)、コロイド金属、化学発光化合物(例えば、ルミノール、イソルミノール、芳香性アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、およびシュウ酸エステル)、生物発光化合物(例えば、ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびエクオリン)、MRIにより検出され得る常磁性体標識(例えば、クロム(III)、マンガン(II)、マンガン(III)、鉄(II)、鉄(III)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、プラセオジム(III)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、ガドリニウム(III)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビウム(III)およびイッテルビウム(III))、および接着タンパク質(例えば、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジン、および他のレクチン)も含まれる。
さらなる候補機能には、細胞毒性(例えば、細菌コレラ毒素、百日咳毒素、炭疽毒素の致死因子、緑膿菌外毒素A、ジフテリア毒素、植物毒素リシン、47Sc、67Cu、72Se、88Y、90Sr、90Y、97Ru、99Tc、105Rh、111In、125I、131I、149Tb、153Sm、186Re、188Re、194Os、203Pb、211At、212Bi、213Bi、212Pb、223Ra、225Ac、227Ac、228Thのような放射性核種、および細胞毒性薬)が含まれる。従って、修飾抗体には同様に、本発明の抗体に共有結合的にまたは非共有結合的に結合された、機能的実体の付加が含まれる。
多機能抗体は、選択分子(合成的手段によりまたはポリペプチドをコードする核酸の発現により産生された)の化学的架橋結合により、アミノ酸のリンカー配列を介してまたはポリペプチドのインビトロ、もしくは細胞発現と組み合わせた組換えDNA技術により産生させることができる。多機能抗体は、同様に、組換え技術および発現、異なるエピトープ特異性を有する抗体を産生するハイブリドーマの融合(例えば、クアドローマを産生させるため)、または異なるエピトープ特異性を有する抗体可変鎖をコードする複数の核酸の単一細胞における発現により産生させることができる。そのような作用物質の結合は、当技術分野において知られる従来の方法により行うことができる(例えば、R. Reisfeld and S. Sell Eds. Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss Inc. NY, 1985; ならびにU.S. Pat. Nos. 5,558,852および5,624,659を参照されたい)。
ポリペプチド配列は、核酸をコードするポリペプチドの組換えDNA技術を利用し、細胞発現またはインビトロ翻訳を介して、または当技術分野において知られる方法を利用したポリペプチド鎖の化学合成により作製することができる。修飾型および部分配列を含む、本発明の抗体は、組み換え技術により産生された、抗体をコードする核酸から発現させることができる(例えば、Harlow and Lane, Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1999; Fitzgerald et al., J.A.C.S. 117: 11075 (1995); Gram et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:3576 (1992)を参照されたい)。抗体は、コード核酸を哺乳類細胞、昆虫細胞、および植物細胞で発現させることにより産生することもできる。抗体を含むポリペプチド配列は、化学合成機により産生することもできる(例えば、Applied Biosystems, Foster City, CAを参照されたい)。
本発明により、本発明の抗体(その修飾型を含む)をコードする核酸がさらに提供される。種々の態様として、核酸は、RM4に関して記載される一連の重鎖または軽鎖のアミノ酸配列をコードする。特定の局面として、核酸は、RM4の一連の重鎖または軽鎖のアミノ酸配列をコードする。
本明細書では、「核酸」とは、ホスホエステル結合または等価物を介して連結される少なくとも二つまたはそれ以上のリボ核酸またはデオシキリボ核酸の塩基対(ヌクレオチド)を指す。核酸には、ポリヌクレオチドおよびポリヌクレオシドが含まれる。核酸には、一重の、二重のまたは三重の、環状のまたは直鎖状の、分子が含まれる。核酸分子は、以下に限定されることはないが、RNA、DNA、cDNA、ゲノム核酸、非ゲノム核酸、天然に存在するおよび天然に存在しない核酸ならびに合成核酸などの、ヌクレオチド含有分子のいずれかの群に排他的にまたは混合物として属することができる。
核酸は、任意の長さのものとすることができる。核酸の長さは、通常、約20ヌクレオチド〜10 Kb、10ヌクレオチド〜5 Kb、1〜5 Kb以下、1000〜約500ヌクレオチド以下の長さに及ぶ。核酸はもっと短く、例えば、100〜約500ヌクレオチド、または約12〜25、25〜50、50〜100、100〜250、もしくは約250〜500ヌクレオチドの長さとすることもできる。
核酸には、ヌクレオチドおよびヌクレオシドの置換、付加および欠失のような修飾、ならびに誘導体化型および融合配列(例えば、組換えポリペプチドをコードする)がさらに含まれる。例えば、遺伝暗号の縮重により、核酸には、RM4のアミノ酸配列をコードする核酸に関する配列および部分配列の縮重が含まれる。他の例は、RM4のアミノ酸配列をコードする配列に相補的な核酸である。核酸の欠失(部分配列)は、約10〜25、25〜50または50〜100ヌクレオチドを有する。そのような核酸は、遺伝子操作のための(PCR増幅用のプライマーおよび鋳型としての)、および本発明の抗体をコードする配列の存在または量をインビトロにて、細胞、培地、生物試料(例えば、組織、臓器、血液または血清)中にて、または被検体中にて検出するためのプローブとしての、ポリペプチド断片を発現させるのに有用である。
核酸修飾の他の例として、RM4のアミノ酸配列をコードする核酸に高いストリンジェンシーでハイブリダイズする核酸、その部分配列およびそのコード核酸に相補的な核酸配列が提供される。核酸のハイブリダイズは、本発明の抗体をコードする配列の存在または量をインビトロにて、細胞、培地、生物試料(例えば、組織、臓器、血液または血清)中にて、または被検体中にて検出するのに有用である。
「ハイブリダイズ」という用語は、核酸配列間の結合を指す。ハイブリダイズする配列は、一般的に、RM4のアミノ酸配列をコードする核酸に対し、約50%を超える相同性を有するものと思われる。ハイブリダイズする配列間のハイブリダイゼーション領域は、少なくとも約10〜15ヌクレオチド、15〜20ヌクレオチド、20〜30ヌクレオチド、30〜50ヌクレオチド、50〜100ヌクレオチド、または約100〜200ヌクレオチドもしくはそれ以上に及び得る。
当業者により理解されるように、TM(融解温度)は、二つの核酸配列間の結合が安定でなくなる温度である。結合させる二つの配列に対して、ハイブリダイゼーション反応の温度は、ハイブリダイゼーション条件の下で、その配列に対して算出されたTM未満としなければならない。TMは、配列相補性の量、長さ、組成(%GC)、核酸のタイプ(RNA 対 DNA)、ならびに塩、界面活性剤および反応中の他の成分(例えば、ホルムアミド)に影響される。適当なハイブリダイゼーション条件を樹立するうえで、これらの要因の全てが考慮される(例えば、Sambrook et al., In: Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001に記述されているハイブリダイゼーション法およびTMの計算式を参照されたい)。
通常、所望の度合いのハイブリダイゼーション・ストリンジェンシーを達成するのに、洗浄条件が調整される。従って、ハイブリダイゼーション・ストリンジェンシーは、例えば、特定の条件の下で(例えば、低いストリンジェンシー条件または高いストリンジェンシー条件で)洗浄することにより、実験的に決定することができる。選択的ハイブリダイゼーションに最適な条件は、含まれる特定のハイブリダイゼーション反応に応じて変化するものと思われる。高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の例は、以下の通りである: 約37℃または42℃で2×SSC/0.1% SDS(ハイブリダイゼーション条件); 約室温で0.5×SSC/0.1% SDS(低いストリンジェンシーの洗浄); 約42℃で0.5×SSC/0.1% SDS(中等度のストリンジェンシーの洗浄); および約65℃で0.1×SSC/0.1% SDS(高いストリンジェンシーの洗浄)。
核酸は、種々の標準的なクローニング技術および化学合成技術を用いて産生することができる。そのような技術には、以下に限定されることはないが、抗体をコードする配列にアニールできるプライマー(例えば、縮重プライマー混合物)によるゲノムDNAまたはcDNAを標的とした、核酸の増幅、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR); および核酸配列の化学合成が含まれる。産生された配列を次に、インビトロで翻訳させることができる、またはプラスミドにクローニングして、増幅させ、その後、細胞で(例えば、酵母もしくは細菌のような微生物、動物もしくは哺乳類細胞のような真核生物または植物で)発現させることができる。
本発明により、発現制御要素に操作可能に連結された、本発明の抗体をコードする核酸を含む発現カセットがさらに提供される。本明細書では、「操作可能に連結された」という用語は、引用される要素間の物理的関係または機能的関係であって、その意図する方法でその要素を操作可能とする関係を指す。従って、核酸に「操作可能に連結された」発現制御要素は、その制御要素が核酸の転写および必要に応じて、その転写産物の翻訳を調節することを意味する。
物理的結合は、操作可能に連結される要素に必要とされない。例えば、最小要素を、本発明の抗体をコードする核酸に連結させることができる。最小要素に結合するように「トランスで」機能する、タンパク質をコードする操作可能に連結された核酸の発現を制御する第二の要素は、抗体の発現に影響を及ぼすことができる。第二の要素は抗体の発現を調節するので、第二の要素は、たとえこれが物理的に連結されていなくとも、抗体をコードする核酸に操作可能に連結される。
「発現制御要素」という用語は、操作可能に連結された核酸の発現に影響を及ぼす核酸を指す。プロモーターおよびエンハンサーは、発現制御要素の特定の非限定的な例である。「プロモーター配列」とは、下流の(3'方向の)コード配列の転写を開始できるDNA調節配列である。プロモーター配列には、転写開始を促進させるのに必要な多くのヌクレオチドが含まれる。エンハンサーは同様に、遺伝子発現を調節することができるが、しかしながら操作可能に連結される遺伝子の転写開始部位から少し離れて機能することができる。エンハンサーは、遺伝子の5'または3'末端で機能するほか、遺伝子の内側でも(例えば、イントロンまたはコード配列で)機能する。さらなる発現制御要素には、リーダー配列および融合パートナー配列、複数遺伝子の、または多シストロン性の、遺伝暗号の作製のための内部リボソ-ム結合部位(IRES)配列、イントロン、つまり読み枠を合わせたmRNA翻訳を可能とする遺伝子の正しい読み枠の維持のためのスプライシングシグナル、関心のある遺伝子の転写産物を適切にポリアデニル化するポリアデニル化シグナル、ならびに停止コドンが含まれる。
発現制御要素には、操作可能に連結された核酸の転写が、シグナルまたは刺激の存在なしに起こるような「構成的な」要素が含まれる。操作可能に連結された核酸の発現を増加させるかまたは低下させる、シグナルまたは刺激に反応して発現を与える発現制御要素は、「調節可能」である。シグナルまたは刺激に反応して、操作可能に連結された核酸の発現を増加させる調節可能な要素は、「誘導性要素」と呼ばれる。シグナルまたは刺激に反応して、操作可能に連結された核酸の発現を低下させる調節可能な要素は、「抑制性要素」(すなわち、シグナルが発現を低下させる; シグナルが取り除かれるかまたはない場合、発現が増加する)と呼ばれる。
発現制御要素には、「組織特異的発現制御要素」と呼ばれる、特定の組織または細胞型で活性な要素が含まれる。組織特異的発現制御要素は、通常、特定の細胞または組織型で活性である。その要素が、その特定の細胞または組織型に特有の、転写活性化因子のタンパク質、または転写に関する他の調節因子により認識されるためである。
発現制御要素には、野生型のプロモーターおよびエンハンサー要素のような完全長の核酸配列、ならびに、完全長のまたは変異体ではない制御要素の機能の全てまたは一部を保持する(調節を与える、例えば、シグナルまたは刺激に反応する若干の誘導性を保持する)、その部分配列またはヌクレオチド変異体(例えば、置換型/変異型または天然型の配列とは異なる他の型)が含まれる。
細菌での発現の場合、構成性プロモーターには、T7のほか、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp-lacハイブリッドプロモーター)のような誘導性プロモーターも含まれる。昆虫細胞系の場合、構成性または誘導性プロモーター(例えば、エクダイソン)を使用することができる。酵母の場合、構成性プロモーターには、例えば、ADHまたはLEU2およびGALのような誘導性プロモーターが含まれる(例えば、Ausubel et al., In: Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 2, Ch. 13, ed., Greene Publish. Assoc. & Wiley Interscience, 1988; Grant et al., (1987) In: Methods in Enzymology, 153:516-544, eds. Wu & Grossman, 1987, Acad. Press, N.Y.; Glover, DNA Cloning, Vol.II, Ch. 3, IRL Press, Wash., D.C., 1986; Bitter (1987) In: Methods in Enzymology, 152:673-684, eds. Berger & Kimmel, Acad. Press, N.Y.; および、Strathern et al., The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces (1982) eds. Cold Spring Harbor Press, Vols. I and IIを参照されたい)。
哺乳類での発現の場合、ウイルス起源のまたは他の起源の構成性プロモーターを使用することができる。例えば、SV40、もしくはウイルスの長い末端反復(LTR)および同様のもの、または哺乳類細胞のゲノム由来の誘導性プロモーター(例えば、メタロチオネインIIAプロモーター; 熱ショックプロモーター、ステロイド/甲状腺ホルモン/レチノイン酸応答要素)もしくは哺乳類ウイルス由来の誘導性プロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター; 誘導性マウス乳がんウイルスLTR)が使用される。
本発明により同様に、本発明の抗体をコード核酸分子がインビトロで、エクスビボでまたはインビボで組換えDNA技術により導入された、安定的におよび一過的に形質転換された細胞およびその子孫が提供される。形質転換細胞は増殖されることができ、および導入された核酸は転写されることができる、またはコードされるタンパク質は発現されることができる。形質転換細胞には、以下に限定されることはないが、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、および動物(例えば、ヒトを含む哺乳類)細胞のような原核細胞および真核細胞が含まれる。一つの特定の局面として、細胞はハイブリドーマである。細胞は、培養液中に、エクスビボの細胞、組織もしくは臓器中にまたは被検体中に存在することができる。子孫細胞は、複製の間に発生する突然変異が存在する可能性があるため、親細胞と同一ではないかもしれない。
「形質転換(された)」という用語は、細胞に対して外来性の核酸(例えば、導入遺伝子)の組込み後の細胞の遺伝的変化を意味する。従って、「形質転換細胞」とは、核酸分子が組換えDNA技術により導入された細胞、またはその細胞の子孫である。宿主細胞をもたらす細胞の形質転換は、本明細書に記述されるようにまたは当技術分野において知られる技術を利用して行うことができる。従って、核酸を含む細胞および本発明の抗体を発現する細胞の産生方法も提供される。
通常、細胞の形質転換には、プラスミド、ウイルス、例えば、ウイルスベクター、または核酸の挿入または組込みにより操作され得る当技術分野において知られる他の媒体を指す、「ベクター」が利用される。遺伝子操作の場合、「クローニングベクター」を利用することができ、および挿入されたポリヌクレオチドを転写するかまたは翻訳するためには、「発現ベクター」を利用することができる。そのようなベクターは、発現制御配列と操作可能に連結された、抗体をコードする核酸を含む、核酸を導入するのに、および抗体をインビトロで(例えば、溶液中でまたは固相中で)、細胞中でまたは被検体のインビボで発現させるのに有用である。
ベクターには、一般的に、細胞中での増幅のための複製起点が含まれる。本明細書に記載の発現制御要素を含む、ベクター内に存在する、制御要素を含有させて、転写および翻訳を促進させることができる。
ベクターは、選択マーカーを含むことができる。「選択マーカー」とは、遺伝子を含む細胞の選択を可能とする遺伝子である。「正の選択」とは、選択マーカーを含む細胞のみが、正の選択への暴露時に生き残る過程を指す。薬剤耐性は、正の選択マーカーの一例である; マーカーを含む細胞は、選択薬剤を含有する培地中で生存すると思われる、およびそのマーカーがない細胞は、死滅すると思われる。選択マーカーには、薬剤耐性遺伝子、例えば、G418に対する耐性を与えるneo遺伝子; ハイグロマイシンに対する耐性を与えるhygr遺伝子; およびピューロマイシンに対する耐性を与えるpuro遺伝子が含まれる。他の正の選択マーカー遺伝子には、マーカーを含む細胞の同定およびスクリーニングを可能とする遺伝子が含まれる。これらの遺伝子には、蛍光タンパク質(GFPおよびGFP様の発色団、ルシフェラーゼ)に対する遺伝子、lacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ遺伝子、および特にCD8のような表面マーカーが含まれる。「負の選択」とは、負の選択マーカーを含む細胞が、適当な負の選択薬剤への暴露時に死滅する過程を指す。例えば、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子(Wigler et al., Cell 11 :223(1977))を含む細胞は、薬剤のガンシクロビル(GANC)に感受性である。同様に、gpt遺伝子は、細胞を6-チオキサンチンに感受性にさせる。
含まれるウイルスベクターは、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、レオウイルス、レンチウイルス、ロタウイルス・ゲノム、シミアンウイルス40(SV40)またはウシ・パピローマウイルスに基づくものである(Cone et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6349 (1984); Eukaryotic Viral Vectors, Cold Spring Harbor Laboratory, Gluzman ed., 1982; Sarver et al., Mol. Cell. Biol. 1:486 (1981))。発現に有用なさらなるウイルスベクターには、パルボウイルス、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、コロナウイルス、パラミクソおよびラブドウイルス、トガウイルス(例えば、シンドビスウイルスおよびセムリキ森林熱ウイルス)および水疱性口内炎ウイルス(VSV)が含まれる。
哺乳類発現ベクターには、AAV(U.S. Patent No.5,604,090)のような、インビボおよびエクスビボ発現用に設計されたものが含まれる。AAVベクターは、ヒトにおいておよびマウスにおいて、治療上の効用に十分なレベルで第IX因子の発現を与えることが以前に明らかにされている(Kay et al., Nat. Genet. 24:257 (2000); Nakai et al., Blood 91:4600 (1998))。アデノウイルスベクター(U.S. Patent Nos. 5,700,470、5,731,172および5,928,944)、単純ヘルペスウイルスベクター(U.S. Patent No. 5,501,979)、レトロウイルス(例えば、分裂細胞だけでなく非分裂細胞を感染するのにも有用であるレンチウイルスベクター、および泡沫状ウイルス)ベクター(U.S. Patent Nos. 5,624,820、5,693,508、5,665,577、6,013,516および5,674,703ならびにWIPO公報WO92/05266およびWO92/14829)およびパピローマウイルスベクター(例えば、ヒトおよびウシ・パピローマウイルス)は、全て遺伝子治療に利用されている(U.S. Patent No. 5,719,054)。ベクターには、サイトメガロウイルス(CMV)に基づくベクター(U.S. Patent No. 5,561,063)も含まれる。遺伝子を腸管の細胞に効率的に送達するベクターが開発されている(例えば、U.S. Patent Nos. 5,821,235、5,786,340および6,110,456を参照されたい)。
標的細胞への抗体および本発明の抗体をコードする核酸の導入は同様に、浸透圧衝撃(例えば、リン酸カルシウム)法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、細胞融合法などのような、当技術分野において知られる方法により行うことができる。インビトロ、エクスビボおよびインビボでの核酸およびポリペプチドの導入は同様に、他の技術を利用して達成することができる。例えば、ポリエステル、ポリアミン酸、ヒドロゲル、ポリビニルピロリドン、エチレン-ビニルアセテート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、硫酸プロタミン、またはラクタイド/グリコライド共重合体、ポリラクチド/グリコライド共重合体、もしくはエチレンビニルアセテート共重合体のような、重合体物質。核酸は、コアセルベーション法によりまたは界面重合により調製されたマイクロカプセルの中に、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチン-マイクロカプセル、またはポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルの使用により、またはコロイド薬剤送達系の中に閉じ込めることができる。コロイド分散系には、高分子複合体、ナノ-カプセル、ミクロスフィア、ビーズ、ならびに水中油型乳剤、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む、脂質に基づく系が含まれる。
核酸を含むさまざまな組成物を細胞中へ導入するためのリポソーム(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、リポフェクチンおよびDOTAPを含む)が、当業者に知られている(例えば、U.S. Patent Nos. 4,844,904、5,000,959、4,863,740、4,975,282, GIBCO-BRL, Gaithersburg, Mdを参照されたい)。遺伝子治療に有用なピペラジンに基づく両親性のカチオン脂質も知られている(例えば、U.S. Patent No. 5,861,397を参照されたい)。カチオン脂質系も知られている(例えば、U.S. Patent No. 5,459,127を参照されたい)。従って、インビトロ、インビボおよびエクスビボの、細胞または組織へのウイルスおよび非ウイルスベクターによる送達手段が含まれる。
従って、本発明により同様に、本発明の抗体の産生方法が提供される。一つの態様として、この方法は、抗体をコードする核酸を宿主細胞または翻訳用抽出物へ導入する段階と、前記の核酸が、前記の抗体を含む翻訳産物として発現されるような条件の下で、前記の宿主細胞または抽出物をインキュベートする段階と、抗体を単離する段階または精製する段階とを含む。一つの局面として、核酸はRM4をコードする。他の局面として、核酸は修飾RM4(例えば、変異体または部分配列)をコードする。
本発明の抗体は同様に、より一層のまたは相乗的な治療上の効用を与えることができる任意の他の化合物または薬剤と組み合わせることができる。従って、本発明により同様に、本発明の抗体と一つまたは複数のさらなる化合物または薬剤とを含む組合せ組成物およびその組成物の使用方法が提供される。例えば、本発明の抗体は、抗腫瘍活性または免疫増強活性を有する化合物または薬剤と組み合わせることができる。特定の例として、RM4をRM2と組み合わせる。
本明細書では、「免疫増強」という用語は、化合物、薬剤、治療または処置に関して使用される場合、化合物、薬剤、治療または処置により、体液または細胞媒介性の免疫反応の増強、刺激、誘導または促進が得られることを意味する。そのような治療により、広く免疫反応を増強することができる、または特定の標的腫瘍に対する免疫反応を増強することができる。
免疫増強剤の特定の非限定的な例には、モノクローナル、ポリクローナル抗体およびその混合物が含まれる。抗体には、腫瘍関連抗原(TAA)に結合する抗体が含まれる。「腫瘍関連抗原」または「TAA」という用語は、腫瘍細胞により発現される抗原を指す。TAAは、腫瘍細胞において、対応する正常な非腫瘍細胞を超える量で発現され得る、または同様のレベルで、もしくは対応する正常細胞に満たないレベルで発現され得る。
標的とできるTAAおよびTAA結合抗体の特定の非限定的な例には、例えば、上皮細胞表面のH抗原に結合するヒトIBD12モノクローナル抗体(U.S. Patent No. 4,814,275); 白血病細胞CD33抗原に結合するM195抗体(U.S. Patent No. 6,599,505); 卵巣がんCA6の腫瘍関連抗原(U.S. Patent No. 6,596,503)に結合するモノクローナル抗体DS6; ならびに結腸がん、乳がん、卵巣がん、および肺がんにより発現されるLeX糖質エピトープに結合するBR96抗体が含まれる。利用できるさらなる抗腫瘍抗体には、例えば、リタキサン(Rituxan)(登録商標)、ハーセプチン(Herceptin)(抗-Her-2 neu抗体)、ベバシズマブ(Bevacizumab)(アバスチン(Avastin))、ゼバリン(Zevalin)、ベキサール(Bexxar)、オンコリム(Oncolym)、17-1A(エドレコロマブ(Edrecolomab))、3F8(抗神経芽細胞腫抗体)、MDX-CTLA4、カンパス(Campath)(登録商標)、ミロターグ(Mylotarg)およびIMC-C225(セツキシマブ(Cetuximab))が含まれる。
RM2抗体は、標準的な体細胞交雑技術を利用して得られるヒトIgG分泌細胞株(ATCC寄託番号PTA-5411; 実施例1)により産生される。RM2は、変性ゲル電気泳動により決定された、約52kDaのAgRM2と命名されたペプチド配列に結合する。AgRM2は、少なくとも部分的には、細胞表面に発現される。AgRM2は、非増殖性細胞におけるよりも増殖性細胞、例えば、過剰増殖性細胞において高発現される。AgRM2は、転移性または非転移性の肺、皮膚(黒色腫)、膵臓、および脳(神経芽細胞腫/神経膠腫)のがん細胞に存在する。
抗体で標的化できるTAAの他の非限定的な例には、MUC-1、HER-2/neu、MAGE、p53、T/TnおよびCEA(乳がん); MUC-2およびMUC-4、CEA、p53ならびにMAGE(結腸がん); MAGE、MART-1およびgp100(黒色腫); GM2、Tn、sTn、Thompson-Friedenreich抗原(TF)、MUC1、MUC2、絨毛性ゴナドトロピンのβ鎖(hCGβ)、HER2/neu、PSMAおよびPSA(前立腺がん); 絨毛性ゴナドトロピン(睾丸がん); およびαフェトプロテイン(肝細胞がん)が含まれる。
免疫増強剤のさらなる例には、リンパ球、形質細胞、マクロファージ、NK細胞および腫瘍に対する抗体を発現しているB細胞のような免疫細胞が含まれる。腫瘍に対する免疫原性を増強するかまたは刺激するサイトカイン、例えば、IL-2、IL-1α、IL-1β、IL-3、IL-6、IL-7、顆粒球-マクロファージ-コロニー刺激因子(GMCSF)、IFN-γ、IL-12、TNF-α、およびTNFβは同様に、免疫増強剤の非限定的な例である。MIP-1α、MIP-1β、RANTES、SDF-1、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、エオタキシン-2、I-309/TCA3、ATAC、HCC-1、HCC-2、HCC-3、LARC/MIP-3α、PARC、TARC、CKβ、CKβ6、CKβ7、CKβ8、CKβ9、CKβ11、CKβ12、C10、IL-8、GROα、GROβ、ENA-78、GCP-2、PBP/CTAPIIIβ-TG/NAP-2、Mig、PBSF/SDF-1、およびリンフォタクチンを含む、サイトカインは、免疫増強剤のさらなる非限定的な例である。
本明細書では、「抗腫瘍」、「抗がん」または「抗新生物」処置、治療、活性または作用とは、過形成の、腫瘍、がんまたは新生物の成長、転移、増殖または生存を阻害する、低下させる、減速させる、減少させるまたは抑制する任意の化合物、薬剤、治療または処置計画またはプロトコルを意味する。抗腫瘍化合物、薬剤、治療または処置は、細胞周期の進行または細胞増殖を妨害する、阻害するまたは遅らせることにより; アポトーシス、溶解もしくは細胞死を刺激するもしくは促進させることにより、核酸もしくはタンパク質の合成もしくは代謝を阻害することにより、細胞分裂を阻害することにより、もしくは細胞の生存を低下させる、減少させるもしくは阻害することにより、または必須の細胞の生存因子、増殖因子もしくはシグナル伝達経路(細胞外または細胞内)の産出もしくは利用により作用することができる。抗腫瘍療法の例には、化学療法、免疫療法、放射線療法(電離放射線療法または化学放射線療法)、局所熱療法(温熱療法)および外科的切除が含まれる。
抗細胞増殖活性および抗腫瘍活性を有する化学物質類の特定の非限定的な例には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、植物抽出物、植物アルカロイド、ニトロソウレア、ホルモン、ヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体が含まれる。薬物の具体例には、シクロホスファミド、アザチオプリン、サイクロスポリンA、プレドニゾロン、メルファラン、クロラムブシル、メクロレタミン、ブスルファン、メトトレキセート、6-メルカプトプリン、チオグアニン、5-フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、AZT、5-アザシチジン(5-AZC)および5-アザシチジン関連化合物、ブレオマイシン、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、マイトマイシンC、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾトシン、ヒドロキシウレア、シスプラチン、ミトタン、プロカルバジン、ダカルバジン、タクソール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ドキソルビシンならびにジブロモマンニトールが含まれる。
本発明により、適当な包装材料の中に包装された、薬学的製剤を含む、一つまたは複数の本発明の抗体を含んだキットがさらに提供される。一つの態様として、キットには、RM4抗体または修飾型RM4が含まれる。他の態様として、キットには、RM4抗体または修飾型RM4をコードする核酸が含まれる。他の態様として、キットには、発現制御要素; 発現ベクター; ウイルス発現ベクター; アデノ随伴ウイルス発現ベクター; アデノウイルス発現ベクター; およびレトロウイルス発現ベクターをさらに含む核酸が含まれる。他の態様として、キットには、本発明の抗体または修飾型、例えば、RM4を発現する細胞が含まれる。他の態様として、キットには、抗腫瘍活性または免疫増強活性を有する化合物または薬剤、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、植物アルカロイド、植物抽出物、抗生物質、ニトロソウレア、ホルモン、ヌクレオシド類似体、ヌクレオチド類似体、TAAを結合する抗体が含まれる。
本明細書では、「包装材料」という用語は、キットの構成要素を収納する物理的構造を指す。包装材料は、構成要素を無菌的に保持することができ、およびそのような目的のためによく使われる材料(例えば、紙、段ボール、ガラス、プラスチック、箔、アンプルなど)で作ることができる。ラベルまたは添付文書は、例えば、本発明の方法を実践するための、例えば、過剰増殖性疾患を検出するための、過剰増殖性疾患を処置するためなどの、適当な取扱説明書を含むことができる。従って、本発明のキットは、キットの構成成分をある方法で使用するための取扱説明書をさらに含むことができる。
従って、さらなる態様として、キットは、本発明の抗体または本発明の抗体をコードする核酸をインビトロで、インビボで、またはエクスビボで発現させるための取扱説明書を含むラベルまたは添付文書を含む。さらなる態様として、キットは、インビボで、またはエクスビボで本発明の抗体または本発明の抗体をコードする核酸により被検体(例えば、腫瘍のような細胞の増殖性疾患を有するかまたは有する危険性がある被検体)を処置するための取扱説明書を含むラベルまたは添付文書を含む。さらなる態様として、キットは、AgRM4の存在または発現レベルをインビトロでまたはインビボで検出するための取扱説明書を含むラベルまたは添付文書を含む。
従って、取扱説明書には、本明細書に記載される本発明の方法のうちのいずれかを実践するための取扱説明書を含めることができる。例えば、本発明の薬学的組成物は、被検体への投与を目的とした取扱説明書とともに、容器、パック、または分注器の中に含有させることができる。取扱説明書には、満足のいく臨床エンドポイントまたは起こり得る任意の有害症状の表示、またはヒト被検体に使用するうえで食品医薬品局のような監督官庁により要求されるさらなる情報をさらに含めることができる。
取扱説明書は、「印刷物」に、例えば、キット内部の紙もしくは厚紙に、キットもしくは包装材料に貼られたラベルに、またはキットの構成成分を含有するバイアルもしくはチューブに付着されたラベルにあってもよい。取扱説明書は、ボイスまたはビデオテープに含まれてもよく、およびさらには、コンピュータ可読媒体、例えば、ディスク(フロッピーディスケットまたはハードディスク)、CD-またはDVD-ROM/RAMのようなオプティカルCD、磁気テープ、RAMおよびROMのような電気的記憶媒体ならびに磁気/光学記憶媒体のようなこれらのハイブリッドに含まれてもよい。
本発明のキットは、緩衝剤、保存剤、またはタンパク質/核酸安定化剤をさらに含むことができる。キットは同様に、活性をアッセイするための対照成分、例えば、対照試料または標準物質を含むことができる。キットの各成分は、個別の容器の中にまたは混合した状態で封入することができ、および各種の容器は単一のまたは複数の包装内とすることができる。
修飾型を含む、抗体は、検出および診断の目的に使用することができる。従って、本発明により同様に、AgRM4の検出方法が提供される。一つの態様として、この方法は、AgRM4、またはAgRM4を含み得る試料をAgRM4に結合する抗体と、結合を可能とする条件の下で接触させる段階と、AgRM4の存在を決定する段階とを含む。AgRM4の検出により、AgRM4の存在が示唆される。一つの局面として、検出はインビトロである。他の局面として、検出はインビボである。従って、他の態様として、被検体におけるAgRM4の存在の検出方法は、被検体または被検体から得た試料をAgRM4に結合する抗体と、抗体をAgRM4に結合可能とする条件の下で接触させる段階と、被検体中のまたは試料中のAgRM4の存在をアッセイする段階とを含む。AgRM4の存在により、被検体におけるAgRM4の存在が示唆される。本発明の抗体を使用して、AgRM4を検出することができるので、本発明により、AgRM4の発現レベルを検出するための方法がさらに提供される。
AgRM4の発現を阻害するかまたは刺激する化合物の同定方法が提供される。一つの態様として、この方法は、AgRM4を発現するかまたは発現できる細胞を試験化合物と接触させる段階と、AgRM4の発現を検出する段階とを含む。試験化合物の存在下での発現の変化により、試験化合物がAgRM4の発現を阻害するかまたは刺激することが示唆される。
部分配列、修飾型を含む、本発明の抗体をコードする核酸などは、薬学的組成物の中に組み込むことができる。そのような薬学的組成物は、被検体にインビボでまたはエクスビボで投与するのに、および本発明の抗体を処置可能な生理学的疾患または症状、例えば、脳、肺、皮膚、膵臓、乳、結腸または腸の過剰増殖性疾患(腫瘍)に供給するのに有用である。
薬学的組成物には、「薬学的に許容される」および「生理学的に許容される」担体、希釈剤または賦形剤が含まれる。本明細書では、「薬学的に許容される」および「生理学的に許容される」という用語には、薬学的投与に適合する、溶剤(水性または非水性)、液剤、乳剤、分散媒、コーティング、等張および吸収促進または遅延剤が含まれる。そのような製剤は、液体、つまり乳濁液、懸濁液、シロップ、もしくは甘味アルコール溶液の中に、または固形物、つまり錠剤(コーティングされたまたはコーティングされていない)、カプセル剤(硬質または軟質)、散剤、顆粒剤、結晶、もしくはマイクロビーズの中に含有させることができる。補助化合物(例えば、保存剤、抗菌剤、抗ウイルス薬および抗真菌薬)を同様に、組成物の中に組み込むことができる。
薬学的組成物は、特定の局所的なまたは全身的な投与経路に適合するように製剤化することができる。従って、薬学的組成物には、特定の経路による投与に適した、担体、希釈剤、または賦形剤が含まれる。本発明の組成物に対する投与経路の特定の非限定的な例は、非経口投与、例えば、静脈内投与、皮内投与、筋肉内投与、皮下投与、経口投与、経皮投与(局所)、経粘膜投与、および直腸投与である。
非経口、皮内、または皮下適用に使用される溶剤または懸濁剤には、注射用蒸留水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶剤のような無菌の希釈剤; ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤; アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような酸化防止剤; エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤; 酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤および塩化ナトリウムまたはブドウ糖のような等張性の調整のための作用物質を含めることができる。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような、酸または塩基で調整することができる。
注射用の薬学的組成物には、無菌の水溶液(水溶性の場合)または分散液と無菌の注射可能な水溶液または分散液の即時調製用のための無菌の粉剤とが含まれる。静脈内投与の場合、適当な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標) (BASF, Parsippany, NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。担体は、例えば、水、エタノール、多価アルコール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコール、および同様のもの)、およびその適当な混合物を含有する溶媒または分散媒とすることができる。流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持によりおよび界面活性剤の使用により維持することができる。抗菌剤および抗真菌薬には、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸およびチメロサールが含まれる。等張剤、例えば、糖、マンニトールのような多価アルコール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物の中に含めることができる。吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含有させることで、注射可能な組成物の吸収を引き延ばすことができる。
無菌の注射可能な水溶液は、必要な量の活性化合物を適当な溶媒の中に、上記の成分のうちの一つまたは組合せとともに組み入れて、その後、ろ過滅菌することにより調製することができる。一般的に、分散液は、基礎となる分散媒と上記の他の成分とを含有する無菌媒体の中に活性化合物を組み入れることにより調製される。無菌の注射可能な溶液を調製するための無菌の粉剤の場合、調製方法には、例えば、真空乾燥および活性成分に加えて予めろ過滅菌されたその溶液に由来する任意の付加的な所望の成分の粉剤をもたらす凍結乾燥が含まれる。
経粘膜投与または経皮投与の場合、浸透させる障壁に適した浸透剤を製剤に入れて使用する。そのような浸透剤は、一般に当技術分野において知られており、および、例えば、経粘膜投与の場合、界面活性剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、スプレー式点鼻薬、吸入装置(例えば、吸引器)または座薬の使用により達成することができる。経皮投与の場合、活性成分を軟膏(ointment)、軟膏(salve)、ゲル、クリームまたはパッチの中に製剤化する。
修飾型を含む本発明の抗体およびそれらをコードする核酸は、身体からの短時間の排除を防ぐ担体、例えば、放出制御製剤またはモノステアリン酸グリセリルもしくはステアリン酸グリセリルのような時間遅延材料とともに調製することができる。組成物は同様に、局所的なまたは全身的な持続送達または放出制御を達成するために、インプラントおよびマイクロカプセル送達系を用いて送達することができる。
エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステル、およびポリ乳酸のような、生体分解性、生体適合性高分子を使用することができる。そのような製剤の調製方法は、当業者に知られている。その材料は、Alza社およびNova Pharmaceuticals社から商業的に得ることもできる。リポソーム懸濁液(抗体またはウイルス外皮タンパク質を用いて細胞または組織に標的化されるリポソームを含む)を薬学的に許容される担体として使用することもできる。これらは、例えば、U.S. Patent No. 4,522,811に記述されているように、当業者に周知の方法により調製することができる。
投与に適したさらなる薬学的製剤が、当技術分野において知られている(例えば、Gennaro (ed.), Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th ed., Lippincott, Williams & Wilkins (2000); Ansel et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 7th ed., Lippincott Williams & Wilkins Publishers (1999); Kibbe (ed.), Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association, 3rd ed. (2000); およびPharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms, Technonic Publishing Co., Inc., Lancaster, Pa., (1993)を参照されたい)。
薬学的製剤は、投与の簡便性および投与量の均一性のため、投与単位剤形として包装することができる。「投与単位剤形」とは、本明細書では、単一投与量による処置として適した物理的に別個の単位を指す; 各単位は、所望の治療効果をもたらすように計算された薬学的担体または賦形剤に関連して予め決められた量の活性化合物を含む。
従って、本発明により、AgRM4を発現する細胞の増殖を阻害するかまたは抑制するための方法が提供される。一つの態様として、この方法は、AgRM4を発現する細胞を、細胞の増殖を阻害するかまたは抑制するのに十分な量のAgRM4に結合する抗体と接触させる段階を含む。一つの局面として、細胞は、増殖性細胞、例えば、過剰増殖性細胞である。他の局面として、過剰増殖性細胞は、転移性または非転移性のがん細胞である。特定の局面として、細胞は、脳、肺、皮膚、膵臓、乳、結腸または腸の細胞から選択される。
細胞は、被検体、例えば、過剰増殖性疾患を有するかまたは有する危険性がある哺乳類(例えば、ヒト被検体)に存在していてもよい。従って、本発明により同様に、少なくとも一部分の過剰増殖性細胞がAgRM4を発現している被検体における過剰増殖性細胞疾患の処置方法が提供される。一つの態様として、その抗体が、過剰増殖性細胞疾患を処置するのに十分な量で被検体に投与される。一つの局面として、過剰増殖性疾患には、腫瘍が含まれる。
腫瘍を有するかまたは有する危険性がある被検体の処置方法がさらに提供される。一つの態様として、この方法は、被検体を処置するのに十分な量の、AgRM4と命名された抗原に選択的に結合するRM4と命名されたヒトモノクローナル抗体を被検体に投与する段階を含む。さらなる態様として、この方法は、被検体を処置するのに十分な量の、RM4と命名されたヒトモノクローナル抗体の結合特異性を有する抗体を被検体に投与する段階; 被検体を処置するのに十分な量の、RM4と命名されたヒトモノクローナル抗体のAgRM4との結合に競合する抗体を被検体に投与する段階; および被検体を処置するのに十分な量の、RM4と命名されたヒトモノクローナル抗体が結合するAgRM4のエピトープに結合する抗体を被検体に投与する段階を含む。一つの局面として、この方法は同様に、免疫増強剤または抗腫瘍薬、例えば、抗腫瘍抗体(例えば、RM2)を投与する段階を含む。
本明細書では、「過剰増殖性」という用語およびその文法的変化形は、細胞、組織または臓器に関して使用される場合、望ましくない、過剰なまたは異常な細胞、組織または臓器の増殖、分化または生存を指す。増殖性および分化性疾患には、被検体における望ましくない、過剰なまたは異常な細胞数、細胞増殖または細胞生存により特徴付けられる、良性と新生物の双方の、疾病および生理的症状が含まれる。そのような疾患の具体例には、転移性および非転移性の腫瘍およびがんが含まれる。
「腫瘍」、「がん」、「悪性腫瘍」、および「新生物形成」という用語は、本明細書で同義的に使用され、および任意の細胞または組織起源の細胞または細胞の集団であって、その成長、増殖または生存が対応する正常な細胞の成長、増殖または生存を超える、例えば、細胞の増殖性または分化性の疾患を指す。そのような疾患には、例えば、がん腫、肉腫、黒色腫、神経系の、および網内系のまたは造血系の新生物疾患(例えば、骨髄腫、リンパ腫または白血病)が含まれる。腫瘍は、以下に限定されることはないが、乳、肺、甲状腺、頭頸部、脳、リンパ、胃腸(口、食道、胃、小腸、結腸、直腸)、尿生殖路(子宮、卵巣、頚部、膀胱、精巣、陰茎、前立腺)、腎臓、膵臓、肝臓、骨、筋肉、皮膚を含む、多数の原発腫瘍型から発生する可能性があり、および第二の部位に転移する可能性がある。腫瘍は、任意の段階、例えば、ステージI期、II期、III期、IV期もしくはV期の腫瘍にある、または寛解期にあるとすることができる。
「固形腫瘍」とは、通常、ともに凝集して、塊を形成する新生物形成または転移を指す。具体例には、黒色腫、乳がん、膵臓がん、子宮がんおよび卵巣がんのような内臓腫瘍、精上皮腫を含む睾丸がん、胃がんまたは結腸がん、肝臓がん、副腎がん、腎臓がんおよび膀胱がん、肺がん、頭頸部がんならびに脳腫瘍/がんが含まれる。
がん腫とは、上皮組織または内分泌組織の悪性腫瘍を指し、呼吸器系がん、胃腸系がん、泌尿器生殖器系がん、睾丸がん、乳がん、前立腺癌、内分泌系がん、および黒色腫を含む。この用語には同様に、例えば、がん性および肉腫性の組織からなる悪性腫瘍を含む、がん肉腫が含まれる。腺がんには、腺組織のがん、または腫瘍が腺様構造を形成するがんが含まれる。黒色腫とは、メラニン形成細胞および皮膚、眼(網膜を含む)、または身体の他の領域に発生し得る色素細胞起源に由来する他の細胞(メラニン形成細胞の系統を同様に生み出す神経堤に由来する細胞を含む)の悪性腫瘍を指す。さらなるがん腫は、子宮/頸部、肺、頭頸部、結腸、膵臓、精巣、副腎、腎臓、食道、胃、肝臓および卵巣から生じ得る。
肉腫とは、間葉細胞起源の悪性腫瘍を指す。典型的な肉腫には、例えば、リンパ肉腫、脂肪肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫および線維肉腫が含まれる。
神経系腫瘍形成には、神経膠腫、膠芽細胞腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、乏突起膠細胞腫が含まれる。
「液性腫瘍」とは、リンパ腫、骨髄腫、もしくは白血病のような、細網内皮系および造血系の新生物形成、または本質的に広範性である新生物形成を指す。白血病の特定の例には、急性および慢性のリンパ芽球性白血病、骨髄芽球性(myeolblastic)白血病および多発性骨髄腫が含まれる。通常、そのような疾患は、未分化の急性白血病、例えば、赤芽球性白血病および急性巨核芽球性白血病から生じる。具体的な骨髄疾患には、以下に限定されることはないが、急性前骨髄球性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)が含まれる; リンパ性悪性疾患には、以下に限定されることはないが、B細胞系統のALLおよびT細胞系統のALL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、有毛細胞白血病(HLL)ならびにヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)を含む、急性リンパ性白血病(ALL)が含まれる。具体的な悪性リンパ腫には、非ホジキンリンパ腫および変異形、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン病ならびにリードスタンバーグ病が含まれる。
本発明の方法には、被検体の症状の検出可能なまたは測定可能な改善、つまり治療上の効用をもたらすことが含まれる。治療上の効用とは、病気の任意の客観的または主観的な一過的もしくは一時的、または長期的改善か、病気の重症度または有害症状の軽減である。従って、満足のいく臨床エンドポイントは、一つもしくは複数の関連する有害症状もしくは合併症の重症度もしくは持続期間もしくは頻度の漸進的なもしくは部分的な軽減、または病気の一つもしくは複数の生理的な、生化学的なもしくは細胞性の兆候もしくは特徴の阻害もしくは逆転が存在する場合に達成される。従って、治療上の効用または改善(「改善する」が同義的に使用される)は、標的の過剰増殖性細胞(例えば、腫瘍)全ての完全な破壊または疾患と関連した有害症状もしくは合併症の全ての消失である必要はない。例えば、腫瘍細胞塊の増大(疾患の安定化)を阻害することで、ほんの数日間、数週間または数ヶ月だけでも、およびたとえ一部のまたは大部分の腫瘍が残存しているとしても、死亡率を低下させて寿命を引き延ばすことができる。
治療上の効用の特定の非限定的な例には、腫瘍容積(サイズまたは細胞塊)の減少、腫瘍容積の増加の阻害、腫瘍の進行または転移の遅延または阻害、腫瘍細胞の溶解またはアポトーシスの刺激が含まれる。腫瘍を含有する生検試料(例えば、血液または組織試料)の検査により、腫瘍細胞の数の減少または腫瘍細胞の増殖の阻害が起きたかどうかを確証することができる。または、固形腫瘍の場合、侵襲的なおよび非侵襲的な画像検査法により、腫瘍サイズの減少、または腫瘍サイズの増加の阻害を確定することができる。
縮小または減少させることができる腫瘍、新生物、およびがんと関連した有害症状および合併症には、例えば、嘔吐、食欲不振、昏睡、苦痛および不快感が含まれる。従って、有害症状の重症度、持続期間または頻度の縮小、より一層の活力、食欲、生理学的に満足のいく状態のような、被検体の主観的感覚の改善が治療上の効用の例である。
治療上の効用または改善を達成するための処置の用量または「十分な量」とは、疾患、病気または有害症状の進行または悪化の抑制または阻害が満足のいく結果ではあるが、測定可能なまたは検出可能な程度にまで、病気の一つの、いくつかのまたは全ての有害症状または合併症を改善するのに有効である。従って、過剰増殖性の病気または疾患の場合、抗体の量は、被検体に治療上の効用をもたらすのに、または病気もしくは症状を改善するのに十分であるものと思われる。その用量は、処置している疾患の状態または処置の副作用に応じて比例的に増加させるかまたは減少させることができる。
同様に有効と考えられる用量は、他の治療計画またはプロトコルの利用の減少をもたらすものである。例えば、本発明の抗体は、その投与により、化学療法薬、放射線療法または免疫療法が腫瘍の処置にあまり必要とされなくなるならば、治療上の効用を有するものと考えられる。
勿論、処置プロトコルには常につきものであるが、被検体のなかには処置に大きな反応を示すものもいれば、低い反応しか示さないものもいるものと思われる。例えば、適当な量は、処置される病気(例えば、腫瘍のタイプまたは腫瘍のステージ)、望まれる治療効果、ならびに各被検体(例えば、被検体内部での生体利用効率、性別、年齢など)に依存するものと思われる。
本発明の抗体は同様に、その他の治療計画または処置プロトコルに付随して投与することができる。他の処置プロトコルには、本明細書に記載されるおよび当技術分野において知られる、薬物療法(化学療法)、外科的切除(ressection)、発熱療法、放射線療法、および免疫療法が含まれる。従って、本発明により、本発明の抗体が、本明細書に記載されるかまたは当技術分野において知られるもののような、任意の抗細胞増殖性の治療計画または処置プロトコルと組み合わせて利用される方法が提供される。
放射線療法には、被検体への内部または外部送達が含まれる。例えば、α線、β線、γ線およびX線は、被検体に放射性同位体を内部に取り込ませることなくまたは別の方法で物理的に接触させることなく、外部から被検体に投与することができる。投与されるX線被爆量の具体例は、長期間にわたり日々線量50〜200レントゲン(3〜5回/週)から単回線量2000〜6000レントゲンまでに及ぶ。被爆量は、大きく異なり、暴露時間、同位体の半減期、放出される放射線のタイプ、処置される細胞のタイプおよび位置ならびに疾患の進行ステージに依存する。
「被検体」という用語は、動物、通常は哺乳類動物、例えば、ヒト以外の霊長類(ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、マカクザル、テナガザル)、家畜(domestic animal)(イヌおよびネコ)、家畜(farm animal)(ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)、実験動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット)およびヒトを指す。被検体には、本発明の抗体のインビボ効果を試験するための(例えば、マウスおよびヒト以外の霊長類のような)疾患モデル動物(例えば、腫瘍動物モデル)が含まれる。ヒト被検体には、成人、および小児、例えば、新生児および1〜5才、5〜10才および10〜18才の年長の小児が含まれる。
被検体には、AgRM4を発現する細胞もしくは組織を有する被検体、または過剰増殖性疾患の家族歴を有する、遺伝的に過剰増殖性疾患の素因がある、もしくは以前に過剰増殖性疾患で苦しんだ被検体のような、過剰増殖性疾患を有するかまたは有する危険性があるヒトが含まれる。従って、がんを発現する危険性がある被検体は、腫瘍関連遺伝子、遺伝子欠失または遺伝子変異の遺伝学的スクリーニングで同定することができる。乳がんを発現する危険性がある被検体は、例えば、Brca1遺伝子を欠失している。結腸がんを発現する危険性がある被検体は、例えば、大腸腺腫性ポリポーシス(APC遺伝子)のような、腫瘍抑制遺伝子が欠失しているかまたは変異している。
別の定めのない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明に関係する当業者により共通して理解されるものと同じ意味を有する。本発明の実施および試験に際して、本明細書に記載される方法および材料に類似であるか等価であるものを使用することができるが、適当な方法および材料を本明細書に記載する。
引用される全ての刊行物、特許および他の参考文献は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。矛盾する場合、定義を含む、本明細書により統制される。
本明細書では、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」には、文脈により他に明記されていない場合、複数対象が含まれる。従って、例えば、「抗体(an antibody)」への言及には、複数のそのような抗体が含まれ、および「配列(a sequence)」への言及には、全部のもしくは一部のまたは一つもしくは複数の配列を含むことができる、など。
本発明の多くの態様が記載されている。それでもなお、当然のことながら、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を為すことができる。従って、下記の実施例は、特許請求の範囲に記述される本発明の範囲を例証するが限定しないことを意図するものである。
実施例
実施例1
本実施例により、ヒトモノクローナル抗体RM2(ATCC寄託番号PTA-5411)の特徴が記述される。
RM2の作製:
結腸および膵臓がん患者由来の排膿性のがん領域リンパ節のプールを、生検外科標本から得て、無菌の条件下で処理し、その後、ヤマゴボウマイトジェン(PWM; Borrebaeck, C.(ed) In Vitro Immunization in Hybridoma Technology; Elsevier Publisher, New York, 1988)を用いてインビトロで刺激した。手短に言えば、結節部分を無血清RPMI 1640培地に浸し、異質組織および嚢成分(capsular component)がないように切り落とし、それからヌジェント鉗子で細かく切り裂いて、単個細胞浮遊液を調製した。より大きな凝集体を沈降させた後に浮遊状態のまま残った細胞を取り除いて、2回洗浄した(500×g、5分間)。解剖および細胞調製は全て、室温で行った。単離したリンパ球は、10% FCSおよびPWM(Borrebaeck, C.(ed)、前掲)を添加したRPMI 1640培地の中に5×106個/mlとして再懸濁させ、その後、融合の前に5% CO2/95%大気中にて37℃で一晩インキュベートした。
35% ポリエチレングリコール1500を使い、患者リンパ球3.3×107個をTMr-RN15細胞1.6×107個と、標準的なハイブリドーマ産生プロトコル(Harlow and Lane、前掲)により融合させた。融合後、細胞を96ウェルマイクロタイタープレートに、細胞1×105個/ウェルとして加えた。融合の翌日、増殖培地を、ヒポキサンチン(1×10-4 M)、アメトプテリン(4×10-7 M)、およびチミジン(1.6×10-5 M)を含有する、10% FCSおよび2 mMグルタミン添加RPMI 1640培地[HAT培地]に交換した。2〜4週間培養の後、眼で確認できるハイブリッドを、ヒト抗体の産生のためにさらに解析した。抗体を分泌することが認められたものを増殖させて、10% FCSを添加した標準的なRPMI 1640培地中にて支持細胞層なしで、限界希釈法によりクローニングした。
(表1)RM2のEIAでの細胞株の反応性プロフィール
Figure 0004473730
免疫組織化学:
新鮮な外科生検標本の組織薄片(5μ厚)をクリオスタットにより調製し、評価のためにスライドグラスに載せた(Harlow and Lane、前掲)。RM2を最初にスライドに添加し、45分間インキュベートし、洗浄して、ビオチン化ヤギ抗ヒトIgG二次抗体とさらに45分間インキュベートし、その後、アビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼと続けた。切片をエバンスブルー/ヘマトキシリンで対比染色して、封入した。これらの結果を表2に示す。
(表2)
Figure 0004473730
RM2の精製:
RM2クローンの抗体含有上清をプールし、濃縮して、プロテインGクロマトグラフィーで精製した。カラムを十分に洗浄して、結合していないタンパク質を除去した。RM2抗体を低pHによりカラムから溶出させて、その後、活性をアッセイした。
体内分布:
標準的なクロラミン-T法を利用して、精製したRM2を125Iで標識した。RM2 1.0 mgを125I(14〜17 mCi/μg)と、12×75チューブの中でヨウ素 対 タンパク質の比率を1 対 10として結合させた。タンパク質100μg当たりクロラミン-T 10μlを加えて、室温で3分間インキュベートした。タンパク質100μg当たりメタ重亜硫酸ナトリウム10μlを用いて、反応を停止させた。G-50〜80遠心カラムを用いて、結合していない125Iを除去した。比放射能を0.2〜1.0 mCi/mg(0.02〜0.1 mCi/l00μg RM2)とした。PANC-1細胞4×106個を胸腺欠損雌マウス(nu/nu; 4〜6週齢)5匹の左脇腹に皮下移植した。腫瘍容積が約200〜300 mm3となった時点で、各マウスに尾静脈から125I標識RM2 100μlを与えた。48時間後、マウスを屠殺して、腫瘍、血液、および主要な臓器を取り出し、重量を量り、ガンマシンチレーション・カウンタで測定した。これらの結果を表3に示す。
(表3)
Figure 0004473730
腫瘍縮小:
第0日目に、胸腺欠損雌マウス(nu/nu; 4〜6週齢)15匹のそれぞれにPANC-1細胞4×106個を左脇腹に注射して、各マウス5匹の3グループに分けた。第7日目に、グループ1にはPBS を100μl注射し、グループ2には対照(無関係な)IgG 100μgを100μl注射し、およびグループ3にはRM2 100μgを100μl注射した。第10日目に、各グループにその各処置の2回目の注射を行った。第14日目に、各グループに3回目の注射を行い、第21日目に、各グループにその最後の注射を行った。1週間に1回、各マウスを評価し、その同じ日に腫瘍を測定した。このデータを図1に示す。注射後の各週の数値で表した腫瘍容積を表7に要約する。
実施例2
本実施例により、ヒトモノクローナル抗体RM4の単離、その抗体の組織および抗原結合特性ならびにその抗体の配列が記述される。
RM4の作製:
結腸がん患者由来の排膿性のがん領域リンパ節のプールを、生検外科標本から得て、無菌の条件下で処理した。手短に言えば、結節部分を無血清RPMI 1640培地に浸し、異質組織および嚢成分(capsular component)がないように切り落とし、それからヌジェント鉗子で細かく切り裂いて、単個細胞浮遊液を調製した。より大きな凝集体を沈降させた後に浮遊状態のまま残った細胞を取り除いて、2回洗浄した(500×g、5分間)。解剖および細胞調製は全て、室温で行った。単離したリンパ球は、10% FCSを添加したRPMI 1640培地の中に5×106個/mlとして再懸濁させて、融合の前に5% CO2/95%大気中にて37℃で一晩インキュベートした。
35% ポリエチレングリコール1500を使い、患者リンパ球3.3×107個をRN15細胞1.6×107個と、標準的なハイブリドーマ産生プロトコル(Harlow and Lane、前掲)により融合させた。融合後、細胞を96ウェルマイクロタイタープレートに、細胞1×105個/ウェルとして加えた。融合の翌日、増殖培地を、ヒポキサンチン(1×10-4 M)、アメトプテリン(4×10-7 M)、およびチミジン(1.6×10-5 M)を含有する、10% FCSおよび2 mMグルタミン添加RPMI 1640培地[HAT培地]に交換した。2〜4週間培養の後、眼で確認できるハイブリッドを、ヒト抗体の産生のためにさらに解析した。抗体を分泌することが認められたものを増殖させて、10% FCSを添加した標準的なRPMI 1640培地中にて支持細胞層なしで、限界希釈法によりクローニングした。
抗体アッセイ:
ヒト免疫グロブリンの定量化は、以前に記載されているように標準的な酵素免疫アッセイ(EIA)により評価した(Harlow and Lane、前掲)。
RM4の特異性:
RM4の特異性を評価するため、この抗体をヒト細胞株のパネルに対してスクリーニングした。このデータを表4に示す。この細胞株をAmerican Type Culture Collection (ATCC)から入手し、解析のためにアッセイプレートに固定化した。手短に言えば、対数増殖期の細胞を収集し、PBSで洗浄し、再懸濁させ、平底のImmulon 96ウェルプレートに細胞2×105個/ウェルとして分注して、37℃の乾燥器中に一晩置いた(Harlow, E. and Lane, D. Antibodies. A Laboratory Manual; Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1988)。これらの細胞に、RM4抗体の上清を添加し、インキュベートし、洗浄して、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgGで発色させた。試験は全て3重で行い、マイクロプレートEIAリーダーで測定した。
(表4)RM4のEIAでの細胞株の反応性プロフィール
Figure 0004473730
免疫組織化学:
新鮮な外科生検標本の組織薄片(5μ厚)をクリオスタットにより調製し、評価のためにスライドグラスに載せた(Harlow and Lane、前掲)。RM4を最初にスライドに添加し、45分間インキュベートし、洗浄して、ビオチン化ヤギ抗ヒトIgG二次抗体とさらに45分間インキュベートし、その後、アビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼと続けた。切片をエバンスブルー/ヘマトキシリンで対比染色して、封入した。これらの結果を表5に示す。
(表5)
Figure 0004473730
RM4の精製:
RM4クローンの抗体上清をプールし、濃縮して、プロテインGクロマトグラフィーで精製した。カラムを十分に洗浄して、結合していないタンパク質を除去した。RM4抗体を低pHによりカラムから溶出させて、その後、活性をアッセイした。
体内分布:
標準的なクロラミン-T法を利用して、精製したRM4を125Iで標識した。RM4 1.0 mgを125I(14〜17 mCi/μg)と、12×75チューブの中でヨウ素 対 タンパク質の比率を1 対 10として結合させた。タンパク質100μg当たりクロラミン-T 10μlを加えて、室温で3分間インキュベートした。タンパク質100μg当たりメタ重亜硫酸ナトリウム10μlを用いて、反応を停止させた。G-50〜80遠心カラムを用いて、結合していない125Iを除去した。比放射能を0.2〜1.0 mCi/mg(0.02〜0.1 mCi/l00μg RM3)とした。SK-BR-3細胞4×106個を胸腺欠損雌マウス(nu/nu; 4〜6週齢)5匹の左脇腹に皮下移植した。腫瘍容積が約200〜300 mm3となった時点で、各マウスに尾静脈から125I標識RM4 100μlを与えた。48時間後、マウスを屠殺して、腫瘍、血液、および主要な臓器を取り出し、重量を量り、ガンマシンチレーション・カウンタで測定した。これらの結果を表6に示す。
(表6)
Figure 0004473730
腫瘍縮小:
第0日目に、胸腺欠損雌マウス(nu/nu; 4〜6週齢)15匹のそれぞれにColo205細胞4×106個を左脇腹に注射して、各マウス5匹の3グループに分けた。第7日目に、グループ1にはPBS を100μl注射し、グループ2には対照(無関係な)IgG 100μgを100μl注射し、およびグループ3にはRM4 100μgを100μl注射した。第10日目に、各グループにその各処置の2回目の注射を行った。第14日目に、各グループに3回目の注射を行い、第21日目に、各グループにその最後の注射を行った。1週間に1回、各マウスを評価し、その同じ日に腫瘍を測定した。このデータを図2に示す。注射後の各週の数値で表した腫瘍容積を表7に要約する。
抗原解析:
標準的なウエスタンブロット法により、抗原が検出されなかった。このことから、AgRM4がタンパク質ではない、立体構造依存的な構造体である、または細胞の非タンパク質画分に結合することが示唆される。
FACS解析により、細胞増殖依存的にAgRM4が示された。増殖静止期にある細胞は、細胞表面のAgRM4を発現しない。対数的に増殖している細胞は、AgRM4を高レベルに発現する。
(表7)
Figure 0004473730
実施例3
本実施例により、RM2抗体との併用によるRM4の相乗活性が記述される。
手短に言えば、上記の通り第0日目に、胸腺欠損雌マウス(nu/nu; 4〜6週齢)15匹のそれぞれにCalu 1細胞(肺腫瘍)4×106個を注射した。第7日目に、グループ1にはPBS を100μl注射し、グループ2には対照(無関係な)IgG 100μgを100μl注射し、およびグループ3にはRM4 100μgを100μl注射した。第10日目に、各グループにその各処置の2回目の注射を行った。第14日目に、各グループに3回目の注射を行い、第21日目に、各グループにその最後の注射を行った。1週間に1回、各マウスを評価し、その同じ日に腫瘍を測定した。このデータを図3に示す。
RM2を注射後のマウスにおける腫瘍(膵臓がん細胞株Panc-1細胞)壊死を示す。注射後の各週に対する腫瘍容積を図解している。 RM4を注射後のマウスにおける腫瘍(結腸がん細胞株Colo205細胞)壊死を示す。注射後の各週に対する腫瘍容積を図解している。 RM2およびRM4を注射後のマウスにおける腫瘍(肺がん細胞株Calu-1細胞)壊死を示す。矢印は、第7日目、10日目、14日目および18日目での注射を示す。

Claims (46)

  1. ATCC寄託番号PTA-5412を有するハイブリドーマによって産生される、RM4と命名された単離ヒトモノクローナル抗体。
  2. 細胞傷害性分子を含む、請求項1記載の抗体。
  3. 細胞傷害性分子が細菌毒素、植物毒素、放射性核種、細胞毒性薬、またはサイトカインから選択される、請求項記載の抗体。
  4. 放射性核種がα、βまたはγ放射体である、請求項記載の抗体。
  5. 検出可能な標識またはタグを含む、請求項1記載の抗体。
  6. 検出可能な標識が放射性同位体、蛍光化合物、コロイド金属、化学発光化合物、生物発光化合物、酵素または常磁性標識から選択される、請求項記載の抗体。
  7. 過剰増殖性細胞に結合する、請求項1記載の抗体。
  8. 過剰増殖性細胞が乳細胞、結腸細胞、腸細胞、または肺細胞から選択される、請求項記載の抗体。
  9. 過剰増殖性細胞には、転移性または非転移性のがん細胞が含まれる、請求項記載の抗体。
  10. 転移性または非転移性の過剰増殖性のがん細胞が、乳がん細胞、結腸がん細胞、腸がん細胞、または肺がん細胞から選択される、請求項記載の抗体。
  11. ATCC寄託番号PTA-5411を有するハイブリドーマによって産生される、RM2と命名された単離ヒトモノクローナル抗体。
  12. 細胞傷害性分子を含む、請求項11記載の抗体。
  13. 細胞傷害性分子が細菌毒素、植物毒素、放射性核種、細胞毒性薬、またはサイトカインから選択される、請求項12記載の抗体。
  14. 放射性核種がα、βまたはγ放射体である、請求項13記載の抗体。
  15. 検出可能な標識またはタグを含む、請求項11記載の抗体。
  16. 検出可能な標識が放射性同位体、蛍光化合物、コロイド金属、化学発光化合物、生物発光化合物、酵素または常磁性標識から選択される、請求項15記載の抗体。
  17. 過剰増殖性細胞に結合する、請求項11記載の抗体。
  18. 過剰増殖性細胞が乳細胞、肺細胞、膵臓細胞、または皮膚細胞から選択される、請求項17記載の抗体。
  19. 過剰増殖性細胞には、転移性または非転移性のがん細胞が含まれる、請求項17記載の抗体。
  20. 転移性または非転移性の過剰増殖性のがん細胞が、乳がん細胞、肺がん細胞、膵臓がん細胞、または黒色腫細胞から選択される、請求項19記載の抗体。
  21. ATCC寄託番号PTA-5411、またはATCC寄託番号PTA-5412を有するハイブリドーマによって産生される抗体をコードする核酸。
  22. 請求項21記載の核酸を含む細胞。
  23. ATCC寄託番号PTA-5412、またはPTA-5411を有するハイブリドーマ。
  24. 請求項1記載の抗体、および/または請求項11記載の抗体、ならびに一つまたは複数の抗腫瘍薬または免疫増強剤を含む組成物。
  25. 薬剤には抗原に結合する抗体が含まれる、請求項24記載の組成物。
  26. 請求項24記載の組成物を含むキット。
  27. 請求項1記載の抗体を含むキット。
  28. 請求項11記載の抗体を含むキット。
  29. 請求項1記載の抗体および/または請求項11記載の抗体、ならびに薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
  30. 以下の段階を含む、請求項1または11記載の抗体の産生方法:
    a) 請求項21記載の核酸を宿主細胞または翻訳用抽出物へ導入する段階と、
    b) 該核酸が、該抗体を含む翻訳産物として発現されるような条件の下で、該宿主細胞または抽出物をインキュベートする段階と、
    c) 該抗体を単離する段階。
  31. ATCC寄託番号PTA-5412を有するハイブリドーマをインキュベートする段階を含む、請求項1記載の抗体の産生方法。
  32. ATCC寄託番号PTA-5411を有するハイブリドーマをインキュベートする段階を含む、請求項11記載の抗体の産生方法。
  33. 乳、結腸、または肺に位置する腫瘍を有するかまたは有する危険性がある被検体処置するための薬学的組成物を調製するための、請求項1記載の抗体の効果的な量の使用
  34. 乳、肺、もしくは膵臓に位置する腫瘍、もしくは黒色腫を有するか、または有する危険性がある被検体を処置するための薬学的組成物を調製するための、請求項11記載の抗体の効果的な量の使用。
  35. 肺に存在する腫瘍を有するか、または有する危険性がある被検体を処置するための薬学的組成物を調製するための、請求項1記載の抗体、および請求項11記載の抗体の効果的な量の使用。
  36. 腫瘍には、ステージI期、II期、III期、IV期またはV期の腫瘍が含まれる、請求項33〜35のいずれか一項記載の使用
  37. 腫瘍は固形または液性である、請求項33〜35のいずれか一項記載の使用
  38. 腫瘍は転移性または非転移性である、請求項33〜35のいずれか一項記載の使用
  39. 処置は腫瘍容積の増加を阻害する、または腫瘍の進行を阻害する、請求項33〜35のいずれか一項記載の使用
  40. 処置は腫瘍と関連した一つまたは複数の有害症状を軽減させる、請求項33〜35のいずれか一項記載の使用
  41. 処置は死亡率を減少させる、請求項33〜35のいずれか一項記載の使用
  42. 被検体は抗腫瘍療法の候補であるか、その療法を受けているか、または受けていた、請求項33〜35のいずれか一項記載の使用
  43. 薬学的組成物が抗腫瘍薬または免疫増強剤をさらに含む、請求項33〜35のいずれか一項記載の使用
  44. 薬学的組成物には、さらに抗体まれる、請求項33〜35のいずれか一項記載の使用
  45. 薬学的組成物には、さらにATCC寄託番号PTA-5411を有するハイブリドーマによって産生される、RM2と命名されたヒトモノクローナル抗体が含まれる、請求項33記載の使用。
  46. 薬学的組成物には、さらにATCC寄託番号PTA-5412を有するハイブリドーマによって産生される、RM4と命名されたヒトモノクローナル抗体が含まれる、請求項34記載の使用。
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